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特許7117419ウエハ裏面における堆積の低減のための可変温度ハードウェアおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-12
(54)【発明の名称】ウエハ裏面における堆積の低減のための可変温度ハードウェアおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20220804BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220804BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/68 N
C23C16/458
【請求項の数】 2
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021084326
(22)【出願日】2021-05-19
(62)【分割の表示】P 2016239056の分割
【原出願日】2016-12-09
(65)【公開番号】P2021132226
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】14/972,205
(32)【優先日】2015-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/051,886
(32)【優先日】2016-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー・カン
(72)【発明者】
【氏名】イシュタク・カリム
(72)【発明者】
【氏名】プルショッタム・クマル
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・チエン
(72)【発明者】
【氏名】ラメッシュ・チャンドラセカーラン
(72)【発明者】
【氏名】アドリエン・ラボワ
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0177444(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0133165(US,A1)
【文献】特開2013-012509(JP,A)
【文献】特開2010-267894(JP,A)
【文献】特表2002-526915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/683
C23C 16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学堆積装置において半導体基板を処理する方法であって、
セラミック製キャリアリング上の前記基板を前記化学堆積装置の真空チャンバに搬送して、前記キャリアリングを支持する1セットのセラミック製蹄鉄体およびセラミック製シムを有する台座アセンブリ上に前記キャリアリングを設置し、前記蹄鉄体は前記キャリアリングの下面から延びる整合ピンを受けるボアを有し、前記基板は前記基板の裏面が前記キャリアリングの上面から所定のオフセット距離に位置するように、前記台座アセンブリ上の最小接触領域支持体によって前記キャリアリングから持ち上げられ、
前記基板の裏面における堆積が最小となるように、前記基板を加熱して前記所定のオフセット距離を維持しながら前記基板に材料の層を堆積させること、
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記台座アセンブリは、環状凹部と、前記台座アセンブリの外周の中に延びて前記環状凹部に開口する3つの長方形開口部とを含み、前記長方形開口部のそれぞれは、シムと、前記台座アセンブリ上の位置決めピンによって前記シムに取り付けられている蹄鉄体とを有し、前記位置決めピンは、前記シムのボアを貫通し前記蹄鉄体のボアの途中まで延び、前記シムのそれぞれは、同じ厚さを有し、前記基板のベベルエッジから3mmの位置における裏面堆積を50Å以下に制限する前記所定のオフセット距離を提供する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年12月17日に出願された、米国出願第14/972,205号の一部継続出願であり、その全ての内容は本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、化学堆積を実行するための装置および処理、ならびにプラズマ強化化学堆積を実行する際に用いられる装置および処理に関する。
【背景技術】
【0003】
プラズマ処理装置は、エッチング、物理気相堆積法(PVD)、化学気相堆積法(CVD)、プラズマ強化化学気相堆積法(PECVD)、原子層堆積法(ALD)、プラズマ強化原子層堆積法(PEALD)、パルス堆積層(PDL)、プラズマ強化パルス堆積層(PEPDL)処理、およびレジスト除去を含む技術によって、半導体基板を処理するのに用いられうる。例えば、プラズマ処理において用いられるプラズマ処理装置の一種は、上部および下部電極を備える反応または堆積チャンバを含む。高周波(RF)電力は、反応チャンバで半導体基板を処理するために処理ガスまたはリアクタケミストリを励起してプラズマ化するために、電極間に印加される。
【発明の概要】
【0004】
ある実施形態によれば、化学堆積装置において有用なプロセス・チューニング・キットは、キャリアリング、1セットの3つの蹄鉄体、および複数セットの3つのシムを備え、(a)シムは、上面、上面に平行な下面、端壁、端壁から延びるU字型の側壁、および上面と下面との間に延びるボアを有し、第1セットの3つのシムは同じ厚さを有し、第2セットのシムは、第1セットのシムと異なる厚さを有し、(b)蹄鉄体は、上面、上面に平行な下面、端壁、端壁から延びるU字型の側壁、上面と下面との間に延びるボア、および端壁において開口し上面にわたって半分より短く延びるスロットを有し、ボアは、シムのボアと同じ直径を有し、ならびに/または(c)キャリアリングは、上面、上面に平行な下面、外側壁、内側壁、および下面から延びる3つの整合ピンを有する。
【0005】
別の実施形態によれば、化学堆積装置において有用なプロセス・チューニング・キットのシムは、上面、上面に平行な下面、端壁、端壁から延びるU字型の側壁、および上面と下面との間に延びるボアを有する、および上面と下面との間に延びるボアを有する。シムは、約0.8インチ(約2センチ)の長さ、約0.5インチ(約1.3センチ)の幅、約0.15インチ(約0.38センチ)の直径を有するボア、および0.0465インチ(約0.1181センチ)、0.0470インチ(約0.1194センチ)、0.0475インチ(約0.1207センチ)、0.0480インチ(約0.1219センチ)、0.0485インチ(約0.1232センチ)、0.0490インチ(約0.1245センチ)、0.0495インチ(約0.1257センチ)、0.0500インチ(約0.127センチ)、0.0505インチ(約0.1283センチ)、0.0510インチ(約0.1295センチ)、0.0515インチ(約0.1308センチ)、0.0520インチ(約0.1321センチ)、0.0525インチ(約0.1334センチ)、0.0530インチ(約0.1346センチ)、0.0535インチ(約0.1359センチ)、0.0540インチ(約0.1372センチ)、0.0545インチ(約0.1384センチ)、0.0550インチ(約0.1397センチ)、0.0555インチ(約0.1410センチ)、0.0560インチ(約0.1422センチ)、0.0565インチ(約0.1435センチ)、0.0570インチ(約0.1448センチ)、0.0575インチ(約0.1461センチ)、0.0580インチ(約0.1473センチ)、0.0585インチ(約0.1486センチ)、0.0590インチ(約0.1499センチ)、0.0595インチ(約0.1511センチ)、0.0600インチ(約0.1524センチ)、0.0605インチ(約0.1537センチ)、0.0610インチ(約0.1549センチ)、または0.0615インチ(約0.1562センチ)の厚さを有することが好ましい。
【0006】
さらなる実施形態によると、化学堆積装置において有用なプロセス・チューニング・キットの蹄鉄体は、上面、上面に平行な下面、端壁、端壁から延びるU字型の側壁、上面と下面との間に延びるボア、および端壁において開口し上面にわたって半分より短く延びるスロットを有する。蹄鉄体は、約0.8インチ(約2センチ)の長さ、約0.5インチ(約1.3センチ)の幅、約0.5インチ(約1.3センチ)の厚さを有することが好ましく、ボアは、約0.15インチ(約0.38センチ)の直径を有し、スロットは、約0.19インチ(約0.48センチ)の幅および約0.25インチ(約0.64センチ)の高さを有し、ボアはスロットと一直線に並び、側壁は、ボアの中心から測定して約0.26インチ(約0.66センチ)の半径を有する半円部によって接続される1対の平行直線部を有し、ボアは、下面から約0.16インチ(約0.41センチ)延びる同径部と、蹄鉄体の上面の中へ延びる円錐部とを有し、円錐部は、約80°の角度の面取り面を形成し、スロットは、端壁および上面に沿って面取りされた縁部を有する。
【0007】
別の実施形態によると、化学堆積装置において半導体基板を処理する方法は、(a)キャリアリング上の基板を化学堆積装置の真空チャンバに搬送して、キャリアリングを支持する1セットの蹄鉄体およびシムを有する台座アセンブリ上にキャリアリングを設置することと、蹄鉄体は、キャリアリングの下面から延びる整合ピンを受けるボアを有し、基板は、基板の裏面がキャリアリングの上面から所定のオフセット距離に位置するように、台座アセンブリ上の最小接触領域支持体によってキャリアリングから持ち上げられ、(b)基板への裏面堆積が最小になるように、基板を加熱して所定のオフセット距離を維持しながら材料の層を堆積させることと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的な実施形態に従い台座付きの化学堆積装置を示す概略図。
【0009】
図2】外周に位置する蹄鉄体およびシム上にキャリアリングを支持する台座アセンブリの斜視図。
【0010】
図3A】キャリアリングの平面図。
図3B図3Aの線A-Aに沿ったキャリアリングの側面図。
図3C】キャリアリングの図であり、図3Bの細部Aの断面図。
図3D】キャリアリングの図であり、図3Cの細部Dの断面図。
図3E】キャリアリングの図であり、図3Cの細部Eの断面図。
【0011】
図4A】蹄鉄体の図であり、蹄鉄体の斜視図。
図4B】蹄鉄体の図であり、蹄鉄体の平面図。
図4C】蹄鉄体の図であり、蹄鉄体の端面図。
図4D】蹄鉄体の図であり、図4Bの線A-Aに沿った断面図。
【0012】
図5A】シムの図であり、シムの斜視図。
図5B】シムの図であり、シムの平面図。
図5C】シムの図であり、シムの端面図。
【0013】
図6】位置決めピンによって上に取り付けられている蹄鉄体とシムとを備える台座アセンブリの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な開示では、本明細書に開示される装置および方法についての理解を提供するために例示的な実施形態が説明される。しかし、当業者には明らかなように、例示的な実施形態は、これらの特定の詳細なしに、または代替の要素もしくは工程を用いて実施されてよい。その他の例では、既知の工程、手順、および/または構成部品は、本明細書に開示される実施形態の態様を不必要に曖昧にしないように詳細には説明されていない。
【0015】
例示的な実施形態に従って、本明細書に開示される装置および関連する方法は、プラズマ強化化学堆積法(PECVD)などの化学堆積を行うために用いられうる。その装置および方法は、多段階堆積工程(例えば、原子層堆積法(ALD)、プラズマ強化原子層堆積法(PEALD)、パルス堆積層(PDL)、またはプラズマ強化パルス堆積層(PEPDL)処理)において自動抑止堆積ステップの分離が必要な半導体製造に基づく誘電体堆積工程と併せて用いられてよいが、それに限定されない。
【0016】
上述のように、本実施形態は、プラズマ強化化学堆積法などの化学堆積を行うための装置および関連する方法を提供する。この装置および方法は、多段階堆積処理(例えば、原子層堆積法(ALD)、プラズマ強化原子層堆積法(PEALD)、プラズマ強化化学堆積法(PECVD)、パルス堆積層(PDL)、またはプラズマ強化パルス堆積層(PEPDL)処理)において自動抑止堆積ステップの分離が必要な半導体製造に基づく誘電体堆積処理と併せて用いられるのに特に適しているが、それに限定されない。前述の処理は、裏面への堆積によって引き起こされるウエハへの圧力の結果、ウエハの湾曲をもたらす可能性がある被処理ウエハの裏面への堆積に関連するいくつかの問題点に悩まされる可能性がある。
【0017】
化学堆積処理では、ウエハなどの半導体基板は、加熱された台座上に位置する最小接触領域(MCA)ピンで保持されうる。ウエハまたは他の基板は、ウエハを保持するだけでなくプラズマをウエハ上の所望の領域に集束させるのを助けるセラミックキャリアリングなどのキャリアリングで搬送されうる。台座は、高温に耐え化学的環境に不活性であるあらゆる材料で作られてよい。アルミニウムなどの金属、または窒化アルミニウムや窒化ホウ素などのセラミックは、適した材料の例である。ウエハを支持し、キャリアリングを収容するために、台座は2つの直径の部分を有することができる。メサ形状部がウエハを支持し、台座周囲の環状凹部がウエハを台座に搬入出するのに用いられるキャリアリングの設置を可能にする。MCAピンがウエハの均一で迅速な加熱を確実にする一方で、前側から後側への成膜の比率は、ウエハのベベルエッジから3mmの位置で約1:1であってよい。
【0018】
本明細書に開示される実施形態は、プラズマ強化化学堆積装置(すなわち、PECVD装置、PEALD装置、またはPEPDL装置)などの堆積装置で実施されることが好ましいが、それらに限定されない。図1は、本明細書に開示される実施形態を実施するために配置されている様々な基板プラズマ処理装置の構成部品を表す簡略ブロック図である。図に示されるように、基板プラズマ処理装置300は、処理区域内にプラズマを含むように機能する真空チャンバ324を備える。プラズマは、下部RF電極(図示せず)を有する基板台座アセンブリ320と併せて機能する上部RF電極(図示せず)を任意で有するシャワーヘッドアセンブリ314を含むキャパシタ型システムによって生成される。少なくとも1つのRF生成器は、プラズマ堆積処理が真空チャンバ324内で実施されうるように、真空チャンバ324において基板316の上面上方にある処理区域にRFエネルギを供給して、真空チャンバ324の処理区域に供給されたガスを励起してプラズマ化するように動作可能である。例えば、高周波RF生成器302および低周波RF生成器304は、RFエネルギが真空チャンバ324内の基板316上方の処理区域に供給されるように、シャワーヘッドアセンブリ314の上部RF電極に接続されている整合ネットワーク306にそれぞれ接続されてよい。
【0019】
整合ネットワーク306によって真空チャンバ324の内部に供給されたRFエネルギの電力および周波数は、ガスからプラズマを生成するのに十分である。ある実施形態では、高周波RF生成器302および低周波RF生成器304の両方が用いられ、他の実施形態では、高周波RF生成器302のみが用いられる。ある工程では、高周波RF生成器302は、約2-100MHzの周波数で操作されてよく、好ましい実施形態では、13.56MHzまたは27MHzで操作されてよい。低周波RF生成器304は、約50kHzから2MHzで操作されてよく、好ましい実施形態では、約350から600kHzで操作されてよい。プロセスパラメータは、チャンバの容積、基板のサイズ、および他の要素に基づいて調整されよてい。同様に、処理ガスの流量は、真空チャンバまたは処理区域の自由体積に依存してよい。
【0020】
基板台座アセンブリ320の上面は、真空チャンバ324内での処理時に基板316を支持する。基板台座アセンブリ320は、堆積および/もしくはプラズマ処理工程の前、最中、ならびに/または後に基板を保持するチャックならびに/または基板を昇降するリフトピンを任意で備えうる。他の実施形態では、基板台座アセンブリ320は、堆積および/もしくはプラズマ処理工程の前、最中、ならびに/または後に基板を昇降させるキャリアリングを備えうる。チャックは、静電チャック、機械式チャック、または、産業界および/もしくは研究界において利用可能な様々な他の種類のチャックであってよい。静電チャックを備える基板台座アセンブリのためのリフトピンアセンブリの詳細は、本発明の譲渡人に譲渡された米国特許第8,840,754号に記載され、その全てが本明細書に援用される。基板台座アセンブリのためのキャリアリングの詳細は、本発明の譲渡人に譲渡された米国特許第6,860,965号に記載され、その全てが本明細書に援用される。裏面ガス供給部341は、処理時に、伝熱ガスまたはパージガスを基板台座アセンブリ320を通じて基板下面の下方の領域に供給するように動作可能である。基板台座アセンブリ320は、その中に下部RF電極を備える。下部RF電極は、処理時に接地されていることが好ましいが、他の実施形態では、処理時にRFエネルギを供給されてよい。
【0021】
基板プラズマ処理装置300の真空チャンバ324内で基板を処理するために、注入口312およびシャワーヘッドアセンブリ314を介してガス源362から真空チャンバ324にガスが導入される。シャワーヘッドアセンブリ314では、膜が基板の上面に堆積するように、ガスがRFエネルギでプラズマ化される。ある実施形態では、ガス源362は、加熱されたマニホルド308に接続されている複数のガスライン310を備えうる。ガスは、予混合されるか、チャンバに別々に供給されてよい。基板処理時に正確なガスがシャワーヘッドアセンブリ314を通じて供給されることを確実にするために、適切な弁操作および質量流量制御機構が採用される。処理時に、基板台座アセンブリ320上に支持されている基板の下面の下方領域に、裏面伝熱ガスまたはパージガスが任意で供給される。その処理は、化学気相堆積処理、プラズマ強化化学気相堆積処理、原子層堆積処理、プラズマ強化原子層堆積処理、パルス堆積層処理、またはプラズマ強化パルス堆積層処理のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0022】
ある実施形態では、堆積時、堆積後処理時、および/または他の工程操作時に工程条件を制御するために、システム制御装置162が採用される。制御部162は通常、1つ以上のメモリ装置と1つ以上のプロセッサとを備える。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入力/出力接続部、ステッパモータ制御基板などを備えてよい。ある実施形態では、制御装置162は、装置の全ての動作を制御する。システム制御装置162は、処理動作のタイミング、低周波RF生成器304および高周波RF生成器302の動作の周波数および電力、前駆体および不活性ガスならびにその相対混合物の流量および温度、基板台座アセンブリ320の上面に支持された基板316およびシャワーヘッドアセンブリ314のプラズマ曝露された表面の温度、真空チャンバ324の圧力、ならびに特定の工程の他のパラメータを制御するための命令のセットを含むシステム制御ソフトウェアを実行する。制御装置と関連するメモリ装置に格納された他のコンピュータプログラムは、いくつかの実施形態で採用されてよい。一般には、制御装置162と関連するユーザインターフェースがあるだろう。ユーザインターフェースは、表示画面、装置および/または工程条件の画像用ソフトウェア画面、ならびに、ポインティング装置、キーボード、タッチスクリーン、マイクなどのユーザ入力装置を含んでよい。非一時的コンピュータ機器可読媒体は、装置の制御のためのプログラム命令を備えうる。処理動作を制御するためのコンピュータプログラムコードは、あらゆる従来のコンピュータ可読プログラミング言語(例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートランなど)で書き込まれうる。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトは、プログラムで識別されたタスクを行うためにプロセッサによって実行される。
【0023】
制御装置パラメータは、例えば、処理ステップのタイミング、前駆体および不活性ガスの流量および温度、基板の温度、チャンバの圧力、ならびに特定の工程の他のパラメータなどの工程条件に関する。これらのパラメータは、レシピ形式でユーザに提供され、ユーザインターフェースを用いて入力されてよい。工程を監視するための信号は、システム制御装置のアナログおよび/またはデジタル入力接続部によって提供されてよい。処理を制御するための信号は、装置のアナログおよびデジタル出力接続で出力される。システムソフトウェアは、多くの異なる方法で設計または構成されてよい。例えば、様々なチャンバ構成部品サブルーチンまたは制御対象は、堆積工程を実行するのに必要なチャンバ構成部品の動作を制御するように書き込まれてよい。本目的のためのプログラムまたはプログラム部分の例は、処理ステップコードの基板タイミング、前駆体および不活性ガスコードの流量および温度、ならびに真空チャンバ324の圧力のためのコードを含む。
【0024】
上述のように、被処理ウエハへの裏面堆積を低減させることが望ましい。例示的な実施形態では、裏面堆積をかなり低減できる。例えば、300Å膜を考えると、プロセス・チューニング・キット(PTK)は、裏面堆積をベベルエッジから3mmの位置で150Å以下、好ましくは100Å以下、より好ましくは50Å以下に低減させるのに用いられうる。この性能の向上は、処理時にキャリアリング上方の所望の距離でウエハを保持するキャリアリングおよび蹄鉄体、すなわち蹄鉄状部材、のセットへの修正によって可能になる。しかし、ある実施形態では、ウエハとキャリアリングとは処理時に互いに接触しうる。
【0025】
PTKは、キャリアリング、蹄鉄体、およびシムセットのシムのうち少なくとも1つを含む。好ましい実施形態では、台座は、各蹄鉄体の下にシムを取り付けることによって台座の上面に対する高さが変化しうる3つの蹄鉄体を受ける3つの凹部を含む。シムセットは、0.04インチ(約0.10センチ)から0.08インチ(約0.20センチ)の範囲であってよい異なる厚さのシムを含む。例えば、シムセットは、0.0005インチ(約0.0013センチ)ずつ変化する異なる厚さを有する少なくとも10、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも30のシム群を含みうる。例示的な実施形態では、台座と共に用いるために、シムセットは、0.0465インチ(約0.1181センチ)、0.0470インチ(約0.1194センチ)、0.0475インチ(約0.1207センチ)、0.0480インチ(約0.1219センチ)、0.0485インチ(約0.1232センチ)、0.0490インチ(約0.1245センチ)、0.0495インチ(約0.1257センチ)、0.0500インチ(約0.127センチ)、0.0505インチ(約0.1283センチ)、0.0510インチ(約0.1295センチ)、0.0515インチ(約0.1308センチ)、0.0520インチ(約0.1321センチ)、0.0525インチ(約0.1334センチ)、0.0530インチ(約0.1346センチ)、0.0535インチ(約0.1359センチ)、0.0540インチ(約0.1372センチ)、0.0545インチ(約0.1384センチ)、0.0550インチ(約0.1397センチ)、0.0555インチ(約0.1410センチ)、0.0560インチ(約0.1422センチ)、0.0565インチ(約0.1435センチ)、0.0570インチ(約0.1448センチ)、0.0575インチ(約0.1461センチ)、0.0580インチ(約0.1473センチ)、0.0585インチ(約0.1486センチ)、0.0590インチ(約0.1499センチ)、0.0595インチ(約0.1511センチ)、0.0600インチ(約0.1524センチ)、0.0605インチ(約0.1537センチ)、0.0610インチ(約0.1549センチ)、および0.0615インチ(約0.1562センチ)の厚さを有する少なくとも3つのシムの群を含んでよい。そのため、シムセットは、特定の堆積工程および台座の温度に応じて、蹄鉄体の高さを調整することによってウエハとキャリアリングとの間の所定の隙間(オフセット距離)と共にウエハを位置決めするのに用いられうる。
【0026】
真空チャンバ324内で、台座アセンブリ320は、その上に材料が堆積する可能性がある基板316を支持する。台座アセンブリ320は、基板316を所望の温度に加熱するヒータブロックと結合されうる。通常、基板316は、堆積する材料に応じて約25℃から500℃の温度に維持される。マルチステーション型堆積装置では、各ステーションは、ウエハを異なる温度に加熱してよく、異なる厚さのシムは、各ステーションの処理条件に適したオフセット距離を変化させるのに用いられうる。
【0027】
図2は、台座アセンブリ320の斜視図であって、キャリアリング400が、台座アセンブリ320の上面322の中へ延びる環状凹部321に位置している。好ましい実施形態では、台座アセンブリ320は、台座アセンブリ320の側壁324の外周の中へ延びる3つの長方形開口部323を含み、3つの蹄鉄体500は開口部323に位置する。シム600は、蹄鉄体500の下に位置し、台座アセンブリ320の上面322に対する蹄鉄体の高さを調整する。
【0028】
図3A-Dは、キャリアリング400の好ましい実施形態を表す。図3Aに示されるように、キャリアリング400は、環状上面401、外側壁402、および内側壁403を含む。図3Bは、図3Aにおける線A-Aに沿ったキャリアリング400の断面を示す。図3Bに示されるように、キャリアリング400は、そこから延びる複数の整合ピン405を有する下面404を含む。図3Cは、図3Bの細部Bにおけるキャリアリング400の断面である。図3Cに示されるように、整合ピン405は、外側壁402の内側に位置し、環状凹部406は、内側壁403および上面401の中へ延びる。図3Dは、図3Cの細部Dにおけるキャリアリング400の断面であり、図3Eは、図3Cの細部Eにおけるキャリアリング400の断面である。図3Dに示されるように、整合ピン405は、下面404近くの同径部407と、整合ピン405の自由端に位置するテーパ部408とを含む。図3Eに示されるように、環状凹部406は、垂直壁409と水平壁410によって形成される。キャリアリングは、約15インチ(約38センチ)の外径、約11.7インチ(約29.7センチ)の内径、約0.1インチ(約0.3センチ)の厚さ、3つの整合ピン、および内壁および上面の中へ延びる環状凹部を有することが好ましく、整合ピンのそれぞれは、下面から約0.06インチ(約0.15センチ)延びる同径部と整合ピンの自由端に延びるテーパ部とを伴う約0.2インチ(約0.5センチ)の長さを有し、環状凹部は、約11.9インチ(約30.2センチ)の直径を有し上面から約0.03インチ(約0.08センチ)延びる垂直壁と、内壁から約0.08インチ(約0.20センチ)延びる水平壁と、によって形成される。
【0029】
図4A-Dは、好ましい蹄鉄体500の詳細を示す。図4Aは、上面501、端壁502、側壁503、底面504、ボア505、およびスロット506を有する蹄鉄体500の斜視図である。側壁504は、曲線部によって接続される1対の対向直線部を有する。ボア505は、上面501から下面504まで延びる。スロット506は、端壁502において開口し、上面501の約半分に沿って延びる。ボア505は、スロット506と側壁504の曲線部との間に位置する。図4Bは蹄鉄体500の平面図、図4Cは蹄鉄体500の端面図、および図4Dは、図4Bにおける線A-Aに沿った蹄鉄体の断面である。図4Cからわかるように、スロット506は、垂直壁507と水平壁508とによって形成され、垂直壁507は、1対の短い曲線部507a、1対の直線部507b、および曲線部507を含む。図4Dに示されるように、ボア505は、テーパ部505aおよび同径部505bを含む。蹄鉄体は、約0.8インチ(約2.0センチ)の長さ、約0.5インチ(約1.3センチ)の幅、約0.5インチ(約1.3センチ)の厚さ、約0.15インチ(約0.38センチ)の直径を有するボア、および約0.19インチ(約0.48センチ)の幅と約0.25インチ(約0.64センチ)の高さとを有するスロットを有することが好ましい。ボアは、スロットと直線上にあり、側壁は、ボアの中心から測定して約0.26インチ(約0.66センチ)の半径を有する半円部によって接続される1対の平行な直線部を有し、ボアは、下面から約0.16インチ(約0.41センチ)延びる同径部と蹄鉄体の上面の中へ延びる円錐部とを有し、円錐部は、約80°の角度の面取り面を形成し、スロットは、端壁および上面に沿って面取りされた縁部を有する。
【0030】
図5A-Cは、シム600の詳細を示す。図5Aは、上面601、端壁602、側壁603、底面604、および上面601と下面604との間に延びるボア605を有するシム600の斜視図である。上面601は、下面604と平行であり、側壁603は、曲線部603bによって接続される1対の平行な直線部603aを含む。ボア605は、蹄鉄体500のボア505と同径である。シムセットのシムは、上面601と下面604との間に同形状で様々な厚さ「t」を有する。シムは、約0.8インチ(約2センチ)の長さ、約0.5インチ(約1.3センチ)の幅、約0.15インチ(約0.38センチ)の直径を有するボア、および0.0465インチ(約0.1181センチ)、0.0470インチ(約0.1194センチ)、0.0475インチ(約0.1207センチ)、0.0480インチ(約0.1219センチ)、0.0485インチ(約0.1232センチ)、0.0490インチ(約0.1245センチ)、0.0495インチ(約0.1257センチ)、0.0500インチ(約0.127センチ)、0.0505インチ(約0.1283センチ)、0.0510インチ(約0.1295センチ)、0.0515インチ(約0.1308センチ)、0.0520インチ(約0.1321センチ)、0.0525インチ(約0.1334センチ)、0.0530インチ(約0.1346センチ)、0.0535インチ(約0.1359センチ)、0.0540インチ(約0.1372センチ)、0.0545インチ(約0.1384センチ)、0.0550インチ(約0.1397センチ)、0.0555インチ(約0.1410センチ)、0.0560インチ(約0.1422センチ)、0.0565インチ(約0.1435センチ)、0.0570インチ(約0.1448センチ)、0.0575インチ(約0.1461センチ)、0.0580インチ(約0.1473センチ)、0.0585インチ(約0.1486センチ)、0.0590インチ(約0.1499センチ)、0.0595インチ(約0.1511センチ)、0.0600インチ(約0.1524センチ)、0.0605インチ(約0.1537センチ)、0.0610インチ(約0.1549センチ)、または0.0615インチ(約0.1562センチ)の厚さを有することが好ましい。
【0031】
図6は、台座アセンブリ320の長方形開口部323に取り付けられている蹄鉄体500およびシム600の詳細を示す。図のように、蹄鉄体およびシム600は、シム600のボア605を通って蹄鉄体500のボア505まで延びる位置決めピン325によって開口部323に保持される。所望の厚さ「t」のシムを用いることで、台座アセンブリ320の上面322に対して所望のオフセットで上面501を設置することが可能である。
【0032】
プロセス・チューニング・キット(PTK)は、台座アセンブリ320の上面322に対して所望のオフセット距離でキャリアリング400を設置するように構成されている1セットのシムを含むことが好ましい。マルチステーション処理装置(4つのキャリアリングが真空チャンバの内部に位置する4つの台座アセンブリに設置され、ウエハが各ステーションで連続して処理されるシステムなど)において、各台座アセンブリは、基板の裏面堆積を低減させるために選択された所定の厚さを有するシムを備えることができる。そのため、各台座アセンブリでは同一セットの蹄鉄体を用いてシムセットとの高さを調節することが可能である。
【0033】
キャリアリング400は、所望の処理効果を達成するために異なる内径を有しうる。例えば、裏面堆積の程度を変更するために、内側壁403の内径を縮小してウエハの裏面とキャリアリング400の環状凹部406との間に所望の隙間を提供することが望ましくありうる。1000分の1インチ程度のキャリアリング400の内径の変動は、裏面堆積の低減に貢献できる。
【0034】
キャリアリング、蹄鉄体、およびシムに用いられる材料は、半導体処理に適した99.5%以上の純度などの適した純度を有するセラミック材料が好ましい。キャリアリング、蹄鉄体、およびシムは、あらゆる適した技術によって作られた高純度酸化アルミニウムからなることが好ましい。例えば、原料としては、高純度アルミナ粉末、ならびに焼成時に焼結助剤として機能する少量のMgCO、CaCO、およびSiO粉末が混合されて、スラリを得るために湿式粉砕法にかけられてよく、スラリには有機バインダが加えられてよい。混合が実施されると、次にアルミナ造粒物を形成するために噴霧乾燥が実施される。
【0035】
キャリアリングを製造するために、アルミナ造粒物は、約15インチ(約38センチ)の外径、約11.7インチ(約29.7センチ)の内径、および約0.2インチ(約0.5センチ)の長さの3つの整合ピンを伴う約0.1インチ(約0.3センチ)の厚さの成形体に形成されうる。結果として生じる成形体は、必要に応じて機械加工され、焼結体を形成するために1,550℃から1,650℃の空気中で焼成されうる。結果として生じる焼結体は、Arガス雰囲気下で、焼成温度より低温で1,500℃から1,600度の範囲において、および200MPaにおいて熱間等方圧加圧(HIP)によって熱処理されうる。それにより、高密度のアルミナ体が形成される。結果として生じる高密度のアルミナ体は、HIPによる熱処理温度より低温で1,400℃から1,550℃の範囲において、空気中で少なくとも5分間焼鈍されうる。熱間等方圧加圧時の温度から熱間等方圧加圧後の焼鈍温度への温度低下速度は、1.0℃/時間以下で低く設定される。例えば、温度低下速度は、0.6℃/時間に設定されうる。焼鈍の実施後、2つの主面は、回転研削機を用いるダイヤ電着砥石などのあらゆる適した設備によって研磨されうる。それにより、キャリアリングが得られる。結果として生じるキャリアリングは、レーザ加工機を用いて厳密な寸法および表面粗度になるように機械加工されうる。
【0036】
蹄鉄体を製造するために、アルミナ造流物は、約0.825インチ(約2.096センチ)の長さ、約0.525インチ(約1.334センチ)の幅、および約0.53インチ(約1.346センチ)の厚さの成形体に形成されうる。結果として生じる成形体は、上面に約80°のテーパを有する約0.15インチ(約0.38センチ)の直径のボアを形成するよう機械加工され、スロットは、約0.25インチ(約0.64センチ)の深さ、約0.2インチ(約0.5センチ)の幅、および約0.3インチ(約0.8センチ)の長さに形成されて、キャリアリングのために上述のように処理されうる。焼結および焼鈍処理の実施後、露出面は、回転研削機を用いるダイヤ電着砥石などのあらゆる適した設備によって研磨されうる。それにより、蹄鉄体が得られる。結果として生じる蹄鉄体は、レーザ加工機を用いて厳密な寸法および表面粗度になるように機械加工されうる。
【0037】
シムを製造するために、アルミナ造流物は、約0.825インチ(約2.096センチ)の長さ、約0.525インチ(約1.334センチ)の幅、および約0.05から0.06インチ(約0.13から0.15センチ)の厚さの成形体に形成されうる。結果として生じる成形体は、約0.15インチ(約0.38センチ)の直径のボアを形成するように機械加工され、キャリアリングのために上述のように処理されうる。焼結および焼鈍処理の実施後、露出面は、回転研削機を用いるダイヤ電着砥石などのあらゆる適した設備によって研磨されうる。それにより、シムが得られる。結果として生じるシムは、レーザ加工機を用いて厳密な寸法および表面粗度になるように機械加工されうる。
【0038】
本明細書では、処理装置において半導体基板を処理する方法も開示される。その方法は、リアクタケミストリをリアクタケミストリ源から堆積チャンバに供給することと、半導体基板をプラズマ処理チャンバで処理することとを備える。この方法は、堆積チャンバ内でプラズマを生成するRF生成器を用いてRFエネルギがリアクタケミストリに印加されるプラズマ基板処理を備えることが好ましい。
【0039】
本明細書において、「約」との単語が数値に関連して用いられるときは、関連する数値は、記載数値の±10%の公差を含むことが意図されている。
【0040】
また、「通常」、「比較的」、および「実質的に」との単語が幾何学的形状に関連して用いられるときは、幾何学的形状の正確さが求められるのではなく、形状の自由度が開示の範囲内であることが意図されている。「通常」、「比較的」、および「実質的に」との単語が幾何学的用語と共に用いられるときは、厳密な定義を満たす特徴だけでなく、厳密な定義に極めて近い特徴も含むことが意図されている。
【0041】
等温堆積チャンバを含むプラズマ処理装置が特定の実施形態に関して詳細に説明されてきたが、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な変更および修正が行われ、同等物が採用されうることは当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6