(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20220805BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220805BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/81
A61Q11/00
(21)【出願番号】P 2017249382
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 一宏
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-123684(JP,A)
【文献】国際公開第2012/090571(WO,A1)
【文献】特開2002-348222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/25
A61K 8/81
A61Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカを含有する顆粒、並びに、ポリビニルピロリドン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、口腔用組成物
(但し、ゼオライト粒子を含む場合及び炭酸カルシウムを40~60質量%含む場合を除く)。
【請求項2】
前記顆粒がさらに炭粉末を含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
前記顆粒の含有量が0.1~15重量%である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
練歯磨剤である、請求項1~3のいずれかに記載の口腔用組成物。
【請求項5】
シリカを含有する顆粒を含む口腔用組成物
(但し、ゼオライト粒子を含む場合及び炭酸カルシウムを40~60質量%含む場合を除く)に、ポリビニルピロリドン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、当該口腔用組成物の口腔内での消臭力を向上させる方法。
【請求項6】
シリカを含有する顆粒、並びに、ポリビニルピロリドン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、口腔用組成物(但し、歯磨剤組成物を除く)。
【請求項7】
前記顆粒がさらに炭粉末を含む、請求項6に記載の口腔用組成物。
【請求項8】
前記顆粒の含有量が0.1~15重量%である、請求項6又は7に記載の口腔用組成物。
【請求項9】
シリカを含有する顆粒を含む口腔用組成物(但し、歯磨剤組成物を除く)に、ポリビニルピロリドン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、当該口腔用組成物の口腔内での消臭力を向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関する。より具体的には、本発明は、消臭効果に優れた口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
練歯磨剤に代表される口腔用組成物には、歯垢等の汚れの除去性能を高めるために研磨剤が配合されており、研磨剤の代表例としてシリカ粒子が汎用されている。例えば特許文献1では、平均粒子径が異なる特定の研磨性シリカを組み合わせて配合することで、適度の研磨力を持たせると同時に歯の健常な部分が傷つかないように処方された口腔用組成物が開示されている。また、特許文献2では、特定の平均粒子径、形状及び変形率を満たすシリカ顆粒を配合することで、歯表面及び歯と歯の隙間の歯垢又は汚れの除去性能が高くなるように処方された歯磨剤が開示されている。
【0003】
一方、口腔用組成物に添加される安定化剤又は矯味剤として、ポリビニルピロリドンが知られている。例えば特許文献3には、多価アルコールを配合したアスコルビン酸含有口腔用組成物にポリビニルピロリドンを配合すると、経時的な固化の生じない、保形性に優れた半固形状の口腔用組成物が得られることが開示され、特許文献4には、所定量のポリビニルピロリドンを所定pHで液体口腔用組成物に配合することによって、有効成分であるエラグ酸又はその塩を安定に溶解できることが開示されている。また、特許文献5には、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、プルランから選ばれる高分子化合物を配合することで、有効成分であるアルギン酸プロピレングリコールエステルを含む口腔用製剤の味の油っぽさを解消できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-238321号公報
【文献】特開2010-275260号公報
【文献】特開2003-055178号公報
【文献】特開2012-188406号公報
【文献】特開2012-116771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、口腔用組成物に対する要求性能が一段と高まり、より消臭性能の高い口腔用組成物が求められている。そこで本発明は、口腔内で優れた消臭作用を有する口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意検討の結果、シリカ含有顆粒がタバコ臭に対し口腔内で消臭機能を発揮することを見出した。さらに、シリカ含有顆粒を、単独では消臭機能を有しないポリビニルピロリドンと組み合わせて口腔用組成物に配合することによって、優れた消臭効果が発揮されることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
【0007】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. シリカを含有する顆粒、並びに、ポリビニルピロリドン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、口腔用組成物。
項2. 前記顆粒がさらに炭粉末を含む、項1に記載の口腔用組成物。
項3. 前記顆粒の含有量が0.1~15重量%である、項1又は2に記載の口腔用組成物。
項4. 練歯磨剤である、項1~3のいずれかに記載の口腔用組成物。
項5. シリカを含有する顆粒を含む口腔用組成物に、ポリビニルピロリドン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、当該口腔用組成物の口腔内での消臭力を向上させる方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の口腔用組成物によれば、シリカを含有する顆粒及びポリビニルピロリドンを配合することによって、優れた消臭効果を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.口腔用組成物
本発明の口腔用組成物は、シリカを含有する顆粒、並びに、ポリビニルピロリドン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする。以下、本発明の口腔用組成物について詳述する。
【0010】
シリカを含む顆粒
本発明の口腔用組成物は、シリカを含有する顆粒を含む。シリカを含有する顆粒は、歯垢等の汚れの除去性能を高めるための研磨剤として公知である。本発明の口腔用組成物において、シリカを含有する顆粒は、口腔内における消臭能を発揮する。
【0011】
シリカを含有する顆粒は、具体的には、シリカ粉末を含む材料の造粒物である。シリカとしては、無水ケイ酸及び含水ケイ酸等の二酸化ケイ素が挙げられる。これらシリカは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。シリカを含有する顆粒におけるシリカの含有量は特に限定されないが、例えば20~100重量%が挙げられる。消臭効果をより良好に得る観点からは、シリカを含有する顆粒におけるシリカの含有量は、好ましくは50~100重量%、より好ましくは75~100重量%、さらに好ましくは90~100重量%が挙げられる。
【0012】
シリカを含有する顆粒は、さらに炭粉末を含有してよい。炭粉末を含有することによって、消臭効果をより良好に得ることができる。炭粉末としては、黒炭であれば特に限定されず、具体的には、木炭、活性炭、竹炭、骨炭などが挙げられ、好ましくはそれらの活性炭が挙げられる。これらの炭粉末は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。シリカを含有する顆粒が炭粉末を含有する場合、シリカを含有する顆粒中の炭粉末の含有量としては特に限定されないが、消臭効果をより良好に得る観点から、例えば1重量%以上、好ましくは2重量%以上、より好ましくは5重量%以上が挙げられる。シリカを含有する顆粒中の炭粉末の含有量は、その上限において特に限定されるものではないが、好ましい使用感が得られるという観点から、例えば、30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%が挙げられる。
【0013】
シリカを含有する顆粒は、上述のシリカの粉末及び必要に応じ加えられる炭粉末の他に、他の材料を含んでもよい。他の材料としては、水不溶性無機材料及び結合剤が挙げられる。水不溶性無機材料としては、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸チタニウム等のケイ酸塩化合物;酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらの水不溶性無機材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。結合剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性結合剤;ワックス、エチルセルロース等の水不溶性結合剤が挙げられる。これらの結合剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。消臭効果をより良好に得る観点からは、結合剤を含まないことが好ましい。
【0014】
シリカを含有する顆粒は、上述のシリカの粉末、並びに必要に応じ加えられる炭粉末及び他の材料を含む材料を、好ましくは湿式法で造粒することによって得ることができる。湿式法としては、ゲル法及び沈降法が挙げられるが、分級による粒子径のコントロールが容易である点で、ゲル法が好ましく挙げられる。
【0015】
シリカを含有する顆粒は、シリカ粉末のような微粒子でなく顆粒であることが、口腔内という特殊な環境での消臭作用を有効に生じさせる。消臭効果を良好に得る観点から、粒子径が例えば50~1000μmの範囲、好ましくは100~700μmの範囲となるように分級されたものが挙げられる。これらの粒子径の範囲の顆粒は、JIS標準篩(JIS Z8801)を用いた篩い分け法により分級することによって得られる。
【0016】
シリカを含有する顆粒の中位粒子径は、消臭効果を良好に得る観点から、例えば100~700μm、好ましくは105~500μm、より好ましくは200~500μm、さらに好ましくは225~375μmが挙げられる。中位粒子径は、乾式篩分け法(JIS Z8815)で求められる値であり、具体的には、シリカを含有する顆粒100gを秤量し、JIS標準篩(JIS Z8801)を使用して篩分けした後に篩毎に秤量し、その結果に基づいて積算質量が50%になる値である。
【0017】
口腔用組成物中のシリカを含有する顆粒の含有量は特に限定されるものではないが、消臭効果を良好に得る観点から、例えば0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上が挙げられる。口腔用組成物中のシリカを含有する顆粒の含有量は、その上限において特に限定されるものではないが、例えば洗口時のシリカ顆粒の洗い流し容易性、及び/又は製剤粘度調整の観点から、例えば15重量%以下、好ましくは10重量%以下が挙げられる。
【0018】
ポリビニルピロリドン及び/又はその誘導体
本発明の口腔用組成物は、ポリビニルピロリドン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。本発明口腔用組成物において、ポリビニルピロリドン及び/又はその誘導体は、シリカを含有する顆粒による消臭効果を増強させる役割を果たす。
【0019】
ポリビニルピロリドンとは、N-ビニル-2-ピロリドンが重合した水溶性の高分子化合物である。
【0020】
ポリビニルピロリドンの誘導体としては、水溶性を示し、薬学的に許容できることを限度として特に制限されないが、例えば、N-ビニル-2-ピロリドンを構成モノマーとして含む共重合体が挙げられる。ポリビニルピロリドンの誘導体として、具体的には、N-ビニル-2-ピロリドンと、N-ビニル-2-ピロリドンと共重合可能なビニル基を有するビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0021】
ポリビニルピロリドンの誘導体において、ビニルピロリドンと共重合させるビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸及びその塩が挙げられる。ポリビニルピロリドンの誘導体において、これらのビニルモノマーは、1種単独で使用されていてもよく、2種以上を組み合わせて使用されていてもよい。
【0022】
これらのポリビニルピロリドンの誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
本発明の口腔用組成物において、ポリビニルピロリドン及びその誘導体の中から、1種を選択して使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの成分の中でも、シリカを含有する顆粒による消臭効果をより増強させる観点から、好ましくはポリビニルピロリドンが挙げられる。
【0024】
ポリビニルピロリドン及び/又はその誘導体の重量平均分子量については、特に制限されないが、シリカを含有する顆粒による消臭効果をより増強させる観点から例えば5千~300万、好ましくは4万~300万、より好ましくは4万~150万が挙げられる。ここで、ポリビニルピロリドン及び/又はその誘導体の重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー/多角度光散乱光度計(GPC/MALLS)によって測定される値を指す。
【0025】
本発明の口腔用組成物において、ポリビニルピロリドン及び/又はその誘導体の含有量については、特に制限されないが、シリカを含有する顆粒による消臭効果をより増強させる観点から、例えば0.1~8重量%、好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは0.5~2重量%、更に好ましくは1~2重量%が挙げられる。
【0026】
また、本発明の口腔用組成物において、シリカを含有する顆粒に対するポリビニルピロリドン及び/又はその誘導体の比率については、前述したこれらの成分の含有量の範囲内を充足し得る範囲であればよいが、シリカを含有する顆粒による消臭効果をより増強させる観点から、シリカを含有する顆粒1重量部当たり、ポリビニルピロリドン及び/又はその誘導体が0.007~80重量部、好ましくは0.05~10重量部、より好ましくは0.05~4重量部、更に好ましくは0.1~4重量部が挙げられる。
【0027】
その他の成分
本発明の口腔用組成物は、前述する成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、口腔用組成物の製剤形態に応じて、当該技術分野で通常使用される成分を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、消炎剤、研磨剤、グルコシルトランスフェラーゼ(GTase)阻害剤、プラーク抑制剤、知覚過敏抑制剤、歯石予防剤、歯質強化/再石灰化剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、血行促進剤、増粘剤、湿潤剤、賦形剤、香料、甘味剤、清涼化剤、色素、消臭剤、界面活性剤、溶剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0028】
防腐剤、殺菌剤、抗菌剤としては、例えば、ヒノキチオール、安息香酸類、サリチル酸類、ソルビン酸類、パラベン類、塩化デカリニウム、塩化クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、塩化リゾチーム、塩酸クロルヘキシジン、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
【0029】
消炎剤としては、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸メチル、グリチルリチン酸ステアリル、グリチルレチン酸ピリドキシン、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸グリセリル、グリチルレチン酸モノグルクロニド、アラントイン、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アズレン、塩化ナトリウム、ビタミン類等が挙げられる。
【0030】
研磨剤としては、上述のシリカを含有する顆粒以外の研磨剤であればよく、例えば、無水ケイ酸、含水ケイ酸、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、結晶セルロース、ポリエチレン末、炭粒等が挙げられる。
【0031】
GTase阻害剤としては、例えば、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物、ブドウ科ブドウ属植物の抽出物、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、タステイン、タンニン類、エラグ酸、ポリフェノール、ウーロン茶抽出物、緑茶抽出物、センブリ、タイソウ、ウイキョウ、芍薬、ゲンチアナ、センソ、龍胆、黄連等が挙げられる。
【0032】
プラーク抑制剤としては、例えばクエン酸亜鉛やグルコン酸等が挙げられる。
【0033】
知覚過敏抑制剤としては、例えば、硝酸カリウム、塩化ストロンチウム等が挙げられる。
【0034】
歯石予防剤としては、例えば、ポリリン酸塩類、ゼオライト、エタンヒドロキシジホスフォネート等が挙げられる。
【0035】
歯質強化/再石灰化剤としては、例えば、フッ素、フッ化ナトリウム、フルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズ等が挙げられる。
【0036】
抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン等が挙げられる。
【0037】
局所麻酔剤としては、例えば、プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等が挙げられる。
【0038】
血行促進剤としては、例えば、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等が挙げられる。
【0039】
増粘剤としては、例えば、プルラン、プルラン誘導体、デンプン等の多糖類;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩類(カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム等)、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体等)、メタアクリル酸類の共重合体(メタアクリル酸とアクリル酸 n-ブチルの重合体、メタアクリル酸とメタアクリル酸メチルの重合体及びメタアクリル酸とアクリル酸エチルの重合体等)等のセルロース系高分子物質;カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の合成高分子物質;レクチン、アルギン酸、アルギン酸塩(アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸トリイソプロパノールアミン、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ブチルアミン、アルギン酸ジアミルアミン等)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、寒天、キトサン、カラギーナン等の天然系高分子物質;コラーゲン、ゼラチン等のアミノ酸系高分子物質;アラビアガム、カラヤガム、トラガカントガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアガム、タマリンドガム、ジェランガム等のゴム系高分子物質等が挙げられる。
【0040】
湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、マルチトール、ラクトール、エリスリトール等が挙げられる。
【0041】
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、マンニトール、デンプン、デキストリン、結晶セルロース、シリカ(上述のシリカを含有する顆粒以外のシリカであり、例えば軽質無水ケイ酸等)等が挙げられる。
【0042】
香料としては、例えば、天然香料(ウイキョウ油等)、合成香料、これらの調合香料等が挙げられる。
【0043】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、アスパルテーム、キシリトール、水飴、蜂蜜、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、糖類(乳糖、白糖、果糖、ブドウ糖等)等が挙げられる。
【0044】
清涼化剤としては、例えば、メントール、エリスリトール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、これらを含む精油等が挙げられる。
【0045】
色素としては、例えば、天然色素、合成色素、これらの混合物が挙げられる。
【0046】
消臭剤としては、例えば、塩化亜鉛、銅クロロフィリンナトリウム、コーヒー生豆抽出物、ゴボウパウダー、緑茶、焙煎米糠エキス等が挙げられる。
【0047】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、N-ミリストリルサルコシン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、N-パルミトイルグルタルミン酸ナトリウム、N-メチル-N-アシルタウリンナトリウム等の陰イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N-ラウリルジアミノエチルグリシン、N-ミリスチルジアミノエチルグリシン、N-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウム等の両性界面活性剤;塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0048】
溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソプロパノール等の1価アルコール等が挙げられる。
【0049】
pH調整剤としては、例えば、水、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、安息香酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0050】
本発明の口腔用組成物において、これらの成分を含有させる場合、その含有量については、当該技術分野で通常使用される範囲で適宜設定すればよい。
【0051】
pH
また、本発明の口腔用組成物のpHについては、口腔内への適用が許容される範囲で適宜設定すればよいが、例えば、4~8、好ましくは5~7.5、更に好ましくは6~7が挙げられる。ここで、pHとは、25℃の温度条件下で測定される値である。
【0052】
製剤形態
本発明の口腔用組成物の形状については、特に制限されず、液状、固形状、半固形状(ゲル状、軟膏状、ペースト状)等のいずれであってもよい。
【0053】
本発明の口腔用組成物は、口腔内に適用されて口腔内で一定時間滞留し得るものである限り、可食性、非可食性の別を問わない。本発明の口腔用組成物は、例えば、口腔衛生剤、食品(機能性食品、健康保健用食品、病者用食品等を含む)、医薬品(医薬部外品を含む)、化粧品等のいずれの形態であってもよい。本発明の口腔用組成物の製剤形態として、具体的には、液体歯磨剤、練歯磨剤、潤製歯磨剤、粉歯磨剤、洗口剤(マウスウォッシュ)、マウスリンス、含嗽剤、口中清涼剤(マウススプレー等)、口腔用パスタ剤、歯肉マッサージクリーム、口腔咽候薬(トローチ剤等)等の口腔衛生剤;可食性フィルム、チューインガム、キャンディ、グミキャンディ、タブレット、顆粒、細粒、粉末、カプセル等の可食性口腔用剤等が挙げられる。これらの中でも、口腔衛生剤は、シリカを含有する顆粒に基づく消臭作用を付与し易く、好適な製剤形態である。口腔衛生剤の中でも、好ましくは液体歯磨剤、練歯磨剤、潤製歯磨剤、洗口剤、より好ましくは練歯磨剤が挙げられる。
【0054】
製造方法
本発明の口腔用組成物は、前述したシリカを含有する顆粒、及び必要に応じて配合される他の成分を配合して、その製剤形態に応じた所定の形状に調製することによって製造できる。
【0055】
用途
本発明の口腔用組成物は、口腔内の消臭用途に好適に用いることができる。本発明の口腔用組成物は、口腔内における臭いの中でも、特に臭気の強いタバコ臭(中でも、タバコ臭として支配的な成分である2-メトキシフェノール)に対してさえ有効な消臭効果を発揮する。具体的には、口腔内に含ませて口腔内で一定時間滞留させることによって、口腔内に付着した臭い成分を消臭することができる。特に、歯磨時に口腔内に含ませて用いることが、消臭作用を有効に得る点で好ましい。
【0056】
2.口腔内での消臭力を向上させる方法
更に、本発明は、シリカを含有する顆粒を含む口腔用組成物の、口腔内での消臭力を向上させる方法を提供する。具体的には、本発明の口腔内での消臭力を向上させる方法は、口腔用組成物において、シリカを含有する顆粒と共に、ポリビニルピロリドン及び/又はその誘導体を配合することを特徴とする。口腔内での消臭力の向上とは、ポリビニルピロリドン及び/又はその誘導体を含まないことを除いて同じ条件の口腔用組成物に比べて、口腔内での消臭力が向上していることをいう。本発明の口腔内での消臭力を向上させる方法において、使用される成分の種類や配合量、口腔用組成物の製剤形態等については、前記「1.口腔用組成物」の欄に記載の通りである。
【実施例】
【0057】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】
試験例1
表1に示す組成の口腔用組成物を調製した。表1に示す成分の詳細は下記の通りである。また、表中の各成分の量を示す数値の単位は、gである。
【0059】
(1)シリカを含有する顆粒
・シリカ含有顆粒#1:含水ケイ酸100%の湿式造粒物を、JIS標準篩(目開き:710μm、500μm、355μm、300μm、180μm、180μm、106μm)により分級した。中位粒子径(中位径)は225μmであった。
・シリカ含有顆粒#2:含水ケイ酸100%の湿式造粒物を、JIS標準篩(目開き:710μm、500μm、355μm、300μm、180μm、180μm、106μm)により分級した。中位粒子径(中位径)は360μmであった。
・炭粉末含有顆粒#1:含水ケイ酸90重量%及び活性炭10重量%の混合材料の湿式造粒物を、JIS標準篩(目開き:710μm、500μm、355μm、300μm、180μm、180μm、106μm)により分級した。中位粒子径(中位径)は375μmであった。
・炭粉末含有顆粒#1:含水ケイ酸90重量%及び活性炭10重量%の混合材料の湿式造粒物を、JIS標準篩(目開き:710μm、500μm、355μm、300μm、180μm、180μm、106μm)により分級した。中位粒子径(中位径)は270μmであった。
なお、中位粒子径の測定では、シリカ含有顆粒100gを秤量し、JIS標準篩(目開き:JIS Z8801)を使用して篩分けした後に篩毎に秤量し、その結果に基づいて積算質量が50%になる値を求めた。
【0060】
(2)粉末シリカ
PQ Corporation製、商品名AC23を用いた。平均粒子径は2.5μmであった。なお、平均粒子径は、レーザ回折・散乱法粒子径分布測定の体積基準の積算分率における50%径D50として得られる値である。
【0061】
(3)ポリビニルピロリドン
・ポリビニルピロリドン#1:アシュランド・ジャパン株式会社製、商品名Plasdone K-29/32を用いた。平均分子量は58000であった。
・ポリビニルピロリドン#2:第一工業製薬株式会社製、商品名クリージャスK-90を用いた。平均分子量は1200000であった。
なお、平均分子量の測定においては、ゲルろ過クロマトグラフィー/多角度光散乱光度計(GPC/MALLS)によって重量平均分子量を求めた。
【0062】
タバコ臭溶液として、2-メトキシフェノールを20000ppm含むメタノール溶液を調製した。口腔用組成物とタバコ臭溶液とを1:1(体積比)で混合した。混合液を、ボルテックス(Scientific industries,inc製、製品名Voltex-2 Genie、型番SI-0286)を用いて強度10で1分撹拌した後、濾紙で濾過した。濾液を測定用サンプルとして1mLバイアル瓶(Agilent製、製品名ヘッドスペースクリンプバイアル、平底、20mL、透明、型番5182-0837)に投入し、カラム(シグマアルドリッチジャパン製、製品名:SLB(R)-5ms Capillary GC Column(30 m × 0.25 mm, df 0.25 μm )、型番28471-U)を用いてHS-GCMS測定により2-メトキシフェノールの残量の定量を行った。
【0063】
定量した2-メトキシフェノールの残量から、以下の式に基づいて消臭率(%)を算出した。なお、以下の式において、2-メトキシフェノールの初期量とは、混合液として精製水とタバコ臭溶液とを1:1(体積比)で混合したものを用いたことを除いて同様に2-メトキシフェノールの定量を行うことにより得た値である。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
比較例9に示すように、シリカ含有顆粒を含まずポリビニルピロリドンを含む口腔用組成物には、消臭能が認められなかった。また、比較例10に示すように、シリカ含有顆粒を含まず粉末シリカを含む口腔用組成物には、消臭能が僅かしか認められなかった。また、比較例1~8に示すように、シリカ含有顆粒を含む口腔用組成物には、消臭能が認められた。これに対し、実施例1~10に示すように、シリカ含有顆粒にさらにポリビニルピロリドンを含む口腔用組成物では、消臭能の飛躍的な向上が認められた。また、実施例7~10に示すように、炭粉末を含有するシリカ含有顆粒とポリビニルピロリドンとを含む口腔用組成物では、さらなる消臭能の向上が認められた。
【0068】
試験例2
表3に示す練歯磨剤を調製し、試験例1と同様に消臭率を算出した。表3に示す練歯磨剤にも優れた消臭能が認められた。
【0069】
【0070】
処方例
表4に示す処方の練歯磨剤を調製した。表4において、各成分の含有量を示す数値の単位はgである。これらの練歯磨剤はいずれも、優れた消臭能を有するものであった。
【0071】