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特許7117920吸収性物品の個包装体、個包装体の集合体及び個包装体の収容パッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】吸収性物品の個包装体、個包装体の集合体及び個包装体の収容パッケージ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20220805BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20220805BHJP
   A61F 13/476 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
A61F13/15 220
A61F13/514 400
A61F13/476
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018128872
(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公開番号】P2020005847
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100066267
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 吉治
(72)【発明者】
【氏名】丸山 貴史
(72)【発明者】
【氏名】黒田 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】チャテゥラパターノン カナポン
(72)【発明者】
【氏名】野田 祐樹
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-173506(JP,A)
【文献】国際公開第2011/013208(WO,A1)
【文献】特開2017-080244(JP,A)
【文献】特開2008-289602(JP,A)
【文献】特表2012-506331(JP,A)
【文献】特開2013-215267(JP,A)
【文献】特開2016-40183(JP,A)
【文献】登録実用新案第3216869(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装シートと、前記包装シートに折り畳まれた状態で包被される吸収性物品とを含む吸収性物品の個包装体において、
前記吸収性物品は、長手方向及び幅方向を有し、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表裏面シート間に介在された吸収体とを備え、
前記吸収性物品は、折り畳まれた状態において、前記包装シートを介して外部に視認可能な前記幅方向の一方側と他方側とを識別させるための識別手段を有し、
前記吸収性物品は、前記長手方向へ延びる第1及び第2側縁をさらに有し、
前記第1側縁の形状と前記第2側縁の形状とが互いに異なり、
前記吸収性物品は、前記幅方向において互いに対向する一対のウイング部をさらに有し、
前記一対のウイング部の形状が互いに異なることを特徴とする前記個包装体。
【請求項2】
包装シートと、前記包装シートに折り畳まれた状態で包被される吸収性物品とを含む吸収性物品の個包装体において、
前記吸収性物品は、長手方向及び幅方向を有し、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表裏面シート間に介在された吸収体とを備え、
前記吸収性物品は、折り畳まれた状態において、前記包装シートを介して外部に視認可能な前記幅方向の一方側と他方側とを識別させるための識別手段を有し、
前記吸収性物品は、前記長手方向へ延びる第1及び第2側縁部をさらに有し、前記識別手段は、前記第1及び第2側縁部のうちの前記第1側縁部にのみ配置された装飾域であることを特徴とする個包装体。
【請求項3】
前記包装シートの全光線透過率は、10%以上90%未満である請求項1又は2に記載の個包装体。
【請求項4】
前記吸収性物品は、前記幅方向において互いに対向する一対のウイング部をさらに有し、
前記装飾域は、前記ウイング部の前記長手方向へ延びる折曲ラインよりも前記幅方向の外側に延在する請求項2に記載の個包装体。
【請求項5】
前記吸収性物品は、前記裏面シートの外面に位置する止着域を被覆するセパレータをさらに有し、前記第1側縁部において、前記セパレータの一方側縁から前記装飾域が前記幅方向の外側へ延在している請求項2又はに記載の個包装体。
【請求項6】
前記包装シートは装飾域を有し、前記包装シートの前記装飾域と前記吸収性物品の前記装飾域とが互いに重なり合う請求項2,4又は5のいずれかに記載の個包装体。
【請求項7】
前記吸収性物品は、前記長手方向の寸法を2等分する横断中心線と、前記幅方向へ延びる第1端縁とを有し、
前記装飾域は、前記第1側縁部のうちの前記横断中心線と前記第1端縁との間にのみ位置する請求項2に記載の個包装体。
【請求項8】
前記吸収性物品は、前記長手方向の寸法を2等分する横断中心線と、前記幅方向へ延びる第1端縁とを有し、
前記装飾域は、前記第1側縁部のうちの前記横断中心線と前記第1端縁との間にのみ存在しない請求項2に記載の個包装体。
【請求項9】
複数の個包装体の集合体において、
前記個包装体は、包装シートと、前記包装シートに折り畳まれた状態で包被される吸収性物品とを含み、
前記吸収性物品は、長手方向及び幅方向を有し、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表裏面シート間に介在された吸収体とを備え、
前記吸収性物品は、折り畳まれた状態において、前記包装シートを介して外部に視認可能な前記幅方向の一方側と他方側とを識別させるための識別手段を有し、
前記識別手段は、前記吸収性物品の前記長手方向へ延びる第1及び第2側縁部のうちの前記第1側縁部にのみ配置された装飾域であって、
前記複数の個包装体ごとに前記装飾域の装飾要素が異なることを特徴とする前記集合体。
【請求項10】
前記複数の個包装体は、互いに隣接して並んでおり、かつ、外形寸法が互いに実質的に等しい第1個包装体と第2個包装体とを少なくとも有し、前記第1個包装体と第2個包装体とは、前記装飾域の装飾要素が互いに異なる請求項に記載の集合体。
【請求項11】
前記複数の個包装体は、第1個包装体と、前記第1個包装体よりも外形寸法の大きな第2個包装体とを少なくとも有し、前記第1個包装体と前記第2個包装体とは、前記装飾域の装飾要素が互いに異なる請求項に記載の集合体。
【請求項12】
複数の個包装体を収容する収容パッケージにおいて、
前記個包装体は、包装シートと、前記包装シートに折り畳まれた状態で包被される吸収性物品とを含み、
前記吸収性物品は、長手方向及び幅方向を有し、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表裏面シート間に介在された吸収体とを備え、
前記吸収性物品は、折り畳まれた状態において、前記包装シートを介して外部に視認可能な前記幅方向の一方側と他方側とを識別させるための識別手段を有し、
前記識別手段は、前記吸収性物品の前記長手方向へ延びる第1及び第2側縁部のうちの前記第1側縁部にのみ配置された装飾域であって、
前記装飾域の向きが合うように、前記複数の個包装体が互いに同じ向きに収容されていることを特徴とする収容パッケージ。
【請求項13】
第1方向とそれに交差する第2方向と、第1方向において対向する第1面及び第2面をさらに有し、前記個包装体は前記第2方向へ複数並んで配置され、かつ、前記第1方向において前記装飾域の向きが合うように同じ向きに収容されており、
前記第1及び第2面のうちの前記第1面にのみパッケージ装飾域が配置されており、
前記個包装体の前記装飾域は前記パッケージ装飾域と対向する請求項12に記載の収容パッケージ。
【請求項14】
第1方向とそれに交差する第2及び第3方向と、第1方向において対向する第1面及び第2面をさらに有し、前記個包装体は、前記第2方向へ複数並んで配置され、かつ、前記第3方向において互いに前記装飾域の向きが合うように同じ向きに収容されており、
前記第1面は、前記第3方向において対向する第1側部と第2側部とを有し、前記第1側部にはパッケージ装飾域が位置し、前記個包装体の前記装飾域は前記第1側部側に位置している請求項12に記載の収容パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は吸収性物品に関し、より詳しくは、軽失禁パッド、パンティライナ、生理用ナプキン、おりもの吸収用パッド、尿吸収パッド、大人用及び子供用の使い捨ておむつ等の吸収性物品の個包装体、個包装体の集合体及び複数の個包装体を収容した収容パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品の個包装体及び複数の個包装体を収容した収容パッケージは公知である。例えば、特許文献1には、生理用ナプキンと生理用ナプキンを包被する包装シートとを備えた個包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-185858公報
【0004】
特許文献1に開示された吸収性物品においては、吸収性物品の外面に着色された装飾域が配置されていることから、装飾域が包装シートを介して透視されて、個包装体の意匠性を向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、装飾域は、一様に同じ柄のデザインが複数配置されて構成されていることから方向性を有するものではなく、着用者が包装シートから吸収性物品を取り出して使用しようとするときに、内部に収容された生理用ナプキンの向きを把握し難い。したがって、包装シートから生理用ナプキンを取り出して展開する度に、生理用ナプキンの向きが異なることがある。着用者は、生理用ナプキンの前後を把握したうえでショーツ等の被服に止着する必要があるので、前後を瞬時に把握することができないために躊躇して操作する手が止まったり、逆向きにしたりすることがあり、取付操作をスムーズに行うことができない。
【0006】
本発明は、内部に収容された吸収性物品の向きを外部から把握することができる個包装体、個包装体の集合体及び複数の個包装体を収容した収容パッケージの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1及び第2発明は、包装シートと、前記包装シートに折り畳まれた状態で包被される吸収性物品とを含む吸収性物品の個包装体に関する。
【0008】
第1発明に係る個包装体は、前記吸収性物品は、長手方向及び幅方向を有し、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表裏面シート間に介在された吸収体とを備え、前記吸収性物品は、折り畳まれた状態において、前記包装シートを介して外部に視認可能な前記幅方向の一方側と他方側とを識別させるための識別手段を有し、前記吸収性物品は、前記長手方向へ延びる第1及び第2側縁をさらに有し、前記第1側縁の形状と前記第2側縁の形状とが互いに異なり、
前記吸収性物品は、前記幅方向において互いに対向する一対のウイング部をさらに有し、前記一対のウイング部の形状が互いに異なることを特徴とする。
【0009】
本願の第2発明に係る個包装体は、前記吸収性物品は、長手方向及び幅方向を有し、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表裏面シート間に介在された吸収体とを備え、前記吸収性物品は、折り畳まれた状態において、前記包装シートを介して外部に視認可能な前記幅方向の一方側と他方側とを識別させるための識別手段を有し、前記吸収性物品は、前記長手方向へ延びる第1及び第2側縁部をさらに有し、前記識別手段は、前記第1及び第2側縁部のうちの前記第1側縁部にのみ配置された装飾域であることを特徴とする。
【0010】
本願の第3発明は、複数の個包装体の集合体において、前記個包装体は、包装シートと、前記包装シートに折り畳まれた状態で包被される吸収性物品とを含み、前記吸収性物品は、長手方向及び幅方向を有し、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表裏面シート間に介在された吸収体とを備え、前記吸収性物品は、折り畳まれた状態において、前記包装シートを介して外部に視認可能な前記幅方向の一方側と他方側とを識別させるための識別手段を有し、前記識別手段は、前記吸収性物品の前記長手方向へ延びる第1及び第2側縁部のうちの前記第1側縁部にのみ配置された装飾域であって、前記複数の個包装体ごとに前記装飾域の装飾要素が異なることを特徴とする前記集合体に関する。
【0011】
本願の第4発明は、複数の前記個包装体を収容する収容パッケージにおいて、前記個包装体は、包装シートと、前記包装シートに折り畳まれた状態で包被される吸収性物品とを含み、前記吸収性物品は、長手方向及び幅方向を有し、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表裏面シート間に介在された吸収体とを備え、前記吸収性物品は、折り畳まれた状態において、前記包装シートを介して外部に視認可能な前記幅方向の一方側と他方側とを識別させるための識別手段を有し、前記識別手段は、前記吸収性物品の前記長手方向へ延びる第1及び第2側縁部のうちの前記第1側縁部にのみ配置された装飾域であって、前記装飾域の向きが合うように、前記複数の個包装体が互いに同じ向きに収容されていることを特徴とする前記収容パッケージに関する。
【0012】
本願の第1発明に係る個包装体は、以下の実施態様を含む。下記の実施態様は、単独の構成のほかに、任意に選択して複数の実施態様に係る構成を組み合わせることができる。
(1)前記吸収性物品は、前記長手方向へ延びる第1及び第2側縁部をさらに有し、前記識別手段は、前記第1及び第2側縁部のうちの前記第1側縁部にのみ配置された装飾域である。
(2)前記吸収性物品は、前記長手方向へ延びる第1及び第2側縁をさらに有し、前記第1側縁の形状と前記第2側縁の形状とが互いに異なる。
(3)前記包装シートの全光線透過率は、10%以上90%未満である。
(4)前記吸収性物品は、前記幅方向において互いに対向する一対のウイング部をさらに有し、前記装飾域は、前記ウイング部の前記長手方向へ延びる折曲ラインよりも前記幅方向の外側に延在する。
(5)前記吸収性物品は、前記裏面シートの外面に位置する止着域を被覆するセパレータをさらに有し、前記第1側縁部において、前記セパレータの一方側縁から前記装飾域が前記幅方向の外側へ延在している。
(6)前記包装シートは装飾域を有し、前記包装シートの前記装飾域と前記吸収性物品の前記装飾域とが互いに重なり合う。
(7)前記吸収性物品は、前記長手方向へ延びる第1及び第2側縁部と、前記第1側縁部に位置する第1装飾域と、前記第2側縁部に位置する第2装飾域とをさらに有し、前記第1装飾域の総面積と前記第2着色域の総面積とが互いに異なる。
(8)前記吸収性物品は、前記長手方向へ延びる第1及び第2側縁部と、前記第1側縁部に位置する着色された第1装飾域と、前記第2側縁部に位置する着色された第2装飾域とをさらに有し、前記第1装飾域の着色された色と前記第2装飾域の着色された色とが互いに異なる。
(9)前記吸収性物品は、前記長手方向の寸法を2等分する横断中心線と、前記幅方向へ延びる第1端縁とを有し、前記装飾域は、前記第1側縁部のうちの前記横断中心線と前記第1端縁との間にのみ位置する。
(10)前記吸収性物品は、前記長手方向の寸法を2等分する横断中心線と、前記幅方向へ延びる第1端縁とを有し、前記装飾域は、前記第1側縁部のうちの前記横断中心線と前記第1端縁との間にのみ存在しない。
【0013】
本願の第2発明に係る個包装体は、以下の実施態様を含む。下記の実施態様は、単独の構成のほかに、任意に選択して複数の実施態様に係る構成を組み合わせることができる。
(1)前記吸収性物品は、前記長手方向の寸法を2等分する横断中心線と、前記幅方向へ延びる第1及び第2折曲線とをさらに有し、前記横断中心線は、前記長手方向において前記第1折曲線と前記第2折曲線との間に位置しており、前記識別手段は、前記第1折曲線を前記長手方向へ跨ぐ装飾域であって、前記装飾域は前記横断中心線よりも前記第2折曲線側に配置されていない。
【0014】
本願の第3発明に係る集合体は、以下の実施態様を含む。下記の実施態様は、単独の構成のほかに、任意に選択して複数の実施態様に係る構成を組み合わせることができる。
(1)前記複数の個包装体は、互いに隣接して並んでおり、かつ、外形寸法が互いに実質的に等しい第1個包装体と第2個包装体とを少なくとも有し、前記第1個包装体と第2個包装体とは、前記装飾域の装飾要素が互いに異なる。
(2)前記複数の個包装体は、第1個包装体と、前記第1個包装体よりも外形寸法の大きな第2個包装体とを少なくとも有し、前記第1個包装体と前記第2個包装体とは、前記装飾域の装飾要素が互いに異なる。
【0015】
本願の第4発明に係る収容パッケージは、以下の実施態様を含む。下記の実施態様は、単独の構成のほかに、任意に選択して複数の実施態様に係る構成を組み合わせることができる。
(1)第1方向とそれに交差する第2方向と、第1方向において対向する第1面及び第2面をさらに有し、前記個包装体は前記第2方向へ複数並んで配置され、かつ、前記第1方向において前記装飾域の向きが合うように同じ向きに収容されており、前記第1及び第2面のうちの前記第1面にのみパッケージ装飾域が配置されており、前記個包装体の前記装飾域は前記パッケージ装飾域と対向する。
(2)第1方向とそれに交差する第2及び第3方向と、第1方向において対向する第1面及び第2面をさらに有し、前記個包装体は、前記第2方向へ複数並んで配置され、かつ、前記第3方向において互いに前記装飾域の向きが合うように同じ向きに収容されており、前記第1面は、第3方向において対向する第1側部と第2側部とを有し、前記第1側部にはパッケージ装飾域が位置し、前記個包装体の前記装飾域は前記第1側部側に位置している。
【発明の効果】
【0016】
本願に係る吸収性物品の個包装体、個包装体の集合体及び個包装体の収容パッケージにおいては、個包装体の内部に収容された収容物品の向きを外部から把握することができるので、スムーズに取り付け操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明に係る個包装体の斜視図。
図2】止着テープの止着を解除して、包装シートの一部を展開した状態における個包装体の斜視図。
図3】生理用ナプキンを表面側から視た平面図。
図4】生理用ナプキンを裏面側から視た平面図。
図5】個包装体を展開した状態を示す図。
図6】第2実施形態に係る個包装体の図5と同様の図。
図7】(a)第3実施形態に係る個包装体の斜視図。(b)第4実施形態に係る個包装体の斜視図。
図8】(a)第5実施形態に係る吸収性物品の平面図。(b)第5実施形態に係る個包装体の斜視図。
図9】(a)第6実施形態に係る吸収性物品の平面図。(b)第6実施形態に係る個包装体の斜視図。
図10】(a)複数の個包装体からなる集合体の斜視図。(b)実施例の一例における、集合体の斜視図。
図11】複数の個包装体を収容した収容パッケージの一部破断斜視図。
図12】(a)実施例の一例における収容パッケージの一部破断斜視図。(b)他の実施例の一例における収容パッケージの一部破断斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
下記の実施の形態は、添付の図面に示す吸収性物品に関し、発明の不可欠な構成ばかりではなく、選択的及び好ましい構成を含む。以下、添付の図面を参照して、この発明に係る吸収性物品の一例である生理用ナプキン10の実施形態を説明する。
【0019】
図1~3を参照すると、包装体100は、長手方向Yと、幅方向Xと、厚さ方向Zとを有し、包装シート101に包被された生理用ナプキン10とを含む。包装体100の各方向X,Y,Zは、図2に示すような展開した状態において、生理用ナプキン10の長手方向、幅方向、厚さ方向と一致する。図1を参照すると、包装体100は、生理用ナプキン10が収容された包装状態において、幅方向Xにおいて対向する一対の第1縁部102,103と、第1及び第2縁部102,103に交差して幅方向Xへ延びる第3及び第4縁部104,105とを有する。
【0020】
図2を参照すると、包装シート101は、熱可塑性合成樹脂の繊維不織布、合成樹脂フィルム、繊維不織布と合成樹脂フィルムとのラミネートシートとから形成される。包装シート101は、展開された状態において、長手方向Yにおいて互いに対向するシート第1及び第2端縁101a,101bと、幅方向Xにおいて対向するシート両側縁101c,101dとをさらに有する。包装シート101が、不織布製である場合には、質量が5~50g/mであることが好ましい。不織布製の包装シート101の質量が5g/m未満の場合には、比較的に肉薄となって、展開操作するときに包装シート101の一部が破れてしまい操作し難くなるおそれがあり、一方、質量が50g/m以上の場合には、比較的に肉厚となって、生理用ナプキン10に配置された、後記の識別手段をなす装飾域40が視認され難くなるおそれがある。
【0021】
生理用ナプキン10は、長手方向Yと、幅方向Xと、厚さ方向Zと、その幅方向Xにおける寸法を2等分する縦断中心線Pと、長手方向Yの寸法を2等分する横断中心線Qとを有する。生理用ナプキン10は、肌対向面側及びその反対側の非肌対向面側と、肌対向面側に位置する透液性の表面シート11と、非肌対向面側に位置する不透液性の裏面シート12と、これら両シート11,12間に位置する吸液性の吸収体20とを含む。
【0022】
生理用ナプキン10は、略十字状の形状を有し、その外形線は、長手方向Yの内側に向かって凹曲する第1及び第2端縁10a,10bと、横断中心線Qと交差する部分において幅方向Xの外側へ凸曲する第1及び第2側縁10c,10dとから画成されている。
【0023】
なお、図示していないが、生理用ナプキン10の柔軟性を向上させるために、表面シート11と吸収体20との間に比較的に嵩高の繊維不織布製の中間シートを配置してもよい。
【0024】
吸収体20は、第1端縁10aと対向する第1端縁20aと第2端縁10bと対向する第2端縁20bと、第1及び第2端縁10a,10b間において長手方向へ延びる第1及び第2側縁20c,20dとを有する。表裏面シート11,12は、吸収体20の外周から外方へ延出しており、表面シートの肌対向面側には、幅方向Xにおいて互いに対向するように長手方向Yへ延びる一対のサイドシート14が配置される。一対のサイドシート14は、表面シート11にサイド接着部を介して接合される。
【0025】
生理用ナプキン10は、幅方向Xへ延びる第1及び第2端部15,16と、長手方向Yへ延びる第1及び第2側縁部17,18とを有する。第1及び第2側縁部17,18は、それぞれ、幅方向Xの外側へ凸となるウイング部19を有する。第1端部15と第2端部16とには、それぞれ、吸収体20の第1端縁20aと第2端縁20bとが位置し、第1側縁部17と第2側縁部18とには、それぞれ、吸収体20の第1側縁20cと第2側縁20dとが位置する。生理用ナプキン10は、吸収体20の外周縁から延出する外周縁部をさらに有する。外周縁部を形成するように互いに積層されたシートは、生理用ナプキン10の外周縁に沿って位置する外周シール部7を介して互いに接合されている。生理用ナプキン10の外周にシートを熱溶着した外周シール部7が位置することによってその外形状が明瞭となって、より包装シート101を介して透視され易くなるといえる。
【0026】
図5を参照すると、生理用ナプキン10の裏面側には、複数の止着域50が配置される。複数の止着域50は、生理用ナプキン10を下着等の被服に止着するためのものであって、長手方向Yへ延びる複数のライン状に塗布された粘着剤や感圧性接着剤から形成される。止着域50は、吸収体20と重なる領域において長手方向Yへ延びる中央止着域51と、ウイング部19に位置するサイド止着域52とを有し、使用する前には、それぞれ、セパレータ28,29によって被覆される。
【0027】
表面シート11には、開口プラスチックフィルム、織布、不織布等の体液に含まれる液体成分を透過可能なシートを好適に用いることができる。裏面シート12には、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を主体とした熱可塑性樹脂フィルム、通気性を付与した熱可塑性樹脂フィルムなどを好適に用いることができる。サイドシート14には、表面シート11と同様のシート材を用いることができる。但し、生理用ナプキン10の外側へ体液が流れにくくするためには、疎水性もしくは撥水性を有するシート材を用いることが好ましい。
【0028】
外周シール部7における各シートの接合は、接着剤による接合、超音波溶着、熱溶着、レーザー溶着、高周波溶着等の公知の溶着手段による接合、及びエンボス加工による接合を、単独又は組み合わせて行うことができる。また、厚さ方向Zにおいて積層されたシートは、ホットメルト接着剤等の接着剤を介して互いに接合される。ホットメルト接着剤の塗工方法としては、スパイラル塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工、スプレー塗工などの各種公知の塗工方法が挙げられる。
【0029】
吸収体20は、所要の形状に賦形された吸液性コアを含んでおり、コアラップシートに包被されていることが好ましい。吸液性コアは、不水溶性の超吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)と、フラップ木材パルプ(パルプ繊維)やレーヨン繊維等のセルロース系繊維とからなる吸収性・離散性材料を有する。吸収体20のウイング部19間に位置する領域は、着用者の膣口対向域であって、該領域には、吸収体20が他の部分に比して肉厚にされた中高部分21が位置する。
【0030】
図2及び図3を参照すると、生理用ナプキン10は、ウイング部19の基端部分を縦断して延びる一対の縦折曲線5,6を有し、縦折曲線5,6に沿ってウイング部19を表面側に向かって幅方向Xの内側へ折り曲げた状態で包装シート101の内面に配置される。包装シート101は、幅方向Xへ延びる第1及び第2折曲線111,112と、第2折曲線112と第1端縁101aとの間に位置する第1区域121と、第1折曲線111と第2端縁101bとの位置する第2区域122と、第1折曲線111と第2折曲線112との間に位置する中間区域(第3区域)123とをさらに有する。一対の縦折曲線5,6は、ウイング部19の基端部と重なる仮想ラインのほかに、ウイング部19の長手方向Yにおいて対向して位置して幅方向の外側へ凸曲した部分をつなぐ仮想ラインであってもよいし、表面シート11の表面側に固定された一対のサイドシート14の内側縁部(カフ弾性体を有する場合には折曲部分)に沿う、シートの積層枚数によって幅方向Xの内側と外側とで剛性が変化する、仮想ラインであってもよい。
【0031】
包装シート101は、内面100aに生理用ナプキン10が配置された状態で、第1折曲線111に沿って第2区域122を中間域123の内面に向かって折り曲げ、さらに、第2折曲線112に沿って第1区域121を中間区域123に向かって折り曲げて、3つ折りに折り畳まれた状態で積層される。包装シート101の第1区域121の外面に位置する止着テープ130を対向する第1区域122に止着することによって積層された状態が維持されて個包装体100が形成される。個包装体100の内部に異物等が侵入するのを防止するために、第1及び第2縁部102,103はシール部139によって接合される。
【0032】
生理用ナプキン10は、折り畳まれた状態において、包装シート101を介して外部に視認可能な幅方向Xの一方側と他方側とを識別させるための識別手段を有する。本実施形態においては、識別手段は、裏面シート11に配置された装飾域40から構成されている。また、包装シート101は、生理用ナプキン10の識別手段と同様の識別要素、本実施形態の場合には、生理用ナプキン10の装飾域40と同じデザインを有する装飾域を有していてもよい。装飾域40は、裏面シート12の内面又は外面のいずれに配置されていてもよい。ただし、印刷によるインクの脱落を防止するために、裏面シート12の内面に装飾域40が配置されていることが好ましい。
【0033】
装飾域40は、着色された複数の独立した装飾部41から形成されており、生理用ナプキン10の表面側及び裏面側から少なくとも一部が視認可能であるのに加えて、個包装体100において包装シート101を介して透視可能である。装飾域40は、生理用ナプキン10の第1及び第2側縁部17,18のうちの第1側縁部17にのみ配置されていることから、着用者等は、生理用ナプキン10の表面視及び裏面視において、装飾域40が配置された第1側縁部17と装飾域40が配置されていない第2側縁部18とを識別することができる。その意味において、装飾域40は、生理用ナプキン10の幅方向Xの一方側と他方側とを識別することのできる識別手段といえる。
【0034】
装飾部41は、大小の略三角形であって、生理用ナプキン10の第1及び第2側縁部17,18うちの第1側縁部17にのみ互いに独立した状態で配置されている。装飾部41は、長手方向Y及び幅方向Xにおいて互いに間隔を空けて配置されている態様、平面視において一部が互いに重なり合っている態様等の複数の配置態様を有する。
【0035】
装飾部41は、本発明の後記の技術的効果を奏する限りにおいて、図示した形状のほかに、略円形、略楕円形、略四角形、略台形、略星形、花弁形及びその他の各種公知の装飾模様、文字(例えば、「右、左」の文字表示等)、キャラクター等の形状を有していてもよい。また、装飾部41は全体として着色されており、着色される色は、酸化チタン等の白色顔料を添加することによって白色化された生理用ナプキンを構成するシート材料及び吸液性コアと視覚上明瞭に識別できる色であればよく、例えば、赤色、青色、黄色、緑色等の着用者等の注意を惹きつけるような色合いであることが好ましい。また、裏面シート12及び/又は包装シート101全体が白色以外に着色されている場合には、装飾部41は、その着色されて色と補色関係にある色に着色されていることが好ましい。
【0036】
本明細書における「白色」とは、マンセル表色系で「N9.5」と表される色や、RGB色空間で「255,255,255」と表される色、所謂、「真っ白」を例示することができる。また、「真っ白」と同じ系統色である、色、具体的には、「真っ白」との色差が0以上、12未満である色も「白色」に含まれる。「白色」以外の色が有色であり、寒色はこの部類に属する。具体的には、上記に定義した「白色」との色差が40以上の色であることが好ましい。白色の特定方法は、白色に対する色差で比較でき、例えば、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-300を用いて特定することができる。
【0037】
識別手段を構成する装飾域40は、包装シート101を介して透視される限りにおいては、裏面シート12の外面側ではなく、その内面側、又は、表面シート11、サイドシート14、吸収体20を構成するコアカバーシート等の表面側又は裏面側に配置されていてもよい。さらに、装飾域40は各シートに直接印刷されるもののほかに、シール、パッチ等の別体を貼付したものであってもよい。
【0038】
再び、図1を参照すると、生理用ナプキン10の第1及び第2側縁部17,18のうちの第1側縁部17にのみ装飾域40が配置されていることによって、個包装体100において、第1側縁部17が折り重ねられた第1縁部102側において装飾域40が透視される一方、装飾域40が配置されていない第2側縁部18が折り重ねられた第2縁部103側には、装飾域40が透視されることはない。したがって、個包装体100は、第1縁部102側と第2縁部103側とにおいて異なるデザインを有する。
【0039】
通常、生理用ナプキン等の吸収性物品の個包装体は、折り畳まれた状態で包装シートに収容された略矩形状を有するものであるから、展開したときに、生理用ナプキンがどの向きに収容されているのか判断することが難しい。すなわち、展開したときに、生理用ナプキンの前方側が着用者の手前に位置するのか、後方側が手前に位置するのか判断することができないことから、展開して使用するごとに、生理用ナプキンの前後を確認する必要があり、手間である。また、生理用ナプキンの形態が前後で非対称の場合であっても、その非対称となる要素が、止着域の長さが前後で異なることであったり、吸収体の質量が前後で異なることである場合には、着用者が一見してそれの差異を容易に判別することができるものではない。
【0040】
本実施形態においては、着用者等は、個包装体100が幅方向Xにおいて対向する第1縁部102側と第2縁部103側とが互いに異なるデザインを有することによって、個包装体100における幅方向Xの一方側と他方側とを容易に識別することができる。また、生理用ナプキン10の第1側縁部17にのみ識別手段を構成する装飾域40が位置することによって、個包装体100の第1縁部102側が生理用ナプキン10の第1側縁部17が位置する側であって、図5に示すように、包装シート101を展開したときに、手前に後方側、奥に前方側が位置することを容易にイメージすることができる。
【0041】
このように、包装シート101から透視される識別手段を介して生理用ナプキン10の向きを把握することができるので、例えば、複数の個包装体100を縦置きしたり平置きして並べる場合において、識別手段が位置する第1縁部102を同じ方向に揃えて並べることによって、着用者はスムーズに展開操作を行うことができる。
【0042】
着用者は、識別手段の機能的な説明について何らの情報を与えられなかったとしても、個包装体100を複数回使用することによって、識別手段(装飾域40)が生理用ナプキンの向きを知らせる識別機能を有するものであることを把握することができるようになるが、かかる機能を予め知らせるために、例えば、複数の個包装体100を収容した収容パッケージの外面に識別手段の機能について説明した説明書きやイメージ図を付しておくことが好ましい。
【0043】
装飾域40が包装シート101から透視されるためには、包装シート101の全光線透過率は、少なくとも10%、すなわち、10%以上であることが好ましい。かかる全光線透過率が10%未満の場合には、装飾域40が視認され難く着用者が生理用ナプキン10の向きを判断することができないおそれがある。一方、包装シート101の全光線透過率が仮に100%である場合には、装飾域40の視認は容易になるが、製品自体がすべて透視されてしまうことになり、個包装体に収容された生理用ナプキン10等の吸収性物品を所持していることが他人に知られてしまい、恥ずかしい思いを強いられるおそれがある。したがって、全光線透過率は、90%未満であることが好ましい。
【0044】
装飾域40は、ウイング部19の長手方向Yへ延びる縦折曲線5,6よりも幅方向Xの外側に延在している。したがって、ウイング部19が縦折曲線5,6に沿って幅方向Xの内側へ折り曲げられた状態において、縦断折曲線5,6上に位置する装飾域40が厚さ方向Zにおいて重ねられて、着色された色がより濃くなって視認性が向上する。
【0045】
また、裏面シート12の外面において、止着域50を被覆しているセパレータ28,29の両側縁から幅方向Xの外側へ延在している。セパレータ28,29は、比較的に肉厚なクラフト紙やグラシン紙、プラスチックフィルムにシリコーンを塗布したもの等から形成されるものであるから、装飾域40全体がセパレータ28,29に被覆されている場合には視認性が低下するおそれがあるところ、少なくとも一部がセパレータ28、29の一方縁から延在していることによって、包装シート100から装飾域40を容易に透視することができるといえる。
【0046】
図示していないが、個包装体100において生理用ナプキン10の装飾域40と重なる位置に、包装シート101も着色された装飾域を有していてもよい。かかる場合には、装飾域40と包装シート101の装飾域とが少なくとも一部で互いに重なり合うことによって視認性が向上し、個包装体100及び生理用ナプキン10の幅方向Xの一方側と他方側とをより識別しやすくなる。
【0047】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る個包装体100の図5と同様の図である。図6を参照すると、本実施形態に係る個包装体100の生理用ナプキン10では、第1側縁10cは、直線状部分を組み合わせてなる起伏のない線状であるのに対し、第2側縁10dが複数の括れ部分を有する起伏のある線状を有する。生理用ナプキンの第1及び第2側縁10c,10dは、包装シート101から透視可能である。したがって、個包装体100において折り畳んで収容された状態において、個包装体100は、第1側縁10cが位置する第1縁部102側と第2縁部10dが位置する第2縁部103側とにおいて互いに異なるデザインを有し、着用者は、個包装体100及び生理用ナプキンの幅方向Xにおける一方側と他方側とを容易に識別することができる。
【0048】
<第3実施形態>
図7(a)は、第3実施形態に係る個包装体100の図1と同様の斜視図である。本実施形態においては、生理用ナプキン10の第1側縁部17に第1装飾域141、第2側縁部18側には第2装飾域142がそれぞれ配置されている。第1側縁部17の第1装飾域141では装飾部41が比較的に密に配置され、第2側縁部18の第2装飾域142では装飾部41が比較的に疎に配置されている。したがって、第1側縁部17に位置する第1装飾域141の総面積と第2側縁部18に位置する第2装飾域142の総面積とは互いに相異している。
【0049】
このように、生理用ナプキン10の第1側縁部17に位置する第1装飾域141と第2側縁部18に位置する第2装飾域142との総面積が互いに異なり、かつ、それらが包装シート101を介して透視されることによって、着用者等は、個包装体100及び生理用ナプキン10の幅方向Xの一方側と他方側とを容易に識別することができる。
【0050】
<第4実施形態>
図7(b)は、第4実施形態に係る図1と同様の斜視図である。図7(b)を参照すると、生理用ナプキン10の装飾域40は、第1側縁部17のうちの横断中心線Qと第1端縁10a側との間に位置する領域にのみ配置されている。かかる場合には、個包装体100の第1縁部102において、第4縁部105側には、装飾域40が位置していない。このように、装飾域40の配置域をさらに限定することによって、着用者は、生理用ナプキン10の幅方向Xにおける向きのみならず、長手方向Yの向きについても識別することができる。
【0051】
また、かかる態様においては、第1側縁部17のうちの横断中心線Qと第2端縁10b側との間に位置する領域には装飾域40が配置されていない。着用者等は、第2端縁10b側において装飾域40が配置されていないことを視認することによって、生理用ナプキン10の幅方向Xにおける向きのみならず、長手方向Yの向きについても識別することができるといえる。特に、包装シート101自体が複数の装飾要素を有する場合には、第1端縁10a側にのみ装飾域40が存在することよりも、第2端縁10b側にのみ装飾域40が存在しないことの方が、着用者に長手方向Yの向きを外観上識別させ得るものといえる。
【0052】
<第5実施形態>
図8(a)は、第5実施形態に係る生理用ナプキン10の平面図、図8(b)は、第5実施形態に係る個包装体100の斜視図である。図8(a)を参照すると、生理用ナプキン10の裏面シート11の内面(又は外面)には、第1端部15側にのみ識別手段をなす装飾域40が配置されている。すなわち、生理用ナプキン10の第1及び第2側縁部17,18及び第2端部16には装飾域40が配置されていない。
【0053】
図8(b)を参照すると、かかる実施態様においては、個包装体100に生理用ナプキンが3つ折りされて収容された状態において、第1端部15に配置された装飾域40は、個包装体100の長手方向Yにおいて第4縁部105側に位置する。したがって、装飾域40が第4縁部105側において包装シート101から透視されることによって、着用者等は個包装体100及び生理用ナプキン10の長手方向Yの向きを識別することができる。なお、着用者が個包装体100及び生理用ナプキン100の長手方向Yを識別できる限りにおいては、装飾域40は、生理用ナプキン10のうちの横断中心線Qと第1端縁10a(又は第2端縁10b)との間の領域に配置されており、横断中心線Qと第2端縁10b(又は第1端縁10a)との間の領域に配置されていればよい。
【0054】
図9(a)は、第6実施形態に係る生理用ナプキン10の平面図、図9(b)は、第6実施形態に係る個包装体100の斜視図である。図9(a)を参照すると、生理用ナプキン10の裏面シート11には、複数の装飾部41からなる装飾域40が、第1折曲線111を跨ぐように長手方向Yへ延在している。具体的には、装飾域40を形成する複数の装飾部41が第1折曲線111と交差するとともに、第1折曲線111よりも第1端縁10a側の部分と第2端縁10b側の部分とに位置している。また、第1折曲線111の第1端縁10a側の部分において、装飾域40は横断中心線Qと第1折曲線111との間に位置しており、横断中心線Qよりも第1端縁10a側(又は第2折曲線112側)には位置していない。
【0055】
図9(b)を参照すると、生理用ナプキン10が第1及び第2折曲線111,112に沿って3つ折りにされた状態で包装シート101に収容された状態において、装飾域40は、個包装体100の第4縁部105側に位置している。したがって、装飾域40は、生理用ナプキン10が折り畳まれて包装シート101に収容された状態において、生理用ナプキン10の長手方向Yにおける一方側(第1端縁10a側)と他方側(第2端縁10b側)とを識別するための識別手段であるとともに、個包装体100の長手方向Yにおける一方側(第3縁部104側)と他方側(第4縁部105側)とを識別するための識別手段ともいえる。個包装体100の第4縁部105側では、生理用ナプキン10の装飾域40の位置する部分が折り重ねられていることで着色がより濃くなって外部からより視認され易くなるといえる。
【0056】
なお、本実施形態においては、複数の装飾部41からなる装飾域40が、第1折曲線111を跨ぐように長手方向Yへ延在しているが、装飾域40が第1折曲線111ではなく、第2折曲線112を跨ぐように長手方向Yへ延在していてもよい。かかる場合には、装飾域40を形成する複数の装飾部41が第2折曲線112と交差するとともに、第2折曲線112よりも第1端縁10a側の部分と第2端縁10b側の部分とに位置している。また、第2折曲線112よりも第2端縁10b側の部分において、装飾域40は横断中心線Qと第2折曲線112との間に位置しており、横断中心線Qよりも第2端縁10b側(又は第1折曲線111側)には位置していない。
【0057】
<複数の個包装体の集合体>
図10(a)は、複数の個包装体100A~100Cからなる集合体200の斜視図、図10(b)は、実施例の一例における、集合体200の斜視図である。なお、集合体200は、図示したように、3種類の個包装体100A~100Cのうちの少なくとも2種類の個包装体を有していればよく、後記の技術的効果を奏する限りにおいて、4種類以上の個包装体を有するものであってもよい。
【0058】
図10(a)を参照すると、集合体200は、第1~第3個包装体100A~100Cの幅方向Xを上下方向として縦置きして複数並べてなるものであって、第1~第3個包装体100A~100Cは、互いに実質的に等しい外形寸法を有する。第1~第3個包装体100A~100Cに収容された生理用ナプキン10の識別手段を構成する装飾域181,182,183の装飾要素は互いに相異している。具体的には、第1個包装体100Aの装飾域181は複数の三角模様、第2個包装体100Bの装飾域182は複数のドット模様、第3個包装体100Cの装飾域183は複数の星形模様から形成されている。ここで、第1~第3個包装体100A~100Cの外形寸法が実質的に等しいとは、外形寸法の差が10mm以内のことを意味する。
【0059】
このように、第1~第3個包装体100A~100Cの外形寸法が実質的に等しい場合であっても、それらの装飾域181~183の装飾域が互いに異なることによって、着用者等は第1~第3個包装体100A~100Cを瞬時に識別することができるとともに、それらの収容された吸収性物品10の向きも瞬時に識別することができる。したがって、例えば、第1~第3個包装体100A~100Cの外形寸法が実質的に同じであっても、昼用、夜用等の使用用途等に合わせて装飾要素を変えることによって、第1~第3個別包装体100A~100Cの使用用途等を容易に把握、識別することができる。なお、装飾域181~183は、互いに外観上識別できる限りにおいて、それを構成する複数の装飾部の形状が相違するほかに、装飾部が同一、類似又は非類似の形状を有し、かつ、着色された色が相違される場合を含む。装飾域181~183又はそれを構成する複数の装飾部の形状が同じであっても、着色された色が互いに異なることによって、外観上識別することができる。
【0060】
図10(b)を参照すると、本実施例においては、第1~第3個包装体100A~100Cは、それぞれ、異なる外形寸法を有する。第1個包装体100Aは、例えば、比較的に長時間着用する夜用の生理用ナプキンを収容したもの、第2個包装体100Bは、例えば、昼用の生理用ナプキンを収容したもの、第3個包装体100Cは、例えば、軽量薄型の生理用ナプキンやパンティライナを収容したものである。第1~第3個包装体100A~100Cに収容された生理用ナプキン10の識別手段を構成する装飾域181,182,183の装飾要素は互いに相異している。具体的には、第1個包装体100Aの装飾域181は複数の三角模様、第2個包装体100Bの装飾域182は複数のドット模様、第3個包装体100Cの装飾域183は複数の星形模様から形成されている。
【0061】
このように、サイズの異なる大小様々な第1~第3個包装体100A~100Cごとに異なる装飾域181~183を有することから、着用者等は、サイズの相違と併せて、装飾域181~183の装飾要素の相違によって、より確実にそれらの用途等を把握、識別することができる。なお、装飾域181~183の装飾要素については、柄が同じで色が異なることが好ましい。柄が同じであることによって、例えば、同一サイズにおいて昼用の製品と夜用の製品とを一緒に購入して保管するときにも、色の違いで識別することができる。
【0062】
<複数の個包装体の収容パッケージ>
図11は、複数の個包装体を収容した収容パッケージの一部破断斜視図である。複数の個包装体100が収容された収容パッケージ300の一部破断斜視図である。収容パッケージ300は、複数の個包装体100が並んで配置された第1列301と第2列302とを含む収容形態を有する。収容パッケージ300の第1及び第2列301,302においては、識別手段を構成する装飾域40が上方側に位置するように同じ向きに並んで配置されている。
【0063】
収容パッケージ300において、複数の個包装体100が同じ向きに並んで配置されており、かつ、識別手段によって個包装体100に収容された生理用ナプキン10の幅方向Xの一方側と他方側とを容易に識別することができることから、着用者は、収容パッケージ300から個包装体100を取り出して使用するときに、スムーズに生理用ナプキン10の着用操作を行うことができる。また、収容パッケージ300の内部には、図10(a),(b)に示した態様を有する集合体200が複数配置されていてもよい。
【0064】
図12(a)は、実施例の一例における収容パッケージ300の一部破断斜視図である。本実施例に係る収容パッケージ300は、第1方向(長手方向)Aと、それに交差する第2方向(上下方向)Bと、第1方向Aにおいて対向する第1面301及び第2面302を有する。個包装体100は、第2方向Bへ複数並んで配置され、かつ、前記第1方向Aにおいて互いに装飾域40の向きが合うように同じ向きに収容されている。
【0065】
収容パッケージ300の第1及び第2面301,302のうちの第1面301にのみパッケージ装飾域340が配置されている。個包装体100に収容された生理用ナプキン10の装飾域40の一部は、パッケージ装飾域340と第1方向Aにおいて対向して位置している。複数の個包装体100を収容パッケージ300内において、収容パッケージ300の第1面301に位置するパッケージ装飾域340と個包装体100の装飾域40とを位置合わせするように収容することによって、収容パッケージ300内で複数の個包装体100が同程度に圧迫された状態で積層されることから、取り出したときに、個包装体100及び/又は生理用ナプキン10の厚さ寸法が異なることを抑制することができる。
【0066】
図12(b)は、他の実施例の一例における収容パッケージ300の一部破断斜視図である。本実施例に係る収容パッケージ300は、第1方向(長手方向)Aと、それに交差する第2方向(上下方向)B及び第3方向(幅方向)Cと、第1方向Aにおいて対向する第1面301及び第2面302を有する。個包装体100は、第2方向Bへ複数並んで配置され、かつ、前記第3方向Cにおいて互いに装飾域40の向きが合うように同じ向きに収容されている。
【0067】
収容パッケージ300の第1面301は、第3方向Cにおいて対向する第1側部301Aと第2側部301Bとを有する。第1側部301Aにはパッケージ装飾域340が位置し、個包装体100の装飾域40は第1側部301A側に位置している。かかる実施例によれば、第1面301にミシン目による取出し口が位置する場合において、第2方向Bに積み重ねられた複数の個包装体100の装飾域40は第1側面301の第1側部301A側に位置することを収容パッケージ300の外部から把握することができるので、個包装体100の収容パッケージ300からの取出しから展開までの操作をスムーズに行うことができる。また、このように、収容パッケージ100のパッケージ装飾域340と個包装体100の装飾域40とを位置合わせするように収容することによって、収容パッケージ300内で複数の個包装体100が同程度に圧迫された状態で積層されることから、取り出したときに、個包装体100及び/又は生理用ナプキン10の厚さ寸法が異なることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0068】
5 縦断折曲線
6 縦断折曲線
10 吸収性物品(生理用ナプキン)
10a 第1端縁
10b 第2端縁
10c 第1側縁
10d 第2側縁
11 表面シート
12 裏面シート
17 第1側縁部
18 第2側縁部
19 ウイング部
20 吸収体
28 セパレータ
29 セパレータ
40 装飾域
41 装飾部
50 止着域
51 中央止着域
52 サイド止着域
100 個包装体
100A 第1個包装体
100B 第2個包装体
100C 第3個包装体
101 包装シート
141 第1装飾域
142 第2装飾域
181 装飾域
182 装飾域
183 装飾域
200 集合体
300 収容パッケージ
P 縦断中心線
Q 横断中心線
X 幅方向
Y 長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12