(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】移載機及びベベル研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 41/06 20120101AFI20220805BHJP
B24B 47/22 20060101ALI20220805BHJP
B24B 9/00 20060101ALI20220805BHJP
B24B 21/08 20060101ALI20220805BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220805BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
B24B41/06 A
B24B47/22
B24B9/00 601G
B24B21/08
H01L21/304 621E
H01L21/68 A
B24B41/06 L
(21)【出願番号】P 2018247920
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】上村 健司
(72)【発明者】
【氏名】山野邊 北斗
(72)【発明者】
【氏名】石川 翔
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-112291(JP,A)
【文献】特開2002-252268(JP,A)
【文献】特開2002-176093(JP,A)
【文献】特開2006-332543(JP,A)
【文献】国際公開第2017/104648(WO,A1)
【文献】特開2018-195853(JP,A)
【文献】特開昭61-005519(JP,A)
【文献】特開平11-165864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 41/06
B24B 47/22
B24B 9/00
B24B 21/08
H01L 21/304
H01L 21/677 ー 21/68
B25J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の裏面を保持する基板保持部へと基板を搬送する移載機であって、
一対のハンドと、
前記ハンドに設けられ、基板の裏面を支持する支持部材と、
前記ハンドに設けられ、前記支持部材で支持されている基板の側面を保持する保持部材と、
を備え、
前記支持部材は3つ設けられ、
一方のハンドに2つの支持部材が設けられ、他方のハンドに1つの支持部材が設けられる、移載機。
【請求項2】
前記他方のハンドの長さは前記一方のハンドの長さよりも短くなっている、請求項1に記載の移載機。
【請求項3】
少なくとも1つの支持部材の前記基板の面内方向における位置を検出する面内方向位置検出部をさらに備え、
前記支持部材の少なくとも1つは前記基板の面内方向で移動可能となる、請求項1又は2のいずれかに記載の移載機。
【請求項4】
前記支持部材の少なくとも1つの前記基板の法線方向に沿った位置を検出する法線方向位置検出部をさらに備え、
前記支持部材の少なくとも1つは前記基板の法線方向に沿って移動可能となる、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の移載機。
【請求項5】
前記保持部材の少なくとも1つには、前記基板に加わる圧力を検出する圧力検出部が設けられる、請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の移載機。
【請求項6】
基板の裏面を保持する基板保持部へと基板を搬送する移載機であって、
一対のハンドと、
前記ハンドに設けられ、基板の裏面を支持する支持部材と、
前記ハンドに設けられ、前記支持部材で支持されている基板の側面を保持する保持部材と、
少なくとも1つの前記支持部材の前記基板の面内方向における位置を検出する面内方向位置検出部と、
を
有し、
前記支持部材の少なくとも1つは前記基板の面内方向で移動可能となる、移載機
によって搬送された基板の裏面を保持する基板保持部と、
前記基板保持部によって保持された基板のベベルを研磨する研磨ユニットと、
を備え、
前記研磨ユニットは、研磨テープと、前記研磨テープを基板に対して押し付けるための押圧部と、気体を用いて前記研磨テープの前記基板に対する押し付け力を調整する調整部と、を有し、
前記調整部に気体供給管を介して気体を供給する気体供給部が設けられ、
前記気体供給管には気体を貯留するための気体貯留部が設けられる、ベベル研磨装置。
【請求項7】
請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の移載機によって搬送された基板の裏面を保持する基板保持部と、
前記基板保持部によって保持された基板のベベルを研磨する研磨ユニットと、
を備え、
前記研磨ユニットは、研磨テープと、前記研磨テープを基板に対して押し付けるための押圧部と、気体を用いて前記研磨テープの前記基板に対する押し付け力を調整する調整部と、を有し、
前記調整部に気体供給管を介して気体を供給する気体供給部が設けられ、
前記気体供給管には気体を貯留するための気体貯留部が設けられる、ベベル研磨装置。
【請求項8】
前記基板保持部は前記基板の裏面を支持する支持本体部を有し、
前記基板は直径が299mm~301mmの円形状からなり、
前記支持本体部は直径が260mm~285mmの円形状となっている、請求項
6又は7に記載のベベル研磨装置。
【請求項9】
前記基板保持部は前記基板の裏面を支持する支持本体部を有し、
前記移載機によって前記基板を前記支持本体部に載置する第一時間前に、前記支持本体部を回転させるように制御する制御部が設けられる、請求項
6乃至8のいずれか1項に記載のベベル研磨装置。
【請求項10】
前記基板保持部に対する前記基板の面内方向での位置調整を行った後で、前記移載機によって前記基板を前記基板保持部に向かう移動である第一移動を行わせる制御部を備え、
前記制御部は、前記保持部材によって前記基板を保持してから所定時間Tが経過した後で、前記移載機による前記第一移動を開始させる、請求項
6乃至9のいずれか1項に記載のベベル研磨装置。
【請求項11】
前記所定時間は2~5秒である、請求項10に記載のベベル研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を搬送する移載機と、移載機によって搬送及び搬出される基板の周縁部を研磨するベベル研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ウェハ等の基板のベベルを研磨するベベル研磨装置が知られている。ベベル研磨装置で基板のベベルを研磨する際にはバラつきが発生することがあるが、このようなバラつきの発生を抑制することが試みられている。特許文献1では、ベベル研磨を行う際の研磨ヘッドの位置調整を治具を用いて行なうことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特許文献1とは異なる観点から、基板のベベル研磨の際のバラつきを抑制する態様を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様による移載機は、
基板の裏面を保持する基板保持部へと基板を搬送する移載機であって、
一対のハンドと、
前記ハンドに設けられ、基板の裏面を支持する支持部材と、
前記ハンドに設けられ、前記支持部材で支持されている基板の側面を保持する保持部材と、
を備え、
前記支持部材が3つ設けられ、
一方のハンドに2つの支持部材が設けられ、他方のハンドに1つの支持部材が設けられてもよい。
【0006】
本発明の第1態様による移載機において、
前記他方のハンドの長さは前記一方のハンドの長さよりも短くなってもよい。
【0007】
本発明の第1態様による移載機は、
少なくとも1つの支持部材の前記基板の面内方向における位置を検出する面内方向位置検出部をさらに備え、
前記支持部材の少なくとも1つが前記基板の面内方向で移動可能となってもよい。
【0008】
本発明の第2態様による移載機は、
基板の裏面を保持する基板保持部へと基板を搬送する移載機であって、
一対のハンドと、
前記ハンドに設けられ、基板の裏面を支持する支持部材と、
前記ハンドに設けられ、前記支持部材で支持されている基板の側面を保持する保持部材と、
少なくとも1つの前記支持部材の前記基板の面内方向における位置を検出する面内方向位置検出部と、
を備え、
前記支持部材の少なくとも1つは前記基板の面内方向で移動可能となってもよい。
【0009】
本発明の第1態様及び第2態様による移載機は、
前記支持部材の少なくとも1つの前記基板の法線方向に沿った位置を検出する法線方向位置検出部をさらに備え、
前記支持部材の少なくとも1つは前記基板の法線方向に沿って移動可能となってもよい。
【0010】
本発明の第1態様及び第2態様による移載機において、
前記保持部材の少なくとも1つには、前記基板に加わる圧力を検出する圧力検出部が設けられてもよい。
【0011】
本発明の第1態様のベベル研磨装置は、
本発明の第1態様もしくは第2態様による移載機又はそれ以外の移載機によって搬送された基板の裏面を保持する基板保持部と、
前記基板保持部によって保持された基板のベベルを研磨する研磨ユニットと、
を備え、
前記研磨ユニットが、研磨テープと、前記研磨テープを基板に対して押し付けるための押圧部と、気体を用いて前記研磨テープの前記基板に対する押し付け力を調整する調整部と、を有し、
前記調整部に気体供給管を介して気体を供給する気体供給部が設けられ、
前記気体供給管には気体を貯留するための気体貯留部が設けられてもよい。
【0012】
本発明の第2態様のベベル研磨装置は、
本発明の第1態様もしくは第2態様による移載機又はそれ以外の移載機によって搬送された基板の裏面を保持する基板保持部と、
前記基板保持部によって保持された基板のベベルを研磨する研磨ユニットと、
を備え、
前記基板保持部は前記基板の裏面を支持する支持本体部を有し、
前記基板は直径が299mm~301mmの円形状からなり、
前記支持本体部は直径が260mm~285mmの円形状となってもよい。
【0013】
本発明の第3態様のベベル研磨装置は、
本発明の第1態様もしくは第2態様による移載機又はそれ以外の移載機によって搬送された基板の裏面を保持する基板保持部と、
前記基板保持部によって保持された基板のベベルを研磨する研磨ユニットと、
を備え、
前記基板保持部は前記基板の裏面を支持する支持本体部を有し、
前記移載機によって前記基板を前記支持本体部に載置する第一時間前に、前記支持本体部を回転させるように制御する制御部をさらに備えてもよい。
【0014】
本発明の第4態様のベベル研磨装置は、
本発明の第1態様もしくは第2態様による移載機又はそれ以外の移載機によって搬送された基板の裏面を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に対する前記基板の面内方向での位置調整を行った後で、前記移載機によって前記基板を前記基板保持部に向かう移動である第一移動を行わせる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記保持部材によって前記基板を保持してから所定時間Tが経過した後で、前記移載機による前記第一移動を開始させてもよい。
【0015】
本発明の第4態様のベベル研磨装置において、
前記所定時間は2~5秒であってもよい。
【0016】
なお、本発明の第1態様及び第2態様による移載機並びに第1態様乃至第4態様のベベル研磨装置の各々は独立した態様であり、互いに従属しない態様を採用できる。
【本発明の効果】
【0017】
本発明において、一方のハンドに2つの支持部材を設け、他方のハンドに1つの支持部材を設ける態様を採用した場合には、3つの支持部材を用いることで、基板の載置されうる面を一意に定め、基板保持部への受け渡しの位置精度を上げることができる。その結果、基板のベベル研磨の際のバラつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態で用いられうる移載機の平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態で用いられうる移載機の一例の側方断面を概略で示した図面である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態で用いられうる移載機の別の例の側方断面を概略で示した図面である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態で用いられうるベベル研磨装置を示す平面図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の実施の形態で用いられうる移載機によって基板が基板保持部へと搬送される態様を示す側方断面図であり、
図5(b)は、
図5(a)に示される状態から進んだ状態であり、基板保持部に基板が受け渡された状態を示す側方断面図であり、
図5(c)は、
図5(b)に示される状態から進んだ状態であり、基板保持部に基板が受け渡された後の状態を示す側方断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態で用いられうる調整部への気体供給機構を示す概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態で用いられうる研磨ユニットによる研磨態様を示す側方断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態で用いられうる研磨ユニットによる研磨態様を示す側方断面図であり、支持本体部の直径SD及び基板の直径WDを示した側方断面図である。
【
図9】
図9(a)は、(1)基板保持部にリンス液が供給された後で、(2)支持本体部を回転させる態様を示した側方断面図である。
図9(b)は、
図9(a)に示される状態から進んだ状態であり、移載機によって基板保持部に基板が搬送される態様を示した側方断面図である。
図9(b)は、
図1の直線A-Aに沿った側方断面図に対応し、
図1で言えば左側に向かって見た側方断面図である。
【
図10】
図10(a)は、本発明の実施の形態で用いられうる移載機によって基板が基板保持部へと搬送された後の態様を示す側方断面図であり、
図10(b)は、基板の周縁部が下方へたわんだ際の状態を誇張して示した側方断面図である。
【
図11】
図11は、ベベル研磨システムの構成を示す概略図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態で用いられうる一態様であって、保持部材による基板の保持、基板の基板吸着保持部へ向かう移動(第一移動)、基板吸着保持部への基板の接触の関係を経過時間とともに示した図である。
【
図13】
図13は、保持部材による基板の保持力(クランプ力)のバラつきと経過時間との関係を示したグラフである。
【
図14】
図14は、本発明の実施の形態の変形例で用いられうる移載機の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態
《構成》
図11は、本発明の実施の形態によるベベル研磨装置を含むベベル研磨システムを示す平面図である。
図11に示すように、ベベル研磨システム1000は、ロードポートであるFOUP1005と、EFEM1007と、複数のベベル研磨装置10(以下、第1研磨部1001及び第2研磨部1002と呼ぶことがある。)と、洗浄ユニット1003と、乾燥機1004と、複数の基板仮置き台1008、1009と、複数の搬送機1010~1013と、制御部50と、を有している。
【0020】
図11に示すようなベベル研磨システム1000の構成において、ウェハ等からなる基板Wは、以下の手順で処理される。すなわち、基板Wは、FOUP1005からEFEM1007内の搬送機1013を介して基板仮置き台1008に載せられる。次いで、基板仮置き台1008上の基板Wは、搬送機1010により第1研磨部1001あるいは第2研磨部1002のいずれかへと搬送され、研磨される。研磨された基板Wは、搬送機1010により基板仮置き台1009へと搬送される。その後、基板仮置き台1009上の基板Wは、搬送機1011により洗浄ユニット1003へと搬送されて、洗浄される。次いで、洗浄された基板Wは、搬送機1012により乾燥機1004へと搬送され、乾燥機1004内で乾燥され、その後、搬送機1013によりFOUP1005へと搬出される。
【0021】
図4は、本実施の形態によるベベル研磨装置10を示す平面図である。
図4に示すように、本実施の形態によるベベル研磨装置10は、基板Wの周縁部(エッジとベベル)を研磨するための装置であり、ハウジング11と、ハウジング11内で基板Wを保持するための基板ステージ等からなる基板吸着保持部(基板保持部)20と、基板吸着保持部20に保持された基板Wの周縁を研磨するためのベベル研磨ユニット等からなる研磨ユニット40と、ハウジング11内に搬入された基板Wを基板吸着保持部20に載置し、また基板吸着保持部20に保持された基板Wを基板吸着保持部20から取り上げるための移載機80と、を有している。
【0022】
このうち研磨ユニット40は、基板吸着保持部20に保持された基板Wの周縁部を研磨するものである。図示された例では、ハウジング11内には、4つの研磨ユニット40が設けられているが、これに限定されず、2つ、3つ、あるいは5つ以上の研磨ユニット40が設けられていてもよい。
【0023】
図4に示すように、ハウジング11は、その側面に開口部12を有している。この開口部12は、シリンダ(図示せず)により駆動されるシャッタ13により開閉される。ハウジング11内への基板Wの搬入、搬出は、搬送機1010(
図7参照)の搬送ロボット等の基板搬送手段により行われる。例えば、
図11に示すように、第1研磨部1001へ基板Wを搬入する際には、基板仮置き台1008にある基板Wが、搬送機1010の搬送ロボットハンド上に載せられる。次いで、
図4に示すように、シャッタ13によりハウジング11の開口部12が開かれ、搬送機1010の搬送ロボットハンドから移載機80のハンド810へと基板Wが移され、その後、移載機80から、基板吸着保持部20上に基板Wが載せられるとともに、搬送機1010の退避後にハウジング11の開口部12が閉じられる。また、例えば、第1研磨部1001において基板Wのベベル部の研磨が終了した後に基板Wを搬出する際には、移載機80のハンド810上に基板Wが載せられて、シャッタ13によりハウジング11の開口部12が開かれる。次いで、移載機80のハンド810上にある基板Wが、搬送機1010の搬送ロボットハンド上に載せられた上で、搬送機1010によりハウジングから搬出されて、基板仮置き台1009に載せられるとともに、シャッタ13によりハウジング11の開口部12が閉じられる。なお、シャッタ13によりハウジング11の開口部12を閉じることで、ハウジング11の内部が外部から遮断される。これにより、研磨中にハウジング11内のクリーン度及び機密性が維持され、ハウジング11の外部からの基板Wの汚染や、ハウジング11の内部からの研磨液、パーティクル等の飛散によるハウジング11の外部の汚染が防止される。
【0024】
次に、本実施の形態による移載機80の構造について説明する。移載機80は、基板Wの裏面を保持する基板吸着保持部20へと基板Wを搬送するための装置である。基板吸着保持部20は、例えば基板Wの裏面を吸着保持するステージである。
【0025】
図1に示すように、移載機80は、一対のハンド810と、基板Wの裏面を支持する支持部材821を有する支持部820と、基板Wの側面を保持するチャックコマ等からなる保持部材831を有する保持部830と、を有してもよい。一方のハンド811に2つの支持部材821が設けられ、他方のハンド812に1つの支持部材821が設けられ、合計3つの支持部材821が設けられてもよい。一方のハンド811に2つの保持部材831が設けられ、他方のハンド812に1つの保持部材831が設けられ、合計3つの保持部材831が設けられてもよい。移載機80は、一対のハンド810を開閉方向に互いに対称に接近又は離間するように移動させる駆動部30を有してもよい。駆動部30による駆動は、ボールねじとLMガイドを用いて行われてもよい。また、特開2017-112291号公報で示されているように、環状ベルトを用いる構成を採用してもよい。保持部材831の形状としては直方体形状、立方体形状、円柱形状等の様々な形状を採用できる。
図1では保持部材831を平面視した場合に、その形状が矩形状となる態様を示しているが、これに限られることはなく、保持部材831を平面視した場合に、その形状は円弧形状でもあってもよい。
【0026】
図1に示すように、他方のハンド812の長さは一方のハンド811の長さよりも短くなってもよい。但し、このような態様に限られることはなく、
図4で示すように、他方のハンド812は一方のハンド811と同じ長さとなってもよい。
【0027】
本実施の形態では、一方のハンド811に設けられる2つの保持部材831を第一保持部材831a及び第二保持部材831bと呼び、他方のハンド812に設けられる1つの保持部材831を第三保持部材831cと呼ぶ。また、一方のハンド811に設けられる2つの支持部材821を第一支持部材821a及び第二支持部材821bと呼び、他方のハンド812に設けられる1つの支持部材821を第三支持部材821cと呼ぶ。また、一方のハンド 811を第一ハンド811と呼び、他方のハンド812を第二ハンド812と呼ぶ。ハンド810の延在する方向(
図1の上下方向)において、第一保持部材831aと第二保持部材831bとの間に第三保持部材831cが設けられてもよい。また、ハンド810の延在する方向において、第一支持部材821aと第二支持部材821bとの間に第三支持部材821cが設けられてもよい。3つの保持部材831及び3つの支持部材821は等間隔(120度の角度)で配置されてもよい。
【0028】
図3に示すように、少なくとも1つの支持部材821の基板Wの面内方向における位置を検出する面内方向位置検出部500が設けられてもよい。面内方向位置検出部500としてはレーザ変位計、CCDカメラ等を用いてもよい。支持部材821の少なくとも1つは基板Wの面内方向(
図3の左右方向)で移動可能となってもよい。支持部材821の基板Wの面内方向における移動は第一ハンド811及び/又は第二ハンド812を駆動部30で駆動することで調整してもよいし、支持部材821がハンド810に対して移動可能となり、ハンド810に対する支持部材821の位置が変化することで、支持部材821が基板Wの面内方向で移動してもよい。なお、本実施の形態では、基板Wの面内方向を水平方向とし、基板Wの法線方向を鉛直方向として説明するが、必ずしもこれに限られることはなく、基板Wの面内方向が水平方向から傾斜し、基板Wの法線方向が鉛直方向から傾斜してもよい。
【0029】
支持部材821の基板Wの面内方向における位置調整がハンド810の移動によって行われる場合には、第一ハンド811及び第二ハンド812のいずれか一方が移動可能となり、他方が固定されていてもよい。つまり、第二ハンド812が固定され、第一ハンド811が駆動部30によって基板Wの面内方向で移動可能となってもよいし、第一ハンド811が固定され、第二ハンド812が駆動部30によって基板Wの面内方向で移動可能となってもよい。
【0030】
ハンド810に対して支持部材821が移動可能になる態様では、第一支持部材821a、第二支持部材821b及び第三支持部材821cのいずれか一つ以上がハンド810に対して移動可能となってもよい。例えば第三支持部材831cが第二ハンド812に対して移動可能となり、第一支持部材821a及び/又は第二支持部材821bは第一ハンド811に対して固定されていてもよい。また、例えば第三支持部材821cが第二ハンド812に対して固定されており、第一支持部材821a及び/又は第二支持部材821bが第一ハンド811に対して移動可能となってもよい。
【0031】
保持部材831の基板Wの面内方向における移動は、第一ハンド811及び/又は第二ハンド812を駆動部30で駆動することで調整してもよいし、保持部材831がハンド810に対して面内方向調整部550によって移動可能となり、ハンド810に対する保持部材831の位置が変化することで、保持部材831が基板Wの面内方向で移動してもよい。面内方向調整部550は電気モータとリニアガイドを用いる。保持部材831の基板Wの面内方向の位置が調整されることで保持部材831に連結された支持部材821の基板Wの面内方向の位置も同時に調整されてもよい。
【0032】
ハンド810に対して保持部材831が移動可能になる態様では、第一保持部材831a、第二保持部材831b及び第三保持部材831cのいずれか一つ以上がハンド810に対して移動可能となってもよい。例えば第三保持部材831cが第二ハンド812に対して移動可能となり、第一保持部材831a及び/又は第二保持部材831bは第一ハンド811に対して固定されていてもよい。また、例えば第三保持部材831cが第二ハンド812に対して固定されており、第一保持部材831a及び/又は第二保持部材831bが第一ハンド811に対して移動可能となってもよい。
【0033】
ハンド810に対する支持部材821及び保持部材831の移動は電気モータ等の駆動部839によって行われてもよい。支持部材821及び保持部材831の移動を行う駆動部839は、各支持部材821及び各保持部材831に対応してハンド810に取り付けられてもよいし、ハンド810の根元部であるボックス35内に設けられてもよい。ハンド810に対する支持部材821及び保持部材831の移動は個別に行われてもよいし、ハンド810に対する支持部材821及び保持部材831の移動が連動して行われてもよい。
【0034】
図2に示すように、少なくとも1つの支持部材821の基板Wの法線方向に沿った位置を検出する法線方向位置検出部510が設けられてもよい。法線方向位置検出部510としてはレーザ変位計、CCDカメラ等を用いてもよい。支持部材821の少なくとも1つは法線方向調整部560によって基板Wの法線方向に沿って移動可能となってもよい。支持部材821の基板Wの法線方向における移動は第一ハンド811及び/又は第二ハンド812を駆動部30で駆動することで調整してもよいし、支持部材821がハンド810に対して移動可能となり、ハンド810に対する支持部材821の位置が変化することで、支持部材821が基板Wの法線方向で移動してもよい。支持部材821の位置調整にはボールねじが用いられてもよい。法線方向調整部560は、例えば電気モータとリニアガイドを用いる。
【0035】
支持部材821の基板Wの法線方向における位置調整がハンド810の移動によって行われる場合には、第一ハンド811及び第二ハンド812のいずれか一方が移動可能となり、他方が固定されていてもよい。つまり、第二ハンド812が固定され、第一ハンド811が駆動部30によって基板Wの法線方向で移動可能となってもよいし、第一ハンド811が固定され、第二ハンド812が駆動部30によって基板Wの法線方向で移動可能となってもよい。
【0036】
ハンド810に対して支持部材821が移動可能になる態様では、第一支持部材821a、第二支持部材821b及び第三支持部材821cのいずれか一つ以上がハンド810に対して基板Wの法線方向に移動可能となってもよい。例えば第三支持部材821cが第二ハンド812に対して基板Wの法線方向に移動可能となり、第一支持部材821a及び/又は第二支持部材821bは第一ハンド811に対して固定されていてもよい。また、例えば第三支持部材821cが第二ハンド812に対して固定されており、第一支持部材821a及び/又は第二支持部材821bが第一ハンド811に対して基板Wの法線方向に移動可能となってもよい。
【0037】
第一保持部材831aと第二保持部材831bの第一ハンド811に対する基板Wの面内方向及び基板Wの法線方向の移動は独立して行われてもよく、第一保持部材831a及び第二保持部材831bのいずれか一方だけが第一ハンド811に対して移動可能となってもよい。同様に、第一支持部材821aと第二支持部材821bの第一ハンド811に対する基板Wの面内方向及び基板Wの法線方向の移動は独立して行われてもよく、第一支持部材821a及び第二支持部材821bのいずれか一方だけが第一ハンド811に対して移動可能となってもよい。
【0038】
図3に示す面内方向位置検出部500は保持部材831の基板Wの面内方向における位置を検出可能となってもよい。また、保持部材831の基板Wの法線方向の位置を検出できる法線方向位置検出部が設けられてもよい。
【0039】
図3に示すように、保持部材831の少なくとも1つには、基板Wから当該保持部材831に加わる圧力を検出するロードセル等からなる圧力検出部530が設けられてもよい。圧力検出部530は基板Wの側面と当接する位置に設けられてもよい。圧力検出部530による検出結果に基づいて、保持部材831の基板Wの面内方向における位置が調整されてもよいし、支持部材821の基板Wの面内方向における位置が調整されてもよい。
【0040】
前述したように(
図4に示すように)、ベベル研磨装置は、移載機80によって搬送された基板Wの裏面を例えば吸着保持する基板吸着保持部(基板保持部)20と、基板吸着保持部20によって保持された基板Wのベベルを研磨する研磨ユニット40と、を有してもよい。移載機80による基板Wの基板吸着保持部20への受け渡しは
図5で示されるようにして行われてもよい。より具体的には、
図5(a)で示すように、支持部材821によって裏面(
図5における下面)が支持され及び保持部材831によって側面が保持された基板Wが移載機80によって搬入される。そして、
図5(b)に示すように、移載機80によって搬入された基板Wが基板吸着保持部20に載置され、基板Wの裏面が吸着保持される。その後、
図5(c)に示すように、移載機80による基板Wの支持及び保持が解消され、移載機80から基板Wが離隔される。
【0041】
図7及び
図8に示すように、研磨ユニット40は、研磨テープ416と、研磨テープ416を基板Wに対して押し付けるための押圧部である研磨パッド412と、気体を用いて研磨テープ416の基板Wに対する押し付け力を調整する調整部であるエアシリンダ410とを有してもよい。
【0042】
図6に示すように、エアシリンダ410に気体供給管450を介して気体を供給する気体供給部490が設けられてもよい。気体供給管450には気体を貯留するための気体貯留部440が設けられてもよい。気体貯留部440は気体を貯留するためのバッファタンク等の気体貯留タンクであってもよいし(
図6参照)、気体供給管450の一部の径が大きくなり、当該径が大きくなった部分(大径部)によって気体貯留部440が構成されてもよい。気体貯留部440は2つ以上設けられてもよいし、複数の研磨パッド412が用いられる場合には、各研磨パッド412に対応して設けられてもよい。気体貯留部440が気体貯留タンクからなり、複数の気体貯留タンクが設けられる場合には、1つ以上の気体貯留タンクがプロセスチャンバ内に設けられ、1つ以上の気体貯留タンクがプロセスチャンバ外に設けられてもよい。なお、気体貯留部440を設ける態様では、既存の装置に気体貯留部440を追加するだけでよいことから、設計変更が容易となる点で有益である。
【0043】
図6に示すように、研磨ヘッド410はエアシリンダ411と、研磨パッド412とを有してもよい。エアシリンダ411では調圧弁430で調圧されたエアが作動室413へ供給され、研磨パッド412を基板Wへ押し付け研磨を行うようになってもよい。研磨完了後、電磁弁420が切り替わり作動室414へエアが供給されて研磨パッド412が退避してもよい。作動室413又は作動室414にエアを供給することで研磨パッド412の位置が調整されてもよい。
【0044】
研磨中の研磨ヘッド410の位置検出を行ってもよい。研磨ヘッド410の位置検出はCCDカメラが設けられることで行われてもよいし、研磨ヘッド410内に磁気センサが設けられることで行われてもよい。位置ずれがある場合には、研磨ヘッド410が設定位置へ移動するようにしてもよい。研磨量と偏芯量の関係から、予め研磨ヘッド410の位置に関する第三閾値を設け、第三閾値を超えた場合にはエラーが発生した旨を報知部(図示せず)が報知するようにしてもよい。
【0045】
図7及び
図8に示すように、基板吸着保持部20は基板Wの裏面を支持する支持本体部22を有してもよい。この支持本体部22は直径SDが260mm~285mmの円形状となってもよい(
図8参照)。基板Wがウェハからなる場合には、その直径WDは290mm~310mmの円形状であってもよく、典型的には300mmの円形状となっている。このように基板Wの直径WDと支持本体部22の直径SDとの差を小さくすることで、支持本体部22による支点をベベル研磨ユニット40の研磨ヘッドの作用点の近くに位置づけることができ、研磨ヘッドによる研磨中の反り量を減らすことができる。このため、多少の基板Wの偏芯(
図7の偏芯量d1参照)があっても、ベベル研磨形状のばらつきを抑えることができる。特に基板保持部として基板吸着保持部20を採用する場合には基板Wは裏面側に吸引されることから支持本体部22で支持されていない基板Wの周縁部が裏面側にだれる傾向になる。したがって、支持本体部22の直径SDを大きくすることはより有益となる。なお、直径300mmのウェハを基板Wとして用いる場合には、典型的には支持本体部22の直径は235mm程度であることから、支持本体部22の直径を260mm以上とすることによって支点と作用点とをかなり近づけることができ、支持本体部22の直径を265mm以上とすることによってより一層近づけることができる。この結果、研磨ヘッドによる研磨中の反り量をより確実に減らすことができる。但し、
図8で示すように基板Wの裏面を研磨する必要がある場合には、支持本体部22の直径SDの大きさを大きくしすぎることはできず、例えば支持本体部22の直径SDを265mm~270mmとすることが考えられる。
【0046】
発明者らが確認したところ、支持部材821と基板吸着保持部20で保持される基板Wの裏面との距離d2(
図10(a)参照)が大きくなり、例えば0.50mm以上となると、移載機80のハンド810が下降して基板Wが基板吸着保持部20に受け渡される際に基板Wのたわみが大きくなる(
図10(b)参照)。このようなたわみは移載機80の保持部材831が離隔する際に解消するが基板Wの面内方向でのずれとして残ってしまい、偏芯の原因となり得る。このため、移載機80のハンド810が下降して基板Wが基板吸着保持部20に受け渡される際の支持部材821と基板吸着保持部20で保持される基板Wの裏面との距離d2を小さくして、0.20mm~0.40mm(例えば0.35mm)とすることで、基板Wの面内のいかなる場所でもこのようなたわみが発生することを防止でき、ひいては基板Wの偏芯を防止できる。
【0047】
基板吸着保持部20は、ダスト付着を防止するためにノズルから供給される純水等のリンス液により保湿されてもよい(
図9(a)の(1)参照)。但し、この場合には、リンス液が支持本体部22に存在することから、移載機80から基板吸着保持部20へと基板Wを受け渡す際にリンス液によって基板Wが滑ってしまい、基板Wの位置が定まらないことも考えられる。このため、移載機80によって基板Wを支持本体部22に載置する第一時間前に、支持本体部22を回転させるように制御されてもよい(
図9(a)の(2)及び
図9(b)参照)。この際の回転(液切り回転)は例えば200rpmで4秒間行われてもよい。この結果、基板Wが滑る要因となるリンス液を支持本体部22から取り除くことができる。前述した第一時間は例えば5~10秒であり、第一時間前に支持本体部22が回転され、当該回転が終了した後で移載機80から基板吸着保持部20へと基板Wが受け渡されることになる。
【0048】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。「構成」で記載されていない場合であっても、「効果」で説明するあらゆる構成を本件発明において採用することができる。
【0049】
保持部830が第一ハンド811に設けられた2つの支持部材821と第二ハンド812に設けられた1つの支持部材821とを有する態様を採用した場合には、3つの支持部材821を用いることで、基板Wの載置されうる面を一意に定め、基板吸着保持部20への受け渡しの位置精度を上げることができる。4つの支持部材821を用いた場合、基板Wは支持部材821の高さのばらつきによって1つの支持部材821が基板Wの裏面に当接せず、基板Wの裏面が浮いてしまうことがある。そして、どの支持部材821が基板Wの裏面に当接しないかは基板Wの移載機80への置き方や基板Wの重心等によって一義的に決まらないことがある。例えば対角線上にある2つの支持部材821の高さが高い場合には、一方のアームに設けられた支持部材821に基板Wの裏面が当接するのか、他方のアームに設けられた支持部材821に基板Wの裏面が当接するのかが一義的に決まらない。この結果、4つの支持部材821を用いた場合には、基板吸着保持部20への受け渡しの位置精度が悪くなり、受け渡し位置がずれてしまい、ひいては、基板吸着保持部20の中心と基板Wの中心との間の偏芯量d1(
図7参照)が大きくなることがある。他方、前述した態様を採用した場合には、このような問題を解決することができる。
【0050】
図1に示すように第二ハンド812の長さを第一ハンド811の長さよりも短くする態様を採用した場合には、第二ハンド812の面内方向でスペースを形成することができる。この結果、装置全体の大きさを小型化することができる。
【0051】
少なくとも1つの支持部材821の基板Wの面内方向における位置を検出する面内方向位置検出部500が設けられる態様を採用した場合には(
図3参照)、面内方向位置検出部500の検出結果に基づいて支持部材821の基板Wの面内方向における位置を調整することができる。複数の支持部材821の基板Wの中心からの距離に第一閾値以上の差異があると、保持部材831によるクランプ時に基板Wが保持部材831と均等に当接せずに隙間が空いてしまうことがある。この結果、移載機80から基板吸着保持部20への基板Wの受け渡し位置がずれてしまうことがある。この点、面内方向位置検出部500の検出結果に基づいて支持部材821の基板Wの面内方向における位置を調整することで、このような事態が発生することを防止できる。
【0052】
少なくとも1つの支持部材821の基板Wの法線方向に沿った位置を検出する法線方向位置検出部510が設けられる態様を採用した場合には(
図2参照)、法線方向位置検出部510の検出結果に基づいて支持部材821の基板Wの法線方向における位置を調整することができる。複数の支持部材821において高さ方向の位置が第二閾値以上でずれていると基板Wが傾いてしまい、移載機80から基板吸着保持部20への基板Wの受け渡し位置がずれてしまうことがある。この点、法線方向位置検出部510の検出結果に基づいて支持部材821の基板Wの法線方向における位置を調整することで、基板Wの傾きを調整することができ、基板吸着保持部20への受け渡しの位置精度を向上させることができる。
【0053】
基板Wから保持部材831に加わる圧力を検出する圧力検出部530が設けられる態様を採用した場合には、圧力検出部530によって検出される圧力が同程度の値になるように制御部50が制御することで基板Wを複数配設された保持部材831によって均等にクランプすることができ、基板吸着保持部20への受け渡しの位置精度を向上させることができる。
【0054】
エアシリンダ410等の調整部に気体を供給する気体供給管450にエア等の気体を貯留するための気体貯留部440が設けられる態様を採用した場合には(
図6参照)、エアシリンダ410等の調整部への気体の供給を即座に行うことができ、基板Wの外周位置の変化に追従することができる。
図6に示す例で説明すると、回転中の偏芯が所定距離より大きくなると、研磨中に瞬間的に研磨パッド412が基板Wの側面から離れる瞬間が発生する。この点、バッファタンク等からなる気体貯留部440にエアが充填されている場合には、即座に作動室413へとエア等の気体が供給され、基板Wの外周位置の変化に追従することができる。このため、基板Wのベベル部を均一に研磨することができる。またこのような気体貯留部440を設けることで、変動容積が減少し、圧力変動率が低下する。このため、円形状からなるウェハ等の基板Wに偏芯があったとしても、基板Wの全周を一定圧力にて研磨することができる。研磨パッド412の基板Wへの追従を高めたい場合にはエアシリンダ410に供給されるエア等の気体の圧力を上げてもよい。また気体貯留部440が設けられる態様では、研磨パッド412が押し返されたときに、ショックアブソーバとしての効果も発揮する。
【0055】
研磨パッド412の材料としては反発弾性に優れた材料を用いてもよい。反発弾性に優れた材料を採用した場合には、研磨パッド412が変形した後の回復速度が速くなり、基板Wの外周位置変化に対する追従性を高めることができる。反発弾性に優れた材料としては例えばシリコンスポンジ等を用いることができる。
【0056】
4つの保持部材831と比較して3つの保持部材831を採用する場合には基板Wの製造誤差による影響を受けやすくなる懸念がある。つまり、基板Wがウェハからなる場合には直径300±0.2mmの製造誤差が認められている関係で、基板Wの大きさの製造誤差によって基板Wの中心がずれてしまい、偏芯の原因となり得る。また、装置の繰り返し誤差によって基板Wの中心がずれて偏芯してしまうこともある。このため、3つの保持部材831が設けられる態様で保持部材831の面内方向の位置(駆動開始位置)を調整できる態様を採用することは非常に有益である。また、基板Wの製造誤差の影響を受け難くするために、保持部材831の移動量が常に同じ値になるような機構を採用してもよい。一例としては、保持部材831の面内方向の駆動開始位置が基板Wの中心から同じ距離になるように面内方向位置検出部500及び面内方向調整部550を用いて調整したうえで、各保持部材831が面内方向で同じ距離だけ移動するように制御してもよいし、各保持部材831の移動距離が同じ値となるような機械的な構成を採用してもよい。
【0057】
保持部材831によって基板Wの側面が保持された後、基板吸着保持部20に対する基板Wのセンタリング(基板の面内方向での位置調整)が行われ、その後、基板Wを基板吸着保持部20へ向かう搬送が行われる場合において、保持部材831によって基板Wの側面が保持されてから保持部材831及び支持部材821が基板Wを基板吸着保持部20へ向かう移動(第一移動)を開始するまで(下降を開始するまで)の時間が所定時間T(例えば2~5秒のいずれかの値であり、好ましくは3~5秒のいずれかの値)となるように制御部50が制御してもよい。一例として、保持部材831による基板Wの保持、基板Wの基板吸着保持部20へ向かう移動(第一移動)、基板吸着保持部20への接触の関係は
図12に示すような関係となる。つまり、(1)保持部材831によって基板Wの側面が保持されてから所定時間Tの間、基板Wの基板吸着保持部20へ向かう移動(第一移動)を開始せず、(2)基板Wの側面が保持されてから所定時間Tが経過した時点で基板Wの基板吸着保持部20へ向かう移動(第一移動)を開始し(
図5(a)では下降を開始しており、
図12では「ハンドの下降」として記載している。)、(3)基板Wの裏面が板吸着保持部20に接触して載置された後で保持部材831による基板Wの保持が解消される(
図5(b)(c)参照)。
【0058】
一般的に、保持部材831によるクランプ力は、基板Wの把持開始から徐々に上昇することが分かっている。また、基板Wの把持直後(例えば基板Wの側面を把持して1秒後)は保持部材831によるクランプ力がバラつくことも分かっている。一例を示すと、
図13に示すようなバラつきがみられる。このようにクランプ力がバラつくことは、移載機80において基板Wのクランプ位置がバラつくことを意味する。そして、クランプ力が一定でない状態でハンド810が移動して基板Wを基板吸着保持部20に受け渡すと、基板Wの基板吸着保持部20への当接状態や基板Wと保持部材831との当接状態が変化することから、基板吸着保持部20への基板Wの受け渡し位置がバラついてしまう。
【0059】
この点、本態様のように保持部材831によって基板Wの側面が保持されてから、保持部材831及び支持部材821が基板Wを基板吸着保持部20へ向かう搬送を開始するまでの時間が所定時間Tとなるように制御部50が制御することで、保持部材831によるクランプ力を一定の状態として基板Wの基板吸着保持部20への受け渡しを行うことができ、基板Wの基板吸着保持部20への受け渡しの位置精度を向上させることができる。なお、所定時間Tとして2~5秒(好ましくは3~5秒)の値を採用することで、スループットへ影響がでることを極力抑えつつ、基板Wの基板吸着保持部20への受け渡しの位置精度を向上させることができる点で有益である。移載機80の待機時間が長い場合、移載機80のハンド810の摺動部材、例えばボールスプラインシャフトの摺動部の固着を防ぐため、ハンド810を定期的に、基板Wを持たない状態で、クランプ及びアンクランプを繰り返してもよい。例えば、移載機80が基板Wをセンタリングする前に、クランプ、アンクランプを1~3回繰り返してもよい。
【0060】
上述した態様では3つの保持部材831及び3つの支持部材821を用いる態様を用いて説明したが、これに限られることはなく、
図14に示すように4つ以上の保持部材831及び4つ以上の支持部材821が用いられてもよい。
【0061】
上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【符号の説明】
【0062】
20・・・基板吸着保持部、22・・・支持本体部、40・・・研磨ユニット、80・・・移載機、440・・・気体貯留部、450・・・気体供給管、490・・・気体供給部、500・・・面内方向位置検出部、510・・・法線方向位置検出部、530・・・圧力検出部、810・・・ハンド、820・・・支持部、821・・・支持部材、830・・・保持部、831・・・保持部材、W・・・基板