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特許7118083オキサゾリジノン基を含む化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-04
(45)【発行日】2022-08-15
(54)【発明の名称】オキサゾリジノン基を含む化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20220805BHJP
   C08G 18/18 20060101ALI20220805BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20220805BHJP
【FI】
C08G18/00 030
C08G18/18
C08G59/40
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019551362
(86)(22)【出願日】2018-03-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2018056581
(87)【国際公開番号】W WO2018167228
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】17161672.5
(32)【優先日】2017-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】エリンク,ベレント
(72)【発明者】
【氏名】トマス,ハンス-ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】デグルマン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ヘンゲルスベルク,ヤニーナ
(72)【発明者】
【氏名】ペルツァー,トリスタン
(72)【発明者】
【氏名】ルニストラ,ゲリット アー.
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特表昭62-500730(JP,A)
【文献】国際公開第2015/173101(WO,A1)
【文献】特開平07-216046(JP,A)
【文献】特開2016-169314(JP,A)
【文献】特開2016-069563(JP,A)
【文献】特開2017-155210(JP,A)
【文献】国際公開第2011/132549(WO,A1)
【文献】特開昭63-290849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08G 59/00-59/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキサゾリジノン基を含む化合物の製造方法であって、
a)ポリイソシアネートを、
b)2個以上のエポキシド基を有する少なくとも1種の有機化合物、
c)イソシアネート/エポキシド反応のための少なくとも1種の触媒、及び
d)任意に助剤及び添加材料と
混合して反応混合物を形成し、前記反応混合物を鋳型中に導入するか又は鋳型に適用して反応させてオキサゾリジノン基を含む成形品を得、
前記イソシアネート/エポキシド反応のための触媒c)が、一般式
[M(R)(R)(R)(R)][XI
(式中、Mが窒素原子又はリン原子であり、
、R、R及びRが、いずれの場合にも、互いに独立して、1~22個の炭素原子を有し、かつ、ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む置換基に置換されることが可能である直鎖又は分岐鎖アルキルラジカル、及び3~22個の炭素原子を有し、かつ、ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む基に置換されることが可能であるアルキル架橋の脂環式又は芳香族基、及び6~18個の炭素原子を有し、かつ、1~10個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するアルキル基に置換されることが可能であるアリールラジカルからなる群から選択される有機ラジカルであり、
Xがフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、
Iがヨウ素であり、
nが0.1~10の有理数を表す)の化合物を含む、方法。
【請求項2】
nが0.5~3の有理数を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Xが塩素又は臭素である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリイソシアネートa)におけるポリイソシアネート基と、前記2個以上のエポキシド基を有する少なくとも1種の有機化合物b)におけるエポキシド基とのモル比が1:10~10:1である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記2個以上のエポキシド基を有する有機化合物が、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はノボラックのポリグリシジルエーテル、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
、R、R及びRが、いずれの場合にも、互いに独立して、フェニル、シクロヘキシル、及び1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群から選択される有機ラジカルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
、R、R及びRが同一である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
オキサゾリジノン基を含む成形品を得るための前記反応混合物の反応における鋳型が、140℃~280℃の温度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
成分b)及びc)を含むポリオール成分をイソシアネートa)と混合して、前記反応混合物を形成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
成分a)及びb)を含むイソシアネート成分を触媒c)と混合して、前記反応混合物を形成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
使用されるポリイソシアネートa)が、脂肪族の多官能イソシアネート、脂環式の多官能イソシアネート、芳香脂肪族の多官能イソシアネート、及び芳香族の多官能イソシアネートからなる群から選択されるイソシアネートである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法により得ることができる、オキサゾリジノン基を含む成形品。
【請求項13】
一般式、
[M(R)(R)(R)(R)][XI
(式中、Mが窒素原子又はリン原子であり、
、R、R及びRが、いずれの場合にも、互いに独立して、1~22個の炭素原子を有し、かつ、ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む置換基に置換されることが可能である直鎖又は分岐鎖アルキルラジカル、及び3~22個の炭素原子を有し、かつ、ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む基に置換されることが可能であるアルキル架橋の脂環式又は芳香族基、及び6~18個の炭素原子を有し、かつ、1~10個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するアルキル基に置換されることが可能であるアリールラジカルからなる群から選択される有機ラジカルであり、
Xがフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、
Iがヨウ素であり、
nが0.1~10の有理数を表す)の、イソシアネート/エポキシド反応のための触媒を、
オキサゾリジノン基を含む成形品の製造に使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオキサゾリジノン基を含む成形品の製造方法に関し、ここで、ポリイソシアネート(a)を、2個以上のエポキシド基を有する少なくとも1種の有機化合物(b)、イソシアネート/エポキシド反応のための少なくとも1種の触媒(c)、及び、任意に助剤及び添加材料(d)と混合して反応混合物を形成し、前記反応混合物を鋳型中に導入するか又は鋳型に適用して反応させてオキサゾリジノン基を含む成形品を得、イソシアネート/エポキシド反応のための触媒(c)が一般式[M(R)(R)(R)(R)][XI(式中、Mが窒素原子又はリン原子であり、R、R、R及びRが有機ラジカルであり、Xがフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、Iがヨウ素であり、nが0.1~10の有理数を表す)の化合物を含む。さらに、本発明は、オキサゾリジノン基を含み、かつ、このような方法により得ることができる成形品に、及びオキサゾリジノン基を含む成形品の製造に本発明の触媒を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシドとイソシアヌレートとの反応により、イソシアヌレート基とオキサゾリジノン基の両方を受け取る構造が得られる。これらの化合物は、エポキシ-イソシアネート化合物(EPIC化合物)とも称される。これに関して使用される触媒は、臭化リチウム、四級アンモニウム塩又はルイス酸、例えば塩化アルミニウムであり得る。得られたEPIC化合物は、高い長期温度安定性及び低い燃焼性で注目に値するものである。しかしながら、そのような方法によって得られた材料は、イソシアヌレート構造の高い割合、及び得られた生成物の激しい架橋のために、再溶融することができず、高い脆性を示す。
【0003】
WO 2015173101には、オキサゾリジノン基を含有し、かつ、高い位置選択性を有する直鎖オリゴマー化合物をもたらす、四級リン、ヒ素、アンチモン又はビスマスに基づく触媒の使用方法が記載されており、ここで、得られた位置選択性EPIC化合物が、低い粘度及び比較的低いガラス転移温度で注目に値するものである。
【0004】
WO 2015173110には、オキサゾリジノン基を含む化合物を製造するためのハロゲンフリー触媒の使用方法が記載されている。この文献は主にプレポリマーも記載している;成形品は記載されていない。
【0005】
イソシアヌレート基の割合を低下させ、これらの材料の脆性を向上させるために、WO 86/06734は、有機アンチモンヨージド構造の使用を提案している。この目的のため、オキサゾリジノン基を含有するプレポリマーは、製造され、第2の工程でさらなる物質(例えば、メチレンジアニリン)の添加によって硬化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO 2015173101
【文献】WO 2015173110
【文献】WO 86/06734
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、オキサゾリジノン基を含有する固体、より特にオキサゾリジノン基を含有する成形品を提供することを目的とし、前記成形品が優れた機械的特性及び高い温度安定性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚いたことには、本発明の当該課題は、オキサゾリジノン基を含み、かつ、以下の方法により製造することができる成形品によって達成され、当該方法において、ポリイソシアネート(a)を、2個以上のエポキシド基を有する少なくとも1種の有機化合物(b)、イソシアネート/エポキシド反応のための少なくとも1種の触媒(c)、及び、任意に助剤及び添加材料(d)と混合して反応混合物を形成し、鋳型中に導入するか又は鋳型に適用して反応させてオキサゾリジノン基を含む成形品を得、ここで、イソシアネート/エポキシド反応のための触媒c)が一般式[M(R)(R)(R)(R)][XI(式中、Mが窒素原子又はリン原子であり、R、R、R及びRが有機ラジカルであり、Xがフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、Iがヨウ素であり、nが0.1~10の有理数を表す)の化合物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つの好ましい実施態様において、本発明の成形品は、1つの工程で得られる。ここで、「1つの工程で」とは、成形品を製造するための全ての成分が反応の開始前に混合され、次に、さらなる化合物を添加せず、より特にイソシアネート基又はエポキシ基に対して反応性である基を含むさらなる化合物を添加せず、成形品を得るまで反応を行うことを意味する。
【0010】
好ましくは、得られた成形品は固体である。本発明において、固体は10ショアAを超え、好ましくは30ショアAを超え、より特に50ショアAを超える、DIN EN ISO 868によるショア硬度を有する。他の好ましい実施態様において、本発明の成形品は、好ましくは10kJ/mを超え、より好ましくは20kJ/mを超え、より特に30kJ/mを超える、DIN EN ISO 179-1による高いシャルピーノッチ付き衝撃強度(Charpy notched impact strength)を有する。
【0011】
使用することができる本発明の成形品を製造するための鋳型は、少なくとも反応の一部の間に反応混合物を巨視的形状にして固体を形成する全ての物品であり、固体の巨視的形状は、硬化が起こって本発明の固体を形成した後にも明らかである。成形材料は、硬化後に除去されてもよいが、例えば浸漬コーティング(例えば、変圧器などの電子製品の浸漬コーティング)による物品のコーティングの場合のように、本発明の成形品の一部を表すことも可能である。それぞれ巨視的形状に影響を与えない化合物(例えば、充填剤)を含むことによる微視的成形は、本発明の意味において鋳型と見なされない。本発明の鋳型の例は、金属又はプラスチック製の開放鋳型又は密閉鋳型、例えば巻物(wound items)又はパイプの製造における巻芯、真空注入で通常に使用される種類の真空鋳型、又は引抜成形で通常に使用される連続成形を可能にする鋳型である。
【0012】
それ自体が知られている脂肪族、脂環式、芳香脂肪族の多官能イソシアネート、及び好ましくは芳香族の多官能イソシアネートは、ポリイソシアネートa)として使用することに考慮される。このタイプの多官能イソシアネートは、それ自体が知られているか、又はそれ自体が知られている方法により得ることができる。したがって、成分a)が様々な多官能イソシアネートを含む場合、より特に、多官能イソシアネートは混合物として使用されてもよい。ポリイソシアネートとして使用することに考慮される多官能イソシアネートは、1分子当たり2個(以下ジイソシアネートと称される)又は2個を超えるイソシアネート基を有する。
【0013】
特定の例は、アルキレンラジカルに4~12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート、例えばドデカン1,12-ジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン1,4-ジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、テトラメチレン1,4-ジイソシアネート、及び好ましくはヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート;脂環式ジイソシアネート、例えばシクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート、及びまたこれらの異性体の任意の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、ヘキサヒドロトリレン2,4-及び2,6-ジイソシアネート、及びまた対応する異性体混合物、ジシクロヘキシルメタン4,4’-、2,2’-及び2,4’-ジイソシアネート、及びまた対応する異性体混合物、及び好ましくは芳香族ポリイソシアネート、例えばトリレン2,4-及び2,6-ジイソシアネート、及び対応する異性体混合物、ジフェニルメタン4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジイソシアネート、及び対応する異性体混合物、ジフェニルメタン4,4’-及び2,2’-ジイソシアネートの混合物、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’-、4,4’-及び2,2’-ジイソシアネートとポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートとの混合物(粗MDI)、及び粗MDIとトリレンジイソシアネートとの混合物である。
【0014】
特に好適なものは、2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4-及び/又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチルビフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はp-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、トリ-、テトラ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、及び4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。
【0015】
修飾ポリイソシアネート、すなわち、有機ポリイソシアネートの化学的反応によって得られ、かつ、1分子当たり少なくとも2個の反応性イソシアネート基を有する製品もしばしば使用されている。しばしば未変換ポリイソシアネートと一緒に、ウレア、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、イソシアヌレート、ウレトジオン、カルバメート及び/又はウレタン基を含むポリイソシアネートが特に挙げられる。
【0016】
エポキシ含有の成分b)は、少なくとも2個のエポキシド基を含む、任意の所望の脂肪族、脂環式、芳香族及び/又は複素環化合物を含む。成分b)として有用な好ましいエポキシドは、1分子当たり2~4個、好ましくは2個のエポキシド基、及び90~500g/eq、好ましくは140~220g/eqのエポキシド当量を有する。
【0017】
好適なポリエポキシドは、例えば、多価フェノールの、例えばピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルプロパン(ビスフェノールA)の、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルメタンの、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン(ビスフェノールF)の、4,4’-ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルプロパンの、4,4’-ジヒドロキシビフェニルの、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)からの、トリス(4-ヒドロキシフェニル)-メタンの、上述したジフェノールの塩素化及び臭素化生成物、ノボラック(すなわち、酸性触媒の存在下で、1:1未満の当量比で、一価又は多価フェノール及び/又はクレゾールと、アルデヒド、特にホルムアルデヒドとの反応生成物から)の、1モルのジハロアルカン又はジハロジアルキルエステルで2モルの芳香族オキシカルボン酸のナトリウム塩をエステル化することによって得られたジフェノールの(イギリス特許第1 017 612号を参照)、又はフェノールと少なくとも2個のハロゲン原子を含有する長鎖ハロパラフィンとの縮合によって得られたポリフェノール(イギリス特許第1 024 288号を参照)のポリグリシジルエーテルである。さらに、以下が挙げられる:芳香族アミン及びエピクロロヒドリンをベースとするポリエポキシド化合物、例えばN-ジ(2,3-エポキシプロピル)アニリン、N,N’-ジメチル-N,N’-ジエポキシプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、N,N-ジエポキシプロピル-4-アミノフェニルグリシジルエーテル(イギリス特許第772 830号及び第816 923号を参照)。
【0018】
さらに使用可能なものは、任意にメチル基で置換されてもよい、多塩基性芳香族、脂肪族及び脂環式カルボン酸のグリシジルエステル、例えばジグリシジルフタレート、ジグリシジルイソフタレート、ジグリシジルテレフタレート、ジグリシジルアジパート、及び1モルの芳香族又は脂環式ジカルボン酸無水物と、1/2モルのジオール又は1/nモルのn個のヒドロキシル基を有するポリオールとの反応生成物のグリシジルエステル、又はジグリシジルヘキサヒドロフタレートである。
【0019】
多価アルコール、例えば1,4-ブタンジオール(Araldite(登録商標)DY-D、Huntsman)、1,4-ブテンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン(Araldite(登録商標)DY-T/CH、Huntsman)、ペンタエリスリトール及びポリエチレングリコールのグリシジルエステルも同様に使用することができる。また、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N’-ジエポキシプロピルオキシアミド、多価チオールのポリグリシジルチオエーテル、例えばビスメルカプトメチルベンゼン、ジグリシジルトリメチレントリスルホン、ヒダントインをベースとするポリグリシジルエーテルにも興味がある。
【0020】
最終的には、ポリ不飽和化合物、例えば植物油又はその変換生成物のエポキシ化生成物を使用することも可能である。ジ-及びポリオレフィン、例えばブタジエン、ビニルシクロヘキサン、1,5-シクロオクタジエン、1,5,9-シクロドデカトリエン、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン-スチレンインターポリマー、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、不飽和ポリエステルをベースとするエポキシ化可能な二重結合をまだ含有する鎖成長付加ポリマー及びインターポリマーのエポキシ化生成物、また、ディールス-アルダー付加によって得ることができ、次にペル化合物(percompound)でのエポキシ化によってポリエポキシドに変換するオレフィンのエポキシ化生成物、又は架橋原子又は架橋原子基によって結合されている2つのシクロペンテン又はシクロヘキセン環を含有する化合物のエポキシ化生成物も同様に使用することができる。
【0021】
本発明によれば、以下のポリエポキシド化合物又はそれらの混合物を成分b)として使用することが好ましい:
多価フェノールの、特にビスフェノールA(Araldit(登録商標)GY250、Huntsman;Ruetapox(登録商標)0162、Bakelite AG;Epikote(登録商標)Resin 162、Hexion Specialty Chemicals GmbH;Eurepox 710、Brenntag GmbH;Araldit(登録商標)GY250、Hunstman、D.E.R.(商標)332、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー;Epilox(登録商標)A 18-00、LEUNA-Harze GmbH)、又はビスフェノールF(4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、Araldit(登録商標)GY281、Huntsman;Epilox(登録商標)F 16-01、LEUNA-Harze GmbH;Epilox(登録商標)F 17-00、LEUNA-Harze GmbH)のポリグリシジルエーテル、芳香族アミンをベースとするポリエポキシ化合物、特にビス(N-エポキシプロピル)アニリン、N,N’-ジメチル-N,N’-ジエポキシプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、及びN,N-ジエポキシプロピル-4-アミノフェニルグリシジルエーテル;脂環式ジカルボン酸のポリグリシジルエステル、特にジグリシジルヘキサヒドロフタレート、及びnモルのヘキサヒドロフタル酸無水物と1モルのn個のヒドロキシル基(n=2~6の整数)を有するポリオール、特に3モルのヘキサヒドロフタル酸無水物と1モルの1,1,1-トリメチロールプロパンの反応生成物からのポリエポキシド;3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート。
【0022】
ビスフェノールA及びビスフェノールF及びまたノボラックのポリグリシジルエーテルが非常に特に好ましく、特にビスフェノールFのポリグリシジルエーテルが好ましい。
【0023】
液体ポリエポキシド又は低粘度ジエポキシド、例えばビス(N-エポキシプロピル)アニリン又はビニルシクロヘキサンジエポキシドは、特定の場合に、既に液体のポリエポキシドの粘度をさらに低下させることができるか、又は固体ポリエポキシドを液体混合物に変えることができる。
【0024】
成分b)は好ましくは、1:10~10:1、好ましくは1:5~5:1、より特に1:1.5~2:1のイソシアネート基とエポキシド基の当量比に対応する量で使用される。
【0025】
触媒c)は、エポキシド基を含む有機化合物(b)とポリイソシアネート(a)との反応を大幅に促進する。ここでは、触媒(c)は、少なくとも1種の一般式
[M(R)(R)(R)(R)][XI
(式中、Mが窒素原子又はリン原子、好ましくは窒素原子であり、R、R、R及びRが、いずれの場合にも互いに独立して、1~22個の炭素原子を有し、かつ、ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む置換基に置換されることが可能である直鎖又は分岐鎖アルキルラジカル、及び3~22個の炭素原子を有し、かつ、ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む基に置換されることが可能であるアルキル架橋の脂環式又は芳香族基からなる群から選択される有機ラジカルであり、Mが、環の、及び6~18個の炭素原子を有し、かつ、1~10個の炭素原子及び/又はヘテロ原子を有するアルキル基に置換されることが可能であるアリールラジカルの一部であってもよく、Mが環の一部であってもよく、Xがフッ素、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは塩素又は臭素であり、Iがヨウ素であり、nが0.1~10、好ましくは0.5~3、より好ましくは1.5~2.5、より特に2.0の有理数を表す)の化合物を含む。
【0026】
ラジカルR、R、R及びRは好ましくは、いずれの場合にも互いに独立して、フェニル、シクロヘキシル、及び1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基からなる群から選択される有機ラジカルであり、いずれの場合にも、該有機ラジカルが置換されてもよいが、好ましくは非置換である。1つの特に好ましい実施態様において、ラジカルR、R、R及びRは同一である。
【0027】
本発明のさらなる実施態様において、カチオンとして使用される化合物[M(R)(R)(R)(R)]は、少なくとも1つの、2個のラジカルRの架橋により形成される5~6員複素環、より特に少なくとも1個の窒素原子、及びまた、任意に、酸素原子又は硫黄原子を有する5員複素環を含む化合物である。特に好ましい化合物は、少なくとも1つの、1個、2個又は3個の窒素原子及び1個の硫黄原子又は1個の酸素原子を有し、特に好ましくは2個の窒素原子を有する5~6員複素環を含むものである。芳香族複素環、例えばピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、ピラゾリニウム、イミダゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、ピロリジニウム及びイミダゾリジニウムがさらに好ましい。芳香族複素環の場合、ラジカル-Rは芳香族二重結合に置き換えられてもよい。
【0028】
本発明の目的のため、ヘテロ原子は、炭素又は水素ではない原子であり、好ましくは窒素、酸素、硫黄、リン又はハロゲン原子、例えばフッ素、塩素又は臭素を含む。[XIはアニオンであり、ここで、Xがフッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、Iが元素ヨウ素である。ここでは、負電荷の正確な位置は、本発明の課題ではない。通常、電荷はXにある、すなわち、Xは、X、換言すれば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(B)又はヨウ素(I)である。このアニオン[XIは、[M(R)(R)(R)(R)]と元素ヨウ素を1:n(nが上記のように定義される)のモル比で反応させることにより得られる。化合物[M(R)(R)(R)(R)]は、知られており、例えばテトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド又はテトラブチルホスホニウムブロミドを含み、かつ、市販されている。四級アンモニウム三ハロゲン化物の製造も知られており、例えばH.Hallerら、Z.Anorgan.Allg.Chem.,2014,640,(7),1281~1291に記載されている。
【0029】
触媒(c)は通常、いずれの場合にも成分(a)、(b)及び(c)の総質量に基づいて、0.1~10質量%、好ましくは0.2~5質量%、より特に0.5~3質量%の量で使用される。
【0030】
使用される添加材料d)は、例えばポリオール、ポリアミン、発泡剤、充填剤、既知の泡安定剤、離型剤、及びまた、既知のUV安定剤及び加水分解抑制剤であり得る。
【0031】
ポリオールは、少なくとも2個、より特に2~8個、好ましくは2~3個のアルコール性ヒドロキシル基、及び62~8000g/molの分子量を有する化合物を含む。このような化合物は、それ自体がポリウレタンのための合成成分として知られており、低分子量鎖延長剤及び200g/molを超える数平均分子量を有するポリオールを含む。鎖延長剤の例は、単純な多価アルコール、例えばエチレングリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、グリセロール又はトリメチロールプロパンである;ポリオールの例は、ジメチルシロキサンユニットを含有するポリオール、例えばビス(ジメチルヒドロキシメチルシリル)エーテル;エステル基を含有するポリヒドロキシル化合物、例えばヒマシ油、又は例えば、過量の上記で挙げられたタイプの単純な多価アルコールと、好ましくは二塩基性カルボン酸及び/又はそれらの水素化物、例えばアジピン酸、フタル酸又は無水フタル酸との重縮合によって得ることができる種類のポリヒドロキシポリエステル;プロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを水などの好適な出発分子、例えば上記で挙げられた単純なアルコール、又は少なくとも2つのアミン性NH結合を有するアミンに付加することによって得ることができる種類のポリヒドロキシルポリエーテル;又は例えば多価アルコール及びカーボネート又はホスゲンから得られるポリカーボネートポリオールである。
【0032】
使用することができるポリアミンは、少なくとも2個のイソシアネート反応性水素原子(そのうち、少なくとも1個が第1級又は第2級アミノ基に属する)を有する化合物である。それらは、ポリエーテルアミン、及び500g/mol未満の分子量を有する化合物を含む。ポリエーテルアミンは、ポリウレタン化学から知られており、ポリエーテルポリオールの末端アミノ化によって得ることができる。好ましくは、それらは500~8000g/molの分子量を有する。好ましく使用される、2個のアミノ基及び500g/mol未満の分子量を有する化合物は、より好ましくは58~300g/mol、より特に100~200g/molの分子量を有する。好ましくは、これらの化合物のイソシアネート反応性基は2個の第1級アミノ基である。1つの特に好ましい実施態様において、第1級アミノ基は、芳香族の炭素原子に、好ましくは芳香族の6員環に、より特にメタ-又はパラ-位で結合している。
【0033】
好ましくは、20質量%未満、より好ましくは10質量%未満のポリオール及び/又はポリアミンを使用し、より特にはポリオール及び/又はポリアミンを使用しない。ポリオール及び/又はポリアミンを使用する場合、好ましくは、これは、ポリイソシアネート(a)中のイソシアネート基と成分(b)のイソシアネート反応性基との比が1.5:1を超え、好ましくは5:1を超え、より特に10:1を超えるような量で行われる。
【0034】
本発明のフォームの製造に使用される発泡剤には、化学発泡剤、例えば水、ギ酸及びそれらの混合物が含まれる。ギ酸及び水以外に、好適な化学発泡剤はホスホリンオキシドである。これらの発泡剤はイソシアネート基と反応して、二酸化炭素を生成し、ギ酸の場合に二酸化炭素及び一酸化炭素を生成する。これらの発泡剤がイソシアネート基との化学反応によってガスを放出するため、それらは化学発泡剤と称される。また、物理発泡剤、例えば低沸点炭化水素を使用することも可能である。特に好適なものは、ポリイソシアネートa)に対して不活性であり、大気圧下で100℃未満、好ましくは50℃未満の沸点を有する液体であり、このようにしてそれらは発熱重付加反応の影響下で蒸発する。好ましく使用されるこのような液体の例は、アルカン、例えばヘプタン、ヘキサン、n-及びイソペンタン、好ましくはn-とイソペンタンの技術的混合物、n-及びイソブタン及びプロパン、シクロアルカン、例えばシクロペンタン及び/又はシクロヘキサン、エーテル、例えばフラン、ジメチルエーテル及びジエチルエーテル、ケトン、例えばアセトン及びメチルエチルケトン、カルボン酸のアルキルエステル、例えばメチルホルマート、ジメチルオキサラート及びエチルアセテート、及びハロゲン化炭化水素、例えばメチレンクロライド、ジクロロモノフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン、2,2-ジクロロ-2-フルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン及びヘキサフルオロブテンである。また、これらの低沸点液体の互いの及び/又は他の置換又は非置換炭化水素との混合物も使用することができる。好ましくは、物理発泡剤は成分(b)に可溶である。
【0035】
したがって、発泡剤を使用する場合、ハロゲン化炭化水素を発泡剤として使用しないことが好ましい。水、ギ酸/水混合物又はギ酸を化学発泡剤として使用することが好ましく、特に好ましい化学発泡剤はギ酸-水混合物又はギ酸である。ペンタン異性体又はペンタン異性体の混合物を物理発泡剤として使用することが好ましい。1つの特に好ましい実施態様において、いずれの場合にも成分(a)~(d)の総質量に基づいて、5質量%未満、好ましくは2質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、より特に0.1質量%未満の発泡剤を使用する。
【0036】
任意に付随して使用するためのさらなる助剤及び添加剤(d)は、例えば、充填剤、例えば細かく粉砕された石英、チョーク、マイクロドール、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、グラファイト又はコランダム;顔料、例えば二酸化チタン、酸化鉄、又は有機顔料、例えばフタロシアニン顔料;可塑剤、例えばジオクチルフタレート、トリブチルホスフェート又はトリフェニルホスフェート;組み込むことができる相溶化剤、例えばメタクリル酸、β-ヒドロキシプロピルエステル、マレイン酸エステル及びフマル酸エステル;難燃性を促進する物質、例えば赤リン又は酸化マグネシウム;可溶性染料又は補強材、例えばガラス繊維又はガラス布である。C繊維及びC-繊維布、及び他の有機ポリマー繊維、例えばアラミド繊維又はLCポリマー繊維(LC=「液晶」)が同様に好適である。また、金属充填剤、例えばアルミニウム、銅、鉄及び/又は鋼も充填剤として考えられる。より特に、金属充填剤は顆粒状及び/又は粉末状で使用される。
【0037】
助剤及び添加剤(d)はさらに、既知のポリエーテルシロキサンタイプの泡安定剤、離型剤、例えばポリアミドワックス及び/又はステアリン酸誘導体及び/又は天然ワックス(例えば、カルナウバワックス)、及びまた、既知のUV安定剤及び加水分解抑制剤を含んでもよい。
【0038】
好ましくは、オキサゾリジノン基を含む本発明の固体は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂を製造するために、好ましくは、反応性基に関するこれらの反応物は、好ましくは1.9~3.0、より好ましくは1.95超~2.5の平均官能価を有する。ここでは、オキサゾリジノン基を含有する化合物の特性は、いずれの場合にも使用される化合物に基づいて、ポリウレタンの化学性質に従って、例えば架橋密度の調整により、調整することができる。
【0039】
本発明の成形品は、成分(a)~(d)を混合して反応混合物を形成し、該反応混合物を鋳型中又はその上で完全に反応させることによって製造される。全ての反応物を同時に混合することが可能である。本発明の一実施態様において、成分(b)及び(c)、及びまた、任意に(d)を含むポリオール成分は、最初に導入され、イソシアネート成分と混合されて反応混合物を形成する。本発明の他の実施態様において、ポリイソシアネート(a)を触媒(c)と混合してイソシアネート成分を形成し、該イソシアネート成分を成分(b)及び任意に(d)と混合して反応混合物を形成する。反応混合物を反応させて、好ましくは120℃を超える温度で、より好ましくは150℃~275℃の温度で、より特に180℃~220℃の温度でオキサゾリジノン基を含む成形品を形成し、ここで、当該温度は好ましくは、鋳型の温度制御又はオーブン中で硬化させることにより設定される。混合における出発材料の温度は、好ましくは0~100℃、より好ましくは20~80℃、より特に25~60℃である。十分な強度が得られたら、成形品を鋳型から取り出すことができる。
【0040】
オキサゾリジノン基を含有する本発明の化合物は、高い熱安定性、及びまた、優れた機械的特性、例えば優れたノッチ付き衝撃強度で注目に値するものである。オキサゾリジノン基を含有する本発明の熱硬化性樹脂は、例えば、コーティング、接着剤及び複合材料として使用されてもよい。したがって、本発明の反応混合物は、50℃で長いオープンタイムを有する。さらに、オキサゾリジノン基を含有する本発明の熱硬化性樹脂は、高いガラス転移温度、優れた機械的値、例えば引張強度又は硬度、及び高い衝撃強度を示し、このようにして、これらは、電子用途、例えば変圧器のための絶縁層の浸漬ワニスとして、複合部品、例えば回転巻き部品(rotation-wound components)、マスト、又は例えば真空注入技術により製造される大型複合部品、例えば風力タービンの羽根に使用することに特に適する。オキサゾリジノン基を含有する本発明の熱硬化性樹脂は、例えば、特に好ましくは複合部品、例えば回転巻線部品、及び特に、例えば真空注入技術により製造される大型複合部品、例えば風力タービンの羽根に使用される。
【実施例
【0041】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0042】
原料:
エポキシ1:190のエポキシド当量(g/equiv.)を有する、ビスフェノールAをベースとするジグリシジルエーテル(LEUNA-Harze GmbH製のLupranate Epilox A19-03)。
エポキシ2:168のエポキシド当量(g/equiv.)を有する、o-クレシルグリシジルエーテル(EMS-Griltech製のGrilonit RV 1805)。
Iso1:ウレトンイミン修飾4,4’MDI(BASF製のLupranate MM103)。
Iso2:23%のNCO値を有する、4,4’-MDIをベースとするプレポリマー(BASF製のLupranate MP102)。
Iso3:4,4’-MDI(BASF製のLupranate ME)。
Mesamoll:Lanxess製の(C10~C21)アルカンスルホン酸フェニルエステル。
Sigma-Aldrich製のテトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド及びヨウ素。
【0043】
実施例:
触媒の調製:
触媒1:
27.8gのテトラブチルアンモニウムクロリド(0.1モル)及び25.4gのI(0.1モル)を秤量して、100mLのガラスフラスコ中に入れる。容器を閉じて、オーブン中で130℃で2時間加熱する。その後、温度を90℃に低下させる。オーブンからフラスコを取り出し、反応生成物を、事前に90℃に短時間加熱した79.8gのMesamollと直接混合する。次に、フラスコを閉じ、混合物をさらに冷却させ、55℃で保存し、そのまま使用する。反応生成物とMesamollの混合比は0.4:0.6であった。以下、該触媒を触媒1と称する。
【0044】
触媒2:
触媒2の調製において、テトラブチルアンモニウムクロリドとヨウ素(I)のモル比を1:0.5に低下させる。反応物の量を27.8gのテトラブチルアンモニウムクロリド及び12.7gのヨウ素に変更することにより、これを達成させる。合成及びMesamollの添加を触媒1に記載しているように行う;添加されるMesamollの量は60.8gである。これは、0.4:0.6の反応生成物とMesamollの混合比に対応する。
【0045】
触媒3:
触媒3の調製において、テトラブチルアンモニウムブロミドをヨウ素(I)と1:1のモル比で反応させる。32.2gのテトラブチルアンモニウムブロミド及び25.4gのヨウ素を互いに反応させることにより、これを達成させる。合成及びMesamollの添加を触媒1に記載しているように行う;添加されるMesamollの量は86.4gである。これは、0.4:0.6の反応生成物とMesamollの混合比に対応する。
【0046】
触媒4:
触媒4の調製において、テトラブチルアンモニウムブロミドとヨウ素(I)のモル比を1:0.5に低下させる。反応物の量を32.2gのテトラブチルアンモニウムブロミド及び12.7gのヨウ素に変更することにより、これを達成させる。合成及びMesamollの添加を触媒1に記載しているように行う;添加されるMesamollの量は67.4gである。これは、0.4:0.6の反応生成物とMesamollの混合比に対応する。
【0047】
触媒A:
20.0gのテトラブチルアンモニウムクロリド及び30.0gのMesamollを秤量して、100mLのガラスフラスコ中に入れる。容器を閉じて、オーブン中で130℃で2時間加熱する。これにより、室温まで冷却しても安定する液体成分を得た。
【0048】
触媒B:
20.0gのテトラブチルアンモニウムブロミド及び30.0gのMesamollを秤量して、100mLのガラスフラスコ中に入れる。容器を閉じて、オーブン中で130℃で2時間加熱する。これにより、室温まで冷却しても安定する液体成分を得た。
【0049】
オキサゾリジノン基の形成の検出
オキサゾリジノン基を含有するポリマーの調製に、触媒1~4及び触媒A及びBを使用する。反応性基のモル比を1:1で計算し、テトラブチルアンモニウムハライドの含有量に基づいて、公称モル量の触媒を一定に維持することで、エポキシ1及びiso1からポリマーを調製することにより、これを達成させる。この目的のため、特定の成分を55℃で加熱し、Speedmixerで1600rpmで30秒間混合した。その後、混合物を、15×20×0.2cmの寸法を有し、かつ、上部が開いたアルミニウム鋳型中に200℃の温度で導入し、30分間わたって完全に反応させた。
【0050】
オキサゾリジノン基の形成に使用された検出方法は、IR分光法であった。ダイヤモンド測定ヘッドを備えるBruker製のモデルALPHA-27のIR機器を使用して、IR分析を行った。少量のポリマー試料(数ミリグラム)をダイヤモンド測定ヘッドに押し付け、スペクトルを記録した。それぞれ1749及び1704cm-1でのバンドの存在により、オキサゾリジノン及びイソシアヌレート基の形成を検出した。2つのバンドの高さ(cmで表示する)の比(1749cm-1での高さを1704cm-1での高さで除した値)に基づいて、オキサゾリジノンとイソシアヌレートの比を計算した。この値が高いほど、ポリマーが含有するオキサゾリジノン基が多くなり、イソシアヌレート基が少なくなる。原料のエポキシ1及びiso1は関連するIR周波数範囲で吸収がないことに留意すべきである。1850cm-1での吸収値、及び約1550cm-1の吸収で見られる最小値により、ベースラインを引いた。
【0051】
表1は、混合物、及びプレートで測定されたオキサゾリジノン:イソシアヌレートの比(Ox/Is)を記載している。また、表1は、本発明の触媒を用いて製造されたプレートがはるかに高いオキサゾリジノン含有量を示すことも示している。
【0052】
【表1】
【0053】
ここでは、機械的特性を以下のように決定した:
ショアD硬度: DIN ISO 7619-1
引張強度: DIN EN ISO 527
破断伸び: DIN EN ISO 527
弾性率: DIN EN ISO 527
ノッチ付き衝撃強度: DIN EN ISO 179-1/1eU
曲げ強度: DIN EN ISO 178
曲げ弾性率: DIN EN ISO 178。
【0054】
表には、本発明の触媒を使用することにより、固体において、イソシアヌレート基と比較して、オキサゾリジノン基の著しく増加するレベルが得られることを示している。これは、機械的特性に影響を及ぼす。したがって、本発明の触媒を使用する場合、特に一定の硬度におけるガラス転移温度、ノッチ付き衝撃強度、及びノッチ付き衝撃強度が増大する。