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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/24 20060101AFI20220808BHJP
   C08F 20/04 20060101ALI20220808BHJP
   C08F 20/38 20060101ALI20220808BHJP
   C08F 20/20 20060101ALI20220808BHJP
   C08F 20/54 20060101ALI20220808BHJP
   C08F 8/00 20060101ALI20220808BHJP
   D01F 6/36 20060101ALI20220808BHJP
   D01F 6/16 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
C08J3/24
C08F20/04
C08F20/38
C08F20/20
C08F20/54
C08F8/00
D01F6/36
D01F6/16
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020537520
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 KR2019015681
(87)【国際公開番号】W WO2020122442
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2020-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2018-0161293
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】キュ・パル・キム
(72)【発明者】
【氏名】チンウク・チェ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ファ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ギチュル・キム
(72)【発明者】
【氏名】キ・ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スル・ア・イ
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/139768(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0043143(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0043713(KR,A)
【文献】特表2005-536599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00- 3/28
D01F 1/00- 6/96,
9/00- 9/04
C08F 6/00-246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式1で表される内部架橋剤の存在下で、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成する段階;
前記含水ゲル重合体をゲル粉砕する段階;
前記ゲル粉砕された含水ゲル重合体を乾燥、粉砕および分級してベース樹脂粉末を形成する段階;および
表面架橋剤の存在下で、前記ベース樹脂粉末を熱処理して表面架橋する段階を含み、
前記表面架橋剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコールおよびグリセロールからなる群より選択された1種以上のポリオール;エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートからなる群より選択された1種以上のアルキレンカーボネート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルのエポキシ化合物;オキサゾリジノンなどのオキサゾリン化合物;ポリアミン化合物;モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノン化合物;または環状ウレア化合物を含み、
前記ゲル粉砕段階は、円筒形粉砕機の内部に装着されたスクリュー型押出機を利用して前記含水ゲル重合体を複数のホールが形成された多孔板に押し出しながら、下記計算式1によるチョッピング指数が31乃至40(/s)になる条件下で行われる、高吸水性樹脂の製造方法:
【化1】
前記化学式1で、Rは炭素数1乃至10のアルカン由来の二価有機基であり、Rは水素またはメチル基であり、
[計算式1]
チョッピング指数(C.I.)=ω×(TSC/A)×チョッピング回数(T)
前記計算式1で、
ωは前記スクリュー型押出機におけるスクリューの角速度(2π×N/60s)であり、ここで前記Nは前記スクリューの回転数(rpm)であり、TSCは前記粉砕機に投入された前記含水ゲル重合体の固形分含有量(%)であり、Aは前記多孔板の開口率(πr×n/πR)であり、ここで前記rは前記多孔板に形成されたホールの半径(mm)であり、前記nは前記多孔板に形成されたホールの個数であり、前記Rは前記多孔板の半径(mm)である。
【請求項2】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の陰イオン性単量体とその塩;(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの非イオン系親水性含有単量体;および(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたは(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのアミノ基含有不飽和単量体とその四級化物;からなる群より選択された1種以上の化合物を含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記内部架橋剤は、前記化学式1でRがメタン-1,1-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、プロパン-1,1-ジイル、n-ブタン-1,4-ジイル、n-ブタン-1,3-ジイル、n-ブタン-1,2-ジイル、n-ブタン-1,1-ジイル、2-メチルプロパン-1,3-ジイル、2-メチルプロパン-1,2-ジイル、2-メチルプロパン-1,1-ジイル、2-メチルブタン-1,4-ジイル、2-メチルブタン-2,4-ジイル、2-メチルブタン-3,4-ジイル、2-メチルブタン-4,4-ジイル、2-メチルブタン-1,3-ジイル、2-メチルブタン-1,2-ジイル、2-メチルブタン-1,1-ジイル、2-メチルブタン-2,3-ジイル、3-メチルブタン-1,2-ジイル、または3-メチルブタン-1,3-ジイルである化合物を含む、請求項1または2に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記内部架橋剤は、内部架橋剤総重量に対して前記化学式1の化合物10乃至100重量%を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記内部架橋剤は、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリアリルアミン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール、グリセリン、およびエチレンカーボネートからなる群より選択された1種以上の追加内部架橋剤をさらに含む、請求項4に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01乃至5重量部で使用される、請求項1から5のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記分級段階後のベース樹脂粉末は、150乃至850μmの粒径を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記表面架橋剤は、シリカ(silica)、クレイ(clay)、アルミナ、シリカ-アルミナ複合材、チタニア、亜鉛酸化物およびアルミニウムスルフェートからなる群より選択された1種以上の無機物質をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記表面架橋剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.01乃至3重量部で使用される、請求項1から8のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記表面架橋段階の熱処理は、80℃乃至200℃の温度で20分乃至2時間行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記高吸水性樹脂は、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)に対する30分間の遠心分離保水能(CRC)が35乃至50g/gである、請求項1から10のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項12】
前記高吸水性樹脂は、ボルテックス法による吸水速度が35乃至70秒になる、請求項5から11のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた吸水性能を維持しながらも、向上した吸水速度を示す高吸水性樹脂の製造を可能にする高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸水性樹脂(super absorbent polymer、SAP)とは、自重の5百乃至1千倍程度の水分を吸収できる合成高分子物質であり、SAM(super absorbency material)、AGM(absorbent gel material)などとも呼ばれている。
【0003】
高吸水性樹脂は、生理用品として実用化し始め、現在は乳幼児用紙おむつなどの衛生用品、園芸用土壌保水材、土木用止水材、育苗用シート、食品流通分野における新鮮度保持剤など多様な分野に広く用いられている。
【0004】
最も多い場合に、このような高吸水性樹脂は、おむつや生理用ナプキンなど衛生材分野で広く使用されているが、このような用途のために水分などに対する高い吸収力を示す必要があり、外部の圧力にも吸収された水分が抜け出ることができず、これに加えて、水を吸収して体積膨張(膨潤)された状態でも形態をよく維持して優れた通液性(permeability)を示す必要がある。
【0005】
最近は薄いおむつに対する要求が増加することによって、おむつ内の吸水性樹脂の比率が増加する傾向にある。したがって、おむつの繊維材が担当した性能を吸水性樹脂が兼備する必要性があり、また衛生材の乾燥度(dryness)の改善のために、高吸水性樹脂の高い吸水倍率はもちろん、高い吸水速度を示さなければならない必要性が増加している。
【0006】
以前は高吸水性樹脂の吸水速度を向上させるための方法として、発泡重合などを通じて高吸水性樹脂内に多孔性構造を導入する方法や、ゲル粉砕段階で機械的/物理的負荷をより大きく加えて高吸水性樹脂の表面積を広げる方法が知られている。
【0007】
しかし、前記発泡重合を通じた方法の場合、発泡剤の過度な使用などにより高吸水性樹脂の基本的な吸水性能自体が低下する場合が多かった。また、ゲル粉砕段階で高い機械的負荷を加える方法も、高吸水性樹脂内部の架橋構造が過度に破壊されて高吸水性樹脂の加圧下吸水能などの吸水性能低下が起こり得る。しかも、内部架橋度が低く、保水能など吸水性能が高い状態の重合体に対して、ゲル粉砕過程で高い機械的負荷を加える場合、機器の負荷が増加し、べたつきが激しくて安定した工程運転が難しくなるなどの問題が存在した。
【0008】
前述した諸般問題によって、高吸水性樹脂の吸水速度および吸水性能を共に向上させるのに限界があったことが事実であり、高吸水性樹脂の吸水性能を優れるように維持しながらも、吸水速度をより向上させることができる技術の開発が継続して求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、優れた吸水性能を維持しながらも、向上した吸水速度を示す高吸水性樹脂の製造を可能にする高吸水性樹脂の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、化学式1で表される内部架橋剤の存在下で、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成する段階;
前記含水ゲル重合体をゲル粉砕する段階;
前記ゲル粉砕された含水ゲル重合体を乾燥、粉砕および分級してベース樹脂粉末を形成する段階;および
表面架橋剤の存在下で、前記ベース樹脂粉末を熱処理して表面架橋する段階を含み、
前記ゲル粉砕段階は、円筒形粉砕機の内部に装着されたスクリュー型押出機を利用して前記含水ゲル重合体を複数のホールが形成された多孔板に押し出しながら、下記計算式1によるチョッピング指数が28(/s)以上になる条件下で行われる、高吸水性樹脂の製造方法を提供する:
【0011】
【化1】
【0012】
前記化学式1で、Rは炭素数1乃至10のアルカン由来の二価有機基であり、Rは水素またはメチル基であり、
【0013】
[計算式1]
チョッピング指数(C.I.)=ω×(TSC/A)×チョッピング回数(T)
【0014】
前記計算式1で、
ωは前記スクリュー型押出機におけるスクリューの角速度(2π×N/60s)であり、ここで前記Nは前記スクリューの回転数(rpm)であり、TSCは前記粉砕機に投入された前記含水ゲル重合体の固形分含有量(%)であり、Aは前記多孔板の開口率(πr×n/πR)であり、ここで前記rは前記多孔板に形成されたホールの半径(mm)であり、前記nは前記多孔板に形成されたホールの個数であり、前記Rは前記多孔板の半径(mm)である。
【0015】
以下、本発明の実施形態による高吸水性樹脂の製造方法についてより詳細に説明する。
【0016】
それに先立ち、本明細書に使用される専門用語は、単に特定の実施形態を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。そして、ここで使用される単数の形態は、文言がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数の形態も含む。
【0017】
本明細書で使用される「含む」または「含有する」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、または成分の付加を除外させるものではない。
【0018】
本発明で使用する用語「高吸水性樹脂」とは、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合体を含むベース樹脂粉末;および前記ベース樹脂粉末上に形成されており、前記架橋重合体が表面架橋剤を媒介として追加架橋された表面架橋層を含む樹脂を意味する。
【0019】
発明の一実施形態によれば、化学式1で表される内部架橋剤の存在下で、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成する段階;
前記含水ゲル重合体をゲル粉砕する段階;
前記ゲル粉砕された含水ゲル重合体を乾燥、粉砕および分級してベース樹脂粉末を形成する段階;および
表面架橋剤の存在下で、前記ベース樹脂粉末を熱処理して表面架橋する段階を含み、
前記ゲル粉砕段階は、円筒形粉砕機の内部に装着されたスクリュー型押出機を利用して前記含水ゲル重合体を複数のホールが形成された多孔板に押し出しながら、下記計算式1によるチョッピング指数が28(/s)以上になる条件下で行われる、高吸水性樹脂の製造方法が提供される:
【0020】
【化2】
【0021】
前記化学式1で、Rは炭素数1乃至10のアルカン由来の二価有機基であり、Rは水素またはメチル基であり、
【0022】
[計算式1]
チョッピング指数(C.I.)=ω×(TSC/A)×チョッピング回数(T)
【0023】
前記計算式1で、
ωは前記スクリュー型押出機におけるスクリューの角速度(2π×N/60s)であり、ここで前記Nは前記スクリューの回転数(rpm)であり、TSCは前記粉砕機に投入された前記含水ゲル重合体の固形分含有量(%)であり、Aは前記多孔板の開口率(πr×n/πR)であり、ここで前記rは前記多孔板に形成されたホールの半径(mm)であり、前記nは前記多孔板に形成されたホールの個数であり、前記Rは前記多孔板の半径(mm)である。
【0024】
一実施形態の製造方法では、化学式1の化合物を内部架橋剤として用いて架橋重合を進行し、架橋重合された含水ゲル重合体のゲル粉砕時に一定水準以上の機械的/物理的負荷、つまり、一定水準以上の剪断力および圧縮力を加えて前記ゲル粉砕を進行する。
【0025】
前記化学式1の化合物は、両末端に架橋可能なアクリル系官能基を含み、これと共に高温の熱により分解可能な官能基(Rおよびこれに結合された分枝鎖部分)を構造中に含む。このような化学式1の化合物は、架橋重合により含水ゲル重合体および高吸水性樹脂内に高い密度の架橋構造を形成することができる。これと同時に、前記化学式1の化合物は、表面架橋時の高温熱処理によりその構造中の一部が熱分解されて高吸水性樹脂の架橋密度を再び粗くすることができる。
【0026】
つまり、一実施形態の方法では、架橋重合時に内部架橋剤を十分な量で用いて高い架橋密度を有する含水ゲル重合体を形成することができ、これに対して機械的負荷を印加して含水ゲル重合体の表面積を広げることができる。特に、前記含水ゲル重合体の高い架橋密度やこれによる低い保水能など吸水性能により、機器的負荷なしにも広い表面積を実現して、高吸水性樹脂の吸水速度をより向上させることができる。
【0027】
このようなゲル粉砕後に、乾燥、粉砕および分級過程を経てから、表面架橋工程を進行すれば、高吸水性樹脂の表面架橋密度は高まりながら、その内部の架橋密度は前記化学式1の化合物の熱分解により低くなり得る。このように、高吸水性樹脂内部の架橋密度が低くなることによって、最終製造された高吸水性樹脂は内部に多い含有量の水分を吸収できるようになって優れた吸水性能を示すことができる。
【0028】
したがって、一実施形態の方法によれば、機器的負荷などの問題なしに高吸水性樹脂の向上した吸水速度を実現しながらも、優れた吸水性能を維持することができる。
【0029】
以下、一実施形態の製造方法を各段階別により具体的に説明する。
【0030】
まず、第一の段階は、含水ゲル重合体を製造する段階として、具体的に、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を含む単量体組成物を内部架橋剤の存在下で架橋重合して含水ゲル重合体を形成する段階である。
【0031】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、高吸水性樹脂の製造に通常使用される任意の単量体であってもよい。具体的に、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、下記の化学式1で表される化合物であってもよい:
【0032】
[化学式1]
-COOM
【0033】
前記化学式1で、
は不飽和結合を含む炭素数2乃至5のアルキル基であり、
は水素原子、一価または二価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0034】
好ましくは、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれら酸の一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群より選択された1種以上であってもよい。このように水溶性エチレン系不飽和単量体としてアクリル酸またはその塩を用いる場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂を得ることができるため有利である。この他にも前記単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の陰イオン性単量体とその塩;(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの非イオン系親水性含有単量体;および(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたは(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのアミノ基含有不飽和単量体とその四級化物;からなる群より選択された1種以上を用いることができる。
【0035】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基を有し、前記酸性基の少なくとも一部が中和したものであってもよい。好ましくは前記単量体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどのアルカリ物質で部分的に中和させたものが用いられてもよい。
【0036】
この時、前記単量体の中和度は、40乃至95モル%、または40乃至80モル%、または45乃至75モル%であってもよい。前記中和度の範囲は最終物性により変わり得るが、中和度が過度に高ければ中和した単量体が析出されて重合が円滑に行われ難いこともあり、反対に中和度が過度に低ければ高分子の吸収力が大きく落ちるだけでなく、取り扱いが困難な弾性ゴムのような性質を示すことがある。
【0037】
前記単量体組成物には、高吸水性樹脂の製造に一般に使用される重合開始剤が含まれてもよい。
【0038】
前記重合開始剤としては、重合方法により熱重合開始剤または光重合開始剤などが用いられてもよい。ただし、光重合方法によるとしても、紫外線照射などにより一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応の進行によりある程度の熱が発生するため、熱重合開始剤が追加的に含まれてもよい。
【0039】
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびα-アミノケトン(a-aminoketone)からなる群より選択された一つ以上の化合物を用いることができる。そのうち、アシルホスフィンの具体的な例として、商用のlucirin TPO、つまり、2,4,6-トリメチル-ベンゾイル-トリメチルホスフィンオキシド(2,4,6-trimethyl-benzoyl-trimethyl phosphine oxide)を用いることができる。より多様な光開始剤については、Reinhold Schwalmの著書である「UV Coatings:Basics, Recent Developments and New Application(Elsevier, 2007)」の115頁に開示されており、これを参照することができる。
【0040】
前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤群より選択された一つ以上の化合物を用いることができる。具体的に、過硫酸塩系開始剤の例としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH)などが例に挙げられる。また、アゾ(Azo)系開始剤としては、2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane) dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロクロライド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitril)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane] dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などを例に挙げられる。より多様な熱重合開始剤については、Odianの著書である「Principle of Polymerization(Wiley,1981)」の203頁に開示されており、これを参照することができる。
【0041】
このような重合開始剤は、前記単量体組成物に対して0.001乃至1重量%、あるいは0.005乃至0.5重量%の濃度で添加されてもよい。つまり、前記重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなることがあり、最終製品に残存モノマーが多量抽出されることがあるため好ましくない。反対に、前記重合開始剤の濃度が過度に高い場合、ネットワークをなす高分子チェーンが短くなって水可溶成分の含有量が高くなり、加圧吸水能が低くなるなど、樹脂の物性が低下することがあるため好ましくない。
【0042】
一方、前記単量体組成物の重合は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の重合による樹脂の物性を向上させるために架橋剤(「内部架橋剤」)の存在下で行われる。前記架橋剤は、含水ゲル重合体を内部架橋させるためのものであり、後述する「表面架橋剤」とは別に用いられ得る。
【0043】
一実施形態の方法では、このような内部架橋剤として前記化学式1の化合物を主に用いる。このような化合物は、架橋反応を起こして含水ゲル重合体などの内部に高い架橋密度有する架橋構造を形成することができる。これと同時に、前記化学式1の化合物は、熱分解可能な作用基を構造中に含み、表面架橋時の高温熱処理によりその構造の一部が熱分解され得る。
【0044】
このような化学式1でRは、前記定義されたとおり、炭素数1乃至10のアルカン(alkane)由来の二価有機基であり、Rは水素またはメチル基である。この時、前記アルカンは、直鎖、分枝鎖または環状アルカンであってもよく、このようなアルカン由来の二価有機基は、一つの炭素で2個の水素が除去された二価有機基であるか、または互いに異なる炭素でそれぞれ1個の水素が除去された二価の有機基であってもよい。具体的に、前記Rは、メタン-1,1-ジイル、エタン-1,2-ジイル、エタン-1,1-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、プロパン-1,1-ジイル、n-ブタン-1,4-ジイル、n-ブタン-1,3-ジイル、n-ブタン-1,2-ジイル、n-ブタン-1,1-ジイル、2-メチルプロパン-1,3-ジイル、2-メチルプロパン-1,2-ジイル、2-メチルプロパン-1,1-ジイル、2-メチルブタン-1,4-ジイル、2-メチルブタン-2,4-ジイル、2-メチルブタン-3,4-ジイル、2-メチルブタン-4,4-ジイル、2-メチルブタン-1,3-ジイル、2-メチルブタン-1,2-ジイル、2-メチルブタン-1,1-ジイル、2-メチルブタン-2,3-ジイル、3-メチルブタン-1,1-ジイル、3-メチルブタン-1,2-ジイル、3-メチルブタン-1,3-ジイル、または3-メチルブタン-2,3-ジイルであってもよい。
【0045】
この中でも前記化学式1のRは、メタン-1,1-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、プロパン-1,1-ジイル、n-ブタン-1,4-ジイル、n-ブタン-1,3-ジイル、n-ブタン-1,2-ジイル、n-ブタン-1,1-ジイル、2-メチルプロパン-1,3-ジイル、2-メチルプロパン-1,2-ジイル、2-メチルプロパン-1,1-ジイル、2-メチルブタン-1,4-ジイル、2-メチルブタン-2,4-ジイル、2-メチルブタン-3,4-ジイル、2-メチルブタン-4,4-ジイル、2-メチルブタン-1,3-ジイル、2-メチルブタン-1,2-ジイル、2-メチルブタン-1,1-ジイル、2-メチルブタン-2,3-ジイル、3-メチルブタン-1,2-ジイル、または3-メチルブタン-1,3-ジイルであってもよい。
【0046】
具体的に、前記化学式1のRは、メタン-1,1-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、または3-メチルブタン-1,3-ジイルであってもよい。より具体的に、前記化学式1のRは、3-メチルブタン-1,3-ジイルであってもよい。
【0047】
前記化学式1のRが前記列記された二価有機基である化合物は、熱エネルギーによる分解能調節が容易な内部架橋構造を提供することができ、分解後に高吸水性樹脂の諸般物性を変化させる副生成物または水可溶成分を生成しないことができる。
【0048】
前記内部架橋剤は、前記化学式1で表される化合物以外に発明が属する技術分野に知られた追加内部架橋剤を追加的に含むことができる。このような追加内部架橋剤としては、分子内に2個以上の架橋性官能基を含む化合物を用いることができる。前記追加内部架橋剤は、前述した水溶性エチレン系不飽和単量体の円滑な架橋重合反応のために架橋性官能基として、炭素間の二重結合を含むことができる。具体的に、追加内部架橋剤としては、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリアリルアミン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール、グリセリン、およびエチレンカーボネートからなる群より選択された1種以上を用いることができる。その他にも、以前から高吸水性樹脂の内部架橋剤として使用可能であると知られた多様な化合物を追加内部架橋剤として用いることができる。
【0049】
前記内部架橋剤は、高吸水性樹脂が目的とする水準の架橋密度勾配を有するように、内部架橋剤総重量に対して10乃至100重量%、あるいは30乃至100重量%、あるいは50乃至90重量%で前記化学式1の化合物を含み、残りの含有量の追加内部架橋剤を選択的に含むことができる。ただし、吸水性能および吸水速度が同時に向上した高吸水性樹脂を提供するという側面から前記内部架橋剤として前記化学式1の化合物だけを用いることができる。つまり、前記内部架橋剤は、総重量に対して前記化学式1の化合物を100重量%で含むことができる。
【0050】
そして、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01乃至5重量部で用いることができる。例えば、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01重量部以上、0.05重量部以上、または0.1重量部以上であり、5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、または1重量部以下で用いることができる。この時、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の含有量は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体に含まれている酸性基を有する単量体の酸性基が中和する前の水溶性エチレン系不飽和単量体重量を基準とする。例えば、水溶性エチレン系不飽和単量体がアクリル酸を含む場合、アクリル酸を中和させる前の単量体重量を基準として内部架橋剤の含有量を調節することができる。前記内部架橋剤の含有量が過度に低い場合、後述する熱処理工程による熱分解が十分に起こらないことがあり、前記内部架橋剤の含有量が過度に高い場合、内部架橋密度が高くなって所望する吸水性能の実現が難しいこともある。
【0051】
一方、前記単量体組成物の架橋重合は、吸水速度の追加的向上の必要性および程度により、発泡剤の追加存在下で行われてもよい。このような発泡剤は、前記架橋重合反応過程で分解されて気体を発生させ、これによって含水ゲル重合体内に気孔を形成することができる。その結果、このような発泡剤の追加使用時に高吸水性樹脂内により発達した多孔性構造が形成されて、高吸水性樹脂の吸水速度がより向上することができる。
【0052】
非制限的な例として、前記発泡剤は、重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate)、炭酸ナトリウム(sodium carbonate)、重炭酸カリウム(potassium bicarbonate)、炭酸カリウム(potassium carbonate)、重炭酸カルシウム(calcium bicarbonate)、炭酸カルシウム(calcium bicarbonate)、重炭酸マグネシウム(magnesium bicarbonate)、炭酸マグネシウム(magnesium carbonate)、アゾジカーボンアミド(azodicarbonamide、ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(dinitroso pentamethylene tetramine、DPT)、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(p,p’-oxybis(benzenesulfonyl hydrazide)、OBSH)、p-トルエンスルホニルヒドラジド(p-toluenesulfonyl hydrazide、TSH)、スクロースステアレート(sucrose stearate)、スクロースパルミテート(sucrose palmitate)、およびスクロースラウレート(sucrose laurate)からなる群より選択された1種以上の化合物を含むことができる。
【0053】
前記発泡剤は、前記単量体組成物に1000乃至4000ppmwの含有量で存在することができ、より具体的に、1000ppm以上、あるいは1100ppmw以上、あるいは1200ppmw以上;そして4000ppmw以下、あるいは3500ppmw以下、あるいは3000ppmw以下の含有量で存在することができる。
【0054】
この他にも、前記単量体組成物には必要に応じて増粘剤、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤または無機物などの添加剤がさらに含まれてもよい。
【0055】
そして、このような単量体組成物は、前述した水溶性エチレン系不飽和単量体、重合開始剤、内部架橋剤、発泡剤などの原料物質が溶媒に溶解された溶液の形態で準備されてもよい。
【0056】
この時、使用可能な溶媒としては、前述した原料物質を溶解可能なものであればその構成の限定なしに用いることができる。例えば、前記溶媒としては、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテート、N,N-ジメチルアセトアミド、またはこれらの混合物などを用いることができる。
【0057】
前記単量体組成物の重合を通じた含水ゲル重合体の形成は、通常の重合方法で行われてもよく、その工程は特に限定されない。
【0058】
非制限的な例として、前記重合方法は、重合エネルギー源の種類によって大きく熱重合と光重合に分けられるが、前記熱重合を進行する場合には、ニーダー(kneader)などの攪拌軸を有する反応器で行われ、光重合を進行する場合には移動可能なコンベヤーベルトが具備された反応器で行われてもよい。
【0059】
一例として、攪拌軸が具備されたニーダーなどの反応器に前記単量体組成物を投入し、ここに熱風を供給したり反応器を加熱して熱重合することによって含水ゲル重合体を得ることができる。この時、反応器に具備された攪拌軸の形態により反応器排出口に排出される含水ゲル重合体は、数ミリメートル乃至数センチメートルの粒子で得られる。具体的に、得られる含水ゲル重合体は、注入される単量体組成物の濃度および注入速度などにより多様な形態で得られるが、通常(重量平均)粒径が2乃至50mmである含水ゲル重合体が得られる。
【0060】
そして、他の一例として、移動可能なコンベヤーベルトが具備された反応器で前記単量体組成物に対する光重合を進行する場合には、シート形態の含水ゲル重合体が得られる。この時、前記シートの厚さは注入される単量体組成物の濃度および注入速度により変わり得るが、シート全体が均一に重合され得るようにしながらも、生産速度などを確保するために、通常0.5乃至10cmの厚さに調節されることが好ましい。
【0061】
このような方法で形成される含水ゲル重合体は、40乃至80重量%の含水率を示すことができる。ここで、含水率は、含水ゲル重合体の全体重量で水分が占める重量であり、含水ゲル重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値であり得る。具体的に、赤外線加熱を通じて重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値で定義され得る。この時、乾燥条件は、常温から約180℃まで温度を上昇させた後、180℃で維持する方式で、総乾燥時間は温度上昇段階5分を含んで20分に設定され得る。
【0062】
一方、前述した架橋重合を進行した後は、含水ゲル重合体をゲル粉砕する段階を進行する。したがって、含水ゲルの大きさを減らし、表面積を広げて後続の乾燥効率を上げることができる。ひいては、一実施形態の方法では、前記チョッピング指数を満たすようにゲル粉砕条件を調節して含水ゲル重合体の形態や、その表面積を調節することができ、これを通じて高吸水性樹脂の吸水速度を大きく向上させることができる。
【0063】
この時、使用される粉砕機は、構成の限定はないが、具体的に、垂直型切断機(vertical pulverizer)、ターボカッター(turbo cutter)、ターボグラインダー(turbo grinder)、回転切断式粉砕機(rotary cutter mill)、切断式粉砕機(cutter mill)、円板粉砕機(disc mill)、切れ破砕機(shred crusher)、破砕機(crusher)、チョッパー(chopper)および円板式切断機(disc cutter)からなる粉砕機器群より選択されるいずれか一つを含むことができるが、前述した例に限定されない。
【0064】
一方、含水ゲル重合体のゲル粉砕時、前記含水ゲル重合体には剪断力と圧縮力が作用するようになるが、一実施形態の方法では、ゲル粉砕条件を制御して剪断力と圧縮力を適切な範囲に制御することを一特徴とする。前記剪断力は、含水ゲル重合体を粉砕機に押し出す時に作用する力と関連しており、前記圧縮力は、含水ゲル重合体が粉砕機を通過する時に作用することと関連している。
【0065】
具体的に、前記含水ゲル重合体をゲル粉砕する段階は、円筒形粉砕機の内部に装着されたスクリュー型押出機を利用して前記含水ゲル重合体を複数のホールが形成された多孔板に押し出しながら、下記計算式1による28(/s)以上、あるいは30乃至40(/s)、あるいは31乃至35(/s)のチョッピング指数の条件下で行われ得る:
【0066】
[計算式1]
チョッピング指数(C.I.)=ω×(TSC/A)×チョッピング回数(T)
【0067】
前記計算式1で、
ωは前記スクリュー型押出機におけるスクリューの角速度(2π×N/60s)であり、ここで前記Nは前記スクリューの回転数(rpm)であり、TSCは前記粉砕機に投入された前記含水ゲル重合体の固形分含有量(%)であり、Aは前記多孔板の開口率(πr×n/πR)であり、ここで前記rは前記多孔板に形成されたホールの半径(mm)であり、前記nは前記多孔板に形成されたホールの個数であり、前記Rは前記多孔板の半径(mm)である。
【0068】
前述したチョッピング指数を満たすようにゲル粉砕を進行することによって、他の物性の低下を減らしながら、吸水速度の追加的向上が可能になることが確認された。もし、前記チョッピング指数が過度に高い条件下でゲル粉砕が進行される場合、機器的負荷が増加するだけでなく、吸水性能および/または通液性などの高吸水性樹脂のその他物性が低下することがある。反対に、チョッピング指数が低い場合、吸水速度の向上を期待することができず、後続の乾燥効率などが低下し、高吸水性樹脂が劣化してその諸般物性が低下することがある。
【0069】
前述したゲル粉砕工程を進行すれば、クラム(crum)形態の含水ゲル重合体粒子が形成され、後続の乾燥、粉砕および分級工程を進行すれば、非常に広い表面積が具現されて吸水速度が大きく向上したベース樹脂粉末および高吸水性樹脂が得られる。
【0070】
このようなゲル粉砕を進行した後、クラム形態で形成される含水ゲル重合体粒子は0.1mm乃至10mmの粒径を有することができる。つまり、乾燥効率の増大のために前記含水ゲル重合体は10mm以下の粒子に粉砕されることが好ましい。しかし、過度な粉砕時、粒子間凝集現象が発生することがあるため、前記含水ゲル重合体は0.1mm以上の粒子に粉砕されることが好ましい。
【0071】
また、前記含水ゲル重合体の粉砕は、含水率が高い状態で行われるため、粉砕機の表面に含水ゲル重合体がくっつく現像が現れ得る。このような現象を最小化するために、必要に応じて、スチーム、水、界面活性剤、凝集防止剤(例えばクレイ(clay)、シリカ(silica)など);過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素、熱重合開始剤、エポキシ系架橋剤、ジオール(diol)類架橋剤、二官能基または三官能基以上の多官能基のアクリレートを含む架橋剤、水酸化基を含む一官能基の架橋剤などが含水ゲル重合体に添加されてもよい。
【0072】
一方、前述したゲル粉砕段階の進行後は、ゲル粉砕された含水ゲル重合体を乾燥することができる。
【0073】
前記乾燥は、120乃至250℃、あるいは140乃至200℃、あるいは150乃至190℃の温度下で行われてもよい。この時、前記乾燥温度は、乾燥のために供給される熱媒体の温度または乾燥工程で熱媒体および重合体を含む乾燥反応機内部の温度に定義され得る。乾燥温度が低くて乾燥時間が長くなる場合、工程効率性が低下するため、これを防止するために乾燥温度は120℃以上であることが好ましい。また、乾燥温度が必要以上に高い場合、含水ゲル重合体の表面が過度に乾燥されて後続工程である粉砕段階で微粉発生が多くなることがあり、最終樹脂の物性が低下することがあるが、これを防止するために乾燥温度は250℃以下であることが好ましい。
【0074】
この時、前記乾燥段階での乾燥時間は、特に制限されないが、工程効率および樹脂の物性などを考慮して、前記乾燥温度下で20分乃至90分に調節され得る。
【0075】
前記乾燥は、通常の媒体を利用して行われてもよいが、例えば、前記粉砕された含水ゲル重合体に対する熱風供給、赤外線照射、極超短波照射、または紫外線照射などの方法を通じて行われてもよい。
【0076】
そして、このような乾燥は、乾燥された重合体が0.1乃至10重量%の含水率を有するように行われることが好ましい。つまり、乾燥された重合体の含水率が0.1重量%未満である場合、過度な乾燥による製造原価の上昇および架橋重合体の分解(degradation)が起こり得るため好ましくない。そして、乾燥された重合体の含水率が10重量%を超過する場合、後続工程で不良が発生することがあるため好ましくない。
【0077】
次いで、前記乾燥された含水ゲル重合体を粉砕することができる。これはベース樹脂粉末および高吸水性樹脂の表面積を最適化するための段階である。前記粉砕は、粉砕された重合体の粒径が150乃至850μmになるように行われてもよい。
【0078】
この時、使用可能な粉砕機としては、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)、ジョグミル(jog mill)など通常のものを用いることができる。
【0079】
また、最終製品化される高吸水性樹脂の物性を管理するために、前記粉砕段階を通じて得られる重合体粒子から150乃至850μmの粒径を有する粒子を選択的に分級する段階がさらに行われてもよい。
【0080】
以上の分級段階まで経てベース樹脂粉末を得ることができる。このようなベース樹脂粉末は150乃至850μmの粒径を有することができ、150μm未満の粒径を有する微粉を2重量%以下、あるいは1重量%以下に含むことができる。
【0081】
一方、前述したベース樹脂粉末を製造した後は、表面架橋剤の存在下で、前記ベース樹脂粉末を熱処理して表面架橋することができる。このような表面架橋段階を通じて、前記ベース樹脂粉末上に追加的な表面架橋層が形成されてもよい。
【0082】
このような表面架橋段階は、一般的な高吸水性樹脂の表面架橋条件下で行われてもよく、例えば、表面架橋剤を含む溶液と前記ベース樹脂粉末を混合して架橋反応させる方法で行われてもよい。
【0083】
ここで前記表面架橋剤としては、前記ベース樹脂粉末が有する官能基と反応可能な化合物であって、以前から高吸水性樹脂の製造過程で表面架橋剤として使用可能であると知られた任意の多官能化合物を用いることができる。
【0084】
このような表面架橋剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコールおよびグリセロールからなる群より選択された1種以上のポリオール;エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートからなる群より選択された1種以上のアルキレンカーボネート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;オキサゾリジノンなどのオキサゾリン化合物;ポリアミン化合物;モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノン化合物;または環状ウレア化合物などが挙げられ、その他にも多様な表面架橋剤を用いることができる。
【0085】
これら表面架橋剤の中でも、炭素数2乃至5のアルキレンカーボネートを好ましく用いることができ、より好ましくは、前記表面架橋剤としてエチレンカーボネートを用いることができる。
【0086】
また、前記表面架橋剤と共に、シリカ(silica)、クレイ(clay)、アルミナ、シリカ-アルミナ複合材、チタニア、亜鉛酸化物およびアルミニウムスルフェートからなる群より選択された1種以上の無機物質をさらに用いることができる。また、前記表面架橋剤の浸透速度および深さを調節するために必要に応じて酸性化合物や高分子などをさらに添加することもできる。これら無機物質などの追加使用により高吸水性樹脂の通液性や、アンチケーキング(anti-caking)特性などを追加的に向上させることができ、工程流れなどをより高めることができる。
【0087】
一方、前記表面架橋剤の含有量は、架橋剤の種類や反応条件などにより適切に調節されてもよく、好ましくは前記ベース樹脂粉末100重量部に対して0.01乃至3重量部、あるいは0.03乃至2重量部、あるいは0.05乃至1重量部で調節されてもよい。前記表面架橋剤の含有量が過度に低くなれば、表面改質が良好に行われず、最終樹脂の通液性やゲル強度などが低下することがある。反対に、過量の表面架橋剤が使用されれば過度な表面架橋反応により樹脂の吸水性能がむしろ低下することがあるあめ好ましくない。
【0088】
一方、前記表面架橋段階は、前記表面架橋剤とベース樹脂粉末を反応槽に入れて混合する方法、ベース樹脂粉末に表面架橋剤を噴射する方法、連続的に運転されるミキサーにベース樹脂粉末と表面架橋剤を連続的に供給して混合する方法など通常の方法で行われてもよい。
【0089】
また、前記表面架橋剤を添加する時、追加的に水が添加されてもよい。このように表面架橋剤と水が共に添加されることによって表面架橋剤の均一な分散が誘導され得、重合体粒子のかたまり現像が防止され、重合体粒子に対する表面架橋剤の浸透深さがより最適化することができる。このような目的および効果を考慮して、表面架橋剤と共に添加される水の含有量は前記ベース樹脂粉末100重量部に対して0.5乃至10重量部で調節されてもよい。
【0090】
そして、前記表面架橋段階は、80乃至200℃の温度下で進行されてもよい。また前記表面改質は、20分乃至120分、あるいは30分乃至100分、あるいは40分乃至80分間進行することができる。このような熱処理条件下で表面架橋を進行すれば、化学式1の化合物の熱分解が適切な水準で行われ得ると共に、表面架橋反応が所望する水準で行われ得る。その結果、高吸水性樹脂の通液性、ゲル強度および吸水性能などがより向上することができる。
【0091】
一方、発明の実施形態によれば、前述した方法により製造された高吸水性樹脂が提供される。
【0092】
前記高吸水性樹脂は、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合体を含むベース樹脂粉末;および前記ベース樹脂粉末上に形成され、前記架橋重合体が表面架橋剤を媒介として追加架橋された表面架橋層を含む。
【0093】
前記高吸水性樹脂は、150乃至850μmの粒径を有する粒子で得られる。
【0094】
このような高吸水性樹脂は、ベース樹脂粉末内に、化学式1の化合物に由来する架橋構造を含み、このような化学式1の化合物由来構造の一部は熱分解により破壊されている。また、前記高吸水性樹脂は、前述したチョッピング指数下のゲル粉砕によって、広い表面積を有することができる。
【0095】
このような諸般特性により、前記高吸水性樹脂は、内部の比較的低い架橋密度による優れた吸水性能と、広い表面積による高い吸水速度を示すことができる。
【0096】
このような高吸水性樹脂の優れた吸水性能は、これらの遠心分離保水能(CRC)により確認され得る。
【0097】
具体的に、前述した方法で製造されたベース樹脂粉末は、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)に対する30分間の遠心分離保水能(CRC)が35乃至50g/g、あるいは36乃至45g/g、あるいは37乃至43g/gになることができる。前記保水能は、欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP 241.3により測定され、本明細書の試験例に記載された計算式Aにより算出され得る。
【0098】
また、前記高吸水性樹脂の向上した吸水速度は、ボルテックス法による吸水速度によって定義され得る。
【0099】
具体的に、前記高吸水性樹脂は、ボルテックス法による吸水速度が35乃至70秒、あるいは40乃至68秒になることができる。このような吸水速度は、生理食塩水に高吸水性樹脂を加えて攪拌した時、速い吸収により液体の渦巻き(vortex)がなくなる時間(time、単位:秒)を測定する方法で確認され得る。
【発明の効果】
【0100】
本発明による高吸水性樹脂の製造方法は、優れた吸水性能を維持しながらも、より向上した吸水速度を示す高吸水性樹脂の提供を可能にする。このような高吸水性樹脂は、おむつなどの衛生材、特に超薄型衛生材に適宜に使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0101】
以下、発明の理解のために好ましい実施例が提示される。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明をこれらだけに限定するのではない。
【0102】
実施例1
高吸水性樹脂の製造装置としては、重合工程、含水ゲル粉砕工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、表面架橋工程、冷却工程、分級工程、および各工程を連結する輸送工程から構成される連続製造装置を用いた。
【0103】
アクリル酸100重量部に32重量%苛性ソーダ(NaOH)123.5g、熱重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.2g、光重合開始剤としてジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド0.008g、3-メチルブタン-1,3-ジイルジアクリレート(化学式1の化合物)0.6g、ラポナイト0.18gおよび水55.0gを混合して全体固形分濃度が43.8重量%である単量体組成物を製造した。
【0104】
前記単量体モノマーを10cmの幅、2mの長さを有し、50cm/minの速度で回転する回転式ベルト上に、500mL/min乃至2,000mL/minの供給速度で供給した。前記単量体組成物の供給と同時に10mW/cmの強さを有する紫外線を照射して、60秒間光重合反応を進行した。重合反応を進行して得られたシート状含水ゲル重合体を3cm×3cmの大きさで切断した後、円筒形粉砕機の内部に装着されたスクリュー型押出機(ミートチョッパー)を利用して前記含水ゲル重合体を複数のホールが形成された多孔板に押し出しながら下記計算式1および表1に示すチョッピング指数の条件下で粉砕/切断(chopping)した:
【0105】
[計算式1]
チョッピング指数(C.I.)=ω×(TSC/A)×チョッピング回数(T)
【0106】
前記計算式1で、
ωは前記スクリュー型押出機におけるスクリューの角速度(2π×N/60s)であり、ここで前記Nは前記スクリューの回転数(rpm)であり、TSCは前記粉砕機に投入された前記含水ゲル重合体の固形分含有量(%)であり、Aは前記多孔板の開口率(πr×n/πR)であり、ここで前記rは前記多孔板に形成されたホールの半径(mm)であり、前記nは前記多孔板に形成されたホールの個数であり、前記Rは前記多孔板の半径(mm)である。
【0107】
その後、ゲル粉砕された含水ゲル重合体をエアフローオーブン(Air-flow oven)を利用して185℃で40分間乾燥し、150乃至850μmの粒径を有するように粉砕および分級した。
【0108】
このように形成されたベース樹脂粉末100gに超純水3.2g、メタノール(Methanol)4.0g、エチレンカーボネート(Ethylene carbonate)0.088g、シリカ(DM30S)0.01gの表面架橋剤混合溶液を投与して1分間混合した。これを185℃で90分間熱処理して表面架橋を進行した後、分級して150乃至850μm粒径の高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0109】
実施例2および3
ゲル粉砕時、チョッピング指数およびその達成のための条件を下記表1のように別にしたことを除いては、実施例1と同様の方法で実施例2および3の高吸水性樹脂粒子を得た。
【0110】
比較例1
3-メチルブタン-1,3-ジイルジアクリレート(化学式1の化合物)を用いず、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)0.24gを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で比較例1の高吸水性樹脂粒子を得た。
【0111】
比較例2
ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)の使用量を0.45gにしたことを除いては、比較例1と同様の方法で比較例2の高吸水性樹脂粒子を得た。
【0112】
比較例3および4
ゲル粉砕時、チョッピング指数およびその達成のための条件を下記表1のように別にしたことを除いては、実施例1と同様の方法で比較例3および4の高吸水性樹脂粒子を得た。
【0113】
【表1】
【0114】
試験例
前記実施例および比較例で製造した各高吸水性樹脂の物性を次の方法で測定および評価した。
【0115】
(1)遠心分離保水能(CRC、centrifuge retention capacity)
欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP 241.3により無荷重下吸水倍率による遠心分離保水能(CRC)を測定した。
【0116】
具体的に、高吸水性樹脂(またはベース樹脂粉末;以下同一)W(g、約0.2g)を不織布製の封筒に均一に入れて密封(seal)した後、常温に0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液の生理食塩水に浸水させた。30分後に封筒を遠心分離機を利用して250Gで3分間水気を除去した後に封筒の質量W(g)を測定した。また、高吸水性樹脂を利用せずに同一の操作をした後にその時の質量W(g)を測定した。このように得られた各質量を利用して次の計算式AによりCRC(g/g)を算出して保水能を確認した。
【0117】
[計算式A]
CRC(g/g)={[W(g)-W(g)-W(g)]/W(g)}
【0118】
(2)ボルテックス法による吸水速度
実施例および比較例の高吸水性樹脂(またはベース樹脂粉末;以下同一)の吸水速度は、国際公開第1987/003208号に記載された方法に準じて秒単位で測定された。
【0119】
具体的に、吸水速度(あるいは渦時間(vortex time))は、23℃乃至24℃の50mLの生理食塩水に2gの高吸水性樹脂を入れ、マグネチックバー(直径8mm、長さ31.8mm)を600rpmで攪拌して渦流(vortex)がなくなる時までの時間を秒単位で測定して算出された。
【0120】
前述した方法で測定された実施例/比較例の物性を下記表2に整理して示した。
【0121】
【表2】
【0122】
前記表1を参照すると、実施例1乃至4は、熱分解可能な化学式1の化合物を内部架橋剤として用い、所定のチョッピング指数条件下でゲル粉砕を進行することによって、優れた保水能および吸水速度を示すことが確認された。これに比べて、前記化学式1の化合物の代わりに通常の内部架橋剤を減少した含有量で用いて保水能を高めようとした比較例1は、機器的負荷の増加でゲル粉砕自体が不可能であることが確認された。また、比較例2の場合、実施例より劣悪な吸水性能が示されることが確認され、適切なチョッピング指数範囲を外れる比較例3および4は、吸水速度が劣悪であることが確認された。