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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】複合材
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/26 20060101AFI20220808BHJP
   C22C 38/00 20060101ALN20220808BHJP
   C22C 19/03 20060101ALN20220808BHJP
   C22C 33/02 20060101ALN20220808BHJP
   C22C 1/04 20060101ALN20220808BHJP
   B22F 3/11 20060101ALN20220808BHJP
   C22C 1/08 20060101ALN20220808BHJP
【FI】
H01F1/26
C22C38/00 303S
C22C19/03 E
C22C33/02 N
C22C33/02 M
C22C1/04 L
B22F3/11 A
C22C33/02 101
C22C1/08 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020568810
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 KR2019007901
(87)【国際公開番号】W WO2020005015
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】10-2018-0075961
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ウ・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ミン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・キュ・イ
【審査官】橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-272500(JP,A)
【文献】特表2001-527656(JP,A)
【文献】特開2011-036007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/26
C22C 38/00
C22C 19/03
C22C 33/02
C22C 1/04
B22F 3/11
C22C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟磁性金属成分の金属フォーム及び前記金属フォームの表面又は内部に存在する高分子成分を含み、
金属フォームの気孔度が50%以上である、複合材。
【請求項2】
フィルム形態である、請求項1に記載の複合材。
【請求項3】
10μm~1cm範囲内の厚さ及び100kHz~300kHzで100以上の比透磁率を示す、請求項1又は2に記載の複合材。
【請求項4】
金属フォームの気孔度が60%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項5】
金属フォームの全体気孔のうち85%以上の気孔の気孔サイズが10μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項6】
金属フォームの全体気孔のうち65%以上の気孔の気孔サイズが5μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項7】
軟磁性金属成分がFe/Ni合金、Fe/Ni/Mo合金、Fe/Al/Si合金、Fe/Si/B合金、Fe/Si/Nb合金、Fe/Si/Cu合金又はFe/Si/B/Nb/Cu合金である、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項8】
金属フォームの厚さ(MT)及び全体厚さ(T)の割合(T/MT)が1.01以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項9】
金属フォームの厚さ(MT)及び全体厚さ(T)の割合(T/MT)が2以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項10】
金属フォームは、厚さが10μm以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項11】
高分子成分は、金属フォームの表面で表面層を形成している、請求項1~10のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項12】
高分子成分は、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択された一つ以上を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項13】
高分子成分の体積(PV)と金属フォームの体積(MV)の割合(MV/PV)は、10以下である、請求項1~12のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項14】
軟磁性金属成分の金属フォームの表面又は内部に硬化性高分子組成物が存在する状態で前記硬化性高分子組成物を硬化させるステップを含み、
前記金属フォームは、金属成分、分散剤、及びバインダーを含むスラリーを用いて形成されることができ、
前記スラリー中の前記金属成分の割合は、重量の基準で、30%~70%でよく、
前記バインダーは、アルキルセルロース、ポリアルキレンカーボネート、又はポリビニルアルコール系バインダーでよく、
前記分散剤はアルコールでよく、
前記バインダーは、金属成分100重量部に対して約1~30重量部の割合で前記スラリー中に含まれてよく、
前記分散剤は、前記バインダー100重量部に対して約200~700重量部の割合で前記スラリー中に含まれてよい、請求項1~13のいずれか一項に記載の複合材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2018年6月29日に出願された大韓民国特許出願第10-2018-0075961号に基づく優先権の利益を主張し、該当大韓民国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
技術分野
本出願は、複合材に関する。
【背景技術】
【0003】
高い透磁率を有する材料は、多様な用途に用いられ得る。例えば、前記材料は、EMCコア(core)、低出力高インダクタンス共鳴回路又は広帯域変圧器などを含んだ多様な装置などに用いられ得、電波吸収体でも用いられ得る。
【0004】
通常、高い透磁率を有する材料としては、透磁率が高い金属の圧延製品又は金属粒子をフィラーで含む高分子複合フィルムが用いられる。
【0005】
しかし、圧延などの方式は、高い透磁率の製品を得るためには、多成分(multicomponent)の材料が用いられるか、結晶化が進行されなければならないので、工程が複雑であり、価格も高い問題がある。
【0006】
金属粒子フィラーを適用して高い透磁率を確保するためには、金属粒子の使用量を増加させる必要があり、これは、柔軟性の低下及び電気絶縁性の低下を起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、複合材に関する。本出願は、高い透磁率を有し、柔軟性及び電気絶縁性など他の物性も優れた複合材を簡単で、且つ経済的な工程で提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で言及する物性のうち測定温度及び/又は測定圧力が結果に影響を及ぼす物性は、特に異に言及しない限り、常温及び/又は常圧で測定した結果である。
【0009】
用語「常温」は、加温したり減温されない自然そのままの温度であり、例えば、10℃~30℃の範囲内のいずれか一つの温度、約23℃又は約25℃程度の温度を意味する。また、本明細書で温度の単位は、特に異に規定しない限り、℃である。
【0010】
用語「常圧」は、加圧又は減圧されない自然そのままの圧力であり、通常、大気圧レベルの約1気圧程度を意味する。
【0011】
本明細書で測定湿度が結果に影響を及ぼす物性である場合、該当物性は、前記常温及び/又は常圧状態で特に調節されない自然そのままの湿度で測定した物性である。
【0012】
本出願は、複合材に関する。本出願の複合材は、金属フォームと高分子成分を含むことができる。前記複合材は、金属フォームが有する特有の表面積及び気孔特性による複合反射(multiple reflection)及び吸収(absorption)などによって高い透磁率を示すことができる。本出願の複合材は、機械的強度及び柔軟性に優れ、酸化及び/又は高温に対する安定性、電気絶縁性などに優れ、多様な装置に含まれたときに発生する剥離問題なども解決できる。また、本出願の前記複合材は、簡単で経済的な工程を通じて製造され得る。
【0013】
本明細書で用語「金属フォーム」又は「金属骨格」は、金属を主成分で含む多孔性構造体を意味する。上記で「金属を主成分とする」とは、金属フォーム又は金属骨格の全体重量を基準として金属の割合が55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上又は95重量%以上である場合を意味する。前記主成分で含まれる金属の割合の上限は特に制限されず、例えば、前記金属の割合は、100重量%以下、99重量%以下又は98重量%以下程度であってもよい。
【0014】
本明細書で用語「多孔性」は、気孔度(porosity)が少なくとも10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上又は80%以上である場合を意味することができる。前記気孔度の上限は、特に制限されず、例えば、約100%未満、約99%以下、約98%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下又は約75%以下程度であってもよい。したがって、前記金属フォームは、上記言及した気孔度を有することができ、このような気孔度は、金属フォームなどの密度を計算して公知の方式で算出できる。
【0015】
複合材に含まれる金属フォームの形態は特に制限されないが、一つの例示で、フィルム形状であってもよい。本出願の複合材では、前記フィルム形態の金属フォームの表面や内部に存在する高分子成分が追加される。
【0016】
このような高分子成分は、前記金属フォームの少なくとも一つの表面上で表面層を形成しているか、金属フォーム内部の気孔を充填した状態で存在してもよく、場合によっては、前記表面層を形成しながらまた金属フォームの内部の気孔を充填していてもよい。
【0017】
表面層を形成する場合に、金属フォームの表面のうち少なくとも一表面、一部の表面又は全ての表面に対して高分子成分が表面層を形成していてもよい。一つの例示では、少なくとも金属フォームの主表面である上部及び/又は下部表面に前記高分子成分が表面層を形成していてもよい。前記表面層は、金属フォームの表面全体を覆うように形成されてもよく、表面の一部のみを覆うように形成されてもよい。
【0018】
複合材で金属フォームは、気孔度(porosity)が約10%以上であってもよい。このような気孔度を有する金属フォームは、適合なネットワークを形成している多孔性の金属骨格を有し、したがって、該当金属フォームを少量適用する場合にも高い透磁率を確保することができる。他の例示で、前記気孔度は、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上又は70%以上であるか、99%以下、98%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下又は約75%以下程度であってもよい。
【0019】
適切な透磁率などを確保するために、前記金属フォームの気孔特性は、追加で制御され得る。例えば、前記金属フォームは、おおよそ球状、針(needle)状又はランダム(random)状の気孔を含むことができる。
【0020】
例えば、前記金属フォームに含まれる気孔のうち最大サイズの気孔のサイズが、約50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下又は30μm以下程度であってもよい。前記最大気孔サイズは、他の例示で、約2μm以上、4μm以上、6μm以上、8μm以上、10μm以上、12μm以上、14μm以上、16μm以上、18μm以上、20μm以上、22μm以上、24μm以上又は26μm以上であってもよい。
【0021】
上記で金属フォームの気孔のうち最大サイズの気孔は、後述する実施例に記載された方式で確認したときの最大サイズで確認される気孔である。また、気孔のサイズは、やはり後述する実施例で提示された方法によって確認されるサイズであって、気孔が円形である場合には、その円形の直径を意味し、円形ではない場合には、測定される最も長い長さである長軸の長さを意味することができる。
【0022】
前記金属フォームで金属フォームの全体気孔のうち85%以上の気孔は、気孔サイズが10μm以下であってもよく、65%以上の気孔の気孔サイズは、5μm以下であってもよい。上記で気孔のサイズを確認する方式は、上述した通りである。上記で10μm以下又は5μm以下の気孔サイズを有する気孔の気孔サイズの下限は特に制限されないが、前記気孔サイズは、一つの例示で、約0μm超過、0.1μm以上、0.2μm以上、0.3μm以上、0.4μm以上、0.5μm以上、0.6μm以上、0.7μm以上、0.8μm以上、0.9μm以上、1μm以上、1.1μm以上、1.2μm以上、1.3μm以上、1.4μm以上、1.5μm以上、1.6μm以上、1.7μm以上、1.8μm以上、1.9μm以上又は2μm以上であってもよい。
【0023】
上記で10μm以下の気孔サイズの気孔は、全体気孔のうち100%以下、95%以下又は90%以下程度であってもよく、5μm以下の気孔サイズを有する気孔の割合は、全体気孔のうち100%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下又は70%以下程度であってもよい。
【0024】
このような気孔分布乃至特性により目的とする複合材の製造が可能である。前記気孔の分布は、例えば、前記複合材又は金属フォームがフィルム形態である場合には、前記フィルムの長軸方向を基準で決まるものであってもよい。
【0025】
上述したように、金属フォームは、フィルム形態であってもよい。このような場合に、フィルムの厚さは、後述する方式によって複合材を製造するにおいて、目的とする透磁率や厚さ割合などを考慮して調節され得る。前記フィルムの厚さは、目的とする物性の確保のために、例えば、約10μm以上、約20μm以上、約30μm以上、約40μm以上、約45μm以上、約50μm以上、約55μm以上、約60μm以上、約65μm以上又は約70μm以上、75μm以上、80μm以上、85μm以上、90μm以上、95μm以上、100μm以上、105μm以上、110μm以上又は115μm以上であってもよい。前記フィルムの厚さの上限は、目的によって制御されるもので、特に制限されるものではないが、例えば、約1,000μm以下、約900μm以下、約800μm以下、約700μm以下、約600μm以下、約500μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下又は約150μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、100μm以下又は90μm以下程度であってもよい。
【0026】
本明細書で厚さは、該当対象の厚さが一定ではない場合には、その対象の最小厚さ、最大厚さ又は平均厚さであってもよい。
【0027】
前記金属フォームは、軟磁性金属成分の金属フォームであってもよい。用語「軟磁性金属成分」は、軟磁性の金属又は金属合金を意味し、このとき、軟磁性の規定は、業界で公知された通りである。上記で軟磁性金属成分の金属フォームは、軟磁性金属成分のみでなっているか、前記金属成分を主成分で含む金属フォームを意味することができる。したがって、前記金属フォームは、全体重量を基準で前記軟磁性金属成分を55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上又は95重量%以上含むことができる。前記軟磁性金属成分の割合の上限は特に制限されず、例えば、100重量%、99重量%又は98重量%程度であってもよい。
【0028】
具体的な軟磁性金属成分の例としては、Fe/Ni合金、Fe/Ni/Mo合金、Fe/Al/Si合金、Fe/Si/B合金、Fe/Si/Nb合金、Fe/Si/Cu合金又はFe/Si/B/Nb/Cu合金などが例示され得るが、これに制限されるものではない。上記でFeは、鉄、Niは、ニッケル、Moは、モリブデン、Alは、アルミニウム、Siは、シリコン、Bはホウ素、Nbは、ニオビウム、Cuは、銅を意味する。しかし、本出願では、前記素材に追加で軟磁性を帯びると知られた多様な素材が適用され得る。
【0029】
金属フォームを製造する方法は多様に公知されている。本出願では、このような公知の方式で製造した金属フォームが適用され得る。
【0030】
金属フォームを製造する方式としては、塩などの気孔形成剤と金属の複合材料を焼結する方式、高分子フォームなどの支持体に金属をコーティングし、その状態で焼結する方式やスラリー法などが知られており、このような方式が全て適用され得る。
【0031】
一つの例示で、本出願で適用される金属フォームは、前記軟磁性金属成分を含む金属フォーム前駆体を焼結するステップを含むことができる。本出願で用語「金属フォーム前駆体」は、前記焼結などのように金属フォームを形成するために行われる工程を経る前の構造体、すなわち、金属フォームが生成される前の構造体を意味する。前記金属フォーム前駆体は、多孔性金属フォーム前駆体と称しても必ずその自体で多孔性である必要はなく、最終的に多孔性の金属構造体である金属フォームを形成することができるものであれば、便宜上多孔性金属フォーム前駆体と呼称され得る。
【0032】
本出願で前記金属フォーム前駆体は、金属成分、分散剤及びバインダーを少なくとも含むスラリーを用いて形成することができ、このようなスラリーの適用を通じて目的とする気孔特性を効率的に確保することができる。
【0033】
前記金属成分としては、金属粉末が適用され得る。適用できる金属粉末の例は、目的によって決まるものであって、特に制限されるものではなく、上述した軟磁性金属成分を形成することができる金属の粉末又は金属合金の粉末又は金属の混合物の粉末が適用され得る。
【0034】
金属粉末(Metal Powder)のサイズも目的とする気孔度や気孔サイズなどを考慮して選択されるもので、特に制限されるものではないが、例えば、前記金属粉末の平均粒径は、約0.1μm~約200μmの範囲内にあってもよい。前記平均粒径は、他の例示で、約0.5μm以上、約1μm以上、約2μm以上、約3μm以上、約4μm以上、約5μm以上、約6μm以上、約7μm以上又は約8μm以上、約9μm以上、約10μm以上、約11μm以上、約12μm以上、約13μm以上、約14μm以上、約15μm以上、約16μm以上、約17μm以上、約18μm以上、約19μm以上又は約20μm以上であってもよい。前記平均粒径は、他の例示で、約150μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下又は20μm以下であってもよい。金属粒子内の金属としては、互いに平均粒径が相異なっているものを適用してもよい。前記平均粒径は、目的とする金属フォームの形態、例えば、金属フォームの厚さや気孔度などを考慮して適切な範囲を選択することができる。
【0035】
本明細書で言及する金属粉末の平均粒径は、D50粒径とも呼ばれる、いわゆるメジアン粒径である。このようなメジアン粒径は、公知の粒度分析方式によって求められ得る。
【0036】
前記スラリー内で金属成分(金属粉末)の割合は特に制限されず、目的とする粘度や工程効率などを考慮して選択され得る。一つの例示で、スラリー内での金属成分の割合は、重量を基準で0.5~95%程度であってもよいが、これに制限されるものではない。前記割合は、他の例示で、約1%以上、約1.5%以上、約2%以上、約2.5%以上、約3%以上、約5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上又は80%以上であるか、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、60%以下、55%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下又は5%以下程度であってもよいが、これに制限されない。
【0037】
前記金属フォーム前駆体は、前記金属粉末とともに分散剤とバインダーを含むスラリーを用いて形成することができる。
【0038】
上記で分散剤としては、例えば、アルコールが適用され得る。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、グリセロール、テキサノール(texanol)又はテルピネオール(terpineol)などのような炭素数1~20の1価アルコール又はエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール又はペンタンジオールなどのような炭素数1~20の2価アルコール又はその以上の多価アルコールなどが用いられ得るが、その種類が上記に制限されるものではない。
【0039】
スラリーは、バインダーをさらに含むことができる。このようなバインダーの種類は特に制限されず、スラリーの製造時に適用された金属成分や分散剤などの種類によって適切に選択できる。例えば、前記バインダーとしては、メチルセルロース又はエチルセルロースなどの炭素数1~8のアルキル基を有するアルキルセルロース、ポリプロピレンカーボネート又はポリエチレンカーボネートなどの炭素数1~8のアルキレン単位を有するポリアルキレンカーボネート又はポリビニルアルコール又はポリ酢酸ビニルなどのポリビニルアルコール系バインダー(以下、ポリビニルアルコール化合物と呼称することがある)などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0040】
前記スラリー内で各成分の割合は特に制限されない。このような割合は、スラリーを用いた工程時にコーティング性や成形性などの工程効率を考慮して調節され得る。
【0041】
例えば、目的とする気孔度をより効果的に確保するために、スラリー内でバインダーは、上述した金属成分100重量部に対して、約1~500重量部の割合で含まれ得る。前記割合は、他の例示で、約2重量部以上、約3重量部以上、約4重量部以上、約5重量部以上、約6重量部以上、約7重量部以上、約8重量部以上、約9重量部以上、約10重量部以上、約15重量部以上、約20重量部以上、約30重量部以上、約40重量部以上、約50重量部以上、約60重量部以上、約70重量部以上、約80重量部以上、約90重量部以上、約100重量部以上、約110重量部以上、約120重量部以上、約130重量部以上、約140重量部以上、約150重量部以上、約200重量部以上又は約250重量部以上であってもよく、約450重量部以下、約400重量部以下、約350重量部以下、約300重量部以下、約250重量部以下、約200重量部以下、約150重量部以下、約100重量部以下、約50重量部以下、約40重量部以下、約30重量部以下、約20重量部以下又は約10重量部以下であってもよい。
【0042】
スラリー内で分散剤は、目的とする気孔特性をより効果的に確保するために、前記バインダー100重量部に対して、約10~2,000重量部の割合で含まれ得る。前記割合は、他の例示で、約20重量部以上、約30重量部以上、約40重量部以上、約50重量部以上、約60重量部以上、約70重量部以上、約80重量部以上、約90重量部以上、約100重量部以上、約200重量部以上、約300重量部以上、約350重量部以上、約400重量部以上、約500重量部以上、約550重量部以上、約600重量部以上又は約650重量部以上であってもよく、約1,800重量部以下、約1,600重量部以下、約1,400重量部以下、約1,200重量部以下又は約1,000重量部以下、約900重量部以下、約800重量部以下、約700重量部以下、約600重量部以下、約500重量部以下又は約450重量部以下であってもよい。
【0043】
本明細書で単位重量部は、特に異に規定しない限り、各成分間の重量の割合を意味する。
【0044】
スラリーは、必要に応じて、溶媒をさらに含むことができる。溶媒としては、スラリーの成分、例えば、前記金属成分やバインダーなどの溶解性を考慮して適切な溶媒が用いられ得る。例えば、溶媒としては、誘電定数が約10~120の範囲内にあるものを用いることができる。前記誘電定数は、他の例示で、約20以上、約30以上、約40以上、約50以上、約60以上又は約70以上であるか、約110以下、約100以下又は約90以下であってもよい。このような溶媒としては、水やエタノール、ブタノール又はメタノールなどの炭素数1~8のアルコール、DMSO(dimethyl sulfoxide)、DMF(dimethyl formamide)又はNMP(N-methylpyrrolidinone)などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0045】
溶媒が適用される場合に、上記は前記バインダー100重量部に対して約50~400重量部の割合でスラリー内に存在できるが、これに制限されるものではない。前記溶媒の割合は、他の例示で、約60重量部以上、約70重量部以上、約80重量部以上、約90重量部以上、約100重量部以上、約110重量部以上、約120重量部以上、約130重量部以上、約140重量部以上、約150重量部以上、約160重量部以上、約170重量部以上、約180重量部以上又は約190重量部以上であるか、約350重量部以下、300重量部以下又は250重量部以下であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0046】
スラリーは、上記言及した成分外に追加的に必要な公知の添加剤を含んでもよい。ただし、目的とする気孔特性を効果的に得るために、前記スラリーは、いわゆる発泡剤を含まなくてもよい。用語「発泡剤」は、業界で通常発泡剤と呼称される成分はもちろんスラリー内の他の成分との関係で発泡効果を示すことができる成分も含まれる。したがって、本出願で金属フォームを製造する過程中には発泡工程が進行されないこともある。
【0047】
前記スラリーを用いて前記金属フォーム前駆体を形成する方式は特に制限されない。金属フォームの製造分野では金属フォーム前駆体を形成するための多様な方式が公知にされており、本出願ではこのような方式が全て適用され得る。例えば、前記金属フォーム前駆体は、適正な型板(template)に前記スラリーを維持したり、あるいはスラリーを適正な方式でコーティングして前記金属フォーム前駆体を形成することができる。
【0048】
本出願の一つの例示によってフィルム又はシート形態の金属フォームを製造する場合、特に薄いフィルム又はシート形態の金属フォームを製造する場合には、コーティング工程を適用することが有利である。例えば、適切な基材上に前記スラリーをコーティングして前駆体を形成した後、後述する焼結工程を通じて目的とする金属フォームを形成することができる。
【0049】
このような金属フォーム前駆体の形態は、目的とする金属フォームによって決まることで、特に制限されない。一つの例示で、前記金属フォーム前駆体は、フィルム又はシート形態であってもよい。例えば、前記前駆体がフィルム又はシート形態であるとき、その厚さは、2,000μm以下、1,500μm以下、1,000μm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、150μm以下、約100μm以下、約90μm以下、約80μm以下、約70μm以下、約60μm以下又は約55μm以下であってもよい。金属フォームは、多孔性である構造的特徴上、一般的に壊れやすい特性を有するので、フィルム又はシート形態、特に薄い厚さのフィルム又はシート形態で製作が困難であり、製作しても容易に壊れる問題がある。しかし、本出願の方式によると、薄い厚さでありつつ内部に均一に気孔が形成され、機械的特性に優れた金属フォームの形成が可能である。
【0050】
上記で前駆体の厚さの下限は、特に制限されない。例えば、前記フィルム又はシート形態の前駆体の厚さは、約5μm以上、10μm以上又は約15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、45μm以上、50μm以上、55μm以上、60μm以上、65μm以上、70μm以上又は75μm以上程度であってもよい。
【0051】
前記金属フォーム前駆体の形成過程では適切な乾燥工程が行われてもよい。例えば、上述したコーティングなどの方式でスラリーを成形した後に一定時間乾燥して金属フォーム前駆体が形成されてもよい。前記乾燥の条件は特に制限されず、例えば、スラリー内に含まれた溶媒が目的レベルで除去できるレベルで制御され得る。例えば、前記乾燥は、成形されたスラリーを約50℃~250℃、約70℃~180℃又は約90℃~150℃の範囲内の温度で適正時間の間維持して行ってもよい。乾燥時間も適正範囲で選択され得る。
【0052】
前記方式で形成された金属フォーム前駆体を焼結して金属フォームを製造することができる。このような場合に、前記金属フォームを製造するための焼結を行う方式は特に制限されず、公知の焼結法を適用することができる。すなわち、適切な方式で前記金属フォーム前駆体に適正な量の熱を印加する方式で前記焼結を進行することができる。
【0053】
この場合、焼結の条件は、適用された金属フォーム前駆体の状態、例えば、スラリーの組成や金属粉末の種類などを考慮して金属粉末が連結されて多孔性構造体が形成されるように制御され得、具体的な条件は特に制限されない。
【0054】
例えば、前記焼結は、前記前駆体を約500℃~2000℃の範囲内、700℃~1500℃の範囲内又は800℃~1200℃の範囲内の温度で維持して行うことができ、その維持時間も任意的に選択され得る。前記維持時間は、一つの例示で、約1分~10時間程度の範囲内であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0055】
複合材は、上述したように、前記金属フォームの表面又は金属フォームの内部に存在する高分子成分をさらに含み、このような複合材の前記金属フォームの厚さ(MT)及び全体厚さ(T)の割合(T/MT)は、2.5以下であってもよい。前記厚さの割合は、他の例示で、約2以下、約1.9以下、約1.8以下、約1.7以下、約1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.15以下又は1.1以下であってもよい。前記厚さの割合の下限は特に制限されるものではないが、一つの例示で、約1以上、約1.01以上、約1.02以上、約1.03以上、約1.04以上又は約1.05以上、約1.06以上、約1.07以上、約1.08以上、約1.09以上、約1.1以上、約1.11以上、約1.12以上、約1.13以上、約1.14以上、約1.15以上、約1.16以上、約1.17以上、約1.18以上、約1.19以上、約1.2以上、約1.21以上、約1.22以上、約1.23以上、約1.24以上又は約1.25以上であってもよい。このような厚さ割合下で目的とする熱伝導度が確保されて加工性や耐衝撃性などに優れた複合材が提供され得る。
【0056】
複合材に含まれる高分子成分の種類は特に制限されず、例えば、複合材の加工性や耐衝撃性、絶縁性などを考慮して選択され得る。本出願で適用され得る高分子成分の例としては、公知のアクリル樹脂、シロキサン系列のようなシリコン樹脂、PET(poly(ethylene terephthalate))などのポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、PP(polypropylene)又はPE(polyethylene)などのオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選択された一つ以上が挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0057】
一つの例示で、前記複合材に含まれる高分子成分の体積(PV)と金属フォームの体積(MV)の割合(MV/PV)は、10以下であってもよい。上記割合(MV/PV)は、他の例示で、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下又は0.5以下程度であってもよい。前記体積割合の下限は特に制限されず、例えば、約0.1程度であってもよい。前記体積割合は、複合材に含まれる高分子成分と金属フォームの重量と該当成分の密度を通じて算出することができる。
【0058】
前記複合材は、高い透磁率を示すことができる。例えば、上述したフィルム形態で前記複合材は、10μm~1cm範囲内の厚さ及び100kHz~300kHzで100以上の比透磁率を示すことができる。前記比透磁率は、他の例示で、110以上、120以上、130以上、140以上、150以上、160以上、170以上、180以上、190以上又は200以上であってもよい。前記比透磁率は、他の例示で、約1,000以下、900以下、800以下、700以下、600以下、500以下、400以下又は300以下程度であってもよい。
【0059】
また、本出願は、上記のような形態の複合材の製造方法に関する。前記製造方法は、前記金属フォームの表面又は内部に硬化性高分子組成物が存在する状態で前記高分子組成物を硬化させるステップを含むことができる。
【0060】
前記方法で適用される金属フォームに対する具体的な内容は、上述した通りであり、製造される複合材に対する具体的な事項も上述した内容による。
【0061】
前記適用される高分子組成物も硬化などを通じて上記言及した高分子成分を形成することができるものであれば、特に制限されず、このような高分子成分は業界に多様に公知されている。
【0062】
例えば、公知の成分のうち適切な粘度を有する材料を用い、公知の方式を通じて硬化を進行して前記複合材を製造することができる。
【0063】
このような本出願の複合材は、高い透磁率と共に優れた機械的強度、電気絶縁性、酸化乃至熱に対する抵抗性などを示して高い透磁率が要求される多様な用途に適用され得る。適用できる用途では、EMCコア(core)、低出力高インダクタンス共鳴回路又は広帯域変圧器などを含んだ多様な装置などや電波吸収体などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【発明の効果】
【0064】
本出願によると、高い透磁率を有し、柔軟性、電気絶縁性、機械的物性及び/又は熱や酸化に対する抵抗性などのその他物性も優れた複合材を簡単で且つ経済的な工程で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1図1は、実施例1で適用された金属フォームの写真である。
図2図2は、実施例1で適用された金属フォームの気孔分布を示す図である。
図3図3は、実施例2の複合材の透磁率グラフである。
図4図4は、実施例6の複合材の透磁率グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、実施例及び比較例を通じて本出願を詳しく説明するが、本出願の範囲は、下記実施例によって制限されるものではない。
【0067】
1.比透磁率の確認方法
実施例又は比較例の材料の比透磁率は、Keysight社の16454A装備で測定し、1kHz~10MHzの領域をスキャンした。
【0068】
2.気孔分布の確認方法
適用された金属フォームの気孔分布は、電子式光学顕微鏡(SEM、JEOL、JSM-7610F)を用いて500倍の倍率で撮影したSEMイメージをImage analyzerで確認して気孔分布を計算した。
【0069】
<実施例1>
金属フォームとしては、鉄とニッケルの合金(Fe/Ni=20/80)で製造された気孔度が約75%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォームを用いた。
【0070】
このような金属フォームは、次の方式で製造した。平均粒径(メジアン粒径、D50粒径)が約20~30μmレベルである上記合金(Fe/Ni=20/80)粉末5g、n-ブタノール4g及びエチルセルロース1gを混合してスラリーを製造した。前記スラリーを焼結した後、80μm程度の厚さのフィルム形態になるようにコーティングし、120℃のオーブンで10分間乾燥した後、水素/アルゴン雰囲気の1000℃で2時間程度の間焼結して、前記金属フォームを製造した。
【0071】
図1及び図2は、それぞれ上記のように製造された金属フォームの写真及び気孔分布を示す。前記金属フォームに、粘度が約9000cPであるエポキシ樹脂(製造社:国都化学、製品名:KSR177)を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終複合材の厚さが約110μm程度になるように過量の組成物を除去した。
【0072】
引き続き、前記エポキシ樹脂が適用された金属フォームを約120℃のオーブンで約1時間程度維持して硬化させて、フィルム形態の複合材を製造した。
【0073】
前記複合材の比透磁率は、200以上(100~300kHz)であった。
【0074】
<実施例2>
実施例1で製造された金属フォームにシロキサン系列の樹脂(製造社:Dow Corning、製品名:Sylgard184)を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終複合材の厚さが約100μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を約120℃のオーブンで約1時間程度維持して硬化させて、フィルム形態の複合材を製造した。前記複合材の比透磁率は、200以上(100~300kHz)であった。
【0075】
図3は、実施例2の複合材の比透磁率グラフである。
【0076】
<実施例3>
実施例1で得た金属フォームにアクリレート系列の樹脂(製造社:Aldrich、商品名:PMMA)を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終複合材の厚さが約100μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を約120℃のオーブンで約1時間程度維持して硬化させて、フィルム形態の複合材を製造した。
【0077】
前記複合材の比透磁率は、190以上(100~300kHz)であった。
【0078】
<実施例4>
実施例1で得た金属フォームにポリプロピレン樹脂(製造社:Aldrich、商品名:Polypropylene)を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終複合材の厚さが約100μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記材料を硬化させてフィルム形態の複合材を製造した。前記複合材の比透磁率は、190以上(100~300kHz)であった。
【0079】
<実施例5>
金属フォームとしては、鉄、ニッケル及びモリブデンの合金(Fe/Ni/Mo=15/80/5)粉末を用い、実施例1のような方式で製造した気孔度が約72%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォームを用いた。前記金属フォームにエポキシ樹脂(製造社:国都化学、製品名:KSR177)を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終複合材の厚さが約110μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記エポキシ樹脂が適用された金属フォームを実施例1と同一の条件で処理して、フィルム形態の複合材を製造した。前記複合材の比透磁率は、200以上(100~300kHz)であった。
【0080】
<実施例6>
金属フォームとしては、鉄、アルミニウム及びシリコンの合金(Fe/Al/Si=85/6/9)粉末を用い、実施例1のような方式で製造された気孔度が約70%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォームを用いた。前記金属フォームにエポキシ樹脂(製造社:国都化学、製品名:KSR177)を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終複合材の厚さが約100μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記エポキシ樹脂が適用された金属フォームを実施例1と同一の条件で処理して、フィルム形態の複合材を製造した。前記複合材の比透磁率は、150以上(100~300kHz)であった。図4は、実施例6の複合材の比透磁率グラフである。
【0081】
<実施例7>
金属フォームとしては、鉄、ケイ素及びホウ素の合金(Fe/Si/B=75/15/10)粉末を用い、実施例1のような方式で製造した気孔度が約67%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォームを用いた。前記金属フォームにエポキシ樹脂(製造社:国都化学、製品名:KSR177)を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終複合材の厚さが約120μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記エポキシ樹脂が適用された金属フォームを実施例1と同一の条件で処理して、フィルム形態の複合材を製造した。前記複合材の比透磁率は、120以上(100~300kHz)であった。
【0082】
<実施例8>
金属フォームとしては、鉄、ケイ素、ホウ素、ニオビウム及び銅の合金(Fe/Si/B/Nb/Cu=74/13/9/3/1)粉末を用い、実施例1のような方式で製造した気孔度が約61%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォームを用いた。前記金属フォームにエポキシ樹脂(製造社:国都化学、製品名:KSR177)を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終複合材の厚さが約100μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記エポキシ樹脂が適用された金属フォームを実施例1と同一の条件で処理して、フィルム形態の複合材を製造した。前記複合材の比透磁率は、170以上(100~300kHz)であった。
【0083】
<比較例1>
金属フォームとしては、銅粉末を用いて実施例1のような方式で製造した気孔度が約65%レベルであり、厚さが約80μmである金属フォームを用いた。前記金属フォームに実施例2で適用したシロキサン系列の樹脂を塗布し、フィルムアプリケーターを用いて最終複合材の厚さが約100μm程度になるように過量の組成物を除去した。その後、前記樹脂が適用された金属フォームを実施例2と同一の条件で処理して、フィルム形態の複合材を製造した。前記複合材の比透磁率は、50以下(100~300kHz)であった。
【0084】
<比較例2>
軟磁性金属フィラーとして、鉄、アルミニウム及びケイ素の合金(Fe/Al/Si=85/6/9)フィラーをポリプロピレン樹脂と混合した後、フィルムアプリケーターを用いて厚さが約120μm程度であるフィルム形態に成形し、硬化させることでフィルム形態の複合材を製造した。
【0085】
前記複合材の比透磁率は、90程度(100~300kHz)であった。
図1
図2
図3
図4