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特許7118498ゲル高分子電解質、ゲル高分子電解質の製造方法およびこれを含むエレクトロクロミック素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】ゲル高分子電解質、ゲル高分子電解質の製造方法およびこれを含むエレクトロクロミック素子
(51)【国際特許分類】
   C08L 53/00 20060101AFI20220808BHJP
   C08F 293/00 20060101ALI20220808BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20220808BHJP
   G02F 1/15 20190101ALI20220808BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20220808BHJP
   C08K 3/24 20060101ALI20220808BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
C08L53/00
C08F293/00
H01B1/06 A
G02F1/15 508
C08L71/02
C08K3/24
C08L33/04
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021092240
(22)【出願日】2021-06-01
(62)【分割の表示】P 2019537734の分割
【原出願日】2017-10-30
(65)【公開番号】P2021138963
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】10-2016-0142874
(32)【優先日】2016-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ギョン・オ・キム
(72)【発明者】
【氏名】サ・ラ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ス・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ス・ヒ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ス・ジョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エ・ユン
【審査官】飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-198095(JP,A)
【文献】特開2005-285332(JP,A)
【文献】特表2014-529863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0093916(US,A1)
【文献】特開2001-209078(JP,A)
【文献】特開2003-161963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 53/00
C08F 293/00
H01B 1/06
G02F 1/15
C08L 71/02
C08K 3/24
C08L 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリコール系オリゴマー、および
下記化学式1の単位を含む第1ブロックと、
記化学式2で表される単位と、下記化学式3で表される単位とを含む第2ブロックと、を含むブロック共重合体を含み、
前記グリコール系オリゴマーの含量が、ブロック共重合体100重量部に対して50~300重量部であり、
前記ブロック共重合体は、第1ブロック100重量部に対して第2ブロック10~500重量部を含み、
前記第2ブロックは、55重量%以上90重量%以下の化学式2で表される単位及び1重量部以上30重量部以下の化学式3で表される単位を含む、ゲル高分子電解質:
【化1】
【化2】
【化3】
化学式1でAは、炭素数1~8のアルキレン基であり、化学式2でQは、水素または炭素数1~20のアルキル基であり、Bは、炭素数1~32のアルキル基、炭素数6~32の芳香族炭化水素またはカルボキシル基であり、化学式3でQは、水素または炭素数1~20のアルキル基であり、Xは、炭素数1~8のアルキレン基であり、Yは、-OR またはNR であり、R 、R およびR は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~32のアルキル基、炭素数6~32の芳香族炭化水素またはカルボキシル基であり、mは、1~20の整数である
【請求項2】
化学式2でBは、炭素数1~32のアルキルである、請求項1に記載のゲル高分子電解質。
【請求項3】
前記第2ブロックは、架橋性官能基を有する単量体をさらに含む、請求項1に記載のゲル高分子電解質。
【請求項4】
前記グリコール系オリゴマーは、ポリプロピレングリコール系オリゴマー、ポリエチレングリコール系オリゴマー、ポリエチレンイミン系オリゴマーおよびアニリン系オリゴマーのうち1種以上のオリゴマーである、請求項1に記載のゲル高分子電解質。
【請求項5】
LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiClO、LiAsF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiNO、LiN(CN)、LiPF、Li(CFPF、Li(CFPF、Li(CFPF、Li(CFPF、Li(CFP、LiSOCF、LiSO、LiSO(CFCF、LiN(SOCF、LiN(SOCaF2a+1)(SOCbF2b+1)(但し、aおよびbは自然数である)、LiOC(CFCFCF、LiCOCF、LiCOCH、LiSCN、LiB(C、LiBF(C)およびLiBFよりなる群から選択された一つ以上のリチウム塩をさらに含む、請求項1に記載のゲル高分子電解質。
【請求項6】
極性溶媒をさらに含む、請求項1に記載のゲル高分子電解質。
【請求項7】
前記極性溶媒は、カーボネート系化合物、エーテル系化合物およびエステル系化合物のうち1種以上である、請求項に記載のゲル高分子電解質。
【請求項8】
多官能性(メタ)アクリレートをさらに含む、請求項1に記載のゲル高分子電解質。
【請求項9】
第1電極と、エレクトロクロミック層と、請求項1に記載のゲル高分子電解質と、イオン貯蔵層と、第2電極とを含むエレクトロクロミック素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ゲル高分子電解質、ゲル高分子電解質の製造方法およびこれを含むエレクトロクロミック素子ならびにその製造方法に関する。本出願は、2016年10月31日付けの韓国特許出願第10-2016-0142874号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0002】
エレクトロクロミズム(Electrochromism)は、電気化学的酸化および還元反応によりエレクトロクロミック活性物質の色や光透過度のような光学的性質が変わる現象をいう。このような現象を利用したエレクトロクロミック(電気変色)素子は、少ない費用でも広い面積の素子で製造され得、低い消費電力を有するので、スマートウィンドウ、スマートミラーまたは電子ペーパーなどのような多様な分野において注目されている。このようなエレクトロクロミック素子は、基板、透明電極、エレクトロクロミック層、電解質層、およびイオン貯蔵層を含むように構成されることが一般的である。
【0003】
なお、前記電解質層は、エレクトロクロミック層とイオン貯蔵層との間に挿入または脱離されて素子のエレクトロクロミック反応に関与する電解質イオンを含む。したがって、エレクトロクロミック素子のサイクル特性と耐久性に対して電解質層が寄与するところが大きい。
【0004】
従来、電解質として最も広く使用される液状電解質の場合、電解液の漏出の危険があるため、素子の耐久性を低下させることがある。また、液状電解質は、素子を大面積で製作する場合には、重力により液状電解質が素子の下部に集まる問題がある。また、無機固体電解質は、前記のような液状電解質の問題はないが、イオン伝導度が低く、付着性が劣る問題点がある。これにより、より安定的でありながら、高い性能を有するエレクトロクロミック素子に適用できる高分子電解質の開発が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の目的は、エレクトロクロミック素子に適用される既存のゲル高分子電解質の場合、ゲルを形成する成分の溶解度が低いため、フィルムの形成が困難であり、または、リチウムイオンとの相溶性の問題に起因してフィルムの製造時に濁度が高いため、透明度が劣る問題点を解決することにある。
【0006】
本出願の他の目的は、接着性を有しながらも低い濁度と高いイオン伝導度を示すゲル高分子電解質を含むエレクトロクロミック素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
用語「ブロック共重合体」は、互いに異なる単量体が重合されたブロック(blocks of different polymerized monomers)を含む共重合体を意味する。特定のブロックが特定のモノマーまたはポリマーを「含む」という意味は、モノマーまたはポリマーがそのまま含まれたり、特定のモノマーまたはポリマーから重合、誘導または由来したものを意味する。
【0008】
本明細書で「および/または」は、前後に羅列した構成要素のうち少なくとも一つ以上を含む意味で使用される。
【0009】
本明細書で用語「アルキル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基を意味する。前記アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状アルキル基であってもよく、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0010】
本明細書で用語「アルキレン基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキレン基を意味する。前記アルキレン基は、直鎖状、分岐状または環状アルキレン基であってもよく、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0011】
本明細書で用語「芳香族炭化水素」は、アリール基またはアリーレン基を意味し、特に別途規定しない限り、一つのベンゼン環構造、2個以上のベンゼン環が1個または2個の炭素原子を共有しつつ連結されているか、または任意のリンカーにより連結されている構造を含む化合物またはその誘導体に由来する1価または2価残基を意味する。前記アリール基またはアリーレン基は、特に別途規定しない限り、炭素数6~30、炭素数6~25、炭素数6~21、炭素数6~18または炭素数6~13のアリール基またはアリーレン基であり得る。
【0012】
本出願は、ゲル高分子電解質、ゲル高分子電解質の製造方法およびこれを含むエレクトロクロミック素子に関する。
【0013】
本出願の関する一例において、本出願は、ゲル高分子電解質に関する。前記ゲル高分子電解質は、下記化学式1の単位を含む第1ブロックと;アミノ基、ヒドロキシ基またはポリアルキレンオキシド単位を含む単位と下記化学式2で表される単位を含む第2ブロックと;を含むブロック共重合体を含むゲル高分子電解質:
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】
化学式1でAは、炭素数1~8のアルキレン基であり、化学式2でQは、水素または炭素数1~20のアルキル基であり、Bは、炭素数1~32のアルキル基、炭素数6~32の芳香族炭化水素またはカルボキシル基である。
【0017】
本出願によるゲル高分子電解質は、前記ブロック共重合体を含み、高いイオン伝導度と低い濁度を同時に満たすことができ、エレクトロクロミック層との接着性を有する電解質を提供することができる。
【0018】
前記ブロック共重合体の第1ブロックは、化学式1の単位を主成分として含むことができる。化学式1の単位が主成分として含まれるというのは、ブロック共重合体の第1ブロックの55重量%以上が化学式1の単位を含むことを意味し、58重量%以上、62重量%以上、または例えば65重量%以上であってもよいが、これに限らない。また、前記第1ブロックの化学式1の単位の上限は、特に限定されず、例えば100重量%以下であってもよい。
【0019】
前記化学式1でAに存在するアルキル基は、炭素数1~8、炭素数1~6、炭素数1~4または炭素数1~2であり得るが、これに限らない。
【0020】
前記ブロック共重合体の第2ブロックは、アミノ基、ヒドロキシ基またはポリアルキレンオキシド単位を含む単位を含むことができる。一例として、前記アミノ基、ヒドロキシ基またはポリアルキレンオキシド単位を含む単位は、アミノ基、ヒドロキシ基またはポリアルキレンオキシド単位を含む(メタ)アクリレート単量体であり得る。前記アミノ基、ヒドロキシ基またはポリアルキレンオキシド単位を含む(メタ)アクリレート単量体は、1種以上含まれ得る。前記単量体は、前述した化学式2で表される単位を含むアルキル(メタ)アクリレートを除いた重合性単量体を意味する。前記アミノ基、ヒドロキシ基またはポリアルキレンオキシド単位を含む(メタ)アクリレート単量体は、電解質組成の溶媒に対するブロック共重合体の溶解度を高めて、濁度を低減することができる。
【0021】
前記アミノ基を含む(メタ)アクリレート単量体は、例えば2-アミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N、N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはN、N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどが例示できるが、これに限らない。
【0022】
前記ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリレート単量体は、例えばエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ポリエチレン(メタ)アクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルアクリレートなどが例示できるが、これに限らない。
【0023】
また、前記ブロック共重合体の第2ブロックは、化学式2の単位を主成分として含むことができる。化学式2の単位が主成分として含まれるというのは、ブロック共重合体の第2ブロックの55重量%以上が化学式2の単位を含むことを意味し、58重量%以上、62重量%以上、または例えば65重量%以上であってもよいが、これに限らない。また、前記第2ブロックの化学式2の単位の上限は、特に限定されず、99重量%以下、97重量%以下、95重量%以下、93重量%以下、91重量%以下、90重量%以下、88重量%以下、86重量%以下、84重量%以下、82重量%以下または例えば80重量%以下であってもよい。
【0024】
前記化学式2でQに存在するアルキル基は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基であり得る。前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状または環状であってもよい。また、前記アルキル基は、任意に一つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0025】
化学式2でBは、炭素数1以上、炭素数3以上、炭素数5以上、炭素数7以上または炭素数9以上の直鎖または分岐鎖アルキル基であってもよく、これは、任意に置換されているか、非置換状態であってもよい。前記直鎖または分岐鎖アルキル基の炭素数の上限は、特に限定されず、例えば、前記アルキル基は、炭素数32以下または炭素数30以下のアルキル基であり得る。
【0026】
化学式2でBは、他の例として、脂環式炭化水素基、例えば、炭素数3~20、炭素数3~16または炭素数6~12の脂環式炭化水素基であってもよく、このような炭化水素基の例としては、シクロヘキシル基またはイソボルニル基などのような炭素数3~20、炭素数3~16または炭素数6~12の脂環式アルキル基などが例示できる。
【0027】
化学式2でBは、他の例として、芳香族置換基、例えばアリール基またはアリールアルキル基などであり得る。前記でアリール基は、例えば、炭素数6~24、炭素数6~18または炭素数6~12のアリール基であり得る。また、前記アリールアルキルのアルキル基は、例えば、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基であり得る。前記アリール基またはアリールアルキル基としては、フェニル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基またはナフチル基などが例示できるが、これに限定されるものではない。
【0028】
前記で前記化学式2のアルキル基、アリール基または炭化水素基などに任意に置換されていてもよい置換基としては、塩素またはフッ素などのハロゲン、グリシジル基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基または脂環式エポキシ基などのエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、チオール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアリール基などが例示できるが、これに限定されるものではない。
【0029】
一例として、前記化学式1で表される化合物は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよびポリオキシメチレンよりなる群から選択されるいずれか一つまたはこれらのうち2種以上の混合物であってもよく、例えば数平均分子量が500~100,000のポリエチレンオキシドであってもよいが、これに限らない。本出願で用語「数平均分子量」は、磁気共鳴装置(NMR)で測定した分析数値を意味し、特に別途規定しない限り、或る高分子の分子量は、該高分子の数平均分子量を意味する。
【0030】
一例として、前記化学式2でBは、炭素数1~32のアルキルであり得、炭素数1~30、炭素数1~28、炭素数1~16のアルキルであり得、例えば炭素数1~24のアルキルであり得る。前記化学式2で表される化合物は、例えばアルキル(メタ)アクリレートであり得る。前記で用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。前記アルキル(メタ)アクリレートは、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレートまたはラウリル(メタ)アクリレートなどが例示できるが、これに限定されるものではない。
【0031】
一例として、本出願によるブロック共重合体の第2ブロックは、下記化学式3で表される単位を含むことができる。
【0032】
【化3】
【0033】
化学式3でQは、水素または炭素数1~20のアルキル基であり、Xは、炭素数1~8のアルキレン基であり、Yは、-ORまたはNRであり、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1~32のアルキル基、炭素数6~32の芳香族炭化水素またはカルボキシル基である。
【0034】
前記化学式3でQに存在するアルキル基は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基であり得る。前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状または環状であってもよい。また、前記アルキル基は、任意に一つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0035】
前記で前記化学式3のアルキル基または炭化水素基などに任意に置換されていてもよい置換基としては、塩素またはフッ素などのハロゲン、グリシジル基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基または脂環式エポキシ基などのエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、チオール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアリール基などが例示できるが、これに限定されるものではない。
【0036】
前記化学式3でXは、炭素数1~8のアルキレン基であり得、炭素数1~7、炭素数1~6または炭素数1~4のアルキレン基であり得るが、これに限らない。
【0037】
前記化学式3でR、R、Rは、それぞれ独立して、水素であるか、炭素数1~32のアルキル基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~28のアルキル基または炭素数1~24のアルキル基であり得、または炭素数6~32の芳香族炭化水素、炭素数6~28の芳香族炭化水素、炭素数6~24の芳香族炭化水素であり得、またはカルボキシル基であり得る。
【0038】
前記化学式3で表される単位は、ブロック共重合体の第2ブロック100重量部に対して1重量部~30重量部の範囲で含まれ得る。前記化学式3で表される単位は、ブロック共重合体の第2ブロック100重量部に対して1.0重量部以上、1.2重量部以上、1.3重量部以上、1.4重量部以上または1.5重量部以上であってもよく、30重量部以下、29重量部以下、28重量部以下、27重量部以下、26重量部以下または25重量部以下であってもよいが、これに限らない。前記化学式3で表される単位を過量で添加する場合、電解液に対する溶解度が過度に高くなり、ドメインを形成しないことがあり、これにより、ゲル高分子電解質フィルムが十分なモジュラスを確保しないことがあり、耐久性が低下し得る。
【0039】
一例として、本出願によるブロック共重合体の第2ブロックは、架橋性官能基を有する単量体を含むことができる。前記架橋性官能基の例としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基またはイソシアネート基などが挙げられる。また、前記単量体は、(メタ)アクリレートであり得る。ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート単量体は、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが例示できるが、これに限らない。イソシアネート基を含む単量体は、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、3-メタクリロイルオキシ-n-プロピルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシイソプロピルイソシアネート、4-メタクリロイルオキシ-n-ブチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシ-tert-ブチルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシブチル-4-イソシアネート、2-メタクリロイルオキシブチル-3-イソシアネート、2-メタクリロイルオキシブチル-2-イソシアネート、2-メタクリロイルオキシブチル-1-イソシアネート、5-メタクリロイルオキシ-n-ペンチルイソシアネート、6-メタクリロイルオキシ-n-ヘキシルイソシアネート、7-メタクリロイルオキシ-n-ヘプチルイソシアネート、2-(イソシアナトエチルオキシ)エチルメタクリレート、3-メタクリロイルオキシフェニルイソシアネート、4-メタクリロイルオキシフェニルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3-アクリロイルオキシ-n-プロピルイソシアネート、2-アクリロイルオキシイソプロピルイソシアネート、4-アクリロイルオキシ-n-ブチルイソシアネート、2-アクリロイルオキシ-tert-ブチルイソシアネート、2-アクリロイルオキシブチル-4-イソシアネート、2-アクリロイルオキシブチル-3-イソシアネート、2-アクリロイルオキシブチル-2-イソシアネート、2-アクリロイルオキシブチル-1-イソシアネート、5-アクリロイルオキシ-n-ペンチルイソシアネート、6-アクリロイルオキシ-n-ヘキシルイソシアネート、7-アクリロイルオキシ-n-ヘプチルイソシアネート、2-(イソシアナトエチルオキシ)エチルアクリレート、3-アクリロイルオキシフェニルイソシアネート、4-アクリロイルオキシフェニルイソシアネート、1、1-ビス(メタクリロイルオキシメチル)メチルイソシアネート、1、1-ビス(メタクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、1、1-ビス(アクリロイルオキシメチル)メチルイソシアネート、1、1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2’-ペンテノイル-4-オキシフェニルイソシアネートなどが挙げられ、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、4-メタクリロイルオキシ-n-ブチルイソシアネート、5-メタクリロイルオキシ-n-ペンチルイソシアネート、6-メタクリロイルオキシ-n-ヘキシルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3-メタクリロイルオキシフェニルイソシアネート、4-メタクリロイルオキシフェニルイソシアネート、1、1-ビス(メタクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、2-(イソシアナトエチルオキシ)エチルメタクリレートまたは2-(イソシアナトエチルオキシ)エチルアクリレートが例示できるが、これに限らない。前記架橋性官能基を有する単量体は、単独でまたは2種以上混合して含まれ得る。
【0040】
前記架橋性官能基を有する単量体は、ブロック共重合体の第2ブロック100重量部に対して1重量部~60重量部の範囲で含まれ得る。前記架橋性官能基を有する単量体は、ブロック共重合体の第2ブロック100重量部に対して1.0重量部以上、1.2重量部以上、1.3重量部以上、1.4重量部以上または1.5重量部以上であってもよく、60重量部以下、59重量部以下、58重量部以下、57重量部以下、56重量部以下または55重量部以下であってもよいが、これに限らない。前記架橋性官能基を有する単量体が過量で含まれる場合、十分なイオン伝導度を示さないことがある。
【0041】
一例として、本出願のゲル高分子電解質は、全体高分子電解質100重量部に対して前記ブロック共重合体5~95重量部を含むことができる。前記ブロック共重合体は、全体高分子電解質100重量部に対して5重量部以上、6重量部以上、7重量部以上、8重量部以上、9重量部以上または10重量部以上であってもよく、95重量部以下、94重量部以下、93重量部以下、92重量部以下、91重量部以下または90重量部以下であってもよいが、これに限らない。
【0042】
本出願による一例において、前記ブロック共重合体は、第1ブロック100重量部に対して第2ブロックを10~500重量部または20~450重量部を含むことができるが、これに限らない。本出願によるブロック共重合体の第1ブロックは、極性溶媒に溶解されてリチウムイオンの移動通路となる部分であり、第2ブロックは、溶媒に完全に溶解されず、堅固なドメインを形成して、ゲル高分子電解質フィルムに耐久性を付与する部分である。したがって、ブロック共重合体の第1ブロックと第2ブロックの含量が前記範囲を外れる場合、イオン伝導度が低下したり、ゲル高分子電解質の耐久性が低下し得る。
【0043】
前記ブロック共重合体は、5,000~500,000の範囲内の数平均分子量(Mn:Number Average Molecular Weight)を有し得る。本明細書で言及する数平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph y)を使用して測定することができる。ブロック共重合体の数平均分子量は、他の例として、6,000以上、7,000以上、8,000以上、または9,000以上であり得る。前記数平均分子量は、他の例として、490,000以下、480,000以下または450,000以下程度であり得る。前記ブロック共重合体の分子量の特性を上記のように調節して、優れた物性の高分子電解質を提供することができる。
【0044】
一例として、本出願のブロック共重合体は、分子量分布(PDI)が1.0~1.3であり得る。前記分子量分布(PDI;Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率(Mw/Mn)を意味する。前記ブロック共重合体の分子量分布は、1.02~1.28、1.05~1.26であり得、例えば1.05~1.25であり得る。本出願のブロック共重合体は、分子量分布が前記範囲を満たす場合、高い透明度を示すことができ、前記範囲を外れる場合、濁度が高くなり得る。
【0045】
前記ブロック共重合体を製造する方法は、特に限定されず、通常の方式で製造することができる。ブロック重合体は、例えば、リビングラジカル重合法(Living Radical Polymerization)で重合することができ、その例としては、有機希土類金属複合体を重合開始剤として使用したり、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用してアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などの無機酸塩の存在下で合成するアニオン重合、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用して有機アルミニウム化合物の存在下で合成するアニオン重合、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を利用する原子移動ラジカル重合(ATRP)、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を利用するものの、電子を発生させる有機または無機還元剤の下で重合を行うARGET(Activators Regenerated by Electron Transfer)原子移動ラジカル重合法(ATRP)、ICAR(Initiators for continuous activator regeneration)、無機還元剤可逆的付加開裂連鎖移動剤を利用する可逆的付加開裂連鎖移動による重合(RAFT)または有機テルル化合物を開始剤として利用する重合などがあり、このような方法のうちから適切な方法が選択されて適用され得る。
【0046】
本出願の一例において、ゲル高分子電解質は、グリコール系オリゴマーを含むことができる。前記グリコール系オリゴマーは、その末端に反応官能基を含むことができ、官能基の数は、特に限定されない。前記官能基としては、例えば、アクリレート基またはジアクリレート基などが挙げられるが、これに限らない。
【0047】
前記グリコール系オリゴマーは、ポリプロピレングリコール系オリゴマー、ポリエチレングリコール系オリゴマー、ポリエチレンイミン系オリゴマーおよびアニリン系オリゴマーのうち1種以上のオリゴマーを含むことができる。前記グリコール系オリゴマーは、UV照射を通じてゲル高分子電解質を形成することができ、分子内に存在する酸素または窒素の非共有電子対により電解質イオンの移動が容易な高分子構造を具現することができ、これを含むゲル高分子電解質は、優れたイオン伝導度を示すことができる。
【0048】
前記グリコール系オリゴマーの重量平均分子量は、100~50,000、または500~20,000であり得るが、これに限らない。
【0049】
前記グリコール系オリゴマーの含量は、ブロック共重合体100重量部に対して10~500重量部であってもよく、15~450または50~300重量部であってもよいが、これに限らない。オリゴマーの含量が50より低い場合、硬化が十分に行われないことがあり、フィルム形態の電解質が得られないことがある。オリゴマーの含量が500より高い場合、製造されたゲル高分子電解質の透明性が劣ることがある。
【0050】
本出願によるゲル高分子電解質は、リチウム塩を含むことができる。前記リチウム塩は、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiClO、LiAsF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiNO、LiN(CN)、LiPF、Li(CFPF、Li(CFPF、Li(CFPF、Li(CFPF、Li(CFP、LiSOCF、LiSO、LiSO(CFCF、LiN(SOCF、LiN(SOCaF2a+1)(SOCbF2b+1)(但し、aおよびbは、自然数である)、LiOC(CFCFCF、LiCOCF、LiCOCH、LiSCN、LiB(C、LiBF(C)およびLiBFよりなる群から選択された一つ以上であり得る。前記aおよびbは、1~100の自然数であり得る。前記リチウム化合物は、ブロック共重合体100重量部に対して10~500重量部、15~470重量部または30~450重量部で含まれ得る。前記リチウム化合物の含量が10以下である場合、十分なイオン伝導度が確保されないことがある。
【0051】
本出願によるゲル高分子電解質は、ブロック共重合体100重量部に対して、グリコール系オリゴマー10~500重量部、15~450重量部または50~300重量部を含むことができ、リチウム塩10~500重量部、15~470重量部または30~450重量部を含むことができる。前記電解質の含量を前記範囲で制御することにより、高いイオン伝導度、低い濁度および接着力を示すゲル高分子電解質を形成することができる。
【0052】
本出願の他の一例において、ゲル高分子電解質は、極性溶媒をさらに含むことができる。前記極性溶媒は、前記電解質の可塑剤として使用され、誘電率が高いため、ゲルポリマー電解質のイオン伝導度を高めることができる。前記極性溶媒は、前記ブロック共重合体の第1ブロックに対してさらに高い溶解度を示す溶媒であってもよく、リチウムイオンの移動を容易にし得るものであれば、当業界に知られている多様な溶媒が使用でき、例えばカーボネート系化合物、エーテル系化合物およびエステル系化合物のうち1種以上であり得る。
【0053】
一例として、前記極性溶媒は、カーボネート系化合物を含むことができる。前記カーボネート系化合物は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチルフルオロエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートおよびブチレンカーボネートよりなる群から選択された一つ以上であり得る。前記カーボネート系化合物の含量は、ブロック共重合体100重量部に対して100~1,000重量部または300~800重量部で含まれ得る。前記カーボネート化合物の含量が100重量部以下である場合、イオン伝導度が低下し得る。
【0054】
一例として、本出願によるゲル高分子電解質は、多官能性(メタ)アクリレートを含むことができる。前記多官能性(メタ)アクリレートは、グリコール系オリゴマーとブロック共重合体を架橋させることにより、電解質イオンの移動通路を提供することができる。前記多官能性(メタ)アクリレートは、アクリル酸、イソボルニルアクリレート、アクリロニトリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを1種以上含むことができるが、これに限らない。
【0055】
前記多官能性(メタ)アクリレートの含量は、ブロック共重合体とグリコール系オリゴマーの総重量に対して、0.01~5重量部であってもよく、0.05~1重量部であってもよいが、これに限らない。単量体の含量が0.01以下である場合、硬化が十分に行われないことがあり、フィルム形態の電解質が得られないことがある。
【0056】
また、本出願のゲル高分子電解質は、ラジカル開始剤を含むことができる。一例として、前記ラジカル開始剤の種類も特に限定されない。例えば、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物およびトリアジン系化合物、オキシム系化合物などが使用できる。前記ラジカル開始剤として使用可能なアセトフェノン系化合物としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドキシエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2、2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メチル-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルホリノ-1-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(4-ブロモ-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンおよび2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オンよりなるグループから選択されたものであり、ビイミダゾール系化合物としては、2、2-ビス(2-クロロフェニル)-4、4’、5、5’-テトラフェニルビイミダゾール、2、2’-ビス(o-クロロフェニル)-4、4’、5、5’-テトラキス(3、4、5-トリメトキシフェニル)-1、2’-ビイミダゾール、2、2’-ビス(2、3-ジクロロフェニル)-4、4’、5、5’-テトラフェニルビイミダゾール、および2、2’-ビス(o-クロロフェニル)-4、4、5、5’-テトラフェニル-1、2’-ビイミダゾールよりなるグループから選択されたものであり、トリアジン系化合物としては、3-{4-[2、4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、1、1、1、3、3、3-ヘキサフルオロイソプロピル-3-{4-[2、4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオネート、エチル-2-{4-[2、4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、2-エポキシエチル-2-{4-[2、4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、シクロヘキシル-2-{4-[2、4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、ベンジル-2-{4-[2、4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、3-{クロロ-4-[2、4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、3-{4-[2、4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオンアミド、2、4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2、4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル)-1、3、-ブタジエニル-s-トリアジン、および2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジンよりなるグループから選択されたものであり、オキシム系化合物としては、1、2-オクタジオン-1-(4-フェニルチオ)フェニル-2-(o-ベンゾイルオキシム)(チバガイギー社、CGI124)、およびエタノン-1-(9-エチル)-6-(2-メチルベンゾイル-3-イル)-1-(o-アセチルオキシム)(CGI242)、オキシムOX-03(チバガイギー社)、NCI-831(アデカ社)、PI-102(LG化学社)、PBG304、PBG305、PBG3057(常州強力電子新材料株式会社)などがある。
【0057】
前記ラジカル開始剤の含量は、ブロック高分子とオリゴマーの総重量に対して、0.01~5重量部であってもよく、0.05~1重量部であってもよいが、これに限定されるものではない。ラジカル開始剤の含量が0.01以下である場合、硬化が十分に行われないことがあり、フィルム形態の電解質が得られないことがある。
【0058】
他の一例として、本出願は、ゲル高分子電解質の製造方法に関する。前記ゲル高分子電解質の製造方法は、複数の離型フィルムの間に下記化学式1で表される単位を含む第1ブロックと、アミノ基、ヒドロキシ基またはポリアルキレンオキシドを含む単位と下記化学式2で表される単位を含む第2ブロックとを含むブロック共重合体を含む組成物をコーティングする段階と、前記混合物を硬化させる段階とを含むことができる。
【0059】
【化4】
【0060】
【化5】
【0061】
化学式1でAは、炭素数1~8のアルキレン基であり、化学式2でQは、水素または炭素数1~20のアルキル基であり、Bは、炭素数1~32のアルキル基、炭素数6~32の芳香族炭化水素またはカルボキシル基である。
【0062】
前記組成物は、前述したブロック共重合体、グリコール系オリゴマーおよびリチウム塩を含むことができ、極性溶媒、多官能性(メタ)アクリレートおよびラジカル開始剤をさらに含むことができる。
【0063】
一例として、前記離型フィルムの種類は、特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリイミド樹脂;アクリル樹脂;ポリスチレンおよびアクリロニトリル-スチレンなどのスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリ乳酸樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体のようなポリオレフィン樹脂;ポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリドなどのビニル樹脂;ポリアミド樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテル-エーテルケトン系樹脂;アリルレート系樹脂;または前記樹脂の混合物で形成された離型フィルムが使用できる。
【0064】
一例として、前記硬化は、10nm~400nmの波長範囲の光を0.5~5J/cmの光量で照射することで行われ得る。前記波長範囲の光を照射する手段は、通常使用される装置が使用でき、例えば、キセノンランプ、水銀ランプまたはメタルハライドランプなどが使用できる。
【0065】
他の例として、前記電解質組成物の粘度は、25℃を基準として10~100,000cps基であり得、1,000~50,000cpsであり得る。前記電解質溶液の粘度が10cps未満の場合には、コーティング工程性が劣ることがあり、100,000cpsを超過する場合には、混合工程および脱泡工程の不良によってフィルム形態のコーティングが困難であり得る。
【0066】
また、本出願は、エレクトロクロミック素子に関する。本出願の例示的なエレクトロクロミック素子は、第1電極と、エレクトロクロミック層と、高分子電解質と、第2電極とを含むエレクトロクロミック素子であり、前記高分子電解質は、前述したブロック共重合体を含むゲル高分子電解質であり得る。前記ゲル高分子電解質の特性は、前述した通りである。
【0067】
本出願において、前記ゲル高分子電解質層の厚さは、10~1,000μmであり得、50~100μmであり得るが、これに限定されるものではない。前記ゲル高分子電解質層の厚さが10μm未満である場合には、カット特性およびラミネーションの過程で工程処理が困難であり得、1,000μmを超過する場合には、Liイオンがエレクトロクロミック素子に移動する時間が長くかかるので、反応速度が低下し得る。
【0068】
一例として、前記ゲル高分子電解質層のモジュラスは、10~10Paであり得、10~10Paであり得る。前記ゲル高分子電解質層のモジュラスが10Pa未満である場合には、付着信頼性がなく、10Paを超過する場合には、イオン伝導度が下降し得、付着信頼性が低下し得る。
【0069】
前記第1電極および第2電極は、エレクトロクロミック層に電荷を供給できる構成を意味する。一例として、前記透明電極は、透明導電性酸化物、導電性高分子、銀ナノワイヤーまたはメタルメッシュのうちいずれか一つ以上を含んで形成され得る。より具体的に、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluor doped Tin Oxide)、AZO(Aluminium doped Zinc Oxide)、GZO(Galium doped Zinc Oxide)、ATO(Antimony doped Tin Oxide)、IZO(Indium doped Zinc Oxide)、NTO(Niobium doped Titanium Oxide)、ZnO、OMO(Oxide/ Metal/ Oxide)およびCTO(Cadmium Tin Oxide)よりなる群から選択される一つ以上の物質を含むことができる。
【0070】
前記透明電極を形成する方法は、特に限定されず、公知の方法が制限なしに使用され得る。例えば、スパッタリング工程を用いて、透明な導電性酸化物粒子を含む電極材料を、透明なガラス基板上に薄膜形態で形成することにより、透明電極が設けられる。前記透明電極は、1nm~1μmの範囲内で、150nm以上、200nm以上、または300nm以上の厚さを有し得る。透明電極の厚さの上限は、特に限定されないが、低抵抗を具現するために、前記透明電極は、800nm以下、700nm以下、または500nm以下の厚さを有し得る。また、前記透明電極は、エレクトロクロミック素子の光透過性の変化を十分に反映するために、可視光線に対する透過率が70%~90%範囲であり得る。
【0071】
本出願において、前記エレクトロクロミック層とイオン貯蔵層は、酸化還元反応をするエレクトロクロミック(電気変色)物質を含むことができ、前記エレクトロクロミック物質は、酸化還元反応により着色および脱色の変色を示すことができる。使用可能なエレクトロクロミック物質としては、導電性高分子、有機変色物質および/または無機変色物質が例示できる。前記導電性高分子としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリインドール、ポリカルバゾールなどが使用でき、有機変色物質としては、ビオロゲン、アントラキノン、フェノキサジンのような物質が使用できるが、これに限らない。
【0072】
また、前記無機変色物質は、Ti、Nb、Mo、Ta、W、V、Cr、Mn、Co、Ni、Rh、およびIrの酸化物のうち一つ以上の金属酸化物を含むことができる。前記エレクトロクロミック層とイオン貯蔵層は、酸化還元反応において、互いに相補的な無機変色物質を含むことができる。例えば、前記エレクトロクロミック層にTi、Nb、Mo、TaおよびWの酸化物である還元性無機変色物質、具体的に、TiO、Nb、MoO、TaおよびWOのうち一つ以上の還元性無機変色物質を含む場合、イオン貯蔵層には、V、Cr、Mo、Co、Ni、RhおよびIrの酸化物である酸化性無機変色物質、具体的に、V、CrO、LixCoO、LiNiO(但し、xは1~3である)、RhおよびIrOのうち一つ以上の酸化性無機変色物質が含まれ得る。
【0073】
本出願で、用語「還元性無機変色物質」は、還元反応により着色が行われる物質を意味し、用語「酸化性無機変色物質」は、酸化反応により着色が行われる物質を意味する。
【0074】
他の一例として、前記エレクトロクロミック層は、着色時に可視光線に対する透過率が10%~30%であり、脱色時に可視光線に対する透過率が55%~75%の範囲であり得る。また、エレクトロクロミック層は、50nm~400nmの範囲内で350nm以下、250nm以下、150nm以下、または120nm以下の厚さを有し得る。前記厚さが50nm未満の場合、変色のための反応が十分に起こりにくく、150nmを超過する場合には、薄膜のエレクトロクロミック素子を提供することができず、素子の透過度が低下し得る。
【0075】
前記イオン貯蔵層は、着色時に可視光線に対する透過率が5%~40%であり、脱色時に可視光線に対する透過率が45%~80%の範囲であり得る。また、エレクトロクロミック層は、10nm~400nmの範囲内で350nm以下、250nm以下、150nm以下、または120nm以下の厚さを有し得る。前記厚さが10nm未満の場合、変色のための反応が十分に起こりにくく、150nmを超過する場合には、薄膜のエレクトロクロミック素子を提供することができず、素子の透過度が低下し得る。
【発明の効果】
【0076】
本出願によってブロック共重合体を含むゲル高分子電解質は、低い濁度と高いイオン伝導度を有する。また、前記ゲル高分子電解質は、エレクトロクロミック素子の電極の構成に対する電解質層の付着力に優れているため、エレクトロクロミック素子の耐久性およびサイクル特性を改善するのに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】本出願によるゲル高分子電解質を含むエレクトロクロミック素子の構造に対する模式図である。
図2】実施例および比較例によるエレクトロクロミック素子の変色駆動イメージである。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、実施例により本出願を詳細に説明するが、本出願の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【0079】
製造例1.ブロック共重合体(GP1)の製造
原子ラジカル移動重合(Atom Transfer Radical Polymerization、ATRP)用開始剤を製造するために、ポリエチレングリコールの末端ヒドロキシ(mPEG-OH)1当量に対してトリエチルアミン(TEA)3当量と2-ブロモイソブチリルブロマイド2当量を入れて反応させる。不純物を除去するために、反応物をジエチルエーテル溶媒に溶解して沈殿物を回収し、これを2回繰り返した後に乾燥させた。
【0080】
製造した開始剤は、ポリエチレングリコール(PEG)高分子の末端にブロミンを有するが、製造された開始剤49重量部を反応溶媒としてのエタノールに溶かし、メチルメタクリレート43重量部、ポリエチレングリコール-アクリレート2.25重量部およびヒドロキシプロピルメタクリレート4.75重量部を投入する。ゴム膜でフラスコをシールし、常温で撹拌させながら30分間窒素をバブリングし、溶存酸素を除去する。以後、フラスコを60℃のオイルバスに浸漬して触媒溶液および触媒還元剤を投入し、24時間反応を進めた。ATRPの触媒としては、臭化銅(CuBr)100ppmと、銅対比2当量のトリス(2-ピリジルメチル)アミン(TPMA)をアセトニトリル(CAN)に溶解して使用した。触媒還元剤としては、2、2’-アゾビス(2、4-ジメチルバレロニトリル)(V-65)を6当量(Cu対比)使用した。
【0081】
製造されたブロック高分子をエチルアセテートに溶かす。これを酸素圧力の下で60℃にセットしたオイルバスに浸漬した後、前記ヒドロキシプロピルメタアクリレートのヒドロキシ官能基に対して2-イソシアナトエチルアクリレート(AOI)1当量とジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.1当量を入れて4時間撹拌して、前記ヒドロキシ官能基と2-イソシアナトエチルアクリレートのイソシアネート基をウレタン反応させてアクリロイル基を導入した。反応が終わった後、冷たいイソプロピルアルコール:ヘキサン=l:lの混合溶液に沈殿させて精製する。製造されたブロック共重合体(GP1)のブロック重量比(第1ブロック:第2ブロック)は、50:50であることが確認された。
【0082】
製造例2.ブロック共重合体(GP2)の製造
製造例1と同じ方式で開始剤を製造した。製造した開始剤64重量部をエタノールに溶かし、メチルメタクリレート29.75重量部、ポリエチレングリコール-アクリレート1.75重量部およびヒドロキシプロピルメタクリレート3.5重量部を投入したことを除いて、製造例1と同一にブロック共重合体を製造した。製造されたブロック共重合体(GP2)のブロック重量比(第1ブロック:第2ブロック)は、65:35であることが確認された。
【0083】
製造例3.ブロック共重合体(GP3)の製造
製造例1と同じ方式で開始剤を製造した。製造した開始剤79重量部をエタノールに溶かし、メチルメタクリレート17重量部、ポリエチレングリコール-アクリレート1重量部およびヒドロキシプロピルメタクリレート2重量部を投入したことを除いて、製造例1と同一にブロック共重合体を製造した。製造されたブロック共重合体(GP3)のブロック重量比(第1ブロック:第2ブロック)は、80:20であることが確認された。
【0084】
製造例4.ブロック共重合体(GP4)の製造
製造例1と同じ方式で開始剤を製造した。製造した開始剤49重量部をエタノールに溶かし、メチルメタクリレート43.5重量部、N、N-ジメチルアミノエチルメタクリレート2.5重量部およびヒドロキシプロピルメタクリレート4重量部を投入したことを除いて、製造例1と同一にブロック共重合体を製造した。製造されたブロック共重合体(GP4)のブロック重量比(第1ブロック:第2ブロック)は、50:50であることが確認された。
【0085】
製造例5.ブロック共重合体(GP5)の製造
製造例1と同じ方式で開始剤を製造し、製造した開始剤49重量部をエタノールに溶かし、メチルメタクリレート46重量部およびヒドロキシプロピルメタクリレート4重量部を投入したことを除いて、製造例1と同じ方式でブロック共重合体を製造した。製造されたブロック共重合体(GP5)のブロック重量比(第1ブロック:第2ブロック)は、50:50であることが確認された。
【0086】
製造例6.ランダム共重合体(GP6)の製造
試薬メーカー(Sigma Aldrich社)から購入したポリエチレングリコール-アクリレート2重量部とメチルメタクリレート43.5重量部、およびヒドロキシプロピルメタクリレート4.5重量部を投入する。ゴム膜でフラスコをシールし、常温で撹拌させながら30分間窒素をバブリングし、溶存酸素を除去する。以後、フラスコを60℃のオイルバスに浸漬して触媒溶液および触媒還元剤を投入し、24時間反応を進めた。ATRPの触媒としては、臭化銅(CuBr)100ppmと、銅対比2当量のトリス(2-ピリジルメチル)アミン(TPMA)をアセトニトリル(CAN)に溶解して使用した。触媒還元剤としては、2、2’-アゾビス(2、4-ジメチルバレロニトリル)(V-65)を6当量(Cu対比)使用した。
【0087】
製造されたランダム高分子をエチルアセテートに溶かす。これを酸素圧力の下で60℃にセットしたオイルバスに浸漬した後、前記ヒドロキシプロピルメタアクリレートのヒドロキシ官能基に対して2-イソシアナトエチルアクリレート(AOI)1当量とジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.1当量を入れて7時間撹拌する。反応が終わった後、冷たいイソプロピルアルコール:ヘキサン=l:lの混合溶液に沈殿させて精製する。
【0088】
実施例1
〔コーティング液の製造〕
製造例1で製造されたブロック共重合体(GP1)1.0g、ポリプロピレングリコール1.0g、プロピレンカーボネートに溶解させたLiClO 4g、ペンタエリスリトールトリアクリレート0.2gおよびラジカル開始剤(Irgacure 819、チバ社製品)0.3gの混合液をホモジナイザーを利用してよく混ざるように600rpmで3時間以上混合する。以後、溶液に生成された気泡を除去するために、容器の蓋をそっと開いて3時間放置する。すべての過程は、UVが遮断されるイエロールームの状態で進める。
【0089】
〔高分子電解質の製造〕
前記コーティング液を離型フィルムの間に一定量塗布した後、フィルムを覆う。以後、ベーカーアプリケーター(Bakers applicator)を利用して均一な厚さで作る。UV硬化装置に入れて1分間硬化させると、フリースタンディングフィルム状態の高分子電解質を得ることができる。形成された高分子電解質の透過度、濁度、イオン伝導度などを測定した。
【0090】
〔エレクトロクロミック素子の製造〕
ITOフィルム上にWOとPBのようなエレクトロクロミック層を用意した後、離型フィルム上に均一な厚さで硬化している高分子電解質フィルムをエレクトロクロミック層上にラミネートして、両側にエレクトロクロミック層をサンドイッチ形態で接合した。印加電圧による素子の性能を測定した。
【0091】
実施例2~5および比較例1~3
コーティング液の製造時に各成分および比率を下記表1のように調節したことを除いて、実施例1と同一にゲル高分子電解質を製造した。
【0092】
【表1】
【0093】
実験例1.製造された共重合体のブロック比および分子量の評価
製造された共重合体のブロック比および分子量を下記方法によって評価して、下記表2に示した。
【0094】
具体的に、触媒を完全に除去した高分子溶液の精製段階を経て固形化した後、H NMR分析を通じてブロック高分子のブロック比を確認した。高分子溶液の精製は、アルミナカラムを通過して銅錯化合物触媒を除去した後、撹拌中の過量のジエチルエーテルに滴下して、残留の単量体を除去して固形化した。固形化した高分子を真空オーブンで24時間乾燥させた。前記方法で精製したブロック高分子は、CDCl溶媒に溶解して、核磁気共鳴(H NMR)分析装置で測定した。分析結果、アクリレート単量体の二重結合末端のCH=C(CH)-に由来する1Hピークは確認されず、これを通じて、未反応の単量体が存在しないことを確認した。また、エチレングリコールブロック末端の-OCHに由来する3Hピークが3.2ppmの付近で確認され、これを基準として各高分子ブロックの比率と分子量を計算した。高分子で形成されたエチレングリコールの-CHCHO-に由来する450H程度のピーク(4H×反復単位113個)が3.6~3.8ppmの領域で現れ、高分子で形成されたメチルメタクリレートの主鎖に隣接する-CHに由来する3Hピークが3.5~3.6ppmの領域で現れるので、その面積比を計算して、各構成単量体の含量を質量分率で計算した。共重合体で形成されたジメチルアミノエチルメタクリレート、2-イソシアネートメチルアクリレートCOO-に隣接する-OCH-に由来する2Hピークがそれぞれ4.0~4.2ppmと3.9~4.0ppmの領域で現れるので、その面積比を通じて各構成単量体の含量を質量分率で計算した。
【0095】
【表2】
【0096】
実験例2.ゲル高分子電解質フィルムの物性の評価
離型フィルムに前記実施例1~5および比較例1~3のゲル高分子電解質組成物を一定の厚さで塗布した後、UV硬化することにより、ゲル高分子電解質フィルムを製造した。製造された高分子電解質フィルムの物性を評価して、表3に示した。
【0097】
ゲル高分子電解質フィルムの透過度は、UV-VISスペクトルの550nm波長を基準として測定し、濁度は、ヘーズメーターを利用して測定し、その値が小さいほど透明であることを意味する。
【0098】
前記イオン伝導度は、インピーダンスを測定した後、下記数式1を利用して求めた。測定のために一定の広さと厚さを有するゲル高分子電解質フィルムのサンプルを用意した。板状のサンプルの両面にイオン遮断電極で導電性に優れたステンレス(SUS)基板を接触させた後、サンプル両面の電極を介して交流電圧を印加した。この際、印加される条件は、振幅であり、測定周波数は、0.1Hz~10MHzの範囲に設定した。測定されたインピーダンス軌跡の半円や直線が実数軸と会う交点(R)からバルク電解質の抵抗を求め、サンプルの広さと厚さからイオン伝導度を求めた。
【0099】
【数1】
σ:イオン伝導度
:インピーダンス軌跡が実数軸と会う交点
A:サンプルの広さ
t:サンプルの厚さ
【0100】
【表3】
【0101】
前記モジュラスは、万能材料試験機(UTM、Zwick Roel、Z005)を利用し、常温でゲル高分子電解質フィルムのサンプル試験片(1x12cm)を上下のクランプで固定させた後、5%の変形率(strain)および1Hzの周波数の条件で弾性率(Young’s modulus)を測定した。
【0102】
前記付着信頼性は、WO基板に前記高分子電解質フィルムをラミネートした後、30分が経過した後、30Nの力を加えたとき、剥離する場合を×で示し、剥離しない場合を○で示して、付着性能を評価した。
【符号の説明】
【0103】
10、30 基板
11、31 透明電極
12 エレクトロクロミック層
20 ゲルポリマー電解質層
32 イオン貯蔵層
図1
図2