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特許7118987回転コネクタ装置及び回転コネクタ装置の組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】回転コネクタ装置及び回転コネクタ装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 35/04 20060101AFI20220808BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20220808BHJP
   B62D 1/04 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
H01R35/04 U
H01R43/00 B
B62D1/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019547002
(86)(22)【出願日】2018-10-04
(86)【国際出願番号】 JP2018037136
(87)【国際公開番号】W WO2019070012
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2017196221
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】大岩 健人
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 博文
(72)【発明者】
【氏名】牛山 政利
(72)【発明者】
【氏名】金沢 政志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩介
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-217730(JP,A)
【文献】実開昭61-164079(JP,U)
【文献】実開昭60-124078(JP,U)
【文献】特開2007-136017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 35/04
B62D 1/04
B60R 16/027
H01R 43/00
H05K 5/02-5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の回転側リング板及び該回転側リング板の内周縁に形成された円筒状の内周筒部を有する回転体と、環状の固定側リング板及び該固定側リング板の外周縁に形成された円筒状の外周筒部を有する固定体とが、相対回転可能に組み付けられ、内部に収容空間を有する回転コネクタ装置であって、
前記回転コネクタ装置の外部から前記収容空間を見るための貫通孔である視認窓と、
前記視認窓を覆うように前記視認窓に配置され、透明かつ可撓性を有するカバー部材と、
前記回転コネクタ装置の外部に向く、前記カバー部材の外側面に当接可能に配置された外側規制部と、
前記収容空間に向く、前記カバー部材の内側面に当接可能に配置された内側規制部とを有し、
前記カバー部材は、前記外側規制部と前記内側規制部との間に配置され、
前記外側規制部及び前記内側規制部の少なくとも一方が、前記カバー部材が前記貫通孔の貫通方向に向かって突出するように保持する形状保持部を有する
回転コネクタ装置。
【請求項2】
前記形状保持部は、前記カバー部材を前記貫通方向に向かって円弧状に突出するように保持するように構成された
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項3】
前記形状保持部は、前記カバー部材を前記回転コネクタ装置の外部側に向かって突出するように保持する
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項4】
前記外側規制部と前記内側規制部とは、前記カバー部材を前記視認窓に配置するための案内部を有する
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項5】
前記カバー部材を係止する係止部が設けられた
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項6】
前記係止部は、
前記カバー部材の復元力が作用する方向に設けた
請求項5に記載の回転コネクタ装置。
【請求項7】
前記視認窓は、前記回転側リング板に設けられた
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項8】
前記外側規制部は、前記カバー部材が前記回転コネクタ装置の外部側に向かって動いたときに当接するように構成された
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項9】
前記内側規制部は、前記カバー部材が前記視認窓に配置されたときに、前記カバー部材の内側面は前記内側規制部に当接するように構成された
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項10】
前記外側規制部は、前記カバー部材が前記視認窓に配置されたときに、前記カバー部材の外側面は前記外側規制部に当接するように構成された
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項11】
前記内側規制部は、前記カバー部材が前記視認窓に配置されたときに、前記カバー部材の内側面は前記内側規制部に当接するように構成され、
前記外側規制部は、前記カバー部材が前記視認窓に配置されたときに、前記カバー部材の外側面は前記外側規制部に当接するように構成された
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項12】
回転体と、固定体とを、内部に収容空間を有するように相対回転可能に組み付け、
回転コネクタ装置の外部から前記収容空間を見るための貫通孔である視認窓を設け、
前記視認窓の周縁に外側規制部およびに内側規制部を設け、
前記外側規制部及び前記内側規制部の少なくとも一方が、前記カバー部材が前記貫通孔の貫通方向に向かって突出するように保持する形状保持部を有し、
透明かつ可撓性を有するカバー部材を、撓ませた状態で前記外側規制部を通過させて、前記視認窓を覆うように前記外側規制部と前記内側規制部との間に配置し、前記外側規制部は前記回転コネクタ装置の外部に向く前記カバー部材の外側面に当接可能であり、前記内側規制部は前記収容空間に向く前記カバー部材の内側面に当接可能である
回転コネクタ装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両本体に装着される回転コネクタ装置及び、回転コネクタ装置の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に装着される回転コネクタ装置は、主に車体側に固定する固定体と、ステアリングホイールを組み付ける回転体とを相対的に回転できるように同軸上に組み付けて構成しており、前記固定体と前記回転体とで形成する収容空間内には、フレキシブルフラットケーブル(以下においてFFCという)をステアリングホイールの回転に追従して巻き締め及び巻き戻し可能に収容している。
【0003】
このような回転コネクタ装置は、車体に組み付ける際、あるいはステアリングホイールを組み付ける際に、前記回転体が前記固定体に対して相対回転して、前記回転コネクタ装置が中立位置から外れることがあった。この場合、FFCの巻き付け状態に偏りが生じることとなる。このように前記回転コネクタ装置の中立位置とステアリングホイールの回転方向の中立位置とにズレが生じたままこれらが組み付けられると、ステアリングホイールを所定の回転方向に操舵した際にFFCの長さが足りずに、ステアリングホイールを所望の回転数だけ回転できないといった問題があった。
【0004】
このような問題に対して、回転コネクタ装置が中立位置にあるかを否か確認できる様々な回転コネクタ装置が提案されており、例えば特許文献1には、装置外部から収容空間を視認するための視認窓を回転コネクタ装置の天板である回転側リング板に設け、前記視認窓を覆うように透明のカバー部材を貼着したことを特徴とする回転コネクタ装置が開示されている。
【0005】
特許文献1に開示されている回転コネクタ装置によると、前記回転側リング板に設けた前記視認窓を覆うように、接着層を備えた透明なカバー部材を貼着することで、装置外部から前記視認窓を介して前記収容空間に巻き回されたFFCを目視できる。このため、装置外部からFFCに付した中立位置を示すマーカを視認でき、前記回転体が中立位置にあることを確認できるとされている。
【0006】
しかしながら、透明な前記カバー部材には前記接着層を設けられているため、前記カバー部材を前記視認窓に取り付ける前に前記接着層に異物やごみが付着し、前記視認窓の視認性が低下するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-146943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述した問題を鑑み、視認窓の視認性の低下を防止できる回転コネクタ装置及び回転コネクタ装置の組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、環状の回転側リング板及び該回転側リング板の内周縁に形成された円筒状の内周筒部を有する回転体と、環状の固定側リング板及び該固定側リング板の外周縁に形成された円筒状の外周筒部を有する固定体とが、相対回転可能に組み付けられ、内部に収容空間を有する回転コネクタ装置であって、前記回転コネクタ装置の外部から前記収容空間を見るための貫通孔である視認窓と、前記視認窓を覆うように前記視認窓に配置され、透明かつ可撓性を有するカバー部材と、前記回転コネクタ装置の外部に向く、前記カバー部材の外側面に当接可能に配置された外側規制部と、前記収容空間に向く、前記カバー部材の内側面に当接可能に配置された内側規制部とを有し、前記カバー部材は、前記外側規制部と前記内側規制部との間に配置され、前記外側規制部及び前記内側規制部の少なくとも一方が、前記カバー部材が前記貫通孔の貫通方向に向かって突出するように保持する形状保持部を有することを特徴とする。
【0010】
またこの発明は、回転体と、固定体とを、内部に収容空間を有するように相対回転可能に組み付け、回転コネクタ装置の外部から前記収容空間を見るための貫通孔である視認窓を設け、前記視認窓の周縁に外側規制部およびに内側規制部を設け、前記外側規制部及び前記内側規制部の少なくとも一方が、前記カバー部材が前記貫通孔の貫通方向に向かって突出するように保持する形状保持部を有し、透明かつ可撓性を有するカバー部材を、撓ませた状態で前記外側規制部を通過させて、前記視認窓を覆うように前記外側規制部と前記内側規制部との間に配置し、前記外側規制部は前記回転コネクタ装置の外部に向く前記カバー部材の外側面に当接可能であり、前記内側規制部は前記収容空間に向く前記カバー部材の内側面に当接可能である回転コネクタ装置の組立方法であることを特徴とする。
【0011】
前記視認窓は、前記装置外部から前記収容空間を視認できれば配置位置は限定されず、例えば、前記回転側リング板や、前記固定側リング板、前記内周筒部、前記外周筒部の他、前記回転側リング板と前記内周筒部とが形成する角部などに配置される場合を含む。
なお、前記視認窓の形状も特に限定されず、矩形状や多角形状、円形状、楕円形状など様々な形状を含む。
【0012】
前記カバー部材は、前記視認窓からFFCの中立位置を確認できればよく、前記視認窓を覆う構成や、前記視認窓に嵌め込んで塞ぐ構成などを含む。
【0013】
前記外側規制部及び前記内側規制部は、前記外側規制部及び前記内側規制部と当接することにより前記カバー部材の移動を規制する構成や、前記外側規制部と前記内側規制部で前記カバー部材を挟み込んで前記カバー部材の移動を規制する構成、前記カバー部材に対して前記外側規制部や前記内側規制部を離間させて配置し、例えば振動などで移動した前記カバー部材と干渉することで前記カバー部材が前記装置外部などに移動することを規制する構成を含む。
【0014】
また、上述の前記外側規制部又は前記内側規制部の少なくとも一方が、互いに向き合うように配置されるとは、例えばそれぞれ独立する2個の前記外側規制部又は内側規制部同士が互いに向き合うように配置されている場合や、前記視認窓の周方向に沿って一の外側規制部又は内側規制部が設けられ、前記外側規制部又は内側規制部の一部同士が互いに向き合うように配置されている場合などを含む。すなわち、前記外側規制部又は前記内側規制部の個数は必ずしも複数と限らない。
【0015】
この発明により、視認窓の視認性の低下を防止できる。
詳述すると、屈曲された状態で前記カバー部材を保持空間に挿通することで、前記カバー部材を前記視認窓に対して所定の位置に配置できる。そして、前記カバー部材に対して作用させている外力を解除することで生じる前記カバー部材の復元力により、前記カバー部材が前記保持空間を形成する前記外側規制部などに当接して、前記カバー部材を前記保持空間に保持できる。
【0016】
また、前記外側規制部及び前記内側規制部を備えるとともに、前記カバー部材は、互いに向き合うように配置された前記外側規制部又は前記内側規制部の少なくとも一方同士の間隔よりも、前記カバー部材において対応する寸法が長く構成されていることで、前記保持空間に保持された前記カバー部材の前記装置外部側及び前記収容空間側への移動を規制でき、確実に前記視認窓に組み付けることができる。
【0017】
このように、前記カバー部材を撓ませた状態で前記保持空間に挿通させるだけで、容易に前記カバー部材を前記視認窓に配置できるとともに、前記視認窓に対して確実に保持することができるため、前記カバー部材を前記視認窓に取り付ける前に前記接着層を塗布する必要がなく、前記接着層に異物やごみが付着して、視認窓の視認性が低下することを防止できる。また、前記カバー部材を撓ませて前記保持空間に挿通させるだけで前記カバー部材を前記視認窓に対して配置できるため、作業を確実かつ迅速に行うことができる。
【0018】
この発明の態様として、前記外側規制部又は前記内側規制部の双方は、前記視認窓に対して互いに向き合うように配置された一対として構成してもよい。
この発明により、前記視認窓に対して互いに向き合うように配置された位置に、前記保持空間が一対となって形成されるため、前記カバー部材の両端側を前記保持空間に挿通できるとともに、互いに向き合うように配置された前記外側規制部又は前記内側規制部とで前記カバー部材の前記装置外部側及び前記収容空間側への移動を規制できるため、前記カバー部材を前記保持空間に安定して保持できる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記外側規制部又は前記内側規制部の少なくとも一方が、前記カバー部材を前記視認窓の連通方向に突出する円弧形状に保持する形状保持部で構成してもよい。
上述の前記視認窓の連通方向に突出するとは、前記装置外部に向けて凸状となる場合や、凹状となる場合を含む。
【0020】
前記形状保持部は、前記外側規制部及び前記内側規制部の少なくとも一方を連続又は非連続の円弧形状とした構成や、前記外側規制部及び前記内側規制部との間に形成される前記保持空間が円弧状となるように前記外側規制部及び前記内側規制部とを円弧状に形成した構成などを含む。
【0021】
この発明によると、可撓性を有する前記カバー部材を円弧形状に形成できるため、前記カバー部材には円弧形状の径外側に向けた復元力が生じる。一方で、前記形状保持部は前記カバー部材の形状を円弧状に保持するように構成されているため、前記形状保持部には前記復元力により前記径外側に広がる前記カバー部材の一部が干渉して、前記カバー部材と前記形状保持部との間に摩擦力が生じることとなる。これにより、前記カバー部材は前記形状保持部に保持される。
【0022】
具体的には、前記形状保持部が前記外側規制部及び前記内側規制部により前記装置外部側に突出する円弧状の溝で構成されている場合において、平板状の前記カバー部材が前記形状保持部に沿って円弧状に形成されるため、前記カバー部材には前記装置外部側への復元力が生じる。
【0023】
一方で、前記形状保持部は前記カバー部材を円弧状に保持するため、前記カバー部材は、復元力により前記形状保持部に押し付けられる。このため、前記カバー部材と前記外側規制部との間に摩擦力が生じる。これにより、前記カバー部材が前記形状保持部に保持されながら、前記視認窓に対して固定され、例えば振動などによる外力が前記カバー部材に作用しても、前記カバー部材が前記視認窓から外れることを防止でき、収容空間への異物の浸入を防止できる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記形状保持部は、前記カバー部材を前記装置外部に向かって突出する円弧状に形成してもよい。
この発明により、前記カバー部材に対して外力が作用しても、前記収容空間に前記カバー部材が入り込むことを防止できる。
【0025】
詳述すると、前記カバー部材は装置外部に向けて凸状に形成されているため、前記装置外部側に向かう復元力を有する。これにより前記装置外部から前記カバー部材に外力が作用した場合であっても、前記カバー部材が前記収容空間側に入り込むことを防止できる。
【0026】
一方で、前記収容空間側から前記カバー部材に外力が作用した場合、前記外側規制部により前記カバー部材の装置外部側への移動が規制され、前記カバー部材が容易に外れることを防止できる。また、万が一外れたとしても、前記カバー部材は前記装置外部側に外れるため、前記カバー部材が前記収容空間内に入り込むことを防止できる。
【0027】
また、仮に前記視認窓を回転側リング板に設けた場合、前記カバー部材は上方側に向けて凸状に形成されているため、前記カバー部材には埃などの異物が留まりにくく、前記視認窓の視認性が低下することを防止できる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記外側規制部と前記内側規制部とで、前記カバー部材を前記保持空間に案内する案内部を形成してもよい。
この発明により、前記カバー部材は前記保持空間に案内されるため、より容易に前記視認窓に前記カバー部材を配置できる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記カバー部材を係止する係止部を設けてもよい。
この発明により、前記カバー部材を前記視認窓に対して係止できるため、前記カバー部材を安定して保持できるとともに、前記カバー部材が外れることを防止できる。なお、前記係止部は、例えば前記カバー部材の復元力を利用した構成や、前記カバー部材に別途係止部を設ける構成などを含む。
【0030】
またこの発明の態様として、前記係止部を、係止する前記カバー部材の位置において復元力が作用する方向に設けてもよい。
この発明によると、可撓性を有する前記カバー部材の復元力を利用して前記カバー部材を係止することができるため、簡易な構成で前記カバー部材を係止できる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記視認窓を、回転側リング板に設けてもよい。
この発明により、前記回転コネクタ装置をコンビネーションスイッチなどに組み付けた状態であっても、前記収容空間に収容されたFFCを確認することができる。すなわち、組み付けた状態における前記回転体の中立位置を確認できる。
【発明の効果】
【0032】
この発明により、視認窓の視認性の低下を防止できる回転コネクタ装置及び回転コネクタ装置の組立方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1実施形態の回転コネクタ装置の概略斜視図。
図2】第1実施形態の回転コネクタ装置の概略分解斜視図。
図3図2におけるα部の拡大概略斜視図。
図4】第1実施形態における、視認窓に対してカバー部材を保持するカバー部材保持部の説明図。
図5】第1実施形態において視認窓に対してカバー部材を組み付ける組付け方法の説明図。
図6】第2実施形態の回転コネクタ装置の概略斜視図。
図7】第2実施形態におけるα部の拡大概略斜視図。
図8】第2実施形態におけるカバー部材保持部の説明図。
図9】第2実施形態において視認窓に対してカバー部材を組み付ける組付け方法の説明図。
図10】第2実施形態において視認窓に対してカバー部材を組み付ける組付け状態の説明図。
図11】他の実施形態における、カバー部材保持部の説明図。
図12】他の実施形態における、カバー部材保持部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1実施形態)
この発明の第1実施形態における回転コネクタ装置本体2及び、回転コネクタ装置本体2に設けた視認窓40にカバー部材50を組付ける組付方法について、以下図1乃至図5に基づいて説明する。
【0035】
図1は回転コネクタ装置1の概略斜視図を示し、図2は回転コネクタ装置1の概略分解斜視図を示す。ここで、ステータ20に対するロテータ10の方向を上方とし、ステータ20に対するスリーブ30の方向を下方とする。
【0036】
図3は、図2におけるα部の拡大概略斜視図を示す、図4は視認窓40に対してカバー部材50を保持するカバー部材保持部60の説明図を示し、図5は視認窓40に対してカバー部材50を組み付ける組付け方法の説明図を示す。
詳しくは、図4(a)はカバー部材50を組み付けた視認窓40の平面図を示し、図4(b)は図4(a)におけるA-A断面図を示す。
【0037】
回転コネクタ装置1は、回転コネクタ装置本体2にフレキシブルフラットケーブル100(以下FFC100とする)を組み付けて構成されている。
回転コネクタ装置本体2は、図1及び図2に示すように、ロテータ10と、ロテータ10の下方に位置してロテータ10と組み付けるスリーブ30と、ロテータ10とスリーブ30とで挟み込んで相対回転できるように組み付けたステータ20とで構成され、ロテータ10とステータ20とで回転コネクタ装置本体2の内部に形成する収容空間SにはFFC100が収納できる。
【0038】
回転コネクタ装置本体2を構成するロテータ10は、図2に示すように、平面視中央部分に略円形の貫通孔を有する略環状の回転側リング板11と、回転側リング板11の内周縁から下方に向けて形成される内周筒部12とで一体に構成されている。
【0039】
回転側リング板11の上面には、回転コネクタ装置本体2の外部から収容空間Sへと連通する視認窓40が設けられており、視認窓40には透明で可撓性のあるカバー部材50が組み付けられている(図3参照)。
【0040】
また、回転側リング板11の上面には、ロテータ10の回転に伴って一体的に回転するロテータ側コネクタ13が2つを設けられている。このロテータ側コネクタ13は、収容空間Sに収容されたFFC100の一端に装着された接続コネクタを収容する収容部であり、ステアリングホイールに配置されるホーンスイッチ、エアバッグユニットなどの外部機器の電気回路に接続されたケーブル(図示省略)のコネクタが外部から接続される。
【0041】
このように構成されたロテータ10と組み付けられるスリーブ30は、図2に示すように、平面視中央部分において上下方向に貫通する貫通孔を有する略円筒体である。このスリーブ30は、ロテータ10とで上下方向から後述するステータ20を挟み込んで組み付けられることで、回転側リング板11の平面視中心軸を回転軸として、ロテータ10とステータ20とを時計回り、反時計回りに相対回転を可能にする。
【0042】
ロテータ10に対して相対回転可能なステータ20は、上面の開口した有底略円筒体であり、底面を構成する固定側リング板21と、外周面を構成する略円筒状の外周筒部22と、ステータ20から外側に突出した2つのステータ側コネクタ収容部23とで構成されている。
なお、本実施形態ではロテータ側コネクタ13及びステータ側コネクタ収容部23を2つとしているが、これに限定するものではなく、適宜その数を調整できる。
【0043】
固定側リング板21は、外径が回転側リング板11の外径よりも僅かに大きく形成され、平面視中央部分に略円形の貫通孔を有する円環状の板状体である。
外周筒部22は、固定側リング板21の外周縁から上方向に延びる円筒形の外周壁である。
【0044】
ステータ側コネクタ収容部23は、収容空間Sに収容されたFFC100の他端に装着された接続コネクタを収容する収容部であり、コンビネーションスイッチ側の外部コネクタあるいはインパネ側と接続可能に形成している。
【0045】
このように構成されるロテータ10とステータ20とは、組付けた状態で回転側リング板11及び内周筒部12と、固定側リング板21及び外周筒部22とでFFC100を収容する収容空間Sを形成する。
【0046】
次に、回転側リング板11の上面に設けられた視認窓40と、視認窓40に対して組み付けられたカバー部材50と、視認窓40に対してカバー部材50を保持するカバー部材保持部60について、図3及び図4に基づいて説明する。
【0047】
視認窓40は、図3乃至図4(a)、(b)に示すように、回転側リング板11を上下方向に貫通させた矩形状の窓であり、視認窓40の長手方向Xに沿った長手窓枠41及び短手方向Yに沿った短手窓枠42とで形成されている。
【0048】
ここで、視認窓40の長手方向を長手方向Xとし、視認窓40の短手方向を短手方向Yとする。この長手方向Xは、視認窓40の長手方向Xの中心における、回転側リング板11の径方向に対する接線方向である。短手方向Yは長手方向Xと平面視において直交する方向をさす。
【0049】
また、長手方向X内側とは長手方向Xに沿って視認窓40側に向かう方向をさし、長手方向X外側とは長手方向Xに沿って視認窓40から遠ざかる方向をさす。短手方向Y内側は、短手方向Yにおける回転側リング板11の径方向内側をさし、短手方向Y外側は短手方向Yにおける回転側リング板11の径方向外側をさす。
【0050】
カバー部材50は、透明で可撓性を有する樹脂製の板状体であり、その厚みは回転側リング板11の上面に対する後述する外側規制部623の底面との高さと略同じとなるように構成されている。また、カバー部材50の短手方向Yの長さは対応する視認窓40の長さよりも長く、長手方向Xの長さは後述する連結部611同士の間隔よりも十分に長く構成されている。
【0051】
カバー部材保持部60は、図3及び図4に示すように、視認窓40の内側に設けられた内側規制部61と、視認窓40の長手方向X外側に設けられた外側保持部62とで構成されている。
【0052】
内側規制部61は、視認窓40に関して互いに対向して配置された第一内側規制部61xと第二内側規制部61yとを有し、第一内側規制部61xと第二内側規制部61yとの間の第二最短距離L2は、カバー部材50が視認窓40に配置された状態において第二最短距離L2に対向するカバー部材50の長さL3より短くなるように構成されている。
【0053】
内側規制部61は、図4(a)及び図4(b)に示すように、視認窓40の内側において長手窓枠41同士を短手方向Yに沿って連結する連結部611と、連結部611から長手方向X外側に向けて突出する2つの内側突出部612とで構成されており、内側突出部612の上面の長手方向X外側には、長手方向X外側に向けて先細りするテーパ面で構成された内側案内部613が設けられている。なお、この連結部611は回転側リング板11と同じ厚みで構成されている。ただし、この連結部611は本実施形態において回転側リング板11と同じ厚みとしているが、この厚みに限定するものでなく、適宜変更できる。
【0054】
内側突出部612は、平面視で連結部611の板幅と同じ長さだけ連結部611から長手方向X外側に向けて突出した凸状体である。この内側突出部612は、連結部611から2つ突出しており、それぞれ短手方向Y内側及び短手方向Y外側に形成された長手窓枠41から所定の間隔を隔てた位置に配置されている。すなわち、2つの内側突出部612は、平面視において、連結部611の長手方向X中心線に対して線対称となるように長手方向X外側に等間隔で突出している。
【0055】
外側保持部62は、図3及び図4に示すように、視認窓40の短手方向Yの両端において長手方向Xに沿って形成された長手側枠621と、視認窓40の長手方向Xの両端において短手方向Yに沿って形成された短手側枠622と、短手側枠622の中央から長手方向X内側に突出する外側規制部623と、外側規制部623の長手方向X内側端部からは等間隔で並んだ3つの規制突出部624とで構成されている。
【0056】
外側規制部623は、視認窓40に関して互いに対向して配置された第一外側規制部623xと第二外側規制部623yとを有し、第一外側規制部623xと第二外側規制部623yとの間の第一最短距離L1は、カバー部材50が視認窓40に配置された状態において第一最短距離L1に対向するカバー部材50の長さL3より短くなるように構成されている。
【0057】
長手側枠621及び短手側枠622は、図4(a)及び図4(b)に示すように、高さが回転側リング板11の板厚と同じとなるように回転側リング板11の上面から上方に立設した枠体であり、平面視において視認窓40を囲繞するように設けられている。
【0058】
詳述すると、長手側枠621は長手窓枠41よりも短手方向Yの両端側に配置されており(図4(a)参照)、短手側枠622は長手方向X内側端部が短手窓枠42と面一となる位置に配置されている(図4(b)参照)。このため、平面視において長手側枠621の短手方向Y内側には回転側リング板11が確認できる。
なお、長手側枠621及び短手側枠622の高さを回転側リング板11の板厚と同一としているが、これに限定されるわけではなく、適宜高さを調整できる。
【0059】
外側規制部623は、図4(b)に示すように、短手側枠622と上面が面一となるように短手側枠622の中央部分から長手方向X内側に突出した板状体であり、板厚が短手側枠622の高さからカバー部材50の板厚を引いた長さとなるように構成されている。
また、短手方向Yに沿った外側規制部623の長さは、対応する視認窓40の長さと略同一の長さで構成されている。
なお、外側規制部623の板厚や短手方向の長さは、上述の板厚に限定されず、適宜調整できる。
【0060】
規制突出部624は、外側規制部623の短手方向Yの両端と短手方向Yの中央部分の3か所から長手方向X内側に向けて突出した凸部であり、それぞれ短手方向Yに沿って所定の間隔を隔てて配置している。また、規制突出部624の長手方向X内側底面には、長手方向X外側に向かうにつれて先細りするテーパ面で構成された外側案内部625が設けられている。
【0061】
このように構成された3つの規制突出部624は、平面視において外側規制部623と対向するように配置された連結部611から突出する2つの内側突出部612と互いに噛み合うように配置されている(図4(a)参照)。また規制突出部624の先端は、内側突出部612の先端よりも長手方向X内側に配置されている。
【0062】
このように構成された内側規制部61と外側規制部623との間には、カバー部材50を挿通して保持できる保持空間Tが形成される(図4(b)参照)。
なお、本実施形態では、カバー部材50の厚みを外側規制部623の底面と回転側リング板11の上面との高さの差と同じに構成されているが、必ずしもこの厚みである必要はなく、カバー部材50の厚みを外側規制部623の底面と回転側リング板11との高さの差よりも薄くしてもよい。
【0063】
次に、上述のように構成されたカバー部材保持部60に対してカバー部材50を保持させて、視認窓40にカバー部材50を組み付ける組付け方法について、図5に基づいて簡単に説明する。
【0064】
はじめに、図5(a)に示すように、短手方向Yから視てカバー部材50が上方に向けて凸状となるように外力を作用させて撓ませ、カバー部材50の長手方向X側両端が保持空間Tに挿通可能な位置となるように、カバー部材50を配する。なお、カバー部材50の長手方向Xの長さは連結部611同士の間隔よりも十分に長いため、屈曲させた状態でカバー部材50の長手方向X側両端辺は保持空間Tの位置に配すことができる。
【0065】
この状態でカバー部材50に作用させた外力を解除することにより、カバー部材50が元の板状体に戻ろうとする復元力Fが作用し、カバー部材50が保持空間Tに挿通されることとなる(図5(b)参照)。このとき、内側案内部613及び外側案内部625により、カバー部材50の端辺は保持空間Tに案内される。
【0066】
さらに、カバー部材50の復元力Fにより、カバー部材50が板状体に復元することで、カバー部材50が内側規制部61と、外側規制部623及び規制突出部624とで形成された保持空間Tに保持されることとなる(図5(c)参照)。この状態において、カバー部材50は内側規制部61によって下方への移動を規制でき、同様に外側規制部623及び規制突出部624によって上方への移動を規制できる。
【0067】
また、カバー部材50の短手方向Y両端部分は、回転側リング板11に保持されるため、より確実にカバー部材50を保持空間Tに保持できる。これにより、カバー部材50を視認窓40に確実に組み付けることができる。
【0068】
なお、カバー部材50の長手方向X外側の端面と短手窓枠42とが当接してないが、カバー部材50の両端部が対向配置された外側規制部623の下方にそれぞれ配置されていれば端面が短手窓枠42と当接していてもよい。
【0069】
本実施形態では、上述のように、外力を作用させて上方に向けて凸状となるように撓ませたカバー部材50の端部を、保持空間Tに挿通可能な位置に配し、作用させている外力を解除するだけでカバー部材50をカバー部材保持部60に保持させて、視認窓40にカバー部材50を組み付けることができる。
【0070】
このように構成された回転コネクタ装置本体2は、環状の回転側リング板11及び回転側リング板11の内周縁に形成された円筒状の内周筒部12で構成するロテータ10と、環状の固定側リング板21及び固定側リング板21の外周縁に形成された円筒状の外周筒部22で構成するステータ20とが、時計回り方向と反時計回り方向との両回転方向に相対回転自在に組み付けられ、内部にFFC100を収容可能な収容空間Sを有し、収容空間Sと装置外部とを連通し、装置外部から収容空間Sを視認できる視認窓40と、視認窓40を塞ぐように配置された、透明かつ可撓性を有するカバー部材50と、カバー部材50の装置外部側(上方)への移動を規制する外側規制部623及び規制突出部624と、カバー部材50の収容空間S側(下方)への移動を規制する内側規制部61とで構成され、内側規制部61と外側規制部623及び規制突出部624同士が、視認窓40に対して互いに向き合うように配置されるとともに、外側規制部623及び規制突出部624と内側規制部61との間に形成された保持空間Tにカバー部材50が保持され、互いに向き合うように配置された内側規制部61同士の間隔よりも、カバー部材50の長手方向Xの長さが長く構成されていることにより、視認窓40の視認性の低下を防止できる。
【0071】
詳述すると、図5(a)乃至(c)に示すように、外力を作用させて撓ませたカバー部材50の端辺を保持空間Tに挿通可能な位置に配し、作用させた外力を解除することで、カバー部材50は自己の復元力Fにより保持空間Tに挿通されるとともに、内側規制部61と外側規制部623及び規制突出部624との間に滑り込むこととなるため、カバー部材50は保持空間Tに対して保持される。
【0072】
また、内側規制部61と外側規制部623及び規制突出部624を備えるとともに、カバー部材50の長手方向Xの長さが、互いに向き合うように配置された内側規制部61の間隔よりも長く構成されているため、屈曲した状態でカバー部材50を保持空間Tに挿通できるとともに、元の板状体で保持空間Tに保持されたカバー部材50の上方や下方への移動が内側規制部61や外側規制部623及び規制突出部624により規制できる。
【0073】
以上のように、回転コネクタ装置本体2は、カバー部材50を撓ませて保持空間Tに挿通させるだけで、容易にカバー部材50を視認窓40に配置できるとともに、視認窓40に対してカバー部材50を確実に保持することができるため、接着層などを用いる必要がない。したがって、接着層に異物やごみが付着することがなく、視認窓40の視認性の低下を防止できる。
【0074】
さらにまた、カバー部材50を保持空間Tに挿通させるだけで、カバー部材50を保持できるため、例えばカバー部材50に接着層を塗布する必要がなく、視認窓40に付着した接着剤が経年劣化により白濁して視界を遮ることを防止できる。
【0075】
また、このように視認窓40に対してカバー部材50が確実に保持されているため、視認窓40を通して収容空間Sを視認でき、収容空間Sに収容されているFFC100の状態を確認することができる。すなわち、FFC100に設けた目印を視認でき、回転コネクタ装置本体2にFFC100を収容した回転コネクタ装置1が中立位置で固定されているかを確認できる。また、カバー部材50は視認窓40を塞ぐように配置されているため、収容空間Sへの異物の浸入を防止できる。
【0076】
また、内側規制部61と外側規制部623及び規制突出部624が、視認窓40に対して互いに向き合うように配置されているため、カバー部材50の両端辺を保持空間Tに挿通できるとともに、互いに向き合うように配置された連結部611や外側規制部623及び規制突出部624により、カバー部材50の長手方向X両端側で上方及び下方への移動を規制でき、カバー部材50を保持空間Tにより安定して保持できる。
【0077】
また、内側規制部61と外側規制部623及び規制突出部624は、カバー部材50を保持空間Tに案内する内側案内部613及び外側案内部625を備えていることにより、カバー部材50を保持空間Tに案内でき、より容易に視認窓40にカバー部材50を配置できる。
【0078】
さらにまた、視認窓40を回転側リング板11に設けることにより、回転コネクタ装置本体2にFFC100を組み付けた回転コネクタ装置1をコンビネーションスイッチなどに組み付けた状態であっても、収容空間Sに収容されたFFC100を確認できる。すなわち、コンビネーションスイッチなどに組み付けた状態におけるロテータ10が、ステータ20に対して中立位置にあることを確認できる。したがって、安全にステアリングホイールを回転コネクタ装置1に取り付けることができる。
【0079】
さらにまた、視認窓40に組み付けられたカバー部材50は、カバー部材50に外力を作用させて上方に撓ませながら装置外部に引っ張ることで、カバー部材50の端辺を内側規制部61と外側規制部623及び規制突出部624との間から外すことができ、視認窓40に対してカバー部材50を取り外すことができる。このように、カバー部材50は、上方に凸状となるように撓ませて装置外側に引っ張ることで、容易にカバー部材50を容易に交換できる。
【0080】
また、本実施形態1のように外側保持部62を回転側リング板11から装置外部(上方)側に立設させる必要はなく、外側保持部62を回転側リング板11から収容空間S側に立設させてもよい。
【0081】
(第2実施形態)
次に、図6乃至図10に基づいて、カバー部材保持部60の他の実施形態であるカバー部材保持部70を備えた回転コネクタ装置1b(回転コネクタ装置本体2b)について説明する。
なお、以下で説明する回転コネクタ装置1b(回転コネクタ装置本体2b)の構成のうち、上述の回転コネクタ装置1及び回転コネクタ装置本体2と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0082】
図6は回転コネクタ装置1bの概略斜視図を示し、図7は、回転コネクタ装置本体2bにおける図6のα部の拡大図を示し、図8はカバー部材保持部70の構成を説明する説明図を示し、図9はカバー部材保持部70に対してカバー部材50を組み付ける組付け方法の説明図を示し、図10図8(a)におけるB-B断面図を示す。
【0083】
詳しくは、図8(a)はカバー部材50を組み付けたカバー部材保持部70の平面図を示し、図8(b)は、カバー部材保持部70を短手方向Yから視た側面図を示し、図8(c)は図8(b)におけるC-C断面図を示す。また、図9(a)はカバー部材保持部70に対してカバー部材50を組み付ける前の状態を示した概略斜視図を示し、図9(b)はカバー部材保持部70に対してカバー部材50を組み付けている途中の状態を示した概略斜視図を示す。
なお、図9において回転側リング板11、視認窓40、カバー部材50及びカバー部材保持部70以外の構成については省略する。
【0084】
回転コネクタ装置本体2bにおける回転側リング板11には、図7及び図8(a)に示すように、視認窓40と、視認窓40に対してカバー部材50を保持するカバー部材保持部70が設けられている。
【0085】
このカバー部材保持部70は、図7及び図8(a)に示すように、視認窓40に対応する箇所に形成されるとともに、視認窓40に対応する箇所には上下方向に貫通する貫通孔が設けられた半円を底面とした略円柱体であり、円弧型内側規制部71と、円弧型内側規制部71の外周を覆う円筒体である円弧型外側規制部72とで構成されている。
【0086】
円弧型内側規制部71は、図8(b)及び図8(c)に示すように、径が長手方向Xにおける視認窓40の長さよりも長い上方に向けて凸状となる半円を底面として、高さが短手方向Yに沿って延びる円柱体であり、視認窓40に対応する箇所において上下方向に貫通する貫通孔が設けられている。また、円弧型内側規制部71の短手方向Yの両端側上面には、視認窓40に向かうにつれて先細りするテーパ面で構成された内側円弧案内部73が設けられている。
【0087】
円弧型外側規制部72は、内周が円弧型内側規制部71の径よりも、カバー部材50の板厚分だけ拡径された半円環を底面とし、高さが短手方向Yの沿って延びる筒状体であり、平面視において視認窓40と対応する部位に上下方向に貫通した貫通孔が形成されている。また、円弧型外側規制部72の短手方向Yの両端側下面には、視認窓40に向かうにつれて先細りするテーパ面で構成された外側円弧案内部74が設けられている。
なお、円弧型内側規制部71及び円弧型外側規制部72の短手方向Yの長さは対応する視認窓40の短手方向Yの長さよりも長い。
【0088】
このように形成されたカバー部材保持部70は、図8(b)及び図8(c)に示すように、円弧型外側規制部72と円弧型内側規制部71との間に短手方向Yに沿ってカバー部材50の板厚と同じ間隔を有する保持空間Tが形成されるとともに、円弧型内側規制部71と円弧型外側規制部72との短手方向Yの両端側にはカバー部材50を挿通可能な円弧状の挿通孔Gが形成されているため、カバー部材50を挿通させてカバー部材保持部70に保持することができる。
【0089】
詳述すると、外力を作用させて上方に向けて凸状の半円の円管状に撓ませたカバー部材50を、短手方向Y外側から短手方向Y内側に向けて挿通孔Gに挿通させて(図9(a)参照)、短手方向Yに押し込むことにより(図9(b)参照)、保持空間Tにカバー部材50を保持でき、カバー部材50をカバー部材保持部70に組み付けることができる。
【0090】
このようにカバー部材保持部70に組み込まれたカバー部材50は、円管状に撓ませた外力が解除されることとなるため、元の板状体に戻ろうとする復元力Fが作用することとなる。しかしながら、復元力Fによりカバー部材50は円弧型外側規制部72の内周面に押し付けられることとなり、カバー部材50を円弧型外側規制部72の内周面との間に摩擦力が生じて、カバー部材50はカバー部材保持部70に固定されることとなる(図10参照)。
【0091】
換言すると、カバー部材50に作用する復元力Fにより、カバー部材50はカバー部材保持部70に係止されるため、カバー部材50は視認窓40を確実に塞ぐとともに、視認窓40に対して保持される。
【0092】
このように構成された回転コネクタ装置1bは、環状の回転側リング板11及び回転側リング板11の内周縁に形成された円筒状の内周筒部12で構成するロテータ10と、環状の固定側リング板21及び固定側リング板21の外周縁に形成された円筒状の外周筒部22で構成するステータ20とが、時計回り方向と反時計回り方向との両回転方向に相対回転自在に組み付けられ、内部にFFC100を収容可能な収容空間Sを有し、収容空間Sと装置外部とを連通し、装置外部から収容空間Sを視認できる視認窓40と、視認窓40を塞ぐように配置された、透明かつ可撓性を有するカバー部材50と、カバー部材50の装置外部側への移動を規制する円弧型外側規制部72と、カバー部材50の収容空間S側への移動を規制する円弧型内側規制部71とで構成され、円弧型内側規制部71及び円弧型外側規制部72が視認窓40に対して互いに向き合うように配置されるとともに、円弧型内側規制部71と円弧型外側規制部72との間に形成された保持空間Tにカバー部材50が保持され、互いに向き合うように配置された円弧型内側規制部71同士の間隔よりもカバー部材50の長手方向Xの長さのほうが長く構成されており、実施形態1で記載した回転コネクタ装置1と同様の効果を有する。
【0093】
加えて、円弧型外側規制部72が、カバー部材50を上方に突出する円弧形状に保持するように構成されることにより、可撓性を有するカバー部材50に円弧形状の径外側、すなわちカバー部材50の底面から上面に向けて作用する復元力Fが生じる。一方、円弧型外側規制部72は、カバー部材50の形状を円弧状に保持するように構成されているため、復元力Fにより上方に広がるカバー部材50に対して、円弧状を保持する外力が復元力Fの作用する方向と逆方向に作用する。このため、カバー部材50と円弧型外側規制部72との間に摩擦力が生じる。
【0094】
これにより、カバー部材50は円弧型外側規制部72により形状を保持されながら、視認窓40に対して固定され、不意の外力がカバー部材50に作用しても、カバー部材50が視認窓40から外れることを防止でき、収容空間Sの内部に異物が浸入することを防止できる。
【0095】
また、カバー部材50は上方に向けて凸状の円弧で形成されていることから、カバー部材50の底面から上面に向けて作用する復元力Fを有する。このためカバー部材50に対して下方に向かう外力が作用した場合であっても、カバー部材50が収容空間S側に入り込むことを抑制できる。
【0096】
一方で、収容空間S側からカバー部材50に外力が作用した場合、円弧型外側規制部72によりカバー部材50の装置外部側への移動は規制されているため、カバー部材50は容易に外れることを規制できるとともに、万が一外れたとしても、カバー部材50は上方に外れるため、カバー部材50が収容空間S側に入り込むことを抑制できる。
【0097】
また、円弧型内側規制部71と円弧型外側規制部72とにそれぞれ内側円弧案内部73及び外側円弧案内部74が形成されることにより、容易にカバー部材50を挿通孔Gに案内でき、より容易に視認窓40にカバー部材50を配置できる。
【0098】
さらにまた、円弧型外側規制部72はカバー部材50の復元力Fを利用して係止されるため、カバー部材50をカバー部材保持部70に確実に係止できる。これにより、カバー部材50を視認窓40に対して安定して保持できるとともに、視認窓40に対してカバー部材50を固定できるため、カバー部材50が外れることを防止できる。
【0099】
加えて、円弧型外側規制部72は、係止するカバー部材50の位置において復元力Fが作用する方向に設けることで、可撓性を有するカバー部材50の復元力Fを利用してカバー部材50を係止することができるため、簡易な構成でカバー部材50の抜け止めができる。
【0100】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
回転体は、ロテータ10に対応し、
固定体は、ステータ20に対応し、
回転コネクタは、回転コネクタ装置本体2、2bに対応し、
内側規制部は、内側規制部61及び円弧型内側規制部71に対応し、
外側規制部は、外側規制部623及び規制突出部624、円弧型外側規制部72に対応し、
形状保持部は、円弧型外側規制部72に対応し、
案内部は、内側案内部613及び外側案内部625、内側円弧案内部73及び外側円弧案内部74に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0101】
例えば、視認窓40は、回転側リング板11に設けているが、装置外部から収容空間Sを視認できれば配置位置は限定されず、例えば、固定側リング板21、内周筒部12、外周筒部22の他、回転側リング板11と内周筒部12とが形成する角部などに配置してもよく、また、視認窓40の形状も特に限定されず、矩形状の他、多角形状、円形状、楕円形状、扇形状など様々な形状にしてもよい。
【0102】
さらにまた、本実施形態1及び本実施形態2では、内側規制部61や円弧型内側規制部71などを短手方向Yに沿って設けているが、長手方向Xに沿って設けてもよく、さらには長手方向Xと交差する方向に設けてもよい。
【0103】
また、本実施形態1及び実施形態2では、一対の内側規制部61及び外側規制部623や、円弧型内側規制部71及び円弧型外側規制部72などが視認窓40に対して互いに向き合うように配置される構成としているが、例えば実施形態1において、視認窓40の長手方向X方向外側及び短手方向Y内側に沿った『コ』の字状の内側規制部61を設ける場合のように、内側規制部61が1つでもよく、また外側規制部623が1つでもよい。
【0104】
また本実施形態1では、カバー部材50を平板状にして視認窓40に対して配置する構成としているが、図11及び図12に示すように、カバー部材50を円弧状に形成することもできる。
ここで図11及び図12は、それぞれ本実施形態1の他の実施形態におけるカバー部材保持部60c及びカバー部材保持部60dを示し、図11(a)は他の実施形態における視認窓40の平面図を示し、図11(b)はカバー部材50を保持空間Tに保持する前の図11(a)におけるE-E断面図を示し、図11(c)は、カバー部材50を保持した状態のE-E断面図を示し、図12(a)は図11とは異なる実施形態における視認窓40の平面図を示し、図12(b)はカバー部材50を保持した状態における図12(a)におけるF-F断面図を示す。
【0105】
例えば、図11に示す実施形態では、内側規制部61に対応する内側規制部61cの上面を所定の曲率を有する円弧状に形成するとともに、外側規制部623に対応する外側規制部623cの底面を所定の曲率を有する円弧状に形成し、長手方向X外側から長手方向X内側に向けて、外側規制部623c、内側規制部61cの順で配置した構成である(図11(a)及び図11(b)参照)。
また、長手窓枠41の下端側には長手方向X内側に突出した突出部67cが設けられている。
【0106】
このように構成されたカバー部材保持部60cは、図11(b)に示すように、上方に凸状となるように外力を作用させて屈曲させたカバー部材50を、保持空間Tに挿入させた後に外力を解除することで、カバー部材50を保持空間Tに保持することができる。
【0107】
このとき、カバー部材50の上面は外側規制部623cに当接するとともに、カバー部材50の底面が内側規制部61cと当接する。また、カバー部材50の長手方向X外側両端辺は係止部として機能する短手窓枠42cに係止されるため、カバー部材50は上方に凸状となる円弧形状のまま保持空間Tに保持される(10(c)参照)。
【0108】
なお、内側規制部61cと外側規制部623cの曲率は同じ曲率としてもよいが、内側規制部61cの曲率を外側規制部623cの曲率よりも大きくすることで、カバー部材50を内側規制部61cと外側規制部623cとで把持することができ、確実にカバー部材50を固定できる。
【0109】
またカバー部材保持部60dは、図12(a)及び図12(d)に示すように、内側規制部61に対応する内側規制部61dの上面を所定の曲率を有する円弧状に形成するとともに、外側規制部623に対応する外側規制部623dの底面を所定の曲率を有する円弧状に形成され、長手方向X外側から長手方向X内側に向けて、外側規制部623d、内側規制部61dの順で配置されている。
なお、外側規制部623dは、短手窓枠42から視認窓40側に突出しているものの短手窓枠42同士を連結していない(図12(a)参照)。
【0110】
このように構成されたカバー部材保持部60dは、図12(b)に示すように、保持空間Tを通して配置されたカバー部材50は下方に凸状の円弧形状に形成されるため、自己の復元力により、上面が外側規制部623dに当接するとともに、底面が内側規制部61dと当接する。また、カバー部材50の長手方向X外側両端辺は係止部として機能する短手窓枠42に係止されるため、カバー部材50は保持空間Tに保持されることとなる。
【0111】
なお、内側規制部61dと外側規制部623dの曲率は同じ曲率としてもよいが、外側規制部623dの曲率を内側規制部61dの曲率よりも大きくすることで、カバー部材50を内側規制部61dと外側規制部623cとで把持することができ、確実にカバー部材50を固定できる。
【0112】
また、上述に記載の構成は、本発明の効果である、カバー部材50を容易に視認窓40に組み付けることができる効果を得ることができる限りにおいて、それぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0113】
2、2b 回転コネクタ装置本体
10 ロテータ
11 回転側リング板
12 内周筒部
20 ステータ
21 固定側リング板
22 外周筒部
40 視認窓
50 カバー部材
61、61c、61d 内側規制部
61x、61cx、61dx 第一内側規制部
61y、61cy、61dy 第二内側規制部
613 内側案内部
623、623c、623d 外側規制部
623x、623cx、623dx 第一外側規制部
623y、623cy、623dy 第二外側規制部
624 規制突出部
625 外側案内部
L1 第一最短距離
L2 第二最短距離
L3 カバー部材の長さ
71 円弧型内側規制部
72 円弧型外側規制部
73 内側円弧案内部
74 外側円弧案内部
S 収容空間
T 保持空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12