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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】基板
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020503782
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 KR2018008551
(87)【国際公開番号】W WO2019022565
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-01-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0095464
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0087288
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ハン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒェオン
(72)【発明者】
【氏名】リー、スン ホン
(72)【発明者】
【氏名】オー、ドン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジュン スン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チョル オク
(72)【発明者】
【氏名】バエ、ナム ソク
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特許第6004127(JP,B1)
【文献】特開2005-017494(JP,A)
【文献】特開2012-194257(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0362741(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層;および
前記基材層上に存在する複数のスペーサー
を含み、
前記複数のスペーサーは、前記複数のスペーサーが、一辺の長さが正常ピッチPである正四角形を形成するように配置された正常配置状態において、各々のスペーサーが存在する地点を基準として前記正常ピッチPに対して前記長さ対比5%以上95%以下の比率となる長さの半径を有する円領域の内部で前記各々のスペーサー無作為的に移動させて配置されたのであり
前記複数のスペーサーのうち4個スペーサーを選択して形成された閉図形である四角形辺の長さのうち少なくとも一つが異なるように前記スペーサーが配置されており、
前記閉図形である四角形の辺の長さのうちの最大長さが600マイクロメートル以下であり、
前記閉図形である四角形の内部には、他のスペーサーが存在せず、
前記正常ピッチであるの10倍の長さである10Pを一辺の長さとする、複数の仮想の正四角形を、前記複数の仮想の正四角形が、お互い重ならないように、また、前記基材層の全体の面積の70%以上を占有するように任意に選択されたとき、前記仮想の正四角形の領域内の前記スペーサーの個数の標準偏差が2以下であり、
前記仮想の正四角形の領域内に存在するスペーサーの平均個数(A)および標準偏差(SD)の比率(SD/A)が、0.005~0.1の範囲内である、
基板。
【請求項2】
正常ピッチPが50マイクロメートル~1,000マイクロメートルの範囲内にある、
請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記仮想の正四角形の領域内に存在するスペーサーの平均個数(A)および標準偏差(SD)の比率(SD/A)が0.005~0.09の範囲内である、
請求項1または2に記載の基板。
【請求項4】
前記仮想の正四角形の領域内に存在するスペーサーの平均個数(A)が80個~150個の範囲内である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の基板。
【請求項5】
基材層;および
前記基材層上に存在する複数のスペーサー
を含み、
前記複数のスペーサーは、前記複数のスペーサーが、一辺の長さが正常ピッチPである正四角形を形成するように配置された正常配置状態において、各々のスペーサーが存在する地点を基準として前記正常ピッチPに対して前記長さ対比5%以上95%以下の比率となる長さの半径を有する円領域の内部で前記各々のスペーサー無作為的に移動させて配置されたのであり、
前記複数のスペーサーのうち4個スペーサーを選択して形成された閉図形である四角形辺の長さのうち少なくとも一つが異なるように前記スペーサーが配置されており、
前記閉図形である四角形の辺の長さのうちの最大長さが600マイクロメートル以下であり、
前記閉図形である四角形の内部には、他のスペーサーが存在せず、
前記基材層の表面を同一面積を有する2個以上の領域に分割した時、各単位領域内に前記スペーサーの個数の標準偏差が0.5~の範囲内である、
基板。
【請求項6】
基材層は有機基材層である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の基板。
【請求項7】
閉図形である前記四角形同じ長さを有する辺の数の比率が85%未満である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の基板。
【請求項8】
複数のスペーサーのスペーシング正規分布度の1/2高さ面積が0.6~0.75の範囲内である、
請求項1から7のいずれか1項に記載の基板。
【請求項9】
複数のスペーサーのスペーシング正規分布度の1/2高さ幅(FWHM)と平均ピッチPmの比(FWHM/Pm)が1以下である、
請求項1から8のいずれか1項に記載の基板。
【請求項10】
複数のスペーサーのスペーシング正規分布度の1/2高さ幅(FWHM)が0.5マイクロメートル~1,000マイクロメートルの範囲内にある、
請求項1から9のいずれか1項に記載の基板。
【請求項11】
複数のスペーサーのスペーシング正規分布度の最大高さ(Fmax)が0.006以上、1未満である、
請求項1から10のいずれか1項に記載の基板。
【請求項12】
基材層の表面で選択された正常ピッチPを一辺とする仮想の正四角形の領域内のスペーサーの個数が0~4の範囲内である、
請求項1から11のいずれか1項に記載の基板。
【請求項13】
基材層の全体の面積対比複数のスペーサーが占める面積の比率が50%以下である、
請求項1から12のいずれか1項に記載の基板。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載された基板および
前記基板と対向配置されており、前記基板のスペーサーによって前記基板との間隔が維持された第2基板を含む、
光学デバイス。
【請求項15】
基板間の間隔には液晶物質が存在する、
請求項14に記載の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2017年7月27日付提出された大韓民国特許出願第10-2017-0095464号および2018年7月26日付提出された大韓民国特許出願第10-2018-0087288号に基づいた優先権の利益を主張し、該当大韓民国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は基板に関するものである。
【背景技術】
【0003】
2個の基板の間に光変調層を配置させて光の透過率または色などを調節できる光学デバイスは公知とされている。例えば、特許文献1には液晶ホスト(liqid crystal host)と二色性染料ゲスト(dichroic dye guest)の混合物を適用した、いわゆるGHセル(Guest host cell)が知られている。
【0004】
このような装置では前記2個の基板の間の間隔を維持するために、いわゆるスペーサーが前記基板の間に位置する。
[先行技術文献]
【0005】
[特許文献]
特許文献1:ヨーロッパ特許公開公報第0022311号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は基板、例えば、スペーサーを含む基板に関するものである。本出願では、基板上のスペーサーが所定の規則性と不規則性を同時に有して不規則的に配置されるようにして、いわゆるモアレ(moire)現象などが発生せず、全領域で均一な光学特性を示す光学デバイスを提供できる基板を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で言及する物性の中で測定温度がその結果に影響を及ぼす場合には、特に別途に規定しない限り、該当物性は常温で測定した物性である。用語常温は加温または減温されていない自然そのままの温度であって、通常約10℃~30℃の範囲内の一温度または約23℃または約25℃程度である。また、本明細書で特に別途に言及しない限り、温度の単位は℃である。
【0008】
本明細書で言及する物性のうちで測定圧力がその結果に影響を及ぼす場合には、特に別途に規定しない限り、該当物性は常圧で測定した物性である。用語常圧は加圧または減圧されていない自然そのままの温度であって、通常約1気圧程度を常圧と称する。
【0009】
本出願の基板は、基材層および前記基材層上に存在するスペーサーを含む。
【0010】
基材層としては、特に制限なく、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)のような公知の光学デバイスの構成で基板に使用される任意の基材層が適用され得る。例えば、基材層は無機基材層であるか有機基材層であり得る。無機基材層としてはガラス(glass)基材層などが例示され得、有機基材層としては多様なプラスチックフィルムなどが例示され得る。プラスチックフィルムとしては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)等のアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)またはPP(polypropylene)等のポリオレフィンフィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム、PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenemaphthatlate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルムまたはPAR(polyarylate)フィルムなどが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0011】
本出願の基板で前記基材層の厚さも特に制限されず、用途に応じて適正範囲が選択され得る。
【0012】
本出願の基板で前記基材層上には複数のスペーサーが存在する。前記スペーサーは前記基材層に固定されていてもよい。このような場合、スペーサーは前記基材層に直接接して固定されているか、あるいは基材層とスペーサーの間に他層が存在する場合、該当他層上に固定されていてもよい。前記他層の種類には光学デバイスの駆動に必要な公知の層が含まれ、例えば、後述する電極層がある。
【0013】
前記複数のスペーサーは、前記基材層上で所定の規則性と不規則性を同時に有して配置されている。具体的には、前記基材層上の複数のスペーサーのうち少なくとも一部は、互いに異なるピッチを有するように配置されているという側面では不規則な配置であるが、所定の規則により定められた領域間では実質的に同じ密度を有して配置されるという側面では規則的である。
【0014】
前記の通り、本出願の基板で前記基材層上に配置されるスペーサーの少なくとも一部は互いに異なるピッチを有するように配置される。
【0015】
前記で用語ピッチは、前記複数のスペーサーのうち一部を、内部に他のスペーサーが存在しない状態の閉図形を形成するように選択した時に、前記閉図形の辺の長さと定義され得る。また、特に別途に規定しない限り、ピッチの単位はマイクロメートルである。
【0016】
一例示において、前記閉図形の辺の長さは最大600マイクロメートル程度であり得る。前記閉図形の辺の長さのうち最大長さは、他の例示において約550マイクロメートル以下、約500マイクロメートル以下、約450マイクロメートル以下または約400マイクロメートル以下であるか、約300マイクロメートル以上、350マイクロメートル以上または400マイクロメートル以上であり得る。
【0017】
また、前記閉図形の辺の長さのうち最小長さは約10マイクロメートル以上であり得る。前記閉図形の辺の長さのうち最小長さは、他の例示において約100マイクロメートル以下、約90マイクロメートル以下、約80マイクロメートル以下、70マイクロメートル以下または約65マイクロメートル以下であるか、約20マイクロメートル以上、30マイクロメートル以上または40マイクロメートル以上であり得る。
【0018】
前記のような間隔配置を通じて、本出願の基板が製品に適用された時に素子のセルギャップ(cell gap)が安定的に維持され、シミなどの外観不良が発生することを防止することができる。
【0019】
前記最大または最小長さは、公知の乱数座標プログラム、例えば、CAD、MATLABまたはSTELLA乱数座標プログラムなどを使用して求めることができる。
【0020】
前記形成される閉図形は三角形、四角形または六角形であり得る。すなわち、複数のスペーサーのうち任意に3個のスペーサーを選択してそれらを互いに連結した時には前記三角形が形成され、4個のスペーサーを選択してそれらを互いに連結した時は前記四角形が形成され、6個のスペーサーを選択してそれらを互いに連結した時は前記六角形が形成される。
【0021】
図1は、基材層上に存在するスペーサー(黒い点)のうち任意に4個のスペーサーを選択し、それらを仮想の線(点線)で連結して形成した閉図形である四角形の例示である。ただし、前記ピッチを決定する時に形成される前記閉図形は、その内部にスペーサーが存在しないように形成されるものである。したがって、例えば、図2のように内部に他のスペーサーが存在するようにスペーサーが形成される場合は、前記ピッチの決定時に除外される。
【0022】
一例示において、前記のように形成された閉図形である三角形、四角形または六角形の辺のうち、同じ長さを有する辺の数の比率(%)(三角形の場合に100×(同一長さの辺の数)/3、四角形の場合に100×(同一長さの辺の数)/4、六角形の場合に100×(同一長さの辺の数)/6)は、85%以下であり得る。前記比率は他の例示において84%以下、80%以下、76%以下、67%以下、55%以下または40%以下であり得る。前記比率の下限は特に制限されない。すなわち、場合によっては前記閉図形のすべての辺の長さが異なり得るため、前記比率の下限は0%であり得る。
【0023】
前記のように本出願のスペーサーの配置は、その少なくとも一部が互いに異なるピッチを有しているという点で不規則的であるが、このような不規則性は一定の規則性の下で制御される。前記で規則性はスペーサーの配置密度が一定の領域間では実質的に近接することを意味し得る。
【0024】
例えば、前記不規則的に配置された複数のスペーサーの正常ピッチをPとすれば、前記基材層の表面で10Pを一辺の長さとする正四角形の領域を任意に2個以上複数選択した時に、各正四角形の領域内に存在するスペーサーの個数の標準偏差は2以下である。
【0025】
図3は、前記10Pを一辺の長さとする正四角形の領域(図3の点線四角形の領域)が4個任意に選択された場合を例示的に示す図面である。
【0026】
前記で用語正常ピッチは、実際には不規則的に基材層上に配置されている複数のスペーサーを、前記スペーサーの個数と前記基材層の面積を考慮して仮想的にすべてのスペーサーが同じピッチで配置されるように位置させた状態で、隣接するスペーサーの中心間の距離を意味する。
【0027】
前記言及されたすべてのスペーサーが同一ピッチを有するように配置された仮想の状態を確認する方式は公知であり、例えば、CAD、MATLAB、STELLAまたはエクセル(Excel)などのような乱数座標発生プログラムを使用して達成することができる。
【0028】
前記標準偏差(standard deviation)は、スペーサーの個数の散布度を示す数値であり、分散の正の平方根に決定される数値である。
【0029】
すなわち、基材層のスペーサーが形成された表面に、任意に前記四角形の領域を少なくとも2個以上複数指定した後、その領域内に存在するスペーサーの個数の標準偏差を求めた時にその標準偏差は2以下である。前記標準偏差は他の例示において1.5以下、1以下または0.5以下であり得る。また、前記標準偏差はその数値が低いほど目的とする規則性が達成されたことを意味するので、その下限は特に制限されず、例えば、0であり得る。
【0030】
前記で指定される四角形の領域の数は2個以上である限り特に制限されないが、一例示において、前記四角形の領域が基材層の表面上で互いに重ならないように任意に選択されるものの、その任意に選択された領域が占める面積が前記基材層の全体の面積の約10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上または90%以上となるようにする個数で選択され得る。
【0031】
前記任意の四角形の領域の一辺を形成する正常ピッチPの範囲は、前述したように基材層上に存在するスペーサーの個数と該当基材層の面積によって決定され得るものに特に制限されず、通常的に50マイクロメートル~1,000マイクロメートルの範囲内であり得る。前記正常ピッチPは他の例示において、約60マイクロメートル以上、70マイクロメートル以上、80マイクロメートル以上、90マイクロメートル以上、100マイクロメートル以上または110マイクロメートル以上であり得、約900マイクロメートル以下、800マイクロメートル以下、700マイクロメートル以下、600マイクロメートル以下、500マイクロメートル以下、400マイクロメートル以下、300マイクロメートル以下、200マイクロメートル以下または150マイクロメートル以下でもよい。
【0032】
特に制限されるものではないが、前記のように任意に選択された正四角形の領域内に存在するスペーサーの平均個数は例えば、約80個~150個程度であり得る。前記平均個数は他の例示において、82個以上、84個以上、86個以上、88個以上、90個以上、92個以上、94個以上、96個以上または98個以上であり得る。また、他の例示において前記平均個数は、148個以下、146個以下、144個以下、142個以下、140個以下、138個以下、136個以下、134個以下、132個以下、130個以下、128個以下、126個以下、124個以下、122個以下、120個以下、118個以下、116個以下、114個以下または112個以下であり得る。
【0033】
前記スペーサーの平均個数Aと前記言及した標準偏差SDの比率SD/Aは、0.1以下であり得る。前記比率は他の例示において、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、0.05以下、0.04以下、0.03以下、0.02以下または0.01以下であり得る。また、前記比率SD/Aは、0以上または約0.005以上程度でもよい。
【0034】
前記平均個数Aや比率SD/Aは場合により変更され得るが、例えば、前記基板が適用されるデバイスで要求される透過率、セルギャップ(cell gap)および/またはセルギャップの均一度などを考慮して前記数値は変更され得る。
【0035】
他の例示において、前記不規則的に配置されたスペーサーが形成されている基材層の表面を同一面積を有する2個以上の領域に分割した時、各単位領域内に前記スペーサーの個数の標準偏差が2以下であり得る。
【0036】
前記で標準偏差の意味とその具体的な例示は前述したものと同じである。
【0037】
すなわち、前記例示では、基材層を同一面積を有する少なくとも2個以上の領域に分割し、分割した各単位領域内に存在するスペーサーの個数の標準偏差を求めた時にその標準偏差は2以下である。このような場合に分割した各単位領域の形態は、該当単位領域が同じ面積を有するように分割される限り特に制限されないが、例えば、三角、四角または六角形の領域であり得る。また、前記状態で標準偏差は他の例示において、1.5以下、1以下または0.5以下であるか、0以上、0.5以上、1以上または1.5以上であり得る。
【0038】
前記で単位領域の個数は特に制限されるものではないが、一例示において、前記基材層は同一面積を有する2個以上、4個以上、6個以上、8個以上または10個以上の領域に分割され得る。前記で分割される領域の数が多いほどスペーサーの密度がより均一に維持されることを意味するので、分割領域の個数の上限は特に制限されない。
【0039】
前記のように規則性と不規則性を同時に有するように複数のスペーサーが配置されている基板上で、前記正常ピッチであるPを一辺とする仮想の正四角形の領域を選択した時に、該当領域内に存在するスペーサーの平均個数は0~4の範囲内であり得る。前記平均個数は、他の例示において、3.5以下、3以下、2.5以下、2以下または1.5以下であり得る。前記平均個数はさらに他の例示において0.5以上であり得る。前記で任意に指定される一辺の長さが正常ピッチPである正四角形の領域の数は2個以上である限り特別に制限されるものではないが、一例示において、前記正四角形の領域が基材層の表面上で互いに重ならないように任意に選択されるものの、その任意に選択された領域が占める面積が前記基材層の全体の面積の約10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上または90%以上となるようにする個数で選択され得る。
【0040】
前記複数のスペーサーの全体密度は、基材層の全面積対比スペーサーが占める面積の比率が約50%以下となるように調節され得る。前記比率は他の例示において、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約9.5%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、4.5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下、2.5%以下、2%以下または1.5%以下であり得る。他の例示において前記比率は、約0.1%以上、0.2%以上、0.3%以上、0.4%以上、0.5%以上、0.6%以上、0.7%以上、0.8%以上、0.9%以上または0.95%以上であり得る。
【0041】
前記のような形態で複数のスペーサーが基材層上に配置されることによって光学デバイスを具現した時に、スペーサーが基板間のピッチ(cell gap)を均一に維持しながらも、いわゆるモアレ現象を誘発させず、均一な光学特性が確保されるようにすることができる。
【0042】
前記各数値は必要な場合に変更され得るが、例えば、前記基板が適用されるデバイスで要求される透過率、セルギャップ(cell gap)および/またはセルギャップの均一度などを考慮して前記数値は変更され得る。
【0043】
前記複数のスペーサーはそのスペーシング正規分布度が所定の形態を示すように配置され得る。
【0044】
前記でスペーシング正規分布度は、スペーサー間のピッチをX軸にし、全体のスペーサーのうち該当ピッチを有するスペーサーの比率をY軸にして図示した分布度であり、このときスペーサーの比率は全体のスペーサーの数を1に仮定した時に求められる比率である。
【0045】
このような分布度の例示は図4に示されている。また、本明細書で前記スペーシング正規分布度と関連した説明でのピッチは、前記言及した閉図形である三角形、四角形または六角形での辺の長さである。
【0046】
前記分布度は、公知の乱数座標プログラム、例えば、CAD、MATLABまたはSTELLA乱数座標プログラムなどを使用して求めることができる。
【0047】
一例示において、前記複数のスペーサーは前記分布度での1/2高さ面積が0.4~0.95の範囲内となるように配置され得る。前記1/2高さ面積は他の例示において0.45以上、0.5以上、0.55以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上または0.85以上であり得る。また、前記1/2高さ面積は他の例示においては、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.55以下または0.5以下であり得る。
【0048】
前記複数のスペーサーは、前記分布度での1/2高さ幅FWHMと平均ピッチPmの比FWHM/Pmが1以下となるように配置され得る。前記比FWHM/Pmは、他の例示において0.05以上、0.1以上、0.11以上、0.12以上または0.13以上であり得る。また、前記比FWHM/Pmは、他の例示においては約0.95以下、約0.9以下、約0.85以下、約0.8以下、約0.75以下、約0.7以下、約0.65以下、約0.6以下、約0.55以下、約0.5以下、約0.45以下または約0.4以下であり得る。
【0049】
前記平均ピッチPmは、前述した閉図形である三角形、四角形または六角形を形成するように少なくとも80%以上、85%以上、90%以上または95%以上のスペーサーを選択した時に選択されたスペーサーによって形成される三角形、四角形または六角形の各辺の長さの平均である。また、前記でスペーサーは、形成された三角形、四角形または六角形が互いに頂点は共有しないように選択される。
【0050】
前記複数のスペーサーは、前記分布度での1/2高さ幅FWHMが0.5マイクロメートル~1,000マイクロメートルの範囲内にあるように配置され得る。前記1/2高さ幅FWHMは、他の例示において約1マイクロメートル以上、2マイクロメートル以上、3マイクロメートル以上、4マイクロメートル以上、5マイクロメートル以上、6マイクロメートル以上、7マイクロメートル以上、8マイクロメートル以上、9マイクロメートル以上、10マイクロメートル以上、11マイクロメートル以上、12マイクロメートル以上、13マイクロメートル以上、14マイクロメートル以上、15マイクロメートル以上、16マイクロメートル以上、17マイクロメートル以上、18マイクロメートル以上、19マイクロメートル以上、20マイクロメートル以上、21マイクロメートル以上、22マイクロメートル以上、23マイクロメートル以上または24マイクロメートル以上、27マイクロメートル以上、30マイクロメートル以上、35マイクロメートル以上、40マイクロメートル以上、45マイクロメートル以上または50マイクロメートル以上であり得る。他の例示において前記1/2高さ幅FWHMは、約900マイクロメートル以下、800マイクロメートル以下、700マイクロメートル以下、600マイクロメートル以下、500マイクロメートル以下、400マイクロメートル以下、300マイクロメートル以下、200マイクロメートル以下、150マイクロメートル以下、100マイクロメートル以下、90マイクロメートル以下、80マイクロメートル以下、70マイクロメートル以下、60マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下、40マイクロメートル以下または30マイクロメートル以下であり得る。
【0051】
前記複数のスペーサーは、前記スペーシング正規分布度の最大高さFmaxが0.006以上であり、1未満となるように配置され得る。前記最大高さFmaxは他の例示において約0.007以上、約0.008以上、約0.009以上または約0.0095以上、約0.01以上または約0.015以上であり得る。また、前記最大高さFmaxは他の例示において約0.9以下、約0.8以下、約0.7以下、約0.6以下、約0.5以下、約0.4以下、約0.3以下、約0.2以下、約0.1以下、約0.09以下、約0.08以下、約0.07以下、約0.06以下、約0.05以下、約0.04以下、約0.03以下または約0.02以下であり得る。
【0052】
複数のスペーサーが前記のような形態のスペーシング正規分布度を有するように配置されることによって、前記基板を通じて光学デバイスを具現した時にスペーサーが基板間のピッチ(cell gap)を均一に維持しながらも、いわゆるモアレ現象を誘発させず、均一な光学特性が確保されるようにすることができる。
【0053】
複数のスペーサーが前記のように不規則性と規則性を同時に有するように配置されるために、不規則度という概念が導入される。以下、前記のような形態のスペーサーの配置を設計するための方法を説明する。
【0054】
前記言及された規則性と不規則性を同時に有するスペーサーの配置を達成するためには、正常配置状態から出発して不規則性を有するようにスペーサーを再配置する段階を遂行する。
【0055】
前記で正常配置状態は、複数のスペーサーが基材層上にすべての辺の長さが同じ正三角形、正四角形または正六角形を形成できるように配置された状態である。図5は、一例示としてスペーサーが前記正四角形を形成するように配置された状態である。この状態での正四角形の一辺の長さPは、前述した正常ピッチと同じであり得る。前記のような配置状態で一つのスペーサーが存在する地点を基準として前記の一辺の長さPに対して一定の比率となる長さの半径を有する円領域を指定し、その領域内で前記一つのスペーサーが無作為的に移動できるようにプログラムをセッティングする。例えば、図5は前記長さP対比50%の長さ(0.5P)の半径を有する円領域を設定し、その領域内の任意の地点で前記スペーサーが移動する形態を模式的に示している。前記のような移動を少なくとも80%以上、85%以上、90%以上、95%以上または100%(すべてのスペーサー)のスペーサーに適用して前述した配置を達成することができる。
【0056】
前記のような設計方式で前記円領域の半径となる長さPに対する比率が不規則度と定義され得る。例えば、図5に示された場合において不規則度は約50%である。
【0057】
一例示において、前記設計方式での不規則度は約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上または約65%以上であり得る。前記不規則度は一例示において約95%以下、約90%以下、約85%以下または約80%以下であり得る。
【0058】
前記のような方式でスペーサーの配置を設計し、設計した配置にしたがってスペーサーを形成することによって前述した不規則性と規則性を同時に有する配置を達成することができる。
【0059】
前記では正常状態が正四角形から出発する場合を例示にしたが、前記正常状態は正三角形または正六角形などの異なる図形であり得、その場合にも前述した配置が達成され得る。
【0060】
前記のような方式でスペーサーの配置を設計する手段は特に制限されず、公知の乱数座標プログラム、例えば、CAD、MATLAB、STELLAまたはExcel乱数座標プログラムなどを使用することができる。
【0061】
例えば、前記のような方式でまずスペーサーの配置を設計した後に、該当設計に従うパターンを有するマスクなどを製造し、該当マスクを使用したリソグラフィーまたはインプリンティング方式などによって前記のようなスペーサーを具現することができる。
【0062】
前記のようなスペーサーのディメンションは特に制限されず、公知の範囲内で選択され得る。例えば、前記スペーサーは底部の断面積が約0.25マイクロメートル~1mmの範囲内であり、高さが約0.5マイクロメートル~1mmの範囲内となり得る。前記底部断面積は他の例示において,約0.5マイクロメートル以上、0.75マイクロメートル以上、1マイクロメートル以上、5マイクロメートル以上、10マイクロメートル以上、15マイクロメートル以上または20マイクロメートル以上であるか、900000マイクロメートル以下、800000マイクロメートル以下、700000マイクロメートル以下、600000マイクロメートル以下、500000マイクロメートル以下、400000マイクロメートル以下、300000マイクロメートル以下、200000マイクロメートル以下、100000マイクロメートル以下、90000マイクロメートル以下、80000マイクロメートル以下、70000マイクロメートル以下、60000マイクロメートル以下、50000マイクロメートル以下、40000マイクロメートル以下、30000マイクロメートル以下、20000マイクロメートル以下、10000マイクロメートル以下、9000マイクロメートル以下、8000マイクロメートル以下、7000マイクロメートル以下、6000マイクロメートル以下、5000マイクロメートル以下、4000マイクロメートル以下、3000マイクロメートル以下、2000マイクロメートル以下、1000マイクロメートル以下、900マイクロメートル以下、800マイクロメートル以下、700マイクロメートル以下、600マイクロメートル以下、500マイクロメートル以下、400マイクロメートル以下、300マイクロメートル以下、200マイクロメートル以下、100マイクロメートル以下、90マイクロメートル以下、80マイクロメートル以下、70マイクロメートル以下、60マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下、40マイクロメートル以下または30マイクロメートル以下でもある。
【0063】
前記スペーサーは、公知の素材および方式を使用して形成することができる。一例示において、前記スペーサーは、紫外線硬化型樹脂を含んで形成され得る。例えば、前記スペーサーは前述した方式で規則的な不規則性を設計し、設計した内容によりデザインされたマスクを使用したインプリンティングまたはリソグラフィー方式で紫外線硬化型化合物を目的とする配置により硬化させて形成できるが、このような場合に前記紫外線硬化型化合物の硬化体である紫外線硬化型樹脂が前記スペーサーを形成することができる。スペーサーの形成に使用され得る紫外線硬化型化合物の具体的な種類は特に制限されず、例えば、アクリレート系列の高分子やエポキシ系列高分子などが使用され得るが、これに制限されるものではない。
【0064】
本出願の基板は、前記基材層とスペーサーに光学デバイスの駆動に要求される他の要素をさらに含むことができる。このような要素は多様に公知されており、代表的には電極層がある。一例示において、前記基板は、前記基材層と前記スペーサーの間に電極層をさらに含むことができる。電極層としては、公知の素材が適用され得る。例えば、電極層は、金属合金、電気伝導性化合物または前記のうち2種以上の混合物を含むことができる。このような材料としては、金などの金属、CuI、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZTO(Zinc Tin Oxide)、アルミニウムまたはインジウムがドーピングされた亜鉛オキシド、マグネシウムインジウムオキシド、ニッケルタングステンオキシド、ZnO、SnOまたはIn等の酸化物材料や、ガリウムナイトライドのような金属ナイトライド、亜鉛セレニドなどのような金属セレニド、亜鉛スルフィドのような金属スルフィドなどが例示され得る。透明な正孔注入性電極層は、また、Au、AgまたはCuなどの金属薄膜とZnS、TiOまたはITOなどのような高屈折の透明物質の積層体などを使用しても形成することができる。
【0065】
電極層は、蒸着、スパッタリング、化学蒸着または電気化学的手段などの任意の手段で形成され得る。電極層のパターン化も特に制限なく公知の方式で可能であり、例えば、公知とされているフォトリソグラフィーやシャドーマスクなどを使用した工程を通じてパターン化されてもよい。
【0066】
本出願の基板はさらに前記基材層とスペーサー上に存在する配向膜をさらに含むことができる。
【0067】
前記で基材層とスペーサー上に形成される配向膜の種類も特に制限されず、公知の配向膜、例えば、公知のラビング配向膜または光配向膜が適用され得る。
【0068】
前記配向膜を基材層とスペーサー上に形成し、それに対する配向処理を遂行する方式も公知の方式に従う。
【0069】
本出願はさらに、前記のような基板を使用して形成した光学デバイスに関するものである。
【0070】
本出願の例示的な光学デバイスは、前記基板および前記基板と対向配置されており、前記基板のスペーサーによって前記基板との間隔が維持された第2基板を含むことができる。
【0071】
前記光学デバイスで2個の基板の間の間隔には光変調層が存在し得る。本出願で用語光変調層には、入射した光の偏光状態、透過率、色調および反射率などの特性のうち、少なくとも一つの特性を目的により変化させることができる公知のすべての種類の層が含まれ得る。
【0072】
例えば、前記光変調層は、液晶物質を含む層であって、電圧、例えば垂直電界や水平電界のオンオフ(on-off)によって拡散モードと透過モードの間でスイッチングされる液晶層であるか、透過モードと遮断モードの間でスイッチングされる液晶層であるか、透過モードとカラーモードでスイッチングされる液晶層または互いに異なる色のカラーモードの間をスイッチングする液晶層であり得る。
【0073】
前記作用を遂行できる光変調層、例えば、液晶層は多様に公知とされている。一つの例示的な光変調層としては、通常の液晶ディスプレイに使用される液晶層がある。他の例示において、光変調層は多様な形態のいわゆるゲストホスト液晶層(Guest Host Liquid Crystal Layer)、高分子分散型液晶層(Polymer Dispersed Liquid Crystal)、画素孤立型液晶層(Pixcel-isolated Liquid Crystal)、浮遊粒子デバイス(Suspended Particle Deivice)または電気変色ディスプレイ(Electrochromic device)等でもよい。
【0074】
前記で高分子分散型液晶層(PDLC)は、いわゆるPILC(pixel isolated liquid crystal)、PDLC(polymer dispersed liquid crystal)、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)またはPSLC(Polymer Stablized Liquid Crystal)等を含む上位概念である。高分子分散型液晶層(PDLC)は、例えば、高分子ネットワークおよび前記高分子ネットワークと相分離された状態で分散されている液晶化合物を含む液晶領域を含むことができる。
【0075】
前記のような光変調層の具現方式や形態は特に制限されず、目的にしたがって公知とされている方式を制限なく採択することができる。
【0076】
また、前記光学デバイスは必要な場合、追加的な公知の機能性層、例えば、偏光層、ハードコーティング層および/または反射防止層などもさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0077】
本出願は特定の配置状態でスペーサーが配置されている基板およびそのような基板を使用した光学デバイスに関するものである。本出願では基板上に複数のスペーサーが所定の規則にしたがって不規則的に配置されるようにして、前記スペーサーが光学デバイスの構成時に均一なセルギャップを維持するようにしつつ、モアレ現象などを誘発せず、全体的に均一な光学特性が確保されるようにするごとができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1】スペーサー間のピッチを説明するための図面。
図2】スペーサー間のピッチを説明するための図面。
図3】スペーサー間のピッチを説明するための図面。
図4】スペーサーの分布度の例示。
図5】不規則度を具現する方式を説明するための図面。
図6】実施例1のスペーサー配置を示す図面。
図7】実施例1の配置から確認した分布度。
図8】実施例1のスペーサー配置でのモアレ現象の観察結果。
図9】正常配置状態のスペーサー配置でのモアレ現象の観察結果。
図10】実施例2のスペーサー配置を示す図面。
図11】実施例2のスペーサー配置から確認した分布度。
図12】実施例2のスペーサー配置でのモアレ現象の観察結果。
図13】実施例3のスペーサー配置を示す図面。
図14】実施例3のスペーサー配置から確認した分布度。
図15】実施例3のスペーサー配置でのモアレ現象の観察結果。
図16】実施例3の基板を適用したデバイスの外観を評価した結果。
図17】実施例4のスペーサー配置から確認した分布度。
図18】実施例4のスペーサー配置でのモアレ現象の観察結果。
図19】実施例4の基板を適用したデバイスの外観を評価した結果。
図20】比較例1のスペーサー配置でのモアレ現象の観察結果。
図21】比較例1の基板を適用したデバイスの外観を評価した結果。
図22】比較例2のスペーサー配置でのモアレ現象の観察結果。
図23】比較例2の基板を適用したデバイスの外観を評価した結果。
図24】比較例3のスペーサー配置でのモアレ現象の観察結果。
図25】比較例3の基板を適用したデバイスの外観を評価した結果。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下、実施例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲は下記の実施例によって制限されるものではない。
【0080】
実施例1.
【0081】
スペーサー配置の設計
不規則度が約10%であるスペーサー配置パターンは乱数座標発生プログラム(CAD)を使用して次のような方式で設計した。まず、全体の面積が約10mm程度である基材層上に100個のスペーサーが、図5に示されたように、127マイクロメートルの一定間隔(正常ピッチ)で配置されている状態を仮定した(正常配置状態)。この時、個別スペーサーの底部の断面積は約27マイクロメートル程度であり、高さは約10マイクロメートル程度となるようにした。その後、図5のように、スペーサーを4個ずつ選択して構成した正四角形で個別スペーサーが各スペーサーを基準として前記正常ピッチの10%の半径(0.1P)を有する円領域内で無作為に移動するようにプログラムをセッティングして、個別スペーサーを移動させてスペーサー配置パターンを構成した。図6は、前記のように設計されたスペーサー配置の例示である。図6に示されたように、前記スペーサーの配置で閉図形である四角形が構成されるように4個のスペーサーを選択し、各辺の長さを測定した時に、前記四角形の辺の長さのうち少なくとも一つは長さが異なっていた。また、前記閉図形である四角形のすべての辺の長さの中で最小長さは略87マイクロメートル程度であり、最大長さは略113マイクロメートル程度であった。また、前記図6で前記正常ピッチPの10倍(10P)の長さを一辺とする正四角形の領域を前記領域が互いに重ならないように12個選択した時に、各正四角形の領域内のスペーサーの平均個数は100個であり、標準偏差は約0程度であった。また、図6に示された基材層の表面を同一面積を有する4個の四角領域に分割した時に、各四角形の領域内のスペーサーの平均個数は24.1個であり、標準偏差は約1.7程度であった。図7は、前記のような配置のスペーサーのスペーシング正規分布度であり、その分布度での1/2高さ面積は約0.71であり、1/2高さ幅FWHMは約14.19であり、平均ピッチPmは約127マイクロメートルであり、最大高さFmaxは約0.095であった。
【0082】
スペーサーの形成
基材層(図10の100)としてPC(polycarbonate)フィルム上に電極層として結晶質のITO(Indium Tin Oxide)層が形成された基材層を使用した。前記基材層上に通常のコラムスペーサー形成方式にしたがってスペーサーを形成するものの、その配置が前記設計された方式に従うようにスペーサーを形成して基板を製造した。このように製造された基板を一般的な市販のMonitor上に置き、前記の方式でモアレ現象の発生の有無を評価した。図8は、前記方式で評価したモアレ現象の発生の有無の確認結果であり、図9は前記言及した正常配置状態によりスペーサーを形成した基板に対して測定した結果である。図8および図9の結果からスペーサーの配置状態の制御を通じてモアレ現象の発生を抑制できるという点を確認することができる。
【0083】
実施例2.
実施例1と同じ方式でスペーサー配置を設計するものの、不規則度が50%となるようにスペーサーの配置を設計した(個別のスペーサーが正常ピッチの50%の半径(0.5P)を有する円領域内で無作為に移動するようにプログラムをセッティングして個別スペーサーを移動)。また、前記閉図形である四角形のすべての辺の長さの中で最小長さは略36マイクロメートル程度であり、最大長さは略164マイクロメートル程度であった。
【0084】
図10は、前記のように設計されたスペーサー配置の例示である。図10に示されたように、前記スペーサーの配置で閉図形である四角形が構成されるように4個のスペーサーを選択し、各辺の長さを測定した時に前記四角形の辺の長さのうち少なくとも一つは長さが異なっていた。また、前記図10で前記正常ピッチPの10倍(10P)の長さを一辺とする正四角形の領域を前記領域が互いに重ならないように12個選択した時に、各正四角形の領域内のスペーサーの平均個数は100個であり、標準偏差は約0程度であった。また、図10に示された基材層の表面を同一面積を有する4個の四角領域に分割した時に各四角形の領域内のスペーサーの平均個数は24.4個であり、標準偏差は約1.2程度であった。図11は、前記のような配置のスペーサーのスペーシング正規分布度であり、その分布度での1/2高さ面積は約0.68であり、1/2高さ幅FWHMは約53.58であり、平均ピッチPmは、約127マイクロメートルであり、最大高さFmaxは約0.019であった。
【0085】
図12は前記のような方式で形成された基板を使用して実施例1と同様にモアレ現象の発生の有無を評価した結果であり、実施例1のようにモアレ現象の発生が抑制されるのを確認することができる。
【0086】
実施例3.
実施例1と同じ方式でスペーサー配置を設計するものの、不規則度が70%となるようにスペーサーの配置を設計した(個別のスペーサーが正常ピッチの70%の半径(0.7P)を有する円領域内で無作為に移動するようにプログラムをセッティングして個別スペーサーを移動)。また、前記閉図形である四角形のすべての辺の長さの中で最小長さは略11マイクロメートル程度であり、最大長さは略189マイクロメートル程度であった。
【0087】
図13は,前記のように設計されたスペーサー配置の例示である。図13に示されたように、前記スペーサーの配置で閉図形である四角形が構成されるように4個のスペーサーを選択し、各辺の長さを測定した時に前記四角形の辺の長さのうち少なくとも一つは長さが異なっていた。また、前記図13で前記正常ピッチPの10倍(10P)の長さを一辺とする12正四角形の領域を前記領域が互いに重ならないように12個選択した時に各正四角形の領域内のスペーサーの平均個数は99.5個であり、標準偏差は約0.9程度であった。また、図13に示された基材層の表面を同一面積を有する4個の四角領域に分割した時に各四角形の領域内のスペーサーの平均個数は23.1個であり、標準偏差は約1.7程度であった。図14は、前記のような配置のスペーサーのスペーシング正規分布度であって、その分布度での1/2高さ面積は約0.64であり、1/2高さ幅FWHMは約77.09であり、平均ピッチPmは約127マイクロメートルであり、最大高さFmaxは約0.016であった。
【0088】
図15は前記のような方式で形成された基板を使用して実施例1と同様にモアレ現象の発生の有無を評価した結果であって、実施例1のようにモアレ現象の発生が抑制されるのを確認することができる。
図16は、前記実施例3に対して実施例1と同じ方式で外観不良の発生の有無を評価した写真である。
【0089】
実施例4.
実施例1と同じ方式でスペーサー配置を設計するものの、不規則度が70%となるようにスペーサーの配置を設計した(個別のスペーサーが正常ピッチの70%の半径(0.7P)を有する円領域内で無作為に移動するようにプログラムをセッティングして個別スペーサーを移動)。また、前記閉図形である四角形のすべての辺の長さの中で最小長さは略59マイクロメートル程度であり、最大長さは略447マイクロメートル程度であった。
【0090】
前記のように設計されたスペーサー配置は、図13に示されたものと略類似であった。すなわち、図13に示されたように、実施例4の場合もスペーサーの配置で閉図形である四角形が構成されるように4個のスペーサーを選択し、各辺の長さを測定した時に前記四角形の辺の長さのうち少なくとも一つは長さが異なっていた。また、前記図13に示されたような形態で前記正常ピッチPの10倍(10P)の長さを一辺とする正四角形の領域を前記領域が互いに重ならないように12個選択した時に各正四角形の領域内のスペーサーの平均個数は99.5個であり、標準偏差は約0.9程度であった。また、図13に示された基材層の表面を同一面積を有する4個の四角領域に分割した時に各四角形の領域内のスペーサーの平均個数は23.1個であり、標準偏差は約1.7程度であった。図17は、前記のような配置のスペーサーのスペーシング正規分布度であって、その分布度での1/2高さ面積は約0.64であり、1/2高さ幅FWHMは約181.42であり、平均ピッチPmは約277マイクロメートルであり、最大高さFmaxは約0.0061であった。
【0091】
図18は前記のような方式で形成された基板を使用して実施例1と同様にモアレ現象の発生の有無を評価した結果であって、実施例1のようにモアレ現象の発生が抑制されるのを確認することができる。
【0092】
図19は、前記実施例4に対して実施例1と同じ方式で外観不良の発生の有無を評価した写真である。
【0093】
比較例1.
実施例1と同じ方式でスペーサー配置を設計するものの、不規則度が70%となるようにスペーサーの配置を設計した(個別のスペーサーが正常ピッチの70%の半径(0.7P)を有する円領域内で無作為に移動するようにプログラムをセッティングして個別スペーサーを移動)。また、前記閉図形である四角形のすべての辺の長さの中で最小長さは略89マイクロメートル程度であり、最大長さは略616マイクロメートル程度であった。
【0094】
前記のように設計されたスペーサー配置は図13に示されたものと略類似していた。すなわち、図13に示されたように、比較例1の場合もスペーサーの配置で閉図形である四角形が構成されるように4個のスペーサーを選択し、各辺の長さを測定した時に前記四角形の辺の長さのうち少なくとも一つは長さが異なっていた。また、正常ピッチPの10倍(10P)の長さを一辺とする正四角形の領域を前記領域が互いに重ならないように12個選択した時に各正四角形の領域内のスペーサーの平均個数は99.5個であり、標準偏差は約0.9程度であった。また、図13に示された基材層の表面を同一面積を有する4個の四角領域に分割した時に各四角形の領域内のスペーサーの平均個数は23.1個であり、標準偏差は約1.7程度であった。
【0095】
図20は前記のような方式で形成された基板を使用して実施例1と同様にモアレ現象の発生の有無を評価した結果であり、実施例1のようにモアレ現象の発生が抑制されるのを確認することができる。
【0096】
図21は前記比較例1に対して実施例1と同じ方式で外観不良の発生の有無を評価した写真であって、図面から外観の不良が大きく発生するのを確認することができる。
【0097】
比較例2.
実施例1と同じ方式でスペーサー配置を設計するものの、不規則度が70%となるようにスペーサーの配置を設計した(個別のスペーサーが正常ピッチの70%の半径(0.7P)を有する円領域内で無作為に移動するようにプログラムをセッティングして個別スペーサーを移動)。また、前記閉図形である四角形のすべての辺の長さの中で最小長さは略119マイクロメートル程度であり、最大長さは略786マイクロメートル程度であった。
【0098】
前記のように設計されたスペーサー配置は図13に示されたものと略類似していた。すなわち、図13に示されたように比較例2の場合もスペーサーの配置で閉図形である四角形が構成されるように4個のスペーサーを選択し、各辺の長さを測定した時に前記四角形の辺の長さのうち少なくとも一つは長さが異なっていた。また、正常ピッチPの10倍(10P)の長さを一辺とする正四角形の領域を前記領域が互いに重ならないように12個選択した時に各正四角形の領域内のスペーサーの平均個数は99.5個であり、標準偏差は約0.9程度であった。また、基材層の表面を同一面積を有する4個の四角領域に分割した時に各四角形の領域内のスペーサーの平均個数は23.1個であり、標準偏差は約1.7程度であった。
【0099】
図22は前記のような方式で形成された基板を使用して実施例1と同様にモアレ現象の発生の有無を評価した結果であり、実施例1のようにモアレ現象の発生が抑制されるのを確認することができる。
図23は前記比較例1に対して実施例1と同じ方式で外観不良の発生の有無を評価した写真であって、図面から外観の不良が大きく発生するのを確認することができる。
【0100】
比較例3.
実施例1と同じ方式でスペーサー配置を設計するものの、不規則度が70%となるようにスペーサーの配置を設計した(個別のスペーサーが正常ピッチの70%の半径(0.7P)を有する円領域内で無作為に移動するようにプログラムをセッティングして個別スペーサーを移動)。また、前記閉図形である四角形のすべての辺の長さの中で最小長さは略134マイクロメートル程度であり、最大長さは略872マイクロメートル程度であった。
【0101】
前記のように設計されたスペーサー配置は図13に示されたものと略類似していた。すなわち、図13に示されたことのように、比較例3の場合もスペーサーの配置で閉図形である四角形が構成されるように4個のスペーサーを選択し、各辺の長さを測定した時に前記四角形の辺の長さのうち少なくとも一つは長さが異なっていた。また、前記正常ピッチPの10倍(10P)の長さを一辺とする正四角形の領域を前記領域が互いに重ならないように12個選択した時に各正四角形の領域内のスペーサーの平均個数は99.5個であり、標準偏差は約0.9程度であった。また、基材層の表面を同一面積を有する4個の四角領域に分割した時に各四角形の領域内のスペーサーの平均個数は23.1個であり、標準偏差は約1.7程度であった。
【0102】
図24は前記のような方式で形成された基板を使用して実施例1と同様にモアレ現象の発生の有無を評価した結果であって、実施例1のようにモアレ現象の発生が抑制されるのを確認することができる。
【0103】
図25は前記比較例1に対して実施例1と同じ方式で外観不良の発生の有無を評価した写真であって、図面から外観の不良が大きく発生するのを確認することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図11
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