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特許7119400液体クロマトグラフシステムおよびそれを用いた分析方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフシステムおよびそれを用いた分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/02 20060101AFI20220809BHJP
   G01N 30/20 20060101ALI20220809BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20220809BHJP
   G01N 30/16 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G01N30/02 Z
G01N30/20 L
G01N30/26 L
G01N30/16 L
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018021355
(22)【出願日】2018-02-08
(65)【公開番号】P2019138740
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀賀 雅史
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-005728(JP,A)
【文献】特開2012-117945(JP,A)
【文献】特開平11-037984(JP,A)
【文献】特開平07-098305(JP,A)
【文献】特開2002-168842(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0343518(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料注入バルブ、試料計量部、移動相ポンプ及び分析カラムを少なくとも備えた液体クロマトグラフ装置が複数並設された液体クロマトグラフシステムであって、
測定用の試料を貯留している試料貯留部と、
前記試料貯留部から試料を前記試料計量部に導入する試料導入部とを備え、
前記試料貯留部と前記試料導入部は前記試料注入バルブのそれぞれの異なるポートに流体接続されており、
前記試料導入部と前記試料注入バルブの流路に、前記試料注入バルブ以外の流路切り替えバルブが介在しないことを特徴とする液体クロマトグラフシステム。
【請求項2】
前記試料注入バルブが、前記試料貯留部または前記試料導入部と流体接続されているポート、もしくは前記試料貯留部と流体接続されているポートと前記試料導入部が流体接続されているポートの両方が他のポートと接続されていない位置をとり得ることを特徴とする請求項1に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項3】
前記試料貯留部が1以上の試料容器と試料吸引部からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項4】
前記試料注入バルブと流体接続された試料貯留配管を、複数並設された液体クロマトグラフシステムごとに有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項5】
前記試料貯留配管が前記試料注入バルブと前記試料導入部との間に流体接続されていることを特徴とする請求項4に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項6】
前記試料注入バルブと流体接続された洗浄液貯留部を、複数並設された液体クロマトグラフシステム1つのみ有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項7】
前記洗浄液貯留部と前記試料導入部とが流路切り替え部で接続されていることを特徴とする請求項6に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項8】
試料注入バルブ、試料計量部、移動相ポンプ及び分析カラムを少なくとも備えた液体クロマトグラフ装置が複数並設され、さらに試料貯留部及び試料導入部を備えた液体クロマトグラフシステムを用いた分析方法であって、
特定の前記液体クロマトグラフ装置の前記試料注入バルブを前記試料貯留部と前記試料計量部が通液する位置に切り替え、
その他の前記液体クロマトグラフ装置の前記試料注入バルブを前記試料貯留部または前記試料導入部と接続されているポート、もしくは前記試料貯留部と流体接続されているポートと前記試料導入部が流体接続されているポートの両方が他のポートと接続されていない位置に切り替え、
前記試料貯留部から前記特定の液体クロマトグラフ装置の前記試料計量部に試料を導入し、
前記特定の液体クロマトグラフ装置の前記試料注入バルブを前記試料計量部と前記移動相ポンプが通液する位置に切り替え、
前記移動相ポンプから移動相を流し、前記試料計量部に導入された試料を前記分析カラムに送り、試料を分析することを特徴とする分析方法。
【請求項9】
選択された2以上又は全ての前記液体クロマトグラフ装置の前記試料計量部に試料の導入を順次行っていき、
試料の導入された全ての前記液体クロマトグラフ装置の前記試料注入バルブを前記試料計量部と前記移動相ポンプが通液する位置に切り替え、
前記移動相ポンプから移動相を流し、前記試料計量部に導入された試料を前記分析カラム
に送り、試料を分析することを特徴とする請求項8に記載の分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は試料注入バルブを少なくとも備えた液体クロマトグラフ装置が複数並設された液体クロマトグラフシステムおよびそのシステムへ試料を注入して分析する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフは複数成分を含む試料を分析カラムで分離検出し、成分の定量や定性を行う方法である。一般的には、1つの試料容器を試料設置部へ配置し、試料容器中の試料をシリンジポンプなどの試料導入手段を用いて、試料注入バルブに接続されたサンプルループなどの試料計量手段へ試料を導入し、試料計量後に流路切換手段を用いて流路を切り替え、試料を分析カラムに通じる移動相の流体場へ注入することにより分離を行う。同一の試料を2つ以上のクロマトグラフ装置にて測定する場合は、クロマトグラフ装置と同数の試料容器を各クロマトグラフ装置の試料設置部に設置して分析することが一般的である。
【0003】
一方で、同一の試料について2つ以上の試料容器を準備する手間を削減したい場合、2つ以上の試料容器に分ける際に夾雑物の不均衡が生じるおそれがある場合、試料容器の数が増えることにより積算される試料のデッドボリュームを削減したい場合などは、1つの試料容器から2つ以上のクロマトグラフ装置へ試料を注入する方式を採用することがある。
【0004】
特許文献1においては、1つの試料導入部を用いて複数のクロマトグラフ装置へ試料注入する技術が公開されている。しかしながら、この技術はグラジエント溶出方式における平衡化への課題として、複数のクロマトグラフ装置で同じ溶出原理を用いることを主眼としたものであって、異なるアイソクラティックな溶出原理を用いる複数のクロマトグラフ装置として当該技術を用いる場合は、溶出原理の異なる複数の移動相を1つの試料導入装置へ通液させる必要があり、試料導入装置と流路切換バルブの接続配管と、試料導入装置、および流路切換バルブから移動相を除去するための有効な流路洗浄手段がなく、当該文献でも開示されていないことにより、1つのクロマトグラフ装置に用いる移動相が、他のクロマトグラフ装置へ混入することで、測定に悪影響を及ぼす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-168842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、併設された複数の液体クロマトグラフ装置への試料を注入に際して、高価な流路切り替えバルブを追加することなく、確実に試料を注入する液体クロマトグラフシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、本発明を見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、
試料注入バルブ、試料計量部、移動相ポンプ及び分析カラムを少なくとも備えた液体クロマトグラフ装置が複数並設された液体クロマトグラフシステムであって、
測定用の試料を貯留している試料貯留部と、
前記試料貯留部から試料を前記試料計量部に導入する試料導入部とを備え、
前記試料貯留部と前記試料導入部は前記試料注入バルブのそれぞれの異なるポートに流体接続されていることを特徴とする液体クロマトグラフシステムである。
【0009】
前記試料注入バルブは、前記試料貯留部または前記試料導入部と流体接続されているポート、もしくは前記試料貯留部と流体接続されているポートと前記試料導入部が流体接続されているポートの両方が他のポートと接続されていない位置をとり得るようにしてもよい。また、前記試料貯留部は1以上の試料容器と試料吸引部から構成されていても良い。
【0010】
さらに、本発明は、前記試料注入バルブと流体接続された試料貯留配管、洗浄液貯留部を有していてもよい。前記試料貯留配管は、前記試料注入バルブと前記試料導入部との間で流体接続されていてもよい。前記洗浄液貯留部と前記試料導入部とは、流路切り替え部で接続されていてもよい。
【0011】
また、本発明の別の態様として、
試料注入バルブ、試料計量部、移動相ポンプ及び分析カラムを少なくとも備えた液体クロマトグラフ装置が複数並設され、さらに試料貯留部及び試料導入部を備えた液体クロマトグラフシステムを用いた分析方法であって、
特定の前記液体クロマトグラフ装置の前記試料注入バルブを前記試料貯留部と前記試料計量部が通液する位置に切り替え、
その他の前記液体クロマトグラフ装置の前記試料注入バルブを前記試料貯留部または前記試料導入部と接続されているポート、もしくは前記試料貯留部と流体接続されているポートと前記試料導入部が流体接続されているポートの両方が他のポートと接続されていない位置に切り替え、
前記試料貯留部から前記特定の液体クロマトグラフ装置の前記試料計量部に試料を導入し、
前記特定の前記液体クロマトグラフ装置の前記試料注入バルブを前記試料計量部と前記移動相ポンプが通液する位置に切り替え、
前記移動相ポンプから移動相を送液し、前記試料計量部に導入された試料を前記分析カラムに送り、試料を分析することを特徴とする分析方法が挙げられる。
【0012】
上述した分析方法は、選択された2以上又は全ての前記液体クロマトグラフ装置の前記試料計量部に試料の導入を順次行っていき、
試料の導入された全ての前記液体クロマトグラフ装置の前記試料注入バルブを前記試料計量部と前記移動相ポンプが通液する位置に切り替え、
前記移動相ポンプから移動相を送液し、前記試料計量部に導入された試料を前記分析カラムに送り、試料を分析してもよい。
【0013】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の液体クロマトグラフシステムは、試料注入バルブ、試料計量部、移動相ポンプ及び分析カラムを少なくとも備えた液体クロマトグラフ装置が複数並設されていることを特徴とする。ここで言う「並設」とは、各クロマトグラフ装置の試料注入バルブが並行流路上に来るように流路を構成していることを指す(図1a参照)。並行流路は流路分岐手段を用いて構成すれば問題ない。
【0015】
さらに、本発明の液体クロマトグラフシステムは、試料貯留部102と試料導入部103も備えており、並設されたクロマトグラフ装置の試料注入バルブに流体接続されている。
【0016】
試料貯留部としては、測定用の試料を貯留しておける容器であれば問題はなく、流路として試料吸引部を有していてもよい。試料吸引部としてはニードルが好適に用いられる。
【0017】
試料導入部としては、圧力の作用によって流体を移動させることが可能なシリンジポンプやプランジャーポンプなどを用いることができる。
【0018】
液体クロマトグラフ装置の試料注入バルブ104は、複数の流路を接続するポートと、複数のポート間を連通させる1以上の流路と回転可能な機構を有するローターを有しており、ローターを回転することにより流路を切り替えることができる。例えば、ポートはそれぞれ、試料計量部105の両端(a、d)、分析カラム108(b)、移動相ポンプ109(c)、試料導入部103(e)、試料貯留部102(f)に繋がるようにした場合、試料計量部105に試料を導入する位置であるLOAD位置(f-a、b-c、d-e)、計量された試料を分析カラムに注入する位置であるINJ位置(a-b、c-d、e-f)、LOAD位置とINJ位置の途中位置となるMID位置へ任意に切り替えが可能である(図1b)。なお、試料注入バルブのポートのうち、ポートbとポートcは接続先を入れ替えても問題はなく、ポートeとポートfも接続先を入れ替えても問題はない。ローターの流路は、MID位置は全てのポートにおいて連通を遮断し閉塞状態となるような構成としてもよく、移動相ポンプから送液された移動相が閉塞しないような手段を設けてもよく、試料計量手段内部の圧力を大気圧へと解放するための手段を設けてもよい。つまり、MID位置において試料貯留部が接続されているポートfまたは試料導入部が接続されているポートe、もしくはポートe、fの両方の接続を遮断できていればよく、他のポートの接続状態に特に制限はない。
【0019】
試料計量部は、試料注入バルブなどの流路切り替えバルブに接続された、規定容量の配管で構成されるサンプルループや濃縮カラム、トラップカラムなどを用いることができる。
【0020】
移動相ポンプは、カラムを含む流路に移動相を高精度に安定的に送液するために用いる。通常は容易に昇圧可能なプランジャーポンプが用いられるが、分析に支障がなければポンプの形態に制限はない。
【0021】
分析カラムは、移動相に注入された試料を分離するものである。分析カラムへの不純物が侵入することを防ぐためにガードカラム、あるいはフィルターを併用する場合や、複数の分析カラムを組み合わせて使用する場合もある。分析用途や試料の性状に合わせて選択すればよく、用いる分析カラムに特に制限はない。
【0022】
本発明の液体クロマトグラフシステムは、さらに試料貯留配管を有していても良い。試料貯留配管とは、試料導入部へ試料が混入することによる試料のキャリーオーバーを防ぐために用いる、ある一定の内部容量を持つ配管を示す。また、試料を試料計量部への吐出により可変量とする場合に、吸引した試料を一時的に保持する役割を持たせてもよい。内部容量は試料を吸引する容量よりも多く確保できれば良い。試料貯留配管に用いる材質としては、試料導入部の圧力の作用による内部容量の変化が少ないPEEKやPTFEなどの樹脂や、SUS等の金属から構成された配管が好適である。試料貯留配管は、前述の役割を持たせることができれば設置位置に特に限定はないが、前記試料注入バルブと前記試料導入部との間で流体接続されていることが好ましい。
【0023】
また、本発明の液体クロマトグラフシステムは、さらに洗浄液貯留部を有していても良い。洗浄液としては、超純水、純水、脱イオン水、蒸留水のほか、有機溶媒や有機溶媒を含有する溶液、電離した酸・塩基・塩、及び界面活性剤が含まれる溶液を例示することができる。シリンジポンプやプランジャーポンプなどを用いて、洗浄液を送液することにより、測定への夾雑物の低減や、前回測定した試料によるキャリーオーバーを防止することができる。洗浄液貯留部と試料導入部とは、流路切り替え部で接続されていることが好ましい。
【0024】
次に、本発明の液体クロマトグラフシステムを用いた分析方法について説明する。
【0025】
まず、特定の液体クロマトグラフ装置の試料注入バルブを試料貯留部と試料計量部が通液する位置(LOAD位置)に切り替え、その他の液体クロマトグラフ装置の試料注入バルブを試料貯留部、または試料導入部と接続されているポート、もしくは試料貯留部と接続されているポートと試料導入部が接続されているポートの両方が他のポートと接続されていない位置(MID位置)に切り替える。
【0026】
次に、試料導入部によって試料貯留部から前記特定の液体クロマトグラフ装置の試料計量部に試料を導入する。
【0027】
次に、前記特定の液体クロマトグラフ装置の試料注入バルブを試料計量部と移動相ポンプが通液する位置(INJ位置)に切り替え、移動相ポンプから移動相を流し、試料計量部に導入された試料を分析カラムに送り、試料を分析する。
【0028】
なお、試料導入手段により試料を流路中で移動させる場合に、洗浄液と試料が流路中で界面接触し、拡散や混合することによる測定再現性の悪化、および試料への夾雑による悪影響を無くすために、試料吸引前後のいずれか、あるいは両方のタイミングで、大気や不活性ガス等の気体を挟んでもよい。
【0029】
液体クロマトグラフシステムにおいて、選択された2以上又は全ての液体クロマトグラフ装置の試料注入バルブに注入する場合、特定の液体クロマトグラフ装置の試料注入バルブを試料貯留部と試料計量部が通液する位置(LOAD位置)に切り替え、その他の液体クロマトグラフ装置の試料注入バルブを試料貯留部または試料導入部と接続されているポート、もしくは試料貯留部と接続されているポートと試料導入部が接続されているポートの両方が他のポートと接続されていない位置(MID位置)に切り替える工程を順次行っていけば問題ない。
【0030】
必要な試料注入バルブへの注入が全て終了後、試料の導入された全ての液体クロマトグラフ装置の試料注入バルブを試料計量部と移動相ポンプが通液する位置(INJ位置)に切り替え、移動相ポンプから移動相を送液し、試料計量部に導入された試料を分析カラムに送り、試料を分析する。試料導入時にLOAD位置とした試料注入バルブ以外の試料注入バルブが接続された配管が陰圧状態になることにより、流路洗浄に用いた液体が試料に混入するのを防ぐため、試料導入する試料注入バルブ以外が接続された配管にあらかじめ試料を導入することで混入を避けることができる。この時の各配管へ導入する試料量に制限はないが、試料注入量と同程度とするとよく、さらに望ましくは液体クロマトグラフ装置毎に導入する試料量を設定可能とすることである。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、併設された複数の液体クロマトグラフ装置への試料を注入に際して、高価な流路切り替えバルブを追加することなく、確実に注入を実施することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】試料注入バルブを並列に接続した流路を示した例である。
図2】実施例1で用いたクロマトグラフシステムの構成図である。
図3】実施例2で用いたクロマトグラフシステムの構成図である。
図4】実施例3で用いたクロマトグラフシステムの構成図である。
【実施例
【0033】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
本発明の方法を、図2に示すクロマトグラフ装置構成を用いて表1に示す流れで実施した。
【0035】
流路切り替えバルブ209を洗浄液容器211側に切り替えた状態で、シリンジポンプ210を駆動することにより、洗浄液容器211から洗浄液を吸引した。流路切り替えバルブ209を試料吸引部202側に切り替えた状態で、試料注入バルブ104AをINJ位置、試料注入バルブ104BをMID位置とし、シリンジポンプ210を駆動し洗浄液を吐出することにより、試料注入バルブ104Aに接続された流路および試料吸引部202を洗浄した。その後、試料注入バルブ104AをMID位置、試料注入バルブ104BをINJ位置とし、シリンジポンプ210を駆動し洗浄液を吐出することにより、試料注入バルブ104Bに接続された流路および試料吸引部202を洗浄した。
【0036】
次に、流路切り替えバルブ209を試料吸引部202側に切り替えた状態で、シリンジポンプ210を駆動することにより、試料注入バルブ104AをMID位置、試料注入バルブ104BをINJ位置にして、試料容器201から試料吸引部202を通じて試料を試料注入バルブ104B側の配管へ一定量吸引した。次に、試料注入バルブ104AをLOAD位置、試料注入バルブ104BをMID位置とし、試料を吸引すると、流路分岐ブロック203Aを通過した試料は、試料注入バルブ104Aの方にのみ通液し、試料注入バルブ104Aに接続されたサンプルループ105Aにて計量される。次に、試料注入バルブ104AをMID位置、試料注入バルブ104BをLOAD位置とし、試料を吸引すると、流路ブロック203Aを通過した試料は、試料注入バルブ104Bの方にのみ通液し、試料注入バルブ104Bに接続されたサンプルループ105Bにて計量される。
【0037】
サンプルループ105A、105Bにて試料の計量が完了した後、試料注入バルブ104A、104BをINJ位置とし、移動相208A、208Bをプランジャーポンプ109A、109Bにて送液することで、サンプルループ105A、105Bで計量された試料をカラム108A、108Bへ送り、測定を開始した。
【0038】
測定を開始した後に、再び流路洗浄を行い、試料を吸引するという流れを繰り返すことで、2つの試料注入バルブへの注入動作を繰り返し実施することが可能となる。
【0039】
【表1】
【0040】
(実施例2)
本発明の方法を、図3に示すクロマトグラフ装置構成を用いて表2に示す流れで実施した。
【0041】
流路切り替えバルブ309を洗浄液容器311側に切り替えた状態で、シリンジポンプ310を駆動することにより、洗浄液容器311から洗浄液を吸引した。流路切り替えバルブ309を試料吸引部302側に切り替えた状態で、試料注入バルブ104AをINJ位置、試料注入バルブ104BをMID位置とし、シリンジポンプ310を駆動し洗浄液を吐出することにより、試料注入バルブ104Aに接続された流路、および試料吸引部302を洗浄した。その後、試料注入バルブ104AをMID位置、試料注入バルブ104BをINJ位置とし、シリンジポンプ310を駆動し洗浄液を吐出することにより、試料注入バルブ104Bに接続された流路、および試料吸引部302を洗浄した。
【0042】
次に、流路切り替えバルブ309を試料吸引部302側に切り替えた状態で、シリンジポンプ310を駆動することにより、試料注入バルブ104AをMID位置、試料注入バルブ104BをINJ位置にして、試料容器301から試料吸引部302を通じて試料を試料注入バルブ104B側の配管へ一定量吸引した。次に、試料注入バルブ104AをINJ位置、試料注入バルブ104BをMID位置とし、試料を吸引すると、流路分岐ブロック303Aを通過した試料は、試料注入バルブ104Aの方にのみ通液し、試料注入バルブ104Aに接続された試料貯留配管312Aに貯留される。次に、試料注入バルブ104AをMID位置、試料注入バルブ104BをINJ位置とし、試料を吸引すると、流路ブロック303Aを通過した試料は、試料注入バルブ104Bの方にのみ通液し、試料注入バルブ104Bに接続された試料貯留配管312Bに貯留される。
【0043】
試料貯留配管312A、312Bへ試料を導入した後、試料注入バルブ104AをLOAD位置、試料注入バルブ104BをMID位置とし、シリンジポンプ310を駆動することにより試料貯留配管312Aに貯留された試料を、試料注入バルブ104Aに接続されたサンプルループ105Aに吐出することにより試料が計量される。次に、試料注入バルブ104AをMID位置、試料注入バルブ104BをLOAD位置とし、シリンジポンプ310を駆動することにより試料貯留配管312Bに貯留された試料を、試料注入バルブ104Bに接続されたサンプルループ105Bに吐出することにより試料が計量される。なお、試料吐出の際にシリンジポンプの駆動によって吐出される試料量を制御することにより、サンプルループ105A、105Bに導入する試料量を可変とすることができる。
【0044】
サンプルループ105A、105Bにて試料の計量が完了した後、試料注入バルブ104A、104BをINJ位置とし、移動相308A、308Bをプランジャーポンプ109A、109Bにて送液することで、サンプルループ105A、105Bで計量された試料をカラム108A、108Bへ送り、測定を開始した。
【0045】
測定を開始した後に、再び流路洗浄を行い、試料を吸引するという流れを繰り返すことで、2つの試料注入バルブへの注入動作を繰り返し実施することが可能となる。
【0046】
【表2】
【0047】
(実施例3)
本発明の方法を、図4に示すクロマトグラフ装置構成を用いて、表3に示す流れで2つの試料をそれぞれ別の試料注入バルブを用いて注入する例を示す。
【0048】
流路切り替えバルブ409を洗浄液容器411側に切り替えた状態で、シリンジポンプ410を駆動することにより、洗浄液容器411から洗浄液を吸引した。流路切り替えバルブ409を試料吸引部402側に切り替えた状態で、試料注入バルブ104AをINJ位置、試料注入バルブ104BをMID位置とし、シリンジポンプ410を駆動し洗浄液を吐出することにより、試料注入バルブ104Aに接続された流路、および試料吸引部402を洗浄した。その後、試料注入バルブ104AをMID位置、試料注入バルブ104BをINJ位置とし、シリンジポンプ410を駆動し洗浄液を吐出することにより、試料注入バルブ104Bに接続された流路、および試料吸引部402を洗浄した。
【0049】
次に、流路切り替えバルブ409を試料吸引部402側に切り替えた状態で、シリンジポンプ410を駆動することにより、試料注入バルブ104AをMID位置、試料注入バルブ104BをINJ位置にして、試料容器401Aから試料吸引部402を通じて試料を試料注入バルブ104B側の配管へ一定量吸引した。次に、試料注入バルブ104AをLOAD位置、試料注入バルブ104BをMID位置とし、試料を吸引すると、流路分岐ブロック403Aを通過した試料は、試料注入バルブ104Aの方にのみ通液し、試料注入バルブ104Aに接続されたサンプルループ105Aにて計量される。サンプルループ105Aで試料計量後に試料注入バルブ104AをINJ位置とし、試料容器401Aの試料の測定を開始した。
【0050】
その後、再び流路洗浄を実施し、流路切り替えバルブ409を試料吸引部402側に切り替えた状態で、シリンジポンプ410を駆動することにより、試料注入バルブ104AをINJ位置、試料注入バルブ104BをMID位置にして、試料を試料注入バルブ104A側の配管へ一定量引き込み、試料容器401Bから試料吸引部402を通じて試料を吸引した。試料注入バルブ104AをMID位置、試料注入バルブ104BをLOAD位置とし、試料を吸引すると、流路分岐ブロック403Aを通過した試料は、試料注入バルブ104Bの方にのみ通液し、試料注入バルブ104Bに接続されたサンプルループ105Bにて計量される。サンプルループ105Bで試料計量後に試料注入バルブ104BをINJ位置とし、試料容器401Bの試料の測定を開始した。
【0051】
2つの試料を測定開始した後に、再び流路洗浄を行い、試料を吸引するという流れを繰り返すことで、2つの試料注入バルブへの試料注入動作を、選択的に繰り返し実施することが可能となる。
【0052】
【表3】
【符号の説明】
【0053】
102.試料貯留部
103.試料導入部
104.試料注入バルブ
105.試料計量部
108.分析カラム
109.移動相ポンプ
201、301、401.試料容器
202、302、402.試料吸引部
203、303、403.流路分岐ブロック
208、308、408.移動相
209、309、409.流路切り替えバルブ
210、310、410.シリンジポンプ
211、311、411.洗浄液容器
312.試料貯留配管
図1
図2
図3
図4