(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、配信システム、プログラム、配信方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20220809BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G06F3/12 375
G06F3/12 305
G06F3/12 353
H04N1/00 127B
(21)【出願番号】P 2018025230
(22)【出願日】2018-02-15
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 拓也
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-288055(JP,A)
【文献】特開2016-177352(JP,A)
【文献】特開2010-003216(JP,A)
【文献】特開2006-040214(JP,A)
【文献】特開2015-118559(JP,A)
【文献】特開2001-121786(JP,A)
【文献】特開2002-157547(JP,A)
【文献】特開2006-246084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信対象のデータを受信して配信処理を実行する情報処理装置において、
前記配信対象のデータの配信先のプリンタごとに設定された印刷設定を含む配信先情報を参照し、
前記配信対象のデータの入力装置が送信した前記配信対象のデータを、前記配信先情報に設定された前記配信先のプリンタに対し、前記配信先のプリンタに対応付けられた前記印刷設定と共に配信する配信手段と、
前記配信先情報の設定を受け付け、更に、前記印刷設定の入力を受け付ける印刷設定画面を端末装置に送信する設定取得手段と、を有し、
前記印刷設定画面には、前記情報処理装置にプリンタドライバがインストールされている
複数のプリンタから前記配信先のプリンタの
選択を受け付ける選択欄があり、
前記印刷設定画面は、前記端末装置のユーザにより前記選択欄で選択された前記プリンタにおいて設定可能な値を表示し、
前記印刷設定画面は、前記プリンタにおいて設定可能な値と共に前記選択欄で選択された前記プリンタを配信先とするか否かを受け付けるチェックボックスを有し、
2つ以上の前記配信先のプリンタのそれぞれで異なる前記印刷設定を受け付け、前記配信先情報に設定し、
前記配信手段は、1回のワークフローで、
前記チェックボックスがチェックされた2つ以上の前記配信先のプリンタに異なる前記印刷設定を配信することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
複数の前記配信先情報を記憶手段に記憶しており、
第一の配信先情報に含まれる前記配信先のプリンタと、前記第一の配信先情報とは異なる第二の配信先情報に含まれる前記配信先のプリンタが同じものでも、
前記第一の配信先情報に含まれる前記配信先のプリンタに対応付けられた前記印刷設定と、前記第二の配信先情報に含まれる前記配信先のプリンタに対応付けられた前記印刷設定とが異なっていることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
1つの前記配信先情報に異なる前記配信先のプリンタが設定されており、
第一の配信先のプリンタに対応付けられた前記印刷設定と、前記第一の配信先のプリンタとは異なる第二の配信先のプリンタに対応付けられた前記印刷設定とが異なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記印刷設定画面には前記配信先のプリンタの選択欄があり、
前記印刷設定画面は、前記端末装置のユーザにより前記選択欄で選択された前記プリンタにおいて設定可能な値を表示することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設定取得手段は、前記情報処理装置に予め登録されている前記配信先のプリンタのプリンタドライバから前記配信先のプリンタにおいて設定可能な値を取得することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記印刷設定画面は、前記端末装置のユーザにより選択できない前記印刷設定の項目を、選択できる前記印刷設定の項目よりも小さい輝度で表示することを特徴とする請求項4又は5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記印刷設定画面は、印刷部数、用紙サイズ、カラー/白黒、又は、片面/両面、の少なくとも1つの前記印刷設定の項目を表示し、
前記設定取得手段は、前記配信先のプリンタごとに、前記印刷設定の各項目の設定を受け付けることを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
配信対象のデータの入力を受け付ける入力装置と、前記配信対象のデータを受信して配信処理を実行する情報処理装置と、を有する配信システムであって、
前記入力装置は、前記配信対象のデータを前記情報処理装置に送信する送信手段を有し、
前記情報処理装置は、
前記配信対象のデータの配信先のプリンタごとに設定された印刷設定を含む配信先情報を参照し、
前記入力装置が送信した前記配信対象のデータを、前記配信先情報に設定された前記配信先のプリンタに対し、前記配信先のプリンタに対応付けられた前記印刷設定と共に配信する配信手段と、
前記配信先情報の設定を受け付け、更に、前記印刷設定の入力を受け付ける印刷設定画面を端末装置に送信する設定取得手段と、を有し、
前記印刷設定画面には、前記情報処理装置にプリンタドライバがインストールされている
複数のプリンタから前記配信先のプリンタの
選択を受け付ける選択欄があり、
前記印刷設定画面は、前記端末装置のユーザにより前記選択欄で選択された前記プリンタにおいて設定可能な値を表示し、
前記印刷設定画面は、前記プリンタにおいて設定可能な値と共に前記選択欄で選択された前記プリンタを配信先とするか否かを受け付けるチェックボックスを有し、
2つ以上の前記配信先のプリンタのそれぞれで異なる前記印刷設定を受け付け、前記配信先情報に設定し、
前記配信手段は、1回のワークフローで、
前記チェックボックスがチェックされた2つ以上の前記配信先のプリンタに異なる前記印刷設定を配信することを特徴とする配信システム。
【請求項9】
配信対象のデータを受信して配信処理を実行する情報処理装置を、
前記配信対象のデータの配信先のプリンタごとに設定された印刷設定を含む配信先情報を参照し、
前記配信対象のデータの入力装置が送信した前記配信対象のデータを、前記配信先情報に設定された前記配信先のプリンタに対し、前記配信先のプリンタに対応付けられた前記印刷設定と共に配信する配信手段と、
前記配信先情報の設定を受け付け、更に、前記印刷設定の入力を受け付ける印刷設定画面を端末装置に送信する設定取得手段、として機能させ、
前記印刷設定画面には、前記情報処理装置にプリンタドライバがインストールされている
複数のプリンタから前記配信先のプリンタの
選択を受け付ける選択欄があり、
前記印刷設定画面は、前記端末装置のユーザにより前記選択欄で選択された前記プリンタにおいて設定可能な値を表示し、
前記印刷設定画面は、前記プリンタにおいて設定可能な値と共に前記選択欄で選択された前記プリンタを配信先とするか否かを受け付けるチェックボックスを有し、
2つ以上の前記配信先のプリンタのそれぞれで異なる前記印刷設定を受け付け、前記配信先情報に設定し、
前記配信手段は、1回のワークフローで、
前記チェックボックスがチェックされた2つ以上の前記配信先のプリンタに異なる前記印刷設定を配信することを特徴とするプログラム。
【請求項10】
配信対象のデータを受信して配信処理を実行する情報処理装置が行う配信方法であって、
配信手段が、前記配信対象のデータの配信先のプリンタごとに設定された印刷設定を含む配信先情報を参照し、
前記配信対象のデータの入力装置が送信した前記配信対象のデータを、前記配信先情報に設定された前記配信先のプリンタに対し、前記配信先のプリンタに対応付けられた前記印刷設定と共に配信するステップと、
前記配信先情報の設定を受け付け、更に、前記印刷設定の入力を受け付ける印刷設定画面を端末装置に送信するステップと、を有し、
前記印刷設定画面には、前記情報処理装置にプリンタドライバがインストールされている
複数のプリンタから前記配信先のプリンタの
選択を受け付ける選択欄があり、
前記印刷設定画面は、前記端末装置のユーザにより前記選択欄で選択された前記プリンタにおいて設定可能な値を表示し、
前記印刷設定画面は、前記プリンタにおいて設定可能な値と共に前記選択欄で選択された前記プリンタを配信先とするか否かを受け付けるチェックボックスを有し、
2つ以上の前記配信先のプリンタのそれぞれで異なる前記印刷設定を受け付け、前記配信先情報に設定し、
前記配信手段は、1回のワークフローで、
前記チェックボックスがチェックされた2つ以上の前記配信先のプリンタに異なる前記印刷設定を配信することを特徴とする配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、配信システム、プログラム、及び、配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機のスキャナ機能又はファクス受信機能で入力された画像データに対し1つ以上の処理を行うシステムが知られている。このようなシステムでは決まった手順で画像データに対し一連の処理が行われるためシステムが行う処理をワークフローと呼ぶ場合も多い。例えば、複合機が原稿をスキャンして得た画像データにOCR(Optical Character Reader)を施してPDFに変換し、電子メールで送信したり、フォルダに配信したりする。また、ワークフローでは最終的に電子データ(文書)が配信されるため、ワークフローを実行するシステムが配信システムと呼ばれる場合がある。
【0003】
配信システムで文書の配信先としてプリンタが指定される場合がある。このような文書配信を印刷配信と呼ぶ。印刷配信は、スキャナ機能又はファクス受信機能で取得された画像データを、ワークフローの処理を定義するワークフロー定義に記載されたプリンタに配信して印刷する配信方法である。これにより、例えば、ファクスを受信した複合機がワークフローを開始して、部署ごとに設置されたプリンタから印刷する(出力する)というプリンタの高度な活用が可能になる。
【0004】
また、ワークフローでは時刻を指定して印刷する処理も可能である(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、複合機がスキャンした画像データをプリンタに配信する場合に、ユーザに配信時刻を指定させて、指定された配信時間帯に文書を印刷する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、配信対象のプリンタが複数ある場合に、プリンタごとの印刷設定をどのように行うかについて考慮されていないという問題がある。このため、従来は、例えば何枚印刷するかといった設定を管理者等がワークフロー定義に設定できず、ワークフローが実行された際に複数のプリンタが同じ部数を印刷しなければならなかった。
【0006】
本発明は、配信対象のプリンタごとに印刷設定が可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、配信対象のデータを受信して配信処理を実行する情報処理装置において、前記配信対象のデータの配信先のプリンタごとに設定された印刷設定を含む配信先情報を参照し、前記配信対象のデータの入力装置が送信した前記配信対象のデータを、前記配信先情報に設定された前記配信先のプリンタに対し、前記配信先のプリンタに対応付けられた前記印刷設定と共に配信する配信手段と、前記配信先情報の設定を受け付け、更に、前記印刷設定の入力を受け付ける印刷設定画面を端末装置に送信する設定取得手段と、を有し、前記印刷設定画面には、前記情報処理装置にプリンタドライバがインストールされている複数のプリンタから前記配信先のプリンタの選択を受け付ける選択欄があり、前記印刷設定画面は、前記端末装置のユーザにより前記選択欄で選択された前記プリンタにおいて設定可能な値を表示し、前記印刷設定画面は、前記プリンタにおいて設定可能な値と共に前記選択欄で選択された前記プリンタを配信先とするか否かを受け付けるチェックボックスを有し、2つ以上の前記配信先のプリンタのそれぞれで異なる前記印刷設定を受け付け、前記配信先情報に設定し、前記配信手段は、1回のワークフローで、前記チェックボックスがチェックされた2つ以上の前記配信先のプリンタに異なる前記印刷設定を配信する。
【発明の効果】
【0008】
配信対象のプリンタごとに印刷設定が可能な情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の配信システムの概略的な動作を説明する図の一例である。
【
図2】配信サーバの概略的なハードウェア構成図の一例である。
【
図3】入力装置の概略的なハードウェア構成を示したブロック図の一例である。
【
図4】配信システムの機能と構成例を示す図である。
【
図5】ワークフロー定義の新規作成時における設定画面の一例を示す図である。
【
図8】カラー印刷をサポートしていない配信先プリンタが選択された際の印刷設定画面の一例を示す図である。
【
図9】設定部が印刷設定を受け付ける手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図10】ワークフローAにおける印刷設定画面の一例を示す図である。
【
図11】ワークフローBにおける印刷設定画面の一例を示す図である。
【
図12】印刷設定が登録された設定ファイルが保存されるフォルダを説明する図の一例である。
【
図13】配信システムが印刷配信する手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図14】配信システムが印刷配信する手順を示すフローチャート図の一例である。
【
図15】配信システムの機能と構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、配信サーバと配信サーバが行う配信方法について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【0011】
<配信システムの概略>
図1は、本実施形態の配信システム100の概略的な動作を説明する図の一例である。配信システム100は、入力装置10、配信サーバ30、1台以上の配信先プリンタ50、及び、管理者PC70(Personal Computer)を有する。管理者PC70は配信システム100に常時、接続されている必要はなく、ワークフロー定義が登録される際に接続されていればよい。ワークフロー定義とは、ワークフローの処理の内容が定義された定義情報である。
(1)予め、管理者8は管理者PC70を操作してワークフロー定義を配信サーバ30に登録する。このワークフロー定義には配信先プリンタ50ごとに印刷部数などの印刷設定が記載されている。
図1では配信先プリンタ50として3つのプリンタ1~3が示されている。
(2)入力装置10のユーザ9は配信サーバ30から取得したワークフロー定義のリストからワークフロー定義を選択してワークフローを開始する。
(3)入力装置10は例えばスキャナ機能で生成した画像データを配信サーバ30に送信する。
(4)配信サーバ30は画像データにワークフロー定義で決まった処理を行い、ワークフロー定義に設定された複数のプリンタ1~3にそれぞれ画像データを送信する。
【0012】
本実施形態では、(4)で複数の配信先プリンタ50にそれぞれに配信される画像データに別々の印刷設定が添付されている。これは、管理者8がワークフローを定義する設定画面(後述する印刷設定画面501)では、配信先プリンタ50であるプリンタ1~3のそれぞれを選択できるようになっており、管理者8はプリンタ1~3ごとに印刷設定することが可能であるので、プリンタ1~3ごとに異なる印刷設定を行うことができるためである。
【0013】
このように、本実施形態では、管理者PC70が画像データの配信先プリンタ50ごとの印刷設定画面501を表示することにより、配信先プリンタ50に対して個別の印刷設定を適用できる。
【0014】
<用語について>
配信対象のデータとは、配信システム100が配信するデータをいう。データは配信の対象となればよい。本実施形態では主にプリンタに配信されるデータが配信対象となる。例えば、画像データが配信されるが、配信後にプリンタで画像データに変換されてもよい。
【0015】
印刷設定とは印刷に関する各種の設定である。印刷物に影響する設定であれば含まれ得る。本実施形態では、部数、用紙サイズ、カラー/白黒、及び、片面/両面が例として説明されるが、この他、集約、製本、印刷方向、余白サイズ、縮小/拡大、地紋、及び、印刷品質なども含まれる。
【0016】
配信先情報は配信対象のデータの配信先を含む情報である。配信先の他、配信前に行われる処理に関する情報を含んでもよい。本実施形態ではワークフロー定義という用語で説明される。
【0017】
配信とは、情報を配り送ることをいう。本実施形態では送信、配送、送達、という用語で置き換えられてもよい。
【0018】
配信先のプリンタは画像を形成する装置であれば、プリンタと呼ばれている必要はない。例えば、印刷装置、画像形成装置、プリンタの機能を含む複合機などの機器が含まれる。
【0019】
<ハードウェア構成>
<<配信サーバ>>
図2は、配信サーバ30の概略的なハードウェア構成図の一例である。配信サーバ30は、CPU201と、CPU201が使用するデータの高速アクセスを可能とするメモリ202とを備える。CPU201及びメモリ202は、システム・バス203を介して、配信サーバ30の例えば、グラフィックス・ドライバ204及びネットワーク・ドライバ(NIC)205へと接続されている。
【0020】
グラフィックス・ドライバ204は、バスを介してLCD(ディスプレイ装置)206に接続されて、CPU201による処理結果をモニタする。また、ネットワーク・ドライバ205は、トランスポート層レベル及び物理層レベルで配信サーバ30をネットワークNへと接続して、入力装置10、配信先プリンタ50、及び、管理者PC70とのセッションを確立させている。
【0021】
システム・バス203には、更にI/Oバス・ブリッジ207が接続されている。I/Oバス・ブリッジ207の下流側には、PCIなどのI/Oバス208を介して、IDE、ATA、ATAPI、シリアルATA、SCSI、USBなどにより、HDD(ハードディスクドライブ)209などの記憶装置が接続されている。HDD209は配信サーバ30の全体を制御するプログラム209pを記憶している。HDD209はSSD(Solid State Drive)でもよい。
【0022】
また、I/Oバス208には、USBなどのバスを介して、キーボード及びマウス(ポインティング・デバイスと呼ばれる)などの入力部210が接続され、システム管理者などのオペレータによる入力及び指令を受け付けている。
【0023】
なお、図示した配信サーバ30のハードウェア構成は、1つの筐体に収納されていたりひとまとまりの装置として備えられていたりする必要はなく、配信サーバ30が備えていることが好ましいハード的な要素を示す。また、クラウドコンピューティングに対応するため、本実施例の配信サーバ30の物理的な構成は固定的でなくてもよく、負荷に応じてハード的なリソースが動的に接続・切断されることで構成されてよい。
【0024】
また、管理者PC70のハードウェア構成は、
図2の配信サーバ30と相違がないか又は相違があるとしても本実施形態の説明上、支障がないものとする。
【0025】
<<入力装置>>
図3は、入力装置10の概略的なハードウェア構成を示したブロック図の一例である。入力装置10は、コントローラ410にPCI(Peripheral Component Interface)バス416を介して周辺機器が接続された構成となる。
【0026】
コントローラ410は、入力装置10全体の制御と描画、通信、操作パネル411からの入力を制御するコントローラである。コントローラ410は、CPU401と、ノースブリッジ(NB)403と、システムメモリ(MEM-P)402と、サウスブリッジ(SB)404と、ローカルメモリ(MEM-C)407と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)406と、ハードディスクドライブ(HDD)408とを有し、ノースブリッジ(NB)403とASIC406との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス405で接続した構成となる。
【0027】
また、MEM-402は、ROM(Read Only Memory)402aと、RAM(Random Access Memory)402bと、を更に有する。
【0028】
CPU401は、入力装置10の全体制御を行うものであり、NB403、MEM-P402及びSB404からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0029】
NB403は、CPU401とMEM-P402、SB404、AGPバス405とを接続するためのブリッジであり、MEM-P402に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0030】
MEM-P402は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM402aとRAM402bとからなる。
【0031】
ROM402aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM402bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込み及び読み出し可能なメモリである。
【0032】
SB404は、NB403とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB404は、PCIバスを介してNB403と接続されており、このPCIバスには、ネットワークI/F409なども接続される。ASIC406は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス405、PCIバス416、HDD408及びMEM-C407をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
【0033】
このASIC406は、PCIターゲット及びAGPマスタと、ASIC406の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM-C407を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部415との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットとを有する。
【0034】
ネットワークI/F409はネットワークNを介して配信サーバ30等と通信するための通信装置であり、例えばNIC(Network Interface Card)である。
【0035】
このASIC406には、PCIバスを介して操作パネル411、FCU(Facsimile Control Unit)412、USB(Universal Serial Bus)413、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース414、及び、エンジン部415が接続される。
【0036】
エンジン部415は、PCIバス416に接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナ又はファックスユニットなどである。なお、このエンジン部415には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0037】
操作パネル411はASIC406に直接接続されている。MEM-C407は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリである。HDD408は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0038】
また、HDD408は、入力装置10で実行されるプログラム408pを記憶する。AGPバス405は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM-P402に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0039】
なお、図示する入力装置10のハードウェア構成図は一例に過ぎず、例えば操作パネルをタブレット端末などの情報処理装置で実現した入力装置10等もあり、ハードウェア構成は入力装置10によって異なってよい。
【0040】
また、
図3のハードウェア構成は
図4で説明する複合機10A又はファクス機10Bのいずれについても対応する。入力装置10は複合機10Aに固有の構成のみを有していてもよいし、ファクス機10Bに固有の構成のみを有していてもよい。
【0041】
また、配信先プリンタ50のハードウェア構成は
図3と同様であるか、又は、異なっているとしても本実施形態の説明においては支障がないものとする。
【0042】
<構成例>
図4は、本実施形態の配信システム100の機能と構成例を示す図である。配信システム100は、入力装置10、配信サーバ30、配信先プリンタ50、及び、管理者PC70を有している。
【0043】
まず、入力装置10は、画像データの入力を受け付ける装置である。
図4では一例として、複合機10Aとファクス機10Bが図示されている。複合機10Aはスキャナ機能により原稿を光学的に読み取って画像データ(以下、スキャンデータという)を生成する。ファクス機10Bは、送信元から画像データ(以下、ファクスデータという)を受信する。
【0044】
複合機10Aの「複合」とは、プリント、ファクス送受信、原稿のスキャン、及び、コピーなどの複数の機能を有することを意味するが、本実施形態では複合機10Aが複数の機能を有することは必要でなく、スキャナの機能を有していればよい。したがって、複合機10Aはスキャナ装置でもよい。また、スキャナ機能を有する、プリンタ、印刷装置、複写機、ファクス機、コピー機などでもよい。また、複合機10Aは、MFP(Multi-Function Peripheral)、又はAIO(All In One)などと呼ばれていてもよい。
【0045】
ファクス機10Bは、少なくともファクスの受信機能を有し、好ましくはファクスの送信機能も有する。ファクス機10Bはファクス送信機7からファクスを受信する。ただし、ファクスの受信機能と共に他の機能を有し、そのために、複合機、スキャナ装置、プリンタ、印刷装置、複写機、コピー機などと呼ばれていてもよい。したがって、
図4の複合機10Aとファクス機10Bには明確な区別はなく、複合機10Aとファクス機10Bのどちらかのみが存在し、スキャンデータとファクスデータの入力を受け持ってもよい。
【0046】
更に、入力装置10は、画像データを生成する機能を有する装置であればよく、カメラ、電子黒板(手書きされたストロークやPC画面を取り込んで画像データを生成する)、テレビ会議端末、又は、画像データを記憶している記憶媒体などでもよい。電子黒板は少なくともタッチパネルを有しておりユーザが描いた手書き内容を点の座標として取り込んで大型のディスプレイに表示する。この他、PCと接続されPCが表示する画面を電子黒板が表示する機能、電子黒板が表示するPCの画面と手書き内容を保存する機能、手書き内容を遠隔地にある他の電子黒板と共有する機能などを有している。
【0047】
複合機10Aとファクス機10Bは通信部11を有している。通信部11は配信サーバ30に画像データ(スキャンデータ又はファクスデータ)を送信する。
【0048】
配信サーバ30は、ワークフロー定義の設定を受け付け、更に、ワークフローを実行する情報処理装置である。ワークフロー定義の設定を受けるサーバと、ワークフローを実行するサーバが別々でもよい。ワークフローの実行とはワークフロー定義にしたがって配信サーバ30が1つ以上の処理を行うことであり、最終的には処理が施された画像データを配信することをいう。
【0049】
配信サーバ30は、フォルダ配信部31、印刷配信部32、メール配信部35、及び通信部36を有する。配信サーバ30が有するこれらの機能は、
図2に示したHDD209からメモリ202に展開されたプログラム209pをCPU201が実行することにより実現されている機能又は手段である。なお、このプログラム209pは、プログラム配信用のサーバから配信されてもよいし、USBメモリや光記憶媒体などの可搬性の記憶媒体に記憶された状態で配布されてもよい。
【0050】
管理者8は管理者PC70を操作して管理者PC70を配信サーバ30にアクセスさせて、管理者PC70で動作するブラウザ上でワークフロー定義を作成する(文書配信の設定を行う)。配信サーバ30はWebサーバの機能を有し、HTML、JavaScript(登録商標)、及び、CSS(Cascade Style Sheet)で作成された設定画面の画面情報を管理者PC70に送信する。管理者8はこの設定画面からワークフロー定義を設定する。設定画面の一例については
図5などで説明する。
【0051】
通信部36は、管理者PC70、入力装置10及び配信先プリンタ50との間で各種の情報を送受信する。上記のように、管理者PC70に画面情報を送信し、管理者PC70からワークフロー定義及びこれに含まれる印刷設定を取得する。
【0052】
フォルダ配信部31は、管理者8によって設定されたワークフロー定義にしたがってスキャンデータ又はファクスデータをフォルダに配信する。例えば、ワークフロー定義に設定されたユーザ又はコンピュータのフォルダが配信先である。メール配信部35は管理者8によって設定されたワークフロー定義にしたがってスキャンデータ又はファクスデータを電子メールで宛先のユーザに配信する。
【0053】
印刷配信部32は、管理者8によって設定されたワークフロー定義にしたがってスキャンデータ又はファクスデータを配信先プリンタ50に配信する。また、印刷配信部32は管理者PC70から印刷設定を取得して設定ファイルを作成する設定部33と、設定された印刷設定(設定ファイル)に基づいて配信先プリンタ50にスキャンデータ又はファクスデータを配信する配信部34を有する。
【0054】
なお、プリンタドライバは、印刷設定を受け付けるUI部と、文書データをPDL(Page Description Language)で記述された印刷データに変換する描画部と有する。UI部には当該プリンタで設定可能な印刷設定の項目、初期値、及び各項目が取りうる範囲、が予め設定されている。
【0055】
より詳細には、設定部33は、配信先プリンタ50が受付可能な印刷設定の項目を配信サーバ30にインストールされている配信先プリンタ50のプリンタドライバから取得し、その印刷設定の項目を有する設定画面を管理者PC70に送信する。すなわち、Webサーバとして印刷設定を受け付ける。設定画面で設定又は変更された内容はワークフロー定義の一部として設定ファイルに記載される。
【0056】
なお、配信サーバ30は画像データを処理する機能(プラグイン)も有しており、例えばOCR処理,PDF作成等を行うことができる。これらの処理は、1つの処理に1つずつ対応するプラグインと呼ばれるプログラムにより実現されている。
【0057】
配信部34は、ワークフロー定義に印刷配信が設定されているために印刷配信部32が呼び出された際、設定部33で設定された設定ファイルにしたがって配信先プリンタ50に印刷設定と共にスキャンデータ又はファクスデータを配信する。
【0058】
配信サーバ30は、
図2に示したメモリ202又はHDD209により実現されるワークフロー定義記憶部38を有する。管理者8が設定したワークフロー定義は設定ファイルと共にワークフロー定義記憶部38に記憶される。
【0059】
管理者PC70は管理者8が操作する端末装置(情報処理装置)である。管理者PC70は通信部71,表示制御部72及び操作受付部73を有する。管理者PC70が有するこれらの機能は、
図2に示したHDD209からメモリ202に展開されたプログラム209pをCPU201が実行することにより実現されている機能又は手段である。なお、このプログラム209pは、プログラム配信用のサーバから配信されてもよいし、USBメモリや光記憶媒体などの可搬性の記憶媒体に記憶された状態で配布されてもよい。プログラム209pは例えばブラウザが想定されるが、ワークフロー定義の設定が可能なアプリケーションでもよい。
【0060】
通信部71は配信サーバ30と各種の情報を送受信する。例えば、配信サーバ30からワークフロー定義の設定画面を受信し、管理者8が設定した印刷設定に関する設定ファイルを含むワークフロー定義を配信サーバに送信する。
【0061】
表示制御部72は、管理者PC70のLCD206に設定画面を表示する。操作受付部73は管理者8による管理者PC70に対する各種の操作を受け付ける。
【0062】
配信先プリンタ50は印刷配信において、スキャンデータ又はファクスデータの配信先となるプリンタである。つまり、配信先プリンタ50は印刷配信においてスキャンデータ又はファクスデータを印刷する(出力する)装置である。
図4では一例として、複合機50Aとプリンタ50Bが示されているが、配信先プリンタ50は印刷機能を有する装置であればよい。したがって、画像形成装置、印刷装置、複写機、ファクス機、コピー機、複合機、などと呼ばれる装置であってもよい。
【0063】
なお、
図4では、配信先プリンタ50のみが記載されているが、フォルダ配信部31の配信先はPCやサーバなどであり、メール配信部35の配信先はメールサーバである。
【0064】
また、
図4では説明のため2つのネットワークNが図示されているが、一般にネットワークは相互に接続されており、図示するように2つのネットワークNに分かれていなくてもよい。1つのネットワークNに入力装置10、配信サーバ30、及び、配信先プリンタ50が接続されていてもよい。ネットワークNは、LAN、LANをインターネットに接続するプロバイダのプロバイダネットワーク、及び、回線事業者が提供する回線等により構築されている。ネットワークNが複数のLANを有する場合、ネットワークはWANやインターネットと呼ばれる。ネットワークNは有線又は無線のどちらで構築されてもよく、また、有線と無線が組み合わされていてもよい。また、入力装置10又は配信先プリンタ50が3G、LTE(Long Term Evolution)、4Gなどの携帯電話網に接続する機能を有する場合、LANはなくてもよくネットワークNは携帯電話網とプロバイダネットワークである。
【0065】
<設定画面の一例>
図5は、ワークフロー定義の新規作成時における設定画面310の一例を示す図である。管理者PC70は配信サーバ30と通信してLCD206に設定画面310を表示する。設定画面310は、追加可能なプラグイン(プログラム)のリストが表示されるプラグインリスト欄301と、ワークフロー定義欄302を有する。プラグインリスト欄301には、配信サーバ30が実行可能な全てのプラグインを示すアイコン94(94-1~94-6)が表示される。プラグインは、管理者8又はユーザ9からみた処理の最小単位であり実際にはプログラムである。
【0066】
図5に示すように、ワークフローの新規作成時のワークフロー定義欄302には、スタートマーク91のみを含む流れ
図90が表示される。管理者PC70、管理者8が、スタートマーク91のみを含む流れ
図90にアイコン94を追加することに応じて、ワークフローに対して新たなプラグインの実行を追加してワークフロー定義を作成する。このように、管理者PC70のLCD206上で管理者8はアイコンを移動することでワークフロー定義を新規に作成することができる。
【0067】
図6は、ワークフロー定義の一例を示す図である。配信サーバ30は、入力装置10が入力したスキャンデータ又はファクスデータに、例えば、
図6に示されるようなワークフロー定義にしたがって、プラグインを実行させる。
【0068】
図6のワークフロー定義によれば、配信サーバ30は、スキャンデータ又はファクスデータを受信すると、例えば、第1の処理として、OCR処理するプラグインを実行する。OCR処理は画像データから記号(文字、数字、アルファベット、特殊記号など)を認識してテキストデータを作成する。
【0069】
続いて、第2の処理として、配信サーバ30はOCR処理されたスキャンデータ又はファクスデータをPDFファイルに変換する。例えば、OCRで得られた記号を透明のテキストデータにしたPDFファイルを作成する。
【0070】
続いて、第3、第4の処理として、配信サーバ30は、配信部34の機能である印刷配信を実行する。例えば、第3の処理は複合機50Aに配信する処理であり、第4の処理はプリンタ50Bに配信する処理である。しかしながら、設定画面310で印刷配信のプラグインがワークフロー定義欄302にドラッグされた時点では、実際の配信先として複合機50A又はプリンタ50Bが選択されておらず、初期設定の配信先プリンタ50(複合機50A又はプリンタ50Bのどちらか)が設定されている。また、印刷配信のプラグインがワークフロー定義欄302にドラッグされた時点では、初期設定の印刷設定が有効になっている。
【0071】
そこで、印刷設定のプラグインを管理者8がダブルクリック等すると、管理者PC70は当該プラグインの詳細を設定する印刷設定画面501を表示する。なお、他のプラグインについても管理者8は詳細な条件を設定できる。
【0072】
図7は、印刷設定画面501の一例を示す。設定部33は配信先の複合機50A又はプリンタ50Bのプリンタドライバから印刷設定の項目、初期設定及び設定可能な値を読み込み、画面情報を管理者PC70に送信する。
【0073】
印刷設定画面501は、プリンタ名欄502、部数欄503、用紙サイズ欄504、カラー/白黒欄505、片面/両面欄506、及び、チェックボックス507を有する。印刷設定画面501は配信先プリンタ50ごとに異なり得るので、管理者8は、配信先プリンタ50ごとに、印刷部数、カラー/モノクロの指定、用紙サイズの指定、及び、片面/両面の設定をこの印刷設定画面501上で行うことができる。
【0074】
プリンタ名欄502には、配信先プリンタ50の選択欄であり、配信サーバ30にプリンタドライバがインストールされている配信先プリンタ50の名称(
図7ではプリンタ1~3)が表示される。つまり、配信サーバ30がスキャンデータ又はファクスデータを配信できる配信先プリンタ50の一覧が表示される。したがって、印刷設定画面501で表示される印刷設定の項目、初期値、又は設定可能な値は、各配信先プリンタ50の能力に応じたプリンタ固有のものである。
【0075】
つまり、例えばカラー印刷はできず、白黒印刷しかできない配信先プリンタ50を管理者8が選択した場合の印刷設定画面501では、カラー/白黒欄505に「白黒」しか表示されない。同様に、A3以上の用紙サイズの印刷をサポートしていない配信先プリンタ50を管理者8が選択した場合の印刷設定画面501では、用紙サイズ欄504のドロップダウンリストにはA3以上のサイズが候補として表示されない。
【0076】
例えば、
図8はカラー印刷をサポートしていない配信先プリンタ50が選択された際の印刷設定画面501の一例を示す。カラー印刷をサポートしていない配信先プリンタ50が選択された場合、カラー/白黒欄505の選択肢は「カラー」が半輝度(選択できない)状態になっており、「白黒」が選択状態で表示される。「カラー」が半輝度(選択できない)なため、管理者8はカラー/白黒欄505で項目「カラー」を選択できない。なお、「カラー」の輝度は、「白黒」よりも小さければよい。
【0077】
管理者8は選択した配信先プリンタ50を配信先にしたい場合、項目「印刷配信する」のチェックボックス507にチェックを入れる。このようにすることで、配信サーバ30は印刷配信時にチェックボックス507がチェックされた配信先プリンタ50に対して配信を実行する。
【0078】
従来の印刷配信では印刷配信の対象のプリンタごとに印刷設定を行うことができなかったが、本実施形態の配信システム100では配信先プリンタ50ごとに印刷設定を行うことができる。
【0079】
<動作手順>
図9は、設定部33が印刷設定を受け付ける手順を示すフローチャート図の一例である。
図9の処理は、管理者PC70が印刷設定画面501を配信サーバ30に要求するとスタートする。
【0080】
まず、配信サーバ30の設定部33は配信先プリンタ50が存在するか否かを確認する(S101)。候補となる配信先プリンタ50のIPアドレス等が配信サーバ30に予め登録されており、設定部33は候補となる配信先プリンタ50と通信できるか否かにより存在を確認する。あるいは、候補となる配信先プリンタ50のリストの有無を確認してもよい。
【0081】
候補となる配信先プリンタ50が1台も存在しない場合(S101のNo)、
図9の処理は終了する。候補となる配信先プリンタ50が1台以上存在する場合(S101のYes)、設定部33はその台数分だけ配信先プリンタ50からプリンタドライバの設定に関する情報として印刷設定の項目、初期設定及び設定可能な値を取得する(S102)。プリンタドライバの設定に関する情報は予め配信サーバ30が保持していてもよい。
【0082】
設定部33は、全ての配信先プリンタ50からプリンタドライバの印刷設定の項目、初期設定及び設定可能を取得したか否かを判断し(S103)、全ての配信先プリンタ50からこれらを取得するまでステップS102とS103を繰り返す。
【0083】
次に、設定部33は、プリンタドライバの印刷設定の項目、初期設定及び設定可能な値を配信先プリンタ50ごとに表示する画面情報を作成し、管理者PC70に送信する。管理者PC70は
図7,
図8のような印刷設定画面501をLCD206に表示する(S104)。
【0084】
管理者8は任意の配信先プリンタ50を1つ以上選択し、それぞれにおいて印刷部数や用紙サイズ等を設定する。管理者PC70の操作受付部73は印刷設定を受け付ける(S105)。
【0085】
設定が完了したら、管理者8は画面上の保存ボタンを押下する。管理者PC70の操作受付部73は保存ボタンの押下を受け付ける(S106)。管理者PC70の通信部71は印刷設定を配信サーバ30に送信するので、配信サーバ30の通信部36は印刷設定を受信し、設定部33は印刷設定を設定ファイルに保存する(S107)。
【0086】
ユーザ9がこのワークフロー定義を実施すると、配信先プリンタ50に設定ファイルが送信され、配信先プリンタ50は設定ファイルを参照する。したがって、設定ファイルに指定された内容で印刷が実行される。
【0087】
設定ファイルにはワークフロー定義に設定されている印刷配信ごとにどのような設定を有するか記載されている。例えば、印刷配信の場合、どの配信先プリンタ50に対してどのような印刷設定で印刷配信を行うかが記載される。この設定ファイルは印刷配信ごとに存在する。以下では、設定ファイルの具体例について説明する。
【0088】
<設定ファイルの例>
具体的な例として以下の場合を挙げる。
・管理者8は印刷配信を有するワークフローを2つ作成する。ワークフロー名をワークフローA(第一の配信先情報の一例)、ワークフローB(第二の配信先情報の一例)とする。
・それぞれのワークフローA,Bにおいて、印刷部数、カラー/白黒の指定などの印刷設定が異なるものとする。
【0089】
図10はワークフローAにおける印刷設定画面501の一例を示し、
図11はワークフローBにおける印刷設定画面501の一例を示す。
I.ワークフローAの印刷配信では以下の内容が設定されている
プリンタ1に対して印刷配信を実行する。
「プリンタ1の印刷設定」
・カラー印刷かつ両面印刷
・A4印刷
・印刷部数: 3部
II.ワークフローBの印刷配信では以下の内容が設定されている
プリンタ1とプリンタ2に対してそれぞれ印刷配信を実行する。プリンタ1は第一の配信先の一例であり、プリンタ2は第二の配信先の一例である。
「プリンタ1の印刷設定」(
図11(a)参照)
・白黒印刷かつ片面印刷
・B5印刷
・印刷部数: 10部
「プリンタ2の印刷設定」(
図11(b)参照)
・カラー印刷かつ片面印刷
・A3印刷
・印刷部数: 5部
図10,
図11について補足する。ワークフローAとBで同じ配信先プリンタ50である「プリンタ1」に対して印刷設定が行われているが、それによって印刷設定が上書きされたり、どちらかの印刷設定が反映されたりしないということはない。管理者8がワークフロー定義の保存を配信サーバ30に要求すると、配信サーバ30はワークフローごとにフォルダを作成する。このフォルダの全体に含まれる情報がワークフロー定義であり、設定ファイルはその一部である。フォルダの中に設定ファイルが格納されるため、異なるワークフローで同一の配信先プリンタ50に対して異なる印刷設定が行われたとしても、それぞれの設定ファイルは別の場所(フォルダ)に格納されるため、印刷設定が上書きされてしまうということはない。
【0090】
図12は、印刷設定が登録された設定ファイルが保存されるフォルダを説明する図の一例である。
図12(a)はワークフローAのワークフロー定義が格納されるフォルダ601を示し、
図12(b)はワークフローBのワークフロー定義が格納されるフォルダ601を示す。フォルダ601はワークフロー定義記憶部38に形成されている。
【0091】
ワークフローAの印刷設定603AはワークフローAのフォルダ601内に保存されている設定ファイル602に記載される。その中に
図10に示した印刷配信の印刷設定が含まれる。ワークフローBの印刷設定603B,603CはワークフローBのフォルダ601内に保存されている設定ファイル602に記載される。その中に
図11に示す印刷配信の印刷設定が記載される。
【0092】
<印刷配信の動作>
図13は、配信システム100が印刷配信する手順を示すフローチャート図の一例である。
図13の処理は、ユーザ9が複合機10Aに配信サーバ30からワークフロー定義のリストをダウンロードし、1つのワークフロー定義を選択し実行開始を押下することでスタートする。
【0093】
まず、ユーザ9が複合機10Aを操作して原稿をスキャンさせる。複合機10Aはスキャンを実行してスキャンデータ(画像データ)を生成する(S201)。複合機10Aの通信部11はワークフロー定義の識別情報又はワークフロー定義そのものと、スキャンデータはネットワークNを介して配信サーバ30に送信する。
【0094】
配信サーバ30はスキャンデータを受信し、ユーザ9が選択したワークフロー定義が有する処理を順番に実行する(S202)。
【0095】
次に、配信サーバ30の配信部34はユーザ9が選択したワークフロー定義が印刷配信を有するか否かを判断する(S203)。
【0096】
印刷配信がない場合(S203のNo)、例えば、フォルダ配信部31又はメール配信部35が配信を行う(S208)。
【0097】
印刷配信がある場合(S203のYes)、配信部34はユーザ9が選択したワークフロー定義に含まれる印刷設定の設定ファイルを参照し、配信先プリンタ50を特定する(S204)。すなわち、複合機50A又はプリンタ50Bを特定する。
【0098】
次に、配信部34は、ユーザ9が選択したワークフロー定義に含まれる印刷設定の設定ファイルから印刷設定を読み出す(S205)。ステップS205は配信先プリンタ50ごとに行われる。
【0099】
配信部34は、設定ファイルによって指定された配信先プリンタ50に対し、スキャンデータと印刷設定を配信することで配信処理を行う(S206)。
【0100】
配信部34は、全ての配信先プリンタ50への配信が完了したか否かを判断し(S207)、完了していなければ配信先プリンタ50ごとにステップS205とS206を実行する(S207)。配信先プリンタ50の全てに対して配信が終了すると、印刷配信の処理は終了となる。
【0101】
図14は、配信システム100が印刷配信する手順を示すフローチャート図の一例である。
図14ではファクス機10Bがファクスで受信したファクスデータに対する文書配信を説明する。ファクス機10Bは送信元のファクス番号が予め定められたファクス番号の場合、ファクス番号に対応付けられたワークフローを実行する。
【0102】
まず、送信元のファクス機がファクスを送信する(S301)。次に、送信先のファクス機10Bがファクスを受信する(S302)。ファクス機10Bの通信部11はファクスデータと、ワークフロー定義の識別情報又はワークフロー定義そのものを配信サーバ30に送信する。
【0103】
配信サーバ30はファクスデータを受信し、ユーザ9が選択したワークフロー定義が有する処理を順番に実行する(S303)。また、フォルダ配信やメール配信がワークフロー定義に設定されている場合は、フォルダ配信部31及びメール配信部35が配信を行う(S208)。以降のステップS203~S207の処理は
図13と同様でよい。
【0104】
このように、入力装置10がファクス機10Bであっても配信先プリンタ50ごとに印刷設定を参照して印刷できる。
【0105】
<変形例>
<<プリンタごとの印刷設定>>
管理者8がワークフロー定義の設定のたびに、配信先プリンタ50ごとに印刷設定するのでは操作性が悪い場合がある。そこで、管理者8が予め配信先プリンタ50ごとに代表的な印刷設定を配信サーバ30に登録しておくことが有効になる。
【0106】
図15は、本実施形態の配信システム100の機能と構成例を示す図である。なお、
図15の説明に際し、
図4において同一の符号を付した構成要素は同様の機能を果たすので、主に本実施例の主要な構成要素についてのみ説明する場合がある。
【0107】
図15の配信サーバ30は印刷設定記憶部37を有している。印刷設定記憶部37には、配信先プリンタ50の印刷設定が予め記憶されている。
【0108】
【表1】
表1は、印刷設定記憶部37に記憶された印刷設定を模式的に示す。印刷設定記憶部37には、プリンタ1に印刷設定A、プリンタ2に印刷設定B、C、プリンタ3に印刷設定Dが対応付けられている。設定部33は、管理者8がワークフロー定義を設定する設定画面を管理者PC70に送信する際、印刷設定A~Dも送信する。プリンタ名欄502にはプリンタ名と、印刷設定A~Dが対応付けて表示されるので、管理者8は配信先プリンタ50を選択することで印刷設定も選択でき、印刷設定の項目ごとに設定する必要がない。
【0109】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0110】
例えば配信サーバ30は複数存在してもよい。また、複数の配信サーバ30が通信してワークフロー定義に設定された処理を分担して行ってもよい。
【0111】
なお、
図4などの構成例は、入力装置10、配信サーバ30、配信先プリンタ50、及び管理者PC70による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。入力装置10、配信サーバ30、配信先プリンタ50、及び管理者PC70の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0112】
なお、スキャンデータ、ファクスデータ又は画像データは配信対象のデータの一例であり、ワークフロー定義は配信先情報の一例であり、配信部34は配信手段の一例であり、ワークフロー定義記憶部38は記憶手段の一例であり、設定部33は設定取得手段の一例であり、通信部11は送信手段の一例である。
【符号の説明】
【0113】
8 管理者
9 ユーザ
10 入力装置
10A 複合機
10B ファクス機
30 配信サーバ
50 配信先プリンタ
50A 複合機
50B プリンタ
100 配信システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0114】