(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】ヘッド用振動板部材、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
B41J2/14 307
(21)【出願番号】P 2018028450
(22)【出願日】2018-02-21
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】安藤 汐視
(72)【発明者】
【氏名】木平 孝和
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-053123(JP,A)
【文献】特開2012-179813(JP,A)
【文献】特開2016-007790(JP,A)
【文献】特開平08-156272(JP,A)
【文献】特開2015-020424(JP,A)
【文献】特開2014-172374(JP,A)
【文献】米国特許第06179410(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルに連通する個別液室の壁面を形成する変形可能な複数の振動領域
を有し、
隣り合う前記振動領域の間には圧電素子からなる支柱部が接合される
ヘッド用振動板部材であって、
少なくとも、前記支柱部の長手方向の両端部に対向する位置のみに凹部が設けられている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド用振動板部材。
【請求項2】
前記凹部は、平面形状で、前記支柱部の長手方向に沿う辺と直角に交差する辺を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド用振動板部材。
【請求項3】
前記凹部は、平面形状で略矩形状、三角形状、略半円形状のいずれかである
ことを特徴とする請求項1若しくは2に記載の液体吐出ヘッド用振動板部
材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の
液体吐出ヘッド用振動板部材を備えている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載の液体吐出ヘッドを含むことを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項6】
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化した
ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ユニット。
【請求項7】
請求項4に記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項5若しくは6に記載の液体吐出ユニットを備えていることを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッド用振動板部材、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドとして、ノズルに連通する個別液室の壁面を形成する振動領域を有する振動板部材と、振動領域を変位させる圧電素子とを備え、更に、個別液室間の隔壁に対応して、圧電素子からなる支柱部を振動板部材に接合したものがある。
【0003】
従来、圧電素子を絶縁材料で被覆し、振動板部材と絶縁することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、圧電素子からなる支柱部を振動板部材に接合すると、圧電素子の活電部が振動板部材と接触して導通するという課題がある。この場合、特許文献1に開示の構成のように圧電素子を絶縁材料で被覆するためには加工が必要になるという課題が生じる。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、圧電素子への加工を施すことなく、圧電素子の活電部と振動板部材との接触を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係るヘッド用振動板部材は、
液体を吐出するノズルに連通する個別液室の壁面を形成する変形可能な複数の振動領域を有し、
隣り合う前記振動領域の間には圧電素子からなる支柱部が接合されるヘッド用振動板部材であって、
少なくとも、前記支柱部の長手方向の両端部に対向する位置のみに凹部が設けられている
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、圧電素子への加工を施すことなく、圧電素子の活電部と振動板部材との接触を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【
図2】
図1のX-X線に沿う同ヘッドのノズル配列方向に沿う断面説明図である。
【
図3】同第1実施形態における圧電素子及び支柱部と振動板部材との接合部分の平面説明図である。
【
図4】
図3のY1-Y1線に沿う断面説明図である。
【
図5】本発明の第2実施形態における圧電素子及び支柱部と振動板部材との接合部分の平面説明図である。
【
図6】
図5のY2-Y2線に沿う断面説明図である。
【
図7】本発明の第3実施形態の異なる例を示す圧電素子及び支柱部と振動板部材との接合部分の平面説明図である。
【
図8】本発明に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。
【
図10】本発明に係る液体吐出ユニットの他の例の要部平面説明図である。
【
図11】本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例の正面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は同実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図、
図2は
図1のX-X線に沿う同ヘッドのノズル配列方向に沿う断面説明図である。
【0011】
この液体吐出ヘッド100は、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材としての振動板部材3とを積層接合している。そして、振動板部材3の振動領域(振動板)30を変位させる圧電アクチュエータ11と、ヘッドのフレーム部材を兼ねている共通液室部材20を備えている。
【0012】
ノズル板1は、液体を吐出する複数のノズル4を有している。
【0013】
流路板2は、ノズル4にノズル連通路5を介して通じる個別液室6、個別液室6に通じる供給流路を構成する流体抵抗部7、流体抵抗部7に通じる液導入部8を形成している。なお、導入部8は、2以上の流体抵抗部7に通じる構成としている。本実施形態では、流路板2は、ノズル板1側から3枚の板状部材2A~2Cで構成している。
【0014】
振動板部材3は、流路板2の個別液室6の壁面を形成する変形可能な振動領域30を有する。ここでは、振動板部材3は3層構造(限定されない)とし、流路板2側から薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層及び第3層で形成され、第1層で個別液室6に対応する部分に変形可能な振動領域30を形成している。
【0015】
そして、振動板部材3の個別液室6とは反対側に、振動板部材3の振動領域30を変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ11を配置している。
【0016】
この圧電アクチュエータ11は、ベース部材13上に接合した圧電部材12にハーフカットダイシングによって溝加工をして、ノズル配列方向において、所要数の柱状の圧電素子12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。
【0017】
そして、駆動部となる圧電素子12Aを振動板部材3の振動領域(振動板)30に形成した島状の厚肉部である島状凸部30aに接合し、支柱部となる圧電素子12Bを振動領域30間の厚肉部30bに接合している。
【0018】
圧電部材12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極14A、14Bが設けられ、駆動部となる圧電素子12Aの外部電極14Aにフレキシブル配線部材15が接続されている。なお、外部電極14Bはノズル配列方向の端部で外部電極14Aと同じ面に引き出されてフレキシブル配線部材15と接続されている。
【0019】
共通液室部材20は、共通液室10を形成し、共通液室10には外部から液体を供給する供給路21が設けられている。
【0020】
このように構成した液体吐出ヘッド100においては、例えば圧電素子12Aに与える電圧を基準電位(中間電位)から下げることによって圧電素子12Aが収縮し、振動板部材3の振動領域30が引かれて個別液室6の容積が膨張することで、個別液室6内に液体が流入する。
【0021】
その後、圧電素子12Aに印加する電圧を上げて圧電素子12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域30をノズル4に向かう方向に変形させて個別液室6の容積を収縮させることにより、個別液室6内の液体が加圧され、ノズル4から液体が吐出される。
【0022】
なお、ヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0023】
次に、本発明の第1実施形態における圧電素子及び支柱部と振動板部材との接合部分について
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は圧電素子及び支柱部と振動板部材との接合部分の平面説明図、
図4は
図3のY1-Y1線に沿う断面説明図である。
【0024】
本発明に係るヘッド用振動板部材である振動板部材3の振動領域30には、凹部30dで囲まれる島状凸部30aが形成され、この島状凸部30aに圧電素子12Aが接合されている。
【0025】
一方、振動領域30、30の間は前述したように厚肉部30bとなっており、この厚肉部30bに支柱部となる圧電素子12Bが接合される。
【0026】
ここで、振動板部材3には、支柱部である圧電素子12Bの長手方向の両端部に対向する部分に凹部30cが形成されている。
【0027】
これにより、圧電素子12Bに加工を施すことなく、圧電素子12Bの長手方向の両端部の活電部と振動板部材3との接触を防止することができる。
【0028】
次に、本発明の第2実施形態について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は同実施形態における圧電素子及び支柱部と振動板部材との接合部分の平面説明図、
図6は
図5のY2-Y2線に沿う断面説明図である。
【0029】
本実施形態においては、振動板部材3には、支柱部である圧電素子12Bの周縁部の全周に亘って対向する部分には、環状に凹部30cが形成されている。
【0030】
つまり、振動領域30と同様に島状凸部30eを形成して、この島状凸部30eに支柱部である圧電素子12Bを接合している。
【0031】
これにより、支持部である圧電素子12Bの精度によらずに接合することができる。
【0032】
次に、本発明の第3実施形態の異なる例について
図7を参照して説明する。
図7は同実施形態における圧電素子及び支柱部と振動板部材との接合部分の平面説明図である。
【0033】
図7(a)の第1例は、凹部30cを平面形状で略矩形状とした例、
図7(b)の第2例は、凹部30cを平面形状で三角形状とした例、
図7(c)の第3例は、凹部30cを平面形状で略半円形状とした例である。
【0034】
つまり、本実施形態の凹部30cは、平面形状において、支柱部となる圧電素子12Bの長手方向の辺と直角に交差する辺30c1~30c3を有している形状としている。
【0035】
これにより、支柱部となる圧電素子12Bと厚肉部30bとの接合ばらつきを低減することができる。
【0036】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は同装置の要部平面説明図、
図9は同装置の要部側面説明図である。
【0037】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0038】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
【0039】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0040】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0041】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0042】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0043】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0044】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0045】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0046】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0047】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0048】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成
する。
【0049】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0050】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について
図10を参照して説明する。
図10は同ユニットの要部平面説明図である。
【0051】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0052】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0053】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について
図11を参照して説明する。
図11は同ユニットの正面説明図である。
【0054】
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0055】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0056】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0057】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0058】
「液体吐出ユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0059】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0060】
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0061】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0062】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0063】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0064】
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
【0065】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0066】
「液体を吐出する装置」には、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を 気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0067】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0068】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0069】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0070】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0071】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0072】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0073】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0074】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0075】
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板部材
4 ノズル
6 個別液室
10 共通液室
12B 圧電素子(支柱部)
30 振動領域
30a 島状凸部
30b 厚肉部
30c 凹部
100 液体吐出ヘッド
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
440 液体吐出ユニット