(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220809BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B41J29/38 401
H04N1/00 127
(21)【出願番号】P 2018051713
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】江島 猛
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-250021(JP,A)
【文献】特開2014-089601(JP,A)
【文献】特開2009-296084(JP,A)
【文献】特開2008-203929(JP,A)
【文献】特開平04-054068(JP,A)
【文献】特開平11-308403(JP,A)
【文献】特開2010-098640(JP,A)
【文献】特開2007-088954(JP,A)
【文献】特開2016-170618(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0083227(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0188002(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワークと接続される情報処理装置であって、
前記ネットワークからパケットを受信するデバイスドライバを複数有する通信部と、
前記デバイスドライバ及び前記ネットワークが関連付けられた情報を記憶する記憶部と、
前記パケットを受信した前記デバイスドライバ及び前記情報に基づいて、前記パケットの送信元の機器が属するネットワークを判別する決定部とを有する情報処理装置。
【請求項2】
複数のネットワークと接続される情報処理装置であって、
前記ネットワークからパケットを受信するインタフェース及びデバイスドライバを複数有する通信部と、
前記インタフェースと、前記デバイスドライバと、前記ネットワークとが関連付けられた情報を記憶する記憶部と、
前記パケットを受信した前記インタフェース、前記デバイスドライバ及び前記ネットワークと前記情報に基づいて、前記パケットの送信元の機器が属するネットワークを判別する決定部とを有する情報処理装置。
【請求項3】
さらに、複数の排紙トレイを有し、
前記決定部は、前記判別されたネットワークに基づいて、前記パケットに含まれる印刷データを印刷した用紙をいずれの前記複数の排紙トレイに排出するかを決定する
請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
さらに、前記ネットワーク及び前記排紙トレイの組が関連付けられた情報を記憶する記憶部を有する
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
さらに、複数の排紙トレイを有し、
前記ネットワーク、前記インタフェース及び前記排紙トレイの組が関連付けられた情報を記憶する記憶部を有する
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項6】
さらに、複数の排紙トレイを有し、
前記ネットワーク、前記デバイスドライバ及び前記排紙トレイの組が関連付けられた情報を記憶する記憶部を有する
請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項7】
複数のネットワークと接続される情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記ネットワークから複数のインタフェース
及び複数のデバイスドライバを用いてパケットを受信する通信手順と、
前記インタフェース
と、前記デバイスドライバと、前記ネットワーク
とが関連付けられた情報を記憶する記憶手順と、
前記パケットを受信した前記インタフェース
、前記デバイスドライバ及び前記ネットワークと前記情報に基づいて、前記パケットの送信元の機器が属するネットワークを判別する決定手順とを実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、オフィスビルにおいて複数の企業が同じフロアに拠点を持つ場合がある。そのような場合、各企業ごとに少なくとも一つの独立したネットワークを持つことが一般的である。一方、管理コストや専有面積という観点から、一台のプリンタを複数の企業、すなわち複数のネットワークで共有したいという要求が存在する。一台のプリンタを複数の企業が共有する場合、送信元のそれぞれのネットワークに割り当てられた個別の排紙トレイに出力するという使い方をすることが考えられる。したがって、送信元のネットワークを判別することが必要となる。
【0003】
プリンタが印刷データの送信元のネットワークを判別できない場合、一つの排紙トレイに、複数のネットワーク、さらには複数の企業から出力された印刷物が混在することになり、機密書類を社外の人に閲覧または取得されてしまうという危険につながる。そこで、複数のネットワークからの送信を受ける装置において、送信元のネットワークを判別する目的で受信したパケットの送信元MAC(Media Access Control)アドレスによって送信元ネットワークを解析する技術が既に知られている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の受信したパケットを解析して送信元ネットワークを特定する方法においては、送信元の機器が送信するパケットのMACアドレスと送信元のネットワークとが一対一に対応している場合、あるネットワークに接続される機器が二台以上存在すると、それらの機器から送出されるパケットのMACアドレスが一台の機器のMACアドレスに変換されるよう、ルータ等を介在させる必要があるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、パケットの送信元機器が属するネットワークを正確に判別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するため、情報処理装置は、複数のネットワークと接続され、前記ネットワークからパケットを受信するデバイスドライバを複数有する通信部と、前記デバイスドライバ及び前記ネットワークが関連付けられた情報を記憶する記憶部と、前記パケットを受信した前記デバイスドライバ及び前記情報に基づいて、前記パケットの送信元の機器が属するネットワークを判別する決定部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
パケットの送信元機器が属するネットワークを正確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態におけるプリンタ100のハードウェア構成例を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態におけるプリンタ100の機能構成例を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態における印刷物を出力する手順を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態におけるプリンタ100のハードウェア構成例を示す図である。
図1に示されるように、プリンタ100は、CPU101(Central Processing Unit)、RAM102(Random Access Memory)、記憶装置103、プリンタエンジン104、排紙トレイ群105、MAC106、PHY107、USB(Universal Serial Bus)ポート108、PCI-e(PCI EXPRESS(登録商標))コネクタ109、イーサネット(登録商標)ポート110、USB/イーサネット変換ユニット111及びPCI-e/イーサネット変換ユニット112を有する。
【0011】
CPU101は、記憶装置103に記憶されるプログラムを実行することによって、プリンタ100を制御する。記憶装置103は、プリンタ100を機能させるために必要なプログラム及びデータを記憶する不揮発性記憶装置である。RAM102は、記憶装置103から読み込むプログラム及びCPU101が演算を行った結果等を記憶する揮発性記憶装置である。プリンタエンジン104は、取得したデータに基づいて印刷を実行するハードウェアである。排紙トレイ群105は、印刷後の用紙が出力されるトレイである。
図1に示されるように、排紙トレイ群105は、排紙トレイA、排紙トレイB及び排紙トレイCを有する。MAC106は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)におけるMAC層の処理を実行する。PHY107は、有線又は無線のLANにおける物理層の処理を実行し、送受信フレームのディジタル信号と電気信号との変換等を行う。
【0012】
USBポート108は、USB機器と接続するためのポートである。PCI-eコネクタ109は、PCI-expressデバイスを装着するためのコネクタである。イーサネットポート110は、イーサネットデバイスと接続するためのポートである。USB/イーサネット変換ユニット111は、イーサネットデバイスをUSBポート108に接続するためのインタフェース変換を行うユニットである。PCI-e/イーサネット変換ユニット112は、イーサネットデバイスをPCI-eコネクタ109に装着するためのインタフェース変換を行うユニットである。
【0013】
また、
図1に示されるように、USB/イーサネット変換ユニット111によって接続されるネットワークのIPアドレスは「192.168.0.x」である。また、PCI-e/イーサネット変換ユニット112によって接続されるネットワークのIPアドレスは「192.168.1.x」である。また、イーサネットポート110によって接続されるネットワークのIPアドレスは「192.168.2.x」である。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態におけるプリンタ100の機能構成例を示す図である。
図2に示されるように、プリンタ100は、デバイスドライバ/受信I/F/排紙トレイ対応テーブル11、排紙トレイ決定アプリ12、プリンタドライバ13、TCP/IP14(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、USBドライバ15、PCI-eドライバ16、イーサネットドライバ17、USBポート18、PCI-eコネクタ19及びイーサネットポート20を有する。これら各機能部は、プログラムがCPU101に実行させる処理によって実現されてもよい。
【0015】
デバイスドライバ/受信I/F/排紙トレイ対応テーブル11は、プリンタ100がパケットを受信したとき、当該パケットをいずれのデバイスドライバで受信したかを示す情報に基づいて、印刷した用紙の出力先となる排紙トレイを決定する機能を有する。表1は、デバイスドライバ/受信I/F/排紙トレイ対応テーブル11の一例である。
【0016】
【表1】
表1に示されるように、デバイスドライバ、インタフェース及び排紙トレイは関連付けられている。「USBドライバ15」は、USB及び排紙トレイAと関連付けられている。また、「PCI-eドライバ16」は、PCI-Express及び排紙トレイBと関連付けられている。また、「イーサネットドライバ17」は、イーサネット及び排紙トレイCと関連付けられている。したがって、パケットが受信されたインタフェース又はデバイスドライバに基づいて、関連付けられる排紙トレイを決定することができる。
【0017】
さらに、表1のデバイスドライバに、例えば
図1に示されるネットワークを示すIPアドレスが関連付けられていてもよい。すなわち、「USBドライバ15」には「192.168.0.x」、「PCI-eドライバ16」には「192.168.1.x」、「イーサネットドライバ17」には「192.168.2.x」が関連付けられていてもよい。これらデバイスドライバ及びインタフェースは一例であって、他のインタフェース、例えばIEEE1394等を制御するデバイスドライバであってもよい。
【0018】
排紙トレイ決定アプリ12は、プリンタ100がパケットを受信したとき、当該パケットがいずれのデバイスドライバから受信されたのかを示す情報を取得することができる。また、排紙トレイ決定アプリ12は、プリンタドライバ13から排紙トレイ決定依頼を受信して、取得したデバイスドライバ情報に基づいてデバイスドライバ/受信I/F/排紙トレイ対応テーブル11を参照することで印刷した用紙の出力先となる排紙トレイを決定し、プリンタドライバ13にいずれの排紙トレイに出力するかを通知する機能を有する。
【0019】
プリンタドライバ13は、印刷を実行するとともに、排紙トレイ決定アプリ12に排紙トレイ決定依頼を送信する機能を有する。また、プリンタドライバ13は、排紙トレイ決定アプリ12から指定された排紙トレイに印刷した用紙を排出する機能を有する。
【0020】
TCP/IP14は、TCP/IPプロトコルにおけるトランスポート層及びインターネット層を提供する機能を有し、送受信データを制御する。
【0021】
USBドライバ15は、USBポート18を経由したデータの送受信を制御する機能を有する。PCI-eドライバ16は、PCI-eコネクタ19を経由した経由したデータの送受信を制御する機能を有する。イーサネットドライバ17は、イーサネットポート20を経由したデータの送受信を制御する機能を有する。
【0022】
図3は、本発明の実施の形態における印刷物を出力する手順を説明するためのシーケンス図である。
図3において、例としてイーサネット経由で印刷データを含むパケットを受信したときの動作を説明する。他のインタフェース経由で印刷データを含むパケットを受信した場合は、デバイスドライバを当該インタフェースに対応したものに変更する。
【0023】
ステップS11において、デバイスドライバすなわちイーサネットドライバ17は、受信したパケットをTCP/IPスタック14に送信する。また、排紙トレイ決定アプリ12は、USBドライバ15、PCI-eドライバ16又はイーサネットドライバ17のいずれがパケットを受信したかを示す情報を取得する。続いて、TCP/IPスタック14は、ヘッダ除去後の受信パケットをプリンタドライバ13に送信する(S12)。続いて、プリンタドライバ13は、排紙トレイ決定依頼を排紙トレイ決定アプリ12に送信する(S13)。
【0024】
ステップS14において、排紙トレイ決定アプリ12は、ステップS11で取得したいずれのデバイスドライバがパケットを受信したかを示す情報と、デバイスドライバ/受信I/F/排紙トレイ対応テーブルとを参照して、パケットに含まれる印刷データを印刷した場合に、いずれの排紙トレイに用紙を排出するかを決定する(S15)。排紙トレイ決定アプリ12は、イーサネットドライバ17がパケットを受信していたため、表1に示される関連付けから、対応するパケットに含まれる印刷データが印刷された用紙を排紙トレイCに排出することを決定する。すなわち、排紙トレイ決定アプリ12は、イーサネットドライバ17によってパケットが受信されたことにより、パケットの送信元機器が属するネットワークが、
図1に示される「192.168.2.x」であることを判別することができる。
【0025】
ステップS16において、排紙トレイ決定アプリ12は、ステップS15で決定した排紙トレイCに用紙を排出することを示す情報を含む排紙トレイ指示をプリンタドライバ13に送信する。続いて、プリンタドライバ13は、受信した排紙トレイ指示に基づいて、パケットに含まれる印刷データを用紙に印刷して、排紙トレイCに排出する(S17)。
【0026】
上述のように、本発明の実施の形態によれば、プリンタ100は、いずれのデバイスドライバがパケットを受信したかを示す情報と、予め定められたデバイスドライバと排紙トレイが関連づけられた情報とに基づいて、当該パケットの送信元機器が属するネットワークを判別し、当該パケットに含まれる印刷データを印刷して、適切な排紙トレイに排出することができる。
【0027】
すなわち、パケットの送信元機器が属するネットワークを正確に判別することができる。
【0028】
なお、本発明の実施の形態において、プリンタ100は、情報処理装置の一例である。USBドライバ15、PCI-eドライバ16又はイーサネットドライバ17は、通信部の一例である。排紙トレイ決定アプリ12は、決定部の一例である。デバイスドライバ/受信I/F/排紙トレイ対応テーブル11は、ネットワーク、インタフェース又はデバイスドライバ、及び排紙トレイの組が関連付けられた情報の一例である。
【0029】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0030】
100 プリンタ
101 CPU
102 ROM
103 記憶装置
104 プリンタエンジン
105 排紙トレイ群
106 MAC
107 PHY
108 USBポート
109 PCI-eコネクタ
110 イーサネットポート
111 USB/イーサネット変換ユニット
112 PCI-e/イーサネット変換ユニット
11 デバイスドライバ/受信I/F/排紙トレイ対応テーブル
12 排紙トレイ決定アプリ
13 プリンタドライバ
14 TCP/IP
15 USBドライバ
16 PCI-eドライバ
17 イーサネットドライバ
18 USBポート
19 PCI-eコネクタ
20 イーサネットポート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】