(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】サーバ、音データ評価方法、プログラム、通信システム
(51)【国際特許分類】
G09B 5/04 20060101AFI20220809BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20220809BHJP
G09B 5/12 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G09B5/04
H04M11/00 302
G09B5/12
(21)【出願番号】P 2018113949
(22)【出願日】2018-06-14
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三神 惇平
(72)【発明者】
【氏名】計田 真夕
(72)【発明者】
【氏名】寺山 和博
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第6172417(JP,B1)
【文献】特開2004-259017(JP,A)
【文献】特開2010-096960(JP,A)
【文献】特開2017-194754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
G09B 17/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信端末とネットワークを介して通信可能なサーバであって、
第1のユーザが操作する第1の通信端末の指示により第1の音データを複数の第2の通信端末にそれぞれ送信して、前記複数の第2の通信端末の第2のユーザがそれぞれ発した複数の第2の音データをそれぞれ受信する通信手段と、
前記第1の音データと、前記複数の第2の通信端末それぞれから取得した前記第2の音データとに基づき、複数の前記第2の音データそれぞれに対する評価を生成する生成手段と、を有し、
前記通信手段は
、前記第1の通信端末に、前記生成手段によって得られた評価、
前記複数の第2の通信端末の前記第2のユーザがそれぞれ発した複数の前記第2の音データの識別情報又は前記第2の音データそれぞれ、及び、複数の前記第2の音データの出力を個別に受け付けるボタンを有する第1の画面の画面情報、を送信することを特徴とするサーバ。
【請求項2】
前記通信手段は、前記第1の通信端末に、前記第1の音データの識別情報又は前記第1の音データを送信し、
前記第1の画面は前記第1の音データの出力を受け付けるボタンを更に有することを特徴とする
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記第1の画面は前記第1の音データを、再度、前記複数の第2の通信端末が出力するためのリトライボタンを有し、
前記リトライボタンが押下された旨を前記通信手段が受信した場合、
前記通信手段は、前記生成手段が前記評価の生成に使用した前記第1の音データを前記複数の第2の通信端末にそれぞれ送信し、前記複数の第2の通信端末の第2のユーザがそれぞれ発した複数の第2の音データを受信し、
前記生成手段は、前記第1の音データと、前記複数の第2の通信端末それぞれから取得した前記第2の音データとをそれぞれ比較して前記第2の音データそれぞれに対する評価を、再度、生成し、
前記通信手段は、前記生成手段によって得られた評価を前記第1の通信端末に送信することを特徴とする
請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記第1の音データは所定の言語の音声データであり、
前記生成手段は、前記第1の音データと、前記複数の第2の通信端末の第2のユーザがそれぞれ発した複数の第2の音データをそれぞれ発音記号に変換し、
前記第1の音データから変換された発音記号と、前記第2の音データから変換された発音記号とを比較することで複数の前記第2の音データそれぞれを評価することを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載のサーバ。
【請求項5】
前記通信手段は、前記第1の通信端末に、予め録音されている前記第1の音データのリストを含む第2の画面の画面情報を送信し、
前記第2の画面に表示される前記リストから選択された前記第1の音データの識別情報を受信した場合、
前記識別情報で特定される前記第1の音データを前記複数の第2の通信端末にそれぞれ送信することを特徴とする請求項
1~4のいずれか1項に記載のサーバ。
【請求項6】
前記第1の通信端末に表示された前記第1の音データの入力を受け付けるボタンを含む前記第2の画面において前記入力を受け付けるボタンが押下された場合、
前記通信手段は、前記第1のユーザが前記第1の通信端末に入力し前記第1の通信端末から受信した前記第1の音データを前記複数の第2の通信端末にそれぞれ送信することを特徴とする
請求項5に記載のサーバ。
【請求項7】
前記通信手段は、前記第2の通信端末に、
前記第1のユーザの前記第1の通信端末から受信した前記第1の音データの識別情報で識別される前記第1の音データ又は前記第1の通信端末から受信した前記第1の音データと、
前記第1の音データの出力中は前記第1のユーザの音声が出力されていることを示す第3の画面の画面情報と、
前記第1の音データの出力が完了した場合に表示される前記第2の音データの入力を受け付ける第4の画面の画面情報と、を送信することを特徴とする
請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
前記通信手段は、前記生成手段によって得られる複数の前記第2の音データに対する評価を前記第2の音データを送信した前記第2の通信端末が表示するように前記第2の音データを送信した前記第2の通信端末に個別に送信し、
更に、前記第1の音データの識別情報又は前記第1の音データ、及び、前記第2の音データの識別情報又は前記第2の音データを、前記第2の音データを送信した前記第2の通信端末に個別に送信し、
前記評価、前記第1の音データの識別情報又は前記第1の音データ、及び、前記第2の音データの識別情報又は前記第2の音データを前記第2の通信端末が受信したことを契機に表示される、前記評価、前記第1の音データの出力を受け付けるボタン、及び、前記第2の音データの出力を受け付けるボタンを含む第5の画面であって前記第4の画面から遷移する前記第5の画面の画面情報を前記第2の通信端末に送信することを特徴とする
請求項7に記載のサーバ。
【請求項9】
複数の通信端末とネットワークを介して通信可能なサーバが行う音データ評価方法であって、
通信手段が、第1のユーザが操作する第1の通信端末の指示により第1の音データを複数の第2の通信端末にそれぞれ送信して、前記複数の第2の通信端末の第2のユーザがそれぞれ発した複数の第2の音データをそれぞれ受信するステップと、
生成手段が、前記第1の音データと、前記複数の第2の通信端末それぞれから取得した前記第2の音データに基づき、複数の前記第2の音データそれぞれに対する評価を生成するステップと、
前記通信手段が、
前記第1の通信端末に、前記生成手段によって得られた評価、
前記複数の第2の通信端末の前記第2のユーザがそれぞれ発した複数の前記第2の音データの識別情報又は前記第2の音データそれぞれ、及び、複数の前記第2の音データの出力を個別に受け付けるボタンを有する第1の画面の画面情報、を送信するステップと、
を有することを特徴とする音データ評価方法。
【請求項10】
複数の通信端末とネットワークを介して通信可能なサーバを、
第1のユーザが操作する第1の通信端末の指示により第1の音データを複数の第2の通信端末にそれぞれ送信して、前記複数の第2の通信端末の第2のユーザがそれぞれ発した複数の第2の音データをそれぞれ受信する通信手段と、
前記第1の音データと、前記複数の第2の通信端末それぞれから取得した前記第2の音データに基づき、複数の前記第2の音データそれぞれに対する評価を生成する生成手段、として機能させ、
前記通信手段は、
前記第1の通信端末に、前記生成手段によって得られた評価、
前記複数の第2の通信端末の前記第2のユーザがそれぞれ発した複数の前記第2の音データの識別情報又は前記第2の音データそれぞれ、及び、複数の前記第2の音データの出力を個別に受け付けるボタンを有する第1の画面の画面情報、を送信することを特徴とするプログラム。
【請求項11】
ネットワークを介して通信可能な第1の通信端末とサーバとを有する通信システムであって、
前記第1の通信端末は、
第1の音データを複数の第2の通信端末にそれぞれ送信させる送信要求を前記サーバに送信する第1の通信手段、を有し、
前記サーバは、
前記送信要求に応じて前記第1の音データを前記複数の第2の通信端末にそれぞれ送信して、前記複数の第2の通信端末の第2のユーザがそれぞれ発した複数の第2の音データをそれぞれ受信する第2の通信手段と、
前記第1の音データと、前記複数の第2の通信端末それぞれから取得した前記第2の音データに基づき、複数の前記第2の音データそれぞれに対する評価を生成する生成手段と、を有し、
前記第2の通信手段は、
前記第1の通信端末に、前記生成手段によって得られた評価、
前記複数の第2の通信端末の前記第2のユーザがそれぞれ発した複数の前記第2の音データの識別情報又は前記第2の音データそれぞれ、及び、複数の前記第2の音データの出力を個別に受け付けるボタンを有する第1の画面の画面情報、を送信し、
前記第1の通信端末は、前記第1の通信手段が前記サーバから受信した複数の前記評価を表示装置に表示する表示制御手段を有する、ことを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ、音データ評価方法、プログラム、及び、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
英会話などの外国語教室やアナウンス教室など、生徒が実際に声を出して教師からフィードバックを受けて正しい発音や発声を習得したいというニーズは少なくない。習得の際は、教師と生徒が教室など同じ場所に集まり、生徒の出す音に対して教師が実例を交えながら指導するという形態が取られる。
【0003】
近年では、インターネットを利用して、遠隔地の教師と生徒が発音や発声を学習する形態も実用化されている。例えば、外国語教室においては、テレビ会議等に使用される通信システムを使って1対1で指導を受けられる音の教育システムが既に知られている。
【0004】
また、1人の教師に対し複数人の生徒が同時に指導を受けることを想定した音の教育システムも知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、設定した問題を生徒が端末を介して回答でき、それを教師が確認して複数の生徒を指導するシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、1人の教師が複数人の生徒を並行して指導することは困難であるという問題がある。教師と生徒が1対1であれば、教師が生徒の発声を確認して細やかな指導が可能である。しかし、複数人の生徒がいる場合、生徒に1人ずつ発声させて教師がアドバイスするのには時間がかかってしまう。一方、複数の生徒が同時に発声すれば時間を短縮できるが、評価対象が音であるため、教師が複数人の生徒の発声を同時に評価することは難しく細やかな指導が困難になる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、1人の教師が複数の生徒を並行して発声の指導をすることができるサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、複数の通信端末とネットワークを介して通信可能なサーバであって、第1のユーザが操作する第1の通信端末の指示により第1の音データを複数の第2の通信端末にそれぞれ送信して、前記複数の第2の通信端末の第2のユーザがそれぞれ発した複数の第2の音データをそれぞれ受信する通信手段と、前記第1の音データと、前記複数の第2の通信端末それぞれから取得した前記第2の音データとに基づき、複数の前記第2の音データそれぞれに対する評価を生成する生成手段と、を有し、前記通信手段は、前記第1の通信端末に、前記生成手段によって得られた評価、前記複数の第2の通信端末の前記第2のユーザがそれぞれ発した複数の前記第2の音データの識別情報又は前記第2の音データそれぞれ、及び、複数の前記第2の音データの出力を個別に受け付けるボタンを有する第1の画面の画面情報、を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
1人の教師が複数の生徒を並行して発声の指導をすることができるサーバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】通信システムが生徒の音声を評価する処理の概略を説明する図の一例である。
【
図4】管理システムの一例のハードウェア構成図である。
【
図6】通信システムの一部を構成する端末、及び管理システムの機能ブロック図の一例である。
【
図7】認証管理テーブル、端末管理テーブル、グループ管理テーブルの一例を示す図である。
【
図8】録音管理テーブル、結果管理テーブルの一例を示す図である。
【
図9】端末が管理システムへログインする処理を示すシーケンス図の一例である。
【
図10】管理システムが生徒の音声データを評価する手順を示すシーケンス図の一例である(録音ファイルを出力)。
【
図12】教師画面T2a、T2bの一例を示す図である。
【
図17】管理システムが生徒の音声データを評価する手順を示すシーケンス図の一例である(教師が発声)。
【
図18】音声認識を模式的に説明する図の一例である。
【
図21】端末が管理システムへログインする処理を示すシーケンス図の一例である。
【
図22】端末におけるWebアプリの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、通信システムと通信システムが行う音データ評価方法について図面を参照しながら説明する。
【0011】
<処理の概略>
図1は、本実施形態の通信システム1が生徒の音声を評価する処理の概略を説明する図の一例である。
図1では、通信ネットワークを介して管理システム50に教師が使用する端末10と生徒が使用する端末70A~70C(いずれも後述する通信端末に相当)が通信できるように接続されている。
(1)まず、教師がお手本の音声を発声する(あるいは予め登録されているお手本の音声を使用してよい)。お手本の音声は管理システム50を介して端末70A~70Cに送信され、生徒が聴くことができる。
(2)次に、生徒は教師の音声をお手本に、ほぼ同時に(少なくとも一部の時間帯で重複して)音声を発声する。生徒の音声は管理システム50に送信される。
(3)管理システム50は、お手本の音声と生徒の音声をそれぞれ比較して、どの程度、生徒の音声がお手本に近いかを評価する。
(4)管理システム50は全生徒の評価結果を教師の端末10に送信する。端末10は全生徒の評価結果を表示するので教師は各生徒の評価結果を確認して各生徒の発声を向上させる細やかな指導が可能となる。
【0012】
このように本実施形態の通信システム1は、遠隔地の教師が複数の生徒の発声を指導する形態においても、管理システム50が教師の音声と各生徒の音声を比較するので、1人の教師が多数の生徒の発声を並行して指導することが可能になる。
【0013】
<用語について>
会議とは本来、会合して評議したり、集まって話し合ったりすることを言うが、本実施形態ではインターネットを介して話し合うため同じ場所に集まる必要はない。また、音の評価や指導を行う会合も会議の一形態である。
【0014】
音データとは、空気の振動が電気信号に変換されたものであればよい。本実施形態では人が発声する音声データを例にして説明する。また、所定の言語として英語の発声を指導する通信システム1を説明するが、英語以外の所定の言語(中国語、フランス語、スペイン語、ロシア語、ドイツ語、アラビア語等)にも適用できる。また、音データとしては音声に限られず、音楽教室などで楽器が発する音でもよい。
【0015】
また、音は空気が振動する状態を言い、音データは情報又はデータであるが、本実施形態では両者を厳密には区別しない。
【0016】
並行して指導するとは、1つのテレビ会議に複数の生徒が参加し、音を発声する時間帯が重複することがあっても、1対1の授業と同等の指導が可能であることをいう。並行して指導することを「同時に指導する」と称してもよい。
【0017】
<システム構成例>
図2は、本実施形態に係る通信システム1の概略図である。
図2に示されているように、通信システム1は、テレビ会議端末が一例である複数の通信端末10a,10b,10c、スマートフォンが一例である複数の通信端末70x,70y、各通信端末を管理する通信管理システム50、及び中継装置30によって構築されている。以下、「通信端末」を「端末」と表し、「通信管理システム」を「管理システム」と表す。
【0018】
図2では、3つの端末10a,10b,10c、及び2つの端末70x,70yについて示しているが、数はこれに限らない。また、複数の端末70x,70yのうち、任意の端末を「端末70」と表し、複数の端末10a,10b,10cのうち、任意の端末を「端末10」と表す。端末10,70は、通信機能を有する汎用コンピュータ、電子ホワイトボード、カーナビゲーション端末、電子看板(デジタルサイネージ)等であってもよい。
【0019】
管理システム50は、サーバ機能を備えた情報処理装置であり、いわゆるサーバである(特許請求の範囲のサーバに相当)。端末10,70は、対応するクライアント機能を備えたコンピュータである。端末10,70、中継装置30、及び管理システム50は、インターネット、携帯電話網、LAN(Local Area Network)、WiFi(Wireless Fidelity)、或いはBluetooth(登録商標)等の通信ネットワーク2によって通信可能である。通信ネットワーク2には、携帯電話網の末端にある基地局2aも含まれる。なお、
図2では、1つの基地局2aを示しているが、数はこれに限らない。
【0020】
中継装置30は、端末10,70間で、音データ(音声データも含まれる)、映像(画像)データ、及び、テキストデータ等のコンテンツデータを中継する。
【0021】
端末10は、拠点の一例として、教師が存在する居室(自宅、教室など)に配置されており、端末70は、拠点の一例として、各生徒の自宅などに配置されている。教師の拠点はどこでもよく、生徒の拠点もどこでもよい。また、教師が端末70を使用してもよいし、生徒が端末10を使用してもよい。本実施形態では説明の便宜上、教師が端末10を使用し、生徒が端末70を使用するとして説明する。
【0022】
管理システム50、中継装置30、及び端末10,70は、同一の国、地域に配置されていても、異なる国、地域に配置されていてもよい。端末10のユーザは、例えば教師であり、端末70のユーザは、例えば生徒である。
【0023】
通信システム1には、管理システム50を介して一方の端末から他方の端末に一方向でコンテンツデータを伝送するデータ提供システムや、管理システムを介して複数の端末間で情報や感情等を相互に伝達するコミュニケーションシステムが含まれる。このコミュニケーションシステムは、管理システムを介して複数の末間で情報や感情等を相互に伝達するためのシステムであり、テレビ会議システムやテレビ電話システム等が例として挙げられる。
【0024】
<ハードウェア構成例>
<<端末のハードウェア構成例>>
図3(a)は、一実施形態に係る端末10のハードウェア構成図である。端末10は、端末10全体の動作を制御するCPU101(Central Processing Unit)、IPL(Initial Program Loader)等のCPU101の駆動に用いられるプログラムを記憶したROM102(Read Only Memory)、CPU101のワークエリアとして使用されるRAM103(Random Access Memory)、端末10用のプログラム、画像データ、及び音データ等の各種データを記憶するフラッシュメモリ104を有する。また、CPU101の制御にしたがってフラッシュメモリ104に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するSSD105(Solid State Drive)、フラッシュメモリやICカード(Integrated Circuit Card)等の記録メディア106に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御するメディアI/F107(Interface)を有する。また、端末10の宛先を選択する場合などに操作される操作ボタン108、端末10の電源のON/OFFを切り換えるための電源スイッチ109、通信ネットワーク2を利用してデータ伝送をするためのネットワークI/F111を備えている。
【0025】
また、端末10は、CPU101の制御にしたがって被写体を撮像して画像データを得る内蔵型のカメラ112、このカメラ112の駆動を制御する撮像素子I/F113、音を入力する内蔵型のマイク114、音を出力する内蔵型のスピーカ115、CPU101の制御にしたがってマイク114及びスピーカ115との間で音信号の入出力を処理する音入出力I/F116を有する。また、CPU101の制御にしたがって外付けのディスプレイ120に画像データを伝送するディスプレイI/F117、各種の外部機器を接続するための外部機器接続I/F118、端末10の各種機能の異常を知らせるアラームランプ119、及び上記各構成要素を
図3(a)に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン110を備えている。
【0026】
ディスプレイ120は、被写体の画像等を表示する表示装置である。ディスプレイ120の一例として液晶や有機EL(Organic Electroluminescence)が挙げられる。また、ディスプレイ120は、ケーブル120cによってディスプレイI/F117に接続される。このケーブル120cは、アナログRGB(VGA)信号用のケーブルであってもよいし、コンポーネントビデオ用のケーブルであってもよいし、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)やDVI(Digital Video Interactive)信号用のケーブルであってもよい。
【0027】
カメラ112は、レンズや、光を電荷に変換して被写体の画像(映像)を電子化する固体撮像素子を含み、固体撮像素子として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)や、CCD(Charge Coupled Device)等が用いられる。
【0028】
外部機器接続I/F118には、筐体1100の接続口1132に差し込まれたUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等によって、外付けカメラ、外付けマイク、及び外付けスピーカ等の外部機器がそれぞれ電気的に接続可能である。外付けカメラが接続された場合には、CPU101の制御にしたがって、外付けカメラが駆動する。同じく、外付けマイクが接続された場合や、外付けスピーカが接続された場合には、CPU101の制御にしたがって、外付けマイクや外付けスピーカが駆動する。
【0029】
なお、記録メディア106は、端末10に対して着脱自在となっている。また、CPU101の制御にしたがってデータの読み出し又は書き込みを行う不揮発性メモリであれば、フラッシュメモリ104に限らず、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等を用いてもよい。
【0030】
図3(b)は、端末70のハードウェア構成図である。
図3(b)に示されているように、端末70は、端末70全体の動作を制御するCPU701、プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)702、CPU701のワークエリアとして使用されるRAM703、CPU701の制御にしたがってデータの読み出し又は書き込みを行うEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)704を有する。また、フラッシュメモリ等の記録メディア706に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御するメディアI/F707、及びCPU701の制御にしたがって被写体を撮像し画像データを得るCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ712を備えている。
【0031】
なお、EEPROM704には、CPU701が実行するオペレーティングシステム(OS)、その他のプログラム、及び、種々データが記憶されている。また、CMOSセンサ712は、光を電荷に変換して被写体の画像を電子化する電荷結合素子である。被写体を撮像することができれば、CMOSセンサは、CCD(Charge Coupled Device)センサに置き換えることもできる。
【0032】
更に、端末70は、音を音信号に変換するマイク714、音信号を音に変換するスピーカ715、アンテナ711a、このアンテナ711aを利用して無線通信信号により、最寄りの基地局2aと通信を行う通信部711、被写体の画像や各種アイコン等を表示する液晶や有機ELなどのディスプレイ720、このディスプレイ720上に載せられ、感圧式又は静電式のパネルによって構成され、指やタッチペン等によるタッチによってディスプレイ720上におけるタッチ位置を検出するタッチパネル721、及び、上記各部を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン710を備えている。
【0033】
<<管理システムのハードウェア構成例>>
図4は、一実施形態に係る管理システム50のハードウェア構成図である。管理システム50は、管理システム50全体の動作を制御するCPU201、IPL等のCPU201の駆動に用いられるプログラムを記憶したROM202、CPU201のワークエリアとして使用されるRAM203、管理システム50用のプログラム等の各種データを記憶するHD204を有する。また、CPU201の制御にしたがってHD204に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するHDD205(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記録メディア206に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御するメディアI/F207、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示するディスプレイ208を有する。また、通信ネットワーク2を利用してデータ通信するためのネットワークI/F209、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたキーボード211、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行うマウス212、着脱可能な記録媒体の一例としてのCD-ROM213(Compact Disc Read Only Memory)に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御するCD-ROMドライブ214を有する。更に、上記各構成要素を
図4に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン210を備えている。
【0034】
中継装置30は、管理システム50と同様のハードウェア構成を有しているため、その説明を省略する。
【0035】
<ソフトウェア構成例>
図5(a)は、一実施形態に係る端末10のソフトウェア構成図である。端末10には、クライアントアプリとして「通信アプリA1」がインストールされている。アプリとはアプリケーションソフトを意味する。
図5(a)に示されているように、OS1020、及び通信アプリA1は、端末10のRAM103の作業領域1010上で動作する。これらのうち、OS1020は、基本的な機能を提供し、端末10全体を管理する基本ソフトウェアである。通信アプリA1は、教師が使用する端末10で動作し、他の端末70と通信するためのアプリである。
【0036】
図5(b)は、一実施形態に係る端末70のソフトウェア構成図である。端末70には、クライアントアプリとして「通信アプリA7」がインストールされている。
図5(b)に示されているように、OS7020、及び通信アプリA7は、RAM703の作業領域7010上で動作する。これらのうち、OS7020は、基本的な機能を提供し、端末70全体を管理する基本ソフトウェアである。通信アプリA7は、生徒が使用する端末10で動作し、端末10と通信するためのアプリである。
【0037】
なお、通信アプリA1,A7の通信プロトコルとしては、(1)SIP(Session Initiation Protocol)、(2)H.323、(3)SIPを拡張したプロトコル、(4)インスタントメッセンジャーのプロトコル、(5)SIPのMESSAGEメソッドを利用したプロトコル、(6)インターネットリレーチャットのプロトコル(IRC(Internet Relay Chat))、(7)インスタントメッセンジャーのプロトコルを拡張したプロトコル等が挙げられる。このうち、(4)インスタントメッセンジャーのプロトコルは、例えば、(4-1)XMPP(Extensible Messaging and Presence Protocol)、又は(4-2)ICQ(登録商標)、AIM(登録商標)、若しくはSkype(登録商標)などで利用されるプロトコルである。また、(7)インスタントメッセンジャーのプロトコルを拡張したプロトコルは、例えば、Jingleである。
【0038】
<通信システムの機能について>
次に、
図6を用いて本実施形態の通信システム1の機能構成について説明する。
図6は、通信システム1の一部を構成する端末10,70、及び管理システム50の機能ブロック図である。なお、
図6では、端末10,70、及び管理システム50が、通信ネットワーク2を介してデータ通信することができるように接続されている。
【0039】
<端末の機能構成>
端末10,70は、送受信部11,71、操作入力受付部12,72、起動部13,73、出力制御部14,74、及び記憶・読出部19,79を有している。これら各部は、
図3に示されている各構成要素のいずれかが、フラッシュメモリ104又はEEPROM704からRAM103,703上に展開された通信アプリA1,A7(プログラム)に従ったCPU101,701からの命令によって動作することで実現される機能である。
【0040】
また、端末10は、
図3に示されているROM102,702、RAM103,703、フラッシュメモリ104又はEEPROM704によって構築される記憶部1000,7000を有している。
【0041】
端末10における各機能構成について詳細に説明する。送受信部11,71は、CPU101,701からの命令、及びネットワークI/F111又は通信部711によって実現され、通信ネットワーク2を介して、通信相手の端末、各装置又はシステム等と各種データ(又は情報)の送受信を行う。
【0042】
操作入力受付部12,72は、CPU101,701からの命令、並びに操作ボタン108又はタッチパネル721、並びに電源スイッチ109によって実現され、ユーザによる各種入力又は各種選択を受け付ける。
【0043】
起動部13,73は、CPU101,701からの命令によって実現され、通信アプリA1,A7の動作を起動する。
【0044】
出力制御部14,74は、CPU101,701からの命令、並びに、ディスプレイI/F117及び音入出力I/F116によって実現され、画像データ、及び音データの出力を制御する。
【0045】
記憶・読出部19,79は、CPU101,701からの命令によって実現され、記憶部1000,7000に各種データを記憶したり、記憶部1000,7000に記憶された各種データを読み出したりする処理を行う。
【0046】
<<管理システムの機能構成>>
管理システム50は、送受信部51、認証部52、管理部53、録音管理部54、解析・結果管理部55、セッション制御部58、及び記憶・読出部59を有している。これら各部は、
図4に示されている各構成要素のいずれかが、HD204からRAM203上に展開された管理システム50用のプログラムに従ったCPU201からの命令によって動作することで実現される機能である。また、管理システム50は、HD204により構築される記憶部5000を有している。更に、記憶部5000には、以下に示すような各テーブルによって各DBが構築される。
【0047】
(認証管理テーブル)
図7(a)は、認証管理テーブルを示す概念図である。記憶部5000には、
図7(a)に示されているような認証管理テーブルによって認証管理DB5001が構築されている。この認証管理テーブルでは、管理システム50によって管理される全ての端末10,70の各通信IDに対して、認証用のパスワードが関連付けられて管理される。
【0048】
(端末管理テーブル)
図7(b)は、端末管理テーブルを示す概念図である。記憶部5000には、
図7(b)に示されているような端末管理テーブルによって端末管理DB5002が構築されている。この端末管理テーブルでは、各端末10,70の通信ID毎に、各端末10,70のIPアドレス及びTYPEが関連付けられて管理される。各端末10,70の通信IDは各端末10,70のログインにより把握される。TYPEについては後述されるが、TYPEはログイン時などに登録されてもよいし、予め登録されていてもよい。
【0049】
(グループ管理テーブル)
図7(c)は、グループ管理テーブルを示す概念図である。記憶部5000には、
図7(c)に示されているようなグループ管理テーブルによってグループ管理DB5005が構築されている。このグループ管理テーブルでは、グループIDに対応付けて、各端末10,70の通信IDが関連付けられて管理される。グループとは、1人の教師、及び、この教師が指導する複数の生徒の集まりである。グループIDはグループを識別する識別情報である。1つのグループは同じ会議(コミュニケーションの一例)に参加して、グループの端末10,70の間でコンテンツデータが相互に送受信される。
【0050】
グループ管理テーブルの作成方法としては、会議が始まる前に例えば教師が管理システム50にアクセスして登録しておく方法がある。あるいは、予めグループ管理テーブルを作る必要がない方法として、同じ会議に参加する生徒に管理システム50が電子メールなどで同じ招待コードを配布しておき、生徒がログイン時に招待コードを入力し、管理システム50が同じ招待コードの生徒を同じグループに分類してもよい(事後的にグループ管理テーブルを作成する)。あるいは、予め生徒を言語能力でレベル分けしておき(レベルは認証管理テーブルに登録されているものとうる)、管理システム50が同じレベルの生徒をログイン順に同じグループに分類してもよい。例えば1つのグループの生徒数を3人とした場合、同じレベルの3人がログインするごとにグループIDが割り当てられる。この場合、各グループに教師が割り当てられ、会議が開始する。
【0051】
(録音管理テーブル)
図8(a)は、録音管理テーブルを示す概念図である。記憶部5000には、
図8(a)に示されているような録音管理テーブルによって録音管理DB5003が構築されている。録音管理テーブルは録音された音声データに関する情報が登録されるテーブルである。
【0052】
録音管理テーブルには、録音ID、TYPE、通信ID、及び、録音ファイルの各項目が関連付けられている。録音IDは教師又は生徒の音声データの録音ファイルを一意に特定又は識別する識別情報であり、録音のたびに管理システム50が採番する。
図8(a)では通信ID、会議ID、問題番号(後述される)、及び、リトライ番号(後述される)を連結したものが録音IDである。
【0053】
TYPEはその録音ファイルが、生徒(STUDENT)が発声した音声、教師(TEACHER)が発声した音声、又は、事前に録音された(PRESETされた)音声のいずれであるかを示す録音ファイルの属性である。例えば通信アプリA1,A7がTYPEを管理システム50に送信することにより判断される。通信IDは上記と同様であるが、事前に録音された音声の場合は通信IDがNULL(値がないという意味)となる。録音ファイル名は実際に録音された音声データのファイル名である。ファイル名は管理システム50が自動的に付与するが、
図8(a)では録音IDをファイル名としている。なお、録音管理テーブルの1行をレコードという。
【0054】
(結果管理テーブル)
図8(b)は、結果管理テーブルを示す概念図である。記憶部5000には、
図8(b)に示されているような結果管理テーブルによって結果管理DB5004が構築されている。結果管理テーブルは、お手本の音声と比較して生徒の音声がどのように評価されたかをまとめたテーブルである。
【0055】
結果管理テーブルには、手本録音ID、回答録音ID、会議ID、問題番号、リトライ番号、手本認識結果、回答認識結果、及び、採点結果の各項目が関連付けられている。手本録音IDと回答録音IDは録音管理DB5003に登録されているIDが転用される。手本録音IDのTYPEはPRESET又はTEACHERのいずれかであり、回答録音IDのTYPEはSTUDENTである。会議IDはその会議が終了するまでを一単位として一意にどの会議であるかを決定する識別情報である。会議IDは会議開始時に管理システム50が採番する。問題番号は、1つの会議で教師が出題した問題を識別する識別情報である。問題番号は出題のたびに管理システム50が採番する。リトライ番号は、同じ問題が再度、出題された場合の問題に対する枝番である。手本認識結果は、お手本の音声データの認識結果である。
図8(b)では一例として発音記号に変換されたものが認識結果となっている。回答認識結果は、生徒の音声データの認識結果である。
図8(b)では一例として発音記号に変換されたものが認識結果となっている。採点結果は、手本認識結果と回答認識結果の比較結果を単語ごと「○」「×」で示す。なお、結果管理テーブルの1行をレコードという。
【0056】
<<管理システムの各機能構成>>
次に、管理システム50の各機能構成について詳細に説明する。送受信部51は、CPU201からの命令、及びネットワークI/F209によって実現され、通信ネットワーク2を介して各端末、装置又はシステムと各種データ(又は情報)の送受信を行う。
【0057】
認証部52は、CPU201からの命令によって実現され、送受信部51で受信された通信ID及びパスワードを検索キーとして認証管理テーブルを検索し、この認証管理テーブルに同一の通信ID及びパスワードが管理されているかを判断することによって端末の認証を行う。
【0058】
管理部53は、CPU201からの命令によって実現され、端末管理テーブルにログイン中の端末10、70を登録することで各端末10,70を管理する。
【0059】
録音管理部54は、CPU201からの命令によって実現され、教師の操作を契機にして録音を開始し、教師又は生徒の操作を契機にして録音を終了する。開始から終了の間の音声データを録音し、録音管理DB5003に各項目を登録する。
【0060】
解析・結果管理部55は、CPU201からの命令によって実現され、録音された教師と生徒の音声データを比較・解析し、その結果を結果管理DB5004に記録する。
【0061】
セッション制御部58は、CPU201からの命令によって、端末10,70間でコンテンツデータを送信するためのセッションを制御する。この制御としては、セッションを確立するための制御、確立されたセッションに端末10,70参加させる制御、セッションから退出する制御等が含まれる。
【0062】
記憶・読出部59は、CPU201からの命令及びHDD205によって実現され、又はCPU201からの命令によって実現され、記憶部5000に各種データを記憶したり、記憶部5000に記憶された各種データを抽出したりする処理を行う。
【0063】
<通信システムの処理・動作>
続いて、通信システム1における処理及び動作について説明する。
【0064】
<<ログイン時の処理>>
まず、
図9を用いて、端末10,70が管理システム50へログインする処理を説明する。
図9は、端末10,70が管理システム50へログインする処理を示すシーケンス図の一例である。
【0065】
端末70のユーザが電源スイッチをONにすると、操作入力受付部72が電源ONを受け付けて、端末70を起動させる(ステップS1)。端末70が起動すると、起動部73は、端末70にインストールされている通信アプリA7を起動させる(ステップS2)。以下、端末70における処理は、通信アプリA7の命令により実行される。
【0066】
端末70の送受信部71は、通信ネットワーク2を介して管理システム50に、ログイン要求を送信する(ステップS3)。このログイン要求には、ログイン要求元である自端末を識別するための通信ID、及びパスワードが含まれている。
【0067】
管理システム50の送受信部51はログイン要求を受信する。端末70から管理システム50へログイン要求が送信されることで、受信側である管理システム50は、送信側である端末70のIPアドレスを取得することができる。
【0068】
次に、管理システム50の認証部52は、ログイン要求に含まれている通信ID及びパスワードを検索キーとして、記憶部5000の認証管理テーブルを検索し、この認証管理テーブルに同一の通信ID及びパスワードが管理されているかを判断することによって認証を行う(ステップS4)。
【0069】
認証部52によって、正当な利用権限を有する端末70からのログイン要求であると認証された場合には、管理部53は、端末管理テーブルに、ログイン要求元の端末70の通信ID、及びIPアドレスを関連付けて記憶する(ステップS5)。これにより端末管理テーブルには、ログイン中の端末70へアクセスするための情報が管理される。また、管理部53は通信アプリA7であることを示す情報を受信して、端末管理テーブルにTYPEを登録する。
【0070】
管理システム50の送受信部51は、認証部52によって得られた認証結果が示された認証結果情報を、通信ネットワーク2を介して、ログイン要求元の端末70へ送信する(ステップS6)。これにより、端末70の送受信部71は、認証結果情報を受信する。以下、生徒が操作するログイン要求元の端末70(複数ある)の認証に成功し、端末70が管理システム50にログインした場合について説明する。
【0071】
一方、教師側の端末10の教師が電源スイッチ109をONにすると、操作入力受付部12が電源ONを受け付けて、端末10を起動させる(ステップS11)。端末10が起動すると、起動部13は、端末10にインストールされている通信アプリA1を起動させる(ステップS12)。以下、端末10における処理は、通信アプリA1の命令により実行される。
【0072】
端末10は、管理システム50へログイン要求を送信して、管理システム50へログインする(ステップS13-2,S14,S15,S16)。この処理は、端末70と管理システム50との間のステップS3,S4,S5,S6の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0073】
管理システム50が端末10、70を操作するユーザが、教師であるか生徒であるかを判断する方法としては、ステップS5で説明したように、通信アプリA1、A7を識別する方法がある。この方法では、例えばログイン時に端末10、70が通信アプリA1、A7の区別する情報を管理システム50に送信すればよい。あるいは、予め通信IDを区別して配布する方法もある。例えば、教師に配布される通信IDは「T001」のようにTで始まり、生徒に配布される通信IDは「S001」のようにSで始まる。これらの方法で、管理システム50は容易に教師か生徒かを判断できる。あるいは、上記の招待コードが利用されている場合、生徒には特定の招待コードが配布されるようにして生徒か教師かを判断できる。
【0074】
端末10,70がログインすると、セッション制御部58は例えば負荷の少ない中継装置30を決定して、この中継装置30に端末10,70が送受信するコンテンツデータの中継を開始させる。中継装置30には端末10,70の通信ID(端末10,70を特定できる情報であればよい)とグループIDが対応付けて送信される。これにより、端末10,70が通信ID(端末10,70を特定できる情報であればよい)と共に送信したコンテンツデータは同じグループ内の端末10,70に転送される。
【0075】
<<音声データの評価>>
次に、
図10を用いて、管理システム50が生徒の音声データを評価する処理について説明する。ここでは、英会話のオンライン教室が開講された状態をイメージされたい。以下の、英会話のオンライン教室では、教師が生徒と会話しながら、適宜、出題するという形態が想定されている。
【0076】
図10は、管理システム50が生徒の音声データを評価する手順を示すシーケンス図の一例である。
図10の処理は、端末10,70がログインして中継装置30が決定された状態から説明される。また、
図11~
図16に示す、教師用の端末10と生徒用の端末10が表示する画面例を適宜、参照して説明する。なお、
図10では中継装置30が図示されていないが、
図10では管理システム50が中継装置30と一体と見なしている。実際に音声を評価するのは管理システム50でも中継装置30でもよい。
【0077】
M1:管理システム50の録音管理部54は会議が始まると会議IDを採番する。これにより音声データの管理が可能になる。
【0078】
M2-1,M2-2:管理システム50のセッション制御部58は会議の準備が整ったため会議開始要求を端末10,70に送信する。これにより、テレビ会議が開始される。つまり、コンテンツデータの送受信が開始される。
【0079】
T1,S1:端末10の通信アプリA1、端末70の通信アプリA7は会議開始の処理を行う。具体的には通信アプリA1、通信アプリA7が画面を表示したり、中継装置30と通信を開始したり、管理システム50から必要な情報を取得したりする。
【0080】
S2:生徒側の端末70の出力制御部74は生徒画面S1(第3の画面の一例)を表示する。生徒画面S1を
図14に示す。生徒画面S1が表示されている間、生徒は原則的に教師の発声を聞き取るが任意に発言することも可能である。
【0081】
M3,M4:一方、管理システム50の送受信部51は教師側の端末10に事前に録音されている録音ファイルのリストを送信する。すなわち、録音管理DB5003からTYPEがPRESETの録音ファイルの録音ID及び録音ファイル名を送信する。教師側の端末10であることは端末管理DBに登録されている。なお、リストは構造化文書で構成されており、構造化文書の例としては、HTMLやXML(Extensible Markup Language)等がある。
【0082】
T2:端末10の送受信部11は事前に録音されている録音ファイルのリストを受信する。これにより、端末10の出力制御部14は教師画面T1(第2の画面の一例)を表示する。教師画面T1を
図11に示す。教師画面T1は、教師が任意に発言し、必要に応じて出題用の音声データを選択又は入力する画面である。
【0083】
T3:
図10では教師が教師画面T1で事前に録音されている音声(録音ファイル名)を選択したものとする。教師が音声を入力する場合の処理については
図17にて説明する。端末10の操作入力受付部12は操作を受け付け、出力制御部14は教師画面T2aを表示する。教師画面T2aを
図12(a)に示す。教師画面T2aは、教師が音声データを選択した状態の画面である。
【0084】
T4:端末10の送受信部11は、教師が選択した録音ファイル名の録音IDを管理システム50に送信する。この録音IDが録音ファイルの送信要求となる。
【0085】
M5:管理システム50の送受信部51は録音IDを受信する。録音管理部54は録音管理DB5003から録音IDに該当する音声データを取得する。
【0086】
M6:管理システム50の送受信部51は取得した音声データを生徒の端末70に送信する。
図10では生徒の端末70は1台であるが、複数の端末70があるものとする。
【0087】
S3:生徒の端末70の送受信部71は音声データを受信し、音声データを受信したことを契機に、出力制御部74が生徒画面S2(第4の画面の一例)を表示する。生徒画面S2は音声データの受信開始、受信完了、又は、受信開始から終了まで、のいずれかのタイミングで表示されてよいが、生徒画面S1は教師の発声の出力中に表示される画面なので、受信完了(受信と共にリアルタイムに出力されるため出力完了ともいう)を契機に生徒画面S1から生徒画面S2に遷移するとよい。なお、生徒画面S1から生徒画面S2に遷移させる信号を管理システム50が端末70に明示的に送信してもよい。生徒画面S2を
図15に示す。生徒画面S2は、管理システム50から送信された音声データがスピーカから出力され、これを手本にして生徒が音声を発声する画面である。このように、教師が出題することで、自動的に生徒の端末70の画面が遷移するため、生徒は生徒画面S2を表示するために通信アプリA7を操作する必要がない。換言すると、教師が生徒の端末70の画面を制御する主導権を持っている。
【0088】
S4:生徒画面S2を表示した端末70の送受信部71は通信IDとTYPEを管理システム50に送信する。音声を録音するためである。TYPEに関しては端末管理DB5002に登録されているため送信されなくてもよい。
【0089】
M7:管理システム50の送受信部51は通信IDとTYPEを受信することで、録音管理部54が録音を開始する。
【0090】
S5:生徒画面S2に遷移した端末70では音声データの送信が開始されているので、生徒が発声した音声データを送受信部71は随時(リアルタイムに)管理システム50に送信する。管理システム50の録音管理部54は引き続き、録音する。
【0091】
S6:発声が終わると生徒は生徒画面S2でエンドボタン306を押下する。
【0092】
S7:操作入力受付部72は生徒の操作を受け付け、送受信部71が通信IDを再度、送信する。発声が終了した管理システム50に知らせるためである。
【0093】
M8:管理システム50の送受信部51は通信IDを受信し、録音管理部54が音声データの録音を終了する。録音管理部54は録音ファイルの識別子となる録音IDを採番する。上記のように、通信ID、会議ID、問題番号、及び、リトライ番号が録音IDとなる。なお、別のパターンとして、録音は端末70側で実行し、録音終了後に録音ファイルを管理システム50に送付してもよい。
【0094】
M9:録音管理部54は録音ID、TYPE、通信ID、及び録音ファイルを録音管理DB5003に登録する。
【0095】
M10:そして、解析・結果管理部55が、出力した(出力とは再生することをいう)音声データと端末70から送信された音声データを比較して評価する。詳細は後述する。
【0096】
M11:解析・結果管理部55は、手本とした録音ファイルの録音IDを手本録音IDとして、生徒の録音ファイルの録音IDを回答録音IDとして、結果管理DB5004に登録する。同様に、会議ID、この会議の何問目の問題であるか(問題番号)、同一問題の何回目のリトライであるかというリトライ番号、手本認識結果、回答認識結果を結果管理DB5004に登録する。リトライについては教師画面T3(第1の画面の一例)で詳細に説明する。
【0097】
M12-1、M12-2:管理システム50の送受信部51は、評価結果を教師側の端末10と生徒側の端末70にそれぞれ送信する。また、教師の音声データの録音ID(又は音声データそのもの)を生徒の端末70のそれぞれに送信すると共に、生徒が発声した音声データの録音ID(又は音声データそのもの)をその音声データを発声した端末70に個別に送信する。教師の音声データの録音ID(又は音声データそのもの)と、各生徒が発声した全ての音声データの録音ID(又は音声データそのもの)を端末10に送信する。
【0098】
T5:端末10の送受信部11は評価結果を受信し、出力制御部14が教師画面T3を表示する。教師画面T3を
図13に示す。教師画面T3は、教師が各生徒の評価結果を確認する画面である。
【0099】
S8:端末70の送受信部71は評価結果を受信し、評価結果を受信したことを契機に、出力制御部74が生徒画面S2から生徒画面S3(第5の画面の一例)に遷移する。なお、生徒画面S2から生徒画面S3に遷移させる信号を管理システム50が端末70に明示的に送信してもよい。生徒画面S3を
図16に示す。生徒画面S3は、生徒が自分の評価結果を確認する画面である。生徒画面S3への遷移時も、生徒は生徒画面S3を表示するために通信アプリA7を操作する必要がない。
【0100】
<画面例>
図11~
図16を用いて教師の端末10と生徒の端末70が表示する画面例を説明する。
図11は、教師画面T1の一例を示す。教師画面T1は、会議を開始した当初、端末70が表示する画面である。教師画面T1は、教師画像表示欄301,生徒画像表示欄302、事前録音データリスト欄303、アップロードボタン304、スタートボタン305、及び、エンドボタン306を有する。
【0101】
教師画面T1の画面情報は、HTMLを少なくとも含み、更に、CSS(Cascade Style Sheet)及びJavaScript(登録商標)等を含むWebAPP(Web Application)で作成されよい。後述する教師画面T2、T3、生徒画面S1~S3についても同様である。
【0102】
教師画像表示欄301は、教師が使用する端末10が撮像した画像データが表示される欄である。生徒画像表示欄302は、生徒が使用する端末70が撮像した画像データが表示される欄である。
図11では4つの生徒画像表示欄302があるが、生徒画像表示欄302の数は生徒の数によって増減する。
【0103】
事前録音データリスト欄303は、管理システム50が端末10に送信した録音ファイル名のリストが表示される欄である。
図11では5つの録音ファイル名が表示されているが、数は一例である。表示しきれない場合はスクロールボタンなどが表示される。それぞれの録音ファイル名はユーザの押下(選択)を受け付けることができる。アップロードボタン304は教師が選択した録音ファイル名の録音IDを端末10が管理システム50に送信するためのボタンである。スタートボタン305とエンドボタン306は事前に録音された録音ファイルでなく、教師がリアルタイムに発声した音声データを入力し、端末10が管理システム50に送信する際に使用される。すなわち、教師がスタートボタン305を押下してからエンドボタン306を押下するまでに教師が発声した音声が管理システム50に送信される。詳細は
図17にて説明する。
【0104】
図12(a)は、教師画面T2aの一例を示す。教師画面T2aは、教師画面T1から遷移する。なお、教師画面T2aに関しては教師画面T1との相違を説明する。教師画面の構成は教師画面T1と同様であるが、教師画面T2aでは事前録音データリスト欄303の録音ファイル名が1つ選択された状態である。このように、教師が選択した録音ファイル名は強調され、アップロードボタン304による管理システム50への録音IDの送信が可能になる。
【0105】
教師画面T2aでは教師は録音ファイルを選択すれば、お手本の音声データを生徒に聴かせることができるので、いつも同じ音声データを聴かせることができる。なお、録音ファイルは教師本人(同一人物)が録音しておく必要はなく、使い回してよい。
【0106】
図12(b)は、教師画面T2bの一例を示す。教師画面T2bは、教師画面T1から遷移する。なお、教師画面T2bに関しては教師画面T1との相違を説明する。教師画面の構成は教師画面T1と同様であるが、教師画面T2bではスタートボタン305が押下された状態である。したがって、教師が音声を発声中であり、この音声データがリアルタイムに管理システム50に送信されている。
【0107】
教師画面T2bでは教師はリアルタイムにお手本の音声データを生徒に聴かせることができるので、任意のセンテンス(英語の文又は文章)を生徒に練習させることができる。また、教師画面T1,T2a、T2bの構成から明らかなように、教師は事前に録音された音声データとリアルタイムの音声データを適宜、組み合わせながら授業できる。
【0108】
図13は、教師画面T3の一例を示す。教師画面T3は、正解音声再生ボタン311、リトライボタン312、終了ボタン313、生徒画像表示欄314、発音記号欄316a、316b、詳細評価欄317、点数欄318、及び、回答音声再生ボタン315を有する。正解音声再生ボタン311は、お手本の録音ファイルを端末10、70で出力させるためのボタンである。お手本の録音ファイルの録音IDが管理システム50に送信される。この場合、単に音声データが流れるだけでリトライ番号は増えない。リトライボタン312は、同じお手本の録音ファイルの録音IDを再度、管理システム50に送信して生徒たちに発声させるためのボタンである。
【0109】
再度、同一の問題を出題する場合、教師が端末10のリトライボタン312を押下することで、録音管理部54と解析・結果管理部55は
図10のステップT4以降を再実行し、同一のフローを繰り返す。まず、お手本の録音ファイルの録音IDとリトライである旨が管理システム50に送信される。録音管理部54はリトライである旨を端末70に送信することで、生徒画面S3から生徒画面S1に遷移させる(これが、生徒画面S3から生徒画面S1に遷移させる信号となる)。次に、録音管理部54は録音IDの録音ファイルを端末70に送信することで、端末70は録音ファイルの例えば受信完了時に生徒画面S1から生徒画面S2に遷移する。生徒画面S1から生徒画面S2に遷移させる信号を管理システム50が端末70に明示的に送信してもよい。録音管理部54は、再度、端末70からの音声データを録音して録音IDを採番し、録音管理DB5003に登録する。次に、解析・結果管理部55は音声を比較する。解析・結果管理部55は結果管理DB5004の手本録音IDをステップT4の録音IDで検索し、ヒットしたレコードの中から最も大きいリトライ番号を有するレコードを特定し、このレコードのリトライ番号を1つ大きくする。そして、手本録音ID(T4で送信されている録音ID)、回答録音ID(新たに採番した端末70の音声データの録音ID)、会議ID、問題番号(録音IDでヒットしたレコードの問題番号と同じ)、1つ大きくしたリトライ番号、手本解析結果、回答認識結果、及び、採点結果を結果管理DB5004に登録する。送受信部51は評価結果を端末10,70に送信する。以上により、端末10には、再度、
図13の教師画面T3が表示される。また、端末70には、再度、
図16の生徒画面S3が表示される。
【0110】
終了ボタン313は現在のお手本の録音ファイルの出題を終了するためのボタンである。終了ボタン313が押下されると、教師の端末10は教師画面T1に戻り、生徒の端末10は生徒画面S1に戻る。したがって、通常のビデオ会議の状態となる。この場合も生徒は生徒画面S1に戻るための操作が不要である。
【0111】
生徒画像表示欄314は
図11と同様である。発音記号欄316aは教師の音声データから変換された発音記号を示し、発音記号欄316bは生徒の音声データから変換された発音記号を示す。詳細評価欄317は管理システム50がお手本の音声データと生徒の音声データを比較して評価した結果である。
図13では、音声データの各単語が発音記号に変換され、発音記号ごとに「○」「×」が添付されている。「○」はお手本の音声データと生徒の音声データの発音記号が一致したことを示し、「×」はお手本の音声データと生徒の音声データの発音記号が一致しないことを示す。また、点数欄318には一致の程度に応じて点数が付与されている。解析・結果管理部55は1回の出題を1センテンスとして、1センテンスに含まれる単語のうち発音記号が一致した割合を点数とする。文字レベルで採点してもよいし、採点方法はこれらに限られない。
【0112】
回答音声再生ボタン315は、生徒の音声データを出力するためのボタンである。回答音声再生ボタン315の押下により録音ファイルの録音IDが管理システム50に送信される。生徒の音声データは管理システム50が教師の端末10にのみ送信してもよいし、この音声データを発声した端末70と端末10にのみ送信してもよいし、全ての端末10,70に送信してもよい。なお、録音管理DB5003では録音IDには通信IDが対応付けられているので、管理システム50はこの通信IDの端末70にのみ送信できる。
【0113】
図13に示すように、教師画面T3には各生徒の評価結果が一覧で表示されるので、各生徒が一度に発声しても各生徒の音声データを個別に評価できる。また、教師は各生徒の音声データを任意に出力できるので、自分自身が生徒の音声データを評価することもできる。
【0114】
図14は、生徒画面S1の一例を示す。生徒画面S1は、会議を開始した当初、端末10が表示する画面である。生徒画面S1は、教師画像表示欄321,及び、生徒画像表示欄322、を有する。教師画像表示欄321と生徒画像表示欄322については教師画面T1と同様でよい。生徒画面S1には「Listen in class」というメッセージ323が表示されている。これは授業内容を聞くという意味であり、生徒画面S1は教師の音声の出力中に表示される。生徒画面S1では教師が生徒と会話したり、教師が生徒に指示を出したりする。生徒が教師に質問することも可能である。
【0115】
図15は、生徒画面S2の一例を示す。生徒画面S2は、各生徒が手本の音声データをまねて音声を発声する画面である。生徒画面S2は、教師画像表示欄321,生徒画像表示欄322、及び、エンドボタン325を有する。教師画像表示欄321と生徒画像表示欄322については教師画面T1と同様でよい。生徒画面S2には「Repeat!!」というメッセージ324が表示されている。これは手本の音声データをまねて発声しないという意味である。生徒画面S2が表示されると、端末70ではお手本の音声データがスピーカから出力され、通信IDとTYPEが送信されたタイミングで管理システム50が音声データの録音を開始する。エンドボタン325は発声が終わった生徒が録音の終了を管理システム50に通知するためのボタンである。
【0116】
図16は、生徒画面S3の一例を示す。生徒画面S3は、生徒の評価結果が表示される画面である。生徒画面S3は、正解音声再生ボタン331、教師画像表示欄332、発音記号欄333a、333b、詳細評価欄334、点数欄336、及び、回答音声再生ボタン335を有する。これらの機能は教師画面3と同様でよい。
【0117】
生徒画面S3ではリトライして発声した音声データごとに評価結果が表示されるので、生徒は各音声データでどこが悪かったのか、改善されたのか、どこが間違いやすいのかなどを把握できる。また、お手本の音声データを任意に出力できる。また、自分の音声データを出力して確認できる。
【0118】
<録音済みの音声データでなく教師が発声する場合の処理手順>
図10では録音済みの音声データをお手本として生徒が発声する処理の流れを説明したが、
図17を用いて教師が発声した音声データをお手本として生徒が発声する処理の手順を説明する。
図17は、管理システム50が生徒の音声データを評価する手順を示すシーケンス図の一例である。なお、
図17の説明では
図10との相違を主に説明する。
【0119】
まず、ステップT1~T2、ステップM1~M4、ステップS1~S3は
図10と同様でよい。
【0120】
T3:教師はリアルタイムに発声した音声データをお手本とするため教師画面T1でスタートボタン305を押下する。
【0121】
T4:端末10のTYPEと通信IDを通知するため、端末10の送受信部11は通信IDとTYPEを管理システム50に送信する。
【0122】
M4:管理システム50の送受信部51はTYPEと通信IDを受信し、これにより録音管理部54は教師の音声データの録音を開始する。
【0123】
T5:教師が発声を終えると教師画面T2b(
図12(b))でエンドボタン306を押下する。操作入力受付部12は押下を受け付ける。
【0124】
T6:教師の端末10の送受信部11は録音を終了させるため通信IDを管理システム50に送信する。
【0125】
M5:管理システム50の送受信部51は通信IDを受信し、これにより録音管理部54は録音を終了し、録音IDを採番する。
【0126】
M6:管理システム50の録音管理部54は録音ID、TYPE、通信ID、及び、録音ファイルを録音管理DB5003に登録する。
【0127】
M7:管理システム50の送受信部51は、録音管理DB5003に登録した音声データを端末70に送信する。これにより、端末70は生徒画面S2を表示するので、以降の処理は
図10と同様になる。
【0128】
このように、本実施形態の通信システム1は、お手本の音声データを教師が発声しても、多数の生徒の音声データと比較した評価及び細やかな指導が可能になる。
【0129】
<音声データの比較・評価>
本実施形態では教師の音声データと生徒の音声データを発音記号で比較し、単語毎に発音がどの程度一致するか否かを比較した。また、1つのセンテンスのうち発音記号が一致する単語の数の割合を点数とした。このように音声データを発音記号に変換する技術としては音声認識技術を利用できる。
【0130】
図18は、音声認識を模式的に説明する図の一例である。
図18は機械学習により音声を発音記号に変換するニューラルネットワーク401を示す。特に、ニューラルネットワーク401の階層が深いものをディープラーニングという。また、音声データのような時系列データを分類するにはRNN(Reccurent Neural Network)が適していることが知られている。
【0131】
一例として20ミリ秒ごとにスライスした音声データをMFCC(Mel-frequency cepstral coefficients)に変換し、入力層402の各ノードに入力する。出力層403の各ノードには各発音記号が対応する。
【0132】
学習フェーズにおいて入力層402にはMFCCに変換された音声データが入力され、出力層403には、音声データに含まれる音声の発音記号に対応するノードに「1」が割り当てられる(その他のノードは「0」)。そして、入力層402のノード、ニューラルネットワーク401の各階層のノード、及び、出力層403のノードの間の重みが誤差逆伝播法で学習される。
【0133】
認識フェーズでは、入力された音声データが含む発音記号に近い出力層403のノードほど大きい値(1に近い値)を出力する。解析・結果管理部55は閾値以上の値を出力したノードに対応する発音記号を取り出す。この発音記号が複数の場合は、発音記号のつながりやすさを確率で示す辞書データを参照し、前後の発音記号との組み合わせごとにつながりやすさの確率を算出し、確率が最も高くなる組み合わせになるように発音記号を特定する。
【0134】
なお、種々の音声認識方法があり、
図18の説明は一例に過ぎない。例えば隠れマルコフモデルを使用して音声認識してもよい。また、本実施形態ではこの他の手法を採用しても何ら支障がない。
【0135】
また、本実施形態では音声データを発音記号に変換したが、音声データを単語(アルファベット)に変換してもよい。音声データの単語(アルファベット)への変換には公知の方法を採用できる。一般的な英語の辞書には単語の発音記号が掲載されているので、単語が決まれば発音記号も一意に決まる。したがって、音声データを発音記号に変換できる。ただし、発音が悪い音声も正しい単語に認識するような優秀な識別器が生成されている場合、生徒の発音が悪くても正しい発音記号であると判断されるおそれがある。
【0136】
楽器などの音データの評価では、例えば教師と生徒の音データをそれぞれフーリエ変換して、周波数ごとの強度の差異を比較して数値化するなどの方法がある。
【0137】
<まとめ>
以上説明したように、本実施形態の通信システム1は、遠隔地の教師が複数の生徒の発声を指導する形態においても、管理システム50が教師の音声と各生徒の音声を比較するので、1人の教師が多数の生徒の発声を並行して指導することが可能になる。1対1の授業と同等以上に細やかな指導が可能である。
【0138】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0139】
<<システム構成の別の例>>
図2では管理システムが1台であったが管理システム50は通信システム1内に複数存在してもよい。
図19は、本実施形態に係る通信システム1の概略図である。
図19では、複数の管理システム50がネットワークに接続されている。このように通信システム1に含まれる管理システム50は複数台でもよく、どの管理システム50に機能を備えさせてもよい。
【0140】
また、本実施形態で説明する端末10と管理システム50とが接続されたシステム構成は一例であり、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があることは言うまでもない。
【0141】
また、
図20に示すように、管理システム50と中継装置30は1つのサーバ装置60として存在してもよい。
図20のサーバ装置60は、管理システム50の機能と中継装置30の機能を併せ持っている。また、このサーバ装置60が複数存在してもよい。
【0142】
<<メールアドレスによるユーザの識別>>
本実施形態では通信IDで端末10、70が識別されていたが、端末10を識別する識別情報として、ユーザIDが用いられてもよい。また、このユーザIDとしてメールアドレスが用いられてよい。この場合、端末10、70のユーザはメールアドレスで管理システム50にログインする。
【0143】
図21は、端末10,70が管理システム50へログインする処理を示すシーケンス図の一例である。なお、
図21の説明では
図9との相違を主に説明する。
図21に示すように、ステップS3、S13-2では通信IDでなく、メールアドレスが送信されている。管理システム50はメールアドレスとパスワードでユーザを認証する。
【0144】
同様に、
図10で説明した生徒の音声データを評価する手順では、ステップS4、S7で通信IDでなくメールアドレスが送信される。
図17についても同様に、通信IDの代わりにメールアドレスが使用される。
【0145】
<<アプリでなく汎用的なブラウザアプリによるテレビ会議>>
上記の実施形態では、端末10、70で通信アプリA1、A7が動作すると説明したが、同様の処理をWebアプリによっても実現できる。Webアプリは、Webブラウザ上で動作する例えばJavaScript(登録商標)によるプログラムとWebサーバ側のプログラムが協調することによって動作し、ユーザはそれをブラウザ上で使用する。
【0146】
図22は、端末10,70におけるWebアプリの構成例を示す図である。端末10は管理システム50から、教師用のプログラム1030(HTML5+JAVASCRIPT+CSS等)をダウンロードしブラウザアプリ1040上で実行する。端末70は管理システム50から、生徒用のプログラム7030(HTML5+JAVASCRIPT+CSS等)をダウンロードしブラウザアプリ7040上で実行する。この場合は例えば通信IDで教師か生徒かが判断される。
【0147】
なお、
図22においても、通信IDでなく端末10を識別する識別情報としてユーザIDが用いられてよい。このユーザIDとしてメールアドレスが用いられてよい。
【0148】
端末10,70はHTTP又はHTTPS等のプロトコルを用いて管理システム50とデータを送受信することによって、管理システム50が提供しているサービスを利用できる。このような利用形態では、予め端末10,70に通信アプリA1、A7をダウンロードしておく必要がない。
【0149】
<その他>
例えば、本実施形態では、テレビ会議端末(通信端末)を用いた会議室への参加を例に説明したが、通信端末の機能を有する各種の装置でも適用できる。例えば、通信端末の機能を有している電子黒板にも好適に適用できる。
【0150】
また、電子黒板には大型のタッチパネルを備えたものだけでなく、プロジェクタが映像を投影し、電子ペンの位置を音波等とカメラにより検出するものがある。
【0151】
また、
図6などの構成例は、管理システム50、端末10、70、及び中継装置30による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。管理システム50、端末10、70、及び中継装置30の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0152】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)、SOC(System on a chip)、GPU(Graphics Processing Unit)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0153】
また、本実施形態では、教師と生徒が会話しながら授業が進められているが、生徒が録音ファイルを自分でダウンロードして出力し、それをお手本にして発声した音声データを管理システム50に送信してもよい。管理システム50は生徒の音声データを評価しておき、教師が任意のタイミングでダウンロードする。こうすることで、互いの時間を節約できたり、生徒が宿題を実行したりすることができる。
【0154】
また、音声データだけでなく画像データを評価に採用してもよい。例えば、機械学習で口の動きを発音記号に変換することで同様に評価できる。
【0155】
なお、送受信部51は通信手段又は第2の通信手段の一例であり、解析・結果管理部55は生成手段の一例であり、お手本の音声データは第1の音データの一例であり、生徒が発声した音声データは第2の音データの一例であり、教師は第1のユーザの一例であり、生徒は第2のユーザの一例であり、端末10は第1の通信端末の一例であり、端末70は第2の通信端末の一例であり、送受信部11は第1の通信手段の一例であり、出力制御部14は表示制御手段の一例である。
【符号の説明】
【0156】
1 通信システム
10、70 端末
30 中継装置
50 管理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0157】