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特許7119629電源装置、電源装置の制御方法、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】電源装置、電源装置の制御方法、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/28 20060101AFI20220809BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220809BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220809BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20220809BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220809BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G06F1/28
H02J7/00 Y
G03G21/00 398
G03G21/14
H04N1/00 885
B41J29/38 104
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018116520
(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公開番号】P2019219888
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川村 啓之
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-076066(JP,A)
【文献】特開2018-081494(JP,A)
【文献】特開2016-088033(JP,A)
【文献】特開2014-124054(JP,A)
【文献】特開2008-289308(JP,A)
【文献】特開2009-104299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26- 1/3296
H02J 7/00
G03G 21/00
G03G 21/14
H04N 1/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーと、
コントローラと、
前記バッテリーと前記コントローラとの間に接続されており、第1過電流検知電流値、又は、前記第1過電流検知電流値よりも値の小さい第2過電流検知電流値に基づき前記コントローラへ流れる電流の過電流を検知する過電流検知部と、
前記過電流検知部に、前記バッテリーの残量が閾値より大きい場合に前記第1過電流検知電流値に基づく過電流を検知させ、前記バッテリーの残量が前記閾値以下の場合に、前記第2過電流検知電流値に基づく過電流を検知させる制御部と、
を備え
前記第2過電流検知電流値は、前記コントローラを起動させるために前記コントローラに供給される電流値より小さく、前記コントローラのメモリに記憶されている情報を保持するのに必要な電流値より大きい、
電源装置。
【請求項2】
記閾値は、前記コントローラの起動により消費される電力と対応する残量である、
請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
商用電源からの電力の供給が停止されたとき、前記バッテリーから電力を供給させる、請求項又は請求項2のいずれかに記載の電源装置。
【請求項4】
電源装置による制御方法であって、
バッテリーとコントローラとの間に接続された過電流検知部により、第1過電流検知電流値、又は、前記第1過電流検知電流値よりも値の小さい第2過電流検知電流値に基づき前記コントローラへ流れる電流の過電流を検知する手順と、
前記過電流検知部に、前記バッテリーの残量が閾値より大きい場合に前記第1過電流検知電流値に基づく過電流を検知させ、前記バッテリーの残量が前記閾値以下の場合に、前記第2過電流検知電流値に基づく過電流を検知させる手順と、を有し、
前記第2過電流検知電流値は、前記コントローラを起動させるために前記コントローラに供給される電流値より小さく、前記コントローラのメモリに記憶されている情報を保持するのに必要な電流値より大きい、
電源装置の制御方法。
【請求項5】
コントローラと、
前記コントローラに電力を供給するバッテリーと、
前記バッテリーと前記コントローラとの間に接続されており、第1過電流検知電流値、又は、前記第1過電流検知電流値よりも値の小さい第2過電流検知電流値に基づき前記コントローラへ流れる電流の過電流を検知する過電流検知部と、
前記過電流検知部に、前記バッテリーの残量が閾値より大きい場合に前記第1過電流検知電流値に基づく過電流を検知させ、前記バッテリーの残量が前記閾値以下の場合に、前記第2過電流検知電流値に基づく過電流を検知させる制御部と、
を備え
前記第2過電流検知電流値は、前記コントローラを起動させるために前記コントローラに供給される電流値より小さく、前記コントローラのメモリに記憶されている情報を保持するのに必要な電流値より大きい、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、電源装置の制御方法、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では、AC(Alternating Current)電源からの電力の供給が停止された場合に、バッテリーを用いてコントローラや装置本体を動作させる技術が知られている。
【0003】
この技術の一つとして、例えば、蓄電デバイスの残容量が一定量未満となった場合に、コントローラが画像形成装置の電源をオフにすることで、処理が不適正に行われることを抑止することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、蓄電デバイスの残容量が一定量未満となった場合に、その残容量を消費することについては考慮がされていなかった。つまり、従来技術では、蓄電デバイスの残容量が一定量未満になると、画像形成装置の電源がオフされるため、残っている蓄電デバイスの電力は消費されない。このため、従来では、バッテリーの電力をコントローラに供給する時間が短くなっていた。
【0005】
開示の技術では、電力を安全に消費させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術は、バッテリーと、コントローラと、前記バッテリーと前記コントローラとの間に接続されており、第1過電流検知電流値、又は、前記第1過電流検知電流値よりも値の小さい第2過電流検知電流値に基づき前記コントローラへ流れる電流の過電流を検知する過電流検知部と、前記過電流検知部に、前記バッテリーの残量が閾値より大きい場合に前記第1過電流検知電流値に基づく過電流を検知させ、前記バッテリーの残量が前記閾値以下の場合に、前記第2過電流検知電流値に基づく過電流を検知させる制御部と、を備え、前記第2過電流検知電流値は、前記コントローラを起動させるために前記コントローラに供給される電流値より小さく、前記コントローラのメモリに記憶されている情報を保持するのに必要な電流値より大きい電源装置である。
【発明の効果】
【0007】
電力を安全に消費させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置の機能を説明する図である。
図3】本実施形態に係る画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
図4】本実施形態に係る画像形成装置の動作を説明する図である。
図5】本実施形態に係る画像形成装置のバッテリー残量と過電流検知電流値との関係を説明する図である。
図6】本実施形態に係る画像形成装置の動作を説明する図である。
図7】本実施形態に係る画像形成装置の動作を説明する図である。
図8】本実施形態に係る画像形成装置の動作を説明する図である。
図9】比較例の画像形成装置におけるバッテリーの残量と装置の動作について説明する図である。
図10】比較例の画像形成装置の動作を説明する図である。
図11】比較例の画像形成装置の動作を説明する図である。
図12】比較例の画像形成装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して本実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。図1に示す画像形成装置100は、例えば、デジタル複合機である。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能等を実現する。画像形成装置100は、ユーザから受け付けた操作に応じて、実現する機能を切り替える。
【0011】
図1を用いて、複写機能を例に画像形成装置100の画像形成の流れを説明する。
【0012】
画像形成装置100において、複写機能を実現する場合、原稿束は自動原稿送り装置ADF(Auto Document Feeder)10により、順に画像読み取り装置20に給送される。給送された原稿束は画像読み取り装置20により画像情報として読み取られる。そして、読み取られた画像情報は、画像処理を行った後に書き込みユニット30により光信号に変換される。プリンタユニット40は、感光体ドラム50と、現像装置60と、搬送ベルト70と、定着装置80とを有する。感光体ドラム50は一様に帯電された後に書き込みユニット30からの光信号により露光される。露光された感光体ドラム50には、静電潜像が形成される。感光体ドラム50上の静電潜像は現像装置60により現像されてトナー像となる。このトナー像は、搬送ベルト70により転写紙に転写される。転写紙には、定着装置80によりトナー像が定着される。そして、転写紙は画像形成装置100から排出される。
【0013】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の機能を説明する図である。本実施形態の画像形成装置100は、本体装置200と、電源供給装置300とを有する。本体装置200には、電源供給装置300から電力が供給される。
【0014】
本実施形態の本体装置200は、コントローラ210と、エンジン220とを有する。本体装置200は、画像形成装置100が受け付けた各種ジョブを実行する。各種ジョブは、例えば画像形成装置100に送信された印刷データの印刷や、原稿のスキャンやコピー、ファックスの送信、受信等である。
【0015】
本実施形態のコントローラ210は、演算処理装置212(例えば、CPU(Central Processing Unit))とメモリ214を有し、エンジン220を制御する。
【0016】
なお、メモリ214には、例えば、上述した複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能等の機能を実現するためのプログラム(アプリケーション)が格納されていても良い。これらのプログラムは、演算処理装置212により読み出されて実行される。
【0017】
また、コントローラ210は、電源供給装置300にAC電源400から電力が供給されているか否かを検出する。
【0018】
本実施形態のコントローラ210には、電源スイッチ230が接続されている。電源スイッチ230が押下されると画像形成装置100は次のように起動する。
【0019】
画像形成装置100において、電源スイッチ230が押下されると、最初にコントローラ210が起動する。コントローラ210は、起動すると、必要な処理に応じてエンジン220等に起動を指示する。エンジン220等は、コントローラ210からの指示を受けて起動する。
【0020】
本実施形態のコントローラ210では、電源スイッチ230が押下されたときにメモリ214に起動に必要な情報が保持されているか否かによって、起動の仕方が変わる。
【0021】
なお、本実施形態では、コントローラ210が、受け付けた要求に応じた処理を直ちに実行できる状態となることを、コントローラ210が起動する、と表現する。
【0022】
具体的には、コントローラ210は、電源スイッチ230が押下されたときに、メモリ214に起動に必要な情報が保持されていない場合には、演算処理装置212によって、コントローラ210の起動に必要な情報を新たに作成して、メモリ214に格納する。
【0023】
なお、メモリ214に起動に必要な情報が保持されていない場合とは、例えば、最初に画像形成装置100を起動する場合や、コントローラ210への給電が停止された後に、コントローラ210が再度起動する場合等である。
【0024】
以下の説明では、メモリ214に起動に必要な情報が保持されていない場合のコントローラ210の起動の仕方を通常起動という。
【0025】
また、コントローラ210は、電源スイッチ230が押下されたときに、メモリ214に起動に必要な情報が保持されている場合には、コントローラ210は、メモリ214に保持された情報を利用して起動する。
【0026】
なお、電源スイッチ230が押下されたときに、メモリ214に起動に必要な情報が保持されている場合とは、例えば、電源供給装置300によって、メモリ214に記憶している情報を保持するために必要な電力がコントローラ210に供給されている場合等である。コントローラ210のメモリ214に記憶している情報を保持するために必要な電力は、コントローラ210の起動や動作に必要な電力より小さい。
【0027】
以下の説明では、メモリ214に起動に必要な情報が保持されている場合のコントローラ210の起動の仕方を高速起動という。
【0028】
コントローラ210は、高速起動する場合には、起動に必要な情報を新たに作成する必要がない。このため、コントローラ210は、高速起動する場合は、通常起動する場合よりも高速に起動することができる。
【0029】
なお、以下の説明において、通常起動と高速起動とを区別せずに、単に起動と表現する場合には、高速起動を示す。
【0030】
本実施形態のエンジン220は、コントローラ210の指示に応じて、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を実現するために必要な動作を行う。エンジン220は、例えば、用紙等の記録媒体に対する画像の形成や画像が形成された記録媒体の出力等を行う。
【0031】
本実施形態の電源供給装置300は、電源装置310と、電源供給ユニット370と、を有する。電源供給装置300には、AC電源400が接続されている。電源供給装置300は、AC電源400から供給された電力を本体装置200に供給する。
【0032】
本実施形態の電源供給ユニット370は、AC電源400からの電力をコントローラ210、エンジン220、バッテリー320等に供給する。電源供給ユニット370は、PSU(Power Supply Unit)ともいう。電源供給ユニット370は、AC電源400から電力が供給されているときは、コントローラ210に電力を供給する。
【0033】
本実施形態の電源装置310は、バッテリー320と、過電流検知部330と、制御部340と、通信部350と、バッテリー残量検知部360と、を有する。
【0034】
本実施形態のバッテリー320は、充放電可能な蓄電デバイス、具体的には、リチウムイオン電池、キャパシタ等である。
【0035】
本実施形態の過電流検知部330は、バッテリー320と、コントローラ210との間に接続される。過電流検知部330は、電源装置310からコントローラ210へ、過電流が流れることを防止する。具体的には、過電流検知部330は、電源装置310からコントローラ210へ流れる電流の電流値を検知して、電流値が過電流検知電流値より大きい場合には電流を遮断する回路等である。
【0036】
本実施形態の過電流検知部330は、過電流検知電流値を複数の電流値に切り替えることができる。
【0037】
過電流検知部330は、第1過電流検知部331と、第2過電流検知部332と、切替部334とを有する。
【0038】
第1過電流検知部331は、電流値が第1過電流検知電流値となったとき、過電流を検知する。第2過電流検知部332は、電流値が第2過電流検知電流値となったとき、過電流を検知する。切替部334は、バッテリー320から出力される電流の供給先を第1過電流検知部331又は第2過電流検知部332のいずれかに切り替える。
【0039】
本実施形態では、切替部334が、電流の供給先を第1過電流検知部331又は第2過電流検知部332の何れかに切り替えることによって、過電流検知部330の過電流検知電流値が切り替えられる。
【0040】
また、過電流検知部330の過電流検知電流値の切り替えは、上述の切替部334に限らず、例えば、複数の過電流検知電流値を選択できる一つの過電流検知回路において、選択する過電流検知電流値を切り替えることによって実現されても良い。
【0041】
過電流検知部330の過電流検知電流値の一つは、コントローラ210が通常の動作を行うために必要な電流値、つまり、コントローラ210の通常の動作においてコントローラ210に供給される電流値より大きい電流値(例えば、15A)である。言い換えれば、コントローラ210が通常に動作しても過電流が検知されないような電流値である。以下、コントローラ210が通常の動作を行うために必要な電流値より大きい過電流検知電流値を第1過電流検知電流値という。
【0042】
また、過電流検知部330の過電流検知電流値の一つは、コントローラ210の起動に必要な電流値より小さく、コントローラ210のメモリ214に記録されている情報を保持するために必要な電流値より大きい電流値(例えば、1A)である。コントローラ210の起動に必要な電流値とは、コントローラ210を起動させるためにコントローラ210に供給される電流値である。
【0043】
以下、コントローラ210の起動に必要な電流値より小さく、コントローラ210のメモリ214に記録されている情報を保持するために必要な電流値より大きい過電流検知電流値を第2過電流検知電流値という。したがって、第2過電流検知電流値は、第1過電流検知電流値よりも小さい値となる。
【0044】
以上のことから、過電流検知部330の過電流検知電流値を切り替えることは、電源装置310のコントローラ210に電力を供給する能力を切り替えることになる。
【0045】
例えば、本実施形態では、過電流検知部330の過電流検知電流値を第1過電流検知電流値にすれば、電源装置310からは、コントローラ210を通常に動作させるのに必要な電力が供給される。また、過電流検知部330の過電流検知電流値を第2過電流検知電流値にすれば、電源装置310からは、コントローラ210のメモリ214に記録されている情報を保持するために必要な電力が供給される。
【0046】
本実施形態の制御部340は電源装置310全体の制御を行う。
【0047】
本実施形態の通信部350は、本体装置200のコントローラ210と通信を行う。
【0048】
本実施形態のバッテリー残量検知部360は、バッテリー320の残量(残容量)を検出する。
【0049】
制御部340は、バッテリー残量検知部360によって検知したバッテリー320の残量が、閾値以下であるか否かによって、過電流検知部330の過電流検知電流値を切り替える。本実施形態の閾値は、例えば、コントローラ210を一度起動させるために必要な電力と対応する残量である。言い換えれば、閾値は、コントローラ210の起動(高速起動)により消費される電力である。
【0050】
本実施形態の制御部340は、AC電源400からの電力の供給が停止されているときは、バッテリー320からコントローラ210に電力を供給するように電源装置310を制御する。
【0051】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【0052】
図3に基づいて、画像形成装置100の動作について説明する。なお、図3のフローチャートでは、スタート時点において、バッテリー320の残量は閾値より大きく、過電流検知電流値は第1過電流検知電流値となっているものとして説明する。
【0053】
また、以下の説明では、AC電源400から電源供給装置300に電力が供給されている状態をAC給電状態という。また、AC電源400から電源供給装置300への電力の供給が停止している状態を、停電状態という。画像形成装置100が停電状態となるのは、例えば、画像形成装置100の電源プラグがAC電源400につながるコンセントから引き抜かれているときなどである。
【0054】
ステップS301において、画像形成装置100は、コントローラ210により、自機の状態が停電状態であるか否かを判定する。言い換えれば、画像形成装置100は、自機の状態が、AC給電状態であるか、又は、停電状態であるかを判定する。コントローラ210は、判定結果を電源装置310の通信部350に送信する。
【0055】
具体的には、コントローラ210は、電源供給装置300の電源供給ユニット370に、AC電源400から電力が供給されているか否かを問い合わせる。
【0056】
そして、コントローラ210は、電源供給装置300にAC電源400から電力が供給されている場合、つまり、AC給電状態である場合には、ステップS301の処理を繰り返す。
【0057】
また、コントローラ210は、電源供給装置300に対するAC電源400から電力の供給が停止されている場合、つまり、停電状態である場合は、ステップS302へ進む。
【0058】
ステップS302において、電源装置310は、制御部340により、バッテリー320からコントローラ210への給電を開始させる。
【0059】
ステップS303において、電源装置310は、バッテリー残量検知部360により、バッテリー320の残量を検知し、検知した残量を制御部340に送信する。制御部340は、バッテリー320のバッテリー残量が閾値以下か判定する。
【0060】
バッテリー320のバッテリー残量が閾値より大きい場合は、制御部340は、ステップS302とステップS303の処理を繰り返す。
【0061】
バッテリー320のバッテリー残量が閾値以下の場合は、制御部340は、ステップS304の処理を行う。バッテリー残量の閾値は、例えば、コントローラ210を一度起動させるために必要な電力と対応する残量である。
【0062】
ステップS304において、制御部340は、過電流検知部330に対し、過電流検知電流値の切り替えを指示する。具体的には、制御部340は、過電流検知部330の切替部334により、過電流検知電流値を、第1過電流検知電流値から第2過電流検知電流値に切り替える。
【0063】
ステップS305において、画像形成装置100は、自機が停電状態からAC給電状態に復旧したか否かを判定する。具体的には、画像形成装置100は、コントローラ210により、電源供給装置300に対するAC電源400からの電力の供給が再開されたか否かを判定する。そして、コントローラ210は、その判定結果を電源装置310の通信部350に送信する。
【0064】
制御部340は、通信部350が受信した判定結果が、AC給電状態に復旧したことを示す場合には、ステップS308の処理を行う。制御部340は、判定結果が復旧していないことを示す場合は、ステップS305~S307の処理を繰り返す。
【0065】
ステップ305において、AC給電状態に復旧した場合には、制御部340は、ステップS308において、電源供給ユニット370により、バッテリー320に給電させて、バッテリー320を充電する。
【0066】
そして、ステップS309において、画像形成装置100は、バッテリー残量検知部360により、バッテリー残量を検知して、その結果を制御部340に送信する。制御部340は、バッテリー320のバッテリー残量が閾値以上か判定する。
【0067】
バッテリー320のバッテリー残量が閾値未満の場合は、制御部340は、ステップS308とステップS309の処理を繰り返す。バッテリー320のバッテリー残量が閾値以上の場合は、制御部340は、ステップS310の処理を行う。
【0068】
ステップS310において、制御部340は、切替部334により、過電流検知部330の過電流検知電流値を切り替える。具体的には、切替部334は、過電流検知部330の過電流検知電流値を、第2過電流検知電流値から第1過電流検知電流値に切り替える。そして、制御部340は、ステップS301へ戻る。
【0069】
ステップS305において、AC給電状態に復旧していない場合、コントローラ210は、ステップS306において、電源スイッチ230が押されたか否かを判定する。
【0070】
ステップS306において、電源スイッチ230が押された場合、コントローラ210は、ステップS306からステップS311へ進む。
【0071】
ステップS311において、過電流検知部330は、過電流を検知してバッテリー320からの電流を遮断し、後述するステップS312へ進む。
【0072】
なお、ここでは、過電流検知部330には、第2過電流検知電流値が設定されている。
【0073】
このため、コントローラ210は、電源スイッチ230の押下を受けて、自身を起動させるために必要となる電流をバッテリー320から得ようとする。このときに、バッテリー320からコントローラ210へ流れる電流の電流値が第2過電流検知電流値より大きくなり、コントローラ210への流れる電流が遮断される。したがって、コントローラ210は起動しない。
【0074】
ステップS311のコントローラ210の動作によって、バッテリーの残量は、ステップS312において、すべて消費されて処理は終了となる。この場合、コントローラ210に対する電力の供給が停止されるため、メモリ214に記憶された情報は保持されず、消去される。したがって、コントローラ210が次に起動する際には、通常起動によって起動することになる。
【0075】
以下の説明では、メモリ214から、起動に必要とされる情報が消去されることを、高速起動が無効となる、と表現し、メモリ214に起動に必要とされる情報が保持されていることを、高速起動が有効である、と表現する場合がある。
【0076】
ステップS306において、電源スイッチ230が押されていない場合、制御部340は、ステップS307において、バッテリー残量検知部360により、バッテリー320の残量が残っているか否かを判定する。
【0077】
ステップS307において、残量が残っている場合、制御部340は、ステップS305へ戻る。ステップS307において、残量が残っていない場合、処理は終了となる。
【0078】
以上のように、本実施形態では、コントローラ210を一度起動させるために必要な電力と対応する残量を、過電流検知電流値を切り替えるか否かの判定に用いる閾値とし、バッテリー320の残量が閾値以下である場合に、過電流検知電流値を第2過電流検知電流値にする。第2過電流検知電流値は、コントローラ210を起動させるために必要な電流値よりも小さい電流値である。
【0079】
このため、本実施形態によれば、バッテリー320の残量が閾値以下のときに、コントローラ210が起動することを防止できる。つまり、本実施形態によれば、コントローラ210の起動途中でバッテリー320の容量がすべて消費され、予期せぬタイミングで電力の供給が断たれることに起因する、画像形成装置100の故障を防止することができる。
【0080】
また、本実施形態では、バッテリー320の残量が閾値以下となっても、電源スイッチ230が押下されなければ、バッテリー320の残量が無くなるまで、メモリ214に記憶された、起動に必要とされる情報を保持し続けることができる。
【0081】
したがって、本実施形態によれば、バッテリー320の残量が閾値以下となってからも、安全にバッテリー320の残量を消費することができる。
【0082】
さらに、本実施形態では、例えば、バッテリー320の残量が閾値以下の状態から、画像形成装置100が停電状態からAC給電状態に復旧した場合には、停電状態の間もコントローラ210の高速起動が可能な状態が維持されることになる。したがって、本実施形態によれば、コントローラ210の高速起動が可能な状態を、長くすることができる。
【0083】
このように、本実施形態によれば、バッテリー320の残量に応じて、電源装置310からコントローラ210に電力を供給する能力を切り替えることによって、安全に電力を消費させることができる。
【0084】
図4に基づいて、本実施形態の画像形成装置100の動作について、さらに説明する。
【0085】
図4の一番上のグラフは、横軸が時間、縦軸がバッテリー320の残量を表すグラフである。そのグラフの下に、グラフの時間に対応させてAC電源400による給電(AC給電)の状態と、電力源と、高速起動という項目を設けた。それぞれの項目について説明する。
【0086】
図4のAC給電の項目は、画像形成装置100がAC給電状態であるか、停電状態であるかを示している。図4では、AC給電状態である期間を、「給電」とテキストが付された矢印で表す。また、図4では、停電状態である期間を、「停電」とテキストが付された矢印で表す。
【0087】
図4の電力源の項目は、コントローラ210へ電力を供給する電力源を表している。図4では、電力源が電源供給ユニット370である期間を、「PSU」とテキストが付された矢印で表し、電力源がバッテリー320である期間を、「バッテリー」とテキストが付された矢印で表す。また、図4では、コントローラ210に電力が供給されていない期間を、「給電停止」とテキストが付された矢印で表す。
【0088】
図4の高速起動の項目は、コントローラ210が高速起動できるかどうかを表している。コントローラ210が高速起動する期間を、「有効」とテキストが付された矢印で表す。コントローラ210が通常起動する期間を、「無効」とテキストが付された矢印で表す。
【0089】
一番下のグラフは、横軸が時間、縦軸が過電流検知部330の過電流検知電流値を示すグラフである。
【0090】
時刻t0において、画像形成装置100は、AC給電状態であり、バッテリー320の残量は閾値以上であり、過電流検知部330の過電流検知電流値は、第1過電流検知電流値である。また、時刻t0において、コントローラ210の電力源は、電源供給ユニット370であり、コントローラ210の高速起動は有効になっている。
【0091】
時刻t0~t1の間は、画像形成装置100は、AC給電状態であることから、図3のステップS301が繰り返し行われる。
【0092】
時刻t1において、AC電源400から電源供給装置300への電力の供給が停止された、すなわち、停電状態になったとする。停電状態の場合には、図3のステップS302が実行され、コントローラ210への電力源が、電源供給ユニット370からバッテリー320に変更される。
【0093】
ここで、バッテリー320の残量は、コントローラ210に給電することで徐々に減少する。時刻t1では、バッテリー320の残量が十分あるので、バッテリー320からコントローラ210に給電することできる。したがって、コントローラ210は高速起動することができる。
【0094】
時刻t2において、バッテリー320の残量が閾値以下となる。これは、図3のステップS303において、バッテリー320の残量が閾値以下となることと対応しており、制御部340は、図3のステップS304に示すように、過電流検知部330の過電流検知電流値を第1過電流検知電流値から第2過電流検知電流値に切り替える。
【0095】
時刻t2~t3の間の画像形成装置100の動作は、図3のステップS305~S307の動作に対応する。
【0096】
時刻t3において、AC電源400から電源供給装置300への給電が復旧すると、コントローラ210の電力源はバッテリー320から電源供給ユニット370に変更される。また、時刻t3において、図3のステップS308が実行されることにより、バッテリー320が充電される。バッテリー320が充電されることから、バッテリー320のバッテリー残量は徐々に増えていく。
【0097】
そして、時刻t4において、バッテリー320のバッテリー残量が閾値以上になる。バッテリー320のバッテリー残量が閾値以上となったことから、図3のステップS310が実行され、制御部340は、過電流検知部330の過電流検知電流値を、第2過電流検知電流値から第1過電流検知電流値に切り替える。
【0098】
バッテリー320の充電は、時刻t5においてバッテリー320が満充電されるまで継続して行われる。時刻t5~t6の間においてバッテリー320は満充電されていることから、バッテリー残量は変化しない。
【0099】
ここで、時刻t6において、再度、AC電源400から電源供給装置300への電力の供給が停止された、すなわち、停電状態になったとする。時刻t7において、時刻t2の場合と同様に制御部340は過電流検知部330の過電流検知電流値を第1過電流検知電流値から第2過電流検知電流値に切り替える。その後、AC電源400から電源供給装置300への給電が復旧しなかったとする。
【0100】
時刻t8において、バッテリー320のバッテリー残量がすべて消費されて、コントローラ210への給電が行われなくなる。時刻t8において、高速起動は無効になる。
【0101】
図4の本実施形態の画像形成装置100において、時刻t0からバッテリー320の残量がすべて消費される時刻t8まで、コントローラ210の高速起動を有効にすることができる。時刻t2と時刻t7において、バッテリー320の残量が閾値以下になって過電流検知電流値の切り替えが行われても、高速起動は有効となっている。
【0102】
図5は、バッテリーの残量と過電流検知電流値との関係を示す図である。
【0103】
本実施形態の制御部340が過電流検知部330の過電流検知電流値をバッテリー残量に応じて切り替えることによって、バッテリー残量が閾値より大きい場合は、過電流検知部330の過電流検知電流値は第1過電流検知電流値となる。バッテリーの残量が閾値以下の場合は、過電流検知部330の過電流検知電流値は第2過電流検知電流値となる。
【0104】
本実施形態の画像形成装置100において、図5に示すように、バッテリー320の残量が残っているときにはコントローラ210の高速起動を有効にすることができる。
【0105】
また、バッテリー320の残量に応じて、過電流検知部330の過電流検知電流値を切り替えることによって、電源装置310からコントローラ210に電力を供給する能力を切り替える。それによって、バッテリー残量が閾値以下の場合は、コントローラ210が起動することを防止することができる。バッテリー残量が閾値より大きい場合は、コントローラ210を通常に起動することができる。
【0106】
図6は、本実施形態に係る画像形成装置100について、AC電源400から電源供給装置300への電力の供給が停止された後に、電源スイッチ230が押下されなかった場合の動作について説明する図である。
【0107】
図6のグラフは、横軸が時間、縦軸がバッテリー320の残量を表すグラフである。そのグラフの下に、グラフの時間に対応して、電源SWと、AC給電と、高速起動という項目を設けた。図6のAC給電と高速起動の項目については、図4のAC給電と高速起動の項目とおなじであることから説明は省略する。
【0108】
図6の電源SWの項目は、電源スイッチ230がオンとオフのどちらであるかを表している。電源スイッチ230がオンとなっている期間を、「ON」とテキストが付された矢印で表す。電源スイッチ230がオフとなっている期間を、「OFF」とテキストが付された矢印で表す。
【0109】
時刻t0において、バッテリー320は満充電されているとする。その場合には、過電流検知部330の過電流検知電流値は第1過電流検知電流値になっている。また、時刻t0において、コントローラ210の高速起動は有効になっている。
【0110】
時刻t1において、電源スイッチ230がオフになったとする。
【0111】
時刻t2において、AC電源400から電源供給装置300への電力の供給が停止された、すなわち、停電状態になったとする。すると、コントローラ210への電力源が電源供給ユニット370からバッテリー320に変更される。バッテリー320からコントローラ210へ給電されることから、バッテリー320の残量は徐々に減っていく。
【0112】
時刻t3において、バッテリー残量が閾値以下になることから、過電流検知部330の過電流検知電流値は第1過電流検知電流値から第2過電流検知電流値に切り替わる。過電流検知部330の過電流検知電流値を切り替えても、コントローラ210には電力が供給されていることから、コントローラ210の高速起動は有効になっている。
【0113】
時刻t4において、バッテリー320の電力がすべて消費されることから、バッテリー320からコントローラ210への給電が行われなくなる。コントローラ210への給電が停止されることから、コントローラ210の高速起動は無効になる。
【0114】
上記のように、AC電源400から電源供給装置300への電力の供給が停止になっても、本実施形態の画像形成装置100は、時刻t4でバッテリー320の残量がすべて消費されるまで、コントローラ210の高速起動を有効にしながら、バッテリー320の残量を消費することができる。
【0115】
図7は、本実施形態に係る画像形成装置100について、AC電源400から電源供給装置300への電力の供給が停止された後に、電源スイッチ230が押下された場合の動作について説明する図である。
【0116】
時刻t0~t3までは、図6と同じ動作であることから説明は省略する。
【0117】
時刻t4において、電源スイッチ230が押下されたとする。時刻t3において、過電流検知部330の過電流検知電流値は、第2過電流検知電流値に切り替えられている。そのため、時刻t4において電源スイッチ230が押下されてコントローラ210を起動しようとしても、過電流検知部330で過電流が検知されてバッテリー320からの電力が遮断される。そのためコントローラ210が起動することを防止することができる。
【0118】
時刻t5において、バッテリーの電力がすべて消費される。バッテリー320からコントローラ210への給電が停止されることから、コントローラ210の高速起動は無効になる。
【0119】
上記のように、本実施形態の画像形成装置100は、バッテリー残量が閾値以下の場合に、過電流検知電流値を切り替えることによって、電源装置310の電力を供給する能力を切り替える。したがって、本実施形態では、バッテリー320の残量が閾値以下となった状態で電源スイッチ230が押下されたとき、コントローラ210が起動することを防止できる。
【0120】
図8は、本実施形態に係る画像形成装置100について、AC電源400から電源供給装置300への電力の供給が停止されてからAC電源400から電源供給装置300に電力が供給された際に、電源スイッチ230が押下された場合の動作について説明する図である。
【0121】
時刻t0~t3までは、図6と同じ動作であることから説明は省略する。
【0122】
時刻t4において、AC給電状態に復旧したとする。コントローラ210の電力源は、電源供給ユニット370に切り替えられる。
【0123】
時刻t5において、電源スイッチ230が押下されたとすると、コントローラ210は高速起動する。また、コントローラ210には、電源供給ユニット370から電力が供給されているため、安全に起動することができる。なお、図8において、時刻t4以降のAC給電状態に復旧した後であれば、電源スイッチ230が押下されると、コントローラ210は高速起動する。
【0124】
上記のように、停電してからAC給電状態に復旧した際に、電源スイッチ230が押下された場合において、本実施形態の画像形成装置100は、コントローラ210を高速起動することができる。
【0125】
比較例として、バッテリー残量が閾値以下となった場合に、バッテリーの出力を停止する画像形成装置について説明する。上述のように、バッテリーの残量が、コントローラを一度起動させるために必要な電力と対応する残量以下である場合にコントローラを起動すると、画像形成装置が故障する可能性がある。本実施形態では、このように画像形成装置の故障を防止できる。
【0126】
図9は、比較例の画像形成装置におけるバッテリーの残量と装置の動作について説明する図である。本実施形態の画像形成装置100の図5に対応するものである。
【0127】
バッテリー残量が閾値より大きい場合は、コントローラにバッテリーから電力が給電されているため、画像形成装置のコントローラは高速起動する。バッテリー残量が閾値以下の場合は、コントローラに電力が供給されないので、コントローラは通常起動する。
【0128】
このように、図9の例では、バッテリー残量が閾値以下の場合は、コントローラに電力が供給されないので、バッテリー残量が閾値より大きい期間しかバッテリーからコントローラに給電することができない。
【0129】
それに対して、本実施形態の画像形成装置100は、図5に示したように、バッテリー320の残量が残っている間はコントローラ210の高速起動を有効にすることができる。また、バッテリー320のバッテリー残量が残っている間は、バッテリー320からコントローラ210へ給電することができるので、比較例の画像形成装置より、バッテリー320からコントローラ210への給電する期間を長くすることができる。
【0130】
図10は、比較例の画像形成装置について、AC電源から電源供給装置への電力の供給が停止された後に、電源スイッチが押下されなかった場合の動作について説明する図である。本実施形態の画像形成装置100の図6に対応するものである。
【0131】
時刻t0において、バッテリーは満充電されているとする。この時に、コントローラの高速起動は有効になっている。
【0132】
時刻t1において、電源スイッチがオフになり、時刻t2において、AC電源から電源供給装置への電力の供給が停止されたとする。すると、コントローラの電力源が電源供給ユニットからバッテリーに変更される。バッテリーの残量は、コントローラへの給電を行うため、徐々に減っていく。
【0133】
時刻t3において、バッテリー残量が閾値以下になると、コントローラに対するバッテリーからの給電が停止される。そして、時刻t4において、自然放電等によりバッテリー320の電力はすべて消費される。
【0134】
比較例の画像形成装置は、時刻t3になると、バッテリーからコントローラへの給電が停止されることから、時刻t3でコントローラの高速起動が無効になる。また、時刻t3の時点のバッテリーの残量が利用されていない。
【0135】
それに対して、本実施形態の画像形成装置100は、図6に示したように、バッテリー残量がゼロになる時刻t4まで、バッテリー320からコントローラ210に給電することが可能である。また、時刻t3におけるバッテリー残量を、高速起動を有効にするために利用することができる。
【0136】
図11は、比較例の画像形成装置について、AC電源から電源供給装置への電力の供給が停止された後に、電源スイッチが押下された場合の動作について説明する図である。本実施形態の画像形成装置100の図7に対応するものである。
【0137】
時刻t0~t3までは、図10と同じ動作であることから説明は省略する。
【0138】
時刻t4において、電源スイッチが押下されたとすると、コントローラにはバッテリーから電力が供給されていないことから起動しない。
【0139】
それに対して、本実施形態の画像形成装置100は、図7に示したように、バッテリー残量が閾値以下の場合に、過電流検知電流値を切り替えにより、電源装置310の電力を供給する能力を切り替えて、コントローラ210の起動を防止することできる。
【0140】
図12は、比較例の画像形成装置について、AC電源から電源供給装置への電力の供給が停止された後に、AC電源から電源供給装置に電力が供給された際に、電源スイッチが押下された場合の動作について説明する図である。本実施形態の画像形成装置100の図8に対応するものである。
【0141】
時刻t0~t3までは、図10と同じ動作であることから説明は省略する。
【0142】
時刻t4において、AC電源から電源供給装置に電力が供給される。コントローラには、電源供給ユニットから電力が供給される。
【0143】
時刻t5において、電源スイッチが押下されたとすると、時刻t3において高速起動が無効になっていることから、コントローラは高速起動することができずに通常起動する。また、時刻t6以降に電源スイッチが押下されたとしても、メモリに起動に必要な情報が保持されていないことから、コントローラは高速起動することができずに通常起動する。
【0144】
上記のように、停電してからAC給電状態に復旧した際に、電源スイッチが押下された場合において、比較例の画像形成装置は、コントローラを高速起動することができない。
【0145】
それに対して、本実施形態の画像形成装置100は、図8に示したように、バッテリー残量が一度閾値以下の場合になったとしても、バッテリー残量がゼロになる前にAC給電状態に復旧すれば、コントローラ210を高速起動することができる。
【0146】
本実施形態の画像形成装置100は、バッテリーの残量に応じて過電流検知部の過電流検知電流値を、切り替えることによって、バッテリー320からコントローラ210への電力供給時間を長くすることができる。また、バッテリーの残量に応じて過電流検知部の過電流検知電流値を、切り替えることによって、電源装置310の電力を供給する能力を切り替えて、画像形成装置を安全に動作させることができる。
【0147】
本実施形態では、画像形成装置について説明したが、例えば、パーソナルコンピュータ、プロジェクタ等のバッテリーを用いる機器に、本実施形態の電源装置を適用することもできる。
【0148】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0149】
100 画像形成装置
210 コントローラ
214 メモリ
310 電源装置
320 バッテリー
330 過電流検知部
340 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0150】
【文献】特開2018-049259
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12