(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】入力装置、計測システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/245 20210101AFI20220809BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20220809BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20220809BHJP
【FI】
A61B5/245
A61B5/055 380
G06F3/0488
(21)【出願番号】P 2018246035
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2018048652
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】山形 秀明
(72)【発明者】
【氏名】冨田 教幸
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-160281(JP,A)
【文献】特開2014-123285(JP,A)
【文献】特開2006-026066(JP,A)
【文献】特開2013-063253(JP,A)
【文献】国際公開第2013/026749(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/0538
A61B 5/24-5/398
A61B 5/055
G06F 3/0488-3/04886
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳機能測定装置で検出可能な測定対象に付されたマーカの位置と前記測定対象の
規定位置の立体形状との位置関係を決定すべく、前記測定対象の
規定位置の立体形状をスタイラスペンから送られた
座標信号に応じて入力する入力装置において、
前記測定対象の
規定位置の立体形状と、前記スタイラスペンで次に
なぞるべき領域を示すガイドと、を重畳した画面を生成する制御手段と、
前記制御手段が生成した前記画面を表示部に表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記測定対象の
規定位置の立体形状の3Dモデルを取得するモデル取得手段を備え、
前記制御手段は、前記モデル取得手段から取得した前記測定対象の
規定位置の立体形状の3Dモデルを前記測定対象の
規定位置の立体形状とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記モデル取得手段は、前記スタイラスペンにより少なくとも3つの基準点が指定された場合、指定された少なくとも3つの基準点の位置が合致するように変形させて前記測定対象の
規定位置の立体形状の3Dモデルを生成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記モデル取得手段は、前記スタイラスペンにより少なくとも3つの基準点が指定された場合、複数の前記測定対象の
規定位置の立体形状の3Dモデルの中から3つの基準点の配置が最も近いモデルを選択する、
ことを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項5】
前記制御手段は、医用画像装置の測定画像を前記測定対象の
規定位置の立体形状とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記スタイラスペンで次に
なぞるべき領域を示すガイドが正面となるように、座標系を回転する、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記スタイラスペンの位置を3D表示の視点とする、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記スタイラスペンのペン先端の位置を前記画面に併せて表示する、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記スタイラスペンの移動すべき方向を前記画面に併せて表示する、
ことを特徴とする請求項8に記載の入力装置。
【請求項10】
前記脳機能測定装置は、脳磁図(MEG:Magneto Encephalo Graph)を測定する脳磁計である、
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項11】
脳機能測定装置と、
前記脳機能測定装置で検出可能な測定対象に付されたマーカの位置と前記測定対象の
規定位置の立体形状との位置関係を決定すべく、前記測定対象の
規定位置の立体形状をスタイラスペンから送られた
座標信号に応じて入力する請求項1ないし10のいずれか一項に記載の入力装置と、
を備えることを特徴とする計測システム。
【請求項12】
脳機能測定装置で検出可能な測定対象に付されたマーカの位置と前記測定対象の
規定位置の立体形状との位置関係を決定すべく、前記測定対象の
規定位置の立体形状をスタイラスペンから送られた
座標信号に応じて入力する入力装置を制御するコンピュータを、
前記測定対象の
規定位置の立体形状と、前記スタイラスペンで次に
なぞるべき領域を示すガイドと、を重畳した画面を生成する制御手段と、
前記制御手段が生成した前記画面を表示部に表示する表示手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、計測システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脳磁図(MEG:Magneto Encephalo Graph)を測定する脳磁計においては、脳活動(刺激に対する脳の反応)に伴って発生する微弱な磁場を測定する。測定された結果を被測定者のMRI(Magnetic Resonance Imaging)画像に重畳表示することで、脳のどの部位で活動が起こったかを知ることができる。さらには、測定された磁場の代わりに、それに基づいて推定した電流の発生位置をMRI画像に重畳することで、脳の活動をより詳細に知ることが可能となる。
【0003】
ここで、MRI画像の座標系と、MEGの座標系は異なる。MRI画像上に脳磁計での測定結果を重畳するためには、この座標系間の変換行列を算出する必要がある。
【0004】
この変換行列算出のために、基準点である鼻根点および左右の耳の3点(Fiducial Point:FP)の座標をMRI装置上と脳磁計上で取得する。それぞれの取得方法について、以下に示す。
・MRI装置:画像上で測定者が上記3点を指定する。
・脳磁計:上記3点にマーカコイル(センサ)を付ける。測定の際にマーカコイル(センサ)から磁場を発生し、脳磁計によりマーカコイル(センサ)の位置を測定する。
これにより、FPの位置をそれぞれの座標系で得ることができるので、座標系間の変換行列を求めることができる。
【0005】
さらに、精度を高めるべく、頭部全体の形状を取得し、測定時に頭部と脳磁計の両方を合わせた形状を取得し、それを比較することで性能を向上させる技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
従来の技術によれば、ヘルメットにより頭の大部分が隠れてしまうため、非常に狭い範囲の3D画像で位置合わせを行う必要があった。また、露出されている部分は顎等の変形(動いている)が懸念される領域が多く、変形していた場合には測定対象である脳とセンサの位置関係が正しく測定できないという問題があった。
【0007】
そこで、従来の技術によれば、スタイラスペンの先端で対象となる頭部をなぞることでその形状を取得するデジタイザを利用して、測定対象である被測定者の脳とセンサの位置関係を正しく測定するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ペンタイプのデジタイザを利用する場合、位置合わせの精度を向上させるためには、バランスよく多くの点の座標を収集する必要がある。そのために、従来の技術によれば、デジタイザのユーザインタフェースにおいて、既に取得された点や数等を表示することで、十分な点の数が確保され、なおかつすべての範囲でデータが取得されていることをユーザに分からせるようにしている。さらには、スタイラスペンでこれからなぞるべき領域を示唆する画面も表示するようにしている。
【0009】
しかしながら、実際にデジタイザのスタイラスペンでプロットされた点と、スタイラスペンでこれからなぞるべき領域との関係が分かりにくく、次になぞるべき領域が分かりにくいという問題があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、デジタイザのスタイラスペンで次に取得すべき位置を理解しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、脳機能測定装置で検出可能な測定対象に付されたマーカの位置と前記測定対象の規定位置の立体形状との位置関係を決定すべく、前記測定対象の規定位置の立体形状をスタイラスペンから送られた座標信号に応じて入力する入力装置において、前記測定対象の規定位置の立体形状と、前記スタイラスペンで次になぞるべき領域を示すガイドと、を重畳した画面を生成する制御手段と、前記制御手段が生成した前記画面を表示部に表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、デジタイザのスタイラスペンで次に取得すべき位置を理解しやすくすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる生体信号計測システムの概略図である。
【
図2】
図2は、測定対象である被測定者の頭部を示す図である。
【
図3】
図3は、三次元デジタイザのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、三次元デジタイザの機能を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、画面上での3つのFPの指定例を示す図である。
【
図6】
図6は、3つのFPの指定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、三次元デジタイザの表示部に表示されるUI画像の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、従来の三次元デジタイザの表示部に表示されるUI画像の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、UI画像の表示処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、MRI画像に3つのFPを指定させるユーザインタフェースを示す図である。
【
図11】
図11は、UI画像の表示処理の流れを概略的に示すフローチャートの変形例である。
【
図12】
図12は、UI画像の表示処理の流れを概略的に示すフローチャートの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、入力装置、計測システムおよびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は、実施の形態にかかる生体信号計測システム1の概略図である。生体信号計測システム1は、複数種類の生体信号、たとえば脳磁図(MEG:Magneto-encephalography)信号と脳波図(EEG:Electro-encephalography)信号を測定し、表示する。
【0016】
図1に示すように、計測システムである生体信号計測システム1は、測定装置3と、測定テーブル4と、データ収録サーバ42と、情報処理装置50とを備えている。情報処理装置50は、測定で得られた信号情報と解析結果とを表示するモニタディスプレイ51を有する。本実施の形態では、データ収録サーバ42と情報処理装置50とが別々に設けられているが、データ収録サーバ42の少なくとも一部を情報処理装置50に組み込んでもよい。
【0017】
測定装置3は、脳機能測定装置であって、脳磁図信号と脳波図信号とを測定する脳磁計である。測定対象である被測定者は、頭に脳波測定用の電極(またはセンサ)を付けた状態で測定テーブル4に仰向けで横たわり、測定装置3のデュワ30の窪み31に頭部を入れる。デュワ30は、液体ヘリウムを用いた極低温環境の保持容器であり、デュワ30の窪み31の内側には脳磁測定用の多数の磁気センサが配置されている。測定装置3は、電極からの脳波信号と、磁気センサからの脳磁信号とを収集する。測定装置3は、収集された生体信号をデータ収録サーバ42に出力する。
【0018】
なお、一般的に、磁気センサを内蔵するデュワ30と測定テーブル4とは磁気シールドルーム内に配置されているが、図示の便宜上、磁気シールドルームを省略している。
【0019】
データ収録サーバ42は、測定装置3から出力された生体信号などのデータを収録する。
【0020】
情報処理装置50は、データ収録サーバ42に収録されたデータを読み出してモニタディスプレイ51に表示するとともに、解析する。情報処理装置50は、複数の磁気センサからの脳磁信号の波形と、複数の電極からの脳波信号の波形とを、同じ時間軸上に同期させて表示する。脳波信号は、神経細胞の電気的な活動(シナプス伝達の際にニューロンの樹状突起で起きるイオン電荷の流れ)を電極間の電圧値として表すものである。脳磁信号は、脳の電気活動により生じた微小な磁場変動を表わす。脳磁場は、高感度の超伝導量子干渉計(SQUID)センサで検知される。
【0021】
加えて、生体信号計測システム1は、生体画像測定装置11と、生体画像測定装置11が接続された生体画像収録サーバ10と、を備えている。生体画像収録サーバ10は、情報処理装置50に接続されている。生体画像測定装置11は、測定対象である被測定者のMRI(Magnetic Resonance Imaging)画像を撮像するMRI装置である。生体画像収録サーバ10は、生体画像測定装置11で撮像したMRI画像を記憶する。
【0022】
ここで、
図2は測定対象である被測定者の頭部を示す図である。
図2に示すように、測定対象である被測定者の頭部には、FP(Fiducial Point)であるマーカコイルM1,M2,M3,M4,M5が貼り付けられる。より詳細には、マーカコイルM1は鼻根点に貼り付けられ、マーカコイルM2,M3は左右の耳にそれぞれ貼り付けられ、マーカコイルM4,M5は鼻根点を挟んだ額の左右にそれぞれ貼り付けられる。
【0023】
測定装置3は、測定の際に、マーカコイルから発生する磁場に基づいてマーカコイルの位置を測定する。一方、生体画像測定装置11は、画像上で測定者がFPを指定する。これにより、FPの位置をそれぞれの座標系で得ることができるので、座標系間の変換行列を求めることができる。
【0024】
加えて、生体信号計測システム1は、入力装置である三次元デジタイザ20を備えている。三次元デジタイザ20は、情報処理装置50に接続されている。生体信号計測システム1は、三次元デジタイザ20を利用して、測定対象である被測定者の脳とセンサの位置関係を正しく測定するようにしている。三次元デジタイザ20は、測定対象である被測定者の頭部形状、および測定装置3における頭部位置検出のためのマーカコイルM1,M2,M3,M4,M5の貼り付け位置の測定をする。
【0025】
次に、三次元デジタイザ20について説明する。
【0026】
ここで、
図3は三次元デジタイザ20のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、三次元デジタイザ20は、三次元デジタイザ20の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)25を内蔵している。三次元デジタイザ20に内蔵されるCPU25には、スタイラスペン24の位置を検出する検出回路22と、メモリ21と、通信インタフェース23と、液晶ディスプレイ(LCD)である表示部26とが接続される。ここで、スタイラスペン24は電磁場を放射もしくは電磁場を検知するペンであり、測定対象である被測定者の頭部に接触したことを感知すると、検出回路22によりスタイラスペンの先端位置の座標が検出される。なお、座標取得ボタン(スタイラスペン24に内蔵もしくは無線接続で外部に設置)が押下されたタイミングで座標取得するものでもよいし、一定の時間の間、連続的に座標取得するものでもよい。
【0027】
また、メモリ21は、例えば大容量のフラッシュメモリやハードディスクからなり、筆記位置の座標が書き換え可能な状態で記憶される。一方、通信インタフェース23は、USBポートなどからなる。
【0028】
また、メモリ21は、各種の制御プログラムを格納する。例えば、CPU25は、メモリ21に格納された各種の制御プログラムを実行し、三次元デジタイザ20における各種動作を制御するための制御指令を出力する。
【0029】
本実施の形態の三次元デジタイザ20のCPU25が実行する制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0030】
さらに、本実施の形態の三次元デジタイザ20のCPU25が実行する制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の三次元デジタイザ20のCPU25が実行する制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0031】
次に、CPU25がメモリ21に格納された各種の制御プログラムを実行することにより発揮する三次元デジタイザ20の機能について説明する。なお、ここでは従来から知られている機能については説明を省略し、本実施の形態の三次元デジタイザ20が発揮する特徴的な機能について詳述する。
【0032】
ここで、
図4は三次元デジタイザ20の機能を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、三次元デジタイザ20は、頭部モデルDB201と、モデル取得手段である頭部モデル作成/選択部202と、デジタイザ座標取得部203と、表示手段である表示/操作部204と、制御手段である制御部205と、MRI画像取得部206と、を備える。
【0033】
制御部205は、各部(頭部モデル作成/選択部202、デジタイザ座標取得部203、表示/操作部204、MRI画像取得部206)からの信号を受け取り、適切な命令を発信する。
【0034】
デジタイザ座標取得部203は、スタイラスペン24のペン先端の位置座標を取得する。
【0035】
表示/操作部204は、マウス等を介してユーザの操作を取得して制御部205に送り、また、表示部26に制御部205からの命令に対応した表示を行う。
【0036】
MRI画像取得部206は、制御部205からの命令により、生体画像測定装置11で撮像した被測定者のMRI画像を、情報処理装置50を介して生体画像収録サーバ10から取得する。
【0037】
頭部モデルDB201は、頭部形状の3Dモデルを記憶する。頭部形状の3Dモデルは、実際に取得した画像でも、人工的に生成した3Dモデルでも構わない。最も単純な態様としては、球体に鼻や耳を示す突起を設けたモデルでもよい。本実施の形態においては、頭部形状の3Dモデルに対して3つのFP(鼻根点のマーカコイルM1、左右の耳のマーカコイルM2,M3:Nasion,Left Ear,Right Ear)をセットした状態で記憶する。
【0038】
頭部モデル作成/選択部202は、以下のいずれかの処理を実行する。
【0039】
第1に、頭部モデル作成/選択部202は、頭部モデルDB201に記憶された頭部形状の3Dモデルの中から、3つのFPの配置が最も近い頭部形状の3Dモデルを選択する。
【0040】
より詳細には、頭部モデルDB201は、人種や年齢の異なる多くの頭部形状の3Dモデルを記憶する。頭部モデル作成/選択部202は、デジタイザ座標取得部203を介してスタイラスペン24により3つのFPが指定されたことを受信した場合、頭部モデルDB201に記憶された頭部形状の3Dモデルの中から3つのFPの配置が最も近いモデルを選択し、表示/操作部204を介して表示部26に画面表示する。
【0041】
ここで、3つのFPの指定について簡単に説明する。
図5は画面D1上での3つのFPの指定例を示す図、
図6は3つのFPの指定処理の流れを示すフローチャートである。三次元デジタイザ20を起動し、スタイラスペン24により指定された1つ目のFPを受信すると、頭部モデル作成/選択部202は、画面D1に1つ目の点を反映して表示する(ステップS11)。同様に、スタイラスペン24により指定された2つ目のFPを受信すると、頭部モデル作成/選択部202は、画面D1に2つ目の点を反映して表示する(ステップS12)。スタイラスペン24により指定された3つ目のFPを受信すると、頭部モデル作成/選択部202は、画面D1に3つ目の点を反映して表示する(ステップS13)。以上により、3つのFPが決定される。
【0042】
なお、頭部形状の3Dモデルは必ずしも人工的なものである必要はなく、大量のMRI画像を頭部モデルDB201に記憶しておき、3つのFPから被測定者に類似のものを選択しても良い。ただし、その場合、選択されている頭部形状の3Dモデルが被測定者本人のものではないことが画面上で分かるようにしておくことが好ましい。
【0043】
第2に、頭部モデル作成/選択部202は、頭部モデルDB201に記憶された頭部形状の3Dモデルについて、3つのFPの配置がスタイラスペン24により指定された3つのFPと同じになるように変形する。
【0044】
より詳細には、頭部モデルDB201は、1つの頭部形状の3Dモデルを記憶する。頭部モデル作成/選択部202は、デジタイザ座標取得部203を介してスタイラスペン24により3つのFPが指定されたことを受信した場合、スタイラスペン24により指定された3つのFPの座標と合致するように頭部モデルDB201に記憶された頭部形状の3Dモデルを変形し、表示/操作部204を介して表示部26に画面表示する。
【0045】
ここで、
図7は三次元デジタイザ20の表示部26に表示されるUI(User Interface)画像の一例を示す図、
図8は従来の三次元デジタイザの表示部に表示されるUI画像の一例を示す図である。
図7に示すように、三次元デジタイザ20の制御部205は、スタイラスペン24でこれからなぞるべき領域(次に取得する位置のガイド)A1と、頭部モデル作成/選択部202で選択した頭部形状の3DモデルMDと、を重畳して表示する。このように、スタイラスペン24でこれからなぞるべき領域A1と頭部形状の3DモデルMDとを重畳表示することで、
図8に示す従来の三次元デジタイザの表示部に表示されるUI画像に比べて、実際に三次元デジタイザ20のスタイラスペン24でプロットされた点とスタイラスペン24でこれからなぞるべき領域との関係が分かり易くなっている。これにより、ユーザは、次にどこのデータを三次元デジタイザ20のスタイラスペン24で取得すれば良いか直感的に把握することができる。
【0046】
なお、
図7に示す符号aは頭部形状モデルの平面画像である。このように頭部形状モデルの平面画像aを表示することにより、頭部形状の3DモデルMDではわかりにくい奥行方向の領域A1を視認し易くすることができる。
【0047】
なお、スタイラスペン24でこれからなぞるべき領域(次に取得する位置のガイド)A1の生成については、公知であるのでその説明を省略する。
【0048】
上述したように、頭部形状は人種や年齢により異なり、さまざまな形状である。そのため、単純に1つの頭部形状のモデルを表示した場合、実際に取得された点の表示や次に取得する点のガイドが大きくずれて表示され、誤解を生む可能性がある。
【0049】
そこで、本実施の形態の三次元デジタイザ20においては、上述した2種類の方法のいずれかにより、被測定者に合った頭部形状の3DモデルMDを用意し、UI画像においてスタイラスペン24でこれからなぞるべき領域A1を重畳表示している。
【0050】
次に、三次元デジタイザ20におけるUI画像の表示処理について説明する。
【0051】
ここで、
図9は、UI画像の表示処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【0052】
図9に示すように、デジタイザ座標取得部203を介してスタイラスペン24により3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)が指定されたことを受信した場合(ステップS1のYes)、制御部205は、生体画像測定装置11で撮像した被測定者のMRI画像を取得するために、MRI画像取得部206に問い合わせる(ステップS2)。
【0053】
なお、スタイラスペン24によりFPが指定されたとは、FPをペン先で触れ、何らかのスイッチを押して座標を取得することをいう。スイッチとしては、ペン先がスイッチとなっているものや、スタイラスペン24を持つ手以外の手で押すスイッチなどがある。
【0054】
ここで、脳磁計である測定装置3によるMEGの測定を先行した場合などに、MRI画像が取得できない場合がある。制御部205は、MRI画像が取得できた場合には(ステップS3のYes)、ステップS6に進み、MRI画像が取得できなかった場合には(ステップS3のNo)、ステップS4に処理を進める。
【0055】
ステップS6では、制御部205は、取得した被測定者のMRI画像(3D画像)に既に3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)の座標が指定されているかを確認する。なお、3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)の座標は、MRI画像のヘッダに入っていても、MRI画像とは別ファイルに入っていても、管理の手法についてはここでは拘らない。
【0056】
制御部205は、被測定者のMRI画像に既に3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)の座標が指定されている場合(ステップS6のYes)、ステップS7へ進み、被測定者のMRI画像に3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)の座標が指定されていない場合(ステップS6のNo)、ステップS8へ進む。
【0057】
ステップS7では、制御部205は、MRI画像取得部206から取得したMRI画像をFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)の3点が合うように拡大/縮小/回転/変形して位置を合わせ、表示/操作部204を介してスタイラスペン24でこれからなぞるべき領域A1を重畳して表示部26に表示する。
【0058】
また、ステップS8では、制御部205は、MRI画像取得部206から取得したMRI画像を表示/操作部204を介して表示部26にMRI画像を表示させ、ユーザに3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)を指定させる。ここで、
図10はMRI画像D2に3つのFPを指定させるユーザインタフェースを示す図である。
【0059】
制御部205は、3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)が指定された時点(例えば、Nasionが指定された時点)で、MRI画像取得部206から取得したMRI画像についてこの3点に位置を合わせ、表示/操作部204を介してスタイラスペン24でこれからなぞるべき領域A1を重畳して表示部26に表示する(ステップS9)。
【0060】
一方、ステップS4では、頭部モデル作成/選択部202は、スタイラスペン24により指定された3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)に合わせた頭部形状の3Dモデルを頭部モデルDB201から選択、またはスタイラスペン24により指定された3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)に合わせて頭部形状の3Dモデルを変形する。
【0061】
その後、制御部205は、選択または変形された頭部形状の3DモデルMDの3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)と現在指定されている3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)とを一致させ、表示/操作部204を介してスタイラスペン24でこれからなぞるべき領域A1を3DモデルMDに重畳して表示部26に表示する(ステップS5)。
【0062】
なお、
図9に示したフローチャートでは、座標指定(ステップS8)するようにしたが、これに限るものではない。ここで、
図11は、UI画像の表示処理の流れを概略的に示すフローチャートの変形例である。
【0063】
図11に示すように、被測定者のMRI画像に3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)の座標が指定されていない場合(ステップS6のNo)、ステップS4に進み、頭部モデル作成/選択部202は、スタイラスペン24により指定された3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)に合わせた頭部形状の3Dモデルを頭部モデルDB201から選択、またはスタイラスペン24により指定された3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)に合わせて頭部形状の3Dモデルを変形する。
【0064】
これにより、被測定者のMRI画像があってもMRI画像上での指定がない場合、MRI画像での座標指定ではなく頭部モデルを利用することで、測定者の手間を取らせないという利点がある。
【0065】
また、
図9に示したフローチャートでは、MRI画像の有無を確認するようにしたが、これに限るものではなく、MRI画像の有無を確認せず、頭部モデルを利用するようにしてもよい。ここで、
図12は、UI画像の表示処理の流れを概略的に示すフローチャートの変形例である。
【0066】
図12に示すように、デジタイザ座標取得部203を介してスタイラスペン24により3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)が指定されたことを受信した場合(ステップS1のYes)、ステップS4に進み、頭部モデル作成/選択部202は、スタイラスペン24により指定された3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)に合わせた頭部形状の3Dモデルを頭部モデルDB201から選択、またはスタイラスペン24により指定された3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)に合わせて頭部形状の3Dモデルを変形する。
【0067】
これにより、MRI画像の確認が不要となるので、処理が簡易になるとともに、測定者の手間を取らせないという利点がある。
【0068】
なお、3つのFP(Nasion,Left Ear,Right Ear)を重ね合わせた時点で、MRI画像の上下の情報を用いて頭部形状の3Dモデルを正立させる、または正面を向かせることも可能である。これにより、三次元デジタイザ20の機種によって初期状態では上下左右前後方向が不確定になる場合に、対応可能である。
【0069】
さらには、スタイラスペン24でこれからなぞるべき領域が画面上で見えやすくなるように、以下の工夫を行うと良い。第1に、制御部205は、スタイラスペン24でこれからなぞるべき領域が正面になるように座標系(頭部形状の3Dモデルと既に収集された点)を回転させる。第2に、制御部205は、スタイラスペン24の位置に視点をおいて3D表示する。
【0070】
このように本実施の形態によれば、MRI画像がある場合には、MRI画像を適切な形にしてこれからなぞるべき領域A1を重畳表示して、また、MRI画像が無い場合には、用意された頭部の3DモデルMDを適切な形にしてこれからなぞるべき領域A1を重畳表示して、三次元デジタイザ20のスタイラスペン24の操作をガイドするので、MRI画像の取得を意識することなしに、直感的に分かりやすい操作でMRI座標系とMEG座標系の位置合わせを行うことができる。また、三次元デジタイザ20により指定されている点と、三次元デジタイザ20のスタイラスペン24によって次に指定すべき点とを直感的に理解しやすくする。
【0071】
(変形例)
ここで、実施の形態の変形例について説明する。
【0072】
本実施の形態の三次元デジタイザ20は、頭部をなぞるスタイラスペン24の位置を、スタイラスペン24が頭部に接していない場合でも取得することができる。したがって、制御部205は、スタイラスペン24のペン先端の位置を画面上に表示するようにしてもよい。また、スタイラスペン24の動作をガイドするために、制御部205は、スタイラスペン24のペン先端の位置を画面上に表示し、スタイラスペン24の移動すべき方向を矢印等で示すようにしても良い。
【0073】
ここで、
図13は画面の変形例を示す図である。
図13に示す画面例によれば、スタイラスペン24のペン先端の位置Yを表示するとともに、スタイラスペン24の移動すべき方向を矢印Xで示している。これにより、頭部に対してスタイラスペン24でこれからなぞるべき領域の適切な位置へのスタイラスペン24の移動方向を示すことができる。
【0074】
また、
図14は画面の別の変形例を示す図である。
図14に示す画面例によれば、制御部205は、頭部に対してスタイラスペン24で既になぞった軌跡Zを併せて表示する。
【符号の説明】
【0075】
1 計測システム
3 脳機能測定装置
20 入力装置
24 スタイラスペン
202 モデル取得手段
205 制御手段
204 表示手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】