(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】オルガノポリシロキサン化合物を含有する組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20220809BHJP
C08G 77/14 20060101ALI20220809BHJP
C09D 183/06 20060101ALI20220809BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20220809BHJP
C08K 5/06 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
C08L83/06
C08G77/14
C09D183/06
C09D7/63
C08K5/06
(21)【出願番号】P 2019010121
(22)【出願日】2019-01-24
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】吉沢 政博
【審査官】尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-135470(JP,A)
【文献】特開2004-059738(JP,A)
【文献】特開2005-298573(JP,A)
【文献】国際公開第2018/066515(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08G 77/00-77/62
C09D 1/00-10/00
C09D 101/00-201/10
C09J 9/00-201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記平均式(I)
【化1】
(式中、R
1は、それぞれ独立して、水素原子、またはハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素原子数1~8のアルキル基、アラルキル基もしくはアリール基を表し、R
2は、i-ブチル基またはn-ブチル基を表し、R
3は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基またはi-プロピル基を表し、a、b、cおよびdは、それぞれ0≦a<1、0<b≦1、0≦c<1、0≦d<1、a+b+c+d=1を満たし、eおよびfは、それぞれ0<e≦1、0<f≦1を満たす数である。)
で表される構造を有するオルガノポリシロキサン化合物 100質量部、および
(B)下記一般式(II)
【化2】
(式中、R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~6の1価の飽和炭化水素基を表すが、R
5とR
6が同時に水素原子となることはない。R
4が水素原子の場合、nは2以上の整数を表し、R
4が前記飽和炭化水素基の場合、nは1以上の整数を表す。)
で表される溶剤 5~500質量部
を含み、
前記一般式(II)で表される溶剤が、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、およびジプロピレングリコールジメチルエーテルから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記オルガノポリシロキサン化合物の重量平均分子量が、1,000~500,000である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
硬化触媒を含有する請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の組成物からなるコーティング剤。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項記載の組成物の硬化膜。
【請求項6】
基材と、この基材の少なくとも一方の面に、直接または1つ以上の他の層を介して形成された請求項5記載の硬化膜とを有する被覆物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノポリシロキサン化合物を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題や人体への安全性への考慮から環境配慮型塗料への要求が高まっている。そのためには、光化学スモッグの発生などの環境への負荷が高く、シックハウス症候群などのアレルギーの原因にもなるトルエン、キシレン、ベンゼン等の特定VOC(揮発性有機化合物:Volatile Organic Compounds)を含まない塗料が求められる。
この点、一般的にオルガノシロキサンを含有する塗料は、溶解性や乾燥性、取扱いの容易さの観点からトルエンやキシレン等のTX溶剤が使われることが多い。
しかし、TX溶剤は、人体や環境への負荷が高く、引火性や帯電性による火災や爆発事故の危険性を有している。また、揮発性が高いため塗膜にクラックや塗りムラが発生しやすいという問題を有している。
【0003】
環境配慮型エチレングリコールは、人や自然への負荷が小さく、取扱いも容易であることから、近年使用量が増加傾向にあるTXフリー溶剤である。また、沸点が高く、溶剤ガスの曝露による人体への悪影響も少ないという利点を有する。さらに、揮発性が低いため作業性に優れ、塗膜にクラックや塗りムラが発生しにくいため、塗料用の溶剤として好適である。
【0004】
一方、重合性官能基を有するオルガノポリシロキサンとして、硬度および柔軟性の観点から2価または3価のシロキサン結合を骨格にしたオルガノポリシロキサンを塗料の主原料とすることが多いが、その中でも硬度と下地との接着性の観点から3価のシロキサン結合は必須となる。
また、オルガノポリシロキサンの分子量によっても、塗布後の塗膜表面の状態が異なる。分子量が小さい場合は、重合性官能基数の比率が大きくなるため、経時でのクラック発生の原因となり、分子量が大きい場合は、重合性官能基数の比率が小さくなるため、密着性の悪化を招き、低硬度や低耐擦傷性の原因となる。
【0005】
一般にオルガノポリシロキサンは、その末端にアルコキシ基を有しており、塗膜化によりアルコールが発生する。末端にメトキシ基を有するオルガノポリシロキサンは、製法の容易さや製造コストの観点から広く使用されているが、オルガノポリシロキサンの重合により毒性の高いメタノールが発生することから、環境や人体への影響を考慮したエタノールやブタノールの発生するエトキシ基やブトキシ基を末端に有するオルガノポリシロキサンが求められている。
【0006】
具体的に、特許文献1には、低重合エチレングリコール誘導体を溶剤にした、低VOCの水性ラテックス塗料の例が開示され、この塗料において、低重合エチレングリコールは造膜溶剤および解凍安定剤の双方として機能しており、耐擦傷性に優れた塗膜が得られるとされている。
また、特許文献2には、イソブタノール中で加水分解したシリコーンレジン組成物の塗膜において、良好な密着性と硬度が得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特表2008-537007号公報
【文献】特許第4883269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、TXフリーの環境配慮型溶剤とオルガノポリシロキサン化合物とを含有する組成物、ならびに塗工性、耐クラック性、密着性に優れ、平滑な硬化被膜を与え得るコーティング剤、および被覆物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、重合性官能基を有するオルガノポリシロキサンとグリコールエーテル溶剤とを含む組成物を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、
1. (A)下記平均式(I)
【化1】
(式中、R
1は、それぞれ独立して、水素原子、またはハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素原子数1~8のアルキル基、アラルキル基もしくはアリール基を表し、R
2は、i-ブチル基またはn-ブチル基を表し、R
3は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基またはi-プロピル基を表し、a、b、cおよびdは、それぞれ0≦a<1、0<b≦1、0≦c<1、0≦d<1、a+b+c+d=1を満たし、eおよびfは、それぞれ0<e≦1、0<f≦1を満たす数である。)
で表される構造を有するオルガノポリシロキサン化合物 100質量部、および
(B)下記一般式(II)
【化2】
(式中、R
4、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~6の1価の飽和炭化水素基を表すが、R
5とR
6が同時に水素原子となることはない。R
4が水素原子の場合、nは2以上の整数を表し、R
4が前記飽和炭化水素基の場合、nは1以上の整数を表す。)
で表される溶剤 5~500質量部
を含むことを特徴とする組成物、
2. 前記オルガノポリシロキサン化合物の重量平均分子量が、1,000~500,000である1の組成物、
3. 硬化触媒を含有する1または2の組成物、
4. 1~3のいずれかの組成物からなるコーティング剤、
5. 1~3のいずれかの組成物の硬化膜、
6. 基材と、この基材の少なくとも一方の面に、直接または1つ以上の他の層を介して形成された5の硬化膜とを有する被覆物品
を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組成物は、重合性官能基を有するオルガノポリシロキサンおよびグリコールエーテル溶剤を含有しているため、人体や生態、地球環境への負荷低減や緩和がなされ、さらに塗膜にクラックや塗りムラが発生しにくいため、環境配慮塗料として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
(1)(A)成分
本発明の組成物に用いられる(A)成分は、下記平均式(I)で表される構造を有するオルガノポリシロキサン化合物である。
【0013】
【0014】
式(I)において、R1は、それぞれ独立して、水素原子、またはハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素原子数1~8のアルキル基、アラルキル基もしくはアリール基を表し、R2は、i-ブチル基またはn-ブチル基、好ましくはi-ブチル基を表し、R3は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基またはi-プロピル基を表す。
【0015】
R1において、炭素原子数1~8のアルキル基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル基等が挙げられるが、炭素原子数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
アラルキル基の炭素原子数は7~20が好ましく、その具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
アリール基の炭素原子数は6~18が好ましく、その具体例としては、フェニル、ナフチル基等の非置換アリール基;トリル、キシリル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル基等の炭素数7~18のアルキルアリール基などが挙げられるが、フェニル基が好ましい。
なお、上記アルキル基、アラルキル基およびアリール基は、その水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)で置換されていてもよく、その具体例としては、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基等が挙げられる。
【0016】
上記aは0≦a<1を満たす数であるが、クラック抑制効果の観点から、0≦a≦0.3の範囲が好ましい。
上記bは0<b≦1を満たす数であるが、得られる硬化物の耐擦傷性の観点から、0.2≦b≦1の範囲が好ましい。
上記cは0≦c<1を満たす数であるが、組成物の硬化性および得られる硬化物の硬度の観点から、0≦c≦0.5の範囲が好ましい。
上記dは0≦d<1を満たす数であるが、組成物の硬化性および得られる硬化物の硬度の観点から、0≦d≦0.4が好ましい。
なお、a+b+c+d=1を満たす。
【0017】
上記eは0<e≦1を満たす数であるが、組成物の保存安定性や、得られる硬化物の耐クラック性、耐水性および耐候性の観点から、0<e≦0.5を満たす数が好ましい。
上記fは0<f≦1を満たす数であるが、縮合性官能基による縮合反応の抑制に効果的であることや、得られる硬化物の耐クラック性、耐水性および耐候性の観点から、0<f≦0.5を満たす数が好ましい。
【0018】
本発明の(A)オルガノポリシロキサン化合物は、単一の組成でも、組成の異なる複数の化合物の混合物であってもよい。
【0019】
本発明の(A)オルガノポリシロキサン化合物の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で1,000~500,000が好ましく、1,500~300,000がより好ましい。重量平均分子量が1,000未満では縮合が十分に進んでおらず、オルガノポリシロキサン化合物の保存性が低くなるおそれがあり、また経時で縮合反応が生じ、耐クラック性に優れない可能性がある。500,000超の高分子量体では、オルガノポリシロキサン化合物が溶剤に不溶となり、凝集物による凹凸や塗りムラ等が発生するおそれがある。
【0020】
また、本発明のオルガノポリシロキサン化合物は、溶剤等を除く不揮発分が90質量%以上であることが好ましい。揮発分が多くなると、組成物を硬化した際のボイド発生による外観の悪化や機械的性質の低下の原因となるおそれがある。
【0021】
(A)成分の含有量(溶剤を含まない(A)成分純分)は、組成物中10~95質量%であり、20~90質量%が好ましく、60~90質量%がより好ましい。(A)成分の含有量(不揮発分として)が10質量%未満では、塗工後に十分な厚さの硬化物が得られないおそれがあり、95質量%を超えると平滑な硬化物を与えないおそれがある。
【0022】
本発明の(A)オルガノポリシロキサン化合物は、一般的なオルガノポリシロキサンの製造方法に従って製造することができる。例えば、加水分解性基を有するシラン化合物を加水分解縮合させて本発明のオルガノポリシロキサンを得ることができる。
【0023】
オルガノポリシロキサンを製造するための原料としては、加水分解性基であるクロルまたはアルコキシ基をケイ素原子上に1~4個有し、上記条件を満たす有機置換基を有するシラン化合物であれば特に限定されるものではない。
その具体例としては、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、プロピルメチルジクロロシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、およびこれらの部分加水分解物等が挙げられるが、操作性、副生物の留去のしやすさ、および原料の入手の容易さから、メトキシシラン、エトキシシランが好適である。
なお、上記シラン化合物は、1種単独で用いても、2種以上の組み合わせて用いてもよい。
【0024】
加水分解を実施するに際し、加水分解触媒を使用してもよい。
加水分解触媒は、従来公知の触媒を使用することができるが、その水溶液がpH2~7の酸性を示すものが好ましく、特に酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルホン酸、酸性または弱酸性の無機塩、イオン交換樹脂等の固体酸などが好ましい。
酸性触媒の具体例としては、フッ化水素、塩酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、マレイン酸、安息香酸、乳酸、燐酸、表面にスルホン酸またはカルボン酸基を有するカチオン交換樹脂等が挙げられる。
【0025】
加水分解触媒の使用量は特に限定されるものではないが、反応を速やかに進行させるとともに、反応後の触媒の除去の容易性を考慮すると、加水分解性シラン1モルに対して0.0002~0.5モルの範囲が好ましい。
【0026】
加水分解性シランと、加水分解縮合反応に要する水との量比は、特に限定されるものではないが、触媒の失活を防いで反応を十分に進行させるとともに、反応後の水の除去の容易性を考慮すると、加水分解性シラン1モルに対し、水0.1~10モルの割合が好ましい。
加水分解縮合時の反応温度は、特に限定されるものではないが、反応率を向上させるとともに、加水分解性シランが有する有機官能基の分解を防止することを考慮すると、-10~150℃が好ましい。
【0027】
なお、加水分解縮合の際には、後述する(B)一般式(II)で表される溶剤を使用してもよく、(B)溶剤以外の有機溶媒を使用してもよい。このような有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
(B)溶剤以外の有機溶媒を使用した場合は、ストリップ工程等の処理によりこれを除去し、(B)一般式(II)で表される溶剤に置換することが好ましい。
【0028】
なお、加水分解縮合の際に、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール等のアルコール系溶剤を用い適切な反応条件を選択することで、オルガノポリシロキサンの末端基を、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基などのアルコキシ基に置換することができる。
【0029】
(2)(B)成分
本発明の組成物に用いられる(B)成分は、下記一般式(II)で表されるグリコールエーテル溶剤であり、このグリコールエーテル溶剤は1種単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0030】
【0031】
式(II)において、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素原子数1~6の1価の飽和炭化水素基を表すが、R5とR6が同時に水素原子となることはない。R4が水素原子の場合、nは2以上の整数を表し、R4が飽和炭化水素基の場合、nは1以上の整数を表す。nの上限は特に限定されないが、10以下が好ましい。
【0032】
炭素原子数1~6の飽和炭化水素基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル等の直鎖または分岐のアルキル基;シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等の環状アルキル基などが挙げられるが、炭素原子数1~6の直鎖または分岐のアルキル基が好ましい。
特に、R4としては、水素原子またはメチル基が好ましい。
【0033】
上記一般式(II)で表される溶剤の具体例としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルが好ましい。
【0034】
(B)成分の含有量は、組成物中10質量%以上であり、15~40質量%が好ましい。(B)成分の含有量が、組成物10質量%未満だと、平滑な硬化物を与えないおそれがある。
【0035】
本発明の組成物は、TX溶剤を実質的に含有しないことが好ましい。なお、TX溶剤とは、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤をいう。なお、実質的に含有しないとは、TX溶剤の含有量が組成物中2.0質量%以下であることをいうが、0.5質量%以下が好ましく、0質量%でもよい。
【0036】
なお、本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜に任意の添加剤を加
えることができる。
添加剤の具体例としては、非反応性シリコーンオイル、反応性シリコーンオイル、シランカップリング剤等の密着付与剤、老化防止剤、防錆剤、着色剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光剤、研磨剤、香料、充填剤、フィラー、染顔料、レベリング剤、反応性希釈剤、非反応性高分子樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、分散剤、帯電防止剤、チキソトロピー付与剤等が挙げられる。これらは、それぞれ1種単独で、または2種以上を組み合わせて、適量用いることができる。
【0037】
本発明の組成物の粘度は、特に限定されるものではないが、成形または塗布作業性を良好にし、スジムラ等の発生を抑制することを考慮すると、回転粘度計により測定される25℃での粘度が、100,000mPa・s以下が好ましく、20,000mPa・s以下がより好ましい。下限は特に限定されないが、10mPa・s程度が好ましい。
【0038】
本発明の組成物は、室温および加熱条件下で乾燥により被膜を形成することができるが、硬化速度を加速するため、または優れた被膜特性を得るために、硬化触媒、例えば縮合硬化触媒を添加してもよい。
【0039】
硬化触媒としては、公知の触媒から適宜選択して用いることができ、例えば、有機スズ化合物、有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物等の有機金属化合物;塩酸、硫酸等の無機酸類;p-トルエンスルホン酸、各種脂肪族または芳香族カルボン酸等の有機酸類;アンモニア;水酸化ナトリウム等の無機塩基類、トリブチルアミン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)等の有機塩基類等が挙げられ、これらは単独で用いても、複数種を併用しても構わない。
【0040】
本発明の組成物では、これらの中でも、有機スズ化合物、有機チタニウム化合物および有機アルミニウム化合物から選ばれる有機金属化合物が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート、テトラキスエチレングリコールメチルエーテルチタネート、テトラキスエチレングリコールエチルエーテルチタネート、ビス(アセチルアセトニル)ジプロピルチタネート、アセチルアセトンアルミニウム、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノノルマルブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジノルマルブチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が好適であり、特に、反応性、溶解性の観点から、テトラブチルチタネート、アルミニウムエチルアセトアセテートジノルマルブチレート、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノノルマルブチレートおよびこれらの加水分解物が好ましい。
【0041】
硬化触媒の含有量は、(A)オルガノポリシロキサン化合物100質量部に対し、0.01~30質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。
【0042】
本発明の組成物は、例えば、上記(A)および(B)成分、ならびに任意成分を混合して製造することができる。
なお、上記一般式(II)で表される溶剤の割合は、組成物を構成する溶剤全体中に10~100質量%が好ましく、50~100質量%がより好ましく、100質量%がより一層好ましい。
【0043】
上述した本発明の組成物は、コーティング剤等として好適に利用でき、特に外壁塗料として好適に使用できるが、その適用用途は、コーティング剤に限定されるものではない。
コーティング剤として使用する場合、例えば、基材の少なくとも一方の面に、直接または1つ以上の他の層を介して、本発明の組成物を塗布し、それを硬化させて被膜を形成させることで、基材の少なくとも一方の面に、本発明の組成物の硬化膜を有する被覆物品を得ることができる。
【0044】
上記基材としては、特に限定されるものではないが、ガラス、シリコンウェハー、金属、プラスチック成形体、セラミックス、およびそれらの複合物等が挙げられる。
また、これらの基材の表面が、化成処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、酸やアルカリ液で処理されている基材や、基材本体と表層が異なる種類の塗料で被覆された化粧合板等も用いることもできる。他の層としては、ポリエステル樹脂塗装、ポリウレタン樹脂塗装、アミノアルキド樹脂塗装、ラッカー塗装、吹付塗装、水性ワックス塗装により得られたものが挙げられる。
【0045】
コーティング剤の基材への塗布方法としては、公知の手法から適宜選択すればよく、例えば、フローコート、スピンコート、バーコーター、ワイヤーバー、刷毛塗り、スプレー、浸漬、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の各種塗布方法を用いることができる。塗布量は特に制限されないが、通常は乾燥後の被膜の厚さが0.1~1,000μmとなる量が好ましく、1~100μmとなる量であることが好ましい。
【0046】
組成物を硬化させるための方法としては、常温硬化、加熱硬化等が挙げられる。
加熱温度は特に制限されないが、100~300℃が好ましく、150~250℃がより好ましい。
【実施例】
【0047】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、下記において、不揮発分はJIS C2133に準じて測定した値であり、重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、HLC-8220 東ソー(株)製)を用いてテトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒として測定した値である。また、平均式(I)におけるa~fの値は、1H-NMRおよび29Si-NMR測定の結果から算出した。
【0048】
[1]組成物の製造
[実施例1-1]
メチルトリメトキシシラン(KBM-13、信越化学工業(株)製)681.0g(5.0mol)、フェニルトリメトキシシラン(KBM-103、信越化学工業(株)製)396.6g(2.0mol)、ジメチルジメトキシシラン(KBM-22、信越化学工業(株)製)240.4g(2.0mol)、ジフェニルジメトキシシラン(KBM-202、信越化学工業(株)製)244.4g(1.0mol)、i-ブタノール564.3g、カチオン交換樹脂(レバチットK2629、(株)ランクセス社製)47.0gを反応器中に配合し、均一になったところでイオン交換水291.6gを添加し、80℃で3時間撹拌した。加圧濾過後、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(日本乳化剤(株)製)134.4gを投入した。減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去し、加圧濾過を行い、組成物Aを得た。
得られた組成物Aは、粘度3,560mPa・s、不揮発分86.4質量%、溶剤を除くシリコーン成分の重量平均分子量22,200の25℃で粘稠な液体であった。平均式(I)におけるa~fの値は、それぞれa=0、b=0.72、c=0.28、d=0、e=0.07、f=0.06であった。
【0049】
[実施例1-2]
メチルトリメトキシシラン(KBM-13、信越化学工業(株)製)1021.5g(7.5mol)、ジメチルジメトキシシラン(KBM-22、信越化学工業(株)製)300.6g(2.5mol)、i-ブタノール413.2g、カチオン交換樹脂(レバチットK2629、(株)ランクセス社製)34.4gを反応器中に配合し、均一になったところでイオン交換水297.0gを添加し、80℃で3時間撹拌した。加圧濾過後、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(日本乳化剤(株)製)98.4gを投入した。減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去し、加圧濾過を行い、組成物Bを得た。
得られた組成物Bは、粘度2,200mPa・s、不揮発分84.7質量%、溶剤を除くシリコーン成分の重量平均分子量6,850の25℃で粘稠な液体であった。平均式(I)におけるa~fの値は、それぞれa=0、b=0.76、c=0.24、d=0、e=0.08、f=0.10であった。
【0050】
[実施例1-3]
メチルトリメトキシシラン(KBM-13、信越化学工業(株)製)817.2g(6.0mol)、ジメチルジメトキシシラン(KBM-22、信越化学工業(株)製)120.2g(1.0mol)、ジフェニルジメトキシシラン(KBM-202、信越化学工業(株)製)244.4g(1.0mol)、ヘキサメチルジシロキサン162.4g(1.0mol)、i-ブタノール502.5g、カチオン交換樹脂(レバチットK2629、(株)ランクセス社製)41.9gを反応器中に配合し、均一になったところでイオン交換水237.6gを添加し、80℃で3時間撹拌した。加圧濾過後、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(日本乳化剤(株)製)119.6gを投入した。減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去し、加圧濾過を行い、組成物Cを得た。
得られた組成物Cは、粘度1,880mPa・s、不揮発分83.9質量%、溶剤を除くシリコーン成分の重量平均分子量5,800の25℃で粘稠な液体であった。平均式(I)におけるa~fの値は、それぞれa=0、b=0.62、c=0.22、d=0.16、e=0.09、f=0.08であった。
【0051】
[実施例1-4]
テトラエトキシシラン10.4g(0.05mol)、メチルトリメトキシシラン(KBM-13、信越化学工業(株)製)681.0g(5.0mol)、フェニルトリメトキシシラン(KBM-103、信越化学工業(株)製)29.8g(0.15mol)、ジメチルジメトキシシラン(KBM-22、信越化学工業(株)製)336.6g(2.8mol)、ジフェニルジメトキシシラン(KBM-202、信越化学工業(株)製)488.8g(2.0mol)、i-ブタノール577.29g、カチオン交換樹脂(レバチットK2629、(株)ランクセス社製)48.1gを反応器中に配合し、均一になったところでイオン交換水272.7gを添加し、80℃で3時間撹拌した。加圧濾過後、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(日本乳化剤(株)製)137.5gを投入した。減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去し、加圧濾過を行い、組成物Dを得た。
得られた組成物Dは、粘度7,860mPa・s、不揮発分87.2質量%、溶剤を除くシリコーン成分の重量平均分子量26,300の25℃で粘稠な液体であった。平均式(I)におけるa~fの値は、それぞれa=0.01、b=0.67、c=0.32、d=0、e=0.06、f=0.08であった。
【0052】
[実施例1-5]
実施例1-1で調製した組成物A100質量部に対し、硬化触媒(DX-9740、信越化学工業(株)製)5質量部を加え、室温で撹拌して組成物Eを得た。
【0053】
[比較例1-1]
メチルトリメトキシシラン(KBM-13、信越化学工業(株)製)681.0g(5.0mol)、フェニルトリメトキシシラン(KBM-103、信越化学工業(株)製)396.6g(2.0mol)、ジメチルジメトキシシラン(KBM-22、信越化学工業(株)製)240.4g(2.0mol)、ジフェニルジメトキシシラン(KBM-202、信越化学工業(株)製)244.4g(1.0mol)、i-ブタノール564.3g、カチオン交換樹脂(レバチットK2629、(株)ランクセス社製)47.0gを反応器中に配合し、均一になったところでイオン交換水291.6gを添加し、80℃で3時間撹拌した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。トルエン134.4gを投入後、加圧濾過を行い、組成物Fを得た。
得られた組成物Fは、粘度390mPa・s、不揮発分81.6質量%、溶剤を除くシリコーン成分の重量平均分子量21,800の25℃で粘稠な液体であった。平均式(I)におけるa~fの値は、それぞれa=0、b=0.71、c=0.29、d=0、e=0.07、f=0.06であった。
【0054】
[比較例1-2]
メチルトリメトキシシラン(KBM-13、信越化学工業(株)製)1021.5g(7.5mol)、ジメチルジメトキシシラン(KBM-22、信越化学工業(株)製)300.6g(2.5mol)、i-ブタノール413.2g、カチオン交換樹脂(レバチットK2629、(株)ランクセス社製)34.4gを反応器中に配合し、均一になったところでイオン交換水297.0gを添加し、80℃で3時間撹拌した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。トルエン98.4gを投入後、加圧濾過を行い、組成物Gを得た。
得られた組成物Gは、粘度280mPa・s、不揮発分82.2質量%、溶剤を除くシリコーン成分の重量平均分子量7,700の25℃で粘稠な液体であった。平均式(I)におけるa~fの値は、それぞれa=0、b=0.78、c=0.22、d=0、e=0.07、f=0.10であった。
【0055】
[比較例1-3]
メチルトリメトキシシラン(KBM-13、信越化学工業(株)製)817.2g(6.0mol)、ジメチルジメトキシシラン(KBM-22、信越化学工業(株)製)120.2g(1.0mol)、ジフェニルジメトキシシラン(KBM-202、信越化学工業(株)製)244.4g(1.0mol)、ヘキサメチルジシロキサン162.4g(1.0mol)、i-ブタノール502.5g、カチオン交換樹脂(レバチットK2629、(株)ランクセス社製)41.9gを反応器中に配合し、均一になったところでイオン交換水237.6gを添加し、80℃で3時間撹拌した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。トルエン119.6gを投入後、加圧濾過を行い、組成物Hを得た。
得られた組成物Hは、粘度330mPa・s、不揮発分81.1質量%、溶剤を除くシリコーン成分の重量平均分子量5,600の25℃で粘稠な液体であった。平均式(I)におけるa~fの値は、それぞれa=0、b=0.60、c=0.21、d=0.19、e=0.10、f=0.08であった。
【0056】
[比較例1-4]
テトラエトキシシラン10.4g(0.05mol)、メチルトリメトキシシラン(KBM-13、信越化学工業(株)製)681.0g(5.0mol)、フェニルトリメトキシシラン(KBM-103、信越化学工業(株)製)29.8g(0.15mol)、ジメチルジメトキシシラン(KBM-22、信越化学工業(株)製)336.6g(2.8mol)、ジフェニルジメトキシシラン(KBM-202、信越化学工業(株)製)488.8g(2.0mol)、i-ブタノール577.29g、カチオン交換樹脂(レバチットK2629、(株)ランクセス社製)48.1gを反応器中に配合し、均一になったところでイオン交換水272.7gを添加し、80℃で3時間撹拌した。加圧濾過後、減圧下にてメタノール等の揮発成分を留去した。トルエン137.5gを投入後、加圧濾過を行い、組成物Iを得た。
得られた組成物Iは、粘度380mPa・s、不揮発分82.2質量%、溶剤を除くシリコーン成分の重量平均分子量23,200の25℃で粘稠な液体であった。平均式(I)におけるa~fの値は、それぞれa=0.01、b=0.65、c=0.35、d=0、e=0.08、f=0.07であった。
【0057】
[比較例1-5]
比較例1-1で調製した組成物F100質量部に対し、硬化触媒(DX-9740、信越化学工業(株)製)5質量部を加え、室温で撹拌して組成物Jを得た。
【0058】
[2]硬化膜および被覆物品の製造
[実施例2-1~2-5,比較例2-1~2-5]
上記実施例1-1~1-5および比較例1-1~1-5で得られた各組成物A~Jをフローコートにより磨き鋼材上に塗布し、200℃の乾燥機で2時間加熱して焼付を行った。なお、実施例の各組成物中の(B)成分の含有量は10質量%以上である。
得られた被覆物品について目視での塗膜外観の評価と、密着性を測定した。結果を表1に示す。
(1)塗膜外観
目視にて、塗膜表面が均一で凝集物による凹凸やクラックが入っていないものをOK、クラックや凝集物による凹凸が発生したものをNGとした。
(2)密着性試験
JIS K5600-5-6に準じて25マスによるクロスカット試験を行い、(剥離せず残ったマスの数)/25として表した。
【0059】
【0060】
表1に示されるように、一般式(II)で表される溶剤を含有する組成物A~Eを用いた実施例2-1~2-5では、凝集物による凹凸やクラックの発生がない均一で密着性の良い硬化膜を有する被覆物品が得られており、本発明のオルガノポリシロキサン化合物の優位性を示唆している。