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特許7120234感光性樹脂組成物、硬化物、ブラックマトリックス及び画像表示装置
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  • 特許-感光性樹脂組成物、硬化物、ブラックマトリックス及び画像表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、硬化物、ブラックマトリックス及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/075 20060101AFI20220809BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20220809BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220809BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220809BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220809BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220809BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220809BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
G03F7/075 521
G03F7/027 515
G03F7/004 505
G02B5/20 101
G09F9/30 349C
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019527025
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2018024629
(87)【国際公開番号】W WO2019004365
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2017127704
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】植松 卓也
(72)【発明者】
【氏名】関口 直人
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-170093(JP,A)
【文献】特開2016-066005(JP,A)
【文献】特開2016-066006(JP,A)
【文献】特開2016-066080(JP,A)
【文献】特開2016-167066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/075
G03F 7/027
G03F 7/004
G02B 5/20
G09F 9/30
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)光重合性モノマー、(c)光ラジカル重合開始剤、(d)有機ケイ素化合物、及び(e)色材を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(a)アルカリ可溶性樹脂が、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含み、
前記(d)有機ケイ素化合物が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する有機ケイ素ビニル重合体(d-1)を含み、
前記有機ケイ素ビニル重合体(d-1)の全繰り返し単位中、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有割合が40モル%以上であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2~R4は各々独立に、炭素数が1以上3以下のアルコキシ基を表し、Lは2価の連結基を表し、xは0又は1を表す。)
【請求項2】
前記有機ケイ素ビニル重合体(d-1)の全繰り返し単位中、前記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有割合が90モル%以下である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が、下記一般式(a1-II)で表される部分構造を有する、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【化2】
(式(a1-II)中、m及びnは0であり、R 13 は各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、R 14 は、炭素数が8~20の脂肪族環基を側鎖として有する、2価の芳香族環基又は1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基を表し、*は結合手を表す。)
【請求項4】
前記(e)色材が、カーボンブラックを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を硬化させた硬化物。
【請求項6】
請求項に記載の硬化物からなるブラックマトリックス。
【請求項7】
請求項に記載の硬化物又は請求項に記載のブラックマトリックスを有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、硬化物、ブラックマトリックス及び画像表示装置に関する。特に、基板密着性に優れ、高温処理時の線幅変化の抑制及びその制御が可能な、高精細パターンの形成に適した感光性樹脂組成物、それを硬化させた硬化物およびブラックマトリックス、該硬化物又は該ブラックマトリックスを有する画像表示装置に関する。本発明の感光性樹脂組成物は、特に、高感度で高精細な細線を形成できるブラックマトリックス(Black Matrix。以下「BM」と略称することがある。)形成用の感光性樹脂組成物に適している。
2017年6月29日に日本国特許庁に出願された日本国特願2017-127704の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容、並びに、本明細書で引用された文献等に開示された内容の一部又は全部をここに引用し、本明細書の開示内容として取り入れる。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルターは、通常、ガラス、プラスチック等の透明基板の表面に、黒色のブラックマトリックスを形成し、続いて、赤、緑、青等の3種以上の異なる色の画素を順次、格子状、ストライプ状又はモザイク状等のパターンで形成したものである。パターンサイズはカラーフィルターの用途並びにそれぞれの色により異なるが通常5~700μm程度である。
【0003】
カラーフィルターの代表的な製造方法として、現在、顔料分散法が知られている。顔料分散法によりカラーフィルターを製造する場合、まずカーボンブラック等の黒色顔料を含有する感光性樹脂組成物を透明基板上に塗布した後に乾燥させ、さらに画像露光、現像した後、200℃以上の高温処理により加熱硬化させることでBMを形成する。これを赤、緑、青等の色ごとに繰り返すことで画素を形成し、BM及び画素を有するカラーフィルターを形成する。
【0004】
BMは、赤、緑、青等の画素の間に格子状、ストライプ状又はモザイク状に配置されることが一般的であり、各画素間の混色抑制によるコントラスト向上あるいは光漏れを防止する役目がある。このため、BMには高い遮光性が要求される。また、BM形成後に形成する赤、緑、青等の画素のエッジ部は、このBMと一部が重なるため、BMの膜厚の影響を受けて、重なり部分で段差が形成される。この重なり部分では、画素の平坦性が損なわれ、液晶セルギャップの不均一化あるいは液晶の配向の乱れが発生して、表示能力低下の原因となる。そこで近年は特にBMを薄膜化することが求められており、薄膜化した際でも十分な遮光性を発現するために、感光性樹脂組成物中における顔料含有割合はより高くなる方向にある。こうした顔料増量は架橋可能な成分の減量を伴うため、基板密着力の低下に繋がる。このため、基板密着力を低下させない対策が求められている。
【0005】
特許文献1には特定の有機ケイ素化合物を含有する感光性樹脂組成物を用いることにより、高顔料濃度の場合や、高微細化の場合において、室温下及び高温高湿下における基板密着性が良好になることが記載されている。
また特許文献2にはアルコキシシリル基及び酸基を有する特定化合物を含有する着色硬化性組成物を用いることにより、顔料濃度が高い場合でも、保存安定性、及び硬化性に優れ、且つ、基板との密着性、及び現像性に優れた着色膜を形成できることが記載されている。
【0006】
一方で、省エネルギー化やモバイルバッテリーの長寿命化のため、バックライトの出力は低くなる方向にあり、そのような条件下にあっても高輝度で画像表示できるよう、遮光部であるBMの細線化が進められている。また、近年では、液晶ディスプレイの市場において、タブレットなどのような小型化が主流となり、大型のテレビにおいては高解像度の要求が高くなってきている。これらの理由からも、BMの高精細化の要望が高くなってきており、近年、BM細線の線幅は従来の10μm前後から、現在では6μm前後が求められるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本国特開2016-24319号公報
【文献】日本国特開2010-85723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
膜厚約1μmで線幅6μmのBM細線パターンを安定的に形成することは順テーパーの形状では限界があり、より垂直に近いテーパー角の細線パターンが求められる。さらに、細線パターンは高温処理により硬化させて得られるが、樹脂成分は硬化反応の開始前にいったん軟化、流動(メルト)して線幅が太くなる現象が起こる。このため、高温処理時のメルトを抑制し、また、その抑制の程度を制御する手法が求められている。
本発明者らが、特許文献1及び2に記載の感光性樹脂組成物について検討したところ、基板への密着力は大きく向上するものの、高温処理(加熱硬化)時のメルトによる細線の線幅太りが発生して、細線パターンの形成が困難となることが見出された。
そこで本発明は、基板密着性に優れ、高温処理時の線幅変化の抑制及びその制御が可能な感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、感光性樹脂組成物に、特定のアルカリ可溶性樹脂及び特定の有機ケイ素化合物を含有させることにより、前記課題を解決できることを見出した。即ち本発明の要旨は以下に存する。
【0010】
[1] (a)アルカリ可溶性樹脂、(b)光重合性モノマー、(c)光ラジカル重合開始剤、(d)有機ケイ素化合物、及び(e)色材を含有する感光性樹脂組成物であって、
前記(a)アルカリ可溶性樹脂が、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含み、
前記(d)有機ケイ素化合物が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する有機ケイ素ビニル重合体(d-1)を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
【0011】
【化1】
【0012】
式(1)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、
2~R4は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、
Lは2価の連結基を表し、
xは0又は1を表す。
【0013】
[2] 前記(e)色材が、カーボンブラックを含む、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
【0014】
[3] [1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物を硬化させた硬化物。
[4] [3]に記載の硬化物からなるブラックマトリックス。
[5] [3]に記載の硬化物又は[4]に記載のブラックマトリックスを有する画像表示装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板密着性に優れ、高温処理時の線幅変化の抑制及びその制御が可能な感光性樹脂組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のカラーフィルターを備えた有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子の一例を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
【0018】
本発明において「全固形分」とは、感光性樹脂組成物中又は後述するインク中に含まれる、溶剤以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
また、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り、有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。なお、測定方法については後述する。
また本発明において、「酸価」とは、特に断りのない限り、JIS K 2501-2003に記載の方法で測定した値である。
【0019】
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)光重合性モノマー、(c)光ラジカル重合開始剤、(d)有機ケイ素化合物、及び(e)色材を含有する感光性樹脂組成物であって、前記(a)アルカリ可溶性樹脂が、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含み、前記(d)有機ケイ素化合物が、後述の一般式(1)で表される繰り返し単位を有する有機ケイ素ビニル重合体(d-1)を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の感光性樹脂組成物はさらに、分散剤、チオール類、を含有していてもよく、必要に応じて、その他の密着向上剤、界面活性剤(塗布性向上剤)、顔料誘導体、現像改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の配合成分を含んでいてもよく、通常、各配合成分が、有機溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
本発明の特徴の1つは、感光性樹脂組成物が(d)有機ケイ素化合物を含有し、特に、前記(d)有機ケイ素化合物が、後述の一般式(1)で表される繰り返し単位を有する有機ケイ素ビニル重合体(d-1)を含む点にある。まず、(d)有機ケイ素化合物について説明する。
【0021】
<(d)有機ケイ素化合物>
本発明の感光性樹脂組成物は(d)有機ケイ素化合物を含有する。(d)有機ケイ素化合物を含有することで、支持体となるガラス等の透明基板と結合可能となり、基板密着性が良好となる。
【0022】
<有機ケイ素ビニル重合体(d-1)>
特に本発明の感光性樹脂組成物では、前記(d)有機ケイ素化合物が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する有機ケイ素ビニル重合体(d-1)(以下、「有機ケイ素ビニル重合体(d-1)」と略記する場合がある。)を含む。このように、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)を含有することで、その有機ケイ素原子含有側鎖が縮合反応により架橋点を多数形成して塗膜内部に3次元の網目構造(クラスター)を形成すると考えられる。この3次元の網目構造がゲル化することによってメルトが抑制されると考えられる。また、ビニル重合体であることにより感光性樹脂組成物の塗膜内に馴染んで広がり、一様なクラスターの形成に繋がっていると考えられる。
【0023】
【化2】
【0024】
式(1)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、
2~R4は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表し、
Lは2価の連結基を表し、
xは0又は1を表す。
【0025】
(R1
上記式(1)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、それらを組み合わせたもののいずれでもよく、加熱硬化時の反応速度の観点から直鎖状が好ましい。またアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上であり、また、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで溶剤溶解性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで加熱硬化時の反応速度が高くなる傾向がある。
【0026】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、i-ブチル基、ペンチル基が挙げられ、加熱硬化時の反応速度の観点からメチル基が好ましい。
【0027】
アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基、水酸基、チオール基、アルキルチオ基が挙げられる。保存安定性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0028】
(R2~R4
上記式(1)中、R2~R4は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を表す。
【0029】
アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、それらを組み合わせたもののいずれでもよく、加熱硬化時の反応速度の観点から直鎖状が好ましい。またアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上であり、また、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで溶剤溶解性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで加熱硬化時の反応速度が高くなる傾向がある。
【0030】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、i-ブチル基、ペンチル基が挙げられ、加熱硬化時の反応速度の観点からメチル基が好ましい。
【0031】
アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基、水酸基、チオール基、アルキルチオ基が挙げられる。保存安定性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0032】
アルコキシ基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、それらを組み合わせたもののいずれでもよく、加熱硬化時の反応速度の観点から直鎖状が好ましい。またアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上であり、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。前記上限値以下とすることで加熱硬化時の反応速度が高くなる傾向がある。
【0033】
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i-プロポキシ基、ブトキシ基、i-ブトキシ基、ペンチルオキシ基が挙げられ、加熱硬化時の反応速度の観点からメトキシ基が好ましい。
【0034】
アルコキシ基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基、水酸基、チオール基、アルキルチオ基が挙げられる。保存安定性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0035】
アリール基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。前記上限値以下とすることで加熱硬化時の反応速度が高くなる傾向がある。アリール基の炭素数は特に限定されないが、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、また、18以下が好ましく、14以下がより好ましく、12以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで保存安定性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が向上する傾向がある。
【0036】
アリール基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。
アリール基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも加熱硬化時の反応速度の観点から、ベンゼン環が好ましい。
【0037】
アリール基が有していてもよい置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、チオール基、アルキルチオ基、ハロゲン原子が挙げられる。保存安定性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0038】
アリールオキシ基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。前記上限値以下とすることで加熱硬化時の反応速度が高くなる傾向がある。アリールオキシ基の炭素数は特に限定されないが、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、また、18以下が好ましく、14以下がより好ましく、12以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで保存安定性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が向上する傾向がある。
【0039】
アリールオキシ基における芳香族環としては、芳香族炭化水素環、芳香族複素環が挙げられる。アリールオキシ基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基が挙げられる。これらの中でも加熱硬化時の反応速度の観点から、フェノキシ基が好ましい。
【0040】
アリールオキシ基が有していてもよい置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、チオール基、アルキルチオ基、ハロゲン原子が挙げられる。保存安定性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0041】
また、効率的に縮合反応により架橋点を形成するためには、R2~R4のうち少なくともいずれか1つが置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基であることが好ましく、2つ以上が置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基であることがより好ましく、全てが置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基であることがさらに好ましい。
これらの中でも加熱硬化時の反応速度の観点から、R2~R4は各々独立に、置換基を有していてもよいアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基であることがより好ましい。
【0042】
(L)
上記式(1)中、Lは2価の連結基を表す。
2価の連結基としては例えば、アルキレン基、アリーレン基、-CONH-基、-CONH-R5-基、-COO-基、-COO-R6-基、それらを組み合わせたものが挙げられる。R5及びR6は各々独立にアルキレン基、-(CH2CH2O)Z1-基(Z1は1~100の整数)、又は-(CH2CH2CH2O)Z1-基(Z1は1~100の整数)を表す。
【0043】
2価の連結基におけるアルキレン基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状、それらを組み合わせたもののいずれでもよく、加熱硬化時の反応速度の観点から直鎖状が好ましい。またアルキレン基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、16以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで溶剤溶解性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が向上する傾向がある。
【0044】
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、メチルメチレン基、1-メチルエチレン基が挙げられ、溶剤溶解性と現像溶解性のバランスの観点からプロパン-1,3-ジイル基が好ましい。
【0045】
2価の連結基におけるアリーレン基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。前記上限値以下とすることで現像溶解性が向上する傾向がある。アリーレン基の炭素数は特に限定されないが、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、また、18以下が好ましく、14以下がより好ましく、12以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで保存安定性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が向上する傾向がある。
【0046】
アリーレン基としては、2価の芳香族炭化水素環基、2価の芳香族複素環基が挙げられる。
アリーレン基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも加熱硬化時の反応速度の観点から、ベンゼン環が好ましい。
【0047】
5及びR6におけるアルキレン基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状、それらを組み合わせたもののいずれでもよく、加熱硬化時の反応速度の観点から直鎖状が好ましい。またアルキレン基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、16以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで溶剤溶解性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が向上する傾向がある。
【0048】
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、メチルメチレン基、1-メチルエチレン基が挙げられ、溶剤溶解性と現像溶解性のバランスの観点からプロパン-1,3-ジイル基が好ましい。
【0049】
Z1は1~100の整数を表す。2以上が好ましく、4以上がより好ましく、6以上がさらに好ましく、また、70以下が好ましく、50以下がより好ましく、30以下がさらに好ましく、15以下がよりさらに好ましく、10以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像溶解性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像残渣の生成を抑制する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、2~70が好ましく、4~50がより好ましく、4~30がさらに好ましく、6~15がよりさらに好ましく、6~10が特に好ましい。
【0050】
これらの中でも感光性樹脂組成物の他の素材との相溶性の観点から、Lが-COO-R6-基であることが好ましく、-COO-R6-基であって、かつ、R6がアルキレン基であることがより好ましく、-COO-C36-基であることがさらに好ましい。
【0051】
(x)
上記式(1)中、xは0又は1を表す。これらの中でも加熱硬化時の反応速度の観点から1であることが好ましい。
【0052】
有機ケイ素ビニル重合体(d-1)中に含まれる前記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、全繰り返し単位中に0.2モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、20モル%以上がよりさらに好ましく、30モル%以上が特に好ましく、40モル%以上が最も好ましく、また、100モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、80モル%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで基板密着性や加熱硬化時のメルト抑制効果が高まる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで保存安定性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、0.2~100モル%が好ましく、1~90モル%がより好ましく、10~90モル%がさらに好ましく、20~90モル%がよりさらに好ましく、30~80モル%が特に好ましく、40~80モル%が最も好ましい。
【0053】
また、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)は、保存安定性の観点から、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0054】
【化3】
【0055】
式(2)中、R11は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
12は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Mは2価の連結基を表し、yは0又は1を表す。
【0056】
(R11
上記式(2)中、R11は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、それらを組み合わせたもののいずれでもよく、加熱硬化時の反応速度の観点から直鎖状が好ましい。またアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上であり、また、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで溶剤溶解性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで加熱硬化時の反応速度が高くなる傾向がある。
【0057】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、i-ブチル基、ペンチル基が挙げられ、加熱硬化時の反応速度の観点からメチル基が好ましい。
【0058】
アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基、水酸基、チオール基、アルキルチオ基が挙げられる。保存安定性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0059】
(R12
上記式(2)中、R12は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
【0060】
アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、それらを組み合わせたもののいずれでもよく、加熱硬化時の反応速度の観点から直鎖状が好ましい。またアルキル基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上であり、また、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで溶剤溶解性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が向上する傾向がある。
【0061】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基が挙げられ、加熱硬化時の反応速度の観点からメチル基が好ましい。
【0062】
アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基、水酸基、チオール基、アルキルチオ基が挙げられる。保存安定性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0063】
アリール基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。前記上限値以下とすることで現像溶解性が向上する傾向がある。アリール基の炭素数は特に限定されないが、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、また、18以下が好ましく、14以下がより好ましく、12以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで保存安定性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が向上する傾向がある。
【0064】
アリール基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。
アリール基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも加熱硬化時の反応速度の観点から、ベンゼン環が好ましい。
【0065】
アリール基が有していてもよい置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、チオール基、アルキルチオ基、ハロゲン原子が挙げられる。保存安定性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0066】
これらの中でも、加熱硬化時の反応速度の観点から置換基を有していてもよいアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0067】
(M)
上記式(2)中、Mは2価の連結基を表す。
2価の連結基としては例えば、アルキレン基、アリーレン基、-CONH-基、-CONH-R5-基、-COO-基、-COO-R6-基、それらを組み合わせたものが挙げられる。R5及びR6は各々独立にアルキレン基、-(CH2CH2O)Z1-基(Z1は1~100の整数)、又は-(CH2CH2CH2O)Z1-基(Z1は1~100の整数)を表す。
これらアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R5-基、-COO-R6-基、R5、R6、Z1としては、式(1)のLにおいて挙げたものを好ましく採用することができる。
これらの中でも他の成分との相溶性の観点から、-COO-基、-COO-R6-基が好ましい。
一方で、現像溶解性や、酸素阻害抑制による感度向上の観点から、-COO-(CH2CH2O)Z1-基又は-COO-(CH2CH2CH2O)Z1-基が好ましく、-COO-(CH2CH2O)Z1-基がより好ましい。
【0068】
(y)
上記式(2)中、yは0又は1を表す。これらの中でも溶剤溶解性の観点から1であることが好ましい。
【0069】
有機ケイ素ビニル重合体(d-1)中に含まれる前記一般式(2)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、全繰り返し単位中に1モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましく、また、99.8モル%以下が好ましく、99モル%以下がより好ましく、90モル%以下がさらに好ましく、80モル%以下がよりさらに好ましく、70モル%以下が特に好ましく、60モル%以下が最も好ましい。前記下限値以上とすることで保存安定性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで基板密着性や加熱硬化時のメルト抑制効果が高まる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~99.8モル%が好ましく、1~99モル%がより好ましく、10~90モル%がさらに好ましく、10~80モル%がよりさらに好ましく、20~70モル%が特に好ましく、20~60モル%が最も好ましい。
【0070】
また、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)が、前記一般式(2)で表される繰り返し単位であって、そのMが-COO-(CH2CH2O)Z1-基である繰り返し単位を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、全繰り返し単位中に1モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上がさらに好ましく、20モル%以上が特に好ましく、また、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、35モル%以下がさらに好ましく、30モル%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像溶解性が良好になり、酸素阻害抑制によって感度が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで基板密着性や加熱硬化時のメルト抑制効果が高まる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~50モル%が好ましく、10~40モル%がより好ましく、15~35モル%がさらに好ましく、20~30モル%が特に好ましい。
【0071】
有機ケイ素ビニル重合体(d-1)の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、2000以上が好ましく、5000以上がより好ましく、8000以上がさらに好ましく、また、100000以下が好ましく、75000以下がより好ましく、40000以下がさらに好ましく、30000以下がよりさらに好ましく、20000以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることでメルト抑制効果が高まる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、2000~100000が好ましく、5000~75000がより好ましく、5000~40000がさらに好ましく、8000~30000がよりさらに好ましく、8000~20000が特に好ましい。
【0072】
有機ケイ素ビニル重合体(d-1)の酸価は特に限定されないが、3mgKOH/g以下が好ましく、1mgKOH/g以下がより好ましく、0.5mgKOH/g以下がさらに好ましく、0.3mgKOH/g以下が特に好ましく、0mgKOH/gが最も好ましい。前記上限値以下とすることで有機ケイ素ビニル重合体(d-1)の保存安定性が向上する傾向がある。
【0073】
有機ケイ素ビニル重合体(d-1)の製造方法は特に限定されないが、例えば、ケイ素原子含有不飽和化合物とその他の不飽和化合物とを共重合して得ることができる。
【0074】
ケイ素原子含有不飽和化合物としては、例えば、以下に例示されるような化合物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。
なお、式中、Cは1,2-エチレン基を、Cはn-プロパン-1,3-ジイル基を、C16はn-オクタン-1,8-ジイル基を表す。
【0075】
【化4】
【0076】
その他の不飽和化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。また、有機ケイ素ビニル(d-1)の保存安定性の観点より、不飽和化合物としては酸性基を有さないものを用いて共重合させることが好ましい。
【0077】
本発明の感光性樹脂組成物における(d)有機ケイ素化合物の含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上が特に好ましく、また、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで基板密着性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像残渣が抑制される傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、0.1~15質量%が好ましく、0.3~10質量%がより好ましく、1~8質量%がさらに好ましく、2~5質量%が特に好ましい。
【0078】
本発明の感光性樹脂組成物における有機ケイ素ビニル重合体(d-1)の含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、1.5質量%以上がよりさらに好ましく、2質量%以上が特に好ましく、また、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで加熱硬化時のメルト抑制効果が高まる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像残渣が抑制される傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、0.1~10質量%が好ましく、0.3~10質量%がより好ましく、1~8質量%がさらに好ましく、1.5~5質量%がよりさらに好ましく、2~5質量%が特に好ましい。
また、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)は2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
【0079】
<その他の有機ケイ素化合物(d-2)>
また、(d)有機ケイ素化合物として、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)以外に、その他の有機ケイ素化合物(d-2)を含んでいてもよい。
その他の有機ケイ素化合物としてはシランカップリング剤が挙げられ、例えば、以下のような、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、1級~3級アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基等を有するものが挙げられる。なお、シランカップリング剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、式中、Cは1,2-エチレン基を、Cはn-プロパン-1,3-ジイル基を表す。
【0080】
【化5】
【0081】
<(a)アルカリ可溶性樹脂>
本発明の感光性樹脂組成物は(a)アルカリ可溶性樹脂を含む。(a)アルカリ可溶性樹脂は、感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して得られる硬化膜を露光後、露光部と非露光部のアルカリ現像に対する溶解性が変化するようなものであれば特に限定されないが、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂であるのが好ましい。また、光硬化性の観点からエチレン性不飽和基を有するものが好ましく、光硬化性と現像溶解性の観点からエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂がさらに好ましい。具体的には、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂やアクリル共重合樹脂が挙げられる。
【0082】
カラーフィルター作成時には、通常、アルカリ現像液に非露光部が溶解するために、アルカリ可溶性樹脂として、水酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などの酸性の官能基を有した高分子樹脂が適用される。これらの中でもアルカリ現像液に対する溶解性の観点から、カルボキシル基を有する高分子樹脂が好ましい。また、リン酸基やスルホン酸基は、カルボキシル基よりも酸性度は高いものの、感光性樹脂組成物中の塩基性基を有する開始剤、モノマー、分散剤、その他の添加剤などと反応しやすく、保存安定性が悪くなる場合がある。
【0083】
本発明の感光性樹脂組成物における(a)アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含む。カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂はエチレン性不飽和基を有するものであり、それによって露光時の架橋点が増えて、軟化開始温度が高くなり、樹脂流動による線幅変化が抑制されるものと考えられる。また、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、カルボキシル基やエステル基による水素結合や双極子-双極子相互作用に加えて、芳香族環同士のπ-π相互作用も働き、樹脂の主鎖間の自由体積が少なくなり酸素が透過しづらいことから、重合反応時の酸素阻害が抑制され、よりいっそう架橋が進み、樹脂流動による線幅変化が抑制されるものと考えられる。
【0084】
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、エポキシ樹脂とα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物の、反応で生成した水酸基にさらに多塩基酸及び/又はその無水物を反応させて得られる樹脂である。また、多塩基酸及び/又はその無水物を水酸基と反応させる前に、該水酸基と反応し得る置換基を2個以上有する化合物を反応させた後、多塩基酸、及び/又はその無水物を反応させて得られる樹脂も、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に含まれる。さらに上記反応で得られた樹脂のカルボキシル基に、さらに反応し得る官能基を有する化合物を反応させて得られる樹脂も、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂に含まれる。
このように、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は化学構造上、実質的にエポキシ基を有さず、かつ「(メタ)アクリレート」に限定されるものではないが、エポキシ樹脂が原料であり、かつ、「(メタ)アクリレート」が代表例であるので慣用に従いこのように命名されている。
【0085】
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、以下のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1-1)及び/又はエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1-2)が挙げられる。
【0086】
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1-1)>
エポキシ樹脂にα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1-2)>
エポキシ樹脂にα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、並びに多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
【0087】
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1-1)>
原料となるエポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、三菱ケミカル社製の「jER(登録商標。以下同じ。)828」、「jER1001」、「jER1002」、「jER1004」、日本化薬社製の「NER-1302」(エポキシ当量323,軟化点76℃)等)、ビスフェノールF型樹脂(例えば、三菱ケミカル社製の「jER807」、「jER4004P」、「jER4005P」、「jER4007P」、日本化薬社製の「NER-7406」(エポキシ当量350,軟化点66℃)等)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルグリシジルエーテル(例えば、三菱ケミカル社製の「jERYX-4000」)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN(登録商標。以下同じ。)-201」、三菱ケミカル社製の「jER-152」、「jER-154」、ダウケミカル社製の「DEN-438」)、(o,m,p-)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EOCN(登録商標。以下同じ。)-102S」、「EOCN-1020」、「EOCN-104S」)、トリグリシジルイソシアヌレート(例えば、日産化学社製の「TEPIC(登録商標)」)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN-501」、「EPPN-502」、「EPPN-503」)、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル社製の「セロキサイド(登録商標。以下同じ。)2021P」、「セロキサイドEHPE」)、ジシクロペンタジエンとフェノールの反応によるフェノール樹脂をグリシジル化したエポキシ樹脂(例えば、DIC社製の「EXA-7200」、日本化薬社製の「NC-7300」)、下記一般式(a1)~(a5)で表されるエポキシ樹脂、等を好適に用いることができる。具体的には、下記一般式(a1)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「XD-1000」、下記一般式(a2)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「NC-3000」、下記一般式(a4)で表されるエポキシ樹脂として新日鉄住金化学社製の「ESF-300」等が挙げられる。
【0088】
【化6】
【0089】
上記一般式(a1)において、b11は平均値であり、0~10の数を表し、R11は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR11は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0090】
【化7】
【0091】
上記一般式(a2)において、b12は平均値であり、0~10の数を表し、R21は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR21は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0092】
【化8】
【0093】
上記一般式(a3)において、Xは下記一般式(a3-1)又は(a3-2)で示される連結基を表し、b13は2又は3の整数を表す。但し、分子構造中に1つ以上のアダマンタン構造を含む。
【0094】
【化9】
【0095】
上記一般式(a3-1)及び(a3-2)において、R31~R34及びR35~R37は各々独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、式中の*は前記一般式(a3)中の結合部位を表す。
【0096】
【化10】
【0097】
上記一般式(a4)において、p及びqは各々独立に0~4の整数を表し、R41及びR42は各々独立にアルキル基又はハロゲン原子を表し、R43及びR44は各々独立にアルキレン基を表し、x及びyは各々独立に0以上の整数を表す。
【0098】
【化11】
【0099】
上記一般式(a5)において、R51~R54は各々独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素原子6~20のアリール基、又は、炭素原子7~20のアラルキル基を表し、R55は炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表し、R56は炭素数1~5のアルキレン基を表し、kは1~5の整数を表し、lは0~13の整数を表し、mは0~5の整数を表す。
これらの中で、一般式(a1)~(a5)のいずれかで表されるエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
【0100】
α,β-不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体などのモノカルボン酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアジピン酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルアジピン酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイロキシブチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシブチルアジピン酸、2-(メタ)アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシブチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシブチルマレイン酸、(メタ)アクリル酸にε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等のラクトン類を付加させ末端に1個の水酸基を有する単量体や、あるいはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのような末端に1個の水酸基を有する単量体や、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのような末端に1個の水酸基を有する化合物に、(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させ、1個以上のエチレン不飽和基と末端に1個のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸ダイマーなども挙げられる。
これらの中でも感度の点から、特に好ましいものは(メタ)アクリル酸である。
【0101】
エポキシ樹脂にα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルを付加させる方法としては、公知の手法を用いることができる。例えば、エステル化触媒の存在下、50~150℃の温度で、α,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとエポキシ樹脂とを反応させることができる。ここで用いるエステル化触媒としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
【0102】
なお、エポキシ樹脂、α,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステル、及びエステル化触媒は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
α,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルの使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し0.5~1.2当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7~1.1当量の範囲である。
α,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルの使用量が前記下限値以上の場合不飽和基の導入量が十分となり、引き続く多塩基酸及び/又はその無水物との反応も十分となる傾向がある。一方、該使用量が前記上限値以下の場合α,β-不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルが未反応物として残存することを抑制できる傾向がある。
【0103】
多塩基酸及び/又はその無水物としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、及びこれらの無水物等から選ばれた、1種又は2種以上が挙げられる。
【0104】
好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、又はこれらの無水物である。特に好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸、又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
【0105】
多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応に関しても公知の手法を用いることができ、エポキシ樹脂へのα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルの付加反応と同様な条件下で、継続反応させて目的物を得ることができる。多塩基酸及び/又はその無水物成分の付加量は、生成するカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価が10~150mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましく、さらに20~140mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましい。前記下限値以上とすることでアルカリ現像性が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることで硬化性が良好となる傾向がある。
【0106】
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1-2)>
上記(A1-1)樹脂の多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応時に、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールを添加し多分岐構造を導入してもよく、そうすることによりエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1-2)が得られる。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1-1)及び(A1-2)は、通常、エポキシ樹脂とα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物を混合した後、もしくは、エポキシ樹脂とα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物並びに多価アルコールを混合した後に、加温することにより得られる。この場合、多塩基酸及び/又はその無水物と多価アルコールの混合順序に、特に制限はない。加温により、エポキシ樹脂とα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物と多価アルコールとの混合物中に存在するいずれかの水酸基に対して多塩基酸及び/又はその無水物が付加反応する。
【0107】
多価アルコールの使用量は、エポキシ樹脂とα,β-不飽和モノカルボン酸及び/又はカルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に対して、通常0.01~0.5質量倍程度、好ましくは0.02~0.2質量倍程度である。前記下限値以上とすることで添加効果が得られやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで増粘やゲル化を抑制することができる傾向がある。
【0108】
本発明の感光性樹脂組成物は、表面硬化性の観点から、エチレン性不飽和基を含有するアルカリ可溶性樹脂として、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂であるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1-1)及び(A1-2)の少なくとも何れかを含むことが好ましい。
【0109】
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価は特に限定されないが、通常10mgKOH/g以上、好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは80mgKOH/g以上であり、200mgKOH/g以下であることが好ましく、150mgKOH/g以下であることがより好ましく、130mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像性が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることでアルカリ耐性を良好にすることができる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、10~200mgKOH/gが好ましく、50~150mgKOH/gがより好ましく、80~130mgKOH/gがさらに好ましい。
【0110】
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、1000以上であることが好ましく、1500以上であることがより好ましく、2000以上であることがさらに好ましい。また、40000以下であることが好ましく、20000以下であることがより好ましく、10000以下であることがさらに好ましく、8000以下であることがよりさらに好ましく、6000以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで感度、塗膜強度、アルカリ耐性が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることで現像性や再溶解性を良好なものとすることができる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1000~40000が好ましく、1500~20000がより好ましく、1500~10000がさらに好ましく、2000~8000がよりさらに好ましく、2000~6000が特に好ましい。
【0111】
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の化学構造は特に限定されないが、露光感度の観点から、下記一般式(a1-I)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(以下、「(a1-I)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂」と略記する場合がある。)及び/又は下記一般式(a1-II)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(以下、「(a1-II)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂」と略記する場合がある。)を含有することが好ましい。
【0112】
【化12】
【0113】
式(a1-I)中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、*は結合手を表す。式(a1-I)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。
【0114】
【化13】
【0115】
式(a1-II)中、R13は各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、R14は、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基を表し、R15及びR16は各々独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基を表し、m及びnは各々独立に0~2の整数を表し、*は結合手を表す。
【0116】
<(a1-I)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂>
まず、前記一般式(a1-I)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂について詳述する。
【0117】
【化14】
【0118】
式(a1-I)中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表し、*は結合手を表す。式(a1-I)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。
【0119】
(R12
前記式(a1-I)において、R12は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。
2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族基、2価の芳香族環基、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基が挙げられる。
【0120】
2価の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、それらを組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点からは直鎖状のものが好ましい。一方で露光部への現像液の浸透低減の観点からは環状のものが好ましい。その炭素数は通常1以上であり、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~20が好ましく、3~15がより好ましく、6~10がさらに好ましく挙げられる。
【0121】
2価の直鎖状の脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基等が挙げられる。これらの中でも骨格の剛直性の観点から、メチレン基が好ましい。
2価の分岐鎖状の脂肪族基としては、前述の2価の直鎖状の脂肪族基に、側鎖としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を有する構造が挙げられる。
2価の環状の脂肪族基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常12以下であり、10以下が好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。2価の環状の脂肪族基の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環、ジシクロペンタジエン等の環から水素原子を2つ除した基が挙げられる。これらの中でも骨格の剛直性の観点から、ジシクロペンタジエン環、アダマンタン環から水素原子を2つ除した基が好ましい。
【0122】
2価の脂肪族基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0123】
また、2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、4~20が好ましく、5~15がより好ましく、6~10がさらに好ましく挙げられる。
【0124】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの中でも解像性の観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
【0125】
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも解像性の観点から、無置換が好ましい。
【0126】
また、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基としては、前述の2価の脂肪族基を1以上と、前述の2価の芳香族環基を1以上とを連結した基が挙げられる。
2価の脂肪族基の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで重合が進みやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
2価の芳香族環基の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
【0127】
1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基の具体例としては、下記式(a1-I-A)~(a1-I-F)で表される基等が挙げられる。これらの中でも解像性の観点から、下記式(a1-I-A)で表される基が好ましい。
【0128】
【化15】
【0129】
前記のとおり、式(a1-I)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
これらの中でも解像性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0130】
また、前記式(a1-I)で表される部分構造は、合成の容易性の観点から、下記式(a1-I-1)で表される部分構造であることが好ましい。
【0131】
【化16】
【0132】
式(a1-I-1)中、R11及びR12は、前記式(a1-I)のものと同義であり、RXは水素原子又は多塩基酸残基を表し、*は結合手を表す。式(a1-I-1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。
【0133】
多塩基酸残基とは、多塩基酸又はその無水物からOH基を1つ除した1価の基を意味する。多塩基酸としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でもパターニング特性の観点から、好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸であり、より好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸である。
【0134】
(a1-I)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂1分子中に含まれる、前記式(a1-I-1)で表される部分構造は、1種でも2種以上でもよく、例えば、RXが水素原子のものと、RXが多塩基酸残基のものが混在していてもよい。
【0135】
また、(a1-I)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂1分子中に含まれる、前記式(a1-I)で表される部分構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像溶解性が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~20が好ましく、3~15がより好ましく挙げられる。
【0136】
(a1-I)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましく、2500以上がよりさらに好ましく、3000以上が特に好ましく、3500以上が最も好ましく、また、30000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、10000以下がさらに好ましく、9000以下がよりさらに好ましく、8000以下が特に好ましく、7000以下が最も好ましい。前記下限値以上とすることで解像性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで再溶解性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1000~30000が好ましく、1500~20000がより好ましく、2000~10000がさらに好ましく、2500~9000がよりさらに好ましく、3000~8000が特に好ましく、3500~7000が最も好ましく挙げられる。
【0137】
(a1-I)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の、酸価は特に限定されないが、10mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましく、40mgKOH/g以上がさらに好ましく、50mgKOH/g以上がよりさらに好ましく、80mgKOH/g以上が特に好ましく、また、200mgKOH/g以下が好ましく、150mgKOH/g以下がより好ましく、130mgKOH/g以下がよりさらに好ましく、120mgKOH/g以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像溶解性が向上し、解像性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで感光性樹脂組成物の残膜率が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、10~200mgKOH/gが好ましく、20~150mgKOH/gがより好ましく、40~150mgKOH/gがさらに好ましく、50~130mgKOH/gがよりさらに好ましく、80~120mgKOH/gが特に好ましく挙げられる。
【0138】
以下に(a1-I)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の具体例を挙げる。なお、例中の*は結合手を示す。
【0139】
【化17】
【0140】
【化18】
【0141】
【化19】
【0142】
【化20】
【0143】
<(a1-II)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂>
次に、前記一般式(a1-II)で表される部分構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂について詳述する。
【0144】
【化21】
【0145】
式(a1-II)中、R13は各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、R14は、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基を表し、R15及びR16は各々独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基を表し、m及びnは各々独立に0~2の整数を表し、*は結合手を表す。
【0146】
(R14
前記一般式(a1-II)において、R14は、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基を表す。
環状炭化水素基としては、脂肪族環基又は芳香族環基が挙げられる。
【0147】
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、4~40が好ましく、6~30がより好ましく、8~20がさらに好ましく挙げられる。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としてはシクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等が挙げられる。これらの中でも感光性樹脂組成物の残膜率と解像性の観点から、アダマンタン環が好ましい。
【0148】
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、3~4がさらに好ましく挙げられる。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。また、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がよりさらに好ましく、12以上が特に好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで解像性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで再溶解性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、4~40が好ましく、6~30がより好ましく、8~20がさらに好ましく、10~15が特に好ましく挙げられる。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点から、フルオレン環が好ましい。
【0149】
また、環状炭化水素基を側鎖として有する2価の炭化水素基における、2価の炭化水素基は特に限定されないが、例えば、2価の脂肪族基、2価の芳香族環基、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基が挙げられる。
【0150】
2価の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、それらの組み合わせのものが挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点からは直鎖状のものが好ましく、一方で露光部への現像液の浸透低減の観点からは環状のものが好ましい。その炭素数は通常1以上であり、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、25以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~25が好ましく、3~20がより好ましく、6~15がさらに好ましく挙げられる。
【0151】
2価の直鎖状の脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基等が挙げられる。これらの中でも解像性の観点から、メチレン基が好ましい。
2価の分岐鎖状の脂肪族基としては、前述の2価の直鎖状の脂肪族基に、側鎖としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を有する構造が挙げられる。
2価の環状の脂肪族基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
2価の環状の脂肪族基の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等の環から水素原子を2つ除した基が挙げられる。これらの中でも感光性樹脂組成物の残膜率と解像性の観点から、アダマンタン環から水素原子を2つ除した基が好ましい。
【0152】
2価の脂肪族基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0153】
また、2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、4~30が好ましく、5~20がより好ましく、6~15がさらに好ましく挙げられる。
【0154】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。これらの中でも解像性の観点から、2個の遊離原子価を有するベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、2個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
【0155】
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。これらの中でも解像性の観点から、無置換が好ましい。
【0156】
また、1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基としては、前述の2価の脂肪族基を1以上と、前述の2価の芳香族環基を1以上とを連結した基が挙げられる。
2価の脂肪族基の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
2価の芳香族環基の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
【0157】
1以上の2価の脂肪族基と1以上の2価の芳香族環基とを連結した基の具体例としては、前記式(a1-I-A)~(a1-I-F)で表される基等が挙げられる。これらの中でも解像性の観点から、前記式(a1-I-C)で表される基が好ましい。
【0158】
これらの2価の炭化水素基に対して、側鎖である環状炭化水素基の結合態様は特に限定されないが、例えば、脂肪族基や芳香族環基の水素原子1つを該側鎖で置換した態様や、脂肪族基の炭素原子の1つを含めて側鎖である環状炭化水素基を構成した態様が挙げられる。
【0159】
(R15、R16
前記一般式(a1-II)において、R15及びR16は各々独立に、置換基を有していてもよい2価の脂肪族基を表す。
【0160】
2価の脂肪族基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、それらの組み合わせのものが挙げられる。これらの中でも現像溶解性の観点からは直鎖状のものが好ましく、一方で感光性樹脂組成物の残膜率と解像性の観点からは環状のものが好ましい。その炭素数は通常1以上であり、3以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~20が好ましく、3~15がより好ましく、6~10がさらに好ましく挙げられる。
【0161】
2価の直鎖状の脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基等が挙げられる。これらの中でも解像性の観点から、メチレン基が好ましい。
2価の分岐鎖状の脂肪族基としては、前述の2価の直鎖状の脂肪族基に、側鎖としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等を有する構造が挙げられる。
2価の環状の脂肪族基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常12以下であり、10以下が好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~12が好ましく、2~10がより好ましく挙げられる。
2価の環状の脂肪族基の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環、ジシクロペンタジエン等の環から水素原子を2つ除した基が挙げられる。これらの中でも骨格の剛直性の観点から、ジシクロペンタジエン環、アダマンタン環から水素原子を2つ除した基が好ましい。
【0162】
2価の脂肪族基が有していてもよい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成容易性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0163】
(m、n)
前記一般式(a1-II)において、m及びnは各々独立に0~2の整数を表す。前記下限値以上とすることで表面硬化性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が良好となる傾向がある。現像性の観点からm及びnが0であることが好ましい。一方で、残膜率の観点からm及びnが1以上であることが好ましい。
【0164】
また、前記一般式(a1-II)で表される部分構造は、色材との親和性の観点から、下記一般式(a1-II-1)で表される部分構造であることが好ましい。
【0165】
【化22】
【0166】
式(a1-II-1)中、R13、R15、R16、m及びnは前記式(a1-II)と同義であり、Rαは、置換基を有していてもよい1価の環状炭化水素基を表し、pは1以上の整数であり、*は結合手を表す。式(a1-II-1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。
【0167】
(Rα
前記一般式(a1-II-1)において、Rαは、置換基を有していてもよい1価の環状炭化水素基を表す。
環状炭化水素基としては、脂肪族環基又は芳香族環基が挙げられる。
【0168】
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常6以下であり、4以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~6が好ましく、2~4がより好ましく、2~3がさらに好ましく挙げられる。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、4~40が好ましく、6~30がより好ましく、8~20がさらに好ましく、8~15が特に好ましく挙げられる。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としてはシクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等が挙げられる。これらの中でも強固な膜特性の観点から、アダマンタン環が好ましい。
【0169】
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3がさらに好ましく挙げられる。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。また、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、4~30が好ましく、5~20がより好ましく、6~15がさらに好ましく挙げられる。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも顔料親和性の観点から、フルオレン環が好ましい。
【0170】
環状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、アミル基、iso-アミル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成の容易性の観点から、無置換が好ましい。
【0171】
pは1以上の整数を表すが、2以上が好ましく、また、3以下が好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~3が好ましく、2~3がより好ましく挙げられる。
【0172】
これらの中でも、解像性の観点から、Rαが1価の脂肪族環基であることが好ましく、アダマンチル基であることがより好ましい。
【0173】
前記のとおり、式(a1-II-1)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
これらの中でもパターニング特性の観点から、無置換であることが好ましい。
【0174】
以下に前記式(a1-II-1)で表される部分構造の具体例を挙げる。
【0175】
【化23】
【0176】
【化24】
【0177】
【化25】
【0178】
【化26】
【0179】
【化27】
【0180】
また、前記一般式(a1-II)で表される部分構造は、色材との親和性、現像性の観点から、下記一般式(a1-II-2)で表される部分構造であることが好ましい。
【0181】
【化28】
【0182】
式(a1-II-2)中、R13、R15、R16、m及びnは前記式(a1-II)と同義であり、Rβは、置換基を有していてもよい2価の環状炭化水素基を表し、*は結合手を表す。式(a1-II-2)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。
【0183】
(Rβ
前記式(a1-II-2)において、Rβは、置換基を有していてもよい2価の環状炭化水素基を表す。
環状炭化水素基としては、脂肪族環基又は芳香族環基が挙げられる。
【0184】
脂肪族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~10が好ましく、1~5がより好ましく挙げられる。
また、脂肪族環基の炭素数は通常4以上であり、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、8以上がさらに好ましく、また、40以下が好ましく、35以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、4~40が好ましく、5~35がより好ましく、6~30がさらに好ましく挙げられる。
脂肪族環基における脂肪族環の具体例としては、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、ノルボルナン環、イソボルナン環、アダマンタン環等が挙げられる。これらの中でも残膜率、解像性の観点から、アダマンタン環が好ましい。
【0185】
一方で、芳香族環基が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常10以下であり、5以下が好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~10が好ましく、2~5がより好ましく、3~5がさらに好ましく挙げられる。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。また、芳香族環基の炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、また、40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましく、15以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、4~40が好ましく、6~30がより好ましく、8~20がさらに好ましく、8~15が特に好ましく挙げられる。
芳香族環基における芳香族環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、インダン環、フルオレン環等が挙げられる。これらの中でも現像性の観点から、インダン環、又はフルオレン環が好ましく、フルオレン環がより好ましい。
【0186】
環状炭化水素基が有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、アミル基、iso-アミル基等の炭素数1~5のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~5のアルコキシ基;フェニル基;水酸基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基等が挙げられる。これらの中でも合成の簡易性の観点から、無置換が好ましい。
【0187】
これらの中でも、残膜率、解像性の観点から、Rβが2価の脂肪族環基であることが好ましく、2価のアダマンタン環基であることがより好ましい。
一方で、現像性の観点から、Rβが2価の芳香族環基であることが好ましく、2価のフルオレン環基、2価のフェニルインダン環基であることがより好ましい。
【0188】
前記のとおり、式(a1-II-2)中のベンゼン環は、さらに任意の置換基により置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、プロピル基、プロポキシ基等が挙げられる。置換基の数も特に限定されず、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
また、置換基を介して2つのベンゼン環が連結していてもよい。この場合の置換基としては、-O-、-S-、-NH-、-CH2-等の2価の基が挙げられる。
これらの中でも解像性の観点から、無置換であることが好ましい。また、膜減り等を生じにくくする観点から、メチル基置換であることが好ましい。
【0189】
以下に前記式(a1-II-2)で表される部分構造の具体例を挙げる。なお、例中の*は結合手を示す。
【0190】
【化29】
【0191】
【化30】

【0192】
【化31】
【0193】
【化32】
【0194】
【化33】
【0195】
一方で、前記式(a1-II)で表される部分構造は、残膜率と解像性の観点から、下記式(a1-II-3)で表される部分構造であることが好ましい。
【0196】
【化34】
【0197】
式(a1-II-3)中、R13、R14、R15、R16、m及びnは前記式(a1-II)と同義であり、RZは水素原子又は多塩基酸残基を表す。
【0198】
多塩基酸残基とは、多塩基酸又はその無水物からOH基を1つ除した1価の基を意味する。なお、さらにもう1つのOH基が除され、式(a1-II-3)で表される他の分子におけるRZと共用されていてもよく、つまり、RZを介して複数の式(a1-II-3)が連結していてもよい。
多塩基酸としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸から選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。
これらの中でも解像性の観点から、多塩基酸としては、好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸であり、より好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸である。
【0199】
(a1-II)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂1分子中に含まれる、前記式(a1-II-3)で表される部分構造は、1種でも2種以上でもよく、例えば、RZが水素原子のものと、RZが多塩基酸残基のものが混在していてもよい。
【0200】
また、(a1-II)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂1分子中に含まれる、前記式(a1-II)で表される部分構造の数は特に限定されないが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで強固な膜が得られやすくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~20が好ましく、3~15がより好ましく、3~10がさらに好ましく挙げられる。
【0201】
(a1-II)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、また、30000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、10000以下がさらに好ましく、7000以下がよりさらに好ましく、6000以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで再溶解性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1000~30000が好ましく、1000~20000がより好ましく、2000~10000がさらに好ましく、2000~7000がよりさらに好ましく、2000~6000が特に好ましく挙げられる。
【0202】
(a1-II)エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価は特に限定されないが、10mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましく、40mgKOH/g以上がさらに好ましく、60mgKOH/g以上がよりさらに好ましく、80mgKOH/g以上が特に好ましく、90mgKOH/g以上が最も好ましく、また、200mgKOH/g以下が好ましく、150mgKOH/g以下がより好ましく、120mgKOH/g以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで未硬化部の現像溶解性が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、10~200mgKOH/gが好ましく、20~150mgKOH/gがより好ましく、40~150mgKOH/gがさらに好ましく、60~120mgKOH/gがよりさらに好ましく、80~120mgKOH/gが特に好ましく挙げられる。
【0203】
本発明の感光性樹脂組成物における(a)アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含むものであるが、その他のアルカリ可溶性樹脂をさらに含んでいてもよい。その他のアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル共重合樹脂が挙げられる。
【0204】
アクリル共重合樹脂としては、例えば、日本国特開平7-207211号、日本国特開平8-259876号、日本国特開平10-300922号、日本国特開平11-140144号、日本国特開平11-174224号、日本国特開2000-56118号、日本国特開2003-233179号、日本国特開2007-270147号などの各公報等に記載された様々な高分子化合物を使用することができるが、好ましくは、以下の(A2-1)~(A2-4)の樹脂等が挙げられ、中でも、(A2-1)の樹脂が特に好ましい。
【0205】
(A2-1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、あるいは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂
(A2-2):主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂
(A2-3):前記(A2-2)の樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂
(A2-4):(メタ)アクリル系樹脂
【0206】
本発明の感光性樹脂組成物は、感度及びメルト抑制の観点から、エチレン性不飽和基を含有するアルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましい。エチレン性不飽和基を含有するアルカリ可溶性樹脂としては、前述のカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の他に、(A2-1)の樹脂及び(A2-3)の樹脂の少なくとも何れかを含むことが好ましい。
【0207】
本発明の感光性樹脂組成物は、その他のアルカリ可溶性樹脂として、前記アクリル共重合樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂を併用してもよい。その他のアルカリ可溶性樹脂としての、前記アクリル共重合樹脂以外のアルカリ可溶性樹脂を併用する場合、カラーフィルター用感光性樹脂組成物に通常使用される樹脂から選択すればよい。例えば、日本国特開2007-271727号公報、日本国特開2007-316620号公報、日本国特開2007-334290号公報などに記載のアルカリ可溶性樹脂などが挙げられる。
【0208】
(a)アルカリ可溶性樹脂の含有割合は、感光性樹脂組成物の全固形中に、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、通常90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。前記下限値以上とすることで未露光部分の現像液に対する溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで露光部への現像液の過剰な浸透を抑制することができ、画像のシャープ製や密着性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、5~90質量%が好ましく、10~70質量%がより好ましく、15~50質量%がさらに好ましく、20~30質量%が特に好ましい。
【0209】
また、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形中に、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、通常90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。前記下限値以上とすることで現像残渣が抑えられる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで解像性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、5~90質量%が好ましく、10~70質量%がより好ましく、15~50質量%がさらに好ましく、20~30質量%が特に好ましい。
【0210】
また、(a)アルカリ可溶性樹脂中における、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の含有割合も特に限定されないが、(a)アルカリ可溶性樹脂中に、20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がよりさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上が最も好ましく、また、通常100質量%以下である。前記下限値以上とすることで解像性が良好となる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、20~100質量%が好ましく、40~100質量%がより好ましく、60~100質量%がさらに好ましく、80~100質量%がよりさらに好ましく、90~100質量%が特に好ましく、95~100質量%が最も好ましい。
【0211】
なお、上述のように、本発明の感光性樹脂組成物は、(a)アルカリ可溶性樹脂中にその他のアルカリ可溶性樹脂を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、(a)アルカリ可溶性樹脂に対して通常20質量%以下、好ましくは10質量%以下、特に好ましくは0質量%である。
【0212】
また、(b)光重合性モノマー100質量部に対する(a)アルカリ可溶性樹脂の含有割合も特に限定されないが、100質量部以上が好ましく、130質量部以上がより好ましく、160質量部以上がさらに好ましく、200質量部以上が特に好ましく、また、2000質量部以下が好ましく、1500質量部以下がより好ましく、1000質量部以下がさらに好ましく、500質量部以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像残渣が抑制される傾向があり、また、前記上限値以下とすることで露光感度が高くなる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、100~2000質量部が好ましく、130~1500質量部がより好ましく、160~1000質量部がさらに好ましく、200~500質量部が特に好ましい。
【0213】
<(b)光重合性モノマー>
本発明の感光性樹脂組成物は、感度等の点から(b)光重合性モノマーを含有する。
本発明に用いられる(b)光重合性モノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物(以下、「エチレン性単量体」と称することがある)を挙げることができる。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、及びエチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸と、多価又は1価アルコールのモノエステル、等が挙げられる。
【0214】
本発明においては、特に、1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有する多官能エチレン性単量体を使用することが望ましい。多官能エチレン性単量体におけるエチレン性不飽和基の数は通常2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、さらに好ましくは5個以上、特に好ましくは6個以上、また通常10個以下、好ましくは8個以下である。前記下限値以上とすることで高感度となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで重合時の硬化収縮が小さくなる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、2~10が好ましく、3~10がより好ましく、4~8がさらに好ましく、5~8がよりさらに好ましく、6~8が特に好ましい。
多官能エチレン性単量体の例としては、例えば脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と、不飽和カルボン酸及び多塩基性カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルなどが挙げられる。
【0215】
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0216】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
多塩基性カルボン酸及び不飽和カルボン酸と、多価ヒドロキシ化合物のエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物ではないが、代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0217】
その他、本発明に用いられる多官能エチレン性単量体の例としては、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル又はポリイソシアネート化合物とポリオール及び水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られるようなウレタン(メタ)アクリレート類;多価エポキシ化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸との付加反応物のようなエポキシアクリレート類;エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が有用である。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0218】
(b)光重合性モノマーの含有割合は、感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、また、通常90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、よりさらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。光重合性モノマーの含有割合を前記下限値以上とすることで紫外線照射による光硬化を向上させるとともにアルカリ現像性も良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで、露光部への現像液の浸透性が適度となり良好な画像を得ることができる傾向にある。上限と下限の組み合わせとしては、1~90質量%が好ましく、1~70質量%がより好ましく、1~50質量%がさらに好ましく、1~30質量%がよりさらに好ましく、5~20質量%が特に好ましく、5~10質量%が最も好ましい。
【0219】
<(c)光ラジカル重合開始剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、(c)光ラジカル重合開始剤を含有する。光ラジカル重合開始剤は、光を直接吸収し、分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。必要に応じて増感色素等の付加剤を添加して使用してもよい。
【0220】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、日本国特開昭59-152396号公報、日本国特開昭61-151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物;日本国特開2000-56118号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;日本国特開平10-39503号公報記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル-s-トリアジン誘導体類、N-フェニルグリシン等のN-アリール-α-アミノ酸類、N-アリール-α-アミノ酸塩類、N-アリール-α-アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α-アミノアルキルフェノン誘導体類;日本国特開2000-80068号公報、日本国特開2006-36750号公報等に記載されているオキシムエステル誘導体類等が挙げられる。
【0221】
具体的には、例えば、メタロセン化合物としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6-トリフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6-ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4-ジフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6-ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス〔2,6-ジフルオロ-3-(1-ピロリル)フェニル〕等が挙げられる。
【0222】
また、ビイミダゾール誘導体類としては、2-(2’-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(2’-クロロフェニル)-4,5-ビス(3’-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2-(2’-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(2’-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、(4’-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
【0223】
また、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2-トリクロロメチル-5-(2’-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2’-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2’-(6’’-ベンゾフリル)ビニル)〕-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-フリル-1,3,4-オキサジアゾール等が挙げられる。
【0224】
また、ハロメチル-s-トリアジン誘導体類としては、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等が挙げられる。
【0225】
また、α-アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2-メチル-1〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、4-ジメチルアミノエチルベンゾエ-ト、4-ジメチルアミノイソアミルベンゾエ-ト、4-ジエチルアミノアセトフェノン、4-ジメチルアミノプロピオフェノン、2-エチルヘキシル-1,4-ジメチルアミノベンゾエート、2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7-ジエチルアミノ-3-(4-ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4-(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
【0226】
光ラジカル重合開始剤としては、特に、感度の点でオキシム誘導体類(オキシムエステル系化合物及びケトオキシムエステル系化合物)が有効である。オキシム誘導体類の中でも特に、基板との密着性の観点からオキシムエステル系化合物が好ましい。
オキシムエステル系化合物は、その構造の中に紫外線を吸収する構造と光エネルギーを伝達する構造とラジカルを発生する構造を併せ持っているために、少量で感度が高く、かつ熱反応に対しては安定であり、少量で高感度な感光性樹脂組成物の設計が可能である。特に、露光光源のi線(365nm)に対する光吸収性の観点から、置換されていてもよいカルバゾリル基(置換されていてもよいカルバゾール環を有する基)を含有するオキシムエステル系化合物の場合に、この構造特性が良好に発現されより好ましい。現在、市場では、遮光度が高く、薄膜なBMが要求されており、色材の含有割合も、ますます高くなっている。このような状況においては、特に有効である。
【0227】
オキシムエステル系化合物としては、下記一般式(22)で示される部分構造を含む化合物が挙げられ、好ましくは、下記一般式(23)で示されるオキシムエステル系化合物が挙げられる。
【0228】
【化35】
【0229】
上記式(22)中、R22は、各々置換されていてもよい、炭素数2~12のアルカノイル基、炭素数1~20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3~25のアルケノイル基、炭素数3~8のシクロアルカノイル基、炭素数3~20のアルコキシカルボニルアルカノイル基、炭素数8~20のフェノキシカルボニルアルカノイル基、炭素数3~20のヘテロアリ-ルオキシカルボニルアルカノイル基、炭素数2~10のアミノアルキルカルボニル基、炭素数7~20のアリーロイル基、炭素数1~20のヘテロアリーロイル基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数7~20のアリールオキシカルボニル基を表す。
【0230】
【化36】
【0231】
式(23)中、R21aは、水素原子、或いは各々置換されていてもよい、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~25のアルケニル基、炭素数1~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数8~20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素数1~20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基もしくはヘテロアリールチオアルキル基、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数2~12のアルカノイル基、炭素数3~25のアルケノイル基、炭素数3~8のシクロアルカノイル基、炭素数7~20のアリーロイル基、炭素数1~20のヘテロアリーロイル基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、炭素数7~20のアリールオキシカルボニル基、又は炭素数1~10のシクロアルキルアルキル基を示し、R21bは芳香族環を含む任意の置換基を示し、R22aは、上記式(22)のおけるR22と同様の基を示す。
【0232】
なお、R21aはR21bと共に環を形成してもよく、その連結基としては、各々置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン基、ポリエチレン基(-(CH=CH)r-)、ポリエチニレン基(-(C≡C)r-)あるいはこれらを組み合わせてなる基が挙げられる(なお、rは0~3の整数である。)。
上記一般式(22)におけるR22及び上記一般式(23)におけるR22aとしては、好ましくは、炭素数2~12のアルカノイル基、炭素数1~20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3~8のシクロアルカノイル基が挙げられる。
【0233】
上記一般式(23)におけるR21aとしては、好ましくは無置換のメチル基、エチル基、プロピル基などの直鎖アルキル基;シクロアルキルアルキル基;N-アセチル-N-アセトキシアミノ基で置換されたプロピル基;が挙げられる。
また、上記一般式(23)におけるR21bとしては、好ましくは置換されていてもよいカルバゾリル基、置換されていてもよいチオキサントニル基、置換されていてもよいフェニルスルフィド基が挙げられる。
【0234】
オキシムエステル系化合物としては、R21bとして置換されていてもよいカルバゾリル基を含有するものが、前述の理由からより好ましい。さらに、置換されていてもよい炭素数6~25のアリール基、置換されていてもよい炭素数7~25のアリールカルボニル基、置換されていてもよい炭素数5~25のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数6~25のヘテロアリールカルボニル基、及びニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するカルバゾリル基が好ましい。特に、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基、チエニルカルボニル基、及びニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するカルバゾリル基が好ましい。また、これらの基はカルバゾリル基の3位に結合していることが望ましい。
【0235】
このようなオキシムエステル系化合物の市販品として、BASF社製のOXE-02、常州強力電子新材料社製のTR-PBG-304やTR-PBG-314などがある。
【0236】
本発明に好適なオキシムエステル系化合物として具体的には、以下に例示されるような化合物が挙げられるが、何らこれらの化合物に限定されるものではない。
【0237】
【化37】
【0238】
【化38】
【0239】
【化39】
【0240】
ケトオキシムエステル系化合物としては、下記一般式(24)で示される部分構造を含む化合物が挙げられ、好ましくは、下記一般式(25)で示されるオキシムエステル系化合物が挙げられる。
【0241】
【化40】
【0242】
上記一般式(24)において、R24は、前記一般式(22)におけるR22と同義である。
【0243】
【化41】
【0244】
上記一般式(25)において、R23aは、各々置換されていてもよい、フェニル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~25のアルケニル基、炭素数1~20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3~20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数8~20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素数2~20のアルキルチオアルキル基、炭素数1~20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基もしくはヘテロアリールチオアルキル基、炭素数1~20のアミノアルキル基、炭素数2~12のアルカノイル基、炭素数3~25のアルケノイル基、炭素数3~8のシクロアルカノイル基、炭素数7~20のアリーロイル基、炭素数1~20のヘテロアリーロイル基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、炭素数7~20のアリールオキシカルボニル基、又は炭素数1~10のシクロアルキルアルキル基を表す。
【0245】
23bは芳香環を含む任意の置換基を示す。
なお、R23aはR23bと共に環を形成してもよく、その連結基は、各々置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン基、ポリエチレン基(-(CH=CH)r-)、ポリエチニレン基(-(C≡C)r-)あるいはこれらを組み合わせてなる基が挙げられる(なお、rは0~3の整数である。)。
【0246】
24aは、各々置換されていてもよい、炭素数2~12のアルカノイル基、炭素数3~25のアルケノイル基、炭素数4~8のシクロアルカノイル基、炭素数7~20のベンゾイル基、炭素数3~20のヘテロアリーロイル基、炭素数2~10のアルコキシカルボニル基、炭素数7~20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2~20のヘテロアリール基、又は炭素数2~20のアルキルアミノカルボニル基を表す。
上記一般式(24)におけるR24及び上記一般式(25)におけるR24aとしては、好ましくは、炭素数2~12のアルカノイル基、炭素数1~20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3~8のシクロアルカノイル基、炭素数7~20のアリーロイル基が挙げられる。
【0247】
上記一般式(25)におけるR23aとしては、好ましくは無置換のエチル基、プロピル基、ブチル基;メトキシカルボニル基で置換されたエチル基又はプロピル基;が挙げられる。
また、上記一般式(25)におけるR23bとしては、好ましくは置換されていてもよいカルバゾリル基、置換されていてもよいフェニルスルフィド基が挙げられる。
本発明に好適なケトオキシムエステル系化合物として具体的には、以下に例示されるような化合物が挙げられるが、何らこれらの化合物に限定されるものではない。
【0248】
【化42】
【0249】
【化43】
【0250】
【化44】
【0251】
このようなケトオキシムエステル系化合物の市販品として、BASF社製のOXE-01、常州強力電子新材料社製のTR-PBG-305などがある。
【0252】
これらのオキシムエステル系化合物及びケトオキシムエステル系化合物は、それ自体公知の化合物であり、例えば、日本国特開2000-80068号公報や、日本国特開2006-36750号公報に記載されている一連の化合物の一種である。
上記オキシム誘導体類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0253】
光ラジカル重合開始剤としてはその他に、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体類;ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4-ブロモベンゾフェノン、2-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体類;2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α-ヒドロキシ-2-メチルフェニルプロパノン、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル-(p-イソプロピルフェニル)ケトン、1-ヒドロキシ-1-(p-ドデシルフェニル)ケトン、2-メチル-(4’-メチルチオフェニル)-2-モルホリノ-1-プロパノン、1,1,1-トリクロロメチル-(p-ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類;p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体類;9-フェニルアクリジン、9-(p-メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体類;9,10-ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体類;ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体類等も挙げられる。
これらの光ラジカル重合開始剤の中では、前述の理由からオキシム誘導体類が特に好ましい。
【0254】
<増感色素>
光ラジカル重合開始剤には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素を併用させることができる。これら増感色素としては、日本国特開平4-221958号公報、日本国特開平4-219756号公報に記載のキサンテン色素、日本国特開平3-239703号公報、日本国特開平5-289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、日本国特開平3-239703号公報、日本国特開平5-289335号公報に記載の3-ケトクマリン化合物、日本国特開平6-19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、日本国特開昭47-2528号公報、日本国特開昭54-155292号公報、日本国特公昭45-37377号公報、日本国特開昭48-84183号公報、日本国特開昭52-112681号公報、日本国特開昭58-15503号公報、日本国特開昭60-88005号公報、日本国特開昭59-56403号公報、日本国特開平2-69号公報、日本国特開昭57-168088号公報、日本国特開平5-107761号公報、日本国特開平5-210240号公報、日本国特開平4-288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
【0255】
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、さらに好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン、4-アミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,4-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5-ビス(p-ジエチルアミノフェニル)-1,3,4-オキサゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5-ビス(p-ジエチルアミノフェニル)-1,3,4-チアジアゾール、(p-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p-ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p-ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p-ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p-ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p-ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp-ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。
このうち最も好ましいものは、4,4’-ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
増感色素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0256】
(c)光ラジカル重合開始剤の含有割合は特に限定されないが、本発明の感光性樹脂組成物の全固形中に、通常1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量以上、さらに好ましくは4質量%以上であり、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは8質量%以下である。前記下限値以上とすることで感度低下を抑制することができる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで未露部分の現像液に対する溶解性を良好とすることができる傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、1~30質量%が好ましく、2~20質量%がより好ましく、3~15質量%がさらに好ましく、4~10質量%がよりさらに好ましく、4~8質量%が特に好ましい。
【0257】
また、増感色素を用いる場合、増感色素の含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常0~20質量%、好ましくは0~15質量%、さらに好ましくは0~10質量%である。
【0258】
<(e)色材>
本発明の感光性樹脂組成物は(e)色材を含有する。色材は、本発明の感光性樹脂組成物を着色するものである。
(e)色材としては、顔料や染料が使用できるが、耐熱性、耐光性等の点から顔料が好ましい。
【0259】
顔料としては、青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等各種の色の顔料を使用することができる。また、その構造としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料の他に種々の無機顔料等も利用可能である。
【0260】
以下に、本発明に使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。なお、以下に挙げる「C.I.ピグメントレッド2」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254、さらに好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254を挙げることができる。
【0261】
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、さらに好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6を挙げることができる。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58、59を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58、59を挙げることができる。
【0262】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75、81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、さらに好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180を挙げることができる。
【0263】
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントオレンジ38、71を挙げることができる。
【0264】
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23、さらに好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
【0265】
また、これらの顔料の他に染料を用いてもよい。染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。
【0266】
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
【0267】
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
【0268】
また、本発明の感光性樹脂組成物を、カラーフィルターの樹脂ブラックマトリックス等の遮光用途に使用する場合には、(e)色材としては、黒色の色材を用いることができる。黒色色材は、黒色色材単独としてもよく、赤、緑、青等の混合としてもよい。また、これら色材は無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択することができる。
黒色色材を調製するために混合使用可能な色材としては、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニンOK70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラーファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4T-564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッド7B4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR-L(74160)、リオノールブルーSM(26150)、リオノールブルーES(ピグメントブルー15:6)、リオノーゲンレッドGD(ピグメントレッド168)、リオノールグリーン2YS(ピグメントグリーン36)等が挙げられる(なお、上記の( )内の数字は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。)。
【0269】
また、さらに他の混合使用可能な顔料についてC.I.ナンバーにて示すと、例えば、C.I.ピグメントイエロー20、24、86、93、109、110、117、125、137、138、147、148、153、154、166、C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:4、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等を挙げることができる。
【0270】
また、単独使用可能な黒色色材としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック、ペリレンブラック、ラクタムブラック等が挙げられる。
これらの(e)色材の中で黒色の色材を用いる場合には、遮光率、画像特性の観点からカーボンブラックが好ましい。
【0271】
また、カーボンブラックを含む場合、塗膜の疎水性が高くなり、基板密着力が悪化する傾向があり、また、紫外~可視域の光をよく吸収するため、露光後も塗膜内部の光硬化が不十分となって、加熱硬化工程においてメルトによる線幅変化が起こりやすい傾向がある。そのため、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)を用いることによって、加熱開始時に基板界面と塗膜内部で架橋反応が進行してそれらの問題が解決されるため、基板密着性の向上と加熱硬化時の線幅変化の抑制とが両立しやすい傾向がある。
【0272】
カーボンブラックの例としては、以下のようなものが挙げられる。
三菱ケミカル社製:MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA220、MA230、MA600、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#3050、#3150、#3250、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、OIL31B
デグサ社製:Printex(登録商標。以下同じ。)3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Printex L、Printex G、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S160、Color Black S170
キャボット社製:Monarch(登録商標。以下同じ。)120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL(登録商標。以下同じ。)99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACK PEARLS480、PEARLS130、VULCAN(登録商標) XC72R、ELFTEX(登録商標)-8
【0273】
ビルラー社製:RAVEN11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000
【0274】
カーボンブラックは、樹脂で被覆されたものを使用しても構わない。樹脂で被覆されたカーボンブラックを使用すると、ガラス基板への密着性や体積抵抗値を向上させる効果がある。樹脂で被覆されたカーボンブラックとしては、例えば日本国特開平09-71733号公報に記載されているカーボンブラック等が好適に使用できる。
被覆処理するカーボンブラックとしては、NaとCaの合計含有量が100ppm以下であることが好ましい。カーボンブラックは、通常製造時の原料油や燃焼油(又はガス)、反応停止水や造粒水、さらには反応炉の炉材等から混入したNaや、Ca,K,Mg,Al,Fe等を組成とする灰分がパーセントのオーダーで含有されている。この内、NaやCaは、各々数百ppm以上含有されているのが一般的であるが、これらが多く存在すると、透明電極(ITO)やその他の電極に浸透し、電気的短絡の原因となる場合があるからである。
【0275】
これらのNaやCaを含む灰分の含有量を低減する方法としては、カーボンブラックを製造する際の原料油や燃料油(又はガス)並びに反応停止水として、これらの含有量が極力少ない物を厳選すること及びストラクチャーを調整するアルカリ物質の添加量を極力少なくすることにより可能である。他の方法としては、炉から製出したカーボンブラックを水や塩酸等で洗いNaやCaを溶解し除去する方法が挙げられる。
【0276】
(e)色材の含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に1質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、45質量%以上がよりさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましく、また、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、55質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで着色性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることでパターン形成性や基板密着性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~70質量%が好ましく、20~60質量%がより好ましく、45~60質量%がさらに好ましく、50~55質量%が特に好ましい。
【0277】
また、(e)色材がカーボンブラックを含む場合、カーボンブラックの含有割合も特に限定されないが、感光性樹脂組成物中の全固形分中に35質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、また、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、55質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで遮光性が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることでパターン形成性や基板密着性が向上する傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、35~70質量%が好ましく、40~60質量%がより好ましく、50~55質量%がさらに好ましい。
【0278】
なお感光性樹脂組成物において、(e)色材の含有割合は、(a)アルカリ可溶性樹脂100質量部あたり、通常20~500質量部、好ましくは30~300質量部、より好ましくは40~280質量部の範囲である。前記下限値以上とすることで未露光部分の現像液に対する溶解性の低下を抑制しやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで所望の画像膜厚が得やすい傾向がある。
【0279】
<(f)分散剤>
本発明においては、(e)色材を微細に分散させ、且つその分散状態を安定化させることが品質の安定性確保には重要なため、(f)分散剤を含むことが好ましい。
分散剤としては、官能基を有する高分子分散剤が好ましく、さらには、分散安定性の面からカルボキシル基;リン酸基;スルホン酸基;又はこれらの塩基;一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の官能基を有する高分子分散剤が好ましい。中でも特に、一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の塩基性官能基を有する高分子分散剤が特に好ましい。これら塩基性官能基を有する高分子分散剤を使用することにより、分散性を良好にでき、高い遮光性を達成できる傾向がある。
【0280】
また高分子分散剤としては、例えばウレタン系分散剤、アクリル系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
【0281】
このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(登録商標。エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製。)、DISPERBYK(登録商標。ビックケミー社製。)、ディスパロン(登録商標。楠本化成社製。)、SOLSPERSE(登録商標。ルーブリゾール社製。)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー又はフローレン(登録商標。共栄社化学社製。)、アジスパー(登録商標。味の素ファインテクノ社製。)等を挙げることができる。
これらの高分子分散剤は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0282】
これらの内、密着性及び直線性の面から、(f)分散剤は塩基性官能基を有するウレタン系高分子分散剤及び/又はアクリル系高分子分散剤を含むことが、特に好ましい。特にはウレタン系高分子分散剤が密着性の面で好ましい。また分散性、保存性の面から、塩基性官能基を有し、ポリエステル結合及び/又はポリエーテル結合を有する高分子分散剤が好ましい。
【0283】
高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常700以上、好ましくは1000以上であり、また通常100000以下、好ましくは50000以下であり、より好ましくは30000以下である。前記上限値以下とすることで、色材の含有割合が高い時でもアルカリ現像性が良好となる傾向がある。
ウレタン系及びアクリル系高分子分散剤としては、例えばDISPERBYK160~167、182シリーズ(いずれもウレタン系)、DISPERBYK2000、2001等(いずれもアクリル系)(以上すべてビックケミー社製)が挙げられる。上記の塩基性官能基を有し、ポリエステル及び/又はポリエーテル結合を有するウレタン系高分子分散剤で重量平均分子量30000以下の特に好ましいものとしてDISPERBYK167、182などが上げられる。
【0284】
<ウレタン系高分子分散剤>
ウレタン系高分子分散剤として好ましい化学構造を具体的に例示するならば、例えば、ポリイソシアネート化合物と、分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300~10000の化合物と、分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られる、重量平均分子量1000~200000の分散樹脂等が挙げられる。
【0285】
上記のポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω’-ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族環を有する脂肪族ジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート、及びこれらの3量体、水付加物、及びこれらのポリオール付加物等が挙げられる。ポリイソシアネートとして好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0286】
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
【0287】
分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300~10000の化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、及びこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1~25のアルキル基でアルコキシ化されたもの及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
【0288】
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン-プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0289】
ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1~25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
【0290】
ポリエステルグリコールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等)又はそれらの無水物とグリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,8-オクタメチレングリコール、2-メチル-1,8-オクタメチレングリコール、1,9-ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、N-メチルジエタノールアミン等のN-アルキルジアルカノールアミン等)とを重縮合させて得られたもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等、又は前記ジオール類又は炭素数1~25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオール又はポリラクトンモノオール、例えばポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとして最も好ましいのはポリカプロラクトングリコール又は炭素数1~25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトンである。
【0291】
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等、ポリオレフィングリコールとしてはポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0292】
分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300~10,000、好ましくは500~6,000、さらに好ましくは1,000~4,000である。
本発明に用いられる分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を説明する。活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子又はイオウ原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。
【0293】
3級アミノ基は、特に限定されないが、例えば炭素数1~4のアルキル基を有するアミノ基、又はヘテロ環構造、より具体的にはイミダゾール環又はトリアゾール環、などが挙げられる。
このような分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を例示するならば、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジプロピル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジブチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジプロピルエチレンジアミン、N,N-ジブチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジエチル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジプロピル-1,4-ブタンジアミン、N,N-ジブチル-1,4-ブタンジアミン等が挙げられる。
【0294】
また、3級アミノ基が含窒素ヘテロ環構造である場合の該含窒素ヘテロ環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等のN含有ヘテロ5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環等の含窒素ヘテロ6員環が挙げられる。これらの含窒素ヘテロ環のうち好ましいものはイミダゾール環又はトリアゾール環である。
【0295】
これらのイミダゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、1-(3-アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2-アミノイミダゾール、1-(2-アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。また、トリアゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、5-(2-アミノ-5-クロロフェニル)-3-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール-3,5-ジオール、3-アミノ-5-フェニル-1H-1,3,4-トリアゾール、5-アミノ-1,4-ジフェニル-1,2,3-トリアゾール、3-アミノ-1-ベンジル-1H-2,4-トリアゾール等が挙げられる。中でも、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、1-(3-アミノプロピル)イミダゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールが好ましい。
【0296】
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタン系高分子分散剤を製造する際の原料の好ましい配合比率はポリイソシアネート化合物100質量部に対し、分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300~10000の化合物が10~200質量部、好ましくは20~190質量部、さらに好ましくは30~180質量部、分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が0.2~25質量部、好ましくは0.3~24質量部である。
【0297】
ウレタン系高分子分散剤の製造はポリウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われる。製造する際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等が用いられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0298】
上記製造に際して、通常、ウレタン化反応触媒が用いられる。この触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等の1種又は2種以上が挙げられる。
【0299】
<アミン価の測定方法>
分散剤のアミン価は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表し、次の方法により測定することができる。
100mLのビーカーに分散剤試料の0.5~1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/LのHClO4(過塩素酸)酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
【0300】
アミン価[mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)
〔但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[質量%]を表す。〕
分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は反応後のアミン価で1~100mgKOH/gの範囲に制御することが好ましい。より好ましくは5~95mgKOH/gの範囲である。アミン価は、塩基性アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。前記下限値以上とすることで分散性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が良好となる傾向がある。
【0301】
なお、以上の反応で高分子分散剤にイソシアネート基が残存する場合にはさらに、アルコールやアミノ化合物でイソシアネート基を潰すと生成物の経時安定性が高くなるので好ましい。
ウレタン系高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常1000~200000、好ましくは2000~100000、より好ましくは3000~50000の範囲である。特に30000以下が好ましい。前記下限値以上とすることで分散性及び分散安定性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで溶解性が良好となる傾向がある。分子量が30000以下であると、特に色材の含有割合が高い場合でも、アルカリ現像性が良好となる傾向がある。このような特に好ましい市販のウレタン分散剤の例としてDISPERBYK167、182(ビックケミー社)などが挙げられる。
【0302】
本発明の感光性樹脂組成物が(f)分散剤を含む場合、(f)分散剤の含有割合は、感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上であり、また、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。前記下限値以上とすることで十分な分散性を確保しやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで他の成分の割合を減らすことなく、色濃度、感度、成膜性などを十分なものとしやすい傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、1~50質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましく、5~20質量%がさらに好ましく、7~15質量%がよりさらに好ましく、7~10質量%が特に好ましい。
【0303】
また、本発明の感光性樹脂組成物が(f)分散剤を含む場合、(f)分散剤の含有割合は、(e)色材100質量部に対して、通常5質量部以上、10質量部以上が好ましく、通常200質量部以下、80質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで十分な分散性を確保しやすい傾向があり、また、前記上限値以下とすることで他の成分の割合を減らすことなく、色濃度、感度、成膜性などを十分なものとしやすい傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、5~200質量部が好ましく、5~80質量部がより好ましく、10~50質量部がさらに好ましく、10~30質量部が特に好ましい。
【0304】
<チオール類>
本発明の感光性樹脂組成物は、高感度化、基板への密着性の向上のため、チオール類を含有することが好ましい。チオール類の種類としては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、エチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)(略してPGMB)、ブタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン(商品名:カレンズMT BD1、昭和電工社製)、ブタンジオールトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(商品名:カレンズMT PE1、昭和電工社製)、ペンタエリスリトールトリス(3- メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)(略してTPMB)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトイソブチレート)(略してTPMIB)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(商品名:カレンズMT NR1、昭和電工社製)等が挙げられ、これらは種々のものが1種を単独で、あるいは2種以上を混合して使用できる。好ましくは上記、PGMB、TPMB、TPMIB、カレンズMT BD1、カレンズMT PE1、カレンズMT NR1などの多官能チオールが好ましく、その中でもカレンズMT BD1、カレンズMT PE1、カレンズMT NR1がさらに好ましく、カレンズMT PE1が特に好ましい。
【0305】
チオール化合物を用いる場合、チオール化合物の含有割合は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量以上であり、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。前記下限値以上とすることで感度低下を抑制できる傾向があり、前記上限値以下とすることで保存安定性を良好なものとしやすい傾向がある。
【0306】
<溶剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、通常、(a)アルカリ可溶性樹脂、(b)光重合性モノマー、(c)光ラジカル重合開始剤、(d)有機ケイ素化合物、(e)色材及び必要に応じて使用される各種成分が、有機溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
有機溶剤としては、沸点(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)が100~300℃の範囲のものを選択することが好ましい。より好ましくは120~280℃の沸点をもつ溶剤である。
このような有機溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
【0307】
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコール-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
【0308】
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
【0309】
エチレングリコールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n-ペンタン、n-オクタン、ジイソブチレン、n-ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
【0310】
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、γ-ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
【0311】
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等:
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ(「セロソルブ」は登録商標。以下同じ。)、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
【0312】
これらの有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フォトリソグラフィー法にてカラーフィルターの画素又はブラックマトリックスを形成する場合、有機溶剤としては沸点が100~250℃の範囲のものを選択することが好ましい。より好ましくは120~230℃の沸点を持つものである。
上記有機溶剤のうち、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
【0313】
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の有機溶剤を併用してもよい。併用してもよい他の有機溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる感光性樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5質量%~30質量%が好ましく、5質量%~20質量%がより好ましい。
【0314】
また、200℃以上の沸点をもつ有機溶剤(以下「高沸点溶剤」と称す場合がある。)を併用することも好ましい。このような高沸点溶剤を併用することにより、感光性樹脂組成物は乾きにくくなるが、組成物中における顔料の均一な分散状態が、急激な乾燥により破壊されることを防止する効果がある。すなわち、例えばスリットノズル先端における、色材などの析出・固化による異物欠陥の発生を防止する効果がある。このような効果が高い点から、上述の各種溶剤の中でも、特にジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1,4-ブタンジオールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、トリアセチン、1,6-ヘキサンジオールジアセテートが好ましい。
【0315】
高沸点溶剤を併用する場合、有機溶剤中の高沸点溶剤の含有割合は、0質量%~50質量%が好ましく、0.5質量%~40質量%がより好ましく、1質量%~30質量%が特に好ましい。高沸点溶剤の含有割合を前記下限値以上とすることで、例えばスリットノズル先端で色材などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こすことを抑制できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで組成物の乾燥速度が遅くなり過ぎるのを抑制でき、カラーフィルター製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を回避しやすい傾向がある。
【0316】
本発明の感光性樹脂組成物において、有機溶剤の含有割合は特に限定されないが、塗布し易さや粘度安定性の観点から、感光性樹脂組成物中の全固形分量が好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、特に好ましくは20質量%以下となるように調液される。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、5~40質量%が好ましく、8~30質量%がより好ましく、10~25質量%がさらに好ましく、10~20質量%が特に好ましい。
【0317】
<感光性樹脂組成物のその他の配合成分>
本発明の感光性樹脂組成物には、上述の成分の他、密着向上剤、界面活性剤(塗布性向上剤)、顔料誘導体、さらに現像改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を適宜配合することができる。
【0318】
<密着向上剤>
基板との密着性を改善するため、(d)有機ケイ素化合物以外の密着向上剤を含有させてもよく、例えば、リン酸系密着向上剤、その他の密着向上剤等が挙げられる。
【0319】
リン酸系密着向上剤としては、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類が好ましく、中でも下記一般式(g1)、(g2)、(g3)で表されるものが好ましい。
【0320】
【化45】
【0321】
上記一般式(g1)、(g2)、(g3)において、R51は水素原子又はメチル基を示し、l及びl’は1~10の整数、mは1、2又は3である。
その他の密着向上剤としては、TEGO*Add Bond LTH(Evonik社製)などが上げられる。これらの燐酸基含有化合物やその他の密着剤は、1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0322】
<界面活性剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、塗布性向上ため、界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、非イオン系及び両性界面活性剤等各種のものを用いることができる。中でも、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、中でもフッ素系又はシリコン系の界面活性剤が塗布性の面で効果的である。
【0323】
このような界面活性剤としては、例えば、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、DFX-18(ネオス社製)、BYK-300、BYK-325、BYK-330(ビックケミー社製)、KP340(信越シリコーン社製)、F-470、F-475、F-478、F-554、F-559(DIC社製)、SH7PA(東レ・ダウコーニング社製)、DS-401(ダイキン社製)、L-77(日本ユニカー社製)及びFC4430(3Mジャパン社製)等が挙げられる。なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物が界面活性剤を含有する場合、その含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分中に0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、また、1.0質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましく、0.3質量%以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで塗布均一性がよくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで感度低下を抑制しやすい傾向がある。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、0.01~1.0質量%が好ましく、0.01~0.7質量%がより好ましく、0.05~0.5質量%がさらに好ましく、0.05~0.3質量%が特に好ましい。
【0324】
<顔料誘導体>
本発明の感光性樹脂組成物には、分散性、保存性向上のため、顔料誘導体を含有させてもよい。顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系等の誘導体が挙げられるが、中でもフタロシアニン系、キノフタロン系が好ましい。
【0325】
顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していてもよい。顔料誘導体の具体例としてはフタロシアニンのスルホン酸誘導体、キノフタロンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体、ジオキサジンのスルホン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0326】
顔料誘導体は、分散剤と共に用いることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物が顔料誘導体を含有する場合、その含有割合は特に限定されないが、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分中に、通常0.1質量%以上で、好ましくは0.5質量%以上、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。上限と下限の組み合わせとしては、例えば、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
【0327】
<感光性樹脂組成物の物性>
本発明の感光性樹脂組成物は、ブラックマトリックス形成用に好適に使用することができ、係る観点からは黒色を呈していることが好ましい。また、その硬化膜の膜厚1μm当たりの光学濃度(OD)が1.0以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましく、3.0以上であることがさらに好ましく、4.0以上であることが特に好ましく、4.5以上であることが最も好ましく、通常6.0以下である。前記下限値以上とすることで十分な遮光性が確保できる傾向がある。
【0328】
<感光性樹脂組成物の製造方法>
本発明の感光性樹脂組成物は、常法に従って製造される。
通常、(e)色材は、予めペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて分散処理することが好ましい。分散処理により(e)色材が微粒子化されるため、感光性樹脂組成物の塗布特性が向上する。また、(e)色材として黒色色材を使用した場合は遮光能力の向上に寄与する。
【0329】
分散処理は、通常、(e)色材、有機溶剤、及び必要に応じて(f)分散剤、(a)アルカリ可溶性樹脂の一部又は全部を併用した系にて行うことが好ましい(以下、分散処理に供する混合物、及び該処理にて得られた組成物を「インク」又は「顔料分散液」と称することがある。)。特に分散剤として高分子分散剤を用いると、得られたインク及び感光性樹脂組成物の経時の増粘が抑制される(分散安定性に優れる)ので好ましい。
なお、感光性樹脂組成物に配合する全成分を含有する液に対して分散処理を行った場合、分散処理時に生じる発熱のため、高反応性の成分が変性する可能性がある。従って、高分子分散剤を含む系にて分散処理を行うことが好ましい。
【0330】
サンドグラインダーで(e)色材を分散させる場合には、0.1~8mm程度の径のガラスビーズ又はジルコニアビーズが好ましく用いられる。分散処理条件は、温度は通常、0℃から100℃であり、好ましくは、室温から80℃の範囲である。分散時間は液の組成及び分散処理装置のサイズ等により適正時間が異なるため適宜調節する。感光性樹脂組成物の20度鏡面光沢度(JIS Z8741)が100~200の範囲となるように、インクの光沢を制御することが分散の目安である。感光性樹脂組成物の光沢度が低い場合には、分散処理が十分でなく荒い顔料(色材)粒子が残っていることが多く、現像性、密着性、解像性等が不十分となる可能性がある。また、光沢値が上記範囲を超えるまで分散処理を行うと、顔料が破砕して超微粒子が多数生じるため、却って分散安定性が損なわれる傾向がある。
【0331】
次に、上記分散処理により得られたインクと、感光性樹脂組成物中に含まれる、上記の他の成分を混合し、均一な溶液とする。感光性樹脂組成物の製造工程においては、微細なゴミが液中に混じることが多いため、得られた感光性樹脂組成物はフィルター等により濾過処理することが望ましい。
【0332】
[硬化物]
本発明の硬化物は、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させることで、得られる。感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化物は、画素、ブラックマトリックス、着色スペーサーなどのカラーフィルターを構成する部材として好適に用いることができる。
【0333】
[ブラックマトリックス]
本発明の硬化物からなる、本発明のブラックマトリックスについて、その製造方法に従って説明する。
【0334】
(1)支持体
ブラックマトリックスを形成するための支持体としては、適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。おもに透明基板が使用されるが、材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルフォンなどの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が好ましい。また、基板の表面にITO、IZO等の透明電極が成膜されている場合もある。透明基板以外では、TFTアレイ上に形成することも可能である。
【0335】
支持体には、接着性などの表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、大気圧プラズマ処理、シランカップリング剤や、ウレタン系樹脂などの各種樹脂の薄膜形成処理などを行ってもよい。
透明基板の厚さは、通常0.05~10mm、好ましくは0.1~7mmの範囲とされる。また各種樹脂の薄膜形成処理を行う場合、その膜厚は、通常0.01~10μm、好ましくは0.05~5μmの範囲である。
【0336】
(2)ブラックマトリックス
上述の本発明の感光性樹脂組成物により、本発明のブラックマトリックスを形成するには、透明基板上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布して乾燥した後、該試料の上にフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化あるいは光硬化することによりブラックマトリックスを形成させる。
【0337】
(3)ブラックマトリックスの形成
(3-1)感光性樹脂組成物の塗布
ブラックマトリックス用の感光性樹脂組成物の透明基板上への塗布は、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、又はスプレーコート法などによって行うことができる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くなく、異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。
【0338】
塗膜の厚さは、厚すぎると、パターン現像が困難となるとともに、液晶セル化工程でのギャップ調整が困難となることがあり、薄すぎると顔料濃度を高めることが困難となり所望の色発現が不可能となることがある。塗膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.2~10μmの範囲とすることが好ましく、より好ましいのは0.5~6μmの範囲、さらに好ましいのは0.5~4μmの範囲である。
【0339】
(3-2)塗膜の乾燥
基板に感光性樹脂組成物を塗布した後の塗膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、又はコンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。乾燥の条件は、前記溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて、通常は、40~200℃の温度で15秒~5分間の範囲で選ばれ、好ましくは50~130℃の温度で30秒~3分間の範囲で選ばれる。
【0340】
乾燥温度は、高いほど透明基板に対する塗膜の接着性が向上するが、高すぎるとアルカリ可溶性樹脂が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。なお、この塗膜の乾燥工程は、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う、減圧乾燥法であってもよい。
【0341】
(3-3)露光
画像露光は、感光性樹脂組成物の塗膜上に、ネガのマスクパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外域から可視域に至る波長の光を照射して行う。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性の塗膜上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行ってもよい。上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアークなどのランプ光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
【0342】
(3-4)現像
本発明に係るブラックマトリックスは、感光性樹脂組成物による塗膜を、上記の光源によって画像露光を行った後、有機溶剤、又は、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いる現像によって、基板上に画像を形成して作製することができる。この水溶液には、さらに有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
【0343】
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ-、ジ-又はトリエタノールアミン、モノ-、ジ-又はトリメチルアミン、モノ-、ジ-又はトリエチルアミン、モノ-又はジイソプロピルアミン、n-ブチルアミン、モノ-、ジ-又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
【0344】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤が挙げられる。
【0345】
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶剤は、単独で用いてもよく、また、水溶液と併用してもよい。
現像処理の条件は特に制限はなく、通常、現像温度は10~50℃の範囲、中でも15~45℃、特に好ましくは20~40℃で、現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などのいずれかの方法によることができる。
【0346】
(3-5)熱硬化処理
現像の後の基板には、熱硬化処理又は光硬化処理、好ましくは熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度は100~280℃の範囲、好ましくは150~250℃の範囲で選ばれ、時間は5~60分間の範囲で選ばれる。
以上のようにして形成させたブラックマトリックスの高さは通常0.5~5μm、好ましくは0.7~4μm、より好ましくは0.8~2μmである。
さらに、厚さ1μm当たりの光学濃度(OD)が3.0以上、好ましくは3.5以上、より好ましくは3.8以上、特に好ましくは4.0以上である。
【0347】
[その他のカラーフィルター画像の形成]
ブラックマトリックスを設けた透明基板上に、上記(3-1)~(3-5)と同じプロセスで赤色、緑色、青色のうち一色の色材を含有する感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥した後、塗膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の感光性樹脂組成物についてそれぞれ行うことによって、カラーフィルター画像を形成することができる。これらの順番は上記に限定されるものではない。
【0348】
カラーフィルターは、このままの状態で画像上にITOなどの透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置などの部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミドなどのトップコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)などの用途においては、透明電極を形成しないこともある。
【0349】
[着色スペーサー]
本発明の感光性樹脂組成物は、ブラックマトリックス以外に着色スペーサー用の感光性樹脂組成物として使用することも可能である。スペーサーをTFT型LCDに使用する場合、TFTに入射する光によりスイッチング素子としてTFTが誤作動を起こすことがあり、着色スペーサーはこれを防止するために用いられ、例えば、日本国特開平8-234212号公報にスペーサーを遮光性とすることが記載されている。着色スペーサーは着色スペーサー用のマスクを用いる以外は前述のブラックマトリックスと同様の方法で形成することができる。
【0350】
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は本発明の硬化物を有するものであり、例えば、本発明のブラックマトリックスを有するものが挙げられる。
画像表示装置としては、画像や映像を表示する装置であれば特に限定は受けないが、後述する液晶表示装置や有機ELディスプレイ等が挙げられる。
【0351】
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のブラックマトリックスを有するものであり、カラー画素やブラックマトリックスの形成順序や形成位置等特に制限を受けるものではない。
【0352】
液晶表示装置は、通常、カラーフィルター上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサーを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。配向膜としては、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行った後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
【0353】
スペーサーとしては、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2~8μmのものが好適である。カラーフィルター基板上に、フォトリソグラフィー法によって透明樹脂膜のフォトスペーサー(PS)を形成し、これをスペーサーの代わりに活用することもできる。対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好適である。
【0354】
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2~8μmの範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常、1×10-2~1×10-7Paであるが、好ましくは1×10-3~1×10-6Paである。また、減圧時に液晶セルを加温することが好ましく、加温温度は通常30~100℃であり、より好ましくは50~90℃である。減圧時の加温保持は、通常10~60分間の範囲とされ、その後液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口をUV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
【0355】
液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等のいずれでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られているが、いずれであってもよい。
【0356】
[有機ELディスプレイ]
本発明の有機ELディスプレイは、本発明のカラーフィルターを用いて作製されたものである。
【0357】
本発明のカラーフィルターを用いて有機ELディスプレイを作成する場合、例えば図1に示すように、まず透明支持基板10上に、感光性樹脂組成物により形成されたパターン(すなわち、画素20、及び隣接する画素20の間に設けられた樹脂ブラックマトリックス(図示せず))が形成されてなるカラーフィルターを作製し、該カラーフィルター上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって、有機EL素子100を作製することができる。なお、画素20及び樹脂ブラックマトリックスの内、少なくとも一つは本発明の感光性樹脂組成物を用いて作製されたものである。有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルター上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100を用い、例えば「有機ELディスプレイ」(オーム社,2004年8月20日発光,時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載された方法等にて、有機ELディスプレイを作製することができる。
【0358】
なお、本発明のカラーフィルターは、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
【実施例
【0359】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0360】
<カーボンブラックインクの調製>
以下の組成及び方法で顔料、分散剤、分散助剤、溶剤を調合し、カーボンブラックインクを調製した。具体的にはまず、顔料、分散剤、分散助剤の固形分と溶剤が以下の質量比となるように調合した。
・顔料:RAVEN1060U(R1060)(ビルラー社製カーボンブラック);100.0質量部
・分散剤:DISPERBYK-167(ビックケミー社製塩基性ウレタン系分散剤);14.0質量部(固形分換算)
・分散助剤(顔料誘導体):Solsperse12000(ルーブリゾール社製、酸性基を有するフタロシアニン系顔料誘導体);2.0質量部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA);215.5質量部
【0361】
これらを十分に攪拌・混合し、分散液を得た。
次に、この分散液に対して、ペイントシェーカーにより25~45℃の範囲で6時間分散処理を行った。ビーズとしては、直径0.5mmのジルコニアビーズを用い、分散液60質量部に対しビーズ180質量部の割合で加えた。分散処理終了後、フィルターによりビーズと分散液を分離して、全固形分の含有割合が35質量%のカーボンブラックインクを調製した。
【0362】
<アルカリ可溶性樹脂(1)>
以下の手順でアルカリ可溶性樹脂(1)を合成した。
【0363】
【化46】
【0364】
上記化学構造のエポキシ化合物(エポキシ当量264)50g、アクリル酸13.65g、3-メトキシブチルアセテート60.5g、トリフェニルホスフィン0.936g、及びパラメトキシフェノール0.032gを、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら90℃で酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。反応には12時間を要し、エポキシアクリレート溶液を得た。
上記エポキシアクリレート溶液25質量部及び、トリメチロールプロパン(TMP)0.76質量部、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)3.3質量部、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)3.5質量部を、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温し反応させた。
樹脂溶液が透明になったところで、3-メトキシブチルアセテート(MBA)で希釈し、固形分50質量%となるよう調製し、酸価115mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)2600のアルカリ可溶性樹脂(1)を得た。
【0365】
<アルカリ可溶性樹脂(2)>
以下の手順でアルカリ可溶性樹脂(2)を合成した。
【0366】
【化47】
【0367】
上記化学構造のエポキシ化合物(エポキシ当量240)7.3g、アクリル酸2.2g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.4g、テトラエチルアンモニウムクロライド0.18g、及びp-メトキシフェノール0.007gを温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら100℃で酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。反応には9時間を要し、エポキシアクリレート溶液を得た。
得られたエポキシアクリレート溶液16質量部、トリメチロールプロパン(TMP)0.4質量部、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)3.5質量部、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)0.06質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)14質量部を、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温して反応させ、固形分40質量%、酸価100mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)10400のアルカリ可溶性樹脂(2)を得た。
【0368】
<アルカリ可溶性樹脂(3)>
以下の手順でアルカリ可溶性樹脂(3)を合成した。
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート114.0gを500mLの4つ口フラスコに入れ、窒素バブリングを行いながら85℃まで昇温した。これにベンジルメタクリレート96.8g(0.55mol)、メタクリル酸33.3g(0.45mol)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)4.93g(0.03mol)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート96.45gに溶解したものを、4時間かけて滴下した。滴下後反応液を85℃に保ったままさらに2時間攪拌し、その後窒素バブリングを止めて100℃に昇温し1時間攪拌して反応させ、固形分39質量%、酸価180mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)15000のアルカリ可溶性樹脂(3)を得た。
【0369】
<アルカリ可溶性樹脂(4)>
以下の手順でアルカリ可溶性樹脂(4)を合成した。
【0370】
【化48】
【0371】
上記化学構造のエポキシ化合物(NC-3000-H、日本化薬社製)400質量部、アクリル酸100質量部、p-メトキシフェノール0.3質量部、トリフェニルホスフィン5質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート264質量部を反応容器に仕込み、95℃で酸価が3mgKOH/g以下になるまで撹拌した。目標の酸価2.2mgKOH/gに達するまで9時間を要した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸190質量部を添加し、95℃で4時間反応させ、酸価98mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)4500のアルカリ可溶性樹脂(4)を得た。
【0372】
<アルカリ可溶性樹脂(5)>
以下の手順でアルカリ可溶性樹脂(5)を合成した。
【0373】
【化49】
【0374】
上記化学構造のエポキシ化合物(ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、エポキシ当量235)235gとトリフェニルホスフィン3.73g、2,6-ジ-tertブチル-4-メチルフェノール100mg及びアクリル酸72.0gを500ml四つ口フラスコに仕込み、これに酸素5%含有窒素を吹き込みながら90~100℃で加熱した後に、120℃まで加熱して完全溶解させた。酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート600gを加えて溶解した後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物80.5gを混合し、徐々に昇温して110~115℃で反応させた。その後、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で反応させ、固形分41.5質量%、酸価100mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)5000のアルカリ可溶性樹脂(5)を得た。
【0375】
<光重合性モノマー(1)、(2)>
以下の光重合性モノマーを準備した。
光重合性モノマー(1):KAYARAD DPCA20(日本化薬社製)
【0376】
【化50】
【0377】
光重合性モノマー(2):ライトアクリレートPE4A(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)(共栄社化学社製)
【0378】
【化51】
【0379】
<光ラジカル重合開始剤(1)>
以下の光ラジカル重合開始剤(1)を準備した。
光ラジカル重合開始剤(1):TR-PBG-314(常州強力電子新材料社製)
【0380】
【化52】
【0381】
<有機ケイ素ビニル重合体(1)~(4)>
有機ケイ素ビニル重合体(d-1)として、以下の手順で有機ケイ素ビニル重合体(1)~(4)を準備した。
【0382】
有機ケイ素ビニル重合体(1):
撹拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、ガス導入管を備えたフラスコに、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)200gを計り取り、窒素置換しながら撹拌し120℃に昇温した。次にKBM-503(信越化学工業社製、下記式(d1)の化合物。なお、式中、Cはn-プロパン-1,3-ジイル基を表す。)111.6gとメタクリル酸メチル(MMA、下記式(d2)の化合物)45.0g(混合モル比率はKBM-503:MMA=50:50)からなる重合性単量体混合物に、熱ラジカル重合開始剤t-ブチルヒドロパーオキサイド(日本油脂社製パーブチルO)を7.0g添加し混合した。この混合物を滴下ロートから2時間かけて前記フラスコに滴下し、さらに120℃で2時間撹拌した後に室温に戻して、下記式(d3)で表される繰り返し単位を有する共重合体(m:n=50:50)の溶液を得た。得られた共重合体溶液の固形分濃度は45質量%であった。また、共重合体のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は12000であった。
【0383】
【化53】
【0384】
【化54】
【0385】
【化55】
【0386】
有機ケイ素ビニル重合体(2):
前記有機ケイ素ビニル重合体(1)の合成において、KBM-503を89.6gとMMAを67.0g(混合モル比率はKBM-503:MMA=35:65)に変更して投入したこと以外は同様な手順で、上記式(d3)で表される繰り返し単位を有する共重合体(m:n=35:65)の溶液を得た。得られた共重合体溶液の固形分濃度は45質量%であった。また、共重合体のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は12000であった。
【0387】
有機ケイ素ビニル重合体(3):
前記有機ケイ素ビニル重合体(1)の合成において、KBM-503を133.5gとMMAを23.1g(混合モル比率はKBM-503:MMA=70:30)に変更して投入したこと以外は同様な手順で、上記式(d3)で表される繰り返し単位を有する共重合体(m:n=70:30)の溶液を得た。得られた共重合体溶液の固形分濃度は45質量%であった。また、共重合体のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は12000であった。
【0388】
有機ケイ素ビニル重合体(4):
前記有機ケイ素ビニル重合体(1)の合成において、KBM-503を78.3g、MMAを15.8g、ライトエステル130MA(共栄社化学社製、下記式(d4)の化合物)を62.5g(混合モル比率はKBM-503:MMA:ライトエステル130MA=50:25:25)に変更して投入したこと以外は同様な手順で、下記式(d5)で表される繰り返し単位を有する共重合体(p:q:r=50:25:25)の溶液を得た。得られた共重合体溶液の固形分濃度は45質量%であった。また、共重合体のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は12000であった。
【0389】
【化56】
【0390】
【化57】
【0391】
<その他の有機ケイ素化合物>
以下の有機ケイ素化合物を準備した。
有機ケイ素化合物(1):以下の化学構造を有する化合物(なお、式中、Cは1,2-エチレン基を、Cはn-プロパン-1,3-ジイル基を表す。)
【0392】
【化58】
【0393】
有機ケイ素化合物(2):Z-6040(東レ・ダウコーニング社製)(なお、式中、Cはn-プロパン-1,3-ジイル基を表す。)
【0394】
【化59】
【0395】
<界面活性剤>
界面活性剤として以下の界面活性剤(1)を準備した。
界面活性剤(1):メガファックF-554(DIC社製、フッ素系界面活性剤)
【0396】
<実施例1>
(ブラックレジスト1の調合)
前記<カーボンブラックインクの調製>で調製したカーボンブラックインクを用いて、表1に記載の割合となるように各成分を加え、スターラーにより攪拌することで、溶解又は分散させて、ブラックレジスト1を調製した。ブラックレジスト1中の全固形分の含有割合は15質量%である。
【0397】
【表1】
【0398】
なお、表1中の略称の意味は以下のとおりである。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MBA:3-メトキシブチルアセテート
EDGAC:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
【0399】
<実施例2>
(ブラックレジスト2の調合)
実施例1において、有機ケイ素ビニル重合体(1)を有機ケイ素ビニル重合体(2)に変更したこと以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト2を調製した。
【0400】
<実施例3>
(ブラックレジスト3の調合)
実施例1において、有機ケイ素ビニル重合体(1)を有機ケイ素ビニル重合体(3)に変更したこと以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト3を調製した。
【0401】
<実施例4>
(ブラックレジスト4の調合)
実施例1において、有機ケイ素ビニル重合体(1)の量が全固形分中に0.75質量%になるように減量し、アルカリ可溶性樹脂(1)の量が全固形分中に18.15質量%になるように増量したこと以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト4を調製した。
【0402】
<実施例5>
(ブラックレジスト5の調合)
実施例1において、有機ケイ素ビニル重合体(1)の量が全固形分中に3.00質量%になるように増量し、アルカリ可溶性樹脂(1)の量が全固形分中に15.90質量%になるように減量したこと以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト5を調製した。
【0403】
<実施例6>
(ブラックレジスト6の調合)
実施例1において、有機ケイ素ビニル重合体(1)を有機ケイ素ビニル重合体(4)に変更したこと以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト6を調製した。
【0404】
<実施例7>
(ブラックレジスト7の調合)
実施例1において、アルカリ可溶性樹脂(1)及びアルカリ可溶性樹脂(2)の全量(固形分量)をアルカリ可溶性樹脂(4)に変更したこと以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト7を調製した。
【0405】
<実施例8>
(ブラックレジスト8の調合)
実施例1において、アルカリ可溶性樹脂(1)及びアルカリ可溶性樹脂(2)の全量(固形分量)をアルカリ可溶性樹脂(5)に変更したこと以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト8を調製した。
【0406】
<比較例1>
(ブラックレジスト9の調合)
実施例1において、有機ケイ素ビニル重合体(1)を添加しなかった(有機ケイ素ビニル重合体(1)の占めていた1.5質量%分にはPGMEAを添加した)こと以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト9を調製した。
【0407】
<比較例2>
(ブラックレジスト10の調合)
実施例1において、有機ケイ素ビニル重合体(1)を有機ケイ素化合物(1)に変更したこと以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト10を調製した。
【0408】
<比較例3>
(ブラックレジスト11の調合)
実施例1において、有機ケイ素ビニル重合体(1)を有機ケイ素化合物(2)に変更したこと以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト11を調製した。
【0409】
<比較例4>
(ブラックレジスト12の調合)
実施例1において、アルカリ可溶性樹脂(1)及びアルカリ可溶性樹脂(2)の全量(固形分量)をアルカリ可溶性樹脂(3)に変更したこと以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト12を調製した。
【0410】
(レジストの評価)
(1)ブラックレジスト硬化膜の作製
調製したブラックレジスト1~12をスピンコーターにてガラス基板に塗布し、減圧乾燥した後、ホットプレートで100℃にて120秒間乾燥した。なお、塗布膜厚がそれぞれ約1.2μmとなるように塗布条件を調整した。続いて、得られた乾燥塗布膜に対し、露光機(オーク製作所社製EXF-2829-F-00)を用いて、高圧水銀灯(オーク製作所製ADH-3000M-F-N、光学フィルターなし)により40mJ/cm2で露光マスクなしで全面露光を行った。その後、超純水で0.04質量%に調整したKOH水溶液をアルカリ現像液として用いて、室温(23℃)下、溶解時間の1.8倍の時間、スプレー現像(スプレー圧力:0.1MPa)し、さらに超純水でスプレー洗浄(スプレー圧力:0.1MPa)を行い、ブラックレジスト膜を得た。その後、230℃のオーブンで30分間加熱硬化を行って、膜厚1.0μmのブラックレジスト硬化膜付きの基板を作成した。なお、溶解時間とは、現像処理時に未露光部の感光層が溶解して基板全体が見え始める時間であり、各々のブラックレジストの溶解時間は38~67秒の間であった。
なお、ブラックレジスト硬化膜の膜厚は、膜の一部をカッターで削って段差部を設けたうえで段差測定装置Alpha-Step-500(KLA-Tencor社製)で測定した。なお、膜厚はスピンコーターの回転数を変えることで調整可能である。
【0411】
(2)基板密着性の評価
前記(1)で作製した各ブラックレジスト硬化膜付きの基板について、室温に戻した後に2.5cm角の測定用基板を切出し、熱硬化型シール剤ストラクトボンドXN-21-S(三井化学社製)を利用してアルミ製スタッドピン(P/N:901106U、径2.7mm、Quad Group社製)を接合し、測定用サンプルを作製した。作製したサンプルを、薄膜密着強度測定機Romulus(Quad Group社製)を用いて、2.0kg/sの速さで引っ張り試験を行い、ブラックレジスト硬化膜とガラス基板が破断したときの破断強度と接着面積から以下の式により基板密着応力を求めた。
基板密着応力(kg/cm2)=破断強度(kg)/接着面積(cm2
【0412】
ここから基板密着強度(%)を、比較例1における基板密着応力(kg/cm2)の値を100%とした時の相対値(%)として求めた。その結果及び評価結果を表2に示した。評価基準は以下のとおりである。
【0413】
(基板密着性の評価判定基準)
・A:基板密着強度が150%以上。
・B:基板密着強度が120%以上150%未満。
・C:基板密着強度が110%以上120%未満。
・D:基板密着強度が110%未満。
【0414】
(3)ブラックマトリックス(BM)硬化膜の作製
前記(1)と同様の手順で得た乾燥塗布膜に対し、露光機(オーク製作所社製EXF-2829-F-00)を用いて、高圧水銀灯(オーク製作所製ADH-3000M-F-N、光学フィルターなし)により40mJ/cm2で、パターン幅8μmの直線状開口部を有する露光マスクを通じてパターン露光(プロキシミティギャップ180μm)を行った。その後、超純水で0.04質量%に調整したKOH水溶液をアルカリ現像液として用いて、室温(23℃)下、溶解時間の1.8倍の時間、スプレー現像(スプレー圧力:0.1MPa)し、さらに超純水でスプレー洗浄(スプレー圧力:0.1MPa)を行いBM膜を得た。
その後、230℃のオーブンで30分間加熱硬化を行って、膜厚1.0μmのBM硬化膜を作製した。
【0415】
(4)BMライン線幅変化量の評価
光学顕微鏡で前記BM膜及び前記BM硬化膜におけるBMラインパターンの線幅を測定し、加熱硬化前後の線幅変化量を測定した。その結果を表2に示した。
【0416】
(5)BMライン線幅の評価
実施例6のBM膜について線幅を測定したところ、比較例1のBM膜よりも0.5μm線幅が増加していた。
【0417】
【表2】
【0418】
表2に示されるように、本発明の感光性樹脂組成物(実施例1~8)は、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)を含有することにより、加熱硬化後の基板密着性が向上している。さらに、加熱硬化前後の線幅変化量を狭める制御が可能となり、特に、その添加量を増量することにより線幅変化量が減少していくことが確認できた。
【0419】
これに対して比較例1では、(d)有機ケイ素化合物を全く含まないため、基板密着性が低い。
また比較例2、3では、シランカップリング剤である有機ケイ素化合物(1)、(2)を含むことから基板密着性はA~B判定であり、比較例1に比べて基板密着性能が向上していることがわかる。一方で、BMライン線幅変化量に対しては比較例1と同程度の大きさであり特段の添加効果がないことがわかる。
【0420】
一方で、比較例4では、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)を含むことで基板密着性はA判定となるものの、(a)アルカリ可溶性樹脂としてカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含まないため、BMライン線幅変化量は大きく、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)による線幅変化抑制効果が小さいことが判る。
【0421】
これに対して実施例1~8では、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)を添加することにより基板密着性はA判定となり、基板密着性能の向上が認められる。さらに、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)に加えて、(a)アルカリ可溶性樹脂としてカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含むことにより、BMライン線幅に対しても、加熱硬化時の線幅変化を抑制する効果が認められた。特に、実施例1、4及び5の結果の比較から、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)の添加量による線幅変化量の調整が可能であり、増量により線幅がほとんど変化しない程度とすることも可能であることがわかる。
【0422】
以上の結果より、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含む感光性樹脂組成物に有機ケイ素ビニル重合体(d-1)を添加することにより、基板密着性の向上と共に、加熱硬化時の線幅変化量を小さくする方向に調整可能となることがわかる。液晶パネルの多様化に伴いBM裾部形状の要求も多様化しているが、メルト制御によりBM裾部の丸み具合やテーパー角度なども調整可能となる。
【0423】
本発明における有機ケイ素ビニル重合体(d-1)の作用は以下のように考えられる。
まず(d)有機ケイ素化合物を含まない場合は、基板密着力は分子間相互作用によるものであり十分とは言えない。また、加熱硬化工程では、昇温中に樹脂成分の軟化温度を越えた段階で樹脂流動が起こり、大きな線幅変化が起こると考えられる。特にカーボンブラックを含む場合には、塗膜の疎水性が高くなり、基板密着力が悪化する傾向があり、また、紫外~可視域の光をよく吸収するため、露光後も塗膜内部の光硬化が不十分となるため、加熱硬化工程において線幅変化が起こりやすい。
【0424】
これに対して(d)有機ケイ素化合物を含む場合は、アルコキシシリル基等のケイ素原子含有官能基を有することにより、ガラス等の無機材料基板の表面と化学結合を形成できる。また、該官能基がBM膜中の有機素材と結合や相互作用することで、有機素材と無機材料基板の仲立ちをして、基板密着力の向上に寄与している。これは実施例1~8、比較例2~4に共通した点である。
【0425】
(d)有機ケイ素化合物の中でも有機ケイ素ビニル重合体(d-1)は、該重合体がアルコキシシリル基などのケイ素原子含有側鎖を分子内に複数有するため、無機材料基板との多点結合が可能であり、基板密着性向上に寄与する。
さらに、基板と多点結合せずに残ったケイ素原子含有側鎖同士が加熱硬化の昇温中に自己縮合反応を起こして架橋が進行し、お互いに結合して膜内に巨大な3次元の網目構造(クラスター)を形成しているものと考えられる。この3次元の網目構造がゲル化することによって、メルトによる線幅変化が抑制されたと考えられる。また、ビニル重合体であることによって、感光性樹脂組成物の塗膜内に馴染んで広がることができ、3次元の網目構造が塗膜内に一様に形成されて、線幅変化の抑制が効果的に発現したと考えられる。さらに、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)の添加量を変えることで、形成されるクラスターのサイズも調整でき、線幅変化量の制御が可能になったと考えられる。
特に、(a)アルカリ可溶性樹脂として、エチレン性不飽和基を有するものを用いることで、露光時の架橋点が増えて、軟化開始温度が高くなったものと考えられる。エチレン性不飽和基を有する樹脂の中でも、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含むことで、エステル基による水素結合や双極子-双極子相互作用、芳香族環同士のπ-π相互作用に加えて、カルボキシル基による水素結合も働き、樹脂の主鎖間の自由体積が少なくなり酸素が透過しづらいことから、重合反応時の酸素阻害が抑制され、よりいっそう架橋が進んでメルトによる線幅変化が小さくなったと考えられる。
【0426】
一方で、比較例1~3のように重合体ではない有機ケイ素化合物である有機ケイ素化合物(1)、(2)の場合は、元の分子サイズが小さい。このため、加熱硬化の昇温中に、有機ケイ素ビニル重合体(d-1)の場合と同じ回数の架橋反応が起こってもクラスター形成には至らず、結果的に軟化溶融が始まり、線幅変化量への影響は微小となっていると考えられる。
【0427】
他方、比較例4のように有機ケイ素ビニル重合体(d-1)を含むものであっても、アルカリ可溶性樹脂としてカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含まない場合には、露光時の架橋点は少なくなり、ケイ素原子含有側鎖同士による架橋反応が始まる温度より低い温度でメルトが進行してしまい、線幅変化量が大きくなっていると考えられる。
【0428】
以上述べてきたように、本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、基板密着性が向上し、加熱硬化時の線幅変化が制御でき、高精細パターンの形成が可能となる。
【符号の説明】
【0429】
10 透明支持基板
100 有機EL素子
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
50 透明陽極
500 有機発光体
51 正孔注入層
52 正孔輸送層
53 発光層
54 電子注入層
55 陰極
図1