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特許7120517ランダム共重合体およびこれを含むピニング組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】ランダム共重合体およびこれを含むピニング組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20220809BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20220809BHJP
   C08F 230/02 20060101ALI20220809BHJP
   C08F 212/14 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
C08F220/18
C08F230/02
C08F212/14
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020517386
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 KR2018012891
(87)【国際公開番号】W WO2019083337
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2020-04-01
(31)【優先権主張番号】10-2017-0141006
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ク、セ ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ミ スク
(72)【発明者】
【氏名】カン、ナ ナ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、スン スー
(72)【発明者】
【氏名】パク、ノ ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェ グォン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ウン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ヒュン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュル、ユン ヒュン
【審査官】藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-092618(JP,A)
【文献】特開平06-095441(JP,A)
【文献】特開2009-227836(JP,A)
【文献】特開2012-233287(JP,A)
【文献】特表2016-528713(JP,A)
【文献】特表2017-501262(JP,A)
【文献】特表2017-530236(JP,A)
【文献】国際公開第2016/195449(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/13601(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/13602(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 210/00 - 230/10
C08F 251/00 - 283/00
C08F 283/01 - 289/00
C08F 291/00 - 297/08
H01L 21/027
G03G 5/00 - 5/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される単位および下記化学式3-1または化学式4-1で表される単位を含み、
化学式3-1または化学式4-1で表される単位は、全体ランダム共重合体に80重量%~99.1重量%の比率で含まれ
化学式3-1または化学式4-1で表される単位100重量部に対して化学式1で表される単位を1重量部~22重量部で含むランダム共重合体を含むピニング組成物
[化学式1]
【化1】
化学式1で、Rは、水素またはアルキル基であり、Aは、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)-、カルボニル基、-C(=O)-X-または-X-C(=O)-であり、前記でXは、酸素原子または硫黄原子であり、Bは、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Cは、下記化学式2で表される:
[化学式2]
【化2】
化学式2で、Lは、単一結合または酸素原子である:
[化学式3-1]
【化3】
化学式3-1で、Rは、水素またはアルキル基であり、Xは、単一結合であり、R~Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、ハロアルキル基またはハロゲン原子であり、R~Rが含むハロゲン原子の数は、1個以上である:
[化学式4-1]
【化4】
化学式4-1で、Rは、水素またはアルキル基であり、Xは、単一結合、酸素原子、-S(=O)-、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X-、または-X-C(=O)-であり、前記でXは、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Pは、アリレン基であり、Qは、酸素原子であり、Zは、鎖形成原子が8個以上の鎖である。
【請求項2】
化学式3-1でハロゲン原子は、フッ素原子である、請求項1に記載のピニング組成物
【請求項3】
化学式4-1で鎖形成原子は、炭素である、請求項1に記載のピニング組成物
【請求項4】
前記ランダム共重合体を0.1重量%~20重量%の比率で含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のピニング組成物。
【請求項5】
基材層と、該基材層の表面に存在するピニング層とを含み、前記ピニング層は、請求項1からのいずれか一項に記載のピニング組成物により形成されている基板。
【請求項6】
ピニング層は、基材層の表面でストライプパターンを形成している、請求項に記載の基板。
【請求項7】
基材層の表面に存在する中性層をさらに含み、前記中性層とピニング層は、交互に繰り返されるストライプパターンを形成している、請求項またはに記載の基板。
【請求項8】
中性層は、下記化学式3で表される単位および下記化学式4で表される単位を含むランダム共重合体を含む、請求項に記載の基板:
[化学式3]
【化5】
[化学式4]
【化6】
化学式3または化学式4で、Rは、水素またはアルキル基であり、Xは、単一結合、酸素原子、-S(=O)-、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X-、または-X-C(=O)-であり、前記でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、化学式3で、Wは、少なくとも1個のハロゲン原子を含むアリール基であり、化学式4で、Yは、8個以上の鎖形成原子を有する直鎖が連結された環構造を含む1価置換基である。
【請求項9】
中性層に含まれるランダム共重合体は、化学式4で表される単位を9モル%~32モル%の比率で含む、請求項に記載の基板。
【請求項10】
中性層に含まれるランダム共重合体において、化学式4で表される単位のモル数Aと化学式3で表される単位のモル数Bとの比率B/Aは、2~10の範囲内である、請求項またはに記載の基板。
【請求項11】
ピニング層またはピニング層と中性層上に形成された高分子膜をさらに含み、高分子膜は、第1ブロックおよび前記第1ブロックとは異なる第2ブロックを含むブロック共重合体を含む、請求項から10のいずれか一項に記載の基板。
【請求項12】
ブロック共重合体は、スフィア、シリンダー、ジャイロイドまたはラメラ構造を形成している、請求項11に記載の基板。
【請求項13】
ブロック共重合体の第1ブロックまたは第2ブロックは、下記化学式3または下記化学式4で表される単位を含む、請求項11または12に記載の基板:
[化学式3]
【化7】
[化学式4]
【化8】
化学式3または化学式4で、Rは、水素またはアルキル基であり、Xは、単一結合、酸素原子、-S(=O)-、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X-、または-X-C(=O)-であり、前記でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、化学式3で、Wは、少なくとも1個のハロゲン原子を含むアリール基であり、化学式4で、Yは、8個以上の鎖形成原子を有する直鎖が連結された環構造を含む1価置換基である。
【請求項14】
基材層上に請求項1から4のいずれか一項に記載のピニング組成物をコーティングし、130℃未満の温度でアニーリングしてピニング層を形成する段階を含むパターン化基板の製造方法。
【請求項15】
アニーリングは、熱的アニーリングである、請求項14に記載のパターン化基板の製造方法。
【請求項16】
アニーリングされる基材層は、中性層が形成されている、請求項14または15に記載のパターン化基板の製造方法。
【請求項17】
ピニング層上に第1ブロックおよび前記第1ブロックとは異なる第2ブロックを含むブロック共重合体を含む高分子膜を自己組織化した状態で形成する段階をさらに含む、請求項14から16のいずれか一項に記載のパターン化基板の製造方法。
【請求項18】
高分子膜からブロック共重合体の第1ブロックまたは第2ブロックを選択的に除去する段階をさらに含む、請求項17に記載のパターン化基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年10月27日に韓国特許庁に出願された特許出願第10-2017-0141006号の出願日の利益を主張し、その内容の全部は、本出願に含まれる。
【0002】
本出願は、ランダム共重合体およびこれを含むピニング組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ブロック共重合体には、二つ以上の化学的に区別される高分子鎖が共有結合により連結されている。ブロック共重合体は、その自己組織化(self-assembly)特性によって規則的な微細相(microphase)に分離され得る。このようなブロック共重合体の微細相分離現象は、一般的に、構成成分間の体積分率、分子量、または相互作用{そうご さよう}パラメーター(Flory-Huggins interaction parameter)等により説明されている。また、ブロック共重合体は、ナノ構造のスフィア(sphere)、シリンダー(cylinder)、ジャイロイド(gyroid)、またはラメラ(lamella)等の多様なナノ構造体を形成することができる。
【0004】
通常、ブロック共重合体が形成する膜においてナノ構造体の配向は、ブロック共重合体を構成するブロックのうちどんなブロックが基材層の表面または空気中に露出するかによって決定される。すなわち、ナノ構造体の配向は、ブロック共重合体を構成するブロックの選択的なウェッティング(wetting)により決定され得る。一般的に、多数の基材層は、極性であり、空気は、非極性である。したがって、ブロック共重合体においてさらに大きい極性を有するブロックは、基材層にウェッティングし、ブロック共重合体においてさらに小さい極性を有するブロックは、空気との界面でウェッティングして水平配向が形成される。また、ブロック共重合体のいずれか一つのブロックと、これとは異なるいずれか一つのブロックが、いずれも基材層上にウェッティングする場合には、垂直配向が形成される。垂直配向は、ブロック共重合体のいずれか一つのブロックと、これとは異なるいずれか一つのブロックの界面が、基板に対して垂直である場合を意味する。
【0005】
このようなブロック共重合体の垂直または水平配向された自己組織化構造を実際工程上に適用するに際して、特に垂直配向された自己組織化構造で形成されたパターンの方向性および位置選定性が非常に重要である。このためにグラホエピタキシーまたはケモエピタキシー等の工程を用いて基板上にプレパターン(pre-pattern)を付与する方法が使用される。
【0006】
ここで、ケモエピタキシー工程は、極性の基材層上に化学的組成が異なるパターン、例えばピニング層を形成して、ブロック共重合体の自己組織化構造の配向を誘導する方式である。しかしながら、通常のピニング層は、その形成過程で基材層だけでなく、中性層とも同時に反応する。ピニング層と中性層が反応する場合、ブロック共重合体の垂直配向の欠陥を起こすことができる。これにより、中性層との反応を抑制するために、低温、例えば、130℃未満の温度でピニング層を形成する工程が試みられたことがある。しかしながら、通常のピニング層は、低温で、例えば130℃未満の温度では、基材層に十分に結合することができないという問題点が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、ランダム共重合体およびこれを含むピニング組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願で用語「1価または2価炭化水素基」は、特に別途規定しない限り、炭素および水素よりなる化合物またはその誘導体に由来する1価または2価残基を意味する。前記で炭素および水素よりなる化合物としては、アルカン、アルケン、アルキンまたは芳香族炭化水素を例示することができる。
【0009】
本出願で用語「アルキル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基を意味する。前記アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状アルキル基であってもよく、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0010】
本出願で用語「アルコキシ基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8、炭素数1~4または炭素数1~2のアルコキシ基を意味する。前記アルコキシ基は、直鎖状、分岐状または環状アルコキシ基であってもよく、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0011】
本出願で用語「アルケニル基」または「アルキニル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数2~20、炭素数2~16、炭素数2~12、炭素数2~8または炭素数2~4のアルケニル基またはアルキニル基を意味する。前記アルケニル基またはアルキニル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよく、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0012】
本出願で用語「アルキレン基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキレン基を意味する。前記アルキレン基は、直鎖状、分岐状または環状アルキレン基であってもよく、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0013】
本出願で用語「アルケニレン基」または「アルキニレン基」は、特に別途規定しない限り、炭素数2~20、炭素数2~16、炭素数2~12、炭素数2~8または炭素数2~4のアルケニレン基またはアルキニレン基を意味する。前記アルケニレン基またはアルキニレン基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよく、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0014】
本出願で用語「アリール基」または「アリレン基」は、特に別途規定しない限り、一つのベンゼン環構造、二つ以上のベンゼン環が一つまたは二つの炭素原子を共有しつつ連結されているか、または任意のリンカーにより連結されている構造を含む化合物またはその誘導体に由来する1価または2価残基を意味する。
【0015】
前記アリール基またはアリレン基は、特に別途規定しない限り、例えば、炭素数6~30、炭素数6~25、炭素数6~21、炭素数6~18または炭素数6~13のアリール基であってもよい。
【0016】
本出願で用語「芳香族構造」は、前記アリール基またはアリレン基を意味する。
【0017】
本出願で用語「脂環族環構造」は、特に別途規定しない限り、芳香環構造でなく、環状炭化水素構造を意味する。前記脂環族環構造は、特に別途規定しない限り、例えば、炭素数3~30、炭素数3~25、炭素数3~21、炭素数3~18または炭素数3~13の脂環族環構造であってもよい。
【0018】
本出願で用語「単一結合」は、当該部位に別途の原子が存在しない場合を意味する。例えば、A-B-Cで表示された構造においてBが単一結合である場合、Bで表示される部位に別途の原子が存在せず、AとCが直接連結されて、A-Cで表示される構造を形成することを意味する。
【0019】
本出願でアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アルコキシ基、アリール基、アリレン基、直鎖または芳香族構造等に任意に置換されていてもよい置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、チオール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アルコキシ基またはアリール基等を例示することができるが、これらに制限されるものではない。
【0020】
本出願で、任意の高分子(ブロック共重合体、ランダム共重合体等の重合体)が任意の化合物の単位を含むことは、その化合物が重合反応を経て高分子内の骨格を形成していることを意味する。
【0021】
本出願は、ランダム共重合体に関する。本出願で、用語「ランダム共重合体」は、これを構成する一つ以上の単位が不規則的に結合した重合体を意味する。具体的に、ランダム共重合体は、任意の単量体単位を発見する確率が隣接単位の種類とは関係のない共重合体を意味する。
【0022】
本出願のランダム共重合体は、少なくとも下記化学式1で表される単位を含むことができる:
【0023】
[化学式1]
【化1】
【0024】
化学式1で、Rは、水素またはアルキル基であり、Aは、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)-、カルボニル基、-C(=O)-X-または-X-C(=O)-であり、前記でXは、酸素原子または硫黄原子であり、Bは、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Cは、下記化学式2で表される:
【0025】
[化学式2]
【化2】
【0026】
化学式2で、Lは、単一結合または酸素原子である。化学式2で、Lは、化学式1のBと結合することができる。また、化学式2でLが単一結合である場合、化学式2のPは、化学式1のBに直接連結され得る。また、化学式2でPは、リン(phosphorus)原子を意味する。
【0027】
前記化学式1で表される単位を含むランダム共重合体は、以後にピニング層に含まれることによって、前記ピニング層が後述する基板内の基材層に十分に結合するようにすることができる。具体的に、前記ランダム共重合体は、化学式1のように、前記化学式2で表される官能基が結合した単位を含むことによって、後述するピニング層が基材層上に十分に結合するようにすることができる。
【0028】
化学式1で表される単位を含むランダム共重合体は、基材層との高い反応性を有することができる。これにより、前記ランダム共重合体を含むピニング組成物は、低温、例えば、130℃未満、125℃以下、120℃以下、115℃以下、110℃以下、105℃以下、100℃以下、95℃以下、90℃以下、85℃以下、80℃以下、75℃以下、70℃以下、65℃以下、60℃以下、55℃以下または50℃未満の温度でも基材層と反応してピニング(pinning)層を形成することができる。前記温度の下限は、特に制限されないが、例えば、20℃以上、23℃以上、または25℃以上であってもよい。
【0029】
そして、前記ランダム共重合体を含むピニング組成物は、後述する中性層と反応しなくてもよい。これに伴い、後述するブロック共重合体が、整列度の高い垂直ラメラ構造を形成するようにすることができる。
【0030】
一つの例において、化学式1で、Rは、水素または炭素数1~4のアルキル基であってもよく、具体的に炭素数1~4のアルキル基であってもよい。他の例において、化学式1で、Bは、炭素数1~4のアルキレン基、アルケニレン基であってもよく、具体的に炭素数1~4のアルキレン基であってもよい。
【0031】
一つの例において、前記ランダム共重合体は、下記化学式3または化学式4で表される単位をさらに含むことができる。すなわち、前記ランダム共重合体は、化学式1で表される単位および化学式3で表される単位を含むこともでき、または化学式1で表される単位および化学式4で表される単位を含むこともできる:
【0032】
[化学式3]
【化3】
【0033】
[化学式4]
【化4】
【0034】
化学式3または化学式4で、Rは、水素またはアルキル基であってもよい。一つの例において、前記Rは、水素または炭素数1~4のアルキル基であってもよく、具体的に炭素数1~4のアルキル基であってもよい。
【0035】
化学式3または化学式4で、Xは、単一結合、酸素原子、-S(=O)-、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X-、または-X-C(=O)-であり、前記でXは、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であってもよい。一つの例において、前記Xは、単一結合、酸素原子、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X-、または-X-C(=O)-であり、前記でXは、単一結合、酸素原子、またはアルキレン基であってもよい。
【0036】
化学式3で、Wは、少なくとも1個のハロゲン原子を含むアリール基であってもよい。一つの例において、前記Wは、例えば、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上のハロゲン原子で置換された炭素数6~12のアリール基であってもよい。一例としては、ハロゲン原子として、例えば、フッ素原子を適用することができる。
【0037】
一つの例において、前記化学式3の単位は、下記化学式3-1で表されることもできる:
【0038】
[化学式3-1]
【化5】
【0039】
化学式3-1で、RおよびXは、前記化学式3におけるRおよびXと同一であってもよい。化学式3-1で、R~Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、ハロアルキル基またはハロゲン原子であり、R~Rが含むハロゲン原子の数は、1個以上である。具体的に、化学式3-1でR~Rは、それぞれ独立して、水素、アルキル基、ハロアルキル基またはハロゲン原子であり、かつ、R~Rは、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上のハロゲン原子を含むことができる。化学式3-1で、R~Rそれぞれに含まれるハロゲン原子、例えば、フッ素原子は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下または6個以下であってもよい。
【0040】
化学式4で、Yは、8個以上の鎖形成原子を有する直鎖が連結された環構造を含む1価置換基であってもよい。化学式4で、Yの1価置換基は、少なくとも8個の鎖形成原子で形成される鎖構造を含むことができる。
【0041】
本出願で用語「鎖形成原子」は、所定鎖の直鎖構造を形成する原子を意味する。前記鎖は、直鎖状であるか、分岐状であってもよい。ただし、鎖形成原子の数は、最も長い直鎖を形成している原子の数だけで計算される。前記鎖形成原子に結合している他の原子(例えば、鎖形成原子が炭素原子である場合、その炭素原子に結合している水素原子等)は、鎖形成原子の数として計算されない。また、鎖が分岐状である場合、鎖形成原子の数は、最も長い鎖を形成している原子の数を意味する。例えば、鎖がn-ペンチル基である場合、鎖形成原子は、すべて炭素であって、その数は、5であり、鎖が2-メチルペンチル基である場合にも、鎖形成原子は、すべて炭素であって、その数は、5である。
【0042】
鎖形成原子としては、炭素、酸素、硫黄、窒素等を例示することができる。適切な鎖形成原子は、炭素、酸素または窒素であってもよく、具体的に炭素または酸素であってもよい。前記鎖形成原子の数は、8以上、9以上、10以上、11以上または12以上であってもよい。前記鎖形成原子の数は、また、30以下、25以下、20以下または16以下であってもよい。
【0043】
鎖は、直鎖アルキル基等の直鎖炭化水素鎖であってもよい。この場合、アルキル基は、炭素数8以上、炭素数10以上または炭素数12以上のアルキル基であってもよい。また、アルキル基は、炭素数30以下、炭素数25以下、炭素数20以下または炭素数16以下のアルキル基であってもよい。アルキル基の炭素原子のうち一つ以上は、任意に酸素原子に置換されていてもよく、アルキル基の少なくとも一つの水素原子は、任意に他の置換基により置換されていてもよい。
【0044】
化学式4でYは、環構造を含み、鎖は、環構造に連結されていてもよい。このような環構造により後述するブロック共重合体の自己組織化特性等がさらに向上することができる。また、環構造は、芳香環構造または脂環族環構造であってもよい。
【0045】
鎖は、環構造に直接連結されていてもよく、またはリンカーを介して連結されていてもよい。リンカーとしては、酸素原子、硫黄原子、-NR-、S(=O)-、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X-または-X-C(=O)-等を例示することができる。前記でRは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であってもよい。前記で、Xは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-NR-、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であってもよい。前記でRは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であってもよい。
【0046】
適切なリンカーとしては、酸素原子または窒素原子を例示することができる。鎖は、例えば、酸素原子または窒素原子を介して芳香族構造に連結されていてもよい。この場合、リンカーは、酸素原子であるか、-NR-(前記でRは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基)であってもよい。
【0047】
一つの例において、前記化学式4の単位は、下記化学式4-1で表されることもできる:
【0048】
[化学式4-1]
【化6】
【0049】
化学式4-1で、RおよびXは、前記化学式4におけるRおよびXと同一であってもよい。前記で、Pは、アリレン基であり、Qは、単一結合、酸素原子または-NR-であり、前記でRは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、Zは、8個以上の鎖形成原子を有する前記鎖である。
【0050】
一つの例において、化学式4-1でPは、炭素数6~12のアリレン基、例えば、フェニレン基であってもよいが、これに制限されるものではない。他の例において、化学式4-1のQは、酸素原子または-NR-(前記でRは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基)等が挙げられる。
【0051】
一例として、化学式4-1の単位は、Rが水素または炭素数1~4のアルキル基であり、Xが-C(=O)-O-であり、Pが炭素数6~12のアリレン基またはフェニレンであり、Qは、酸素原子であり、Zは、鎖形成原子が8個以上の鎖である単位が挙げられる。
【0052】
本出願のランダム共重合体が、前記化学式1の単位に加えて、前記化学式3または4の単位を含むことによって、多様な構造を有するブロック共重合体が、優れた自己組織化特性を示すようにすることができる。また、これに伴い、ブロック共重合体の自己組織化構造が形成するパターンに適切な方向性を付与することができる。
【0053】
前記ランダム共重合体において、前記化学式3または化学式4の単位は、ランダム共重合体に80重量%~99.9重量%で含まれ得る。この比率は、特に制限されるものではないが、例えば、本出願のランダム共重合体を含むピニング層が適用されるブロック共重合体の種類によって調節することもできる。一つの例において、前記環構造を有する単位は、前記ランダム共重合体に81重量%以上、82重量%以上、83重量%以上、84重量%以上、85重量%以上、86重量%以上、87重量%以上、88重量%以上、89重量%以上、90重量%以上、91重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上または95重量%以上で含まれ得るが、これらに制限されるものではない。前記比率は、他の例において、99.8重量%以下、99.7重量%以下、99.6重量%以下、99.5重量%以下、99.4重量%以下、99.3重量%以下、99.2重量%以下、99.1重量%以下または99.0重量%以下であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0054】
他の例において、前記ランダム共重合体は、前記化学式3または化学式4で表される単位100重量部に対して化学式1で表される単位を1重量部~30重量部を含むことができる。化学式1で表される単位の比率は、特に制限されるものではないが、前記ランダム共重合体を含むピニング層が適用される基板の種類によって調節することもできる。例えば、ランダム共重合体は、化学式3または化学式4で表される単位100重量部に対して化学式1で表される単位を1.1重量部以上、1.2重量部以上、1.3重量部以上、1.4重量部以上、1.5重量部以上、1.6重量部以上、1.7重量部以上、1.8重量部以上、1.9重量部以上または2.0重量部以上で含むことができ、26重量部以下、22重量部以下、18重量部以下、14重量部以下、12重量部以下、10重量部以下、9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下または6重量部以下で含むことができるが、これらに制限されるものではない。
【0055】
前記ランダム共重合体は、化学式1の単位(第1単位)と前記化学式3または化学式4で表される単位(第2単位)の他にも、必要に応じて更なる単位(第3単位)をさらに含むこともできる。このような第3単位としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレートまたはオクチル(メタ)アクリレート等のような(メタ)アクリル酸エステル化合物由来重合単位、2-ビニルピリジンまたは4-ビニルピリジン等のようなビニルピリジン由来重合単位、スチレン、4-トリメチルシリルスチレン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン、3,4,5-トリフルオロスチレン、2,4,6-トリフルオロスチレンまたは4-フルオロスチレン等のようなスチレン系単量体由来重合単位を例示することができるが、これらに制限されるものではない。
【0056】
前記ランダム共重合体に前記第3単位が含まれる場合、その含量は、特に制限されない。第3単位の含量は、例えば、前記ランダム共重合体を含むピニング層に適用されるブロック共重合体の種類によって調節することができる。例えば、ランダム共重合体において第3単位は、ランダム共重合体の全体に対して約5モル%~約95モル%程度で含まれ得るが、これらに制限されるものではない。他の例において、ランダム共重合体は、第3単位を約5モル%以上、6モル%以上、7モル%以上、8モル%以上、9モル%以上または10モル%以上で含むことができ、また、95モル%以下、94モル%以下、93モル%以下、92モル%以下、91モル%以下または90モル%以下で含むことができる。本出願でモル%は、ブロック共重合体またはランダム共重合体の分子量および重量から計算されるモル数を利用して計算され得る。
【0057】
ランダム共重合体を製造する方式は、特に制限されない。例えば、ランダム共重合体を自由ラジカル重合方式(free radical polymerization method)またはリビングラジカル重合(LRP;Living Radical Polymerization)方式等を適用して製造することができる。LRP方式の例としては、アニオン重合、原子移動ラジカル重合法、可逆-付加-開環連鎖移動による重合法または有機テルル化合物を開始剤として用いる方法等を例示することができる。
【0058】
アニオン重合法は、有機希土類金属複合体または有機アルカリ金属化合物等を開始剤として使用してアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩等の無機酸塩や有機アルミニウム化合物の存在下で重合を進めることを意味する。
【0059】
原子移動ラジカル重合法は、例えば重合制御制として原子移動ラジカル重合剤を利用する原子移動ラジカル重合法(ATRP)、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を利用し、かつ電子を発生させる有機または無機還元剤下で重合を進めるARGET(Activators Regenerated by Electron Transfer)原子移動ラジカル重合法(ATRP)、ICAR(Initiators for continuous activator regeneration)原子移動ラジカル重合法等を例示することができる。
【0060】
本出願のランダム共重合体を重合するための方式として前述した方式のうち適切な方式を採用することができる。
【0061】
重合過程で使用できるラジカル開始剤の種類は、特に制限されない。ラジカル開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1′-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)または2,2′-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル(2,2′-azobis-(2,4-dimethylvaleronitrile))等のアゾ系開始剤または過酸化ベンゾイル(BPO)またはジ-tert-ブチルペルオキシド(DTBP)等の過酸化物系開始剤等を適用することができる。
【0062】
また、ランダム共重合体に含まれる単量体の種類によっては、これを重合するための方式として、例えば、スチレン系単量体の熱的自己開始(thermal self-initiation)を用いる方式のように、開始剤を使用しない重合方式も適用され得る。
【0063】
前記重合過程は、例えば、適切な溶媒の存在下に行われ得る。この場合、適用可能な溶媒としては、メチレンクロリド、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、アニソール、アセトン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム、ジグライム、ジメチルホルムアミド、ジチメルスルホキシドまたはジメチルアセトアミド等のような溶媒を例示することができるが、これらに制限されない。重合反応後に非溶媒を使用することによって、沈殿によりランダム共重合体を収得することができ、この際に使用できる非溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノールまたはイソプロパノール等のアルコール、エチレングリコール等のグリコール、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン等のアルカンまたは石油エーテル等のエーテル等を例示することができるが、これらに制限されるものではない。
【0064】
重合体の合成分野においてその重合体を形成する単量体の種類によって重合体を製造する方式は、公知となっており、本出願のランダム共重合体の製造時には、公知となった方式のうち任意の方式をすべて適用することができる。
【0065】
また、本出願は、ピニング組成物に関する。本出願で用語「ピニング(pinning)組成物」は、ピニング層を形成するのに使用される組成物を意味する。また、用語「ピニング(pinning)層」は、ブロック共重合体を構成するブロックのうちいずれか一つのブロックと化学的親和度(affinity)が高くて、前記ブロック共重合体で形成されるパターンの方向性および位置選定性を付与できるすべての種類の層を意味する。また、ブロック共重合体のパターンは、ブロック共重合体を構成する一つ以上のブロックが規則的にまたは不規則的に繰り返されて形成された形態を意味する。
【0066】
本出願のピニング組成物は、前記のランダム共重合体だけを含むことができる。また、本出願のピニング組成物は、必要に応じて、前記のランダム共重合体の他にも、他の成分をさらに含むことができる。また、前記ランダム共重合体と共に含まれ得る他の成分としては、例えば、ランダム共重合体が含む成分によって適切な熱開始剤または光開始剤等を例示することもでき、溶媒または非溶媒等を例示することもできる。
【0067】
ピニング組成物は、ランダム共重合体を組成物の全体に対して、0.1重量%~20重量%で含むこともできる。前記比率は、特に制限されるものではないが、例えば、約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、約0.4重量%以上、約0.5重量%以上、約0.6重量%以上、約0.7重量%以上、約0.8重量%以上、約0.9重量%以上、または約1.0重量%以上であってもよく、約19重量%以下、約17重量%以下、約15重量%以下、約13重量%以下、約11重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、または約2重量%以下であってもよい。
【0068】
また、本出願は、基板に関する。本出願の基板は、基材層の表面に形成されたピニング層を含むことができる。具体的に、本出願の基板は、基材層と;基材層の表面に存在するピニング層を含むことができる。ピニング層は、前述したピニング組成物により形成され得る。また、用語「ピニングおよびピニング層」に関する説明は、前述した通りであるので、ここでは省略する。
【0069】
前記ピニング層は、前述したランダム共重合体を含むことができる。すなわち、前記ピニング層は、前述したピニング組成物に含まれるランダム共重合体と同一であってもよい。具体的に、前記ピニング層は、前述した化学式1の単位および化学式3または4で表される単位を含むランダム共重合体を含むことができる。前記ランダム共重合体は、前記ピニング組成物に含まれるランダム共重合体と同一であるので、これに関する説明は省略することとする。
【0070】
また、ピニング層は、適切な基材層上に形成されていてもよい。ピニング層が形成される基材層としては、シリコンウェハー、シリコンオキシド基板、シリコンニトリド基板または架橋されたポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム等を例示することができるが、これらに制限されるものではない。
【0071】
前記ピニング層は、ランダム共重合体を少なくとも主成分として含むことができる。前記でピニング層がランダム共重合体を主成分として含むというのは、当該ピニング層が前記ランダム共重合体だけを含むか、あるいは、固形分を基準として約50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上または90重量%以上含む場合を意味する。前記比率は、他の例として、約100重量%以下または約99重量%以下程度であってもよい。
【0072】
一例として、ピニング層は、例えば、約1nm~100nmの厚さを有することができ、他の例として、約2nm~50nmの厚さを有することができる。前記厚さの範囲内で、ピニング層の表面均一性が維持され得る。また、前記厚さの範囲内で、ブロック共重合体の垂直配向構造の方向性を適切に誘導することができ、以後にエッチング過程でエッチング選択性を損傷しない利点があり得る。
【0073】
本出願で用語「垂直配向」は、ブロック共重合体の配向性を示すものであり、ブロック共重合体により形成される自己組織化構造体の配向方向が基板方向に垂直な場合を意味する。例えば、垂直配向は、自己組織化したブロック共重合体の各ブロックドメインが基板の表面に並設され、ブロックドメインの界面領域が基板の表面に実質的に垂直に形成される場合を意味する。他の例において、垂直配向は、自己組織化したブロック共重合体のブロックドメインのすべてが基板の表面にウェッティングした状態を意味することもできる。
【0074】
本出願で、用語「垂直」は、誤差を勘案した表現であり、例えば、±10度以内、±8度以内、±6度以内、±4度以内または±2度以内の誤差を含む意味であってもよい。
【0075】
本出願のピニング層は、基材層の表面でパターンを形成していてもよい。前記パターンは、例えばストライプパターンであってもよい。ストライプパターンは、基板の表面にストライプ形状のピニング層が二つ以上形成されてパターンを成している形態を意味する。後述するブロック共重合体の自己組織化構造が形成するパターンは、前記ピニング層が形成しているパターンにより方向性を示すことができる。また、後述するブロック共重合体の自己組織化構造は、基材層上で形成されることもでき、またはピニング層上で形成されることもできる。
【0076】
ピニング層を形成する方法は、特に制限されず、例えば、後述するように、ピニング層は、基材層上に前記ピニング組成物をコーティングし、これをアニーリングすることによって形成され得る。
【0077】
一例として、前記基板は、基材層の表面に存在する中性層をさらに含むことができる。前記ピニング層および前記中性層が共に形成されている基材層上で、後述するブロック共重合体の自己組織化を誘導することによって、垂直配向された自己組織化構造を有するブロック共重合体をより効率的に形成することができる。本出願で、用語「中性層」は、ブロック共重合体の垂直配向を誘導できるすべての種類の層を意味する。
【0078】
前記中性層とピニング層は、基材層上で交互に繰り返されるストライプパターンを形成していてもよい。また、前記中性層とピニング層が繰り返されるパターンは、規則的であってもよく、不規則的であってもよい。前記で、ストライプパターンは、例えば、図8に模式的に示されたように、基材層10の表面に2以上のピニング層20と中性層30が交互に形成されている形態を意味する。このようなピニング層と中性層が交互に繰り返されるストライプパターンを形成するための方法は、特に制限されない。例えば、前記方法としては、(1)ピニング層が形成された基材層上に中性層形成用組成物をコーティングした後にアニーリングするか、(2)中性層が形成された基材層上にピニング層組成物をコーティングした後、アニーリングする方式を適用することができるが、これらに制限されるものではない。
【0079】
前記中性層は、ランダム共重合体を含むことができる。また、前記中性層が含むランダム共重合体は、上記したピニング層が含むランダム共重合体とは異なっていてもよい。また、中性層に含まれるランダム共重合体は、ピニング層のランダム共重合体に含まれる単位と同じ単位を含むこともできる。一つの例において、前記中性層に含まれるランダム共重合体は、前述した化学式3で表される単位および化学式4で表される単位を含むことができる。
【0080】
一つの例において、前記中性層に含まれるランダム共重合体において、前記化学式4で表される単位のモル数Aと前記化学式3で表される単位のモル数Bとの比率B/Aは、2~10の範囲内であってもよい。前記モル数の比率B/Aは、例えば、2.00以上、2.04以上、2.08以上、2.12以上、2.16以上、2.20以上、2.24以上、2.28以上または2.32以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。また、前記比率B/Aは、他の例において、10以下、9.8以下、9.6以下、9.4以下、9.2以下または9.0以下であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0081】
また、中性層に含まれるランダム共重合体において、前記化学式4の単位は、中性層のランダム共重合体の全体モル数の9モル%~32モル%の範囲内の比率で前記ランダム共重合体に含まれ得る。前記比率は、他の例において、10モル%以上、11モル%以上、12モル%以上、13モル%以上、14モル%以上または15モル%以上であってもよく、31モル%以下、30モル%以下、29モル%以下、28モル%以下、27モル%以下、26モル%以下、25モル%以下、24モル%以下、23モル%以下、22モル%以下、21モル%以下、20モル%以下、19モル%以下、18モル%以下、17モル%以下、16モル%以下または15モル%以下であってもよい。
【0082】
前記中性層に含まれるランダム共重合体は、基材層との反応性を改善するために、その他機能性単量体の単位等をさらに含むことができる。前記機能性単量体の例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ビニルベンゾシクロブテン、2-イソシアナトエチルアクリレート、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトブチルアクリレート、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、マレイン酸無水物、ガンマ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルフタルイミド、N-スクシンイミジルアクリレート、ノルボルネンラクトン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、またはN-フェニルアクリルアミド等を例示することができるが、これらに制限されるものではない。前記機能性単量体の単位が中性層のランダム共重合体に含まれる場合、前記機能性単量体の単位は、全体ランダム共重合体を基準として40モル%以下で含まれ得、下限は、特に制限されるものではないが、例えば、0モル%超過の含量で含まれ得る。他の例において、化学式4の単位のモル数Aと前記機能性単量体単位のモル数Cとの比率C/Aは、0.1~2.0の範囲内であってもよい。前記比率C/Aは、他の例において、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上または0.9以上であってもよく、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、または1.1以下であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0083】
前記中性層のランダム共重合体の数平均分子量(Number Average Molecular Weight)Mnは、例えば、3,000~300,000の範囲内にありえる。分子量Mnは、他の例として、例えば、3000以上、5000以上、7000以上、9000以上、10,000以上または11000以上であってもよい。分子量Mnは、さらに他の例として、250000以下、200000以下、180000以下、160000以下、140000以下、120000以下、100000以下、90000以下、80000以下、70000以下、60000以下または50000以下程度であってもよい。前記数平均分子量の単位は、g/molであってもよい。
【0084】
中性層のランダム共重合体は、1.01~2.60の範囲内の分散度(polydispersity)Mw/Mnを有することができる。分散度は、他の例として、約1.05以上または約1.1以上であってもよい。分散度は、他の例として、約2.6以下、約2.4以下、約2.2以下または約2.0以下であってもよい。このようなランダム共重合体により形成された中性層は、高度に整列したブロック共重合体膜の形成に有利である。
【0085】
本出願で、任意の高分子の数平均分子量と分散度は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)を用いて測定された標準ポリスチレンに対する換算値であってもよい。
【0086】
本出願の基板は、高分子膜をさらに含むことができる。また、前記高分子膜は、第1ブロックおよび前記第1ブロックとは異なる第2ブロックを含むブロック共重合体を含むことができる。前記第1ブロックは、前記第2ブロックと化学的に異なる構造を有することができる。前記基板は、多様な用途に適用することができる。前記基板は、例えば、多様な電子または電磁素子、前記パターンの形成工程または磁気記憶記録媒体、フラッシュメモリー等の記録媒体またはバイオセンサー等や分離膜の製造工程等に適用することができる。
【0087】
一例として、前記高分子膜は、ピニング層上に形成されているか、基材層上に直接形成されていてもよい。具体的に、前記高分子膜は、ピニング層のストライプパターン上に直接形成されていてもよく、またはピニング層のストライプパターンが形成されていない基材層上に直接形成されていてもよい。他の例において、前記高分子膜は、ピニング層と中性層上に存在することもできる。
【0088】
前記ブロック共重合体は、自己組織化を用いてスフィア、シリンダー、ジャイロイドまたはラメラ等の周期的構造を具現していてもよい。具体的に、前記ブロック共重合体がスフィアまたはラメラの構造を具現する場合、前記ブロック共重合体は、垂直配向された状態で存在することができる。
【0089】
前記高分子膜に含まれ得るブロック共重合体の種類は、特に制限されないが、例えば、前述したピニング層のランダム共重合体に含まれた環構造を有する単位と同じ単位を第1ブロックまたは第2ブロックとして含むブロック共重合体を適用することができる。
【0090】
前記ブロック共重合体の前記第1ブロックまたは前記第2ブロックは、化学式3の単位または化学式4の単位を含んでもよい。例えば、前記ブロック共重合体は、化学式3の単位を第1ブロックとして含むことができ、化学式4の単位を第2ブロックとして含むことができる。これに伴い、前記ブロック共重合体を含む高分子膜は、中性層上で優れた相分離特性を示すことができ、ラメラ形態またはシリンダー形態等のような規則的な構造を形成しながら、垂直配向されていてもよい。
【0091】
本出願のブロック共重合体は、前述した第1ブロックおよび第2ブロックを含むジブロック共重合体であってもよい。また、前記ブロック共重合体は、前述した第1ブロックおよび第2ブロックのうち一つ以上を2個以上含むか、あるいは、異なる種類の第3ブロックを含むトリブロック以上のマルチブロック共重合体であってもよい。
【0092】
前記ブロック共重合体の数平均分子量Mnは、例えば、2,000~500,000の範囲内にありえる。前記ブロック共重合体の数平均分子量は、他の例において、3000以上、4000以上、5000以上、6000以上、7000以上、8000以上、9000以上、10000以上、15000以上、20000以上、25000以上、30000以上、35000以上または40000以上であってもよく、400000以下、300000以下、200000以下、100000以下、95000以下、90000以下、85000以下、80000以下、75000以下、70000以下、65000以下、60000以下、55000以下、または50000以下であってもよいが、これらに制限されるものではない。また、前記ブロック共重合体の数平均分子量の単位は、g/molであってもよい。
【0093】
前記ブロック共重合体は、1.01~1.50の範囲内の分散度Mw/Mnを有することができる。前記比率は、他の例において、1.02以上、1.05以上、1.08以上、1.11以上、1.14以上、または1.17以上であってもよく、1.45以下、1.40以下、1.35以下、1.30以下、1.25以下、1.20以下であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0094】
このような範囲でブロック共重合体は、適切な自己組織化特性を示すことができる。ブロック共重合体の数平均分子量等は、目的とする自己組織化構造等を勘案して調節することができる。
【0095】
ブロック共重合体が前記第1ブロックおよび第2ブロックを少なくとも含む場合、前記ブロック共重合体内で前記第1ブロック、具体的に、前述した化学式3の単位を含むブロックの体積分率は、0.3~0.7の範囲内であってもよい。前記比率は、他の例において、0.4以上、0.5以上または0.55以上であってもよく、0.65以下、0.63以下、0.61以下であってもよい。また、前記第1ブロックの体積分率と前記第2ブロック(例えば、前述した化学式4の単位を含むブロック)の体積分率の合計は、1であってもよい。
【0096】
本出願でブロック共重合体を構成する各ブロックの体積分率は、各ブロックの密度とゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量に基づいて求めることができる。
【0097】
本出願でブロック共重合体を製造する具体的な方法は、前述した構造を有する単量体を使用してブロック共重合体の少なくとも一つのブロックを形成する段階を含む限り、特に制限されない。
【0098】
例えば、ブロック共重合体を製造するための方法として、前記ランダム共重合体を重合する方法と同じ方法を適用することができる。例えば、前記ブロック共重合体は、ラジカル開始剤およびリビングラジカル重合試薬の存在下に、前記ブロックを形成できる単量体を含む反応物をリビングラジカル重合法で重合することを含む方式で製造することができる。
【0099】
ブロック共重合体の製造時に任意のブロックと共に前記共重合体に含まれる他のブロックを形成する方式は、特に制限されない。ブロック共重合体の製造過程は、例えば前記過程を経て生成された重合生成物を非溶媒内で沈殿させる過程をさらに含むことができる。
【0100】
ラジカル開始剤の種類は、特に制限されず、重合効率を考慮して適切に選択することができる。ラジカル開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1′-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)または2,2′-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物や、過酸化ベンゾイル(BPO)またはジ-t-ブチルペルオキシド(DTBP)等のような過酸化物系を使用することができる。
【0101】
リビングラジカル重合過程は、例えば、メチレンクロリド、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、アセトン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム、ジグライム、ジメチルホルムアミド、ジチメルスルホキシドまたはジメチルアセトアミド等のような溶媒内で行われ得る。
【0102】
非溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノールまたはイソプロパノール等のようなアルコール、エチレングリコール等のグリコール、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタンまたは石油エーテル等のようなエーテル系を使用することができるが、これらに制限されるものではない。
【0103】
また、本出願は、パターン化基板の製造方法に関する。本出願の製造方法は、前述したピニング組成物を基材層上にコーティングし、前記ピニング組成物がコーティングされた基材層をアニーリングする段階を含むことができる。前記でアニーリングは、熱的アニーリング(thermal annealing)または溶媒アニーリング(solvent annealing)であってもよい。具体的に、前記アニーリングは、熱的アニーリングであってもよい。また、基材層は、前述した基板において適用された基材層と同じものを適用することができるので、これに関する説明は省略する。
【0104】
熱的アニーリングは、例えば、ピニング組成物が含むランダム共重合体の相転移温度またはガラス転移温度を基準として行われ得る。熱的アニーリングは、具体的には、前記ガラス転移温度または相転移温度以上の温度で行われ得る。
【0105】
前記ピニング組成物に含まれるランダム共重合体は、ガラス転移温度または相転移温度が通常のピニング組成物に含まれる高分子より低くてもよい。したがって、本出願のアニーリングは、通常のピニング層を形成するためのアニーリングでの温度より低い温度で行われ得る。
【0106】
例えば、本出願の製造方法は、熱的アニーリングを約130℃未満の温度で行うことができる。前記温度は、125℃以下、120℃以下、115℃以下、110℃以下、105℃以下、100℃以下、95℃以下、90℃以下、85℃以下、80℃以下、75℃以下、70℃以下、65℃以下、60℃以下、55℃以下または50℃未満であってもよい。また、前記温度の下限は、特に制限されないが、例えば、10℃以上、15℃以上または20℃以上であってもよい。前記範囲の温度でピニング組成物を熱的アニーリングする場合、前述したピニング組成物が基材層と十分に反応してピニング層を形成することができる。
【0107】
熱的アニーリングでの温度および時間は、ピニング層組成物のランダム共重合体の組成を考慮して適正水準に調節することができる。前記熱的アニーリングに要求される時間は、必要に応じて変更することができる。例えば、本出願の製造方法は、熱的アニーリングを約1分~72時間または約1分~24時間の範囲内の時間の間行われ得る。
【0108】
本出願の製造方法がアニーリングを行う基材層上には、中性層が形成されていてもよい。また、アニーリング後に、前記ピニング層と前記中性層は、ストライプパターンを形成していてもよい。具体的に、ピニング組成物のアニーリングが行われる基材層上には、中性層のパターンが存在してもよく、ピニング組成物のコーティングおよびアニーリング後には、前記ピニング層と中性層が交互に存在してもよい。
【0109】
他の例において、中性層が形成されている基材層上で、そして、前述した範囲の温度でピニング組成物を熱的アニーリングする場合、前記ピニング層は、中性層と反応せず、前記基材層上で前記中性層とストライプパターンを形成することができる。これに伴い、ブロック共重合体の自己組織化構造の形成時に発生しうる欠陥(defect)を最小化することができる。中性層に含まれるランダム共重合体は、前述したものと同一である。したがって、これに関する具体的な説明は省略することとする。
【0110】
前記中性層が形成されている基材層上にピニング組成物の層を形成し、熱的アニーリングする方法として、前記中性層を基材層上でパターン化された形態で形成した後、ピニング組成物をコーティングした後、アニーリングする方式を適用することもできる。このような方式で、例えば、ナノ単位のサイズの微細パターンを有するピニング層を形成することができる。
【0111】
前記方法で中性層をパターン化した形態で形成する方式は、特に制限されない。例えば、高分子膜に適正な電磁気波、例えば、紫外線等を一部だけ照射したり、または中性層上にマスクをかぶせた後、紫外線等を照射することによって、基板上に形成された中性層の一部だけを除去することもできる。この場合、紫外線の照射条件は、中性層の種類によって決定され得る。例えば、中性層の一部を除去するために、約254nm波長の紫外線を1分~60分間照射することができる。また、紫外線の照射に引き続いて、酸性溶液等で処理して、紫外線により分解された中性層をさらに除去することもできる。
【0112】
本出願のパターン化基板の製造方法は、前記アニーリング後、ピニング層が形成された基材層、または中性層およびピニング層が形成された基材層上に第1ブロックおよび前記第1ブロックとは異なる第2ブロックを含むブロック共重合体を含む高分子膜を自己組織化した状態で形成する段階をさらに含むことができる。
【0113】
前記ピニング層が形成された基材層または中性層およびピニング層が形成された基材層上に形成された高分子膜内のブロック共重合体の自己組織化を誘導する場合、ピニング層と表面エネルギーが類似したブロックがピニング層上に位置することができる。これに伴い、ブロック共重合体の自己組織化構造が形成するパターンが基板上で垂直配向され得る。
【0114】
ブロック共重合体を使用して前記のような高分子膜を形成する方法は、特に制限されない。例えば、前記方法は、前記中性層および/またはピニング層上に前記ブロック共重合体を含む高分子組成物をコーティングし、アニーリングすることによって、高分子膜内のブロック共重合体の自己組織化を誘導することができる。例えば、前記方法は、前記高分子組成物を塗布等の方法により中性層および/またはピニング層上にコーティングし、アニーリングすることによって、ブロック共重合体の自己組織化構造が形成された高分子膜を形成することができる。前記でアニーリングは、熱的アニーリングまたは溶媒アニーリングであってもよい。具体的に、前記アニーリングは、熱的アニーリングであってもよい。前記方法は、必要に応じて、前記高分子組成物をコーティングした後に熟成する過程をさらに含むことができる。
【0115】
前記熱的アニーリングは、例えば、ブロック共重合体の相転移温度またはガラス転移温度を基準として行われ得る。例えば、熱的アニーリングは、前記ガラス転移温度または相転移温度以上の温度で行われ得る。このような熱処理が行われる時間は、特に制限されなく、例えば、約1分~72時間の範囲内で行われ得るが、これは、必要に応じて変更することができる。また、熱的アニーリングでの温度は、例えば、100℃~250℃程度であってもよいが、これは、使用されるブロック共重合体を考慮して調節することができる。
【0116】
また、熟成は、常温の非極性溶媒および/または極性溶媒内で、約1分~72時間の間行われることもできる。
【0117】
また、本出願のパターン化基板の製造方法は、前記高分子膜から前記ブロック共重合体の第1または第2ブロックを選択的に除去する段階をさらに含むことができる。前記ブロック共重合体の第1または第2ブロックが選択的に除去されることによって、上記した基板上にブロック共重合体のパターンが形成され得る。例えば前記方法は、前記ブロック共重合体を含む高分子膜を基板上に形成し、前記膜内に存在するブロック共重合体のいずれか一つまたはそれ以上のブロックを選択的に除去した後に、前記基板をエッチングする段階をさらに含むこともできる。すなわち、ブロック共重合体のいずれか一つまたはそれ以上のブロックが除去された高分子膜をマスクとして前記基板をエッチングすることができる。このような方式で、例えば、ナノ単位のサイズの微細パターンを形成することができる。また、高分子膜内のブロック共重合体の形態によって基板のパターンが変わることができ、その例として、ナノロッドまたはナノホール等が挙げられる。必要に応じて、パターン形成のために前記ブロック共重合体と異なる共重合体、または単独重合体等が前記高分子組成物に混合され得る。
【0118】
このような方法に適用される前記基板の種類は、特に制限されず、必要に応じて選択することができる。前記基板としては、例えば、酸化ケイ素等を適用することができる。
【0119】
前記方法は、高い縦横比を示す酸化ケイ素にナノ単位のサイズを有するパターンを形成することができる。具体的に、前記方法は、酸化ケイ素の基板上にブロック共重合体が所定の構造を形成している高分子膜を形成した後、ブロック共重合体のいずれか一つのブロックを選択的に除去し、引き続いて、酸化ケイ素の基板をエッチングすることを含むことができる。エッチングとしては、例えば、反応性イオンエッチング方式を適用することができ、これに伴い、酸化ケイ素の基板は、ナノロッドまたはナノホールのパターン等の多様な形態を有することができる。このような方法を用いて縦横比が大きいナノパターンも形成され得る。
【0120】
例えば、前記パターンは、数十ナノメートル単位のサイズで具現され得、このようなパターンを有する基板は、例えば、次世代情報・電子用磁気記録媒体等を含む多様な用途に適用することができる。
【0121】
前記方法において、ブロック共重合体のいずれか一つのブロックを選択的に除去する方式は、特に制限されない。除去方式は、例えば、高分子膜に適正な電磁気波、紫外線等を照射して相対的に軟質(soft)のブロックを除去する方式であってもよい。この場合、紫外線の照射条件は、ブロック共重合体を構成するブロックの組成によって決定することができる。また、紫外線照射は、例えば、約254nm波長の紫外線を1分~60分間照射することもできる。
【0122】
また、前記方法は、紫外線照射に引き続いて、高分子膜を酸等で処理し、紫外線により分解されたブロック共重合体のいずれか一つのブロックをさらに除去することもできる。
【0123】
また、選択的にブロックが除去されたブロック共重合体を含む高分子膜をマスクとして基板をエッチングするとき、エッチングの方式は、特に制限されない。エッチングは、例えば、CF/Ar等の反応ガスを使用した反応性イオンエッチングであってもよい。また、反応性イオンエッチングに引き続いて、酸素プラズマ処理等で高分子膜が基板から除去されることもできる。
【発明の効果】
【0124】
本出願のピニング組成物は、低温でも基材層と結合してピニング層を形成することができる。
【0125】
本出願のピニング組成物は、基板上に形成されるブロック共重合体の自己組織化構造の配向性および位置選択性を付与することができる。
【0126】
本出願のピニング組成物は、基板上に形成されるブロック共重合体が、優れた反応選択性を示すようにすることができる。
【0127】
本出願のピニング組成物は、基板上に形成されるブロック共重合体が欠陥がなく、整列度の高い垂直ラメラ構造を有するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
図1】実施例1に対するSEMイメージである。
図2】実施例2に対するSEMイメージである。
図3】実施例3に対するSEMイメージである。
図4】比較例1に対するSEMイメージである。
図5】実施例4に対するSEMイメージである。
図6】実施例5に対するSEMイメージである。
図7】実施例6に対するSEMイメージである。
図8】基板上にピニング層および中性層が形成しているストライプパターンの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0129】
以下、本出願による実施例および比較例により本出願をさらに詳細に説明するが、本出願の範囲が下記提示された実施例により制限されるものではない。
【0130】
1.NMR測定
NMR分析は、三重共鳴の5mmのプローブ(probe)を有するVarian Unity Inova(500MHz)分光計を含むNMR分光計を使用して常温で行った。NMR測定用溶媒(CDCl)に分析対象物質を約10mg/mL程度の濃度で希釈して使用し、化学的移動は、ppmで表現した。
【0131】
<適用略語>
br=広い信号、s=単一線、d=二重線、dd=二重二重線、t=三重線、dt=二重三重線、q=四重線、p=五重線、m=多重線。
【0132】
2.ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
数平均分子量Mnおよび分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定した。5mLのバイアル(vial)に実施例または比較例のブロック共重合体または巨大開始剤等の分析対象物質を入れ、約1mg/mL程度の濃度になるようにテトラヒドロフラン(THF)に希釈する。その後、キャリブレーション用標準試料と分析しようとする試料をシリンジフィルタ(細孔サイズ:0.45μm)を介して濾過させた後に測定した。分析プログラムは、Agilent technologies社のChemStationを使用し、試料の溶出時間(elution time)を検量線(calibration curve)と比較して重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnをそれぞれ求め、その比率Mw/Mnで分子量分布(PDI)を計算した。GPCの測定条件は、下記の通りである。
【0133】
<GPC測定条件>
機器:Agilent technologies社の1200 series
カラム:Polymer laboratories社のPLgel mixed B 2個使用
溶媒:THF
カラム温度:35℃
サンプル濃度:1mg/mL、200μL注入
標準試料:ポリスチレン(Mp:3900000、723000、316500、52200、31400、7200、3940、485)
【0134】
3.体積分率の測定
ブロック共重合体の各ブロックの体積分率は、各ブロックの常温での密度とGPCにより測定された分子量に基づいて計算した。前記で密度は、浮力法を用いて測定した。具体的に、密度は、空気中での質量と密度を知っている溶媒(エタノール)内に分析しようとする試料を入れ、その質量を用いて計算した。
【0135】
製造例1.モノマーAの合成
下記化学式Aの化合物(DPM-C12)は、次の方式で合成した。250mLのフラスコにヒドロキノン(hydroquinone)(10.0g、94.2mmol)および1-ブロモドデカン(1-Bromododecane)(23.5g、94.2mmol)を入れ、100mLのアセトニトリル(acetonitrile)に溶かした後、過量のポタシウムカーボネート(potassium carbonate)を添加し、75℃で約48時間の間窒素条件下で反応させた。反応後、残存するポタシウムカーボネートをフィルタリングして除去し、反応に使用したアセトニトリルをも除去した。これにジクロロメタン(DCM)と水の混合溶媒を添加してウォークアップし、分離した有機層を集めて、MgSOに通過させて脱水した。次に、カラムクロマトグラフィーでジクロロメタン(DCM)を使用して白色固体状の目的物(4-ドデシルオキシフェノール)(9.8g、35.2mmol)を約37%の収率で得た。
【0136】
<NMR分析結果>
H-NMR(CDCl):δ6.77(dd、4H);δ4.45(s、1H);δ3.89(t、2H);δ1.75(p、2H);δ1.43(p、2H);δ1.33-1.26(m、16H);δ0.88(t、3H)。
【0137】
フラスコに合成された4-ドデシルオキシフェノール(9.8g、35.2mmol)、メタクリル酸(6.0g、69.7mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(10.8g、52.3mmol)およびp-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(1.7g、13.9mmol)を入れ、120mLのメチレンクロリドを添加した後、窒素下で室温で24時間の間反応させた。反応終了後に、反応中に生成された塩(urea salt)をフィルターで除去し、残存するメチレンクロリドをも除去した。カラムクロマトグラフィーでヘキサンとジクロロメタン(DCM)を移動相として使用して不純物を除去し、さらに得られた生成物をメタノールと水の混合溶媒(1:1混合)で再結晶化して、白色固体状の目的物(7.7g、22.2mmol)を63%の収率で得た。
【0138】
<NMR分析結果>
H-NMR(CDCl):δ7.02(dd、2H);δ6.89(dd、2H);δ6.32(dt、1H);δ5.73(dt、1H);δ3.94(t、2H);δ2.05(dd、3H);δ1.76(p、2H);δ1.43(p、2H);1.34-1.27(m、16H);δ0.88(t、3H)。
【0139】
[化学式A]
【化7】
【0140】
化学式AでRは、炭素数12の直鎖アルキル基である。
【0141】
製造例2.ランダム共重合体Bの合成
ペンタフルオロスチレン1.677g、(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸((methacryloyloxy)methyl phosphonic acid,hMAPC1)0.084g、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT:Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer)試薬(2-cyano-2-propyl benzodithioate)10mg、V-40(1,1′-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)6mgおよびトリフルオロトルエン(trifluorotoluene)1.777gを10mLのフラスコ(シュレンクフラスコ)に入れ、窒素雰囲気下で常温で30分間撹拌した後、95℃で3時間の間可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合反応を行った。重合後、反応溶液を抽出溶媒であるメタノール200mLに沈殿させ、減圧濾過した後、乾燥させて、ランダム共重合体Bを製造した。ランダム共重合体Bにおいて、ペンタフルオロスチレン由来単位の含量は、約94.3重量%であった。
【0142】
製造例3.ランダム共重合体Cの合成
製造例1のモノマーA2.974g、(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸(hMAPC1)0.081g、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)試薬(2-cyano-2-propyl benzodithioate)10mg、V-40(1,1′-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)6mgおよびトリフルオロトルエン1.777gを10mLのフラスコ(シュレンクフラスコ)に入れ、窒素雰囲気下で常温で30分間撹拌した後、95℃で3時間の間可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合反応を行った。重合後、反応溶液を抽出溶媒であるメタノール200mLに沈殿させ、減圧濾過した後、乾燥させて、ランダム共重合体を製造した。ランダム共重合体Cにおいて、製造例1のモノマーA由来単位の含量は、約96.8重量%であった。
【0143】
製造例4.ランダム共重合体Dの合成
製造例1のモノマーA0.520g、ペンタフルオロスチレン1.456g、グリシジルメタクリレート(glycidyl methacrylate)0.142g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)3.3mgおよびテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)1.62mLを10mLのフラスコ(シュレンクフラスコ)に入れ、窒素雰囲気下で常温で30分間撹拌した後、60℃で12時間の間重合反応を行った。重合後、反応溶液を抽出溶媒であるメタノール250mLに沈殿させ、減圧濾過した後、乾燥させて、ランダム共重合体を製造した。ランダム共重合体の数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnは、それぞれ、39,400g/molおよび1.96であり、ランダム共重合体の各成分別の含量比は、製造例1のモノマーA15モル%、ペンタフルオロスチレン75モル%およびグリシジルメタクリレート10モル%であった。
【0144】
製造例5.ブロック共重合体Eの合成
製造例1のモノマーA2.0gと可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)試薬(2-cyano-2-propyl benzodithioate)64mg、ラジカル開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)23mgおよびベンゼン5.34mLを10mLのシュレンクフラスコに入れ、窒素雰囲気下で常温で30分間撹拌した後、70℃で4時間の間可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合反応を行った。重合後、反応溶液を抽出溶媒であるメタノール250mLに沈殿させた後、減圧濾過して乾燥させて、ピンク色の巨大開始剤を製造した。前記巨大開始剤の収率は、約82.6重量%であり、数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnは、それぞれ、13,200g/molおよび1.16であった。巨大開始剤0.3g、ペンタフルオロスチレンモノマー2.7174gおよびベンゼン1.306mLを10mLのシュレンクフラスコに入れ、窒素雰囲気下で常温で30分間撹拌した後、115℃で4時間の間可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合反応を行った。重合後、反応溶液を抽出溶媒であるメタノール250mLに沈殿させた後、減圧濾過し、乾燥させて、淡いピンク色のブロック共重合体を製造した。前記ブロック共重合体は、製造例1のモノマーAに由来したものであって、鎖形成原子が12個(化学式AのRの炭素数)である第1ブロックと、前記ペンタフルオロスチレン単量体に由来した第2ブロックを含む。前記で第1ブロックの体積分率は、約0.40程度であり、第2ブロックの体積分率は、約0.60程度であり、製造されたブロック共重合体Eは、数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnは、それぞれ44,700g/molおよび1.19であった。
【0145】
製造例6.高分子Fの合成
ペンタフルオロスチレン2.39g、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)試薬(2-hydroxyethyl-2-(((dodecylthio)carbonothioyl)thio-2-methylpropanoate)30mg、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)5mgおよびアニソール0.80gを10mLのフラスコ(シュレンクフラスコ)に入れ、窒素雰囲気下で常温で30分間撹拌した後、70℃で6時間の間可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合反応を行った。重合後、反応溶液を抽出溶媒であるメタノール200mLに沈殿させ、減圧濾過した後、乾燥させて、高分子Fを製造した。高分子Fの数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mnは、それぞれ10,000g/molおよび1.10であった。
【0146】
実施例1~3
製造例2のランダム共重合体B(hMAPC1を約2.65重量%含む)または製造例3のランダム共重合体C(hMAPC1を約 4.77重量%含む)を、濃度が約1.0重量%になるように、フルオロベンゼンに溶解させて、ピニング組成物を製造した。次に、前記ピニング組成物を、シリコンウェハー(未処理基材層)上に約30nmの厚さでコーティングし、下記表1のように調節された温度で(実施例1~3)5分間熱的アニーリングした後、フルオロベンゼンに10分間浸漬させて、未反応のランダム共重合体Bまたは未反応のランダム共重合体Cを除去して、ピニング層を形成した。次に、製造例4のブロック共重合体Eを、濃度が約0.8重量%になるように、フルオロベンゼンに溶解させて高分子組成物を製造し、これを前記ピニング層上に約30nmの厚さでスピンコーティングし、230℃で約5分間熱的アニーリングして、高分子膜を形成した。高分子膜内のブロック共重合体Eのパターンを走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)を用いて確認した。
【0147】
比較例1
ランダム共重合体Bまたはランダム共重合体Cの代わりに、製造例6の高分子Fを使用し、下記表1のように調節された温度で熱的アニーリングしたことを除いて、実施例と同じ条件で高分子膜を形成した。
【0148】
ブロック共重合体Eは、シリコンウェハー上では、垂直配向され、ピニング層上では、水平配向および垂直配向が混在する特性を有する。したがって、ブロック共重合体のパターンが基板に対して水平配向と垂直配向が混在する形態であるか否かによってシリコンウェハー(基材層)に対するピニング組成物の反応の可否を判断した。具体的に、前記ピニング組成物の基材層との反応の可否は、製造された高分子膜を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて加速電圧2.0kVの条件で、50,000の倍率で、撮影して判断した。
【0149】
これに伴い、下記表1には、基材層上に形成された高分子膜内のブロック共重合体Eが垂直配向および水平配向された構造が混在する状態で観察された場合をOで表示し、ブロック共重合体Eが垂直配向された状態だけが観察される場合をXで表示した。
【0150】
【表1】
【0151】
図1図3は、それぞれ、実施例1~3に対するSEMイメージである。これより、実施例1~3では、垂直および水平配向が混在するラメラパターンが形成されたことを確認することができる。これより、本出願のピニング組成物は、基材層と十分に結合したことが分かる。
【0152】
図4は、比較例1に対するSEMイメージである。図4より、本出願のピニング組成物とは異なる種類の高分子が適用されたピニング組成物は、130℃未満の温度で熱的アニーリングする場合には、基材層と十分に結合できないことが分かる。
【0153】
実施例4~6
製造例4のランダム共重合体Dの濃度が約0.5重量%になるようにフルオロベンゼンに溶解させた中性層組成物をシリコンウェハー(基材層)上にスピンコーティングし、200℃の温度で約5分間熱処理した。次に、フルオロベンゼンに約1分間浸漬させて、残余のランダム共重合体Dを除去して、厚さが約10nmである中性層のパターンが形成された基板(中性層基板)を準備した。
【0154】
ランダム共重合体Bまたはランダム共重合体Cの濃度が約1.0重量%になるようにフルオロベンゼンに溶解させたピニング組成物を製造した。前記ピニング組成物を中性層基板上に約30nmの厚さでスピンコーティングした後、下記表2のような温度条件(実施例4~6)で約5分間熱的アニーリングした。その後、フルオロベンゼンに10分間浸漬させて、未反応のランダム共重合体Bまたはランダム共重合体Cを除去して、前記中性層基板上にピニング層を形成した。次に、製造例4のブロック共重合体Eの濃度が約0.8重量%になるように、フルオロベンゼンに溶解させた高分子組成物を製造し、これを約30nmの厚さでピニング層上にスピンコーティングし、230℃で約5分間熱的アニーリングして高分子膜を形成した。
【0155】
製造された高分子膜を走査型電子顕微鏡(SEM)を利用して加速電圧2.0kVの条件で、50,000の倍率で撮影して得た高分子膜内のブロック共重合体Eのラメラ構造のパターンを通じてピニング組成物が基板上の中性層と反応するか否かを確認した。具体的に、下記表2で、ピニング組成物が基板上の中性層と反応するようになって、ブロック共重合体の自己組織化で形成された垂直ラメラパターンの表面で欠陥が観察される場合、Oで表示した。そして、下記表2で、ピニング組成物が基板上の中性層と反応しなくて、ブロック共重合体の自己組織化で形成された垂直ラメラパターンの欠陥が観察されない場合、Xで表示した。
【0156】
【表2】
【0157】
図5図7は、それぞれ、実施例4~6のSEMイメージである。これより、実施例4~6の高分子膜内のブロック共重合体Eのラメラ構造のパターンは、欠陥が観察されないことが分かる。
【0158】
前記表1と表2によれば、本出願のピニング組成物は、比較的低い工程温度(130℃未満)でアニーリングされても、基材層と結合することができ、中性層とは結合しないことが分かる。しかしながら、比較例1によれば、本出願と異なる高分子が適用されたピニング組成物は、低い工程温度(130℃未満)でアニーリングされる場合には、基材層と結合しないことが分かる。
【0159】
前記実施例および比較例より、本出願によるピニング層組成物は、低温工程でも基材層と反応することができ、中性層とは反応しないことができるので、整列度の高いブロック共重合体の垂直配向自己組織化構造を形成するのに適していることを確認することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8