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特許7120527化合物、着色剤組成物、感光材、カラーフィルタおよびディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】化合物、着色剤組成物、感光材、カラーフィルタおよびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   C09B 69/10 20060101AFI20220809BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220809BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220809BHJP
   C09B 11/16 20060101ALI20220809BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20220809BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20220809BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20220809BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20220809BHJP
   C08L 33/14 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
C09B69/10 B
G02B5/20 101
G03F7/004 505
C09B11/16
C09B67/20 F
C08F220/18
C08F220/06
C08L101/00
C08L33/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020552250
(86)(22)【出願日】2019-09-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 KR2019011329
(87)【国際公開番号】W WO2020050590
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0106491
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダミ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、スン ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒ ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨンウーン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジ スン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ハン スー
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-505655(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136936(WO,A1)
【文献】特開2002-356602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 69/10
G02B 5/20
G03F 7/004
C09B 11/16
C09B 67/20
C08F 220/18
C08F 220/06
C08L 101/00
C08L 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリアリールメタン染料モノマー;
(メ)アクリル酸モノマー;および
下記化学式1で表される構造
を含み、
前記トリアリールメタン染料モノマーは、下記化学式2で表されるものである、
化合物:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
【化2】
は、他のモノマーまたは結合部に連結される部分を意味し、
X'は、OまたはNHであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;-C(=O)-;または-L3-O(C=O)-であり、
L3は、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
R1~R3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r2は、0~4の整数であり、r2が2以上の場合、R2は、互いに同一または異なり、
r3は、0~5の整数であり、r3が2以上の場合、R3は、互いに同一または異なり、
[化学式2]
【化3】
前記化学式2において、
R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のアルコキシ基であり、
X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;-COOH;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
x1およびx2は、0~4の整数であり、
x1が2以上の場合、X1は、互いに同一または異なり、
x2が2以上の場合、X2は、互いに同一または異なり、
Aは、下記化学式A-1で表され、
[化学式A-1]
【化4】
前記化学式A-1において、
【化7】
は、他のモノマーまたは結合部に連結される部分を意味し、
【化8】
は、前記化学式2のAに連結される部分を意味し、
Zは、NまたはCRであり、
前記Rは、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
R4は、水素;重水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
Xは、陰イオン性基であり、
X3およびX4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;-COOH;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
x3は、0~3の整数であり、x3が2以上の場合、X3は、互いに同一または異なり、
x4は、0~10の整数であり、x4が2以上の場合、X4は、互いに同一または異なる。
【請求項2】
前記化合物の総重量を基準として、
前記トリアリールメタン染料モノマー55~98重量%;
前記(メ)アクリル酸モノマー1~30重量%;および
前記化学式1で表される構造1~20重量%
を含むものである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物の重量平均分子量は、5,000g/mol~35,000g/molである、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物は、熱硬化性モノマーをさらに含むものである、
請求項1からのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物;
バインダー樹脂;
多官能性モノマー;
光開始剤;および
溶媒
を含む
着色剤組成物。
【請求項6】
前記着色剤組成物は、顔料および染料のうちの1種以上をさらに含むものである、
請求項に記載の着色剤組成物。
【請求項7】
前記着色剤組成物中の固形分の総重量を基準として、
前記化合物の含有量は1~50重量%であり、
前記バインダー樹脂の含有量は5~40重量%であり、
前記多官能性モノマーの含有量は5~40重量%であり、
前記光開始剤の含有量は1~10重量%である、
請求項またはに記載の着色剤組成物。
【請求項8】
レベリング剤、酸化防止剤、接着助剤、および界面活性剤からなる群より選択される1つ以上をさらに含むものである、
請求項からのいずれか1項に記載の着色剤組成物。
【請求項9】
請求項からのいずれか1項に記載の着色剤組成物を用いて製造された
感光材。
【請求項10】
請求項に記載の感光材を含む
カラーフィルタ。
【請求項11】
請求項10に記載のカラーフィルタを含む
ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年9月6日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0106491号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、化合物、着色剤組成物、感光材、カラーフィルタおよびディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、カラーフィルタを実現するために顔料を着色剤として用いた顔料分散法が一般的に適用されている。しかし、顔料分散液の場合、顔料が粒子状態で存在して光を散乱させるだけでなく、顔料の微細化によって顔料の表面積が急激に増加し、これによる分散安定性の悪化で不均一な顔料粒子が生成される。したがって、最近要求されている高輝度、高明暗比および高解像度を達成するために、最近、着色剤として顔料の代わりに染料を用いることが検討されてきた。
【0004】
一般的に、染料は顔料に比べて透過度が高いという利点がある。しかし、顔料に比べて耐熱性が不十分であるという欠点がある。また、既存の顔料に比べて有機溶媒に対する溶解度が良く、耐薬品性が不十分であるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は、化合物、着色剤組成物、感光材、カラーフィルタおよびディスプレイ装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の一実施態様は、トリアリールメタン染料モノマー;(メト)アクリル酸モノマー;および下記化学式1で表される構造を含む化合物を提供する。
【0007】
[化学式1]
【化1】
【0008】
前記化学式1において、
【化2】
は、他のモノマーまたは結合部に連結される部分を意味し、
X'は、OまたはNHであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;-C(=O)-;または-L3-O(C=O)-であり、
L3は、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
R1~R3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r2は、0~4の整数であり、r2が2以上の場合、R2は、互いに同一または異なり、r3は、0~5の整数であり、r3が2以上の場合、R3は、互いに同一または異なる。
【0009】
本明細書の一実施態様は、前記化合物;バインダー樹脂;多官能性モノマー;光開始剤;および溶媒を含む着色剤組成物を提供する。
【0010】
本明細書の一実施態様は、前記着色剤組成物を用いて製造された感光材を提供する。
【0011】
本明細書の一実施態様は、前記感光材を含むカラーフィルタを提供する。
【0012】
本明細書の一実施態様は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本明細書の一実施態様に係る化合物は、着色剤組成物において色材として使用可能であり、前記着色剤組成物を用いてカラーフィルタを製造する場合、耐薬品特性および耐熱性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0015】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0016】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0017】
本明細書において、
【化3】
は、他のモノマー、他の置換基または結合部に連結される部分を意味する。
【0018】
本明細書において、
【化4】
は、他の結合部に連結される部分を意味する。
【0019】
本明細書において、前記連結される部分の「連結」とは、原子間の単一結合または二重結合につながるものであってもよい。
【0020】
前記結合部とは、化学式または化学構造間の連結される部分を意味する。
【0021】
本明細書において、「モノマー」とは、単量体または単位体であり、高分子を形成する単位分子または繰り返し構造を意味する。
【0022】
本明細書において、化学式1で表される構造とは、化学式1で表される構造を有するモノマーを意味することができる。
【0023】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1で表される構造を含む化合物を提供する。
【0024】
本明細書の一実施態様に係る化合物がトリアリールメタン染料モノマー;(メト)アクリル酸モノマー;および前記化学式1で表される構造を含むことにより、耐熱性および耐薬品性が向上できる。具体的には、トリアリールメタン染料に前記化学式1で表される構造が導入される場合、露光工程が進行する時、前記化学式1で表される構造がラジカル(Radical)反応を促進して着色剤組成物内のバインダー樹脂、前記化合物、多官能性モノマーの結合が、前記化学式1で表される構造が導入されていない時に比べてより活性化されて膜の硬化度が高くなり、耐熱性および耐薬品性が向上する。
【0025】
前記化学式1で表される構造は、具体的には、BPMA(benzophenone methacrylate)モノマーであることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0026】
前記化学式1で表される化合物の置換基の例示は以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;-OH;カルボニル基;エステル基;-COOH;イミド基;アミド基;陰イオン性基;アルコキシ基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;シクロアルケニル基;アリールアルキル基;ホスフィン基;スルホネート基;アミン基;アリール基;ヘテロアリール基;シリル基;ホウ素基;アクリロイル基;アクリレート基;エーテル基;N、O、S、またはP原子のうちの1つ以上を含むヘテロ環基および陰イオン性基を含む群より選択された1つ以上の置換基で置換されているか、もしくはいずれの置換基も有しないことを意味する。
【0028】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素がある。
【0029】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、前記アルキル基の炭素数は1~30であってもよい。もう一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~20である。もう一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~10である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3~30のものが好ましく、特に、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましいが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書において、アルキレン基は、アルカン(alkane)に結合位置が2つあるものを意味する。前記アルカンは、前述したアルキル基に関する説明が適用される。前記アルキレン基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、例えば、炭素数1~30であってもよい。また、炭素数1~20であってもよいし、炭素数1~10であってもよい。
【0032】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、一実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~30である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~20である。もう一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~6である。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書において、アリール基は特に限定されないが、炭素数6~60のものが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~30である。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~20である。前記アリール基が、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、インデニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、ペリレニル基、トリフェニル基、クリセニル基、フルオレニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本明細書において、前記ヘテロ環基は、異種原子としてO、N、またはSを含むヘテロ環基であって、炭素数は特に限定されないが、炭素数2~30、具体的には炭素数2~20である。ヘテロ環基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、トリアジン基、アクリジル基、ピリダジン基、キノリニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラン基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において、ヘテロアリール基は、芳香族であることを除けば、前述したヘテロ環基に関する説明が適用可能である。
【0036】
本明細書において、「トリアリールメタン染料」の「アリール」とは、前記アリール基に関する説明および/または前記ヘテロ環基に関する説明が適用可能である。
【0037】
本明細書において、前記アルコキシ基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であってもよいし、具体的には1~20であってもよく、さらに具体的には1~10であってもよい。
【0038】
本明細書において、アミン基は、-NH;アルキルアミン基;N-アルキルアリールアミン基;アリールアミン基;N-アリールヘテロアリールアミン基;N-アルキルヘテロアリールアミン基およびヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよいし、炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。前記アミン基のさらなる例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、N-フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、N-フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、N-フェニルビフェニルアミン基;N-フェニルナフチルアミン基;N-ビフェニルナフチルアミン基;N-ナフチルフルオレニルアミン基;N-フェニルフェナントレニルアミン基;N-ビフェニルフェナントレニルアミン基;N-フェニルフルオレニルアミン基;N-フェニルターフェニルアミン基;N-フェナントレニルフルオレニルアミン基;N-ビフェニルフルオレニルアミン基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本明細書において、陰イオン性基は、前記トリアリールメタン染料モノマーと化学的な結合を有し、前記化学的な結合は、イオン結合を意味することができる。前記陰イオン性基は特に限定されず、例えば、米国特許第7,939,644号、特開2006-003080号、特開2006-001917号、特開2005-159926号、特開2007-7028897号、特開2005-071680号、韓国出願公開第2007-7000693号、特開2005-111696号、特開2008-249663号、特開2014-199436に記載されている陰イオンが適用可能である。
【0040】
前記陰イオン性基の具体例としては、トリフルオルメタンスルホン酸陰イオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド陰イオン、ビストリフルオルメタンスルホンイミド陰イオン、ビスパーフルオルエチルスルホンイミド陰イオン、テトラフェニルボレート陰イオン、テトラキス(4-フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリストリフルオロメタンスルホニルメチド、SO 、CO 、SOSOCF、SOSOCFCF、ハロゲン基、例えば、フッ素基、ヨウ素基、塩素基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0041】
本明細書において、陰イオン性基は、それ自体で陰イオンを有することができ、または他の陽イオンと共に錯化合物の形態で存在してもよい。したがって、置換された陰イオン性基の個数に応じて、本発明の化合物分子全体の電荷の合計が変化できる。本発明の化合物のアミン基1つに陽イオンを有しているため、分子全体の電荷の合計は、置換された陰イオン性基の個数から1を引いた値だけの、陰イオンから0までの値を有することができる。
【0042】
本明細書において、「(メト)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選択される少なくとも1種を示す。「(メタ)アクリル酸」の表記も同様の意味を有する。
【0043】
本明細書において、(メト)アクリル酸または(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸で表されてもよい。
【0044】
本明細書の一実施態様は、トリアリールメタン染料モノマー;(メト)アクリル酸モノマー;および下記化学式1で表される構造を含む化合物を提供する。
【0045】
[化学式1]
【化5】
【0046】
前記化学式1において、
【化6】
は、他のモノマーまたは結合部に連結される部分を意味し、
X'は、OまたはNHであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;-C(=O)-;または-L3-O(C=O)-であり、
L3は、置換もしくは非置換のアルキレン基であり、
R1~R3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基であり、
r2は、0~4の整数であり、r2が2以上の場合、R2は、互いに同一または異なり、
r3は、0~5の整数であり、r3が2以上の場合、R3は、互いに同一または異なる。
【0047】
本明細書の一実施態様において、X'は、Oである。
【0048】
本明細書の一実施態様において、X'は、NHである。
【0049】
本明細書の一実施態様において、L1は、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;または-C(=O)-である。
【0050】
本明細書の一実施態様において、L1は、直接結合;炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキレン基;または-C(=O)-である。
【0051】
本明細書の一実施態様において、L1は、直接結合;炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキレン基;または-C(=O)-である。
【0052】
本明細書の一実施態様において、L1は、直接結合;炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキレン基;または-C(=O)-である。
【0053】
本明細書の一実施態様において、L1は、直接結合である。
【0054】
本明細書の一実施態様において、L1は、置換もしくは非置換のメチレン基;置換もしくは非置換のエチレン基;または置換もしくは非置換のプロピレン基である。
【0055】
本明細書の一実施態様において、L1は、メチレン基;エチレン基;またはプロピレン基である。
【0056】
本明細書の一実施態様において、L1は、-C(=O)-である。
【0057】
本明細書の一実施態様において、L2は、直接結合;-C(=O)-;または-L3-O(C=O)-である。
【0058】
本明細書の一実施態様において、L2は、直接結合である。
【0059】
本明細書の一実施態様において、L2は、-C(=O)-である。
【0060】
本明細書の一実施態様において、L2は、-L3-O(C=O)-である。
【0061】
本明細書の一実施態様において、L3は、炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキレン基である。
【0062】
本明細書の一実施態様において、L3は、炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキレン基である。
【0063】
本明細書の一実施態様において、L3は、炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキレン基である。
【0064】
本明細書の一実施態様において、L3は、置換もしくは非置換のメチレン基である。
【0065】
本明細書の一実施態様において、L3は、メチレン基である。
【0066】
本明細書の一実施態様において、R1~R3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ヒドロキシ基;炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0067】
本明細書の一実施態様において、R1~R3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ヒドロキシ基;炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0068】
本明細書の一実施態様において、R1~R3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ヒドロキシ基;炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0069】
本明細書の一実施態様において、R1~R3は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のメチル基である。
【0070】
本明細書の一実施態様において、R1は、水素;またはメチル基である。
【0071】
本明細書の一実施態様において、R2は、水素である。
【0072】
本明細書の一実施態様において、R3は、水素;ヒドロキシ基;またはアミン基で置換されたメチル基である。
【0073】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化学式1-1で表されてもよい。
【0074】
[化学式1-1]
【化7】
【0075】
前記化学式1-1において、
【化8】
は、他のモノマーまたは結合部に連結される部分を意味し、
X'、L1、L2、R1~R3、r2およびr3は、前記化学式1で定義した通りである。
【0076】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1は、下記の構造のうちのいずれか1つで表されてもよいが、これに限定されるものではない。前記化学式1は、下記の構造のうちのいずれか1つから重合される部分を形成したものである。
【0077】
【化9】
【0078】
本明細書の一実施態様は、前記トリアリールメタン染料モノマーは、下記化学式2で表される化合物を提供する。
【0079】
[化学式2]
【化10】
【0080】
前記化学式2において、
R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のアルコキシ基であり、
X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;-COOH;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
x1およびx2は、0~4の整数であり、
x1が2以上の場合、X1は、互いに同一または異なり、
x2が2以上の場合、X2は、互いに同一または異なり、
Aは、下記化学式A-1~下記化学式A-3のうちのいずれか1つで表され、
[化学式A-1]
【化11】
[化学式A-2]
【化12】
[化学式A-3]
【化13】
前記化学式A-1~前記化学式A-3において、
【化14】
は、他のモノマーまたは結合部に連結される部分を意味し、
【化15】
は、前記化学式2のAに連結される部分を意味し、
Zは、NまたはCRであり、
前記Rは、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
R4~R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
R15およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基であり、
Xは、陰イオン性基であり、
X3~X6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;-COOH;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
x3は、0~3の整数であり、x3が2以上の場合、X3は、互いに同一または異なり、
x4は、0~10の整数であり、x4が2以上の場合、X4は、互いに同一または異なり、
x5は、0~4の整数であり、x5が2以上の場合、X5は、互いに同一または異なり、
x6は、0~4の整数であり、x6が2以上の場合、X6は、互いに同一または異なり、
Bは、置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0081】
本明細書の一実施態様において、R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基である。
【0082】
本明細書の一実施態様において、R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキル基;または炭素数6~30の置換もしくは非置換のアリール基である。
【0083】
本明細書の一実施態様において、R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキル基;または炭素数6~20の置換もしくは非置換のアリール基である。
【0084】
本明細書の一実施態様において、R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキル基;または炭素数6~12の置換もしくは非置換のアリール基である。
【0085】
本明細書の一実施態様において、R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチル基;置換もしくは非置換のエチル基;置換もしくは非置換のプロピル基;または置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0086】
本明細書の一実施態様において、R11~R14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチル基;エチル基;アルコキシ基で置換されたエチル基;イソプロピル基;n-プロピル基;フェニル基;またはメチル基で置換されたフェニル基である。
【0087】
本明細書の一実施態様において、Zは、Nである。
【0088】
本明細書の一実施態様において、Zは、CRである。
【0089】
本明細書の一実施態様において、Rは、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0090】
本明細書の一実施態様において、Rは、水素;または炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0091】
本明細書の一実施態様において、Rは、水素;または炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0092】
本明細書の一実施態様において、Rは、水素;または炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0093】
本明細書の一実施態様において、Rは、水素である。
【0094】
本明細書の一実施態様において、R4~R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0095】
本明細書の一実施態様において、R4~R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;または炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0096】
本明細書の一実施態様において、R4~R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;または炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0097】
本明細書の一実施態様において、R4~R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;または炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0098】
本明細書の一実施態様において、R4~R6は、置換もしくは非置換のメチル基である。
【0099】
本明細書の一実施態様において、R4~R6は、メチル基である。
【0100】
本明細書の一実施態様において、R15およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基である。
【0101】
本明細書の一実施態様において、R15およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキル基;または炭素数6~30の置換もしくは非置換のアリール基である。
【0102】
本明細書の一実施態様において、R15およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキル基;または炭素数6~20の置換もしくは非置換のアリール基である。
【0103】
本明細書の一実施態様において、R15およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキル基;または炭素数6~12の置換もしくは非置換のアリール基である。
【0104】
本明細書の一実施態様において、R15は、置換もしくは非置換のエチル基である。
【0105】
本明細書の一実施態様において、R15は、エチル基である。
【0106】
本明細書の一実施態様において、R16は、置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0107】
本明細書の一実施態様において、R16は、ハロゲン基で置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0108】
本明細書の一実施態様において、R16は、フッ素で置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0109】
本明細書の一実施態様において、Xは、ビストリフルオルメタンスルホンイミド陰イオンであってもよい。
【0110】
本明細書の一実施態様において、X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;-COOH;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0111】
本明細書の一実施態様において、X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;または置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0112】
本明細書の一実施態様において、X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;または炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0113】
本明細書の一実施態様において、X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;または炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0114】
本明細書の一実施態様において、X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;または炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0115】
本明細書の一実施態様において、X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;または置換もしくは非置換のメチル基である。
【0116】
本明細書の一実施態様において、X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;フッ素;塩素;またはメチル基である。
【0117】
本明細書の一実施態様において、X3~X6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;-COOH;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0118】
本明細書の一実施態様において、X3~X6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;または置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0119】
本明細書の一実施態様において、X3~X6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;または炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0120】
本明細書の一実施態様において、X3~X6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;または炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0121】
本明細書の一実施態様において、X3~X6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;または炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0122】
本明細書の一実施態様において、X3~X6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;または置換もしくは非置換のメチル基である。
【0123】
本明細書の一実施態様において、X3~X6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;-COOH;またはメチル基である。
【0124】
本明細書の一実施態様において、Bは、炭素数6~30の置換もしくは非置換のアリール基;または炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0125】
本明細書の一実施態様において、Bは、炭素数6~20の置換もしくは非置換のアリール基;または炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0126】
本明細書の一実施態様において、Bは、炭素数6~12の置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基である。
【0127】
本明細書の一実施態様において、Bは、置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0128】
本明細書の一実施態様において、Bは、フェニル基である。
【0129】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2は、下記化学式2-1~下記化学式2-3のうちのいずれか1つで表されてもよい。
【0130】
[化学式2-1]
【化16】
【0131】
[化学式2-2]
【化17】
【0132】
[化学式2-3]
【化18】
【0133】
前記化学式2-1~化学式2-3において、
R11~R16、R4~R6、X1~X6、x1~x6、Z、XおよびBは、前記化学式2で定義した通りである。
【0134】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2-1は、下記化学式2-1-1で表されてもよい。
【0135】
[化学式2-1-1]
【化19】
【0136】
前記化学式2-1-1において、
R11~R14、R4、X1~X4、x1~x4、ZおよびXは、前記化学式2で定義した通りである。
【0137】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2-2は、下記化学式2-2-1で表されてもよい。
【0138】
[化学式2-2-1]
【化20】
【0139】
前記化学式2-2-1において、
R11~R14、R5、X1、X2、X5、x1、x2、x5、XおよびBは、前記化学式2で定義した通りである。
【0140】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2-3は、下記化学式2-3-1で表されてもよい。
【0141】
[化学式2-3-1]
【化21】
【0142】
前記化学式2-3-1において、
R11~R16、R6、X1、X2、X6、x1、x2、x6およびXは、前記化学式2で定義した通りである。
【0143】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2は、下記の構造のうちのいずれか1つで表されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0144】
【化22】
【0145】
【化23】
【0146】
【化24】
【0147】
【化25】
【0148】
前記構造において、Xは、前記化学式2で定義した通りである。具体的には、Xは、前記化学式A-1~前記化学式A-3で定義した通りである。
【0149】
本明細書において、(メト)アクリル酸モノマーは、下記化学式Bで表されてもよい。
【0150】
[化学式B]
【化26】
【0151】
前記化学式Bにおいて、
T1は、水素;-COOH;置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のアルコキシ基であり、
T2は、水素;または置換もしくは非置換のアルキル基であり、
Mは、直接結合;または置換もしくは非置換のアルキレン基である。
【0152】
本明細書の一実施態様において、T1は、水素;-COOH;炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルキル基;または炭素数1~30の置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0153】
本明細書の一実施態様において、T1は、水素;-COOH;炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルキル基;または炭素数1~20の置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0154】
本明細書の一実施態様において、T1は、水素;-COOH;炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルキル基;または炭素数1~10の置換もしくは非置換のアルコキシ基である。
【0155】
本明細書の一実施態様において、T1は、水素;-COOH;または下記の構造のうちのいずれか1つであってもよい。
【化27】
【0156】
本明細書の一実施態様において、前記化学式Bで表される構造は、下記の構造のうちのいずれか1つで表されてもよいが、これに限定されるものではない。
【化28】
【0157】
本明細書の一実施態様は、前記化合物の総重量を基準として、前記トリアリールメタン染料モノマー55~99重量%;前記(メト)アクリル酸モノマー1~30重量%;および前記化学式1で表される構造1~50重量%を含む化合物を提供する。本明細書の一実施態様は、前記化合物の総重量を基準として、前記トリアリールメタン染料モノマー55~98重量%;前記(メト)アクリル酸モノマー1~30重量%;および前記化学式1で表される構造1~20重量%を含む化合物を提供する。
【0158】
好ましくは、前記化合物の総重量を基準として、前記トリアリールメタン染料モノマー70重量%;前記(メト)アクリル酸モノマー20重量%;および前記化学式1で表される構造5重量%を含む。
【0159】
前記トリアリールメタン系高分子染料は、トリアリールメタン系染料と他のモノマーとの結合からなってもよい。トリアリールメタン系染料の含有量が50重量%以上でこそ十分な色を示すことができ、好ましくは70重量%以上の場合、少ない含有量で適切なカラー(color)を示すことができる。
【0160】
本明細書の一実施態様において、前記化合物の重量平均分子量は、5,000g/mol~35,000g/molである。好ましくは15,000g/mol~30,000g/molであってもよい。
【0161】
前記化合物が前記重量平均分子量の範囲を満たすことにより、適切な現像時間と耐熱性を有することができる。
【0162】
前記化合物の重量平均分子量が5,000g/mol未満の場合、現像液によって色材の除去される量が多くなり、熱による色変化が大きくなる。前記化合物の重量平均分子量が35,000g/mol超過の場合、現像時間が増加する。
【0163】
前記重量平均分子量とは、分子量が均一でなく、ある高分子物質の分子量が基準として用いられる平均分子量の1つで、分子量分布がある高分子化合物の成分分子種の分子量を重量分率で平均して得られる値である。
【0164】
前記重量平均分子量は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)分析により測定される。
【0165】
本明細書の一実施態様において、前記化合物の数平均分子量は20~32であってもよい。前記化合物が前記数平均分子量の範囲を満たすことにより、適切な現像時間と耐熱性を有することができる。
【0166】
前記数平均分子量とは、分子量分布を有する高分子化合物の成分分子種の分子量を数分率あるいはモル分率で平均して得るようになる平均分子量を意味する。
【0167】
前記数平均分子量は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)分析により測定される。
【0168】
本明細書の一実施態様において、前記化合物の分散度は2~3であってもよい。具体的には、前記分散度は2.28~2.97であってもよい。
【0169】
前記分散度は、多分散性指数(PDI;Poly Dispersity Index)であって、重量平均分子量の値を数平均分子量で割った値で表すものである。
【0170】
本明細書の一実施態様において、前記化合物は、1種以上のトリアリールメタン染料モノマーを含むことができる。
【0171】
本明細書の一実施態様において、前記(メト)アクリル酸モノマーは、1種以上の(メト)アクリル酸モノマーを含むことができる。
【0172】
本明細書の一実施態様において、前記化合物は、熱硬化性モノマーをさらに含んでもよい。
【0173】
前記熱硬化性モノマーは、グリシジルメタクリレート、オキセタン、またはM-100であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0174】
前記グリシジルメタクリレートは、下記の構造で表されてもよい。
【化29】
【0175】
前記オキセタンは、下記の構造で表されてもよい。
【化30】
【0176】
前記M-100は、下記の構造で表されてもよい。
【化31】
【0177】
本明細書の一実施態様において、前記化合物は、必要に応じてスチレンモノマーをさらに含んでもよい。
【0178】
本明細書の一実施態様は、前記化合物;バインダー樹脂;多官能性モノマー;光開始剤;および溶媒を含む着色剤組成物を提供する。
【0179】
本明細書の一実施態様において、前記着色剤組成物は、顔料および染料のうちの1種以上をさらに含んでもよい。
【0180】
例えば、前記着色剤組成物は、前記化学式1の化合物のみを含んでもよいが、前記化学式1の化合物と1種以上の染料とを含むか、前記化学式1の化合物と1種以上の顔料とを含むか、前記化学式1の化合物、1種以上の染料、および1種以上の顔料を含んでもよい。
【0181】
前記染料および顔料は、金属-複合体(metal-complex)系化合物;アゾ(azo)系化合物;金属アゾ(metal azo)系化合物;キノフタロン(quinophthalone)系化合物;イソインドリン(isoindoine)系化合物;メチン(Methine)系化合物;フタロシアニン(phthalocyanine)系化合物;金属フタロシアニン(metal phthalocyanine)系化合物;ポルフィリン(porphyrin)系化合物;金属ポルフィリン(metal porphyrin)系化合物;テトラアザポルフィリン(tetra aza porphyrin)系化合物;金属テトラアザポルフィリン(metal tetra aza porphyrin)系化合物;シアニン(Cyanine)系化合物;キサンテン(Xanthene)系化合物;金属ジピロメテン(metal dipyrromethane)系化合物;ボロンジピロメテン(boron dipyrromethane)系化合物;;アントラキノン(anthraquinone)系化合物;ジケトピロロピロール(diketopyrrolopyrrole)系化合物;トリアリールメタン(triarylmethane)系化合物;およびペリレン(perylene)系化合物からなる群より1種以上選択されてもよい。
【0182】
具体的には、前記顔料は、フタロシアニン(phthalocyanine)系化合物であってもよいし、B15:6、G7、G58、G59、またはG36であってもよい。
【0183】
具体的には、前記染料は、キサンテン(Xanthene)系化合物、金属-複合体(metal-complex)系化合物、またはキノフタロン(quinophthalone)系化合物であってもよい。
【0184】
前記バインダー樹脂は、着色剤組成物で製造された膜の強度、現像性などの物性を示すことができれば、特に限定しない。
【0185】
前記バインダー樹脂は、機械的強度を付与する多官能性モノマーとアルカリ溶解性を付与するモノマーとの共重合樹脂を用いることができ、当技術分野で一般的に用いるバインダーをさらに含んでもよい。
【0186】
前記膜の機械的強度を付与する多官能性モノマーは、不飽和カルボン酸エステル類;芳香族ビニル類;不飽和エーテル類;不飽和イミド類;および酸無水物のうちのいずれか1つ以上であってもよい。
【0187】
前記不飽和カルボン酸エステル類の具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アシルオクチルオキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、およびブチルα-ヒドロキシメチルアクリレートからなるグループより選択されてもよいが、これらのみに限定されるものではない。
【0188】
前記芳香族ビニル単量体類の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、(o,m,p)-ビニルトルエン、(o,m,p)-メトキシスチレン、および(o,m,p)-クロロスチレンからなるグループより選択されてもよいが、これらのみに限定されるものではない。
【0189】
前記不飽和エーテル類の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、およびアリルグリシジルエーテルからなるグループより選択されてもよいが、これらのみに限定されるものではない。
【0190】
前記不飽和イミド類の具体例としては、N-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、およびN-シクロヘキシルマレイミドからなるグループより選択されてもよいが、これらのみに限定されるものではない。
【0191】
前記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0192】
前記アルカリ溶解性を付与するモノマーは、酸基を含めば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、5-ノルボルネン-2-カルボン酸、モノ-2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチルフタレート、モノ-2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチルスクシネート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上を使用することが好ましいが、これらのみに限定されるものではない。
【0193】
本明細書の一実施態様において、前記多官能性モノマーは、具体的には、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであってもよい。
【0194】
本明細書の一実施態様によれば、前記バインダー樹脂の酸価は、50~130KOHmg/gであり、重量平均分子量は、1,000g/mol~50,000g/molである。
【0195】
前記バインダー樹脂の酸価は、0.1N濃度の水酸化カリウム(KOH)メタノール溶液で滴定して測定することができる。
【0196】
本明細書の一実施態様において、バインダー樹脂は、メタアクリル酸、グリシジルメタアクリル酸、スチレン、シクロヘキシルメタアクリレート、およびメタアクリレートからなる群より1つ以上選択されるモノマーの共重合樹脂(共重合体)であってもよい。
【0197】
具体的には、前記バインダー樹脂は、共重合体の総重量を基準として、メタアクリル酸、グリシジルメタアクリル酸、およびスチレンがそれぞれ13、52、35重量%である共重合体であってもよい。
【0198】
また、前記バインダー樹脂は、共重合体の総重量を基準として、シクロヘキシルメタアクリレート、メタアクリレート、およびメタアクリル酸がそれぞれ45、30、25重量%であってもよい。
【0199】
前記光開始剤は、光によってラジカルを発生させて架橋を触発する開始剤であれば特に限定されないが、例えば、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、およびオキシム系化合物からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0200】
前記アセトフェノン系化合物は、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-メチル-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルホリノ-1-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(4-ブロモ-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、または2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オンなどがあり、これらに限定されない。
【0201】
前記ビイミダゾール系化合物としては、2,2-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニルビイミダゾール、2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)-1,2'-ビイミダゾール、2,2'-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニルビイミダゾール、2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,4,5,5'-テトラフェニル-1,2'-ビイミダゾールなどがあり、これらに限定されない。
【0202】
前記トリアジン系化合物は、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、1,1,1,3,3,3-ヘキサフロロイソプロピル-3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオネート、エチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、2-エポキシエチル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、シクロヘキシル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、ベンジル-2-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}アセテート、3-{クロロ-4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオン酸、3-{4-[2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン-6-イル]フェニルチオ}プロピオンアミド、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1-p-ジメチルアミノフェニル)-1,3,-ブタジエニル-s-トリアジン、2-トリクロロメチル-4-アミノ-6-p-メトキシスチリル-s-トリアジンなどがあり、これらに限定されない。
【0203】
前記オキシム系化合物は、1,2-オクタジオン-1-(4-フェニルチオ)フェニル-2-(o-ベンゾイルオキシム)(チバガイギー社、CGI124)、エタノン-1-(9-エチル)-6-(2-メチルベンゾイル-3-イル)-1-(O-アセチルオキシム)(CGI242)、N-1919(アデカ社)などがあり、これらに限定されない。
【0204】
本明細書の一実施態様において、前記光開始剤は、具体的には、SPI-03であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0205】
前記溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエテン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、t-ブタノール、2-エトキシプロパノール、2-メトキシプロパノール、3-メトキシブタノール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エチル3-エトキシプロピオネート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これのみに限定されるものではない。
【0206】
具体的には、前記溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはジアセトンアルコールであってもよい。
【0207】
本明細書の一実施態様は、前記着色剤組成物の総重量を基準として、前記化合物の含有量は1~50重量%;前記バインダー樹脂の含有量は5~40重量%;前記多官能性モノマーの含有量は5~40重量%;前記光開始剤の含有量は1~10重量%;および前記溶媒の含有量は30~80重量%である着色剤組成物を提供する。
【0208】
本明細書の一実施態様は、前記着色剤組成物中の固形分の総重量を基準として、前記化合物の含有量は1~50重量%であり、前記バインダー樹脂の含有量は5~40重量%であり、前記多官能性モノマーの含有量は5~40重量%であり、前記光開始剤の含有量は1~10重量%である着色剤組成物を提供する。
【0209】
前記着色剤組成物に含まれる各構成要素が前記範囲を満たす場合、着色剤組成物内の化合物、バインダー樹脂、および多官能性モノマーがラジカル重合によって互いに結合して硬い膜を形成することができる。
【0210】
前記固形分の総重量とは、着色剤組成物から溶媒を除いた成分の総重量の合計を意味する。固形分および各成分の固形分を基準とする重量%の基準は、液体クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィーなどの、当業界で用いられる一般的な分析手段で測定することができる。
【0211】
本明細書の一実施態様によれば、前記着色剤組成物は、レベリング剤、酸化防止剤、接着助剤、および界面活性剤からなる群より選択される1つ以上をさらに含んでもよい。
【0212】
本明細書の一実施態様によれば、前記着色剤組成物は、酸化防止剤をさらに含んでもよい。
【0213】
本明細書の一実施態様によれば、前記酸化防止剤の含有量は、前記着色剤組成物中の固形分の総重量を基準として0.1重量%~20重量%である。
【0214】
本明細書の一実施態様によれば、前記着色剤組成物は、光架橋増減剤、硬化促進剤、接着助剤、密着促進剤、界面活性剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、分散剤、およびレベリング剤からなる群より選択される1または2以上の添加剤を追加的に含む。
【0215】
本明細書の一実施態様によれば、前記添加剤の含有量は、前記着色剤組成物中の固形分の総重量を基準として0.1重量%~20重量%である。
【0216】
前記光架橋増減剤は、ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルアミノベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、3,3,4,4-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;9-フルオレノン、2-クロロ-9-フルオレノン、2-メチル-9-フルオレノンなどのフルオレノン系化合物;チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルオキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;キサントン、2-メチルキサントンなどのキサントン系化合物;アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、2,6-ジクロロ-9,10-アントラキノンなどのアントラキノン系化合物;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス(9-アクリジニルペンタン)、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパンなどのアクリジン系化合物;ベンジル、1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジオン、9,10-フェナントレンキノンなどのジカルボニル化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド系化合物;メチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートなどのベンゾエート系化合物;2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)-4-メチル-シクロペンタノンなどのアミノシナジスト;3,3-カルボニルビニル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシ-クマリン、10,10-カルボニルビス[1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-C1]-ベンゾピラノ[6,7,8-ij]-キノリジン-11-オンなどのクマリン系化合物;4-ジエチルアミノカルコン、4-アジドベンザルアセトフェノンなどのカルコン化合物;2-ベンゾイルメチレン、3-メチル-b-ナフトチアゾリン;からなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0217】
前記硬化促進剤としては、硬化および機械的強度を高めるために使用され、具体的には、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-4,6-ジメチルアミノピリジン、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール-トリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール-テトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトール-トリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパン-トリス(2-メルカプトアセテート)、およびトリメチロールプロパン-トリス(3-メルカプトプロピオネート)からなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0218】
本明細書で使用される密着促進剤としては、メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタアクリロイルオキシプロピルジメトキシシラン、メタアクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのメタアクリロイルシランカップリング剤のうちの1種以上を選択して使用することができ、アルキルトリメトキシシランとして、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランなどから1種以上を選択して使用することができる。
【0219】
前記界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤であり、具体的には、シリコーン系界面活性剤は、BYK-Chemie社のBYK-077、BYK-085、BYK-300、BYK-301、BYK-302、BYK-306、BYK-307、BYK-310、BYK-320、BYK-322、BYK-323、BYK-325、BYK-330、BYK-331、BYK-333、BYK-335、BYK-341v344、BYK-345v346、BYK-348、BYK-354、BYK-355、BYK-356、BYK-358、BYK-361、BYK-370、BYK-371、BYK-375、BYK-380、BYK-390などを使用することができ、フッ素系界面活性剤としては、DIC(DaiNippon Ink&Chemicals)社のF-114、F-177、F-410、F-411、F-450、F-493、F-494、F-443、F-444、F-445、F-446、F-470、F-471、F-472SF、F-474、F-475、F-477、F-478、F-479、F-480SF、F-482、F-483、F-484、F-486、F-487、F-172D、MCF-350SF、TF-1025SF、TF-1117SF、TF-1026SF、TF-1128、TF-1127、TF-1129、TF-1126、TF-1130、TF-1116SF、TF-1131、TF1132、TF1027SF、TF-1441、TF-1442などを使用することができるが、これらのみに限定されるものではない。
【0220】
前記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系(Hindered phenol)酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤、およびホスフィン系酸化防止剤からなる群より選択される1種以上であってもよいが、これのみに限定されるものではない。
【0221】
前記酸化防止剤の具体例としては、リン酸、トリメチルホスフェート、またはトリエチルホスフェートのようなリン酸系熱安定剤;2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、オクタデシル-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、テトラビス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスファイトジエチルエステル、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-g,t-ブチルフェノール,4,4'-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、またはビス[3,3-ビス-(4'-ヒドロキシ-3'-タート-ブチルフェニル)ブタン酸]グリコールエステル(Bis[3,3-bis-(4'-hydroxy-3'-tert-butylphenyl)butanoicacid]glycol ester)のようなヒンダードフェノール(Hindered phenol)系1次酸化防止剤;フェニル-α-ナフチルアミン、フェニル-β-ナフチルアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、またはN,N'-ジ-β-ナフチル-p-フェニレンジアミンのようなアミン系2次酸化防止剤;ジラウリルジスルフィド、ジラウリルチオプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネート、メルカプトベンゾチアゾール、またはテトラメチルチウラムジスルフィドテトラビス[メチレン-3-(ラウリルチオ)プロピオネート]メタンなどのThio系2次酸化防止剤;またはトリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリイソデシルホスファイト、ビス(2,4-ジブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(Bis(2,4-ditbutylphenyl)Pentaerythritol Diphosphite)、または(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジイルビスホスホナス酸テトラキス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェニル]エステル((1,1'-Biphenyl)-4,4'-Diylbisphosphonous acid tetrakis[2,4-bis(1,1-dimethylethyl)phenyl]ester)のようなホスファイト系2次酸化防止剤が挙げられる。
【0222】
具体的には、前記酸化防止剤としては、Songnox1010が使用できるが、これに限定されるものではない。
【0223】
前記紫外線吸収剤としては、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどを使用することができるが、これらに限定されず、当業界で一般的に用いられるものがすべて使用可能である。
【0224】
前記熱重合防止剤としては、例えば、p-アニソール、ヒドロキノン、ピロカテコール(pyrocatechol)、t-ブチルカテコール(t-butyl catechol)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、p-メトキシフェノール、ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、ベンゾキノン、4,4-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2-メルカプトイミダゾール、およびフェノチアジン(phenothiazine)からなる群より選択された1種以上を含むことができるが、これらのみに限定されるものではなく、当技術分野で一般的に知られているものを含むことができる。
【0225】
前記分散剤は、予め顔料を表面処理する形態で顔料に内部添加させる方法、または顔料に外部添加させる方法で使用することができる。前記分散剤としては、化合物型、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性分散剤を使用することができ、フッ素系、エステル系、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、それぞれまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0226】
具体的には、前記分散剤は、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール、エステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、およびアルキルアミンからなるグループより選択された1種以上があるが、これに限定されるものではない。
【0227】
前記レベリング剤としては、ポリマー性であるか、非ポリマー性であってもよい。ポリマー性のレベリング剤の具体例としては、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミン、アミンとエポキシドの反応生成物を例に挙げることができ、非ポリマー性のレベリング剤の具体例としては、非-ポリマー硫黄-含有および非-ポリマー窒素-含有化合物を含むが、これに限定されず、当業界で一般的に用いられるものがすべて使用できる。
【0228】
前記レベリング剤は、具体的には、F-554であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0229】
前記接着助剤としては、KBM-503が使用できるが、これに限定されるものではなく、当業界で一般的に用いられるものがすべて使用可能である。
【0230】
本明細書の一実施態様によれば、前記着色剤組成物で製造された感光材を提供する。
【0231】
より詳細には、本明細書の着色剤組成物を基材上に適切な方法で塗布し、薄膜またはパターン形態の感光材を形成する。
【0232】
前記塗布方法としては特に制限されないが、スプレー法、ロールコーティング法、スピンコーティング法などを使用することができ、一般的に、スピンコーティング法を広く使用する。また、塗布膜を形成した後、場合によっては、減圧下で残留溶媒を一部除去することができる。
【0233】
本明細書に係る着色剤組成物を硬化させるための光源としては、例えば、波長が250nm~450nmの光を発散する水銀蒸気アーク(arc)、炭素アーク、Xeアークなどがあるが、必ずしもこれに限らない。
【0234】
本明細書に係る着色剤組成物は、薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT LCD)カラーフィルタ製造用顔料分散型感光材、薄膜トランジスタ液晶表示装置(TFT LCD)または有機発光ダイオードのブラックマトリックス形成用感光材、オーバーコート層形成用感光材、カラムスペーサ感光材、光硬化型塗料、光硬化性インク、光硬化性接着剤、印刷版、印刷配線盤用感光材、プラズマディスプレイパネル(PDP)用感光材などに使用することができ、その用途に制限を特に設けない。
【0235】
本明細書の一実施態様によれば、前記感光材を含むカラーフィルタを提供する。
【0236】
前記カラーフィルタは、前記トリアリールメタン染料モノマー;(メト)アクリル酸モノマー;および下記化学式1で表される構造を含む化合物を含む着色剤組成物を用いて製造できる。前記着色剤組成物を基板上に塗布してコーティング膜を形成し、前記コーティング膜を露光、現像および硬化をすることにより、カラーフィルタを形成することができる。
【0237】
前記基板は、ガラス板、シリコンウエハ、およびポリエーテルスルホン(Polyethersulfone、PES)、ポリカーボネート(Polycarbonate、PC)などのプラスチック基材の板などであってもよいし、その種類が特に制限されるわけではない。
【0238】
前記カラーフィルタは、赤色パターン、緑色パターン、青色パターン、ブラックマトリックスを含むことができる。
【0239】
もう一つの実施態様によれば、前記カラーフィルタは、オーバーコート層をさらに含んでもよい。
【0240】
カラーフィルタのカラーピクセルの間には、コントラストを向上させる目的で、ブラックマトリックスと呼ばれる格子状の黒色パターンを配置することができる。ブラックマトリックスの材料としてクロムを使用することができる。この場合、クロムをガラス基板全体に蒸着させ、エッチング処理によってパターンを形成する方式を利用することができる。しかし、工程上の高費用、クロムの高反射率、クロム廃液による環境汚染を考慮して、微細加工が可能な顔料分散法によるレジンブラックマトリックスを使用することができる。
【0241】
本明細書の一実施態様に係るブラックマトリックスは、色材としてブラック顔料またはブラック染料を使用することができる。例えば、カーボンブラックを単独で使用するか、カーボンブラックと着色顔料とを混合して使用することができ、この時、遮光性が不十分な着色顔料を混合するため、相対的に色材の量が増加しても膜の強度または基板に対する密着性が低下しないという利点がある。
【0242】
本明細書に係るカラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【0243】
前記ディスプレイ装置は、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)、有機発光素子(Organic Light Emitting Diode、OLED)、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)、薄膜トランジスタ液晶表示装置(Thin Film Transistor-Liquid Crystal Display、LCD-TFT)、および陰極線管(Cathode Ray Tube、CRT)のうちのいずれか1つであってもよい。
【実施例
【0244】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本明細書の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0245】
<実施例>
【0246】
<化合物の合成実施例>
【0247】
1.中間体化合物の合成
【0248】
(1)化学式1-1の化合物の合成
【化32】
【0249】
N-(4-ヒドロキシシクロヘキシル)-1-ナフチルアミン0.220mol(53g、1eq)、トリエチルアミン0.242mol(1.1eq)に、ジクロロメタン50mLを添加して撹拌溶解した。その後、メタアクリル酸無水物0.242mol(20.8g、1.1eq)を添加し、40℃に昇温して維持した。約6時間撹拌後、蒸留水を添加して有機層を分離した。飽和塩化ナトリウム溶液20mLを追加して撹拌後、30分間撹拌した。層分離後に有機層を減圧乾燥し、精製して、化学式1-1 0.17mol、53g(収率77%)を得た。
【0250】
(2)化学式1-2の化合物の製造
【化33】
【0251】
4-(isoquinolin-5-ylamino)cyclohexan-1-ol0.220mol(53g、1eq)とメタアクリル酸無水物0.242mol(20.8g、1.1eq)を用いて、化学式1-1と同様の方法で製造して、化学式1-2の化合物0.15mol、46.5g(収率68%)を得た。
【0252】
イオン化モード:APCI+:m/z=308[M+H]+、Exact Mass:308
【0253】
(3)化学式1-3の化合物の製造
【化34】
【0254】
窒素雰囲気下、フラスコに4,4-ジフルオロベンゾフェノン0.06mol(15g、1eq)とN-イソプロピルアニリン0.29mol(40g、5eq)を入れて、常温で約48時間撹拌した。反応終了後、蒸留水を入れて、飽和塩化ナトリウム溶液50mLを添加して有機層を分離した。層分離後に有機層を減圧乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製して(メチレンクロライド:メタノール=15:1)、化学式1-3 15g(0.03mol)を得た。(収率50%)
【0255】
イオン化モード:APCI+:m/z=448[M+H]+、Exact Mass:448
【0256】
(4)化学式1-4の化合物の製造
【化35】
【0257】
トルエン100gにN,N-ジエチルアミノ安息香酸0.249mol(48g、1eq)を添加して撹拌した。その後、塩化チオニル0.4mol(47g、1.6eq)を滴加した後、80℃に昇温した後に、1時間反応した。反応後、減圧蒸留して塩化チオニルとトルエンを除去してN,N-ジエチルアミノベンゾイルクロライドを得た。無水塩化アルミニウム0.31mmol(0.04g)とジクロロエタン120gを撹拌し、冷却して5℃以下に維持する。前記で得られたN,N-ジエチルアミノベンゾイルクロライドをジクロロエタン120gに溶解して滴加した後、30分間撹拌した。N,N-ジエチルメタトルイジン0.249mol(40.6g)を反応液に滴加した後、常温で4時間撹拌した。氷水を投入して反応を終了した後、水酸化ナトリウム溶液を投入してpH11以上にした後、celiteで濾過して不溶分を除去する。層分離して得られた有機層は減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して(ジクロロメタン:メタノール=10:1)、化学式1-4 0.075mol(25.4g)を得た。(収率30%)
【0258】
イオン化モード:APCI+:m/z=338[M+H]+、Exact Mass:338
【0259】
(5)化学式1-5の化合物の製造
【化36】
【0260】
クロロホルム140gに化学式1-3の化合物0.03mol(13.4g、1eq)を添加して撹拌した。その後、オキシ塩化リン0.045mol(6.9g、1.5eq)を添加し、約15分間撹拌した。4-Methoxy phenol0.001molと化学式1-1 0.03mol(9.3g、1eq)を投入し、温度を60℃まで昇温して4時間還流させた。反応終了後、常温冷却して蒸留水を追加した後、撹拌した。層分離後、減圧濃縮を進行させて得られた化合物をカラムクロマトグラフィーで精製して(メチレンクロライド:メタノール:エチルアセテート=6:1:2)、化学式1-5 0.025mol、19.4g(収率83%)を得た。
【0261】
イオン化モード:APCI+:m/z=740[M+H]+、Exact Mass:740
【0262】
(6)化学式1-6の化合物の製造
【化37】
【0263】
化学式1-3 0.03mol(13.4g、1eq)と化学式1-2 0.03mol(9.3g、1eq)を添加する以外に、化学式1-5と同様の方法で製造して、化学式1-6 0.02mol、15.5g(収率66.7%)を得た。
【0264】
イオン化モード:APCI+:m/z=741[M+H]+、Exact Mass:741
【0265】
(7)化学式1-7の化合物の製造
【化38】
【0266】
化学式1-4 0.03mol(10.1g、1eq)と化学式1-1 0.03mol(9.3g、1eq)を添加する以外に、化学式1-5と同様の方法で製造して、化学式1-7 0.023mol、15.3g(収率76.7%)を得た。
【0267】
イオン化モード:APCI+:m/z=630[M+H]+、Exact Mass:630
【0268】
2.トリアリールメタン青色染料化合物の合成
【0269】
(1)合成例1:化学式Iの合成
【化39】
【0270】
化学式1-5の化合物0.01mol(7.8g)をMeOH50gに溶解した後、リチウムビストリフルオルメタンスルホンイミド0.011molを20%水溶液で添加して塩を置換した。濾過後、得られた化合物をクロロホルムに溶解後、水で洗浄し減圧濃縮して、化学式I 0.009mol、9.2g(収率90%)を得た。
【0271】
イオン化モード:APCI+:m/z=740[M+H]+、Exact Mass:740
【0272】
(2)合成例2:化学式IIの合成
【化40】
【0273】
化学式1-6の化合物0.01mol、7.7gを添加して、合成例1と同様に製造して、化学式II 0.008mol、10.2g(収率80%)を得た。
【0274】
イオン化モード:APCI+:m/z=741[M+H]+、Exact Mass:741
【0275】
(3)合成例3:化学式IIIの合成
【化41】
【0276】
化学式1-7の化合物0.01mol、6.7gを添加して、合成例1と同様に製造して、化学式III 0.0082mol、7.5g(収率82%)を得た。
【0277】
イオン化モード:APCI+:m/z=630[M+H]+、Exact Mass:630
【0278】
3.トリアリールメタン高分子化合物の合成
【化42】
【0279】
(合成例1)化合物Aの合成
【0280】
50mLのフラスコに還流冷却装置を設け、窒素大気下、化学式A-1の構造で表されるベンゾフェノンメタクリレート、メタアクリル酸、そして化学式Iで表される染料を、製造される化合物の総重量を基準として、それぞれ5、20、75重量%投入した後、溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとジアセトンアルコール1:1の混合液と混合して、60℃に昇温した。その後、熱重合開始剤V-65(2,2-Azobis(2,4-dimethylvaleronitrile))を高分子の総重量を基準として10重量部を投入し、16時間還流して重合反応を終了した。数平均分子量26,546、分散度2.57であるトリアリールメタン染料高分子化合物Aを得た。
【0281】
(合成例2)化合物Bの合成
【0282】
化学式A-1の構造で表されるベンゾフェノンメタクリレート、メタアクリル酸、そして化学式Iで表される染料を、製造される化合物の総重量を基準として、それぞれ10、15、75重量%投入した後、合成例1と同様の方法で製造して、数平均分子量20,911、分散度2.35である染料高分子化合物Bを得た。
【0283】
(合成例3)化合物Cの合成
【0284】
化学式A-2の構造で表されるベンゾイルフェニルメタクリルアミド、メタアクリル酸、そして化学式Iで表される染料を、製造される化合物の総重量を基準として、それぞれ5、20、75重量%投入した後、合成例1と同様の方法で製造して、数平均分子量22,350、分散度2.28であるトリアリールメタン染料高分子化合物Cを得た。
【0285】
(合成例4)化合物Dの合成
【0286】
化学式A-1の構造で表されるベンゾフェノンメタクリレート、メタアクリル酸、そして化学式IIで表される染料を、製造される化合物の総重量を基準として、それぞれ5、20、75重量%投入した後、合成例1と同様の方法で製造して、数平均分子量26,879、分散度2.69である染料高分子化合物Dを得た。
【0287】
(合成例5)化合物Eの合成
【0288】
化学式A-1の構造で表されるベンゾフェノンメタクリレート、メタアクリル酸、そして化学式IIIで表される染料を、製造される化合物の総重量を基準として、それぞれ5、20、75重量%投入した後、合成例1と同様の方法で製造して、数平均分子量24,369、分散度2.55である染料高分子化合物Eを得た。
【0289】
(合成例6)化合物Fの合成
【0290】
化学式A-2の構造で表されるベンゾイルフェニルメタクリルアミド、メタアクリル酸、そして化学式IIで表される染料を、製造される化合物の総重量を基準として、それぞれ10、25、65重量%投入した後、合成例1と同様の方法で製造して、数平均分子量31,250、分散度2.97であるトリアリールメタン染料高分子化合物Fを得た。
【0291】
(合成例7)化合物Gの合成
【0292】
化学式A-1の構造で表されるベンゾフェノンメタクリレート、メタアクリル酸、そして化学式IIIで表される染料を、製造される化合物の総重量を基準として、それぞれ15、25、55重量%投入した後、合成例1と同様の方法で製造して、数平均分子量30,956、分散度2.88であるトリアリールメタン染料高分子化合物Gを得た。
【0293】
(合成例8)化合物Hの合成
【0294】
化学式A-1の構造で表されるベンゾフェノンメタクリレート、メタアクリル酸、スチレン、そして化学式IIで表される染料を、製造される化合物の総重量を基準として、それぞれ5、15、15、70重量%投入した後、合成例1と同様の方法で製造して、数平均分子量21,287、分散度2.39である染料高分子化合物Hを得た。
【0295】
(合成例9)化合物Iの合成
【0296】
化学式A-1の構造で表されるベンゾフェノンメタクリレート、メタアクリル酸、スチレン、グリシジルメタクリレート、そして化学式Iで表される染料を、製造される化合物の総重量を基準として、それぞれ5、15、10、5、70重量%投入した後、合成例1と同様の方法で製造して、数平均分子量30.257、分散度2.89である染料高分子化合物Iを得た。
【0297】
(合成例10)化合物Jの合成
【0298】
メタアクリル酸、スチレン、グリシジルメタクリレート、そして化学式Iで表される染料を、製造される化合物の総重量を基準として、それぞれ15、10、15、60重量%投入した後、合成例1と同様の方法で製造して、数平均分子量28,775、分散度2.92である染料高分子化合物Jを得た。
【0299】
(合成例11)化合物Kの合成
【0300】
メタアクリル酸、そして化学式Iで表される染料を、製造される化合物の総重量を基準として、それぞれ25、75重量%投入した後、合成例1と同様の方法で製造して、数平均分子量21,584、分散度2.21である染料高分子化合物Kを得た。
【0301】
前記分散度は、多分散性指数(PDI;Poly Dispersity Index)であって、重量平均分子量の値を数平均分子量で割った値で表した。前記重量平均分子量および数平均分子量は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)分析により測定した。
【0302】
[着色剤組成物の実施例1の製造]
【0303】
着色剤組成物の総重量100重量部を基準として、前記化合物A 24.32重量部、バインダー樹脂A 5.86重量部、バインダー樹脂B 17.88重量部、多官能性モノマージペンタエリスリトールヘキサアクリレート13.28重量部、レベリング剤F-554 0.6重量部、接着助剤KBM-503 0.07重量部、フェノール系酸化防止剤Songnox1010 0.88重量部、光開始剤SPI-03 0.87重量部、溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート22.87重量部、およびジアセトンアルコール13.37重量部を混合して、実施例1を製造した。
【0304】
前記バインダー樹脂Aは、バインダー樹脂Aの総重量を基準として、メタアクリル酸、グリシジルメタアクリル酸、スチレンの含有量がそれぞれ13、52、35重量%である共重合体である。
【0305】
前記バインダー樹脂Bは、バインダー樹脂Bの総重量を基準として、シクロヘキシルメタアクリレート、メタアクリレート、メタアクリル酸の含有量がそれぞれ45、30、25重量%である共重合体である。
【0306】
[着色剤組成物の実施例2~8の製造]
【0307】
着色剤組成物の実施例1の化合物Aを下記表1に記載の化合物にそれぞれ適用したことを除き、前記着色剤組成物の実施例1と同様の方法で着色剤組成物の実施例2~8を製造した。
【0308】
【表1】
【0309】
[着色剤組成物の比較例1の製造]
【0310】
着色剤組成物の実施例1において、化合物Aを化合物Jに変更したことを除けば、着色剤組成物の実施例1と同様の方法で着色剤組成物の比較例1を製造した。
【0311】
[着色剤組成物の比較例2の製造]
【0312】
着色剤組成物の実施例1において、化合物Aを化合物Kに変更したことを除けば、着色剤組成物の実施例1と同様の方法で着色剤組成物の比較例2を製造した。
【0313】
[着色剤組成物の比較例3の製造]
【0314】
着色剤組成物の比較例2において、開始剤SPI-03の含有量を0.77重量部、化学式A-1の構造で表されるベンゾフェノンメタクリレート0.10重量部に変更したことを除き、同様の方法で製造して、着色剤組成物の比較例3を製造した。
【0315】
[着色剤組成物の比較例4の製造]
【0316】
着色剤組成物の比較例2において、開始剤SPI-03の含有量を0.77重量部、化学式A-2の構造で表されるベンゾイルフェニルメタクリルアミド0.10重量部に変更したことを除き、同様の方法で製造して、着色剤組成物の比較例4を製造した。
【0317】
実験例
【0318】
[基板の作製]
【0319】
前記実施例1~8および比較例1~4によって製造された着色剤組成物をガラス(5cm×5cm)上にスピンコーティングし、105℃で70秒間前熱処理(Prebake)をしてフィルムを形成させた。前記フィルムを、フォトマスクを用いて、高圧水銀ランプ下で40mJ/cmのエネルギーで露光させた後、パターンをKOHアルカリ水溶液を用いて現像し、蒸留水で洗浄した。蒸留水の除去後、240℃に20分間後熱処理(Postbake)をさせて、カラーパターンを得た。
【0320】
[耐熱性評価]
【0321】
前記のような条件で作製された後熱処理(Postbake1回)基板を、分光器(MCPD、大塚社)を用いて、380~780nmの波長範囲の吸収スペクトルを得た。
【0322】
また、後熱処理基板(Postbake1回)を追加的に240℃で60分間処理して、同一の装置と同一の測定範囲で透過率スペクトルを得た。
【0323】
C光源をバックライトとして得られた吸収スペクトルで得られた値L*、a*、b*を用いて、「△Eab(耐熱性)」を下記計算式1によって計算して、下記表2に示した。
【0324】
[計算式1]
【0325】
ΔEab(L*、a*、b*)={(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2
【0326】
△Eab(耐熱性)値が小さいというのは、色変化が少ないという意味で、耐熱性に優れていることを表す。
【0327】
[耐薬品性評価]
【0328】
後熱処理1回まで進行させた基板を1cm×5cmに切断した後、分光器(MCPD、大塚社)を用いて、380~780nmの波長範囲の吸収スペクトルを測定した。
【0329】
スペクトルを得た後、N-methyl-2-pyrrolidone溶媒16gに浸漬させた後、常温で10分間放置した後、蒸留水で綺麗に洗った。同一の装置と同一の測定範囲で透過率スペクトルを得た。
【0330】
浸漬前後のスペクトルで前記計算式1を適用計算して、下記表2に「△Eab(耐薬品性)」を示した。△Eab(耐薬品性)値が小さいというのは、色変化が少ないという意味で、耐薬品性に優れていることを表す。
【0331】
【表2】
【0332】
前記表2によれば、比較例1~4に比べて、実施例1~8の△Eab(耐熱性)および△Eab(耐薬品性)値が小さいことから、本明細書の一実施態様に係る化合物を用いることにより、耐熱性および耐薬品性に優れた着色剤組成物とカラーフィルタを得ることが可能であることを確認した。