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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】粒状ペットフード
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/42 20160101AFI20220809BHJP
   A23K 40/10 20160101ALI20220809BHJP
【FI】
A23K50/42
A23K40/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018185606
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020054251
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】岩田 紗穂
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-527894(JP,A)
【文献】特開2015-211673(JP,A)
【文献】米国特許第04371556(US,A)
【文献】特開2016-067245(JP,A)
【文献】特開2016-010389(JP,A)
【文献】特開昭51-057572(JP,A)
【文献】特開平04-079844(JP,A)
【文献】特表2007-535967(JP,A)
【文献】WEI-QUING, L. et al.,Flavor Components Analysis of Instant Scallpos During Storage,Shipin Gongye,2011年,Vol. 32, No. 10,pp. 103-105
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 40/35
A23K 50/15
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒と、前記粒を被覆するパウダーコーティングを有する粒状ペットフードであって、
前記パウダーコーティングが、パウダー状嗜好性向上剤を含有し、
前記パウダー状嗜好性向上剤が、きな粉と、前記きな粉以外のパウダー状嗜好性向上剤とを含
前記きな粉の平均粒子径が、前記きな粉以外のパウダー状嗜好性向上剤の平均粒子径よりも大きい、粒状ペットフード。
【請求項2】
前記きな粉の含有量が、前記パウダー状嗜好性向上剤全量に対して、10質量%以上である、請求項に記載の粒状ペットフード。
【請求項3】
前記きな粉の含有量が、前記粒状ペットフード全量に対して、0.20質量%以上である、請求項1又は2に記載の粒状ペットフード。
【請求項4】
前記粒と前記パウダーコーティングとの間に、さらに油脂コーティングを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の粒状ペットフード。
【請求項5】
粒と、前記粒を被覆するパウダーコーティングを有する粒状ペットフードであって、
前記パウダーコーティングが、パウダー状嗜好性向上剤を含有し、
前記パウダー状嗜好性向上剤が、大豆粉末を含み、
前記粒状ペットフードの臭気成分を、下記分析条件にて固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ分析法で測定した場合において、
2,4-ジメチル-1-ヘプテンのピーク面積値が10万以下である、粒状ペットフード。
[分析条件]
<固相マイクロ抽出条件>
ファイバー:外側に膜厚50μmのジビニルベンゼン分散ポリジメチルシロキサン層、内側に膜厚30μmのCarboxen分散ポリジメチルシロキサン層を有する、2層積層コーティングされたSPMEファイバー
抽出条件:60℃で10分間予備加温後、60℃で30分間揮発性成分抽出
<ガスクロマトグラフ条件>
カラム:素材内壁にポリエチレングリコールからなる液相を膜厚0.25μmでコーティングしたキャピラリーカラム、長さ30m、口径0.25mm
温度条件:40℃で3分間保持後、250℃まで10℃/分で昇温し、250℃で10分間保持
キャリアーガス:Heガス、ガス流量0.9mL/分
<質量分析条件>
装置:四重極型質量分析計
イオン化方式:EI(イオン化電圧70eV)
スキャン質量:m/z(27~500)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状ペットフードに関する。
【背景技術】
【0002】
主に犬や猫をターゲットとするペットフードは、水分量が10%程度であるドライフード、15~35%程度であるソフトフード、及び水分量が80%程度であるウエットフードに大別される。
その中でも、ドライフードは、保存安定性、給餌の簡便性、硬い物性により歯や顎の健康にも寄与するなどのメリットを有している。
【0003】
一般的に、ペットフードには、肉類、魚介類、ミール類(肉類または魚介類を圧縮させ細かく砕いた粉末物)等の原料が配合されている。また、ペットフードの嗜好性を向上させるために、フード粒に油脂やチキンエキス等の嗜好性向上剤をコーティングする技術が知られている。
ペットフードに肉由来、魚介由来の成分や油脂を含ませることで、ペットに対する嗜好性を高めることができることが知られている。しかし、ペットフードに含まれる肉由来、魚介由来の成分や油脂から独特の匂いが発生するため、人に不快感を与えることもあった。
また、近年、ペットフードにおいても健康志向が高まっており、ペットフードにはビタミン類、ミネラル類、食物繊維等の栄養素が多く添加されている。そのため、その栄養素の臭みにより、ペットの嗜好性が低下することがあった。
【0004】
ペットフードのにおいを改善する方法としては、一般に、レモン油、オレンジ油、ライム油、バニリン等の香料をペットフードに添加することが挙げられる。
また、特許文献1には、酸成分を含有する水分含量が10~70質量%のペットフードに、乳製品フレーバーを更に含有させたことを特徴とするペットフードが開示されている。
特許文献1に開示されている、酸成分を含有する水分含量の多いペットフードに、乳製品フレーバーを含有させてなるペットフードは、ペットフードから発生する酸臭が緩和または低減されるので、取り扱い時、保管時、給与時、摂餌時などに人間やペットに与える不快感をなくしたり低減することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-164262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように香料(フレーバー)を含有させ、新たなにおいを付与することにより、ペットフードのにおいを改善する方法では、ペットによりにおいに好き嫌いがあるため、嗜好性が低下する場合がある。また、ペットフード中の、その他の原料との組み合わせによっては、においがよりきつくなり、給餌する際の不快感がより増してしまう場合がある。
さらに、液状の香料をペットフードに添加する場合、特にドライタイプのペットフードにおいては、液状の香料がペットフードのフード粒に含侵してしまい、少量の添加では、十分にペットフードのにおい改善効果が得られない場合がある。
そのため、上記のようなフレーバー(香料)を含有させることにより新たなにおいを付与させるのではなく、根本的な解決法として、ペットフード自体のにおいを低減させ、さらにペットの嗜好性も向上させるペットフードが望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ペットフード自体のにおいを低減させ、給餌する際の不快感を低減させるペットフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の態様を有する。
[1]粒と、前記粒を被覆するパウダーコーティングを有する粒状ペットフードであって、前記パウダーコーティングがパウダー状嗜好性向上剤を含有し、前記パウダー状嗜好性向上剤が、大豆粉末を含む、粒状ペットフード。
[2]前記大豆粉末が、きな粉である、[1]に記載の粒状ペットフード。
[3]前記パウダー状嗜好性向上剤が、きな粉以外のパウダー状嗜好性向上剤を含み、前記きな粉の平均粒子径が、前記きな粉以外のパウダー状嗜好性向上剤の平均粒子径よりも大きい、[2]に記載の粒状ペットフード。
[4]前記きな粉の含有量が、前記パウダー状嗜好性向上剤全量に対して、10質量%以上である、[2]又は[3]に記載の粒状ペットフード。
[5]前記きな粉の含有量が、前記粒状ペットフード全量に対して、0.20質量%以上である、[2]~[4]のいずれか一つに記載の粒状ペットフード。
[6]前記粒と前記パウダーコーティングとの間に、さらに油脂コーティングを有する、[1]~[5]のいずれか一つに記載の粒状ペットフード。
[7]前記粒状ペットフードの臭気成分を、下記分析条件にて固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ分析法で測定した場合において、2,4-ジメチル-1-ヘプテンのピーク面積値が10万以下である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の粒状ペットフード。
[分析条件]
<固相マイクロ抽出条件>
ファイバー:外側に膜厚50μmのジビニルベンゼン分散ポリジメチルシロキサン層、内側に膜厚30μmのCarboxen分散ポリジメチルシロキサン層を有する、2層積層コーティングされたSPMEファイバー
抽出条件:60℃で10分間予備加温後、60℃で30分間揮発性成分抽出
<ガスクロマトグラフ条件>
カラム:素材内壁にポリエチレングリコールからなる液相を膜厚0.25μmでコーティングしたキャピラリーカラム、長さ30m、口径0.25mm
温度条件:40℃で3分間保持後、250℃まで10℃/分で昇温し、250℃で10分間保持
キャリアーガス:Heガス、ガス流量0.9mL/分
<質量分析条件>
装置:四重極型質量分析計
イオン化方式:EI(イオン化電圧70eV)
スキャン質量:m/z(27~500)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ペットフード自体のにおいを低減させ、給餌する際の不快感を低減させるペットフードが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、「ペット」とは人に飼育されている動物をいう。より狭義の意味では、ペットは飼い主に愛玩される動物である。また、「ペットフード」とは、ペット用の飼料をいう。本発明にかかるペットフードを「動物用飼料」又は「動物の餌」として販売することが可能である。
【0010】
本明細書において、粒状ペットフードとは、ペットフードの一部または全部として用いられる粒の集合を意味する。本明細書において、パウダー状嗜好性向上剤、油脂等でコーティングされていない粒(未コーティングの粒)を「フード粒」ともいう。
【0011】
本明細書において「嗜好性」とは、ペットに好まれて食されるか否かの指標であり、食感、食味、におい等に起因する。
本明細書において、粉(パウダー)の「コーティング」とは、粉(パウダー)を粒の表面に付与して、粒の表面に付着させることを意味する。
本明細書において、液の「コーティング」とは、液を粒の表面に付与して、粒の表面に付着させることを意味し、付与した液の一部または全部が粒に浸み込む場合も含む。例えば、油脂の「コーティング」とは、油脂を粒の表面に付与して、粒に付着させることを意味し、付与した油脂の一部または全部が粒に浸み込む(含浸される)場合を含む。
【0012】
(粒状ペットフード)
本発明の第1の態様に係るペットフードは、粒と、前記粒を被覆するパウダーコーティングを有する粒状ペットフードであって、前記パウダーコーティングがパウダー状嗜好性向上剤を含有し、前記パウダー状嗜好性向上剤が、大豆粉末を含む、ペットフードである。
本発明の第1の態様に係るペットフードは、パウダーコーティングを有しており、かつ、パウダーコーティングに大豆粉末を含むため、ペットフード自体の臭気の拡散が軽減され、給餌の際の不快を軽減する事が出来る。また、香料のように新たなにおいを付与するわけではないので、においにより人やペットの好き嫌いが分かれることを避けられる。
【0013】
本発明の第1の態様に係る粒状ペットフードを構成する粒は、膨化粒であることが好ましい。膨化粒は、原料混合物を粒状に成形した粒であって、原料混合物の内部で起泡させる膨化工程を経て得られる粒である。膨化工程は、加熱、発酵、化学反応または減圧などの手法により、原料混合物の内部で気体を発生させる工程をいう。膨化工程では、気体が発生することにより原料混合物の体積が増加し多孔質の性状となる。原料混合物の体積が増加することにより嵩密度が低下する。膨化工程の前、膨化工程の後、または膨化工程と同時に原料混合物を粒状に成形することにより膨化粒が得られる。
一方で、非膨化粒は膨化工程を経ずに製造された粒である。
【0014】
本発明の第1の態様に係るペットフードの水分含有量は3.0~14質量%が好ましく、5.0~13質量%がより好ましく、8.0~12質量%がさらに好ましい。水分含有量が前記範囲内であると、十分な嗜好性が得られる。
【0015】
本明細書において、水分含有量の値は常圧加熱乾燥法で得られる値である。
常圧加熱乾燥法は、被測定物を粉砕機にかけて1mmの篩を通過するように粉砕し、これを分析試料とし、分析試料2~5gを正確に量ってアルミニウム製秤量皿に入れ、135℃で2時間分析試料を乾燥し、デシケーター中で放冷後、分析試料の重さを正確に量って、乾燥前後の分析試料の重量差から水分含有量を求める。
より具体的には、被測定物を粉砕機にかけて1mmの篩を通過するように粉砕し、これを分析試料とする。アルミ秤量缶の質量(W1グラム)を恒量値として予め測定する。このアルミ秤量缶に分析試料を入れて質量(W2グラム)を秤量する。つぎに強制循環式の温風乾燥器を使用して、135℃で2時間分析試料を乾燥させる。乾燥雰囲気中(シリカゲルデシケーター中)で分析試料を放冷した後、質量(W3グラム)を秤量する。得られた各質量から下記式を用いて分析試料の水分含有量を求める。
分析試料の水分含有量(単位:質量%)=(W2-W3)÷(W2-W1)×100
水分含有量は、最終製品を製造日から30日以内に開封した直後に測定した値、又はこれと同等の条件で測定した値とする。
【0016】
以下本発明の第1の態様に係る粒状ペットフードに含有される各成分について、詳細に説明する。
【0017】
<粒>
本発明の第1の態様に係る粒状ペットフードを構成する粒の原料は、ペットフードの製造において公知の粉体原料、液体原料を用いることができる。
粉体原料として、具体的には、穀類(トウモロコシ、小麦、米、大麦、燕麦、ライ麦等)、豆類(丸大豆等)、デンプン類(小麦デンプン、トウモロコシデンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、甘藷デンプン、サゴデンプン等)、植物性タンパク質類(コーングルテンミール、脱脂大豆、大豆タンパク等)、肉類(鶏肉、牛肉、豚肉、鹿肉、ミール(チキンミール、豚ミール、牛ミール、これらの混合ミール)等)、魚介類(魚肉、ミール(フィッシュミール)等)、野菜類、添加物(ビタミン、ミネラル、アミノ酸、フレーバー原料、繊維、着色剤、パウダー状嗜好性向上剤等)等が挙げられる。
ミールとは、肉類又は魚介類を圧縮させ細かく砕いた粉体を意味する。
パウダー状嗜好性向上剤として、より具体的には、動物原料エキス、植物原料エキス、酵母エキス、酵母の乾燥物等が挙げられる。
液体原料として、具体的には、水、油脂、液糖、液状嗜好性向上剤、香料、着色剤等が挙げられる。
【0018】
原料の配合は特に限定されない。得ようとするフード粒の栄養組成を満たすとともに、良好な成形性が得られるように設定することが好ましい。
ドライタイプのフード粒の配合(外添剤も含む)の例を以下に示す。
(ドライタイプのフード粒の配合例)
穀類、豆類、デンプン類の合計10~70質量%、肉類および魚介類の合計10~45質量%、植物性タンパク質0~20質量%、外添剤1~20質量%、残りはその他の成分。
【0019】
本発明の第1の態様に係る粒状ペットフードを構成する粒の形状は、ペットが食するのに好適な形状であればよく、特に限定されない。
例えば球状、楕円体状(碁石状)、ドーナッツ状、ペレット状、円柱状、多角柱状、板状、クローバー状、ハート状、星状、十字状等あらゆる形状が適用可能である。
また、粒の大きさは、ペットが一口で頬張れる小粒形状であってもよいし、ペットが複数回にわたってかじり付くことができる大粒形状であってもよい。
例えば、フード粒の大きさは最短径及び最長径が、共に3~30mmであることが好ましく、共に6~16.5mmであることがより好ましく、共に7~12mmであることがさらに好ましい。
【0020】
<パウダーコーティング>
本発明の第1の態様に係る粒状ペットフードは、上述の粒を被覆するパウダーコーティングを有する。さらに、パウダーコーティングがパウダー状嗜好性向上剤を含有し、パウダー状嗜好性向上剤が、大豆粉末を含む。
【0021】
嗜好性向上剤とは、ペットの嗜好性を向上させるための原料である。嗜好性向上剤としては、パウダー状嗜好性向上剤、液状嗜好性向上剤が挙げられるが、本発明の第1の態様に係る粒状ペットフードのパウダーコーティングは、少なくとも、パウダー状嗜好性向上剤として大豆粉末を含有する。
【0022】
大豆粉末としては、ペットフード自体のにおいを低減できるものであれば特に限定されず、大豆粉、おから粉、きな粉等が挙げられる。その中でも、きな粉が好ましい。
きな粉は、大豆を炒って挽いた粉であり、市販されているものであれば、いずれも使用することができる。
きな粉は他の大豆粉末よりも臭気が薄く、かつ、嗜好性を向上させることができるため、好ましい。
【0023】
大豆粉末以外のパウダー状嗜好性向上剤としては、動物原料エキス(家禽エキス(チキンエキス等)、ビーフエキス、ポークエキス、それらの混合物等)、植物原料エキス、酵母エキス(ビール酵母エキス、パン酵母エキス、トルラ酵母エキス)、酵母(ビール酵母、パン酵母、トルラ酵母等)の乾燥物等が挙げられる。
【0024】
上記パウダー状嗜好性向上剤が、大豆粉末としてきな粉を含み、かつ、きな粉以外のパウダー状嗜好性向上剤を含む場合、きな粉の平均粒子径(D50)が、きな粉以外のパウダー状嗜好性向上剤の平均粒子径(D50)よりも大きいことが好ましい。きな粉の平均粒子径(D50)が、きな粉以外のパウダー状嗜好性向上剤の平均粒子径(D50)よりも大きい場合、パウダーコーティング中のきな粉以外のパウダー状嗜好性向上剤は粒側(粒状ペットフードの内側)に配置され、きな粉は粒状ペットフードの最外層に配置されやすくなる。粒状ペットフードの最外層にきな粉が存在すると、粒状ペットフードのにおいをより低減させることができ、かつ、きな粉の香りをより拡散させることができる。
【0025】
パウダー状嗜好性向上剤の平均粒子径(D50)は、パウダー状嗜好性向上剤の粒子径分布において、小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となるときの粒子径である。例えば、水またはエタノールにパウダー状嗜好性向上剤を分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製 LS 13 320)で測定することができる。
【0026】
例えば、きな粉の平均粒子径(D50)が100~1000μmである場合、その他の嗜好性向上剤(動物原料エキス等)の平均粒子径(D50)は、50~300μmの範囲で、上記きな粉の平均粒子径(D50)より小さいことが好ましい。
【0027】
きな粉の含有量は、パウダー状嗜好性向上剤全量に対して、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。きな粉の含有量が、パウダー状嗜好性向上剤全量に対して、上記好ましい範囲の下限値以上である場合、ペットフードの臭みをより低減させることができる。
さらに、きな粉の含有量は、パウダー状嗜好性向上剤全量に対して、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、55質量%以下であることがさらに好ましい。きな粉の含有量が、パウダー状嗜好性向上剤全量に対して、上記好ましい範囲の上限値以下である場合、ペットフードの臭みをより低減させることができ、嗜好性を低下させることもない。
【0028】
また、きな粉の含有量は、粒状ペットフード全量に対して、0.20質量%以上であることが好ましく、0.30質量%以上であることがより好ましく、0.50質量%以上であることがさらに好ましい。きな粉の含有量が、粒状ペットフード全量に対して、上記好ましい範囲の下限値以上であれば、ペットフードの臭みをより低減させることができる。
さらに、きな粉の含有量は、粒状ペットフード全量に対して、2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることがさらに好ましい。きな粉の含有量が、パウダー状嗜好性向上剤全量に対して、上記好ましい範囲の上限値以下であれば、ペットフードの臭みをより低減させることができ、嗜好性を低下させることもない。
【0029】
パウダー状嗜好性向上剤の全量は特に限定されないが、粒状ペットフード全体に対して0.20~3.0質量%が好ましく、0.30~2.5質量%がより好ましく、0.50~2.0質量%が更に好ましい。
上記好ましい範囲内であれば、ペットフードの臭みをより低減させることができ、嗜好性を低下させることもない。
【0030】
≪油脂コーティング≫
本発明の第1の態様に係る粒状ペットフードは、粒とパウダーコーティングとの間に、さらに油脂コーティングを有していてもよい。粒を油脂によりコーティングし、その後パウダー状嗜好性向上剤をコーティングすることにより、粒とパウダー状嗜好性向上剤との密着性が向上し、ペットフードの臭みをより低減させることができる。
【0031】
油脂としては、常温で液体の油脂でもよく、常温で固体の油脂でもよい。常温で固体の油脂を液状とするために、必要に応じて加温して用いてもよい。
油脂は、植物性油脂でもよく、動物性油脂でもよい。
油脂は、1種類のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
動物性油脂として、具体的には、鶏油、豚脂(ラード)、牛脂(ヘット)、乳性脂肪、それらの混合物等が挙げられる。
植物性油脂として、具体的には、オリーブ油、カカオ油、パーム油、パーム核油、ココナッツ油、ヤシ油、つばき油等が挙げられる。
【0033】
上述した油脂の中でも、高い嗜好性が得られ易い点で、動物性油脂を含むことが好ましい。
【0034】
油脂の含有量は、粒状ペットフード全量に対して、1.0~10質量%が好ましく、2.0~9.0質量%がより好ましく、3.0~8.0質量%がさらに好ましい。
油脂の含有量が、上記範囲内であれば、粒とパウダー状嗜好性向上剤とを十分に密着させることができる。
【0035】
≪臭気成分≫
本明細書において、臭気成分とは、下記で詳述する固相マイクロ抽出法で抽出できる揮発性成分であって、人に不快感を与える成分である。
一般的にペットフードには、多種多様な成分が含まれているが、少なくとも粒の原料由来の臭気成分(2,4-ジメチル-1-ヘプテン)の揮発量を減少させることにより、ペットフード自体のにおいを低減させ、給餌する際の不快感を低減させることができる。
【0036】
本発明の第1の態様に係る粒状ペットフードは、臭気成分を下記で詳述する固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合に、フード粒と比較して、2,4-ジメチル-1-ヘプテンのピーク面積値が減少していることが好ましい。
【0037】
2,4-ジメチル-1-ヘプテンの揮発量を低減させる手段は、2,4-ジメチル-1-ヘプテンを含む粒を被覆するパウダー状嗜好性向上剤の種類、組み合わせ、形状、平均粒子径、比表面積、被覆量、被覆の均一性(被覆方法)等を制御する方法が挙げられる。
【0038】
本発明の第1の態様に係る粒状ペットフードは、パウダー状嗜好性向上剤として、大豆粉末を用いることにより、臭気成分(2,4-ジメチル-1-ヘプテン)の揮発量の低減を図っている。
【0039】
本発明の第1の態様に係る粒状ペットフードは、臭気成分を下記で詳述する固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合に、2,4-ジメチル-1-ヘプテンのピーク面積値が10万以下であることが好ましい。
臭気成分を下記で詳述する固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法で測定した場合の2,4-ジメチル-1-ヘプテンのピーク面積値が少なくとも10万以下であれば、ペットフード自体のにおいをより低減させ、給餌する際の不快感をより低減させることができる。
【0040】
≪臭気成分測定方法≫
本発明の第1の態様に係る粒状ペットフードの臭気成分は、以下の条件に従って、固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME-GCMS)で測定することができる。
【0041】
[臭気成分の分離濃縮方法]
第一に、SPMEファイバーと揮発性成分抽出装置を用い、以下の条件に従って、固相マイクロ抽出法で臭気成分の分離濃縮を行う。
(試料調整)
測定する試験用ペットフードを臭気分析用の20mLバイアルに1.0g秤量し、セプタム付きの蓋で密封したものを試料として用いる。
(固相マイクロ抽出条件)
・SPMEファイバー:StableFlex 50/30μm DVB/Carboxen/PDMS(Sigma-Aldrich社製)
・揮発性成分抽出装置:GERSTEL MPS2(GERSTEL社製)
・インキュベーション温度:60℃
・インキュベーション時間:10min
・攪拌速度:300rpm/min
・抽出温度:60℃
・抽出時間:30min
・脱着時間:10min
【0042】
[臭気成分の測定方法]
第二に、ガスクロマトグラフ法及び質量分析法を用い、以下の条件に従って、上記の臭気成分の分離濃縮方法により得られた粒状ペットフードの臭気成分を測定する。
【0043】
(ガスクロマトグラフ条件)
・測定機器:Agilent 7890N(Agilent Technologies社製)
・カラム:DB-WAX UT(Agilent Technologies社製)、長さ30m、口径0.25mm、膜厚0.25μm
・注入方法:スプリットレス
・温度条件:40℃で3分間保持後、250℃まで10℃/分で昇温し、250℃で10分間保持
・キャリアーガス:Heガス、ガス流量0.9mL/min
(質量分析条件)
・質量分析計:Agilent 5975C(Agilent Technolo
gies社製)
・イオン化方式:EI(イオン化電圧70eV)
・イオン源温度:230℃
・スキャン質量:m/z(27~500)
【0044】
以上説明した通り、本発明の粒状ペットフードによれば、臭気成分を含む粒を、大豆粉末を含むパウダー状嗜好性向上剤で被覆することにより、臭気成分の揮発を抑制し、ペットフード自体のにおいを低減させ、給餌する際の不快感を低減させることができる。
さらに、前記大豆粉末として、きな粉を用いることにより、ペットフード自体のにおいをより低減させ、給餌する際の不快感をより低減させることができる。その理由は定かではないが、きな粉は、加熱により大豆特有の臭みが抜け、嗜好性の高い香りとなること、及び、加熱により、比表面積がさらに大きい多孔質形状となり、より臭気成分を吸着しやすくなることが、ペットフードのにおい低減効果の向上に繋がったと推測される。
【0045】
(粒状ペットフードの製造方法)
本発明の粒状ペットフードの製造方法は、例えば、後述の公知の方法を用いることができる。
【0046】
[造粒工程]
造粒工程は、原料混合物を造粒して粒を得る工程である。
造粒工程としては、原料を混合して原料混合物とし、該原料混合物を粒状に成形(造粒)する方法等が挙げられる。
造粒工程とし、具体的には、エクストルーダーを用いて粒(膨化粒)を製造する方法が挙げられる。
エクストルーダーを用いて粒を製造する方法は、例えば「小動物の臨床栄養学 第5版」(Michael S. Hand、Craig D. Thatcher, Rebecca L. Remillard, Philip Roudebusg、Bruce J. Novotny 編集、Mark Morris Associates 発行;2014年;p.209~p.215)に記載されている方法が適用できる。
【0047】
エクストルーダーを用いて粒を製造する方法の例を説明する。まず、粒の原料を、必要に応じて粉砕した後、混合する。グラインダー等を用いて粉砕しつつ混合してもよい。また必要に応じて水(製造工程中で揮発し、最終的に原料組成には含まれない)を加えて原料混合物を得る。
得られた原料混合物をエクストルーダーに投入し、加熱、加圧した後、出口から押し出す。出口には所定の形状の穴が形成されたプレートと、該プレートから押し出された原料混合物を所定の長さ(厚さ)に切断するカッターが設けられている。原料混合物は該プレートの穴から押し出され、カッターで切断されることにより所定の形状に成形されると同時に、加圧状態から常圧に開放されることによって原料混合物中の水蒸気が膨張し、これによって原料混合物が膨化して多孔質の粒が得られる。
【0048】
[乾燥工程]
乾燥工程は、上記造粒工程により、得られた粒を乾燥する工程である。
粒を乾燥する方法としては、自然に乾燥させる方法、温風を吹き付けて乾燥させる方法、減圧して乾燥させる方法、フリーズドライで乾燥させる方法等の公知の方法が挙げられる。これらの乾燥方法の中でも、温風を吹き付けて乾燥させる方法が、ペットフードの風味を向上させる点で好ましい。
【0049】
乾燥する際の粒の温度及び粒に吹き付ける温風の温度は特に限定されない。例えば、温風の温度としては、150℃以下が好ましい。また、温風の温度の下限値は特に限定されず、通常は室温を超える温度であり、30℃以上であることが好ましい。この温度範囲で乾燥させる場合、当該加熱処理の時間は、1分~120分が好ましい。
上記温度範囲及び時間範囲の下限値以上であると、比較的短時間で粒を乾燥させることができる。上記温度範囲の上限値以下であると、粒が過度に加熱されることを防げる。
【0050】
[油脂コーティング工程]
本発明の粒状ペットフードの製造方法は、油脂コーティング工程を含んでいてもよい。
油脂コーティング工程は、上記乾燥工程により、得られたフード粒を油脂でコーティングする工程である。
フード粒を油脂でコーティングする方法としては、例えば、フード粒に油脂を噴霧する方法、粒と油脂とをタンク等の容器に入れ撹拌器で撹拌する方法、前記容器を振動させる方法、真空コート法等を用いることができる。
【0051】
真空コート法は、加温した粒と油脂等を接触又は付着させた状態で、減圧する方法である。真空コート法を用いることにより、フード粒の表面だけでなく、フード粒の内部へ油脂を含浸させることができる。
真空コート法における減圧の程度は、特に限定されない。フード粒の大きさや硬さに応じて適宜調整すればよく、例えば0.1~0.3気圧まで減圧する程度が挙げられる。
【0052】
油脂コーティング工程は複数回に分けて行ってもよい。例えば、上記乾燥工程により得られたフード粒に、一部の油脂を添加し、攪拌又は振動混合させた後に、再度残りの油脂を添加する方法が挙げられる。油脂コーティング工程を複数回に分けて行うことにより、乾燥した粒から細かな粉が発生すること(粉立ち)を防止することができる。
【0053】
油脂を投入する際の温度は、油脂が固化しない程度であれば、特に限定されないが、油脂の酸化を防ぐ観点から、なるべく低い温度であることが好ましく、例えば40~80℃とすることができる。
【0054】
[パウダーコーティング工程]
パウダーコーティング工程は、上記乾燥工程により、得られたフード粒又は、油脂コーティングを有する粒を、パウダー状嗜好性向上剤でコーティングする工程である。
【0055】
前記粒をパウダー状嗜好性向上剤でコーティングする方法としては、前記粒と、パウダー状嗜好性向上剤とを、タンク等の容器に入れ撹拌器で撹拌する方法、前記容器を振動させる方法等が挙げられる。
【0056】
パウダー状嗜好性向上剤を前記粒に付着させる際の前記粒の温度は、35~75℃が好ましく、40~65℃がより好ましく、45~55℃がさらに好ましい。その際のパウダー状嗜好性向上剤は10~25℃が好ましい。前記粒の温度が上記の範囲であると、前記粒に付着されるパウダー状嗜好性向上剤の被覆量(パウダーコーティング量)が多くなり易い。
【実施例
【0057】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0058】
<実施例1>
(粒の製造)
表1に示す配合で、粒状ペットフードを構成する粒の原料を混合した。得られた原料混合物をエクストルーダーに投入し、混練しながら約115℃で約2分間の加熱処理を施してデンプン成分をアルファ化し、エクストルーダーの出口で粒状に押出造粒すると同時に膨化させた。得られた粒を乾燥機を用いて、約135℃で15分間の乾燥処理を行い、フード粒を得た。
【0059】
(フード粒のコーティング)
得られたフード粒(約45℃)93.7質量%に対して、動物性油脂4.5質量%を添加して混合することで、フード粒の表面に動物性油脂をコーティングした。動物性油脂の一部は粒の表面部分に浸み込んだ状態となった。
次いで、動物性油脂コーティングを有するフード粒(約45℃)にパウダー状嗜好性向上剤として、きな粉0.6質量%、及び、畜肉系嗜好剤1.2質量%を添加し混合することによって、フード粒の表面にパウダー状嗜好性向上剤をコーティングした。
以上の方法により、表2に示す、実施例1のパウダーコーティングを有する粒状ペットフードを製造した。
【0060】
<実施例2、3、比較例1~5>
上記実施例1と同様の方法により、表2に示す、各例のパウダーコーティングを有する粒状ペットフードを製造した。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
[においの軽減度合いの評価]
実施例1~3の粒状ペットフードそれぞれ100g、及び比較例1の粒状ペットフード100gのにおいを嗅いでもらうという方法で、アンケート(モニター数20人)を実施した。「においが薄いもの」という質問への全回答数に対して、比較例1の粒状ペットフードより実施例1~3のそれぞれの粒状ペットフードの方が、においが薄いと回答した人の割合を百分率(単位:%)で算出した。その結果を表3に示す。
【0064】
[においの好み具合の評価]
実施例1、2の粒状ペットフードそれぞれ100g、及び比較例2~5の粒状ペットフード100gのにおいを嗅いでもらうという方法で、アンケート(モニター数20人)を実施した。「においが好ましいと思うもの」という質問への全回答数に対して、比較例2~5のそれぞれの粒状ペットフードより実施例1、2のそれぞれの粒状ペットフードの方が、においが好ましいと回答した人の割合を百分率(単位:%)で算出した。その結果を表4に示す。
【0065】
[臭気成分のピーク面積値の評価]
実施例1の粒状ペットフード、及び比較例1の粒状ペットフード(以下「試験用ペットフード」と略記する)の臭気成分(2,4-ジメチル-1-ヘプテン)を、以下の条件に従って、それぞれ固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME-GC-MS)で測定した。
【0066】
<臭気成分の分離濃縮方法>
SPMEファイバーと揮発性成分抽出装置を用い、以下の条件に従って、固相マイクロ抽出法で臭気成分の分離濃縮を行う。
【0067】
(試料調整)
測定する試験用ペットフードを臭気分析用の20mLバイアルにそれぞれ1.0g秤量し、セプタム付きの蓋で密封したものを試料として用いる。
(固相マイクロ抽出条件)
・SPMEファイバー:StableFlex 50/30μm DVB/Carboxen/PDMS(Sigma-Aldrich社製)
・揮発性成分抽出装置:GERSTEL MPS2(GERSTEL社製)
・インキュベーション温度:60℃
・インキュベーション時間:10min
・攪拌速度:300rpm/min
・抽出温度:60℃
・抽出時間:30min
・脱着時間:3.0min
【0068】
<臭気成分の測定方法>
ガスクロマトグラフ法及び質量分析法を用い、以下の条件に従って、比較例1の粒状ペットフード中の2,4-ジメチル-1-ヘプテンのピーク面積値と、実施例1の粒状ペットフード中の2,4-ジメチル-1-ヘプテンのピーク面積値をそれぞれ測定する。その結果を表5に示す。
【0069】
(ガスクロマトグラフ条件)
・測定機器:Agilent 7890N(Agilent Technologies社製)
・カラム:DB-WAX UT(Agilent Technologies社製)、長さ30m、口径0.25mm、膜厚0.25μm
・注入方法:スプリットレス
・温度条件:40℃で3分間保持後、250℃まで10℃/分で昇温し、250℃で10分間保持
・キャリアーガス:Heガス、ガス流量0.9mL/min
【0070】
(質量分析条件)
・質量分析計:Agilent 5975C(Agilent Technolo
gies社製)
・イオン化方式:EI(イオン化電圧70eV)
・イオン源温度:230℃
・スキャン質量:m/z(27~500)
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
表3及び表4に示す通り、本発明を適用した実施例の粒状ペットフードは、比較例1~5の粒状ペットフードに比べ、においが薄く、また、においが好ましいということが確認できる。
また、表5に示す通り、本発明を適用した実施例の粒状ペットフードは、臭気成分(2,4-ジメチル-1-ヘプテン)のピーク面積値が検出限界値未満(10万未満)であり、臭気成分の揮発を抑制できていることが確認できる。
一方で、比較例1の粒状ペットフードは、臭気成分(2,4-ジメチル-1-ヘプテン)のピーク面積値が高く、単にフード粒に粉体をコーティングしただけでは、においを低減させることはできないということが確認できる。
なお、比較例1のパウダー状嗜好性向上剤(畜肉系嗜好剤)には、臭気成分(2,4-ジメチル-1-ヘプテン)のピークは確認されなかった。
以上より、本発明を適用した実施例の粒状ペットフードは、ペットフード自体のにおいを低減させ、給餌する際の不快感を低減させることが確認できる。