(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/80 20180101AFI20220809BHJP
【FI】
G16H50/80
(21)【出願番号】P 2019026961
(22)【出願日】2019-02-18
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 成利
(72)【発明者】
【氏名】金子 泰久
(72)【発明者】
【氏名】中津川 晴康
【審査官】岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-198717(JP,A)
【文献】特開2004-355472(JP,A)
【文献】特開2002-279076(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0327518(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染症に感染した第1の動物の前記感染症に関する情報を取得する取得部と、
前記第1の動物の行動エリア内に位置した第2の動物を特定する特定部と、
前記第2の動物の種族が、前記第1の動物が感染した感染症が感染する可能性のある動物の種族であるか否かを判定することによって、前記第1の動物が感染した感染症が前記第2の動物に感染する可能性があるか否かを判定する判定部と、
前記第1の動物が感染した感染症が前記第2の動物に感染する可能性があると判定された場合に、前記第2の動物のオーナーに対して感染症に関する警告を通知する通知部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記第1の動物が複数存在する場合、前記複数の前記第1の動物の行動エリアに共通する区域を、前記感染症の感染源が存在する区域として特定し、特定した区域内に位置した動物を前記第2の動物として特定する
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記第1の動物の行動エリア内に、前記第1の動物が感染した感染症のウイルスの生存期間内に位置した前記第2の動物を特定する
請求項1
又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1の動物が感染した感染症が人に感染する可能性があるか否かを更に判定し、
前記通知部は、更に、前記第1の動物が感染した感染症が人に感染する可能性があると判定された場合に、前記第2の動物のオーナーに対して感染症が人に感染する可能性があるとの警告を更に通知する
請求項1から請求項
3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記第1の動物の移動経路と前記第2の動物の移動経路との重なり度合いに応じて、警告の内容を変えて前記感染症に関する警告を通知する
請求項1から請求項
4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
感染症に感染した第1の動物の前記感染症に関する情報を取得し、
前記第1の動物の行動エリア内に位置した第2の動物を特定し、
前記第2の動物の種族が、前記第1の動物が感染した感染症が感染する可能性のある動物の種族であるか否かを判定することによって、前記第1の動物が感染した感染症が前記第2の動物に感染する可能性があるか否かを判定し、
前記第1の動物が感染した感染症が前記第2の動物に感染する可能性があると判定した場合に、前記第2の動物のオーナーに対して感染症に関する警告を通知する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項7】
感染症に感染した第1の動物の前記感染症に関する情報を取得し、
前記第1の動物の行動エリア内に位置した第2の動物を特定し、
前記第2の動物の種族が、前記第1の動物が感染した感染症が感染する可能性のある動物の種族であるか否かを判定することによって、前記第1の動物が感染した感染症が前記第2の動物に感染する可能性があるか否かを判定し、
前記第1の動物が感染した感染症が前記第2の動物に感染する可能性があると判定した場合に、前記第2の動物のオーナーに対して感染症に関する警告を通知する
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスに感染したことが疑われる旨をシステムへの参加者に通知する感染監視システムが開示されている(特許文献1参照)。この感染監視システムは、ウイルスの感染者がウイルスに感染したと推定される日時である感染推定日時を病院から取得する。そして、この感染監視システムは、感染推定日時以降に感染者から所定の距離以内に接近した参加者に対して上記の通知を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
感染症に感染した第1の動物に接近した第2の動物のオーナーに対して感染症に関する警告を通知する技術では、例えば、多数の動物が集まる場所に第1の動物が滞在した場合、通知先のオーナーも多数存在することとなる。このように、単に距離のみで通知先を決定した場合、通知先が多くなりすぎて感染症の拡大の抑制のために用いられるシステムリソースの消費量が増大してしまう。特許文献1に記載の技術では、システムリソースの消費量が増大してしまうことについては考慮されていない。
【0005】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、感染症の拡大の抑制のために用いられるシステムリソースの消費量の増大を抑制することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の情報処理装置は、感染症に感染した第1の動物の感染症に関する情報を取得する取得部と、第1の動物の行動エリア内に位置した第2の動物を特定する特定部と、第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があるか否かを判定する判定部と、第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があると判定された場合に、第2の動物のオーナーに対して感染症に関する警告を通知する通知部と、を備える。
【0007】
なお、本開示の情報処理装置は、判定部が、第2の動物の種族が、第1の動物が感染した感染症が感染する可能性のある動物の種族であるか否かを判定することによって、第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があるか否かを判定してもよい。
【0008】
また、本開示の情報処理装置は、特定部が、第1の動物が複数存在する場合、複数の第1の動物の行動エリアに共通する区域を、感染症の感染源が存在する区域として特定し、特定した区域内に位置した動物を第2の動物として特定してもよい。
【0009】
また、本開示の情報処理装置は、特定部が、第1の動物の行動エリア内に、第1の動物が感染した感染症のウイルスの生存期間内に位置した第2の動物を特定してもよい。
【0010】
また、本開示の情報処理装置は、判定部が、第1の動物が感染した感染症が人に感染する可能性があるか否かを更に判定し、通知部が、更に、第1の動物が感染した感染症が人に感染する可能性があると判定された場合に、第2の動物のオーナーに対して感染症が人に感染する可能性があるとの警告を更に通知してもよい。
【0011】
また、本開示の情報処理装置は、通知部が、第1の動物の移動経路と第2の動物の移動経路との重なり度合いに応じて、警告の内容を変えて感染症に関する警告を通知してもよい。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本開示の情報処理方法は、感染症に感染した第1の動物の感染症に関する情報を取得し、第1の動物の行動エリア内に位置した第2の動物を特定し、第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があるか否かを判定し、第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があると判定した場合に、第2の動物のオーナーに対して感染症に関する警告を通知する処理をコンピュータが実行するものである。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本開示の情報処理プログラムは、感染症に感染した第1の動物の感染症に関する情報を取得し、第1の動物の行動エリア内に位置した第2の動物を特定し、第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があるか否かを判定し、第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があると判定した場合に、第2の動物のオーナーに対して感染症に関する警告を通知する処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【0014】
また、本開示の情報処理装置は、コンピュータに実行させるための命令を記憶するメモリと、記憶された命令を実行するよう構成されたプロセッサと、を備え、プロセッサは、感染症に感染した第1の動物の感染症に関する情報を取得し、第1の動物の行動エリア内に位置した第2の動物を特定し、第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があるか否かを判定し、第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があると判定した場合に、第2の動物のオーナーに対して感染症に関する警告を通知する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、感染症の拡大の抑制のために用いられるシステムリソースの消費量の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る動物管理テーブルの一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る移動履歴テーブルの一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る感染症テーブルの一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る情報処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】実施形態に係る警告処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る第1警告表示画面の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る第2警告表示画面の一例を示す図である。
【
図10】変形例に係る行動エリアに共通する区域を説明するための図である。
【
図11】変形例に係る移動経路の重なり度合いに応じた警告の通知処理を説明するための図である。
【
図12】変形例に係る移動経路の重なり度合いに応じた警告の通知処理を説明するための図である。
【
図13】
図11に対応する行動エリアの重なり度合いを説明するための図である。
【
図14】
図12に対応する行動エリアの重なり度合いを説明するための図である。
【
図15】変形例に係る移動経路の重なり度合いに応じた警告の通知処理を説明するための図である。
【
図16】変形例に係る移動経路の重なり度合いに応じた警告の通知処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0018】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システム10の構成を説明する。
図1に示すように、情報処理システム10は、情報処理装置12及び複数の端末装置14を含む。情報処理装置12及び複数の端末装置14は、それぞれネットワークNに接続され、ネットワークNを介して互いに通信が可能とされる。
【0019】
情報処理装置12は、例えば動物病院に設置される。情報処理装置12の例としては、サーバコンピュータ等が挙げられる。なお、情報処理装置12は、クラウドサーバであってもよい。端末装置14は、例えば、ペット等の動物のオーナーによって所持される。端末装置14の例としては、スマートフォン及びタブレットコンピュータ等が挙げられる。なお、本明細書における「動物」とは、犬及び猫等の「人」を除く動物を意味する。
【0020】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12のハードウェア構成を説明する。
図2に示すように、情報処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)20、一時記憶領域としてのメモリ21、及び不揮発性の記憶部22を含む。また、情報処理装置12は、液晶ディスプレイ等の表示部23、キーボードとマウス等の入力部24、及びネットワークNに接続されるネットワークI/F(InterFace)25を含む。CPU20、メモリ21、記憶部22、表示部23、入力部24、及びネットワークI/F25は、バス26に接続される。
【0021】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及びフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部22には、情報処理プログラム30が記憶される。CPU20は、記憶部22から情報処理プログラム30を読み出してからメモリ21に展開し、展開した情報処理プログラム30を実行する。
【0022】
また、記憶部22には、動物管理テーブル32、移動履歴テーブル34、及び感染症テーブル36が記憶される。
【0023】
図3に、動物管理テーブル32の一例を示す。動物管理テーブル32は、動物のオーナーと、オーナーに飼育されている動物とを管理するためのテーブルである。
図3に示すように、動物管理テーブル32には、動物のオーナーに関する情報(以下、「オーナー情報」という)と、動物に関する情報(以下、「動物情報」という)とが対応付けられて記憶される。
【0024】
オーナー情報には、オーナーの識別情報の一例としてのID(IDentifier)、名前、及び連絡先等が含まれる。なお、本実施形態では、連絡先として、電子メールアドレスを適用した場合を説明するが、これに限定されない。連絡先として、メッセージングサービスのIDを適用してもよいし、SNS(Social Networking Service)のアカウントのIDを適用してもよいし、電話番号を適用してもよい。
【0025】
動物情報には、対応するオーナー情報が示すオーナーに飼育されている動物の識別情報の一例としてのID、名前、性別、年齢、種族、及び品種等が含まれる。また、1人のオーナーが複数の動物を飼育している場合は、1つのオーナー情報に、複数の動物情報が対応付けられる。
【0026】
図4に、移動履歴テーブル34の一例を示す。移動履歴テーブル34は、動物の行動エリアを把握するためのテーブルである。
図4に示すように、移動履歴テーブル34には、動物のIDに対応付けられて、日時及び位置情報が記憶される。
図4に示すように、本実施形態では、位置情報として緯度及び経度が記憶される。動物の位置情報は、動物に装着されたGPS(Global Positioning System)モジュール付きの首輪等によって、定期的に情報処理装置12に送信される。情報処理装置12は、定期的に送信された動物の位置情報を受信し、受信した位置情報を動物のIDと受信日時とに対応付けて移動履歴テーブル34に記憶する。
【0027】
図5に、感染症テーブル36の一例を示す。感染症テーブル36は、感染症が感染する可能性のある対象を管理するためのテーブルである。
図5に示すように、感染症テーブル36には、感染症毎に、感染症に感染する可能性のある動物の種族が記憶される。また、動物だけではなく、人に感染する可能性のある感染症については、種族列に、動物の種族に加えて「人」も記憶される。
【0028】
猫のみに感染する感染症の例としては、猫汎白血球減少症、猫白血病ウイルス感染症、猫免疫不全ウイルス感染症、猫伝染性腹膜炎、及び猫風邪等が挙げられる。犬のみに感染する感染症の例としては、犬のケンネルコフ、犬ジステンパーウイルス感染症、犬パルボウイルス感染症、及び犬アデノウイルス感染症等が挙げられる。犬及び猫の双方に感染し、かつ人にも感染する感染症の例としては、犬猫回虫幼虫移行症及び皮膚糸状菌症等が挙げられる。
【0029】
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12の機能的な構成について説明する。
図6に示すように、情報処理装置12は、取得部40、特定部42、判定部44、及び通知部46を含む。CPU20が情報処理プログラム30を実行することで、取得部40、特定部42、判定部44、及び通知部46として機能する。
【0030】
本実施形態に係る動物病院の獣医師は、例えば、診断対象の動物が感染症に感染していることが疑われる場合、動物から検体を採取し、採取した検体を外部の検査機関に送付することによって診断を依頼する。検査機関での検査が終了すると、検査機関から検査結果を表す情報が情報処理装置12に送信され、情報処理装置12は検査機関から送信された検査結果を表す情報を受信する。この検査結果を表す情報には、診断対象の動物のIDが含まれ、かつ動物が感染症に感染している場合は感染症の病名が含まれる。なお、検査結果を表す情報は、動物病院の獣医師によって、入力部24を介して入力されてもよい。
【0031】
取得部40は、受信した検査結果を表す情報から、感染症に感染した動物(以下、「第1の動物」という)の感染症に関する情報(以下、「感染症情報」という)を取得する。本実施形態に係る感染症情報には、感染症に感染した動物のID及び感染症の病名が含まれる。
【0032】
特定部42は、移動履歴テーブル34を参照し、感染症に感染したと推定されるタイミング以降の第1の動物の位置情報の軌跡を第1の動物の行動エリアとして特定する。そして、特定部42は、移動履歴テーブル34を参照し、予め定められた期間内(例えば、3時間以内)に、特定した行動エリア内に位置した動物のIDを取得することによって、特定した行動エリア内に位置した動物(以下、「第2の動物」という)を特定する。なお、上記予め定められた期間は、例えば、第1の動物が感染した感染症のウイルスの生存期間であってもよい。
【0033】
判定部44は、動物管理テーブル32を参照し、特定部42により特定された第2の動物のIDに対応する種族を取得する。そして、判定部44は、感染症テーブル36を参照し、第2の動物の種族が、第1の動物が感染した感染症が感染する可能性のある動物の種族であるか否かを判定する。この判定によって、判定部44は、第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があるか否かを判定する。更に、判定部44は、感染症テーブル36を参照し、第1の動物が感染した感染症が人に感染する可能性があるか否かを判定する。
【0034】
通知部46は、判定部44により第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があると判定された場合、動物管理テーブル32を参照し、第2の動物のオーナーの連絡先を取得する。そして、通知部46は、取得した連絡先に、第1の動物が感染した感染症に関する警告のテキストデータを送信することによって、第2の動物のオーナーに対して感染症に関する警告を通知する。
【0035】
更に、通知部46は、判定部44により第1の動物が感染した感染症が人に感染する可能性があると判定された場合、取得した連絡先に、第1の動物が感染した感染症が人に感染する可能性があるとの警告のテキストデータも送信する。この警告のテキストデータの送信により、通知部46は、第2の動物のオーナーに対して感染症が人に感染する可能性があるとの警告を更に通知する。なお、通知部46は、テキストデータに代えて音声データによって警告を通知してもよいし、テキストデータ及び音声データの双方によって警告を通知してもよい。
【0036】
次に、
図7を参照して、本実施形態に係る情報処理装置12の作用を説明する。CPU20が情報処理プログラム30を実行することによって、
図7に示す警告処理が実行される。
図7に示す警告処理は、例えば、検査機関から送信された検査結果を表す情報を情報処理装置12が受信した場合に実行される。
【0037】
図7のステップS10で、取得部40は、受信した検査結果を表す情報から、第1の動物の感染症情報を取得する。ステップS12で、特定部42は、移動履歴テーブル34を参照し、感染症に感染したと推定されるタイミング以降の第1の動物の行動エリアを特定する。そして、特定部42は、移動履歴テーブル34を参照し、前述したように、特定した行動エリア内に位置した第2の動物を特定する。なお、特定部42により特定された第2の動物が複数存在する場合は、以下のステップS14以降の処理は、第2の動物のそれぞれについて個別に実行される。
【0038】
ステップS14で、判定部44は、動物管理テーブル32を参照し、ステップS12の処理により特定された第2の動物のIDに対応する種族を取得する。そして、判定部44は、前述したように、感染症テーブル36を参照し、第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があるか否かを判定する。この判定が肯定判定となった場合は、処理はステップS16に移行する。
【0039】
ステップS16で、判定部44は、感染症テーブル36を参照し、第1の動物が感染した感染症が人に感染する可能性があるか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS18に移行する。
【0040】
ステップS18で、通知部46は、前述したように、動物管理テーブル32を参照し、第2の動物のオーナーの連絡先を取得し、取得した連絡先に、第1の動物が感染した感染症に関する警告のテキストデータを送信する。本ステップS18の処理により、一例として
図8に示すように、第2の動物のオーナーが所持する端末装置14の表示部に、第2の動物が感染症に感染している可能性がある旨のメッセージと、動物病院への来院を促すメッセージとが表示される。ステップS18の処理が終了すると、本警告処理が終了する。
【0041】
一方、ステップS16の判定が肯定判定となった場合、処理はステップS20に移行する。ステップS20で、通知部46は、動物管理テーブル32を参照し、第2の動物のオーナーの連絡先を取得する。そして、通知部46は、取得した連絡先に、ステップS18と同様のテキストデータに加え、第1の動物が感染した感染症が人に感染する可能性があるとの警告のテキストデータも送信する。本ステップS20の処理により、一例として
図9に示すように、
図8と同様のメッセージに加え、感染症が人にも感染する可能性がある旨のメッセージも表示される。ステップS20の処理が終了すると、本警告処理が終了する。また、ステップS14の判定が否定判定となった場合も本警告処理が終了する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の動物が感染した感染症が第2の動物に感染する可能性があると判定された場合に、第2の動物のオーナーに対して感染症に関する警告を通知している。従って、第1の動物の行動エリア内に位置した全ての動物のオーナーに警告を通知する場合に比較して、感染症の拡大の抑制のために用いられるシステムリソースの消費量の増大を抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、第1の動物が感染した感染症が人に感染する可能性があると判定された場合に、第2の動物のオーナーに対して感染症が人に感染する可能性があるとの警告を更に通知している。従って、オーナー自身も感染症に感染する可能性があることを把握することができる結果、オーナー自身が感染症の拡大を抑制するための行動をとることができるため、感染症の拡大をより抑制することができる。
【0044】
なお、上記実施形態では、特定部42が、第1の動物の行動エリア内に位置した動物を特定する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、同じタイミングに受信した検査結果に、同じ感染症に感染した第1の動物が複数存在する場合、一例として
図10に示すように、特定部42は、複数の第1の動物の行動エリアに共通する区域を、第1の動物が感染した感染症の感染源が存在する区域として特定してもよい。この場合、特定部42は、特定した区域内に位置した動物を第2の動物として特定する。なお、
図10の例では、3頭の第1の動物の行動エリアが、それぞれ破線、一点鎖線、及び二点鎖線によって示されている。また、
図10の例では、各行動エリアに共通する区域が斜線で網掛けされた領域として示されている。
【0045】
また、上記実施形態において、通知部46は、第1の動物の移動経路と第2の動物の移動経路との重なり度合い(以下、単に「重なり度合い」という)に応じて、警告の内容を変えて感染症に関する警告を通知してもよい。この場合の具体的な警告の通知処理の例について
図11及び
図12を参照して説明する。なお、
図11及び
図12における実線の矢印は、第1の動物が感染症に感染したと推定されるタイミング以降の第1の動物の位置情報の履歴が表す第1の動物の移動経路を表す。また、
図11及び
図12における破線の矢印は、第1の動物が感染症に感染したと推定されるタイミング以降の第2の動物の位置情報の履歴が表す第2の動物の移動経路を表す。
図11及び
図12に示すように、
図11に示す例では、
図12に示す例よりも重なり度合いが高い。
【0046】
重なり度合いが
図11に示す状態である場合、通知部46は、例えば、「動物病院に必ず来院してください。」というメッセージを含む警告を通知する。一方、重なり度合いが
図12に示す状態である場合、通知部46は、例えば、「動物病院への来院を検討してください。」というメッセージを含む警告を通知する。すなわち、通知部46は、重なり度合いが高いほど強い警告を通知する。重なり度合いが高いほど第2の動物が感染症に感染している可能性が高い。従って、感染症に感染している可能性が高いほど強い警告を通知することによって、オーナーが感染症の拡大を抑制するための対処を行う可能性が高くなる結果、感染症の拡大をより抑制することができる。また、この形態例において、通知部46は、
図11及び
図12に示したような重なり度合いを表す情報も第2のオーナーに通知してもよい。この場合、第2の動物のオーナーが所持する端末装置14の表示部に、警告のメッセージに加えて、重なり度合いを表す情報も表示される。
【0047】
また、この形態例における重なり度合いとして、
図13及び
図14に示すように、第1の動物の移動経路に対応する行動エリアと、第2の動物の移動経路に対応する行動エリアとの重なり度合いを適用してもよい。なお、
図13及び
図14ともに実線が第1の動物の行動エリアを表し、破線が第2の動物の行動エリアを表している。また、
図13に示す行動エリアは、
図11に示した移動経路に対応し、
図14に示す行動エリアは、
図12に示した移動経路に対応している。
【0048】
また、この形態例における重なり度合いとして、
図10に示した各行動エリアに共通する区域と第2の動物の移動経路との重なり度合いを適用してもよい。この場合の具体的な警告の通知処理の例について
図15及び
図16を参照して説明する。なお、
図15及び
図16は、
図10に示した第1の動物の行動エリアに、第2の動物の位置情報の履歴が表す第2の動物の移動経路を表す破線の矢印を追加した図である。
図15及び
図16に示すように、
図15に示す例では、
図16に示す例よりも重なり度合いが高い。
【0049】
この場合、通知部46は、重なり度合いが
図15に示す状態の場合は、
図16に示す状態の場合よりも強い警告を通知する。すなわち、通知部46は、重なり度合いが高いほど強い警告を通知する。
【0050】
また、上記実施形態において、動物管理テーブル32のオーナー情報に、オーナーの家族に関する情報を更に記憶してもよい。この場合、通知部46は、
図7に示す警告処理のステップS18又はS20で行ったオーナーへの警告の送信を、オーナーの家族にも行ってもよい。この場合、オーナーの家族が所持する端末装置14の表示部にも
図8又は
図9に示す表示画面が表示される。この形態例では、オーナーが家に不在の場合でも、家にいる家族が他の動物への感染症の拡大を抑制する対処ができる。また、この場合における感染症の拡大を抑制する対処が完了した場合、対処した人が所持する端末装置14は、対処が完了したことを表すメッセージを、家族が所持する端末装置14に送信してもよい。
【0051】
また、上記実施形態において、例えば、取得部40、特定部42、判定部44、及び通知部46といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0052】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0053】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、情報処理プログラム30が記憶部22に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム30は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラム30は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 情報処理システム
12 情報処理装置
14 端末装置
20 CPU
21 メモリ
22 記憶部
23 表示部
24 入力部
25 ネットワークI/F
26 バス
30 情報処理プログラム
32 動物管理テーブル
34 移動履歴テーブル
36 感染症テーブル
40 取得部
42 特定部
44 判定部
46 通知部
N ネットワーク