(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-09
(45)【発行日】2022-08-18
(54)【発明の名称】高密度プラズマ化学気相堆積チャンバ
(51)【国際特許分類】
C23C 16/505 20060101AFI20220810BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220810BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20220810BHJP
【FI】
C23C16/505
H01L21/31 C
H05H1/46 L
(21)【出願番号】P 2021504228
(86)(22)【出願日】2019-07-19
(86)【国際出願番号】 US2019042684
(87)【国際公開番号】W WO2020040915
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-03-18
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, テギョン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ヤン トン
(72)【発明者】
【氏名】カオ, シェン-テー
(72)【発明者】
【氏名】ヤーダヴ, サンジェイ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】チェ, スー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】アンウォー, スハール
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0124935(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0079356(US,A1)
【文献】米国特許第06203657(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0256729(US,A1)
【文献】米国特許第05997649(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
H01L 21/31
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持部材のうちの1つ又は複数に各々が連結された複数の穿孔タイルを有するシャワーヘッドと、
複数の誘電体プレートであって、前記複数の誘電体プレートの1つが、前記複数の穿孔タイルの1つに
対向する、複数の誘電体プレートと、
複数の誘導性連結器であって、前記複数の誘導性連結器の1つの誘導性連結器が、前記複数の誘電体プレートの1つ
の誘電体プレート上に、或いは、前記複数の誘電体プレートの1つの誘電体プレートに隣接して設けられ、前記支持部材が、前記誘導性連結器と前記穿孔タイルとの間に形成される空間に前駆体ガスを供給する、複数の誘導性連結器と
を備える、プラズマ堆積チャンバ。
【請求項2】
前記複数の支持部材の各々が、前記前駆体ガスを流すための、内部に形成された導管を含む、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項3】
前記複数の支持部材の各々が、冷却剤を流すための、内部に形成された冷却剤チャネルを含む、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項4】
前記誘導性連結器がそれぞれ、各誘電体プレート上に、或いは、各誘電体プレートに隣接して設けられ、前記誘電体プレートが、前記空間の片側と境を接する、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項5】
前記複数の穿孔タイル及び前記複数の支持部材の各々が、界面部分を含む、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項6】
各界面部分が、取り外し可能なストリップを含む、請求項5に記載のチャンバ。
【請求項7】
前記複数の穿孔タイルの一部が、穿孔ストリップによって分離される、請求項1に記載のチャンバ。
【請求項8】
各穿孔ストリップが、界面部分によって前記複数の支持部材の1つの支持部材に連結される、請求項7に記載のチャンバ。
【請求項9】
各界面部分が、取り外し可能なストリップを含む、請求項8に記載のチャンバ。
【請求項10】
プラズマ堆積チャンバのためのシャワーヘッドであって、
複数の第1の支持面と複数の第2の支持面とを備える支持部材であって、前記複数の第1の支持面が、第1の方向に、前記複数の第2の支持面から第1の距離に配置される、支持部材と、
複数の穿孔タイルと複数の誘電体プレートとを備える複数のガス供給アセンブリであって、前記複数のガス供給アセンブリの各々が、
前記複数の第1の支持面の1つの第1の支持面上に配置された穿孔タイルと、
前記複数の第2の支持面の1つの第2の支持面上に配置された誘電体プレートと
、
を備え、
ガス空間が、前記誘電体プレートの表面と前記穿孔タイルの表面との間に画定される、複数のガス供給アセンブリと、
複数のガス供給ポートであって、各ガス供給ポートが、前記複数のガス供給アセンブリのガス空間にガスを供給するように構成される、複数のガス供給ポートと、
前記シャワーヘッド内の前記複数のガス供給アセンブリの1つ又は複数の上に配置されたコイルと
、
を備える、シャワーヘッド。
【請求項11】
前記支持部材が、前駆体ガスを流すための、内部に形成された導管を含む、請求項10に記載のシャワーヘッド。
【請求項12】
前記支持部材が、冷却剤を流すための、内部に形成された冷却剤チャネルを含む、請求項10に記載のシャワーヘッド。
【請求項13】
前記誘電体プレートが、前記ガス空間の片側と境を接する、請求項10に記載のシャワーヘッド。
【請求項14】
前記複数の穿孔タイル及び前記支持部材の各々が、界面部分を含む、請求項10に記載のシャワーヘッド。
【請求項15】
各界面部分が、取り外し可能なストリップを含み、前記複数の穿孔タイルの一部が、穿孔ストリップによって分離される、請求項14に記載のシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、大面積基板を処理するための装置に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、デバイス製造のための化学気相堆積システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]ソーラーパネル又はフラットパネルのディスプレイ製造において、基板(半導体基板、ソーラーパネル基板、並びに液晶ディスプレイ(LCD)及び/又は有機発光ダイオード(OLED)の基板など)に薄膜を堆積させ、その基板上に電子デバイスを形成するために、多くのプロセスが採用される。概して、堆積は、温度制御された基板支持体の上に配置された基板を有する真空チャンバ内に前駆体ガスを導入することによって、実現される。前駆体ガスは、通常、真空チャンバの上部付近に位置するガス供給プレートを通して方向付けられる。真空チャンバ内の前駆体ガスは、チャンバに連結された1つ又は複数のRF源からチャンバ内に配置された導電性シャワーヘッドに高周波(RF)を印加することによって、プラズマ内にエネルギー供給(例えば、励起)されうる。励起されたガスは反応して、温度制御された基板支持体の上に配置された基板の表面に材料の層を形成する。
【0003】
[0002]電子デバイスを形成するための基板のサイズは、現在、常に表面積が1平方メートルを超えている。これらの基板全域で膜の厚さの均一性を実現することは困難である。膜の厚さの均一性は、基板サイズが大きくなるにつれて更に困難になる。従来、プラズマは、ガス原子をイオン化し、堆積ガスのラジカルを形成するための従来のチャンバ内で形成され、堆積ガスのラジカルは、容量性連結電極構成を使用して、このサイズの基板上に膜層を堆積させるのに有用である。最近、円形の基板又はウエハの上への堆積でこれまで利用されてきた誘導結合のプラズマ構造への関心が、これらの大型基板のための堆積プロセスで使用するために研究されている。しかしながら、誘導結合は、構造的支持構成要素として誘電体材料を利用し、これらの材料は、大気側のチャンバの大面積構造部分の片側に対する大気圧の存在によって生じる構造的負荷に耐え、これらのより大きな基板のための従来のチャンバで使用される、その他の側の真空圧条件に対する構造的強度を有していない。したがって、誘導結合のプラズマシステムは、大面積基板プラズマプロセスのために開発されつつある。しかしながら、プロセスの均一性、例えば、大型基板にわたる堆積厚さの均一性は、望ましくない。
【0004】
[0003]したがって、基板の堆積表面全体にわたって膜の厚さの均一性を改善するように構成された大面積基板上で使用するための誘導結合のプラズマ源が必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
[0004]本開示の実施形態は、シャワーヘッド、及び大面積基板上に膜の1つ又は複数の層を形成することができる、シャワーヘッドを有するプラズマ堆積チャンバための方法及び装置を含む。
【0006】
[0005]1つの実施形態では、複数の支持部材のうちの1つ又は複数に各々が連結された複数の穿孔タイルと、シャワーヘッド内の複数の誘導性連結器を含み、複数の誘導性連結器の1つの誘導性連結器が、複数の穿孔タイルの1つに対応し、支持部材が、誘導性連結器と穿孔タイルとの間に形成される空間(volume)に前駆体ガスを供給する、プラズマ堆積チャンバのためのシャワーヘッドが提供される。
【0007】
[0006]別の実施形態では、複数の穿孔タイルを有するシャワーヘッドと、複数の穿孔タイルの1つ又は複数に対応する誘導性連結器と、穿孔タイルの各々を支持するための複数の支持部材とを含み、支持部材の1つ又は複数が、誘導性連結器と穿孔タイルとの間に形成される空間に前駆体ガスを供給する、プラズマ堆積チャンバが提供される。
【0008】
[0007]別の実施形態では、複数の支持部材のうちの1つ又は複数に各々が連結された複数の穿孔タイルを有するシャワーヘッドと、複数の誘電体プレートであって、複数の誘電体プレートの1つが、複数の穿孔タイルの1つに対応する、複数の誘電体プレートと、複数の誘導性連結器であって、複数の誘導性連結器の1つの誘導性連結器が、複数の誘電体プレートの1つに対応し、支持部材が、誘導性連結器と穿孔タイルとの間に形成される空間に前駆体ガスを供給する複数の誘導性連結器とを含む、プラズマ堆積チャンバが提供される。
【0009】
[0008]別の実施形態では、基板の上に膜を堆積させるための方法であって、シャワーヘッドの複数のガス空間に前駆体ガスを流すことであって、ガス空間の各々が、それぞれのガス空間に電気的に連通する穿孔タイル及び誘導性連結器を含む、前駆体ガスを流すことと、ガス空間の各々への前駆体ガス流を変化させることとを含む方法が、提供される。
【0010】
[0009]本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、それらの実施形態の一部が添付図面に示される。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、添付の図面が本開示の典型的な実施形態を例示しているにすぎず、よって本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0010]本発明の1つの実施形態による例示的な処理チャンバを示す側断面図である。
【
図2A】[0011]
図1のリッドアセンブリの一部の拡大図である。
【
図2B】[0012]コイルの1つの実施形態の上面図である。
【
図3A】[0013]シャワーヘッドのフェースプレートの1つの実施形態の底面図である。
【
図3B】[0014]シャワーヘッドのフェースプレートの別の実施形態の部分底面図である。
【
図4】[0015]シャワーヘッドの流量制御の別の実施形態を示す概略底面図である。
【
図5】[0016]シャワーヘッドの支持フレームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0017]理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。具体的な記述がなくとも、1つの実施形態で開示される要素は、他の実施形態で有益に利用されうると考えられる。
【0013】
[0018]本開示の実施形態は、大面積基板上に複数の層を堆積させるように動作可能な処理システムを含む。本明細書で使用される大面積基板は、通常、約1平方メートル以上の表面積を有する基板などの大面積基板である。しかしながら、基板は、いかなる特定のサイズ又は形状にも限定されない。1つの態様では、「基板」という用語は、例えば、フラットパネルディスプレイの製造に使用されるガラス又はポリマー基板などの、任意の多角形、正方形、長方形、湾曲、又は他の非円形の被加工物を指す。
【0014】
[0019]本明細書では、シャワーヘッドは、処理ゾーン内のガスに曝露される基板の表面の処理の均一性を改善するために、複数の独立して制御されるゾーン内のチャンバの処理空間内に、シャワーヘッドを通ってガスを流すよう構成される。加えて、各ゾーンは、プレナムと、プレナムとチャンバの処理空間との間の1つ又は複数の穿孔プレートと、ゾーン又は個々の穿孔プレート専用のコイル又はコイルの一部とを備えて構成される。プレナムは、誘電体窓、穿孔プレートと周囲の構造との間に形成される。各プレナムは、処理ガス(複数可)をそこに流入させ、分散させ、穿孔プレートを通って処理空間にガスの比較的均一な流量、又は場合によっては調整された流量をもたらすように構成される。プレナムは、好ましくは、プレナム内の処理ガスの圧力で処理ガスから形成されるプラズマの暗黒空間の厚さの2倍未満の厚さを有している。誘導性連結器は、好ましくはコイルの形状で、誘電体窓の後方に配置され、誘電体窓、プレナム及び穿孔プレートを通してエネルギーを誘導結合し、処理空間内のプラズマに衝突し、それを支持する。加えて、隣接する穿孔プレートの間の領域において、追加の処理ガス流が供給される。各ゾーン内及び穿孔プレート間の領域を通る処理ガス(複数可)の流れは、基板上に所望のプロセス結果を達成するために、均一な又は調整されたガス流をもたらすように制御される。
【0015】
[0020]本開示の実施形態は、基板上に1つ又は複数の層又は膜を形成するように動作可能な高密度プラズマ化学気相堆積(HDP CVD)処理チャンバを含む。本明細書に開示される処理チャンバは、プラズマ中で生成される前駆体ガスのエネルギー供給された種を供給するように適合される。プラズマは、真空下でエネルギーをガスに誘導結合することによって生成されうる。本明細書に開示される実施形態は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社の子会社であるAKTアメリカ社から入手可能なチャンバでの使用に適合されうる。本明細書で検討される実施形態は、他の製造会社から入手可能なチャンバでも実行されうると理解すべきである。
【0016】
[0021]
図1は、本開示の1つの実施形態による、例示的な処理チャンバ100を示す側断面図である。例示的な基板102は、チャンバ本体104内に示される。処理チャンバ100はまた、リッドアセンブリ106、及びペデスタル又は基板支持アセンブリ108も含む。リッドアセンブリ106は、チャンバ本体104の上端に配置され、基板支持アセンブリ108は、チャンバ本体104内に少なくとも部分的に配置される。基板支持アセンブリ108は、シャフト110に連結されている。シャフト110は、チャンバ本体104内で基板支持アセンブリ108を垂直に(Z方向に)移動させるドライバ112に連結されている。
図1に示す処理チャンバ100の基板支持アセンブリ108は、処理位置にある。しかしながら、基板支持アセンブリ108は、移送ポート114に隣接する位置までZ方向に下降されてもよい。下降されると、基板支持アセンブリ108内に移動可能に配置されたリフトピン116は、チャンバ本体104の底部118に接触する。リフトピン116が底部118に接触すると、リフトピン116は、基板支持アセンブリ108と共に下方に移動することができなくなり、基板支持アセンブリ108の基板受容面120がそこから下方に移動する際に、基板102を固定位置に維持する。その後、エンドエフェクタ又はロボットブレード(図示せず)が、移送ポート114を通って、基板102と基板受容面120との間に挿入され、基板102をチャンバ本体104から移送する。
【0017】
[0022]リッドアセンブリ106は、チャンバ本体104上に載置されるバッキング板122を含みうる。リッドアセンブリ106はまた、ガス分配アセンブリ又はシャワーヘッド124も含む。シャワーヘッド124は、ガス源からの処理ガスをシャワーヘッド124と基板102との間の処理領域126に供給する。シャワーヘッド124はまた、フッ素含有ガスなどの洗浄ガスを処理領域126に供給する洗浄ガス源にも連結される。
【0018】
[0023]シャワーヘッド124はまた、プラズマ源128としても機能する。プラズマ源128として機能するために、シャワーヘッド124は、1つ又は複数の誘導結合のプラズマ発生構成要素、すなわちコイル130を含む。1つ又は複数のコイル130の各々は、単一のコイル130、2つのコイル130、又は3つ以上のコイル130とすることができ、以下では単にコイル130と記載する。1つ又は複数のコイル130の各々は、電源及び接地133にわたって連結されている。シャワーヘッド124はまた、複数の別個の穿孔タイル134を含むフェースプレート132を含む。電源は、コイル130の電気的特性を調整するための整合回路又は同調能力を含む。
【0019】
[0024]穿孔タイル134の各々は、複数の支持部材136によって支持されている。1つ又は複数のコイル130の各々、又は1つ又は複数のコイル130の部分は、それぞれの誘電体プレート138上又はその上方に位置付けられる。リッドアセンブリ106内の誘電体プレート138の上方に配置されるコイル130の一例が、
図2Aに更に明確に示されている。複数のガス空間(gas volume)140は、誘電体プレート138、穿孔タイル134及び支持部材136の表面によって画定される。1つ又は複数のコイル130の各々は、ガスがガス空間140に流入し、隣接する穿孔タイルを通ってチャンバ空間(chamber volume)内に流入すると、ガス空間140の下方の処理領域126内のプラズマ内に、処理ガスにエネルギー供給する電磁場を生成するように構成され、ガス源からの処理ガスは、支持部材136内の導管を介してガス空間140の各々に供給される。シャワーヘッドに出入りするガスの体積又は流量は、シャワーヘッド124の異なるゾーンで制御される。処理ガスのゾーン制御は、
図1に示される質量流量コントローラ142、143及び144のような複数の流量コントローラによって提供される。例えば、シャワーヘッド124の周辺ゾーン又は外側ゾーンへのガスの流量は、流量コントローラ142、143によって制御され、一方、シャワーヘッド124の中央ゾーンへのガスの流量は、流量コントローラ144によって制御される。チャンバ洗浄が必要な場合、洗浄ガス源からの洗浄ガスが、ガス空間140の各々に流れ、次いで、処理空間140に流れ、そこで洗浄ガスは、イオン、ラジカル、又はその両方に励起される。エネルギー供給された洗浄ガスは、チャンバ部品を洗浄するために、穿孔タイル134を通って処理領域126に流入する。
【0020】
[0025]
図2Aは、
図1のリッドアセンブリ106の一部の拡大図である。先ほど説明したように、ガス源からの前駆体ガスは、バッキング板122を通って形成される第1の導管200を通り、ガス空間140に至る。第1の導管200の各々は、支持部材136に形成された第2の導管205に連結される。第2の導管205は、開口部210において前駆体ガスをガス空間140に供給する。第2の導管205の一部は、2つの隣接するガス空間140にガスを供給する(第2の導管205のうちの1つが、
図2Aに破線で示される)。代表的なガス空間140へのガス流は、
図4により明確に示される。第2の導管205は、ガス空間140への流れを制御するための流量絞り機構215を含みうる。流量絞り機構215のサイズは、そこを通るガス流を制御するために変化させてもよい。例えば、流量絞り機構215の各々は、流量を制御するために利用される特定のサイズ(例えば、直径)のオリフィスを含む。更に、流量絞り機構215の各々は、それを通る流量を制御するために、必要に応じて、より大きなオリフィス寸法、又はより小さなオリフィス寸法を提供するよう、必要に応じて、変化させてもよい。
【0021】
[0026]
図2Aに示されるように、穿孔タイル134は、それを通って延びる複数の開口部220を含む。複数の開口部220の各々は、ガスが、ガス空間140と処理領域126との間を延びる開口部220の直径に起因する所望の流量で、ガス空間140から処理領域126に流入できるようにする。開口部220、及び/又は開口部220の行及び列は、穿孔タイル134の1つ又は複数内の開口部220の各々を通るガス流を均等にするために、異なる大きさ及び/又は異なる間隔にしてもよい。代替的には、開口部220の各々からのガス流は、所望のガス流特性に応じて、不均一であってもよい。
【0022】
[0027]穿孔タイル134に加えて、フェースプレート132は、穿孔タイル134の側面に沿って延びる複数の穿孔ストリップ225を含む。複数の穿孔ストリップ225の各々は、ガスが、第2の導管205から二次プレナム235に流入し、次いで処理領域126に流入し、エネルギーが供給されプラズマ内に流入できるようにする複数の開口部230を含む。
【0023】
[0028]支持部材136は、ボルト又はねじのような締め具240によってバッキング板122に連結される。支持部材136の各々は、界面部分245で穿孔タイル134を支持する。界面部分245の各々は、穿孔タイル134の周辺又はエッジの一部を支持するレッジ又は棚でありうる。いくつかの実施形態では、界面部分245は、取り外し可能なストリップ250を含む。取り外し可能なストリップ250は、ボルト又はねじのような締め具(図示せず)によって支持部材136に締結される。界面部分245の一部はL字形であり、一方、界面部分245の別の部分はT字形である。界面部分245の各々はまた、穿孔ストリップ225の周辺又はエッジを支持する。1つ又は複数のシール265が、ガス空間140を密閉するために利用される。例えば、シール265は、Oリングシール又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ジョイントシーラント材料などのエラストマ材料である。1つ又は複数のシール265は、支持部材136と、穿孔タイル134及び穿孔ストリップ225との間に設けられうる。取り外し可能なストリップ250は、穿孔ストリップ225及び穿孔タイル134の一方又は両方を支持部材136上に支持するために利用される。取り外し可能なストリップ250は、必要に応じて、取り外し、穿孔ストリップ225及び穿孔タイル134の一方又は両方を交換することができる。
【0024】
[0029]加えて、支持部材136の各々は、そこから延びる棚270(
図2Aに示される)を利用して、誘電体プレート138を支持する。シャワーヘッド124/プラズマ源128の実施形態では、誘電体プレート138は、シャワーヘッド124/プラズマ源128全体の表面積と比較して、横方向の表面積(X-Y平面)が小さい。誘電体プレート138を支持するために、棚270が利用される。複数の誘電体プレート138の低減された横方向の表面積により、大気圧負荷を支持する大面積に基づき、その内部に大きな応力を加えることなく、ガス空間140及び処理領域126内の真空環境及びプラズマと、隣接するコイル130が通常配置される大気環境との間の物理的バリアとして、誘電体材料が使用できるようになる。
【0025】
[0030]シール265は、(大気圧又はほぼ大気圧で)空間275を、ガス空間140(処理中にミリトール以下の範囲より低いの大気圧にある)から密閉するために使用される。界面部材280は、支持部材136から延びるように示されており、締め具285は、シール265及び棚270に対して誘電体プレート138を固定する、すなわち押圧するために利用される。また、シール265は、穿孔タイル134の外周と支持部材136との間の空間を密閉するために利用されてもよい。
【0026】
[0031]シャワーヘッド124/プラズマ源128の材料は、電気的特性、強度及び化学的安定性のうちの1つ又は複数に基づいて選択される。コイル130は、導電性材料で作られる。バッキング板122及び支持部材136は、支持される構成要素の重量及び大気圧負荷を支持することができる材料で作られ、この材料は、金属又は他の類似の材料を含みうる。バッキング板122及び支持部材136は、アルミニウム材料のような非磁気材料(例えば、非常磁気又は非強磁気材料)で作ることができる。取り外し可能なストリップ250はまた、アルミニウムといった金属材料、又はセラミック材料(例えば、アルミナ(Al2O3)若しくはサファイア(Al2O3))などの非磁気材料で形成される。穿孔ストリップ225及び穿孔タイル134は、石英、アルミナ又は他の類似の材料のようなセラミック材料で作られる。誘電体プレート138は、石英、アルミナ又はサファイア材料で作られる。
【0027】
[0032]いくつかの実施形態では、支持部材136は、内部に1つ又は複数の冷却剤チャネル255を含む。1つ又は複数の冷却剤チャネル255は、冷却剤チャネル255に冷却剤媒体を供給するように構成された流体源260に流体連結される。
【0028】
[0033]
図2Bは、リッドアセンブリ106内に見られる誘電体プレート138上に位置決めされたコイル130の1つの実施形態の上面図である。1つの実施形態では、図示されたコイル構成が誘電体プレート138の各々の上に個々に形成され、よって、各平面コイルがシャワーヘッド124にわたって所望のパターンで隣接して配置されたコイル130と直列に接続されるように、
図2Bに示すコイル130の構成が使用されうる。コイル130は、長方形の螺旋形状である導体パターン290を含む。電気的接続は、電気入力端子295A及び電気出力端子295Bを含む。シャワーヘッド124の1つ又は複数のコイル130の各々は、直列及び/又は並列に接続される。
【0029】
[0034]
図3Aは、シャワーヘッド124のフェースプレート132の1つの実施形態の底面図である。上述のように、シャワーヘッド124は、1つ又は複数のゾーンを含むように構成され、各々に独立して制御されたガス流が含まれる。例えば、フェースプレート132は、中央ゾーン300Aと、中間ゾーン300Bと、1つ又は複数の外側ゾーン300C及び300Dとを含む。ゾーンへのガス流は、フローコントローラ142、143及び144(
図1に示される)によって制御される。
【0030】
[0035]
図3Bは、シャワーヘッド124のフェースプレート132の別の実施形態の部分的な底面図である。この実施形態では、穿孔タイル134は、穿孔ストリップ225によって支持される。締め具305は、穿孔ストリップ225及び取り外し可能なストリップ250を支持部材136に固定するために利用されるが、これらは、穿孔ストリップ225及び取り外し可能なストリップ250の背後にあるので、この図には示されていない。
【0031】
[0036]
図4は、シャワーヘッド124の別の実施形態を示す概略底面図であり、シャワーヘッド124内に形成されたガス空間140へのガス流注入パターンを示す。基板の長さ400及び幅405は、シャワーヘッド124の側面に示されている。ガス空間140への前駆体の流れは、矢印410によって示されるように一方向に、又は矢印415によって示されるように双方向に提供されうる。前駆体フロー制御は、フローコントローラ142、143及び144(
図1に示される)によって提供されうる。加えて、エッジゾーン420、コーナーゾーン425、及び中央ゾーン430などのガス流ゾーンが、流量コントローラ142、143、及び144(
図1に示される)によって提供されうる。ガス空間140及び/又はゾーンの各々への前駆体の流量は、開口部220、開口部230、及び流量絞り機構215(すべて
図2Aに示される)のうちの1つ又は組み合わせのサイズを変化させることによって調節されうる。
【0032】
[0037]ガス空間140の各々への流量は、同じであっても異なっていてもよい。ガス空間140への流量は、
図1に示す質量流量コントローラ142、143及び144によって制御されうる。ガス空間140への流量は、上述のように流量絞り機構215のサイジングによって更に制御されうる。処理領域126への流量は、穿孔タイル134の開口部220のサイズ、並びに穿孔ストリップ225の開口部230のサイズによって制御されうる。必要に応じて、処理領域126への十分なガス流を提供するために、ガス空間140への双方向流又は一方向流が利用される。
【0033】
[0038]ガス流を制御する方法は、1)質量流量コントローラ142、143及び144からの異なる流量を使用するマルチゾーン(中心/エッジ/コーナー/任意の他のゾーン)制御、2)異なるオリフィスサイズ(流量絞り機構215のサイズ)による流量制御、3)ガス空間140への流れ方向制御(一方向又は双方向)、並びに、4)穿孔タイル134の開口部220のサイズ、穿孔タイル134の開口部220の数及び/又は穿孔タイル134の開口部220の位置による流量制御を含む。
【0034】
[0039]
図5は、
図1に示す断面線から見た支持フレーム500の底部断面図である。支持フレーム500は、複数の支持部材136からなる。
図5の図における支持フレーム500は、流量絞り機構215の様々な直径(オリフィスサイズ)を明らかにする第2の導管205の一部に沿って切断される。1つの実施形態では、流量絞り機構215の各々の様々なオリフィスは、所望のガス流特性に基づいて、変更又は構成されうる。
【0035】
[0040]この実施形態では、流量絞り機構215の各々は、第1の直径部分505と、第2の直径部分510と、第3の直径部分515とを含む。第1の直径部分505、第2の直径部分510、及び第3の直径部分515の直径の各々は、異なるか、又は同じである。直径の各々は、シャワーヘッド124の所望の流れ特性に基づいて選択されうる。1つの実施形態では、ここでの第1の直径部分505は、最小の直径を有し、ここでの第3の直径部分515は、最大の直径を有し、第2の直径部分510は、第1の直径部分505と第3の直径部分515との間の直径を有する。図示された実施形態では、第1の直径部分505を有する複数の流量絞り機構215が、支持フレーム500の中央部分に示される一方、第3の直径部分515を有する複数の流量絞り機構215が、支持フレーム500の外側部分に示される。
【0036】
[0041]加えて、第2の直径部分510を有する複数の流量絞り機構215が、中央部分と外側部分との間の中間ゾーンに示されている。他の実施形態において、第1の直径部分505、第2の直径部分510、及び第3の直径部分515を有する流量絞り機構215の位置は、
図5に示されるように、支持フレーム500の部分において逆になりうる。代替的には、第1の直径部分505、第2の直径部分510、及び第3の直径部分515を有する流量絞り機構215は、ガス空間140を通した所望の特性及び制御に応じて、支持フレーム500の様々な部分に配置されうる。いくつかの実施例では、シャワーヘッド124にわたる均一なガス流が望ましいことがある。しかしながら、他の実施形態では、シャワーヘッド124のガス空間140の各々へのガス流は、均一でなくてもよい。不均一なガス流は、処理チャンバ100の何らかの物理的構造及び/又は形状寸法に起因しうる。例えば、シャワーヘッド124の他の部分におけるガス流と比較して、移送ポート114(
図1に示す)に隣接するシャワーヘッド124の部分において、より多くのガス流を有することが望ましいことがある。
【0037】
[0042]本開示の実施形態は、シャワーヘッド、及び大面積基板上に膜の1つ又は複数の層を形成することができる、シャワーヘッドを有するプラズマ堆積チャンバのための方法及び装置を含む。プラズマ均一性並びにガス(又は前駆体)流は、個々の穿孔タイル134、穿孔タイル134のうちのコイル130専用の特定のもの、及び/又は流量コントローラ142、143、及び144、並びに流量絞り機構215の様々なサイズ及び/又は位置の構成の組み合わせによって制御される。
【0038】
[0043]上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が、その基本的な範囲から逸脱せずに考案されてもよく、その範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。