(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/551 20060101AFI20220812BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
A61F13/551 200
A61F13/56 110
(21)【出願番号】P 2018077193
(22)【出願日】2018-04-12
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 瑶介
(72)【発明者】
【氏名】黒田 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】野田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 青
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/221941(WO,A1)
【文献】特開2001-095847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向と、
前記前後方向に直交する幅方向と、
表面シート、裏面シート及び吸収コアを有する本体部と、
前記裏面シートに配置され、着用物品に吸収性物品を接合する粘着部と、
後処理用のテープ部材と、を有し、
前記テープ部材は、
前記本体部に固定された固定領域と、
前記本体部に固定されていなく、かつ伸長方向に伸長可能な非固定領域と、を有し、
前記テープ部材の前記非固定領域は、第1層と、前記第1層
の非肌面対向面側に配置された第2層と、を有し、
前記非固定領域の少なくとも前記第2層は、前記吸収性物品の使用後に前記粘着部に止着可能に構成されており、
前記テープ部材
が伸長した伸長状態において、前記第2層が開裂した開裂領域と、前記第2層が開裂していない非開裂領域と、が交互に複数設けられており、
前記第1層は、前記開裂領域と前記非開裂領域の両方に重なっており、
前記伸長状態における前記第1層に対する前記第2層の面積比率は、前記非固定領域が伸長していない自然状態の前記第1層に対する前記第2層の面積比率よりも低い、吸収性物品。
【請求項2】
前記裏面シートと前記第2層との色差ΔEは、3.0以上である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1層は、前記裏面シートに対向して配置され、かつ前記固定領域において前記裏面シートに固定されており、
前記テープ部材の前記非固定領域は、前記固定領域を基点に折り返し可能に構成されており、
前記第2層は、前記非固定領域が前記固定領域を基点に折り返された状態で前記粘着部に止着する、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第1層は、フィルムによって構成され、
前記第2層は、インクと香料を有する印刷層によって構成されている、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記伸長状態において前記第1層に対する前記第2層の接合力は、前記自然状態における前記第1層に対する前記第2層の接合力よりも低い、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第2層は、インクを有する印刷層によって構成されて
いる、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、後処理用のカバーシートを備えた吸収性物品を開示している。特許文献1のカバーシートは、吸収性物品の裏面に固着されている。カバーシート又は吸収性物品の裏面には、粘着部が設けられている。吸収性物品を丸めた状態でカバーシートを巻きつけ、粘着部を介してカバーシートを吸収性物品の裏面に接着させることにより、使用後に吸収性物品を丸めた状態で廃棄できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吸収性物品は、廃棄時にカバーシートを吸収性物品の裏面に接着し、吸収性物品を丸めた状態を維持する。しかし、使用者によっては、吸収性物品を適切に丸めることができなかったり、カバーシートを適切な位置に接着できなかったりして、カバーシートの接着を失敗することがある。このような場合に、カバーシートと吸収性物品の裏面を剥離することができず、再度カバーシートを吸収性物品の裏面に接着できないことがあった。
【0005】
したがって、後処理用のテープ部材を繰り返し止めることができ、廃棄時にテープ部材によって清潔に廃棄できる吸収性物品が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、表面シート、裏面シート及び吸収コアを有する本体部と、前記裏面シートに配置され、着用物品に吸収性物品を接合する粘着部と、後処理用のテープ部材と、を有し、前記テープ部材は、前記本体部に固定された固定領域と、前記本体部に固定されていなく、かつ伸長方向に伸長可能な非固定領域と、を有し、前記テープ部材の前記非固定領域は、第1層と、前記第1層に重なる第2層と、を有し、前記非固定領域の少なくとも前記第2層は、前記吸収性物品の使用後に前記粘着部に止着可能に構成されており、前記テープ部材が伸長した伸長状態の前記第1層に対する前記第2層の面積比率は、前記非固定領域が伸長していない自然状態の前記第1層に対する前記第2層の面積比率よりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、肌対向面側から見た実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
【
図2】
図2は、非肌対向面側から見た実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すA-A線に沿った吸収性物品の断面図である。
【
図4】
図4は、前後方向に巻かれた状態の吸収性物品の斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係るテープ部材の模式断面図である。
【
図6】
図6は、テープ部材の第2面側(非肌対向面側)の平面を模式的に示した図である。
【
図7】
図7は、テープ部材の平面図の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、変形例に係るテープ部材の模式断面図である。
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、表面シート、裏面シート及び吸収コアを有する本体部と、前記裏面シートに配置され、着用物品に吸収性物品を接合する粘着部と、後処理用のテープ部材と、を有し、前記テープ部材は、前記本体部に固定された固定領域と、前記本体部に固定されていなく、かつ伸長方向に伸長可能な非固定領域と、を有し、前記テープ部材の前記非固定領域は、第1層と、前記第1層に重なる第2層と、を有し、前記非固定領域の少なくとも前記第2層は、前記吸収性物品の使用後に前記粘着部に止着可能に構成されており、前記テープ部材が伸長した伸長状態の前記第1層に対する前記第2層の面積比率は、前記非固定領域が伸長していない自然状態の前記第1層に対する前記第2層の面積比率よりも低い。
【0009】
使用者は、吸収性物品の使用後に、テープ部材の非固定領域を粘着部に止着し、吸収性物品を丸めた状態等の廃棄状態で吸収性物品を維持することができる。このとき、使用者は、非固定領域を伸長した伸長状態で、第2層を粘着部に止着できる。伸長状態では、自然状態よりも第1層に対する第2層の面積比率が低い。この面積比率の違いは、伸長時に第1層が伸長し易く、第2層が伸長し難いことによって生じる。よって、伸長状態では、自然状態と比較して、第1層のみが配置された領域(第1層が配置され、第2層が配置されてない領域)が多く形成される。第1層のみが配置された領域は、第1層と第2層が配置された領域と比較して厚みが薄く、粘着部に対する接触面積が少なく、粘着部に対する接合力が低くなり易い。よって、テープ部材の接着を失敗した場合であっても、テープ部材を粘着部から容易に剥がし、繰り返し粘着部に止めることができる。その結果、廃棄時にテープ部材によって清潔に廃棄できる。
【0010】
一態様に係る吸収性物品は、前記裏面シートと前記第2層との色差ΔEは、3.0以上であってよい。
【0011】
裏面シートの粘着部に第2層が付着した際に、使用者は、第2層と裏面シートを区別して認識し易くなる。よって、使用者は、テープ部材を付け直す際に粘着部に残った第2層を目印にして、付け直すことができる。
【0012】
前記第1層は、前記裏面シートに対向して配置され、かつ前記固定領域において前記裏面シートに固定されており、前記テープ部材の前記非固定領域は、前記固定領域を基点に折り返し可能に構成されており、前記第2層は、前記非固定領域が前記固定領域を基点に折り返された状態で前記粘着部に止着してよい。
【0013】
第1層は、固定領域において裏面シートと固定している。第1層は、伸長時に延び易く、裏面シートと第1層の接触面積を確保し易い。よって、裏面シートとテープ部材の固定領域による固定状態を維持し易い。
【0014】
前記第2層は、前記裏面シートに対向して配置され、かつ前記固定領域において前記裏面シートに固定されており、前記固定領域は、前記テープ部材の幅方向に延びており、前記固定領域の前記幅方向の長さは、前記第2層の前記幅方向の長さよりも長くてよい。
【0015】
第2層は、伸長時に第1層よりも伸び難い。よってテープ部材が伸長した状態の伸長方向に沿った断面は、第2層が内側に位置する円弧状となる。一般的に、吸収性物品の廃棄時は、吸収性物品を丸めた状態でテープ部材を本体部に止める。このとき、粘着部に止着する面(第2層が配置された面)が内側となる円弧状にテープ部材が変形することにより、テープ部材が本体部に沿い易く、テープ部材を本体部に止着し易くなる。また、固定領域の幅方向の長さは、第2層の幅方向の長さよりも長いため、固定領域が第2層よりも延出している。当該延出した領域では、第1層と裏面シートが固定し、固定領域における固定強度を確保できる。
【0016】
前記第1層は、フィルムによって構成され、前記第2層は、インクと香料を有する印刷層によって構成されてよい。
【0017】
インクを有する第2層によってテープ部材が目立ち、テープ部材を粘着部に止着する際の目安となり易い。テープ部材を繰り返し止める際の操作性が向上し、意図した位置にテープ部材を止めやすくなる。また、第2層に香料が含まれているため、一旦粘着部に第2層を止めて剥がした際に、第2層の香料が放出される。使用者がテープ部材の止着を失敗し、落ち込んだ気持ちを香料によって和らげることができ、吸収性物品の廃棄時の心理的な負担を軽減できる。
【0018】
前記伸長状態において前記第1層に対する前記第2層の接合力は、前記自然状態における前記第1層に対する前記第2層の接合力よりも低くてよい。
【0019】
伸長状態において第1層に対する第2層の接合力が低いため、伸長状態の第2層が粘着部に止着した後に第2層を粘着部から剥がした際に、第1層と第2層が分離し、第2層の少なくとも一部が粘着部に止着し続けることがある。第2層の少なくとも一部が粘着部に止着し続けると、使用者は、テープ部材を付け直す際に粘着部に残った第2層を目印にして、付け直すことができる。よって、テープ部材の止着を失敗した場合であっても、適切な位置に再度テープ部材を付けることができ、廃棄時にテープ部材によって清潔に廃棄できる。また、第1層と第2層が分離し、第2層の少なくとも一部が粘着部に止着し続けることにより、一旦粘着部に止着したテープ部材を剥がす際の力が弱くなる。よって、テープ部材の接着を失敗した場合であっても、テープ部材を粘着部から容易に剥がし、繰り返し粘着部に止めることができる。
【0020】
第2層は、インクを有する印刷層によって構成されており、前記第2層は、前記伸長状態において、開裂が形成された領域と、開裂が形成されていない領域と、が設けられてよい。
【0021】
使用者は、開裂が形成された領域を視認することによってテープ部材が伸長状態であることを把握でき、テープ部材を円滑に操作できる。また、開裂が形成された領域は、第2層が分裂しており、第1層に対して浮き上がって第1層に対する接合力が低い領域である。開裂が形成された領域は、一旦粘着部に止着した際に粘着部に残り易い。一方、開裂が形成されていない領域は、第2層が開裂してなく、第1層に対する接合力が高い領域である。開裂が形成されていない領域は、一旦粘着部に止着した際に粘着部に残り難く、第1層とともに粘着部から剥がれやすい。よって、再度テープ部材を止着する際に、開裂が形成されていない領域によってテープ部材の視認性を確保できる。開裂が形成された領域と開裂が形成されていない領域を有することにより、テープ部材の止着を失敗した場合に、粘着部に残った第2層を目印にして、付け直すことができる。
【0022】
(2)吸収性物品の構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品ついて説明する。吸収性物品は、生理用ナプキン、テープ型の使い捨ておむつ、パンツ型の使い捨ておむつ、パンティライナー、母乳パッド、大人用失禁パッド、糞便パッド又は汗取りシートのような吸収性物品であってよい。吸収性物品は、下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。
【0023】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0024】
図1は、肌対向面側から見た第1実施形態に係る吸収性物品10の平面図である。
図2は、非肌対向面側から見た第1実施形態に係る吸収性物品10の平面図である。ここで、「肌対向面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌対向面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。
図3は、
図1に示すA-A線に沿った断面図であり、
図4は、前後方向に巻かれた状態の吸収性物品の斜視図である。なお、説明の便宜上、
図2においては、
図1に示す包装シートを省略している。
【0025】
吸収性物品10は、前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、着用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は着用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、前後方向Lと直交する方向である。
【0026】
吸収性物品10は、本体部20と、後処理用のテープ部材60と、を有する。本体部20は、着用者の肌に向けられる表面シート21と、着用者の肌とは反対側に向けられる裏面シート22と、表面シート21と裏面シート22の間に配置された吸収コア23と、を含む。表面シート21は、使用中に着用者の肌の方に向く。裏面シート22は、使用中に、着用者の肌とは反対側に向けられる。吸収コア23は、体液を吸収する吸収材料を含み、吸収性物品10の前後方向Lに沿って延びている。
【0027】
本体部20は、ウイング40及びヒップフラップ50を有していてもよい。ウイング40は、使用時に着用物品のクロッチ部の非肌対向面側に折り返される。ヒップフラップ50は、ウイング40よりも後方で、幅方向Wに膨らんだ部分である。ヒップフラップ50は、幅方向Wにおける吸収コア23の外縁よりも外側に膨らんだ部分である。
【0028】
本体部20は、使用中に着用者の排泄口(例えば膣口)に対向する排泄口対向域S1を有する。排泄口対向域S1は、着用者の股下、すなわち着用者の両足の間に配置される領域であって、吸収コア23が存在する領域に相当する。
【0029】
図2に示すように、本体部20は、裏面シート22の非肌対向面側T2に設けられた粘着部70を有する。粘着部70は、吸収性物品10を着用物品に止めるための粘着剤が設けられた領域である。裏面シート22の非肌対向面側T2に設けられた粘着部70によって、吸収性物品10を下着等の着用物品に接合することができる。また、
図4に示すように、粘着部70によって、吸収性物品10の使用後に、吸収性物品10を巻いた状態でテープ部材60を止着させ、巻いた状態を維持することもできる。したがって、粘着部70は、着衣に接合する用途と、後処理用のテープ部材60を止着する用途と、の2つに兼用できる。
【0030】
粘着部70は、吸収性物品10の厚み方向において、吸収コア23と重なる領域に設けられている。粘着部70は、少なくとも排泄口対向域S1から吸収性物品10の後方へ連続的又は断続的に延びていることが好ましい。粘着部70は、前後方向に延び、かつ幅方向に間隔を空けて複数設けられている。他の形態において、粘着部70は、幅方向Wに延び、かつ前後方向Lに間隔を空けて複数設けられてよい。また、本体部20は、ウイング40に設けられたウイング粘着部42と、ヒップフラップ50に設けられたフラップ粘着部52を有してよい。
【0031】
吸収性物品10は、包装シート80によって、吸収性物品10の使用前に粘着部70が劣化しないように、粘着部70を保護してもよい。包装シート80は、粘着部70に当接している。この場合、包装シート80の面積は、粘着部70全体を覆うために粘着部70の面積よりも大きい。吸収性物品10の使用時に包装シート80から吸収性物品が剥がれることにより、粘着部70が露出し、粘着部70によって吸収性物品10を着用物品に止めることができる。
【0032】
また、他の形態において、粘着部70を覆う剥離シートを有してよい。剥離シートは、粘着部70と包装シート80の間に配置されてよい。この形態においては、剥離シートが、吸収性物品10の使用前に粘着部70が劣化しないように、粘着部70を保護する。剥離シートの面積は、粘着部70全体を覆うために粘着部70の面積よりも大きい。吸収性物品の使用時に剥離シートが剥がされることにより、粘着部70が露出し、粘着部70によって吸収性物品10を着用物品に止めることができる。
【0033】
図2及び
図3に示すように、平面視において、テープ部材60は、粘着部70と本体部20の外
縁との間に配置されている。本実施の形態のテープ部材60は、粘着部の後端縁と、本体部の後端縁と、の間に配置されている。
図2に示すように、テープ部材60は、固定領域61側に位置する一端60Aと、非固定領域64側の他端60Bと、一端60Aから他端60Bに向かって延びる一対の側縁60Cと、を有する。テープ部材60は、テープ部材60の一端60A側から他端60B側に向かう第1方向D1と、第1方向D1と直交する第2方向D2と、を有してよい。テープ部材60の一端60Aは、テープ部材60の長手方向における一端であってよい。本実施の形態の第1方向D1は、テープ部材60の長手方向に沿っており、吸収性物品10の前後方向Lに沿っている。他の形態において、テープ部材60の一端60Aは、テープ部材60の短手方向における一端であってよい。また、他の形態において、第1方向D1は、テープ部材60の幅方向に沿い、吸収性物品の幅方向に沿ってよい。なお、第1方向D1は、テープ部材60を操作時に引き出す方向であってよい。よって、テープ部材60の第1方向D1の長さは、テープ部材60の第2方向D2の長さよりも長くてよい。
【0034】
テープ部材60は、吸収性物品10の廃棄時に、吸収性物品10の肌対向面側を内側にして巻かれた状態の本体部20に止着し、吸収性物品10が巻かれた状態を維持するように構成されてよい。テープ部材60は、固定領域61と非固定領域64を有してよい。固定領域61は、本体部20に固定されている。本実施の形態の固定領域61は、接着部61aを介して本体部20の裏面シート22に固定されている。固定領域61は、裏面シート22に固定されており、テープ部材60の使用時(吸収性物品の廃棄時)に裏面シート22から剥がれないように構成されている。固定領域61は、テープ部材60の第1方向D1の一端60Aである後端縁に設けられてよい。なお、固定領域61は、一端60Aに一致してなくてもよく、一端60Aと離間していてもよい。固定領域61は、テープ部材60の第1方向D1の中心よりも一端60A側に配置されてよい。
【0035】
非固定領域64は、本体部20に固定されていなく、かつ伸長方向に伸長可能に構成されている。非固定領域64の伸長方向は、第1方向D1であってもよいし、第2方向D2であってもよい。本実施の形態の非固定領域64の伸長方向は、第1方向D1であり、固定領域61を基点に固定領域61から離れる方向に伸長可能である。使用者がテープ部材を引っ張ることによって、テープ部材が本体部20の外縁よりも外側に延出してよい。ここで、「伸長」とは、「弾性変形」又は「塑性変形」による伸長を含む。一例として、テープ部材60は、伸縮性シート、フィルムから構成されていてよい。非固定領域64は、本体部20の粘着部70に対して止着可能に構成されている。非固定領域64は、使用者がテープ部材60を操作する部分である。より詳細には、使用者は、テープ部材60を使用する際に、非固定領域64を把持して固定領域61を基点にして非固定領域64を折り返したり、非固定領域64を第1方向D1に伸長したりして、非固定領域64を本体部20に止着する。非固定領域64の少なくとも一部は、使用者が把持可能な把持部を構成する。把持部は、非固定領域64全域であってもよいし、非固定領域64のうち、固定領域61とは反対側の一端側に設けられていてもよい。
【0036】
テープ部材60は、本体部20に剥離可能に接合された仮固定領域(図示せず)を有してもよい。仮固定領域は、テープ部材60の使用時(吸収性物品の廃棄時)に裏面シート22から剥がれるように構成されている。仮固定領域は、テープ部材60の使用前(吸収性物品10の使用時)に裏面シート22から剥がれないことが好ましい。仮固定領域を設けることにより、テープ部材60の使用前(製造時、着用時)に非固定領域64が捲れたり、非固定領域64が折れたりすることを抑制できる。仮固定領域は、第1方向に固定領域61及び非固定領域64に隣接してよく、固定領域61よりも他端60B側かつ非固定領域64よりも一端側に配置されてよい。
【0037】
仮固定領域におけるテープ部材60と裏面シート22の接合強度は、固定領域61におけるテープ部材60と裏面シート22の接合強度よりも低くてよい。仮固定領域の接合力が固定領域61の接合力よりも低いため、使用者は、テープ部材60の使用時に容易に仮固定領域を剥がし、非固定領域64を掴んでテープ部材60を操作することができる。固定領域61及び仮固定領域の接合手段としては、接着剤、エンボス加工、熱溶着、超音波溶着を例示できる。固定領域61及び仮固定領域は、本体部20の外縁のエンボスによって構成されていてもよい。
【0038】
図5は、
図3に示す断面のテープ部材60部分の模式拡大図である。
図5(a)は、自然状態を示しており、
図5(b)は、伸長状態を示している。テープ部材60の非固定領域64は、第1層65と第2層66を有している。第1層65と第2層66は、厚さ方向Tに重なっている。第1層65は、第2層66の肌対向面側T1(裏面シート側)に配置されており、裏面シート22と対向している。なお、本実施の形態の第1層65及び第2層66は、固定領域61にも設けられている。第1層65は、固定領域61において接着部61aを介して裏面シート22に固定されている。本実施の形態の第1層65は、ポリプロピレン、スチレン系ゴム、ポリプロピレンの3層からなるフィルムによって構成されており、第2層66は、インクを有する印刷層によって構成されている。
【0039】
非固定領域64が伸長した伸長状態の第1層65に対する第2層66の面積比率は、非固定領域64が伸長していない自然状態の第1層65に対する第2層66の面積比率よりも低い。この面積率は、単位面積あたりに占める面積の比率であり、例えば、伸長状態のテープ部材の10mm×10mmの範囲に配置された第1層65の面積に対する第2層66の面積である。
図6(a)は、
図5(a)に示す自然状態のテープ部材60の第2層66側(非肌対向面側)の平面を模式的に示した図であり、
図6(b)は、
図5(b)に示す伸長状態のテープ部材60の第2層66側(非肌対向面側)の平面を模式的に示した図である。自然状態の第2層66が設けられた領域では、第2層66に開裂が生じてなく、第1層65の略全体を第2層66が覆っている。これに対して伸長状態では、第2層66は、第2層66が分裂した領域と、第2層が分裂していない領域と、が設けられている。ここで開裂とは、平面視にて第2層を構成するインクの粒子の間隔が50μ以上の領域である。伸長状態の非固定領域64には、第1層65のみが配置された領域が、自然状態よりも多く設けられている。使用者は、開裂が形成された領域を視認することによってテープ部材60が伸長状態であることを把握でき、テープ部材60を円滑に操作できる。また、開裂が形成された領域は、第2層66が分裂しており、第1層65に対して浮き上がって第1層65に対する接合力が低い領域である。開裂が形成された領域は、一旦粘着部70に止着した際に粘着部70に残り易い。一方、開裂が形成されていない領域は、第2層66が開裂してなく、第1層65に対する接合力が高い領域である。開裂が形成されていない領域は、一旦粘着部に止着した際に粘着部に残り難く、第1層65とともに粘着部70から剥がれやすい。よって、再度テープ部材を止着する際に、開裂が形成されていない領域によってテープ部材60の視認性を確保できる。開裂が形成された領域と開裂が形成されていない領域を有することにより、テープ部材の止着を失敗した場合に、粘着部に残った第2層を目印にして、付け直すことができる。
【0040】
ここで伸長状態とは、推奨伸長限度の伸長状態であってよい。推奨伸長状態は、物理的にテープが破断しない伸長限度ではなく、設計者として推奨する伸長限度であってよい。推奨伸長限度は、テープ部材が破断せずに伸長可能な上限であってもよいし、テープ部材の物性が変化せずに伸長可能な上限であってもよい。推奨伸長限度は、例えば、破断する伸長倍率(以下、破断伸長倍率とする)に対する70~80%までを限度して設計することができる。70~80%は、安全率であり、適宜設定することができる。破断伸長倍率は、破断する伸長状態の長さ/自然状態の長さによって算出できる。ここで、自然状態とは、パッケージに収容されている吸収性物品にあっては、パッケージから吸収性物品を取り出し、20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において24時間放置した状態である。本実施の形態のテープ部材は、自然状態の長さに対して5倍の長さまで伸長させることにより破断した。そのため、伸長状態は、4倍に伸長させた状態とすることができる。
【0041】
次いで、このように構成された吸収性物品の使用態様の一例について説明する。使用者が吸収性物品10を使用する際は、包装シート80を展開し、本体部20の粘着部70と包装シート80を剥離させる。これにより、本体部20の粘着部70が露出する。また、テープ部材60は、固定領域61を介して裏面シート22に接合されている。次いで、下着などの着用物品に粘着部70を止め、吸収性物品10を使用する。吸収性物品10の使用後に、本体部20を着用物品から引き剥がす。吸収性物品10の肌対向面を内側にして、吸収性物品10の前端縁側(テープ部材が配置されていない側)から吸収性物品10を丸める。テープ部材60の非固定領域64を把持し、固定領域61を基点に非固定領域64を折り返し、かつ非固定領域64を伸長させることにより、テープ部材60の少なくとも一部が本体部20の外縁よりも外側に延出する。テープ部材60の第2層66を粘着部70等に止着することによって、吸収性物品10を丸めた状態に維持することがで
きる。
【0042】
吸収性物品の廃棄時にテープ部材60を粘着部70に止着する際に、使用者は、非固定領域64を伸長した伸長状態で、第2層66を粘着部70に止着できる。伸長状態では、自然状態よりも第1層65に対する第2層66の面積比率が低い。この面積比率の違いは、伸長時に第1層65が伸長し易く、第2層66が伸長し難いことによって生じる。よって、伸長状態では、自然状態と比較して、第1層65のみが配置された領域(第1層65が配置され、第2層66が配置されてない領域)が多く形成される。第1層65のみが配置された領域は、第1層65と第2層66が配置された領域と比較して厚みが薄く、粘着部70に対する接触面積が少なく、粘着部70に対する接合力が低くなり易い。よって、テープ部材60の接着を失敗した場合であっても、テープ部材60を粘着部70から容易に剥がし、繰り返しテープ部材60を粘着部70に止めることができる。その結果、廃棄時にテープ部材60によって清潔に廃棄できる。
【0043】
伸長状態において第1層65に対する第2層66の接合力は、自然状態における第1層65に対する第2層66の接合力よりも低くてよい。使用者がテープ部材60を引っ張ると、第1層65が伸長し、かつ第2層66が第1層65よりも低い伸長率で伸長するため、第1層65と第2層66の伸長率の違いにより、第1層65と第2層66の間に隙間が生じやすい。よって、伸長状態において第1層65に対する第2層66の接合力は、自然状態における第1層65に対する第2層66の接合力よりも低くなる。
【0044】
ここで、第1層65に対する第2層66の接合力は、粘着部70に第2層66を付着させた後に第2層66を粘着部70から剥がした際に、第2層66が粘着部70に付着し続ける態様によって測定することができる。具体的には、自然状態のテープ部材60と、伸長状態のテープ部材60と、のそれぞれを用いて、テープ部材60の第2層66を粘着部70に付着させ、その上から30g/cm2の荷重をかける。次いで、60秒経過後に、テープ部材60を粘着部70から剥がす。このとき、粘着部70に付着する第2層66の面積が多い方が、第1層65に対する第2層66の接合力が低いとする。
【0045】
伸長状態において第1層65に対する第2層66の接合力が低いため、第2層66が粘着部70に止着した後に第2層66を粘着部70から剥がした際に、第1層65と第2層66が分離し、第2層66の少なくとも一部が粘着部70に止着し続けることがある。第2層66の少なくとも一部が粘着部70に止着し続けると、使用者は、テープ部材60を付け直す際に粘着部70に残った第2層66を目印にして、付け直すことができる。よって、テープ部材60の止着を失敗した場合であっても、適切な位置に再度テープ部材60を付けることができ、廃棄時にテープ部材60によって清潔に廃棄できる。また、第1層65と第2層66が分離し、第2層66の少なくとも一部が粘着部70に止着し続けることにより、一旦粘着部70に止着したテープ部材60を剥がす際の力が弱くなる。よって、テープ部材60の止着を失敗した場合であっても、テープ部材60を粘着部70から容易に剥がし、繰り返し、テープ部材60を粘着部70に止めることができる。
【0046】
裏面シート22と第2層66との色差ΔEは、3.0以上であってよい。出願人が種々検討を重ねた結果、使用者は、一般的に色差ΔEが3.0以上であると、2つの領域を別の領域として認識し易いことがわかった。本体部20の裏面シート22と第2層66との色差ΔEが3.0以上であることにより、使用者は、本体部20とテープ部材60を別体として認識し易く、テープ部材60の存在を認識し易くなる。粘着部70に第2層66が付着した際に、使用者は、第2層と裏面シート22を区別して認識し易くなる。よって、使用者は、テープ部材60を付け直す際に粘着部70に残った第2層66を目印にして、付け直すことができる。
【0047】
裏面シート22と第2層66との色差ΔEは、測定対象となる2点(2つの領域)について市販の測色器を用いて測色を行い、JIS Z 8729に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間に基づいて数値化した値を比較することによって求めることができる。具体的に、測定対象たる2点間のL*値の差がΔL*、a*の差がΔa*、b*値の差がΔb*であるときに、色差ΔE=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2によって求められる。
【0048】
裏面シート22と第2層66との色差ΔEを設ける構成は、テープ部材60の第2層に着色部を設けてもよいし、本体部20の裏面シート22に着色部を設けてもよいし、テープ部材60及び本体部20の両方に着色部を設けてもよい。また、着色部は、顔料などによって着色されたテープ部材等のシート自体によって構成されていてもよいし、印刷層によって構成されていてもよい。なお、本実施の形態において視認可能な状態とは、照度(lx)が、100(lx)~1000(lx)の環境下において、視認可能な状態とする。本実施の形態のテープ部材は、第2層のインクによってテープ部材が目立ち、テープ部材を粘着部に止着する際の目安となり易い。テープ部材を繰り返し止める際の操作性が向上し、意図した位置にテープ部材を止めやすくなる。
【0049】
テープ部材60の使用前の状態では、第1層65は、裏面シート22に対向している。第1層65は、固定領域61において裏面シート22と固定している。第1層65は、伸長時に延び易く、裏面シート22と第1層65の接触面積を確保し易い。よって、固定領域61による裏面シート22とテープ部材60の固定状態を維持し易い。フィルムからなる第1層65は、印刷層からなる第2層66と比較すると、静電気力が高い。よって、使用前に非固定領域64を裏面シート22に静電気によって仮接合できる。よって、意図せずにテープ部材60が捲れることを抑制できる。
【0050】
第2層66は、インクと香料を有する印刷層によって構成されてよい。第2層に香料が含まれているため、一旦粘着部70に第2層66を止めて剥がした際に、第2層66の香料が放出される。使用者がテープ部材60の止着を失敗し、落ち込んだ気持ちを香料によって和らげることができ、吸収性物品の廃棄時の心理的な負担を軽減できる。
【0051】
本体部20の表面シート21には、摩擦係数を低減させるための材料が塗布されていてもよい。当該材料としては、トリオキシプロピレングリコール系化合物、トリアシルグリセロールであってもよい。当該材料が表面シート21に設けられていることにより、表面シート21の摩擦係数が低くなり、使用後の吸収性物品10を巻く際に、表面シート21に対して裏面シート22が滑り易く、吸収性物品10を丸め易くなる。当該摩擦係数は、JIS P 8147の3.1頁に記載の方法に準拠して測定した動摩擦係数であってよい。
【0052】
図7は、テープ部材60の平面図の一例を示す図であり、
図7(a)が自然状態を示し、
図7(b)が伸長状態を示している。テープ部材60には、文字や絵等の表示部68が設けられていてもよい。表示部68は、第1層65によって構成されていてもよいし、第2層66によって構成されていてもよい。表示部68によって、使用者に対して伸長する方向等のテープ部材の使用方法を示したり、テープ部材の存在を認識させ易くしたりできる。また、
図7に示すように、自然状態において表示部の文字等を認識させ難くし、伸長状態において表示部68の文字などを認識させ易くしてもよい。使用者は、自然状態で表示部68が認識できないため、表示部68を認識するためにテープ部材60を伸長することがある。よって、使用者に対して、意識せずにテープ部材60の使用に繋がる操作を促すことができる。
【0053】
本実施の形態のテープ部材60は、固定領域61を基点に非固定領域64が折り返されることにより、非固定領域64の少なくとも一部が本体部20の外縁よりも外側に延出する。テープ部材60は、折り返されていない状態において、本体部20の外縁よりも内側に配置されてもよい。テープ部材60は、肌対向面側から見ると、本体部20に隠れた状態であってもよい。
【0054】
本実施の形態のテープ部材60は、伸長可能に構成されており、自然状態において、本体部20の外縁よりも内側に配置されている。更に別の例として、テープ部材は、Z型に折り畳まれたシートから構成されていてもよい。この場合、使用者がテープ部材60の先端を引っ張ることによって、折り畳まれたテープ部材60が展開され、これによりテープ部材60が本体部20の外縁よりも外側に延出する。
【0055】
このような構成によれば、吸収性物品10の使用中においては、テープ部材60は、裏面シート22の非肌対向面側で本体部20の外縁よりも内側に配置されているため、経血のような体液が付されない。使用者は、吸収性物品10の使用後に、外側に延出させたテープ部材60を粘着部70等に止着することによって、吸収性物品10を丸めた状態に維持することができる。ここで、テープ部材60に経血のような体液が付着しないため、テープ部材60と粘着部70との接合力の低下、又はテープ部材60の止着手段の接合力の低下を防止することができる。
【0056】
さらに、吸収性物品10の使用中においては、テープ部材60は、裏面シート22の非肌対向面側に設けられ、本体部20の外縁より外側へ延びていないため、テープ部材60は、着用者の肌に直接当たらない。したがって、使用中の違和感や不快感を低減することができる。
【0057】
テープ部材60は、本体部20の前後方向Lの中心よりも後側に設けられていることが好ましい。使用者は、通常吸収性物品10を丸める際に、吸収性物品10の前端縁E1又は後端縁E2から前後方向Lに丸め始める。そのうち、約8割の使用者は、吸収性物品10の前端縁E1から丸め始める。よって、テープ部材60は、前後方向Lの中心に対して後側に位置する領域に設けられていることが好ましい。テープ部材60の少なくとも一部は、吸収コア23の後端縁を跨いで、または吸収コアの後端縁よりも後側に配置されてよい。
【0058】
本実施の形態の吸収性物品の具体的な構成の一例を示す。表面シートは、目付30g/m2のエアースルー不織布(PE/PET)によって構成されてよい。表面シートと吸収コアの間にセカンドシートが設けられてよい。セカンドシートとしては、表面シートと同様の材料によって構成されてよい。本体部の幅方向の外側には、表面シートが配置されず、サイドシートが配置されてもよい。サイドシートとしては、目付13g/m2のSMS不織布(PP)によって構成されてよい。吸収コアの吸収材料は、針葉樹クラフトパルプと高吸収ポリマーによって構成されてよい。吸収材料全体の重量に対する高吸収ポリマーの重量の比率は、10%であってよい。排泄口対向域S1を含む領域の吸収コアの目付は、周囲の吸収コアの目付よりも高く構成されてよい。排泄口対向域S1を含む領域の吸収コアの目付は、950g/m2であってよく、周囲の吸収コアの目付は、300g/m2であってよい。裏面シートは、目付23.5g/m2のポリエチレンフイルム(非通気タイプ)によって構成されてよい。吸収性物品は、表面シートと吸収コアが厚み方向に圧搾された圧搾部が形成されていてもよい。本体粘着部は、ゴム系のホットメルト型接着剤によって構成されてよい。本体粘着部の目付は、27g/m2のであってよい。本体粘着部は、幅方向に空けて6本設けられてよい。各本体粘着部の幅方向の長さは、5mm、各本体粘着部の前後方向の長さは、320mmであってよい。吸収性物品の前後方向の長さは、420mm、吸収性物品の幅方向の長さは、200mmであってよい。後処理用のテープ部材60の第1層は、目付10g/m2のポリプロピレン層、10g/m2のスチレン系ゴム層、及び目付10g/m2のポリプロピレン層の積層によって構成されてよい。テープ部材60の前後方向の長さは、55mm、テープ部材60の短手方向の長さは、25mmであってよい。テープ部材60は、60g/m2のゴム系のホットメルト型接着剤によって本体部に接合されてよい。接着剤は、幅21mm、かつ長さ12mmの範囲で塗布されてよい。テープ部材60の第2層は、ピンク色のスチレン系インクを用いた印刷層であってよい。
【0059】
次いで、変形例に係る吸収性物品について説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
図8は、変形例に係るテープ部材を模式的に示した拡大断面図である。
図8(a)は、自然状態における長手方向に沿った断面であり、(b)は、自然状態における幅方向に沿った断面であり、(c)は、伸長状態かつ本体部20を丸めた状態における長手方向に沿った断面である。
【0060】
変形例に係る吸収性物品は、第2層66が第1層65よりも肌対向面側T1に配置されている。第2層66は、裏面シート22に対向して配置され、固定領域61において接着部61aを介して裏面シート22に固定されている。第2層66は、伸長時に第1層65よりも伸び難い。よって、
図8(c)に示すように、テープ部材60が伸長した状態の伸長方向に沿った断面は、第2層66が内側に位置する円弧状となる。一般的に、吸収性物品10の廃棄時は、吸収性物品を丸めた状態でテープ部材60を本体部20に止める。このとき、粘着部70に止着する面(第2層が配置された面)が内側となる円弧状にテープ部材60が変形することにより、テープ部材60が本体部20沿い易く、テープ部材60を本体部20に止着し易くなる。
【0061】
固定領域61は、テープ部材60の幅方向に延びている。このテープ部材60の幅方向は、テープ部材60の短手方向であってもよいし、伸長方向と直交する方向であってもよい。本実施の形態のテープ部材の幅方向は、第2方向D2である。固定領域61の幅方向の長さL61は、第2層66の幅方向の長さL66よりも長くてよい。固定領域61の幅方向の長さL61は、第2層66の幅方向の長さL66よりも長いため、固定領域61が第2層66よりも延出している。当該延出した領域では、第1層65と裏面シート22が固定し、固定領域61における固定強度を確保できる。
【0062】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。例えば、第1方向は、幅方向であり、第2方向は、前後方向であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
後処理用のテープ部材を繰り返し止めることができ、廃棄時にテープ部材によって清潔に廃棄できる吸収性物品を提供できる。
【符号の説明】
【0064】
10 吸収性物品
20 本体部
21 表面シート
22 裏面シート
23 吸収コア
60 テープ部材
61 固定領域
64 非固定領域
65 第1層
66 第2層
70 粘着部
80 包装シート
L 前後方向
W 幅方向