(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】ポンプシステム、ポンプシステムの清掃方法
(51)【国際特許分類】
F04D 29/70 20060101AFI20220812BHJP
F04B 49/22 20060101ALI20220812BHJP
F04D 13/00 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
F04D29/70 H
F04B49/22
F04D13/00 A
(21)【出願番号】P 2019080389
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】越智 雅規
(72)【発明者】
【氏名】千葉 真
(72)【発明者】
【氏名】中塩 雄二
(72)【発明者】
【氏名】内田 義弘
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-246865(JP,A)
【文献】実開昭58-84378(JP,U)
【文献】特開2018-193912(JP,A)
【文献】特開平6-313504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/22
F04D 15/00
F04D 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を揚水するポンプと、
前記ポンプの駆動に関連し、注水を行う注水装置と、
前記注水装置の注水配管に、清掃配管を介して接続された吸引装置と、
前記清掃配管を開閉する開閉装置と、を備える、ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項2】
前記ポンプが停止しているとき、前記開閉装置を開く制御装置を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記開閉装置を開く前に、前記開閉装置を閉じた状態で、前記吸引装置によって前記清掃配管に予め負圧を発生させる、ことを特徴とする請求項2に記載のポンプシステム。
【請求項4】
前記清掃配管のうち、前記注水配管側に、流体から固形成分を取り除くストレーナが設けられている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のポンプシステム。
【請求項5】
前記注水装置の前記注水配管は、前記ポンプに接続され、
前記吸引装置の前記清掃配管は、前記注水配管のうち、前記ポンプとのポンプ接続位置よりも上流側に接続されており、
前記注水配管のうち、前記ポンプとのポンプ接続位置と、前記清掃配管との清掃配管接続位置と、の間に接続された清掃用流体供給配管と、
前記清掃用流体供給配管を開閉する第2の開閉装置と、を有する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のポンプシステム。
【請求項6】
前記清掃用流体供給配管の前記注水配管と接続されない反対側の端部が、水源に接続されている、ことを特徴とする請求項5に記載のポンプシステム。
【請求項7】
前記清掃用流体供給配管の前記注水配管と接続されない反対側の端部が、大気開放されている、ことを特徴とする請求項5に記載のポンプシステム。
【請求項8】
前記吸引装置は、前記ポンプと吸気配管を介して接続され、前記ポンプを駆動する際に、前記ポンプを呼び水で満たす満水系統の真空ポンプであり、
前記清掃配管は、前記吸気配管と前記注水配管とを連通させる連通配管である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のポンプシステム。
【請求項9】
前記ポンプの停止後、前記ポンプの内部に負圧が発生している間に、前記開閉装置を開く第2の制御装置を有する、ことを特徴とする請求項8に記載のポンプシステム。
【請求項10】
前記注水装置は、前記ポンプの軸封部に封水配管を介して接続され、前記ポンプが駆動しているときに前記軸封部に封水液を供給する封水系統の封水ポンプであり、
前記注水配管が、前記封水配管である、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のポンプシステム。
【請求項11】
前記注水装置は、前記ポンプを駆動させる駆動装置に冷却水配管を介して接続され、前記駆動装置に冷却水を供給する冷却系統の冷却水ポンプであり、
前記注水配管が、前記冷却水配管である、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のポンプシステム。
【請求項12】
液体を揚水するポンプと、
前記ポンプの駆動に関連し、注水を行う注水装置と、
前記注水装置の注水配管と前記ポンプとを接続する清掃配管と、
前記清掃配管を開閉する開閉装置と、
前記ポンプの停止後、前記ポンプの内部に負圧が発生している間に、前記開閉装置を開く制御装置と、を備える、ことを特徴とするポンプシステム。
【請求項13】
液体を揚水するポンプと、
前記ポンプの駆動に関連し、注水を行う注水装置と、
前記注水装置の注水配管に、清掃配管を介して接続された吸引装置と、
前記清掃配管を開閉する開閉装置と、を備える、ポンプシステムの清掃方法であって、
前記ポンプが停止しているとき、前記開閉装置を開く、ことを特徴とするポンプシステムの清掃方法。
【請求項14】
液体を揚水するポンプと、
前記ポンプの駆動に関連し、注水を行う注水装置と、
前記注水装置の注水配管と前記ポンプとを接続する清掃配管と、
前記清掃配管を開閉する開閉装置と、を備える、ポンプシステムの清掃方法であって、
前記ポンプの停止後、前記ポンプの内部に負圧が発生している間に、前記開閉装置を開く、ことを特徴とするポンプシステムの清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプシステム、ポンプシステムの清掃方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、大雨時等に湛水防除の目的で稼働するポンプ機場などでは、注水液として、砂や泥などが多く含まれている原水(河川水など)を取水し、濾過装置で濾過した後、ポンプの軸封部に使用することが多く行われている。このような場合、濾過装置の処理能力を超過してしまうことがあり、砂や泥が注水配管に詰まり、ポンプの軸封部に必要な注水液を供給できなくなる可能性があった。
【0003】
下記特許文献1には、ポンプのメカニカルシールの寿命を延ばす目的を持って考案した軸液供給システムが開示されている。ポンプの軸封部にメカニカルシールなどを用いた場合、このメカニカルシールの密封端面の冷却、洗浄あるいはメカニカルシール本体の冷却のために、注水することが通常行われている。この注水液に異物が混入していると、異物がメカニカルシールに入り込み、メカニカルシールの破損や液体漏れなどを引き起こす虞がある。
【0004】
このため、下記特許文献1の軸液供給システムでは、注水配管にフィルタを設け、それにより注水液の異物を除去し、メカニカルシールの損傷を防止する。更に、注水配管を2系統設けておき、フィルタの目詰りによる差圧上昇を差圧計により検知して、前後弁を操作し系統の切り換えを行って、異物を含まない清浄な注水液を連続して供給するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、フィルタの目詰まりによって注水配管を切り替えることができるが、配管内の異物を除去することまではできない。このため、注水配管内の異物を除去(清掃)できる技術が求められている。
なお、上記要請は、ポンプの軸封部の封水系統に限らず、ポンプの潤滑系統、ポンプを駆動させる駆動装置の冷却系統、その他のストレーナを備える系統など、ポンプの駆動に関連し、注水を行う注水系統全般に存在する。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、注水配管内の異物を除去できるポンプシステム、ポンプシステムの清掃方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るポンプシステムは、液体を揚水するポンプと、前記ポンプの駆動に関連し、注水を行う注水装置と、前記注水装置の注水配管に、清掃配管を介して接続された吸引装置と、前記清掃配管を開閉する開閉装置と、を備える。
また、上記ポンプシステムにおいては、前記ポンプが停止しているとき、前記開閉装置を開く制御装置を有してもよい。
また、上記ポンプシステムにおいては、前記制御装置は、前記開閉装置を開く前に、前記開閉装置を閉じた状態で、前記吸引装置によって前記清掃配管に予め負圧を発生させてもよい。
また、上記ポンプシステムにおいては、前記清掃配管のうち、前記注水配管側に、流体から固形成分を取り除くストレーナが設けられていてもよい。
また、上記ポンプシステムにおいては、前記注水装置の前記注水配管は、前記ポンプに接続され、前記吸引装置の前記清掃配管は、前記注水配管のうち、前記ポンプとのポンプ接続位置よりも上流側に接続されており、前記注水配管のうち、前記ポンプとのポンプ接続位置と、前記清掃配管との清掃配管接続位置と、の間に接続された清掃用流体供給配管と、前記清掃用流体供給配管を開閉する第2の開閉装置と、を有してもよい。
また、上記ポンプシステムにおいては、前記清掃用流体供給配管の前記注水配管と接続されない反対側の端部が、水源に接続されていてもよい。
また、上記ポンプシステムにおいては、前記清掃用流体供給配管の前記注水配管と接続されない反対側の端部が、大気開放されていてもよい。
また、上記ポンプシステムにおいては、前記吸引装置は、前記ポンプと吸気配管を介して接続され、前記ポンプを駆動する際に、前記ポンプを呼び水で満たす満水系統の真空ポンプであり、前記清掃配管は、前記吸気配管と前記注水配管とを連通させる連通配管であってもよい。
また、上記ポンプシステムにおいては、前記ポンプの停止後、前記ポンプの内部に負圧が発生している間に、前記開閉装置を開く第2の制御装置を有してもよい。
また、上記ポンプシステムにおいては、前記注水装置は、前記ポンプの軸封部に封水配管を介して接続され、前記ポンプが駆動しているときに前記軸封部に封水液を供給する封水系統の封水ポンプであり、前記注水配管が、前記封水配管であってもよい。
また、上記ポンプシステムにおいては、前記注水装置は、前記ポンプを駆動させる駆動装置に冷却水配管を介して接続され、前記駆動装置に冷却水を供給する冷却系統の冷却水ポンプであり、前記注水配管が、前記冷却水配管であってもよい。
【0009】
また、本発明の一態様に係るポンプシステムは、前記ポンプの駆動に関連し、注水を行う注水装置と、前記注水装置の注水配管と前記ポンプとを接続する清掃配管と、前記清掃配管を開閉する開閉装置と、前記ポンプの停止後、前記ポンプの内部に負圧が発生している間に、前記開閉装置を開く制御装置と、を備える。
【0010】
また、本発明の一態様に係るポンプシステムの清掃方法は、液体を揚水するポンプと、前記ポンプの駆動に関連し、注水を行う注水装置と、前記注水装置の注水配管に、清掃配管を介して接続された吸引装置と、前記清掃配管を開閉する開閉装置と、を備える、ポンプシステムの清掃方法であって、前記ポンプが停止しているとき、前記開閉装置を開く。
【0011】
また、本発明の一態様に係るポンプシステムの清掃方法は、液体を揚水するポンプと、前記ポンプの駆動に関連し、注水を行う注水装置と、前記注水装置の注水配管と前記ポンプとを接続する清掃配管と、前記清掃配管を開閉する開閉装置と、を備える、ポンプシステムの清掃方法であって、前記ポンプの停止後、前記ポンプの内部に負圧が発生している間に、前記開閉装置を開く。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明の一態様によれば、注水配管内の異物を除去できるポンプシステム、ポンプシステムの清掃方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係るポンプ機場の全体構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る主ポンプの概略構成図である。
【
図3】第1実施形態に係る封水配管を清掃するためのポンプ機場の要部を示す構成図である。
【
図4】第1実施形態に係る制御装置による制御フローである。
【
図5】第2実施形態に係る封水配管を清掃するためのポンプ機場の要部を示す構成図である。
【
図6】第3実施形態に係る封水配管を清掃するためのポンプ機場の要部を示す構成図である。
【
図7】第3実施形態に係る制御装置(第2の制御装置)による制御フローである。
【
図8】第4実施形態に係る封水配管を清掃するためのポンプ機場の要部を示す構成図である。
【
図9】第5実施形態に係る封水配管を清掃するためのポンプ機場の要部を示す構成図である。
【
図10】第6実施形態に係る封水配管を清掃するためのポンプ機場の要部を示す構成図である。
【
図11】第7実施形態に係る封水配管を清掃するためのポンプ機場の要部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るポンプシステム、ポンプシステムの清掃方法について図面を参照して説明する。以下の説明では、本発明の適用例として、大雨時等に湛水防除の目的で稼働するポンプ機場を例示する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るポンプ機場1の全体構成図である。
図1に示すポンプ機場1(ポンプシステム)は、複数台の主ポンプ10(ポンプ)と、主ポンプ10を稼働させる複数台の補機20と、を備える。ポンプ機場1は、主ポンプ10として、4台の横軸ポンプを備える。また、ポンプ機場1は、補機20として、真空ポンプ21、燃料移送ポンプ22、空気圧縮機23(コンプレッサ)、冷却水ポンプ24、封水ポンプ25などを備える。
【0016】
図2は、第1実施形態に係る主ポンプ10の概略構成図である。
主ポンプ10は、
図2に示すように、吸込管11aと吐出管11bに接続されている。吸込管11は、吸込水槽2に開口している。吐出管11bは、吐出水槽3に開口している。吸込水槽2、吐出水槽3には、吸込側,吐出側の水位を計測する水位計2a,3aが設けられている。主ポンプ10のケーシング11には、横方向(水平方向)に延びる主軸12が挿入されている。主軸12には、インペラ(羽根車:後述する
図3の符号10a参照)が接続されている。また、当該インペラの下流側かつ吐出管11bの上流側には、吐出弁13が設けられている。
【0017】
主ポンプ10は、駆動装置15によって駆動する。駆動装置15は、内燃機関(ディーゼルエンジン)や電動機などの回転機4(本実施形態では内燃機関)と、回転機4に接続された減速機5と、を備える。回転機4の駆動軸4aには減速機5が連結され、減速機5には主ポンプ10の主軸12が連結されている。回転機4を駆動することによって、減速機5を介して主軸12が回転し、主ポンプ10によって吸込水槽2内の水が揚水されて、その水が吐出水槽3に吐出されるようになっている。
【0018】
真空ポンプ21は、主ポンプ10の起動時にケーシング11内の空気を吸引し、ケーシング11内を呼び水で満たす満水系統を構成している。真空ポンプ21は、ケーシング11に吸気配管30を介して接続されている。吸気配管30には、ケーシング11内の呼び水の満水を検知するための満水検知器14と、吸気配管30を開閉するための吸気弁31(電動弁又は電磁弁)と、が設けられている。
【0019】
真空ポンプ21は、電動機21aによって駆動する。この真空ポンプ21は、例えば水封式真空ポンプであって、
図1に示すように、その吸気側には補給水を給水する給水管32が接続され、排気側には給水された水及び吸い込んだ空気を排出する排出管33bが接続されている。給水管32は、補水槽34と接続され、給水管32の開閉する給水弁35(電動弁又は電磁弁)が設けられている。
【0020】
図1に示す燃料移送ポンプ22は、回転機4の燃料を汲み上げるものである。この燃料移送ポンプ22は、電動機22aによって駆動する。燃料移送ポンプ22は、燃料供給配管40に設けられている。燃料供給配管40においては、燃料移送ポンプ22の駆動によって、燃料を貯蔵する地下貯油槽6から地上の所定高さに設置された燃料小出槽7に燃料が汲み上げられ、この燃料小出槽7から回転機4に燃料が供給される。燃料小出槽7に燃料を蓄えておくことで、燃料移送ポンプ22が駆動していない間でも、必要な供給圧で燃料を回転機4に供給することができる。
【0021】
空気圧縮機23は、回転機4を始動させる圧縮空気(始動用空気)を空気槽8へ充気するものである。この空気圧縮機23は、電動機23aによって駆動する。空気圧縮機23は、空気供給配管50に設けられている。空気供給配管50においては、空気圧縮機23の駆動によって圧気された圧縮空気が空気槽8に充気され、この空気槽8から回転機4に圧縮空気が供給される。空気槽8に圧縮空気を蓄えておくことで、圧縮空気を回転機4に供給して、始動することができる。
【0022】
冷却水ポンプ24は、主ポンプ10を駆動させる駆動装置15に冷却水を供給する冷却系統を構成している。この冷却水ポンプ24は、電動機24aによって駆動する。冷却水ポンプ24は、冷却水配管60に設けられている。冷却水配管60においては、冷却水ポンプ24の駆動によって冷却水槽61から冷却水が汲み上げられ、各駆動装置15に冷却水が供給される。
【0023】
図2を参照し、冷却水配管60について詳しく説明すると、冷却水配管60は、第1配管60a、第2配管60b、第3配管60c、第4配管60d、第5配管60e、第6配管60f、第7配管60gと、を備えている。第1配管60aは、一端が冷却水ポンプ24と接続され、他端が冷却水タンク63の上部に接続されている。第1配管60aには、冷却水から固形成分を取り除くストレーナ62が設けられている。なお、ストレーナ62は、第1配管60aに限らず、第2配管60b、第3配管60c、第4配管60d、第5配管60eの少なくともいずれか一つに設けてもよい。
【0024】
第2配管60bは、一端が冷却水タンク63の下部に接続され、他端が回転機4の機付ポンプ64と接続されている。第3配管60cは、一端が機付ポンプ64と接続され、回転機4の内部を通過した後、他端が回転機4の外部で温調弁65(三方弁)に接続されている。第4配管60dは、一端が機付ポンプ64と接続され、回転機4の内部を通過することなく、他端が熱交換器66に接続されている。この熱交換器66は、減速機5を冷却するものである。
【0025】
第5配管60eは、一端が温調弁65に接続され、他端が第2配管60bに接続されている。この第5配管60eによって、冷却水の一部を回転機4の出口側から入口側に戻すことで、冷却水の温度を調整することができる。第6配管60fは、一端が温調弁65に接続され、熱交換器66より下流側の第7配管60gに接続されている。第7配管60gは、一端が熱交換器66に接続され、他端が冷却水槽61に接続されている。つまり、回転機4及び減速機5を冷却した冷却水は、冷却水槽61に戻り循環する。
【0026】
このような冷却水槽61には、
図1に示すように、取水配管70を介して原水(河川水など)が供給されるようになっている。取水配管70には、取水ポンプ72が設けられている。この取水ポンプ72は、電動機72aによって駆動する。取水配管70においては、取水ピット71から取水ポンプ72の駆動によって、原水が取水され、ストレーナ73やサンドセパレーター74などの濾過装置で砂や泥などの異物を除去した原水が冷却水槽61に供給される。
【0027】
冷却水槽61には、冷却水ポンプ24の他に封水ポンプ25が設けられている。封水ポンプ25は、主ポンプ10の軸封部16(後述する
図3参照)に封水液を供給する封水系統を構成している。この封水ポンプ25は、電動機25aによって駆動する。封水ポンプ25は、封水配管80に設けられている。封水配管80においては、封水ポンプ25の駆動によって冷却水槽61から封水液が汲み上げられ、各主ポンプ10の軸封部16に封水液が供給される。
【0028】
図3は、第1実施形態に係る封水配管80を清掃するためのポンプ機場1の要部を示す構成図である。
図3に示すように、ポンプ機場1は、液体を揚水する主ポンプ10と、主ポンプ10と吸気配管30を介して接続され、主ポンプ10を駆動する際に、主ポンプ10を呼び水で満たす満水系統の真空ポンプ21(吸引装置)と、主ポンプ10の軸封部16に封水配管80(注水配管)を介して接続され、主ポンプ10が駆動しているときに軸封部16に封水液を供給する封水系統の封水ポンプ25(注水装置)と、を備えている。なお、軸封部16としては、メカニカルシールやグランドパッキンなどを例示することができる。
【0029】
同図に示すように、吸気配管30においては、主ポンプ10と満水検知器14との間にストレーナ36が設けられている。なお、ストレーナ36は、必ずしも設置しなくてもよい。また、吸気配管30においては、満水検知器14と吸気弁31との間に、分岐配管33が接続され、真空破壊弁33a(電動弁又は電磁弁)が設けられている。また、封水配管80においては、封水配管80を開閉する封水弁81(電動弁又は電磁弁)が設けられている。
【0030】
吸気配管30と封水配管80は、清掃配管90(連通配管)を介して接続されている。清掃配管90には、清掃配管90を開閉する清掃弁91(開閉装置:電動弁又は電磁弁)が設けられている。清掃配管90の一端は、吸気配管30のうち、吸気弁31よりも下流側、且つ、真空ポンプ21よりも上流側に接続されている。清掃配管90の他端は、封水配管80のうち、主ポンプ10とのポンプ接続位置P1よりも上流側、且つ、封水弁81よりも下流側の清掃配管接続位置P2に接続されている。
【0031】
この清掃配管90には、配管の内部を流通する流体から固形成分を取り除くストレーナ92が設けられている。具体的に、ストレーナ92は、清掃配管90において、清掃弁91と清掃配管接続位置P2との間に配置されており、清掃弁91よりも清掃配管接続位置P2に近接して配置されている。つまり、ストレーナ92は、清掃配管90のうち、封水配管80側(注水配管側)に設けられている。
【0032】
ポンプ機場1は、上述した各構成機器の動作を統括的に制御する制御装置100を備える。制御装置100は、以下説明する清掃モードを実行できるようになっている。清掃モードでは、主ポンプ10が停止しているとき、清掃弁91を開いて、封水配管80内の異物を除去する。本実施形態では、清掃弁91を開く前に、清掃弁91を閉じた状態で、真空ポンプ21によって清掃配管90に予め負圧を発生させ、その後、清掃弁91を開くことで、封水配管80から吸気配管30に急激に流体を吸引し、封水配管80内の異物を除去するようにしている。
【0033】
図4は、第1実施形態に係る制御装置100による制御フローである。
先ず、制御装置100は、主ポンプ10の運転モードを、連動モードから清掃モードに切り替える(ステップS10)。清掃モードは、主ポンプ10が停止している状態で、封水配管80を清掃するモードである。なお、連動モード(ステップS1)とは、大雨時等に湛水防除の目的で主ポンプ10を運転させる通常の運転モードであり、主ポンプ10は吸込水槽2の水位に応じて運転する。
【0034】
清掃モードにおいて、制御装置100は、先ず、封水弁81、吸気弁31、清掃弁91を閉じる(ステップS11)。次に、制御装置100は、真空ポンプ21を運転させると共に、タイマーを始動し、何秒間か吸引を行う(ステップS12)。これにより、真空ポンプ21から清掃配管90の清掃弁91までの領域に負圧を発生させる。
【0035】
次に、制御装置100は、清掃弁91を開くと共に、タイマーを始動し、何秒間か清掃弁91を開いた状態とする(ステップS13)。清掃弁91を開くと、真空ポンプ21及び吸気配管30側(満水系統)の負圧の作用により、封水配管80側(満水系統)では通常とは逆向きの流体の流れ(ポンプ接続位置P1から清掃配管接続位置P2に向かう流れ)が発生する。このような流体の逆流によって、封水配管80内の異物を押し流し、その異物を清掃配管90のストレーナ92などで捕集することができる。
【0036】
清掃弁91を何秒間か開いたら、制御装置100は、真空ポンプ21を停止させる(ステップS14)。次に、制御装置100は、封水弁81を開き、清掃弁91を閉じる(ステップS15)。以上により、清掃モードが終了する(ステップS16)。
なお、上述した清掃モードの各種弁の開閉などは、自動でなく手動で行なっても良い。このような手法(ポンプシステムの清掃方法)であっても、同様に、封水系統を清掃することができる。
【0037】
上述したように、本実施形態によれば、液体を揚水する主ポンプ10と、主ポンプ10の駆動に関連し、注水を行う封水ポンプ25と、封水ポンプ25の封水配管80に、清掃配管90を介して接続された真空ポンプ21と、清掃配管90を開閉する清掃弁91と、を備える、という構成を採用することによって、封水系統の封水配管80に堆積した異物(砂や泥などの固形物)により、封水系統が閉塞した際に、負圧によって封水系統以外の系統(本実施形態では満水系統)に流体を流し、軸封部16付近の流体を引っ張ることができる。これにより、封水配管80では、流体が通常流れる方向とは逆向きの流れが発生し、その逆向きの流れによって、堆積していた異物を除去(清掃)することができる。
【0038】
また、本実施形態では、主ポンプ10が停止しているとき、清掃弁91を開く制御装置100を有している。この構成によれば、主ポンプ10が停止しているときに、運転モードを清掃モードに切り替えて、封水系統の清掃を自動で行うことができる。
【0039】
また、本実施形態では、制御装置100は、清掃弁91を開く前に、清掃弁91を閉じた状態で、真空ポンプ21によって清掃配管90に予め負圧を発生させている。この構成によれば、清掃弁91を閉じ、真空度を高めた状態(負圧の絶対値を大きくした状態)で、清掃弁91を開くので、異物を流体の吸引により引き上げる力(除去力)を高めることができる。なお、異物の詰まり具合によっては、清掃弁91を開けてから、真空ポンプ21を運転し、配管内を徐々に負圧にしても構わない。
【0040】
また、本実施形態では、清掃配管90には、流体から固形成分を取り除くストレーナ92が設けられている。この構成によれば、除去した異物をストレーナ92で捕集でき、異物の満水系統への移動を阻止できる。
【0041】
また、本実施形態では、ストレーナ92は、清掃配管90のうち、封水配管80側に設けられていてもよい。この構成によれば、清掃配管90の入口付近で、除去した異物をストレーナ92で捕集でき、清掃配管90における異物の詰まりを抑制できる。
【0042】
また、本実施形態では、注水装置が、主ポンプ10の軸封部16に封水配管80を介して接続され、主ポンプ10が駆動しているときに軸封部16に封水液を供給する封水系統の封水ポンプ25であり、注水配管が、封水配管80である構成を採用している。この構成によれば、封水系統の軸封部16付近に堆積した異物を効果的に除去することができる。
【0043】
また、本実施形態では、吸引装置が、主ポンプ10と吸気配管30を介して接続され、主ポンプ10を駆動する際に、主ポンプ10を呼び水で満たす満水系統の真空ポンプ21であり、清掃配管90は、吸気配管30と封水配管80とを連通させる連通配管である構成を採用している。この構成によれば、満水系統の真空ポンプ21を、清掃用の吸引装置として利用しているため、清掃用の吸引装置を別途設置する必要がなくなる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0045】
図5は、第2実施形態に係る封水配管80を清掃するためのポンプ機場1の要部を示す構成図である。
図5に示すように、第2実施形態のポンプ機場1は、清掃用流体供給配管110と、清掃用流体供給配管110を開閉する清掃用流体供給弁112(第2の開閉装置:電動弁又は電磁弁)と、を備える点で、上記第1実施形態と異なる。
【0046】
清掃用流体供給配管110は、封水配管80のうち、主ポンプ10とのポンプ接続位置P1と、清掃配管90との清掃配管接続位置P2と、の間に接続されている。この清掃用流体供給配管接続位置P3は、軸封部16に近い位置であることが好ましく、本実施形態では、ポンプ接続位置P1に隣接している。なお、清掃用流体供給配管接続位置P3とポンプ接続位置P1が、同じ位置であってもよい。
【0047】
清掃用流体供給配管110の封水配管80と接続されない反対側の端部は、液体を貯留するタンク111(水源)と接続されている。タンク111は、清掃用流体供給配管接続位置P3よりも高い位置に設置され、タンク111の下部から清掃用流体供給配管110を介して、封水配管80に清掃用流体(液体)を供給可能とされている。なお、清掃用流体供給配管110は、タンク111以外に、水源として、図示しない水道(上水道が好ましい)と接続されていてもよい。
【0048】
上記構成によれば、上述した清掃モードにおいて、封水配管80に液体を供給することができる。具体的には、
図4に示すステップS13において、清掃弁91を開く前(若しくは同時)に、制御装置100が清掃用流体供給弁112を開くことで、軸封部16付近の封水配管80に、通常流れる方向とは逆向きの液体流れを発生させ、その逆向きの液体流れによって、堆積していた異物を除去(清掃)することができる。
【0049】
ポンプ機場1においては、主ポンプ10の年間運転時間が短く、停止している期間は、封水系統も使用していないため、封水配管80内の堆積物が乾燥している可能性がある。このため、第2実施形態では、清掃時に清掃用流体供給配管110から封水配管80に液体を供給することで、乾燥した堆積物の固着・はりつきを軽減している。これにより、気体の吸引による清掃では困難であった堆積物を、軸封部16付近から引き上げる作用を大きくすることが可能となる。
【0050】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0051】
図6は、第3実施形態に係る封水配管80を清掃するためのポンプ機場1の要部を示す構成図である。
図6に示すように、第3実施形態のポンプ機場1は、清掃用流体供給配管110の封水配管80と接続されない反対側の端部が、大気開放されており、清掃用流体供給配管110を開閉する清掃用流体供給弁112a(洗浄用真空破壊弁)が設けられている点で、上記第2実施形態と異なる。
【0052】
清掃用流体供給配管110は、第2実施形態と同様に、主ポンプ10とのポンプ接続位置P1と、清掃配管90との清掃配管接続位置P2と、の間に接続されている。この清掃用流体供給配管接続位置P3は、軸封部16に近い位置であることが好ましい。清掃用流体供給配管110の封水配管80と接続されない反対側の端部は、大気開放されており、清掃用流体供給弁112aを開くことで、軸封部16付近の封水配管80に、清掃用の空気(清掃用流体)を供給することができる。
【0053】
上記構成によれば、上述した清掃モードにおいて、封水配管80に外部から大量の空気を供給することができる。具体的には、
図4に示すステップS13において、清掃弁91を開く前(若しくは同時)に、制御装置100が清掃用流体供給弁112aを開くことで、軸封部16付近の封水配管80に、通常流れる方向とは逆向きの空気流れを大量に発生させ、その逆向きの流れによって、堆積していた異物を除去(清掃)することができる。また、清掃用流体供給配管110は、軸封部16付近に接続されているため、軸封部16付近に堆積していた異物に対し、効果的な清掃が可能となる。
【0054】
ところで、上述した第3実施形態では、制御装置100が、
図7に示すように、主ポンプ10の停止後、主ポンプ10の内部に負圧が発生している間に、清掃弁91、清掃用流体供給弁112aなどを開くように制御してもよい。つまり、封水配管80の清掃に、真空ポンプ21を始動させずに、主ポンプ10の停止後、主ポンプ10の落水が発生し、主ポンプ10内の負圧が真空破壊されるまでの期間における負圧作用を利用し、主ポンプ10が停止するたびに自動で封水配管80を清掃させてもよい。この制御を行う制御装置100を、上述した真空ポンプ21を運転するもの区別して、第2の制御装置とも言う。
【0055】
図7は、第3実施形態に係る制御装置100(第2の制御装置)による制御フローである。
先ず、制御装置100は、主ポンプ10の停止を確認する(ステップS20)。次に、制御装置100は、封水弁81を閉めると共に、清掃弁91及び吸気弁31を開く。また、制御装置100は、タイマーを始動し、その状態で何秒間か待機する(ステップS21)。これにより、主ポンプ10から清掃用流体供給配管110の清掃用流体供給弁112aまでの領域に、負圧を発生させる。
【0056】
次に、制御装置100は、清掃用流体供給弁112aを開くと共に、タイマーを始動し、何分間か清掃用流体供給弁112aを開いた状態とする(ステップS22)。清掃用流体供給弁112aを開くと、主ポンプ10の内部が負圧であるため、封水配管80側(満水系統)では通常とは逆向きの流体の流れが発生する。このような流体の逆流によって、封水配管80内の異物を押し流し、その異物を清掃配管90のストレーナ92などで捕集することができる。
【0057】
清掃用流体供給弁112aを何分間か開いたら、制御装置100は、清掃弁91、吸気弁31、清掃用流体供給弁112aを閉じると共に、封水弁81を開く(ステップS24)。次に、制御装置100は、真空破壊弁33aを開き、吸気配管30内を真空破壊する(ステップS24)。以上により、封水系統の清掃が終了する(ステップS25)。
なお、上述した主ポンプ10の停止動作時の各種弁の開閉などは、自動でなく手動で行なっても良い。このような手法(ポンプシステムの清掃方法)であっても、同様に、封水系統を清掃することができる。
【0058】
上記構成によれば、主ポンプ10の停止後の負圧作用を利用することで、封水系統の清掃完了までの一連の工程を自動で実施でき、ポンプ機場1を管理している維持管理者の負担を軽減することができる。また、上記構成によれば、主ポンプ10を停止するたびに毎回、封水系統を清掃することができるため、軸封部16付近の封水配管80の詰まりを予防することができる。なお、このような主ポンプ10の停止後、主ポンプ10の負圧作用を利用した清掃は、上述した第1実施形態及び第2実施形態でも同様に行うことができる。
【0059】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0060】
図8は、第4実施形態に係る封水配管80を清掃するためのポンプ機場1の要部を示す構成図である。
図8に示すように、第4実施形態のポンプ機場1では、負圧状態を保持可能な圧力タンク37を有し、圧力タンク37が、清掃配管90に接続されている点で、上記第1実施形態と異なる。
【0061】
圧力タンク37は、清掃配管90のうち、清掃弁91の下流側(清掃弁91と、清掃配管90の吸気配管30との接続位置の間)に接続されている。圧力タンク37と清掃配管90とを接続する圧力タンク接続配管39には、圧力タンク接続配管39を開閉する圧力タンク弁38(電動弁又は電磁弁)が設けられている。
【0062】
上記構成によれば、圧力タンク37に負圧を保持することで、清掃弁91を開く際に、圧力タンク37の容量分の流体を吸引することができるようになる。このため、軸封部16付近に堆積した堆積物を引き上げる時間も長くなり、清掃効果を高めることができる。具体的には、
図4に示すステップS12において、真空ポンプ21を運転する前(若しくは運転中)に、圧力タンク弁38を開き、圧力タンク37に負圧を発生させるとよい。
【0063】
なお、圧力タンク37に予め負圧を保持させて、圧力タンク弁38を閉じておき、清掃弁91を開く前に、圧力タンク弁38を開いて、その負圧によって清掃を行っても良い。また、圧力タンク37の負圧による吸引で清掃が十分に行われる場合には、ステップS12~ステップS14の間に、真空ポンプ21を運転させなくてもよい。
【0064】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0065】
図9は、第5実施形態に係る封水配管80を清掃するためのポンプ機場1の要部を示す構成図である。
図9に示すように、第5実施形態のポンプ機場1では、吸気配管30に、他号機の主ポンプ10の満水系統に連通する他号機連通配管120が接続されている点で、上記第1実施形態と異なる。
【0066】
他号機連通配管120は、吸気配管30において、吸気弁31と真空ポンプ21との間に接続されている(他の系統でも同様)。このように、他号機連通配管120を設けることにより、1つまたは複数(全台も可能)の真空ポンプ21を用いて負圧を発生させて、1つまたは複数(全台も可能)の主ポンプ10の軸封部16付近の清掃が可能となる。または、上述したように、1つまたは複数の主ポンプ10の停止後の負圧作用を用いて負圧を発生させて、1つまたは複数の主ポンプ10の軸封部16付近の清掃をしてもよい。
【0067】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0068】
図10は、第6実施形態に係る封水配管80を清掃するためのポンプ機場1Aの要部を示す構成図である。
図10に示すように、第6実施形態のポンプ機場1Aでは、上記第1~第5実施形態と異なり、立軸ポンプからなる主ポンプ10Aを備えている。
【0069】
主ポンプ10Aは、鉛直方向に延びる主軸12Aと、主軸12Aに固定されたインペラ10aと、内部にインペラ10aを収容するポンプケーシング132と、ポンプケーシング132の上端に接続された揚水管139と、揚水管139の上端に接続された吊り下げケーシング133と、吊り下げケーシング133の上端に接続された吐出し曲管134と、を備えている。インペラ10aは、主軸12Aの下端に固定されている。主軸12Aの上端は、吐出し曲管134を貫通して上方に延びている。
【0070】
ポンプケーシング132は、吊り下げケーシング133によって吸込水槽内に吊り下げられている。本実施形態では、ポンプケーシング132は、吸込ベル132aと、インペラケーシング132bと、吐出しボウル132cとを備えている。吐出しボウル132cの上端は、揚水管139の下端に接続されている。インペラケーシング132bの上端は、吐出しボウル132cの下端に接続されている。吸込ベル132aの上端は、インペラケーシング132bの下端に接続されている。吸込ベル132aは、下方に開口した吸込口を有している。
【0071】
吐出し曲管134は、吊り下げケーシング133の上端に接続され、水平方向に延びる図示しない吐出配管に連通している。吊り下げケーシング133は、吸込水槽2の上方のポンプ据付床に据付用ベース135を介して固定されている。吊り下げケーシング133の下端には、揚水管139を介して吐出しボウル132cが固定されている。吐出しボウル132cの内周面には、ガイドベーン136が設けられている。
【0072】
吐出しボウル132cは、内側に内筒137を備え、吐出しボウル132cと内筒137の間にはインペラ10aの回転により生じた旋回流を軸方向に整流する案内羽根(ガイドベーン136)が設けられ、内筒の内部には、滑り軸受131(水中軸受)が設けられている。滑り軸受131は、主軸12Aの回転方向に加わる荷重(ラジアル荷重)を支持している。
【0073】
インペラ10aの周囲には、吸込ベル132aが配置されている。吸込ベル132aは、吐出しボウル132cの下端部に固定され、インペラ10aよりも下方に延在している。主軸12Aは、吐出しボウル132cよりも上方の揚水管139内で、もう一つの滑り軸受131(中間軸受)に支持されている。
【0074】
主軸12Aは、吐出し曲管134から上方に突出して、図示しない駆動装置(
図2に示す駆動装置15参照)に連結されている。当該駆動装置により主軸12Aを介してインペラ10aを回転させると、吸込水槽2内の水(取扱液)が吸込ベル132aから吸い込まれ、インペラ10aにより加圧され、吐出しボウル132c、揚水管139、吊り下げケーシング133、吐出し曲管134を通って移送される。このような、主ポンプ10Aにおいては、主軸12Aが吐出し曲管134を貫通する貫通部138に、軸封部16Aが設けられている。
【0075】
軸封部16Aには、上述した実施形態と同様に、封水配管80が接続されている。封水配管80は、封水ポンプ25(注水装置)と接続されると共に、封水配管80を開閉する封水弁81(電動弁又は電磁弁)が設けられている。この封水配管80には、清掃配管90Aが接続されている。清掃配管90Aの一端は、封水配管80のうち、主ポンプ10Aとのポンプ接続位置P1よりも上流側、且つ、封水弁81よりも下流側の清掃配管接続位置P2に接続されている。
【0076】
清掃配管90Aの他端は、真空ポンプ93Aと接続されている。この真空ポンプ93Aは、上述した横軸ポンプのような満水系統を構成するものではなく、清掃専用の吸引装置である。清掃配管90Aのうち、清掃配管接続位置P2と真空ポンプ93Aとの間には、清掃配管90Aを開閉する清掃弁91A(開閉装置:電動弁又は電磁弁)が設けられている。また、清掃配管90Aのうち、清掃配管接続位置P2と清掃弁91Aとの間には、真空破壊弁92Aが設けられている。
【0077】
この清掃配管90Aには、配管の内部を流通する流体から固形成分を取り除くストレーナ94Aが設けられている。具体的に、ストレーナ94Aは、清掃配管90Aにおいて、清掃弁91Aと清掃配管接続位置P2との間に配置されており、清掃弁91Aよりも清掃配管接続位置P2に近接して配置されている。つまり、ストレーナ94Aは、清掃配管90Aのうち、封水配管80側(注水配管側)に設けられている。
【0078】
ポンプ機場1Aは、上述した各構成機器の動作を統括的に制御する制御装置100を備える。制御装置100は、上述した
図4に示す制御フローと略同一の制御フローによって、封水系統の軸封部16A付近を清掃することができる。この制御フローについては、説明が重複するためその説明を割愛するが、
図4の制御フローにおいて、ステップS11の吸気弁31を閉じるステップを排除するだけで、同じような清掃モードを実行できる。
【0079】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0080】
図11は、第7実施形態に係る封水配管80を清掃するためのポンプ機場1Aの要部を示す構成図である。
図11に示すように、第7実施形態のポンプ機場1Aでは、上記第6実施形態と異なり、清掃専用の真空ポンプ93A(吸引装置)が無く、封水配管80が軸封部16A以外の箇所において、清掃配管90Bを介して主ポンプ10Aと接続されている。清掃配管90Bには、清掃配管90Bを開閉する清掃弁91B(開閉装置:電動弁又は電磁弁)が設けられている。
【0081】
また、第7実施形態のポンプ機場1Aでは、上記第6実施形態と異なり、清掃用流体供給配管110Aと、清掃用流体供給配管110Aを開閉する清掃用流体供給弁112b(第2の開閉装置:電動弁又は電磁弁)と、を備えている。
【0082】
清掃用流体供給配管110Aは、封水配管80のうち、主ポンプ10とのポンプ接続位置P1と、清掃配管90Bとの清掃配管接続位置P2と、の間に接続されている。この清掃用流体供給配管接続位置P3は、軸封部16Aに近い位置であることが好ましく、本実施形態では、ポンプ接続位置P1に隣接している。なお、清掃用流体供給配管接続位置P3とポンプ接続位置P1が、同じ位置であってもよい。
【0083】
清掃用流体供給配管110Aの封水配管80と接続されない反対側の端部は、大気開放されており、清掃用流体供給弁112bを開くことで、軸封部16A付近の封水配管80に、清掃用の空気(清掃用流体)を供給することができるようになる。なお、清掃用流体供給配管110Aの封水配管80と接続されない反対側の端部は、上述した第2実施形態と同様に、液体を貯留するタンク111(
図5参照)や、図示しない水道などの水源と接続されていてもよい。
【0084】
ポンプ機場1Aは、上述した各構成機器の動作を統括的に制御する制御装置100を備える。制御装置100は、上述した
図7に示す制御フローと略同一の制御フローによって、主ポンプ10の停止時の負圧作用によって主ポンプ10に負圧が発生する際に、清掃弁91B、清掃用流体供給弁112bなどを開くことで、封水系統の軸封部16A付近を清掃することができる。具体的に、
図7の制御フローにおいては、ステップS21,S24の吸気弁31を開閉するステップ、及び、ステップS24の真空破壊弁33aを開くステップを排除するだけで、同じように、主ポンプ10の停止時の負圧作用を利用し、主ポンプ10が停止するたびに自動で封水配管80を清掃することができる。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【0086】
例えば、上記実施形態では、主ポンプの軸封部の封水系統の異物を除去する形態について説明したが、
図1に示すように、同じく冷却水槽61の液体を利用する駆動装置15の冷却系統の異物を除去する形態であってもよい。この場合、例えば、
図2に示す、冷却水配管60のうち、ストレーナ62より上流側の第1配管60aと、満水系統の吸気配管30とを、清掃配管90(清掃弁91付き)で接続すれば、同じように、冷却系統の冷却水配管60内の異物を除去することができる。
【0087】
また、例えば、
図10及び
図11に示す立軸ポンプでは、軸封部16Aだけでなく、2つの滑り軸受131(水中軸受、中間軸受)にも潤滑を目的に注水を行う場合があるため、このような注水系統においても、同様にして清掃を行ってもよい。
【0088】
また、例えば、上記各実施形態及び各変形例の構成の置換、組み合わせは適宜行うことができる。例えば、清掃モードにより定期的に清掃を行いつつ、主ポンプが停止後の負圧作用を利用して主ポンプが停止するたびに清掃を行ってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 ポンプ機場(ポンプシステム)
1A ポンプ機場(ポンプシステム)
10 主ポンプ(ポンプ、横軸ポンプ)
10A 主ポンプ(ポンプ、立軸ポンプ)
15 駆動装置
16 軸封部
16A 軸封部
21 真空ポンプ(吸引装置)
24 冷却水ポンプ(注水装置)
25 封水ポンプ(注水装置)
30 吸気配管
37 圧力タンク
60 冷却水配管(注水配管)
80 封水配管(注水配管)
90 清掃配管(連通配管)
90A 清掃配管
90B 清掃配管
91 清掃弁(開閉装置)
91A 清掃弁(開閉装置)
91B 清掃弁(開閉装置)
92 ストレーナ
100 制御装置(第2の制御装置)
110 清掃用流体供給配管
110A 清掃用流体供給配管
112 清掃用流体供給弁(第2の開閉装置)
112a 清掃用流体供給弁(第2の開閉装置)
112b 清掃用流体供給弁(第2の開閉装置)
P1 ポンプ接続位置
P2 清掃配管接続位置