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特許7123179エチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法
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  • 特許-エチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】エチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 7/05 20060101AFI20220815BHJP
   C07C 11/107 20060101ALI20220815BHJP
   C07C 2/08 20060101ALI20220815BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220815BHJP
【FI】
C07C7/05
C07C11/107
C07C2/08
C07B61/00 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020567234
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 KR2019015674
(87)【国際公開番号】W WO2020122441
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2020-12-02
(31)【優先権主張番号】10-2018-0158229
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミ-キョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウン-キョ
(72)【発明者】
【氏名】イ、チョンーソク
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/069446(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0074658(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第107586247(CN,A)
【文献】国際公開第2016/200053(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/217708(WO,A1)
【文献】特開2009-185290(JP,A)
【文献】特開2007-119383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンオリゴマー化反応生成物から未反応エチレン及び1-ブテンが除去されたオリゴマー分画を冷却ユニットに投入して冷却させるステップと、
前記冷却ユニットから排出されたオリゴマー分画を第1のC6蒸留塔に投入し、塔頂から第1の上部分画を排出し、塔底から第1の下部分画を排出するステップと、
前記第1のC6蒸留塔の塔頂から排出された第1の上部分画を第2のC6蒸留塔に投入し、塔頂から第2の上部分画を排出し、塔底から第2の下部分画を排出するステップと、 前記第1のC6蒸留塔の塔底から排出された第1の下部分画を溶媒蒸留塔に投入し、塔頂から第3の上部分画を排出し、塔底から第3の下部分画を排出するステップと、を含んでなり、
前記第1のC6蒸留塔、第2のC6蒸留塔及び溶媒蒸留塔は、それぞれ凝縮器と再沸器を備えており、
前記オリゴマー分画の少なくとも一部を溶媒蒸留塔の再沸器の熱源として用い、
前記第3の上部分画の少なくとも一部を第1のC6蒸留塔及び第2のC6蒸留塔の再沸器の熱源として用いており、
前記第1のC6蒸留塔の運転圧力は-0.5から0kg/cm 2 gであり、溶媒蒸留塔の運転圧力は0から2kg/cm 2 gである、エチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法。
【請求項2】
前記冷却ユニットから排出されたオリゴマー分画の温度は50から200℃である、請求項1に記載のエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法。
【請求項3】
前記冷却ユニットは、熱交換器及び冷却器を含むものである、請求項1または2に記載のエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法。
【請求項4】
前記溶媒蒸留塔の再沸器に供給される熱は、前記冷却ユニットの投入流れと溶媒蒸留塔の塔底の再沸器の投入流れの間の熱交換によって発生するものである、請求項1~のいずれかに記載のエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法。
【請求項5】
前記第1のC6蒸留塔の再沸器に供給される熱は、前記溶媒蒸留塔の塔頂の凝縮器の投入流れと第1のC6蒸留塔の塔底の再沸器の投入流れの間の熱交換によって発生するものである、請求項1~のいずれかに記載のエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法。
【請求項6】
前記第2のC6蒸留塔の再沸器に供給される熱は、前記溶媒蒸留塔の塔頂の凝縮器の投入流れと第2のC6蒸留塔の塔底の再沸器の投入流れの間の熱交換によって発生するものである、請求項1~のいずれかに記載のエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法。
【請求項7】
前記オリゴマー分画には、C6以上の線状アルファオレフィン、及び重合反応の際にエチレンと触媒を溶解させるために用いられる溶媒が含まれている、請求項1~のいずれかに記載のエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法。
【請求項8】
前記C6以上の線状アルファオレフィンは、1-ヘキセン、1-オクテン及び1-デセンを含む、請求項に記載のエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法。
【請求項9】
前記エチレンオリゴマー化によって製造されるアルファオレフィンは、C4からC40のオリゴマーである、請求項1~のいずれかに記載のエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法。
【請求項10】
前記アルファオレフィンの分子量は1,500以下である、請求項に記載のエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年12月10日付韓国特許出願第2018-0158229号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、エチレンオリゴマー化反応生成物の温度を調節することによってエネルギー効率を向上させたエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法に関する。
【背景技術】
【0003】
線状アルファオレフィン(linear alpha-olefin)は、共単量体、洗浄剤、潤滑剤、可塑剤などに使われる重要な物質として商業的に広く用いられ、特に1-ヘキセンと1-オクテンは、線状の低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene、LLDPE)を製造するとき、ポリエチレンの密度を調節するための共単量体として多く用いられている。
【0004】
このような線状アルファオレフィンは、代表的にエチレンのオリゴマー化反応を介して製造される。前記エチレンオリゴマー化反応は、エチレンを反応物として用い、エチレンのオリゴマー化反応(三量体化反応または四量体化反応)によって行われることであって、エチレンの重合反応を介して生成される反応生成物は、未反応エチレン、重合反応の際に触媒とエチレンを溶解させるために必要な溶媒、反応によって重合された多様な炭素数の線状アルファオレフィンなどからなり、多数の蒸留塔を経て目的とする製品に分離される。具体的に、反応生成物の流れは、未反応エチレンを分離する蒸留塔を経て製品及び溶媒の回収のために分離精製の工程が進められる。沸点の差を利用した蒸留を用いるのが一般的であり、蒸留塔の使用時には熱の供給及び除去が必要であり、これを解決するために熱ユーティリティー(utility)、冷却水(cooling water)などを過多に用いることになるので、運転費用が増加する。
【0005】
よって、エチレン重合反応によって生成された反応物を低いエネルギーだけで効率よく分離することができる方法を模索し、製造コスト及びエネルギーの使用量を節減するための研究が続いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】KR 2015-0088249 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、エチレンオリゴマー化反応で生成されたオリゴマー分画の少なくとも一部を溶媒蒸留塔の再沸器(reboiler)の熱源として用いることによりエネルギー効率を向上させたエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、溶媒蒸留塔の塔頂から排出された第3の上部分画の少なくとも一部を第1のC6蒸留塔及び第2のC6蒸留塔の再沸器の熱源として用いることによりエネルギー効率を向上させたエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、エチレンオリゴマー化反応生成物から未反応エチレン及び1-ブテンが除去されたオリゴマー分画を冷却ユニットに投入して冷却させるステップと、前記冷却ユニットから排出されたオリゴマー分画を第1のC6蒸留塔に投入し、塔頂から第1の上部分画を排出し、塔底から第1の下部分画を排出するステップと、前記第1のC6蒸留塔の塔頂から排出された第1の上部分画を第2のC6蒸留塔に投入し、塔頂から第2の上部分画を排出し、塔底から第2の下部分画を排出するステップと、前記第1のC6蒸留塔の塔底から排出された第1の下部分画を溶媒蒸留塔に投入し、塔頂から第3の上部分画を排出し、塔底から第3の下部分画を排出するステップと、を含んでなり、
前記第1のC6蒸留塔、第2のC6蒸留塔及び溶媒蒸留塔は、それぞれ凝縮器と再沸器を備えており、前記オリゴマー分画の少なくとも一部を溶媒蒸留塔の再沸器の熱源として用い、前記第3の上部分画の少なくとも一部を第1のC6蒸留塔及び第2のC6蒸留塔の再沸器の熱源として用いることである、エチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法を行う場合、高温のエチレンオリゴマー化反応生成物の少なくとも一部を他の蒸留塔、例えば、溶媒蒸留塔の再沸器の熱源として用い、また、溶媒蒸留塔から排出された高温の流れ、例えば、溶媒蒸留塔の塔頂から排出された第3の上部分画の少なくとも一部を第1のC6蒸留塔及び第2のC6蒸留塔の再沸器の熱源として用いることにより、熱ユーティリティーの使用を最少化してエネルギー効率を向上させ、分離工程に必要となる費用を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法を説明するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に対する理解を深めるために、本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】
本発明の説明及び特許請求の範囲で用いられた用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0014】
本発明の一実施形態に係るエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法は、エチレンオリゴマー化反応生成物から未反応エチレン及び1-ブテンが除去されたオリゴマー分画を冷却ユニットに投入して冷却させるステップと、前記冷却ユニットから排出されたオリゴマー分画を第1のC6蒸留塔に投入し、塔頂から第1の上部分画を排出し、塔底から第1の下部分画を排出するステップと、前記第1のC6蒸留塔の塔頂から排出された第1の上部分画を第2のC6蒸留塔に投入し、塔頂から第2の上部分画を排出し、塔底から第2の下部分画を排出するステップと、前記第1のC6蒸留塔の塔底から排出された第1の下部分画を溶媒蒸留塔に投入し、塔頂から第3の上部分画を排出し、塔底から第3の下部分画を排出するステップと、を含んでなり、
前記第1のC6蒸留塔、第2のC6蒸留塔及び溶媒蒸留塔は、それぞれ凝縮器と再沸器を備えており、前記オリゴマー分画の少なくとも一部を溶媒蒸留塔の再沸器の熱源として用い、前記第3の上部分画の少なくとも一部を第1のC6蒸留塔及び第2のC6蒸留塔の再沸器の熱源として用いることを特徴とする。
【0015】
以下、図を参照しつつ、本発明を詳しく説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法を説明するための工程図である。
【0017】
本発明において、「オリゴマー(oligomer)」とは、単量体がオリゴマー化されて形成され、10,000未満の範囲の数平均分子量を有する低重合体を意味する。
【0018】
本発明において、「エチレンオリゴマー化」とは、エチレンがオリゴマー化されることを意味する。重合されるエチレンの個数に従って三量化(trimerization)、四量化(tetramerization)と呼ばれ、これを総称して多量化(multimerization)と称する。本発明の一実施形態に係るエチレンオリゴマー化反応は、線状の低密度ポリエチレンの主な共単量体である1-ヘキセン及び1-オクテンを選択的に製造することであってよい。
【0019】
本発明において、「エチレンオリゴマー化反応生成物」とは、エチレンオリゴマー化生成物、重合体生成物、未反応エチレンを含む複数相の多成分炭化水素であってよい。前記エチレンオリゴマー化反応生成物のうちのアルファオレフィンは、炭素数4から40、具体的には炭素数4から10のオリゴマーであって、炭素数4のエチレン二量体、炭素数6のエチレン三量体、及び炭素数8のエチレン四量体を例示することができ、前記アルファオレフィンの分子量は1,500以下であってよく、具体的には1,000以下であってよいが、これに制限されない。
【0020】
本発明において、C4、C6、C8及びC10などのCは炭素を意味するものであって、例えば、C6は炭素数6を表すものである。
【0021】
本発明において、「分画(fraction)」は、ある物質が複数のグループに分けられていることを表すものであって、例えば、オリゴマー分画とは、オリゴマーが複数のグループに分けられていることを意味する。
【0022】
本発明において、「オリゴマー分画」は、エチレン及び1-ブテン以外のエチレンオリゴマー化反応生成物であって、C6蒸留塔21の原料として供給される混合物を意味し、これは、未反応エチレン及び1-ブテンが同時に分離されるC2/C4蒸留塔(図示省略)の塔底、または、1-ブテンだけが分離されるC4蒸留塔(図示省略)の塔底からエチレンオリゴマー化反応生成物を排出して得ることができるが、これに制限されない。具体的には、C6以上の線状アルファオレフィン、例えば、1-ヘキセンなどのC6炭化水素化合物、1-オクテンなどのC8炭化水素化合物、1-デセンなどのC10炭化水素化合物、エチレンと触媒を溶解させるための溶媒などが含まれていてよい。
【0023】
本発明において、「豊富分画」は、幾多の成分または混合物からなる分画内の特定の成分を、その他の成分に比べて高い割合で含んでいる分画を表すものであって、例えば、C6炭化水素化合物豊富分画は、分画をなす成分中C6炭化水素化合物を、他の成分に比べて高い割合で含んでいる分画を表すものである。
【0024】
本発明のエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法は、エチレンオリゴマー化反応生成物から未反応エチレン及び1-ブテンが除去されたオリゴマー分画を冷却ユニット24に投入して冷却させるステップ(ステップ1)を含む。
【0025】
前記ステップ1は、比較的に高温、高圧であるエチレンオリゴマー化反応生成物を蒸留塔に投入する前に冷却させるためのステップである。
【0026】
前記冷却ユニット24から排出されたオリゴマー分画の温度は、50から200℃であってよい。冷却前のエチレンオリゴマー化反応生成物の温度は、通常200℃を上回り、例えば、235℃であってよい。前記温度は、第1のC6蒸留塔21内の下部に位置するトレー(tray)の温度よりも高いため、第1のC6蒸留塔21と連結されている凝縮器(condenser)25に負荷がかかるようになり、結局、多くのエネルギーと費用がかかるようになる。
【0027】
そのため、本発明では、オリゴマー分画を第1のC6蒸留塔21に投入させる前に冷却ユニット24を用いて温度を下げる。これを介し、第1のC6蒸留塔21に連結されている凝縮器25にかかる負荷を減らし、熱の除去のために必要となる運転費用を減少させることができるようにした。このとき、冷却されたオリゴマー分画の温度は、前記第1のC6蒸留塔21に原料が供給されるトレーの温度に近似するよう調節するのが好ましく、50から200℃の温度であってよいが、これに制限されず、工程の条件などの環境によって変わり得る。
【0028】
前記冷却ユニット24として熱交換器、冷却器、または両方を用いることができ、より効率的な熱の除去のためには、これらとともに冷却が可能な少量のユーティリティーを同時に利用することができ、その種類や個数には制限がない。
【0029】
本発明において、オリゴマー分画の少なくとも一部は、後述する溶媒蒸留塔23の再沸器30の熱源として用いられてよい。
【0030】
本発明において、再沸器に供給される熱は、高温の流れと低温の流れの間の熱交換を介して発生するものであってよい。
【0031】
オリゴマー分画の少なくとも一部を溶媒蒸留塔23の再沸器30の熱源として用いるということは、例えば、前記冷却ユニット24の投入流れと溶媒蒸留塔23の塔底の再沸器30の投入流れを熱交換させることにより、溶媒蒸留塔23の塔底から排出された第3の下部分画の少なくとも一部を加熱させることができることを意味する。
【0032】
このとき、前記熱交換は、二つの流れの間の温度差によって行われることであって、具体的には、冷却ユニット24の投入流れの温度が溶媒蒸留塔23の塔底の再沸器30の投入流れの温度に比べて高いことを利用するのである。
【0033】
すなわち、図1に示す通り、冷却ユニット24の投入流れは、A熱交換によって溶媒蒸留塔23の再沸器30の熱源として用いられてよく、オリゴマー分画の温度が低くなる同時に前記オリゴマー分画が失う熱は、溶媒蒸留塔23の再沸器30に供給され熱源として用いられてよい。
【0034】
これを介し、本発明では、既存に再沸器に供給されていた熱ユーティリティー、例えば、スチームが用いられないようにするか、従来の方法に比べて少量だけ用いられるようにすることでエネルギーの効率を上昇させ、分離工程に必要となる費用をより節減させた驚くべき効果がある。また、高い温度のオリゴマー分画を冷却させるために必要なエネルギー、例えば、冷却水の使用量も減少させることができる。
【0035】
本発明において、前記再沸器30に熱源として供給される熱の量は、冷却ユニット24に投入されるオリゴマー分画の量、溶媒蒸留塔23の塔底から排出された第3の下部分画の量、前記オリゴマー分画と下部分画の間の熱交換の程度によって変わり得る。
【0036】
本発明のエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法は、前記冷却ユニットから排出されたオリゴマー分画を第1のC6蒸留塔21に投入し、塔頂から第1の上部分画を排出し、塔底から第1の下部分画を排出するステップ(ステップ2)と、前記第1のC6蒸留塔の塔頂から排出された第1の上部分画を第2のC6蒸留塔22に投入し、塔頂から第2の上部分画を排出し、塔底から第2の下部分画を排出するステップ(ステップ3)と、前記第1のC6蒸留塔の塔底から排出された第1の下部分画を溶媒蒸留塔23に投入し、塔頂から第3の上部分画を排出し、塔底から第3の下部分画を排出するステップ(ステップ4)と、を含む。
【0037】
前記ステップ2は、冷却されたオリゴマー分画を第1のC6蒸留塔21に投入して第1の上部分画と第1の下部分画に分離するステップである。このとき、第1の上部分画は、分画内のC6炭化水素化合物の含有比が高いものであってよく、第1の下部分画は、C6炭化水素化合物の含有比が低いものであってよい。すなわち、第1の上部分画はC6炭化水素化合物豊富分画で、分画内の成分が殆どC6炭化水素化合物であってよく、第1の下部分画はC6炭化水素化合物不足分画で、分画内にC8以上の炭化水素化合物及び溶媒を含むものであってよい。
【0038】
前記ステップ3は、回収された第1の上部分画を第2のC6蒸留塔22に投入して第2の上部分画と第2の下部分画に分離するステップである。このとき、第2の上部分画は、分画内の1-ヘキセンの含有比が高いものであってよく、第2の下部分画は、1-ヘキセンの含有比が低いものであってよい。すなわち、第2の上部分画は1-ヘキセン豊富分画で、分画内の成分が殆ど1-ヘキセンであってよく、第2の下部分画は1-ヘキセン不足分画で、分画内に1-ヘキセンを除いたC6炭化水素化合物を含むものであってよい。
【0039】
前記ステップ4は、回収された第1の下部分画を溶媒蒸留塔23に投入して第3の上部分画と第3の下部分画に分離するステップである。このとき、第3の上部分画は、分画内の溶媒の含有比が高いものであってよく、第3の下部分画は、溶媒の含有比が低いものであってよい。すなわち、第3の上部分画は溶媒豊富分画で、分画内の成分が殆ど溶媒であってよく、第3の下部分画は溶媒不足分画で、分画内にC8以上の炭化水素化合物を含むものであってよい。
【0040】
本発明において、第3の上部分画の少なくとも一部は、第1のC6蒸留塔21の再沸器26及び第2のC6蒸留塔22の再沸器28の熱源として用いられてよい。
【0041】
第3の上部分画の少なくとも一部を第1のC6蒸留塔21の再沸器26の熱源として用いるということは、例えば、前記溶媒蒸留塔23の塔頂の凝縮器29の投入流れと第1のC6蒸留塔21の塔底の再沸器26の投入流れを熱交換させることにより、第1のC6蒸留塔21の塔底から排出された第1の下部分画の少なくとも一部を加熱させることができることを意味する。
【0042】
第3の上部分画の少なくとも一部を第2のC6蒸留塔22の再沸器28の熱源として用いるということは、例えば、前記溶媒蒸留塔23の塔頂の凝縮器29の投入流れと第のC6蒸留塔22の塔底の再沸器28の投入流れを熱交換させることにより、第のC6蒸留塔22の塔底から排出された第の下部分画の少なくとも一部を加熱させることができることを意味する。
【0043】
前記熱交換は、二つの流れの間の温度差によって行われることであって、具体的には、溶媒蒸留塔23の塔頂の凝縮器29の投入流れの温度が第1のC6蒸留塔21の塔底の再沸器26の投入流れの温度に比べて高く、溶媒蒸留塔23の塔頂の凝縮器29の投入流れの温度が第2のC6蒸留塔22の塔底の再沸器28の投入流れの温度に比べて高いことを利用するのである。
【0044】
すなわち、図1に示す通り、溶媒蒸留塔23の塔頂の凝縮器29の投入流れは、B熱交換によって第1のC6蒸留塔21の再沸器26の熱源として用いられてよく、C熱交換によって第2のC6蒸留塔22の再沸器28の熱源として用いられてよく、前記二種類の熱交換(B、C)全部により二種類の再沸器26、28の熱源として同時に用いられてよい。溶媒蒸留塔23の塔頂から排出された第3の上部分画の温度が低くなる同時に、前記第3の上部分画が失う熱は、第1のC6蒸留塔21の再沸器26及び第2のC6蒸留塔22の再沸器28に供給され熱源として用いられてよい。
【0045】
これを介し、本発明では、既存に再沸器に供給されていた熱ユーティリティー、例えば、スチームが用いられないようにするか、従来の方法に比べて少量だけ用いられるようにすることでエネルギーの効率を上昇させ、分離工程に必要となる費用をより節減させた驚くべき効果がある。また、溶媒蒸留塔23の塔頂の排出流れを凝縮させるために必要なエネルギー、例えば、冷却水の使用量も減少させることができる。
【0046】
本発明において、再沸器26、28に熱源として供給される熱の量は、溶媒蒸留塔23の塔頂から排出された第3の上部分画の量、第1のC6蒸留塔21の塔底から排出された第1の下部分画の量、第2のC6蒸留塔22の塔底から排出された第2の下部分画の量、第3の上部分画と第1の下部分画の間の熱交換の程度、第3の上部分画と第2の下部分画の間の熱交換の程度によって変わり得る。
【0047】
本発明において、溶媒蒸留塔23の塔頂の凝縮器29の投入流れと第1のC6蒸留塔21の塔底の再沸器26の投入流れの間の熱交換、溶媒蒸留塔23の塔頂の凝縮器29の投入流れと第2のC6蒸留塔22の塔底の再沸器28の投入流れの間の熱交換は、第1のC6蒸留塔21の運転圧力及び溶媒蒸留塔23の運転圧力の調節によって一層円滑に行われ得る。
【0048】
具体的には、第1のC6蒸留塔21の運転圧力は溶媒蒸留塔23の運転圧力より低くてよく、より具体的には、第1のC6蒸留塔21の運転圧力は-0.5から0kg/cm2gであり、溶媒蒸留塔23の運転圧力は0から2kg/cm2gであってよい。前記kg/cm2gは、ゲージ圧力を表示する単位であって、大気圧、即ち、常圧の下では0kg/cm2gに表示される。
【0049】
第1のC6蒸留塔21の運転圧力は常圧以下であってよく、具体的には、-0.5から0kg/cm2gであってよい。特に、第1のC6蒸留塔21の運転圧力を、第1のC6蒸留塔21の塔底の排出流れの温度が溶媒蒸留塔23の塔頂の排出流れの温度より3℃、好ましくは5℃、より好ましくは10℃低く設定することができる。
【0050】
前記のような第1のC6蒸留塔21の運転圧力の調節により、第1のC6蒸留塔21の塔底の排出流れの温度は120℃以下、好ましくは110℃以下であってよい。
【0051】
このように第1のC6蒸留塔21の運転圧力を減少させて運転の温度及び排出流れの温度を低く設定することにより、相対的に高温である冷却ユニット24の投入流れを利用して溶媒蒸留塔23の塔底の再沸器30の投入流れを加熱させるのである。
【0052】
また、溶媒蒸留塔23の運転圧力は常圧以上であってよく、具体的には、0から2kg/cm2gであってよい。溶媒蒸留塔23の運転圧力を前記のように高く調節し、溶媒蒸留塔23の塔頂の排出流れの温度を他の蒸留塔、例えば、第1のC6蒸留塔21及び第2のC6蒸留塔22の塔底の排出流れの温度より高めることにより、溶媒蒸留塔23の塔頂の排出流れを利用して第1のC6蒸留塔21の塔底の再沸器26の投入流れ及び第2のC6蒸留塔22の塔底の再沸器28の投入流れを加熱させるのである。
【0053】
本発明では、オリゴマー分画の少なくとも一部を溶媒蒸留塔23の再沸器30の熱源として用いる同時に、第3の上部分画の少なくとも一部を第1のC6蒸留塔21及び第2のC6蒸留塔22の再沸器26、28の熱源として用いた。
【0054】
この場合、オリゴマー分画の少なくとも一部を溶媒蒸留塔23の再沸器30の熱源として用いるか、第3の上部分画の少なくとも一部を第1のC6蒸留塔21の再沸器26の熱源として用いるか、第3の上部分画の少なくとも一部を第2のC6蒸留塔22の再沸器28の熱源として用いる場合とそれぞれ比べるとき、前記三種類の熱源の使用を一つの工程内で同時に利用することによって、外部の熱ユーティリティーの使用を著しく減らすことができる。
【0055】
本発明において、第1のC6蒸留塔21の再沸器26、第2のC6蒸留塔22の再沸器28、溶媒蒸留塔23の再沸器30をエネルギーの側面で効率よく運転するためには、第1のC6蒸留塔21の下部または側面に連結されている再沸器26から供給される熱量が、第1のC6蒸留塔21の上部に連結されている凝縮器25から除去される熱量に近似しなければならず、第2のC6蒸留塔22の下部または側面に連結されている再沸器28から供給される熱量が、第2のC6蒸留塔22の上部に連結されている凝縮器27から除去される熱量に近似しなければならず、溶媒蒸留塔23の下部または側面に連結されている再沸器30から供給される熱量が、溶媒蒸留塔23の上部に連結されている凝縮器29から除去される熱量に近似しなければならない。本発明の分離方法により前記再沸器26、28、30に供給される熱量が不十分である場合は、既存に再沸器の熱源として用いられていたスチームを含む熱ユーティリティーを利用して更なる熱の供給を可能にすることができる。
【0056】
本発明に係るエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法は、エチレンオリゴマー化反応生成物を分離する工程の大部分に適用可能なので、多様な形態のエチレンオリゴマー化反応生成物を分離する工程に利用され得る。
【0057】
本発明において、エチレンオリゴマー化反応は、1-ヘキセン(1-hexene)及び1-オクテン(1-octene)などのオリゴマーが選択的に製造されるよう、クロム(Cr)系またはチタン(Ti)系触媒を用いて開始することができる。
【0058】
本発明に係るエチレンオリゴマー化反応生成物の分離方法は、C8以上のアルファオレフィン蒸留塔に順次移送されるステップをさらに含むことができる。本発明のオリゴマー分画には、重合の条件によってC8以上の炭化水素化合物が含まれてよい。したがって、必要に応じて、溶媒蒸留塔23を通過した反応生成物が、エチレンオリゴマー化反応により生成されるC8以上のアルファオレフィン蒸留塔に順次移送されるステップをさらに含むことができる。
【実施例
【0059】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。しかし、下記実施例は本発明を例示するためのものであって、これらだけに本発明の範囲が限定されるのではない。
【0060】
下記実施例及び比較例は、商用のプロセスシミュレーションプログラムであるアスペンプラスを利用して本発明に係る分離方法をシミュレーションした。シミュレーションに必要な定数は、前記プログラム上に内蔵されている値、文献上に記載されている値などを使用した。
【0061】
エチレンオリゴマー化反応のための混合溶液は、エチレン単量体、クロム系触媒、溶媒としてメチルシクロヘキサンを含むものに設定した。
【0062】
(実施例1:エチレンオリゴマー化反応生成物の分離)
先ず、図1に示されている工程を利用してエチレンオリゴマー化反応生成物の分離を行った。
【0063】
具体的には、エチレン単量体、クロム系触媒、メチルシクロヘキサンを含む混合溶液で重合反応を起こした後、反応生成物中、未反応エチレン及び1-ブテンをC2/C4蒸留塔(図示省略)またはC4蒸留塔(図示省略)を用いて分離し、残りの反応生成物は次のステップに移送した。その後、オリゴマー分画を第1のC6蒸留塔21に供給する前に温度を下げるため、冷却ユニット24を利用して冷却した。
【0064】
冷却したオリゴマー分画を第1のC6蒸留塔21に投入し、第1の上部分画及び第1の下部分画を分離した。第1の上部分画を、凝縮器25を経て第1の上部分画の回収流れ13として第2のC6蒸留塔に投入した。第2のC6蒸留塔22で第2の上部分画と第2の下部分画に分離し、第2の上部分画を、凝縮器27を経て第2の上部分画の回収流れ14として回収し、第2の下部分画を、再沸器28を経て第2の下部分画の回収流れ15として回収した。一方、第1の下部分画を、再沸器26を経て溶媒蒸留塔23に投入した。溶媒蒸留塔23で第3の上部分画と第3の下部分画に分離し、第3の上部分画を、凝縮器29を経て第3の上部分画の回収流れ17として回収し、第3の下部分画を、再沸器30を経て第3の下部分画の回収流れ18として回収した。
【0065】
各流れにおける圧力及び温度の設定値と、分離された物質の組成とを下記表1に示した。
【0066】
【表1】
【0067】
11:冷却ユニットの投入流れ 12:冷却ユニットの排出流れ
13:第1の上部分画の回収流れ 14:第2の上部分画の回収流れ
15:第2の下部分画の回収流れ 16:第1の下部分画の回収流れ
17:第3の上部分画の回収流れ 18:第3の下部分画の回収流れ
【0068】
実施例1では、冷却ユニット24の投入流れのオリゴマー分画の一部を溶媒蒸留塔23の再沸器30の熱源として用い、第3の上部分画の一部を第1のC6蒸留塔21及び第2のC6蒸留塔22の再沸器26、28の熱源として用いた。
【0069】
前記表1に示した通り、第1のC6蒸留塔21、第2のC6蒸留塔22、溶媒蒸留塔23それぞれの塔頂の排出流れ13、14、17の圧力は、-0.5kg/cm2g、0kg/cm2g、0.5kg/cm2gであった。
【0070】
前記表1に示した通り、第1のC6蒸留塔21を低圧で運転したことにより、第1のC6蒸留塔21の塔頂の第1の上部分画の回収流れ13及び塔底の第1の下部分画の回収流れ16は、いずれも温度及び圧力が低いことを確認した。また、溶媒蒸留塔23を高圧で運転したことにより、溶媒蒸留塔23の塔頂の第3の上部分画の回収流れ17及び塔底の第3の下部分画の回収流れ18は、いずれも温度及び圧力が高いことを確認した。
【0071】
これを利用して、冷却ユニット24の投入流れのオリゴマー分画の一部を溶媒蒸留塔23の再沸器30の熱源として用い、第1の下部分画の回収流れ16より第3の上部分画の回収流れ17の温度が高いので、第3の上部分画の一部を第1のC6蒸留塔21及び第2の蒸留塔22の再沸器26、28の熱源として用いた。
【0072】
(比較例1:エチレンオリゴマー化反応生成物の分離)
冷却ユニット24の投入流れのオリゴマー分画の一部を第1のC6蒸留塔21の再沸器26の熱源として用い、残りの再沸器の熱源にはスチームを用いた。これ以外は、実施例1と同様にエチレンオリゴマー化反応生成物を分離した。
【0073】
各流れにおける圧力及び温度の設定値と、分離された物質の組成とを下記表2に示した。
【0074】
【表2】
【0075】
(比較例2:エチレンオリゴマー化反応生成物の分離)
第1のC6蒸留塔21を常圧(0kg/cm2g)で運転することにより、冷却ユニット24の投入流れのオリゴマー分画の一部を溶媒蒸留塔23の再沸器30の熱源として用い、再沸器の残りの熱源にはスチームを用いた。これ以外は、実施例1と同様にエチレンオリゴマー化反応生成物を分離した。
【0076】
各流れにおける圧力及び温度の設定値と、分離された物質の組成とを下記表3に示した。
【0077】
【表3】
【0078】
(比較例3:エチレンオリゴマー化反応生成物の分離)
第1のC6蒸留塔21を常圧未満(-0.5kg/cm2g)で運転することにより、第3の上部分画の一部を第1のC6蒸留塔21の再沸器26の熱源として用い、再沸器の残りの熱源にはスチームを用いた。これ以外は、実施例1と同様にエチレンオリゴマー化反応生成物を分離した。
【0079】
各流れにおける圧力及び温度の設定値と、分離された物質の組成とを下記表4に示した。
【0080】
【表4】
【0081】
(比較例4:エチレンオリゴマー化反応生成物の分離)
第1のC6蒸留塔21を常圧(0kg/cm2g)で運転することにより、第3の上部分画の一部を第2のC6蒸留塔22の再沸器28の熱源として用い、再沸器の残りの熱源にはスチームを用いた。これ以外は、実施例1と同様にエチレンオリゴマー化反応生成物を分離した。
【0082】
各流れにおける圧力及び温度の設定値と、分離された物質の組成とを下記表5に示した。
【0083】
【表5】
【0084】
(比較例5:エチレンオリゴマー化反応生成物の分離)
第1のC6蒸留塔21、第2のC6蒸留塔22、溶媒蒸留塔23を全て常圧(0kg/cm2g)で運転することにより、内部で発生した熱を熱源として用いることなく、外部の熱ユーティリティーであるスチームのみを熱源として用いた。これ以外は、実施例1と同様にエチレンオリゴマー化反応生成物を分離した。
【0085】
各流れにおける圧力及び温度の設定値と、分離された物質の組成とを下記表6に示した。
【0086】
【表6】
【0087】
(実験例1:エチレンオリゴマー化反応生成物の分離工程におけるエネルギー効率の評価)
前記実施例1、比較例1から5によってエチレンオリゴマー化反応生成物の分離工程をそれぞれ行った後、各工程におけるエネルギーの使用量を測定してその結果を下記表7から9に示した。
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
【0090】
【表9】
【0091】
纏めると、前記比較例1は、オリゴマー分画の一部を第1のC6蒸留塔21の再沸器26の熱源として用いたのであり、比較例2は、A熱交換のみを用いたのであり、比較例3は、B熱交換のみを用いたのであり、比較例4は、C熱交換のみを用いたのであり、比較例5は、内部の熱交換なしに外部の熱ユーティリティーのみを用いたのである。前記表7から9によって分かるように、オリゴマー分画の一部を溶媒蒸留塔23の再沸器30の熱源として用い、第3の上部分画の一部を第1のC6蒸留塔21及び第2のC6蒸留塔22の再沸器26、28の熱源として用いて、AからC熱交換を全て用いた実施例1の場合、外部の熱ユーティリティーであるスチームの使用量が2.5Gcal/hrに過ぎなかった。これは、内部での熱交換なしにスチームのみを熱源として用いた比較例5に比べ、スチームの使用量が3.79Gcal/hrから2.35Gcal/hrに減少したもので、非常に驚くべきエネルギー効率の向上を達成したのである。
【0092】
また、オリゴマー分画の一部を第1のC6蒸留塔21の再沸器26の熱源として用いた比較例1の場合、比較例5に比べてはスチームの使用量が若干減少したが、相変らず多い容量のスチームが求められた。
【0093】
A熱交換、B熱交換、C熱交換のうちの一つだけを起こした比較例2から4の場合も同じく、実施例1に比べて多い容量のスチームを用いなければならないことを確認した。具体的には、前記比較例2から4のいずれもスチームの使用量が3Gcal/hrを超過し、比較例2の場合、実施例1に比べてスチームの使用量が約130%と高く表れ(2.35Gcal/hr対比3.01Gcal/hr)、比較例3の場合、約180%(2.35Gcal/hr対比4.24Gcal/hr)、比較例4の場合、約134%(2.35Gcal/hr対比3.14Gcal/hr)と高く表れたことを確認した。
【0094】
一方、A、B、C熱交換を全て行って内部の熱源を活用した実施例1の場合、スチームの使用量が2.35Gcal/hrに大幅減少するに伴い、分離工程の効率性及び経済性を大きく向上させたことが分かった。
【0095】
したがって、再沸器で用いられたエネルギーの量が同等であるか類似するとしても、実施例1の再沸器で用いられた大部分のエネルギーは内部で発生した熱を活用したものであるため、エネルギーの効率が比較例1及び2に比べて非常に上昇したのである。だけでなく、前記のようにエネルギーの効率は上昇した反面、各流れに含有されている物質の組成比には変化がなく、これを介し、内部の熱源を用いるとしても、エチレンオリゴマー化反応生成物の分離工程の遂行には影響を及ぼすことなく、円滑に蒸留塔が運転されることを確認することができた。
【符号の説明】
【0096】
11 冷却ユニットの投入流れ
12 冷却ユニットの排出流れ
13 第1の上部分画の回収流れ
14 第2の上部分画の回収流れ
15 第2の下部分画の回収流れ
16 第1の下部分画の回収流れ
17 第3の上部分画の回収流れ
18 第3の下部分画の回収流れ
21 第1のC6蒸留塔
22 第2のC6蒸留塔
23 溶媒蒸留塔
24 冷却ユニット
25 第1のC6蒸留塔の凝縮器
26 第1のC6蒸留塔の再沸器
27 第2のC6蒸留塔の凝縮器
28 第2のC6蒸留塔の再沸器
29 溶媒蒸留塔の凝縮器
30 溶媒蒸留塔の再沸器
図1