(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】酸化ハフニウムの薄膜におけるドーパント濃度のチューニング可能性
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20220815BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 C
(21)【出願番号】P 2020570952
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(86)【国際出願番号】 US2019035924
(87)【国際公開番号】W WO2019245751
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-02-18
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カルバシアン, ゴルナズ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, キース テイー.
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-026276(JP,A)
【文献】特表2007-537605(JP,A)
【文献】特開2007-266464(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0182427(US,A1)
【文献】国際公開第2013/150920(WO,A1)
【文献】特開2015-106713(JP,A)
【文献】特表2005-505920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドープされた酸化ハフニウム膜を形成する方法であって、
処理チャンバ内で基板をハフニウム前駆体に曝露して、ハフニウム含有単層を堆積させることと、
前記処理チャンバの前記ハフニウム前駆体をパージすることと、
前記ハフニウム含有単層と反応する第1酸化体に前記基板を曝露して、酸化ハフニウム単層を形成することと、
前記処理チャンバの前記第1酸化体をパージすることとを含む、
第1堆積サイクル、及び
処理チャンバ内で前記基板をハフニウム前駆体に曝露して、
前記酸化ハフニウム単層上に第2ハフニウム含有単層を堆積させることと、
前記処理チャンバの前記ハフニウム前駆体をパージすることと、
前記基板をドーパント前駆体に曝露して、前記第2ハフニウム含有単層を有する前記基板の上にドーパント含有層を堆積させることと、
前記処理チャンバの前記ドーパント前駆体をパージすることと、
前記第2ハフニウム含有単層及び前記ドーパント含有層と反応する第2酸化体に前記基板を曝露して、ドープされた酸化ハフニウム膜を前記基板上に形成することと、
前記処理チャンバの前記第2酸化体をパージすることとを含む、
第2堆積サイクル
、並びに
0.5~10nmの厚さを有し、かつ合計150以下の単層を有するドープされた酸化ハフニウム膜を形成するために、前記第1堆積サイクル又は前記第2堆積サイクルの一又は複数を反復することを含み、
ドーパントの濃度が、各単層において変更される、
方法。
【請求項2】
前記ドーパントが、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、又はストロンチウム(Sr)、のうちの一又は複数から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハフニウム前駆体が、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム(IV)(TEMAHf)、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(IV)(TDMAHf)、テトラキス(ジエチルアミド)ハフニウム(IV)(TDEAHf)、四塩化ハフニウム(HfCl
4)、ハフニウムイソプロポキシドイソプロパノール付加物、ハフニウム(IV)tert-ブトキシド、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)、ビス(トリメチルシリル)アミドハフニウム(IV)クロリド、ビス(メチル-η
5-シクロペンタジエニル)メトキシメチルハフニウム、又はビス(メチル-η
5-シクロペンタジエニル)ジメチルハフニウム、のうちの一又は複数から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ドーパント前駆体が、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、塩化アルミニウム(AlCl
3)、四塩化ケイ素(SiCl
4)、ヘキサクロロジシラン(Si
2Cl
6)、ビス(ジエチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ランタン、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ランタン(III)(La(thd)
3)、トリス(シクロペンタジエニル)ランタン(III)(LaCp
3)、トリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ランタン(III)(La(CpiPr)
3)、テトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(IV)(TEMAZr)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)(TDMAZr)、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3、5-ヘプタンジオナト)ジルコニウム、ジルコニウム(IV)2-エチルヘキサノエート、ジルコニウム(IV)ジブトキシド(ビス-2,4-ペンタンジオナト)、テトラキス(ジエチルアミド)ジルコニウム(IV)(TDEAZr)、ジメチル-ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)、ビス(メチル-η5-シクロペンタジエニル)メトキシメチルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)二水素化物、四塩化ジルコニウム(ZrCl
4)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)(Ycp
3)、トリス(メチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)((MeCp)
3Y)、トリス(エチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)((EtCp)
3Y)、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)(Y(thd)
3)、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ガドリニウム(III)(Gd(thd)
3)、トリス(メチルシクロペンタジエニル)ガドリニウム(III)((MeCp)
3Gd)、トリス(エチルシクロペンタジエニル)ガドリニウム(III)((EtCp)
3Gd)、ビス(トリイソプロピルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(II)((i-Pr
3Cp)
2Sr)、ビス(トリメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(II)((n-PrMe
3Cp)
2Sr)、又はビス(メチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(II)(Sr(thd)
2)、のうちの一又は複数から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ドープされた酸化ハフニウム膜が
、1モル%
~40モル%のドーパントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1酸化体と前記第2酸化体とが個別に、H
2O、酸素分子(O
2)、オゾン(O
3)、直接O
2プラズマ、又は遠隔O
2プラズマから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ドーパント含有層の各々の100%未満が、ドーパントで構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ドープされた酸化ハフニウム膜を形成する方法であって、
基板をハフニウム前駆体、パージガス、第1酸化体、そしてパージガスに順次曝露することを含む第1プロセスサイクルにおいて、酸化ハフニウム単層を形成することと、
前記基板をハフニウム前駆体、パージガス、ドーパント前駆体、パージガス、第2酸化体、そしてパージガスに順次曝露することを含む第2プロセスサイクルにおいて、ドープされた酸化ハフニウム単層を形成することと、
0.5nm
~10nmの厚さを有するドープされた酸化ハフニウム膜を形成するために、前記第1プロセスサイクル又は前記第2プロセスサイクルの一又は複数を反復することとを含
み、
ドーパントの濃度が、各単層において変更される、
方法。
【請求項9】
前記ハフニウム前駆体が、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム(IV)(TEMAHf)、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(IV)(TDMAHf)、テトラキス(ジエチルアミド)ハフニウム(IV)(TDEAHf)、四塩化ハフニウム(HfCl
4)、ハフニウムイソプロポキシドイソプロパノール付加物、ハフニウム(IV)tert-ブトキシド、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)、ビス(トリメチルシリル)アミドハフニウム(IV)クロリド、ビス(メチル-η
5-シクロペンタジエニル)メトキシメチルハフニウム、又はビス(メチル-η
5-シクロペンタジエニル)ジメチルハフニウム、のうちの一又は複数から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ドーパント前駆体が、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、塩化アルミニウム(AlCl
3)、四塩化ケイ素(SiCl
4)、ヘキサクロロジシラン(Si
2Cl
6)、ビス(ジエチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ランタン、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ランタン(III)(La(thd)
3)、トリス(シクロペンタジエニル)ランタン(III)(LaCp
3)、トリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ランタン(III)(La(CpiPr)
3)、テトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(IV)(TEMAZr)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)(TDMAZr)、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3、5-ヘプタンジオナト)ジルコニウム、ジルコニウム(IV)2-エチルヘキサノエート、ジルコニウム(IV)ジブトキシド(ビス-2,4-ペンタンジオナト)、テトラキス(ジエチルアミド)ジルコニウム(IV)(TDEAZr)、ジメチル-ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)、ビス(メチル-
η5-シクロペンタジエニル)メトキシメチルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)二水素化物、四塩化ジルコニウム(ZrCl
4)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)(YCp
3)、トリス(メチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)((MeCp)
3Y)、トリス(エチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)((EtCp)
3Y)、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)(Y(thd)
3)、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ガドリニウム(III)(Gd(thd)
3)、トリス(メチルシクロペンタジエニル)ガドリニウム(III)((MeCp)
3Gd)、トリス(エチルシクロペンタジエニル)ガドリニウム(III)((EtCp)
3Gd)、ビス(トリイソプロピルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(II)((i-Pr
3Cp)
2Sr)、ビス(トリメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(II)((n-PrMe
3Cp)
2Sr)、又はビス(メチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(II)(Sr(thd)
2)、のうちの一又は複数から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ドープされた酸化ハフニウム膜が
、1モル%
~40モル%のドーパント酸化物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1酸化体と前記第2酸化体とが、H
2O、酸素分子(O
2)、オゾン(O
3)、直接O
2プラズマ、又は遠隔O
2プラズマから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記ドープされた酸化ハフニウム膜が、合
計30以下の単層を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
基板上の薄膜であって、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、又はストロンチウム(Sr)のうちの一又は複数を含むドーパントがドープされたHfO
2
の30以下の単層を備え、前記ドーパント
は1モル%
~9モル%の範囲内の量で存在しており、前記薄膜
が10
~50μCcm
-2の残留分極を有
し、前記ドーパントの濃度が、前記薄膜の各単層において異なる、
薄膜。
【請求項15】
前記薄膜が、酸化アルミニウムがドープされたHfO
2
の30未満の単層を備え、前記酸化アルミニウム
は4モル%
~8モル%の範囲内の量で存在しており、前記薄膜
が0.5nm
~10nmの範囲内の厚さを有する、請求項14に記載の薄膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、電子デバイス製造の分野に関し、詳細には、集積回路(IC)の製造に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、ドーパントの量が細かく制御されうる、ドープされた酸化ハフニウムの薄膜を提供する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、単一チップ上に数百万ものトランジスタ、キャパシタ、及びレジスタが含まれうる、複雑なデバイスへと進化を遂げてきた。集積回路の進化の過程において、機能密度(すなわち、チップ面積あたりの相互接続されたデバイスの数)は全体として増加している一方、形状寸法サイズ(すなわち、製造プロセスを使用して作製されうる最小の構成要素(又はライン))は減少している。
【0003】
トランジスタは、半導体デバイス上に形成されることが多い、回路構成要素又は回路素子である。回路設計に応じて、キャパシタ、インダクタ、レジスタ、ダイオード、導電ライン、又はその他の素子に加えて多くのトランジスタも、半導体デバイス上に形成されうる。金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は電界効果トランジスタ(FET)の一種である。これは絶縁ゲートを有するものであり、絶縁ゲートの電圧が、デバイスの導電率を決定する。印加される電圧量に応じて導電率を変化させるこの能力は、電子信号を増幅させるか、又は切り替えるために使用される。
【0004】
一般に、トランジスタは、ソース領域とドレイン領域との間に形成されたゲートスタックを含む。ソース領域及びドレイン領域は、ドープされた基板領域を含んでよく、特定の応用に適したドーピングプロファイルを示しうる。ゲートスタックは、チャネル領域の上に配置されるものであり、基板のゲート電極とチャネル領域との間に介在するゲート誘電体を含みうる。
【0005】
負性容量FET(NCFET)が、代替トランジスタとして提案されている。NCFETは、強誘電体薄膜がゲート絶縁膜として使用されること以外は、MOSFETと同じ構造を有する。強誘電体材料がゲート絶縁体として使用されると、負性静電容量がもたらされうる。
【0006】
酸化ハフニウムがドープされた膜は、ドーパントの濃度に感応する強誘電特性を示す。厚さが2nmまで低減された薄膜では、HfO2の単層とドーパントの単層との合計数が20~30を超えることはない。このHfO2膜が、(典型的には原子層堆積(ALD)の場合のように)ドーパント膜のほぼ完全な単層を挿入することによってドープされれば、これにより、このスタックにおけるドーパントの濃度はおよそ3~5モル%の整数倍となる。結果的に、ドーパントを単層ごとに添加する従来型の方法によっては、ドープされた酸化ハフニウム膜の大部分において、強誘電性を実現するために必要な1~10モル%という範囲内では、実現可能なドーピングレベルがほとんどない。ゆえに、薄膜のドーパント濃度、ひいては強誘電性を微細に制御すること/チューニングすることが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
集積回路を製造するための装置及び方法について説明する。一又は複数の実施形態では、膜を堆積させる方法について説明する。一実施形態では、第1堆積サイクルは、処理チャンバ内で基板をハフニウム前駆体に曝露して、ハフニウム含有単層を堆積させることと、処理チャンバのハフニウム前駆体をパージすることと、ハフニウム含有単層と反応する第1酸化体に基板を曝露して、酸化ハフニウム単層を形成することと、処理チャンバの第1酸化体をパージすることとを、含む。第2堆積サイクルは、処理チャンバ内で基板をハフニウム前駆体に曝露して、第2ハフニウム含有単層を堆積させることと、処理チャンバのハフニウム前駆体をパージすることと;ドーパント前駆体に基板を曝露して、第2ハフニウム含有単層を有する基板の上にドーパント含有層を堆積させることと、処理チャンバのドーパント前駆体をパージすることと、ハフニウム含有単層及びドーパント含有層と反応する第2酸化体に基板を曝露して、ドープされた酸化ハフニウム膜を基板上に形成することと、基板の第2酸化体をパージすることとを、含む。
【0008】
一又は複数の実施形態では、膜を堆積させる方法について説明する。酸化ハフニウム単層は、基板をハフニウム前駆体、パージガス、第1酸化体、そしてパージガスに順次曝露することを含む、第1プロセスサイクルにおいて形成される。ドープされた酸化ハフニウム単層は、基板をハフニウム前駆体、パージガス、ドーパント前駆体、パージガス、第2酸化体、そしてパージガスに順次曝露することを含む、第2プロセスサイクルにおいて形成される。約0.5~約10nmの厚さを有するドープされた酸化ハフニウム膜を形成するために、第1プロセスサイクル又は第2プロセスサイクルの一又は複数が反復される。
【0009】
一又は複数の実施形態では、基板上の薄膜について説明する。この薄膜は、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、又はストロンチウム(Sr)のうちの一又は複数を含むドーパントがドープされた、約50以下のHfO2の単層を備える。このドーパントは、約1モル%~約9モル%の範囲内の量で存在しており、薄膜は、約10~約50μCcm-2.の残留分極を有する。
【0010】
本開示の上述の特徴を詳しく理解しうるように、上記で簡単に要約した本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られる。一部の実施形態は付随する図面に示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることから、付随する図面は本開示の典型的な実施形態のみを示しており、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。本書に記載している実施形態は、添付図面の図に、限定ではなく例示のために記載されており、図面では、類似の参照符号が類似の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本書に記載の実施形態による、薄膜を形成する方法の一実施形態のフロープロセス図を示す。
【
図2A-2F】一又は複数の実施形態による基板の断面図を示す。
【
図3A-3D】一又は複数の実施形態による基板の断面図を示す。
【
図4】本開示の一又は複数の実施形態による、プロセスチャンバのブロック図である。
【
図5】本開示の一又は複数の実施形態による、クラスタツールシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は以下の説明に明記されている構造又はプロセスステップの詳細事項に限定されるわけではないことを、理解されたい。本開示は、その他の実施形態を実現すること、及び、様々なやり方で実践され又は実行されることが可能である。
【0013】
この明細書及び付随する特許請求の範囲で使用される場合、「基板(substrate)」という語は、プロセスが作用する表面又はかかる表面の一部分のことを指す。基板に対する言及が、文脈において別様に指示されない限り、基板の一部分のみを指しうることも、当業者には理解されよう。更に、基板上への堆積に対する言及は、裸の基板と、基板上に一又は複数の膜又はフィーチャが堆積又は形成されている基板の、両方を意味しうる。
【0014】
本書で使用される場合、「基板」とは、製造プロセス中に表面上に膜処理が実施される、任意の基板、又は基板上に形成された任意の材料面のことを指す。例えば、処理が実施されうる基板表面は、応用に応じて、シリコン、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアといった材料、並びに他の何らかの材料(例えば金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電性材料)を含む。基板は、半導体ウエハを含むが、これに限定されるわけではない。基板表面を研磨し、エッチングし、還元し、酸化させ、ヒドロキシル化し(又は、化学的機能を付与するためにターゲットの化学的部分を別様に生成若しくはグラフトし)、アニールし、かつ/又はベイクするために、基板は前処理プロセスに曝露されうる。本開示では、より詳細に後述するように、開示されている膜処理ステップのいずれもが、基板自体の表面上で直接的に処理を行うことに加えて、基板上に形成された下部層にも実施されうる。「基板表面(substrate surface)」という語は、文脈にしたがって、かかる下層を含むことが意図されている。ゆえに、例えば、膜/層又は膜/層の一部が基板表面上に堆積された場合、新たに堆積された膜/層の露出面が基板表面となる。所与の基板表面が何を含むかは、どのような材料が堆積されるかのみならず、使用される特定の化学的性質にも依存する。
【0015】
この明細書及び付随する特許請求の範囲で使用される場合、「前駆体(precursor)」、「反応体(reactant)」、「反応性ガス(reactive gas)」などの語は、基板表面と反応しうる何らかのガス状種のことを指すために、互換可能に使用される。
【0016】
本書で使用されている「原子層堆積(atomic layer deposition)」又は「周期的堆積(cyclical deposition)」とは、2つ以上の反応性化合物に順次曝露することで、基板表面上に材料層を堆積させることを指す。基板又は基板の一部分は、処理チャンバの反応ゾーン内に導入される2つ以上の反応性化合物に別々に曝露される。時間領域ALDプロセスでは、各化合物が、基板表面に付着しかつ/又は基板表面上で反応し、次いで処理チャンバからパージされることを可能にするために、各反応性化合物への曝露が時間遅延によって分離される。これらの反応性化合物は、順次基板を曝露すると言われる。空間ALDプロセスでは、基板上の所与の点のいずれもが、実質的に、1を上回る数の反応性化合物に同時に曝露されないように、基板表面又は基板表面上の材料の別々の部分が、2つ以上の反応性化合物に同時に曝露される。この明細書及び付随する特許請求の範囲で使用される場合、この観点で使用される「実質的に(substantially)」という語は、当業者には理解されるように、基板のわずかな部分は複数の反応性ガスに(拡散により)同時に曝露されうる可能性があること、及び、この同時曝露は意図されたものではないことを、意味する。
【0017】
時間領域ALDプロセスの一態様では、第1反応性ガス(すなわち、第1前駆体又は化合物A)が反応ゾーン内にパルス供給されてから、第1時間遅延が生じる。次に、第2前駆体又は化合物Bが反応ゾーン内にパルス供給され、続いて第2遅延が生じる。時間遅延と時間遅延との間に、反応ゾーンをパージするか、又は、残留反応性化合物若しくは反応副生成物があればそれを反応ゾーンから別様に除去するために、パージガス(アルゴンなど)が処理チャンバに導入される。あるいは、パージガスが堆積プロセス全体にわたって連続的に流れていてもよく、これにより、反応性化合物のパルス供給間の時間遅延においては、パージガスだけが流れることになる。反応性化合物は、基板表面上に望ましい膜又は膜厚が形成されるまで、交互にパルス供給される。どちらの場合であっても、化合物A、パージガス、化合物B、そしてパージガスをパルス供給するALDプロセスが1サイクルである。サイクルは化合物Aと化合物Bのいずれかで始まってよく、所定の厚さの膜が得られるまで、サイクルのそれぞれの順序が継続されうる。
【0018】
空間ALDプロセスの一実施形態では、第1反応性ガスと第2反応性ガス(例えば窒素ガス)が反応ゾーンに同時に供給されるが、それらは不活性ガスカーテン及び/又は真空カーテンによって分離される。基板は、基板上の所与の点のいずれもが第1反応性ガス及び第2反応性ガスに曝露されるように、ガス供給装置に対して動かされる。
【0019】
一般に、トランジスタは、ソース領域とドレイン領域との間に形成されたゲートスタックを含む。ソース領域及びドレイン領域は、ドープされた基板領域を含んでよく、特定の応用に適したドーピングプロファイルを示しうる。ゲートスタックは、チャネル領域の上に配置されるものであり、基板のゲート電極とチャネル領域との間に介在するゲート誘電体を含みうる。負性容量電界効果トランジスタ(NCFET)は、強誘電体の薄膜(又は強誘電体膜/誘電体膜のスタック)がゲート絶縁体として使用されることを除いて、MOSFETと同じ構造を有する。強誘電体材料がゲート絶縁体として使用される場合、負性静電容量FETが得られる。一又は複数の実施形態では、酸化ハフニウム薄膜は、特にドーパント(例えばアルミニウム)がホスト格子に組み込まれている場合には、強誘電特性を有利に獲得する。
【0020】
本書で使用される場合、「強誘電特性(ferroelectric properties)」という語は、外部電場の印加によって反転しうる自発電気分極を有する材料特性のことを指す。
【0021】
ALDによって製造される一又は複数の実施形態の複合薄膜は、ロジック及びメモリの応用を含むがこれらに限定されるわけではない、多数の応用を有する。より詳細には、ドーパント(例えばZrO2、Al2O3、Y2O3など)がドープされた酸化ハフニウム(HfO2)などの薄膜は、低電力のロジック及びメモリの応用にとって多大な利益となる、強誘電特性を示す。
【0022】
従来的に、ドープされた酸化ハフニウムALD膜は、[A-B]-[C-B]堆積プロセスによって形成される。従来的に、酸化ハフニウム単層は、ハフニウム前駆体、パージガス、第1酸化体、そしてパージガスに基板を順次曝露することを含む、第1プロセスサイクルにおいて形成される。ドープされた酸化ハフニウム単層は、ドーパント前駆体、パージガス、第2酸化体、そしてパージガスに基板を順次曝露することを含む、第2プロセスサイクルにおいて形成される。膜を形成するために、第1プロセスサイクル又は第2プロセスサイクルの一又は複数が反復されうる。
【0023】
第2の従来型プロセスは、[AC]-[B]プロセスにおいて、ハフニウム前駆体とドーパント前駆体とを共流させることを伴う。具体的には、基板をハフニウム前駆体とドーパント前駆体の両方に曝露し、その後パージガス、酸化体、そしてパージガスに順次曝露することによって、ドープされた酸化ハフニウム単層が形成される。
【0024】
最大限にドープされた酸化ハフニウム(HfO2)層の強誘電性は、ドーパントが約4モル%~約9モル%の時に、その最大に達する。強誘電性は、ドーパント濃度のレベルがもっと低くなっても、高くなっても、急激に減少する。
【0025】
本書に記載の実施形態は、微細に制御/チューニングされたドーパント濃度を有する能力を有する、ドープされた酸化ハフニウム膜を有利に提供する。一又は複数の実施形態による薄膜におけるドーパントのチューニング可能性は、各単層中のドーパント濃度を変更することによって大幅に向上する。このドーパント調整可能性は、ひいては、ドープされた酸化ハフニウム膜の強誘電性に対する、優れた制御を有利に提供する。実施形態は、特に、薄膜(すなわち、約2nmの厚さを有し、かつ約30の単層を備える膜)において、ドーパントを約1.5モル%まで低減する調整可能性を提供する。
【0026】
理論に縛られることを意図するものではないが、本書に記載の一又は複数の実施形態の方法の重要性は、(2nm又は30サイクル以下の)非常に薄い膜では、この方法により、約1.5~約9モル%の範囲内の複数の濃度(増分は1.5モル%)が有利に実現され、強誘電体膜特性の微細チューニングが可能になりうることであると、考えられている。
【0027】
一又は複数の実施形態のドープされた酸化ハフニウム(HfO2)膜では、ドーパント含有層の各々は、ドーパント前駆体をパルス供給し、パージすることに先だって、ハフニウム含有前駆体をパルス供給し、パージすることに関与するものであり、その後に、酸化体がパルス供給される。その結果として、ドーパント含有層の各々の100%未満が、ドーパントで構成されることになる。
【0028】
一又は複数の実施形態では、膜を堆積させる方法について説明する。一実施形態では、第1堆積サイクルは、処理チャンバ内で基板をハフニウム前駆体に曝露して、ハフニウム含有単層を堆積させることと、処理チャンバのハフニウム前駆体をパージすることと、ハフニウム含有単層と反応する第1酸化体に基板を曝露して、酸化ハフニウム単層を形成することと、処理チャンバの第1酸化体をパージすることとを、含む。第2堆積サイクルは、処理チャンバ内で基板をハフニウム前駆体に曝露して、第2ハフニウム含有層を堆積させることと、処理チャンバのハフニウム前駆体をパージすることと、ドーパント前駆体に基板を曝露して、第2ハフニウム含有層を有する基板の上にドーパント含有層を堆積させることと、処理チャンバのドーパント前駆体をパージすることと、ハフニウム含有単層及びドーパント含有層と反応する第2酸化体に基板を曝露して、ドープされた酸化ハフニウム単層を基板上に形成することと、基板の第2酸化体をパージすることとを、含む。
【0029】
図1は、本開示の一又は複数の実施形態による、膜を堆積させる方法100のフロー図を示している。
図1を参照するに、方法100は、第1堆積サイクル110と第2堆積サイクル130とを含む。方法100は、工程105において、基板を処理チャンバ内に配置することにより始まる。
【0030】
基板は、当業者に既知の任意の基板でありうる。一又は複数の実施形態では、基板は、ケイ素(Si)、酸化ケイ素(SiO2)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、二硫化モリブデン(MoS2)、二セレン化モリブデン(MoSe2)、二硫化タングステン(WS2)、二セレン化タングステン(WSe2)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、プラチナ(Pt)、又はrイリジウム(Ir)、のうちの一又は複数を含む。
【0031】
工程114では、ハフニウム含有単層を堆積させるために、基板が処理チャンバ内でハフニウム前駆体に曝露される。
【0032】
一又は複数の実施形態では、ハフニウム前駆体は、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム(IV)(TEMAHf)、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(IV)(TDMAHf)、テトラキス(ジエチルアミド)ハフニウム(IV)(TDEAHf)、四塩化ハフニウム(HfCl4)、ハフニウムイソプロポキシドイソプロパノール付加物、ハフニウム(IV)tert-ブトキシド、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)、ビス(トリメチルシリル)アミドハフニウム(IV)クロリド、ビス(メチル-η5-シクロペンタジエニル)メトキシメチルハフニウム、又はビス(メチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルハフニウム、のうちの一又は複数から選択される。
【0033】
工程116では、処理チャンバのハフニウム前駆体がパージされる。パージは、基板、基板上の膜、及び/又は処理チャンバの壁と反応しない、任意の好適なガスを用いて実現されうる。好適なパージガスは、N2、He及びArを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0034】
工程118において、ハフニウム含有単層と反応して酸化ハフニウム単層を形成する、第1酸化体に基板が曝露される。一又は複数の実施形態では、第1酸化体は、水(H2O)、酸素分子(O2)、オゾン(O3)、直接O2プラズマ、又は遠隔O2プラズマから選択される。工程120において、処理チャンバのハフニウム前駆体がパージされる。
【0035】
第2堆積サイクル130は、第2ハフニウム含有単層を堆積させるために、工程132において、処理チャンバ内で基板をハフニウム前駆体に曝露することで始まる。
【0036】
一又は複数の実施形態では、ハフニウム前駆体は、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム(IV)(TEMAHf)、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(IV)(TDMAHf)、テトラキス(ジエチルアミド)ハフニウム(IV)(TDEAHf)、四塩化ハフニウム(HfCl4)、ハフニウムイソプロポキシドイソプロパノール付加物、ハフニウム(IV)tert-ブトキシド、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)、ビス(トリメチルシリル)アミドハフニウム(IV)クロリド、ビス(メチル-η5-シクロペンタジエニル)メトキシメチルハフニウム、又はビス(メチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルハフニウム、のうちの一又は複数から選択される。
【0037】
当業者には認識されるように、第2堆積サイクルで利用されるハフニウム前駆体は、第1堆積サイクルで使用されるものと同じ前駆体であっても、異なる前駆体であってもよい。一又は複数の実施形態では、第1堆積サイクルで使用されるハフニウム前駆体は、第2堆積サイクルで使用されるのと同じハフニウム前駆体である。
【0038】
工程134において、処理チャンバのハフニウム前駆体がパージされる。第2ハフニウム含有単層を有する基板上にドーパント含有層を堆積させるために、工程136において、ドーパント前駆体に基板が曝露される。
【0039】
一又は複数の実施形態では、ドーパントは、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、又はストロンチウム(Sr)のうちの一又は複数から選択される。一又は複数の実施形態では、ドーパントは、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化ガドリニウム、又は酸化ストロンチウム、のうちの一又は複数から選択される。
【0040】
一又は複数の実施形態では、ドーパント前駆体は、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、塩化アルミニウム(AlCl3)、四塩化ケイ素(SiCl4)、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6)、ビス(ジエチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ランタン、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ランタン(III)(La(thd)3)、トリス(シクロペンタジエニル)ランタン(III)(LaCp3)、トリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ランタン(III)(La(CpiPr)3)、テトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(IV)(TEMAZr)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)(TDMAZr)、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3、5-ヘプタンジオナト)ジルコニウム、ジルコニウム(IV)2-エチルヘキサノエート、ジルコニウム(IV)ジブトキシド(ビス-2,4-ペンタンジオナト)、テトラキス(ジエチルアミド)ジルコニウム(IV)(TDEAZr)、ジメチル-ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)、ビス(メチル-η5-シクロペンタジエニル)メトキシメチルジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)二水素化物、四塩化ジルコニウム(ZrCl4)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)(Ycp3)、トリス(メチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)((MeCp)3Y)、トリス(エチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)((EtCp)3Y)、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)イットリウム(III)(Y(thd)3)、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ガドリニウム(III)(Gd(thd)3)、トリス(メチルシクロペンタジエニル)ガドリニウム(III)((MeCp)3Gd)、トリス(エチルシクロペンタジエニル)ガドリニウム(III)((EtCp)3Gd)、ビス(トリイソプロピルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(II)((i-Pr3Cp)2Sr)、ビス(トリメチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(II)((n-PrMe3Cp)2Sr)、又はビス(メチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム(II)(Sr(thd)2)、のうちの一又は複数から選択される。
【0041】
工程138において、処理チャンバのドーパント前駆体がパージされる。ドープされた酸化ハフニウム膜を基板上に形成するために、工程140において、ハフニウム含有種及びドーパント含有種と反応してドープされたハフニウム含有層を形成する第2酸化体に、基板が曝露される。
【0042】
一又は複数の実施形態では、第2酸化体は、H2O、酸素分子(O2)、オゾン(O3)、直接O2プラズマ、又は遠隔O2プラズマ、から選択される。当業者には認識されるように、第2堆積サイクルで利用される酸化体は、第1堆積サイクルで使用されるものと同じ酸化体であっても、第1堆積サイクルで使用されるものとは異なる酸化体であってもよい。一又は複数の実施形態では、第1酸化体と第2酸化体とは個別に、H2O、酸素分子(O2)、オゾン(O3)、直接O2プラズマ、又は遠隔O2プラズマ、から選択される。一又は複数の実施形態では、第1堆積サイクルで使用される酸化体は、第2堆積サイクルで使用される酸化体と同じである。
【0043】
工程142において、基板の第2酸化体がパージされる。
【0044】
当業者には認識されるように、処理チャンバをパージすることは、基板の上方にパージガスを流すことを含む。一又は複数の実施形態では、パージガスはAr、N2、又はHeのうちの一又は複数から選択される。パージガスは、処理チャンバのハフニウム前駆体、第1酸化体、ドーパント前駆体、又は第2酸化体をパージするために使用されうる。一部の実施形態では、各パージ工程に同じパージガスが使用される。他の実施形態では、様々なパージ工程に異なるパージガスが使用される。
【0045】
図2A~
図2Fを参照するに、一又は複数の実施形態は、膜スタック200を対象としている。一部の実施形態では、膜スタック200は、負性容量電界効果トランジスタ(NCFET)におけるゲートスタックの一部である。
【0046】
膜スタック200は、基板210上に形成されるものであり、任意の好適な材料又は形状でありうる。図示している実施形態では、基板210は平坦面であり、膜スタック200は長方形のボックスで表わされている。しかし、当業者には、基板210が一又は複数のフィーチャ(例えばトレンチやビア)を有しうること、及び、膜スタック200は基板210の表面の形状に適合するよう形成されうることが、理解されよう。
【0047】
一又は複数の実施形態では、基板210は、ケイ素(Si)、酸化ケイ素(SiO2)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、二硫化モリブデン(MoS2)、二セレン化モリブデン(MoSe2)、二硫化タングステン(WS2)、二セレン化タングステン(WSe2)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、プラチナ(Pt)、イリジウム(Ir)、又はタングステン(W)、のうちの一又は複数を含む。
【0048】
一又は複数の実施形態では、基板210は、0.5~2nmの酸化ケイ素の層間誘電体を有するシリコンウエハ又はシリコンフィンを含む。
【0049】
一又は複数の実施形態では、第1堆積サイクルにおいて、
図2Aに示しているように基板210上にハフニウム含有単層220を堆積させるために、基板210が、処理チャンバ250内に配置され、ハフニウム前駆体に曝露される。ハフニウム前駆体は、
図1の方法に関連して説明しているハフニウム前駆体を含むがこれらに限定されるわけではない、任意の好適なハフニウム前駆体でありうる。
【0050】
処理チャンバ250のハフニウム前駆体はパージされる。一又は複数の実施形態では、処理チャンバ250をパージすることは、基板210の上方にパージガス(図示せず)を流すことを含む。一又は複数の実施形態では、パージガスはAr、N2、又はHeのうちの一又は複数から選択される。
【0051】
図2Bを参照するに、基板210は、処理チャンバ250内で、ハフニウム含有単層220と反応して酸化ハフニウム単層230を形成する、第1酸化体(図示せず)に曝露される。一又は複数の実施形態では、第1酸化体は、H
2O、酸素分子(O
2)、オゾン(O
3)、直接O
2プラズマ、又は遠隔O
2プラズマ、から選択される。その後、処理チャンバ250の第1酸化体はパージされる。
【0052】
図2Cを参照するに、第2堆積サイクルにおいて、第2ハフニウム含有単層240を堆積するために、基板210は、処理チャンバ250a内で、ハフニウム前駆体に曝露される。当業者には認識されるように、第1堆積サイクルで利用される処理チャンバ250は、第2堆積サイクルで利用される処理チャンバ250aと同じであっても異なっていてもよい。一又は複数の実施形態では、第1堆積サイクルで利用される処理チャンバは、第2堆積サイクルで利用されるのと同じ処理チャンバである。一又は複数の実施形態では、第1堆積サイクルで利用される処理チャンバは、第2堆積サイクルで利用される処理チャンバとは異なる処理チャンバである。その後、処理チャンバ250aのハフニウム前駆体はパージされる。一又は複数の実施形態では、処理チャンバ250aをパージすることは、基板210の上方にパージガス(図示せず)を流すことを含む。一又は複数の実施形態では、パージガスはAr、N
2、又はHeのうちの一又は複数から選択される。
【0053】
図2Dを参照するに、第2ハフニウム含有単層240を有する基板210上にドーパント含有層260を堆積させるために、基板210は、処理チャンバ250a内で、ドーパント前駆体に曝露される。理論に縛られることを意図するものではないが、
図3Aから3Dを参照するに、ドーパント前駆体は、ハフニウム前駆体とは反応しないが、その代わりに、ハフニウムのパルス供給中に反応しなかった部位に吸着するか、又は吸着したハフニウム前駆体の一部を置換すると、考えられている。
図3Aは、酸化ハフニウム単層230を有する基板210を示している。酸化ハフニウム単層230の表面上では、いくつかの活性部位232が利用可能になっている。活性部位232は等間隔に図示されているが、当業者には、これが単に説明目的のためであることが認識されよう。
図3Bでは、基板210はハフニウム前駆体に曝露されており、ハフニウム種242が活性部位232に化学吸着する。ハフニウム前駆体と基板表面との反応は自己制限的なものであるが、活性部位244の少なくとも一部は、利用可能なままであっても、(例えば立体障害により)ハフニウム前駆体にとってアクセス不能である。
図3Cでは、基板210はドーパント前駆体に曝露されており、ドーパント前駆体が利用可能な活性サイト244と結合して、ハフニウム種242を有する表面上にドーパント種262が形成される。酸化が起こると、
図3Dに示しているように、ハフニウム種242及びドーパント種262が酸化してドープされた酸化ハフニウム膜255が形成される。ドープされた酸化ハフニウム膜255は、酸化ハフニウム膜256と酸化ドーパント膜257との集合体として図示されている。一又は複数の実施形態では、ドープされた酸化ハフニウム膜255は、約40モル%のアルミニウムドーパントを含むか、又は、本質的に約40モル%のアルミニウムドーパントからなる。ドープされた酸化ハフニウム膜270は、かかるドープされた酸化ハフニウム膜255の多数の層を有してよく、ゆえに、膜スタック200の濃度は、最大で約40モル%ドーパント濃度まで、約1.5モル%の増分から調整可能である。不連続な境界が図示されているが、当業者には、ドープされた酸化ハフニウム膜255の全体にわたって、ドーパント原子、ハフニウム原子、及び酸素原子がランダムに分散されていることが認識されよう。
【0054】
一又は複数の実施形態のアルミニウム含有層は、約1モル%から約9モル%の酸化アルミニウム(Al2O3)を含有する。モル%は、当業者には既知の任意の機構によって測定されうる。例えば、モル%は、X線光電子分光法(XPS)、原子発光分光法(AES)、二次イオン質量分析法(SIMS)、ラザフォード後方散乱分光法(RBS)、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、又は電子エネルギー損失分光法(EELS)、のうちの一又は複数(ただしこれらに限定されるわけではない)によって測定されうる。
【0055】
その後、処理チャンバ250aのドーパント前駆体はパージされる。上述したように、一又は複数の実施形態では、処理チャンバ250aをパージすることは、基板210の上方にパージガス(図示せず)を流すことを含む。一又は複数の実施形態では、パージガスはAr,N2,又はHeのうちの一又は複数から選択される。
【0056】
図2Eを参照するに、基板210上にドープされた酸化ハフニウム膜270を形成するために、基板210は、処理チャンバ250a内で、第2ハフニウム含有単層240及びドーパント含有層260と反応する第2酸化体に曝露される。一又は複数の実施形態では、第2酸化体は、H
2O、酸素分子(O
2)、オゾン(O
3)、直接O
2プラズマ、又は遠隔O
2プラズマから選択される。その後、処理チャンバ250aの第2酸化体はパージされる。上述したように、一又は複数の実施形態では、処理チャンバ250aをパージすることは、基板210の上方にパージガス(図示せず)を流すことを含む。一又は複数の実施形態では、パージガスはAr,N
2,又はHeのうちの一又は複数から選択される。
【0057】
当業者には認識されるように、第2堆積サイクルで利用される酸化体は、第1堆積サイクルで使用されるものと同じ酸化体であっても、第1堆積サイクルで使用されるものとは異なる酸化体であってもよい。
【0058】
一又は複数の実施形態では、ドープされた酸化ハフニウム膜270は、約1モル%~約40モル%のドーパントを含む。一又は複数の特定の実施形態では、ドープされた酸化ハフニウム膜270は、約1モル%~約9モル%のドーパントを含む。このモル%は、ドープされた酸化ハフニウム膜中に存在する、酸化物形態のドーパントの量の測定値である。例えば、一又は複数の実施形態では、ドーパントはアルミニウム(Al)を含み、ドープされた酸化ハフニウム膜はアルミニウムがドープされた酸化ハフニウム膜である。一又は複数の実施形態のアルミニウムがドープされた酸化ハフニウム膜は、約1モル%から約40モル%の酸化アルミニウム(Al2O3)を含有する。一又は複数の特定の実施形態のアルミニウムがドープされた酸化ハフニウム膜は、約1モル%から約9モル%の酸化アルミニウム(Al2O3)を含有する。モル%は、当業者には既知の任意の機構によって測定されうる。例えば、モル%は、X線光電子分光法(XPS)、原子発光分光法(AES)、二次イオン質量分析法(SIMS)、ラザフォード後方散乱分光法(RBS)、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、又は電子エネルギー損失分光法(EELS)、のうちの一又は複数(ただしこれらに限定されるわけではない)によって測定されうる。
【0059】
一又は複数の実施形態では、ドープされた酸化ハフニウム膜270は、約0.5nm~約10nmの範囲内の厚さ(約0.5nm~約8nm、約0.5nm~約7nm、約0.5nm~約6nm、約0.5nm~約5nm、約0.5~約4nm、約0.5~約3nm、及び約0.5~約2nmの厚さを含む)を有する。一部の実施形態では、ドープされた酸化ハフニウム膜は、約10nm未満の厚さ(約9nm未満、約8nm未満、約7nm未満、約6nm未満、約5nm未満、約4nm未満、約3nm未満、及び約2nm未満の厚さを含む)を有する。一部の実施形態では、ドープされた酸化ハフニウム膜は、約0.5nm、約1nm、約1.5nm、約2nm、約2.5nm、約3nm、約3.5nm、約4nm、約4.5nm、約5nm、約5.5nm、約6nm、約6.5nm、約7nm、約7.5nm、約8nm、約8.5nm、約9nm、約9.5nm、及び約10nmの厚さを有する。
【0060】
一又は複数の実施形態では、ドープされた酸化ハフニウム膜は、合計約150以下の単層(合計約140以下の単層を含み、合計約130以下の単層、合計約120以下の単層、合計約110以下の単層、合計約100以下の単層、合計約90以下の単層、合計約80以下の単層、合計約70以下の単層、合計約60以下の単層、合計約45以下の単層を含む合計50以下の単層、合計約40以下の単層、合計約35以下の単層、合計約30以下の単層、合計約25以下の単層、又は合計約20以下の単層を含む)を有する。
【0061】
図2Fを参照するに、方法は、約0.5~約10nmの厚さTを有し、かつ合計約150以下の単層を有するドープされた酸化ハフニウム膜270を形成するために、第1堆積サイクル又は第2堆積サイクルの一又は複数を反復することを含みうる。
【0062】
図2A~2Fを参照するに、一又は複数の実施形態では、膜を堆積させる方法は、基板210をハフニウム前駆体、パージガス、第1酸化体、そしてパージガスに順次曝露することを含む第1プロセスサイクルにおいて、酸化ハフニウム単層230を形成することを含む。ドープされた酸化ハフニウム膜270は、基板210をハフニウム前駆体、パージガス、ドーパント前駆体、パージガス、第2酸化体、そしてパージガスに順次曝露することを含む、第2プロセスサイクルにおいて形成される。約0.5nm~約10nmの厚さを有するドープされた酸化ハフニウム膜を形成するために、第1プロセスサイクル又は第2プロセスサイクルの一又は複数が反復されうる。
【0063】
一又は複数の実施形態は、膜スタックとしても既知である薄膜を対象としている。一部の実施形態では、この薄膜は、負性容量電界効果トランジスタ(NCFET)におけるゲートスタックの一部である。一又は複数の実施形態では、薄膜は、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、又はストロンチウム(Sr)のうちの一又は複数を含むドーパントであって、約2モル%~約9モル%の範囲内の量で存在するドーパントがドープされた、HfO2の約30以下の単層を備え、かつ、約10~約50μCcm-2の残留分極を有する。
【0064】
一又は複数の実施形態では、薄膜は、約10~約50μCcm-2の残留分極(約10μCcm-2、約15μCcm-2、約20μCcm-2、約25μCcm-2、約30μCcm-2、約35μCcm-2、約40μCcm-2、約45μCcm-2、及び約50μCcm-2の残留分極を含む)を有する。
【0065】
薄膜は、全体で1モル%~約40モル%のドーパントを含有する。一又は複数の特定の実施形態では、薄膜は、約4モル%~約8モル%の量で存在する酸化アルミニウムがドープされた、酸化ハフニウム(HfO2)の約30未満の単層を備える。薄膜は、約0.5nm~約10nmの範囲内の厚さを有する。
【0066】
図4は、一又は複数の実施形態の方法の少なくとも一部を実施するためのプラズマシステム800のブロック図を示している。図示しているプラズマシステム800は、処理チャンバ801を有する。可動ペデスタル802が、処理チャンバ801内に配置された基板803を保持する。ペデスタル802は、静電チャック(ESC)と、ESC内に埋め込まれたDC電極と、冷却/加熱ベースとを備えうる。一実施形態では、ペデスタル802は移動カソードとして機能する。一実施形態では、ESCは、Al
2O
3材料、Y
2O
3、又は電子デバイス製造の当業者には既知のその他のセラミック材料を含む。DC電力供給源804が、ペデスタル802のDC電極に接続されうる。一部の実施形態では、ペデスタル802は、基板の温度を第1温度まで上昇させることが可能なヒータ(図示せず)を含む。静電チャックをペデスタル802として図示しているが、当業者には、これは単なる例示であり、他の種類のペデスタルも本開示の範囲に含まれることが理解されよう。
【0067】
図4に示しているように、基板803は、開口808を通ってローディングされ、ペデスタル802上に配置されうる。プラズマシステム800は、一又は複数のプロセスガス812を質量流量コントローラ811を通してプラズマ源813に投入するための入口を含む。シャワーヘッド814を含むプラズマ源813は、一又は複数のプロセスガス812を受容してプラズマを生成するための処理チャンバ801に連結されている。プラズマ源813は、RFソース電力源810に連結される。プラズマ源813は、シャワーヘッド814を通じて、処理チャンバ801内で、高周波電場を使用して一又は複数のプロセスガス812からプラズマ815を生成する。プラズマ815は、プラズマ粒子(例えばイオン、電子、ラジカル、又はこれらの任意の組合せ)を含む。一実施形態では、電源810は、プラズマ815を生成するために、約400kHz~約162MHzの周波数で、約50W~約3000Wの電力を供給する。
【0068】
プラズマを励起するために、プラズマバイアス電源805が、RFマッチ807を介してペデスタル802(例えばカソード)に連結される。一実施形態では、プラズマバイアス電源805は、約2MHz~60MHzの周波数で、ある特定の実施形態では約13MHzで、1000Wを上回らないバイアス電力を提供する。例えば、1000Wを上回らない別のバイアス電力を、約400kHz~約60MHz(ある特定の実施形態では約60MHz)の周波数で提供するために、プラズマバイアス電源806が提供されてもよい。プラズマバイアス電源806及びプラズマバイアス電源805は、デュアル周波数のバイアス電力を供給するために、RFマッチ807に接続される。一実施形態では、ペデスタル802に印加される総バイアス電力は約10W~約3000Wである。
【0069】
図4に示しているように、圧力制御システム809が処理チャンバ801に圧力を提供する。チャンバ801は、チャンバ内での処理中に生成された揮発性生成物を排出するための一又は複数の排出出口816を有する。一実施形態では、プラズマシステム800は誘導結合プラズマ(ICP)システムである。一実施形態では、プラズマシステム800は容量結合プラズマ(CCP)システムである。
【0070】
一部の実施形態では、制御システム817が処理チャンバ801に連結される。制御システム817は、プロセッサ818と、プロセッサ818に連結された温度コントローラ819と、プロセッサ818に連結されたメモリ820と、プロセッサ818に連結された入出力デバイス821とを備える。メモリ820は、一時的メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)と非一時的メモリ(例えばストレージ)のうちの一又は複数を含みうる。
【0071】
一実施形態では、プロセッサ818は、処理チャンバ内でハフニウム前駆体に基板を曝露すること、処理チャンバ内の基板をパージすること、処理チャンバ内でドーパント前駆体に基板を曝露すること、又はドーパントがドープされたHfO2の約50以下の単層を備える薄膜を基板上に形成すること、のうちの一又は複数を制御するための設定を有する。
【0072】
制御システム817は本書に記載している方法の少なくとも一部を実施するよう構成されてよく、ソフトウェアとハードウェアのいずれか、又はその両方の組み合わせでありうる。プラズマシステム800は、エッチング装置、洗浄装置、炉、又は、電子デバイスを製造するための他の任意のプラズマシステムなどである(ただしこれらに限定されるわけではない)、当該技術分野において既知の、任意の種類の高性能処理プラズマシステムでありうる。
【0073】
図5は、本開示の一又は複数の実施形態による、基板を処理するために使用されうるシステム900を示している。システム900はクラスタツールと称されうる。システム900は、ロボット912を内部に有する中央移送ステーション910を含む。ロボット912は、単一ブレードロボットとして図示されているが、当業者には、ロボット912のその他の構成も本開示の範囲に含まれることが認識されよう。ロボット912は、中央移送ステーション910に接続されたチャンバ間で一又は複数の基板を動かすよう構成される。
【0074】
少なくとも1つの予洗浄チャンバ920が、中央移送ステーション910に接続される。予洗浄チャンバ920は、ヒータ、ラジカル源、又はプラズマ源のうちの一又は複数を含みうる。予洗浄チャンバ920は活性化剤と流体連結している。例示的な予洗浄チャンバ920が、プラズマシステム800として
図4に示されている。
【0075】
一部の実施形態では、中央移送ステーション910に接続された2つの予洗浄チャンバ920が存在する。
図5に示している実施形態では、予洗浄チャンバ920は、ファクトリインターフェース905と中央移送ステーション910との間の通過チャンバとして機能しうる。ファクトリインターフェース905は、カセットから予洗浄チャンバ920に基板を移動させるための、一又は複数のロボット906を含みうる。ロボット912は次いで、システム900内の予洗浄チャンバ920から他のチャンバに基板を動かしうる。
【0076】
堆積チャンバ930が中央移送ステーション910に接続されうる。堆積チャンバ930は、基板を保持するためのペデスタルを備える。一又は複数の反応性ガス流を堆積チャンバ930に提供するために、堆積チャンバ930は一又は複数の反応性ガス源と流体連結している。堆積チャンバの反応性ガスは、基板上に単層を形成しうる分子を含む。
【0077】
堆積チャンバ930は、分子の流れを提供し、基板の温度を制御することが可能な、任意の好適なチャンバでありうる。
図4に示しているプラズマシステム800は、堆積チャンバ930として使用されてもよい。基板は、ロボット912によって、分離バルブ914を通過して堆積チャンバ930に出入りするように動かされうる。
【0078】
選択的堆積チャンバ940も、中央移送ステーション910に接続されうる。選択的堆積チャンバ940は、CVDチャンバ、ALDチャンバ、PECVDチャンバ、PEALDチャンバ、又はPVDチャンバを含むがこれらに限定されるわけではない、任意の好適な堆積チャンバでありうる。一部の実施形態では、選択的堆積チャンバ940はALDチャンバを含む。このALDチャンバは、基板が反応性ガスに順次曝露されることにより、どの所与の時点にも1つの反応性ガスだけがチャンバ内に存在する、時間領域チャンバでありうる。一部の実施形態では、ALDチャンバは、複数の反応性ガスが、処理チャンバの別々の領域に同時に流されるが、反応性ガス間の気相反応を防止するためにガスカーテンによって分離される、空間ALDチャンバである。空間ALDチャンバ内で、基板は、膜を堆積させるために、様々な反応性ガスを包含する処理チャンバの複数の領域間で動かされる。
【0079】
その他のプロセスチャンバが中央搬送ステーション910に接続されることもある。図示している実施形態では、アッシングチャンバ960が、分離バルブ914を通じて中央移送ステーション910に接続されている。アッシングチャンバ960は、選択的堆積の後に薄膜を除去しうる任意の好適なチャンバでありうる。
【0080】
少なくとも1つのコントローラ950が、中央移送ステーション910、予洗浄チャンバ920、堆積チャンバ930、選択的堆積チャンバ940、又はアッシングチャンバ960に連結される。一部の実施形態では、個々のチャンバ又はステーションに接続された1を上回る数のコントローラ950が存在し、システム900を制御するために、主要制御プロセッサが個別のプロセッサの各々に連結される。コントローラ950は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために産業環境で使用されうる、任意の形態の汎用コンピュータプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどのうちの1つでありうる。
【0081】
少なくとも1つのコントローラ950は、プロセッサ952と、プロセッサ952に連結されたメモリ954と、プロセッサ952に連結された入出力デバイス956と、別々の電子構成要素間の通信のためのサポート回路958とを有しうる。メモリ954は、一時的メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)と非一時的メモリ(例えばストレージ)のうちの一又は複数を含みうる。
【0082】
プロセッサのメモリ954又はコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又は、ローカル又は遠隔の、他の任意の形態のデジタルストレージといった、容易に入手可能なメモリのうちの一又は複数でありうる。メモリ954は、システム900のパラメータ及び構成要素を制御するようプロセッサ952によって動作可能な、命令セットを保持しうる。サポート回路958は、従来的な方式でプロセッサをサポートするためにプロセッサ952に連結される。回路は、例えばキャッシュ、電力供給源、クロック回路、入出力回路、サブシステムなどを含みうる。
【0083】
プロセスは、一般に、ソフトウェアルーチンとしてメモリに記憶されてよく、このソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、プロセスチャンバが本開示のプロセスを実施するようにさせる。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって制御されるハードウェアから遠隔に配置されている第2プロセッサ(図示せず)によって、記憶されかつ/又は実行されることもある。本開示の方法の一部又は全部が、ハードウェアで実施されることもある。そのため、プロセスは、ソフトウェアで実装されてよく、かつ、例えば特定用途向け集積回路若しくは他の種類のハードウェア実行形態として、ハードウェアでコンピュータシステムを使用して実行されても、ソフトウェアとハードウェアとの組合せとして実行されてもよい。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、汎用コンピュータを、プロセスが実施されるようにチャンバ動作を制御する特定目的コンピュータ(コントローラ)に変換する。
【0084】
本書で論じられている材料及び方法を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)、「1つの(a/an)」及び「この/その(the)」という語、並びに類似した語の使用は、本書に別段の指示がない又は明らかな文脈の矛盾がない限り、単数と複数の両方をカバーすると解釈されるべきである。本書で列挙している値の範囲は、本書に別段の指示がない限り、その範囲内に含まれる個々の値のそれぞれに個別に言及することの省略的方法としての役割を果たすことを意図するだけのものであり、個々の値のそれぞれは、本書で個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれている。本書に記載の方法の全ては、本書に別段の指示がない又は明らかな文脈の矛盾がない限り、任意の好適な順序で実施されうる。本書で提供しているあらゆる例又は例示的文言(例えば「など(such as)」)の使用は、単に、材料及び方法をより良好に例示するためのものであり、別様に特許請求されない限り、本書の範囲に限定を課すものではない。本明細書中のいかなる文言も、開示されている材料及び方法の実践に不可欠な、特許請求されていない何らかの要素を示すものと解釈すべきではない。
【0085】
この明細書全体を通じての、「一実施形態(one embodiment)」、「ある種の実施形態(certain embodiments)」、「一又は複数の実施形態(one or more embodiments)」、又は、「実施形態(an embodiment)」に対する言及は、その実施形態に関連して説明されている、ある特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。ゆえに、この明細書全体の様々な箇所における「一又は複数の実施形態では」、「ある種の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「実施形態において」といった表現の表出は、必ずしも、本開示の同一の実施形態に言及するものではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、一又は複数の実施形態において、任意の最適な方式で組み合わされうる。
【0086】
本書の開示は特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は本開示の原理及び応用の例示にすぎないことを、理解されたい。本開示の本質及び範囲から逸脱しなければ、本開示の方法及び装置に対して様々な改変及び変形がなされうることが、当業者には自明となろう。ゆえに、本開示は、付随する特許請求の範囲及びその均等物に含まれる改変例及び変形例を含むことが意図されている。