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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】光コネクタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/38 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
G02B6/38
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018105917
(22)【出願日】2018-06-01
(65)【公開番号】P2019211558
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000147350
【氏名又は名称】株式会社精工技研
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 浩司
(72)【発明者】
【氏名】今村 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 恒聡
(72)【発明者】
【氏名】地引 正幸
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-118348(JP,A)
【文献】特開2017-211654(JP,A)
【文献】特表2016-512902(JP,A)
【文献】特開2012-145885(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0301085(US,A1)
【文献】実開昭59-186816(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第102928922(CN,A)
【文献】特開2011-107590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
6/255
6/36-6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェルールに保持された内蔵光ファイバと光コードの内部の光ファイバとが接続された光コネクタであって、
前記フェルールと接続されるハウジングと、
前記ハウジングの後方にねじ込まれて接続される固定部材と、
を具備し、
前記光コードの先端の外被が長手方向に沿って分割され、分割された前記外被の先端が、前記ハウジングの後端部の外周に配置され、前記外被の先端が、前記ハウジングと前記固定部材とで挟まれて固定され、
前記ハウジングの後端部の周方向断面において、径方向に突出する突部が形成され、前記突部以外の部位に、前記外被が配置され、
前記光コードの内部の抗張力繊維は、前記外被が配置される外被保持部とは異なる抗張力繊維保持部に配置され、
前記外被保持部は、前記ハウジングの軸方向に対して凹凸が繰り返され、
前記フェルールに保持された内蔵光ファイバと前記光コードの内部の光ファイバの接続部は、保護スリーブによって補強され
前記固定部材から露出する前記光コードの所定長さの外周にチューブが被せられ、
前記チューブは、少なくとも2層構造からなり、内部樹脂層と、前記内部樹脂層の外周に設けられる外部樹脂層とを有し、前記内部樹脂層が相対的に硬度の高い樹脂からなり、前記外部樹脂層が相対的に硬度の低い樹脂からなり、
前記チューブは、前記固定部材の後端部に設けられた孔に挿通され、前記チューブの前記固定部材側の先端部には太径部が形成され、前記太径部が前記固定部材の後端部の縮径部に嵌合して、前記チューブと前記固定部材とが接続され、前記縮径部と前記太径部とが接触して、前記固定部材から前記チューブが抜けることを防止することを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
前記固定部材側の先端部の一部には、前記内部樹脂層と前記外部樹脂層との間に中間樹脂層が設けられ、前記太径部は、前記中間樹脂層により形成されることを特徴とする請求項記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記外部樹脂層の長さは、前記内部樹脂層の長さよりも長く、前記チューブの後方において、前記内部樹脂層が前記外部樹脂層よりも後方にはみ出すことがないことを特徴とする請求項1または請求項に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記外被保持部は前記抗張力繊維保持部よりも径が小さいことを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の光コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造が簡易で組立が容易な光コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光コードの先端に光コネクタを接続する際には、光コードの光ファイバと、フェルールに内蔵された光ファイバとを接続し、この接続部を収容するようにハウジング等の部材が組み立てられていた。
【0003】
このような、光コネクタの構造としては、フェルールに内蔵される光ファイバ心線と、光コードから引き出した光ファイバ心線とを融着接続し、ハウジングの後方において、光コードの外被を外被押さえ部材で押さえ、さらに固定部材とハウジングとの螺合によって光コードの外被を固定する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-118348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、固定部材をねじ込むことで光コードの外被を固定しようとすると、固定部材をねじ込む際に、外被が固定部材とともに回転するおそれがある。このような場合、光コードの内部の光ファイバに捻じれが発生し、光ファイバの破損や伝送ロス等の要因となっていた。
【0006】
また、光コードの外被をハウジングの後端部に固定するために、外被押さえ部材と固定部材の2部品が必要であり、部品点数が多く構造が複雑となっていた。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、部品点数が少なく、組立作業性が良好な光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明は、フェルールに保持された内蔵光ファイバと光コードの内部の光ファイバとが接続された光コネクタであって、前記フェルールと接続されるハウジングと、前記ハウジングの後方にねじ込まれて接続される固定部材と、を具備し、前記光コードの先端の外被が長手方向に沿って分割され、分割された前記外被の先端が、前記ハウジングの後端部の外周に配置され、前記外被の先端が、前記ハウジングと前記固定部材とで挟まれて固定され、前記ハウジングの後端部の周方向断面において、径方向に突出する突部が形成され、前記突部以外の部位に、前記外被が配置され、前記光コードの内部の抗張力繊維は、前記外被が配置される外被保持部とは異なる抗張力繊維保持部に配置され、前記外被保持部は、前記ハウジングの軸方向に対して凹凸が繰り返され、前記フェルールに保持された内蔵光ファイバと前記光コードの内部の光ファイバの接続部は、保護スリーブによって補強され、前記固定部材から露出する前記光コードの所定長さの外周にチューブが被せられ、前記チューブは、少なくとも2層構造からなり、内部樹脂層と、前記内部樹脂層の外周に設けられる外部樹脂層とを有し、前記内部樹脂層が相対的に硬度の高い樹脂からなり、前記外部樹脂層が相対的に硬度の低い樹脂からなり、前記チューブは、前記固定部材の後端部に設けられた孔に挿通され、前記チューブの前記固定部材側の先端部には太径部が形成され、前記太径部が前記固定部材の後端部の縮径部に嵌合して、前記チューブと前記固定部材とが接続され、前記縮径部と前記太径部とが接触して、前記固定部材から前記チューブが抜けることを防止することを特徴とする光コネクタである。
【0011】
本発明によれば、外被押さえ部材を用いずに光コードの外被を固定することができるため、部品点数を少なくすることができる。また、ハウジングの後端部に径方向に突出する突部を形成し、突部以外の部位に外被が配置されるため、外被が回転しようとしても、突部によって回転が規制される。このため、固定部材のねじ込み時に外被の回転を抑制することができる。このため、組立作業が容易である。
【0012】
また、固定部材から露出する光コードにチューブが被せられ、チューブの内層が相対的に硬度の高い樹脂からなり、外層が相対的に硬度の低い樹脂からなれば、チューブに光コードを挿通する作業が容易であるとともに、曲げた際の柔軟性を高くすることができる。また、チューブの先端部に太径部を形成することで、太径部によって固定部材にチューブを容易に接続することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、部品点数が少なく、組立作業性が良好な光コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】光コネクタ1の斜視図。
図2】(a)は、光コネクタ1の平面図、(b)は、光コネクタ1の側面図。
図3】(a)は、図2(a)のA-A線断面図、(b)は、図2(b)のB-B線断面図。
図4】第2ハウジング13と、固定部材19と、チューブ21の分解斜視図。
図5】(a)は、図4のC-C矢視図、(b)は、(a)に外被を配置した状態を示す図。
図6】チューブ21の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態にかかる光コネクタ1について説明する。図1は、光コネクタ1の斜視図であり、図2(a)は、光コネクタ1の平面図、図2(b)は、光コネクタ1の側面図である。また、図3(a)は、図2(a)のA-A線断面図、図3(b)は、図2(b)のB-B線断面図である。
【0016】
図3(a)、図3(b)に示すように、光コネクタ1は、いわゆるSCコネクタであって、主に、フェルール3、第1ハウジング5、ばね9、保護スリーブ11、第2ハウジング13、固定部材19、チューブ21等から構成される。なお、本発明の適用可能な光コネクタとしては、LCコネクタであってもよい。
【0017】
光コネクタ1は、光コード27の先端部に形成される。光コード27は、内部に光ファイバ29が内蔵され、光ファイバ29の外周に、抗張力繊維33と、さらにその外周に外被31が形成される。
【0018】
フェルール3の内部には、内蔵光ファイバ25が保持される。内蔵光ファイバ25は、光コード27の光ファイバ29と接続される。すなわち、光コネクタ1の内部では、フェルール3に保持された内蔵光ファイバ25と光コード27の内部の光ファイバ29とが接続され、接続部は、保護スリーブ11によって補強される。
【0019】
フェルール3は、第1ハウジング5に収容される。フェルール3は、フェルール本体とフランジ部とから構成され、フェルール本体には、前述した内蔵光ファイバ25が保持される。フェルール本体の後端部にはフランジ部が接続されて固定される。
【0020】
フェルール3(フランジ部)の後方には、ばね9が配置される。フェルール3は、ばね9によって、第1ハウジング5に押し付けられる。ばね9に抗してフェルール3を後方に押し込むと、フェルール3は、第1ハウジング5に対して後方にスライド可能である。
【0021】
第1ハウジング5は、ツマミ15に収容される。ツマミ15は、接続対象であるアダプタとの脱着操作を行う部位である。
【0022】
第1ハウジング5の後方には、第2ハウジング13が接合される。前述したフェルール3の内蔵光ファイバ25と光コード27の光ファイバ29との接続部は、第2ハウジング13の内部に配置される。すなわち、フェルール3は、第1ハウジング5を介して第2ハウジング13と接続される。なお、本発明において、第1ハウジング5と第2ハウジング13とを合わせて、単にハウジングと呼ぶ場合がある。第2ハウジング13の詳細については後述する。
【0023】
第2ハウジング13の後方には、固定部材19が配置される。第2ハウジング13の外周部には雄ねじ部が形成され、固定部材19の内面に形成された雌ねじ部と螺合する。すなわち、固定部材19を第2ハウジング13の後方にねじ込むことで、固定部材19を第2ハウジング13へ固定することができる。
【0024】
固定部材19の後方には、チューブ21が接合される。チューブ21は、可撓性を有する樹脂で構成され、光コード27の急激な曲げを抑制する部材であり、光コード27の外周に配置される。なお、チューブ21の詳細については、後述する。
【0025】
次に、光コードの引き留め構造について詳細に説明する。図4は、第2ハウジング13と、固定部材19とチューブ21の分解斜視図である。
【0026】
前述したように、第2ハウジング13の外周面には、雄ねじ部が形成される。雄ねじ部は、固定部材19の内面に形成された雌ねじ部と螺合する。この際、第2ハウジング13の外周に形成された雄ねじ部と、固定部材19の内面に形成された雌ねじ部との間には隙間が形成され、光コード27の抗張力繊維33が挟み込まれる。すなわち、第2ハウジング13の外周面に形成された雄ねじ部が、抗張力繊維保持部37となる。
【0027】
第2ハウジング13の抗張力繊維保持部37よりも後方には、抗張力繊維保持部37よりも径の小さな外被保持部39が設けられる。外被保持部39は、光コード27の外被31が保持される部位である。外被保持部39は、周方向に所定の長さ連続する凹凸形状を有する。すなわち、外被保持部39は、第2ハウジング13の軸方向(長手方向)に対して凹凸が繰り返される。
【0028】
図5(a)は、図4のC-C線矢視図である。一対の外被保持部39は、互いに対向する位置にそれぞれ略半周に形成され、外被保持部39同士の間には、外被保持部39の径よりも大きな径の突部41が一対形成される。すなわち、第2ハウジング13の後端部の周方向断面において、径方向に突出する突部41が形成され、突部41によって外被保持部39が周方向に挟まれる。なお、図示した例では、突部41は対向する2カ所に配置されるが、1ヵ所であってもよく、3カ所以上であってもよい。
【0029】
前述したように、外被保持部39には外被31が配置される。図5(b)は、外被保持部39に外被31が配置された状態を示す概念図である。光コード27の先端の外被31は、長手方向に沿って引き裂かれて分割される。分割された外被31の先端は、第2ハウジング13の後端部の外周に形成された外被保持部39に配置される。すなわち、外被31は、突部41以外の部位に、配置される。
【0030】
図3(b)に示すように、この状態で、固定部材19を第2ハウジング13にねじ込むことで、外被31の先端が、第2ハウジング13と固定部材19とで挟まれて固定される。この際、外被31は、外被保持部39に押圧されており、固定部材19をねじ込む際に、外被31が第2ハウジング13の外周を回転しようとしても、突部41によって外被31の回転が規制される。このため、光コード27内部の光ファイバ29の捻じれを抑制することができる。
【0031】
次に、光コネクタの組み立て方法について説明する。まず、保護スリーブ11を光コード27に退避させた状態で、光コード27の光ファイバ29とフェルール3の内蔵光ファイバ25とを融着機にセットし、融着接続する。この際、必要に応じてフェルール3の先端には搬送キャップが接続される。
【0032】
なお、光コード27の端部は、予め、外被31が所定長さ剥離されて、内部の抗張力繊維33および光ファイバ29が引き出される。この際、外被31の先端部は、所定長さが引き裂かれて、例えば周方向に2分割される。
【0033】
光ファイバ29と内蔵光ファイバ25とを融着した後、保護スリーブ11を接続部に移動させて固定する。保護スリーブ11は、例えば熱収縮部材と芯材を有し、光ファイバ29と内蔵光ファイバ25との接続部において加熱することで、保護スリーブ11を当該接続部に固定することができる。
【0034】
次に、光コード27に退避させていたばね9と第2ハウジング13を移動させて、第1ハウジング5の後端と第2ハウジング13とを接合する。第1ハウジング5と第2ハウジング13とは、例えば図示を省略したラッチ等で接合することができる。
【0035】
なお、第2ハウジング13を第1ハウジング5と接続した状態において、光コード27の端部において引き裂かれて2分割された外被31は、第2ハウジング13の後端部で広げられ、前述した外被保持部39に配置される。また、光コード27から導出した抗張力繊維33は、外被保持部39を通って抗張力繊維保持部37に配置される。
【0036】
次に、光コード27に退避させていた固定部材19とチューブ21とを移動させて、第2ハウジング13の外周部の雄ねじ部(抗張力繊維保持部37)と、固定部材19の内面に形成された雌ねじ部とを螺合して、第2ハウジング13と固定部材19を接合する。すなわち、固定部材19を第2ハウジング13にねじ込むことで、固定部材19を第2ハウジング13へ固定することができる。
【0037】
この際、図5(b)に示すように、外被保持部39に対する突部41の高さは、外被31の厚みよりも低い。このため、固定部材19を第2ハウジング13へねじ込むと、固定部材19の内面によって外被31が第2ハウジング13側へ外方から押し付けられる。すなわち、固定部材19と第2ハウジング13によって外被31が強く挟み込まれて、外被31を固定することができる。
【0038】
また、第2ハウジング13の外周に沿って配置された抗張力繊維33は、第2ハウジング13と固定部材19との間の雄ねじ部と雌ねじ部との間に挟み込まれる。すなわち、第2ハウジング13と固定部材19との間の雄ねじ部と雌ねじ部との間にはわずかに隙間が形成されており、抗張力繊維33は、この隙間に挟み込まれる。このため、抗張力繊維33を、第2ハウジング13の外周に引き留めて固定することができる。以上により光コネクタ1を組み立てることができる。
【0039】
なお、固定部材19の後端部には、あらかじめチューブ21が取り付けられている。図6は、図3(a)のD部拡大図であって、チューブ21の拡大断面図である。チューブ21は、固定部材19の後方から露出する光コード27の所定長さの外周に被せられる。
【0040】
前述したように、光コード27の光ファイバを、フェルール3の内蔵光ファイバ25と融着させる際には、光コード27の先端部の所定の長さの外被31を引き裂いて、内部の光ファイバ29を所定長さ露出させる必要がある。チューブ21は、少なくとも光コード27の外被31が引き裂かれた範囲において、光コード27を被覆する。
【0041】
ここで、チューブ21は、少なくとも2層構造からなり、内部樹脂層21aと、内部樹脂層21aの外周に設けられる外部樹脂層21bとを有する。内部樹脂層21aは相対的に硬度の高い樹脂であり、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などが適用可能であり、外部樹脂層21bは、相対的に硬度の低い樹脂からなり、例えばエチレン-酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂などが適用可能である。
【0042】
また、チューブ21の固定部材側の先端部の一部には、内部樹脂層21aと外部樹脂層21bとの間に中間樹脂層21cが設けられる。すなわち、中間樹脂層21cが設けられる部位が他の部位よりも径の太い太径部となる。固定部材19の後端部にはチューブ21が挿通される孔の縮径部が設けられ、縮径部に太径部を嵌め込むことで、固定部材19とチューブ21とを接続することができる。
【0043】
チューブ21を光コード27に取り付ける際には、あらかじめ固定部材19を光コード27に嵌めておき、次いでチューブ21に光コード27を挿通する。この際、光コード27の外被31とチューブ21の内面との滑りが悪いと、チューブ21の取り付け作業がやりにくい。
【0044】
一方、チューブ21を光コード27との滑りが良好なある程度剛性の高い樹脂で構成すると、光コード27の曲げ性が悪くなる。このため、チューブ21は、相対的に硬度が高く、剛性があり、滑りの良い樹脂で構成し、光コード27への取付性を確保するとともに、外層を硬度の低く曲げやすい樹脂で構成することで、曲げ性を確保することができる。固定部材19を光コード27の先端側に移動させると、前述したように、固定部材19の後端部の縮径部とチューブ21の太径部とが接触して、固定部材19からチューブ21が抜けることを防止することができる。
【0045】
なお、外部樹脂層21bは、熱収縮樹脂で構成することができる。チューブ21を製造する工程として、光コードと略同径の金属棒等に内部樹脂層21aを通し、さらに中間樹脂層21cを通し、さらに外部樹脂層21bを通し、各所定の位置に調整した後、外部樹脂層21bを加熱収縮することにより、21a、21c、21bを一体化することができる。一体化後に、金属棒等を引き抜くことでチューブ21は製造される。
ここで、外部樹脂層21bの長さを内部樹脂層21aの長さよりも長くすることで、チューブ21の後方において、内部樹脂層21aが外部樹脂層21bよりも後方にはみ出すことがない。
【0046】
本実施の形態によれば、固定部材19を第2ハウジング13にねじ込む際に、外被31が配置される外被保持部39同士の間に突部41が形成されているため、固定部材19の回転によって、外被31が固定部材19とともに回転することを抑制することができる。
【0047】
また、外被31は、第2ハウジング13の外被保持部39と固定部材19の内面との間で圧縮されて、外被保持部39の凹凸形状に押し付けられて固定される。このため、外被31を固定するための外被押さえ部材などの他の部材が不要であり、部品点数を削減することができる。
【0048】
また、融着機へのセットのため、光コード27の先端部の外被31の切り裂き長さを長くする必要がある場合でも、チューブ21を用いることで、引き裂いた外被31を覆うことができる。
【0049】
また、チューブ21が2層構造であり、内部樹脂層21aが相対的に硬い樹脂で構成されることで、チューブ21を光コード27に取り付ける作業が容易となる。また、外部樹脂層21bが相対的に軟らかい樹脂で構成されることで、光コード27の曲げ性を改善することができる。
【0050】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0051】
例えば、光コネクタ1を構成する各部の形状は、図示した例には限られない。
【符号の説明】
【0052】
1………光コネクタ
3………フェルール
5………第1ハウジング
9………ばね
11………保護スリーブ
13………第2ハウジング
15………ツマミ
19………固定部材
21………チューブ
21a………内部樹脂層
21b………外部樹脂層
21c………中間樹脂層
25………内蔵光ファイバ
27………光コード
29………光ファイバ
31………外被
33………抗張力繊維
37………抗張力繊維保持部
39………外被保持部
41………突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6