(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】診断装置、画像診断方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220817BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220817BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
H04N1/00 127A
G03G21/00 510
B41J29/393 105
(21)【出願番号】P 2019009312
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】本江 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】榎並 崇史
(72)【発明者】
【氏名】小松原 悟
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 隆
(72)【発明者】
【氏名】永田 拡章
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198944(JP,A)
【文献】特開2008-227983(JP,A)
【文献】特開2005-274600(JP,A)
【文献】米国特許第8553280(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 21/00
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に搬送された任意のサイズの記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記任意のサイズの記録媒体に形成された画像を読み取る画像読取手段と、を診断する診断装置であって、
テストパターンを記録する記録手段と、
前記画像形成手段が、第1記録媒体と、前記第1記録媒体より小さいサイズの第2記録媒体とに、前記テストパターンを、前記第1記録媒体および前記第2記録媒体の長辺を前記搬送方向に一致させて形成し、前記画像読取手段が、前記第1記録媒体を読み取った第1診断対象データと、前記第2記録媒体を、前記第2記録媒体の長辺が前記第1記録媒体の長辺と異なる方向になるように回転させて読み取った第2診断対象データとを取得する取得手段と、
前記テストパターン、前記第1診断対象データ、前記第2診断対象データ、および、前記第2診断対象データを前記第2記録媒体の長辺が前記第1記録媒体の長辺と同じ方向になるように回転させた第3診断対象データを用いて、異常箇所を検出し、異常要因を診断する診断手段と、を備える診断装置。
【請求項2】
前記診断手段は、前記第1診断対象データと前記第2診断対象データとに同じ異常箇所を検出した場合に、前記異常要因が前記画像読取手段にあると診断し、前記第1診断対象データと前記第3診断対象データとに同じ異常箇所を検出した場合には、前記異常要因が前記画像形成手段にあると診断することを特徴とする請求項1に記載の診断装置。
【請求項3】
前記第2記録媒体の長辺は、前記第1記録媒体の短辺と同じ長さであることを特徴とする請求項1または2に記載の診断装置。
【請求項4】
前記第1記録媒体は前記第2記録媒体の二倍の大きさであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の診断装置。
【請求項5】
前記第1記録媒体は前記画像読取手段が読み取り可能な最大サイズであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の診断装置。
【請求項6】
前記取得手段は、複数の前記第1記録媒体に前記テストパターンを形成して読み取った複数の前記第1診断対象データを取得し、
前記診断手段は、複数の前記第1診断対象データを用いて、異常箇所を検出することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の診断装置。
【請求項7】
前記取得手段は、前記画像形成手段および前記画像読取手段を有する装置から、前記第1診断対象データおよび前記第2診断対象データを取得することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の診断装置。
【請求項8】
前記画像形成手段と、前記画像読取手段と、をさらに備え、
前記取得手段は、前記画像読取手段が読み取った前記第1診断対象データおよび前記第2診断対象データを取得することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の診断装置。
【請求項9】
テストパターンを保持する工程と、
第1記録媒体と、前記第1記録媒体より小さいサイズの第2記録媒体とに、前記テストパターンを、前記第1記録媒体および前記第2記録媒体の長辺を搬送方向に一致させて形成する画像形成工程と、
前記テストパターンが形成された前記第1記録媒体を読み取った第1診断対象データと、前記テストパターンが形成された前記第2記録媒体を、前記第2記録媒体の長辺が前記第1記録媒体の長辺と異なる方向になるように回転させて読み取った第2診断対象データとを生成する診断対象データ生成工程と、
前記テストパターン、前記第1診断対象データ、前記第2診断対象データ、および、前記第2診断対象データを前記第2記録媒体の長辺が前記第1記録媒体の長辺と同じ方向になるように回転させた第3診断対象データを用いて、異常箇所を検出し、異常要因を診断する診断工程と、を備える画像診断方法。
【請求項10】
搬送方向に搬送された任意のサイズの記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記任意のサイズの記録媒体に形成された画像を読み取る画像読取手段と、を診断する診断装置に、
テストパターンを記録する手順と、
前記画像形成手段が、第1記録媒体と、前記第1記録媒体より小さいサイズの第2記録媒体とに、前記テストパターンを、前記第1記録媒体および前記第2記録媒体の長辺を前記搬送方向に一致させて形成し、前記画像読取手段が、前記第1記録媒体を読み取った第1診断対象データと、前記第2記録媒体を、前記第2記録媒体の長辺が前記第1記録媒体の長辺と異なる方向になるように回転させて読み取った第2診断対象データとを取得する取得手順と、
前記テストパターン、前記第1診断対象データ、前記第2診断対象データ、および、前記第2診断対象データを前記第2記録媒体の長辺が前記第1記録媒体の長辺と同じ方向になるように回転させた第3診断対象データを用いて、異常箇所を検出し、異常要因を診断する診断手順と、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断装置、画像診断方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の作像系の異常点検をするために、テストパターンを印刷し、スキャナで読み取り、データ化することでマシン内部や、システム外部で異常の有無を診断する技術が知られている。診断の際、スキャナで読み取った画像に、プリンタ要因とスキャナ要因の二つの異常が重なって表れることが想定される場合、それらを区別することはできず、誤った判断をすることがあった。
【0003】
例えば、特許文献1には、読み取った画像に含まれる画像欠陥の原因を区別できる検出方法を得ることを目的として、読み取られた画像欠陥の方向に基づいてその原因を判定する技術が開示されている。
しかしながら、この手法では、例えば、読み取り時の画像欠陥の方向が形成時の画像欠陥の方向と区別できない場合には、要因を切り分けできないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、画像形成装置で生じた異常画像の要因を切り分けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、搬送方向に搬送された任意のサイズの記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記任意のサイズの記録媒体に形成された画像を読み取る画像読取手段と、を診断する診断装置であって、テストパターンを記録する記録手段と、前記画像形成手段が、第1記録媒体と、前記第1記録媒体より小さいサイズの第2記録媒体とに、前記テストパターンを、前記第1記録媒体および前記第2記録媒体の長辺を前記搬送方向に一致させて形成し、前記画像読取手段が、前記第1記録媒体を読み取った第1診断対象データと、前記第2記録媒体を、前記第2記録媒体の長辺が前記第1記録媒体の長辺と異なる方向になるように回転させて読み取った第2診断対象データとを取得する取得手段と、前記テストパターン、前記第1診断対象データ、前記第2診断対象データ、および、前記第2診断対象データを前記第2記録媒体の長辺が前記第1記録媒体の長辺と同じ方向になるように回転させた第3診断対象データを用いて、異常箇所を検出し、異常要因を診断する診断手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成装置で生じた異常画像の要因を切り分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】画像診断システムの全体構成例について説明する図である。
【
図2】一実施形態の画像形成装置および情報処理装置の内部構成の一例を説明する図である。
【
図3】一実施形態の画像診断システムの動作例を説明するフローチャートである。
【
図4】診断対象データの異常検出および要因判定の動作例を説明するフローチャートである。
【
図5】一実施形態のテストチャート読み取り手順を説明する図である。
【
図6】
図4の二値化処理などの具体的な画像データ例を表す図である。
【
図7】異常箇所の位置と向きから異常の一致を判断する際の具体例を説明する図である。
【
図8】印刷時に異常が生じたときの画像データ例を表す図である。
【
図9】
図8のテストチャートを読み取ったときの画像データの一例(読み取り時の異常無)を表す図である。
【
図10】
図9の画像データの異常切り分け判定の一例を説明する図である。
【
図11】
図8のテストチャートを読み取ったときの画像データの一例(読み取り時の異常有)を表す図である。
【
図12】
図11の画像データの異常切り分け判定の一例を説明する図である。
【
図13】ユーザに診断結果を通知する機能を説明する図である。
【
図14】複数枚のテストチャートを使用することで作像系を全網羅できることを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略または簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0009】
本発明は、画像形成装置のプリンタ部(「画像形成手段」とも称する)から画像を記録媒体に出力し、そのスキャン画像をスキャナ部(「画像読取手段」とも称する)により取得し、異常を検出することで「異常画像」の要因特定を容易にする技術に際し、プリンタ異常とスキャナ異常の要因切り分けができる構成に際して、以下の特徴を有する。
【0010】
テストパターンを、サイズや向きの違う複数の記録媒体に印刷してテストチャートを作成し、テストチャートに印刷された画像の向きを変えて読み取ることで、異常画像の原因がスキャン部にあるかプリンタ部にあるかを判定する。サイズや向きの違う複数の記録媒体として、例えば、向きを変えてスキャン可能な記録媒体にテストパターンを印刷する。
また、スキャン部がスキャン可能な最大サイズを印刷することにより、より広い作像領域の範囲の画像診断を可能とする。
【0011】
本発明に係る画像診断システムの一態様は、例えば、以下の各工程を実行する。
・画像形成手段が、第1記録媒体と、第1記録媒体より小さいサイズの第2記録媒体とに、テストパターンを、第1および第2記録媒体の長辺を搬送方向に一致させて形成する画像形成工程。
・画像読取手段が、テストパターンが形成された第1記録媒体を読み取った第1診断対象データと、テストパターンが形成された第2記録媒体を、第2記録媒体の長辺が第1記録媒体の長辺と異なる方向になるように回転させて読み取った第2診断対象データとを生成する診断対象データ生成工程。
・取得手段が、第1診断対象データおよび第2診断対象データを取得する取得工程。
・診断手段が、テストパターン、第1診断対象データ、第2診断対象データ、および、第2診断対象データを第2記録媒体の長辺が第1記録媒体の長辺と同じ方向になるように回転させた第3診断対象データを用いて、異常箇所を検出し、異常要因を診断する診断工程。
【0012】
本発明の一実施形態について、以下に図面を参照して詳細に解説する。
図1は、画像診断システム(「異常画像診断システム」とも称する)の全体構成例について説明する図である。
画像診断システム100は、例えば、画像形成装置101、サーバ103および情報処理装置105を備え、各装置が通信回線(通信手段)107により接続している構成とする。
ここでは、画像診断システム100の構成例として、ネットワークで接続された画像形成装置101とサーバ103とのやり取りを考える。
【0013】
画像形成装置101は、画像形成手段(「プリンタ部」とも称する)と画像読取手段(「スキャン部」とも称する)とを少なくとも備える。画像形成装置101は、例えば、複写機(MFP:MultiFunction Printer)である。
サーバ103は、情報処理装置105の機能を有するとともに、画像診断システム100全体を制御する機能を有する。また、サーバ103は、画像診断システム100の内部および外部の情報処理装置とのデータ通信を行う情報処理装置として機能することができる。例えば、サーバ103は、画像診断機能を実装することで、遠隔診断システムを実現することもできる。
情報処理装置105は、例えば、一般的なコンピュータであり、各種演算処理を実行する。
通信回線(通信手段)107は、画像形成装置101、サーバ103および情報処理装置105の間で情報を送受信することを可能にする。通信回線(通信手段)107は、LAN(Local Area Network)、インターネット、Blutooth(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)などであり、有線、無線のどちらもよい。
【0014】
画像診断システム100において、画像形成装置101は、テストパターンを記録媒体に印刷してテストチャートを作成し、テストチャートに印刷されたテストパターンを読み取った(スキャンした)画像データを診断対象データとして生成する。
画像形成装置101は、通信回線(通信手段)107を介して、画像読取手段でスキャンした診断対象データをサーバ103へ送信する。
サーバ103は、診断対象データを受け取ると、画像診断(異常画像診断)を開始する。
サーバ103は、画像診断結果を、画像形成装置101に送信する。
このとき、画像診断の開始は、画像形成装置101がサーバ103へ指示してもよいし、サーバ103から画像形成装置101へ指示してもよい。
【0015】
また、画像診断システムは以下のように構成してもよい。
情報処理装置105は、例えば、画像形成装置101にテストチャート印刷指示、画像データスキャン指示、サーバ103へのアップロード指示を行うことも可能である。情報処理装置105が画像診断を指示する場合には、サーバ103は、画像診断の結果を情報処理装置105へ送信してもよい。
【0016】
サーバ103は内部および外部の情報処理装置105とのデータの通信を行う情報処理装置である。例えば、サーバ103は画像診断機能を実装することで、遠隔診断システムを実現することもできる。
画像診断システムは、このような多様な形態で画像診断システムにおける情報のやりとりを行うことができるようにするとよい。
【0017】
さらに、画像診断システムは、画像形成装置101、サーバ103および情報処理装置105の機能が一つの装置内に内蔵されるような形態で構成されてもよい。一つの装置内で画像診断システムの機能を実現する場合には、通信回線(通信手段)107によって接続されず、外部のネットワークに接続されない場合でも画像診断を可能とする構成となる。
例えば、画像形成装置101は、画像診断の機能を備えるように構成してもよい。画像形成装置101は、例えば、テストチャートを読み取った診断対象データを取得し、診断対象データを診断する機能を装置内に(例えば、制御手段の一部として)備えていてもよい。
【0018】
次に、画像形成装置101と情報処理装置105との内部構成例を説明する。一実施形態では、サーバ103は、情報処理装置105と同様の構成を、少なくとも備えるものとする。
図2は、画像形成装置101および情報処理装置105の内部構成の一例を説明する図である。
画像形成装置101は、操作部201、スキャナ部202、画像形成部203、プリンタ部204、FaxI/F205、制御部(コントローラ)206、メモリ208、および、通信I/F209を備える。
【0019】
操作部201は、画像形成装置101のユーザI/F(Inter/Face)である。
この部分がタッチパネル型のSmartUIであるとし、タッチパネルを使って、システムを使うことを想定する場合は、情報処理装置の代替であると考える。
【0020】
スキャナ部202は、任意の画像データを読み取り、読み取った画像データを制御部206に送る。
画像形成部203は、画像(例えば、テストパターン)を生成する。
プリンタ部204は、画像形成部203が生成した画像を任意の記録媒体に出力する。プリンタ部204は、例えば、テストパターンを異なるサイズの用紙に印刷する。
【0021】
一実施形態では、スキャナ部202は、任意のサイズの記録媒体に形成された画像を読み取る画像読取手段として機能する。また、画像形成部203およびプリンタ部204は、搬送方向に搬送された任意のサイズの記録媒体に画像を形成する画像形成手段として機能する。
【0022】
制御部206は、画像形成装置101の全体を制御する。制御部206は、CPU(Central Processing Unit)207と、メモリ208とを少なくとも備える。CPU207とメモリ208とは、内部I/Fで接続される。
CPU207は、メモリ208に記憶されている制御用のプログラム等を読み出して実行する。
メモリ208は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)やHD(Hard Disk Drive)などの揮発性と不揮発性記憶手段を有する。メモリ208は、例えば、テストチャートの印刷情報(例えば、サイズ、向き、テストパターンの画像データ)の情報を記憶する。
【0023】
通信I/F209は、画像形成装置101側に配置され、情報処理装置105とのデータのやりとり(送受信)を行う。
FaxI/F205は、ファクシミリ装置とのデータのやりとり(送受信)を行う。
【0024】
次に情報処理装置105について説明する。
情報処理装置105は、通信I/F210、CPU211、クロック装置214、入力装置215、主記憶装置216、出力装置217、および、補助記憶装置218を備える。
【0025】
通信I/F210は、情報処理装置105側に配置され、画像形成装置101とのデータのやりとり(送受信)を行う。通信I/F210は、取得手段として機能する。
CPU211は、主記憶装置216、出力装置217、補助記憶装置218に記憶されているプログラムと協働して、これらに情報を入れる手段として機能する。制御装置212がクロックのタイミングに従い動作を制御し、演算装置213がディジタルデータの演算処理を行う。
一実施形態では、CPU211は、診断手段を実現するプログラム(画像診断プログラム)を実行する。
【0026】
クロック装置214はクロックを発生させる。
入力装置215は、各種データを入力する機器であり、キーボード、マウス、タッチパネル、CCD(Charge Coupled Device)カメラなどを用いる。
【0027】
主記憶装置216は、プログラムやデータを格納・保持し、制御装置212の指示に従い、保持しているデータをレジスタに読み出す。ここでは、主記憶装置216は、例えば、画像診断システムのプログラム、画像形成装置101から受け取る画像データやコンディションデータを保持・読み出しを行う。コンディションデータは、例えば、画像形成装置101の印刷枚数、部品情報、消耗品(トナーカートリッジなど)の情報とする。
出力装置217は、演算結果等を出力する(ディスプレイ、音声出力等)。
補助記憶装置218は、主記憶装置216の記憶容量を補助する。
【0028】
次に、画像診断システムの動作の一例を説明する。
一実施形態では、画像形成装置101が画像形成手段および画像読取手段を備え、サーバ103(または情報処理装置105)が、取得手段、および診断手段を備える構成例を用いて説明する。また、第1記録媒体としてA3サイズの用紙、第2記録媒体としてA4サイズの用紙を一例として用いる。
【0029】
図3は、一実施形態の画像診断システムの動作例を説明するフローチャートである。
図4は、診断対象データの異常を検出し、要因を判定する動作例を説明するフローチャートである。
図3、4では、画像形成装置101とサーバ103との間で画像診断を実施する動作例を示す。また、画像形成装置101は、読み取り可能な最大サイズがA3、向きを変えて読み取ることが可能なサイズがA4として説明する。
図3では、ステップS302からS305は、画像形成工程、ステップS306は、画像読取工程、ステップS311は、取得工程、ステップS312からステップS314は、診断工程、ステップS315は、診断結果出力工程を表す。以下に各工程の詳細を説明する。
【0030】
画像形成装置101は、ユーザによって操作部201からテストパターン印刷ボタンが押下されることを起点に(S301)、サイズの違う複数枚の記録媒体(例えば用紙)にテストパターンを印刷し、テストチャートを作成(出力)する(S302からS305)。
【0031】
具体的には、画像形成部203はメモリ208からテストパターン用の画像データを読み出し、A3サイズのテストパターンを生成し、生成したA3サイズのテストパターンをメモリ208へ格納する(S302)。プリンタ部204は、メモリ208から生成されたA3サイズのテストパターンを読み出して、A3サイズの用紙に印刷し(S303)、テストパターンが印刷されたA3サイズのテストチャートを作成する。
【0032】
次に、画像形成部203はメモリ208からテストパターンの画像データを読み出し、A4サイズのテストパターンを生成し、生成したA4サイズのテストパターンをメモリ208へ格納する(S304)。プリンタ部204は、メモリ208から生成されたA4サイズのテストパターンを読み出して、A4サイズの用紙に印刷し(S305)、テストパターンが印刷されたA4サイズのテストチャートを作成する。
プリンタ部204は、A3サイズの用紙の長辺と、A4サイズの用紙の長辺とを搬送方向に一致させて印刷する。
【0033】
次に、複数枚の記録媒体にテストパターンが印刷されたテストチャートを読み取るため、ユーザによって、操作部201から読み取り開始ボタンが押下される(S306)。ユーザは、例えば、
図5に示す手順に沿って、テストチャートを配置し、画像形成装置101のスキャナ部202に読み取らせる。
図5では、上段に印刷時の状態を示し、下段に読み取り時の状態を示している。上段に示すように2種類の異なるサイズの用紙にテストパターンが印刷されたテストチャートが出力されると、小さい用紙のテストチャートの向きを変更して読み取りを開始することを促している。
【0034】
画像形成装置101では、スキャナ部202は、テストチャートを読み取った画像データを制御部206へ送る。制御部206は、原稿(用紙)の向きが変更されていない場合、ユーザに再度読み取り向きを変更するように、操作部201を介して通知する。向きが変更されている判断の方法として、例えば、原稿サイズを検知するセンサや読み取り結果の画像データのテストパターンの向き検知といった方法で検出可能である。
制御部206は、例えば、A3サイズの用紙の長辺とA4サイズの用紙の長辺とが直交する関係にない時には、ユーザに再度、テストパターンの読み取りを行うように通知する。
【0035】
制御部206は、スキャナ部202がA3サイズのテストチャートを読み取った画像データを第1診断対象データとし、A4サイズのテストチャートを読み取った画像データを第2診断対象データとして生成する。以降の説明では、第1診断対象データと第2診断対象データとを区別する必要がない場合には適宜「診断対象データ」と称する。ここで、第2診断対象データは、A4サイズのテストチャートを、A4サイズの用紙(第2記録媒体)の長辺がA3サイズの用紙の長辺と異なる方向(例えば、直交する関係)になるように回転させて読み取った画像データとする。
【0036】
画像形成装置101の制御部206は、サーバ103に、読み取った診断対象データとともに、診断リクエストを通信I/F209を介して送信する。
【0037】
サーバ103は、通信I/F210を介して、画像形成装置101から診断リクエストを受信し、画像診断を開始する(S311)。CPU211は、例えば、主記憶装置216に記憶されている画像診断用のプログラム等を読み出し、プログラムの命令群を実行することにより、以下に説明する画像診断の機能を実現する。
CPU211は、A3およびA4サイズの診断対象データそれぞれに対して、画像内の異常箇所を検出する(S312)。ここで、画像内の異常を示すデータを異常画像データとする。
【0038】
CPU211は、異なるサイズの診断対象データから検出した異常画像データの比較を行う(S313)。この時、異常画像データが印刷された際の、向きや位置を復元する。復元する方法については、
図4を参照して後述する。また、CPU211は、第2診断対象データの向きを復元した第3診断対象データを生成する。第3診断対象データは、A4サイズのテストチャートを回転させて読み取った第2診断対象データを、A4サイズの用紙の長辺がA3サイズの用紙の長辺と同じ方向になるように回転させて、印刷時の向きに復元した画像データである。
【0039】
CPU211は、異常画像データの位置や向きが復元された画像データに対して、異常の位置や向きが一致している場合、プリンタ異常が要因の画像異常と判断し、一致しない場合、スキャナ異常が要因の異常画像と判断する(S314)。異常が一致しているかの判定については、
図4を参照して後述する。
【0040】
サーバ103は、通信I/F210を介して、画像形成装置101に診断結果を送信する(S315)。
画像形成装置101は、通信I/F209を介して、サーバ103から診断結果を受信する(S308)。
画像形成装置101は診断結果を表示する(S309)。なお、
図3の動作例では、ステップS309において、画像形成装置101で診断結果を表示しているが、サーバ103や情報処理装置105で表示する構成でもよい。
【0041】
次に、
図4を参照して、異常画像を診断する動作例(
図3のステップS312からS314)の詳細を説明する。
図4において、ステップS401~S406は、読み取られた原稿に描画されたテストパターンの向きを特定するための動作例である。ここでは、向きを特定するための手段の一例として画像データから輪郭抽出した結果を用いているが、角や曲線などを用いても良い。また、あらかじめテストパターンに特定のパターンを埋め込むといった方法もある。
【0042】
CPU211は、読み取られた画像データ内のすべての画素に対して、所定の閾値を境に2値化する(S401)。所定の閾値は変更可能なパラメータである。
CPU211は、ステップS401で二値化された画像データに対して、隣接する画素が異なる値であった場合に、値の大きいほうの画素を輪郭とみなし、特徴点として抽出する(S402)。ただし、輪郭を求める処理の実現方法はこれに限ったものではない。
CPU211は、ステップS402で抽出された特徴点と、あらかじめオリジナルのテストパターンから抽出された特徴点とを比較し、特徴点を表す画素の位置が所定の閾値以下の距離にあるものを特徴点が一致していると判断する(S403)。所定の閾値は変更可能なパラメータである。
【0043】
CPU211は、ステップS403で一致していると判断された特徴点の割合が、全体の特徴点の所定の割合以上であった場合、読み取られたテストパターンとオリジナルのテストパターンとの向きが一致していると判断し(S404でYes)、ステップS407に遷移する。所定の割合は変更可能なパラメータである。
【0044】
CPU211は、ステップS404で、向きが一致していないと判断された場合(S404でNo)、読み取られたテストパターンもしくは、オリジナルのテストパターンのいずれかを90度回転させ(S406)、ステップS401~406を繰り返す。例外として、すべての向きの組み合わせで特徴点が一致する割合が所定の閾値を超えない場合(S405でYes)は、処理を終了する。
【0045】
向きが一致していると判断された場合(S404でYes)、CPU211は、ステップS407において、読み取られたテストチャートから異常箇所を抽出する(S407)。例えば、異常の抽出方法としてオリジナルのテストチャートとの差分を取り、差分が所定の閾値以上の箇所を異常のある画素として抽出する。
【0046】
上記の画像差分の取り方としてはオリジナルテストチャート/テストチャートの全画素に対して各座標上の画素毎にRGB毎の強度値差分を取る方法がある。これ以外の実現方法であっても良い。
また、上記の閾値判定としては、画素毎のRGB毎の強度値差分値に対して強度差分閾値を設け、強度差分閾値を超えた画素の数をカウントし、更にこのカウント数に対して、差分画素数閾値を設け、差分画素数閾値を超えた場合に異常と判断する方法がある。これ以外の実現方法であっても良い。
【0047】
CPU211は、ステップS407の結果、異常が抽出された場合(S408でYes)、診断を続行する。異常がない場合は診断フローを終了する(S408でNo)。
異常が抽出された場合には(S408でYes)、CPU211は、異常の向きや重心を特定するための前処理として、ステップS407で異常があると抽出した画素に対して、画素の辺または頂点で隣接する異常のうち、画素の色、濃度が所定の閾値に収まっているものを同じ同一の異常と分類する(S409)。
画素の色や濃度を用いる理由として、主に異常が重なった場合でも、同じ異常と誤判定しないための処理である。誤判定を回避するための方法として、あらかじめ異常の形状を登録し、形状に類似の点があった場合、同じ異常と判定する方法なども考えられる。
【0048】
次に、CPU211は、ステップS409で同一としてみなした異常に対して、異常の領域の最長の部分の向きを、異常の向きとする(S410)。向きを特定する方法はこれに限らず、角や曲線など特徴のある部分を基準に向きを決めても良い。
CPU211は、ステップS409で同一としてみなした異常に対して、異常の領域の重心部分を異常の位置とする(S411)。これも、異常の位置を特定することが目的であるので、重心ではなく、異常の輪郭、頂点、といった特徴的な形状から位置を定義しても良い。
【0049】
ステップS412~413では、読み取ったサイズや向きの違うテストチャートから抽出した異常箇所を比較し、同じ要因の異常かどうか判断する。
CPU211は、読み取ったサイズや向きの違うテストチャートから抽出した各異常に対して、左右上下の位置差分が所定の閾値以内である場合(S412でYes)、同じ位置にある異常と判断して、ステップS413に遷移する。一方、位置差分が所定の閾値を超える場合(S412でNo)、ステップS415に遷移する。位置差分の求め方は
図7を参照して後述する。
【0050】
サイズの違う画像データに対して異常の位置が一致しているか判断する場合、異常が重なり得る領域、つまり、小さい方のサイズの領域内に存在する異常に対して異常の位置が一致しているか判断する。
CPU211は、読み取ったサイズや向きの違うテストチャートから抽出した異常を比較し、異常の向きが所定の閾値以内である場合(S413でYes)、ステップS414に遷移する。異常の向きが所定の閾値を超える場合(S413でNo)、ステップS415に遷移する。
【0051】
CPU211は、ステップS412、S413にて異常の位置と向きが一致していると判定すると、異常をプリンタ要因と判定する(S414)。
CPU211は、ステップS412、S413にて異常の位置と向きいずれかが一致していないと判定すると、異常をスキャナ要因と判定する(S415)。
【0052】
次に、
図4で説明した二値化処理(ステップS401からS403、S407等)と、異常が一致するか否かを判定する処理(ステップS409からS413等)について具体例を用いて説明する。
【0053】
図6は、
図4の二値化処理などの具体的な画像データ例を表す図である。
図6では、左側の列にテストパターンのオリジナル画像データおよびそれを加工した画像データを、中央の列にテストパターンのオリジナル画像データを印刷して読み取った際の画像データおよびそれを加工した画像データを、右側に加工後に処理した結果を説明する画像データを示している。
【0054】
画像データ611は、テストパターン印刷の際の画像データとして使用されたオリジナル画像データ例である。
画像データ612は、テストパターンを印刷して、読み取った際の読み取り画像データ例であり、診断対象データとなる。
画像データ613は、ステップS407にて、画像データ611と画像データ612の差分をとり、異常画像を抽出した例(異常抽出後の画像データ)である。
【0055】
画像データ621は、ステップS401にて、画像データ611に対して、二値化処理したオリジナル画像データ例である。
画像データ622は、ステップS401にて、画像データ612に対して、二値化処理した読み取り画像データ例である。
【0056】
画像データ631は、ステップS402にて、画像データ621に対して、輪郭を抽出したオリジナル画像データ例である。
画像データ632は、ステップS402にて、画像データ622に対して、輪郭を抽出した読み取り画像データ例である。
画像データ633は、ステップS403にて、輪郭抽出画像(画像データ631と画像データ632)を比較し一致している点を抽出した結果例である。
【0057】
図7は、異常箇所の位置と向きから異常の一致を判断する際の具体例を説明する図である。ステップS409、S410でサイズの違う画像データそれぞれに対して異常の位置と向きを特定し、位置と向きが一致するかどうか判断する際の具体的な例を示す。
図7において、上段はプリンタ要因の異常、下段はスキャン要因の異常が生じた場合の画像データ例である。また、左側はA3サイズ、右側はA4サイズの画像データである。
【0058】
まず、異なるサイズの画像データ上の異常に対して位置の比較をするために、共通座標基準点を定義する。
共通y軸の基準点に関しては、印刷時テストチャートが作像系のどの部分で画像形成されたかに依存する。
図7の例では、異なるサイズのテストパターンの画像形成の際に、作像部品の中心部から主走査方向に左右対称の距離に画像形成される場合を表し、画像データを上下に等分する位置を共通y軸の基準点とする。これは、マシン構成と印刷した紙のサイズから一意に決まる。
共通x軸の基準点に関しては、どこでもよいが、この実施例では、テストチャートの画像データの左端をx軸の基準点としている。
共通x軸の基準点と共通y軸の基準点が交差する部分を共通基準点とし、各画像データから抽出した異常に対して、共通基準点からの位置を算出する。
【0059】
各画像データ内の異常に対して、共通基準点からの位置の上下距離差分、左右距離差分をそれぞれ抽出し、それぞれ距離が所定の閾値以下である場合同じ位置にある異常とみなす。
但し、各画像データ内の異常に対して、同じ位置に異常があるかどうかを判断する方法はこれに限定されない
図7の上段は、向きと位置が一致するので、異常画像がプリンタ要因と判定される例である。
図7の下段は、向きと位置が一致しないので、異常画像がスキャナ要因と判定される例である。
【0060】
次に、前述した各処理の診断対象データの具体例を説明する。ここでは、テストチャートを読み込んだ画像データとして、印刷時または読み取り時に生じた異常部分を示し、テストパターンを省略して説明する。
図8は、印刷時に異常が生じたときの画像データ例を表す図である。
画像形成装置101のプリンタ部204は、例えば、1枚目としてA3サイズの用紙にテストパターンを印刷してテストチャート81を出力し、2枚目としてA4サイズの用紙にテストパターンを印刷してテストチャート82を出力する。このとき、プリンタ部204は、各用紙の長辺を搬送方向に一致させて印刷する。
図8では、プリンタ要因の異常(以降適宜「プリンタ要因異常」とも称する)が生じ、テストチャート81、82の短辺方向に沿ってスジが生じた例を示している。なお。前述したように、
図8では、テストパターンを省略し、印刷時に生じた異常を示している。以降に参照する
図9から
図12も同様である。
【0061】
図9は、
図8のテストチャートを読み取ったときの画像データの一例(読み取り時の異常無)を表す図である。
図9に示す画像データは、プリンタ要因の異常が生じ、スキャナ要因の異常(以降適宜「スキャナ要因異常」または「読み取り異常」とも称する)がない場合の画像データ例である。
【0062】
画像形成装置101のスキャナ部202は、例えば、1枚目としてA3サイズの用紙に印刷したテストチャート81を、印刷したときと同じ方向で読み取り、画像データ91aを生成する。また、A4サイズの用紙に印刷したテストチャート82を、印刷したときの方向を90度回転させた方向で読み取り、画像データ92aを生成する。従って、A3サイズの用紙の長辺は搬送方向と一致するが、A4サイズの用紙の長辺は搬送方向と交差(直交)する関係となる。画像データ91aは、第1の診断対象データであり、画像データ92aは、第2の診断対象データとなる。
このようにして読み取ると、
図9に示すように、
図8で表したプリンタ要因の異常として生じたスジが、A3サイズ用紙とA4サイズの用紙とで異なる方向となる。
【0063】
図10は、
図9の画像データの異常切り分け判定の一例を説明する図である。
図10では、テストパターンを印刷した後、読み取ったA3サイズの用紙およびA4サイズの用紙の画像データ91a、92aを、各用紙の印刷時の向きに直し、重ねて比較して判定する様子を表している。
図10では、スキャンした二つの画像データ91a、92aに対して、実線で示す異常が、位置と方向で一致しているのでプリンタ異常要因と判断できる。
【0064】
図11は、
図8のテストチャートを読み取ったときの画像データの一例(読み取り時の異常有)を表す図である。
図11に示す画像データは、プリンタ要因の異常が生じ、さらに、スキャナ要因の異常が生じた場合の画像データ例である。画像形成装置101のスキャナ部202は、
図9と同様に1枚目と2枚目を読み取った結果の画像データ91b、92bを示している。
図11において、点線は、左右の画像に対して、同じ要因の異常が現れる位置を表す説明用の補助線である。
図11では、A3サイズの画像データ91bとA4サイズの画像データ92bとにおいて、点線で対応づけた二本の実線を読み取り異常として表している。
【0065】
図12は、
図11の画像データの異常切り分け判定の一例を説明する図である。
図12では、
図10と同様に、二種類の用紙のテストチャート81、82(
図8)を読み取った画像データ91b、92bを、各紙印刷時の向きに直し、重ねて比較して判定する様子を表している。
図12では、スキャンした二つの画像データ91b、92bに対して、一本の実線の異常が、位置と方向が一致しているのでプリンタ異常要因と判断できる。一方、二本の実線の異常は、左右の画像に対して、異常の位置が、読み取りの位置や方向に対して一致しないため、スキャナ異常要因と判断できる。
【0066】
図13は、ユーザに診断結果を通知する機能を説明する図である。診断結果の通知機能の一例として、画像形成装置の操作パネルを用いて表示画面を表示する。しかしながら、これに限ったものではない。
診断結果の通知の仕方として他には音といったほかの通知の手段も考えられる。
【0067】
上述した一実施形態の例ではスキャナ要因/プリンタ要因(スキャナ/プロッタ)切り分けのみを実施して判定フローを終了しているが、必要に応じて引き続き更なる詳細要因解析切り分けの診断処理を実施するような実施形態であっても良い。例えば、ステップS414で異常をプリンタ要因と判定したのち、既知の現像部と帯電部の異常要因切り分け判断アルゴリズム(例えば、特許文献2)により、更に要因の絞り込みを行っても良い。
【0068】
特許文献2には、露光がない状態で現像した画像と露光がある状態で現像して印刷した記録材の画像を読み取ることで、帯電部、現像部の何れの要因によるスジ画像かを診断する構成が開示されている。
【0069】
なお、
図8から13では、一例として、プリンタ要因の異常を一本の実線、スキャナ要因の異常を二本の実線を用いて説明した。しかしながら、異常の現象、および、判定できる異常はこれらに限られるものではない。
【0070】
次に、プリンタ部204の作像系を全網羅するために複数枚のテストチャートを用いる場合を説明する。
図14は、複数枚のテストチャートを使用することで作像系を全網羅できることを説明する図である。
図14の例では、用紙12枚を用いることで、転写ベルト状の全領域を網羅することが出来る場合を示している。
【0071】
画像形成装置101に内蔵される作像系の部品のうち副走査方向が最長となる部品が転写ベルト501だと仮定している。しかし、画像形成装置101の作像系部品によっては他の部品が、最長となる構成もありうる。
一般的に、読み取り可能な最大サイズの長辺の長さは、作像系の部品の長さを超えることはないため、テストチャート1枚で作像系を網羅することは不可能である。そこで、作像系を網羅するため複数枚のテストチャートを印刷する。
例えば、複数枚のテストチャートは、同じテストパターンを複数枚の用紙に続けて印刷するとよい。また、読み取り可能な最大サイズの用紙を用いるとよい。
ただし、印刷間隔があいてしまう場合がある。このようなときは、隙間を埋めるようにテストチャートを印刷することで、作像系の全網羅が可能である。
【0072】
ここで
・作像系の周回長X
・用紙長S
・紙間長D
とすると、作像系網羅に必要な枚数Nは以下の式であらわされる。
【0073】
【0074】
診断手段は、複数枚のテストチャートを読み取った複数の診断対象データについて、異常がないかを診断する。診断手段は、例えば、複数枚のA3サイズのテストチャートを読み取った複数の第1診断対象データ同士を比較して、画像データに異常があるかを検出し、異常が検出された第1診断対象データを、第2診断対象データおよび第3診断対象データと比較して、異常の要因を判定してもよい。複数枚印刷することで作像領域の異常画像の点検を網羅することができる。
【0075】
その他の実施形態.
上記実施形態において、テストパターンを記録する記録手段は、画像形成装置101、サーバ103または情報処理装置105において、テストパターンを、予め取得し、記録し保持する手段(テストパターンを保持する工程)であってもよいし、外部から受け取ったテストパターンを一時的に記録、保持する手段(例えば、診断開始前に受け取り、診断終了後まで保持する)であってもよい。また、テストパターンを保持する保持工程(保持手順)では、少なくとも一時的に(例えば、画像診断中に)、装置内の記録手段にテストパターンを記録、保持すればよい。
【0076】
上記実施形態では、画像形成装置101が読み取った第1診断対象データと第2診断対象データをサーバ103が診断する画像診断システムを説明したが、画像形成装置101が、前述した取得手段および診断手段を備えていてもよい。
例えば、
図2の画像形成装置101の構成例において、制御部206は、取得手段や診断手段を実現するプログラムの命令群をCPU207が実行するように構成してもよい。
例えば、スキャナ部202は、読み取った診断対象データをメモリ208に記録し、制御部206は、取得手段が、メモリ208から診断対象データを読み出し、診断手段に受け渡すように構成してもよい。
【0077】
また、画像診断システムにおいて、画像診断の開始を、遠隔地から要求する場合には、例えば、以下のように構成してもよい。情報処理装置105(またはサーバ103)が、入力装置215から画像診断開始の要求を受け付けると、取得手段として機能する通信I/F210は、画像形成装置101に通知する。画像形成装置101は、通知された要求に応じて、診断対象データ(第1診断対象データおよび第2診断対象データ)を生成し、通信I/F209を介して、情報処理装置105へ診断対象データを送信する。
【0078】
以上に説明した通り、本発明の一実施形態は、異なるサイズの用紙、例えば、スキャン可能な最大サイズ以下(例えば、A3)と、長辺が読み取り可能な最大サイズ以下(例えば、A4)の用紙を用い、テストパターンを印刷した2枚のテストチャートを作成する。このように、スキャン可能な最大サイズ(例えば、A3)を印刷したテストチャートを作成することで、より広い範囲の異常を診断できる。
【0079】
また、読み取り時には、(1)初めに最大サイズのテストチャート(ここではA3)の全領域をスキャンし、第1の診断対象データとして保存する。(2)次に長辺が読み取り可能なサイズのテストチャート(ここではA4)を、プリント時の主走査と副走査の向きを入れ替えてスキャンし、第2の診断対象データとして保存する。このように、向きを変えることができるサイズのテストチャートを印刷し、読み取ることで、異常がプリンタ要因にあるか、スキャナ要因にあるか区別できる。
【0080】
さらに、画像診断時には、保存された第1および第2の診断対象データを比較し、同じ位置に同種類の異常が出ている場合、異常はスキャナ要因と判定し、同じ位置に同種類の異常が出ていない場合、異常はプリンタ要因と判定する。
このようにすることにより、異常画像が生じた要因を判定する精度を向上させることができる。また、より広い作像領域の異常を診断できる。
【0081】
本発明の一実施形態は、例えば、次のような場合に有利な効果を奏する。
近年電子写真装置の性能向上に伴い印刷機と同等の画質を実現した装置が登場している。印刷機と同様に運用するためには高画質の維持が必須だが、長時間にわたって使用するとプリンタが劣化し、このプリンタから出力される画像において画質面での異常が発生する可能性がある。このような劣化等により「異常画像」が発生したとき、画像を見て異常と気付いたユーザがカスタマーエンジニアへ連絡し、カスタマーエンジニアがプリンタの設置場所を訪れて対応するケースが一般的である。
【0082】
このような場合に、劣化等により生じる異常画像の状態をユーザが言葉で表現することは難しく、例えば「ムラがある」といってもムラの発生する方向、頻度、周期等の詳細な情報がわからないとその原因を特定することができなかった。
そのため、ユーザから異常画像の指摘を受けた際にカスタマーエンジニアがプリンタの設置場所に行き、画質の異常を直接確認する必要があった。
そして、カスタマーエンジニアは確認した異常から故障箇所を予測して関係するサービスパーツを特定し、一度サービスの拠点に戻り、サービスパーツを入手してから再びユーザ先へ行って対応を行っていた。
このようなやり取りを行うとカスタマーエンジニアの移動にコストがかかるだけでなく、対応が終了するまで装置が使えなくなるためダウンタイムが発生し、ユーザの生産性を大きく低下させるという問題があった。
【0083】
一実施形態の画像診断システムを用いることにより、プリンタから画像を出力し、そのスキャン画像を取得し、異常を検出することで「異常画像」の特定を容易にすることができる。
また、遠隔地(例えば遠隔の情報処理装置)から、画像診断の実行をプリンタ要求し、画像異常の要因の判定を可能にする機能を備えることにより、事前にメンテナンスの準備ができるため、カスタマーエンジニアの訪問回数を減らすことができる。
これにより、上述した問題を解消することが可能となり、コストを削減することができる。
【0084】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0085】
100 画像診断システム
103 画像形成装置
103 サーバ
105 情報処理装置
107 通信回線(通信手段)
202 スキャナ部
203 画像形成部
204 プリンタ部
206 制御部
208 メモリ
209、210 通信I/F
211 CPU
215 入力装置
216 主記憶装置
217 出力装置
218 補助記憶装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【文献】特開2013-243443号公報
【文献】特開2018‐132719号公報