(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】荷電粒子ビーム描画方法及び荷電粒子ビーム描画装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20220817BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220817BHJP
H01J 37/305 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
H01L21/30 541J
H01L21/30 541Q
G03F7/20 504
H01J37/305 B
(21)【出願番号】P 2019034559
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】松井 秀樹
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-4413(JP,A)
【文献】特開平9-213607(JP,A)
【文献】特開平10-32188(JP,A)
【文献】特開2012-174780(JP,A)
【文献】特開2004-311465(JP,A)
【文献】特開2012-43972(JP,A)
【文献】特開2008-117871(JP,A)
【文献】特開2005-33078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を移動させながら荷電粒子ビームを照射して、前記基板の描画領域を幅Wで分割した複数のストライプ毎に順次パターンを描画する荷電粒子ビーム描画方法であって、
ストライプ毎に、設定されたストライプずらし量で前記ストライプの幅方向に前記ストライプの基準点をずらすとともに、前記基板の移動方向を切り替えながら、多重度2n(nは1以上の整数)で前記複数のストライプを描画する処理を1回のストロークとし、前記ストロークの描画処理をS回(Sは2以上の整数)行い、
前記ストローク毎に、設定されたストロークずらし量で前記ストライプの幅方向に前記ストロークにおける前記ストライプの基準点をずらして描画することを特徴とする荷電粒子ビーム描画方法。
【請求項2】
多重度N(Nは2n+1以上の整数)でパターンを描画する場合、S=N-(2n-1)であることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム描画方法。
【請求項3】
ストライプ幅をW、n=1とした場合、k番目(kは1以上の奇数)のストライプの描画後の前記設定されたストライプずらし量は、Wよりも小さく、
k+1番目のストライプの描画後の前記設定されたストライプずらし量は、W以上であることを特徴とする請求項2に記載の荷電粒子ビーム描画方法。
【請求項4】
k番目のストライプの描画処理後の前記設定されたストライプずらし量は、W/Nであることを特徴とする請求項3に記載の荷電粒子ビーム描画方法。
【請求項5】
基板を所定の方向に連続移動しながら、該基板の描画領域を所定幅で分割した複数のストライプ毎に順次パターンを描画する描画部と、
ストライプ毎に、設定されたストライプずらし量で前記ストライプの幅方向に描画開始位置をずらすとともに、前記基板の移動方向を切り替えながら、多重度2n(nは1以上の整数)で前記複数のストライプを描画する1回のストロークの描画処理をS(Sは2以上の整数)回行い、前記ストローク描画毎に設定されたストロークずらし量で前記ストライプの幅方向に前記ストロークにおける前記ストライプの基準点をずらすように、前記描画部を制御する制御部と、
を備える荷電粒子ビーム描画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビーム描画方法及び荷電粒子ビーム描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスの回路線幅はさらに微細化されてきている。これらの半導体デバイスへ回路パターンを形成するための露光用マスク(ステッパやスキャナで用いられるものはレチクルともいう。)を形成する方法として、優れた解像性を有する電子ビーム描画技術が用いられている。
【0003】
電子ビーム描画装置の一方式として、可変成形方式がある。可変成形方式では、例えば第1成形アパーチャの開口と、第2成形アパーチャの開口とを通過することで成形された電子ビームによって、可動ステージに載置された基板に図形が描画される。
【0004】
電子ビーム描画装置では、装置に入力される設計データを、電子ビームを基板に描画するための描画データに変換する。描画データは、ストライプと呼ばれる短冊状に分割される。各ストライプは、主偏向器と副偏向器にて位置制御された描画の単位となるショットを用いて描画される。ストライプの幅は、主偏向領域の幅で規定されている。
【0005】
主偏向器の偏向の歪みに起因して、ストライプの境界部分に描画される図形のつなぎ精度や、描画する図形の位置精度が劣化するおそれがあった。図形のつなぎ精度や位置精度を改善する手法として、ストライプをずらしながらパターンを繰り返し重ねて描画する多重描画が知られている。
【0006】
図13は、多重描画の描画処理の一例を示す。
図13に示すように、+x方向に描画処理が進むフォワード(FWD)描画で各ストライプにパターンを描画し、基板の描画領域全面の1回目の描画を行う。以降、描画領域全面の描画を1回行うことを1ストロークの描画と記載する。1ストローク目の描画処理後、各ストライプをy方向にずらしてFWD描画し、2ストローク目の描画処理を行う。
【0007】
図13に示すように、描画の進行方向が常に+x方向であるFWD-FWD方式の場合、1つのストライプの描画後、次のストライプの描画を行うためにステージ位置を戻すことになり、ステージ移動時間が長くなる。そのため、描画時間が長くなる。
【0008】
図14に示すように、+x方向に描画処理が進むFWD描画と、-x方向に描画処理が進むバックワード(BWD)描画とをストライプ単位で交互に行うFWD-BWD方式にすることで、FWD-FWD方式よりも、ステージ移動時間を短縮することができる。
【0009】
図14に示すように、1ストローク目及び2ストローク目をFWD-BWD方式で処理した場合、描画領域には、1ストローク目でFWD描画され2ストローク目でBWD描画された領域R101、1ストローク目及び2ストローク目の両方でBWD描画された領域R102、1ストローク目でBWD描画され2ストローク目でFWD描画された領域R103、1ストローク目及び2ストローク目の両方でFWD描画された領域R104が混在する。これは、描画精度の改善の妨げになる。
【0010】
図15(a)~(d)に示すように、ストライプをy方向にストライプ幅よりも小さくずらしながら、FWD-BWD方式で多重描画する方法では、FWD-FWD方式よりも、ステージ移動時間を短縮することができる。また、1ストロークで描画が完了するため、
図14に示す手法のようなストローク間のステージ移動時間が不要となり、スループットが向上する。
【0011】
電子ビーム描画装置では、定期的にドリフト補正を行い、ビーム位置を調整している。しかし、ランダム成分でエラーが発生し、調整後のビーム位置に誤差が生じることが稀にある。ビーム位置は、次回のドリフト補正で正確な位置に補正される。
図13、14に示すような複数ストロークでの多重描画では、あるストロークで描画位置に誤差が生じた場合でも、別のストロークでは正しい位置にパターンが描画されるため、誤差の影響を低減できる。
【0012】
しかし、
図15(a)~(d)に示す手法は、1回のストロークのみ描画を実施するため、描画位置に誤差が生じると、
図16に示すように、描画精度に直接影響が現れる。このように、
図15(a)~(d)に示す手法は、時間依存のランダム誤差が発生した場合の描画精度の劣化が大きかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2012-4413号公報
【文献】特開平10-261557号公報
【文献】特開2005-33078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであり、スループットの低下を抑制しつつ、多重描画により描画精度を向上させることができる荷電粒子ビーム描画方法及び荷電粒子ビーム描画装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画方法は、基板を移動させながら荷電粒子ビームを照射して、前記基板の描画領域を幅Wで分割した複数のストライプ毎に順次パターンを描画する荷電粒子ビーム描画方法であって、ストライプ毎に、設定されたストライプずらし量で前記ストライプの幅方向に前記ストライプの基準点をずらすとともに、前記基板の移動方向を切り替えながら、多重度2n(nは1以上の整数)で前記複数のストライプを描画する処理を1回のストロークとし、前記ストロークの描画処理をS回(Sは2以上の整数)行い、前記ストローク毎に、設定されたストロークずらし量で前記ストライプの幅方向に前記ストロークにおける前記ストライプの基準点をずらして描画するものである。
【0016】
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画方法において、多重度N(Nは2n+1以上の整数)でパターンを描画する場合、S=N-(2n-1)である。
【0017】
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画方法において、ストライプ幅をW、n=1とした場合、k番目(kは1以上の奇数)のストライプの描画後の前記設定されたストライプずらし量は、Wよりも小さく、k+1番目のストライプの描画後の前記設定されたストライプずらし量は、W以上である。
【0018】
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画方法において、k番目のストライプの描画処理後の前記設定されたストライプずらし量は、W/Nである。
【0019】
本発明の一態様による荷電粒子ビーム描画装置は、基板を所定の方向に連続移動しながら、該基板の描画領域を所定幅で分割した複数のストライプ毎に順次パターンを描画する描画部と、ストライプ毎に、設定されたストライプずらし量で前記ストライプの幅方向に描画開始位置をずらすとともに、前記基板の移動方向を切り替えながら、多重度2n(nは1以上の整数)で前記複数のストライプを描画する1回のストロークの描画処理をS(Sは2以上の整数)回行い、前記ストローク描画毎に設定されたストロークずらし量で前記ストライプの幅方向に前記ストロークにおける前記ストライプの基準点をずらすように、前記描画部を制御する制御部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スループットの低下を抑制しつつ、多重描画により描画精度を向上させることができる
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る描画装置の概略構成図である。
【
図4】(a)~(d)は描画動作の一例を説明する概念図である。
【
図16】エラーが生じた場合の描画結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明の実施形態に係る電子ビーム描画装置の概略図である。
図1に示す電子ビーム描画装置は、制御部100と描画部200とを備えた可変成形型の描画装置である。
【0024】
描画部200は、電子鏡筒220と描画室230を備えている。電子鏡筒220内には、電子銃201、照明レンズ202、ブランカ203、第1成形アパーチャ204、投影レンズ205、成形偏向器206、第2成形アパーチャ207、対物レンズ208、主偏向器209、及び副偏向器210が配置されている。
【0025】
描画室230内には、XYステージ211が配置されている。XYステージ211上には、描画対象の基板240が載置される。
【0026】
電子鏡筒220内に設けられた電子銃201(放出部)から放出された電子ビームBは、ブランカ(ブランキング偏向器)203内を通過する際にブランカ203によって、電子ビームを基板に照射するか否か切り替えられる。
【0027】
電子ビームBは、照明レンズ202により、矩形の開口32(
図2参照)を有する第1成形アパーチャ204全体に照射される。第1成形アパーチャ204の開口32を通過することで、電子ビームBは矩形に成形される。
【0028】
第1成形アパーチャ204を通過した第1アパーチャ像の電子ビームBは、投影レンズ205により、可変成形開口34(
図2参照)を有した第2成形アパーチャ207上に投影される。その際、偏向器206によって、第2成形アパーチャ207上に投影される第1アパーチャ像が偏向制御され、可変成形開口34を通過する電子ビームの形状と寸法を変化させる(可変成形を行う)ことができる。
【0029】
第2成形アパーチャ207の可変成形開口34を通過した第2アパーチャ像の電子ビームBは、対物レンズ208により焦点を合わせ、主偏向器209及び副偏向器210によって偏向され、連続的に移動するXYステージ211上に載置された基板240に照射される。
【0030】
図2は、第1成形アパーチャ204及び第2成形アパーチャ207によるビーム成形を説明するための概略図である。第1成形アパーチャ204には、電子ビームBを成形するための矩形の開口32が形成されている。
【0031】
また、第2成形アパーチャ207には、第1成形アパーチャ204の開口32を通過した電子ビームBを所望の形状に成形するための可変成形開口34が形成されている。第1成形アパーチャ204の開口32と第2成形アパーチャ207の可変成形開口34との両方を通過したビーム形状の図形36が、連続的に移動するXYステージ211上に搭載された基板240の描画領域に描画される。
【0032】
図1に示すように、制御部100は、制御計算機110、制御回路120及び記憶部130を有する。記憶部130には、レイアウトデータとなる描画データが外部から入力され、格納されている。
【0033】
制御計算機110は、記憶部130から描画データを読み出し、複数段のデータ変換処理を行ってショットデータを生成する。ショットデータには、ショット形状、ショットサイズ、ショット位置等の情報が含まれている。
【0034】
制御回路120は、生成されたショットデータを用いて、ブランカ203、偏向器206、主偏向器209及び副偏向器210の偏向量や、XYステージ211の移動速度等を制御し、描画処理を行う。制御回路120は、ショットデータに含まれるショット位置に基づいて、主偏向器209及び副偏向器210の偏向量を制御する。
【0035】
図3に示すように、電子ビーム描画装置では、基板240の描画領域10が短冊状の複数のストライプ領域20に仮想分割され、ストライプ領域単位で描画が行われる。ストライプ領域20の幅は、主偏向器209で偏向可能な幅よりも若干小さい。XYステージ211をx方向に連続移動させながら、1つのストライプ領域20上に電子ビームBが照射される。主偏向器208は、電子ビームBのショット位置をXYステージ211の移動に追従させる。1つのストライプ領域20を描画し終わったら、XYステージ105をy方向にステップ送りしてx方向(例えば今度は逆向き)に次のストライプ領域20の描画動作を行なう。各ストライプ領域20の描画動作を蛇行させるように進めることでXYステージ211の移動時間を短縮することができる。
【0036】
電子ビーム描画装置は、ストライプ領域20の境界部分に描画される図形のつなぎ精度や、描画する図形の位置精度を向上させるために、パターンを繰り返し重ねて描画する多重描画を行う。
【0037】
本実施形態では、+x方向に描画処理が進むフォワード(FWD)描画と、-x方向に描画処理が進むバックワード(BWD)描画とをストライプ単位で交互に行うFWD-BWD方式を用いる。また、y方向(ストライプ幅方向)へのストライプのずらし幅は、ストライプ幅よりも小さい第1ずらし幅と、ストライプ幅よりも大きい第2ずらし幅の少なくとも2種類を含む。
【0038】
また、y方向にストライプをずらしながら基板240の描画領域10の(ほぼ)全面を描画することを1ストロークの描画とした場合、ストローク毎にストライプの位置(描画開始位置)を変えながら、複数ストロークの描画を行う。
【0039】
多重度を4とする多重描画の例を
図4、
図5に示す。例えば、
図4(a)に示すように、1番目のストライプSR1をFWD描画する。ストライプ幅をWとする。次に、
図4(b)に示すように、y方向にW/4(<W)ずらして2番目のストライプSR2をBWD描画する。
【0040】
次に、
図4(c)に示すように、y方向に5W/4(≧W)ずらして3番目のストライプSR3をFWD描画する。ストライプSR3はストライプSR1からは、y方向に3W/2ずれている。
【0041】
次に、
図4(d)に示すように、y方向にW/4(<W)ずらして4番目のストライプSR4をBWD描画する。
【0042】
図4(a)~(d)に示す処理を繰り返して、
図5に示すように、1回目のストローク#1の描画を行う。
【0043】
次に、ストローク#1の各ストライプの位置をy方向にW/2ずらして、2回目のストローク#2の描画を行う。2回目のストローク#2の描画に続いて、ストローク#2の各ストライプの位置をy方向にW/2ずらして、3回目のストローク#3の描画を行う。
【0044】
例えば、
図6に示すように、ストローク#1のストライプSR1の上端側の領域R1(幅W/4)は、ストローク#1のストライプSR1、SR2、ストローク#2のストライプSR1、SR2に含まれる。そのため、FWD描画及びBWD描画が各2回行われ、多重度は4になる。
【0045】
図7に示すように、ストローク#1のストライプSR2の上端側の領域R2(幅W/4)は、ストローク#1のストライプSR2、ストローク#2のストライプSR1、SR2、ストローク#3のストライプSR1に含まれる。そのため、FWD描画及びBWD描画が各2回行われ、多重度は4になる。
【0046】
図8に示すように、ストローク#1のストライプSR2の上端とストライプSR3の下端との間の領域R3(幅W/4)は、ストローク#2のストライプSR1、SR2、ストローク#3のストライプSR1、SR2に含まれる。そのため、FWD描画及びBWD描画が各2回行われ、多重度は4になる。
【0047】
各領域は、多重度が同じになると共に、FWD描画及びBWD描画の回数も同じになる。
【0048】
FWD-BWD方式で描画を行うため、FWD-FWD方式よりもステージ移動時間を短縮することができる。また、領域間でのFWD描画の回数及びBWD描画の回数を同じにすることができるため、回数が異なる場合よりも、描画精度を向上させることができる。
【0049】
また、複数ストロークの描画を行うため、ドリフト補正時のランダム成分によるエラーなど、時間依存の誤差の影響を抑えることができる。
【0050】
このように、本実施形態によれば、スループットの低下を抑制しつつ、多重描画により描画精度を向上させることができる。
【0051】
上記実施形態では、1ストロークあたりの多重度を2とし、3ストロークの描画を行うことで、多重度4の多重描画を実現する例について説明したが、1ストロークあたりの多重度やストローク数を変えることで、様々な多重度の多重描画を行うことができる。例えば、1ストロークあたりの多重度を2n(nは1以上の整数)、ストローク数SをN-(2n-1)として、多重度N(Nは3以上の整数)の多重描画を行う。
【0052】
例えば、n=1、すなわち1ストロークあたりの多重度を2とした場合、多重度Nの多重描画を実現するためには、N-1回のストロークの描画を行う。各ストロークにおける各ストライプの基準点の位置は
図9に示すようなものとなる。ここで、ストライプの基準点は、図中左下の頂点とし、位置はy座標とする。また、ストローク#1の1番目のストライプSR1の基準点の位置を0とする。Wはストライプの幅である。
【0053】
図10は、1ストロークあたりの多重度を2とし、多重度N=3の多重描画を行う例を示す。
【0054】
1回目のストローク#1では、1番目のストライプSR1の描画後、y方向にW/3(=W/N)ずらして2番目のストライプSR2を描画する。続いて、3番目のストライプSR3を、基準点が4W/3となるようにして描画する。2回目のストローク#2では、1番目のストライプSR1を、基準点が2W/3となるようにして描画する。
【0055】
図11は、1ストロークあたりの多重度を2とし、多重度N=5の多重描画を行う例を示す。
【0056】
1回目のストローク#1では、1番目のストライプSR1の描画後、y方向にW/5(=W/N)ずらして2番目のストライプSR2を描画する。続いて、3番目のストライプSR3を、基準点が8W/5となるようにして描画する。2回目のストローク#2では、1番目のストライプSR1を、基準点が2W/5となるようにして描画する。3回目のストローク#3では、1番目のストライプSR1を、基準点が4W/5となるようにして描画する。4回目のストローク#4では、1番目のストライプSR1を、基準点が6W/5となるようにして描画する。
【0057】
図12は、1ストロークあたりの多重度を2とし、2回のストロークで多重度2の多重描画を行う例を示す。1回目のストローク#1では、1番目のストライプSR1の描画後、y方向にW/2ずらして2番目のストライプSR2を描画する。続いて、3番目のストライプSR3を、基準点が2Wとなるようにして描画する。2回目のストローク#2では、1番目のストライプSR1を、基準点がWとなるようにして描画する。
【0058】
上記実施形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明したが、荷電粒子ビームは電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の他の荷電粒子ビームでもよい。
【0059】
上記実施形態ではシングルビームを用いた描画装置の例について説明したが、マルチビームを使った描画装置にも適用できる。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
100 制御部
200 描画部
201 電子銃
202 照明レンズ
203 ブランカ
204 第1成形アパーチャ
205 投影レンズ
206 成形偏向器
207 第2成形アパーチャ
208 対物レンズ
209 主偏向器
210 副偏向器
211 XYステージ
240 基板