(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】封止用フィルム、封止構造体及び封止構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09K 3/10 20060101AFI20220817BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220817BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220817BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20220817BHJP
C08L 61/06 20060101ALI20220817BHJP
C08L 33/08 20060101ALI20220817BHJP
C08L 13/00 20060101ALI20220817BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20220817BHJP
H01L 23/31 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
C09K3/10 L
C09K3/10 E
C09K3/10 R
C09K3/10 Q
C08K3/013
C08L101/00
C08L63/00 A
C08L61/06
C08L33/08
C08L13/00
H01L23/30 R
(21)【出願番号】P 2019514669
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2018017270
(87)【国際公開番号】W WO2018199310
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2017090219
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100211018
【氏名又は名称】財部 俊正
(72)【発明者】
【氏名】野村 豊
(72)【発明者】
【氏名】渡瀬 裕介
(72)【発明者】
【氏名】石毛 紘之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅彦
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/003044(WO,A1)
【文献】特開2014-201657(JP,A)
【文献】特開2016-175976(JP,A)
【文献】国際公開第2015/079887(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/10
C08J 5/18
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性成分と、無機充填材と、カルボキシ基当量が270~4300g/eq.であるカルボキシ基含有エラストマーと、を含有する樹脂組成物からなり、
前記カルボキシ基含有エラストマーの含有量は、前記熱硬化性成分と前記カルボキシ基含有エラストマーとの合計量を基準として、40質量%未満であ
り、
前記熱硬化性成分が、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂を含み、
前記カルボキシ基含有エラストマーが、(メタ)アクリル酸由来の構造単位を含む、封止用フィルム。
【請求項2】
前記樹脂組成物に含まれる、前記カルボキシ基含有エラストマーを含むエラストマー成分の含有量は、前記熱硬化性成分と前記エラストマー成分との合計量を基準として、2質量%以上40質量%未満である、請求項1に記載の封止用フィルム。
【請求項3】
前記カルボキシ基含有エラストマーにおけるカルボキシ基を有する構造単位の含有量は、前記カルボキシ基含有エラストマーを構成する構造単位の全量を基準として、2~35モル%である、請求項1又は2に記載の封止用フィルム。
【請求項4】
前記カルボキシ基含有エラストマーの重量平均分子量は、30万~1000万である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の封止用フィルム。
【請求項5】
前記無機充填材の含有量は、前記封止用フィルムの総質量を基準として、90質量%以下である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の封止用フィルム。
【請求項6】
膜厚は20~400μmである、請求項1~
5のいずれか一項に記載の封止用フィルム。
【請求項7】
基板上にバンプを介して設けられた被封止体を封止するために用いられる、請求項1~
6のいずれか一項に記載の封止用フィルム。
【請求項8】
基板と、当該基板上にバンプを介して設けられた被封止体と、を備え、前記基板と前記被封止体との間に中空領域が設けられている、中空構造体を用意し、
請求項1~
7のいずれか一項に記載の封止用フィルムにより前記被封止体を封止する、封止構造体の製造方法。
【請求項9】
前記被封止体は、前記中空領域側に電極を有するSAWデバイスである、請求項
8に記載の封止構造体の製造方法。
【請求項10】
基板と、当該基板上にバンプを介して設けられた被封止体と、当該被封止体を封止する請求項1~
7のいずれか一項に記載の封止用フィルムの硬化物と、を備え、
前記基板と前記被封止体との間に中空領域が設けられている、封止構造体。
【請求項11】
前記被封止体は、前記中空領域側に電極を有するSAWデバイスである、請求項
10に記載の封止構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止用フィルム、封止構造体及び封止構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等に代表される、持ち運ぶことを前提に作られた電子機器の発達に伴い、半導体装置の小型化、薄型化が進行しており、同様に、そこで用いられる電子部品装置の小型化、薄型化の要求が高まっている。そのため、表面弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave)デバイスのような可動部を有する電子部品をパッケージ化する技術が種々検討されている。SAWデバイスは、圧電体の薄膜又は圧電基板上に規則性のある櫛型電極が形成された電子部品であり、表面弾性波を利用して、特定の周波数帯域の電気信号を取り出すことができる電子部品である。
【0003】
このような可動部を有する電子部品をパッケージ化する場合、可動部の可動性を確保するための空間を設ける必要がある。例えば、SAWデバイスでは、くし型電極を形成している面に、他の物質が付着すると所望の周波数特性が得られないことから、中空構造の形成が必須となっている。
【0004】
従来、中空構造を形成するために、圧電基板上にリブ等を形成したのちに蓋をする封止方法等が行われてきた(特許文献1)。しかしながら、この方法では、工程数が増加すること、及び、封止部分の高さが高いことから、電子部品装置の薄型化が難しいといった課題があった。
【0005】
そこで、くし形電極が形成されたチップがバンプを介して基板にフリップチップ実装された中空構造体を用意し、基板とチップとの間に中空領域を設けた状態でチップの封止を行う方法が提案されている(例えば、特許文献2及び3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-16466号公報
【文献】特許第4989402号
【文献】特開2016-175976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基板と被封止体との間に中空領域を設けた状態で被封止体を封止して中空封止構造体(例えば電子部品装置)を得る場合、中空領域への封止材料(封止用フィルムを構成する樹脂組成物)の流入を抑制する必要がある。一方、特許文献2及び3の方法では、エラストマー成分を高濃度で含有させることから、仮に中空領域への封止材料の流入を抑制できたとしても、エラストマー成分により硬化物のガラス転移温度(Tg)が大幅に低下し、中空封止構造体の信頼性(特に熱信頼性)が低下する懸念がある。例えば、熱硬化性成分とエラストマー成分とが海島構造を形成する場合、エラストマー成分由来のTgが低温域に存在することとなると推察されるが、Tgの前後で樹脂の熱膨張率は大きく変化するため、高濃度のエラストマー成分は、中空封止構造体の信頼性を低下させる一因となる。
【0008】
そこで、本発明は、基板と被封止体との間の中空領域への封止材料の流入を充分抑制することができると共に、充分なガラス転移温度を有する硬化物を形成できる封止用フィルム、当該封止用フィルムを用いた封止構造体及び当該封止構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、Tgの低下を回避する観点から、エラストマー成分の添加量は少ないほど良いとの前提で検討を行った。そして、中空領域への封止材料(封止用フィルムを構成する樹脂組成物)の流入を充分抑制する観点から、理想のエラストマー成分の状態及び作用を以下のように考えた。
(1)エラストマー成分が樹脂組成物の流動の抵抗となり、樹脂組成物の流動を抑制できる観点から、樹脂組成物中でのエラストマー成分の形状は、過度な糸まり状よりも直線状であることが好ましい。
(2)エラストマー成分が樹脂組成物の流動を束縛することにより、樹脂成分の流動を抑制できる観点から、エラストマー成分が分子間相互作用によって、擬似的に高分子化されることが好ましい。
【0010】
以上の観点に基づき、鋭意検討した結果、本発明者らは、特定のカルボキシ基当量を有するエラストマーを用いることで、エラストマー成分の添加量を低減しつつ、中空領域への樹脂組成物の流入を充分抑制できることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明の一側面は、熱硬化性成分と、無機充填材と、カルボキシ基当量が270~4300g/eq.であるカルボキシ基含有エラストマーと、を含有する樹脂組成物からなり、カルボキシ基含有エラストマーの含有量は、熱硬化性成分とカルボキシ基含有エラストマーとの合計量を基準として、40質量%未満である、封止用フィルムに関する。この封止用フィルムによれば、基板と被封止体との間の中空領域への封止材料の流入を充分抑制することができる。すなわち、上記封止用フィルムは中空非充填性に優れる。また、上記封止用フィルムによれば、充分なガラス転移温度(Tg)を有する硬化物を形成できる。
【0012】
上記樹脂組成物に含まれる、上記カルボキシ基含有エラストマーを含むエラストマー成分の含有量は、上記熱硬化性成分と上記エラストマー成分との合計量を基準として、2質量%以上40質量%未満であってよい。この場合、中空非充填性により優れると共に、硬化後により充分なTgが得られやすい。
【0013】
上記カルボキシ基含有エラストマーにおけるカルボキシ基を有する構造単位の含有量は、上記カルボキシ基含有エラストマーを構成する構造単位の全量を基準として、2~35モル%であってよい。この場合、中空非充填性により優れると共に、硬化後により充分なTgが得られやすい。
【0014】
上記カルボキシ基含有エラストマーは、(メタ)アクリル酸由来の構造単位を含んでいてよい。この場合、中空非充填性により優れると共に、硬化後により充分なTgが得られやすい。
【0015】
上記カルボキシ基含有エラストマーの重量平均分子量は、30万~1000万であってよい。この場合、中空非充填性により優れると共に、硬化後により充分なTgが得られやすい。
【0016】
上記熱硬化性成分は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂を含んでいてよい。この場合、硬化膜の物性(例えば、耐熱性(Tg)及び寸法安定性(熱膨張率))及びSAWデバイスの信頼性を向上させることができる。
【0017】
上記無機充填材の含有量は、上記封止用フィルムの総質量を基準として、90質量%以下であってよい。この場合、被封止体に対する優れた埋め込み性が得られやすい。
【0018】
上記封止用フィルムの膜厚は20~400μmであってよい。
【0019】
上記封止用フィルムは、基板上にバンプを介して設けられた被封止体を封止する用途に好適に用いることができる。
【0020】
本発明の一側面は、基板と、当該基板上にバンプを介して設けられた被封止体と、を備え、上記基板と上記被封止体との間に中空領域が設けられている、中空構造体を用意し、上記本発明の封止用フィルムにより上記被封止体を封止する、封止構造体の製造方法に関する。この方法によれば、基板と被封止体との間の中空領域への封止材料の流入を充分抑制することができる。また、充分なTgを有する硬化物により被封止体を封止できるため、信頼性(熱信頼性)に優れる封止構造体が得られる。
【0021】
上記製造方法において、被封止体は、中空領域側に電極を有するSAWデバイスであってよい。上記製造方法では、SAWデバイスの電極を有する面に封止材料が付着することを充分に抑制することができると共に、充分なTgを有する硬化物によってSAWデバイスを封止することができる。そのため、上記製造方法によれば、SAWデバイスの信頼性を向上させることができる。また、同様の理由から、上記製造方法では、このような被封止体を備える封止構造体(中空封止構造体)の製造における歩留まりを向上させることができる。
【0022】
本発明の一側面は、基板と、当該基板上にバンプを介して設けられた被封止体と、当該被封止体を封止する上記本発明の封止用フィルムの硬化物と、を備え、上記基板と上記被封止体との間に中空領域が設けられている、封止構造体に関する。この封止構造体では、中空領域が充分に確保されていると共に、被封止体が充分なTgを有する硬化物によって封止されている。
【0023】
上記封止構造体において、被封止体は、中空領域側に電極を有するSAWデバイスであってよい。この封止構造体では、SAWデバイスの電極を有する面への封止材料の付着が充分に抑制されていると共に、SAWデバイスが充分なTgを有する硬化物によって封止されている。そのため、SAWデバイスの信頼性に優れる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、基板と被封止体との間の中空領域への封止材料の流入を充分抑制することができると共に、充分なガラス転移温度を有する硬化物を形成できる封止用フィルム、当該封止用フィルムを用いた封止構造体及び当該封止構造体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施形態の封止用フィルムを備える支持体付き封止用フィルムを示す模式断面図である。
【
図2】
図2は、中空封止構造体の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。
【
図3】
図3は、実施例における流動率の評価方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書中において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書中に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本明細書中において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0028】
<封止用フィルム>
本実施形態の封止用フィルムは、熱硬化性成分と、無機充填材と、エラストマー(可とう化剤:flexibilizer)成分である、カルボキシ基当量が270~4300g/eq.であるカルボキシ基含有エラストマーと、を含有するフィルム状の樹脂組成物である。本実施形態では、カルボキシ基当量が270~4300g/eq.であるカルボキシ基含有エラストマーの含有量は、熱硬化性成分とカルボキシ基含有エラストマーとの合計量を基準として、40質量%未満であってよい。また、本実施形態では、上記樹脂組成物に含まれるエラストマー成分(上記カルボキシ基含有エラストマーを含む)の含有量は、熱硬化性成分とエラストマー成分との合計量を基準として、2質量%以上40質量%未満であってよい。
【0029】
本実施形態の封止用フィルムは、基板と、該基板上に設けられた被封止体(例えば、SAWデバイス等の電子部品)と、該基板と該被封止体との間に設けられた中空領域と、を備える中空構造体に対して好適に用いられる。上記封止用フィルムによれば、基板と被封止体との間の中空領域への封止材料の流入を充分抑制することができる。また、上記封止用フィルムによれば、充分なガラス転移温度を有する硬化物を形成できるため、信頼性(熱信頼性)に優れる封止構造体が得られる。このような効果が得られる原因は、明らかではないが、本発明者らは次のように推察している。
【0030】
すなわち、まず、エラストマーのカルボキシ基当量が270g/eq.未満である場合、エラストマーの極性が大きくなるため、エラストマーの分子鎖は封止用フィルム中(樹脂組成物中)で糸まり状の構造をとると推察される。上述のとおり、エラストマーが過度な糸まり状である場合、封止用フィルム中の樹脂組成物の流動性を抑制する抵抗効果が小さいと考えられる。そのため、中空領域への封止材料の流入を充分抑制するためには、エラストマー成分を多量に添加する必要があると推察される。一方、カルボキシ基当量が4300g/eq.よりも大きい場合、エラストマーの極性が小さくなるため、エラストマーの分子鎖は封止用フィルム中(樹脂組成物中)で線状に近い構造をとると推定されるものの、極性基であるカルボキシ基が少ないため、分子鎖間の相互作用は小さいと推察される。この場合、分子鎖間の相互作用が少ないため、エラストマー成分の添加による封止用フィルム中の樹脂組成物の流動性の抑制効果としては、エラストマー成分の添加量に見合った効果しか得られないと考えられる。これに対し、本実施形態の封止用フィルムには、カルボキシ基当量が270~4300g/eq.であるエラストマーが含まれる。このエラストマーは、樹脂組成物中において直鎖状の形状を維持しており、さらに、このエラストマーの分子鎖同士は、カルボキシ基の相互作用によって擬似的に高分子化されている(すなわち、エラストマーの分子鎖同士が、三次元ネットワークを形成している)と推察される。そのため、上記封止用フィルムでは、エラストマー成分の添加量を従来よりも少なくすることができ、その結果として、上記効果が得られると推察される。
【0031】
また、封止用フィルムにエラストマー成分を高濃度に含有させた場合、低温域におけるエラストマー成分由来のTgの影響により、電子部品装置の実装時での熱膨張量の変化が多くなり、不具合(反り、クラック等)が発生しやすくなると推察される。これに対し、本実施形態の封止用フィルムでは、エラストマー成分の含有量が上記範囲であるため、実装時の不具合を低減することができる。
【0032】
また、封止用フィルムにエラストマー成分を高濃度に含有させた場合、被封止体に対する充分な埋め込み性が得られない場合がある。これに対し、本実施形態の封止用フィルムでは、エラストマー成分の添加量を低減できるため、被封止体に対する充分な埋め込み性が得られやすい。
【0033】
(熱硬化性成分)
熱硬化性成分としては、熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤等が挙げられる。熱硬化性成分は、硬化剤及び/又は硬化促進剤を含むことなく、熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。
【0034】
[熱硬化性樹脂]
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シアネート樹脂、熱硬化性ポリイミド、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、樹脂の流動性及び硬化反応性を制御しやすい観点から、エポキシ樹脂が好ましい。
【0035】
エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する樹脂であれば特に制限なく用いることができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAP型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールBP型エポキシ樹脂、ビスフェノールC型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールG型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(ヘキサンジオールビスフェノールSジグリシジルエーテル等)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールPH型エポキシ樹脂、ビスフェノールTMC型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂(ビキシレノールジグリシジルエーテル等)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等)、及びこれらの樹脂の二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
フィルム表面の割れ及びひびの発生を抑制しやすい観点から、エポキシ樹脂は、25℃で液状のエポキシ樹脂(液状エポキシ樹脂)であってよい。液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、ビスフェノールAD型のグリシジルエーテル、ビスフェノールS型のグリシジルエーテル、ビスフェノールF型のグリシジルエーテル、水添加ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、エチレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、プロピレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、ナフタレン樹脂のグリシジルエーテル、3官能型又は4官能型のグリシジルアミン等が挙げられる。なお、「25℃で液状」とは、E型粘度計で測定した25℃における粘度が400Pa・s以下であることを指す。
【0037】
市販のエポキシ樹脂としては、例えば、三菱化学株式会社製の商品名「jER825」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:175g/eq.)、三菱化学株式会社製の商品名「jER806」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:160g/eq.)、DIC株式会社製の商品名「HP-4032D」(ナフタレン型エポキシ樹脂、エポキシ当量:141g/eq.)、DIC株式会社製の商品名「EXA-4850」等の柔軟強靭性エポキシ樹脂、DIC株式会社製の商品名「HP-4700」(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、商品名「HP-4750」(3官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、商品名「HP-4710」(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、商品名「エピクロンN-770」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、商品名「エピクロンN-660」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)及び商品名「エピクロンHP-7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、日本化薬株式会社製の商品名「EPPN-502H」(トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂)及び商品名「NC-3000」(ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学株式会社製の商品名「ESN-355」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学株式会社製の商品名「YX-8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、住友化学株式会社製の商品名「ESCN-190-2」(o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は各々単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
熱硬化性樹脂の含有量は、優れた流動性が得られやすい観点から、封止用フィルムの総質を基準として、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上が更に好ましく、5質量%以上が特に好ましく、10質量%以上が極めて好ましく、15質量%以上が非常に好ましい。熱硬化性樹脂の含有量は、フィルム表面の割れ及びひびの発生を抑制しやすい観点から、封止用フィルムの総質量を基準として、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。上述の上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。したがって、熱硬化性樹脂の含有量は、封止用フィルムの総質を基準として、例えば、1~30質量であってよく、3~30質量であってもよく、4~25質量%であってもよく、5~25質量%であってもよく、10~20質量%であってもよく、15~20質量%であってもよい。なお、以下の同様の記載においても、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
【0039】
樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物である場合、エポキシ樹脂の含有量は、優れた熱伝導率を有する硬化物が得られやすい観点から、熱硬化性樹脂の総質量を基準として、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。エポキシ樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂の総質量を基準として100質量%であってもよい。
【0040】
液状エポキシ樹脂の含有量は、フィルム表面の割れ及びひびの発生を抑制しやすい観点から、封止用フィルムの総質量を基準として、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、5質量%以上が特に好ましく、7質量%以上が極めて好ましく、9質量%以上が非常に好ましい。液状エポキシ樹脂の含有量は、フィルムのタック性が過剰に高まることを抑制しやすい観点、及び、エッジフュージョンを抑制しやすい観点から、封止用フィルムの総質量を基準として、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、13質量%以下が更に好ましい。したがって、液状エポキシ樹脂の含有量は、封止用フィルムの総質量を基準として、例えば、0.5~20質量%であってよく、1~20質量%であってもよく、3~15質量%であってもよく、5~15質量%であってもよく、7~13質量%であってもよく、9~13質量%であってもよい。
【0041】
液状エポキシ樹脂の含有量は、フィルム表面の割れ及びひびの発生を抑制しやすい観点から、熱硬化性樹脂の総質量を基準として、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。液状エポキシ樹脂の含有量は、フィルムのタック性が過剰に高まることを抑制しやすい観点、及び、エッジフュージョンを抑制しやすい観点から、熱硬化性樹脂の総質量を基準として、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。したがって、液状エポキシ樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂の総質量を基準として、例えば、20~95質量%であってよく、30~90質量%であってもよく、50~80質量%であってもよい。液状エポキシ樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂の総質量を基準として100質量%であってもよい。
【0042】
[硬化剤]
硬化剤としては、特に限定されないが、フェノール系硬化剤(例えばフェノール樹脂)、酸無水物系硬化剤、活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤などが挙げられる。熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む場合、硬化剤としては、エポキシ基と反応する官能基を1分子中に2個以上有する化合物であれば特に制限なく用いることができる。このような硬化剤としては、フェノール樹脂、酸無水物等が挙げられる。硬化剤としては、優れた熱伝導率を有する硬化物が得られやすい観点から、フェノール樹脂が好ましい。硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
フェノール樹脂としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するものであれば、特に制限なく公知のフェノール樹脂を用いることができる。フェノール樹脂としては、例えば、フェノール類及び/又はナフトール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂、ビフェニル骨格型フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、メタキシリレン・パラキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、キシリレン変性ナフトール樹脂等が挙げられる。フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等が挙げられる。ナフトール類としては、α-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。
【0044】
市販のフェノール樹脂としては、旭有機材工業株式会社製の商品名「PAPS-PN2」(ノボラック型フェノール樹脂)、エア・ウォーター株式会社製の商品名「SKレジンHE200C-7」(ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂)、商品名「HE910-10」(トリスフェニルメタン型フェノール樹脂)、明和化成株式会社製の商品名「MEH-7000」、「DL-92」、「H-4」及び「HF-1M」、群栄化学工業株式会社製の商品名「LVR-8210DL」、「ELP」シリーズ及び「NC」シリーズ、新日鉄住金化学株式会社製の商品名「SN-100、SN-300、SN-395、SN-400」(ナフタレン型フェノール樹脂)、並びに、日立化成株式会社製の商品名「HP-850N」(ノボラック型フェノール樹脂)等が挙げられる。
【0045】
硬化剤の含有量は、熱硬化性樹脂の硬化性に優れる観点から、封止用フィルムの総質量を基準として、1~20質量%であってよく、2~15質量%であってもよく、3~10質量%であってもよい。
【0046】
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数M1と、硬化剤におけるエポキシ基と反応する官能基(フェノール性水酸基等)のモル数M2(フェノール性水酸基当量等)との比率(M1/M2)は、0.7以上、0.8以上又は0.9以上であってよく、また、2.0以下、1.8以下又は1.7以下であってよい。比率(M1/M2)は、0.7~2.0が好ましく、0.8~1.8がより好ましく、0.9~1.7が更に好ましい。上記比率が0.7以上又は2.0以下である場合、未反応のエポキシ樹脂及び/又は未反応の硬化剤が残存しにくく、所望の硬化物特性が得られやすい。
【0047】
[硬化促進剤]
硬化促進剤としては、特に制限なく用いることができるが、アミン系の硬化促進剤及びリン系の硬化促進剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。硬化促進剤としては、特に、優れた熱伝導率を有する硬化物が得られやすい観点、誘導体が豊富である観点、及び、所望の活性温度が得られやすい観点から、アミン系の硬化促進剤が好ましく、イミダゾール化合物、脂肪族アミン及び脂環族アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、イミダゾール化合物が更に好ましい。イミダゾール化合物としては、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。硬化促進剤の市販品としては、四国化成工業株式会社製の「2P4MZ」及び「1B2MZ」等が挙げられる。
【0048】
硬化促進剤の含有量は熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)及び硬化剤(フェノール樹脂等)を基準として、下記の範囲が好ましい。硬化促進剤の含有量は、充分な硬化促進効果が得られやすい観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましい。硬化促進剤の含有量は、封止用フィルムを製造する際の工程(例えば塗工及び乾燥)中、又は、封止用フィルムの保管中に硬化が進行しにくく、封止用フィルムの割れ、及び、溶融粘度の上昇に伴う成形不良を防止しやすい観点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。これらの観点から、硬化促進剤の含有量は、0.01~5質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましく、0.3~1.5質量%が更に好ましい。
【0049】
(無機充填材)
無機充填剤としては、従来公知の無機充填剤を使用でき、特に限定されない。無機充填剤の構成材料としては、シリカ類(無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、合成シリカ、中空シリカ等)、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられる。表面改質(例えば、シラン化合物による表面処理)等により、樹脂組成物中での分散性の向上効果、及び、ワニス中での沈降抑制効果が得られやすい観点、並びに、比較的小さい熱膨張率を有するために所望の硬化膜特性が得られやすい観点では、シリカ類を含む無機充填材が好ましい。高い熱伝導性が得られる観点では、酸化アルミニウムを含む無機充填材が好ましい。無機充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
無機充填材は、表面改質されていてもよい。表面改質の手法は特に限定されない。処理が簡便であり、官能基の種類が豊富であり、所望の特性を付与しやすい観点から、シランカップリング剤を用いた表面改質が好ましい。
【0051】
シランカップリング剤としては、アルキルシラン、アルコキシシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、アクリルシラン、メタクリルシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、イソシアネートシラン、サルファーシラン、スチリルシラン、アルキルクロロシラン等が挙げられる。
【0052】
シランカップリング剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-ドデシルメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、トリフェニルシラノール、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、n-オクチルジメチルクロロシラン、テトラエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン(フェニルアミノシラン等)等が挙げられる。シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
無機充填材の平均粒子径は、無機充填材の凝集を抑制しやすく、無機充填材の分散が容易である観点から、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましく、0.5μm以上が特に好ましい。無機充填材の平均粒子径は、ワニス中で無機充填材が沈降することが抑制されやすく、均質な封止用フィルムを作製しやすい観点から、25μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましい。これらの観点から、無機充填材の平均粒子径は、0.01~25μmが好ましく、0.01~10μmがより好ましく、0.1~10μmが更に好ましく、0.3~5μmが特に好ましく、0.5~5μmが極めて好ましい。無機充填材の平均粒子径は、10~18μmであってもよい。
【0054】
樹脂組成物の流動性に優れる観点から、互いに異なる平均粒子径を有する複数の無機充填材を組み合わせて用いることが好ましい。無機充填材の組み合わせの中でも、最も大きい平均粒子径が15~25μmであることが好ましい。平均粒子径が15~25μmの無機充填材と、平均粒子径が0.5~2.5μmの無機充填材と、平均粒子径が0.1~1.0μmの無機充填材と、を組み合わせて用いることが好ましい。
【0055】
「平均粒子径」とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めたとき、体積50%に相当する点の粒子径であり、レーザ回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。組み合わせた各無機充填材の平均粒子径は、混合時の各無機充填材の平均粒子径から確認できると共に、粒度分布を測定することで確認することができる。
【0056】
無機充填材の市販品としては、デンカ株式会社製の「DAW-20」、株式会社アドマテックス製の商品名「SC550O-SXE」及び「SC2050-KC」等が挙げられる。
【0057】
無機充填材の含有量は、熱伝導率を向上させる観点、及び、被封止体との熱膨張率の差によって封止構造体(例えば、半導体装置等の電子部品装置)の反りが大きくなることが抑制されやすい観点から、封止用フィルムの総質量を基準として70質量%以上であってよく、75質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、84質量%以上であってもよい。無機充填材の含有量は、封止用フィルムの作製の際の乾燥工程において封止用フィルムが割れてしまうことが抑制されやすい観点、及び、封止用フィルムの溶融粘度の上昇により流動性が低下することが抑制され、被封止体(電子部品等)を充分に封止しやすい観点から、封止用フィルムの総質量を基準として、93質量%以下であってよく、91質量%以下であってもよく、90質量%以下であってもよく、88質量%以下であってもよい。これらの観点から、無機充填材の含有量は、封止用フィルムの総質量を基準として、70~93質量%であってよく、75~91質量%であってもよく、80~91質量%であってもよく、80~90質量%であってもよく、84~88質量%であってもよい。なお、上記含有量は、表面処理剤の量を除いた無機充填材の含有量である。
【0058】
(エラストマー)
エラストマー成分は、カルボキシ基当量が270~4300g/eq.であるカルボキシ基含有エラストマーを含む。ここで、「カルボキシ基当量」とは、カルボキシ基含有エラストマーが有するカルボキシ基1当量(1eq.)あたりのカルボキシ基含有エラストマーの質量を意味する。カルボキシ基当量は、モノマー成分の仕込み量で判断することができる。また、カルボキシル基当量は、滴定法によって測定することができる。
【0059】
カルボキシ基含有エラストマーのカルボキシ基当量は、エラストマーが過度に糸まり状となることが抑制され、樹脂組成物の流動性の抑制効果が得られやすくなる観点から、340g/eq.以上であってよく、400g/eq.以上であってもよく、600g/eq.以上であってもよく、800g/eq.以上であってもよい。カルボキシ基含有エラストマーのカルボキシ基当量は、エラストマーの分子鎖同士がより密な三次元ネットワークを形成しやすくなり、中空非充填性がより良好となる観点から、4000g/eq.以下であってもよく、3000g/eq.以下であってもよく、2000g/eq.以下であってもよい。これらの観点から、カルボキシ基含有エラストマーのカルボキシ基当量は、340~4000g/eq.であってよく、400~4000g/eq.であってもよく、600~3000g/eq.であってもよく、800~2000g/eq.であってもよい。
【0060】
カルボキシ基含有エラストマーは、カルボキシ基を有する構造単位として、下記式(1)で表される(メタ)アクリル酸由来の構造単位を含むことが好ましい。
【0061】
【化1】
[式(1)中、R
1は、水素原子又はメチル基を示す。]
【0062】
カルボキシ基含有エラストマーにおけるカルボキシ基を有する構造単位の含有量は、エラストマーが過度に糸まり状となることが抑制され、樹脂組成物の流動性の抑制効果が得られやすくなる観点から、カルボキシ基含有エラストマーを構成する構造単位の全量を基準として、2モル%以上であってよく、4モル%以上であってもよく、6モル%以上であってもよい。カルボキシ基を有する構造単位の含有量は、エラストマーの分子鎖同士がより密な三次元ネットワークを形成しやすくなり、中空非充填性がより良好となる観点から、カルボキシ基含有エラストマーを構成する構造単位の全量を基準として、39モル%以下であってよく、37モル%以下であってよく、35モル%以下であってよく、31モル%以下であってもよく、29モル%以下であってもよい。これらの観点から、カルボキシ基を有する構造単位の含有量は、2~35モル%であってよく、4~31モル%であってもよく、6~29モル%であってもよい。同様の観点から、上記式(1)で表される構造単位の含有量は上記範囲であってよい。
【0063】
カルボキシ基含有エラストマーは、複数の異なる構造単位からなる共重合体(例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合等の共重合体)であってもよい。また、カルボキシ基含有エラストマーは、カルボキシ基を有する構造単位以外の他の構造単位を更に有していてよい。他の構造単位としては、例えば、アルキルエステル基(-C(=O)-O-R(Rは置換基を有していてもよいアルキル基を示す。))、ニトリル基(-C≡N)、水酸基(-OH)、アリール基等を有する構造単位が挙げられる。アルキルエステル基におけるRとしては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基等が挙げられる。カルボキシ基含有エラストマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸と他の単量体との共重合体((メタ)アクリル酸共重合体)である。
【0064】
アルキルエステル基を有する構造単位としては、例えば、下記式(2)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構造単位が挙げられる。すなわち、カルボキシ基含有エラストマーは、カルボキシル基を有する単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体(カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体)であってよく、好ましくは、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体((メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体)である。
【0065】
【化2】
[式(2)中、R
2は、水素原子又はメチル基を示し、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基を示す。]
【0066】
カルボキシ基含有エラストマーにおける上記式(2)で表される構造単位の含有量は、中空非充填性により優れると共に、硬化後により充分なTgが得られやすい観点から、カルボキシ基含有エラストマーを構成する構造単位の全量を基準として、65モル%以上、69モル%以上又は71モル%以上であってよく、また、98モル%以下、96モル%以下又は94モル%以下であってよい。したがって、上記式(2)で表される構造単位の含有量は、カルボキシ基含有エラストマーを構成する構造単位の全量を基準として、例えば、65~98モル%であってよく、69~96モル%であってもよく、71~94モル%であってもよい。
【0067】
また、ニトリル基を有する構造単位としては、例えば、下記式(3)で表される(メタ)アクリロニトリル由来の構造単位が挙げられる。
【0068】
【化3】
[式(3)中、R
3は、水素原子又はメチル基を示す。]
【0069】
カルボキシ基含有エラストマーにおける上記式(3)で表される構造単位の含有量は、中空非充填性により優れると共に、硬化後により充分なTgが得られやすい観点から、カルボキシ基含有エラストマーを構成する構造単位の全量を基準として、65~98モル%であってよく、69~96モル%であってもよく、71~94モル%であってもよい。
【0070】
カルボキシ基含有エラストマーは、中空非充填性により優れると共に、硬化後により充分なTgが得られやすい観点から、上記式(1)で表される構造単位と、上記式(2)で表される構造単位及び/又は上記式(3)で表される構造単位と、を有することが好ましい。
【0071】
カルボキシ基含有エラストマーの重量平均分子量Mwは、中空非充填性により優れる観点、硬化後により充分なTgが得られやすい観点及び被封止体に対する充分な埋め込み性が得られる観点から、30万以上、40万以上又は50万以上であってよく、また、1000万以下、800万以下、700万以下又は200万以下であってもよい。したがって、カルボキシ基含有エラストマーの重量平均分子量Mwは、例えば、30万~1000万であってよく、40万~800万であってもよく、50万~700万であってよく、50万~200万であってもよい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
【0072】
カルボキシ基含有エラストマーが粒子状である場合、該エラストマーの平均粒子径に特に制限はない。エラストマーの平均粒子径は、被封止体間の埋め込み性に優れる観点から、例えば、50μm以下であってよい。エラストマーの平均粒子径は、カルボキシ基含有エラストマーの分散性に優れる観点から、0.1μm以上であってよい。
【0073】
本実施形態のカルボキシ基含有エラストマーは、カルボキシル基を有する重合性モノマーを従来公知の方法で重合させることにより得てもよく、カルボキシル基を有する重合性モノマーと、カルボキシル基を有しない重合性モノマーとを、従来公知の方法で共重合させることにより得てもよい。例えば、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリルアルキルエステル及び/又は(メタ)アクリロニトリルと、を共重合させることによりカルボキシル基含有エラストマーを得てよい。本実施形態では、重合性モノマーの使用量を調整することによりカルボキシル基当量を所望の範囲に調整することができる。また、本実施形態では、上記方法で重合体を得た後に、エステル化等の手法によって、カルボキシル基の一部を置換することでカルボキシル基当量を調整してもよい。
【0074】
重合の際には重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤及びカチオン重合開始剤が挙げられる。
【0075】
カルボキシ基含有エラストマーの含有量は、熱硬化性成分とカルボキシ基含有エラストマーとの合計量を基準として、40質量%未満であってよい。本実施形態では、エラストマー成分の含有量を上記範囲とすることにより、封止用フィルムが硬化後に充分なTgを有し、信頼性に優れる封止構造体が得られる。カルボキシ基含有エラストマーの含有量は、中空非充填性がより良好となる観点から、熱硬化性成分とカルボキシ基含有エラストマーとの合計量を基準として、0質量%超であってよく、2質量%以上であってよく、4質量%以上であってもよく、8質量%以上であってもよく、12質量%以上であってもよい。カルボキシ基含有エラストマーの含有量は、硬化後のTgがより充分となる観点及び被封止体に対する充分な埋め込み性が得られる観点から、熱硬化性成分とカルボキシ基含有エラストマーとの合計量を基準として、35質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよい。したがって、カルボキシ基含有エラストマーの含有量は、熱硬化性成分とカルボキシ基含有エラストマーとの合計量を基準として、例えば、0質量%超40質量%未満であってよく、2質量%以上40質量%未満であってよく、4~35質量%であってもよく、8~30質量%であってもよく、12~25質量%であってもよい。
【0076】
本実施形態では、封止用フィルム中の熱硬化性成分、無機充填材及びカルボキシ基含有エラストマーの合計量が、封止用フィルムの総質量を基準として、80質量%以上であってよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
【0077】
エラストマー成分(例えばカルボキシ基含有エラストマー)は熱可塑性樹脂であり、エラストマー成分の動的粘弾性測定装置により測定されるガラス転移温度(Tg)は好ましくは20℃以下であり、エラストマー成分の動的粘弾性測定装置により測定される、25℃での弾性率は好ましくは5MPa以下である。
【0078】
本実施形態の封止用フィルムは、本発明の効果に影響を与えない範囲で、上述のカルボキシ基含有エラストマー以外の他のエラストマーを含有してもよい。他のエラストマーとしては、ポリブタジエン粒子、スチレンブタジエン粒子、アクリル系エラストマー、シリコーンパウダ、シリコーンオイル、シリコーンオリゴマ等が挙げられる。
【0079】
本実施形態の封止用フィルムにおいて、エラストマー成分(カルボキシ基含有エラストマーを含む)の含有量は、熱硬化性成分とエラストマー成分との合計量を基準として、2質量%以上40質量%未満であることが好ましい。すなわち、エラストマー成分がカルボキシ基含有エラストマー以外の他のエラストマーを含む場合でも、エラストマー成分の総量は、熱硬化性成分とエラストマー成分との合計量を基準として、2質量%以上40質量%未満であることが好ましい。この場合、封止用フィルムが硬化後により充分なTgを有し、より信頼性に優れる封止構造体が得られる。エラストマー成分の含有量は、中空非充填性がより良好となる観点から、熱硬化性成分とエラストマー成分との合計量を基準として、4質量%以上であってもよく、8質量%以上であってもよく、12質量%以上であってもよい。エラストマー成分の含有量は、硬化後のTgがより充分となる観点及び被封止体に対する充分な埋め込み性が得られる観点から、熱硬化性成分とエラストマー成分との合計量を基準として、35質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよい。したがって、エラストマー成分の含有量は、熱硬化性成分とエラストマー成分との合計量を基準として、例えば、4~35質量%であってもよく、8~30質量%であってもよく、12~25質量%であってもよい。
【0080】
エラストマー成分中のカルボキシ基含有エラストマーの含有量は、中空非充填性がより良好となる観点から、エラストマー成分の総質量を基準として、80質量%以上であってよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。エラストマー成分中のカルボキシ基含有エラストマーの含有量は、100質量%以下であってもよい。したがって、エラストマー成分中のカルボキシ基含有エラストマーの含有量は、エラストマー成分の総質量を基準として、例えば、80~100質量%であってよい。エラストマー成分は、実質的にカルボキシ基含有エラストマーのみを含んでいてもよい。
【0081】
(その他の成分)
本実施形態の封止用フィルムは、他の添加剤を更に含有することができる。このような添加剤の具体例としては、顔料、染料、離型剤、酸化防止剤、表面張力調整剤等を挙げることができる。
【0082】
また、本実施形態の封止用フィルムは、溶剤(例えば、封止用フィルムの製造に用いた溶剤)を含有してもよい。溶剤としては、従来公知の有機溶剤であってよい。有機溶剤としては、無機充填材以外の成分を溶解できる溶剤であってよく、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、テルペン類、ハロゲン類、エステル類、ケトン類、アルコール類、アルデヒド類等が挙げられる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0083】
溶剤としては、環境負荷が小さい観点、及び、熱硬化性成分を溶解しやすい観点から、エステル類、ケトン類及びアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。その中でも、溶剤がケトン類である場合、熱硬化性成分を特に溶解しやすい。溶剤としては、室温(25℃)での揮発が少なく、乾燥時に除去しやすい観点から、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
【0084】
封止用フィルムに含まれる溶剤(有機溶剤等)の含有量は、封止用フィルムの総質量を基準として、下記の範囲であることが好ましい。溶剤の含有量は、封止用フィルムが脆くなり封止用フィルムの割れ等の不具合が生じること、及び、最低溶融粘度が高くなり、埋め込み性が低下することを抑制しやすい観点から、0.2質量%以上であってよく、0.3質量%以上であってもよく、0.5質量%以上であってもよく、0.6質量%以上であってもよく、0.7質量%以上であってもよい。溶剤の含有量は、封止用フィルムの粘着性が強くなりすぎて取扱い性が低下する不具合、及び、封止用フィルムの熱硬化時における溶剤(有機溶剤等)の揮発に伴う発泡等の不具合を抑制しやすい観点から、1.5質量%以下であってよく、1質量%以下であってもよい。これらの観点から、溶剤の含有量は、0.2~1.5質量%がであってよく、0.3~1質量%であってもよく、0.5~1質量%であってもよく、0.6~1質量%であってもよく、0.7~1質量%であってもよい。
【0085】
封止用フィルムの厚さ(膜厚)は、塗工時における面内の厚みのバラつきが抑制されやすい観点から、20μm以上であってよく、30μm以上であってもよく、50μm以上であってもよく、100μm以上であってもよい。封止用フィルムの厚さは、塗工時に深さ方向で一定の乾燥性が得られやすい観点から、400μm以下であってよく、250μm以下であってよく、200μm以下であってもよく、150μm以下であってもよい。これらの観点から、封止用フィルムの厚さは、20~400μmであってよく、20~250μmであってもよく、30~250μmであってもよく、50~200μmであってもよく、100~150μmであってもよい。また、封止用フィルムを複数枚積層して、厚さ250μmを超える封止用フィルムを製造することもできる。
【0086】
封止用フィルムの硬化後のガラス転移温度Tgは、得られる封止構造体の信頼性(熱信頼性)の観点から、80~150℃であってよく、90~140℃であってもよく、100~130℃であってもよい。封止用フィルムのガラス転移温度Tgは、熱硬化性成分の種類及び含有量、エラストマー成分の種類及び含有量等により調整することができる。ガラス転移温度Tgは、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0087】
封止用フィルムの60~140℃における溶融粘度の最低値(最低溶融粘度)は、中空構造形成の観点から、1000~20000Pa・sであってよく、3000~15000Pa・sであってもよく、5000~12000Pa・sであってもよい。上記最低溶融粘度は、実施例に記載の方法により封止用フィルムの溶融粘度を測定することにより求めることができる。
【0088】
上述したように、本実施形態の封止用フィルムは、中空構造体における被封止体を封止するために好適に用いられるが、封止対象となる構造体は中空構造を有していなくてもよい。本実施形態の封止用フィルムは、例えば、半導体デバイスの封止、プリント配線板に配置された電子部品の埋め込み等に用いることもできる。
【0089】
本実施形態の封止用フィルムは、例えば、支持体付き封止用フィルムとして用いることもできる。
図1に示す支持体付き封止用フィルム10は、支持体1と、支持体1上に設けられた封止用フィルム2と、を備える。
【0090】
支持体1としては、高分子フィルム、金属箔等を用いることができる。高分子フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム;ポリ塩化ビニルフィルム等のビニルフィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム;ポリカーボネートフィルム;アセチルセルロースフィルム;テトラフルオロエチレンフィルムなどが挙げられる。金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。
【0091】
支持体1の厚さは、特に限定されるものではないが、作業性及び乾燥性に優れる観点から、2~200μmであってよい。支持体1の厚さが2μm以上である場合、塗工時に支持体が切れる不具合、ワニスの重さで支持体がたわむ不具合等を抑制しやすい。支持体1の厚さが200μm以下である場合、乾燥工程において、塗工面及び裏面の両面から熱風が吹きつけられる場合に、ワニス中の溶剤乾燥が妨げられる不具合を抑制しやすい。
【0092】
本実施形態では、支持体1を用いなくてもよい。また、封止用フィルム2の支持体1とは反対側に、封止用フィルムの保護を目的とした保護層を配置してもよい。封止用フィルム2上に保護層を形成することで、取扱い性が向上し、巻き取りした場合に、支持体の裏面に封止用フィルムが張り付くといった不具合を回避することができる。
【0093】
保護層としては、高分子フィルム、金属箔等を用いることができる。高分子フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム;ポリ塩化ビニルフィルム等のビニルフィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム;ポリカーボネートフィルム;アセチルセルロースフィルム;テトラフルオロエチレンフィルムなどを例示することができる。金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔等を例示することができる。
【0094】
<封止用フィルムの製造方法>
本実施形態の封止用フィルムは、具体的には、次のようにして作製することができる。
【0095】
まず、本実施形態の樹脂組成物の構成成分(熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材、エラストマー成分、溶剤等)を混合することでワニス(ワニス状樹脂組成物)を作製する。混合方法は、特に限定されず、ミル、ミキサ、撹拌羽根を使用できる。溶剤(有機溶剤等)は、封止用フィルムの材料である樹脂組成物の構成成分を溶解及び分散してワニスを調製するため、又は、ワニスを調製することを補助するために用いることができる。塗工後の乾燥工程で溶剤の大部分を除去することができる。
【0096】
このようにして作製したワニスを、支持体(フィルム状の支持体等)に塗布した後、熱風吹き付け等によって加熱乾燥することで、封止用フィルムを作製することができる。塗布(コーティング)方法としては、特に限定されないが、例えば、コンマコーター、バーコーター、キスコーター、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター等の塗工装置を用いることができる。
【0097】
<封止構造体及びその製造方法>
本実施形態に係る封止構造体は、被封止体と、当該被封止体を封止する封止部と、を備える。封止部は、本実施形態の封止用フィルムの硬化物であり、本実施形態の樹脂組成物の硬化物を含んでいる。封止構造体は、中空構造を有する中空封止構造体であってよい。中空封止構造体は、例えば、基板と、基板上に設けられた被封止体と、基板と被封止体との間に設けられた中空領域と、被封止体を封止する封止部と、を備える。本実施形態の封止構造体は、複数の被封止体を備えていてもよい。複数の被封止体は、互いに同一の種類であってもよく、互いに異なる種類であってもよい。
【0098】
封止構造体は、例えば、電子部品装置である。電子部品装置は、被封止体として電子部品を備える。電子部品としては、半導体素子;半導体ウエハ;集積回路;半導体デバイス;SAWフィルタ等のフィルタ;センサ等の受動部品などが挙げられる。半導体ウエハを個片化することにより得られる半導体素子を用いてもよい。電子部品装置は、電子部品として半導体素子又は半導体ウエハを備える半導体装置;プリント配線板等であってもよい。電子部品装置が中空構造を有する場合、すなわち、電子部品装置が中空封止構造体である場合、被封止体は、例えば、中空領域側(基板側)の表面に可動部を有するように、バンプを介して基板上に設けられている。このような被封止体としては、例えば、SAWフィルタ等のSAWデバイス、加速度センサーなどの電子部品が挙げられる。被封止体がSAWフィルタである場合、圧電基板の表面のうち、一対のくし形電極であるIDT(Inter Digital Transducer)が取り付けられた側の表面が可動部となる。
【0099】
次に、本実施形態の封止用フィルムを用いた中空封止構造体の製造方法について説明する。ここでは、中空封止構造体が電子部品装置であり、被封止体がSAWデバイスである場合について説明する。
【0100】
図2は、中空封止構造体の製造方法の一実施形態として、電子部品装置である半導体装置の製造方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。本実施形態の製造方法では、まず、被封止体(被埋め込み対象)として、基板30と、基板30上にバンプ40を介して並べて配置された複数のSAWデバイス20と、を備える中空構造体を用意した後、基板30のSAWデバイス20側の面と、支持体付き封止用フィルム10の封止用フィルム2側の面とを対向させる(
図2の(a))。ここで、中空構造体60は、中空領域50を有しており、SAWデバイス20は、中空領域50側(基板30側)の表面20aに可動部を有している。
【0101】
次に、SAWデバイス20に封止用フィルム2を加熱下で押圧(ラミネート)することにより、封止用フィルム2にSAWデバイス20を埋め込んだ後、SAWデバイス20が埋め込まれた封止用フィルム2を硬化させて封止用フィルムの硬化物(樹脂組成物の硬化物を含む封止部)2aを得る(
図2の(b))。これにより、電子部品装置100を得ることができる。
【0102】
ラミネートに使用するラミネータとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ロール式、バルーン式等のラミネータが挙げられる。ラミネータは、埋め込み性に優れる観点から、真空加圧が可能なバルーン式であってもよい。
【0103】
ラミネートは、通常、支持体の軟化点以下で行う。ラミネート温度(封止温度)は、封止用フィルムの最低溶融粘度付近であることが好ましい。ラミネート温度は、例えば、60~140℃である。ラミネート時の圧力は、埋め込む被封止体(例えば、半導体素子等の電子部品)のサイズ、密集度等によって異なる。ラミネート時の圧力は、例えば、0.2~1.5MPaの範囲であってもよく、0.3~1.0MPaの範囲であってもよい。ラミネート時間は、特に限定されるものではないが、20~600秒であってもよく、30~300秒であってもよく、40~120秒であってもよい。
【0104】
封止用フィルムの硬化は、例えば、大気下又は不活性ガス下で行うことができる。硬化温度(加熱温度)は、特に限定されるものではなく、80~280℃であってもよく、100~240℃であってもよく、120~200℃であってもよい。硬化温度が80℃以上であれば、封止用フィルムの硬化が充分に進み、不具合の発生を抑制することができる傾向にある。硬化温度が280℃以下である場合は、他の材料への熱害の発生を抑制することができる傾向にある。硬化時間(加熱時間)は、特に限定されるものではなく、30~600分であってもよく、45~300分であってもよく、60~240分であってもよい。硬化時間がこれらの範囲である場合、封止用フィルムの硬化が充分に進み、より良好な生産効率が得られる。また、硬化条件は、複数の条件を組み合わせてもよい。
【0105】
本実施形態では、さらに、ダイシングカッター等により、電子部品装置100を個片化することにより、複数の電子部品装置200を得てよい(
図2の(c))。
【0106】
上記本実施形態の中空封止構造体の製造方法では、被封止体(例えばSAWデバイス20)に対する優れた埋め込み性を確保しつつ、基板30と被封止体との間の中空領域50への封止材料の流入を充分抑制することができる。
【0107】
本実施形態では、ラミネート法によってSAWデバイス20を封止用フィルム2によって封止した後、封止用フィルム2を熱硬化することで、硬化物2aに埋め込まれたSAWデバイス20を備える中空封止構造体(電子部品装置)を得ているが、コンプレッションモールド装置を用いたコンプレッションモールドにより封止構造体を得てもよく、油圧プレス機を用いたプレス成形により封止構造体を得てもよい。コンプレッションモールド及び油圧プレスにより被封止体を封止する際の温度(封止温度)は、上述のラミネート温度と同じであってよい。
【0108】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。
【実施例】
【0109】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0110】
実施例及び比較例では、以下の材料を用いた。
(熱硬化性樹脂)
A1:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名「jER806」、エポキシ基当量:160g/eq.)
(硬化剤)
B1:ノボラック型フェノール樹脂(明和化成株式会社製、商品名「DL-92」、フェノール性水酸基当量:107g/eq.)
(硬化促進剤)
C1:イミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名「2P4MZ」)
(エラストマー)
D1~D7:カルボキシ基含有エラストマー
(無機充填剤)
E1:酸化アルミニウム(デンカ株式会社製、商品名「DAW-20」、平均粒径:20μm)
【0111】
<カルボキシ基含有エラストマーの合成>
(合成例1~7)
以下の手順にしたがって、カルボキシ基含有エラストマーD1~D7を合成した。まず、表1に示す配合量にて、アクリル酸(分子量:72)及びアクリル酸メチル(分子量:86)と、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]55gと、をメタノール500gに溶解させて、混合溶液を得た。ここで、アクリル酸及びアクリル酸メチルの合計量は500gとした。次に、脱イオン水960gを3リットルの合成用フラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら90℃に昇温した。このフラスコ中に、上述の混合溶液を2時間かけて注入した後、90℃で4~6時間撹拌した。撹拌後、得られた反応溶液を冷却した。次いで、反応溶液中の生成物を脱イオン水で水洗した。水洗は4回実施し、1回あたりの脱イオン水の使用量は、生成物の質量の3倍の量とした。水洗後の生成物を乾燥することで、カルボキシ基含有エラストマー(アクリル酸-アクリル酸メチル共重合体)を得た。
【0112】
カルボキシ基含有エラストマーのカルボキシ基当量、重量平均分子量(Mw)及びアクリル酸由来の構造単位の含有量を表1に示す。カルボキシ基当量は、各モノマーの仕込み量で判断した。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。GPCの測定条件を以下に示す。
・測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製、HLC-8220GPC)
・カラム:TSKguardcolumn SuperHZ-H(東ソー株式会社製)
・溶媒:テトラヒドロフラン
【0113】
【0114】
<封止用フィルム(フィルム状エポキシ樹脂組成物)の作製>
(実施例1)
1Lのポリエチレン容器にMEK(メチルエチルケトン)を100g加えて、無機充填材E1を900g加えた後、エポキシ樹脂A1を51g、硬化剤B1を34g加えて撹拌した。次いで、エラストマーD1を15g加えて更に3時間撹拌した。硬化促進剤C1を0.3g加えて更に1時間撹拌した。得られた混合液をナイロン製#150メッシュ(開口106μm)でろ過して、ろ液を採取した。これによりワニス状エポキシ樹脂組成物を得た。このワニス状エポキシ樹脂組成物を、塗工機を使用してPETフィルム上に、以下の条件で塗布した。これにより、厚さ200μmの封止用フィルムを支持体(PETフィルム)上に作製した。
・塗布ヘッド方式:コンマ
・塗布及び乾燥速度:0.3m/分
・乾燥条件(温度/炉長):80℃/1.5m、100℃/1.5m
・フィルム状の支持体:厚さ38μmのPETフィルム
【0115】
封止用フィルムにおける支持体とは反対側に保護層(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム)を配置することにより封止用フィルムの表面を保護した。以下の実施例及び比較例についても同様である。
【0116】
(実施例2~5及び比較例1~2)
エラストマーとして、エラストマーD1にかえてエラストマーD2~D7を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ワニス状エポキシ樹脂組成物を得た。このワニス状エポキシ樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ200μmの封止用フィルムを支持体(PETフィルム)上に作製した。
【0117】
(実施例6)
エポキシ樹脂A1を57g用いたこと、硬化剤B1を38g用いたこと及びエラストマーD3を5g用いたこと以外は、実施例3と同様にして、ワニス状エポキシ樹脂組成物を得た。このワニス状エポキシ樹脂組成物を用いたこと以外は実施例3と同様にして、厚さ200μmの封止用フィルムを支持体(PETフィルム)上に作製した。
【0118】
(実施例7)
エポキシ樹脂A1を39g用いたこと、硬化剤B1を26g用いたこと及びエラストマーD3を35g用いたこと以外は、実施例3と同様にして、ワニス状エポキシ樹脂組成物を得た。このワニス状エポキシ樹脂組成物を用いたこと以外は実施例3と同様にして、厚さ200μmの封止用フィルムを支持体(PETフィルム)上に作製した。
【0119】
(比較例3)
エポキシ樹脂A1を60g用いたこと、硬化剤B1を40g用いたこと及びエラストマー成分を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ワニス状エポキシ樹脂組成物を得た。このワニス状エポキシ樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚さ200μmの封止用フィルムを支持体(PETフィルム)上に作製した。
【0120】
(比較例4)
エポキシ樹脂A1を36g用いたこと、硬化剤B1を24g用いたこと及びエラストマーD3を41g用いたこと以外は、実施例3と同様にして、ワニス状エポキシ樹脂組成物を得た。このワニス状エポキシ樹脂組成物を用いたこと以外は実施例3と同様にして、厚さ200μmの封止用フィルムを支持体(PETフィルム)上に作製した。
【0121】
<評価方法>
以下の方法で、封止用フィルムの流動率、埋め込み性及び中空非充填性、並びに、封止用フィルムの硬化後のガラス転移温度の評価を行った。
【0122】
(1)流動率(フロー率)
実施例及び比較例で作製した、支持体及び保護フィルムを備える封止用フィルムを、ポンチを用いて4mm径の円形状に打ち抜き、評価サンプルを作製した。次いで、評価サンプルの保護フィルムを剥がし、評価サンプル(支持体付き封止用フィルム、
図3中の10)5枚を、
図3の(a)に示す配置にて、シリコンウエハ(5cm×5cm、
図3中の4)上に配置した。この際、封止用フィルム側の面がシリコンウエハと対向するようにした。次いで、評価サンプルから支持体を剥がした後、
図3の(b)に示すように、評価サンプル(封止用フィルム)上にガラス板(5cm×5cm、厚さ3.0mm、
図3中の5)を載せ、ガラス板上に470gの鉄製の板(5cm×5cm、
図3中の6)を載せ、積層体を得た。この積層体を、70℃のオーブンに入れ、30分間保持した。その後、積層体をオーブンから取り出して室温にて30分放置した後、シリコンウエハ上の封止用フィルムの最大径を測定した。初期の封止用フィルムの直径4mmと、試験後の封止用フィルムの最大径とから流動率(フロー率)を算出した。流動率は以下の式から求めた。
流動率=(試験後の封止用フィルムの最大径/4mm)×100
得られた5点の流動率の平均をその評価での流動率とした。
【0123】
(2)封止温度70℃における埋め込み性及び中空非充填性
以下の方法で、封止温度70℃における封止用フィルムの埋め込み性及び中空非充填性を評価した。まず、作製した封止用フィルム(支持体及び保護フィルムを備える封止用フィルム)を8mm×8cmの長方形状に切り出し、評価サンプルを作製した。また、主面の中央に貫通孔(直径2mm)を設けた基板(5cm×5cm、厚さ0.2mm)を用意した。次いで、中央に貫通孔(直径4mm)を設けたPETフィルム(5cm×5cm、厚さ0.38mm)をガラス板の上に載せ、その上に、上記貫通孔を設けた基板を載せた。次いで、評価サンプルの保護フィルムを剥がし、封止用フィルムが上記基板の貫通孔を覆うように、封止用フィルムを基板側に向けて、評価サンプル(支持体を備える封止用フィルム)を基板上に配置した。次いで、470gの鉄製の板(5cm×5cm)を評価サンプル上に載せて積層体を得た。得られた積層体を70℃のオーブン(エスペック株式会社製、商品名「SAFETY OVEN SPH-201」)内で1時間加熱した。
【0124】
加熱後、封止用フィルムの溶融により貫通孔からガラス板側へ流れ込んだ樹脂の有無及び樹脂の流れ込み量(ガラス面に広がった樹脂層の最大径)をデジタルマイクロスコープにて観察し、以下の基準に基づき、埋め込み性及び中空非充填性を評価した。
[埋め込み性]
A:ガラス基板まで樹脂が到達
B:ガラス基板まで樹脂が未到達
[中空非充填性]
A:流れ込んだ樹脂層の最大径:≦2.1mm
B:流れ込んだ樹脂層の最大径:>2.1mm、≦2.3mm
C:流れ込んだ樹脂層の最大径:>2.3mm
【0125】
(3)封止用フィルムの硬化後のガラス転移温度Tg
以下の条件で、実施例及び比較例の封止用フィルムを銅箔にラミネートし、銅箔付き封止用フィルムを得た。
・ラミネータ装置:名機製作所製真空加圧ラミネータMVLP-500
・ラミネート温度:110℃
・ラミネート圧力:0.5MPa
・真空引き時間:30秒
・ラミネート時間:40秒
【0126】
銅箔付き封止用フィルムをSUS板に張り付け、以下の条件で封止用フィルムを硬化させ、銅箔付き封止用フィルムの硬化物(銅箔付きエポキシ樹脂硬化体)を得た。
・オーブン:エスペック株式会社製SAFETY OVEN SPH-201
・オーブン温度:140℃
・時間:120分
【0127】
銅箔付き封止用フィルムの硬化物から銅箔を剥離した後、封止用フィルムの硬化物を、4mm×30mmに切断し試験片を作製した。以下の条件で、作製した試験片のガラス転移温度を測定した。本評価では、ガラス転移温度100℃以上であれば、ガラス転移温度が充分であると判断した。
・測定装置:DVE(株式会社レオロジ製DVE-V4)
・測定温度:25~300℃
・昇温速度:5℃/min
【0128】
<評価結果>
評価結果を表2及び表3に示す。なお、表2及び表3中の各材料の添加量の単位は(g)である。また、エラストマーの含有量(質量%)は、熱硬化性成分(熱硬化性樹脂、硬化剤及び硬化促進剤)とエラストマー成分との合計量を基準とした含有量である。
【0129】
【0130】
【符号の説明】
【0131】
1…支持体、2…封止用フィルム、2a…封止用フィルムの硬化物(封止部)、10…支持体付き封止用フィルム、20…SAWデバイス(被封止体)、30…基板、40…バンプ、50…中空領域、60…中空構造体、100,200…中空封止構造体(封止構造体)。