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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】平坦化膜を具備する基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20220817BHJP
   B32B 37/06 20060101ALI20220817BHJP
   C08F 2/46 20060101ALI20220817BHJP
   C08F 16/12 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
B32B27/30 Z
B32B37/06
C08F2/46
C08F16/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018163992
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020037190
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】チョウ エンセイ
(72)【発明者】
【氏名】塩田 大
(72)【発明者】
【氏名】千坂 博樹
(72)【発明者】
【氏名】真下 俊一
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-068279(JP,A)
【文献】特開2015-014781(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116988(WO,A1)
【文献】特開2015-179171(JP,A)
【文献】特開2005-111702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
B05D 1/00 - 7/26
C08C 19/00 - 19/44
C08F 2/00 - 2/60
C08F 6/00 - 246/00
C08F 301/00
C09D 1/00 - 10/00
C09D 101/00 - 201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感エネルギー性組成物の硬化膜からなる平坦化膜を具備する基板の製造方法であって、
前記基板上に、前記感エネルギー性組成物を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
前記塗布膜を150℃以上250℃以下の温度での加熱により予備硬化させて予備硬化膜を得る予備硬化工程と、
前記予備硬化膜を、前記予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度で加熱することにより、又は、露光した後、前記予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度で加熱することにより本硬化させて前記硬化膜を形成する本硬化工程と、を含み、
前記基板が表面に段差を有し、
前記感エネルギー性組成物が、3量体以上の重合体成分を含まず、感エネルギー性硬化剤(A)と、芳香族ビニルエーテル化合物(B)とを含み、
前記芳香族ビニルエーテル化合物(B)が、下記式(1)で表される化合物、及び/又は下記式(1)で表される化合物の2量体を含み、
前記芳香族ビニルエーテル化合物(B)の分子量が1000以下であり、
前記予備硬化膜の成分の平均分子量が1000超10000以下である、平坦化膜を具備する基板の製造方法。
【化1】
(式(1)中、W及びWは、それぞれ独立に下記式(2)で表される基、下記式(3)で表される基、又は水酸基を示し、ただし、W及びWの少なくとも一方は、前記式(2)で表される基であり、環Y及び環Yは同一の又は異なる芳香族炭化水素環を示し、Rは単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、置換基を有していてもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、-O-で示される基、-NH-で示される基、又は-S-で示される基を示し、R3a及びR3bはそれぞれ独立にシアノ基、ハロゲン原子、又は1価炭化水素基を示し、n1及びn2はそれぞれ独立に0以上4以下の整数を示す。)
【化2】
(式(2)中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Xは単結合又は-S-で示される基を示し、R2bは1価炭化水素基、水酸基、-OR4aで示される基、-SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、-NHR4cで示される基、-N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、スルホ基、又は1価炭化水素基、-OR4aで示される基、-SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、-NHR4cで示される基、若しくは-N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が1価炭化水素基、水酸基、-OR4aで示される基、-SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、-NHR4cで示される基、-N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基を示し、R4a~R4dはそれぞれ独立に1価炭化水素基を示し、mは0以上の整数を示す。)
【化3】
(式(3)中、R1bは単結合又は炭素原子数1以上4以下のアルキレン基を示し、環Z、X、R2b、及びmは前記式(2)で示されたこれらの定義と同義である。)
【請求項2】
前記感エネルギー性硬化剤(A)が、
下記式(ai)で表されるアニオン部を有する含ガリウムオニウム塩と、
下記式(aii)で表されるアニオン部を有する含ホウ素オニウム塩と、
を含む、請求項1に記載の平坦化膜を具備する基板の製造方法。
【化4】
(式(ai)中、Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基であり、Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4のうちの少なくとも1つが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)
【化5】
(式(aii)中、Ra5、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基であり、Ra5、Ra6、Ra7、及びRa8のうちの少なくとも1つが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)
【請求項3】
前記感エネルギー性硬化剤(A)が、感光性硬化剤を含む、請求項1又は2に記載の平坦化膜を具備する基板の製造方法。
【請求項4】
前記予備硬化工程の前に、前記塗布膜を露光する予備硬化前露光工程をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の平坦化膜を具備する基板の製造方法。
【請求項5】
前記本硬化工程は、前記予備硬化膜を、前記予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度で加熱することを含む、請求項4に記載の平坦化膜を具備する基板の製造方法。
【請求項6】
前記本硬化工程は、前記予備硬化膜を露光した後、前記予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度で加熱することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の平坦化膜を具備する基板の製造方法。
【請求項7】
前記感エネルギー性硬化剤(A)が、下記式(aiii)で表されるカチオン部を有する、請求項2~6のいずれか1項に記載の平坦化膜を具備する基板の製造方法。
【化6】
(式(aiii)中、Ra01は、1価の有機基であり、Dは、元素周期律表(IUPAC表記法)の15族~17族で原子価がuの元素であり、Ra02は、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアラルキル基である。ただし、Ra02が置換基を有していてもよいアルキル基の場合、Ra01の少なくとも1つは置換基を有していてもよいアルキル基である。uは1以上3以下の整数であり、複数のRa01は同一でも異なっていてもよく、複数のRa01が結合してDとともに環を形成していてもよい。)
【請求項8】
前記感エネルギー性硬化剤(A)が、感光性硬化剤のみからなる、請求項5又は6に記載の平坦化膜を具備する基板の製造方法。
【請求項9】
前記硬化膜が、永久膜である請求項1~8のいずれか1項に記載の平坦化膜を具備する基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦化膜を具備する基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ホールやトレンチ等を有する基板や他部材が設けられた基板等の、段差を有する基板(被処理基板)において、段差に埋め込まれることにより表面を平坦化して段差を緩和する平坦化膜が形成される場合がある。かかる平坦化膜には、高度な平坦性と、平坦化膜形成後の溶剤を用いる基板の加工において、平坦化膜が膨潤したり膜減りしたりしないような優れた溶剤耐性とが求められる。
平坦化膜を形成するための材料として例えば、フルオレン系化合物を含む組成物が本出願人により提案されている(特許文献1を参照)。特許文献1に記載の組成物によれば、表面にパターン化された凸部を有する基板と、平坦性及び透明性に優れ、且つ基板表面に存在する凸部パターンにより形成される凹部に空隙なく充填された平坦化層とを備える構造体を提供できる。
しかしながら、より優れた平坦性と、優れた溶剤耐性とを備える平坦化膜を形成する方法、例えば、平坦化層形成後に高温処理が必要であったり、溶剤が使用されるプロセスが施される場合や、段差を構成する凹凸の疎密度の偏りの大きな基板においても、高度な平坦性と、優れた溶剤耐性とを備える平坦化膜を形成する方法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-68279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フルオレン系化合物を含む組成物を用いて、表面に段差を有する基板上に優れた平坦性及び溶剤耐性を有する平坦化膜を形成できる、平坦化膜を具備する基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、表面に段差を有する基板上に、ビニロキシ基を有する特定の構造のフルオレン系化合物を含む芳香族ビニルエーテル化合物(B)を含有する感エネルギー性組成物を塗布して塗布膜を形成し、塗布膜を150℃以上250℃以下の温度での加熱により予備硬化させて得られる予備硬化膜の成分の平均分子量を1000超10000以下とし、予備硬化膜を予備硬化における加熱温度よりも高い温度での加熱、及び/又は、露光により本硬化させることによって、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0006】
本発明の第1の態様は、感エネルギー性組成物の硬化膜からなる平坦化膜を具備する基板の製造方法であって、
基板上に、感エネルギー性組成物を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
塗布膜を150℃以上250℃以下の温度での加熱により予備硬化させて予備硬化膜を得る予備硬化工程と、
予備硬化膜を、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度での加熱、及び/又は、露光により本硬化させて硬化膜を形成する本硬化工程と、を含み、
基板が表面に段差を有し、
感エネルギー性組成物が、3量体以上の重合体成分を含まず、感エネルギー性硬化剤(A)と、芳香族ビニルエーテル化合物(B)とを含み、
芳香族ビニルエーテル化合物(B)が、下記式(1)で表される化合物、及び/又は下記式(1)で表される化合物の2量体を含み、
芳香族ビニルエーテル化合物(B)の分子量が1000以下であり、
予備硬化膜の平均分子量が1000超10000以下である、平坦化膜を具備する基板の製造方法。
【0007】
【化1】
(式(1)中、W及びWは、それぞれ独立に下記式(2)で表される基、下記式(3)で表される基、又は水酸基を示し、ただし、W及びWの少なくとも一方は、前述の式(2)で表される基であり、環Y及び環Yは同一の又は異なる芳香族炭化水素環を示し、Rは単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、置換基を有していてもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、-O-で示される基、-NH-で示される基、又は-S-で示される基を示し、R3a及びR3bはそれぞれ独立にシアノ基、ハロゲン原子、又は1価炭化水素基を示し、n1及びn2はそれぞれ独立に0以上4以下の整数を示す。)
【0008】
【化2】
(式(2)中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Xは単結合又は-S-で示される基を示し、R2bは1価炭化水素基、水酸基、-OR4aで示される基、-SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、-NHR4cで示される基、-N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、スルホ基、又は1価炭化水素基、-OR4aで示される基、-SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、-NHR4cで示される基、若しくは-N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が1価炭化水素基、水酸基、-OR4aで示される基、-SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、-NHR4cで示される基、-N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基を示し、R4a~R4dはそれぞれ独立に1価炭化水素基を示し、mは0以上の整数を示す。)
【0009】
【化3】
(式(3)中、R1bは単結合又は炭素原子数1以上4以下のアルキレン基を示し、環Z、X、R2b、及びmは前述の式(2)で示されたこれらの定義と同義である。)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フルオレン系化合物を含む組成物を用いて、表面に段差を有する基板上に優れた平坦性及び溶剤耐性を有する平坦化膜を形成できる、平坦化膜を具備する基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】基板端部の平坦性の評価をした平坦化膜を具備する基板の、中心を含む断面の模式図である。
図2】基板中央部の平坦性の評価をした平坦化膜を具備する基板の、トレンチを含む断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の平坦化膜を具備する基板の製造方法は、感エネルギー性組成物の硬化膜からなる平坦化膜を具備する基板の製造方法である。
当該製造方法は、
基板上に、感エネルギー性組成物を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
塗布膜を150℃以上250℃以下の温度での加熱により予備硬化させて予備硬化膜を得る予備硬化工程と、
予備硬化膜を、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度での加熱、及び/又は、露光により本硬化させて硬化膜を形成する本硬化工程と、を含む。
基板としては、表面に段差を有する基板が用いられる。
感エネルギー性組成物として、3量体以上の重合体成分を含まず、感エネルギー性硬化剤(A)と、芳香族ビニルエーテル化合物(B)とを含む組成物が用いられる。
芳香族ビニルエーテル化合物(B)が、下記式(1)で表される化合物、及び/又は下記式(1)で表される化合物の2量体を含み、芳香族ビニルエーテル化合物(B)の分子量が1000以下である。
予備硬化膜の成分の平均分子量が1000超10000以下である。
本発明の平坦化膜を具備する基板の製造方法において用いる感エネルギー性組成物及び基板、並びに、本発明の平坦化膜を具備する基板の製造方法が有する製造工程について、以下に詳述する。
【0013】
≪感エネルギー性組成物≫
感エネルギー性組成物は、3量体以上の重合体成分を含まない。3量体以上の重合体成分とは、少なくとも1種類の単量体(モノマー)を3分子以上重合させて得られる化合物であり、複数の繰り返し単位(構成単位)から構成されるものである。すなわち、感エネルギー性組成物は、実質的に非重合体成分からなる。感エネルギー性組成物が実質的に非重合体成分からなることで、感エネルギー性組成物の塗布性、段差を有する基板への埋め込み性や、塗布膜の平坦性に優れる。
具体的に、感エネルギー性組成物は、感エネルギー性硬化剤(A)と、後述する特定の芳香族ビニルエーテル化合物(B)とを含む。
特定の芳香族ビニルエーテル化合物(B)を感エネルギー性硬化剤(A)とともに用い、且つ、後述する特定の製造工程によって硬化膜を形成することにより、表面に段差を有する基板上に、優れた平坦性及び溶剤耐性を有する平坦化膜を形成できる。
【0014】
以下、感エネルギー性組成物に含まれる、必須又は任意の成分について順に説明する。
【0015】
<感エネルギー性硬化剤(A)>
感エネルギー性組成物は、後述する芳香族ビニルエーテル化合物(B)を重合させる感エネルギー性硬化剤(A)を含む。かかる感エネルギー性硬化剤(A)は、後述する芳香族ビニルエーテル化合物(B)を重合させることができれば特に限定されず、感光性の硬化剤(以下、「感光性硬化剤」とも記載する。)でも、感熱性の硬化剤(以下、「感熱性硬化剤」とも記載する。)でもよく、また、感光性硬化剤及び感熱性硬化剤の両者を含んでいてもよい。また、感エネルギー性硬化剤(A)は、感熱性と感光性とを兼ね備えた硬化剤、すなわち感熱性も有する感光性硬化剤でもよい。感エネルギー性硬化剤(A)は、感光性硬化剤を含むことが好ましい。
なお、感光性硬化剤は、露光する光源の波長に対して吸光度の大きなものを適宜選択すればよいが、最大吸収波長λmaxが300nm以上であって、露光により後述する芳香族ビニルエーテル化合物(B)の重合を進行させ得る化合物であることが好ましい。
また、感熱性硬化剤は、後述する予備硬化工程における加熱温度において、後述する芳香族ビニルエーテル化合物(B)の重合を進行させ得る化合物であればよい。
【0016】
感エネルギー性硬化剤(A)としては、例えば、下記式(ai)で表されるアニオン部を有する含ガリウムオニウム塩や、下記式(aii)で表されるアニオン部を有する含ホウ素オニウム塩が挙げられる。中でも、感エネルギー性硬化剤(A)は、下記式(ai)で表されるアニオン部を有する含ガリウムオニウム塩及び下記式(aii)で表されるアニオン部を有する含ホウ素オニウム塩の両者を含むことが好ましい。
【化4】
(式(ai)中、Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基であり、Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4のうちの少なくとも1つが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)
【化5】
(式(aii)中、Ra5、Ra6、Ra7、及びRa8は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基、又は置換基を有していてもよい複素環基であり、Ra5、Ra6、Ra7、及びRa8のうちの少なくとも1つが置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。)
【0017】
式(ai)で表されるアニオン部を有する含ガリウムオニウム塩や、式(aii)で表されるアニオン部を有する含ホウ素オニウム塩において、上記式(ai)や式(aii)で表されるアニオンに対する対カチオン(カチオン部)は、感エネルギー性組成物が良好に硬化する限りにおいて特に限定されない。カチオン部としては、下記式(aiv)で表されるカチオンが挙げられる。
(Ra9t+1-Ra10+・・・(aiv)
(式(aiv)中、Ra9は、1価の有機基である。Ra10は、元素周期律表(IUPAC表記法)の15族~17族で原子価tの元素である。tは1以上3以下の整数である。複数のRa9は同一でも異なっていてもよく、複数のRa9が結合してRa10とともに環を形成してもよい。)
【0018】
式(ai)中のRa1~Ra4としての炭化水素基又は複素環基の炭素原子数は特に限定されないが、1以上50以下が好ましく、1以上30以下がより好ましく、1以上20以下が特に好まししい。
a1~Ra4としての炭化水素基の具体例としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及びアラルキル基等が挙げられる。
前述の通り、Ra1~Ra4のうちの少なくとも1つは置換基を有してもよい芳香族基であり、Ra1~Ra4の3つ以上が置換基を有してもよい芳香族基であるのがより好ましく、R~Rの全てが置換基を有してもよい芳香族基であるのが特に好ましい。
【0019】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基としては、炭素原子数1以上18以下のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3以上18以下のハロゲン化脂肪族環式基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、炭素原子数1以上18以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、炭素原子数2以上19以下の脂肪族アシル基、炭素原子数7以上15以下の芳香族アシル基、炭素原子数2以上19以下の脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数7以上15以下の芳香族アシルオキシ基、炭素原子数1以上18以下のアルキルチオ基、炭素原子数6以上14以下のアリールチオ基、窒素原子に結合する1又は2の水素原子が炭素原子数1以上18以下の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基、及びハロゲン原子が挙げられる。
a1~Ra4としての炭化水素基が芳香族炭化水素基である場合、当該芳香族炭化水素基は、炭素原子数1以上18以下のアルキル基、炭素原子数2以上18以下のアルケニル基、及び炭素原子数2以上18以下のアルキニル基からなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0020】
a1~Ra4としての炭化水素基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されず,1であっても2以上の複数であってもよい。置換基の数が複数である場合、当該複数の置換基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0021】
a1~Ra4がアルキル基である場合の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、及びn-イコシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、及び1,1,3,3-テトラメチルブチル基等の分岐鎖アルキル基が挙げられる。
【0022】
a1~Ra4がアルケニル基、又はアルキニル基である場合の好適な例としては、アルキル基として好適な上記の基に対応するアルケニル基、及びアルキニル基が挙げられる。
【0023】
a1~Ra4が芳香炭化水素基である場合の好適な例としては、フェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、ビフェニル-4-イル基、ビフェニル-3-イル基、ビフェニル-2-イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
【0024】
a1~Ra4が脂環式炭化水素基である場合の好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、及びシクロデシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、及びピナニル基等の架橋式脂肪族環式炭化水素基が挙げられる。
【0025】
a1~Ra4がアラルキル基である場合の好適な例としては、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、α-ナフチルエチル基、及びβ-ナフチルエチル基等が挙げられる。
【0026】
a1~Ra4が複素環基である場合の好適な例としては、チエニル基、フラニル基、セレノフェニル基、ピラニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、キサンテニル基、チアントレニル基、フェノキサジニル基、フェノキサチイニル基、クロマニル基、イソクロマニル基、ジベンゾチエニル基、キサントニル基、チオキサントニル基、及びジベンゾフラニル基等が挙げられる。
【0027】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基の好ましい例としては、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、ヘプタフルオロ-n-プロピル基、1,1-ジフルオロ-n-プロピル基、3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル基、ノナフルオロ-n-ブチル基、3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-n-ブチル基、パーフルオロ-n-ペンチル基、及びパーフルオロ-n-オクチル基等の直鎖ハロゲン化アルキル基;ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘキサクロロイソプロピル基、ヘキサフルオロイソブチル基、及びノナフルオロ-tert-ブチル基等の分岐鎖ハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0028】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基がハロゲン化脂肪族環式基である場合、ハロゲン化脂肪族環式基の好ましい例としては、ペンタフルオロシクロプロピル基、ノナフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロヘキシル基、及びパーフルオロアダマンチル基等が挙げられる。
【0029】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の好ましい例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基、n-ヘプタデシルオキシ基、及びn-オクタデシルオキシ基等の直鎖アルコキシ基;イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、及び1,1,3,3-テトラメチルブチルオキシ基等の分岐鎖アルコキシ基が挙げられる。
【0030】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基がアリールオキシ基である場合、アリールオキシ基の好ましい例としては、フェノキシ基、α-ナフチルオキシ基、β-ナフチルオキシ基、ビフェニル-4-イルオキシ基、ビフェニル-3-イルオキシ基、ビフェニル-2-イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等が挙げられる。
【0031】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基が脂肪族アシル基である場合、脂肪族アシル基の好ましい例としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、及びオクタノイル基等が挙げられる。
【0032】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基が脂肪族アシル基である場合、脂肪族アシル基の好ましい例としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、及びオクタノイル基等が挙げられる。
【0033】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基が芳香族アシル基である場合、芳香族アシル基の好ましい例としては、ベンゾイル基、α-ナフトイル基、β-ナフトイル基、ビフェニル-4-イルカルボニル基、ビフェニル-3-イルカルボニル基、ビフェニル-2-イルカルボニル基、アントリルカルボニル基、及びフェナントリルカルボニル基等が挙げられる。
【0034】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基が脂肪族アシルオキシ基である場合、脂肪族アシルオキシ基の好ましい例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、及びオクタノイルオキシ基等が挙げられる。
【0035】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基が芳香族アシルオキシ基である場合、芳香族アシルオキシ基の好ましい例としては、ベンゾイルオキシ基、α-ナフトイルオキシ基、β-ナフトイルオキシ基、ビフェニル-4-イルカルボニルオキシ基、ビフェニル-3-イルカルボニルオキシ基、ビフェニル-2-イルカルボニルオキシ基、アントリルカルボニルオキシ基、及びフェナントリルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0036】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基がアルキルチオ基、又はアリールチオ基である場合、アルキルチオ基、又はアリールチオ基の好ましい例としては、前述のアルコキシ基、又はアリールオキシ基として好適な基における酸素原子を硫黄原子に置換した基が挙げられる。
【0037】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基が炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基である場合、炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基の好適な例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、及びピペリジノ基等が挙げられる。
【0038】
a1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基がハロゲン原子である場合、ハロゲン原子の好適な例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0039】
以上説明した、Ra1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基の中では、感エネルギー性硬化剤(A)としての活性が高い点で、炭素原子数1以上8以下のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、及びシアノ基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のフッ素化アルキル基がより好ましい。
【0040】
式(aii)中のRa5~Ra8としては、式(ai)中のRa1~Ra4について前述した基と同様の基が挙げられる。
【0041】
カチオン部である式(aiv)中のRa9はRa10に結合している有機基を表す。Ra9が複数存在する場合の複数のRa9は同一であっても異なってもよい。Ra9としては、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数1以上18以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上12以下のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上18以下のアルケニル基、及び置換基環基を有してもよい炭素原子数2以上18以下のアルキニル基が挙げられる。式(aiv)で表されるカチオンをカチオン部として有する感光性硬化剤の場合は、Ra9としては、炭素原子数6以上14以下の芳香族炭化水素基、炭素原子数1以上18以下のアルキル基、炭素原子数2以上18以下のアルケニル基、及び炭素原子数2以上18以下のアルキニル基が好ましい。
a9としての、芳香族炭化水素基、アラルキル基、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基が有してもよい置換基としては、炭素原子数1以上18以下のアルキル基、炭素原子数2以上18以下のアルケニル基、炭素原子数2以上18以下のアルキニル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、炭素原子数1以上18以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリールオキシ基、炭素原子数2以上19以下の脂肪族アシル基、炭素原子数7以上15以下の芳香族アシル基、炭素原子数2以上19以下の脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数7以上15以下の芳香族アシルオキシ基、炭素原子数1以上18以下のアルキルチオ基、炭素原子数6以上14以下のアリールチオ基、窒素原子に結合する1又は2の水素原子が炭素原子数1以上18以下の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基、及びハロゲン原子が挙げられる。
これらの置換基の好適な例は、式(ai)中のRa1~Ra4としての炭化水素基、又は複素環基が有していてもよい置換基の好適な例と同様である。
【0042】
式(aiv)において、Ra9が複数存在する場合、複数のRa9はRa10とともに環を形成してもよい。複数のRa9と、Ra10とが形成する環は、その間構造中に、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-NH-、-CO-、-COO-、及び-CONH-からなる群より選択される以上の結合を含んでいてもよい。
【0043】
式(aiv)中のRa10は、元素周期律表(IUPAC表記法)の15族~17族で原子価tの元素である。なお、Ra10としての、元素周期律表(IUPAC表記法)の15族~17族の元素は、感エネルギー性組成物の製造条件下、及び保管条件下、平坦化膜の形成条件下において、安定に存在し得る元素である。
a10は、有機基Ra9と結合してオニウムイオンを形成する。元素周期律表(IUPAC表記法)の15族~17族の元素のうち、Ra10として好ましい元素は、S(硫黄)、N(窒素)、I(ヨウ素)、及びP(リン)である。対応するオニウムイオンとしては、スルホニウムイオン、アンモニウムイオン、ヨードニウムイオン、及びホスホニウムイオンである。これらは、安定で取り扱いが容易なため好ましい。カチオン重合性能や架橋反応性能に優れる点で、スルホニウムイオン、及びヨードニウムイオンがより好ましい。
【0044】
スルホニウムイオンの具体例としては、トリフェニルスルホニウム、トリ-p-トリルスルホニウム、トリ-o-トリルスルホニウム、トリス(4-メトキシフェニル)スルホニウム、1-ナフチルジフェニルスルホニウム、2-ナフチルジフェニルスルホニウム、トリス(4-フルオロフェニル)スルホニウム、トリ-1-ナフチルスルホニウム、トリ-2-ナフチルスルホニウム、トリス(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウム、4-(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4-(p-トリルチオ)フェニルジ-p-トリルスルホニウム、4-(4-メトキシフェニルチオ)フェニルビス(4-メトキシフェニル)スルホニウム、4-(フェニルチオ)フェニルビス(4-フルオロフェニル)スルホニウム、4-(フェニルチオ)フェニルビス(4-メトキシフェニル)スルホニウム、4-(フェニルチオ)フェニルジ-p-トリルスルホニウム、[4-(4-ビフェニリルチオ)フェニル]-4-ビフェニリルフェニルスルホニウム、[4-(2-チオキサントニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス〔4-{ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド、ビス{4-[ビス(4-フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、ビス{4-[ビス(4-メチルフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、ビス{4-[ビス(4-メトキシフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、4-(4-ベンゾイル-2-クロロフェニルチオ)フェニルビス(4-フルオロフェニル)スルホニウム、4-(4-ベンゾイル-2-クロロフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4-(4-ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4-フルオロフェニル)スルホニウム、4-(4-ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、7-イソプロピル-9-オキソ-10-チア-9,10-ジヒドロアントラセン-2-イルジ-p-トリルスルホニウム、7-イソプロピル-9-オキソ-10-チア-9,10-ジヒドロアントラセン-2-イルジフェニルスルホニウム、2-[(ジ-p-トリル)スルホニオ]チオキサントン、2-[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、4-(9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イル)チオフェニル-9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イルフェニルスルホニウム、4-[4-(4-tert-ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ-p-トリルスルホニウム、4-[4-(4-tert-ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジフェニルスルホニウム、4-[4-(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジ-p-トリルスルホニウム、4-[4-(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジフェニルスルホニウム、5-(4-メトキシフェニル)チアアンスレニウム、5-フェニルチアアンスレニウム、5-トリルチアアンスレニウム、5-(4-エトキシフェニル)チアアンスレニウム、及び5-(2,4,6-トリメチルフェニル)チアアンスレニウム等のトリアリールスルホニウム;ジフェニルフェナシルスルホニウム、ジフェニル4-ニトロフェナシルスルホニウム、ジフェニルベンジルスルホニウム、及びジフェニルメチルスルホニウム等のジアリールスルホニウム;フェニルメチルベンジルスルホニウム、4-ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4-メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4-アセトカルボニルオキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4-ヒドロキシフェニル(2-ナフチルメチル)メチルスルホニウム、2-ナフチルメチルベンジルスルホニウム、2-ナフチルメチル(1-エトキシカルボニル)エチルスルホニウム、フェニルメチルフェナシルスルホニウム、4-ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、4-メトキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、4-アセトカルボニルオキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、2-ナフチルメチルフェナシルスルホニウム、2-ナフチルオクタデシルフェナシルスルホニウム、及び9-アントラセニルメチルフェナシルスルホニウム等のモノアリールスルホニウム;ジメチルフェナシルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウム、ジメチルベンジルスルホニウム、ベンジルテトラヒドロチオフェニウム、及びオクタデシルメチルフェナシルスルホニウム等のトリアルキルスルホニウム等が挙げられる。
【0045】
アンモニウムイオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、及びテトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム;N,N-ジメチルピロリジニウム、N-エチル-N-メチルピロリジニウム、及びN,N-ジエチルピロリジニウム等のピロリジニウム;N,N’-ジメチルイミダゾリニウム、N,N’-ジエチルイミダゾリニウム、N-エチル-N’-メチルイミダゾリニウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリニウム、及び1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウム等のイミダゾリニウム;N,N’-ジメチルテトラヒドロピリミジニウム等のテトラヒドロピリミジニウム;N,N’-ジメチルモルホリニウム等のモルホリニウム;N,N’-ジエチルピペリジニウム等のピペリジニウム;N-メチルピリジニウム、N-ベンジルピリジニウム、及びN-フェナシルピリジウム等のピリジニウム;N,N’-ジメチルイミダゾリウム等のイミダゾリウム;N-メチルキノリウム、N-ベンジルキノリウム、及びN-フェナシルキノリウム等のキノリウム;N-メチルイソキノリウム等のイソキノリウム;ベンジルベンゾチアゾニウム、及びフェナシルベンゾチアゾニウム等のチアゾニウム;ベンジルアクリジウム、及びフェナシルアクリジウム等のアクリジウムが挙げられる。
【0046】
ホスホニウムイオンの具体例としては、テトラフェニルホスホニウム、テトラ-p-トリルホスホニウム、テトラキス(2-メトキシフェニル)ホスホニウム、テトラキス(3-メトキシフェニル)ホスホニウム、及びテトラキス(4-メトキシフェニル)ホスホニウム等のテトラアリールホスホニウム;トリフェニルベンジルホスホニウム、トリフェニルフェナシルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム、及びトリフェニルブチルホスホニウム等のトリアリールホスホニウム;トリエチルベンジルホスホニウム、トリブチルベンジルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、トリエチルフェナシルホスホニウム、及びトリブチルフェナシルホスホニウム等のテトラアルキルホスホニウム等が挙げられる。
【0047】
ヨードニウムイオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ジ-p-トリルヨードニウム、ビス(4-ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4-メトキシフェニル)ヨードニウム、(4-オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム、ビス(4-デシルオキシ)フェニルヨードニウム、4-(2-ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4-イソプロピルフェニル(p-トリル)ヨードニウム、及び4-イソブチルフェニル(p-トリル)ヨードニウム等のヨードニウムイオンが挙げられる。
【0048】
以上説明した式(ai)で表されるアニオン部の好適な具体例としては、
テトラキス(4-ノナフルオロビフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(1-ヘプタフルオロナフチル)ガリウムアニオン、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ガレートアニオン、
テトラキス(2-ノナフェニルビフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2-ヘプタフルオロナフチル)ガリウムアニオン、
テトラキス(7-ノナフルオロアントリル)ガリウムアニオン、
テトラキス(4’-(メトキシ)オクタフルオロビフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2,4,6-トリス(トリフルオロメチル)フェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2,3-ビス(ペンタフルオロエチル)ナフチル)ガリウムアニオン、
テトラキス(2-イソプロポキシ-ヘキサフルオロナフチル)ガリウムアニオン、
テトラキス(9,10-ビス(ヘプタフルオロプロピル)ヘプタフルオロアントリル)ガリウムアニオン、
テトラキス(9-ノナフルオロフェナントリル)ガレートアニオン、
テトラキス(4-[トリ(イソプロピル)シリル]-テトラフルオロフェニル)ガリウムアニオン、
テトラキス(9,10-ビス(p-トリル)-ヘプタフルオロフェナントリル)ガリウムアニオン、
テトラキス(4-[ジメチル(t-ブチル)シリル]-テトラフルオロフェニル)ガリウムアニオン、
モノフェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ガリウムアニオン、及び
モノパーフルオロブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ガリウムアニオン等が挙げられ、より好ましくは、以下のアニオンが挙げられる。
【化6】
【0049】
また、式(aii)で表されるアニオン部の好適な具体例としては、
テトラキス(4-ノナフルオロビフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(1-ヘプタフルオロナフチル)ホウ素アニオン、
テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(3,4,5-トリフルオロフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2-ノナフェニルビフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2-ヘプタフルオロナフチル)ホウ素アニオン、
テトラキス(7-ノナフルオロアントリル)ホウ素アニオン、
テトラキス(4’-(メトキシ)オクタフルオロビフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2,4,6-トリス(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2,3-ビス(ペンタフルオロエチル)ナフチル)ホウ素アニオン、
テトラキス(2-イソプロポキシ-ヘキサフルオロナフチル)ホウ素アニオン、
テトラキス(9,10-ビス(ヘプタフルオロプロピル)ヘプタフルオロアントリル)ホウ素アニオン、
テトラキス(9-ノナフルオロフェナントリル)ホウ素アニオン、
テトラキス(4-[トリ(イソプロピル)シリル]-テトラフルオロフェニル)ホウ素アニオン、
テトラキス(9,10-ビス(p-トリル)-ヘプタフルオロフェナントリル)ホウ素アニオン、
テトラキス(4-[ジメチル(t-ブチル)シリル]-テトラフルオロフェニル)ホウ素アニオン、
モノフェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素アニオン、及び
モノパーフルオロブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素アニオン等が挙げられ、より好ましくは、以下のアニオンが挙げられる。
【化7】
【0050】
また、以上説明した式(aiv)で表されるカチオン部の好適な具体例としては、
4-イソプロピルフェニル(p-トリル)ヨードニウム、
4-イソブチルフェニル(p-トリル)ヨードニウム等のヨードニウムイオン;
[4-(2-チオキサントニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、
2-[(ジ-p-トリル)スルホニオ]チオキサントン、
2-[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、
4-(9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イル)チオフェニル-9-オキソ-9H-チオキサンテン-2-イルフェニルスルホニウム等のチオキサントン骨格含有スルホニウムイオン;
詳しくは後述の式(aiii)で表されるカチオン部;
詳しくは後述の式(a1)で表されるカチオン部;
その他、以下に示すスルホニウムイオン;が挙げられる。
【0051】
【化8】
【0052】
上述したように、カチオン部が下記式(aiii)で表されるカチオン部を有する態様も好ましい。感エネルギー性硬化剤(A)としてのオニウム塩が、式(aiii)で表されるカチオン部を有すると、オニウム塩が、感熱性硬化剤として機能し得る。
【0053】
【化9】
(式(aiii)中、Ra01は、1価の有機基であり、Dは、元素周期律表(IUPAC表記法)の15族~17族で原子価がuの元素であり、Ra02は、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアラルキル基である。ただし、Ra02が置換基を有していてもよいアルキル基の場合、Ra01の少なくとも1つは置換基を有していてもよいアルキル基である。uは1以上3以下の整数であり、複数のRa01は同一でも異なっていてもよく、複数のRa01が結合してDとともに環を形成していてもよい。)
【0054】
式(aiii)中のDは、元素周期律表(IUPAC表記法)の15族~17族で原子価uの元素である。なお、Dは、式(aiv)中のRa10と同様である。
Dは、有機基Ra01、及びRa02で置換されてもよいベンジル基と結合してオニウムイオンを形成する。元素周期律表(IUPAC表記法)の15族~17族の元素のうち好ましいのは、S(硫黄)、N(窒素)、I(ヨウ素)、P(リン)である。対応するオニウムイオンとしては、スルホニウムイオン、アンモニウムイオン、ヨードニウムイオン、及びホスホニウムイオンであり、これらは、安定で取り扱いが容易なため好ましい。カチオン重合性能や架橋反応性能に優れる点で、スルホニウムイオン、及びヨードニウムイオンがより好ましい。
【0055】
式(aiii)中、Ra01はDに結合している有機基を表し、Ra01が複数存在する場合の複数のRa01は同一であっても異なってもよい。Ra01としては、炭素原子数6以上14以下の芳香族炭化水素基、炭素原子数1以上18以下のアルキル基、炭素原子数2以上18以下のアルケニル基、及び炭素原子数2以上18以下のアルキニル基が挙げられる。
a01としての芳香族炭化水素基、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基としては、式(aiv)中のRa9について前述したものと同様のものが挙げられる。Ra01が芳香族炭化水素基の場合、置換基を有していてもよく、当該置換基としては、水酸基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また、式(aiii)において、Ra01が複数存在する場合、複数のRa01はDとともに環を形成してもよい。複数のRa01と、Dとが形成する環は、その間構造中に、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-NH-、-CO-、-COO-、及び-CONH-からなる群より選択される以上の結合を含んでいてもよい。
式(aiii)中、Ra02としてのアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基及びn-オクタデシル基等の炭素数1~18の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、イソヘキシル基及びイソオクタデシル基等の炭素数3~18の分枝鎖アルキル基、及び、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及び4-デシルシクロヘキシル基等の炭素数3~18のシクロアルキル基等が挙げられる。式(aiii)中、Ra02が置換基を有していてもよいアルキル基となる場合は、前記Ra01の少なくとも1つは置換基を有していてもよいアルキル基である。
式(aiii)中、Ra02としてのアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基等の、炭素数6~10のアリール基で置換されている低級アルキル基等が挙げられる。
式(aiii)中、Ra02としての置換基を有するアラルキル基の具体例としては、2-メチルベンジル基等の、置換基を有していてもよい炭素数6~10のアリール基で置換されている低級アルキル基等が挙げられる。
式(aiii)中、Ra02は置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、下記式(aiii-1)で表されるカチオン部であることがより好ましい。
【0056】
【化10】
(式(aiii-1)中、Ra01、D、uは、前記式(aiii)と同様である。Ra03は、1価の有機基であり、vは0以上5以下の整数であり、複数のRa03は同一でも異なっていてもよい。)
式(aiii-1)中、Ra03の1価の有機基としてはアルキル基であることが好ましく、式(aiii)のRa02で挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。vは0または1であることが好ましい。
式(aiii)又は式(aiii-1)で表されるカチオン部の具体例を挙げる。下記具体例におけるD’は、S原子又はSe原子であり、好ましくはS原子である。
【化11】
式(aiii)又は式(aiii-1)で表されるカチオン部の対アニオンとしては、後述の式(a1)で表されるカチオン部の対アニオンと同様のものが挙げられるが、好ましくは、式(ai)で表されるアニオン部又は式(aii)で表されるアニオン部であり、式(ai)で表されるアニオン部がより好ましい。
【0057】
また、上述したように、カチオン部が下記式(a1)で表されるカチオン部を有する態様も好ましい。感エネルギー性硬化剤(A)としてのオニウム塩が式(a1)で表されるカチオン部を有すると、オニウム塩が、感光性硬化剤として機能し得る。感エネルギー性硬化剤(A)としてのオニウム塩が下記式(a1)で表されるカチオン部を含むことによって、後述する芳香族ビニルエーテル化合物(B)の硬化を良好に進行させやすい。
【0058】
【化12】
(式(a1)中、R及びRは独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基又は下記式(a2)で表される基を示し、R及びRは相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成してもよく、Rは下記式(a3)で表される基又は下記式(a4)で表される基を示し、AはS、O、又はSeを示し、但し、R及びRは、同時に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基ではない。)
【0059】
【化13】
(式(a2)中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Rはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、アルキルチオ基、チエニル基、チエニルカルボニル基、フラニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニル基、セレノフェニルカルボニル基、複素環式脂肪族炭化水素基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示し、m1は0以上の整数を示す。)
【0060】
【化14】
(式(a3)中、Rはヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基又は下記式(a5)で表される基を示し、Rはヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基又は下記式(a6)で表される基を示し、Aは単結合、S、O、スルフィニル基、又はカルボニル基を示し、n1は0又は1を示す。)
【0061】
【化15】
(式(a4)中、R及びRは独立に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいアルキレン基又は下記式(a5)で表される基を示し、R及びR10は独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基又は上記式(a2)で表される基を示し、R及びR10は相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成してもよく、Aは単結合、S、O、スルフィニル基、又はカルボニル基を示し、Xは1価のアニオンを示し、n2は0又は1を示し、但し、R及びR10は、同時に、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基ではない。)
【0062】
【化16】
(式(a5)中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、R11はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示し、m2は0以上の整数を示す。)
【化17】
(式(a6)中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、R12はハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アシロキシ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、アリール基、複素環式炭化水素基、アリールオキシ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基、置換されていてよいアミノ基、シアノ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を示し、m3は0以上の整数を示す。)
【0063】
上記式(a1)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩は、上記式(a1)中のベンゼン環において、Aが結合する炭素原子に対してオルト位の炭素原子にメチル基が結合していることを特徴とする。上記の位置にメチル基を有するため、従来のスルホニウム塩と比較して、プロトンを発生しやすく、紫外線等の活性エネルギー線に対する感度が高い。
【0064】
上記式(a1)において、R及びRのいずれもが上記式(a2)で表される基であることが好ましい。R及びRは互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(a1)において、R及びRが相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成する場合、形成される環は、硫黄原子を含めて3~10員環であることが好ましく、5~7員環であることがより好ましい。形成される環は多環でもよく、5~7員環が縮合したものであることが好ましい。
上記式(a1)において、R及びRが、ともにフェニル基であるのが好ましい。
上記式(a1)において、Rは上記式(a3)で表される基であることが好ましい。
上記式(a1)において、Aは、S又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
【0065】
上記式(a2)において、Rは、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、置換されていてよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルキルカルボニル基、又はチエニルカルボニル基であることがより好ましい。
上記式(a2)において、m1は、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0以上4以下の整数、好ましくは0以上3以下の整数、より好ましくは0以上2以下の整数であってもよい。
【0066】
上記式(a3)において、Rは、アルキレン基;ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキレン基;又は上記式(a5)で表される基であることが好ましく、上記式(a5)で表される基であることがより好ましい。
上記式(a3)において、Rは、アルキル基;ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキル基;又は上記式(a6)で表される基であることが好ましく、上記式(a6)で表される基であることがより好ましい。
上記式(a3)において、AはS又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記式(a3)において、n1は0であることが好ましい。
【0067】
上記式(a4)において、R及びRは独立に、アルキレン基;ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、若しくはニトロ基で置換されたアルキレン基;又は上記式(a5)で表される基であることが好ましく、上記式(a5)で表される基であることより好ましい。R及びRは互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(a4)において、R及びR10のいずれもが上記式(a2)で表される基であることが好ましい。R及びR10は互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(a4)において、R及びR10が相互に結合して式中の硫黄原子とともに環を形成する場合、形成される環は、硫黄原子を含めて3~10員環であることが好ましく、5~7員環であることがより好ましい。形成される環は多環でもよく、5~7員環が縮合したものであることが好ましい。
上記式(a4)において、Aは、S又はOであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
上記式(a4)において、n2は0であることが好ましい。
【0068】
上記式(a5)において、R11は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基であることがより好ましい。
上記式(a5)において、m2は、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0以上4以下の整数、好ましくは0以上3以下の整数、より好ましくは0以上2以下の整数であってもよい。
【0069】
上記式(a6)において、R12は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル基、チエニルカルボニル基、フラニルカルボニル基、セレノフェニルカルボニル基、置換されていてよいアミノ基、又はニトロ基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルキルカルボニル基、又はチエニルカルボニル基であることがより好ましい。
上記式(a6)において、m3は、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0以上4以下の整数、好ましくは0以上3以下の整数、より好ましくは0以上2以下の整数であってもよい。
【0070】
なお、上記式(a1)で表されるカチオン部の対アニオンは、式(a1)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩に活性エネルギー(可視光、紫外線、電子線、及びX線等や、必要に応じて熱)を照射することにより発生する酸に対応する1価のアニオンである。式(a1)で表されるカチオン部の対アニオンとしては、上記式(ai)で表されるアニオン部、式(aii)で表されるアニオン部が好適に挙げられる。また、式(a1)で表されるカチオン部の対アニオンとしては、その他の1価の多原子アニオンも好適に挙げられ、MY 、(Rf)PF6-b 、Rx1 BY4-c 、Rx1 GaY4-c 、Rx2SO 、(Rx2SO、又は(Rx2SOで表されるアニオンがより好ましい。また、式(a1)で表されるカチオン部の対アニオンは、ハロゲンアニオンでもよく、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。
【0071】
Mは、リン原子、ホウ素原子、又はアンチモン原子を表す。
Yはハロゲン原子(フッ素原子が好ましい。)を表す。
【0072】
Rfは、水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基(炭素原子数1以上8以下のアルキル基が好ましい。)を表す。フッ素置換によりRfとするアルキル基としては、直鎖アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びオクチル等)、分岐鎖アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチル等)及びシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)等が挙げられる。Rfにおいてこれらのアルキル基の水素原子がフッ素原子に置換されている割合は、もとのアルキル基が有していた水素原子のモル数に基づいて、80モル%以上が好ましく、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。フッ素原子による置換割合がこれら好ましい範囲にあると、スルホニウム塩(Q)の光感応性がさらに良好となる。特に好ましいRfとしては、CF-、CFCF 、(CFCF、CFCFCF 、CFCFCFCF 、(CFCFCF 、CFCF(CF)CF及び(CFが挙げられる。b個のRfは、相互に独立であり、したがって、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0073】
Pはリン原子、Fはフッ素原子を表す。
【0074】
x1は、水素原子の一部が少なくとも1個の元素又は電子求引基で置換されたフェニル基を表す。そのような1個の元素の例としては、ハロゲン原子が含まれ、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。電子求引基としては、トリフルオロメチル基、ニトロ基及びシアノ基等が挙げられる。これらのうち、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基が好ましい。c個のRx1は相互に独立であり、したがって、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0075】
Bはホウ素原子、Gaはガリウム原子を表す。
【0076】
x2は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のフルオロアルキル基又は炭素原子数6以上20以下のアリール基を表し、アルキル基及びフルオロアルキル基は直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよく、アルキル基、フルオロアルキル基、又はアリール基は無置換であっても、置換基を有していてもよい。上記置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、置換されていてよいアミノ基(例えば、上記式(a2)~(a6)に関する後述の説明中で例示するものが挙げられる。)、ニトロ基等が挙げられる。
また、Rx2で表されるアルキル基、フルオロアルキル基又はアリール基における炭素鎖は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していてもよい。特に、Rx2で表されるアルキル基又はフルオロアルキル基における炭素鎖は、2価の官能基(例えば、エーテル結合、カルボニル結合、エステル結合、アミノ結合、アミド結合、イミド結合、スルホニル結合、スルホニルアミド結合、スルホニルイミド結合、ウレタン結合等)を有していてもよい。
x2で表されるアルキル基、フルオロアルキル基又はアリール基が上記置換基、ヘテロ原子、又は官能基を有する場合、上記置換基、ヘテロ原子、又は官能基の個数は、1個であっても2個以上であってもよい。
【0077】
Sは硫黄原子、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Nは窒素原子を表す。
aは4以上6以下の整数を表す。
bは、1以上5以下の整数が好ましく、さらに好ましくは2以上4以下の整数、特に好ましくは2又は3である。
cは、1以上4以下の整数が好ましく、さらに好ましくは4である。
【0078】
MY で表されるアニオンとしては、SbF 、PF 又はBF で表されるアニオン等が挙げられる。
【0079】
(Rf)PF6-b で表されるアニオンとしては、(CFCFPF 、(CFCFPF 、((CFCF)PF 、((CFCF)PF 、(CFCFCFPF 、(CFCFCFPF 、((CFCFCFPF 、((CFCFCFPF 、(CFCFCFCFPF 又は(CFCFCFCFPF で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(CFCFPF 、(CFCFCFPF 、((CFCF)PF 、((CFCF)PF 、((CFCFCFPF 又は((CFCFCFPF で表されるアニオンが好ましい。
【0080】
x1 BY4-c で表されるアニオンとしては、好ましくは
x1 BY4-c
(式中、Rx1は水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子又は電子求引基で置換されたフェニル基を示し、Yはハロゲン原子を示し、cは1以上4以下の整数を示す。)
であり、例えば、(C、((CF、(CF、(CBF 、CBF 又は(Cで表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(C又は((CFで表されるアニオンが好ましい。
【0081】
x1 GaY4-c で表されるアニオンとしては、(CGa、((CFGa、(CFGa、(CGaF 、CGaF 又は(CGaで表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち、(CGa又は((CFGaで表されるアニオンが好ましい。
【0082】
x2SO で表されるアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロフェニルスルホン酸アニオン、p-トルエンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、エタンスルホン酸アニオン、プロパンスルホン酸アニオン及びブタンスルホン酸アニオン等が挙げられる。これらのうち、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、ブタンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン又はp-トルエンスルホン酸アニオンが好ましい。
【0083】
(Rx2SOで表されるアニオンとしては、(CFSO、(CSO、(CSO又は(CSOで表されるアニオン等が挙げられる。
【0084】
(Rx2SOで表されるアニオンとしては、(CFSO、(CSO、(CSO又は(CSOで表されるアニオン等が挙げられる。
【0085】
一価の多原子アニオンとしては、MY 、(Rf)PF6-b 、Rx1 BY4-c 、Rx1 GaY4-c 、Rx2SO 、(Rx2SO又は(Rx2SOで表されるアニオン以外に、過ハロゲン酸イオン(ClO 、BrO 等)、ハロゲン化スルホン酸イオン(FSO 、ClSO 等)、硫酸イオン(CHSO 、CFSO 、HSO 等)、炭酸イオン(HCO 、CHCO 等)、アルミン酸イオン(AlCl 、AlF 等)、ヘキサフルオロビスマス酸イオン(BiF )、カルボン酸イオン(CHCOO、CFCOO、CCOO、CHCOO、CCOO、CFCOO等)、アリールホウ酸イオン(B(C 、CHCHCHCHB(C 等)、チオシアン酸イオン(SCN)及び硝酸イオン(NO )等が使用できる。
【0086】
これらのアニオンのうち、カチオン重合性能の点では、MY 、(Rf)PF6-b 、Rx1 BY4-c 、Rx1 GaY4-c 及び(Rx2SOで表されるアニオンが好ましく、SbF 、PF 、(CFCFPF 、(C、((CF、(CGa、((CFGa及び(CFSOがより好ましく、Rx1 BY4-c がさらに好ましい。
【0087】
上記式(a2)、(a5)、及び(a6)において、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8-20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10-16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。芳香族炭化水素環は、ベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
【0088】
上記式(a1)~(a6)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0089】
上記式(a1)~(a6)において、アルキル基としては、炭素原子数1以上18以下の直鎖アルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、及びn-オクタデシル等)、炭素原子数3以上18以下の分岐鎖アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、イソヘキシル、及びイソオクタデシル等)、並びに炭素原子数3以上18以下のシクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及び4-デシルシクロヘキシル等)等が挙げられる。特に、上記式(a1)、(a2)、及び(a4)~(a6)において、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基とは、アルキル基及びハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、上記の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、又はシクロアルキル基における少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子で置換した基(モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル等)等が挙げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基のうち、R、R、R、又はR10については、トリフルオロメチル基が特に好ましく、R、R、R11、又はR12については、メチル基が特に好ましい。
【0090】
上記式(a2)~(a6)において、アルコキシ基としては、炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ヘキシルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、及びオクタデシルオキシ等)等が挙げられる。
【0091】
上記式(a2)~(a6)において、アルキルカルボニル基におけるアルキル基としては、上述の炭素原子数1以上18以下の直鎖アルキル基、炭素原子数3以上18以下の分岐鎖アルキル基又は炭素原子数3以上18以下のシクロアルキル基が挙げられ、アルキルカルボニル基としては、炭素原子数2以上18以下の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキルカルボニル基(アセチル、プロピオニル、ブタノイル、2-メチルプロピオニル、ヘプタノイル、2-メチルブタノイル、3-メチルブタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、シクロペンタノイル基、及びシクロヘキサノイル基等)等が挙げられる。
【0092】
上記式(a3)~(a6)において、アリールカルボニル基としては、炭素原子数7以上11以下のアリールカルボニル基(ベンゾイル及びナフトイル等)等が挙げられる。
【0093】
上記式(a2)~(a6)において、アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数2以上19以下の直鎖又は分岐鎖アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、オクチロキシカルボニル、テトラデシルオキシカルボニル、及びオクタデシロキシカルボニル等)等が挙げられる。
【0094】
上記式(a3)~(a6)において、アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数7以上11以下のアリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル及びナフトキシカルボニル等)等が挙げられる。
【0095】
上記式(a3)~(a6)において、アリールチオカルボニル基としては、炭素原子数7以上11以下のアリールチオカルボニル基(フェニルチオカルボニル及びナフトキシチオカルボニル等)等が挙げられる。
【0096】
上記式(a2)~(a6)において、アシロキシ基としては、炭素原子数2以上19以下の直鎖又は分岐鎖アシロキシ基(アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、イソプロピルカルボニルオキシ、ブチルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec-ブチルカルボニルオキシ、tert-ブチルカルボニルオキシ、オクチルカルボニルオキシ、テトラデシルカルボニルオキシ、及びオクタデシルカルボニルオキシ等)等が挙げられる。
【0097】
上記式(a3)~(a6)において、アリールチオ基としては、炭素原子数6以上20以下のアリールチオ基(フェニルチオ、2-メチルフェニルチオ、3-メチルフェニルチオ、4-メチルフェニルチオ、2-クロロフェニルチオ、3-クロロフェニルチオ、4-クロロフェニルチオ、2-ブロモフェニルチオ、3-ブロモフェニルチオ、4-ブロモフェニルチオ、2-フルオロフェニルチオ、3-フルオロフェニルチオ、4-フルオロフェニルチオ、2-ヒドロキシフェニルチオ、4-ヒドロキシフェニルチオ、2-メトキシフェニルチオ、4-メトキシフェニルチオ、1-ナフチルチオ、2-ナフチルチオ、4-[4-(フェニルチオ)ベンゾイル]フェニルチオ、4-[4-(フェニルチオ)フェノキシ]フェニルチオ、4-[4-(フェニルチオ)フェニル]フェニルチオ、4-(フェニルチオ)フェニルチオ、4-ベンゾイルフェニルチオ、4-ベンゾイル-2-クロロフェニルチオ、4-ベンゾイル-3-クロロフェニルチオ、4-ベンゾイル-3-メチルチオフェニルチオ、4-ベンゾイル-2-メチルチオフェニルチオ、4-(4-メチルチオベンゾイル)フェニルチオ、4-(2-メチルチオベンゾイル)フェニルチオ、4-(p-メチルベンゾイル)フェニルチオ、4-(p-エチルベンゾイル)フェニルチオ4-(p-イソプロピルベンゾイル)フェニルチオ、及び4-(p-tert-ブチルベンゾイル)フェニルチオ等)等が挙げられる。
【0098】
上記式(a2)~(a6)において、アルキルチオ基としては、炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、tert-ペンチルチオ、オクチルチオ、デシルチオ、ドデシルチオ、及びイソオクタデシルチオ等)等が挙げられる。
【0099】
上記式(a3)~(a6)において、アリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基(フェニル、トリル、ジメチルフェニル、及びナフチル等)等が挙げられる。
【0100】
上記式(a2)において、複素環式脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数2以上20以下(好ましくは4以上20以下)の複素環式炭化水素基(ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、等)等が挙げられる。
【0101】
上記式(a3)~(a6)において、複素環式炭化水素基としては、炭素原子数4以上20以下の複素環式炭化水素基(チエニル、フラニル、セレノフェニル、ピラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、キサンテニル、チアントレニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、クロマニル、イソクロマニル、ジベンゾチエニル、キサントニル、チオキサントニル、及びジベンゾフラニル等)等が挙げられる。
【0102】
上記式(a3)~(a6)において、アリールオキシ基としては、炭素原子数6以上10以下のアリールオキシ基(フェノキシ及びナフチルオキシ等)等が挙げられる。
【0103】
上記式(a2)~(a6)において、アルキルスルフィニル基としては、炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖スルフィニル基(メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec-ブチルスルフィニル、tert-ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、イソペンチルスルフィニル、ネオペンチルスルフィニル、tert-ペンチルスルフィニル、オクチルスルフィニル、及びイソオクタデシルスルフィニル等)等が挙げられる。
【0104】
上記式(a3)~(a6)において、アリールスルフィニル基としては、炭素原子数6以上10以下のアリールスルフィニル基(フェニルスルフィニル、トリルスルフィニル、及びナフチルスルフィニル等)等が挙げられる。
【0105】
上記式(a2)~(a6)において、アルキルスルホニル基としては、炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホニル基(メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、ネオペンチルスルホニル、tert-ペンチルスルホニル、オクチルスルホニル、及びオクタデシルスルホニル等)等が挙げられる。
【0106】
上記式(a3)~(a6)において、アリールスルホニル基としては、炭素原子数6以上10以下のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル、トリルスルホニル(トシル基)、及びナフチルスルホニル等)等が挙げられる。
【0107】
上記式(a2)~(a6)において、ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基としては、HO(AO)-(式中、AOは独立にエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基を表し、qは1以上5以下の整数を表す。)で表されるヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基等が挙げられる。
【0108】
上記式(a2)~(a6)において、置換されていてよいアミノ基としては、アミノ基(-NH)及び炭素原子数1以上15以下の置換アミノ基(メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、n-プロピルアミノ、メチル-n-プロピルアミノ、エチル-n-プロピルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、イソプロピルメチルアミノ、イソプロピルエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、メチルフェニルアミノ、エチルフェニルアミノ、n-プロピルフェニルアミノ、及びイソプロピルフェニルアミノ等)等が挙げられる。
【0109】
上記式(a3)及び(a4)において、アルキレン基としては、炭素原子数1以上18以下の直鎖又は分岐鎖アルキレン基(メチレン基、1,2-エチレン基、1,1-エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、2-エチルヘキサン-1,6-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、及びヘキサデカン-1,16-ジイル基等)等が挙げられる。
【0110】
式(a1)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩は、例えば、下記スキームに従って合成することができる。具体的には、下記式(b1)で表される1-フルオロ-2-メチル-4-ニトロベンゼンに、水酸化カリウム等の塩基の存在下で、下記式(b2)で表される化合物を反応させて、下記式(b3)で表されるニトロ化合物を得、次いで、還元鉄の存在下で還元を行って、下記式(b4)で表されるアミン化合物を得る。このアミン化合物とMaNO(式中、Maは金属原子、例えば、ナトリウム原子等のアルカリ金属原子を示す。)で表される亜硝酸塩(例えば、亜硝酸ナトリウム)とを反応させてジアゾ化合物を得、次いで、このジアゾ化合物とCuX’(式中、X’は臭素原子等のハロゲン原子を示す。以下、同じ)で表されるハロゲン化第一銅とHX’で表されるハロゲン化水素とを混合し、反応を進行させて、下記式(b5)で表されるハロゲン化物を得る。このハロゲン化物及びマグネシウムからグリニャール試薬を調製し、次いで、クロロトリメチルシランの存在下で、このグリニャール試薬と下記式(b6)で表されるスルホキシド化合物とを反応させて、下記式(b7)で表されるスルホニウム塩を得ることができる。さらに、このスルホニウム塩をMbX”(式中、Mbは金属カチオン、例えば、カリウムイオン等のアルカリ金属カチオンを示し、X”はXで表される1価のアニオン(但し、ハロゲンアニオンを除く。)を示す。)で表される塩と反応させて塩交換を行うことにより、下記式(b8)で表されるスルホニウム塩を得ることができる。なお、下記式(b2)~(b8)において、R~R及びAは、上記式(a1)と同様である。
【0111】
<スキーム>
【化18】
【0112】
上記式(a1)で表されるカチオン部の具体例としては、以下のものが挙げられる。上記式(a1)で表されるカチオン部に対するアニオン部の具体例としては、上記で挙げたもの等、従来公知のものを挙げることができる。上記式(a1)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩は上記スキーム(スキーム中、Xは対アニオンを表す。)に従って合成することができ、必要に応じさらに塩交換することにより、カチオン部を所望のアニオン部と組み合わせることができ、特に、前記式(ai)で表されるアニオン部又は前記式(aii)で表されるアニオン部で表されるアニオンとの組み合わせが好ましい。
【0113】
【化19】
【0114】
上記の好ましいカチオン部の群の中では、下記式で表されるカチオン部がより好ましい。
【化20】
【0115】
感光性硬化剤として具体的には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾル-3-イル],1-(O-アセチルオキシム)、(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)[4-(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)-2-メチルフェニル]メタノンO-アセチルオキシム、2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1-オクタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物等が挙げられる。これらの感光性硬化剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0116】
これら感光性硬化剤の中で、オキシム系の感光性硬化剤を用いることが、感度の面では特に好ましい。オキシム系の感光性硬化剤の中で、特に好ましいものとしては、O-アセチル-1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンオキシム、エタノン,1-[9-エチル-6-(ピロール-2-イルカルボニル)-9H-カルバゾル-3-イル],1-(O-アセチルオキシム)、及び1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]が挙げられる。
【0117】
感光性硬化剤としては、また、下記式(c1)で表されるオキシム系化合物を用いることも好ましい。
【化21】
(Rc1は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、
n1は0以上4以下の整数であり、
n2は0、又は1であり、
c2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、
c3は、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。)
【0118】
式(c1)中、Rc1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rc1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。n1が2以上4以下の整数である場合、Rc1は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素原子数には、置換基がさらに有する置換基の炭素原子数を含まない。
【0119】
c1がアルキル基である場合、炭素原子数1以上20以下が好ましく、炭素原子数1以上6以下がより好ましい。また、Rc1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0120】
c1がアルコキシ基である場合、炭素原子数1以上20以下が好ましく、炭素原子数1以上6以下がより好ましい。また、Rc1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0121】
c1がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、炭素原子数3以上10以下が好ましく、炭素原子数3以上6以下がより好ましい。Rc1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0122】
c1が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素原子数2以上20以下が好ましく、炭素原子数2以上7以下がより好ましい。Rc1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0123】
c1がアルコキシカルボニル基である場合、炭素原子数2以上20以下が好ましく、炭素原子数2以上7以下がより好ましい。Rc1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシルカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0124】
c1がフェニルアルキル基である場合、炭素原子数7以上20以下が好ましく、炭素原子数7以上10以下がより好ましい。またRc1がナフチルアルキル基である場合、炭素原子数11以上20以下が好ましく、炭素原子数11以上14以下がより好ましい。Rc1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。Rc1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc1は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0125】
c1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rc1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0126】
c1が1、又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0127】
c1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rc1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0128】
c1の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0129】
c1がフェニル基に結合する位置は、Rc1が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がよりに好ましい。また、n1は、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0、又は1が特に好ましい。
【0130】
c2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。また、Rc2が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基上の窒素原子は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換されていてもよい。
【0131】
c2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基、又はカルバゾリル基が、炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0132】
c2がカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0133】
フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1、又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rc1と同様である。
【0134】
c2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン-1-イル基;ピペラジン-1-イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0135】
c2の中では、感度に優れる光重合開始剤を得やすい点から、下記式(c2)、又は(c3)で表される基が好ましく、下記式(c2)で表される基がより好ましく、下記式(c2)で表される基であって、AがSである基が特に好ましい。
【0136】
【化22】
(Rc4は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、n3は、0以上4以下の整数である。)
【0137】
【化23】
(Rc5及びRc6は、それぞれ、1価の有機基である。)
【0138】
式(c2)におけるRc4が有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(c2)においてRc4が有機基である場合の好適な例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基;炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基;炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン-1-イル基;ピペラジン-1-イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
【0139】
c4の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2-メチルフェニルカルボニル基;4-(ピペラジン-1-イル)フェニルカルボニル基;4-(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
【0140】
また、式(c2)において、n3は、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。n3が1である場合、Rc4の結合する位置は、Rc4が結合するフェニル基が酸素原子又は硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
【0141】
式(c3)におけるRc5は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rc5の好適な例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
【0142】
c5の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0143】
式(c3)におけるRc6は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rc6として好適な基の具体例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rc6として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基がより好ましく、2-メチルフェニル基が特に好ましい。
【0144】
c4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rc4、Rc5、又はRc6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0145】
式(c1)におけるRc3は、水素原子、又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。Rc3としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0146】
式(c1)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記のCA-1~CA-42が挙げられる。
【化24】
【0147】
【化25】
【0148】
【化26】
【0149】
【化27】
【0150】
【化28】
【0151】
【化29】
【0152】
また、下記式(c4)で表されるオキシムエステル化合物も、感光性硬化剤として好ましい。
【0153】
【化30】
(Rc7は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、Rc8及びRc9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、Rc8とRc9とは相互に結合して環を形成してもよく、Rc10は1価の有機基であり、Rc11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n4は0以上4以下の整数であり、n5は0又は1である。)
【0154】
ここで、式(c4)のオキシムエステル化合物を製造するためのオキシム化合物としては、下式(c5)で表される化合物が好適である。
【0155】
【化31】
(Rc7、Rc8、Rc9、Rc10、n4、及びn5は、式(c4)と同様である。)
【0156】
式(c4)及び(c5)中、Rc7は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。Rc7は、式(c4)中のフルオレン環上で、-(CO)n5-で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(c4)中、Rc7のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(c4)で表される化合物が1以上のRc7を有する場合、式(c4)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRc7のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。Rc7が複数である場合、複数のRc7は同一であっても異なっていてもよい。
【0157】
c7が有機基である場合、Rc7は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rc7が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基等が挙げられる。
【0158】
c7がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc7がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc7がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc7がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0159】
c7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc7がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc7がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0160】
c7がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。Rc7がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc7がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0161】
c7が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2以上21以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc7が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc7が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0162】
c7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc7がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0163】
c7がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、Rc7がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。Rc7がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。Rc7がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc7が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc7は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0164】
c7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。Rc7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0165】
c7がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rc7がヘテロシクリル基である場合と同様である。
【0166】
c7が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上21以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc7と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0167】
c7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。Rc7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0168】
以上説明した基の中でも、Rc7としては、ニトロ基、又はRc12-CO-で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。Rc12は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rc12として好適な基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rc12として、これらの基の中では、2-メチルフェニル基、チオフェン-2-イル基、及びα-ナフチル基が特に好ましい。
また、Rc7が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、Rc7が水素原子であり且つRc10が後述の式(c4a)又は(c4b)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
【0169】
式(c4)中、Rc8及びRc9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Rc8とRc9とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rc8及びRc9として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rc8及びRc9が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
【0170】
c8及びRc9が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Rc8及びRc9が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc8及びRc9がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0171】
c8及びRc9が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rc7がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rc7がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rc7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0172】
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1以上20以下であり、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0173】
c8及びRc9が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rc8及びRc9が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rc8及びRc9が鎖状アルキル基である場合と同様である。
【0174】
c8及びRc9が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素-炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
【0175】
c8及びRc9が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3以上20以下が好ましく、3以上10以下がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
【0176】
c8及びRc9がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0177】
c8とRc9とは相互に結合して環を形成してもよい。Rc8とRc9とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rc8とRc9とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環~6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
【0178】
c8とRc9とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
【0179】
以上説明したRc8及びRc9の中でも好適な基の例としては、式-A-Aで表される基が挙げられる。式中、Aは直鎖アルキレン基であり、Aは、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である。
【0180】
の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。Aがアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。Aがハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。Aがハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Aが環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rc8及びRc9が置換基として有する環状有機基と同様である。Aがアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rc8及びRc9が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
【0181】
c8及びRc9の好適な具体例としては、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、及びn-オクチル基等のアルキル基;2-メトキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピル基、4-メトキシ-n-ブチル基、5-メトキシ-n-ペンチル基、6-メトキシ-n-ヘキシル基、7-メトキシ-n-ヘプチル基、8-メトキシ-n-オクチル基、2-エトキシエチル基、3-エトキシ-n-プロピル基、4-エトキシ-n-ブチル基、5-エトキシ-n-ペンチル基、6-エトキシ-n-ヘキシル基、7-エトキシ-n-ヘプチル基、及び8-エトキシ-n-オクチル基等のアルコキシアルキル基;2-シアノエチル基、3-シアノ-n-プロピル基、4-シアノ-n-ブチル基、5-シアノ-n-ペンチル基、6-シアノ-n-ヘキシル基、7-シアノ-n-ヘプチル基、及び8-シアノ-n-オクチル基等のシアノアルキル基;2-フェニルエチル基、3-フェニル-n-プロピル基、4-フェニル-n-ブチル基、5-フェニル-n-ペンチル基、6-フェニル-n-ヘキシル基、7-フェニル-n-ヘプチル基、及び8-フェニル-n-オクチル基等のフェニルアルキル基;2-シクロヘキシルエチル基、3-シクロヘキシル-n-プロピル基、4-シクロヘキシル-n-ブチル基、5-シクロヘキシル-n-ペンチル基、6-シクロヘキシル-n-ヘキシル基、7-シクロヘキシル-n-ヘプチル基、8-シクロヘキシル-n-オクチル基、2-シクロペンチルエチル基、3-シクロペンチル-n-プロピル基、4-シクロペンチル-n-ブチル基、5-シクロペンチル-n-ペンチル基、6-シクロペンチル-n-ヘキシル基、7-シクロペンチル-n-ヘプチル基、及び8-シクロペンチル-n-オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2-メトキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、4-メトキシカルボニル-n-ブチル基、5-メトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-メトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-メトキシカルボニル-n-ヘプチル基、8-メトキシカルボニル-n-オクチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、4-エトキシカルボニル-n-ブチル基、5-エトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-エトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-エトキシカルボニル-n-ヘプチル基、及び8-エトキシカルボニル-n-オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2-クロロエチル基、3-クロロ-n-プロピル基、4-クロロ-n-ブチル基、5-クロロ-n-ペンチル基、6-クロロ-n-ヘキシル基、7-クロロ-n-ヘプチル基、8-クロロ-n-オクチル基、2-ブロモエチル基、3-ブロモ-n-プロピル基、4-ブロモ-n-ブチル基、5-ブロモ-n-ペンチル基、6-ブロモ-n-ヘキシル基、7-ブロモ-n-ヘプチル基、8-ブロモ-n-オクチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0182】
c8及びRc9として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、2-メトキシエチル基、2-シアノエチル基、2-フェニルエチル基、2-シクロヘキシルエチル基、2-メトキシカルボニルエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基である。
【0183】
c10の好適な有機基の例としては、Rc7と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、Rc7について説明した基と同様である。また、Rc10としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rc7に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
【0184】
有機基の中でも、Rc10としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2-メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2-(4-クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
【0185】
また、Rc10としては、-A-CO-O-Aで表される基も好ましい。Aは、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。Aは、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
【0186】
がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Aがアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下が特に好ましい。
【0187】
の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数6以上20以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。Aの好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、及びβ-ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0188】
-A-CO-O-Aで表される基の好適な具体例としては、2-メトキシカルボニルエチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、2-n-プロピルオキシカルボニルエチル基、2-n-ブチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ペンチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2-ベンジルオキシカルボニルエチル基、2-フェノキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-プロピルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ペンチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ヘキシルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-ベンジルオキシカルボニル-n-プロピル基、及び3-フェノキシカルボニル-n-プロピル基等が挙げられる。
【0189】
以上、Rc10について説明したが、Rc10としては、下記式(c4a)又は(c4b)で表される基が好ましい。
【化32】
(式(c4a)及び(c4b)中、Rc13及びRc14はそれぞれ有機基であり、n6は0以上4以下の整数であり、Rc13及びRc14がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、Rc13とRc14とが互いに結合して環を形成してもよく、n7は1以下8以下の整数であり、n8は1以上5以下の整数であり、n9は0以上(n8+3)以下の整数であり、Rc15は有機基である。)
【0190】
式(c4a)中のRc13及びRc14についての有機基の例は、Rc7と同様である。Rc13としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rc13がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1以下10以上が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、Rc13はメチル基であるのが最も好ましい。Rc13とRc14とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(c4a)で表される基であって、Rc13とRc14とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン-1-イル基や、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-5-イル基等が挙げられる。上記式(c4a)中、n6は0以上4以下の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
【0191】
上記式(c4b)中、Rc15は有機基である。有機基としては、Rc7について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。Rc15としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
【0192】
上記式(c4b)中、n8は1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(c4b)中、n9は0以上(n8+3)以下であり、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(c4b)中、n7は1以上8以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
【0193】
式(c4)中、Rc11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Rc11がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、Rc7がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
【0194】
式(c4)中、Rc11としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0195】
式(c4)で表される化合物は、前述の式(c5)で表される化合物に含まれるオキシム基(>C=N-OH)を、>C=N-O-CORc11で表されるオキシムエステル基に変換する工程を含む方法により製造される。Rc11は、式(c4)中のRc11と同様である。
【0196】
オキシム基(>C=N-OH)の、>C=N-O-CORc11で表されるオキシムエステル基への変換は、前述の式(c5)で表される化合物と、アシル化剤とを反応させることにより行われる。
-CORc11で表されるアシル基を与えるアシル化剤としては、(Rc11CO)Oで表される酸無水物や、Rc11COHal(Halはハロゲン原子)で表される酸ハライドが挙げられる。
【0197】
式(c4)で表される化合物の好適な具体例としては、以下のCA-43~CA-83が挙げられる。
【化33】
【0198】
【化34】
【0199】
感エネルギー性組成物における感エネルギー性硬化剤(A)の含有量は、感エネルギー性組成物の硬化が良好に進行する限り特に限定されない。感エネルギー性組成物を良好に硬化させやすい点から、典型的には、後述する芳香族ビニルエーテル化合物(B)100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下が好ましく、0.1質量部以上10質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上5質量部以下が特に好ましい。
感エネルギー性硬化剤(A)が感光性硬化剤と感光性硬化剤に該当しない感熱性硬化剤とを含むときは、前者と後者の質量比は、例えば感光性硬化剤:感光性硬化剤に該当しない感熱性硬化剤が1:99~99:1であり、好ましくは10:90~90:10である。
感エネルギー性硬化剤(A)が、式(ai)で表されるアニオン部を有する含ガリウムオニウム塩及び式(aii)で表されるアニオン部を有する含ホウ素オニウム塩の両者を含む場合、前者と後者の質量比は、例えば式(ai)で表されるアニオン部を有する含ガリウムオニウム塩:式(aii)で表されるアニオン部を有する含ホウ素オニウム塩が1:99~99:1であり、好ましくは10:90~90:10である。
【0200】
<芳香族ビニルエーテル化合物(B)>
感エネルギー性組成物は、芳香族ビニルエーテル化合物(B)を含む。そして、芳香族ビニルエーテル化合物(B)は、下記式(1)で表される化合物、及び、下記式(1)で表される化合物の2量体の少なくとも一方を含む。さらに、芳香族ビニルエーテル化合物(B)の分子量は1000以下である。なお、感エネルギー性組成物は、2種以上の異なる芳香族ビニルエーテル化合物(B)を組み合わせて含んでいてもよい。
【0201】
【化35】
(式(1)中、W及びWは、それぞれ独立に下記式(2)で表される基、下記式(3)で表される基、又は水酸基を示し、ただし、W及びWの少なくとも一方は、前述の式(2)で表される基であり、環Y及び環Yは同一の又は異なる芳香族炭化水素環を示し、Rは単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、置換基を有していてもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、-O-で示される基、-NH-で示される基、又は-S-で示される基を示し、R3a及びR3bはそれぞれ独立にシアノ基、ハロゲン原子、又は1価炭化水素基を示し、n1及びn2はそれぞれ独立に0以上4以下の整数を示す。)
【化36】
(式(2)中、環Zは芳香族炭化水素環を示し、Xは単結合又は-S-で示される基を示し、R2bは1価炭化水素基、水酸基、-OR4aで示される基、-SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、-NHR4cで示される基、-N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、スルホ基、又は1価炭化水素基、-OR4aで示される基、-SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、-NHR4cで示される基、若しくは-N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が1価炭化水素基、水酸基、-OR4aで示される基、-SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、-NHR4cで示される基、-N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基を示し、R4a~R4dはそれぞれ独立に1価炭化水素基を示し、mは0以上の整数を示す。)
【化37】
(式(3)中、R1bは単結合又は炭素原子数1以上4以下のアルキレン基を示し、環Z、X、R2b、及びmは前述の式(2)で示されたこれらの定義と同義である。)
【0202】
上記式(1)において、W及びWのいずれもが下記式(2)で表される基であることがより好ましい。
【0203】
上記式(2)及び(3)において、環Zとしては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8-20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10-16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。環Zは、ベンゼン環又はナフタレン環であるのが好ましく、ナフタレン環であるのがより好ましい。なお、Wに含まれる環ZとWに含まれる環Zとは、同一でも異なっていてもよく、例えば、一方の環がベンゼン環、他方の環がナフタレン環等であってもよいが、いずれの環もナフタレン環であることが特に好ましい。また、W及びWの両方が直結する炭素原子にXを介して結合する環Zの置換位置は、特に限定されない。例えば、環Zがナフタレン環の場合、上記炭素原子に結合する環Zに対応する基は、1-ナフチル基、2-ナフチル基等であってもよい。
【0204】
上記式(2)及び(3)において、Xは、独立に単結合又は-S-で示される基を示し、典型的には単結合である。
【0205】
上記式(3)において、R1bとしては、例えば、単結合;メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン-1,2-ジイル基等の炭素数1以上4以下のアルキレン基が挙げられ、単結合;C2-4アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基等のC2-3アルキレン基)が好ましく、単結合がより好ましい。
【0206】
上記式(2)及び(3)において、R2bとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のC1-12アルキル基、好ましくはC1-8アルキル基、より好ましくはC1-6アルキル基等)、シクロアルキル基(シクロへキシル基等のC5-10シクロアルキル基、好ましくはC5-8シクロアルキル基、より好ましくはC5-6シクロアルキル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のC6-14アリール基、好ましくはC6-10アリール基、より好ましくはC6-8アリール基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等のC6-10アリール-C1-4アルキル基等)等の1価炭化水素基;水酸基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のC1-12アルコキシ基、好ましくはC1-8アルコキシ基、より好ましくはC1-6アルコキシ基等)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基等のC5-10シクロアルコキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等のC6-10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等のC6-10アリール-C1-4アルキルオキシ基)等の-OR4aで示される基[式中、R4aは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等のC1-12アルキルチオ基、好ましくはC1-8アルキルチオ基、より好ましくはC1-6アルキルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(シクロへキシルチオ基等のC5-10シクロアルキルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等のC6-10アリールチオ基)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基等のC6-10アリール-C1-4アルキルチオ基)等の-SR4bで示される基[式中、R4bは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];アシル基(アセチル基等のC1-6アシル基等);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等のC1-4アルコキシ-カルボニル基等);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等);ニトロ基;シアノ基;メルカプト基;カルボキシル基;アミノ基;カルバモイル基;アルキルアミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基等のC1-12アルキルアミノ基、好ましくはC1-8アルキルアミノ基、より好ましくはC1-6アルキルアミノ基等)、シクロアルキルアミノ基(シクロへキシルアミノ基等のC5-10シクロアルキルアミノ基等)、アリールアミノ基(フェニルアミノ基等のC6-10アリールアミノ基)、アラルキルアミノ基(例えば、ベンジルアミノ基等のC6-10アリール-C1-4アルキルアミノ基)等の-NHR4cで示される基[式中、R4cは1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等のジ(C1-12アルキル)アミノ基、好ましくはジ(C1-8アルキル)アミノ基、より好ましくはジ(C1-6アルキル)アミノ基等)、ジシクロアルキルアミノ基(ジシクロへキシルアミノ基等のジ(C5-10シクロアルキル)アミノ基等)、ジアリールアミノ基(ジフェニルアミノ基等のジ(C6-10アリール)アミノ基)、ジアラルキルアミノ基(例えば、ジベンジルアミノ基等のジ(C6-10アリール-C1-4アルキル)アミノ基)等の-N(R4dで示される基[式中、R4dは独立に1価炭化水素基(上記例示の1価炭化水素基等)を示す。];(メタ)アクリロイルオキシ基;スルホ基;上記の1価炭化水素基、-OR4aで示される基、-SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、-NHR4cで示される基、若しくは-N(R4dで示される基に含まれる炭素原子に結合した水素原子の少なくとも一部が上記の1価炭化水素基、水酸基、-OR4aで示される基、-SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、-NHR4cで示される基、-N(R4dで示される基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メシルオキシ基、若しくはスルホ基で置換された基[例えば、アルコキシアリール基(例えば、メトキシフェニル基等のC1-4アルコキシC6-10アリール基)、アルコキシカルボニルアリール基(例えば、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等のC1-4アルコキシ-カルボニルC6-10アリール基等)]等が挙げられる。
【0207】
これらのうち、代表的には、R2bは、1価炭化水素基、-OR4aで示される基、-SR4bで示される基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-NHR4cで示される基、-N(R4dで示される基等であってもよい。
【0208】
好ましいR2bとしては、1価炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1-6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5-8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6-10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6-8アリール-C1-2アルキル基)等]、アルコキシ基(C1-4アルコキシ基等)等が挙げられる。特に、R2bは、アルキル基[C1-4アルキル基(特にメチル基)等]、アリール基[例えば、C6-10アリール基(特にフェニル基)等]等の1価炭化水素基(特に、アルキル基)であるのが好ましい。
【0209】
なお、mが2以上の整数である場合、R2bは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、W及びWがいずれも上記式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記式(2)で表される基であり、他方が上記式(3)で表される基である場合、Wに含まれるR2bとWに含まれるR2bとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0210】
上記式(2)及び(3)において、R2bの数mは、環Zの種類に応じて選択でき、例えば、0以上4以下、好ましくは0以上3以下、より好ましくは0以上2以下であってもよい。なお、W及びWがいずれも上記式(2)で表される基である場合、又は、W及びWの一方が上記式(2)で表される基であり、他方が上記式(3)で表される基である場合、WにおけるmとWにおけるmとは、同一でも異なっていてもよい。
【0211】
上記式(1)において、環Y及び環Yとしては、例えば、ベンゼン環、縮合多環式芳香族炭化水素環[例えば、縮合二環式炭化水素環(例えば、ナフタレン環等のC8-20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10-16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式芳香族炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合2乃至4環式芳香族炭化水素環]等が挙げられる。環Y及び環Yは、ベンゼン環又はナフタレン環であるのが好ましい。なお、環Y及び環Yは、同一でも異なっていてもよく、例えば、一方の環がベンゼン環、他方の環がナフタレン環等であってもよい。
【0212】
上記式(1)において、Rは単結合、置換基を有してもよいメチレン基、置換基を有してもよく、2個の炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよいエチレン基、-O-で示される基、-NH-で示される基、又は-S-で示される基を示し、典型的には単結合である。ここで、置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、1価炭化水素基[例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基等のC1-6アルキル基)、アリール基(フェニル基等のC6-10アリール基)等]等が挙げられ、ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、珪素原子等が挙げられる。
【0213】
上記式(1)において、R3a及びR3bとしては、通常、非反応性置換基、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、1価炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基等のC6-10アリール基)等]等が挙げられ、シアノ基又はアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基等のC1-6アルキル基(例えば、C1-4アルキル基、特にメチル基)等が例示できる。なお、n1が2以上の整数である場合、R3aは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、n2が2以上の整数である場合、R3bは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。さらに、R3aとR3bとが同一であってもよく、異なっていてもよい。また、環Y及び環Yに対するR3a及びR3bの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数n1及びn2は、0又は1、特に0である。なお、n1及びn2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0214】
上記式(1)で表される化合物は、優れた光学的特性及び熱的特性を保持しつつ、ビニロキシ基を有するため、高い反応性を有する。特に、環Y及び環Yがベンゼン環であり、Rが単結合である場合、上記式(1)で表される化合物は、フルオレン骨格を有し、光学的特性及び熱的特性にさらに優れる。
このような上記式(1)で表される化合物は、重合することができるため、重合性モノマーとして機能する。特に、W及びWがいずれも上記式(2)で表される基である場合、上記式(1)で表される化合物は、カチオン重合することができるため、カチオン重合性モノマーとして機能する。
さらに、上記式(1)で表される化合物は、高い硬度を有する硬化物を与えることができる。
【0215】
上記式(1)で表される化合物のうち、特に好ましい具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0216】
【化38】
【0217】
【化39】
【0218】
【化40】
【0219】
【化41】
【0220】
これらの化合物群の中では、下記式で表される化合物が好ましい。
【化42】
【0221】
本発明における芳香族ビニルエーテル化合物(B)は、このような式(1)で表される化合物、及び/又は式(1)で表される化合物の2量体を含む。また、芳香族ビニルエーテル化合物(B)の分子量は、1000以下である。したがって、芳香族ビニルエーテル化合物(B)が含む式(1)で表される化合物や、式(1)で表される化合物の2量体は、分子量が1000以下である。このように特定の構造を有し特定の分子量を有する芳香族ビニルエーテル化合物を芳香族ビニルエーテル化合物(B)として含むことにより、詳しくは後述する製造工程を経ることにより、表面に段差を有する基板上に優れた平坦性及び溶剤耐性を有する平坦化膜が設けられた、平坦化膜を具備する基板を製造できる。
【0222】
芳香族ビニルエーテル化合物(B)は、上記式(1)で表される化合物、及び上記式(1)で表される化合物の2量体以外の芳香族ビニルエーテル化合物を含んでいてもよい。式(1)で表される化合物以外の芳香族ビニルエーテル化合物が有するビニロキシ基の数は、特に限定されず、典型的には1又は2である。つまり、式(1)で表される化合物以外の芳香族ビニルエーテル化合物としては、芳香族モノビニルエーテル化合物と、芳香族ジビニルエーテル化合物とが好ましく、芳香族ジビニルエーテル化合物がより好ましい。
【0223】
芳香族モノビニルエーテル化合物の具体例としては、ビニルフェニルエーテル、4-ビニロキシトルエン、3-ビニロキシトルエン、2-ビニロキシトルエン、1-ビニロキシ-4-クロロベンゼン、1-ビニロキシ-3-クロロベンゼン、1-ビニロキシ-2-クロロベンゼン、1-ビニロキシ-2,3-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-2,4-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-2,5-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-2,6-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-3,4-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシ-3,5-ジメチルベンゼン、1-ビニロキシナフタレン、2-ビニロキシナフタレン、2-ビニロキシフルオレン、3-ビニロキシフルオレン、4-ビニロキシ-1,1’-ビフェニル、3-ビニロキシ-1,1’-ビフェニル、2-ビニロキシ-1,1’-ビフェニル、6-ビニロキシテトラリン、及び5-ビニロキシテトラリン等が挙げられる。
【0224】
芳香族ジビニルエーテル化合物の具体例としては、1,4-ジビニロキシベンゼン、1,3-ジビニロキシベンゼン、1,2-ジビニロキシベンゼン、1,4-ジビニロキシナフタレン、1,3-ジビニロキシナフタレン、1,2-ジビニロキシナフタレン、1,5-ジビニロキシナフタレン、1,6-ジビニロキシナフタレン、1,7-ジビニロキシナフタレン、1,8-ジビニロキシナフタレン、2,3-ジビニロキシナフタレン、2,6-ジビニロキシナフタレン、2,7-ジビニロキシナフタレン、1,2-ジビニロキシフルオレン、3,4-ジビニロキシフルオレン、2,7-ジビニロキシフルオレン、4,4’-ジビニロキシビフェニル、3,3’-ジビニロキシビフェニル、2,2’-ジビニロキシビフェニル、3,4’-ジビニロキシビフェニル、2,3’-ジビニロキシビフェニル、2,4’-ジビニロキシビフェニル、ビスフェノールAジビニルエーテル等が挙げられる。
【0225】
芳香族ビニルエーテル化合物(B)の質量における、上記式(1)で表される化合物、及び上記式(1)で表される化合物の2量体の含有量の合計は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらにより好ましく、95質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
【0226】
感エネルギー性組成物における、芳香族ビニルエーテル化合物(B)の含有量は、感エネルギー性組成物の硬化が良好に進行する限り特に限定されない。感エネルギー性組成物を良好に硬化させやすい点から、典型的には、感エネルギー性組成物の固形分全体を100質量部としたときに、48.0質量部以上99.9質量部以下が好ましく、50.0質量部以上99.5質量部以下がより好ましく、70.0質量部以上99質量部以下が特に好ましい。
【0227】
<その他の成分>
感エネルギー性組成物には、必要に応じて、架橋剤(例えば、後述のP1やP2等も含む)、増感剤、界面活性剤、熱重合禁止剤、消泡剤、シランカップリング剤、着色剤(顔料、染料)、無機フィラー、有機フィラー等の添加剤を含有させることができる。いずれの添加剤も、従来公知のものを用いることができる。
また、感エネルギー性組成物は、実質的に非重合体成分からなるが、本発明の効果を損なわない範囲で重合体(エポキシ樹脂等の公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、アルカリ可溶性樹脂等)を含んでいてもよい。重合体の含有量は感エネルギー性組成物の固形分全体に対して、例えば、0質量%以上5質量%以下である。
【0228】
増感剤としては、従来より種々のカチオン重合開始剤と併用されている公知の増感剤を特に制限なく用いることができる。
増感剤の具体例としては、アントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、及び9,10-ジプロポキシアントラセン等のアントラセン化合物;ピレン;1,2-ベンズアントラセン;ペリレン;テトラセン;コロネン;チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン及び2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン化合物;フェノチアジン、N-メチルフェノチアジン、N-エチルフェノチアジン、及びN-フェニルフェノチアジン等のフェノチアジン化合物;キサントン;1-ナフトール、2-ナフトール、1-メトキシナフタレン、2-メトキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、及び4-メトキシ-1-ナフトール等のナフタレン化合物;ジメトキシアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、4’-イソプロピル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、及び4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド等のケトン;N-フェニルカルバゾール、N-エチルカルバゾール、ポリ-N-ビニルカルバゾール、及びN-グリシジルカルバゾール等のカルバゾール化合物;1,4-ジメトキシクリセン及び1,4-ジ-α-メチルベンジルオキシクリセン等のクリセン化合物;9-ヒドロキシフェナントレン、9-メトキシフェナントレン、9-ヒドロキシ-10-メトキシフェナントレン、及び9-ヒドロキシ-10-エトキシフェナントレン等のフェナントレン化合物が挙げられる。
これらの増感剤は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
増感剤の使用量は特に限定されないが、感エネルギー性硬化剤(A)100質量部に対して、1質量部以上300質量部以下が好ましく、5質量部以上200質量部以下がより好ましい。かかる範囲の増感剤を用いることにより、所望する増感作用を得やすい。
【0229】
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の化合物が挙げられ、熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられ、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系化合物等が挙げられる。
また、感エネルギー性組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、芳香族基上にビニロキシ基を有さないビニルエーテル化合物やエポキシ化合物等の、芳香族ビニルエーテル化合物(B)以外の重合性の化合物を含んでいてもよい。
【0230】
本実施形態においては、硬化物(平坦化膜)について高屈折率化させる観点で、エポキシ基含有フルオレン化合物を感エネルギー性組成物に含ませることも好ましい態様の1つとして挙げられる。典型的には、9,9-ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレン類を含む下記式(P1)で表される化合物がより好ましい。
【0231】
【化43】
(式(P1)中、環ZP1は縮合多環式芳香族炭化水素環、RP1及びRP2は置換基、RP3は水素原子又はメチル基を示し、k1は0以上4以下の整数、k2は0以上の整数、k3は1以上の整数である。)
【0232】
上記式(P1)において、環ZP1で表される縮合多環式芳香族炭化水素環としては、縮合二環式炭化水素環(例えば、インデン環、ナフタレン環等のC8~C20縮合二環式炭化水素環、好ましくはC10~C16縮合二環式炭化水素環)、縮合三環式炭化水素環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環等)等の縮合二~四環式炭化水素環等が挙げられる。好ましい縮合多環式芳香族炭化水素環としては、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられ、特にナフタレン環が好ましい。なお、フルオレンの9位に置換する2つの環ZP1は同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
【0233】
なお、フルオレンの9位に置換する環ZP1の置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレンの9位に置換するナフチル基は、1-ナフチル基、2-ナフチル基等であってもよく、特に2-ナフチル基であるのが好ましい。
【0234】
また、上記式(P1)において、RP1で表される置換基としては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基等のC6~C10アリール基)等]等の非反応性置換基が挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基等のC1~C6アルキル基(例えば、C1~C4アルキル基、特にメチル基)等が例示できる。なお、k1が複数(2以上)である場合、RP1は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換するRP1は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対するRP1の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましいk1は、0又は1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、k1は、互いに同一又は異なっていてもよい。
【0235】
環ZP1に置換するRP2としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のC1~C12アルキル基、好ましくはC1~C8アルキル基、さらに好ましくはC1~C6アルキル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロへキシル基等のC5~C8シクロアルキル基、好ましくはC5~C6シクロアルキル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基等のC6~C14アリール基、好ましくはC6~C10アリール基、さらに好ましくはC6~C8アリール基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等のC6~C10アリール基とC1~C4アルキル基とが結合してなるアラルキル基等)等の炭化水素基;アルコキシ基(例えば、メトキシ基等のC1~C8アルコキシ基、好ましくはC1~C6アルコキシ基等)、シクロアルコキシ基(C5~C10シクロアルキルオキシ基等)、アリールオキシ基(C6~C10アリールオキシ基等)等の基-ORP4[式中、RP4は炭化水素基(上記例示の炭化水素基等)を示す。];アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基等のC1~C8アルキルチオ基、好ましくはC1~C6アルキルチオ基等)等の基-SRP4(式中、RP4は上記と同じ。);アシル基(例えば、アセチル基等のC1~C6アシル基等);アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基等のC1~C4アルコキシ基とカルボニル基とが結合してなるアルコキシカルボニル基等);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等);ヒドロキシル基;ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基等)等が挙げられる。
【0236】
これらのうち、RP2は、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基等であるのが好ましく、特に、好ましいRP2は、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1~C6アルキル基)]、アルコキシ基(C1~C4アルコキシ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等である。
【0237】
なお、同一の環ZP1において、k2が複数(2以上)である場合、RP2は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、2つの環ZP1において、RP2は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、好ましいk2は、0以上8以下、好ましくは0以上6以下(例えば、1以上5以下)、さらに好ましくは0以上4以下、特に0以上2以下(例えば、0又は1)であってもよい。なお、2つの環ZP1において、k2は、互いに同一又は異なっていてもよい。
【0238】
なお、上記式(P1)において、RP3は、水素原子又はメチル基であり、好ましいRP3は水素原子である。
【0239】
上記式(P1)において、k3は、1以上であればよく、例えば、1以上4以下、好ましくは1以上3以下、さらに好ましくは1又は2、特に1であってもよい。なお、k3は、それぞれの環ZP1において、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。なお、エポキシ基含有基の置換位置は、特に限定されず、環ZP1の適当な置換位置に置換していればよい。特に、エポキシ基含有基は、縮合多環式炭化水素環において、フルオレンの9位に結合した炭化水素環とは別の炭化水素環(例えば、ナフタレン環の5位、6位等)に少なくとも置換している場合が多い。
【0240】
上記式(P1)で表される具体的な化合物としては、例えば、9,9-ビス(グリシジルオキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9-ビス(6-グリシジルオキシ-2-ナフチル)フルオレン、9,9-ビス(5-グリシジルオキシ-1-ナフチル)フルオレン等]等の上記式(P1)においてk3が1である化合物等が挙げられる。
【0241】
また、本実施形態においては、硬化物(平坦化膜)について高屈折率化させる観点で、水酸基含有フルオレン化合物を感エネルギー性組成物に含ませることも好ましい態様の1つとして挙げられる。典型的には、下記式(P2)で表される化合物を含むことが好ましい。
式(P2)において、RP1、RP2、ZP1、k1、k2、及びk3は、式(P1)と同様である。
【化44】
【0242】
<溶剤(S)>
感エネルギー性組成物は、塗布性や粘度の調整の目的で、溶剤(S)を含むのが好ましい。溶剤(S)としては、典型的には有機溶剤が用いられる。有機溶剤の種類は、感エネルギー性組成物に含まれる成分を、均一に溶解又は分散させることができれば特に限定されない。感エネルギー性組成物が溶剤を含む場合、感エネルギー性組成物の固形分濃度は、例えば、0.1質量%以上50質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以上30質量%以下である。上記範囲とすることで、塗布性や操作性が良好となる。
【0243】
(S)溶剤として使用し得る有機溶剤の好適な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、感エネルギー性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、高沸点溶媒を含んでいてもよい。高沸点溶媒とは、大気圧下での沸点が180℃以上の溶媒である。
高沸点溶剤としては、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、塩素系溶剤等の中から適宜選択すればよいが例えば、1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、酢酸n-ノニル、モノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリアセチン、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4―ブタンジオールジアセテート、1,3―ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート、γ-ブチロラクトンなどを例示することができ、これらを単独又は混合して用いてもよい。高沸点溶剤の含有量は、溶剤成分全体に対し、例えば0質量%以上25質量%以下の範囲で調製すればよく、好ましくは0質量%以上10質量%以下である。
【0244】
≪感エネルギー性組成物の製造方法≫
以上説明した各成分を所定の比率で均一に混合することにより、感エネルギー性組成物を製造することができる。必要に応じて、不溶性の異物を除去するために、所望のサイズの開口を有するフィルターを用いて感エネルギー性組成物をろ過してもよい。
【0245】
≪基板≫
平坦化膜を具備する基板の製造方法において用いる基板、すなわち、上記感エネルギー性組成物の硬化膜からなる平坦化膜を形成する基板(被処理基板)は、表面に段差を有する。
基板が表面に有する段差は、基板と一体に設けられた段差、すなわち、基板に設けられたホールやトレンチ等により形成される段差でもよく、また、基板の表面に、例えば、パターニングされたフォトレジスト膜等の他部材が設けられることにより形成される段差でもよい。基板が表面に有する段差が基板と一体に設けられた段差の場合は、本発明の平坦化膜を具備する基板の製造方法により得られる平坦化膜を具備する基板は、基板と平坦化膜とを有する構造体である。また、基板が表面に有する段差が基板の表面に他部材が設けられることにより形成される段差の場合は、本発明の平坦化膜を具備する基板の製造方法により得られる平坦化膜を具備する基板は、基板と段差を構成する他部材と平坦化膜とを有する構造体である。
ここで、平坦化膜を具備する基板に対して、高温処理が必要なプロセスを行う場合、高温処理後の平坦化膜の平坦性が悪くなる場合がある。
また、段差を構成する凹凸の疎密度の偏りの大きな基板、例えば、複数の凸部が高密度で設けられた凸パターンによる段差(凹凸が密な領域)を有し且つ基板の主面の外周近傍等の基板の少なくとも一部において段差が実質的に存在しない領域(凹凸が疎な領域)を有する基板や、複数の凸部が高密度で設けられた凸パターンによる段差(凹凸が密な領域)を有し且つトレンチ幅の広い巨大トレンチによる段差(凹凸が疎な領域)を有する基板に、平坦化膜を形成する場合、優れた平坦性及び溶剤耐性を有する平坦化膜を形成し難い。
しかしながら、本発明の平坦化膜を具備する基板の製造方法によれば、平坦化膜を具備する基板に対して高温処理が必要なプロセスが施される場合や、段差を構成する凹凸の疎密度の偏りの大きな基板等の種々の段差を有する基板に対しても、優れた平坦性及び溶剤耐性を有する平坦化膜を形成できる。また、本発明の平坦化膜を具備する基板の製造方法によれば、勿論、凹凸が密な領域を有さない基板、例えば、トレンチ幅の広い巨大トレンチによる段差のみを有する基板に対しても、優れた平坦性及び溶剤耐性を有する平坦化膜を形成できる。
基板の段差の寸法は特に限定されないが、複数の凸部が高密度で設けられた凸パターンの場合は、例えば、ライン部及びスペースの幅が10nm以上50nm以下のラインアンドスペースがライン幅:スペース幅=1.0:2.5~2.5:1.0で設けられたラインアンドスペースパターンである。凸部の高さは例えば30nm以上、さらには50μm以上でもよく、また、例えば200nm以下である。
基板の段差の寸法は特に限定されないが、例えば、巨大トレンチの場合は、トレンチ幅は例えば40μm以上、さらには50μm以上でもよく、また、例えば200μm以下であり、トレンチを構成する非トレンチ部の幅は例えば、80μm以上200μm以下である。また、トレンチ深さは、例えば0.01μm以上、さらには0.05μm以上でもよく、また、例えば5μm以下である。
基板の材質は特に限定されず、例えば、ガラスや、シリコン、アルミニウム、その他酸化ケイ素や窒化ケイ素で形成されている基板や、窒化チタン等からなるハードマスクが設けられた基板等が挙げられる。
また、基板の表面に設けられ段差を構成する他部材としては、電極や、配線や、絶縁膜、無機膜等が挙げられる。
【0246】
≪製造工程≫
本発明の平坦化膜を具備する基板の製造方法は、上記基板上に、上記感エネルギー性組成物を塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、塗布膜を150℃以上250℃以下の温度での加熱により予備硬化させて予備硬化膜を得る予備硬化工程と、予備硬化膜を、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度での加熱、及び/又は、露光により本硬化させて硬化膜を形成する本硬化工程とを含み、予備硬化膜の成分の平均分子量が1000超10000以下である。以下に各製造工程についてさらに詳細に説明する。
【0247】
(塗布膜形成工程)
塗布膜形成工程では、段差を有する基板上に、感エネルギー性組成物を塗布して塗布膜を形成する。塗布方法としては、スピンナー(回転式塗布装置)等の非接触型塗布装置を用いたスピンコート方法が好適に挙げられる。なお、塗布膜が、基板上に部分的に形成される場合、当該塗布膜は、基板上の段差の少なくとも一部を平坦化するように形成される。
塗布膜の膜厚は特に限定されず、例えば、最も厚い箇所の膜厚が50nm以上5μm以下とすることができる。
【0248】
(塗布膜乾燥工程)
塗布膜を形成した後、形成された塗布膜を、必要に応じて塗布膜乾燥工程に供してもよい。
塗布膜乾燥工程では、塗布膜形成工程後、予備硬化工程前に、溶剤(S)等の揮発成分を除去して塗布膜を乾燥させる。乾燥方法は特に限定されないが、例えば、真空乾燥装置(VCD)を用いて室温にて減圧乾燥し、その後、ホットプレートにて80℃以上120℃以下、好ましくは90℃以上100℃以下の温度にて60秒以上120秒以下の間乾燥する方法が挙げられる。なお、塗布膜乾燥工程は、省略も可能である。
【0249】
(予備硬化工程)
予備硬化工程では、塗布膜形成工程で形成された塗布膜、又は、塗布膜乾燥工程後の塗布膜を、150℃以上250℃以下の温度での加熱により予備硬化させて予備硬化膜を得る。
予備硬化工程では、塗布膜を150℃以上250℃以下の温度での加熱することによって、感エネルギー性硬化剤(A)の作用により、感エネルギー性組成物に含まれる上記式(1)で表される化合物や、式(1)で表される化合物の2量体が重合する。これにより塗布膜は硬化(予備硬化)される。予備硬化の加熱は大気下で行うことができる。
【0250】
予備硬化は、予備硬化工程で得られる予備硬化膜の成分の平均分子量が1000超10000以下になるように行なわれる。このように、上記の特定の組成の感エネルギー性組成物を用い、予備硬化と、後述する本硬化とを行い、且つ、予備硬化膜の成分の平均分子量を特定範囲にすることにより、平坦性及び耐溶剤性に優れた平坦化膜を、段差を有する基板上に形成できる。
本発明においては、予備硬化において、加熱開始時には、芳香族ビニルエーテル化合物(B)の分子量が1000以下と小さいため、感エネルギー組成物が、段差内で、熱により流動しやすい。そして、予備硬化膜の成分の平均分子量を1000超10000以下に制限することにより、本硬化前に熱による流動性がしやすい状態を適度に維持できるためか、高度な平坦性を有する予備硬化膜を形成できる。
そして、この予備硬化膜の高度な平坦性は、芳香族ビニルエーテル化合物(B)に由来する成分をさらに重合させる本硬化工程後においても、維持することができる。
したがって、本願明細書において説明する段差を具備する基板の製造方法によれば、極めて優れた平坦性を有する平坦化膜を形成できる。また、該平坦化膜は、耐溶剤性にも優れる。
なお、予備硬化膜の成分とは、感エネルギー性組成物に含まれる成分に由来する成分であり、芳香族ビニルエーテル化合物(B)に由来する成分に加えて、感エネルギー性硬化剤(A)及びその分解物、その他の成分及びその分解物等である。
また、芳香族ビニルエーテル化合物(B)に由来する成分とは、感エネルギー性組成物に含まれる上記式(1)で表される化合物や、式(1)で表される化合物の2量体、及び、予備硬化工程で生じたこれらの重合物である。
【0251】
予備硬化膜の成分の平均分子量を求める方法は、下記<<予備硬化膜の成分の平均分子量の測定方法>>である。なお、下記<<予備硬化膜の成分の平均分子量の測定方法>>と同様の平均分子量値が得られる方法で求めてもよい。
<<予備硬化膜の成分の平均分子量の測定方法>>
まず、予備硬化膜を削って平均分子量測定用の試料を採取する。採取された試料が、ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解していることを目視で確認する。そして、得られた溶液を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、ポリスチレン換算の分子量(質量平均分子量)を求める。
【0252】
予備硬化工程における加熱温度は、150℃以上230℃以下が好ましく、160℃以上220℃以下がより好ましい。
予備硬化工程における加熱時間は、典型的には、0.5分以上15分以下が好ましく、1分以上5分以下がより好ましい。
なお、予備硬化工程における加熱は、予備硬化工程で得られる予備硬化膜の平均分子量を1000超10000以下の範囲内にすることができれば、例えば、150℃1分での加熱後に180度1分での加熱を行う等、加熱を複数回に分けて行ってもよい。
【0253】
(本硬化工程)
予備硬化工程の後に行う本硬化工程では、予備硬化膜を、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度での加熱、及び/又は、露光により本硬化させて硬化膜を形成する。この硬化膜が、平坦化膜である。平坦化膜の膜厚は特に限定されず、例えば、最も厚い箇所の膜厚が50nm以上5μm以下とすることができる。
【0254】
本硬化工程で、予備硬化膜に対して、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度での加熱を行うと、予備硬化膜中の、芳香族ビニルエーテル化合物(B)に由来する成分がさらに重合し、予備硬化膜がさらに硬化される。本硬化工程での加熱は大気下で行うことができる。
本硬化工程で、予備硬化膜に対して、露光を行うと、予備硬化膜中の、芳香族ビニルエーテル化合物(B)に由来する成分がさらに重合し、予備硬化膜がさらに硬化される。本硬化工程での露光は大気下で行うことができる。
【0255】
本硬化工程では、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度での加熱のみが行なわれても、露光のみが行なわれても、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度での加熱と露光とが組み合わせて行われてもよい。
感エネルギー性硬化剤(A)が感光性硬化剤を含む場合は、本硬化工程は、予備硬化膜を露光した後、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度での加熱をすることを含むことが好ましい。
また、本硬化工程では、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度での加熱を複数回行ってもよい。例えば、本硬化工程では、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度での加熱を行った後、露光し、その後さらに、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度での加熱を行ってもよい。
【0256】
なお、後述する実施例に示すように、本硬化工程で得られる硬化膜においては、上記<<予備硬化膜の成分の平均分子量の測定方法>>と同様の方法で求めた、成分の平均分子量は、10000超でもよい。本硬化工程で得られる硬化膜の分子量は高い程好ましい。上記<<予備硬化膜の成分の平均分子量の測定方法>>と同様の方法で求めた、本硬化工程で得られる硬化膜の平均分子量の上限値は、例えば、50000以下である。
【0257】
加熱よる本硬化の加熱温度は、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度で行う限り特に限定されないが、例えば、180℃以上300℃以下が好ましく、200℃以上280℃以下がより好ましく、260℃以上280℃以下としてもよい。加熱時間は、典型的には、0.5分以上60分以下が好ましく、1分以上50分以下がより好ましく、3分以上40分以下が特に好ましい。
【0258】
露光による本硬化は、特に限定されず、感エネルギー性硬化剤(A)の種類に応じて露光光源(可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等)を適宜選択できるが、ブロードバンド光等の活性エネルギー線を照射して行うことが好ましい。照射するエネルギー線量は、感エネルギー性組成物の組成によっても異なるが、例えば30mJ/cm以上2000mJ/cm以下が好ましく、50mJ/cm以上500mJ/cm以下がより好ましい。
【0259】
このような本発明の平坦化膜を具備する基板の製造方法で得られた、平坦化膜を具備する基板の平坦化膜は、優れた平坦性及び溶剤耐性を有する。
平坦化膜が溶剤耐性に優れているため、上記の方法により製造された平坦化膜を具備する基板に対して、溶剤を用いてさらなる加工や洗浄を行っても、平坦化膜が、膜減りしたり、膨潤したり、基板から剥離したりし難い。したがって、平坦化膜を具備する基板を用いて製造される種々の製品において、平坦化膜を永久膜とすることができる。溶剤耐性としては、例えば半導体等の製造において汎用されているシクロヘキサノン等の有機溶剤に対する耐性が挙げられる。
また、平坦化膜の平坦性が優れているため、平坦化膜上に、さらに種々の機能層を設ける場合、平坦性に優れる機能層の形成が容易である。
そして、平坦化膜は、高温処理(例えば、250℃超えでの加熱処理や、さらには280℃以上での加熱処理)後の平坦性にも優れているため、高温処理が必要なプロセスを行う場合にも適している。
また、平坦化膜が平坦性及び溶剤耐性に優れるため、本発明の平坦化膜を具備する基板の製造方法は、例えば、半導体分野における2層レジストプロセス、ケイ素含有レジスト下層膜あるいは無機ハードマスクを用いた3層レジストプロセス、又はケイ素含有レジスト下層膜あるいは無機ハードマスク及び有機反射防止膜を用いた4層レジストプロセスといった多層レジストプロセスに適用することができる。多層レジストプロセスにおいては被加工体となる基板に微細なパターンを高精度で形成することができる。多層プロセスによって、本発明で得られた平坦化膜を具備する基板の平坦化膜の一部を除去した後、平坦化膜をマスクとして基板をエッチングすることにより、平坦化膜を具備する基板が有していた段差とは異なる段差を形成することもできる。この場合、平坦化膜をマスクとして基板をエッチングした後は、平坦化膜を永久膜としてもよいが、平坦化膜をエッチングにより除去してもよい。
【0260】
以上説明した平坦化膜を具備する基板の製造方法は、上記製造工程に加えて、予備硬化工程の前に、塗布膜を露光する予備硬化前露光工程をさらに有していてもよい。
予備硬化前露光工程における露光は、特に限定されず、露光光源を適宜選択できるが、ブロードバンド等の活性エネルギー線を照射して行うことが好ましい。照射するエネルギー線量は、感エネルギー性組成物の組成によっても異なるが、例えば30mJ/cm以上2000mJ/cm以下が好ましく、50mJ/cm以上500mJ/cm以下がより好ましい。
予備硬化膜露光工程後の塗布膜においては上記<<予備硬化膜の成分の平均分子量の測定方法>>と同様の方法で求めた、成分の平均分子量は、1000未満である。
なお、予備硬化前露光工程を行う場合は、本硬化工程は、予備硬化工程における加熱温度よりも高い温度での加熱のみによる本硬化であることが好ましい。
また、本硬化工程が露光による本硬化を含む場合や、予備硬化前露光工程を含む場合は、感エネルギー性硬化剤(A)は感光性開始剤を含むことが好ましく、感エネルギー性硬化剤(A)は感熱開始剤を含まず感光性開始剤のみを含んでいてもよい。
【0261】
以上のように製造された平坦化膜を具備する基板は、ディスプレイパネル、光学部材(レンズ、マイクロレンズ、光ファイバー、光導波路、プリズムシート、ホログラム、高屈折フィルム、再帰反射フィルム)、半導体装置等の種々の用途において好ましく使用され、平坦化膜は永久膜又は犠牲膜とされる。
【実施例
【0262】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0263】
〔実施例1~4、及び比較例1~2〕
実施例1~4及び比較例1~2において、感エネルギー性硬化剤として、主に感光性硬化剤として作用する、以下のA-1を用いた。
また、実施例2において、感エネルギー性硬化剤として、主に感熱性硬化剤として作用するオニウム塩(A-2);カチオン部が前記式(aiii-c1)であってD’が硫黄原子であり、アニオン部は前記式(ai-a1)であるオニウム塩を用いた。
また、実施例3において、感エネルギー性硬化剤として、主に感熱性硬化剤として作用するオニウム塩(A-3);カチオン部が前記式(aiii-c6)であってD’が硫黄原子であり、アニオン部は前記式(ai-a1)であるオニウム塩を用いた。
また、実施例4において、感エネルギー性硬化剤として、主に感熱性硬化剤として作用するオニウム塩(A-4);カチオン部が前記式(aiii-c2)であってD’が硫黄原子であり、アニオン部は前記式(ai-a1)であるオニウム塩を用いた。
【化45】
【0264】
実施例及び比較例において、芳香族ビニルエーテル化合物として下記B-1を用いた。
【化46】
【0265】
(感エネルギー性組成物の製造)
表1及び表2に記載の種類の感エネルギー性硬化剤1質量部と、芳香族ビニルエーテル化合物99質量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に固形分濃度6質量%となるように均一に溶解させて各実施例及び比較例の感エネルギー性組成物を得た。なお、実施例2においては、感エネルギー性硬化剤として、A-1を0.2質量部、及び、A-2を0.8質量部用いた。実施例3及び実施例4においては、実施例2の組成からA-2をA-3又はA-4にそれぞれ置き換えた。
【0266】
得られた感エネルギー性組成物を用いて、以下の方法に従って、基板上に平坦化膜を形成し、平坦化膜の平坦性及び耐溶剤性の評価を行った。
また、基板上に平坦化膜を形成した際に、予備硬化膜の成分の平均分子量を、前述の<<予備硬化膜の成分の平均分子量の測定方法>>により求めた。結果を表1に記す。なお、実施例1において、本硬化工程で得られた硬化膜(平坦化膜)について、前述の<<予備硬化膜の成分の平均分子量の測定方法>>と同様の方法で求めたところ、予備硬化膜の成分の平均分子量は、26000であった。
【0267】
<高温処理後のウエハ端部の平坦性の評価>
以下の方法に従って、感エネルギー性組成物を用いて形成された硬化膜(平坦化膜)の高温処理後の基板端部(ウエハ端部)の平坦性を評価した。
平坦化膜を形成する基板(被処理基板)として、SiOウエハであって、SiOウエハの中心を通る断面において、SiOウエハの端部からSiOウエハの中心方向に50μm幅の平坦部(凹凸が疎な領域)と、該平坦部からSiOウエハの中心方向に向かって設けられた密なラインアンドスペースパターン(ライン幅:40nm、スペース幅:40nm、スペースの深さ(ラインの高さ):100nm)(凹凸が密な領域)とを有している基板を用いた。
まず、感エネルギー性組成物を、基板上の全面にスピンコート法により塗布し、膜厚約300nmの塗布膜を形成した。
そして、形成された塗布膜に、塗布膜乾燥工程と、予備硬化前露光工程、予備硬化工程と、本硬化工程とをこの順で行い、平坦化膜を形成した。表1に、各実施例及び比較例において行った製造工程を記載する。製造工程欄に、「有り」と記載されている場合はその製造工程を行ったことを示し、「無し」と記載されている場合はその製造工程を行わなかったことを示す。
塗布膜乾燥工程では、100℃で120秒間の加熱を行った。予備硬化前露光工程では、ブロードバンド光を100mJ/cm照射した。予備硬化工程では、215℃で60秒間の加熱を行った。実施例1の本硬化工程では、280℃で5分間の加熱を行った。また、実施例2~4の本硬化工程では、ブロードバンド光を100mJ/cm照射した後に、280℃で5分間の加熱を行った。
得られた平坦化膜を具備する基板を、280℃で5分間加熱した。この加熱後の平坦化膜を具備する基板の、中心を含む断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、ラインアンドスペースパターンが設けられていない平坦部の平坦化膜と、ラインアンドスペースパターンが設けられた領域の平坦化膜の差(図1のα)を測定した。この差が、10nm未満の場合は○、10nm以上の場合は×とした。なお、図1は、基板端部の平坦性の評価をした平坦化膜を具備する上記基板の、中心を含む断面の模式図である。図1において、1は基板(SiOウエハ)を示し、2は平坦化膜を示す。
【0268】
<ウエハ中央部の平坦性の評価>
以下の方法に従って、感エネルギー性組成物を用いて形成された硬化膜(平坦化膜)の基板中央部(ウエハ中央部)の平坦性を評価した。
平坦化膜を形成する基板(被処理基板)として、トレンチ幅50μm、トレンチ深さ0.1μmの巨大孤立トレンチパターンを有するSiOウエハを用いた。
上記基板を用い、<高温処理後のウエハ端部の平坦性の評価>と同条件で、平坦化膜を形成した。
得られた平坦化膜を具備する基板のトレンチを含む断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、トレンチ部分に設けられた平坦化膜と、トレンチが設けられていない平面部の平坦化膜の差(図2のβ)を測定した。この差が、10nm未満の場合は○、10nm以上の場合は×とした。なお、図2は、基板中央部の平坦性の評価をした平坦化膜を具備する基板の、トレンチを含む断面の模式図である。図2において、11は基板(SiOウエハ)を示し、12は平坦化膜を示す。
【0269】
<耐溶剤性の評価>
以下の方法に従って、感エネルギー性組成物を用いて形成された硬化膜(平坦化膜)の耐溶剤性(耐シクロヘキサノン性)を評価した。
平坦化膜を形成する基板(被処理基板)として、段差を有さないSiOウエハを用いた。
上記基板を用い、感エネルギー性組成物を基板上に塗布して形成する塗布膜の厚さを変更した以外は<高温処理後のウエハ端部の平坦性の評価>と同条件で、厚さ1μmの平坦化膜を形成した。
得られた硬化膜を具備するSiOウエハを用い、その硬化膜の一部をシクロヘキサノンに、室温にて60秒間浸漬させる浸漬試験を行った。硬化膜において、シクロヘキサノンに浸漬させた部分と浸漬させなかった部分との色を目視観察し、浸漬させた部分と浸漬させなかった部分との色の差がみられなかった場合を〇、色の差がみられた(色が変わった)場合を×とした。
これらの評価結果を表1に記す。
【0270】
【表1】
【0271】
【表2】
【0272】
表1から、本発明の段差を具備する基板の製造方法に従った実施例1~4では、<高温処理後のウエハ端部の平坦性の評価>において用いた段差を構成する凹凸の疎密度の偏りの大きな基板や、<ウエハ中央部の平坦性の評価>において用いた巨大トレンチを有する基板において、それぞれ形成された端部及び中央部の平坦性に優れていたことが分かる。特に、実施例1~4では、<高温処理後のウエハ端部の平坦性の評価>において、得られた段差を具備する基板に対して、さらに280℃での加熱を施した後に評価するウエハ端部(凹凸が疎な領域)の平坦性が優れていたことから、所定の組成の感エネルギー性組成物を用いて、所定の工程に従って製造された基板は、さらなる加工にて高温処理を施されても平坦性を維持できることが分かる。
また、実施例1~4では溶剤耐性にも優れていたことが分かる。
【符号の説明】
【0273】
1、11 基板
2、12 平坦化膜
図1
図2