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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】メトロロジターゲット
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20220817BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G01B11/02 G
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2019552060
(86)(22)【出願日】2018-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2018055065
(87)【国際公開番号】W WO2018172036
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】102017204719.4
(32)【優先日】2017-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【弁理士】
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】ハンズ‐マイケル ステパン
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-014854(JP,A)
【文献】特開平09-152309(JP,A)
【文献】特表2007-527531(JP,A)
【文献】特開2009-147328(JP,A)
【文献】国際公開第2016/128234(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 9/00
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトロロジターゲットであって、
該メトロロジターゲットは周期又は準周期構造を有し、
前記構造は複数のパラメータで特性化され、該パラメータの少なくとも1つは局所的に単調に変化し、5μmの距離にわたる前記パラメータの前記少なくとも1つ前記変化の最大サイズは10%未満であり、且つ
該メトロロジターゲットは少なくとも1つの使用構造及び少なくとも1つの補助構造を有し、該補助構造は局所的に単調に変化するパラメータに関して前記使用構造に連続的に又は準連続的に変換されるメトロロジターゲット。
【請求項2】
請求項1に記載のメトロロジターゲットにおいて、20μmの距離にわたる前記パラメータの前記少なくとも1つの前記変化の最大サイズは10%未満であることを特徴とするメトロロジターゲット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のメトロロジターゲットにおいて、前記距離にわたる前記パラメータの前記少なくとも1つの前記変化の最大サイズは5%未満であることを特徴とするメトロロジターゲット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のメトロロジターゲットにおいて、前記局所的に単調に変化するパラメータは幾何学的パラメータであることを特徴とするメトロロジターゲット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のメトロロジターゲットにおいて、前記構造は少なくとも1つの一定のパラメータでさらに特性化されることを特徴とするメトロロジターゲット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のメトロロジターゲットにおいて、前記構造を特性化するパラメータの少なくとも1つは、ピッチ(周期)、側壁角、及びエッチング深さの群から選択されることを特徴とするメトロロジターゲット。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のメトロロジターゲットにおいて、該メトロロジターゲットは、スキャトロメトリ測定装置構成におけるウェハ、マスク、又はCGHの形態の構造化素子上の使用構造の少なくとも1つのプロファイルパラメータの回折ベース決定用に設計されることを特徴とするメトロロジターゲット。
【請求項8】
計算機ホログラム(CGH)であって、
該CGHはメトロロジターゲットを有し、
前記メトロロジターゲットは周期又は準周期構造を有し、
前記構造は複数のパラメータで特性化され、該パラメータの少なくとも1つは局所的に単調に変化し、5μmの距離にわたる前記パラメータの前記少なくとも1つ前記変化の最大サイズは10%未満である計算機ホログラム(CGH)。
【請求項9】
請求項8に記載のCGHにおいて、20μmの距離にわたる前記パラメータの前記少なくとも1つの前記変化の最大サイズは10%未満であることを特徴とするCGH。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のCGHにおいて、前記距離にわたる前記パラメータの前記少なくとも1つの前記変化の最大サイズは5%未満であることを特徴とするCGH。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか1項に記載のCGHにおいて、前記メトロロジターゲットは、少なくとも1つの使用構造及び少なくとも1つの補助構造を有し、該補助構造は、前記局所的に単調に変化するパラメータに関して前記使用構造に連続的に又は準連続的に変換されることを特徴とするCGH。
【請求項12】
請求項8~11のいずれか1項に記載のCGHにおいて、前記局所的に単調に変化するパラメータは幾何学的パラメータであることを特徴とするCGH。
【請求項13】
請求項8~12のいずれか1項に記載のCGHにおいて、前記構造は少なくとも1つの一定のパラメータでさらに特性化されることを特徴とするCGH。
【請求項14】
請求項8~13のいずれか1項に記載のCGHにおいて、前記構造を特性化するパラメータの少なくとも1つは、ピッチ(周期)、側壁角、及びエッチング深さの群から選択されることを特徴とするCGH。
【請求項15】
請求項8~14のいずれか1項に記載のCGHにおいて、前記メトロロジターゲットは、スキャトロメトリ測定装置構成におけるウェハ、マスク、又はCGHの形態の構造化素子上の使用構造の少なくとも1つのプロファイルパラメータの回折ベース決定用に設計されることを特徴とするCGH。
【請求項16】
請求項8~15のいずれか1項に記載のCGHにおいて、該CGHは、該CGHによりミラーへ指向される試験波と参照波との干渉計による重畳による前記ミラーの表面の試験用に設計され、前記メトロロジターゲットは、前記干渉計による重畳中に使用されない該CGHの領域に配置されることを特徴とするCGH。
【請求項17】
ウェハ、マスク、又はCGHの形態の構造化素子を特性化する方法であって、
前記構造化素子に特有の複数のパラメータが、前記構造化素子での電磁放射線の回折後の該電磁放射線の強度測定に基づいて確認され、前記強度測定は、メトロロジターゲット上に位置する少なくとも1つの使用構造及び少なくとも1つの補助構造に関して実行され、
前記パラメータは、波長、偏光、及び/又は回折次数のそれぞれ異なる組み合わせに関して前記強度測定中に測定された強度値に基づいて、且つ数理最適化法を適用して対応して計算された強度値にも基づいて確認される方法において、
前記メトロロジターゲットは周期又は準周期構造を有し、
前記構造は複数のパラメータで特性化され、該パラメータの少なくとも1つは局所的に単調に変化し、5μmの距離にわたる前記パラメータの前記少なくとも1つ前記変化の最大サイズは10%未満である
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、20μmの距離にわたる前記パラメータの前記少なくとも1つの前記変化の最大サイズは10%未満であることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の方法において、前記距離にわたる前記パラメータの前記少なくとも1つの前記変化の最大サイズは5%未満であることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項1719のいずれか1項に記載の方法において、前記メトロロジターゲットは、少なくとも1つの使用構造及び少なくとも1つの補助構造を有し、該補助構造は、前記局所的に単調に変化するパラメータに関して前記使用構造に連続的に又は準連続的に変換されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1720のいずれか1項に記載の方法において、前記局所的に単調に変化するパラメータは幾何学的パラメータであることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1721のいずれか1項に記載の方法において、前記構造は少なくとも1つの一定のパラメータでさらに特性化されることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1722のいずれか1項に記載の方法において、前記構造を特性化するパラメータの少なくとも1つは、ピッチ(周期)、側壁角、及びエッチング深さの群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項1723のいずれか1項に記載の方法において、前記メトロロジターゲットは、スキャトロメトリ測定装置構成におけるウェハ、マスク、又はCGHの形態の構造化素子上の使用構造の少なくとも1つのプロファイルパラメータの回折ベース決定用に設計されることを特徴とする方法。
【請求項25】
ウェハ、マスク、又はCGHの形態の構造化素子を特性化する方法であって、
前記構造化素子に特有の複数のパラメータが、前記構造化素子での電磁放射線の回折後の該電磁放射線の強度測定に基づいて確認され、前記強度測定は、メトロロジターゲット上に位置する少なくとも1つの使用構造及び少なくとも1つの補助構造に関して実行され、
前記パラメータは、波長、偏光、及び/又は回折次数のそれぞれ異なる組み合わせに関して前記強度測定中に測定された強度値に基づいて、且つ数理最適化法を適用して対応して計算された強度値にも基づいて確認される方法において、
前記メトロロジターゲットは周期又は準周期構造を有し、
前記構造は複数のパラメータで特性化され、該パラメータの少なくとも1つは局所的に単調に変化し、前記強度測定中に用いられる動作波長の10倍に相当する距離にわたる前記パラメータの前記少なくとも1つ前記変化の最大サイズは10%未満である
ことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、前記強度測定は、前記局所的に単調に変化するパラメータの値が異なる前記メトロロジターゲットの異なる領域に関して、前記構造化素子に特有の異なるパラメータ間のパラメータ相関の決定を実行するための基礎とされることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項25又は26に記載の方法において、前記強度測定は、該強度測定中に用いられる測定装置構成の較正を実行するための基礎とされることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項2527のいずれか1項に記載の方法において、前記構造化素子に特有のパラメータは、CD値、エッチング深さ、及び異なるパターニングステップで作製された2つの構造の重ね合わせ精度の群からの少なくとも1つのパラメータを含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項2528のいずれか1項に記載の方法において、前記強度測定は、前記構造化素子の少なくとも2つの領域で同時に実行されることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項1729のいずれか1項に記載の方法を実行するよう構成されたことを特徴とする、ウェハ、マスク、又はCGHの形態の構造化素子を特性化するデバイス。
【請求項31】
ミラーの表面を試験する方法であって、計算機ホログラム(CGH)によりミラーへ指向される試験波と参照波との干渉計による重畳により試験を実行する方法において、前記CGHは請求項8~16のいずれか1項に記載のように設計されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年3月21日に出願された独国特許出願第10 2017 204 719.4号の優先権を主張する。この独国出願の内容を参照により本願の本文にも援用する。
【0002】
本発明は、メトロロジターゲットに関する。さらに、本発明は、ウェハ、マスク、又はCGHの形態の構造化素子を特性化する方法及び装置にも関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロリソグラフィは、例えば集積回路又はLCD等の微細構造コンポーネントの製造に用いられる。マイクロリソグラフィプロセスは、照明デバイス及び投影レンズを備えたいわゆる投影露光装置で実行される。この場合、照明デバイスにより照明されたマスク(レチクル)の像を、投影レンズにより、感光層(フォトレジスト)で被覆されて投影レンズの像平面に配置された基板(例えばシリコンウェーハ)に投影することで、マスク構造を基板の感光コーティングに転写するようにする。
【0004】
この場合、実際には、パターン付きウェハに特有のパラメータ、例えばCD値又は層厚を監視する必要がある。特に、複数のリソグラフィステップでウェハに作製された構造で光学系の解像限界を下回る(undershooting)いわゆる「マルチパターニング」法では、多数のプロセスパラメータを監視しなければならない。これは特に、異なるリソグラフィステップでウェハに作製された構造の相対位置を監視することを含み、最高精度(例えば、約1nm)が目指される。この場合に決定された重ね合わせ精度は、多くの場合に特に重要であり、「オーバーレイ」とも称する。
【0005】
こうしたパラメータを決定する際に、それぞれ製造されたウェハ素子の特に縁領域に補助又はマーカ構造を作製することにより、上記補助構造に基づいてスキャトロメトリ装置構成(setup)で各該当パラメータの回折ベースの決定を実行することが特に知られている。単なる0次の回折次数よりも高い回折次数でも補助又はマーカ構造を測定に利用可能にするために、上記補助又はマーカ構造は、通常は使用構造よりも粗く又は大きな線間隔で構成されることが多い。
【0006】
しかしながら、補助構造を設けるための追加費用に加えて、比較的粗い補助構造に基づいて確認されたパラメータ値が、ウェハ上に位置する実際の対象の使用構造の実際の挙動を必ずしも表さないというさらなる問題が実際には生じ、これは例えば、使用構造と補助構造との相関が不十分であること及び/又は両者間の距離が大きいことに起因し得る。
【0007】
実際に生じるさらに別の問題は、スキャトロメトリ測定装置構成を用いて決定しようとする各該当パラメータ同士が部分的に相関する結果として、特定の測定信号の取得を用いて、この測定信号が特定のパラメータの(例えば、側壁角の)変化により生じたものか例えば他のパラメータ(例えば、エッチング深さ及びエッジ丸み)の変化の特定の組み合わせにより生じたものかを直接推定することができないことである。
【0008】
実際には、スキャトロメトリ測定装置構成自体と、補助又はマーカ構造及び測定装置構成におけるそのアライメントを含む被測定サンプルとの両方が、不確定性又は不良を伴う結果として、特定の測定信号の取得を用いて、上記測定信号が補助又はマーカ構造の不良に起因するのか測定装置構成におけるサンプルの配向不良に起因するものかを明確に確認することができないことから、さらに他の問題が生じる。
【0009】
本発明のさらに別の応用分野では、マーカ構造は、計算機ホログラム(CGH)でも用いられる。かかるCGHは、例えばミラーの高精度試験に用いられる。この場合、いわゆる複素符号化(complex-encoded)CGHを用いて、ミラー試験で用いられるCGHの較正を実現することも特に知られており、実際の試験に必要な「使用機能(use functionality)」(すなわち、試験体形状に数学的に対応する波面の整形のためにミラー形状に従って設計されるCGH構造)に加えて、較正又は誤差補正用の参照波面を提供する少なくとも1つのさらなる「較正機能(calibration functionality)」が同一のCGHで符号化される。ここで実際に生じる1つの問題は、概してこの場合も多数のプロファイルパラメータ(例えば、側壁角又はフィーチャサイズ(CD))が、CGHのプロファイルを完全に決定するために必要なことである。こうした背景の下で、より単純な構造に基づいてプロファイルパラメータを決定するためのマーカ構造として、メトロロジターゲットがCGHで用いられる。
【0010】
しかしながら、CGHでは、メトロロジターゲットと使用及び/又はアライメント構造(補助構造とも称する)との間の移行部において、望ましくない物理的又は化学的プロセスが処理中に起こる可能性があり、これらのプロセスは、すぐ近くに位置するCGH構造の望ましくない変更又は破壊さえももたらし得る。この効果は、アライメント及び使用構造間の移行部でも容易に生じ得る。本発明は、これらの望ましくない効果を上記場合の両方で低減することができる方法について説明する。
【0011】
従来技術に関して、単なる例として特許文献1、特許文献2、及び特許文献3を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許第9,311,431号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0266505号明細書
【文献】国際公開第2013/138297号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記背景の下で、本発明の目的は、上述した課題の1つ又は複数を回避することを可能にするメトロロジターゲットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、独立特許請求項1の特徴によるメトロロジターゲットにより達成される。
【0015】
一態様によれば、本発明は、メトロロジターゲットであって、メトロロジターゲットは周期又は準周期構造を有し、上記構造は複数のパラメータで特性化され、上記パラメータの少なくとも1つは局所的に単調に変化し、5μmの距離のこの変化の最大サイズは10%未満であり、メトロロジターゲットは少なくとも1つの使用構造及び少なくとも1つの補助構造を有し、補助構造は局所的に単調に変化するパラメータに関して使用構造に漸次移行するメトロロジターゲットに関する。
【0016】
「準周期」は、ここでは、周期構造の周期pの変化δpが通常の波長λに対して遅い、すなわち
【0017】
【数1】
【0018】
が当てはまらなければならないと理解される。
【0019】
一実施形態によれば、20μmの距離の、特に40μmの距離の上記変化の最大サイズは10%未満である。
【0020】
一実施形態によれば、上記距離の変化の最大サイズは5%未満、特に1%未満である。
【0021】
本発明は、特に、メトロロジターゲット上にあり例えば補助又はマーカ構造として働く周期又は準周期構造が、全特性パラメータに関して均一な独立した構造として構成されるのではなく、少なくとも1つの特性パラメータ(単なる例として、格子線構造におけるウェブ幅対周期の比であり得る)が、メトロロジターゲットにわたって徐々に且つ(準)連続的に変化するという概念に基づく。
【0022】
ここで、「徐々の」且つ「準連続的な」変化は、スキャトロメトリ測定装置構成の用途において、スキャトロメトリ測定中に用いられる電磁放射線の動作波長に比べて大きな規模で当該変化が起こる、すなわち準連続的に変わるパラメータxに関して上記定義と類似して、
【0023】
【数2】
【0024】
が当てはまならければならないことを意味するとみなされる。
【0025】
本発明によるメトロロジターゲット上にある(補助)構造の少なくとも1つの特性パラメータの、上記の意味での準連続的変化により達成されることとして、第1に、構造の個々の場所において、マクスウェル方程式の解における周期的境界条件が依然として正当化され、第2に、導入部分に記載したように、全特性パラメータに関して本質的に一定である独立した補助構造の使用に伴い生じる問題が回避される。
【0026】
例えばスキャトロメトリ測定装置構成の用途において、独立した本質的に一定の補助構造でなはなく上記の意味で準連続的に変化する構造に関して強度測定が実行されることにより、以下でさらにより詳細に説明するように、強度測定中に得られた測定曲線を特にパラメータ相関を壊すために用いることができるが、それは、上記パラメータ相関も記載のように変化するメトロロジターゲットにわたって可変だからである。これにより、得られた測定信号を(独立した一定の補助構造に基づく方法とは対照的に)一義的に決定されたプロファイルパラメータに割り当てることが結果として可能であるか、又はさらにより詳細に説明するように、複数のプロファイルパラメータの同時決定にそれぞれ特に適したメトロロジターゲットの領域(これらの領域では、該当プロファイルパラメータの相関はわずかにすぎない)を特定することが可能である。
【0027】
さらに、同様にさらにより詳細に説明するように、スキャトロメトリ装置構成において本発明によるメトロロジターゲットで実行された強度測定に基づいて、特定の測定信号が補助構造不良に起因するか測定装置構成のアライメント不良に起因するかを推定することが可能である。
【0028】
本発明の実施形態では、本発明によるメトロロジターゲット上にある構造の少なくとも1つの特性パラメータの上記準連続変化は、補助構造が隣接する使用構造に漸次変換されるように、すなわち換言すれば、補助構造内で局所的に単調に変化するパラメータが隣接する使用構造のパラメータに最終的に対応するように構成され得る。
【0029】
それにより、スキャトロメトリ測定装置構成の用途において、導入部分に記載した、一方では独立した補助構造と他方では使用構造との間の相違又は不十分な相関の問題を克服することが可能である。
【0030】
使用構造への補助構造の上記準連続的な漸次変換のさらなる利点として、上記補助構造を周囲に実質的に連続して埋め込むことができる結果として、例えばプラズマプロセスによるエッチング中にエッチングプロファイルに不連続が起こらない。したがって、ウェハの該当プロファイルパラメータを決定するためのスキャトロメトリ測定装置構成の用途及びCGHの用途の両方で、導入部分に記載した、補助構造による各使用構造の望ましくない変更の問題を回避することが可能である。
【0031】
この技法を同様に用いて、CGH上のアライメント構造及び使用構造を相互に連続的に変換することができる。
【0032】
一実施形態によれば、局所的に単調に変化するパラメータは幾何学的パラメータである。
【0033】
一実施形態によれば、周期又は準周期構造は少なくとも1つの一定のパラメータでさらに特性化される。
【0034】
一実施形態によれば、構造を特性化するパラメータの少なくとも1つは、ピッチ(周期)、側壁角、及びエッチング深さの群から選択される。
【0035】
一実施形態によれば、メトロロジターゲットは、スキャトロメトリ測定装置構成におけるウェハ、マスク、又はCGHの形態の構造化素子上の使用構造の少なくとも1つのパラメータの回折ベース決定用に設計される。
【0036】
一実施形態によれば、メトロロジターゲットは、計算機ホログラム(CGH)に設けられる。
【0037】
本発明はさらに、本発明によるメトロロジターゲットを有する計算機ホログラム(CGH)に関する。
【0038】
一実施形態によれば、メトロロジターゲットは、CGHによりミラーへ指向される試験波と参照波との干渉計による重畳(interferometric superimposition)によるミラーの表面の試験用に設計され、メトロロジターゲットは、上記干渉計による重畳中に使用されないCGHの領域に配置される。
【0039】
本発明はさらに、少なくとも1つの使用構造と、使用構造に隣接するか又は使用構造に埋め込まれて干渉試験装置構成に対する計算機ホログラムのアライメントに役立つ少なくとも1つのアライメント構造とを有する、計算機ホログラム(CGH)であって、使用構造は少なくとも1つの特性パラメータに関してアライメント構造に連続的に変換されることを特徴とする計算機ホログラム(CGH)に関する。
【0040】
この態様によれば、アライメント構造と使用構造との間の連続的な移行がこうして形成され、これは例えば、使用構造及び/又はアライメント構造を表す少なくとも1つの複素(重み)関数の対応する連続構成により実現することができる。上記手法は、アライメント構造と使用構造との間の急激な移行が、生産工学の観点から、望ましくないプロセス変動と(例えば、プラズマエッチング中のシェーディング効果による)使用構造の望ましくない変更(例えば、エッチング深さの急変)とにつながる可能性があり、これがアライメント構造と使用構造と間の本発明による滑らかな連続的移行により回避されるという考えに基づく。
【0041】
本発明はさらに、ウェハ、マスク、又はCGHの形態の構造化素子を特性化する方法であって、
構造化素子に特有の複数のパラメータが、構造化素子での電磁放射線の回折後の電磁放射線の強度測定に基づいて確認され、これらの強度測定は、メトロロジターゲット上に位置する少なくとも1つの使用構造及び少なくとも1つの補助構造に関して実行され、
パラメータは、波長、偏光、及び/又は回折次数のそれぞれ異なる組み合わせに関して強度測定中に測定された強度値に基づいて、且つ数理最適化法を適用して対応して計算された強度値にも基づいて確認され、
メトロロジターゲットは上述した特徴に従って設計される
方法に関する。
【0042】
本発明はさらに、ウェハ、マスク、又はCGHの形態の構造化素子を特性化する方法であって、
構造化素子に特有の複数のパラメータが、構造化素子での電磁放射線の回折後の電磁放射線の強度測定に基づいて確認され、これらの強度測定は、メトロロジターゲット上に位置する少なくとも1つの使用構造及び少なくとも1つの補助構造に関して実行され、
パラメータは、波長、偏光、及び/又は回折次数のそれぞれ異なる組み合わせに関して強度測定中に測定された強度値に基づいて、且つ数理最適化法を適用して対応して計算された強度値にも基づいて確認され、
メトロロジターゲットは周期又は準周期構造を有し、且つ
上記構造は複数のパラメータで特性化され、上記パラメータの少なくとも1つは局所的に単調に変化し、強度測定中に用いられる動作波長の10倍に相当する距離のこの変化の最大サイズは10%未満である
方法に関する。
【0043】
一実施形態によれば、強度測定は、局所的に単調に変化するパラメータの値が異なるメトロロジターゲットの異なる領域に関して、構造化素子に特有の異なるパラメータ間のパラメータ相関の決定を実行するための基礎とされる。
【0044】
一実施形態によれば、強度測定は、強度測定中に用いられる測定装置構成の較正を実行するための基礎とされる。
【0045】
一実施形態によれば、構造化素子に特有のパラメータは、CD値、エッチング深さ、及び異なるパターニング(例えば、リソグラフィ)ステップで作製された2つの構造の重ね合わせ精度の群からの少なくとも1つのパラメータを含む。
【0046】
一実施形態によれば、強度測定は、構造化素子の少なくとも2つの領域で同時に実行される。
【0047】
本発明はさらに、上述の特徴を有する方法を実行するよう構成された、ウェハ、マスク、又はCGHの形態の構造化素子を特性化するデバイスに関する。デバイスの利点及び有利な構成に関しては、本発明による方法に関連する上記説明を参照されたい。
【0048】
本発明はさらに、ミラーの、特にマイクロリソグラフィ投影露光装置の表面を試験する方法であって、計算機ホログラム(CGH)によりミラーへ指向される試験波と参照波との干渉計による重畳により試験を実行する方法において、CGHは上述の特徴に従って設計されることを特徴とする方法に関する。
【0049】
本発明のさらに他の構成は、説明及び従属請求項から得ることができる。
【0050】
本発明を、添付図面に示す例示的な実施形態に基づいて以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1a】本発明による方法に関連して決定可能なオーバーレイ値を明示する概略図を示す。
図1b】本発明による方法に関連して決定可能な側壁角を明示する概略図を示す。
図2】本発明による方法を実行する測定装置又はデバイスの可能な一実施形態の概略図を示す。
図3】本発明の可能な一用途を説明するためのウェハ上の使用構造及び補助構造の配置の概略図を示す。
図4a】本発明によるメトロロジターゲットの可能な一構成を説明する概略図を示す。
図4b】本発明によるメトロロジターゲットの可能な一構成を説明する概略図を示す。
図5】本発明の例示的な用途を説明する図を示す。
図6】本発明の例示的な用途を説明する図を示す。
図7】本発明の例示的な用途を説明する図を示す。
図8】本発明のさらに別の例示的な実施形態の概略図を示す。
図9】本発明のさらに別の例示的な実施形態の概略図を示す。
図10】本発明のさらに別の例示的な実施形態の概略図を示す。
図11】本発明のさらに別の例示的な実施形態の概略図を示す。
図12】本発明のさらに別の例示的な実施形態の概略図を示す。
図13】本発明のさらに別の例示的な実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
最初に、図1a及び図1bは、本発明による方法に関連して決定可能な例示的なパラメータを明示する単に概略的な非常に簡略化した図を示す。図1aは、ウェハ150上に異なるリソグラフィステップで作製された2つの構造を単に概略的に示し、これらの構造は、本発明に従って決定可能な横方向(図示の座標系でx方向)のオフセットdを有し、このオフセットはオーバーレイ値として決定可能である。図1bは、ウェハ160上にエッチングプロセスにより作製された典型的な非対称構造161~163の概略図を示し、これらの構造は、同様に本発明による方法により決定可能な側壁角で特に特性化可能である。
【0053】
図2は、本発明による方法を実行する測定装置又はデバイスの可能な一実施形態を概略図で示す。
【0054】
図2の測定装置は、スキャトロメータとして構成され、例えば、波長スペクトル(例えば300nm~800nmの波長域内)を生成する広帯域波長可変光源であり得る光源201を備える。図2では、照明ビーム経路を「200」で示し、結像ビーム経路を「210」で示す。光源201からの光は、入力結合並びにレンズ素子202及びさらに別のレンズ素子204で表される光学ユニットを介して瞳面PPに達する。「205」は、(例えば、所定の偏光方向を有する直線偏光の)所望の偏光状態を設定するための偏光子を示し、偏光子205の特定の構成に応じてその可変設定又は交換により異なる偏光状態又は偏光方向を設定可能である。偏光子205から、図2に示す光は、レンズ素子206又はそれにより表される光学群、偏向ミラー207、及びビームスプリッタ208を介して、視野面FPに位置し且つウェハステージ上のウェハ面に配置されたウェハ209又は当該ウェハ209上にリソグラフィで作製済みの構造に入射する。
【0055】
上記構造での回折後に、図2に示す光は、結像ビーム経路で再度ビームスプリッタ208を介して光学群211、瞳面PPに又はその付近に位置する検光子212、及びさらに別のアセンブリ213も介して、視野面FPに位置する検出器(カメラ)215に達する。検光子212及び偏光子205はそれぞれ回転可能に構成され得る。波長可変光源201及び/又は偏光子205を用いて、検出器215により多数の異なる波長又は偏光状態に関して強度測定を行うことができる。検出器215によりそれぞれ測定された強度値に基づいて、比較(特に差の形成)により、例えばウェハ上209に異なるリソグラフィステップで作製された構造の相対位置の決定又は監視をモデルベースで自体公知の方法で行うことができる。
【0056】
オーバーレイ決定のために、例えば偏光及び波長の種々の組み合わせで得られた測定値が、マクスウェル方程式を解くことにより生成されたモデルにそれぞれフィッティングされ、例えば最小二乗偏差法を反復して適用することが可能である。この場合さらに、パターン付きウェハ領域にそれぞれ割り当てられたオーバーレイ値の決定及び適切な場合はさらに他のパラメータ又は特性変数(例えば、図1bに示す非対称構造の側壁角、CD値等)の決定が各測定時間の又は各測定ステップで、単一のパターン付きウェハ領域だけでなく同時に複数のウェハ領域について、すなわち複数のオーバーレイ値又はさらに他の特性変数を確認するために行われ、上記オーバーレイ値のそれぞれが、同時測定中の複数の領域の1つにそれぞれ割り当てられる。
【0057】
図2からの測定装置においてこれを可能にするには、特に、ウェハ209から検出器215への結像を、結像又はスポットRMSがセンサのサブピクセルレベルで、例えば通常は5μm未満のスポットサイズまで補正されるようなものにする。ここではいわゆる1:1結像を用いることが特に有利である。したがって、上述のパターン付きウェハ領域のそれぞれが、各検出器215に結像された(カメラ)領域に対応する。したがって、本発明によれば、各測定ステップ又は各測定時間において、(それぞれオーバーレイ値を1つだけ決定するための)個々のスポットが測定されるだけではなく、視野が該当の検出器(カメラ)215に結像される。この場合、本発明において結像された視野は、通常は数mmのサイズを有し得る。この場合、単なる例として、ウェハ上の同時に記録された全領域が、通常のウェハ素子又はチップ(「ダイ」)のサイズに対応し、例えば26mm×33mmの値を有し得る。換言すれば、個々の構造の漸次的照明及び回折ベース測定の代わりに視野全体が照明され、当該視野は、単なる例として数mm、例えば30mm×40mmのサイズを有し得る。この場合、個々のウェハ領域それぞれが検出領域(検出器の1つ又は複数のカメラ画素を含む)に対応する。
【0058】
図3は、ウェハ301の平面図を単に概略的な非常に簡略化した図で示し、さまざまな使用構造310及び補助構造321の両方がウェハ上に位置し、補助構造321は通常、使用構造310の外側に配置されるか又はそれぞれ作製されたチップ間に位置する「スクライブライン」(すなわち、ウェハの切断ライン又は領域)に配置される。
【0059】
したがって、本発明によれば、メトロロジターゲットは特に上記補助構造を実装するために用いられ、メトロロジターゲットは周期又は準周期構造を有し、当該構造は複数のパラメータで特性化され、当該パラメータの少なくとも1つは、導入部分に記載した利点を達成するために、図2からの測定装置の動作波長に比べて大きな規模で局所的に単調に変化する。この場合、特に、5μmの距離のこの変化の最大サイズは10%未満であり得る。スキャトロメトリ装置構成での用途の場合、強度測定中に用いられる動作波長の10倍に相当する距離のこの変化の最大サイズは10%未満であり得る。
【0060】
図4は、かかるメトロロジターゲットの例示的な一実施形態を説明する概略図を示し、ここでは、上述の局所的に単調に変化するパラメータはピッチ(すなわち、周期)である。この場合、図4aにおいて、各垂直方向のウェブに関しては、それぞれが同一のウェブ幅を有する同じ複数の(例えば10個の)ウェブを含むことが意図される。図4bは、図4aからの巨視的平面図に関して、かかるウェブ401~404を有する微視的断面図を示す。図4aに示すように、ウェブの幅が表す周期はx方向に単調に減少する(周期は、例えばメトロロジターゲット全体で例えば600nmの値から20nmの値まで減少する)。しかしながら、上述のように、この局所的変化が測定装置の各動作波長に比べて大きな規模で起こる結果として、構造の個々の場所において、マクスウェル方程式の解の周期的境界条件が依然として正当化される。
【0061】
本発明は、図4a~図4bに示すようなメトロロジターゲット内のピッチの(すなわち、周期の)局所的変化に制限されない。図8は、本発明によるメトロロジターゲット800のさらに別の実施形態の概略図を示し、ここでは、図4a及び図4bとは対照的にオーバーレイ値が局所的に変化するパラメータとして用いられる。
【0062】
その場合、図4a及び図4bを参照して上述した本発明によるメトロロジターゲットの構成を、特に後述するように多くの点で妨害的な相関を壊すために用いることができる。
【0063】
図5a及び図5bを参照して説明する一態様によれば、メトロロジターゲットを用いて、特に、スキャトロメトリ装置構成で実行された強度測定に基づいて、特定の測定信号が補助構造不良に起因するのか測定装置構成のアライメント不良に起因するのかを区別することができる。
【0064】
図5aのグラフでは、3つの曲線「A」、「B」、及び「C」は、図2からの装置構成でのスキャトロメトリ測定の異なる測定チャネルに対応し、これらの異なる測定チャネルは、波長、偏光、及び回折次数の相互に異なる組み合わせで特性化される。ナノメートル(nm)単位の周期(ピッチ)は、例えば図4a及び図4bからの実施形態に従った本発明によるメトロロジターゲットの連続的に変化するパラメータとして、横軸にプロットされる。縦軸には、図5aではエッチング深さdに対する該当の測定チャネルの強度Iの偏導関数がプロットされるが、図5bではサンプル又はメトロロジターゲットの傾斜角φに対する該当測定チャネルの強度Iの偏導関数がプロットされる(傾斜角φは、測定装置におけるサンプルの傾斜を示す)。曲線間の明確な差により、スキャトロメトリ装置構成で実行された強度測定を、得られた測定信号が測定装置構成に関するサンプルのアライメント不良に場合によっては起因するか否かを確定する基礎とすることができる。
【0065】
図6a~c及び図7は、本発明のさらに別の可能な用途を説明する図を示す。この態様によれば、本発明によるメトロロジターゲットは、後述するように、メトロロジターゲットにおいて特定のプロファイルパラメータを同時に確認できるそれぞれ適切な領域が識別できる限り、パラメータ相関を「壊す」ために用いることができる。
【0066】
図6aの図では、この場合も3つの曲線「A」、「B」、及び「C」は、図2からの装置構成でのスキャトロメトリ測定の異なる測定チャネルに対応し、これらの異なる測定チャネルは、波長、偏光、及び回折次数の相互に異なる組み合わせで特性化される。ナノメートル(nm)単位の周期(ピッチ)は、例えば図4a及び図4bからの実施形態に従った本発明によるメトロロジターゲットの連続的に変化するパラメータとして、横軸にプロットされる。エッチング深さdに対する該当測定チャネルの強度Iの偏導関数が、縦軸にプロットされる。これに対して図6b及び図6cは、側壁角θに対する該当測定チャネルの強度Iの偏導関数(図6b)及びウェブ幅対周期の比vに対する該当測定チャネルの強度Iの偏導関数(図6c)がそれぞれプロットされた類似のグラフを示す。
【0067】
図7は、2つのパラメータ間の対応する共分散行列の形成にそれぞれ基づいて、図6a~cのグラフから得られたパラメータ相関を示す。この点で、Thomas A. Germer他による「Developing an uncertainty analysis for optical scatterometry」(Metrology, Inspection, and Process Control for Microlithography XXIII、J. A. Allgair編、SPIE議事録7272、(2009))を参照されたい。図7では、曲線「I」がエッチング深さとCDとのパラメータ相関を表し、曲線「II」がエッチング深さと側壁角とのパラメータ相関を表し、曲線「III」がCDと側壁角とのパラメータ相関を表す。正規化相関値の値0は、各パラメータ間の相関が皆無であることに相当し、図7のグラフで小さな絶対値の相関値は、やはり弱い相関、したがって該当プロファイルパラメータの同時決定がメトロロジターゲットのこの領域で有利に行われることを示す。図7では、約600nmのピッチ値に関するエッチング深さ及び側壁角の2つのパラメータについてこれが当てはまる。
【0068】
したがって、本発明は、例えば図2からの装置構成でのスキャトロメトリ測定中に得られた測定信号におけるエッチング深さ及び側壁角のパラメータの相関が原理上顕著であるにも関わらず、この相関はメトロロジターゲットの局所的に変化するパラメータの変化範囲全体で同一ではないことをここでは利用するが、その理由は、例えばある領域では側壁角を確認し別の領域ではエッチング深さを確認することにより、相関のこの変化を該当パラメータ相関を壊すために用いることができるからである。
【0069】
本発明のさらに別の応用分野では、補助又はマーカ構造も計算機ホログラム(CGH)で用いられる。かかるCGHは、例えばミラーの高精度試験に用いられる。この場合、いわゆる複素符号化CGHを用いてミラー試験に用いられるCGHの較正を実現することが特に知られており、実際の検査に必要な「使用機能」(すなわち、試験体形状に数学的に対応する波面の整形のためにミラー形状に従って設計されるCGH構造)に加えて、較正又は誤差補正用の参照波面を提供する少なくとも1つのさらに別の「較正機能」が同一のCGHで符号化される。
【0070】
ここで実際に起こる問題は、概して多数のプロファイルパラメータ(例えば、側壁角又はフィーチャサイズ(CD)等)が(例えば図9aにCGH910の一部として示すような)CGHのプロファイルを完全に決定するために必要なことであり、この場合も、プロファイルパラメータ決定は、最初に、パラメータが少数であるほど単純に形成される補助又はマーカ構造に基づいて行うことができる。上述の用途におけるように、続いて、対応する比較的単純な補助構造が実際の使用構造に漸次変換されるように本発明によるメトロロジターゲットを構成することができることにより、上述の実施形態に類似してプロファイルパラメータがより正確に測定されるようにする。これを図9bにメトロロジターゲット920として概略的に示し、複素符号化による実際の使用構造(図9bの右下)は、メトロロジターゲット920上で図9bの左上に示す線格子(line grating)に連続的に変換される。
【0071】
図10a及びbは、さらに別の例を示し、ここでは使用構造として図10aに示す複素符号化CGH1010が市松パターンを有する。図10bは、上記パターンが横線パターン(図10b内左側)又は縦線パターン(図10b内右側)に連続的に変換される適切なメトロロジターゲット1020を示す。
【0072】
図11a及びbは、リソグラフィにおけるパターン又は構造の連続的変換の上記概念の用途の一例を示す。図11aは、構造を相互に導電接続するコンタクトホールの規則的配置1110を概略的に示す。特定の状況で該当する典型的な特性パラメータは、上記コンタクトホールの楕円率である。図11bによれば、コンタクトホールの真円状の幾何学的形状の、さまざまな楕円率を有する幾何学的形状への連続的変換が、配置1120で実現される。
【0073】
本発明の有利な実施形態では、さらに別の態様によれば、図12に示すように、(反射の結果として該当領域で起こる測定信号の外乱に起因して)実際の測定にはいずれにせよ用いられないCGH1200の一領域に、マーカ構造1220が位置決めされる(かかる領域を図12に黒色で示す)。この場合、該当の補助又はマーカ構造1220は、同様に図12に示すように、この場合も上述のように使用構造に一定で又は連続的に移行するよう構成することができ、図12の例では、補助又はマーカ構造1220の中央領域にある線パターンが周囲の複素使用構造に連続的に変換される。
【0074】
本発明のさらに別の用途は、実際のメトロロジターゲットに加えてアライメント構造の形態の補助構造もCGH上にあり、アライメント構造と使用構造との間の連続的な移行をここでも有利にもたらすことができることから生じる。図13は、この態様を明示する役割を果たす。図13内左側に示す補助又はアライメント構造1310と使用構造1301との間の急激な移行は、生産工学の観点から、望ましくないプロセス変動と(例えば、プラズマエッチング中のシェーディング効果による)使用構造1301の望ましくない変更とにつながるが、図13内右側に示すように、補助又はアライメント構造1320と使用構造1301と間の本発明による滑らかな連続的移行によりこれを回避することができる。
【0075】
本発明を特定の実施形態に基づいて記載したが、例えば個々の実施形態の特徴の組み合わせ及び/又は交換により、代替的な実施形態が当業者には明らかである。したがって、言うまでもなく、こうした変形形態又は代替的な実施形態も本発明に包含され、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の意味の範囲内にのみ制限される。
図1a
図1b
図2
図3
図4a)】
図4b)】
図5
図6
図7
図8
図9a)】
図9b)】
図10a)】
図10b)】
図11a)】
図11b)】
図12
図13