(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】組成物、及びケイ素含有膜の堆積のための組成物を使用する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20220817BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20220817BHJP
H01L 21/314 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/318 B
H01L21/314 A
(21)【出願番号】P 2020568739
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(86)【国際出願番号】 US2019036456
(87)【国際公開番号】W WO2019241183
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-02-10
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジー.リッジウェイ
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド エヌ.ブルティス
(72)【発明者】
【氏名】マドフカー ビー.ラオ
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/147150(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0217240(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0025907(US,A1)
【文献】特開2007-184611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/318
H01L 21/314
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性化学気相堆積プロセスにおいてケイ素含有膜を堆積するための方法であって、
表面特徴を備える基材を、-20℃~約100℃の範囲の1つ又は複数の温度の反応器中に配置する工程;
式R
nSiR
1
4-nを有し、式中、Rが直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルキニル基から選択され、R
1が水素、メタン及び直鎖又は分岐鎖のC
2~C
10アルキル基から選択され、nが1、2、3及び4から選択される数である少なくとも1つの化合物を含む組成物を反応器中に導入する工程;
プラズマ源を反応器中に提供し、少なくとも1つの化合物を少なくとも部分的に反応させて流動性液体オリゴマーを形成する工程であって、流動性液体オリゴマーが表面特徴の少なくとも一部を少なくとも部分的に充填し、プラズマ源が、組み合わされて働くリモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源の両方を含む工程
を含む、方法。
【請求項2】
リモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源のうち少なくとも1つが、窒素プラズマ、窒素及び水素を含むプラズマ、窒素及びヘリウムを含むプラズマ、窒素及びアルゴンを含むプラズマ、アンモニアプラズマ、アンモニア及びヘリウムを含むプラズマ、アンモニア及びアルゴンを含むプラズマ、アンモニア及び窒素を含むプラズマ、NF
3プラズマ、有機アミンプラズマ並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるプラズマ源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源のうち少なくとも1つが、炭化水素プラズマ、炭化水素及びヘリウムを含むプラズマ、炭化水素及びアルゴンを含むプラズマ、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ、炭化水素及び水素を含むプラズマ、炭化水素及び窒素源を含むプラズマ、炭化水素及び酸素源を含むプラズマ並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される炭素源プラズマを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
リモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源のうち少なくとも1つが、水素プラズマ、ヘリウムプラズマ、アルゴンプラズマ、キセノンプラズマ及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
リモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源のうち少なくとも1つが、水(H
2O)プラズマ、酸素プラズマ、オゾン(O
3)プラズマ、NOプラズマ、N
2Oプラズマ、一酸化炭素(CO)プラズマ、二酸化炭素(CO
2)プラズマ及びそれらの組み合わせからなる群から選択される酸素を含むプラズマ源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
約100℃~約1000℃の範囲の1つ又は複数の温度で流動性液体オリゴマーを処理して、流動性液体オリゴマーを硬化させて硬化膜を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
反応器の圧力が100torr以下に保持される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ケイ素含有膜が、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭素ドープ窒化ケイ素、炭素ドープ酸化ケイ素、酸窒化ケイ素及び炭素ドープ酸窒化ケイ素の膜からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの化合物が、
【化1】
からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの化合物がテトラビニルシランを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ケイ素含有膜が、以下の特徴、i)紫外線硬化後における約150~約190MPaの範囲の膜引張応力と、ii)約1.35~約2.10g/cm
3の範囲の密度とのうち少なくとも1つを有する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において説明されるのは、電子装置の製造のためのプロセスである。より具体的には、本明細書において説明されるのは、堆積プロセス、例えば、限定するものではないが、流動性化学気相堆積におけるケイ素含有膜を形成するための組成物である。本明細書において説明される組成物及び方法を使用して堆積することができる例示的なケイ素含有膜は、限定するものではないが、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭素ドープ酸化窒素又は炭素ドープ窒化ケイ素の膜を含む。
【背景技術】
【0002】
微小電子装置の製造において、多くの用途のために、10:1より大きいアスペクト比(AR)を有する狭いトレンチを、ボイドを形成せずに充填する必要がある。1つの用途は、シャロートレンチアイソレーション(STI)である。この用途のために、膜は非常に少ない漏出であるとともに、トレンチを通して高品質(例えば、2より小さい湿式エッチング速度比)である必要がある。構造体の寸法が小さくなり、アスペクト比が大きくなるにつれて、堆積された流動性膜の後硬化方法は困難になる。結果として、充填されたトレンチを通して、組成変化を有する膜をもたらす。
【0003】
誘電膜の従来のプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)は、「マッシュルーム形状」の膜を狭いトレンチの頂部に形成する。これは、プラズマが深いトレンチに浸透できないことが原因である。そのことは、頂部から狭いトレンチをピンチオフし、トレンチの底部にボイドを形成することをもたらす。
【0004】
加えて、ケイ素含有膜、例えばSiCO、SiCON、SiCNは、半導体装置の製造において広く使用される。例えば、これらの炭素含有ギャップ充填膜はパターニング用途のために使用することができる。高い炭素レベルであるため、典型的には、これらの膜は、酸化膜及び窒化膜と比較して、高いエッチング選択性を示す。エッチング選択性は、パターニング用途において使用されるギャップ充填膜のために重要である場合がある。従って、ケイ素含有膜を堆積するための前駆体及び方法への要求がある。
【0005】
米国特許出願公開第2008/0025907号明細書は、流動性CVD又はFCVDとして知られる方法によって、基材上にケイ素含有膜を形成するプロセスを開示している。FCVDプロセスは、小さい寸法を有する高いアスペクト比の構造体にギャップ充填膜を堆積させることを含む多くの用途のために有用である。開示されているプロセスによれば、前駆体は、堆積チャンバーにおいてラジカル誘導重合を開始する反応性ラジカルにさらされる。反応性ラジカルはプラズマエネルギーを使用して作られる。プラズマは、処理チャンバー中で発生又は着火させる(例えば、直接又はインサイチュプラズマ)ことができるか、又は処理チャンバーの外部で発生させて処理チャンバー中に流動させる(例えばリモートプラズマ)ことができる。
【発明の概要】
【0006】
本明細書において説明される組成物又は配合物、及び組成物又は配合物を使用する方法は、基材表面の少なくとも一部に、後堆積処理に際して望ましい膜特性を提供するケイ素含有膜を堆積させることによって、従来技術の問題を克服する。本発明の組成物及び方法は、以下の特性:i)Tohoの応力ツールを使用して測定して、熱硬化後に約10~約20MPaの範囲の、紫外線(UV)硬化後に約150~約190MPaの範囲の膜引張応力と、ii)X線反射率によって測定して約1.35~約2.10g/cm3の範囲の密度とを有するケイ素含有膜を提供することができる。
【0007】
ケイ素含有膜は、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ケイ素、炭素ドープ窒化ケイ素、酸窒化ケイ素及び炭素ドープ酸窒化ケイ素の膜からなる群から選択される。特定の実施態様において、基材は表面特徴を備える。本明細書において使用されるとき、用語「表面特徴」は、孔、トレンチ、シャロートレンチアイソレーション(STI)、ビア、再入可能な形状若しくは類似のもののうち、1つ若しくは複数を備える基材又は部分的に製造された基材を意味する。組成物は、予備混合組成物、予備混合物(堆積プロセスにおいて使用される前に混合される)又はインサイチュ混合物(堆積プロセスの間に混合される)であってよい。従って、本開示において、用語「混合物」、「配合物」及び「組成物」は相互交換可能である。
【0008】
1つの態様において、流動性化学気相堆積プロセスにおいてケイ素含有膜を堆積するための方法が提供される。表面特徴を有する基材は、-20℃~約100℃の範囲の1つ又は複数の温度の反応器中に配置される。組成物は反応器中に導入され、組成物は式RnSiR1
4-nを有する少なくとも1つの化合物を含み、式中、Rは直鎖又は分岐鎖のC2~C6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC2~C6アルキニル基から選択され;R1は水素、メチル及び直鎖又は分岐鎖のC2~C10アルキル基から選択され;nは1、2、3及び4から選択される数である。プラズマ源が提供され、少なくとも1つの化合物を少なくとも部分的に反応させて流動性液体オリゴマーを形成する。流動性液体オリゴマーは表面特徴の少なくとも一部を少なくとも部分的に充填する。プラズマ源は、組み合わされて働くリモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源の両方を含む。
【0009】
1つの特定の実施態様において、リモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源のうち少なくとも1つは、窒素プラズマ、窒素及びヘリウムを含むプラズマ、窒素及びアルゴンを含むプラズマ、アンモニアプラズマ、アンモニア及びヘリウムを含むプラズマ、アンモニア及びアルゴンを含むプラズマ、ヘリウムプラズマ、アルゴンプラズマ、水素プラズマ、水素及びヘリウムを含むプラズマ、水素及びアルゴンを含むプラズマ、アンモニア及び水素を含むプラズマ、有機アミンプラズマ、酸素を含むプラズマ、酸素及び水素を含むプラズマ並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるプラズマ源を含む。
【0010】
別の実施態様において、リモートプラズマ源及び/又はインサイチュプラズマ源のためのプラズマ源は、炭化水素プラズマ、炭化水素及びヘリウムを含むプラズマ、炭化水素及びアルゴンを含むプラズマ、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ、炭化水素及び水素を含むプラズマ、炭化水素及び窒素源を含むプラズマ、炭化水素及び酸素源を含むプラズマ並びにそれらの組み合わせを含む炭素源プラズマからなる群から選択される。
【0011】
上の任意の実施態様において、又は代わりの実施態様において、流動性の液体又はオリゴマーは、約100℃~約1000℃の範囲の1つ又は複数の温度で処理されて、材料の少なくとも一部を高密度化する。
【0012】
幾つかの実施態様において、後熱処理材料は、プラズマ、赤外光、化学処理、電子ビーム又は紫外光にさらされて、高密度なフィルムを形成する。
【0013】
上の工程は、本明細書において説明される方法のための1つのサイクルを画定し;サイクルは、ケイ素含有膜の所望の厚さが得られるまで繰り返すことができる。この実施態様又は他の実施態様において、本明細書において説明される方法の工程は、順序を変えて行うことができ、連続的に又は同時に(例えば別の工程の少なくとも一部の間に)行うことができ、それらの任意の組み合わせであってよいと理解される。
【0014】
本発明の種々の実施態様は、単独で又は互いに組み合わせて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1の結果を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において説明されるのは、流動性化学気相堆積プロセスにおいてケイ素含有膜を堆積するためのFCVD方法であって、方法は、
表面特徴を備える基材を、-20℃~約100℃の範囲の1つ又は複数の温度の反応器中に配置する工程;
式RnSiR1
4-nを有し、式中、Rが直鎖又は分岐鎖のC2~C6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC2~C6アルキニル基から選択され、R1が水素及び分岐鎖のC1~C10アルキル基から選択され、nが1、2、3及び4から選択される数である少なくとも1つの化合物を含む組成物を反応器中に導入する工程;並びに
プラズマ源を反応器中に提供し、少なくとも1つの化合物を少なくとも部分的に反応させて流動性液体オリゴマーを形成する工程であって、流動性液体オリゴマーが表面特徴の少なくとも一部を少なくとも部分的に充填し、プラズマ源が、組み合わされて働くリモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源の両方を含む工程
を含む。
【0017】
典型的には、例えば流動性化学気相堆積処理によって堆積された膜は、後処理の間に、低いプロセス温度のために膜収縮を受ける。有意な膜収縮及び膜応力の増加のために、膜中にボイド及びシームが形成する場合がある。従って、膜応力を増加させずに、又はボイドを作り出すことなしに、膜を高密度化することは困難であった。本明細書において説明される組成物及び方法は、開示される前駆体及び開示される前駆体を含む組成物を使用することによって、基材上の表面特徴の少なくとも一部の充填を改善することによって、これらの問題を克服する。
【0018】
開示の実施態様は、小さい寸法を有する高いアスペクト比(AR)の構造体にギャップ充填膜(例えばSiC、SiCO、SiCN、SiCON)を堆積させる方法を提供する。有利には、幾つかの実施態様は、クラスタツール環境において行うことができる、サイクルの堆積処理プロセスを含む方法を提供する。有利には、幾つかの実施態様は、小さい寸法を有する高いARのトレンチを充填する、シームの無い高品質のケイ素含有膜を提供する。有利には、幾つかの実施態様は、高い炭素含有量を含有する膜を提供する。有利には、1つの又は複数の実施態様において、高い炭素含有量の膜はハードマスク及びlow-k流動性用途において使用することができる。
【0019】
開示の1つ又は複数の実施態様は、高いアスペクト比の構造体(例えばAR>8.1)を充填することができる、流動性ケイ素含有膜が堆積されるプロセスを対象としている。開示の実施態様は、F-CVD(流動性化学気相堆積)を使用して、ギャップ充填用途のために、SiC、SiOC、SiCN、SiOCN、SiO及びSiN流動性膜を生じさせる新規の前駆体を提供する。種々の実施態様の前駆体は、アルケニル(ビニル)及び/又はアルキニル基を含む。1つ又は複数の実施態様において、前駆体は、堆積チャンバーにおいてラジカル誘導重合を開始させる反応性ラジカルにさらされる。
【0020】
1つの実施態様において、本開発の方法は、表面特徴を備える基材を、-20℃~約100℃の範囲の1つ又は複数の温度の反応器中に配置する工程を含む。
【0021】
本明細書において使用されるとき、「基材」は、任意の基材、又は製造プロセスの間に膜処理が行われる基材の上に形成された材料表面をいう。例えば、処理を行うことができる基材表面は材料、例えばケイ素、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、炭素ドープ酸化ケイ素、非晶質ケイ素、ドープケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、及び任意の他の材料、例えば金属、窒化金属、金属合金、及び他の導電性材料などを、用途に応じて含む。基材は、限定するものではないが、半導体ウエハを含む。基材は、基材表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化及び/又はベーキングするための前処理プロセスを受けさせることができる。基材自身の表面への直接の膜処理に加えて、本発明において、開示される膜処理工程の幾つかはまた、下でより詳細に開示されるように、基材に形成される下層に行うことができ、用語「基材表面」は、文脈が意図するときは、このような下層を含むことを意図される。従って、例えば、膜/層又は部分的な膜/層が基材表面に堆積された場合、新規に堆積された膜/層の露出表面は基材表面となる。
【0022】
先に記載されるように、方法は、表面特徴を備える基材の表面の少なくとも一部に膜を堆積させる。基材は反応器中に配置され、基材は約-20℃~約100℃の範囲の少なくとも1つの温度で保持される。1つの特定の実施態様において、基材の温度はチャンバーの壁の温度より低い。基材温度は、100℃より低い温度で、好ましくは25℃より低い温度で、最も好ましくは10℃より低く-20℃より高い温度で保たれる。
【0023】
先に記載されるように、基材は1つ又は複数の表面特徴を備える。1つの特定の実施態様において、1つ又は複数の表面特徴は、1μm以下の幅、500nm以下の幅、50nm以下の幅、又は10nmの幅を有する。この実施態様又は他の実施態様において、表面特徴のアスペクト比(深さ:幅の比)は、存在するならば、0.1:1以上、1:1以上、10:1以上、20:1以上、又は40:1以上である。基材は、単結晶シリコンウエハ、炭化ケイ素のウエハ、酸化アルミニウム(サファイア)のウエハ、ガラスのシート、金属のホイル、有機ポリマーの膜であるか、又はポリマー、ガラス、ケイ素又は金属の3次元の物品であってよい。基材は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、非晶質炭素、シリコンオキシカーバイド、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム及び類似のものの膜を含む、当分野において周知である多様な材料でコーティングすることができる。これらのコーティングは、基材を完全にコーティングしていてよく、種々の材料の複層であってよく、部分的にエッチングされて材料の下地層を露出させていてよい。表面は、その表面に、基材を部分的にコーティングするように、あるパターンで露光されて現像されたフォトレジスト材料もまた有していてよい。
【0024】
本発明の1つの態様において、基材は、Si、SiOx、SiN、SiGe、SiOC及びSiONからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む。本発明の別の態様において、本発明のケイ素含有膜は、ハードマスクとして用いることができ、フォトレジストにエッチング選択性を提供することができる。本発明のさらなる態様において、本発明のケイ素含有膜は、導電性材料の間の誘電性膜として、導電体と他の誘電体との間のバリアとして、又はサンドウィッチの誘電体における膜として機能する。
【0025】
本明細書において説明される、膜又はコーティングを形成するのに使用される方法は、流動性化学堆積プロセスである。本明細書において開示される方法のための適した堆積プロセスの例は、サイクルの流動性化学気相堆積(CFCVD)又はプラズマ強化流動性化学気相堆積(PEFCVD)を含むがそれらに限定されない。本明細書において使用されるとき、用語「流動性化学気相堆積プロセス」は、基材が1つ又は複数の揮発性前駆体にさらされ、揮発性前駆体が基材表面で反応及び/又は分解して流動性オリゴマーのケイ素含有種を提供し、次いでさらなる処理に際し固体の膜又は材料を生じさせ、幾つかの場合には、オリゴマー種の少なくとも一部がポリマー種を含む、任意のプロセスをいう。本明細書において使用される前駆体、試薬及び源は時には「ガス状」と説明する場合があるが、前駆体は、不活性気体を伴って又は伴わずに、反応器中に、直接的な気化、バブリング又は昇華によって運ばれる液体又は固体のいずれかであってよいと理解される。幾つかの場合において、気化された前駆体はプラズマ発生器を通過することができる。1つの実施態様において、膜は、プラズマベースの(例えばリモート発生の又はインサイチュの)CVDプロセスを使用して堆積される。本明細書において使用されるとき、用語「反応器」は、反応チャンバー又は堆積チャンバーを含むがそれらに限定されない。
【0026】
本開発の方法はまた、式R
nSiR
1
4-nを有し、式中、Rが直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC
2~C
6アルキニル基から選択され;R
1が水素及び分岐鎖のC
1~C
10アルキル基から選択され;nが1、2、3及び4から選択される数である少なくとも1つの化合物を含む組成物を反応器中に導入する工程を含む。前記の式についての例示的な化合物は、以下:
【化1】
を含むがそれらに限定されない。
【0027】
上の式において、及び明細書を通して、用語「直鎖又は分岐鎖のアルキル」は、1~10、3~10又は1~6個の炭素原子を有する直鎖の官能基を表す。上の式において、及び明細書を通して、用語「分岐鎖のアルキル」は、3~10又は1~6個の炭素原子を有する直鎖の官能基を表す。例示的な直鎖又は分岐鎖のアルキル基は、メチル(Me)、エチル(Et)、イソプロピル(Pri)、イソブチル(Bui)、sec-ブチル(Bus)、tert-ブチル(But)、イソペンチル、tert-ペンチル(am)、イソヘキシル及びネオヘキシルを含むがそれらに限定されない。特定の実施態様において、アルキル基は、それに結合した1つ又は複数の官能基、例えば、以下に限定するものではないが、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基又はそれらの組み合わせなどの官能基を有していてよい。他の実施態様において、アルキル基は、それに結合した1つ又は複数の官能基を有さない。アルキル基は、飽和であるか、又は代わりに不飽和であってよい。
【0028】
上の式において、及び明細書を通して、用語「環状アルキル」は、3~10又は5~10個の炭素原子を有する環状基を表す。例示的な環状アルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロオクチル基を含むがそれらに限定されない。特定の実施態様において、環状アルキル基は、1つ又は複数の、C1~C10の直鎖、分岐鎖の置換基、又は酸素原子若しくは窒素原子を含有する置換基を有していてよい。この実施態様又は他の実施態様において、環状アルキル基は、1つ又は複数の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルコキシ基、例えばメチルシクロヘキシル基又はメトキシシクロヘキシル基を置換基として有していてよい。
【0029】
上の式において、及び明細書を通して、用語「アリール」は、3~10個の炭素原子、5~10個の炭素原子又は6~10個の炭素原子を有する芳香族の環状官能基を表す。例示的なアリール基は、フェニル、ベンジル、クロロベンジル、トリル及びo-キシリルを含むがそれらに限定されない。
【0030】
上の式において、及び明細書を通して、用語「アルケニル基」は、1つ又は複数の炭素-炭素の二重結合を有し、かつ2~12、2~10又は2~6個の炭素原子を有する基を表す。例示的なアルケニル基は、ビニル又はアリル基を含むがそれらに限定されない。
【0031】
用語「アルキニル基」は、1つ又は複数の炭素-炭素の三重結合を有し、かつ2~12又は2~6個の炭素原子を有する基を表す。
【0032】
用語「アルキレン基」は、2個の水素原子の除去によってアルキルから誘導される基を表す。例示的なアルキレン基は、メチレン(-CH2-)又はエチレン(-CH2CH2-)基を含むがそれらに限定されない。
【0033】
上の式において、及び明細書を通して、本明細書において使用されるとき、用語「不飽和の」は、官能基、置換基、環又はブリッジが、1つ又は複数の炭素二重結合又は三重結合を有することを意味する。不飽和の環の例は、以下に限定するものではないが、芳香族環、例えばフェニル環であってよい。用語「飽和の」は、官能基、置換基、環又はブリッジが、1つ又は複数の二重結合又は三重結合を有さないことを意味する。
【0034】
特定の実施態様において、前記の式中のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及び/又は環状アルキル基のうち1つ又は複数は、「置換されている」か、又は例えば水素原子に代わって置換された1以上の原子若しくは原子の群を有していてよい。例示的な置換基は、酸素、硫黄、ハロゲン原子(例えばF、Cl、I又はBr)、窒素、アルキル基及びリンを含むがそれらに限定されない。他の実施態様において、前記の式中のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族及び/又はアリール基のうち1つ又は複数は置換されていなくてよい。
【0035】
ケイ素前駆体化合物は、好ましくは、塩素などのハロゲン系イオン又はAlなどの金属イオンを実質的に有さない。本明細書において使用されるとき、用語「実質的に有さない」は、ハロゲン系イオン(又はハロゲン化物)、例えば塩化物、フッ化物、臭化物及びヨウ化物、Al3+イオン、Fe2+、Fe3+、Ni2+、Cr3+に関するとき、(質量で)5ppmより少ない、好ましくは3ppmより少ない、より好ましくは1ppmより少ない、最も好ましくは0ppmであることを意味する。塩化物又は金属イオンは、ケイ素前駆体のための分解触媒として作用することが知られている。最終製品における有意なレベルの塩化物はケイ素前駆体を分解することができる。ケイ素前駆体のゆるやかな分解は、半導体製造について膜の仕様を合わせることを困難にする膜堆積プロセスに直接的に影響を与えることができる。加えて、貯蔵寿命又は安定性は、ケイ素前駆体のより高い分解速度によって負の影響を受け、それによって1~2年の貯蔵寿命を保証することを困難にする。さらに、ケイ素前駆体は、分解に際し、可燃性の及び/又は自然発火性のガス、例えば水素及びシランを形成することが知られている。従って、ケイ素前駆体の加速された分解は、これらの可燃性及び/又は自然発火性のガス状副生成物の形成に関連する安全及び性能の懸念をもたらす。
【0036】
本明細書において開示される化合物は、気相引き抜き、バブリング又は直接的な液体注入(DLI)を含むがそれらに限定されない種々の方法で、流動性化学気相堆積反応器に輸送することができる。1つの実施態様において、液体輸送システムが利用される。別の実施態様において、反応器は二重のプレナムシャワーヘッドを備えて、リモートで発生させられたプラズマ種を前駆体の気相から分離して保つことができ、このことはそれらが反応器中で結合して流動性液体を堆積させるまでのことである。代わりの実施態様において、結合された液体輸送及びフラッシュ気化プロセス装置、例えばMSP Corporation of Shoreview,MNによって製造されるターボ気化器を用いることができ、低い揮発性の材料が体積的に輸送されることを可能とし、前駆体の熱的な分解を伴わない再現可能な輸送及び堆積をもたらす。液体輸送配合物において、本明細書において説明される前駆体は、純粋な液体形態で輸送することができるか、又は代わりに、前駆体を含む溶媒配合物若しくは組成物において用いることができる。従って、特定の実施態様において、前駆体配合物は、基材に膜を形成する所与の最終使用用途において望ましくかつ有利であり得る適した特性の溶媒構成要素を含んでいてよい。
【0037】
特定の実施態様において、基材は、1つ又は複数の前堆積処理、例えば、以下に限定するものではないが、プラズマ処理、熱処理、化学処理、紫外光露光、電子ビーム露光及びそれらの組み合わせを受けて、膜の1つ又は複数の特性に影響を与えることができる。これらの前堆積処理は、不活性、酸化及び/又は還元から選択される雰囲気下で起こることができる。
【0038】
本開発の方法は、プラズマ源を反応器中に提供し、式RnSiR1
4-nを有する少なくとも1つの化合物を少なくとも部分的に反応させて流動性液体オリゴマーを形成する工程を含み、流動性液体オリゴマーは表面特徴の少なくとも一部を少なくとも部分的に充填し、プラズマ源は、組み合わされて働くリモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源の両方を含む。
【0039】
本開発のプロセスは、2つのプラズマ源-リモートプラズマ源及びインサイチュRFプラズマ源(例えば容量結合)-を用いて、最も良好なギャップ充填特性を有する、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)によって見たときに視認可能なボイドが実質的にない、堆積及び硬化後膜を生じさせる。組み合わされて働くリモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源は、両方のプラズマ源が、堆積の間の時間のうち少なくとも一部で活性化されることを意味する。他の実施態様において、両方のプラズマ源は、堆積の間の時間のうち少なくとも1/4の間、活性化される。他の実施態様において、両方のプラズマ源は、堆積の間の時間のうち少なくとも半分の間、活性化される。他の実施態様において、両方のプラズマ源は、堆積の間の時間のうち少なくとも3/4の間、活性化される。さらに他の実施態様において、両方のプラズマ源は、堆積の間の全体の時間で活性化される。
【0040】
リモートプラズマ源(RPS)に適用されるプラズマ電力は1000~3000W、好ましくは2000~3000Wである。インサイチュプラズマ源へのプラズマ電力は100~1000W、好ましくは200~300Wである。
【0041】
エネルギーは式RnSiR1
4-nを有する少なくとも1つの化合物及びプラズマ源に適用されて、反応を誘起して、基材に流動性ケイ素含有膜又はコーティングを形成する。このようなエネルギーは、以下に限定するものではないが、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコン波プラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子ビーム、フォトン、リモートプラズマの方法、及びそれらの組み合わせによって提供することができる。特定の実施態様において、第二のRF周波数源を使用して、基材表面におけるプラズマ特性を変えるために使用することができる。堆積がプラズマを包含する実施態様において、プラズマ発生プロセスは、プラズマを反応器中で直接発生させる直接プラズマ発生プロセス、又は代わりにプラズマを反応器の外部で発生させて反応器中に供給するリモートプラズマ発生プロセスを含んでよい。
【0042】
リモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源のうち少なくとも1つは窒素を含んでよい。窒素を含むプラズマは、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマ、窒素/ヘリウムプラズマ、窒素/アルゴンプラズマ、アンモニアプラズマ、アンモニア/ヘリウムプラズマ、アンモニア/アルゴンプラズマ、アンモニア/窒素プラズマ、NF3、NF3プラズマ、有機アミンプラズマ及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。少なくとも1つの化合物と窒素源とが反応して、(不定比である)窒化ケイ素膜又は炭窒化ケイ素膜を表面特徴及び基材の少なくとも一部に形成する。本明細書において使用されるとき、用語「有機アミン」は、少なくとも1つの窒素原子を有する有機化合物を表す。有機アミンの例は、以下に限定するものではないが、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、tert-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-アミルアミン、エチレンジアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、ピロール、2,6-ジメチルピぺリジン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、エチルメチルアミン、N-メチルアニリン、ピリジン及びトリエチルアミンである。
【0043】
リモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源のうち少なくとも1つは炭素を含んでよい。このような実施態様において、プラズマ源は、炭化水素プラズマ、炭化水素及びヘリウムを含むプラズマ、炭化水素及びアルゴンを含むプラズマ、二酸化炭素プラズマ、一酸化炭素プラズマ、炭化水素及び水素を含むプラズマ、炭化水素及び窒素源を含むプラズマ、炭化水素及び酸素源を含むプラズマ並びにそれらの組み合わせを含む炭素源プラズマからなる群から選択されるがそれらに限定されない。少なくとも1つの化合物と炭素源とが反応して、(不定比である)炭化ケイ素膜、炭窒化ケイ素膜、酸窒化ケイ素膜、シリコンオキシカーバイド膜又はシリコンオキシカルボニトリド膜を表面特徴及び基材の少なくとも一部に形成する。
【0044】
異なる実施態様において、プラズマ源は、水素プラズマ、ヘリウムプラズマ、アルゴンプラズマ、キセノンプラズマ及びそれらの組み合わせから選択されるがそれらに限定されない。少なくとも1つの化合物とプラズマとが反応して、窒化ケイ素膜、炭化ケイ素膜又は炭窒化ケイ素膜を表面特徴及び基材の少なくとも一部に形成する。
【0045】
リモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源のうち少なくとも1つは酸素を含んでよい。このような実施態様において、酸素含有源は、水(H2O)、酸素(O2)、酸素プラズマ、オゾン(O3)、NO、NO2、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、N2Oプラズマ、一酸化炭素(CO)プラズマ、二酸化炭素(CO2)プラズマ及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0046】
さらに、ケイ素含有膜が堆積された後、基材は、窒化ケイ素膜が酸化ケイ素、酸窒化ケイ素又は炭素ドープ酸化ケイ素の膜を形成するのに十分な特定のプロセス条件の下で、上で説明される酸素含有源で処理することができる(すなわち任意選択で処理してよい)。
【0047】
特定の実施態様において、反応器は、大気圧より低い圧力であるか、750torr(105パスカル(Pa))以下の圧力であるか、又は100torr(13332Pa)以下の圧力である。他の実施態様において、反応器の圧力は、約0.1torr(13Pa)~約10torr(1333Pa)の範囲に保持される。
【0048】
流動性膜は、堆積されたとき、一般に安定ではなく、大気条件にさらした際に安定化する。幾つかの実施態様の流動性膜は、ケイ素含有前駆体及び例えば共反応体としてのNH3/O2のラジカル形態によって堆積される。次いで、これらの膜は、オゾン/UV/蒸気アニール/NH3アニールなどによって硬化されて、硬化膜を生じさせる。
【0049】
特定の実施態様において、流動性液体又はオリゴマーは、約100℃~約1000℃の範囲の1つ又は複数の温度で処理されて、材料の少なくとも一部を高密度化する。他の実施態様において、流動性液体又はオリゴマーは、窒化ケイ素膜が酸化ケイ素、酸窒化ケイ素又は炭素ドープ酸化ケイ素の膜を形成するのに十分な特定のプロセス条件の下で、以下の酸素含有源のうち少なくとも1つにさらすことによって処理される。酸素含有源は、水(H2O)、酸素(O2)、酸素プラズマ、オゾン(O3)、NO、N2O、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、N2Oプラズマ、一酸化炭素(CO)プラズマ、二酸化炭素(CO2)プラズマ及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0050】
幾つかの実施態様において、後熱処理材料は、プラズマ、赤外光、化学処理、電子ビーム又は紫外光を受けて、高密度な膜を形成する。本発明の1つの実施態様において、紫外光露光を含む後処理は、ガス状副生成物を生じる条件の下で行われる。
【0051】
上の工程は、本明細書において説明される方法のための1つのサイクルを画定し;サイクルは、ケイ素含有膜の所望の厚さが得られるまで繰り返すことができる。
【0052】
本開発は、所望のシリコン:炭素の比(Si:C)を有する膜を提供する前駆体選択の使用を示す。テトラビニルシラン(TVS)を使用する膜の堆積は、約1:4のSi:C比を提供する。前駆体は1:8のSi:Cを有する。環構造中に含有される多くのSi原子を有する前駆体の選択は、例えば1,1,3,3-テトラビニル-1,3-ジシラシクロブタンに見られるように、より高いSi:Cを有する膜を生じさせることができる。前記化学構造は、1:3のSi:Cを提供すると予想される。前駆体、例えばアリル置換ジシラシクロブタンの使用は、堆積又は膜硬化の間の、脱離基としてのアリル基の改善されたポテンシャルに基づいて、潜在的には、低いSi:C、時には1:1に達するSi:Cを提供することができる。
【0053】
流動性膜150は、任意の適した温度で形成することができる。幾つかの実施態様において、流動性膜150は、約-20℃~約100℃の範囲の温度で形成される。温度は、形成される装置の温度バジェットを維持するように、低く保つことができる。幾つかの実施態様において、流動性膜の形成は、約300℃、250℃、200℃、150℃、100℃、75℃、50℃、25℃又は0℃より低い温度で起こる。
【0054】
高い炭素含有量を有する膜は、多くの用途、例えばハードマスクのパターニングにおける用途及び流動性low K膜のための用途を有することができる。幾つかの実施態様において、本明細書において開示される前駆体を使用する流動性膜は、高い炭素含有量を有する膜を堆積することができる。幾つかの実施態様において、膜は最大で約85at%の炭素含有量を有する。1つ又は複数の実施態様において、流動性膜は、約40、45、50、55、60、65、70、75又は80at%より高く、かつ約95、90又は85at%より低い炭素含有量を有する。幾つかの実施態様において、流動性膜は、約40~約85at%の範囲の、約50~約85at%の範囲の又は約60~約80at%の範囲の炭素含有量を有する。
【0055】
流動性膜の組成は、反応性ガスの組成を変えることによって調節することができる。幾つかの実施態様において、流動性膜は、SiC、SiCO、SiCN、SiCON、SiO及びSiNのうち1つ又は複数を含む。酸素含有膜を形成するために、共反応体は、例えば酸素、オゾン又は水のうち1つ又は複数を含んでよい。窒素含有膜を形成するために、共反応体は、例えばアンモニア、ヒドラジン、NO2若しくはN2のうち1つ又は複数を含んでよい。炭素含有膜を形成するために、反応性ガスは、例えばプロピレン及びアセチレンのうち1つ又は複数を含んでよい。当分野における当業者は、他の種の組み合わせが反応性ガス混合物に含まれて、流動性膜の組成を変えることができることを理解する。
【0056】
流動性膜はウエハ上に堆積することができ(ウエハの温度は-10℃~200℃であってよい)、それらの流動性のために、ポリマーはトレンチを通って流動し、ギャップ充填をする。次いで、これらの膜は硬化工程、例えばオゾン/UV/蒸気アニール/NH3アニールを受けて、安定な膜を得る。幾つかの実施態様において、方法は、SiC、SiCO、SiCN、SiCON、SiO及び/又はSiN流動性膜のうち1つ又は複数を提供する。従って、流動性膜150の形成の後、膜は硬化され、流動性膜を固化して実質的にシームの無いギャップ充填を形成することができる。1つ又は複数の実施態様において、流動性膜の硬化は、オゾン、紫外光、蒸気アニール、アンモニアアニール及び酸素プラズマのうち1つ又は複数に流動性膜をさらすことを含む。幾つかの実施態様において、流動性膜は、UV硬化プロセスに膜をさらすことによって硬化される。UV硬化プロセスは、約10℃~約550℃の範囲の温度で行うことができる。UV硬化プロセスは、流動性膜を十分に固化するのに必要な任意の適した時間フレームの間行うことができる。UV硬化は、様々なパラメーター、例えば電力、温度、環境などのパラメーターで行うことができる。幾つかの実施態様において、UV硬化は、アセチレン/エチレン環境において起こる。
【0057】
1つの態様において、流動性化学気相堆積プロセスにおいてケイ素含有膜を堆積させるための方法が提供され、方法は、表面特徴を備える基材を、-20℃~約100℃の範囲の1つ又は複数の温度の反応器中に配置する工程;式RnSiR1
4-nを有し、式中、Rが直鎖又は分岐鎖のC2~C6アルケニル基、直鎖又は分岐鎖のC2~C6アルキニル基から選択され、R1が水素及び分岐鎖のC1~C10アルキル基から選択され、nが1、2、3及び4から選択される数である少なくとも1つの化合物を含む組成物を反応器中に導入する工程;並びにプラズマ源を反応器中に提供し、少なくとも1つの化合物を少なくとも部分的に反応させて流動性液体オリゴマーを形成する工程であって、流動性液体オリゴマーは表面特徴の少なくとも一部を少なくとも部分的に充填し、プラズマ源は、組み合わされて働くリモートプラズマ源及びインサイチュプラズマ源の両方を含む工程、を含む。
【0058】
以下の実施例は、本発明の特定の実施態様を例示するために提供され、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0059】
流動性化学気相堆積(FCVD)膜を、中位の抵抗(8~12Ωcm)の単結晶シリコンウエハ基材及びSiのパターン付きウエハの上に堆積した。特定の実施例において、結果として生じるケイ素含有膜又はコーティングは、前堆積処理、例えば、以下に限定するものではないが、プラズマ処理、熱処理、化学処理、紫外光露光、赤外露光、電子ビーム露光及び/又は膜の1つ又は複数の特性に影響を与える他の処理を受けさせることができる。
【0060】
Applied Materials Precision 5000システムにおける改造したFCVDチャンバーでの堆積は、シラン又はTEOSのいずれかのプロセスキットを使用して行うことができる。チャンバーは直接的な液体注入(DLI)輸送能力を有する。前駆体は、前駆体の沸点に依存する輸送温度を有する液体である。初期の流動性窒化膜を堆積するために、典型的な液体前駆体流速は100~5000mg/minであり、インサイチュプラズマの電力密度は0.25~3.5W/cm2であり、圧力は0.75~12Torrであった。堆積ままの流動性膜を高密度化するために、膜を、100~1000℃、好ましくは300~400℃で、改造したPECVDチャンバーを使用して、真空中で、熱アニールするか、及び/又はUV硬化した。厚さ及び632nmにおける屈折率(RI)を、SCI反射計又はWoollamエリプソメータによって測定した。典型的な膜厚は10~2000nmの範囲であった。ケイ素ベースの膜の結合特性及び水素含有量(Si-H、C-H及びN-H)を、Nicolet透過フーリエ変換赤外分光(FTIR)ツールによって測定及び解析した。全ての密度測定を、X線反射率法(XRR)を使用して行った。X線光電子分光(XPS)分析及び二次イオン質量分析(SIMS)を行って、膜の元素組成を決定した。パターニングしたウエハにおける流動性及びギャップ充填効果を、Hitachi S-4700システムを2.0nmの分解能で使用して、断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって観察した。
【0061】
流動性CVD堆積を、以下の条件に従って行った。
【0062】
実施例1:堆積条件-3000W リモートプラズマ源(RPS);200W インサイチュ;2torr;1500sccm NH
3;1500mg/min テトラビニルシラン(TVS)。
図1を参照すると、膜は硬化後のボイドを示している。
【0063】
実施例2:堆積条件-3000W RPS;200W インサイチュ;2torr;1000sccm NH
3;1500mg/min TVS。
図2を参照すると、より少ないNH
3流は膜のボイドを減少させている。
【0064】
実施例3:堆積条件-3000W RPS;0W インサイチュ;2torr;1000sccm NH
3;1500mg/min TVS。
図3を参照すると、インサイチュプラズマを止めることは特徴の頂部におけるピンチオフを引き起こすことがわかる。
【0065】
実施例4:堆積条件-TVSのみ;3000W RPS;200W インサイチュ;2torr;1000sccm NH3;1500mg/min TVS;TVS+トリシリルアミン(TSA);3000W RPS;200W インサイチュ;2torr;1000sccm NH3;1500mg/min TVS+900sccm TSA。表1を参照すると、TSAをチャンバーに加えることは、膜中へのNの取り込みを増加させないことがわかる。そのことは環境の酸化について膜を活性化する。
【0066】
実施例4における追記事項:化学組成をX線光電子分光法(XPS)によって決定した。幾らかの表面酸化がTVS膜において観察された。膜のバルクはわずかな酸化を有していた。表面及びバルクの酸化は、TVS+TSA膜において非常に度合いが大きかった。
【表1】
【0067】
実施例5:堆積条件-TVSのみ;0W RPS;200W インサイチュ;8torr;400sccm NH
3;2000mg/min TVS;200sccm He;5secの堆積;
図4を参照すると、インサイチュプラズマの活性化のみを用いてTVSを使用するとき、堆積した膜は流動性を示したが、硬化後にはそれらは充填された特徴において視認可能な多孔性を示した。
図2と比較して、これらの膜は、特徴中で有意に低い密度であると考えられる。
【0068】
本発明の特定の原理が、態様又は実施態様とあわせて上で説明されたが、この説明は単に例としてされていて、本発明の範囲を限定するものではないと明確に理解される。