(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】制御装置、投影システム、制御方法、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20220817BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20220817BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20220817BHJP
G06F 3/0346 20130101ALI20220817BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
G06F3/0346 422
(21)【出願番号】P 2021536633
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(86)【国際出願番号】 JP2020021641
(87)【国際公開番号】W WO2021019897
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2019138118
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 智紀
(72)【発明者】
【氏名】石田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】石塚 晶啓
(72)【発明者】
【氏名】井上 和紀
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-156325(JP,A)
【文献】特開平08-029163(JP,A)
【文献】特開2018-025809(JP,A)
【文献】特開2010-230864(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0074585(KR,A)
【文献】特開2014-138411(JP,A)
【文献】特開2019-007826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
H40N 9/31
G03B 21/00
G09G 5/00
G06F 3/0346
G01C 3/00
G01C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データに基づいて表示部にて生成される画像を投影対象物に投影する光学系と、前記投影対象物を撮像する撮像部と、を有する投影システムの制御装置であって、
前記投影対象物に投影された前記画像の第一撮像画像データを前記撮像部から取得し、前記第一撮像画像データの一部又は全部の第一鮮鋭度と、前記入力画像データの第二鮮鋭度とに基づいて、
前記第一鮮鋭度と前記第二鮮鋭度との差又は比が、上限及び下限を有する所定範囲内の状態では前記投影対象物に対するジェスチャが行われていると判定し、前記差又は比が前記所定範囲外の状態では前記ジェスチャが行われていないと判定し、前記ジェスチャが行われていると判定した場合に前記入力画像データを変更する制御部を備える制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記第一撮像画像データの前記全部の鮮鋭度を前記第一鮮鋭度とする制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の第二撮像画像データを前記撮像部から取得し、前記第一撮像画像データから前記第二撮像画像データを減算することにより、前記第一撮像画像データの前記一部である第三撮像画像データを生成し、前記第三撮像画像データの鮮鋭度を前記第一鮮鋭度とする制御装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の制御装置であって、
前記撮像部から出力される撮像画像データに基づいて、前記投影対象物と前記光学系の間に存在する物体の有無を判定する物体判定部を更に備え、
前記制御部は、前記物体判定部によって物体が有りと判定された場合に、前記ジェスチャの有無の判定を行う制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の制御装置であって、
前記物体判定部は、前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から取得して基準画像データに設定し、前記基準画像データが設定された状態且つ前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から取得し、当該撮像画像データと前記基準画像データの比較に基づいて、前記物体の有無を判定する制御装置。
【請求項6】
請求項4記載の制御装置であって、
前記物体判定部は、前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から異なるタイミングにて取得し、第一タイミングにて取得した前記撮像画像データと、前記第一タイミングより前の第二タイミングにて取得した前記撮像画像データとの比較に基づいて、前記物体の有無を判定する制御装置。
【請求項7】
請求項4記載の制御装置であって、
前記物体判定部は、前記投影対象物に前記画像が投影された状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から異なるタイミングにて取得し、第一タイミングにて取得した前記撮像画像データと、前記第一タイミングより前の第二タイミングにて取得した前記撮像画像データとの比較に基づいて、前記物体の有無を判定する制御装置。
【請求項8】
請求項1記載の制御装置であって、
前記制御部は、前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の第二撮像画像データを前記撮像部から取得し、前記第一撮像画像データから前記第二撮像画像データを減算することにより、前記第一撮像画像データの前記一部である第三撮像画像データを生成し、前記第三撮像画像データの鮮鋭度を前記第一鮮鋭度とし、
前記撮像部から出力される撮像画像データに基づいて、前記投影対象物と前記光学系の間に存在する物体の有無を判定する物体判定部を更に備え、
前記制御部は、前記物体判定部によって物体が有りと判定され且つ当該物体の周波数が所定値未満である場合に、前記ジェスチャの有無の判定を行う制御装置。
【請求項9】
請求項8記載の制御装置であって、
前記物体判定部は、前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から取得して基準画像データに設定し、前記基準画像データが設定された状態且つ前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から取得し、当該撮像画像データと前記基準画像データの比較に基づいて、前記物体の有無を判定し、
前記制御部は、前記物体判定部によって物体が有りと判定された場合に、前記撮像画像データと前記基準画像データの比較によって当該物体の周波数を求める制御装置。
【請求項10】
請求項8記載の制御装置であって、
前記物体判定部は、前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から異なるタイミングにて取得し、第一タイミングにて取得した前記撮像画像データと、前記第一タイミングより前の第二タイミングにて取得した前記撮像画像データとの比較に基づいて、前記物体の有無を判定し、
前記制御部は、前記物体判定部によって物体が有りと判定された場合に、2つの前記撮像画像データの前記比較によって当該物体の周波数を求める制御装置。
【請求項11】
請求項4から10のいずれか1項記載の制御装置であって、
前記光学系は、焦点位置可変の焦点位置調整光学系を含む制御装置。
【請求項12】
請求項11記載の制御装置であって、
前記物体判定部によって物体が無しと判定されている場合に前記焦点位置調整光学系の焦点位置を制御する焦点制御部を更に備える制御装置。
【請求項13】
請求項11記載の制御装置であって、
前記物体判定部によって物体が無しと判定されている場合に前記焦点位置調整光学系の焦点位置の調節を促す情報を発する情報発生部を更に備える制御装置。
【請求項14】
請求項13記載の制御装置であって、
前記情報発生部は、前記情報を表示部に表示させる制御装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項記載の制御装置であって、
前記撮像部は、前記光学系の一部を通して前記投影対象物を撮像する制御装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項記載の制御装置と、
前記光学系と、
前記撮像部と、を備える投影システム。
【請求項17】
入力画像データに基づいて表示部にて生成される画像を投影対象物に投影する光学系と、前記投影対象物を撮像する撮像部と、を有する投影システムの制御方法であって、
前記投影対象物に投影された前記画像の第一撮像画像データを前記撮像部から取得し、前記第一撮像画像データの一部又は全部の第一鮮鋭度と、前記入力画像データの第二鮮鋭度とに基づいて、前記第一鮮鋭度と前記第二鮮鋭度との差又は比が、上限及び下限を有する所定範囲内の状態では前記投影対象物に対するジェスチャが行われていると判定し、前記差又は比が前記所定範囲外の状態では前記ジェスチャが行われていないと判定し、前記ジェスチャが行われていると判定した場合に前記入力画像データを変更する制御ステップを含む制御方法。
【請求項18】
請求項17記載の制御方法であって、
前記制御ステップは、前記第一撮像画像データの前記全部の鮮鋭度を前記第一鮮鋭度とする制御方法。
【請求項19】
請求項17記載の制御方法であって、
前記制御ステップは、前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の第二撮像画像データを前記撮像部から取得し、前記第一撮像画像データから前記第二撮像画像データを減算することにより、前記第一撮像画像データの前記一部である第三撮像画像データを生成し、前記第三撮像画像データの鮮鋭度を前記第一鮮鋭度とする制御方法。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか1項記載の制御方法であって、
前記撮像部から出力される撮像画像データに基づいて、前記投影対象物と前記光学系の間に存在する物体の有無を判定する物体判定ステップを更に備え、
前記制御ステップは、前記物体判定ステップによって物体が有りと判定された場合に、前記ジェスチャの有無の判定を行う制御方法。
【請求項21】
請求項20記載の制御方法であって、
前記物体判定ステップは、前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から取得して基準画像データに設定し、前記基準画像データが設定された状態且つ前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から取得し、当該撮像画像データと前記基準画像データの比較に基づいて、前記物体の有無を判定する制御方法。
【請求項22】
請求項20記載の制御方法であって、
前記物体判定ステップは、前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から異なるタイミングにて取得し、第一タイミングにて取得した前記撮像画像データと、前記第一タイミングより前の第二タイミングにて取得した前記撮像画像データとの比較に基づいて、前記物体の有無を判定する制御方法。
【請求項23】
請求項20記載の制御方法であって、
前記物体判定ステップは、前記投影対象物に前記画像が投影された状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から異なるタイミングにて取得し、第一タイミングにて取得した前記撮像画像データと、前記第一タイミングより前の第二タイミングにて取得した前記撮像画像データとの比較に基づいて、前記物体の有無を判定する制御方法。
【請求項24】
請求項17記載の制御方法であって、
前記制御ステップは、前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の第二撮像画像データを前記撮像部から取得し、前記第一撮像画像データから前記第二撮像画像データを減算することにより、前記第一撮像画像データの前記一部である第三撮像画像データを生成し、前記第三撮像画像データの鮮鋭度を前記第一鮮鋭度とし、
前記撮像部から出力される撮像画像データに基づいて、前記投影対象物と前記光学系の間に存在する物体の有無を判定する物体判定ステップを更に備え、
前記制御ステップは、前記物体判定ステップによって物体が有りと判定され且つ当該物体の周波数が所定値未満を満たす場合に、前記ジェスチャの有無の判定を行う制御方法。
【請求項25】
請求項24記載の制御方法であって、
前記物体判定ステップは、前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から取得して基準画像データに設定し、前記基準画像データが設定された状態且つ前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から取得し、当該撮像画像データと前記基準画像データの比較に基づいて、前記物体の有無を判定し、
前記制御ステップは、前記物体判定ステップによって物体が有りと判定された場合に、前記撮像画像データと前記基準画像データの比較によって当該物体の周波数を求める制御方法。
【請求項26】
請求項24記載の制御方法であって、
前記物体判定ステップは、前記投影対象物に前記画像が非投影の状態における前記投影対象物の撮像画像データを前記撮像部から異なるタイミングにて取得し、第一タイミングにて取得した前記撮像画像データと、前記第一タイミングより前の第二タイミングにて取得した前記撮像画像データとの比較に基づいて、前記物体の有無を判定し、
前記制御ステップは、前記物体判定ステップによって物体が有りと判定された場合に、2つの前記撮像画像データの前記比較によって当該物体の周波数を求める制御方法。
【請求項27】
請求項20から26のいずれか1項記載の制御方法であって、
前記光学系は、焦点位置可変の焦点位置調整光学系を含む制御方法。
【請求項28】
請求項27記載の制御方法であって、
前記物体判定ステップによって物体が無しと判定されている場合に前記焦点位置調整光学系の焦点位置を制御する焦点制御ステップを更に備える制御方法。
【請求項29】
請求項27記載の制御方法であって、
前記物体判定ステップによって物体が無しと判定されている場合に前記焦点位置調整光学系の焦点位置の調節を促す情報を発する情報発生ステップを更に備える制御方法。
【請求項30】
請求項29記載の制御方法であって、
前記情報発生ステップは、前記情報を表示部に表示させる制御方法。
【請求項31】
請求項17から30のいずれか1項記載の制御方法であって、
前記撮像部は、前記光学系の一部を通して前記投影対象物を撮像する制御方法。
【請求項32】
入力画像データに基づいて表示部にて生成される画像を投影対象物に投影する光学系と、前記投影対象物を撮像する撮像部と、を有する投影システムの制御プログラムであって、
前記投影対象物に投影された前記画像の第一撮像画像データを前記撮像部から取得し、前記第一撮像画像データの一部又は全部の第一鮮鋭度と、前記入力画像データの第二鮮鋭度とに基づいて、前記第一鮮鋭度と前記第二鮮鋭度との差又は比が、上限及び下限を有する所定範囲内の状態では前記投影対象物に対するジェスチャが行われていると判定し、前記差又は比が前記所定範囲外の状態では前記ジェスチャが行われていないと判定し、前記ジェスチャが行われていると判定した場合に前記入力画像データを変更する制御ステップをコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、投影システム、制御方法、制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置と投影装置とを組み合わせたシステムが提案されている(例えば特許文献1,2参照)。特許文献1には、複数のカメラを用いることで、投影面と装置との間の障害物までの距離を測定することが記載されている。特許文献2には、赤外線等を用いて、投影面における指のタッチ位置を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2005-229415号公報
【文献】日本国特開2016-139396号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の技術に係る1つの実施形態は、投影対象物に画像を投影する光学系とその投影対象物との間にある物体までの距離を低コストにて判定することを可能とする制御装置、投影システム、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の制御装置は、入力画像データに基づいて表示部にて生成される画像を投影対象物に投影する光学系と、上記投影対象物を撮像する撮像部と、を有する投影システムの制御装置であって、上記投影対象物に投影された上記画像の第一撮像画像データを上記撮像部から取得し、上記第一撮像画像データの一部又は全部の第一鮮鋭度と、上記入力画像データの第二鮮鋭度とに基づいて、上記投影対象物と上記光学系の間に存在する物体から上記光学系までの距離を判定する距離判定部を備えるものである。
【0006】
本発明の投影システムは、上記制御装置と、上記光学系と、上記撮像部と、を備えるものである。
【0007】
本発明の制御方法は、入力画像データに基づいて表示部にて生成される画像を投影対象物に投影する光学系と、上記投影対象物を撮像する撮像部と、を有する投影システムの制御方法であって、上記投影対象物に投影された上記画像の第一撮像画像データを上記撮像部から取得し、上記第一撮像画像データの一部又は全部の第一鮮鋭度と、上記入力画像データの第二鮮鋭度とに基づいて、上記投影対象物と上記光学系の間に存在する物体から上記光学系までの距離を判定する距離判定ステップを含むものである。
【0008】
本発明の制御プログラムは、入力画像データに基づいて表示部にて生成される画像を投影対象物に投影する光学系と、上記投影対象物を撮像する撮像部と、を有する投影システムの制御プログラムであって、上記投影対象物に投影された上記画像の第一撮像画像データを上記撮像部から取得し、上記第一撮像画像データの一部又は全部の第一鮮鋭度と、上記入力画像データの第二鮮鋭度とに基づいて、上記投影対象物と上記光学系の間に存在する物体から上記光学系までの距離を判定する距離判定ステップをコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、投影対象物に画像を投影する光学系とその投影対象物との間にある物体までの距離を低コストにて判定可能とする制御装置、投影システム、制御方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の投影システムの一実施形態であるプロジェクタ100の外観構成を示す模式図である。
【
図2】
図1の光源ユニット11の内部構成の一例を示す模式図である。
【
図3】
図1に示すプロジェクタ100の光学ユニット6の断面模式図である。
【
図4】
図1に示すプロジェクタ100の内部ブロック構成を示す模式図である。
【
図5】
図4に示すシステム制御部14の機能ブロック図である。
【
図6】距離判定部14Aによる物体までの距離の判定原理を説明するための模式図である。
【
図7】入力画像データg1と入力画像データg1に基づく画像G1の一例を示す模式図である。
【
図8】
図7に示す画像G1を撮像素子38によって撮像して得られる撮像画像データIPの例を示す模式図である。
【
図9】プロジェクタ100のジェスチャ検出動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】プロジェクタ100のジェスチャ検出動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】ステップS22にて取得された第二撮像画像データIP2と、ステップS3にて取得された第一撮像画像データIP1と、ステップS23にて生成された第三撮像画像データIP3の例を示す図である。
【
図12】
図4に示すシステム制御部14の機能ブロックの第一変形例を示す図である。
【
図13】
図12に示すシステム制御部14によるジェスチャ検出動作を説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図12に示すシステム制御部14によるジェスチャ検出動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
【
図15】
図4に示すシステム制御部14の機能ブロックの第二変形例を示す図である。
【
図16】
図15に示すシステム制御部14によるジェスチャ検出動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の投影システムの一実施形態であるプロジェクタ100の外観構成を示す模式図である。
図2は、
図1の光源ユニット11の内部構成の一例を示す模式図である。
図3は、
図1に示すプロジェクタ100の光学ユニット6の断面模式図である。
図3は、本体部1から出射される光の光路に沿った面での断面を示している。
【0013】
図1に示すように、プロジェクタ100は、本体部1と、本体部1から突出して設けられた光学ユニット6と、を備える。光学ユニット6は、本体部1に支持される第一部材2と、第一部材2に支持された第二部材3と、を備える。なお、第二部材3は、第一部材2に回転可能な状態にて固定されていてもよい。また、第一部材2と第二部材3は一体化された部材であってもよい。光学ユニット6は、本体部1に着脱自在に構成(換言すると交換可能に構成)されていてもよい。
【0014】
本体部1は、光学ユニット6と連結される部分に光を通すための開口15aが形成された筐体15を有する(
図3参照)。
【0015】
本体部1の筐体15の内部には、
図1に示すように、光源ユニット11と、光源ユニット11から射出される光を入力画像データに基づいて空間変調して画像を生成する光変調素子12a(
図2参照)を含む光変調ユニット12と、が設けられている。光源ユニット11と光変調ユニット12によって表示部が構成される。
【0016】
図2に示す例では、光源ユニット11は、白色光を出射する光源41と、カラーホイール42と、照明光学系43と、を備える。光源41は、レーザ又はLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を含んで構成される。カラーホイール42は、光源41と照明光学系43の間に配置されている。カラーホイール42は、円板状の部材であり、その周方向に沿って、赤色光を透過するRフィルタ、緑色光を透過するGフィルタ、及び青色光を透過するBフィルタが設けられている。カラーホイール42は軸周りに回転され、光源41から出射される白色光を時分割にて赤色光、緑色光、及び青色光に分光して照明光学系43に導く。照明光学系43から出射された光は光変調素子12aに入射される。
【0017】
光変調ユニット12に含まれる光変調素子12aは、
図2の光源ユニット11の構成であればDMD(Digital Micromirror Device)が例えば用いられる。光変調素子12aとしては、LCOS(Liquid crystal on silicon)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子、又は液晶表示素子等を用いることもできる。
図3に示すように、光変調ユニット12によって空間変調された光によって形成される画像G1は、筐体15の開口15aを通過して光学ユニット6に入射され、投影対象物としてのスクリーンSCに投影される(
図3参照)。
【0018】
図3に示すように、光学ユニット6は、本体部1の内部と繋がる中空部2Aを有する第一部材2と、中空部2Aと繋がる中空部3Aを有する第二部材3と、中空部2Aに配置された第一光学系21及び反射部材22と、中空部3Aに配置された第二光学系31、分岐部材32、第三光学系33、第四光学系37、撮像素子38、及びレンズ34と、を備える。
【0019】
第一部材2は、断面外形が例えば矩形の部材であり、開口2aと開口2bが互いに垂直な面に形成されている。第一部材2は、本体部1の開口15aと対面する位置に開口2aが配置される状態にて、本体部1によって支持されている。本体部1の光変調ユニット12の光変調素子12aから射出された光は、開口15a及び開口2aを通って第一部材2の中空部2Aに入射される。
【0020】
本体部1から中空部2Aに入射される光の入射方向を方向X1と記載し、方向X1の逆方向を方向X2と記載し、方向X1と方向X2を総称して方向Xと記載する。また、
図3において、紙面手前から奥に向かう方向とその逆方向を方向Zと記載する。また、方向X及び方向Zに垂直な方向を方向Yと記載し、方向Yのうち、
図3において上に向かう方向を方向Y1と記載し、
図3において下に向かう方向を方向Y2と記載する。
【0021】
第一光学系21、反射部材22、第二光学系31、分岐部材32、第三光学系33、及びレンズ34は、光変調素子12aによって形成された画像(表示部にて生成された画像)をスクリーンSCに投影する光学系を構成している。
図3には、この光学系の光軸Kが示されている。第一光学系21、反射部材22、第二光学系31、分岐部材32、第三光学系33、及びレンズ34は、光変調素子12a側からこの順に光軸Kに沿って配置されている。
【0022】
第一光学系21は、少なくとも1つのレンズを含み、本体部1から第一部材2に入射された方向X1に進む光を反射部材22に導く。
【0023】
反射部材22は、第一光学系21から入射された光を方向Y1に反射させる。反射部材22は、例えばミラー等によって構成される。第一部材2には、反射部材22にて反射した光の光路上に開口2bが形成されており、この反射した光は開口2bを通過して第二部材3の中空部3Aへと進む。
【0024】
第二部材3は、断面外形が例えば略T字状の部材であり、第一部材2の開口2bと対面する位置に開口3aが形成されている。第一部材2の開口2bを通過した本体部1からの光は、この開口3aを通って第二部材3の中空部3Aに入射される。
【0025】
第二光学系31は、少なくとも1つのレンズを含み、第一部材2から入射された光を、分岐部材32に導く。
【0026】
分岐部材32は、第二光学系31から入射される光を方向X2に反射させて第三光学系33に導く。また、分岐部材32は、スクリーンSC側からレンズ34に入射されて第三光学系33を通過した被写体光を透過させて、第四光学系37に導く。分岐部材32は、例えばハーフミラー、ビームスプリッター、又は偏光部材等によって構成される。
【0027】
第三光学系33は、少なくとも1つのレンズを含み、分岐部材32にて反射された光をレンズ34に導く。第三光学系33には、例えば、光学系の焦点位置(スクリーンSCに投影される画像の焦点位置)を調節するためのフォーカスレンズ、光学系の焦点距離を調節するためのズームレンズ、又は透過光量が可変の可変絞り等が含まれていてもよい。フォーカスレンズは、焦点位置可変の焦点位置調節光学系を構成する。なお、フォーカスレンズは、第三光学系33ではなく、第一光学系21又は第二光学系31に含まれる構成としてもよい。
【0028】
レンズ34は、第二部材3の方向X2側の端部に形成された開口3cを塞ぐ形でこの端部に配置されている。レンズ34は、第三光学系33から入射された光をスクリーンSCに投影する。
【0029】
第四光学系37は、分岐部材32の方向X1側の隣に配置されており、分岐部材32を透過して方向X1に進む被写体光を撮像素子38に導く。第四光学系37の光軸と、レンズ34及び第三光学系33の光軸とは略一致している。
【0030】
撮像素子38は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等である。撮像素子38は、レンズ34、第三光学系33、分岐部材32、及び第四光学系37を通して、スクリーンSCを撮像する。撮像素子38の撮像画像信号は、後述の画像処理部39に入力される。レンズ34、第三光学系33、及び分岐部材32は、光学系の一部を構成する。
【0031】
図4は、
図1に示すプロジェクタ100の内部ブロック構成を示す模式図である。プロジェクタ100の本体部1には、光源ユニット11と、光変調素子12a及び光変調素子12aを駆動する光変調素子駆動部12bを含む光変調ユニット12と、全体を統括制御するシステム制御部14と、が設けられている。光学ユニット6には、撮像素子38と、撮像素子38から入力された撮像画像信号を処理して撮像画像データを生成する画像処理部39と、が設けられている。画像処理部39によって生成された撮像画像データはシステム制御部14に入力される。撮像素子38と画像処理部39によって撮像部が構成される。
【0032】
光変調素子駆動部12bは、システム制御部14から入力される入力画像データに基づいて光変調素子12aを駆動し、光源ユニット11からの光をこの入力画像データによって空間変調させる。入力画像データとは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の外部装置から入力される画像データに限定されず、プロジェクタ100内部で生成した入力画像データでもよい。また、入力画像データのデータ形式は、デジタルデータ、デジタルアナログ変換後のアナログデータのどちらであってもよい。
【0033】
システム制御部14は、各種のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備える。
【0034】
各種のプロセッサとしては、プログラムを実行して各種処理を行う汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。これら各種のプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0035】
システム制御部14のプロセッサは、各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ又はCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。
【0036】
図5は、
図4に示すシステム制御部14の機能ブロック図である。システム制御部14のプロセッサは、制御プログラムを実行することにより、距離判定部14A及び画像制御部14Bを備える制御装置として機能する。
【0037】
距離判定部14Aは、スクリーンSCに投影された画像G1の第一撮像画像データを撮像部(具体的には画像処理部39)から取得し、この第一撮像画像データの全部の鮮鋭度(第一鮮鋭度)と、画像G1の元となる入力画像データの鮮鋭度(第二鮮鋭度)とに基づいて、スクリーンSCと光学ユニット6の光学系の間に存在する物体(例えば、人の頭や手等)からこの光学系までの距離を判定する。
【0038】
画像データの鮮鋭度とは、その画像データの鮮鋭さ(シャープネス)、換言するとボケ具合を表す指標であり、例えば、画像データのコントラスト値等の各種の評価値を用いることができる。
【0039】
第一撮像画像データには、画像G1と、その画像G1が投影された背景部分(スクリーンSCや物体)とが含まれている。第一撮像画像データに含まれる画像G1は、第一撮像画像データの一部を構成する。第一撮像画像データに含まれる画像G1と背景部分は、第一撮像画像データの全部を構成する。
【0040】
画像制御部14Bは、距離判定部14Aによって判定された光学系から物体までの距離に基づいて、光変調素子12aに入力する入力画像データを制御する。具体的には、画像制御部14Bは、この距離がスクリーンSCの近傍に物体が存在することを示す距離である場合には、スクリーンSCへのタッチ操作がなされたと判断して、そのタッチ操作に応じた制御、つまり、入力画像データの変更を行う。これにより、タッチ操作によってスクリーンSCに投影された画像G1を別のものに変更することができる。
【0041】
図6は、距離判定部14Aによる物体までの距離の判定原理を説明するための模式図である。
図6には、スクリーンSCと、光学ユニット6の光学系のうちの最もスクリーンSC側に位置するレンズ34と、が示されている。また、
図6には、方向Xにおけるレンズ34のスクリーンSC側の端部の位置P1と、方向XにおけるスクリーンSCのレンズ34側の端部の位置P3が示されている。また、
図6には、位置P3と位置P1の間であって位置P3近傍の位置P2が示されている。光学ユニット6からスクリーンSCに投影される画像G1の合焦位置は、位置P3に設定されている。
【0042】
図7は、入力画像データg1と入力画像データg1に基づく画像G1の一例を示す模式図である。
図7に示す入力画像データg1が光変調素子12aに入力されると、この入力画像データg1に基づく画像G1がスクリーンSCに投影される。ここで、
図6に示すように、画像G1の通過経路上に人の指等の物体OBが存在していると、
図7に示すように、画像G1のうちの一部は、スクリーンSCに投影されることなく、物体OBに投影された状態となる。したがって、
図7に示す画像G1を撮像素子38によって撮像して得られる撮像画像データIPは、
図8に示すようなもの(物体OBに対応する物体領域obを含むデータ)となる。
【0043】
ここで、物体OBが、
図6に示した位置P2と位置P1の間に存在している場合を想定する。この場合には、画像G1の合焦位置から遠く離れた位置に物体OBが存在している。このため、
図8に示した撮像画像データIPにおける物体領域obの鮮鋭度は、入力画像データg1における物体領域obと対応する領域の鮮鋭度に対し、大きく低下することになる。つまり、入力画像データg1の鮮鋭度C1と撮像画像データIPの鮮鋭度C2の差は大きな値(例えば後述の第二閾値TH2以上)となる。
【0044】
また、物体OBが、
図6に示した位置P3と位置P2の間に存在している場合を想定する。この場合には、画像G1の合焦位置近傍に物体OBが存在している。このため、
図8に示した撮像画像データIPにおける物体領域obの鮮鋭度は、入力画像データg1における物体領域obと対応する領域の鮮鋭度に対し、僅かに低下することになる。つまり、入力画像データg1の鮮鋭度C1と撮像画像データIPの鮮鋭度C2の差は、物体OBが位置P2と位置P1の間に存在している場合よりは小さい値(例えば、後述の第一閾値TH1以上且つ第二閾値TH2未満の範囲の値)となる。
【0045】
更に、
図6に示す物体OBが存在していない場合を想定する。この場合には、入力画像データg1の鮮鋭度C1と撮像画像データIPの鮮鋭度C2はほぼ同じ値となる。つまり、鮮鋭度C1と鮮鋭度C2の差は、物体OBが位置P3と位置P2の間に存在している場合よりも小さい値(例えば、後述の第一閾値TH1未満)となる。
【0046】
このように、距離判定部14Aは、入力画像データg1の鮮鋭度と、画像G1をスクリーンSCに投影した状態にてその画像G1を撮像して得られる第一撮像画像データの鮮鋭度との差の大きさによって、物体OBの存在の有無と、光学系から物体OBまでの距離の大きさとを判定する。
【0047】
図9は、プロジェクタ100のジェスチャ検出動作を説明するためのフローチャートである。システム制御部14の画像制御部14Bは、入力画像データg1を取得し、これを光変調素子12aに入力して、入力画像データg1に基づく画像G1をスクリーンSCに投影させる(ステップS1)。
【0048】
次に、システム制御部14の距離判定部14Aは、撮像素子38を駆動して、画像G1が投影されているスクリーンSCを撮像させる(ステップS2)。ステップS2の撮像にて撮像素子38から撮像画像信号が出力されると、この撮像画像信号が画像処理部39によって処理されて、撮像画像データが生成される。距離判定部14Aは、この撮像画像データのうちの画像G1に対応する部分である第一撮像画像データを画像処理部39から取得する(ステップS3)。
【0049】
次に、距離判定部14Aは、入力画像データg1と第一撮像画像データのサイズを一致させる処理を行う(ステップS4)。このステップS4において、距離判定部14Aは、更に、入力画像データg1と第一撮像画像データの明るさを揃える処理を行ってもよい。
【0050】
次に、距離判定部14Aは、入力画像データg1の鮮鋭度C1と第一撮像画像データの鮮鋭度C2をそれぞれ導出し、鮮鋭度C1と鮮鋭度C2の差ΔC(絶対値)を算出する(ステップS5)。
【0051】
次に、距離判定部14Aは、差ΔCが第一閾値TH1未満となるか否かを判定する(ステップS6)。距離判定部14Aは、差ΔCが第一閾値TH1未満であった場合(ステップS6:YES)には、投影中の画像G1を遮る物体は存在しないと判定し(ステップS7)、ジェスチャ非検出として処理を終了させる。
【0052】
距離判定部14Aは、差ΔCが第一閾値TH1以上であった場合(ステップS6:NO)には、投影中の画像G1を遮る物体が存在すると判定し、差ΔCが第二閾値TH2以上であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0053】
距離判定部14Aは、差ΔCが第二閾値TH2以上であった場合(ステップS8:YES)には、光学系から物体までの距離が、
図6に示した位置P1と位置P2の間の距離である第一距離L1未満である、換言すると、スクリーンSC近傍に物体が存在していないと判定し(ステップS9)、ジェスチャ非検出として処理を終了させる。
【0054】
距離判定部14Aは、差ΔCが第二閾値TH2未満であった場合(ステップS8:NO)には、光学系から物体までの距離が第一距離L1以上である、換言すると、スクリーンSC近傍に物体が存在している(すなわちジェスチャ(スクリーンSCへのタッチ操作)が行われている)と判定する(ステップS10)。
【0055】
ステップS10の後、画像制御部14Bは、第一撮像画像データにおける物体領域の位置に基づいて、例えば入力画像データg1の一部を更新したり、入力画像データg1を他の入力画像データに変更したりする制御を行う(ステップS11)。
【0056】
なお、距離判定部14Aは、
図9のステップS5において、2つの鮮鋭度の比を算出し、この比に基づいて、光学系から物体までの距離を判定してもよい。例えば、距離判定部14Aは、入力画像データg1の鮮鋭度C1を第一撮像画像データの鮮鋭度C2で除算した値を上記の比とし、この比が“1”であればステップS7に処理を移行する。また、距離判定部14Aは、この比が“1”より大きく閾値th1未満であればステップS10に処理を移行する。また、距離判定部14Aは、この比が閾値th1以上であればステップS9に処理を移行する。
【0057】
以上のように、プロジェクタ100によれば、入力画像データg1の鮮鋭度と第一撮像画像データの鮮鋭度とに基づいて、光学系から、画像G1を遮っている物体までの距離を判定することができる。この判定には、赤外線やステレオカメラ等の高価なハードウェアや複雑な演算は不要である。このため、物体までの距離の判定を低コスト且つ軽負荷にて行うことができる。
【0058】
図10は、プロジェクタ100のジェスチャ検出動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
図10において
図9と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0059】
ステップS1に先立ち、距離判定部14Aは、スクリーンSCに画像G1が非投影の状態において、撮像素子38を駆動して、スクリーンSCを撮像させる(ステップS21)。ステップS21の撮像にて撮像素子38から撮像画像信号が出力されると、この撮像画像信号が画像処理部39によって処理されて、撮像画像データが生成される。距離判定部14Aは、この撮像画像データのうちの画像G1の投影範囲に対応する部分である第二撮像画像データを画像処理部39から取得する(ステップS22)。
【0060】
ステップS22の後、ステップS1からステップS3の処理が行われると、距離判定部14Aは、第一撮像画像データから第二撮像画像データを減算して、第三撮像画像データを生成する(ステップS23)。
【0061】
図11は、ステップS22にて取得された第二撮像画像データIP2と、ステップS3にて取得された第一撮像画像データIP1と、ステップS23にて生成された第三撮像画像データIP3の例を示す図である。
【0062】
図11に示す第一撮像画像データIP1における物体領域obは、画像G1の一部が物体OBに重なった状態で得られる。そのため、物体OBそのものに複雑な模様が存在している(例えば柄物の洋服の一部が画像G1を遮っているようなケースを想定)と、この複雑な模様と、画像G1の一部とが重なった状態にて撮像されることになる。この場合、第一撮像画像データIP1の全部の鮮鋭度は、物体OBがスクリーンSC近傍に存在していても、入力画像データg1の鮮鋭度より大きくなる可能性がある。
【0063】
図11に示す第一撮像画像データIP1から第二撮像画像データIP2を減算すると、物体OBが除去された第三撮像画像データIP3を得ることができる。一方で、第三撮像画像データIP3における領域ob1は、スクリーンSCよりも手前側に画像G1が投影された部分である。このため、この領域ob1の鮮鋭度は第三撮像画像データIP3の他の領域と比べて低下する。そのため、第一撮像画像データIP1の鮮鋭度と第三撮像画像データの鮮鋭度に基づいて、物体OBまでの距離を判定することができる。
【0064】
距離判定部14Aは、ステップS23にて第三撮像画像データを生成すると、入力画像データg1と第三撮像画像データのサイズを一致させる処理を行う(ステップS4a)。
【0065】
次に、距離判定部14Aは、入力画像データg1の鮮鋭度C1と第三撮像画像データの鮮鋭度C3をそれぞれ導出し、鮮鋭度C1と鮮鋭度C3の差Ca(絶対値)を算出する(ステップS5a)。本変形例において鮮鋭度C3は第一鮮鋭度を構成する。
【0066】
次に、距離判定部14Aは、差ΔCaが第一閾値TH1未満となるか否かを判定する(ステップS6a)。距離判定部14Aは、差ΔCaが第一閾値TH1未満であった場合(ステップS6a:YES)には、ステップS7に処理を移行する。
【0067】
距離判定部14Aは、差ΔCが第一閾値TH1以上であった場合(ステップS6a:NO)には、投影中の画像G1を遮る物体が存在すると判定し、差ΔCaが第二閾値TH2以上であるか否かを判定する(ステップS8a)。
【0068】
距離判定部14Aは、差ΔCaが第二閾値TH2以上であった場合(ステップS8a:YES)には、ステップS9に処理を移行し、差ΔCaが第二閾値TH2未満であった場合(ステップS8a:NO)には、ステップS10に処理を移行する。
【0069】
以上のように、入力画像データg1の鮮鋭度と第三撮像画像データの鮮鋭度とに基づいて、光学系から、画像G1を遮っている物体までの距離を判定することができる。第三撮像画像データを用いることで、物体OBにコントラストが高くなるような模様が含まれている場合であっても、その物体OBまでの距離を正確に判定することができる。ここで説明した第三撮像画像データは、第一撮像画像データIP1のうち物体OBの部分とスクリーンSCの部分(つまり、上述した背景部分)が除去された画像データである。つまり、第三撮像画像データは、第一撮像画像データの一部ということができる。
【0070】
なお、
図10に示す変形例においても、差ΔCaの代わりに、入力画像データg1の鮮鋭度と第三撮像画像データの鮮鋭度の比を用いることができる。
【0071】
また、
図10の説明では、第三撮像画像データを、第一撮像画像データから第二撮像画像データを減算して生成するものとした。しかし、第三撮像画像データは、第一撮像画像データに含まれる背景部分が除去されたものであればよく、例えば、第一撮像画像データの各画素と第二撮像画像データの各画素との輝度比を求め、この輝度比を第一撮像画像データの各画素に乗じることで、背景部分が除去された第三撮像画像データを生成してもよい。
【0072】
図12は、
図4に示すシステム制御部14の機能ブロックの第一変形例を示す図である。システム制御部14のプロセッサは、制御プログラムを実行することにより、距離判定部14A、画像制御部14B、物体判定部14Cを備える制御装置として機能する。
【0073】
物体判定部14Cは、距離判定部14Aによる距離判定の処理に先立ち、画像処理部39から出力される撮像画像データに基づいて、スクリーンSCと光学系の間に存在する物体の有無を判定する。
【0074】
図12に示した距離判定部14Aと画像制御部14Bの機能は、上述してきたものと同じである。ただし、距離判定部14Aは、物体判定部14CによってスクリーンSCと光学系の間に物体が存在すると判定された場合に限って、上述した物体までの距離の判定を行うものとなっている。
【0075】
図13は、
図12に示すシステム制御部14によるジェスチャ検出動作を説明するためのフローチャートである。
【0076】
プロジェクタ100の電源が投入されると、まず、物体判定部14Cは、スクリーンSCに画像G1が非投影の状態において、撮像素子38を駆動して、スクリーンSCを撮像させる(ステップS31)。ステップS31の撮像にて撮像素子38から撮像画像信号が出力されると、この撮像画像信号が画像処理部39によって処理されて、撮像画像データが生成される。物体判定部14Cは、この撮像画像データのうちの画像G1の投影範囲に対応する部分の画像データを画像処理部39から取得し、この画像データを基準画像データとして設定し、RAMに記憶する(ステップS32)。
【0077】
次に、画像制御部14Bが、入力画像データg1を取得し、これを光変調素子12aに入力して、入力画像データg1に基づく画像G1をスクリーンSCに投影させる(ステップS33)。
【0078】
次に、物体判定部14Cは、画像G1の投影を一時的に停止させる(ステップS34)。そして、物体判定部14Cは、画像G1の投影が停止されている状態において、撮像素子38を駆動して、スクリーンSCを撮像させる(ステップS35)。ステップS35の撮像にて撮像素子38から撮像画像信号が出力されると、この撮像画像信号が画像処理部39によって処理されて、撮像画像データが生成される。物体判定部14Cは、この撮像画像データのうちの画像G1の投影範囲に対応する部分を画像処理部39から取得し、この部分と、基準画像データとを比較する(ステップS36)。
【0079】
比較の結果、2つの画像データの輝度差が閾値未満であった場合(ステップS37:NO)には、ステップS33に処理が戻る。なお、ステップS34の処理が行われてからステップS33の処理が行われるまでの時間は、人に検知できない程度の短時間にて行われる。
【0080】
2つの画像データの輝度差がこの閾値以上であった場合(ステップS37:YES)には、ステップS38に処理が移行される。ステップS38において、物体判定部14Cは、画像G1を遮る物体が存在する可能性ありと判定する。そして、ステップS38の処理が行われると、
図9のステップS1以降の処理又は
図10のステップS21以降の処理が開始される。
【0081】
なお、ステップS37とステップS38では、2つの画像データの輝度差の大きさによって物体の有無を判定しているが、例えば2つの画像データの差分画像データを生成し、その差分画像データにエッジが含まれる場合に、そのエッジで囲まれる部分に物体が存在する可能性があると判定してもよい。
【0082】
以上のように、画像G1を遮る物体が存在する可能性がある場合に限って、
図9又は
図10に示す処理を行うことで、システム制御部14の処理量の増大を防ぐことができる。
【0083】
図13のステップS37の判定がNOとなった場合に、物体判定部14Cは、RAMに記憶している基準画像データを、ステップS36にて取得した撮像画像データに書き換え、この撮像画像データを基準画像データとして再設定してもよい。このようにすることで、プロジェクタ100の起動後に、スクリーンSCの置かれている環境の明るさが変化した場合であっても、物体の有無の判定を高精度に行うことができる。
【0084】
また、
図13では、画像が非投影の状態且つ異なるタイミングにてスクリーンSCを撮像して得られる2つの撮像画像データの比較により、投影される画像を遮る物体の有無を判定している。この変形例として、物体判定部14Cは、画像が投影された状態且つ異なるタイミングにてスクリーンSCを撮像して得られる2つの撮像画像データの比較により、投影される画像を遮る物体の有無を判定してもよい。
【0085】
図14は、
図12に示すシステム制御部14によるジェスチャ検出動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
図14に示すフローチャートは、ステップS39が追加された点を除いては、
図13に示すフローチャートと同じである。
図14において
図13と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
物体判定部14Cは、ステップS38において物体が存在する可能性があると判定すると、その物体の特徴が特定条件を満たすか否かを判定する(ステップS39)。
【0087】
具体的には、物体判定部14Cは、ステップS37の比較に用いた2つの撮像画像データの差分画像データを生成する。この差分画像データは、物体を示す画像データとなる。物体判定部14Cは、この差分画像データの周波数(空間周波数)を求め、周波数が所定値以上となっている場合に、物体の特徴が特定条件を満たしていないと判定し、周波数が所定値未満となっている場合に、物体の特徴が特定条件を満たしていると判定する。この例では、周波数が物体の特徴であり、周波数が所定値未満となること(換言すると、細かい模様を含まない物体であること)が特定条件である。
【0088】
ステップS39において物体の特徴が特定条件を満たすと判定されると、
図10のステップS21以降の処理が行われる。
図14に示す動作によれば、スクリーンSCに投影された画像を遮る物体に、空間周波数が高くなる複雑な模様が含まれない場合に限って、
図10の処理が行われる。
図10の処理は、物体の模様の影響を排除できるものであるが、
図14のステップS39の処理を行うことで、この影響をより強力に排除することが可能となる。
【0089】
図14のフローチャートにおいても、
図13にて説明した変形例(ステップS37の判定がNOとなった場合に基準画像データを更新する点、画像が投影された状態且つ異なるタイミングにてスクリーンSCを撮像して得られる2つの撮像画像データの比較により、投影される画像を遮る物体の有無を判定する点)を適用可能である。
【0090】
図15は、
図4に示すシステム制御部14の機能ブロックの第二変形例を示す図である。システム制御部14のプロセッサは、制御プログラムを実行することにより、距離判定部14A、画像制御部14B、物体判定部14C、及び焦点制御部14Dを備える制御装置として機能する。この第二変形例では、光学ユニット6に含まれる光学系に、上述したフォーカスレンズが含まれることを前提としている。
【0091】
図15に示した距離判定部14A、画像制御部14B、物体判定部14Cの機能は、
図12と同様であるため説明を省略する。
【0092】
焦点制御部14Dは、物体判定部14Cによって物体が無しと判定されている場合に、フォーカスレンズを制御して光学系の焦点位置を制御する。
【0093】
図16は、
図15に示すシステム制御部14によるジェスチャ検出動作を説明するためのフローチャートである。
図16に示すフローチャートは、ステップS41とステップS42が追加された点を除いては、
図13に示すフローチャートと同じである。
図16において
図13と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0094】
ステップS37の判定がNOとなった場合、焦点制御部14Dは、ステップS36にて取得された撮像画像得データに基づいて、光学系の焦点調節が必要か否かを判定する(ステップS41)。例えば、焦点制御部14Dは、この撮像画像データの鮮鋭度を求め、この鮮鋭度が所定値以下となっている場合に、焦点調節が必要であると判定する。
【0095】
焦点制御部14Dは、焦点調節が必要と判定した場合(ステップS41:YES)には、コントラストAF(Auto Focus)方式や位相差AF方式等によって、フォーカスレンズの駆動量を決定し、この駆動量にしたがってフォーカスレンズを駆動して焦点位置の調節を行う(ステップS42)。ステップS42の後は、ステップS33に処理が移行される。ステップS41の判定がNOとなった場合にも、ステップS33に処理が移行される。
【0096】
なお、
図14に示すフローチャートにおいて、ステップS37の判定がNOとなった場合と、ステップS39の判定がNOとなった場合とのそれぞれにおいて、
図16のステップS41及びステップS42の処理が行われるようにしてもよい。
【0097】
図16のフローチャートにおいても、
図13にて説明した変形例(ステップS37の判定がNOとなった場合に基準画像データを更新する点、画像が投影された状態且つ異なるタイミングにてスクリーンSCを撮像して得られる2つの撮像画像データの比較により、投影される画像を遮る物体の有無を判定する点)を適用可能である。
【0098】
図16に示す動作によれば、物体判定部14Cによって物体が無いと判定されている状態において、光学系の焦点調節が行われる。このため、スクリーンSC前方の物体に焦点があってしまうのを防いで、スクリーンSC上に焦点のあった画像を投影可能となる。
【0099】
図16に示す動作では、ステップS37の判定がNOとなった場合に、システム制御部14が自動的に焦点調節を行うものとした。この変形例として、ステップS37の判定がNOとなり且つステップS41の判定がYESとなった場合に、システム制御部14は、光学系の焦点位置の調節を促す情報を発してもよい。この場合のシステム制御部14は、情報発生部として機能する。システム制御部14は、例えば、図示省略の液晶ディスプレイ等の表示部にメッセージを表示させたり、図示省略のスピーカからメッセージを出力させたりすることで、光学系の焦点位置の調節を促す情報を発する。
【0100】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0101】
(1)
入力画像データに基づいて表示部にて生成される画像を投影対象物に投影する光学系と、上記投影対象物を撮像する撮像部と、を有する投影システムの制御装置であって、
上記投影対象物に投影された上記画像の第一撮像画像データを上記撮像部から取得し、上記第一撮像画像データの一部又は全部の第一鮮鋭度と、上記入力画像データの第二鮮鋭度とに基づいて、上記投影対象物と上記光学系の間に存在する物体から上記光学系までの距離を判定する距離判定部を備える制御装置。
【0102】
(2)
(1)記載の制御装置であって、
上記距離判定部は、上記第一鮮鋭度と上記第二鮮鋭度との差に基づいて上記距離を判定する制御装置。
【0103】
(3)
(2)記載の制御装置であって、
上記距離判定部は、上記差が第一閾値以上第二閾値未満の状態では、上記距離が第一距離以上であると判定し、上記差が上記第二閾値以上の状態では、上記距離が上記第一距離未満であると判定する制御装置。
【0104】
(4)
(1)記載の制御装置であって、
上記距離判定部は、上記第一鮮鋭度と上記第二鮮鋭度との比に基づいて上記距離を判定する制御装置。
【0105】
(5)
(1)から(4)のいずれか1つに記載の制御装置であって、
上記距離に基づいて上記入力画像データを制御する画像制御部を備える制御装置。
【0106】
(6)
(3)記載の制御装置であって、
上記距離に基づいて上記入力画像データを制御する画像制御部を備え、
上記画像制御部は、上記距離が上記第一距離以上の状態において、上記入力画像データを変更する制御装置。
【0107】
(7)
(1)から(6)のいずれか1つに記載の制御装置であって、
上記距離判定部は、上記第一撮像画像データの上記全部の鮮鋭度を上記第一鮮鋭度とする制御装置。
【0108】
(8)
(1)から(6)のいずれか1つに記載の制御装置であって、
上記距離判定部は、上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の第二撮像画像データを上記撮像部から取得し、上記第一撮像画像データと上記第二撮像画像データに基づいて、上記第一撮像画像データの上記一部である第三撮像画像データを生成し、上記第三撮像画像データの鮮鋭度を上記第一鮮鋭度とする制御装置。
【0109】
(9)
(8)記載の制御装置であって、
上記距離判定部は、上記第一撮像画像データから上記第二撮像画像データを減算して上記第三撮像画像データを生成する制御装置。
【0110】
(10)
(1)から(9)のいずれか1つに記載の制御装置であって、
上記撮像部から出力される撮像画像データに基づいて、上記投影対象物と上記光学系の間に存在する物体の有無を判定する物体判定部を更に備え、
上記距離判定部は、上記物体判定部によって物体が有りと判定された場合に、上記距離の判定を行う制御装置。
【0111】
(11)
(10)記載の制御装置であって、
上記物体判定部は、上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から取得して基準画像データに設定し、上記基準画像データが設定された状態且つ上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から取得し、その撮像画像データと上記基準画像データの比較に基づいて、上記物体の有無を判定する制御装置。
【0112】
(12)
(10)記載の制御装置であって、
上記物体判定部は、上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から異なるタイミングにて取得し、第一タイミングにて取得した上記撮像画像データと、上記第一タイミングより前の第二タイミングにて取得した上記撮像画像データとの比較に基づいて、上記物体の有無を判定する制御装置。
【0113】
(13)
(10)記載の制御装置であって、
上記物体判定部は、上記投影対象物に上記画像が投影された状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から異なるタイミングにて取得し、第一タイミングにて取得した上記撮像画像データと、上記第一タイミングより前の第二タイミングにて取得した上記撮像画像データとの比較に基づいて、上記物体の有無を判定する制御装置。
【0114】
(14)
(1)から(6)のいずれか1つに記載の制御装置であって、
上記距離判定部は、上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の第二撮像画像データを上記撮像部から取得し、上記第一撮像画像データと上記第二撮像画像データに基づいて、上記第一撮像画像データの上記一部である第三撮像画像データを生成し、上記第三撮像画像データの鮮鋭度を上記第一鮮鋭度とし、
上記撮像部から出力される撮像画像データに基づいて、上記投影対象物と上記光学系の間に存在する物体の有無を判定する物体判定部を更に備え、
上記距離判定部は、上記物体判定部によって物体が有りと判定され且つその物体の特徴が特定条件を満たす場合に、上記距離の判定を行う制御装置。
【0115】
(15)
(14)記載の制御装置であって、
上記物体判定部は、上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から取得して基準画像データに設定し、上記基準画像データが設定された状態且つ上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から取得し、その撮像画像データと上記基準画像データの比較に基づいて、上記物体の有無を判定し、
上記距離判定部は、上記物体判定部によって物体が有りと判定された場合に、上記撮像画像データと上記基準画像データの比較によって求まるその物体の周波数を上記特徴とする制御装置。
【0116】
(16)
(14)記載の制御装置であって、
上記物体判定部は、上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から異なるタイミングにて取得し、第一タイミングにて取得した上記撮像画像データと、上記第一タイミングより前の第二タイミングにて取得した上記撮像画像データとの比較に基づいて、上記物体の有無を判定し、
上記距離判定部は、上記物体判定部によって物体が有りと判定された場合に、2つの上記撮像画像データの上記比較によって求まるその物体の周波数を上記特徴とする制御装置。
【0117】
(17)
(10)から(16)のいずれか1つに記載の制御装置であって、
上記光学系は、焦点位置可変の焦点位置調整光学系を含む制御装置。
【0118】
(18)
(17)記載の制御装置であって、
上記物体判定部によって物体が無しと判定されている場合に上記焦点位置調整光学系の焦点位置を制御する焦点制御部を更に備える制御装置。
【0119】
(19)
(17)記載の制御装置であって、
上記物体判定部によって物体が無しと判定されている場合に上記焦点位置調整光学系の焦点位置の調節を促す情報を発する情報発生部を更に備える制御装置。
【0120】
(20)
(19)記載の制御装置であって、
上記情報発生部は、上記情報を表示部に表示させる制御装置。
【0121】
(21)
(1)から(20)のいずれか1つに記載の制御装置であって、
上記撮像部は、上記光学系の一部を通して上記投影対象物を撮像する制御装置。
【0122】
(22)
(1)から(21)のいずれか1つに記載の制御装置と、
上記光学系と、
上記撮像部と、を備える投影システム。
【0123】
(23)
入力画像データに基づいて表示部にて生成される画像を投影対象物に投影する光学系と、上記投影対象物を撮像する撮像部と、を有する投影システムの制御方法であって、
上記投影対象物に投影された上記画像の第一撮像画像データを上記撮像部から取得し、上記第一撮像画像データの一部又は全部の第一鮮鋭度と、上記入力画像データの第二鮮鋭度とに基づいて、上記投影対象物と上記光学系の間に存在する物体から上記光学系までの距離を判定する距離判定ステップを含む制御方法。
【0124】
(24)
(23)記載の制御方法であって、
上記距離判定ステップは、上記第一鮮鋭度と上記第二鮮鋭度との差に基づいて上記距離を判定する制御方法。
【0125】
(25)
(24)記載の制御方法であって、
上記距離判定ステップは、上記差が第一閾値以上第二閾値未満の状態では、上記距離が第一距離以上であると判定し、上記差が上記第二閾値以上の状態では、上記距離が上記第一距離未満であると判定する制御方法。
【0126】
(26)
(23)記載の制御方法であって、
上記距離判定ステップは、上記第一鮮鋭度と上記第二鮮鋭度との比に基づいて上記距離を判定する制御方法。
【0127】
(27)
(23)から(26)のいずれか1つに記載の制御方法であって、
上記距離に基づいて上記入力画像データを制御する画像制御ステップを含む制御方法。
【0128】
(28)
(25)記載の制御方法であって、
上記距離に基づいて上記入力画像データを制御する画像制御ステップを含み、
上記画像制御ステップにおいて、上記距離が上記第一距離以上の状態において、上記入力画像データを変更する制御方法。
【0129】
(29)
(23)から(28)のいずれか1つに記載の制御方法であって、
上記距離判定ステップは、上記第一撮像画像データの上記全部の鮮鋭度を上記第一鮮鋭度とする制御方法。
【0130】
(30)
(23)から(28)のいずれか1つに記載の制御方法であって、
上記距離判定ステップは、上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の第二撮像画像データを上記撮像部から取得し、上記第一撮像画像データと上記第二撮像画像データに基づいて、上記第一撮像画像データの上記一部である第三撮像画像データを生成し、上記第三撮像画像データの鮮鋭度を上記第一鮮鋭度とする制御方法。
【0131】
(31)
(30)記載の制御方法であって、
上記距離判定ステップは、上記第一撮像画像データから上記第二撮像画像データを減算して上記第三撮像画像データを生成する制御方法。
【0132】
(32)
(23)から(31)のいずれか1つに記載の制御方法であって、
上記撮像部から出力される撮像画像データに基づいて、上記投影対象物と上記光学系の間に存在する物体の有無を判定する物体判定ステップを更に備え、
上記距離判定ステップは、上記物体判定ステップによって物体が有りと判定された場合に、上記距離の判定を行う制御方法。
【0133】
(33)
(32)記載の制御方法であって、
上記物体判定ステップは、上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から取得して基準画像データに設定し、上記基準画像データが設定された状態且つ上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から取得し、その撮像画像データと上記基準画像データの比較に基づいて、上記物体の有無を判定する制御方法。
【0134】
(34)
(32)記載の制御方法であって、
上記物体判定ステップは、上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から異なるタイミングにて取得し、第一タイミングにて取得した上記撮像画像データと、上記第一タイミングより前の第二タイミングにて取得した上記撮像画像データとの比較に基づいて、上記物体の有無を判定する制御方法。
【0135】
(35)
(32)記載の制御方法であって、
上記物体判定ステップは、上記投影対象物に上記画像が投影された状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から異なるタイミングにて取得し、第一タイミングにて取得した上記撮像画像データと、上記第一タイミングより前の第二タイミングにて取得した上記撮像画像データとの比較に基づいて、上記物体の有無を判定する制御方法。
【0136】
(36)
(23)から(28)のいずれか1つに記載の制御方法であって、
上記距離判定ステップは、上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の第二撮像画像データを上記撮像部から取得し、上記第一撮像画像データと上記第二撮像画像データに基づいて、上記第一撮像画像データの上記一部である第三撮像画像データを生成し、上記第三撮像画像データの鮮鋭度を上記第一鮮鋭度とし、
上記撮像部から出力される撮像画像データに基づいて、上記投影対象物と上記光学系の間に存在する物体の有無を判定する物体判定ステップを更に備え、
上記距離判定ステップは、上記物体判定ステップによって物体が有りと判定され且つその物体の特徴が特定条件を満たす場合に、上記距離の判定を行う制御方法。
【0137】
(37)
(36)記載の制御方法であって、
上記物体判定ステップは、上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から取得して基準画像データに設定し、上記基準画像データが設定された状態且つ上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から取得し、その撮像画像データと上記基準画像データの比較に基づいて、上記物体の有無を判定し、
上記距離判定ステップは、上記物体判定ステップによって物体が有りと判定された場合に、上記撮像画像データと上記基準画像データの比較によって求まるその物体の周波数を上記特徴とする制御方法。
【0138】
(38)
(36)記載の制御方法であって、
上記物体判定ステップは、上記投影対象物に上記画像が非投影の状態における上記投影対象物の撮像画像データを上記撮像部から異なるタイミングにて取得し、第一タイミングにて取得した上記撮像画像データと、上記第一タイミングより前の第二タイミングにて取得した上記撮像画像データとの比較に基づいて、上記物体の有無を判定し、
上記距離判定ステップは、上記物体判定ステップによって物体が有りと判定された場合に、2つの上記撮像画像データの上記比較によって求まるその物体の周波数を上記特徴とする制御方法。
【0139】
(39)
(32)から(38)のいずれか1つに記載の制御方法であって、
上記光学系は、焦点位置可変の焦点位置調整光学系を含む制御方法。
【0140】
(40)
(39)記載の制御方法であって、
上記物体判定ステップによって物体が無しと判定されている場合に上記焦点位置調整光学系の焦点位置を制御する焦点制御ステップを更に備える制御方法。
【0141】
(41)
(39)記載の制御方法であって、
上記物体判定ステップによって物体が無しと判定されている場合に上記焦点位置調整光学系の焦点位置の調節を促す情報を発する情報発生ステップを更に備える制御方法。
【0142】
(42)
(41)記載の制御方法であって、
上記情報発生ステップは、上記情報を表示部に表示させる制御方法。
【0143】
(43)
(23)から(42)のいずれか1つに記載の制御方法であって、
上記撮像部は、上記光学系の一部を通して上記投影対象物を撮像する制御方法。
【0144】
(44)
入力画像データに基づいて表示部にて生成される画像を投影対象物に投影する光学系と、上記投影対象物を撮像する撮像部と、を有する投影システムの制御プログラムであって、
上記投影対象物に投影された上記画像の第一撮像画像データを上記撮像部から取得し、上記第一撮像画像データの一部又は全部の第一鮮鋭度と、上記入力画像データの第二鮮鋭度とに基づいて、上記投影対象物と上記光学系の間に存在する物体から上記光学系までの距離を判定する距離判定ステップをコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【0145】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0146】
なお、本出願は、2019年7月26日出願の日本特許出願(特願2019-138118)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【符号の説明】
【0147】
1 本体部
2 第一部材
2A,3A 中空部
2a,2b,3a,3c,15a 開口
3 第二部材
6 光学ユニット
11 光源ユニット
12 光変調ユニット
12a 光変調素子
12b 光変調素子駆動部
14 システム制御部
14A 距離判定部
14B 画像制御部
14C 物体判定部
14D 焦点制御部
15 筐体
21 第一光学系
22 反射部材
31 第二光学系
32 分岐部材
33 第三光学系
34 レンズ
37 第四光学系
38 撮像素子
39 画像処理部
41 光源
42 カラーホイール
43 照明光学系
100 プロジェクタ
G1 画像
g1 入力画像データ
IP 撮像画像データ
IP1 第一撮像画像データ
IP2 第二撮像画像データ
IP3 第三撮像画像データ
K 光軸
SC スクリーン
OB 物体
ob 物体領域