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特許7126166無線通信システム、無線通信方法及び無線通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信方法及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20220819BHJP
【FI】
H04B1/04 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019038814
(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公開番号】P2020145513
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 耕大
(72)【発明者】
【氏名】大槻 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】白戸 裕史
(72)【発明者】
【氏名】北 直樹
(72)【発明者】
【氏名】西方 敦博
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-037128(JP,A)
【文献】特開平06-214019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変調された電波であるデータ信号を送信するデータ送信部と、前記データ信号と異なる周波数の電波であって変調されていない電波である無変調連続波を送信する変調波送信部と、電波を受信する受信部とを備えるI台の第1無線装置(Iは1以上の整数)と、
前記データ信号と前記無変調連続波とを受信するJ台のバン・アッタ・アレーである第2無線装置(Jは1以上の整数)と、
を備え、
周波数f1_i(iは1以上の整数)のデータ信号を第iデータ信号とし、周波数f2_iの無変調連続波を第i無変調連続波として、
前記第2無線装置は、
前記データ信号と前記無変調連続波とを受信する第1アンテナ素子から第(2×N)アンテナ素子の2×N個のアンテナ素子(Nは1以上の整数)を備え、
前記第iデータ信号を透過させる第i変調信号フィルタと、
前記第i無変調連続波を透過させる第i非変調波フィルタと、
前記第i変調信号フィルタを透過した前記第iデータ信号を復調する第i変調信号復調部と、
前記第i非変調波フィルタを透過した前記第i無変調連続波を変調する第i無変調波変調部と、
を備え、
前記第2無線装置は、前記第i無変調波変調部によって変調された後の前記第i無変調連続波を放射し、
前記第1無線装置は、前記第2無線装置によって変調された後の前記第i無変調連続波を受信し、
前記データ送信部が前記データ信号を送信するタイミングと前記変調波送信部が前記無変調連続波を送信するタイミングとは同時であり、
前記アンテナ素子(nは1以上2×N以下の整数)が前記データ信号を受信するタイミングと前記無変調連続波を受信するタイミングとは同時である、
無線通信システム。
【請求項2】
前記第2無線装置は、前記データ信号と前記無変調連続波とを受信する第1アンテナ素子から第(2×N)アンテナ素子の2×N個のアンテナ素子(Nは1以上の整数)を備え、
前記第2無線装置は、前記第i非変調波フィルタとして、前記第nアンテナ素子が受信した前記第i無変調連続波を透過させる第nアンテナ素子用の第i非変調波フィルタを備え、
前記第2無線装置は、前記第i無変調波変調部として、前記第非変調波フィルタを透過した前記第i無変調連続波を変調する第nアンテナ素子用の第i無変調波変調部を備え、
前記2×N個のアンテナ素子はアレー状に位置し、前記第mアンテナ素子(mは1以上(2×N)以下の奇数)と前記第(m+1)アンテナ素子とはアレーの中心について対称な位置に位置するアンテナ素子であって、
前記第mアンテナ素子が受信した前記第i無変調連続波は、前記第m連続波フィルタCF-iを透過した後に前記第mアンテナ素子用の前記第i無変調波変調部によって変調され、前記第mアンテナ素子用の前記第i無変調波変調部によって変調された後に前記第(m+1)アンテナ素子から放射され、
前記第(m+1)アンテナ素子が受信した前記第i無変調連続波は、前記第(m+1)連続波フィルタCF-iを透過した後に前記第(m+1)アンテナ素子用の前記第i無変調波変調部によって変調され、前記第(m+1)アンテナ素子用の前記第i無変調波変調部によって変調された後に前記第mアンテナ素子から放射される、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第2無線装置は、前記データ信号と前記無変調連続波とを受信する第1アンテナ素子から第(2×N)アンテナ素子の2×N個のアンテナ素子(Nは1以上の整数)を備え、
前記第2無線装置は、前記第i変調信号フィルタとして、前記第nアンテナ素子(nは1以上(2×N)以下の整数)が受信した前記第iデータ信号を透過させる第nアンテナ素子用の第iデータ信号フィルタを備え、
前記第i変調信号復調部は、前記第nアンテナ素子用の第i変調信号フィルタを透過した前記第iデータ信号を復調する、
請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第mアンテナ素子と前記第(m+1)アンテナ素子との距離は、前記無変調連続波が伝搬する空間中の前記無変調連続波の波長未満である、
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第nアンテナ素子用の第i無変調波変調部が前記第i無変調連続波を変調する期間を第n変調期間として、全ての第n変調期間は同一である、
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項6】
請求項1に記載の無線通信システムが行う無線通信方法であって、
前記無線通信システムが備えるI台の第1無線装置が、変調された電波であるデータ信号と、変調されていない電波である無変調連続波とを送信する送信ステップと、
前記無線通信システムが備える第2無線装置が前記データ信号と前記無変調連続波とを受信する第1受信ステップと、
前記第2無線装置が前記データ信号と前記無変調連続波とを分離する分離ステップと、
前記第2無線装置が前記データ信号を復調する復調ステップと、
前記第2無線装置が前記無変調連続波を変調する変調ステップと、
前記第2無線装置が、前記変調ステップにおいて変調された後の前記無変調連続波を放射する放射ステップと、
前記第1無線装置が前記放射ステップにおいて放射された前記無変調連続波を受信する第2受信ステップと、
を有する、
無線通信方法。
【請求項7】
第1アンテナ素子から第(2×N)アンテナ素子の2×N個のアンテナ素子(Nは1以上の整数)を備えるバン・アッタ・アレーであって、
変調された電波であるデータ信号を送信するデータ送信部によって送信された前記データ信号であって周波数f1_i(iは1以上の整数)のデータ信号を第iデータ信号とし、前記データ信号と異なる周波数の電波であって変調されていない電波である無変調連続波を送信する変調波送信部によって送信された周波数f2_iの無変調連続波を第i無変調連続波として、
前記第iデータ信号を透過させる第i変調信号フィルタと、
前記第i無変調連続波を透過させる第i非変調波フィルタと、
前記第i変調信号フィルタを透過した前記第iデータ信号を復調する第i変調信号復調部と、
前記第i非変調波フィルタを透過した前記第i無変調連続波を変調する第i無変調波変調部と、
を備え、
前記第アンテナ素子(nは1以上2×N以下の整数)は前記データ信号と前記無変調連続波とを受信し、
前記データ送信部が前記データ信号を送信するタイミングと前記変調波送信部が前記無変調連続波を送信するタイミングとは同時であり、
前記第アンテナ素子が前記データ信号を受信するタイミングと前記無変調連続波を受信するタイミングとは同時である、
無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線通信方法及び無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電波の到来方向に対して電波を再放射するようなアンテナの中で、最も構造が簡単なものが(特許文献1)のバン・アッタ・アレー(Van Atta array)である。図19は、4素子バン・アッタ・アレーを示したものである。バン・アッタ・アレーは、複数のアンテナ素子を等間隔で配列し、アレーの中心について対称の位置にあるアンテナ素子同士を等経路長の結線で接続する。バン・アッタ・アレーに入射した平面波がアンテナ素子#4、#3、#2、#1の順に受信されると、結線を通って一定時間経過後にアンテナ素子#1、#2、#3、#4の順に再放射される。このとき、再放射波が平面波の到来方向に対して同相で強め合うこととなる。図19ではリニアアレーの例を示しているが、同様にして平面アレーも実現することができる。
【0003】
バン・アッタ・アレーは、電波の到来方向へのビーム形成のために、フェーズド・アレーのような信号処理を行う必要がない。そのため、電波の到来方向に対するビーム形成を自動的に、瞬時に行うことができ、電波を受信してからその到来方向にビームを形成するまでの時間は、フェーズド・アレーのそれと比較して圧倒的に短い。
また、バン・アッタ・アレーは、フェーズド・アレーのような信号処理部や移相器を必要としない。そのため、アレーの構造を大幅に簡易化させることができ、アレーの小型化や低コスト化を実現することができる。また、上記のような信号処理、移相器を必要としないことから、それらにかかる電力を削減することができ、省電力化も実現することができる。
【0004】
バン・アッタ・アレーを用いて無線通信を行うことも検討されている。(非特許文献1)では、バン・アッタ・アレーの結線に増幅器を付加して到来波を振幅変調するもの、発振器と混合器を付加して周波数変調または位相変調するものが紹介されている。また、(非特許文献2)では、バン・アッタ・アレーの結線にスイッチを付加して変調するものが紹介されている。図20図21及び図22は、それぞれバン・アッタ・アレーの結線に増幅器、発振器と混合器、スイッチを付加したものを示したものである。これらのバン・アッタ・アレーは、受信した電波を変調してその到来方向に再放射することができ、これはバン・アッタ・アレーが情報を送信することができることを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第2908002号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】Vincent Fusco, and Neil Buchanan “Developments in retrodirective array technology” IET Microwaves, Antennas & Propagation, 2013, Vol. 7, Iss. 2, pp. 131-140
【文献】P. Chan, and V. Fusco “Bi-static 5.8 GHz RFID range enhancement using retrodirective techniques” Proceedings of the 41th Microwave Conference, 2011, pp. 976-979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1や非特許文献2のようなバン・アッタ・アレーは、無変調連続波のみを受信し、それを変調して到来方向に再放射することを想定している。つまり、バン・アッタ・アレーが情報を送信することはできるが、情報を受信することができない片方向通信を行うことを想定している。そのため、主な利用シーンはRFID(radio frequency identifier)などが考えられる。
【0008】
バン・アッタ・アレーを通常の無線通信装置、例えば無線LANのアクセスポイントやスマートフォンなどに適用することができれば、従来のそれと比較して、ビームの高速形成、小型化や低コスト化、省電力化が可能となる。しかし、非特許文献1や非特許文献2のような、片方向通信のみが可能なバン・アッタ・アレーでは、通常の無線通信装置に適用するには不十分であり、特に双方向通信が行えることが必須要件になると考えられる。
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、バン・アッタ・アレーを用いた双方向通信を可能とする技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、変調された電波であるデータ信号を送信するデータ送信部と、前記データ信号と異なる周波数の電波であって変調されていない電波である無変調連続波を送信する無変調波送信部と、電波を受信する受信部とを備えるI台の第1無線装置(Iは1以上の整数)と、前記データ信号と前記無変調連続波とを受信するJ台のバン・アッタ・アレーである第2無線装置(Jは1以上の整数)と、を備え、周波数f1_i(iは1以上の整数)のデータ信号を第iデータ信号とし、周波数f2_iの無変調連続波を第i無変調連続波として、前記第2無線装置は、前記第iデータ信号を透過させる第i変調信号フィルタと、前記第i無変調連続波を透過させる第i非変調波フィルタと、前記第i変調信号フィルタを透過した前記第iデータ信号を復調する第i変調信号復調部と、前記第i非変調波フィルタを透過した前記第i無変調連続波を変調する第i無変調波変調部と、を備え、前記第2無線装置は、前記第i無変調波変調部によって変調された後の前記第i無変調連続波を放射し、前記第1無線装置は、前記第2無線装置によって変調された後の前記第i無変調連続波を受信する、無線通信システムである。
【0011】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムであって、前記第2無線装置は、前記データ信号と前記無変調連続波とを受信する第1アンテナ素子から第(2×N)アンテナ素子の2×N個のアンテナ素子(Nは1以上の整数)を備え、前記第2無線装置は、前記第i非変調波フィルタとして、前記第nアンテナ素子が受信した前記第i無変調連続波を透過させる第nアンテナ素子用の第i非変調波フィルタを備え、前記第2無線装置は、前記第i無変調波変調部として、前記第n非変調波フィルタを透過した前記第i無変調連続波を変調する第nアンテナ素子用の第i無変調波変調部を備え、前記2×N個のアンテナ素子はアレー状に位置し、前記第mアンテナ素子(mは1以上(2×N)以下の奇数)と前記第(m+1)アンテナ素子とはアレーの中心について対称な位置に位置するアンテナ素子であって、前記第mアンテナ素子が受信した前記第i無変調連続波は、前記第m連続波フィルタCF-iを透過した後に前記第m変調部H-iによって変調され、前記第m変調部H-iによって変調された後に前記第(m+1)アンテナ素子から放射され、前記第(m+1)アンテナ素子が受信した前記第i無変調連続波は、前記第(m+1)連続波フィルタCF-iを透過した後に前記第(m+1)変調部H-iによって変調され、前記第(m+1)変調部H-iによって変調された後に前記第mアンテナ素子から放射される。
【0012】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムであって、前記第2無線装置は、前記データ信号と前記無変調連続波とを受信する第1アンテナ素子から第(2×N)アンテナ素子の2×N個のアンテナ素子(Nは1以上の整数)を備え、前記第2無線装置は、前記第i変調信号フィルタとして、前記第nアンテナ素子(nは1以上(2×N)以下の整数)が受信した前記第iデータ信号を透過させる第nアンテナ素子用の第iデータ信号フィルタを備え、前記第i変調信号復調部は、前記第nアンテナ素子用の第i変調信号フィルタを透過した前記第iデータ信号を復調する。
【0013】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムであって、前記第mアンテナ素子と前記第(m+1)アンテナ素子との距離は、前記無変調連続波が伝搬する空間中の前記無変調連続波の波長未満である。
【0014】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムであって、前記第nアンテナ素子用の第i無変調波変調部が前記第i無変調連続波を変調する期間を第n変調期間として、全ての第n変調期間は同一である。
【0015】
本発明の一態様は、上記の無線通信システムが行う無線通信方法であって、前記無線通信システムが備えるI台の第1無線装置が、変調された電波であるデータ信号と、変調されていない電波である無変調連続波とを送信する送信ステップと、前記無線通信システムが備える第2無線装置が前記データ信号と前記無変調連続波とを受信する第1受信ステップと、前記第2無線装置が前記データ信号と前記無変調連続波とを分離する分離ステップと、前記第2無線装置が前記データ信号を復調する復調ステップと、前記第2無線装置が前記無変調連続波を変調する変調ステップと、前記第2無線装置が、前記変調ステップにおいて変調された後の前記無変調連続波を放射する放射ステップと、前記第1無線装置が前記放射ステップにおいて放射された前記無変調連続波を受信する第2受信ステップと、を有する、無線通信方法である。
【0016】
本発明の一態様は、バン・アッタ・アレーであって、周波数f1_i(iは1以上の整数)のデータ信号を第iデータ信号とし、周波数f2_iの無変調連続波を第i無変調連続波として、前記第iデータ信号を透過させる第i変調信号フィルタと、前記第i無変調連続波を透過させる第i非変調波フィルタと、前記第i変調信号フィルタを透過した前記第iデータ信号を復調する第i変調信号復調部と、前記第i非変調波フィルタを透過した前記第i無変調連続波を変調する第i無変調波変調部と、を備える無線装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、バン・アッタ・アレーを用いた双方向通信を可能とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態の無線通信システム1のシステム構成の一例を示す図。
図2】第1の実施形態におけるデータ信号D-i及び無変調連続波C-iの周波数スペクトルの一例を示す第1の図。
図3】第1の実施形態におけるデータ信号D-i及び無変調連続波C-iの周波数スペクトルの一例を示す第2の図。
図4】第1の実施形態における第2無線装置20の機能構成の一例を示す図。
図5】第1の実施形態におけるデータ信号フィルタ203の透過スペクトルと連続波フィルタ204の透過スペクトルとの一例を示す図。
図6】第1の実施形態における無変調連続波C-iの強度の時間変化と無変調連続波C1-iの強度の時間変化との一例を示す図。
図7】第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iの位相差が2πL/λ<2πの場合における第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iとの一例を示す図。
図8】第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iの位相差が2πL/λ≧2πの場合における第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iとの一例を示す図。
図9】第1の実施形態における出力波の周波数スペクトルの一例を示す図。
図10】第1の実施形態における第2無線装置20aの機能構成の一例を示す図。
図11】第1実施形態の無線通信システム1における処理の流れの一例を示すフローチャート。
図12】第2の実施形態の無線通信システム1bのシステム構成の一例を示す図。
図13】第2の実施形態における第2無線装置20b-iの機能構成の一例を示す図。
図14】第2の実施形態において、J=1の場合の第2無線装置20b-iの機能構成の一例を示す図。
図15】第2の実施形態における第2無線装置20b-iが放射する出力波の周波数スペクトルの一例を示す図。
図16】第2実施形態の無線通信システム1bにおける処理の流れの一例を示すフローチャート。
図17】第3の実施形態の無線通信システム1cのシステム構成の一例を示す図。
図18】第3実施形態の無線通信システム1cにおける処理の流れの一例を示すフローチャート。
図19】従来の4素子バン・アッタ・アレーを説明する図。
図20】バン・アッタ・アレーの結線に増幅器、発振器と混合器、スイッチが付加された従来のアンテナを説明する第1の図。
図21】バン・アッタ・アレーの結線に増幅器、発振器と混合器、スイッチが付加された従来のアンテナを説明する第2の図。
図22】バン・アッタ・アレーの結線に増幅器、発振器と混合器、スイッチが付加された従来のアンテナを説明する第3の図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の無線通信システム1のシステム構成の一例を示す図である。無線通信システム1は、第1無線装置10-1~10-I(Iは2以上の整数)及び第2無線装置20を備える。
【0020】
第1無線装置10-i(iは1以上I以下の整数)は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行することによって装置として機能する。第1無線装置10-iは、プログラムの実行によって、データ送信部101-i、無変調波送信部102-i及び受信部103-iを備える装置として機能する。
【0021】
データ送信部101-iは、データ信号D-iを第2無線装置20に送信する。データ信号D-iは、周波数f1_iの変調された電波であって、所定の情報を示す電波である。
無変調波送信部102-iは、無変調連続波C-iを第2無線装置20に送信する。無変調連続波C-iは、周波数f2_iの変調されていない電波であって、連続波である。
受信部103-iは、電波を受信する。
【0022】
全てのデータ信号D-iの周波数と全ての無変調連続波C-iの周波数とは互いに異なる周波数である。以下、データ信号D-iをそれぞれ区別しない場合、データ信号Dという。以下、無変調連続波C-iをそれぞれ区別しない場合、無変調連続波Cという。
【0023】
図2は、第1の実施形態におけるデータ信号D-i及び無変調連続波C-iの周波数スペクトルの一例を示す第1の図である。
図2は、データ信号D-iの周波数スペクトルW_i_1と、無変調連続波C-iの周波数スペクトルW_i_2とを示す。データ信号D-iは変調された信号であり、無変調連続波C-iは変調されていない信号である。そのため、データ信号D-iの周波数スペクトルW_i_1の半値幅は、無変調連続波C-iの周波数スペクトルW_i_2の半値幅よりも広い。データ信号D-iの周波数スペクトルW_i_1と無変調連続波C-iの周波数スペクトルW_i_2とは周波数軸上で重ならない。
【0024】
図3は、第1の実施形態におけるデータ信号D-i及び無変調連続波C-iの周波数スペクトルの一例を示す第2の図である。
図3は、データ信号Dの周波数と無変調連続波Cの周波数とは、全て異なることを示す。
【0025】
図1の説明に戻る。
第2無線装置20は、データ信号D-i及び無変調連続波C-iを受信して、出力波を出力する。出力波は、第2無線装置20が受信した無変調連続波C-iが第2無線装置20によって変調された電波である。
【0026】
図4は、第1の実施形態における第2無線装置20の機能構成の一例を示す図である。
第2無線装置20は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。第2無線装置20は、プログラムの実行によって第1アンテナ素子201-1と、第2アンテナ素子201-2と、第1サーキュレータ202-1と、第2サーキュレータ202-2と、フィルタユニット21と、復調ユニット22と、を備える装置として機能する。フィルタユニット21は、第1データ信号フィルタ203-1-1~203-1-Iと、第2データ信号フィルタ203-2-1~203-2-Iと、第1連続波フィルタ204-1-1~204-1-Iと、第2連続波フィルタ204-2-1~204-2-Iと、第1変調部205-1-1~205-1-Iと、第2変調部205-2-1~205-2-Iと、を備える。復調ユニット22は、復調部206-1~206-Iを備える。
【0027】
第1アンテナ素子201-1及び第2アンテナ素子201-2は、データ信号D-i及び無変調連続波C-iを受信する。第1アンテナ素子201-1及び第2アンテナ素子201-2は、出力波を送信する。
【0028】
第1サーキュレータ202-1及び第2サーキュレータ202-2は、電子部品のサーキュレータである。第1サーキュレータ202-1及び第2サーキュレータ202-2は、第1ポート、第2ポート及び第3ポートの3つのポートを含む3以上のポートを備える。第1ポート、第2ポート及び第3ポートは、それぞれ接続先が異なる。
【0029】
具体的には、第1サーキュレータ202-1の第1端子は、第1アンテナ素子201-1に結線される。第1サーキュレータ202-1の第2端子は、第1連続波フィルタ204-1-1~204-1-I及び第1データ信号フィルタ203-1-1~203-1-Iに結線される。第1サーキュレータ202-1の第3端子は、第2変調部205-2-1~205-2-Iに結線される。
【0030】
第2サーキュレータ202-2の第1端子は、第2アンテナ素子201-2に結線される。第2サーキュレータ202-2の第2端子は、第2連続波フィルタ204-2-1~204-2-I及び第2データ信号フィルタ203-2-1~203-2-Iに結線される。第2サーキュレータ202-2の第3端子は、第1変調部205-1-1~205-1-Iに結線される。
【0031】
第1データ信号フィルタ203-1-i及び第2データ信号フィルタ203-2-iは、データ信号D-iを透過させ、データ信号D-i以外のデータ信号Dと無変調連続波Cとを透過させない。第1データ信号フィルタ203-1-iは第1サーキュレータ202-1及び復調部206-iに結線される。第2データ信号フィルタ203-2-iは第2サーキュレータ202-2及び復調部206-iに結線される。
【0032】
第1データ信号フィルタ203-1-i及び第2データ信号フィルタ203-2-iは、データ信号D-iを透過させ、データ信号D-i以外のデータ信号Dと無変調連続波Cとを透過させなければ、どのようなものであってもよい。第1データ信号フィルタ203-1-i及び第2データ信号フィルタ203-2-iは、例えば、周波数帯域がデータ信号D-iの周波数帯域に略同一のバンドパスフィルタであってもよい。
【0033】
第1連続波フィルタ204-1-i及び第2連続波フィルタ204-2-iは、無変調連続波C-iを透過させ、無変調連続波C-i以外の無変調連続波Cとデータ信号Dとを透過させない。第1連続波フィルタ204-1-iは第1サーキュレータ202-1及び第1変調部205-1-iに結線される。第2連続波フィルタ204-2-iは第2サーキュレータ202-2及び第2変調部205-2-iに結線される。
【0034】
第1連続波フィルタ204-1-i及び第2連続波フィルタ204-2-iは、無変調連続波C-iを透過させ無変調連続波C-i以外の無変調連続波Cとデータ信号Dとを透過させなければ、どのようなものであってもよい。第1連続波フィルタ204-1-i及び第2連続波フィルタ204-2-iは、例えば、周波数帯域が無変調連続波C-iの周波数帯域に略同一のバンドパスフィルタであってもよい。
【0035】
図5は、第1の実施形態における第1データ信号フィルタ203-1-i及び第2データ信号フィルタ203-2-iの透過スペクトルと第1連続波フィルタ204-1-i及び第2連続波フィルタ204-2-iの透過スペクトルとの一例を示す図である。
【0036】
第1データ信号フィルタ203-1-i及び第2データ信号フィルタ203-2-iの透過スペクトルS1_iは、データ信号D-i以外のデータ信号Dと無変調連続波Cとを透過させない透過スペクトルである。第1連続波フィルタ204-1-i及び第2連続波フィルタ204-2-iの透過スペクトルS2_iは、無変調連続波C-iを透過させ無変調連続波C-i以外の無変調連続波Cとデータ信号Dとを透過させない透過スペクトルである。
【0037】
図4の説明に戻る。
第1変調部205-1-1~205-1-Iと第2変調部205-2-1~205-2-Iとは、同時刻に無変調連続波Cを変調する。より具体的には、第1変調部205-1-iは、第1連続波フィルタ204-1-iを透過した無変調連続波C-iを変調し、第2変調部205-2-p(pは、1以上I以下の整数)は、第2連続波フィルタ204-2-pを透過した無変調連続波C-pを変調する。第1変調部205-1-iが第1連続波フィルタ204-1-iを透過した無変調連続波C-iを変調する時刻と第2変調部205-2-iが第2連続波フィルタ204-2-iを透過した無変調連続波C-iを変調する時刻とは同時刻である。
【0038】
なお、第1変調部205-1-iが第1連続波フィルタ204-1-iを透過した無変調連続波C-iを変調する時刻と第2変調部205-2-pが第2連続波フィルタ204-2-pを透過した無変調連続波C-pを変調する時刻とは同時刻であってもよい。第1変調部205-1-iが第1連続波フィルタ204-1-iを透過した無変調連続波C-iを変調する時刻と第2変調部205-2-pが第2連続波フィルタ204-2-pを透過した無変調連続波C-pを変調する時刻とは、i=pでは無い場合に異なってもよい。
【0039】
第1変調部205-1-iは、第1連続波フィルタ204-1-iと第2サーキュレータ202-2の第3端子とに結線される。第2変調部205-2-iは、第2連続波フィルタ204-2-iと第1サーキュレータ202-1の第3端子とに結線される。
【0040】
復調部206-iは、第1データ信号フィルタ203-1-i又は第2データ信号フィルタ203-2-iを透過したデータ信号D-iを取得し、取得したデータ信号D-iを復調する。復調部206-iは、第1データ信号フィルタ203-1-i及び第2データ信号フィルタ203-2-iに結線される。復調部206-iは、復調したデータ信号D-iを所定の出力先(不図示)に出力する。
【0041】
(配線の長さ)
ここで、第2無線装置20が備える各機能部間の配線の長さについて説明する。第2無線装置20において、第1アンテナ素子201-1から第2サーキュレータ202-2までの配線の長さと、第2アンテナ素子201-2から第1サーキュレータ202-1までの配線の長さとは略同一である。より具体的には、第1経路K1-iの経路長と第2経路K2-iの経路長とは同一である。第1経路K-iは、第1アンテナ素子201-1から第1サーキュレータ202-1、第1連続波フィルタ204-1-i及び第1変調部205-1-iを経由して第2サーキュレータ202-2に至る経路である。第2経路K-iは、第2アンテナ素子201-2から第2サーキュレータ202-2、第2連続波フィルタ204-2-i及び第2変調部205-2-iを経由して第1サーキュレータ202-1に至る経路である。
【0042】
また、第1サーキュレータ202-1と第1アンテナ素子201-1との間の配線の長さと第2サーキュレータ202-2と第2アンテナ素子201-2との間の配線の長さとは、同一である。以下、第1サーキュレータ202-1と第1アンテナ素子201-1との間の配線の長さを第1アンテナ配線長という。以下、第2サーキュレータ202-2と第2アンテナ素子201-2との間の配線の長さを第2アンテナ配線長という。
【0043】
また、第1アンテナ素子201-1から第1変調部205-1-iまでの配線の長さと、第2アンテナ素子201-2から第2変調部205-2-iまでの配線の長さとは同一である。
【0044】
(伝搬の経路について)
第2無線装置20によって受信されたデータ信号及び無変調連続波の第2無線装置20における伝搬の経路について説明する。以下、第1データ信号フィルタ203-1-1~203-1-Iをそれぞれ区別しない場合、第1データ信号フィルタ203-1という。以下、第2データ信号フィルタ203-2-1~203-2-Iをそれぞれ区別しない場合、第2データ信号フィルタ203-2という。以下、第1連続波フィルタ204-1-1~204-1-Iをそれぞれ区別しない場合、第1連続波フィルタ204-1という。以下、第2連続波フィルタ204-2-1~204-2-Iをそれぞれ区別しない場合、第2連続波フィルタ204-2という。
【0045】
まず、第1アンテナ素子201-1によって受信されたデータ信号D及び無変調連続波Cの伝搬の経路を説明する。第1アンテナ素子201-1によって受信されたデータ信号D及び無変調連続波Cは、第1サーキュレータ202-1まで伝搬する。第1サーキュレータ202-1まで伝搬したデータ信号D及び無変調連続波Cは、第1サーキュレータ202-1から第1データ信号フィルタ203-1及び第1連続波フィルタ204-1まで伝搬する。
【0046】
第1連続波フィルタ204-1まで伝搬したデータ信号D及び無変調連続波Cのうち、無変調連続波C-iのみが第1連続波フィルタ204-1-iを透過する。第1連続波フィルタ204-1-iを透過した無変調連続波C-iは、第1連続波フィルタ204-1-iから第1変調部205-1-iまで伝搬する。
【0047】
第1変調部205-1-iまで伝搬した無変調連続波Cは所定の期間(以下「第1変調期間」という。)だけ第1変調部205-1-iによって変調される。以下、第1変調部205-1-iによって変調された無変調連続波C-iを、第1変調信号V1-iという。第1変調信号V1-iは電波である。
なお、第1変調期間は、無変調連続波Cの周波数ごとに異なる期間であってもよいし、無変調連続波Cの周波数に依らず同一の期間であってもよい。
【0048】
第1変調信号V1-iは、第1変調部205-1-iから第2サーキュレータ202-2まで伝搬する。第2サーキュレータ202-2まで伝搬した第1変調信号V1-iは、第2サーキュレータ202-2から第2アンテナ素子201-2まで伝搬し、第2アンテナ素子201-2から放射される。
【0049】
一方、第1データ信号フィルタ203-1-iまで伝搬したデータ信号D及び無変調連続波Cのうち、データ信号D-iのみが第1データ信号フィルタ203-1-iを透過する。第1データ信号フィルタ203-1-iを透過したデータ信号D-iは、第1データ信号フィルタ203-1-iから復調部206-iまで伝搬する。復調部206-iまで伝搬したデータ信号D-iは、復調部206-iによって復調される。
【0050】
次に、第2アンテナ素子201-2によって受信されたデータ信号D及び無変調連続波Cの伝搬の経路を説明する。
【0051】
第2アンテナ素子201-2によって受信されたデータ信号D及び無変調連続波Cは、第2サーキュレータ202-2まで伝搬する。第2サーキュレータ202-2まで伝搬したデータ信号D及び無変調連続波Cは、第2サーキュレータ202-2から第2データ信号フィルタ203-2及び第2連続波フィルタ204-2まで伝搬する。
【0052】
第2連続波フィルタ204-2-iまで伝搬したデータ信号D及び無変調連続波Cのうち、無変調連続波C-iのみが第2連続波フィルタ204-2-iを透過する。第2連続波フィルタ204-2-iを透過した無変調連続波Cは、第2連続波フィルタ204-2-iから第2変調部205-2-iまで伝搬する。
【0053】
第2変調部205-2-iまで伝搬した無変調連続波Cは所定の期間(以下「第2変調期間」という。)だけ第2変調部205-2-iによって変調される。第2変調期間は、期間の開始時刻と期間の長さとが第1変調期間と同一の期間である。以下、第2変調部205-2-iによって変調された無変調連続波C-iを、第2変調信号V2-iという。第2変調信号V2-iは電波である。以下、第1変調期間と第2変調期間とを区別しない場合、変調期間という。
なお、第2変調期間は、無変調連続波Cの周波数ごとに異なる期間であってもよいし、無変調連続波Cの周波数に依らず同一の期間であってもよい。
【0054】
第2変調信号V2-iは、第2変調部205-2-iから第1サーキュレータ202-1まで伝搬する。第1サーキュレータ202-1まで伝搬した第2変調信号V2-iは、第1サーキュレータ202-1から第1アンテナ素子201-1まで伝搬し、第1アンテナ素子201-1から放射される。
【0055】
(出力波について)
第1アンテナ素子201-1から放射される電波と第2アンテナ素子201-2から放射される電波とについて説明することで、第2無線装置20によって出力される出力波について説明する。
以下、時刻t0に光源からデータ信号及び無変調連続波が放射されると仮定する。光源は、第1無線装置10-iである。
【0056】
時刻t0に第1無線装置10-iから放射されたデータ信号D-i及び無変調連続波C-iが第1アンテナ素子201-1に到達した時刻を第1到達時刻t_in_1-iとする。時刻t0に第1無線装置10-iから放射されたデータ信号D-i及び無変調連続波C-iが第2アンテナ素子201-2に到達した時刻を第2到達時刻t_in_2-iとする。
【0057】
第1光路長L1-iと第2光路長L2-iとが等しい場合、第1到達時刻t_in_1-iと第2到達時刻t_in_2-iとは同じである。第1光路長L1-iは、データ信号D-i及び無変調連続波C-iの光源である第1無線装置10-iと第1アンテナ素子201-1との間の距離である。第2光路長L2-iは、データ信号D-i及び無変調連続波C-iの光源である第1無線装置10-iと第2アンテナ素子201-2との間の距離である。
一方、第1光路長L1-iと第2光路長L2-iとが異なる場合、第1到達時刻t_in_1-iと第2到達時刻t_in_2-iとは異なる。
【0058】
第1経路K1-iの経路長と第2経路K2-iの経路長とが同一であり第1アンテナ配線長と第2アンテナ配線長とが同一であるため、第1到達時刻t_in_1と第2到達時刻t_in_2とが異なる場合に第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iとは、放射され始める時刻が異なる。具体的には、第1到達時刻t_in_1が第2到達時刻t_in_2よりも時間Δtだけ遅い時刻である場合、第1放射時刻t_out_1は第2放射時刻t_out_2よりも時間Δtだけ早い時刻である。第1放射時刻t_out_1は、第1変調信号V1-iが第1アンテナ素子201-1から放射され始める時刻である。第2放射時刻t_out_2は、第2変調信号V2-iが第2アンテナ素子201-2から放射され始める時刻である。
【0059】
このように、第1経路K1-iの経路長と第2経路K2-iの経路長とが同一であり第1アンテナ配線長と第2アンテナ配線長とが同一であるため、第1到達時刻t_in_1-iから第2到達時刻t_in_2-iを引いた値と、第2放射時刻t_out_2-iから第1放射時刻t_out_1-iを引いた値とが等しい。そのため、第2無線装置20はバン・アッタ・アレー・アンテナである。
【0060】
図6は、第1の実施形態における無変調連続波C-iの第1アンテナ素子201-1における強度の時間変化と無変調連続波C-iの第2アンテナ素子201-2における強度の時間変化との一例を示す図である。
【0061】
図6は、第1アンテナ素子201-1に無変調連続波C-iが到達する時刻は、第2アンテナ素子201-2に無変調連続波C-iが到達する時刻よりも、L/cだけ遅いことを示す。Lは、第1光路長L1-iと第2光路長L2-iとの差である。以下、Lを光路差という。cは、光速を表す。L/cの差は、2πL/λの位相差があることを意味する。λは、無変調連続波C-iが伝搬する空間中の無変調連続波C-iの波長である。λは、より具体的には、次元が長さの次元であり、長さが、真空における波長をλ0としてλ0を無変調連続波C-iが伝搬する空間の誘電率で割り算した値である。
【0062】
図7は、第1の実施形態の第1アンテナ素子201-1における第1変調信号V1-iの強度の時間変化と第2アンテナ素子201-2における第2変調信号V2-iの強度の時間変化との一例を示す図である。より具体的には、図7は、第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iの位相差が2πL/λ<2πの場合において第1アンテナ素子201-1における第1変調信号V1-iと第2アンテナ素子201-2における第2変調信号V2-iとの一例を示す図である。なお、第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iの位相差が2πL/λ<2πの場合は、経路差がL<λの場合である。
【0063】
図7は、第1変調信号V1-iが第1アンテナ素子201-1によって放射され始める時刻は、第2変調信号V2-iが第2アンテナ素子201-2によって放射され始める時刻よりもL/cだけ早いことを示す。
【0064】
第1到達時刻t_in_1-iは、第2到達時刻t_in_2-iよりもL/cだけ遅いため、第1放射時刻t_out_1-iは、第2放射時刻t_out_2-iよりもL/cだけ早い。
【0065】
図7は、変調期間における変調の結果の一例を示す。具体的には、図7は、変調期間に第1変調部205-1-iによって振幅が増幅された無変調連続波C-iである第1変調信号V1-iの一例を示す。図7は、変調期間に第2変調部205-2-iによって振幅が増幅された無変調連続波C-iである第2変調信号V2-iの一例を示す。
【0066】
図7において期間P1と期間P2とは、第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iとの位相変化が同一の期間である。また、図7において、期間P1と期間P2とにおける第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iとの位相差は2πL/λである。図7において、期間P1と期間P2とにおいて第1変調信号V1-iの位相が所定の位相ξ(ξは任意の値)である時刻と第2変調信号V2-iの位相が位相ξである時刻との時間差はL/cである。以下、期間P1と期間P2とにおいて第1変調信号V1-iの位相が位相ξである時刻と第2変調信号V2-iの位相が位相ξである時刻との時間差を、期間P1と期間P2との時間差という。図7は、第1到達時刻が第2到達時刻よりもL/cだけ遅いことを示す。
【0067】
図7において、第1到達時刻が第2到達時刻よりもL/cだけ遅く、期間P1と期間P2との時間差はL/cである。そのため、期間P1の第1変調信号V1-iと期間P2の第2変調信号V2-iとは第1無線装置10-iに伝搬する方向において同相で強め合う。
【0068】
図8は、第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iの位相差が2πL/λ≧2π、つまり経路差がL≧λの場合における第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iとの一例を示す図である。
図8において期間P1と期間P2とは、第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iとの位相変化が同一の期間である。また、図8において、期間P1と期間P2とにおける第1変調信号V1-iと第2変調信号V2-iとの位相差はθである。ただし、θは、0以上2π未満の値であって、光路差L及び波長λと、2πL/λ=θ+2hπ(hは正の整数)の関係を満たす。そのため、期間P1と期間P2とにおいて第1変調信号V1-iの位相が位相ξである時刻と第2変調信号V2-iの位相が位相ξである時刻との時間差はλθ/2πcである。
【0069】
図8において、第1到達時刻は、第2到達時刻よりもL/cだけ遅く、期間P1と期間P2との時間差はλθ/2πcである。そのため、期間P1の第1変調信号V1-iと期間P2の第2変調信号V2-iとは第1無線装置10-iに伝搬する方向において同相で強め合わない。
【0070】
(第1アンテナ素子と第2アンテナ素子との間の距離について)
ここで、第1アンテナ素子201-1と第2アンテナ素子201-2との間の距離について説明する。以下、第1アンテナ素子201-1と第2アンテナ素子201-2との間の距離を第1アンテナ間距離dという。
【0071】
光路差Lが波長未満(すなわち、L<λ)であれば、第1無線装置10-iに伝搬する方向において、期間P1の第1変調信号V1-i及び期間P2の第2変調信号V2-iが同相となる。しかし、光路差Lが波長以上(すなわち、L≧λ)であれば、第1無線装置10-iに伝搬する方向において、期間P1の第1変調信号V1-i及び期間P2の第2変調信号V2-iが同相とならない。そのため、第1アンテナ間距離dが波長未満である場合、第1アンテナ間距離dが波長以上である場合よりも、第1無線装置10-iに伝搬する方向において、出力波の強度が強い。
なお、アンテナ間距離dが波長λ/2未満である場合、グレーテイングローブの発生が抑制される。
【0072】
図9は、第1の実施形態における出力波の周波数スペクトルの一例を示す図である。図9は、出力波の周波数スペクトルW_i_3を示す。出力波は無変調連続波C-iが変調された電波である。そのため、出力波の周波数スペクトルW_i_3は、無変調連続波C-iの周波数スペクトルW_i_2の中心を中心とし、無変調連続波C-iの周波数スペクトルW_i_2の半値幅よりも広い半値幅を有する。ここまでで図9の説明を終了する。
【0073】
このように構成された第2無線装置20は、第1連続波フィルタ204-1-1~204-1-I、第2連続波フィルタ204-2-1~204-2-I、第1データ信号フィルタ203-1-1~203-1-I、第2データ信号フィルタ203-2-1~203-2-I、第1変調部205-1-1~205-1-I、第2変調部205-2-1~205-2-2、復調部206-1~206-Iとを備え、第1経路K1-iの経路長と第2経路K2-iの経路長とが同一であり第1アンテナ配線長と第2アンテナ配線長とが同一であり、第1変調期間と第2変調期間とが同一である。そのため、このように構成された第2無線装置20は、バン・アッタ・アレー・アンテナでありながら、データ信号の受信と出力波の送信とが可能である。
【0074】
このように構成された無線通信システム1は、I台の第1無線装置10と第2無線装置20と備える。そのため、このように構成された無線通信システム1は、バン・アッタ・アレーを用いた多元接続の双方向通信が可能である。具体的には、このように構成された第2無線装置20は、バン・アッタ・アレーを用いた周波数分割多元接続(Frequency-Division Multiple Access:FDMA)が可能である。
【0075】
(第2無線装置20がアンテナ素子を4以上の複数備える場合について)
以下、第1の実施形態における第1アンテナ素子201-1と第2アンテナ素子201-2とを区別しない場合、アンテナ素子201という。以下、第1の実施形態における第1サーキュレータ202-1と第2サーキュレータ202-2とを区別しない場合、サーキュレータ202という。以下、第1の実施形態における第1データ信号フィルタ203-1と第2データ信号フィルタ203-2とを区別しない場合、データ信号フィルタ203という。以下、第1の実施形態における第1連続波フィルタ204-1と第2連続波フィルタ204-2とを区別しない場合、連続波フィルタ204という。以下、第1変調部205-1-1~205-1-Iをそれぞれ区別しない場合、第1変調部205-1という。以下、第2変調部205-2-1~205-2-Iをそれぞれ区別しない場合、第2変調部205-2という。以下、第1の実施形態における第1変調部205-1と第2変調部205-2とを区別しない場合、変調部205という。
【0076】
第1の実施形態における第2無線装置20は、必ずしも、第1アンテナ素子201-1と第2アンテナ素子201-2との2つのアンテナ素子201だけを備える必要は無い。第1の実施形態における第2無線装置20は、アンテナ素子201を4以上の偶数個備えてもよい。以下、アンテナ素子201を2×N個(Nは1以上の整数)備える第2無線装置20を第2無線装置20aという。以下、2×N個のアンテナ素子201を区別する場合、第nアンテナ素子201-nという(nは1以上2×N以下の整数)。
【0077】
2×N個のアンテナ素子201は、アレー状に位置する。第mアンテナ素子201-mと第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)とは、アレーの中心について対称な位置に位置する(mは1以上(2×N-1)以下の奇数)。
【0078】
第2無線装置20aは、第mアンテナ素子201-mと第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)との1対のアンテナ素子ごとに、ひとつのフィルタユニット21を備える。すなわち、第2無線装置20aは、N個のフィルタユニット21を備える。以下、第mアンテナ素子201-mと第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)との1対のアンテナ素子をアンテナ素子対G-mという。以下、アンテナ素子対G-mが受信した電波が伝搬するフィルタユニット21をフィルタユニット21-mという。
【0079】
図10は、第1の実施形態における第2無線装置20aの機能構成の一例を示す図である。
第2無線装置20aは、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。第2無線装置20aは、プログラムの実行によって2×N個のアンテナ素子201と、2×N個のサーキュレータ202と、N個のフィルタユニット21と、復調ユニット22aとを備える装置として機能する。
【0080】
フィルタユニット21-mは、第mデータ信号フィルタ203-m-1~203-m-I、第(m+1)データ信号フィルタ203-(m+1)-1~223-(m+1)-I、第m連続波フィルタ204-m-1~204-m-I、第(m+1)連続波フィルタ204-(m+1)-1~204-(m+1)-I、第m変調部205-m-1~205-m-I及び第(m+1)変調部205-(m+1)-1~205-(m+1)-Iを備える。
【0081】
復調ユニット22aは、復調部206-1~復調部206-Iに代えて、復調部206a-1~206a-Iを備える点で、復調ユニット22と異なる。
以下、第1無線装置10における機能と同様の機能をもつものについては、図4と同じ符号を付すことで説明を省略する。
以下、2×N個のサーキュレータ202を区別する場合、第nサーキュレータ202-nという。
【0082】
第mサーキュレータ202-mの第1端子は、第mアンテナ素子201-mに結線される。第mサーキュレータ202-mの第2端子は、第m連続波フィルタ204-m-1~204-m-I及び第mデータ信号フィルタ203-m-1~203-m-Iに結線される。第mサーキュレータ202-mの第3端子は、第(m+1)変調部205-(m+1)-1~205-(m+1)-Iに結線される。
【0083】
第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)の第1端子は、第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)に結線される。第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)の第2端子は、第(m+1)連続波フィルタ204-(m+1)-1~204-(m+1)-I及び第(m+1)データ信号フィルタ203-(m+1)-1~203-(m+1)-Iに結線される。第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)の第3端子は、第m変調部205-m-1~205-m-Iに結線される。
【0084】
第mデータ信号フィルタ203-m-iは第mサーキュレータ202-m及び復調部206a-iに結線される。第(m+1)データ信号フィルタ203-(m+1)-iは第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)及び復調部206a-iに結線される。
【0085】
第m連続波フィルタ204-m-iは第mサーキュレータ202-m及び第m変調部205-m-iに結線される。第(m+1)連続波フィルタ204-(m+1)-iは第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)及び第(m+1)変調部205-(m+1)-iに結線される。
【0086】
第m変調部205-m-iは、第m連続波フィルタ204-m-iと第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)の第3端子とに結線される。第(m+1)変調部205-(m+1)-iは、第(m+1)連続波フィルタ204-(m+1)-iと第mサーキュレータ202-mの第3端子とに結線される。
第n変調部205-n-iが第n連続波フィルタ204-n-iを透過した無変調連続波C-iを変調する時刻はnに依らず同時刻である。すなわち、第n変調部205-n-iが前記無変調連続波Cを変調する期間を第n変調期間として、全ての第n変調期間は同一である。全ての第n変調期間は同一であるとは、第n変調期間の期間の開始時刻と期間の長さとはnに依らず同一であることを意味する。
【0087】
なお、第n変調期間は、無変調連続波Cの周波数ごとに異なる期間であってもよいし、無変調連続波Cの周波数に依らず同一の期間であってもよい。
【0088】
復調部206a-iは、第1データ信号フィルタ203-1-i~第(2×N)データ信号フィルタ203-(2×N)-iを透過したデータ信号を取得し、取得したデータ信号を復調する。復調部206a-iは、第1データ信号フィルタ203-1-i~第(2×N)データ信号フィルタ203-(2×N)-iの2×N個のデータ信号フィルタ203に結線される。復調部206a-iは、復調したデータ信号を所定の出力先(不図示)に出力する。
【0089】
なお、図10において、太線は、第nデータ信号フィルタ203-n-1~203-n-Iと復調部206a-1~206a-Iとの間のI本の結線を表す。
【0090】
(配線の長さ)
ここで、第2無線装置20aが備える各機能部間の配線の長さについて説明する。以下、第nデータ信号フィルタ203-n-1~203-n-Iをそれぞれ区別しない場合、第nデータ信号フィルタ203-nという。以下、第n連続波フィルタ204-n-1~204-n-Iをそれぞれ区別しない場合、第n連続波フィルタ204-nという。以下、第n変調部205-n-1~205-n-Iをそれぞれ区別しない場合、第n変調部205-nという。
【0091】
第2無線装置20aにおいて、第mアンテナ素子201-mから第m変調部205-m-iまでの配線の長さと、第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)から第m変調部205-(m+1)-iまでの配線の長さとは同一である。より具体的には、第m経路Km-iと第(m+1)経路K(m+1)-iとの経路長は同一である。第m経路Km-iは、第mアンテナ素子201-mから第mサーキュレータ202-m、第m連続波フィルタ204-m-i及び第m変調部205-m-iを経由して第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)に至る経路である。第(m+1)経路K(m+1)-iは、第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)から第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)、第(m+1)連続波フィルタ204-(m+1)-i及び第(m+1)変調部205-(m+1)-iを経由して第mサーキュレータ202-mに至る経路である。さらに、第n経路Kn-iの長さはnに依らず全て略同一である。
【0092】
また、全ての第nアンテナ配線長は同一である。第nアンテナ配線長は、第nサーキュレータ202-nと第nアンテナ素子201-nとの間の配線の長さである。
【0093】
また、第nアンテナ素子201-nから第n変調部205-n-iまでの配線の長さはnに依らず全て同一である。
【0094】
(第2無線装置20aにおける伝搬の経路について)
第2無線装置20aによって受信されたデータ信号D-i及び無変調連続波C-iの第2無線装置20aにおける伝搬の経路について説明する。
【0095】
まず、第mアンテナ素子201-mによって受信されたデータ信号D-i及び無変調連続波C-iの伝搬の経路を説明する。第mアンテナ素子201-mによって受信されたデータ信号D-i及び無変調連続波C-iは、第mサーキュレータ202-mまで伝搬する。第mサーキュレータ202-mまで伝搬したデータ信号D-i及び無変調連続波C-iは、第mサーキュレータ202-mから第mデータ信号フィルタ203-m-i及び第m連続波フィルタ204-m-iまで伝搬する。
【0096】
第m連続波フィルタ204-m-iまで伝搬したデータ信号D-i及び無変調連続波C-iのうち、無変調連続波C-iのみが第m連続波フィルタ204-m-iを透過する。第m連続波フィルタ204-m-iを透過した無変調連続波C-iは、第m連続波フィルタ204-m-iから第m変調部205-m-iまで伝搬する。
【0097】
第m変調部205-m-iまで伝搬した無変調連続波Cは所定の期間(以下「第m変調期間」という。)だけ第m変調部205-m-iによって変調される。以下、第m変調部205-m-iによって変調された無変調連続波C-iを、第m変調信号Vm-iという。第m変調信号Vm-iは電波である。
なお、第m変調期間は、無変調連続波Cの周波数ごとに異なる期間であってもよいし、無変調連続波Cの周波数に依らず同一の期間であってもよい。
【0098】
第m変調信号Vm-iは、第m変調部205-m-iから第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)まで伝搬する。第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)まで伝搬した第m変調信号Vm-iは、第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)から第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)まで伝搬し、第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)から放射される。
【0099】
一方、第mデータ信号フィルタ203-m-iまで伝搬したデータ信号D-i及び無変調連続波C-iのうち、データ信号D-iのみが第mデータ信号フィルタ203-m-iを透過する。第mデータ信号フィルタ203-m-iを透過したデータ信号D-iは、第mデータ信号フィルタ203-m-iから復調部206a-iまで伝搬する。復調部206a-iまで伝搬したデータ信号D-iは、復調部206a-iによって復調される。
【0100】
次に、第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)によって受信されたデータ信号D-i及び無変調連続波C-iの伝搬の経路を説明する。
【0101】
第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)によって受信されたデータ信号D-i及び無変調連続波C-iは、第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)まで伝搬する。第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)まで伝搬したデータ信号D-i及び無変調連続波C-iは、第(m+1)サーキュレータ202-(m+1)から第(m+1)データ信号フィルタ203-(m+1)-i及び第(m+1)連続波フィルタ204-(m+1)-iまで伝搬する。
【0102】
第(m+1)連続波フィルタ204-(m+1)-iまで伝搬したデータ信号D-i及び無変調連続波C-iのうち、無変調連続波C-iのみが第(m+1)連続波フィルタ204-(m+1)-iを透過する。第(m+1)連続波フィルタ204-(m+1)-iを透過した無変調連続波C-iは、第(m+1)連続波フィルタ204-(m+1)-iから第(m+1)変調部205-(m+1)-iまで伝搬する。
【0103】
第(m+1)変調部205-(m+1)-iまで伝搬した無変調連続波Cは所定の期間(以下「第(m+1)変調期間」という。)だけ第(m+1)変調部205-(m+1)-iによって変調される。以下、第(m+1)変調部205-(m+1)-iによって変調された無変調連続波C-iを、第(m+1)変調信号V(m+1)-iという。第(m+1)変調信号V(m+1)-iは電波である。なお、全ての第n変調期間は同一である。全ての第n変調期間が同一であるとは、第n変調期間の期間の開始時刻と期間の長さとがnに依らず同一であることを意味する。
なお、第(m+1)変調期間は、無変調連続波Cの周波数ごとに異なる期間であってもよいし、無変調連続波Cの周波数に依らず同一の期間であってもよい。
【0104】
第(m+1)変調信号V(m+1)-iは、第(m+1)変調部205-(m+1)-iから第mサーキュレータ202-mまで伝搬する。第mサーキュレータ202-mまで伝搬した第(m+1)変調信号V(m+1)-iは、第mサーキュレータ202-mから第mアンテナ素子201-mまで伝搬し、第mアンテナ素子201-mから放射される。
【0105】
(第2無線装置20aの出力波について)
以下、第mアンテナ素子201-mが無変調連続波を受信してから第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)が無変調連続波を放射するまでの時間を第m経過時間という。以下、第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)が無変調連続波を受信してから第mアンテナ素子201-mが無変調連続波を放射するまでの時間を第(m+1)経過時間という。
【0106】
第n経路Kn-iの経路長はnに依らず同一であり、第nアンテナ配線長はnに依らず同一であり、第n変調部205-nが第n連続波フィルタ204-nを透過した無変調連続波を変調する時刻はnに依らず同時刻である。そのため、全ての第n経過時間は同一である。
【0107】
そのため、このように構成された第2無線装置20aは、全ての第n経過時間が同一であるためバン・アッタ・アレーであり、第2無線装置20aは、第1無線装置10に向けて伝搬するビームを形成する。第2無線装置20aが形成するビームが出力波である。
【0108】
(フローチャート)
図11は、第1実施形態の無線通信システム1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、説明の簡単のため、無線通信システム1が備える第2無線装置20は、第2無線装置20aであると仮定するが、無線通信システム1が備える第2無線装置20が第2無線装置20であっても処理の流れは同様である。無線通信システム1が備える第2無線装置20が第2無線装置20である場合は、N=1の場合に相当する。
【0109】
第1無線装置10-iがデータ信号D-i及び無変調連続波C-iを送信する(ステップS101)。第2無線装置20aがデータ信号D-i及び無変調連続波C-iを受信する(ステップS102)。具体的には、第nアンテナ素子201-nにデータ信号D-i及び無変調連続波C-iが到達し、第nアンテナ素子201-nによって受信される。
【0110】
第2無線装置20aが、ステップS102において受信したデータ信号D-iと無変調連続波C-iとを分離する(ステップS103)。具体的には、第nアンテナ素子201-nが受信したデータ信号D-iが第nデータ信号フィルタ203-n-iを透過し、第nアンテナ素子201-nが受信した無変調連続波C-iが第n連続波フィルタ204-n-iを透過することで、データ信号D-iと無変調連続波C-iとが分離される。
【0111】
第2無線装置20aが、データ信号D-iを復調する(ステップS104)。具体的には、復調部206a-iが、第nデータ信号フィルタ203-n-iを透過したデータ信号D-iを復調する。
第2無線装置20aが、無変調連続波C-iを変調する(ステップS105)。具体的には、第n変調部205-n-iが第nアンテナ素子201-nによって受信され、第n連続波フィルタ204-n-iを透過した無変調連続波C-iを変調する。
【0112】
第2無線装置20aが、第n変調部205-n-iによって変調された後の無変調連続波C-iを放射する(ステップS106)。具体的には、第m変調部205-m-iによって変調された後の無変調連続波C-iが第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)-iから放射される。第(m+1)変調部205-(m+1)-iによって変調された後の無変調連続波が第mアンテナ素子201-m-iから放射される。
【0113】
第1無線装置10-iが、第2無線装置20aから放射された電波を受信する(ステップS107)。具体的には、第1無線装置10-iは、ステップS106において第2無線装置20aが放射した電波を受信する。
【0114】
このように構成された第2無線装置20aは、全ての第n経路の経路長が同一であり、全ての第nアンテナ配線長が同一であり、第n変調部205-nが第n連続波フィルタ204-nを透過した無変調連続波Cを変調する時刻は全て同時刻であるため、バン・アッタ・アレー・アンテナである。
【0115】
このように構成された第2無線装置20aは、2×N個のアンテナ素子201と、N個のフィルタユニット21と、復調ユニット22aとを備え、全ての第n経過時間は同一である。そのため、このように構成された第2無線装置20aは、バン・アッタ・アレー・アンテナでありながら、データ信号の受信と出力波の送信とが可能である。
【0116】
このように構成された無線通信システム1は、I台の第1無線装置10及び第2無線装置20aを備える。そのため、このように構成された無線通信システム1は、バン・アッタ・アレーを用いた双方向通信が可能である。具体的には、このように構成された無線通信システム1bは、バン・アッタ・アレーを用いた周波数分割多元接続(Frequency-Division Multiple Access:FDMA)が可能である。
【0117】
このように構成された第2無線装置20aは、4つ以上の偶数個のアンテナ素子201が受信したデータ信号Dを1つの復調部206aが復調する。そのため、このように構成された第2無線装置20aは、装置の大型化を抑制することができる。
【0118】
(第2の実施形態)
図12は、第2の実施形態の無線通信システム1bのシステム構成の一例を示す図である。無線通信システム1bは、第1無線装置10b及び第2無線装置20b-1~20b-Iを備える。以下、無線通信システム1と同様の機能を有するものについては、図1図4及び図10と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0119】
第1無線装置10bは、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行することによって装置として機能する。第1無線装置10bは、プログラムの実行によって、データ送信部101b、無変調波送信部102b及び受信部103bを備える装置として機能する。
【0120】
データ送信部101bは、データ信号D-1~D-Iを第2無線装置20b-1~20b-Iに送信する。
無変調波送信部102bは、無変調連続波C-1~C-Iを第2無線装置20b-1~20b-Iに送信する。
受信部103bは、電波を受信する。
【0121】
第2無線装置20b-iは、データ信号D-i及び無変調連続波C-iを受信して、出力波を出力する。出力波は、第2無線装置20b-iが受信した無変調連続波C-iが第2無線装置20b-iによって変調された電波である。
データ信号D-i及び無変調連続波C-iの周波数スペクトルは図3と同様である。
【0122】
図13は、第2の実施形態における第2無線装置20b-iの機能構成の一例を示す図である。
第2無線装置20b-iは、N個のフィルタユニット21に代えて、フィルタユニット21b-iを備える点と、N個の復調ユニット22aに代えて復調ユニット22b-iを備える点とで、第2無線装置20aと異なる。
【0123】
2×N個のアンテナ素子201は、第2無線装置20aと同様に、アレー状に位置する。第mアンテナ素子201-mと第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)とは、アレーの中心について対称な位置に位置する。
【0124】
第2無線装置20b-iは、アンテナ素子対G-mごとに、ひとつのフィルタユニット21b-iを備える。すなわち、第2無線装置20b-iは、N個のフィルタユニット21b-iを備える。以下、アンテナ素子対G-mが受信した電波が伝搬するフィルタユニット21b-iをフィルタユニット21b-i-mという。
【0125】
フィルタユニット21b-i-mは、第mデータ信号フィルタ203-m-1~203-m-Iに代えて第mデータ信号フィルタ203-m-iのみを備える点で、フィルタユニット21-iと異なる。フィルタユニット21b-i-mは、第(m+1)データ信号フィルタ203-(m+1)-1~203-(m+1)-Iに代えて第(m+1)データ信号フィルタ203-(m+1)-iのみを備える点で、フィルタユニット21-iと異なる。
【0126】
フィルタユニット21b-i-mは、第m連続波フィルタ204-m-1~204-m-Iに代えて第m連続波フィルタ204-m-iのみを備える点で、フィルタユニット21と異なる。フィルタユニット21b-i-mは、第(m+1)連続波フィルタ204-(m+1)-1~204-(m+1)-Iに代えて第(m+1)連続波フィルタ204-(m+1)-iのみを備える点で、フィルタユニット21と異なる。
【0127】
フィルタユニット21b-i-mは、第m変調部205-m-1~205-m-Iに代えて第m変調部205-m-iのみを備える点で、フィルタユニット21と異なる。フィルタユニット21b-i-mは、第(m+1)変調部205-(m+1)-1~205-(m+1)-Iに代えて第(m+1)変調部205-(m+1)-iのみを備える点で、フィルタユニット21と異なる。
【0128】
復調ユニット22b-iは、復調部206a-1~206a-Iに代えて復調部206a-iのみを備える点で、復調ユニット22aと異なる。
【0129】
第2無線装置20b-iにおいて、各機能部間の配線の長さは第2無線装置20aと同様である。そのため、第2無線装置20b-iにおいても、第2無線装置20aと同様に、全ての第n経過時間は同一である。
また、第2無線装置20b-iにおいて、第2無線装置20aと同様に、全ての第n変調期間は同一である。
【0130】
図14は、第2の実施形態において、J=1の場合の第2無線装置20b-iの機能構成の一例を示す図である。
第2無線装置20b-iは、第1アンテナ素子201-1と、第2アンテナ素子201-2と、第1サーキュレータ202-1と、第2サーキュレータ202-2と、第1データ信号フィルタ203-1-iと、第2データ信号フィルタ203-2-iと、第1連続波フィルタ204-1-iと、第2連続波フィルタ204-2-iと、第1変調部205-1-iと、第2変調部205-2-iと、復調部206a-iとを備える。
【0131】
図14における第1データ信号フィルタ203-1-iと、第2データ信号フィルタ203-2-iと、第1連続波フィルタ204-1-iと、第2連続波フィルタ204-2-iと、第1変調部205-1-iと、第2変調部205-2-iと、が構成する回路が、フィルタユニット22b-i-1である。
【0132】
第2無線装置20b-iにおける、第1データ信号フィルタ203-1-i及び第2データ信号フィルタ203-2-iの透過スペクトルと第1連続波フィルタ204-1-i及び第2連続波フィルタ204-2-iの透過スペクトルとは図5と同様である。
【0133】
第2無線装置20b-iにおける、無変調連続波C-iの第1アンテナ素子201-1における強度の時間変化と無変調連続波C1-iの第2アンテナ素子201-2における強度の時間変化とは図6と同様である。
【0134】
第2無線装置20b-iにおいて、第1アンテナ素子201-1における第1変調信号V1-iの強度の時間変化と第2アンテナ素子201-2における第2変調信号V2-iの強度の時間変化とは図7と同様である。
【0135】
図15は、第2の実施形態における第2無線装置20b-iが放射する出力波の周波数スペクトルの一例を示す図である。図9と同様に、出力波の周波数スペクトルW_i_3は、出力波は無変調連続波C-iが変調された電波である。そのため、図9と同様に、出力波の周波数スペクトルW_i_3は、無変調連続波C-iの周波数スペクトルW_i_2の中心を中心とし、無変調連続波C-iの周波数スペクトルW_i_2の半値幅よりも広い半値幅を有する。しかしながら、図15の周波数スペクトルの出力波は、図9と異なり、全てがひとつの第2無線装置20又は20aによって放射された出力波ではない。図15の1つの周波数スペクトルW_i_3は、1つの第2無線装置20b-iによって放射された出力波の周波数スペクトルである。ここまでで図15の説明を終了する。
【0136】
(フローチャート)
図16は、第2実施形態の無線通信システム1bにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0137】
第1無線装置10bがデータ信号D-i及び無変調連続波C-iを送信する(ステップS201)。第2無線装置20b-iがデータ信号D-i及び無変調連続波C-iを受信する(ステップS202)。具体的には、第2無線装置20b-iの第nアンテナ素子201-nにデータ信号D-i及び無変調連続波C-iが到達し、第2無線装置20b-iの第nアンテナ素子201-nによって受信される。
【0138】
第2無線装置20b-iが、ステップS102において受信したデータ信号D-iと無変調連続波C-iとを分離する(ステップS203)。具体的には、第2無線装置20b-iにおいて、第nアンテナ素子201-nが受信したデータ信号D-iが第nデータ信号フィルタ203-n-iを透過する。また、第2無線装置20b-iにおいて、第nアンテナ素子201-nが受信した無変調連続波C-iが第n連続波フィルタ204-n-iを透過する。このようにして、データ信号D-iと無変調連続波C-iとが分離される。
【0139】
第2無線装置20b-iが、データ信号D-iを復調する(ステップS204)。具体的には、第2無線装置20b-iにおいて、復調部206a-iが、第nデータ信号フィルタ203-n-iを透過したデータ信号D-iを復調する。
第2無線装置20b-iが、無変調連続波C-iを変調する(ステップS205)。具体的には、第2無線装置20b-iにおいて、第n変調部205-n-iが第nアンテナ素子201-nによって受信され、第n連続波フィルタ204-n-iを透過した無変調連続波C-iを変調する。
【0140】
第2無線装置20b-iが、第n変調部205-n-iによって変調された後の無変調連続波C-iを放射する(ステップS206)。具体的には、第2無線装置20b-iにおいて、第m変調部205-m-iによって変調された後の無変調連続波C-iが第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)-iから放射される。第2無線装置20b-iにおいて、第(m+1)変調部205-(m+1)-iによって変調された後の無変調連続波が第mアンテナ素子201-m-iから放射される。
【0141】
第1無線装置10-iが、第2無線装置20b-iから放射された電波を受信する(ステップS207)。具体的には、第1無線装置10-iは、ステップS106において第2無線装置20b-iが放射した電波を受信する。
【0142】
このように構成された第2無線装置20b-iは、2×N個のアンテナ素子201と、フィルタユニット21b-i-mと、復調ユニット22b-iとを備え、全ての第n経過時間は同一である。そのため、このように構成された第2無線装置20b-iは、バン・アッタ・アレー・アンテナでありながら、データ信号の受信と出力波の送信とが可能である。
【0143】
このように構成された無線通信システム1bは、第1無線装置10b及び第2無線装置20b-1~20b-Iを備える。そのため、このように構成された無線通信システム1bは、バン・アッタ・アレーを用いた双方向通信が可能である。具体的には、このように構成された無線通信システム1bは、バン・アッタ・アレーを用いた周波数分割多元接続(Frequency-Division Multiple Access:FDMA)が可能である。
【0144】
(第3の実施形態)
図17は、第3の実施形態の無線通信システム1cのシステム構成の一例を示す図である。無線通信システム1cは、第1無線装置10-1~10-I及び複数の第2無線装置20を備える。以下、無線通信システム1と同様の機能を有するものについては、図1図4図10図12及び図13と同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0145】
以下、複数の第2無線装置20をそれぞれ区別する場合、第2無線装置20―j(jは1以上の整数)という。
無線通信システム1cにおいて、第2無線装置20-jは、第1無線装置10-1~10-Iが送信したデータ信号D-i及び無変調連続波C-iを受信して、出力波を出力する。出力波は、無線通信システム1と同様に、第2無線装置20―jが受信した無変調連続波C-iが第2無線装置20-jによって変調された電波である。
【0146】
(フローチャート)
図18は、第3実施形態の無線通信システム1cにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0147】
第1無線装置10-iがデータ信号D-i及び無変調連続波C-iを送信する(ステップS301)。第2無線装置20―jがデータ信号D-i及び無変調連続波C-iを受信する(ステップS302)。具体的には、第2無線装置20―jにおいて、第nアンテナ素子201-nにデータ信号D-i及び無変調連続波C-iが到達し、第nアンテナ素子201-nによって受信される。
【0148】
第2無線装置20―jが、ステップS102において受信したデータ信号D-iと無変調連続波C-iとを分離する(ステップS303)。具体的には、第2無線装置20―jにおいて、第nアンテナ素子201-nが受信したデータ信号D-iが第nデータ信号フィルタ203-n-iを透過する。第2無線装置20―jにおいて、第nアンテナ素子201-nが受信した無変調連続波C-iが第n連続波フィルタ204-n-iを透過する。このようにして、データ信号D-iと無変調連続波C-iとが分離される。
【0149】
第2無線装置20―jが、データ信号D-iを復調する(ステップS304)。具体的には、第2無線装置20―jにおいて、復調部206a-iが、第nデータ信号フィルタ203-n-iを透過したデータ信号D-iを復調する。
第2無線装置20―jが、無変調連続波C-iを変調する(ステップS305)。具体的には、第2無線装置20―jにおいて、第n変調部205-n-iが第nアンテナ素子201-nによって受信され、第n連続波フィルタ204-n-iを透過した無変調連続波C-iを変調する。
【0150】
第2無線装置20―jが、第n変調部205-n-iによって変調された後の無変調連続波C-iを放射する(ステップS306)。具体的には、第2無線装置20―jにおいて、第m変調部205-m-iによって変調された後の無変調連続波C-iが第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)-iから放射される。第2無線装置20―jにおいて、第(m+1)変調部205-(m+1)-iによって変調された後の無変調連続波が第mアンテナ素子201-m-iから放射される。
【0151】
第1無線装置10-iが、第2無線装置20―jから放射された電波を受信する(ステップS307)。具体的には、第1無線装置10-iは、ステップS106において第2無線装置20―jが放射した電波を受信する。
【0152】
このように構成された無線通信システム1cは、第1無線装置10-1~10-I及び第2無線装置20-1~20-Jを備える。そのため、このように構成された無線通信システム1cは、バン・アッタ・アレーを用いた双方向通信が可能である。具体的には、このように構成された無線通信システム1bは、バン・アッタ・アレーを用いた周波数分割多元接続(Frequency-Division Multiple Access:FDMA)が可能である。
【0153】
(変形例)
なお、復調部206及び206aは、ダイバーシティ受信方式によってデータ信号Dを復調してもよい。以下、説明の簡単のため、復調部206について具体的に説明する。復調部206は、第1データ信号と第2データ信号との電力が異なる場合、電力の高いデータ信号だけを復調してもよい。第1データ信号は、第1アンテナ素子201-1が受信したデータ信号である。第2データ信号は、第2アンテナ素子201-2が受信したデータ信号である。復調部206は、電力の高いデータ信号だけを復調可能であればどのような方法で電力の高いデータ信号だけを復調してもよい。例えば、復調部206は、選択合成法によって電力の高いデータ信号だけを復調してもよい。
【0154】
第1データ信号と第2データ信号との電力が異なる状況は、例えば、データ信号が第2無線装置20に到来してくる方向が正面でない場合に生じる。データ信号は、第1アンテナ素子201-1と第2アンテナ素子201-2とを結ぶ直線の垂直二等分線上に位置する光源からデータ信号が放射された場合に、第2無線装置20の正面から到来する。
データ信号が第2無線装置20に到来してくる方向が正面でない場合に、データ信号が第1アンテナ素子201-1に到達する時刻とデータ信号が第2アンテナ素子201-2に到達する時刻とは異なる。
【0155】
第1無線装置10-1~10-I及び第1無線装置10bはパイロット信号を送信してもよい。例えば、第1無線装置10-i又は第1無線装置10bがパイロット信号を送信する場合、復調部206及び206aは、パイロット信号を用いたチャネル推定を実行してもよい。また、このような場合、復調部206及び206aは、受信した電波の相関行列の固有値分解を実行することによって、ウェイトを算出し、最大比合成を実行してもよい。
【0156】
なお、第2無線装置20a、20b-i及び20-1~20-Jは、必ずしも1つの周波数ごとに復調部206a又は206を1つのみ備える必要は無く、1つの周波数ごとに複数備えてもよい。例えば、第2無線装置20aは、復調部206aを、第mアンテナ素子201-mと第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)との1対のアンテナ素子201ごとに各周波数につき1つずつ備えてもよい。
【0157】
なお、2×N個のアンテナ素子201は、アレー状に位置すればどのように位置してもよい。2×N個のアンテナ素子201は、例えば、リニアアレー状に位置してもよいし、平面アレー状に位置してもよい。アレー状とは、2×N個のアンテナ素子201が規則的に配列することを意味する。
【0158】
なお、第mアンテナ素子201-mと第(m+1)アンテナ素子201-(m+1)との間の距離(以下「第mアンテナ間距離」という。)は波長λ未満であってもよい。このような場合、上記した第1アンテナ間距離dが波長λ未満である場合と同様に、第mアンテナ間距離が波長λ以上である場合よりも、第1無線装置10-i又は第1無線装置10bに伝搬する方向における出力波の強度が強い。
また、上記した第1アンテナ間距離dが波長λ未満である場合と同様に、第mアンテナ間距離が波長λ/2未満である場合、グレーテイングローブの発生が抑制される。
【0159】
なお、第2無線装置20、20a、20b-i及び20-1~20-Jは、無線装置の一例である。なお、ステップS101、S201及びS301は、送信ステップの一例である。なお、ステップS102、S202及びS302は、第1受信ステップの一例である。なお、ステップS103、S203及びS303は、分離ステップの一例である。なお、ステップS104、S204及びS304は、復調ステップの一例である。なお、ステップS105、S205及びS305は、変調ステップの一例である。なお、ステップS106、S206及びS306は、放射ステップの一例である。なお、ステップS107、S207及びS307は、第2受信ステップの一例である。
【0160】
なお、第1データ信号フィルタ203-1-i~第(2×N)データ信号フィルタ203-(2×N)-iは第i変調信号フィルタの一例である。なお、第nデータ信号フィルタ203-n-iは第nアンテナ素子用の第iデータ信号フィルタの一例である。なお、第1連続波フィルタ204-1-i~第(2×N)連続波フィルタ204-(2×N)-iは第i非変調波フィルタの一例である。なお、第n連続波フィルタ204-n-iは第nアンテナ素子用の第i非変調波フィルタの一例である。なお、第1変調部205-1-i~第(2×N)変調部205-(2×N)-iは第i無変調波変調部の一例である。なお、第n変調部205-n-iは第nアンテナ素子用の第i無変調波変調部の一例である。なお、復調部206-iは、第i変調信号復調部の一例である。
【0161】
なお、無変調連続波C-iは、第i無変調連続波の一例である。なお、データ信号D-iは、第iデータ信号の一例である。
【0162】
なお、第1無線装置10-1~10-I及び第1無線装置10bと、第2無線装置20、20a、20b-i及び20-1~20-Jとの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0163】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0164】
1、1b、1c…無線通信システム、 10-1~10-I、10b…第1無線装置、 101-i、101b…データ送信部、 102-i、102b…無変調波送信部、 103-i、103b…受信部、 20、20a、20b-i、20-1~20-J…第2無線装置、 201…アンテナ素子、 202…サーキュレータ、 203…データ信号フィルタ、 204…連続波フィルタ、 205…変調部、 206、206a…復調部
図1
図2
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図6
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