(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-18
(45)【発行日】2022-08-26
(54)【発明の名称】めっき装置、およびめっき方法
(51)【国際特許分類】
C25D 7/12 20060101AFI20220819BHJP
C25D 17/10 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
C25D7/12
C25D17/10 A
(21)【出願番号】P 2022527768
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2022003526
【審査請求日】2022-05-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】下山 正
(72)【発明者】
【氏名】増田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 良輔
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特許第6993537(JP,B1)
【文献】特許第6901646(JP,B1)
【文献】米国特許第06402923(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0362809(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 7/12
C25D 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき液を収容するためのめっき槽と、
前記めっき槽内に配置されたアノードと、
被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、
前記基板ホルダを第1の方向および前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転させるように構成された回転機構と、
前記基板ホルダの回転角度に応じて遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間に移動させる遮蔽機構と、
を含
み、
前記遮蔽機構は、前記基板ホルダに保持された基板の特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに、前記遮蔽部材を前記アノードと前記基板の特定の部位との間に移動させるように構成され、
前記回転機構は、前記基板の特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに前記基板ホルダの回転方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で切り替えるように構成される、
めっき装置。
【請求項2】
前記回転機構は、前記基板の特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに前記基板ホルダの回転方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で複数回切り替えるように構成される、
請求項
1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記遮蔽機構は、
カム部材と、前記カム部材を回転させるように構成された回転駆動機構と、前記カム部材の回転に伴って前記遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置に押し出すように構成された従動部材と、
を含む、
請求項1
または2に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記カム部材は、前記回転駆動機構によって回転するように構成されたカム本体と、前記カム本体に取り付けられたロータと、を有し、
前記従動部材は、前記ロータが嵌め込まれるカム溝を有する従動スライダであって、前記カム本体の回転に伴う前記ロータからの押圧によって、前記遮蔽部材を、前記遮蔽位置と、前記アノードと前記基板との間から離れた退避位置と、の間で直動させるように構成された、従動スライダを含む、
請求項
3に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記遮蔽機構は、第1のプーリおよび第2のプーリに巻き付けられたベルトをさらに含み、
前記カム部材は、前記第2のプーリに連結された偏心カム部材を含み、
前記回転駆動機構は、前記第1のプーリを回転させることによって前記偏心カム部材を回転させるように構成され、
前記従動部材は、前記偏心カム部材の突起に押圧されることに応じて前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に押し出すように構成された従動カム部材を含む、
請求項
3に記載のめっき装置。
【請求項6】
前記遮蔽機構は、
前記遮蔽部材を、前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置と、前記アノードと前記基板との間から離れた退避位置と、の間で直動させるように構成された直動駆動機構を含む、
請求項1
または2に記載のめっき装置。
【請求項7】
前記遮蔽機構は、
前記基板ホルダに取り付けられたカム部材と、
前記カム部材の突起に押圧されることに応じて前記遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間に押し出す従動節と、
を含む、
請求項1
または2に記載のめっき装置。
【請求項8】
被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持する基板ホルダをめっき槽内に降下させる降下ステップと、
前記めっき槽内に降下された基板の前記被めっき面にめっき処理を施すめっきステップと、
前記基板ホルダを第1の方向に回転させる第1の回転ステップと、
前記基板ホルダを前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転させる第2の回転ステップと、
前記基板ホルダの回転角度に応じて遮蔽部材をアノードと基板との間に移動させる遮蔽ステップと、
を含
み、
前記遮蔽ステップは、前記基板ホルダに保持された基板の特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに前記遮蔽部材を前記アノードと前記基板の部位との間に移動させるように構成され、
前記基板の特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに前記基板ホルダの回転方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で切り替える反転ステップをさらに含む、
めっき方法。
【請求項9】
前記反転ステップは、前記基板の特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに前
記基板ホルダの回転方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で複数回切り替えるように構成される、
請求項
8に記載のめっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、めっき装置、およびめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
めっき装置の一例としてカップ式の電解めっき装置が知られている。カップ式の電解めっき装置は、被めっき面を下方に向けて基板ホルダに保持された基板(例えば半導体ウェハ)をめっき液に浸漬させ、基板とアノードとの間に電圧を印加することによって、基板の表面に導電膜を析出させる。
【0003】
カップ式の電解めっき装置では、遮蔽部材を用いてアノードと基板との間に形成される電場を遮蔽することが知られている。例えば特許文献1には、基板の特定の部位が所定の回転角度の範囲内に回転したときに、遮蔽部材を基板の特定の部位とアノードとの間に移動させることによって、所望のタイミングでのみ基板の特定の部位を遮蔽する電解めっき装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術の電解めっき装置には、基板の特定の部位を所望のタイミングで遮蔽しつつ、めっき槽に収容されためっき液の攪拌力を高めることによってめっき膜厚を均一化したいというニーズがある。
【0006】
すなわち、従来技術は、一定の回転速度で一方向に基板ホルダを回転させるので、基板の特定の部位が遮蔽される時間が固定される。この点、例えば基板の特定の部位をより長い時間遮蔽したい場合には、基板の特定の部位が所定の回転角度の範囲内を回転しているときに基板ホルダの回転速度を減速することが考えられる。しかしながら、基板ホルダの回転速度を減速すると、めっき槽に収容されためっき液の攪拌力が弱まり、その結果、被めっき面に形成されるめっき膜厚の均一化が阻害されるおそれがある。
【0007】
そこで、本願は、基板の特定の部位を所望のタイミングで遮蔽することができ、かつ、めっき膜厚の均一化を向上させることができるめっき装置およびめっき方法を実現することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、めっき液を収容するためのめっき槽と、前記めっき槽内に配置されたアノードと、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダを第1の方向および前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転させるように構成された回転機構と、前記基板ホルダの回転角度に応じて遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間に移動させる遮蔽機構と、を含む、めっき装置が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が退避位置に移動した状態を示している。
【
図4】
図4は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が遮蔽位置に移動した状態を示している。
【
図5】
図5は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す平面図である。
【
図8】
図8は、基板の特定の部位を遮蔽するタイミングと基板ホルダの回転速度との関係を示す図である。
【
図9】
図9は、基板の特定の部位を遮蔽するタイミングと基板ホルダの回転速度との関係を示す図である。
【
図10】
図10は、基板の特定の部位を遮蔽するタイミングと基板ホルダの回転速度との関係を示す図である。
【
図11】
図11は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図12】
図12は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図13】
図13は、一実施形態の遮蔽機構の一部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図14】
図14は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す平面図である。
【
図15】
図15は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図16】
図16は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す平面図である。
【
図17】
図17は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が退避した状態を示している。
【
図18】
図18は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す上面図であり、遮蔽部材が退避した状態を示している。
【
図19】
図19は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材がアノードと基板との間に移動した状態を示している。
【
図20】
図20は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す上面図であり、遮蔽部材がアノードと基板との間に移動した状態を示している。
【
図21】
図21は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図22】
図22は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。
【
図23】
図23は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0011】
<めっき装置の全体構成>
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図1、2に示すように、めっき装置1000は、ロードポート100、搬送ロボット110、アライナ120、プリウェットモジュール200、プリソークモジュール300、めっきモジュール400、洗浄モジュール500、スピンリンスドライヤ600、搬送装置700、および、制御モジュール800を備える。
【0012】
ロードポート100は、めっき装置1000に図示していないFOUPなどのカセットに収納された基板を搬入したり、めっき装置1000からカセットに基板を搬出するためのモジュールである。本実施形態では4台のロードポート100が水平方向に並べて配置されているが、ロードポート100の数および配置は任意である。搬送ロボット110は、基板を搬送するためのロボットであり、ロードポート100、アライナ120、プリウェットモジュール200およびスピンリンスドライヤ600の間で基板を受け渡すように構成される。搬送ロボット110および搬送装置700は、搬送ロボット110と搬送装置700との間で基板を受け渡す際には、図示していない仮置き台を介して基板の受け渡しを行うことができる。
【0013】
アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるためのモジュールである。本実施形態では2台のアライナ120が水平方向に並べて配置されているが、アライナ120の数および配置は任意である。プリウェットモジュール200は、めっき処理前の基板の被めっき面を純水または脱気水などの処理液で濡らすことで、基板表面に形成されたパターン内部の空気を処理液に置換する。プリウェットモジュール200は、めっき時にパターン内部の処理液をめっき液に置換することでパターン内部にめっき液を供給しやすくするプリウェット処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリウェットモジュール200が上下方向に並べて配置されているが、プリウェットモジュール200の数および配置は任意である。
【0014】
プリソークモジュール300は、例えばめっき処理前の基板の被めっき面に形成したシード層表面等に存在する電気抵抗の大きい酸化膜を硫酸や塩酸などの処理液でエッチング除去してめっき下地表面を洗浄または活性化するプリソーク処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリソークモジュール300が上下方向に並べて配置されているが、プリソークモジュール300の数および配置は任意である。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。本実施形態では、上下方向に3台かつ水平方向に4台並べて配置された12台のめっきモジュール400のセットが2つあり、合計24台のめっきモジュール400が設けられているが、めっきモジュール400の数および配置は任意である。
【0015】
洗浄モジュール500は、めっき処理後の基板に残るめっき液等を除去するために基板に洗浄処理を施すように構成される。本実施形態では2台の洗浄モジュール500が上下方向に並べて配置されているが、洗浄モジュール500の数および配置は任意である。スピンリンスドライヤ600は、洗浄処理後の基板を高速回転させて乾燥させるためのモジュールである。本実施形態では2台のスピンリンスドライヤが上下方向に並べて配置されているが、スピンリンスドライヤの数および配置は任意である。搬送装置700は、めっき装置1000内の複数のモジュール間で基板を搬送するための装置である。制御モジュール800は、めっき装置1000の複数のモジュールを制御するように構成され、例えばオペレータとの間の入出力インターフェースを備える一般的なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
【0016】
めっき装置1000による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、ロードポート100にカセットに収納された基板が搬入される。続いて、搬送ロボット110は、ロードポート100のカセットから基板を取り出し、アライナ120に基板を搬送する。アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。搬送ロボット110は、アライナ120で方向を合わせた基板をプリウェットモジュール200へ受け渡す。
【0017】
プリウェットモジュール200は、基板にプリウェット処理を施す。搬送装置700は、プリウェット処理が施された基板をプリソークモジュール300へ搬送する。プリソークモジュール300は、基板にプリソーク処理を施す。搬送装置700は、プリソーク処理が施された基板をめっきモジュール400へ搬送する。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。
【0018】
搬送装置700は、めっき処理が施された基板を洗浄モジュール500へ搬送する。洗浄モジュール500は、基板に洗浄処理を施す。搬送装置700は、洗浄処理が施された基板をスピンリンスドライヤ600へ搬送する。スピンリンスドライヤ600は、基板に乾燥処理を施す。搬送ロボット110は、スピンリンスドライヤ600から基板を受け取り、乾燥処理を施した基板をロードポート100のカセットへ搬送する。最後に、ロードポート100から基板を収納したカセットが搬出される。
【0019】
<めっきモジュールの構成>
次に、めっきモジュール400の構成を説明する。本実施形態における24台のめっきモジュール400は同一の構成であるので、1台のめっきモジュール400のみを説明する。
図3は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材がアノードと基板との間から離れた位置(適宜「退避位置」という。)に移動した状態を示している。
図4は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材がアノードと基板との間の位置(適宜「遮蔽位置」という。)に移動した状態を示している。
【0020】
図3および
図4に示すように、めっきモジュール400は、めっき液を収容するためのめっき槽410を備える。めっきモジュール400は、めっき槽410の内部を上下方向に隔てるメンブレン420を備える。めっき槽410の内部はメンブレン420によってカソード領域422とアノード領域424に仕切られる。
【0021】
カソード領域422とアノード領域424にはそれぞれめっき液が充填される。めっきモジュール400は、カソード領域422に向けて開口したノズル426と、ノズル426を介してカソード領域422にめっき液を供給するための供給源428と、を備える。めっきモジュール400は、アノード領域424についても同様に、アノード領域424にめっき液を供給するための機構を備えるが図示を省略する。アノード領域424のめっき槽410の底面にはアノード430が設けられる。カソード領域422にはメンブレン420に対向して抵抗体450が配置される。抵抗体450は、基板Wfの被めっき面Wf-aにおけるめっき処理の均一化を図るための部材であり、多数の孔が形成された板状部材によって構成される。
【0022】
また、めっきモジュール400は、被めっき面Wf-aを下方に向けた状態で基板Wfを保持するための基板ホルダ440を備える。基板ホルダ440は、図示していない電源から基板Wfに給電するための給電接点を備える。基板ホルダ440は、基板Wfの被めっき面Wf-aの外縁部を支持するためのシールリングホルダ442と、シールリングホルダ442を図示していない基板ホルダ本体に保持するためのフレーム446と、を備える。また、基板ホルダ440は、基板Wfの被めっき面Wf-aの裏面を押圧するためのバックプレート444と、バックプレート444の基板押圧面の裏面に取り付けられたシャフト448と、を備える。
【0023】
めっきモジュール400は、基板ホルダ440を昇降させるための昇降機構443と、シャフト448の仮想軸(被めっき面Wf-aの中央を垂直に伸びる仮想的な回転軸)の周りに基板Wfが回転するように基板ホルダ440を回転させるための回転機構447と、を備える。回転機構447は、基板ホルダ440を第1の方向(例えば時計回り)、および第1の方向とは反対の第2の方向(反時計回り)に回転させるように構成されている。言い換えると、回転機構447は、基板ホルダ440を第1の方向に回転させることができるとともに、回転方向を切り替えて基板ホルダ440を第2の方向に回転させることができる。昇降機構443および回転機構447は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。めっきモジュール400は、昇降機構443を用いて基板Wfをカソード領域422のめっき液に浸漬し、アノード430と基板Wfとの間に電圧を印加することによって、基板Wfの被めっき面Wf-aにめっき処理を施すように構成される。
【0024】
めっきモジュール400は、アノード430と基板Wfとの間に配置されたときにアノード430と基板Wfとの間に形成される電場を遮蔽するための遮蔽部材481を備える。遮蔽部材481は例えば板状に形成された遮蔽板であってもよい。また、めっきモジュール400は、遮蔽部材481を移動させるための遮蔽機構485を備える。遮蔽機構485は、制御モジュール800から入力される基板ホルダ440の回転角度に関する情報に基づく指令信号に応じて動作するように構成される。具体的には、遮蔽機構485は、基板Wfの特定の部位の回転角度が所定範囲外にあるときは、遮蔽部材481を、
図3に示すように退避位置に移動させるように構成される。また、遮蔽機構485は、基板Wfの特定の部位の回転角度が所定範囲内にあるときは、遮蔽部材481を、
図4に示すように遮蔽位置に移動させるように構成される。すなわち、遮蔽機構485は、基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材481を退避位置と遮蔽位置との間で直動させるように構成される。以下、遮蔽機構485の具体例を説明する。
【0025】
図5は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
図6は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
図7は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す平面図である。
図7(a)は、遮蔽部材481が退避位置にある状態を示しており、
図7(b)は、遮蔽部材481が遮蔽位置にある状態を示している。
【0026】
図5~
図7に示すように、遮蔽機構485は、カム部材487と、カム部材487を回転させるように構成された回転駆動機構486と、カム部材487の回転に伴って遮蔽部材481を遮蔽位置と退避位置との間で直動させるように構成された従動部材488と、を備える。回転駆動機構486は、例えば回転モータなどの公知の機構によって実現することができる。
【0027】
カム部材487は、回転駆動機構486によって回転するように構成されたカム本体487bと、カム本体487bに取り付けられたロータ487aと、を有する。ロータ487aは、回転駆動機構486の回転軸に対して偏心した位置でカム本体487bに取り付けられている。
【0028】
従動部材488は、台座490-1上に配置された従動スライダ489と、従動スライダ489を案内するように構成された直動ガイド490-2を備える。台座490-1の上面には、遮蔽部材481の遮蔽位置と退避位置との間の直動方向と同じ方向に沿って溝490-1aが形成されている。従動スライダ489は、溝490-1aに配置された直動ガイド490-2を介して台座490-1上に配置されている。直動ガイド490-2は、従動スライダ489を溝490-1aに沿って案内するように構成されている。これにより、従動スライダ489は、溝490-1aの方向に往復移動可能になっている。従動スライダ489は、カム部材487を挟んで回転駆動機構486と対向して配置されている。従動スライダ489の回転駆動機構486との対向面には、鉛直方向に沿ってカム溝489aが形成されている。カム溝489aにはカム部材487のロータ487aが嵌め込まれている。遮蔽部材481は、鉛直方向に伸びる板状のブラケット483を介して従動スライダ489に取り付けられている。
【0029】
回転駆動機構486がカム部材487(カム本体487b)を回転させると、ロータ487aは回転駆動機構486の回転軸のまわりに回転する。このときロータ487aはカム溝489aの側面を押圧する。これにより、従動スライダ489は、溝490-1aに沿って移動する。
図5および
図6に示す状態(退避位置)からカム部材487を半回転(180°回転)させると、従動スライダ489は遮蔽部材481を遮蔽位置へ移動させる。回転駆動機構486がこの状態でカム部材487の回転を停止すると、遮蔽部材481は遮蔽位置へ移動したままとなる。一方、回転駆動機構486がこの状態からカム部材487をさらに半回転(180°回転)させると、従動スライダ489は遮蔽部材481を退避位置へ移動させる。すなわち、従動スライダ489は、カム部材487の回転に伴って溝490-1aに沿って往復運動することによって、遮蔽部材481を遮蔽位置と退避位置との間で直動させることができる。
【0030】
回転駆動機構486は、基板ホルダ440の回転角度に応じてカム部材487を回転させるように構成されている。すなわち、回転駆動機構486は、基板Wfの特定の部位が所定角度範囲内に回転したときに遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出すようにカム部材487を回転させることができる。
【0031】
図8は、基板の特定の部位を遮蔽するタイミングと基板ホルダの回転速度との関係を示す図である。
図8のグラフの横軸は、基板Wfの特定の部位の回転位置を示しており、縦軸は、遮蔽部材の位置(遮蔽位置または退避位置)、および基板ホルダ440の回転速度(回転方向)を示している。
図8は、基板ホルダを第1の方向(時計回り)に一定の速度で回転させた場合の遮蔽部材の位置と基板ホルダの回転速度とを示している。
図8に示すように、基板Wfにはノッチ(切り欠き)Wf-nが形成されている。本例では、
図8に示すように、ノッチWf-nの位置を基準(θ=0)とした場合に、θ=θ1からθ=θ2の範囲内の周縁部にめっきの堆積速度を抑制したい特定の部位αが存在しているものとする。また、めっき処理を開始する初期状態において、基板Wfは、
図8に示すように遮蔽部材481の中心にノッチWf-nが重なるように配置され、その状態から回転し始めるものとする。特定の部位α、θ1、およびθ2は、遮蔽部材481の形状、特定の部位αの形状、およびめっきの堆積速度の抑制必要強度により決定することができる。そのため、θ1、θ2と特定の部位αとの関係は、θ1、θ2が特定の部位α内にあってもよいし、特定の部位αの境界上であってもよいし、特定の部位αから離れていてもよい。
【0032】
回転機構447は、
図8中に矢印Aで示すように、基板ホルダ440を所定の速度で第1の方向に回転させる。遮蔽機構485(回転駆動機構486)は、基板Wfのθ1の位置が遮蔽部材481の中心にきたとき(基板ホルダ440または特定の部位αの回転角度がθ1のとき)に、遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出す。続いて、遮蔽機構485(回転駆動機構486)は、基板Wfのθ2の位置が遮蔽部材481の中心にきたとき(特定の部位αの回転角度がθ2のとき)に、遮蔽部材481を退避位置に押し戻す。このように、遮蔽機構485は、基板Wfの特定の部位αの回転角度がθ1からθ2の範囲内にあるときに、遮蔽部材481をアノード430と基板Wfの特定の部位αとの間に移動させるように構成されている。
【0033】
本実施形態によれば、基板Wfの特定の部位αを遮蔽部材481によって所望のタイミングで覆うことができる。すなわち、本実施形態によれば、常に特定の部位αを遮蔽部材481で覆うのではなく、所望のタイミングで特定の部位αを遮蔽部材481で覆うことができるので、特定の部位αにおける電場を適切に抑制し、その結果、特定の部位αのめっきの堆積速度を抑制することができる。なお、本実施形態では、特定の部位αの回転角度が所定の範囲内にあるときに特定の部位αを遮蔽部材481で覆う例を示したが、これに限定されない。例えば、特定の部位αにおけるめっきの堆積速度を高めたい場合には、特定の部位αの回転角度が所定の範囲内にあるときに遮蔽部材481を退避させ、特定の部位αの回転角度が所定の範囲外にあるときに遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させることもできる。
【0034】
また、
図7等に示すように、遮蔽部材481は、円板形状の基板Wfの周縁部の一部に対応する円弧形状を有するマスク部材481aを有する。特定の部位αは基板Wfの周縁部に円弧状に形成される場合があるので、円弧形状のマスク部材481aを用いて基板Wfの特定の部位αを覆うことによって、特定の部位αのみを適切に覆うことができる。この点は以下の実施形態でも同様である。
【0035】
これに加えて本実施形態では、回転機構447は、基板Wfの特定の部位αの回転角度が所定の範囲内(θ1からθ2の間)にあるときに基板ホルダ440の回転方向を第1の方向と第2の方向との間で切り替えるように構成されている。
【0036】
図9は、基板の特定の部位を遮蔽するタイミングと基板ホルダの回転速度との関係を示す図である。
図9のグラフの横軸は、基板Wfの特定の部位の回転位置を示しており、縦軸は、遮蔽部材の位置(遮蔽位置または退避位置)、および基板ホルダ440の回転速度(回転方向)を示している。
図9は、基板Wfの特定の部位αにおけるめっきの堆積速度の追加の抑制を1回実行した(基板ホルダの回転方向を2回切り替えた)場合の遮蔽部材の位置と基板ホルダの回転速度とを示している。
図9に示すように、回転機構447は、まず、
図9中に矢印Aで示すように、基板ホルダ440を所定の速度で第1の方向に回転させる。続いて、回転機構447は、基板Wfのθ1の位置が遮蔽部材481の中心にきたとき(特定の部位αの回転角度がθ1のとき)に、遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出す。続いて、遮蔽機構485(回転駆動機構486)は、基板Wfのθ2の位置が遮蔽部材481の中心にきたとき(特定の部位αの回転角度がθ2のとき)に、基板ホルダ440の回転方向を切り替えて第2の方向に回転させる。続いて、回転機構447は、基板Wfのθ1の位置が遮蔽部材481の中心にきたとき(特定の部位αの回転角度がθ1のとき)に、基板ホルダ440の回転方向を切り替えて第1の方向に回転させる。
【0037】
遮蔽機構485(回転駆動機構486)は、基板ホルダ440の回転方向を切り替えることにより、
図9に示すように、基板ホルダ440を第1の方向に一定速度で回転させる場合に比べて約3倍の期間、遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出すことができる。
【0038】
したがって、本実施形態によれば、基板Wfの特定の部位αにおける電場を強く抑制することができる。これに加えて、本実施形態によれば、基板ホルダ440を反対方向に回転させることによって、めっき槽410に収容されためっき液の攪拌力を高めることができるので、めっき膜厚の均一化を向上させることができる。
【0039】
図10は、基板の特定の部位を遮蔽するタイミングと基板ホルダの回転速度との関係を示す図である。
図10のグラフの横軸は、基板Wfの特定の部位の回転位置を示しており、縦軸は、遮蔽部材の位置(遮蔽位置または退避位置)、および基板ホルダ440の回転速度(回転方向)を示している。
図10は、基板Wfの特定の部位αにおけるめっきの堆積速度の追加の抑制を2回実行した(基板ホルダの回転方向を4回切り替えた)場合の遮蔽部材の位置と基板ホルダの回転速度とを示している。
図10に示すように、回転機構447は、まず、
図10中に矢印Aで示すように、基板ホルダ440を所定の速度で第1の方向に回転させる。続いて、回転機構447は、基板Wfのθ1の位置が遮蔽部材481の中心にきたとき(特定の部位αの回転角度がθ1のとき)に、遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出す。続いて、遮蔽機構485(回転駆動機構486)は、基板Wfのθ2の位置が遮蔽部材481の中心にきたとき(特定の部位αの回転角度がθ2のとき)に、基板ホルダ440の回転方向を切り替えて第2の方向に回転させる。続いて、回転機構447は、基板Wfのθ1の位置が遮蔽部材481の中心にきたとき(特定の部位αの回転角度がθ1のとき)に、基板ホルダ440の回転方向を切り替えて第1の方向に回転させる。
【0040】
続いて、回転機構447は、基板Wfのθ2の位置が遮蔽部材481の中心にきたとき(特定の部位αの回転角度がθ2のとき)に、基板ホルダ440の回転方向を切り替えて第2の方向に回転させる。続いて、回転機構447は、基板Wfのθ1の位置が遮蔽部材481の中心にきたとき(特定の部位αの回転角度がθ1のとき)に、基板ホルダ440の回転方向を切り替えて第1の方向に回転させる。
【0041】
遮蔽機構485(回転駆動機構486)は、基板ホルダ440の回転方向を切り替えることにより、
図10に示すように、基板ホルダ440を第1の方向にのみ一定速度で回転させる場合に比べて約5倍の期間、遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出すことができる。
【0042】
したがって、本実施形態によれば、基板Wfの特定の部位αにおける電場をさらに強く抑制することができる。これに加えて、本実施形態によれば、基板ホルダ440を繰り返し反対方向に回転させることによって、めっき槽410に収容されためっき液の攪拌力を高めることができるので、めっき膜厚の均一化を向上させることができる。
【0043】
なお、上記の実施形態では、基板Wfの特定の部位αにおけるめっきの堆積速度の追加の抑制を1回または2回実行した(基板ホルダの回転方向を2回または4回切り替えた)場合を説明したが、特定の部位αにおけるめっきの堆積速度の抑制の回数(基板ホルダの回転方向の切り替え回数)は、基板の特定の部位における電場を抑制する程度に応じて、任意に設定することができる。また、上記の実施形態では、基板に1つの特定の部位αが存在する場合の例を示したが、これに限らず、複数の特定の部位が存在していてもよい。この場合、遮蔽機構485は、複数の特定の部位のそれぞれに対して、回転角度が所定の範囲内にあるときに、遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させることができる。また、回転機構447は、複数の特定の部位のそれぞれに対して、回転角度が所定の範囲内にあるときに基板ホルダ440の回転方向を第1の方向と第2の方向との間で切り替えることができる。
【0044】
また、上記の実施形態では、回転機構447は、基板Wfの特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに基板ホルダ440の回転方向を切り替える例を示したが、これに限定されない。例えば、回転機構447は、基板Wfの特定の部位の回転角度が所定の範囲外にあるときに基板ホルダ440の回転方向を切り替えることもできる。すなわち、回転機構447は、基板Wfの特定の部位に対する電場を抑制したい場合には、基板Wfの特定の部位の回転角度が所定の範囲内にある期間が長くなるように基板ホルダ440の回転方向を切り替えることができる。一方、回転機構447は、基板Wfの特定の部位に対してめっきの堆積速度を上げたい場合には、基板Wfの特定の部位の回転角度が所定の範囲内にある期間が短くなるように基板ホルダ440の回転方向を切り替えることができる。
【0045】
また、上記の実施形態では、遮蔽機構485が、カム部材487、回転駆動機構486、および従動部材488などを備える例を示したが、これに限定されない。以下、遮蔽機構485の他の実施形態を説明する。
【0046】
図11は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
図12は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
図13は、一実施形態の遮蔽機構の一部の構成を模式的に示す斜視図である。
図14は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す平面図である。
図14(a)は、遮蔽部材481が退避位置にある状態を示しており、
図14(b)は、遮蔽部材481が遮蔽位置にある状態を示している。
【0047】
図11~
図14に示すように、遮蔽機構485は、第1のプーリ492-1および第2のプーリ492-2に巻き付けられたベルト492と、第1のプーリ492-1を回転させることによってベルト492を回転させるように構成された回転駆動機構491と、を備える。回転駆動機構491は、例えば回転モータなどの公知の機構によって実現することができる。また、遮蔽機構485は、第2のプーリ492-2に連結されたカム部材の一形態である偏心カム部材493を備える。偏心カム部材493は、第2のプーリ492-2の回転に伴って回転軸493aのまわりに回転するように構成されている。遮蔽機構485は、偏心カム部材493の突起493bに押圧されることに応じて遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出すように構成された従動部材の一形態である従動カム部材494を備える。具体的には、従動カム部材494にはブラケット495-1が取り付けられており、ブラケット495-1には水平方向に伸びるシャフト495-2が取り付けられている。シャフト495-2には直動ガイド496が取り付けられている。遮蔽部材481は、鉛直方向に伸びる板状のブラケット483を介してシャフト495-2に取り付けられている。
【0048】
これにより、
図14(b)に示すように、偏心カム部材493が回転して従動カム部材494が偏心カム部材493の突起493bによって第1の方向に押圧されると、シャフト495-2およびブラケット483を介して遮蔽部材481が遮蔽位置に押し出される。回転駆動機構491がこの状態で偏心カム部材493の回転を停止すると、遮蔽部材481は遮蔽位置へ移動したままとなる。一方、従動カム部材494は、偏心カム部材493の突起493bによって押圧されていないときには、第1の方向とは反対の第2の方向に押し戻されるように構成されている。これにより、
図14(a)に示すように、偏心カム部材493がさらに回転して偏心カム部材493の突起493bによる従動カム部材494の押圧が解除されれば、遮蔽部材481が退避位置に押し戻される。
【0049】
回転駆動機構491は、基板ホルダ440の回転角度に応じて第1のプーリ492-1を回転させるように構成されている。すなわち、上述の実施形態と同様に、回転駆動機構491は、例えば基板Wfの特定の部位αが所定角度範囲内に回転したときに遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出すように第1のプーリ492-1を回転させることができる。これにより、基板Wfの特定の部位αを遮蔽部材481で覆うことができる。また、回転駆動機構491は、特定の部位αが所定角度範囲外に回転したときに遮蔽部材481が退避位置に戻るように第1のプーリ492-1を回転させることができる。本実施形態によれば、常に特定の部位αを遮蔽部材481で覆うのではなく、所望のタイミングで特定の部位αを遮蔽部材481で覆うことができる。これに加えて、回転機構447は、基板Wfの特定の部位αが所定の回転角度の範囲内にあるときに基板ホルダ440の回転方向を第1の方向と第2の方向との間で切り替えることができる。したがって、特定の部位αに対する電場遮蔽の期間を適切に制御することができ、かつ、めっき液の攪拌力を高めることができるので、めっき膜厚を均一化することができる。
【0050】
図15は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す斜視図である。
図16は、一実施形態の遮蔽機構の構成を模式的に示す平面図である。
図16(a)は、遮蔽部材481が退避位置にある状態を示しており、
図16(b)は、遮蔽部材481が遮蔽位置にある状態を示している。
【0051】
図15および
図16に示すように、遮蔽機構485は、遮蔽部材481を遮蔽位置と退避位置との間で直動させるように構成された直動駆動機構497を備える。具体的には、直動駆動機構497は、直動駆動機構497の駆動に応じて水平方向に往復運動するように構成されたスライダ497aを備える。遮蔽部材481は、鉛直方向に伸びる板状のブラケット483を介してスライダ497aに取り付けられている。直動駆動機構497を駆動することによって遮蔽部材481を遮蔽位置と退避位置との間で直動させることができる。直動駆動機構497は、例えば直動モータなどの公知の機構によって実現することができる。
【0052】
直動駆動機構497は、基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材481を遮蔽位置と退避位置との間で直動させるように構成される。すなわち、上述の実施形態と同様に、直動駆動機構497は、例えば基板Wfの特定の部位αが所定角度範囲内に回転したときに遮蔽部材481を遮蔽位置に押し出すように構成される。これにより、基板Wfの特定の部位αを遮蔽部材481で覆うことができる。また、直動駆動機構497は、特定の部位αが所定角度範囲外に回転したときに遮蔽部材481が退避位置に戻すように構成される。本実施形態によれば、常に特定の部位αを遮蔽部材481で覆うのではなく、所望のタイミングで特定の部位αを遮蔽部材481で覆うことができる。これに加えて、回転機構447は、基板Wfの特定の部位αが所定の回転角度の範囲内にあるときに基板ホルダ440の回転方向を第1の方向と第2の方向との間で切り替えることができる。したがって、特定の部位αに対する電場遮蔽の期間を適切に制御することができ、かつ、めっき液の攪拌力を高めることができるので、めっき膜厚を均一化することができる。
【0053】
なお、上記の実施形態では、遮蔽機構485は、制御モジュール800から入力される基板ホルダ440の回転角度に関する情報に基づく指令信号に応じて動作するように構成される例を示したが、これに限定されない。
図17は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材が退避した状態を示している。
【0054】
図17に示すように、めっきモジュール400は、アノード430と基板Wfとの間に配置されたときにアノード430と基板Wfとの間に形成される電場を遮蔽するための遮蔽部材481を備える。遮蔽部材481は例えば板状に形成された遮蔽板であってもよい。遮蔽部材481は、めっき槽410の側壁を貫通してカソード領域422内に挿入されており、めっき槽410に挿入されていない側の端部にはフランジ484が取り付けられている。本実施形態では、遮蔽部材481は常にアノード430と基板Wfとの間に配置されるわけではなく、基板Wfの特定の部位を所望のタイミングで遮蔽するように構成されている。以下、この点について説明する。
【0055】
図18は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す上面図であり、遮蔽部材が退避した状態を示している。
図17および
図18に示すように、めっきモジュール400は、回転機構447による基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させる遮蔽機構460を備える。遮蔽機構460は、基板ホルダ440に取り付けられたカム部材461を備える。カム部材461は、シールリングホルダ442の上面に取り付けられた円板カム462を含む。遮蔽機構460は、カム部材461(円板カム462)の突起462aに押圧されることに応じて遮蔽部材481をアノード430と基板Wfとの間に押し出す従動節470を備える。
【0056】
従動節470は、円板カム462の突起462aに押圧されて基板ホルダ440から遠ざかる方向に移動するフォロワ473を備える。めっき槽410の上部の外壁面には基台472が取り付けられており、フォロワ473は、シャフト448を中心とした放射方向に往復移動可能に基台472に支持されている。フォロワ473は、シャフト448を中心とした放射方向に伸びる棒状の部材である。フォロワ473の一方の端部には、シャフト448の回転軸と平行な軸の周りに回転する第1のローラ471が取り付けられている。フォロワ473の他方の端部には、シャフト448の回転軸の方向およびシャフト448を中心とした放射方向の両方と垂直な軸の周りに回転可能な第2のローラ475が取り付けられている。
【0057】
従動節470は、フォロワ473からの押圧に応じて回転して遮蔽部材481をアノード430と基板Wfとの間に押し出すリンク474を備える。リンク474は棒状の部材であり、基台472に設けられた回転軸476周りに回転可能に基台472に支持されている。回転軸476は、第2のローラ475の回転軸と平行な回転軸である。リンク474は、リンク474の回転軸476を挟んだ一方の側が第2のローラ475と接触できるように基台472に支持されている。リンク474の回転軸476を挟んだ他方の側の端部には、第2のローラ475の回転軸と平行な軸の周りに回転可能な第3のローラ478が取り付けられている。リンク474は、第3のローラ478が遮蔽部材481のフランジ484と接触できるように基台472に支持されている。
【0058】
従動節470は、遮蔽部材481がリンク474によって押し出されていないときに遮蔽部材481を退避位置に押し戻す押圧部材479を備える。押圧部材479は、例えば一方の端部がめっき槽410の外壁に取り付けられ、他方の端部が遮蔽部材481のフランジ484に取り付けられた圧縮コイルばねであるが、これに限定されない。
【0059】
次に、遮蔽機構460による遮蔽部材481の動作について説明する。
図17および
図18に示すように円板カム462の突起462aが第1のローラ471を押圧していないときには、押圧部材479の付勢力によってフランジ484がめっき槽410から遠ざかる方向に押圧される。これにより、遮蔽部材481は退避位置に移動する。また、フランジ484がめっき槽410から遠ざかる方向に押圧されると、フランジ484が第3のローラ478を押圧することによってリンク474は反時計回りに回転する。すると、リンク474の回転軸476を挟んだ一方の側が第2のローラ475をシャフト448の中心に向かって押圧する。これによりフォロワ473はシャフト448の中心に向かって移動する。
【0060】
図19は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図であり、遮蔽部材がアノードと基板との間に移動した状態を示している。
図20は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す上面図であり、遮蔽部材がアノードと基板との間に移動した状態を示している。
図19および
図20に示すように、基板ホルダ440が回転して所定の回転角度の範囲内にあるときに、円板カム462の突起462aが第1のローラ471を押圧し、これにより第1のローラ471はシャフト448の中心から遠ざかる方向に移動する。これにともない、フォロワ473はシャフト448の中心から遠ざかる方向に移動し、第2のローラ475がリンク474の回転軸476を挟んだ一方の側を押圧する。これによりリンク474は時計回りに回転し、第3のローラ478が押圧部材479の付勢力に抗してフランジ484をめっき槽410に近づく方向に押圧する。その結果、遮蔽部材481はアノード430と基板Wfとの間に押し出される。基板ホルダ440が所定の回転角度の範囲を超えて回転すると、
図17および
図18を用いて説明したように、遮蔽部材481は退避位置に移動する。
【0061】
本実施形態によれば、遮蔽部材481が常にアノード430と基板Wfとの間に配置されているのではなく、基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材481をアノード430と基板Wfとの間に移動させる遮蔽機構460を備えている。したがって、遮蔽部材481によって覆うべき基板Wfの特定の部位αを所望のタイミングで遮蔽することができる。これに加えて、回転機構447は、基板Wfの特定の部位αが所定の回転角度の範囲内にあるときに基板ホルダ440の回転方向を第1の方向と第2の方向との間で切り替えるように構成されている。したがって、特定の部位αに対する電場遮蔽の期間を適切に制御することができ、かつ、めっき液の攪拌力を高めることができるので、めっき膜厚を均一化することができる。
【0062】
なお、本実施形態では円板カム462の突起462aが1つ設けられる例を示したが、これに限定されず、例えば基板Wfの特定の部位が基板Wfの周方向に沿って複数存在する場合には、基板Wfの特定の部位の配置に応じて円板カム462の突起462aを複数設けてもよい。また、本実施形態では、1つの遮蔽機構460が設けられる例を示したが、これに限定されず、めっき槽410の周方向に沿って複数の遮蔽機構460を設けてもよい。これにより、基板Wfの特定の部位が異なる複数の所定の回転角度の範囲内にあるときに基板Wfの特定の部位を遮蔽部材481によって覆うことができる。
【0063】
図21は、一実施形態のめっきモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
図3~
図20で示した実施形態と同様の構成については、同一の参照符号を付し、重複説明を省略する。
【0064】
図21に示すように、めっきモジュール400は、基板Wfのめっき膜厚を測定するように構成された膜厚センサ498と、膜厚センサ498によって測定された基板Wfのめっき膜厚に基づいて遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させるように構成された遮蔽機構499と、を備える。遮蔽機構499は、制御モジュール800から入力される基板Wfのめっき膜厚に関する情報に基づく指令信号に応じて動作するように構成される。遮蔽機構499は、
図5~
図16で示した遮蔽機構485のいずれかと同様の構造を有し得る。
【0065】
膜厚センサ498は、基板Wfの被めっき面の周縁部のめっき膜厚を測定するように構成されている。膜厚センサ498は、基板Wfの周縁部に対向配置されるように抵抗体450に取り付けられている。膜厚センサ498は、基板Wfが一回転する間に周縁部を走査してめっき膜厚を測定することができる。ただし、膜厚センサ498は、基板Wfの被めっき面の全体のめっき膜厚を測定するように構成されていてもよい。膜厚センサ498は、一例として、膜厚センサ498と基板Wf(めっき膜)との距離を計測する距離センサ、または基板Wfの被めっき面の変位を計測する変位センサを採用することができる。また、膜厚センサ498としては、めっき膜厚の形成速度を推定するためのセンサが採用されてもよい。膜厚センサ498としては、例えば、白色共焦点式などの光学センサ、電位センサ、磁場センサ、または渦電流式センサを用いることができる。
【0066】
遮蔽機構499は、基板Wfの周縁部のめっき膜厚が均一になるように遮蔽部材481を退避位置と遮蔽位置との間で直動させるように構成される。具体的には、遮蔽機構499は、基板Wfの周縁部のめっき膜厚の分布において他の領域と比べてめっき膜厚が厚い領域がある場合には、めっき膜厚が厚い領域の回転角度が所定範囲外にあるときに遮蔽部材481を退避位置に移動させるように構成される。また、遮蔽機構499は、めっき膜厚が厚い領域の回転角度が所定範囲内にあるときに遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させるように構成される。したがって、本実施形態によれば、基板Wfのめっき膜厚が厚い領域を遮蔽部材481で覆うことができる。
【0067】
これに加えて、回転機構447は、めっき膜厚が厚い領域が所定の回転角度の範囲内にあるときに基板ホルダ440の回転方向を第1の方向と第2の方向との間で切り替えることができる。すなわち、被めっき面の他の領域に比べてめっき膜厚が著しく厚い領域があった場合、基板ホルダ440を所定の一定速度で回転させながら遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させるだけでは、両者のめっき膜厚の不均一を解消しきれないおそれがある。このような場合に、基板ホルダ440の回転方向を切り替えることによって、めっき膜厚が厚い領域に対する電場遮蔽の期間を適切に制御することができ、かつ、めっき液の攪拌力を高めることができるので、めっき膜厚を均一化することができる。
【0068】
次に、本実施形態のめっきモジュール400を用いためっき方法について説明する。
図22は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。なお、以下では、一例として、
図8に示すように基板ホルダ440の回転方向を切り替えない場合のめっき方法を説明する。
【0069】
めっき方法は、基板ホルダ440に基板Wfを設置する(ステップ102)。ステップ102は、例えば被めっき面Wf-aを下方に向けた状態の基板Wfを図示していないロボットハンドなどによってシールリングホルダ442に置き、バックプレート444によって基板Wfの裏面を押圧することによって実行することができる。
【0070】
続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440をめっき槽410内に降下させる(降下ステップ104)。続いて、めっき方法は、回転機構447によって基板ホルダ440を第1の方向に回転させる(第1の回転ステップ106)。
【0071】
続いて、めっき方法は、めっき槽410内に配置されたアノード430と基板ホルダ440に保持された基板Wfとの間に電圧を印加することによって被めっき面Wf-aにめっき処理を施す(めっきステップ108)。
【0072】
続いて、めっき方法は、基板Wfの第1の特定の位置θ1が遮蔽部材481の中心にきたら(ステップ110)、遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させる(遮蔽ステップ112)。
【0073】
続いて、めっき方法は、基板Wfの第2の特定の位置θ2が遮蔽部材481の中心にきたら(ステップ114)、遮蔽部材481を退避位置に移動させる(退避ステップ116)。
【0074】
続いて、めっき方法は、めっき処理を終了すべきか否かを判定する(ステップ118)。めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過していないことによりめっき処理を終了すべきではないと判定した場合には(ステップ118,No)、ステップ110に戻って処理を継続する。
【0075】
一方、めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過したことによりめっき処理を終了すべきと判定した場合には(ステップ118,Yes)、アノード430と基板Wfとの間の電圧印加を停止することによってめっき処理を停止する(ステップ120)。続いて、めっき方法は、回転機構447による基板ホルダ440の回転を停止する(ステップ122)。続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440を上昇させる(ステップ124)。これにより、一連のめっき処理は終了する。
【0076】
次に、本実施形態のめっきモジュール400を用いた他のめっき方法について説明する。
図23は、一実施形態のめっきモジュールを用いためっき方法のフローチャートである。なお、以下では、
図9および
図10に示すように基板ホルダ440の回転方向を複数回切り替える場合のめっき方法を説明する。
【0077】
めっき方法は、基板Wfの第1の特定の位置θ1、第2の特定の位置θ2、およびめっきの堆積速度の追加の抑制の繰り返し回数Nを設定する(ステップ202)。なお、θ1、θ2、および追加の抑制の繰り返し回数Nの値は、遮蔽部材481の形状、特定の部位αの形状、およびめっきの堆積速度の抑制必要強度に基づいて、電場解析を用いて推定することが好ましい。また、1つの基板内にめっきの堆積速度の抑制必要領域が複数存在する場合もある。その場合には、それぞれの領域について、θ1、θ2、および追加の抑制の繰り返し回数Nを設定する。
【0078】
続いて、基板ホルダ440に基板Wfを設置する(ステップ204)。続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440をめっき槽410内に降下させる(降下ステップ206)。続いて、めっき方法は、回転機構447によって基板ホルダ440を第1の方向に回転させる(第1の回転ステップ208)。
【0079】
続いて、めっき方法は、めっき槽410内に配置されたアノード430と基板ホルダ440に保持された基板Wfとの間に電圧を印加することによって被めっき面Wf-aにめっき処理を施す(めっきステップ210)。
【0080】
続いて、めっき方法は、基板Wfの第1の特定の位置θ1が遮蔽部材481の中心にきたら(ステップ212)、遮蔽部材481を遮蔽位置に移動させる(遮蔽ステップ214)。
【0081】
続いて、めっき方法は、基板Wfの第2の特定の位置θ2が遮蔽部材481の中心にきたら(ステップ216)、N=0であるか否かを判定する(ステップ218)。めっき方法は、N=0ではないと判定したら(ステップ218,No)、基板ホルダ440の回転方向を第1の方向と第2の方向との間で切り替える(反転ステップ220)。具体的には、反転ステップ220は、基板ホルダ440の回転速度を減速し、基板ホルダ440の回転方向を第2の方向に切り替える。
【0082】
続いて、めっき方法は、回転機構447によって基板ホルダ440を第2の方向に回転させる(第2の回転ステップ222)。続いて、めっき方法は、基板Wfの第1の特定の位置θ1が遮蔽部材481の中心にきたら(ステップ224)、基板ホルダ440の回転方向を第1の方向と第2の方向との間で切り替える(反転ステップ226)。具体的には、反転ステップ226は、基板ホルダ440の回転速度を減速し、基板ホルダ440の回転方向を第1の方向に切り替える。
【0083】
続いて、めっき方法は、回転機構447によって基板ホルダ440を第1の方向に回転させる(第1の回転ステップ228)。続いて、めっき方法は、Nをデクリメントする(Nの数値を1減らす)(ステップ230)。続いて、めっき方法は、ステップ216に戻って処理を継続する。これにより、基板Wfの特定の部位αにおけるめっきの堆積速度の追加の抑制が繰り返される。
【0084】
一方、めっき方法は、N=0であると判定したら(ステップ218,Yes)、遮蔽部材481を退避位置に移動させる(退避ステップ232)。続いて、めっき方法は、めっき処理を終了すべきか否かを判定する(ステップ234)。めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過していないことによりめっき処理を終了すべきではないと判定した場合には(ステップ234,No)、ステップ212に戻って処理を継続する。
【0085】
一方、めっき方法は、例えばめっき処理を開始してから所定時間が経過したことによりめっき処理を終了すべきと判定した場合には(ステップ234,Yes)、アノード430と基板Wfとの間の電圧印加を停止することによってめっき処理を停止する(ステップ236)。続いて、めっき方法は、回転機構447による基板ホルダ440の回転を停止する(ステップ238)。続いて、めっき方法は、昇降機構443によって基板ホルダ440を上昇させる(ステップ240)。これにより、一連のめっき処理は終了する。
【0086】
本実施形態のめっき方法によれば、所望のタイミングで基板Wfの特定の部位を遮蔽部材481で覆うことができる。これに加えて、基板Wfの特定の部位が所定の回転角度の範囲内にあるときに基板ホルダ440の回転方向を第1の方向と第2の方向との間で切り替える。したがって、基板Wfの特定の部位に対する電場遮蔽の期間を適切に制御することができ、かつ、めっき液の攪拌力を高めることができるので、被めっき面のめっき膜厚を均一化することができる。
【0087】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0088】
本願は、一実施形態として、めっき液を収容するためのめっき槽と、前記めっき槽内に配置されたアノードと、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持するための基板ホルダと、前記基板ホルダを第1の方向および前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転させるように構成された回転機構と、前記基板ホルダの回転角度に応じて遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間に移動させる遮蔽機構と、を含む、めっき装置を開示する。
【0089】
さらに、本願は、一実施形態として、前記遮蔽機構は、前記基板ホルダに保持された基板の特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに、前記遮蔽部材を前記アノードと前記基板の特定の部位との間に移動させるように構成され、前記回転機構は、前記基板の特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに前記基板ホルダの回転方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で切り替えるように構成される、めっき装置を開示する。
【0090】
さらに、本願は、一実施形態として、前記回転機構は、前記基板の特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに前記基板ホルダの回転方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で複数回切り替えるように構成される、めっき装置を開示する。
【0091】
さらに、本願は、一実施形態として、前記遮蔽機構は、カム部材と、前記カム部材を回転させるように構成された回転駆動機構と、前記カム部材の回転に伴って前記遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置に押し出すように構成された従動部材と、を含む、めっき装置を開示する。
【0092】
さらに、本願は、一実施形態として、前記カム部材は、前記回転駆動機構によって回転するように構成されたカム本体と、前記カム本体に取り付けられたロータと、を有し、前記従動部材は、前記ロータが嵌め込まれるカム溝を有する従動スライダであって、前記カム本体の回転に伴う前記ロータからの押圧によって、前記遮蔽部材を、前記遮蔽位置と、前記アノードと前記基板との間から離れた退避位置と、の間で直動させるように構成された、従動スライダを含む、めっき装置を開示する。
【0093】
さらに、本願は、一実施形態として、前記遮蔽機構は、第1のプーリおよび第2のプーリに巻き付けられたベルトをさらに含み、前記カム部材は、前記第2のプーリに連結された偏心カム部材を含み、前記回転駆動機構は、前記第1のプーリを回転させることによって前記偏心カム部材を回転させるように構成され、前記従動部材は、前記偏心カム部材の突起に押圧されることに応じて前記遮蔽部材を前記遮蔽位置に押し出すように構成された従動カム部材を含む、めっき装置を開示する。
【0094】
さらに、本願は、一実施形態として、前記遮蔽機構は、前記遮蔽部材を、前記アノードと前記基板との間の遮蔽位置と、前記アノードと前記基板との間から離れた退避位置と、の間で直動させるように構成された直動駆動機構を含む、めっき装置を開示する。
【0095】
さらに、本願は、一実施形態として、前記遮蔽機構は、前記基板ホルダに取り付けられたカム部材と、前記カム部材の突起に押圧されることに応じて前記遮蔽部材を前記アノードと前記基板との間に押し出す従動節と、を含む、めっき装置を開示する。
【0096】
さらに、本願は、一実施形態として、被めっき面を下方に向けた状態で基板を保持する基板ホルダをめっき槽内に降下させる降下ステップと、前記めっき槽内に降下された基板の前記被めっき面にめっき処理を施すめっきステップと、前記基板ホルダを第1の方向に回転させる第1の回転ステップと、前記基板ホルダを前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転させる第2の回転ステップと、前記基板ホルダの回転角度に応じて遮蔽部材をアノードと基板との間に移動させる遮蔽ステップと、を含む、めっき方法を開示する。
【0097】
さらに、本願は、一実施形態として、前記遮蔽ステップは、前記基板ホルダに保持された基板の特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに前記遮蔽部材を前記アノードと前記基板の部位との間に移動させるように構成され、前記基板の特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに前記基板ホルダの回転方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で切り替える反転ステップをさらに含む、めっき方法を開示する。
【0098】
さらに、本願は、一実施形態として、前記反転ステップは、前記基板の特定の部位の回転角度が所定の範囲内にあるときに前記基板ホルダの回転方向を前記第1の方向と前記第2の方向との間で複数回切り替えるように構成される、めっき方法を開示する。
【符号の説明】
【0099】
400 めっきモジュール
410 めっき槽
430 アノード
440 基板ホルダ
443 昇降機構
447 回転機構
460,485,499 遮蔽機構
461 カム部材
470 従動節
481 遮蔽部材
486,491 回転駆動機構
487 カム部材
488 従動部材
492 ベルト
492-1 第1のプーリ
492-2 第2のプーリ
493 偏心カム部材
494 従動カム部材
497 直動駆動機構
1000 めっき装置
Wf 基板
Wf-a 被めっき面
【要約】
基板の特定の部位を所望のタイミングで遮蔽することができ、かつ、めっき膜厚の均一化を向上させる。
めっきモジュールは、めっき液を収容するためのめっき槽410と、めっき槽410内に配置されたアノード430と、被めっき面Wf-aを下方に向けた状態で基板Wfを保持するための基板ホルダ440と、基板ホルダ440を第1の方向および第1の方向とは反対の第2の方向に回転させるように構成された回転機構447と、基板ホルダ440の回転角度に応じて遮蔽部材481をアノード430と基板Wfとの間に移動させる遮蔽機構485と、を含む。