(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】電子式エンコーダ及び狭範囲誤差を低減させる方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20220822BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20220822BHJP
G01D 5/244 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
G01D5/245 110B
G01B7/00 101E
G01D5/244 F
(21)【出願番号】P 2017236810
(22)【出願日】2017-12-11
【審査請求日】2020-11-09
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】テッド ステイトン クック
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-525490(JP,A)
【文献】特開2008-64498(JP,A)
【文献】特表平10-500481(JP,A)
【文献】特開2004-205456(JP,A)
【文献】特開昭59-79806(JP,A)
【文献】特表2016-527520(JP,A)
【文献】特開2014-199182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/252
G01B 7/00-7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定軸方向に沿った2つの要素間の相対位置を測定するために使用可能である電子式エンコーダであって、
前記測定軸方向に沿って延在し、前記測定軸方向に沿ってスケール周期Psを有する周期的スケールパターンを含むスケールと、
前記周期的スケールパターンに近接して取り付けられ、前記測定軸方向に沿って前記周期的スケールパターンに対して移動するように構成される検出部と、
を含み、
前記検出部は、
前記測定軸方向に沿って配置され、前記検出部と前記周期的スケールパターンとの前記相対位置に対応する検出器信号を提供するように構成される複数の検知要素と、
前記検出部に動作可能に接続され、前記検出部から入力される検出器信号に基づいて、前記検出部と前記周期的スケールパターンとの前記相対位置を決定する信号処理部と、
を含み、
前記複数の検知要素は、少なくとも、第1の検知要素セットと第2の検知要素セットとを含み、
前記第1の検知要素セットは、前記スケール周期PsのN個の等間隔の位相に配置されるN個の検知要素を含み、
前記第2の検知要素セットは、前記スケール周期PsのN個の等間隔の位相に配置されるN個の検知要素を含み、
前記第2の検知要素セットは、前記測定軸方向に沿って前記第1の検知要素セットに対して、K2及びMを整数として、K2
*Ps+Ps/Mに相当する距離だけずれた位置に配置され、
前記信号処理部は、
前記第1の検知要素セットからの第1の検出器信号セットと、前記第2の検知要素セットからの第2の検出器信号セットとを独立して取得し、前記第1の検出器信号セット及び前記第2の検出器信号セットに基づいて、前記検出部と前記周期的スケールパターンとの前記相対位置を決定するように構成され
、
前記第1の検出器信号セットのみに基づいて、前記第1の検知要素セットに対する前記周期的スケールパターンの第1の空間位相を決定し、
前記第2の検出器信号セットのみに基づいて、前記第2の検知要素セットに対する前記周期的スケールパターンの第2の空間位相を決定し、
前記第1の空間位相と前記第2の空間位相との和である合成空間位相に基づいて、前記検出部と前記周期的スケールパターンとの前記相対位置を決定するように構成されている、電子式エンコーダ。
【請求項2】
複数のスケールトラックを含む電子式アブソリュート型エンコーダである、請求項
1に記載の電子式エンコーダ。
【請求項3】
前記信号処理部は、前記第1の検知要素セット及び前記第2の検知要素セットの両方から多重化位置信号を受信するように構成される前置増幅器を含む、請求項1
又は2に記載の電子式エンコーダ。
【請求項4】
前記第1の検知要素セットと前記信号処理部との間の第1の電子的接続部と、前記第2の検知要素セットと前記信号処理部との間の第2の電子的接続部とを更に含み、前記第1の電子的接続部と前記第2の電子的接続部とは、互いに対して対称である、請求項1から
3の何れか1項に記載の電子式エンコーダ。
【請求項5】
前記スケールと前記検出部とは、電磁誘導式トランスデューサ又は渦電流式トランスデューサのうちの1つを形成する、請求項1から
4の何れか1項に記載の電子式エンコーダ。
【請求項6】
Mは4であり、Nは3であり、
前記複数の検知要素は更に、第3の検知要素セットと第4の検知要素セットとを含み、
前記第3の検知要素セットは、前記スケール周期PsのN個の等間隔の位相に配置された3つの検知要素を含み、前記測定軸方向に沿って、前記第2の検知要素セットに対して、K3を整数として、K3
*Ps+Ps/4に相当する距離だけずれた位置に配置され、
前記第4の検知要素セットは、前記スケール周期Psの3つの等間隔の位相に配置された3つの検知要素を含み、前記測定軸方向に沿って、前記第3の検知要素セットに対して、K4を整数として、K4
*Ps+Ps/4に相当する距離だけずれた位置に配置され、
前記信号処理部は、前記第3の検知要素セットからの第3の検出器信号セットと、前記第4の検知要素セットからの第4の検出器信号セットとを独立して取得し、前記第1の検出器信号セット、前記第2の検出器信号セット、前記第3の検出器信号セット及び前記第4の検出器信号セットに基づいて、前記検出部と前記周期的スケールパターンとの前記相対位置を決定するように構成される、請求項1から
5の何れか1項に記載の電子式エンコーダ。
【請求項7】
Mは2、3又は4のうちの1つである、請求項1から
5の何れか1項に記載の電子式エンコーダ。
【請求項8】
前記第1の検知要素セットと前記第2の検知要素セットとは、少なくとも1つの検知要素を共有する、請求項1から
5の何れか1項に記載の電子式エンコーダ。
【請求項9】
Mは3であり、Nは3である、請求項
8に記載の電子式エンコーダ。
【請求項10】
電子式エンコーダによって測定される測定軸方向に沿った検出部に対するスケールパターンの相対位置の測定値を求める際に狭範囲誤差を低減させる方法であって、前記検出部は、信号処理部を含み、前記方法は、
前記検出部上の第1の位置における前記スケールパターンのスケール周期Psの等間隔の位相に配置されるN個の検知要素を含む第1の検知要素セット
からの第1の検出器信号セットのみに基づいて、第1の空間位相を測定するように前記検出部を動作させるステップと、
前記第1の位置に対して、K2及びMを整数として、K2
*Ps+Ps/Mだけ、前記検出部上の前記測定軸方向に沿ってずらされた前記検出部上の第2の位置における前記スケールパターンのスケール周期Psの等間隔の位相に配置されるN個の検知要素を含む第2の検知要素セット
からの第2の検出器信号セットのみに基づいて、第2の空間位相を測定するように前記検出部を動作させるステップと、
前記第1の空間位相と前記第2の空間位相との
和である合成空間位相に基づいて、前記測定軸方向に沿った前記スケールパターンと前記検出部との前記相対位置を決定するように前記信号処理部を動作させるステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記第1の空間位相は、前記測定軸方向に沿った位置に応じた第1の誤差成分を含み、
前記第2の空間位相は、前記測定軸方向に沿った位置に応じた前記第1の誤差成分と実質的に同じであるが符号が反対である第2の誤差成分を含み、
前記第1の空間位相と前記第2の空間位相との前記組み合わせは、前記相対位置の決定の際に、前記第1の誤差成分の寄与と前記第2の誤差成分の寄与とを実質的に相殺する、請求項1
0に記載の方法。
【請求項12】
Mは4であり、Nは3であり、
前記第2の位置に対して、K3を整数として、K3
*Ps+Ps/4だけ、前記検出部上の前記測定軸方向に沿ってずらされた前記検出部上の第3の位置における前記スケールパターンのスケール周期Psの等間隔の位相に配置される3つの検知要素を含む第3の検知要素セットを使用して、第3の空間位相を測定するように前記検出部を動作させるステップと、
前記第3の位置に対して、K4を整数として、K4
*Ps+Ps/4だけ、前記検出部上の前記測定軸方向に沿ってずらされた前記検出部上の第4の位置における前記スケールパターンのスケール周期Psの等間隔の位相に配置される3つの検知要素を含む第4の検知要素セットを使用して、第4の空間位相を測定するように前記検出部を動作させるステップと、
を更に含み、
前記測定軸方向に沿った前記スケールパターンと前記検出部との前記相対位置を決定するように前記信号処理部を動作させるステップは、前記第1の空間位相、前記第2の空間位相、前記第3の空間位相及び前記第4の空間位相の組み合わせに基づいている、請求項1
0又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、精密測定器に関し、特に電子式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な光学式、静電容量式、磁気式及び電磁誘導式トランスデューサ並びに移動又は位置トランスデューサが利用可能である。これらのトランスデューサは、読取ヘッド内の送信器及び受信器の様々な幾何学的構成を使用して、読取ヘッドとスケールとの間の移動を測定する。電磁誘導式センサは、粒子、油、水及び他の流体による汚れに最も影響を受けないセンサタイプのうちの1つであることが知られている。特許文献1は、高精度用途に使用可能である電磁誘導式位置トランスデューサについて説明している。特許文献2及び特許文献3は、信号生成及び処理回路を含む電磁誘導式インクリメンタル型ノギス及びリニアスケールについて説明している。特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7及び特許文献8は、電磁誘導式トランスデューサを使用する電磁誘導式アブソリュート型ノギス及び電子式巻き尺について説明している。これらの特許に説明されるように、電磁誘導式トランスデューサは、既知のプリント回路基板技術を使用して容易に製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第6011389号明細書
【文献】米国特許第5973494号明細書
【文献】米国特許第6002250号明細書
【文献】米国特許第5886519号明細書
【文献】米国特許第5841274号明細書
【文献】米国特許第5894678号明細書
【文献】米国特許第6400138号明細書
【文献】米国特許第8309906号明細書
【0004】
電磁誘導式トランスデューサ(及び他のタイプのトランスデューサ)の様々な実施態様は、インクリメンタル型又はアブソリュート型エンコーダとして実現されうる。一般に、インクリメンタル型エンコーダは、スケールに対する読取ヘッドの変位量を、スケールに沿った初期点から開始して、変位量のインクリメンタル単位を蓄積することによって決定することを可能にするスケールを使用する。しかし、エンコーダが、低消費電力デバイスに使用されるような場合は、アブソリュート型エンコーダを使用することがより望ましい。アブソリュート型エンコーダは、スケールに沿った(読取ヘッドの)各位置において、一意の出力信号又は信号の組み合わせを提供する。アブソリュート型エンコーダは、位置を特定するために、インクリメンタル変位量の連続蓄積を必要としない。したがって、アブソリュート型エンコーダは、数ある利点の中でも特に、様々な電力節約スキームを可能にする。上記特許に加えて、米国特許第3882482号、第5965879号、第5279044号、第5237391号、第5442166号、第4964727号、第4414754号、第4109389号、第5773820号及び第5010655号も、アブソリュート型エンコーダに関連する様々なエンコーダ構成及び/又は信号処理技術について開示している。
【0005】
本明細書において使用される場合、「トラック」又は「スケールトラック」との用語は、通常、測定軸方向に沿って延在し、また、測定軸を横断する方向に沿って略一定の幅及び位置を有するスケール又はスケールパターンの一領域を指す。スケールトラックは、通常、測定軸方向に沿って案内される検出器の特定のセットの下に横たわり、位置合わせされる。検出器は、下に横たわるスケールトラック内のスケール要素のパターンに反応して、トラックに沿った検出器位置に依存する位置信号を生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子式エンコーダにおける狭範囲測定誤差を低減させる様々な技術が知られている。例えば米国特許第6329813号は、信号オフセット及び不所望の偶数次高調波からの誤差を低減させる電磁誘導式エンコーダ内のねじれ磁束結合ループについて開示している。米国特許第6005387号(第‘387号特許)は、3の倍数である高調波(例えば第3及び第6高調波)からの誤差を抑制する3位相エンコーダについて開示している。米国特許第5886519号は、偶数次高調波及び信号オフセットからの誤差を抑制する4位相エンコーダについて開示している。米国特許第5998990号(第‘990号特許)は、振幅不整合を低減させる検出器レイアウトにおけるピッチ補正について開示している。米国特許第6487787号は、直交信号のオフセット、振幅及び位相の補正について開示しており、これも狭範囲誤差を低減させる。しかし、これらのシステムは、第5及び第7高調波といったより高い高調波からの誤差の影響を依然として受けやすい。更に、製法上の制約から、ピッチ補正を小型読取ヘッドに適用することは難しい。前置増幅器コンポーネントからの残留振幅又はオフセット不整合が、読取ヘッド集積回路内の温度ドリフト及び他の要因からの誤差を較正するシステムに残る場合がある。オフセット、振幅及び位相変化の補償係数は、通常、異なるばらつきを有するであろう個別のシステムに対してではなく、製品ラインに対して平均値として適用される。これらの誤差に対するロバスト性が向上された電子式エンコーダの構成が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この概要は、詳細な説明において、以下に更に説明される概念のセレクションを簡略形式で紹介するために提供される。この概要は、請求項に係る主題の重要な特徴を特定することも、請求項に係る主題の範囲を決定する助けとして使用されることも意図していない。
【0008】
測定軸方向と一致する測定軸方向に沿った2つの要素間の相対位置を測定するために使用可能である電子式エンコーダが開示される。電子式エンコーダはスケールと検出部とを含む。スケールは、測定軸方向に沿って延在し、測定軸方向に沿ってスケール周期Psを有する周期的スケールパターンを含む。検出部は、スケールパターンに近接して取り付けられ、測定軸方向に沿ってスケールパターンに対して移動するように構成される。検出部は、複数の検知要素と信号処理部とを含む。複数の検知要素は、測定軸方向に沿って配置され、検出部とスケールパターンとの相対位置に対応する検出器信号を提供するように構成される。信号処理部は、検出部に動作可能に接続され、検出部から入力される検出器信号に基づいて、検出部とスケールパターンとの相対位置を決定する。複数の検知要素は、少なくとも、第1の検知要素セットと第2の検知要素セットとを含む。第1の検知要素セットは、スケール周期PsのN個の等間隔の位相に配置されるN個の検知要素を含む。第2の検知要素セットは、スケール周期PsのN個の等間隔の位相に配置されるN個の検知要素を含む。第2の検知要素セットは、測定軸方向に沿って第1の検知要素セットに対して、K2及びMを整数として、K2*Ps+Ps/Mに相当する位置に置かれる。信号処理部は、第1の検知要素セットからの第1の検出器信号セットと、第2の検知要素セットからの第2の検出器信号セットとを独立して取得し、第1の検出器信号セット及び第2の検出器信号セットに基づいて、検出部とスケールパターンとの相対位置を決定するように構成される。
【0009】
電子式エンコーダによって測定される測定軸方向に沿った検出部に対するスケールパターンの相対位置測定結果を求める際に狭範囲誤差を低減させる方法が開示される。検出部は信号処理部を含む。上記方法は、
検出部上の第1の位置におけるスケールパターンのスケール周期Psの等間隔の位相に配置されるN個の検知要素を含む第1の検知要素セットを使用して、第1の空間位相を測定するように検出部を動作させるステップと、
第1の位置に対して、K2及びMを整数として、K2*Ps+Ps/Mだけ、検出部上の測定軸方向に沿ってずらされた検出部上の第2の位置におけるスケールパターンのスケール周期Psの等間隔の位相に配置されるN個の検知要素を含む第2の検知要素セットを使用して、第2の空間位相を測定するように検出部を動作させるステップと、
第1及び第2の空間位相の組み合わせに基づいて、測定軸方向に沿ったスケールパターンと検出部との相対位置を決定するように信号処理部を動作させるステップと、を含む。
【0010】
当然ながら、典型的な3位相及び4位相エンコーダは、位置が計算される前に、検出器信号に誤差補正及び補償を適用するのに対して、本明細書に開示される誤差を低減させるための原理は、3位相、4位相及び同様の位置計算技術を使用して複数の位置が計算された後に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるエンコーダの1つの例示的な応用であるハンドツール式ノギスの組立分解等角図である。
【
図2A】
図2Aは、電子式エンコーダに使用されてよいスケールの一部の模式図である。
【
図2C】
図2Cは、電子式エンコーダに使用されてよい一般化された検出部の模式図である。
【
図3A】
図3Aは、電子式エンコーダによって測定される、測定軸方向に沿った位置Xに応じた第1の位相、第2の位相及び合成位相のグラフを示す。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aの位置Xに応じた第1の誤差成分寄与、第2の誤差成分寄与及び合計誤差寄与のグラフを示す。
【
図4】
図4は、様々な条件によって影響を受ける電子式エンコーダの検知要素の単一のセットからの検出器信号のグラフを示す。これらのグラフに、これらの条件からもたらされる一次誤差成分寄与の対応するグラフが並置されている。
【
図5】
図5は、電子式エンコーダによって測定される、測定軸方向に沿った検出部に対するスケールパターンの相対位置測定結果を求める際に、狭範囲誤差を低減させる方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、スケール170を含む略長方形の横断面の本尺を有するスケール部材102と、スライダアセンブリ120とを含むハンドツールタイプのノギス100の組立分解等角図である。
図1は、参照用に、XYZ座標軸を示す。測定軸方向は、X軸と平行である。このようなノギスの動作は、一般的に知られており、本明細書で開示されるようなエンコーダのデザインによって解決されるのが望まれる様々な問題及び/又はデザイン上の制約をもたらす幾つかの例示的な実用上の要件を示すために、本明細書では、ノギス100を簡単にだけ説明する。
図1に示されるように、スケール170は、測定軸方向MA(X軸)に沿って延在する信号変調スケールパターン170x(概略的に示されている)を含んでよい。可変の添え字「x」は、本明細書では、様々な対応する信号変調スケールパターンを指定するために、様々な文字によって置き換えられる。信号変調スケールパターン170xは、以下により詳細に説明されるように、測定軸方向に沿った対応するアブソリュート範囲Rを画定するアブソリュートタイプであってよい。多くの商業ノギスにおいて、信号変調スケールパターン170xは、適切な位置に接合されるプリント回路基板に形成される。既知のタイプのカバー層172(例えば100μmの厚さ)がスケール170を覆ってよい。スケール部材102の第1の端の近くの固定ジョー108及び110と、スライダアセンブリ120上の可動ジョー116及び118とが、既知の方法で、物体の寸法を測定するために使用される。スライダアセンブリ120は、端止め具154によって、スケール部材102の下のデプスバー溝152内に収められるデプスバー126を含んでもよい。デプスバー測定面128を穴の中に延ばして、その深さを測定することができる。スライダアセンブリ120のカバー139が、オン/オフスイッチ134と、ゼロ設定スイッチ136と、測定結果ディスプレイ138とを含んでよい。スライダアセンブリ120のベース140は、スケール部材102のサイドエッジ146に接触するガイドエッジ142を含み、ネジ147によって弾性圧力バー148をスケール部材102の対向するエッジに付勢することで、測定、及び、スケール170に対する読取ヘッド部164の移動に適切な位置合わせを保証する。
【0013】
ベース140上にはピックオフアセンブリ160が設けられている。このピックオフアセンブリ160は、読取ヘッド部164を保持している。読取ヘッド部164は、本実施形態では、検知要素169を含む検知部又は検出器167(例えばフィールド発生及び検出巻線構成)と、信号及び制御回路166とを搭載した基板162(例えばプリント回路基板)を含んでいる。本説明では、「検知部」及び「検出器」との用語は、説明又は文脈において特に明記されない限り、しばしば、区別しないで使用される。回路及び接続部の汚染を防止するために、弾性シール163が、カバー139と基板162との間で圧縮されるとよい。検知部167は、絶縁コーティングによって覆われてよい。1つの特定の例示的な例では、検知部167は、深度(Z)方向に沿って約0.5mmの間隙によって離間されて、スケール170と平行にかつスケール170に面して配置されてよい。読取ヘッド部164とスケール170とを合わせて、トランスデューサ(例えば変化する磁場を発生させることによって動作する電磁誘導式又は渦電流式トランスデューサ)が形成されうる。
【0014】
図2Aは、電子式エンコーダ200に使用でき、ノギス100といった測定システムにトランスデューサとして組み込むことができるスケール210の一部の模式図である。電子式エンコーダ200は、測定軸方向MAに沿った2つの要素間の相対位置を測定するのに使用可能である。スケール210は、測定軸方向に沿って延在し、また、測定軸方向MAに沿って、スケール周期Psを有する周期的スケールパターン211を含む。幾つかの実施態様では、周期的スケールパターン211は、測定軸方向MAに沿って交流磁束を空間変調する磁束結合ループを含んでよい。或いは、スケールパターンは、渦電流トランスデューサ向けに構成される読取ヘッド内の金属プレート、又は、光学式エンコーダのガラス基板上のクロム要素を含んでもよい。分かりやすくするために、スケールパターン211は、スケール周期Psで配置された矩形コンポーネントの周期的パターンとして示される。
【0015】
図2Bは、電子式エンコーダ200において、
図2Aのスケール210と共に使用できる検出部220の模式図である。検出部220は、スケールパターン210に近接して取り付けられ、スケールパターン211に対して測定軸方向MAに沿って移動するように構成される。検出部220は、検知要素230と信号処理部240とを含む。検知要素230は、測定軸方向MAに沿って配置され、検出部220とスケールパターン211との相対位置に対応する検出器信号を提供するように構成される。検知要素230は、空間的な関係を説明するために、細い長方形として簡略化して示されている。当然ながら、より現実的な検知要素は、相対位置を測定するためにより複雑な電磁ループ又は他の適切な構造体を使用してよい。信号処理部240は、検出部に動作可能に接続され、検出部220から入力される検出器信号に基づいて、検出部220とスケールパターン211との相対位置を決定する。検知要素230は、第1の検知要素セット231と、第2の検知要素セット232とを含む。第1の検知要素セット231は、スケール周期Psの3つの等間隔の位相に配置される3つの検知要素を含む。第2の検知要素セット232は、スケール周期Psの3つの等間隔の位相に配置される3つの検知要素を含む。第2の検知要素セット232は、測定軸方向MAに沿って、第1の検知要素セット231に対してPs/4に相当する距離だけずれた位置GPに配置される。信号処理部240は、第1の検知要素セット231からの第1の検出器信号セットを、また、第2の検知要素セット232からの第2の検出器信号セットを独立して取得し、第1の検出器信号セット及び第2の検出器信号セットに基づいて、検出部220とスケールパターン211との相対位置を決定するように構成されている。
【0016】
幾つかの実施態様では、電子式エンコーダ200は、複数のスケールトラックを含む電子式アブソリュート型エンコーダであってもよい。スケールパターン211は、絶対位置を決定するために少なくとも1つの追加トラックに結合されるインクリメンタル型トラックであってもよい。
【0017】
幾つかの実施態様では、信号処理部240は、第1の検知要素セット231及び第2の検知要素セット232の両方から多重化された位置信号を受信するように構成される前置増幅器241を含んでよい。これは、増幅器からのオフセット及び振幅誤差が、第1の検知要素セット231及び第2の検知要素セット232の両方のコモンモードであることを保証しうる。
【0018】
幾つかの実施態様では、電子式エンコーダ200は更に、第1の検知要素セット231と信号処理部240との間の第1の電子的接続部と、第2の検知要素セット232と信号処理部240との間の第2の電子的接続部とを含んでよく、第1の電子的接続部と第2の電子的接続部とは、互いに対し対称であってもよい。これは、オフセット不整合からの誤差の最適な抑制を提供することができる。
【0019】
本明細書に開示される原理に従って、
図2A及び
図2Bに示される実施態様の様々な代替態様が使用されてもよい。
図2Cは、電子式エンコーダに使用することができる一般化された検出部220’の模式図である。
図2Bの検出部220は、第1の検知要素セット231及び第2の検知要素セット232をインタリーブ配置で示す。しかし、別の配置も可能である。
図2Cは、
図2A及び
図2Bにおける要素2XXと同様である2XX’と符号がつけられた同様の要素を示す。
図2Cに示されるように、検知要素230’は、第1の検知要素セット231’と第2の検知要素セット232’とを含む。第2の検知要素セット232’は、測定軸方向MAに沿って、第1の検知要素セット231’に対してK2
*Ps+Ps/4に相当する位置GP’に置かれる。
【0020】
一般に、本明細書に開示される原理に従って構成される電子式エンコーダは、スケールと検出部とを含む。スケールは、測定軸方向に沿って延在し、測定軸方向に沿って、スケール周期Psを有する周期的スケールパターンを含む。検出部は、スケールパターンに近接して取り付けられ、測定軸方向に沿って、スケールパターンに対して移動するように構成される。検出部は、複数の検知要素と信号処理部とを含む。複数の検知要素は、測定軸方向に沿って配置され、検出部とスケールパターンとの相対位置に対応する検出器信号を提供するように構成される。信号処理部は、検出部に動作可能に接続され、検出部から入力される検出器信号に基づいて、検出部とスケールパターンとの相対位置を決定する。複数の検知要素は、少なくとも、第1の検知要素セットと第2の検知要素セットとを含む。第1の検知要素セットは、スケール周期PsのN個の等間隔の位相に配置されたN個の検知要素を含む。第2の検知要素セットは、スケール周期PsのN個の等間隔の位相に配置されたN個の検知要素を含む。第2の検知要素セットは、測定軸方向に沿って、第1の検知要素セットに対してK2*Ps+Ps/M(K2及びMは整数)に相当する位置に置かれる。信号処理部は、第1の検知要素セットから第1の検出器信号セットを、第2の検知要素セットから第2の検出器信号セットを独立して取得し、第1の検出器信号セット及び第2の検出器信号セットに基づいて、検出部とスケールパターンとの相対位置を決定するように構成される。
【0021】
幾つかの実施態様では、Mは、2、3又は4のうちの1つであってよい。
【0022】
なお、
図2B及び
図2Cに示される例は、それぞれ別の検知要素を用いた第1の検知要素セット及び第2の検知要素セットを示す。幾つかの代替実施態様では、第1の検知要素セット及び第2の検知要素セットは、少なくとも1つの検知要素を共有してもよい(以下、共有される検知要素を共通検知要素と称す)。この構成では、必要とする検知要素は少なくて済む。第1の検知要素セット及び第2の検知要素セットは、信号処理部に、多重化信号を提供するように構成されていてもよい。幾つかの実施態様では、Mは3であってよく、Nは3であってよい。このような実施態様は、共通検知要素がない場合の9つのセンサとは対照的に、少なくとも7つのセンサで済む。
【0023】
図3Aは、電子式エンコーダ200と同様に構成される電子式エンコーダによって測定される、測定軸方向に沿った位置X/Psに応じた第1の空間位相310A、第2の空間位相320A及び合成空間位相330Aをラジアン単位で示したグラフ300Aである。幾つかの実施態様では、信号処理部240は、第1の検出器信号セットに基づいて、第1の検知要素セット231に対する周期的スケールパターン211の第1の空間位相310Aを決定し、第2の検出器信号セットに基づいて、第2の検知要素セット232に対する周期的スケールパターン211の第2の空間位相320Aを決定し、第1の位相310A及び第2の位相320Aの和である合成空間位相330Aに基づいて、検出部220とスケールパターン211との相対位置Xを決定するように構成されてよい。なお、
図3Aに示されるように、合成位相330Aは、測定軸方向に沿ってPs/2の周期を有する。信号処理部240は、合成位相330Aに、Ps/2である合成位相330Aの周期を乗じることによって、検出部220とスケールパターン211との相対位置を決定する。
【0024】
図3Bは、
図3Aの位置X/Psに応じた第1の誤差成分寄与310B、第2の誤差成分寄与320B及び合計誤差成分寄与330Bのグラフ300Bを示す。グラフ300Bはスケール周期Psの百分率を単位として示される。第1の誤差成分寄与310Bは、第1の空間位相310Aにおける誤差であり、第2の誤差成分寄与320Bは、第2の空間位相320Aにおける誤差である。第1の誤差成分寄与310B及び第2の誤差成分寄与320Bは、振幅不整合、位相不整合、検出器信号における第5高調波及び検出器信号における第7高調波の結果である。グラフ300Bに示されるように、第1の誤差成分寄与310B及び第2の誤差成分寄与320Bは、大きさが同じであり、位置Xの各値について符号が反対である。これは、第2の検知要素セット232が、測定軸方向MAに沿って、第1の検知要素セット231に対してPs/4に相当する距離だけずれている位置GPに置かれているからである。したがって、合成空間位相330Aは、第1の空間位相310A及び第2の空間位相320Aの和であることから、合計誤差成分寄与330Bは、位置Xの各値についてゼロである。
【0025】
電磁誘導式ノギスのスケール及び検出器の様々な要素のデザインは、本願の譲受人に譲渡された米国特許出願番号第14/871386号を通して理解できる。同様のノギス又は市販されている既知の電磁誘導式ノギスのデザインに従って作られるノギスは、
図3Bに示されるような誤差を生じさせうる。3つの検知要素からなる単一のセットを使用するこのようなシステムにおいて、5.4mmのスケール周期Psを使用する3位相測定における典型的な誤差は、約12μmの狭範囲誤差を含む18.3μmのピークトゥピーク値を有しうる。幾つかの実施態様では、3つの検知要素をそれぞれ含む2つのセットを有する検出部220と同様に構成される検出部は、この誤差を、約5μmに狭範囲誤差を低減させ、11.1μmのピークトゥピーク値に低減させうる。幾つかの実施態様では、3つの検知要素をそれぞれ含む4つのセットで構成される検出部は、この誤差を、約1μmに狭範囲誤差を低減させ、6.1μmのピークトゥピーク値に低減させうる。
【0026】
図4は、様々な条件による影響を受ける電子式3位相エンコーダの単一のセットの検知要素からの位置X/Psに応じた検出器信号のグラフを示す。これらのグラフに、これらの条件からもたらされる位置X/Psに応じた一次誤差成分寄与の対応するグラフが並置され、これらのグラフは、Psをスケール周期としたときに、Ps/1000を単位として示される。検出器信号の各グラフは、第1の検知要素セット231といった3位相エンコーダにおける検知要素セットによって測定される3つの位相を示す。誤差成分寄与の各グラフは、(例えば第‘387号特許に開示されるような)逆正接関数を使用して位相測定を計算した後にもたらされる誤差を示す。グラフ401は、オフセット不整合によって影響を受けた検出器信号401A、401B及び401Cを示す。グラフ401’は、オフセット不整合の結果であるスケール周期Psの基本波成分である誤差成分寄与411を示す。グラフ402は、振幅不整合によって影響を受けた検出器信号402A、402B及び402Cを示す。グラフ402’は、振幅不整合の結果であるスケール周期Psの第2高調波である誤差成分寄与412を示す。グラフ403は、位相不整合によって影響を受けた検出器信号403A、403B及び403Cを示す。グラフ403’は、位相不整合の結果であるスケール周期Psの第2高調波である誤差成分寄与413を示す。グラフ404は、検出器信号における第2高調波成分によって影響を受けた検出器信号404A、404B及び404Cを示す。グラフ404’は、検出器信号404A、404B及び404Cにおける第2高調波成分の結果であるスケール周期Psの第3高調波である誤差成分寄与414を示す。グラフ405は、検出器信号における第3高調波成分によって影響を受けた検出器信号405A、405B及び405Cを示す。グラフ405’は、単一の3位相セットの検知要素を使用することによって自然に抑制され、したがって、常にゼロ値を有する誤差成分寄与415を示す。グラフ406は、検出器信号における第4高調波成分によって影響を受けた検出器信号406A、406B及び406Cを示す。グラフ406’は、検出器信号406A、406B及び406Cにおける第4高調波成分の結果であるスケール周期Psの第3高調波である誤差成分寄与416を示す。グラフ407は、検出器信号における第5高調波成分によって影響を受けた検出器信号407A、407B及び407Cを示す。グラフ407’は、検出器信号407A、407B及び407Cにおける第5高調波成分の結果であるスケール周期Psの第6高調波である誤差成分寄与417を示す。グラフ408は、検出器信号における第6高調波成分によって影響を受けた検出器信号408A、408B及び408Cを示す。グラフ408’は、単一の3位相セットの検知要素を使用することによって自然に抑制され、したがって、常にゼロ値を有する誤差成分寄与418を示す。グラフ409は、検出器信号における第7高調波成分によって影響を受けた検出器信号409A、409B及び409Cを示す。グラフ409’は、検出器信号409A、409B及び409Cにおける第7高調波成分の結果であるスケール周期Psの第6高調波である誤差成分寄与419を示す。
【0027】
一実施態様では、互いに対してPs/4に相当する距離だけずらされている2つの検知要素セットを含む検出部(例えば検出部220)は、グラフ402’及び403’に示される振幅及び位相不整合からもたらされる誤差成分寄与412及び413だけでなく、グラフ407’及び409’に示される検出器信号における対応する第5及び第7高調波成分からもたらされる誤差成分寄与417及び419も抑制する。
【0028】
幾つかの実施態様では、本明細書に開示される一般的な原理に従って作られた電子式エンコーダでは、Mは4であってよく、Nは3であってよく、検知要素は更に、第3の検知要素セットと第4の検知要素セットとを含んでよい。第3の検知要素セットは、スケール周期Psの3つの等間隔の位相に配置された3つの検知要素を含んでよく、また、測定軸方向に沿って、第2の検知要素セットに対してK3*Ps+Ps/4(K3は整数)に相当する距離だけずれている位置に置かれてよい。第4の検知要素セットは、スケール周期Psの3つの等間隔の位相に配置された3つの検知要素を含んでよく、また、測定軸方向に沿って、第3の検知要素セットに対してK4*Ps+Ps/4(K4は整数)に相当する距離だけずれている位置に置かれてよい。信号処理部240は、第3の検知要素セットからの第3の検出器信号セットと、第4の検知要素セットからの第4の検出器信号セットとを独立して取得し、第1、第2、第3及び第4の検出器信号セットに基づいて、検出部220とスケールパターン211との相対位置を決定するように構成されてよい。一般に、K2*Ps+Ps/M(K2及びMは整数)だけ互いに離間されているM個の検知要素セットを含む検出部は、N*M高調波以外の誤差成分寄与のすべての高調波を抑制する。N=3を使用する実施態様は、第4及び第8高調波誤差成分寄与を生成しない。したがって、互いから距離Ps/4だけずらされ、3つの検知要素(N=3)をそれぞれ含む第1、第2、第3及び第4の検出要素セット(M=4)を含む実施態様は、検出器信号の第11高調波に対応する第12高調波誤差成分寄与までの誤差成分寄与を抑制しうる。なお、本明細書に開示される原理に従って構成される電子式エンコーダは、既知のエンコーダに対して幾つかの利点を提供する。第‘990号特許に開示されているようなピッチ補正は不要である。振幅不整合、位相不整合、信号ドリフト、第5高調波及び第7高調波からの誤差は抑制される。オフセット不整合誤差は低減される。
【0029】
本明細書に開示される原理に従って構成される電子式エンコーダには幾つかのトレードオフがある。位置測定結果を提供するためには、1つ以上の追加の逆正接計算が必要であり、これはより多くのエネルギーを消費する。1つ以上の追加の送信及び読取サイクルが必要となる場合があり、これもより多くのエネルギーを消費する。第1の検知要素セット、第2の検知要素セット及び任意の追加の検知要素セットを提供するためには、読取ヘッドチップ上に追加の検知要素が必要であり、これはより大きい読取ヘッドが必要となる。
【0030】
なお、本明細書に開示される原理に従って構成される電子式エンコーダは、電磁誘導式又は渦電流式検知に限られない。電子式エンコーダは、光学式又は静電容量式検知といった他の検知原理についても作られてよい。
【0031】
図5は、電子式エンコーダによって測定される測定軸方向に沿った検出部に対するスケールパターンの相対位置測定結果を求める際に、狭範囲誤差を低減させる方法を示すフロー
図500である。
【0032】
ステップ510において、検出部上の第1の位置におけるスケールパターンのスケール周期Psの等間隔の位相に配置されるN個の検知要素を含む第1の検知要素セットを使用して、第1の空間位相を測定するように検出部を動作させる。
【0033】
ステップ520において、第1の位置に対してK2*Ps+Ps/M(K2及びMは整数)だけ、検出部上の測定軸方向に沿ってずれている検出部上の第2の位置におけるスケールパターンのスケール周期Psの等間隔の位相に配置されるN個の検知要素を含む第2の検知要素セットを使用して、第2の空間位相を測定するように検出部を動作させる。
【0034】
ステップ530において、第1及び第2の空間位相の組み合わせに基づいて、測定軸方向に沿ったスケールパターンと検出部との相対位置を決定するように信号処理部を動作させる。
【0035】
幾つかの実施態様では、測定軸方向に沿ったスケールパターンと検出部との相対位置を決定するように信号処理部を動作させることは、第1の空間位相と第2の空間位相とを合計することを含んでよい。
【0036】
上記された様々な実施形態は、更なる実施態様を提供するように、組み合わされてもよい。様々な特許の概念を使用して更に別の実施形態を提供するように、必要に応じて、実施形態の態様が変更されてもよい。
【0037】
上記詳細な説明に照らせば、これらの及び他の変更を実施形態に行うことができる。一般に、次の請求項において使用される用語は、請求項を、本明細書に開示される特定の実施形態に限定すると解釈されるべきではなく、むしろ、当該請求項の等価物の全範囲内のあらゆる可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0038】
100 ノギス
120 スライダアセンブリ
140 ベース
160 ピックオフアセンブリ
170 スケール
200 電子式エンコーダ
210 スケール
220、220’ 検出部
230、230’ 検知要素
241 前置増幅器