(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】回折バイオセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 21/45 20060101AFI20220822BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20220822BHJP
G01N 21/41 20060101ALI20220822BHJP
G01N 21/47 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
G01N21/45 A
G01N33/543 595
G01N21/41 Z
G01N21/47 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018130500
(22)【出願日】2018-07-10
【審査請求日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】10 2017 211 910.1
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・ホルツアップフェル
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・クグラー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・シャーデ
【審査官】今浦 陽恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0080729(US,A1)
【文献】特表2015-536471(JP,A)
【文献】特表2016-524163(JP,A)
【文献】特開平04-152249(JP,A)
【文献】特表昭62-503053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - 21/01
G01N 21/17 - 21/61
G01N 33/543
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(S)および基板(S)上に配置された平らな導波管(W)を含み、入射光(L)を導波管(W)内へ結合する回折格子(G)を含み、導波管を介して光(L)は導波管(W)の端縁(K)の後側に配置された検出領域(D)に導かれ、この場合、結合効率および検出領域(D)内に到達した光(L)の強度は検出されるべき生体分子による回折格子(G)の被覆質量に依存する、生体分子を選択的に検出する回折バイオセンサにおいて、
光(L)は導波管(W)に向く側からバイオセンサ上に入射すること、および導波管(W)と基板(S)との間に鏡層(M)が配置され、鏡層は導波管(W)内に結合されなかった光(L)を回折格子(G)に逆に反射し、
導波管(W)と鏡層(M)との間に間隔層(A)が配置され、その厚さ(d)は、最初に回折格子(G)上に入射した光および鏡層(M)から反射された光(L)が回折格子(G)において構成的に干渉するように選択され、
回折格子(G)は導波管(W)上に周期的に配置された生体分子用受容器(R)を有すること、および回折格子(G)に入射する光(L)は平行にされていることを特徴とする回折バイオセンサ。
【請求項2】
回折格子(G)は線形格子でありかつ平行にされた光が検出領域(D)まで導波管(W)内に伝送されること、および導波管(W)の端縁(K)と検出領域(D)の間の第1レンズ(L1)が光を検出領域(D)に集束させることを特徴とする請求項1に記載の
回折バイオセンサ。
【請求項3】
回折格子(G)が湾曲格子線を有しかつ光(L)が検出領域(D)の方向に集束することを特徴とする請求項1に記載の
回折バイオセンサ。
【請求項4】
検出器(DT)が検出領域(D)内に配置されていること、または光学要素(L2、L3、L4、F)が光Lを検出領域(D)から検出器(DT)に写像することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の
回折バイオセンサ。
【請求項5】
光学要素が光伝導ファイバ(F)であることを特徴とする請求項4に記載の
回折バイオセンサ。
【請求項6】
導波管(W)上に複数の回折格子(Gm.n)が配置され、複数の回折格子は光(L)を空間的におよび/または時間的に分離されて1つ以上の検出領域(D)に導くことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の
回折バイオセンサ。
【請求項7】
回折格子(Gm.n)の1つから導波管(W)内に結合された光(L)は、他の回折格子(Gm.n)を支持する導波管(W)の領域を通過することを特徴とする請求項6に記載の
回折バイオセンサ。
【請求項8】
時間的分離は、1つ以上の開口(NO)を有する回転絞りにより達成され、開口を介して光Lは時間的間隔を有して複数の回折格子(Gm.n)に入射することを特徴とする請求項6または7に記載の
回折バイオセンサ。
【請求項9】
空間的分離は、複数の回折格子(Gm.n)が光Lを異なる方向に相互に分離されて位置する検出領域(D)に導くことにより達成されることを特徴とする請求項6、7または8に記載の
回折バイオセンサ。
【請求項10】
光Lは回折格子(Gm.n)から検出領域(D)または検出器(DT)までの通路上で1つ以上の絞り(B1,B2,B3,B4)内を通過し、絞りは入射する迷光を遮断することを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の
回折バイオセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回折バイオセンサに関する。このようなセンサは、検出されるべき生体分子の導波管への吸着に基づき、この場合、生体分子は光を導波管内に結合またはそれから分離する回折格子を形成する。光検出器の信号は、生体分子によるバイオセンサの被覆質量に対する尺度として利用される。
【背景技術】
【0002】
光学装置から、光を結合または分離する回折格子を有する、基板上に配置された導波管が既知である。このような回折格子は、例えば、基板内または導波管内にエッチングされた構造であり、したがって、それは、基板ないしは導波管の材料から構成される。必要な格子周期は、使用される光の波長および導波管の屈折率に依存する。格子周期は、導波管内の光の有効波長の範囲内の結合角度に依存する。一般的に、それは光の真空波長の約半分の値である。このような微細構造は大きな製造費用を意味する。
【0003】
バイオセンサの領域において、生物学的材料からなりかつ検査されるべき生体分子に対する受容器として働く、光を結合しかつ分離する格子もまた既知である。格子に構築された受容器にこのような生体分子が蓄積した場合、生体分子は光学的に働く格子を形成する。吸着された生体分子を有するかまたはそれを有しないこのような格子に構築された受容器は、以下において、バイオ格子または単に格子と呼ばれる。このような格子の回折効率は生体分子による格子の被覆質量に依存するので、検出器により測定された回折光の強度に依存して被覆質量に関する定量的な値が決定される。
【0004】
WO2015004264A1から、光を導波管内に結合する回折格子に発散光が基板を介して入射する回折バイオセンサが既知である。導波管内を伝搬した光は次に格子に到達し、格子は分離格子として働く。分離された光は基板を介してそれを貫通して検出器上に集束される。検出器内において測定された光強度は、検査されるべき生体分子による分離格子の被覆に対する尺度である。しかしながら、2つのバイオ格子を使用することは、2倍に弱くする結合により、きわめて小さい信号を意味する。
【0005】
WO2013107811A1から、バイオ格子および導波管内にエッチングされた結合格子が使用される回折バイオセンサが既知である。しかしながら、これは、追加のリソグラフィーステップのために、このようなバイオセンサの製造において著しい超過支出を意味する。
【0006】
EP0226604B1の
図2から、基板を通過して入射した光が回折格子を介して導波管内に
結合される回折バイオセンサが既知である。入射光は、導波管内で、導波管の端縁に配置された検出器まで直接伝搬する。ここでは、別個の分離格子は必要ではない。このバイオセンサにおいては、検査されるべき生体分子の定量分析は、回折格子の上方の媒体の屈折率の変化に基づく。この屈折率変化は、生体分子の濃度に比例する、検出器内の光強度の変化を発生する。しかしながら、その回折効率が格子の付近に発生する屈折率変化のみによって影響されるこのような回折格子は、検査されるべき生体分子の蓄積によって回折格子が形成される上記の格子としては適切ではない。この根拠は、ゼロ信号が大きくかつ回折格子の上方のウェブおよび隙間上に生体分子を平らに塗布することが感度を低下させることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO2015004264A1
【文献】WO2013107811A1
【文献】EP0226604B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、コスト的に有利に製造可能であり、しかも検査されるべき生体分子の良好な検出を可能にする回折バイオセンサの最適化設計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1に記載の装置により解決される。この装置の有利な詳細は、請求項1に従属する請求項からもまた得られる。
基板および基板上に配置された平らな導波管を含む、生体分子を選択的に検出する回折バイオセンサが開示される。入射光は回折格子を介して導波管内に結合されかつ導波管の端縁の後方に配置された検出領域に導かれ、この場合、結合効率したがって検出領域内に到達した光の強度は検出されるべき生体分子による回折格子の被覆質量に依存する。格子は導波管上に周期的に配置された生体分子用受容器を有し、かつ回折格子に入射する光は平行にされている。
【0010】
1つの可能性は、回折格子は線形格子でありかつ平行にされた光が検出領域まで導波管内に伝送されること、および導波管の端縁と検出領域の間の第1レンズが光を検出領域に集束させることにある。しかしながら、回折格子が湾曲格子線を有しかつ光が検出領域の方向に集束することが好ましい。
【0011】
本発明は、好ましくは湾曲線を有する回折バイオ格子もまた備え、回折バイオ格子は平行な入射励起光をバイオ選択的に平らな導波管内に結合しかつ同時に導波管の端縁付近または付近内の検出領域に集束させる。直線格子線の場合、端縁における平行な入射光をレンズが集束させなければならない。
【0012】
光検出器により測定された信号は、吸着された生体分子の被覆質量に対する尺度として利用される。このために、適切な基板上に平らな導波管が装着され、その屈折率は基板のそれより大きくなければならない。導波管の表面上において、所定の線に沿った生体分子の吸着により、回折バイオ格子が形成される。バイオセンサを製造するために、検出されるべき生体分子のための適切な受容器もまた、導波管上で格子に構築されて装着されなければならない。
【0013】
湾曲線を有する格子に対して、全ての格子位置から出る部分光線は、焦点において(検出領域においてもまた)構成的に干渉することが成立する。これから、これらの格子線のx、y座標に対して次式が得られる。
【0014】
【0015】
垂直入射(α=0°)に対して、この式は次のように簡略化される。
【0016】
【0017】
ここで、Neffは導波管内において実行されたモードの有効屈折率を、nはそれから光線が入射する媒体の屈折率を、λは真空内における光の波長を、fはx-y平面内における格子の焦点距離を、jは整数のカウント指数を、j0は選択された任意の整数オフセットを、およびαは導波管の平面法線に対して測定された入射光の角度を示し、この場合、入射角は、検出領域から格子の方向に移動する正のx方向において、入射角は正として計算される。
【0018】
格子構造が一群の楕円から構成された一般的な場合、隣接線の垂直間隔Λはほぼ等間隔であり、y=0においては、間隔はΛ=λ/(Neff-n*sin(α))の値であり、y≠0に対しては、湾曲線構造に基づいて垂直間隔は僅かに低減する。α=0°の特定の場合、格子構造は、間隔f内の一点の周りの一群の同心円に簡略化され、隣接線の垂直間隔は、全てのyに対してΛ=λ/Neffと厳密に等間隔である。線のこの等間隔配置は、リソグラフィー製造工程を著しく簡単にするので、特に有利である。バイオ格子の製造は、適切な受容器の層をリソグラフィーで構築することにより行われる。
【0019】
バイオ格子は、コヒーレントな平行励起光(例えばレーザ光)で照射される。平行励起光の使用は、バイオ格子と入射光線の間の角度のみが正確に配向されるだけでよいという利点を有する。これは、発散光を結合するために適切に形成されたバイオ格子の焦点内の発散光源例えばファイバ端部を3つの全ての方向に正確に位置決めするよりは著しく簡単である。さらに、発散入射光の使用は、角度スペクトルに基づき、常に連続的に変化する格子線の線間隔を必要とし、一方、平行光に対しては等間隔格子で十分である。
【0020】
現在では、受容器表面に吸着された生体分子により、励起光の導波管へのバイオ選択的結合が形成され、ここで、結合された信号光は、全反射により案内される。格子線の湾曲により、信号光は、導波管の端縁付近または付近内の検出領域内の一点に集束される。導波管の平面に対して垂直方向の光の拘束は、本質的に、導波管それ自身により与えられる。
【0021】
光を分離するために適切な十分に小さい粗さを有する導波管の端縁は、例えばレーザ切断または鋸引きにより、さらにそれに続く磨きによって形成可能である。
本発明のその他の利点および詳細は、図面により、種々の実施形態の以下の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、斜めの光入射を有する第1実施形態を示す。
【
図2】
図2は、垂直光入射を有する第2実施形態を示す。
【
図3】
図3は、規則的な格子マトリックスおよび時間的多重方式を有する第3実施形態を示す。
【
図4a】
図4aは、マトリックス内のオフセット配置格子を有する第4実施形態を示す。
【
図4b】
図4bは、オフセット焦点を有する規則的格子マトリックスを備えた第4実施形態の代替態様を示す。
【
図5】
図5は、直線格子線を有する格子のマトリックスを備えた第5実施形態を示す。
【
図6】
図6は、検出領域内に検出器を備えた第6実施形態を示す。
【
図7】
図7は、検出器の手前に円筒レンズを備えた第7実施形態を示す。
【
図8】
図8は、検出器の手前に球面または非球面レンズを備えた第8実施形態を示す。
【
図9】
図9は、光伝導ファイバを備えた第9実施形態を示す。
【
図10】
図10は、迷光をフィルタリングする絞りを備えた第10実施形態を示す。
【
図11】
図11は、フーリエ中間平面内に絞りを備えた第11実施形態を示す。
【
図12】
図12は、
結合効率を増大させる鏡層を備えた第12実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、回折バイオセンサの第1実施形態を示す。基板S上において、X-Y平面内に、平らな導波管Wが配置されている。導波管Wの屈折率は基板Sの屈折率より大きくなければならない。基板Sに対する適切な材料は、約1.5の屈折率を有するガラスまたは例えばポリエチレンのようなポリマーである。導波管Wとして、それぞれ2.12、2.04、1.5ないし2.1、2.58ないし2.63の屈折率を有するTa
2O
5、Si
3N
4、SiO
xN
y、TiO
2またはSiCが使用可能である。
【0024】
導波管W上に線形構造の受容器Rからなる格子Gが配置されている。受容器Rは、検出されるべきバイオ分子を吸着し、これにより、光Lを導波管W内に結合する光学的に有効な格子Gを形成するために適切である。格子Gは、上記の定義の意味においてバイオ格子でもある。
【0025】
格子Gは、導波管Wの端縁Kの付近または付近内に位置する検出領域D上に平行入射光Lを集束させる。後にさらに示されるように、光Lは、ここで検出されてもまたは検出器にさらに導かれてもよい。格子Gの焦点距離fは、それが格子Gから検出領域Dまでの距離に対応するように選択されている。
【0026】
この第1実施形態においては、光Lの入射角αは0°(平面入射)より大きく選択されている。これは、受容器Rの隣接線間の間隔がα=0°の場合より大きく、このことがリソグラフィー製造工程を簡単にするという利点を有する。さらに、光Lを導波管W内に結合するための条件は前進方向においてのみ満たされているので、α=0°の場合とは異なり、逆方向における結合は抑制される。
【0027】
図1に比較してそれとは異なる実施形態は0°より小さい入射角(鋭角入射)であり、すなわち、X方向におけるその方向成分が
図1とは逆の入射光線Lを有する。この変化は、確かに、隣接線の間の間隔Λ=λ/(N
eff-n
*sin(α))の低減を前提とするが、入射光は端縁Kに存在する検出領域Dの方向に散乱可能ではないという利点を有する。
【0028】
図2は、ここではα=0°の入射角(垂直入射)が選択された他の実施例を示す。光Lの逆方向の追加の
結合が許容可能な場合、この設計は、格子Gの焦点の周りに厳密に等間隔の円セグメントを有する格子構造が得られるので、特に有利である。所定の露出波長において、等間隔格子に対して、必要な0次のリソグラフィー位相マスクの完全な抑制が可能となるので、リソグラフィーを簡単にし、このことは、隆起と隙間の間のコントラストを最大にする。
【0029】
単一のバイオセンサにより複数のプローブまたは1つ以上のプローブが種々の生体分子上で検査可能にするために、1つのバイオセンサ上で複数の格子Gを使用する実施例がこれに続く。これは、特定の分析業務を加速化可能である。
【0030】
この実施例は、分離端縁Kに平行な相互に並列のm行の格子およびそれに垂直なn列からなる二次元配列を有する多重方式を備え、これは、格子Gが導波管W内において光Lと弱く相互作用するにすぎないことにより可能となる。これにより、格子Gにおいてバイオ選択的に結合された信号光Lは同じ列内のそれに続く格子G内を貫通して伝搬するが、これにより信号光の強度は著しく影響されることはない。生体分子からなる単一層それ自身は(例えば検出されるべき生体分子の一般的な代表としてのTSHに対して)約10-4の回折効率を有するにすぎず、生体分子の実際の回折効率の大きさは、一般的にそれよりさらに低い。
【0031】
多重方式は種々の形で形成可能であり、このことは、そのために、光Lがそこで分離される端縁Kにおいて適切な検出変更態様を必要とする。基本的に、種々の格子Gから発生された信号搬送光Lの端縁Kにおける分離は、3つの異なるタイプで、すなわち、
a)時間的に、すなわち、個々の格子Gの順次照射により、
b)位置空間内において、個々の格子Gの焦点を導波管端縁K上の異なる位置に設定することにより、
c)方向的に、格子Gが得た空間角を、それが他の格子Gとは異なるように形成することにより、かつ当然のことではあるが、これらの3つの可能性の組み合わせにより可能である。
【0032】
図3に示した変更態様a)による第3実施形態は、規則的なラスタ内のm行およびn列内のm×n個の格子Gm.nの配列から構成され、この場合、一列のm個の全ての格子Gm.nは端縁Kにおける同じ点に集束される。順次照射は、例えば、1つの格子Gm.nの大きさの適切なm個の開口NOを有する絞りN(Nipkowディスク)により達成可能であり、順次照射は格子Gm.nを行ごとに照射し、これにより、端縁Kの検出器が種々の格子Gm.nの光Lを順次に受け取る。各時点においてそれぞれ1つに至るまでの全ての格子Gm.nの遮断は、同様に、伝送LCD要素により可能である。時間的多重方式の利点は、他の位置が照射されないので、いま照射された格子Gm.nの信号に導波管W上の他の格子Gm.nまたは被覆されていない位置の迷光が寄与しないことである。さらに、導波管端縁Kの狭い位置に対して1つの検出器が設けられているにすぎないので検出費用が低下し、一方、他の設計は、場合により、全端縁の完全な写像が必要となる。一般的に、測定のための時間消費は、検出されるべき生体分子の堆積の分の時間目盛で行われる反応動特性によりほぼ決定される。
結合された信号を検出するための累積時間はほとんど重要ではないので、種々の格子Gm.nの順次測定に対する時間消費は許容可能である。
【0033】
図4aおよび4bは、変更態様b)により光Lの分割が位置空間内において行われる第4実施形態の変更態様を示す。
図4aのように、個々の行内の格子Gm.nは相互に僅かにオフセットされて配置されているので、光Lは、それぞれ、空間的に分離された検出領域Dに到達する。検出器として、端縁Kに沿って配置された光感知要素の行配列が使用可能である。この実施形態の利点は、格子構造がそれぞれの光学軸の周りに鏡像対称であることであり、このことは、リソグラフィーマスクの最適化のために有利である。
【0034】
これに対して、
図4bに示す変更態様においては、格子Gm.nの変更設計により、それぞれ1つの別の焦点ないしは検出領域Dに向けられ、これらは、特に別の焦点に分離されて位置する。この設計の利点は、格子Gm.nの規則的ラスタが保持されたままでありかつ1つの列の全ての格子Gm.nは基板端縁Kに垂直な線上に位置する。これは、例えば、製造ステップにおいて、品質保証においておよびプローブの適用において、格子Gm.nの位置の特定を容易にする。本来の光軸x=0から離れる個々の格子Gm.nの焦点のオフセットに対しては、格子線を決定する式(上記参照)の僅かな修正が必要であり、これは、元の式と同様に、全ての格子位置から出る部分光線が焦点内において構成的に干渉することの要求から得られる。
【0035】
図4aおよび4bに示した第4実施例の両方の変更態様に対して、1つの行の全ての格子Gm.nは、焦点距離および
結合方向を同じに選択する可能性に基づいて、同じ構造を有してもよく、かつそれぞれの構造が1回のみ存在する同じマスクにより、順次に構築可能であることが適用される。
【0036】
図5は、端縁Kにおける光Lの分離のための可能性の上記の列挙による第3変更態様c)を第5実施例として示す。
変更態様c)による実施形態は格子Gm.nのm×n個の配置であり、この場合、格子は
結合された光をそれぞれ異なる方向に導波管W内に結合するが、位置空間内に集束していない。格子Gm.nの焦点距離が無限に向かって移行するこの特殊な場合は、この結果、特に製造が簡単な線形格子Gm.nとなる。格子Gm.nの格子線は、この実施例に示すように、異なる方向に転向されている。格子Gm.nの各々から平行な光束が、端縁Kの方向に進行する。異なる方向に伝搬する光束が端縁Kの後方に配置されたレンズL1および行検出器DTの配置によってその焦点面(フーリエ面)内に集束することにより、異なる格子Gm.nの光Lは分離されて検出可能である。
【0037】
変更態様b)およびc)は、この場合における二次元の位置-方向-位相空間内におけるそれらのモード容積(“所要面積”)が範囲維持に基づいて常に同じであるので、信号-ノイズ比から基本的に等価であることが示される。このような配置の利点は、時間的多重方式とは異なり、NipkowディスクないしはLCD遮断または類似の装置による個々の格子の所定の照射のための装置が使用されずにすむことである。
【0038】
導波管の端縁Kにおける結合された信号光Lの検出において、写像、センサ形状および光のフィルタリングが異なる形で形成されてもよい。以下に、これに対するいくつかの例が記載される。
【0039】
図6は、検出領域D上のレンズのない写像を示す。この変更態様において、格子Gの焦点距離fは、出てきた光Lが直接端縁上ではなく、その少し後ろの光感知性検出器DT上に集束されるように選択され、検出器は、導波管Wの端縁Kまでのできるだけ小さい間隔s(例えば10と100マイクロメートルの間)内に存在する。この変更態様の利点は、いかなる追加の光学部品も必要とされないので、簡単で、丈夫でかつコスト的に有利な構造にある。この写像の開口数はほぼNA=1の値であるので、さらに、場合により存在する端縁Kの粗さは問題にならない。この実施形態の欠点は、導波管Wから出た光はz方向に発散することであり、このことは、端縁Kと検出器DTの間の(小さく保持されるべき)間隔sを介して、光線拡大に、したがってz方向のノイズの抑制の低下に導くことである。
【0040】
したがって、
図7の実施例において、端縁を検出器上に写像するために円筒レンズL2が挿入され、円筒レンズは、z方向に発散して出てきた光Lを検出器DT上に集束させ、これにより、検出器DT上の光強度を増大させる。ここで、導波管Wの端縁Kと検出器DTの間の間隔sは、(例えばsが4倍の焦点距離に対応するように)z方向に円筒レンズの焦点距離に合わせて選択され、格子Gの焦点距離fは、焦点がy方向においてさらに検出器DT上に位置するように選択される。
【0041】
図8に示した実施形態により、球面または非球面レンズL3が使用される。ここで、格子Gの焦点距離fは、信号光Lが導波管の端縁K上に集束されるように選択される。球面または非球面レンズL3により、端縁Kは検出器DT上に写像される。この実施形態の利点は光Lのフィルタリングである。写像する球面または非球面レンズL3の開口数より大きい角度内の迷光は検出器DT上に発生可能ではない。
【0042】
このような写像化レンズL3と関連して、特に、二次元検出配列を備えた検出器(カメラ)が提供される、下記参照。さらに、同様により詳細に説明されるように、フーリエ中間平面内に絞りを有する写像化光学装置により、信号の方向フィルタリングが簡単に実行可能である。
【0043】
図9に示した他の実施形態において、信号光Lは光伝導ファイバFにより検出器DTに導かれる。ここで、格子Gの焦点距離fは、発生した光Lがy方向に光伝導ファイバの端部上に集束されるように選択され、ファイバは、導波管Wの端縁Kに対してできるだけ小さい間隔s(例えば10と100マイクロメートルの間)内に存在する。この実施形態は、既に説明された
図6のレンズのない実施形態に類似するが、ファイバF内の光伝導は、検出器DTが空間的に基板Sから分離されて存在してもよいという追加の利点を提供し、このことは、バイオセンサの構成部品の柔軟性のある配置を可能にする。端縁Kにおいてz方向に発散して発生する光の欠点を排除するために、この実施形態は、一方で、既に説明した円筒レンズ(
図7)または球面/非球面レンズ(
図8)と組み合わされてもよい。
【0044】
端縁Kに発生した信号光Lの写像化のための
図6-9に示した実施形態は、わかりやすくするために、それぞれ1つの格子Gのみに対して説明されてきたが、m×n個の格子Gm.n(
図3、4a、4b、5)を有する多重方式の場合において、対応する1×n配列(レンズ配列、ファイバ配列、検出器配列)に問題なく拡張可能である。これは、
図6-9に示した写像化可能性が、m個を有するn列の格子Gm.nの各々に対して反復されることを意味する。代替態様として、1つの光学装置のみを用いて全画像領域に対して操作が行われてもよい。使用される光学要素(例えばレンズ、ファイバ、導波管)は、適切なガラスからのみならずプラスチックまたはそれらの組み合わせから構成されてもよい。
【0045】
全ての実施例における検出器DTに対して、センサ形状は、単一画素、一次元画素配列または二次元画素配列として形成されてもよいことが適用される。
単一画素として例えばフォトダイオードにより形成された実施形態は、簡単で、コスト的に有利な検出ユニットを得るために特に有利である。順次照射されかつ全てが同じ焦点を示すm×n配列の格子Gm.nの多重方式に関連した使用もまた1つの検出器画素のみを用いて可能である。
【0046】
第2実施形態は、導波管Wの分離端縁Kに沿って配置された一次元行配列の検出器DTの使用であり、これにより、格子Gm.nのn列の光は空間的に分離された異なる検出器画素に入射する。このとき、n個より多い画素が使用されてもよく、位置的フィルタリングは1つの解析ソフトウェア内で実行可能である。
【0047】
他の可能性は、二次元検出配列の使用に存在する。上記のように、この変更態様は、導波管Wの端縁Kを写像するカメラを保持するので、特に写像化する球面または非球面レンズL3と組み合わせて提供される。このように、発生する信号光Lの焦点を検出可能でありかつ同時にyおよびz方向の迷光背景に関する情報を取得し、したがって、検出器DTにおいて信号を空間的にフィルタリング可能である。
【0048】
上記のように、場合により発生する迷光背景を検出されるべき信号光から分離することは有利である。構築された光検出器(画素配列)は既に本質的に検出器信号の空間的フィルタリングを実行する一方で、迷光を抑制するために信号光Lを追加的にフィルタリングすることは有利である。
【0049】
可能な実施形態は、
図10に示した位置空間内のフィルタリングである。
図10に示した位置に、すなわち、端縁Kと写像化レンズL3の間および/またはレンズL3と検出器DTの間に、きわめて簡単に1つまたは2つの位置空間絞りB2、B3が配置可能である。これにより、検出器DTの開口は、導波管Wの端縁Kのより小さい領域が写像されるようにマスキングされる。
【0050】
バイオセンサ内に組み込まれた絞りB1もまた可能である。このために、追加の、好ましくは吸収する層(例えばクロム)が導波管W上に装着されてもよく、層は、導波管W内の全反射を阻止し、これにより、絞られるべき光は分離されかつ同時に吸収される。ここで、このような絞りB1は、角度スペクトルの一部にも影響を与えるので、もはや純粋な位置空間絞りでないことに注意すべきである。
【0051】
図11は、ここではフーリエ空間内におけるフィルタリングにより迷光を抑制するための他の可能な実施形態を示す。フーリエ中間平面内において絞りB4と共に複数のレンズを有する写像化光学装置L4により、信号光Lの方向フィルタリングが実行可能であることは便利である。
【0052】
これまでに示した実施例に対して、さらに、照射は、図示のように媒体側から(上から)のみでなく基板側から(下から)行われてもよいことを補足しておく。
図12は、格子Gの
結合効率が明らかに改善された他の実施例を示す。このために、適切な透明の間隔層Aにより形成された所定の間隔d内において、導波管Wの光入射とは反対側に装着された平面反射層(鏡層)Mが設けられている。これは、金属の鏡のみでなく、誘電体の鏡M(例えば分布型ブラッグ反射体、略してDBR)であってもよい。鏡Mは、格子G内の1回目に通過した伝搬光を格子に向かって逆に反射させ、これにより、2回目に格子Gと相互作用させる機能を有する。
【0053】
このために、格子Gと鏡Mの間の間隔dは、両方の部分光線の間に構成的干渉が導かれ、このことが、結合効率したがって検出器DT内の信号を4倍に増大させるように選択される。
【符号の説明】
【0054】
A 間隔層
B1、B2、B3、B4 絞り
D 検出領域
DT 検出器
d 厚さ、間隔
F 光学要素
f 焦点距離
G 回折格子、格子
Gm.n 回折格子、格子
K 端縁
L 光
L1、L2、L3、L4 レンズ
M 平面反射層、鏡層、鏡
N 絞り
NO 開口
R 受容器
S 基板
W 導波管
X x座標
Y y座標
Z z座標