IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社明治の特許一覧

特許7126893キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品
<>
  • 特許-キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品 図1
  • 特許-キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品 図2
  • 特許-キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品 図3
  • 特許-キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品 図4
  • 特許-キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品 図5
  • 特許-キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品 図6
  • 特許-キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品 図7
  • 特許-キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品 図8
  • 特許-キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品 図9
  • 特許-キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品 図10
  • 特許-キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/28 20060101AFI20220822BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
B65D51/28 100
B65D81/32 T
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018136202
(22)【出願日】2018-07-19
(65)【公開番号】P2020011760
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006138
【氏名又は名称】株式会社明治
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽生 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】柳 裕介
【審査官】蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-502796(JP,A)
【文献】特開平11-347102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0000898(US,A1)
【文献】特開平09-024088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0120761(US,A1)
【文献】特開2006-124002(JP,A)
【文献】特開2005-280750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/28
B65D 81/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口及び前記第1開口の周りの第2開口を仕切る内壁部と、前記第2開口の外周を囲む外壁部と、前記第1開口に通じる第1収容部と、前記第2開口に通じる第2収容部と、を有する蓋体と、
前記内壁部に脱落自在に固定される第1底蓋と、
前記第1底蓋の周縁部に接触する接触部と、前記外壁部に接触する第2底蓋と、前記第2収容部の内部空間の外側に形成された連通路と、を有し、前記蓋体に連結される固定体と
を備えるキャップ。
【請求項2】
前記キャップは、前記第1開口及び前記第2開口と反対側に天蓋を有し、
前記天蓋に飲み口が設けられている請求項1記載のキャップ。
【請求項3】
容器と、
前記容器に装着された請求項1又は2に記載の前記キャップと
を備えるキャップ付き容器。
【請求項4】
前記容器は、内容器と、前記内容器を収容する外容器と、を有し、
前記第1底蓋を介して前記内容器と前記第1収容部が連通し、前記第2底蓋を介して前記外容器と前記第2収容部が連通した状態で、前記キャップが装着された
請求項3に記載のキャップ付き容器。
【請求項5】
前記第1収容部に収容された第1物質と、
前記第2収容部に収容された第2物質と、
前記内容器に収容された第3物質と、
前記外容器と前記内容器の間に収容された第4物質と
を備える請求項4に記載のキャップ付き容器。
【請求項6】
前記第4物質は、前記第2物質が加わることによって、発熱反応又は吸熱反応をする請求項5に記載のキャップ付き容器。
【請求項7】
容器にねじ止めされた請求項1又は2に記載の前記キャップを、前記容器に対し開方向に回転させ、前記第1収容部に収容された第1物質と前記第2収容部に収容された第2物質とを前記容器内に移す工程を備える物質混合方法。
【請求項8】
前記容器は、第3物質と第4物質とがそれぞれ分離して収容され、
前記第1物質と前記第2物質とを前記容器内に移す工程は、
前記第1物質が前記第3物質に加わり、前記第2物質が前記第4物質に加わる
請求項7に記載の物質混合方法。
【請求項9】
飲食品をキャップ付き容器内に収容してなる容器入り飲食品であって、
前記キャップ付き容器が、
第1開口及び前記第1開口の周りの第2開口を仕切る内壁部と、前記第2開口の外周を囲む外壁部と、前記第1開口に通じる第1収容部と、前記第2開口に通じる第2収容部と、を有する蓋体と、
前記内壁部に脱落自在に固定される第1底蓋と、
前記第1底蓋の周縁部に接触する接触部と、前記外壁部に接触する第2底蓋と、前記第2収容部の内部空間の外側に形成された連通路と、を有し、前記蓋体に連結される固定体と
を備えるキャップと、
前記キャップが装着される容器とを含む、容器入り飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料が充填されたボトルの口部を塞ぐキャップとして、内部に粉末等の物質を収容する収容部を有し、キャップを開ける操作に伴い、収容部が開き、物質をボトル内に放出するタイプのものが開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のキャップは、粉茶などの物質と、ボトルに収容した水とを、ユーザが飲む直前に混合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-88997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のキャップは、収容できる物質が1種類であるため、用途が限られていた。
【0005】
本発明は、2種類の物質を容器に移すことができるキャップ、キャップ付き容器、物質混合方法、及び容器入り飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るキャップは、第1開口及び前記第1開口の周りの第2開口を仕切る内壁部と、前記第2開口の外周を囲む外壁部と、前記第1開口に通じる第1収容部と、前記第2開口に通じる第2収容部と、を有する蓋体と、前記内壁部に脱落自在に固定される第1底蓋と、前記第1底蓋の周縁部に接触する接触部と、前記外壁部に接触する第2底蓋と、前記第2収容部の内部空間の外側に形成された連通路と、を有し、前記蓋体に連結される固定体とを備える。
【0007】
本発明に係るキャップ付き容器は、容器と、前記容器に装着された上記キャップとを備える。
【0008】
本発明に係る物質混合方法は、容器にねじ止めされ、第1物質と第2物質とがそれぞれ分離して収容されたキャップを、前記容器に対し開方向に回転させ、前記第1物質と前記第2物質とを前記容器内に移す工程を備える。
【0009】
本発明に係る容器入り飲食品は、飲食品をキャップ付き容器内に収容してなる容器入り飲食品であって、前記キャップ付き容器が、第1開口及び前記第1開口の周りの第2開口を仕切る内壁部と、前記第2開口の外周を囲む外壁部と、前記第1開口に通じる第1収容部と、前記第2開口に通じる第2収容部と、を有する蓋体と、前記内壁部に脱落自在に固定される第1底蓋と、前記第1底蓋の周縁部に接触する接触部と、前記外壁部に接触する第2底蓋と、前記第2収容部の内部空間の外側に形成された連通路と、を有し、前記蓋体に連結される固定体とを備えるキャップと、前記キャップが装着される容器とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャップが第1収容部と第2収容部にそれぞれ物質を収容することによって、2種類の物質を容器に移すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るキャップ付き容器を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係るキャップ付き容器を示す断面斜視図である。
図3】本実施形態に係る固定体の平面図である。
図4】使用状態を段階的に示す端面図であり、図4Aは蓋体に第2物質を収容した段階、図4Bはキャップに固定体を装着し第1物質を収容した段階、図4Cは蓋体に第1底蓋を装着した段階を示す図である。
図5】使用状態を段階的に示す端面図であり、キャップに内容器を装着した段階を示す図である。
図6】使用状態を段階的に示す端面図であり、キャップに外容器を装着した段階を示す図である。
図7】使用状態を段階的に示す端面図であり、第1物質及び第2物質がキャップから容器へ移る様子を示す図である。
図8】使用状態を段階的に示す端面図であり、蓋体を取り外した状態を示す図である。
図9】使用状態を段階的に示す端面図であり、固定体から取り外した状態の内容器を示す図である。
図10】変形例に係るキャップ付き容器を示す端面図である。
図11】使用状態を示す端面図であり、第1物質及び第2物質がキャップから容器へ移る様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るキャップは、第1開口及び前記第1開口の周りの第2開口を仕切る内壁部と、前記第2開口の外周を囲む外壁部と、前記第1開口に通じる第1収容部と、前記第2開口に通じる第2収容部と、を有する蓋体と、前記内壁部に脱落自在に固定される第1底蓋と、前記第1底蓋の周縁部に接触する接触部と、前記外壁部に接触する第2底蓋と、前記第2収容部の内部空間の外側に形成された連通路と、を有し、前記蓋体に連結される固定体とを備える。
【0013】
キャップは、第1収容部と第2収容部にそれぞれ物質を収容することによって、2種類の物質を容器に移すことができる。上記キャップが適用される容器は、外容器のみの場合と、外容器と当該外容器内に収容された内容器とを有する場合を含む。容器が外容器のみの場合、外容器内に収容された物質と、キャップに収容された2種類の物質を混合することができる。
【0014】
容器が外容器と内容器とを有する場合、外容器に収容された物質とキャップの一方の物質、内容器に収容された物質とキャップの他方の物質を、それぞれ混合することができる。さらに、外容器の物質とキャップの一方の物質との混合物と、内容器の物質とキャップの他方の物質との混合物とを、混合してもよい。
【0015】
物質は、飲食品、加熱剤、冷却剤などであって、液体、固体、及び液体と固体の混合物を含む。「飲食品」とは、飲料、及び、飲料以外の食品を包含する。固体は、水などの溶媒に溶けるものと、溶けないものとを含む。固体は、粉末、錠剤、凍結乾燥によって固めたものなどを含む。物質としては、例えば、水、緑茶、コーヒー、紅茶、濃縮ミネラル、海洋深層水抽出ミネラル、健康食品、シリアル食品、粉ミルク、流動食、薬剤、濃縮果汁、乳製品、アルコール、濃縮野菜、スープ原料、ビタミン類、糖類、薬草類、発酵菌などが挙げられる。外容器に収容される物質には、キャップの一方の物質が加わることによって、発熱反応をする加熱剤又は吸熱反応をする冷却剤を用いてもよい。
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
(全体構成)
図1に示すキャップ付き容器10Aは、キャップ12と、容器14とを備える。キャップ付き容器10Aは、例えば、金属缶や、合成樹脂製容器包装、合成樹脂ラミネート容器包装、又はこれらの組合せ容器包装に適用することができる。金属缶の場合は、キャップ12及び容器14が金属である場合に限らず、開口部分を密閉するため、合成樹脂製のキャップ12を使用してもよい。金属としては、アルミニウムや鋼などを用いることができる。キャップ12に使用する合成樹脂は、ポリエチレン、エチレン・1-アルケン共重合樹脂又はポリエチレンテレフタレートなどを用いることができる。合成樹脂製容器包装は、単層の合成樹脂層からなる容器包装をいう。合成樹脂としては、ポリエチレン、エチレン・1-アルケン共重合樹脂又はポリエチレンテレフタレートなどを用いることができる。合成樹脂ラミネート容器包装は、合成樹脂にアルミニウム箔を貼り合わせた容器包装、これにセロファン若しくは紙を貼り合わせた容器包装、又は複数の合成樹脂層を貼り合わせた多層ラミネート容器包装をいう。合成樹脂ラミネート容器包装にあっては、内容物に直接接触する部分がポリエチレン、エチレン・1-アルケン共重合樹脂又はポリエチレンテレフタレートなどを用いることができる。
【0017】
図2に示すように、キャップ12は、蓋体16と、第1底蓋18と、固定体20Aとを有する。蓋体16は、筒状の内壁部22と、内壁部22と同心円状に配置された筒状の外壁部24とを有する。蓋体16の基端は、天蓋30で塞がれている。天蓋30は円盤状の部材である。内壁部22と外壁部24は、天蓋30を介して一体に形成されている。外壁部24は、基端において天蓋30の外周縁に接続されている。内壁部22は基端において、天蓋30の表面に接続されている。蓋体16は、内壁部22で囲まれた円柱状の第1収容部26と、外壁部24と内壁部22で囲まれた環状の第2収容部28とを有する。外壁部24の先端側の外周面には、雄ねじ32が形成されている。
【0018】
第1収容部26は、内壁部22の先端に設けられた第1底蓋18によって、密閉されている。第1底蓋18は、円盤状の部材であり、一側表面に環状の溝19を有する。当該溝19に内壁部22の先端が嵌め込まれ、第1底蓋18が内壁部22の先端に固定されている。
【0019】
固定体20Aは、接触部34と、第2底蓋36と、連通路38とを有する。第2底蓋36は、環状の板部材であり、内周縁が接触部34である。当該接触部34は、第1底蓋18の一側表面の周縁部に接触する位置に配置される。第2底蓋36の内周縁には、接触部34と逆側に、第1内筒部42が一体に形成されている。
【0020】
第1内筒部42は内面に筒状シール部48を有する。筒状シール部48は、第1内筒部42の半径方向の内側に向かって突出している。当該筒状シール部48は、内壁部22の外周面に接触している。
【0021】
第2底蓋36の一側表面に、外壁部24の先端が接触している。第2底蓋36の他側表面には、第2内筒部43が一体に設けられている。第2内筒部43は、内周面に径小雌ねじ50が形成されている。
【0022】
第2底蓋36には、連通路38が形成されている。連通路38は、外壁部24の先端が第2底蓋36に接触する位置から半径方向の外側となる位置に配置されている。すなわち連通路38は、第2収容部28の内部空間の外側に設けられている。連通路38より内側で外壁部24の先端が第2底蓋36に接触していることによって、第2収容部28が密閉される。
【0023】
第2底蓋36の外周縁は、外筒部40の内周面に接続されている。外筒部40は、基端側の内周面に雌ねじ44、先端側の内周面に径大雌ねじ46が形成されている。雌ねじ44を雄ねじ32にねじ込むことによって、固定体20Aと蓋体16が一体化される。蓋体16は、外筒部40の基端が接触する位置にシール面を有することとしてもよい。
【0024】
容器14は、内容器52と、当該内容器52を収容する外容器54とを有する。内容器52と外容器54の間には、所定の隙間55が形成されている。内容器52及び外容器54は、先端に開口を有する有底筒状の部材である。内容器52は、開口部分に、第1シール面56と、径小雄ねじ58とを有する。第1シール面56は、内容器52の半径方向に平行な環状の面である。内容器52は、径小雄ねじ58を径小雌ねじ50にねじ込むことによって、固定体20Aに装着される。第2内筒部43の先端が第1シール面56に接触する。内容器52は、第1シール面56と筒状シール部48によって、密閉される。
【0025】
外容器54は、開口部分に、第2シール面60と、径大雄ねじ62とを有する。第2シール面60は、外容器54の半径方向に平行な環状の面である。外容器54は、径大雄ねじ62を径大雌ねじ46にねじこむことによって、固定体20Aに装着される。外筒部40の先端が第2シール面60に接触する。
【0026】
図3に示すように、固定体20Aは中央に開口64を有する。第2底蓋36には、連通路38が複数形成されている。本図の場合、連通路38は、第2底蓋36の周方向に所定の間隔をあけて配置されている。
【0027】
(使用方法)
キャップ付き容器10Aに物質を入れる手順について説明する。一例として、第1物質として粉ミルク、第2物質及び第3物質として水、第4物質として加熱剤を適用する場合について説明する。加熱剤は、透水性の袋体に梱包されているのが好ましい。加熱剤は、例えば、粉体アルミニウムと粉体生石灰とからなる。袋体は、水を浸透させる所定の目付量の不織布、和紙、合成紙などで形成することができる。
【0028】
まず図4Aに示すように、蓋体16の天蓋30を下向きとし、上向きとなった第2開口27から第2収容部28へ第2物質66を入れる。次いで、外壁部24の先端が第2底蓋36に接触するまで、雌ねじ44を雄ねじ32にねじ込むことによって、蓋体16に固定体20Aを装着する(図4B)。続いて、上向きの第1開口25から第1収容部26へ第1物質68を入れる。次いで、内壁部22の先端を溝19に嵌め込むことによって、蓋体16に第1底蓋18を装着する(図4C)。以上のようにして、第1物質68及び第2物質66が収容されたキャップ12が得られる。
【0029】
天蓋30を上向きとし、径小雌ねじ50に径小雄ねじ58をねじ込むことによって、予め第3物質70を入れておいた内容器52をキャップ12に装着する(図5)。次いで、径大雌ねじ46に径大雄ねじ62をねじこむことによって、予め第4物質72を入れておいた外容器54をキャップ12に装着する。以上のようにして、第1物質68、第2物質66、第3物質70、第4物質72が、それぞれ分離した状態で収容されたキャップ付き容器10Aが得られる(図6)。言い換えれば、飲食品(第1物質68、第3物質70)がキャップ付き容器10Aに収容された容器入り飲食品が得られる。
【0030】
次にキャップ12に収容された第1物質68及び第2物質66を、容器14内へ移す手順について説明する。まず図7に示すように、蓋体16を開方向に回転する。蓋体16は回転によって軸方向の上向きに移動する。第1底蓋18の一側表面の縁部が接触部34に接触することによって、第1底蓋18が内壁部22の先端から脱落し、内容器52内へ落下する。第1底蓋18と共に、第1収容部26内の第1物質68が内容器52内へ落下する。内容器52内へ落下した第1物質68である粉ミルクは、内容器52に収容された第3物質70である水に混ざる。内容器52内へ落下した第1底蓋18は、キャップ付き容器10Aが振られた場合、撹拌子として機能し、第1物質68と第3物質70をより効率的に混合する。
【0031】
なお、筒状シール部48が内壁部22の外周面に接触している間は、第2収容部28と第1収容部26の間はシールされているので、第2物質66が第1収容部26内から内容器52内へ流入することはない。
【0032】
蓋体16が軸方向の上向きに移動することによって、外壁部24の先端が第2底蓋36から離れ、当該先端と第2底蓋36の表面の間に隙間が形成される。当該隙間から第2収容部28内の第2物質66が流れ出し、連通路38を通じて、外容器54と内容器52の間に流れ込む(図7中、矢印)。外容器54と内容器52の間に流れ込んだ第2物質66は、外容器54に収容された第4物質72に到達する。第2物質66である水は、袋体を浸透して加熱剤に接触する。加熱剤は、水が加わることによって発熱反応をする。発熱反応によって、内容器52内の第1物質68と第3物質70を混合した第1混合物であるミルク71を加熱する。
【0033】
発熱反応が終了した後、蓋体16を固定体20Aから取り外し(図8)、さらに固定体20Aから外容器54、内容器52を取り外す(図9)。以上のようにして、所定の温度に加熱されたミルク71が得られる。内容器52には、飲み口(例えば人工乳首)が設けられた別の蓋体を開口に装着し直してもよい。
【0034】
(作用及び効果)
キャップ12は、第1収容部26と第2収容部28とを有することによって、第1物質68と第2物質66を分離して収容することができる。キャップ12は、蓋体16を開方向に回転させることで、第1底蓋18を内壁部22から脱落させるとともに、外壁部24と第2底蓋36のシールを解除し、第1物質68と第2物質66を容器14内へ移すことができる。すなわちユーザは、蓋体16を開方向に回転させる1回の動作で、第1物質68と第2物質66を容器14内へ移すことができる。本実施形態の場合、第1収容部26が第1底蓋18によって密閉されているので、キャップ12から内容器52へ、第1物質68を外気に曝さずに移すことができる。
【0035】
本実施形態の場合、内容器52と外容器54とを備えることによって、第1収容部26の第1物質68と内容器52内の第3物質70とからなる第1混合物と、第2収容部28の第2物質66と外容器54内の第4物質72とからなる第2混合物とを得ることができる。
【0036】
第4物質72として加熱剤を適用することによって、内容器52内の第2混合物を加熱することができる。したがって第1物質68である粉ミルクを外気に曝さずに第3物質70である水と混合し、さらに所定の温度に加熱できるので、衛生的かつ簡便な手順で所定温度に暖められたミルク71を作ることができる。
【0037】
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
【0038】
上記実施形態では、蓋体16を取り外す場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、天蓋30に飲み口を有する蓋体を用いることで、蓋体及び固定体20Aを容器14に装着したまま使用することができる。この場合、蓋体を覆う外カバーを備えるのが好ましい。
【0039】
上記実施形態では、第4物質72として加熱剤を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、第2物質66と第4物質72とを適宜選択することによって、第2物質66と第4物質72とを混合した食品(第2混合物)を得てもよいし、さらに第1混合物と第2混合物とを合わせた食品(第3混合物)を得てもよい。
【0040】
上記実施形態の場合、第1物質68が内容器52内へ移るタイミングと、第2物質66が外容器54内へ移るタイミングがほぼ同じである場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1物質68より先に第2物質66を外容器54内へ移すこととしてもよい。この場合、第1底蓋18と接触部34の間の距離を長くすることによって、その分、第1物質68が内容器52内へ移るタイミングを第2物質66が外容器54内へ移るタイミングより遅らせることができる。
【0041】
上記実施形態の場合、容器14は内容器52と外容器54とを有する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、図10に示すキャップ付き容器10Bは、内容器52が省略されている。すなわちキャップ付き容器10Bの容器は、外容器54のみである。固定体20Bは、第2内筒部が省略されている。キャップ付き容器10Bは、キャップ12に第1物質68と第2物質66が収容され、外容器54に第3物質70が収容されている。蓋体16は、外筒部40の基端が接触する位置に第3シール面74を有する。第3シール面74は、蓋体16の半径方向に平行な環状の面である。外容器54は、第3シール面74と、第2シール面60とによって密閉される。
【0042】
蓋体16を開方向に回転することによって、第1底蓋18を内壁部22の先端から脱落させる(図11)。第1底蓋18と共に、第1収容部26内の第1物質68が外容器54内へ落下する。同時に、蓋体16が軸方向の上向きに移動することによって、外壁部24の先端と第2底蓋36の表面の隙間から第2収容部28内の第2物質66が流れ出し、連通路38を通じて、容器内に流れ込む(図11中、矢印)。このようにして外容器54内において、第1物質68、第2物質66、及び第3物質70が混ざった食品(第4混合物)を得ることができる。
【0043】
上記実施形態の場合、第1シール面56、第2シール面60、第3シール面74は、半径方向に平行な環状の面である場合について説明したが、本発明はこれに限らず、軸方向に傾斜した環状の面であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
10A、10B キャップ付き容器
12 キャップ
14 容器
16 蓋体
18 第1底蓋
20A、20B 固定体
22 内壁部
24 外壁部
25 第1開口
26 第1収容部
27 第2開口
28 第2収容部
30 天蓋
34 接触部
36 第2底蓋
38 連通路
52 内容器
54 外容器
66 第2物質
68 第1物質
70 第3物質
72 第4物質
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11