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特許7126897サーバ、充電スタンド案内システム、充電スタンド案内方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】サーバ、充電スタンド案内システム、充電スタンド案内方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220822BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20220822BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018142575
(22)【出願日】2018-07-30
(65)【公開番号】P2020021152
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内海 俊洋
【審査官】岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/063967(WO,A1)
【文献】特開2010-175492(JP,A)
【文献】特開2016-217770(JP,A)
【文献】国際公開第2014/027690(WO,A1)
【文献】特開2011-164771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ端末のうち対象ユーザ端末に対応する対象電気自動車が、複数の充電スタンドの中から選択された対象充電スタンドに到達するまでの所要時間を取得する第1取得手段と、
前記対象充電スタンドにおける待ち時間を取得する第2取得手段と、
前記対象電気自動車の充電に要する充電時間を取得する第3取得手段と、
前記所要時間、前記待ち時間、及び前記充電時間を用いて前記対象電気自動車の充電が完了する完了時刻を予測する予測手段と、
前記対象ユーザ端末に前記完了時刻を通知する通知手段と
前記完了時刻の予測精度を判定する判定手段と
有し、
前記通知手段は、前記完了時刻とともに、当該完了時刻の予測精度を示す情報を通知する
サーバ。
【請求項2】
前記判定手段は、過去の所定期間における前記対象充電スタンドの稼働実績を参照して前記予測精度を判定する
請求項に記載のサーバ。
【請求項3】
前記判定手段は、前記対象充電スタンドにおいて充電を行う旨を前記サーバに登録しているユーザの数を参照して前記予測精度を判定する
請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記複数の充電スタンドに関するデータベースを記憶する記憶手段と、
外部装置からの検索要求に応じて前記複数の充電スタンドから当該検索要求に適合する充電スタンドを検索する検索手段と
を有し、
前記判定手段は、前記検索手段における検索履歴を参照して前記予測精度を判定する
請求項乃至のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項5】
前記判定手段は、前記対象充電スタンドの立地条件、近隣の他の充電スタンドの数、天気、季節、時刻、及び曜日のうち少なくとも1つの項目を参照して前記予測精度を判定する
請求項乃至のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項6】
前記複数のユーザ端末の各々から、当該ユーザ端末に対応する電気自動車が、前記複数の充電スタンドの中から選択された充電スタンドにおいて充電を行う旨の登録を管理する管理手段を有し、
前記第2取得手段は、前記登録の状況に応じて計算された前記待ち時間を取得する
請求項1乃至のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項7】
前記管理手段は、所定のイベントを契機として前記登録を解除する
請求項に記載のサーバ。
【請求項8】
前記所定のイベントは、前記対象電気自動車の充電が開始されたというイベントである
請求項に記載のサーバ。
【請求項9】
前記対象ユーザ端末が、前記対象充電スタンドまでの経路を案内する案内手段を有し、
前記所定のイベントは、前記案内手段において前記対象充電スタンドが目的地から解除された旨の通知を前記対象ユーザ端末から受信したというイベントである
請求項に記載のサーバ。
【請求項10】
前記予測手段は、所定のイベントを契機として前記完了時刻を再予測する
請求項1乃至のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項11】
前記所定のイベントは、他の電気自動車が前記対象充電スタンドで充電を開始したというイベントである
請求項10に記載のサーバ。
【請求項12】
前記複数のユーザ端末の各々から、当該ユーザ端末に対応する電気自動車が、前記複数の充電スタンドの中から選択された充電スタンドにおいて充電を行う旨の登録を管理する管理手段を有し、
前記所定のイベントは、2台以上のユーザ端末が前記対象充電スタンドにおいて充電を行う旨の登録をしている場合において、当該2台以上のユーザ端末に対応する電気自動車の当該対象充電スタンドまでの所要時間又は距離の順位が入れ替わったというイベントである
請求項10に記載のサーバ。
【請求項13】
前記複数のユーザ端末の各々から、当該ユーザ端末に対応する電気自動車が、前記複数の充電スタンドの中から選択された充電スタンドにおいて充電を行う旨の登録を管理する管理手段を有し、
2台以上のユーザ端末が前記対象充電スタンドにおいて充電を行う旨の登録をしている場合において前記予測手段が前記完了時刻を再予測したときは、前記通知手段は、当該2台以上のユーザ端末のうち、前記対象充電スタンドまでの所要時間又は距離が近い電気自動車に対応するユーザ端末に対して優先的に、当該再予測された完了時刻を通知する
請求項10又は11に記載のサーバ。
【請求項14】
複数のユーザ端末のうち対象ユーザ端末に対応する対象電気自動車が、複数の充電スタンドの中から選択された対象充電スタンドに到達するまでの所要時間を取得する第1取得手段と、
前記対象充電スタンドにおける待ち時間を取得する第2取得手段と、
前記対象電気自動車の充電に要する充電時間を取得する第3取得手段と、
前記所要時間、前記待ち時間、及び前記充電時間を用いて前記対象電気自動車の充電が完了する完了時刻を予測する予測手段と、
前記対象ユーザ端末に前記完了時刻を通知する通知手段と
前記完了時刻の予測精度を判定する判定手段と
有し、
前記通知手段は、前記完了時刻とともに、当該完了時刻の予測精度を示す情報を通知する
充電スタンド案内システム。
【請求項15】
コンピュータが、
複数のユーザ端末のうち対象ユーザ端末に対応する対象電気自動車が、複数の充電スタンドの中から選択された対象充電スタンドに到達するまでの所要時間を取得するステップと、
前記対象充電スタンドにおける待ち時間を取得するステップと、
前記対象電気自動車の充電に要する充電時間を取得するステップと、
前記所要時間、前記待ち時間、及び前記充電時間を用いて前記対象電気自動車の充電が完了する完了時刻を予測するステップと、
前記対象ユーザ端末に前記完了時刻を通知するステップと
前記完了時刻の予測精度を判定するステップと
実行する充電スタンド案内方法であって、
前記通知するステップにおいて、前記完了時刻とともに、当該完了時刻の予測精度を示す情報を通知する
充電スタンド案内方法。
【請求項16】
コンピュータに、
複数のユーザ端末のうち対象ユーザ端末に対応する対象電気自動車が、複数の充電スタンドの中から選択された対象充電スタンドに到達するまでの所要時間を取得するステップと、
前記対象充電スタンドにおける待ち時間を取得するステップと、
前記対象電気自動車の充電に要する充電時間を取得するステップと、
前記所要時間、前記待ち時間、及び前記充電時間を用いて前記対象電気自動車の充電が完了する完了時刻を予測するステップと、
前記対象ユーザ端末に前記完了時刻を通知するステップと
前記完了時刻の予測精度を判定するステップと
を実行させるためのプログラムであって、
前記通知するステップにおいて、前記完了時刻とともに、当該完了時刻の予測精度を示す情報が通知される
プログラム。
【請求項17】
コンピュータに、
複数のユーザ端末のうち対象ユーザ端末に対応する対象電気自動車が、複数の充電スタンドの中から選択された対象充電スタンドに到達するまでの所要時間を取得する第1取得手段、前記対象充電スタンドにおける待ち時間を取得する第2取得手段、前記対象電気自動車の充電に要する充電時間を取得する第3取得手段、前記所要時間、前記待ち時間、及び前記充電時間を用いて前記対象電気自動車の充電が完了する完了時刻を予測する予測手段、及び前記対象ユーザ端末に前記完了時刻を通知する通知手段、及び前記完了時刻の予測精度を判定する判定手段を有し、前記通知手段が、前記完了時刻とともに、当該完了時刻の予測精度を示す情報を通知するサーバに対し、充電スタンドの情報提供要求を送信するステップと、
前記情報提供要求の応答として、前記対象充電スタンドにおける前記完了時刻を含む通知を受信するステップと、
前記完了時刻を含む情報を表示するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項18】
複数のユーザ端末のうち対象ユーザ端末に対応する対象燃料電池自動車が、複数の水素ステーションの中から選択された対象水素ステーションに到達するまでの所要時間を取得する第1取得手段と、
前記対象水素ステーションにおける待ち時間を取得する第2取得手段と、
前記対象燃料電池自動車の水素の補充に要する補充時間を取得する第3取得手段と、
前記所要時間、前記待ち時間、及び前記補充時間を用いて前記対象燃料電池自動車の補充が完了する完了時刻を予測する予測手段と、
前記対象ユーザ端末に前記完了時刻を通知する通知手段と
前記完了時刻の予測精度を判定する判定手段と
有し、
前記通知手段は、前記完了時刻とともに、当該完了時刻の予測精度を示す情報を通知する
サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電スタンドを案内する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ある充電スタンドで電気自動車を充電しようとした場合に、別の電気自動車が先にその充電スタンドで充電を行っていたときは、その電気自動車の充電が終わるまで待機しなければならない。一般に、電気自動車の充電にはガソリン車の給油と比較して長い時間を要する。充電が終わるまで待機を要することは、特にガソリン車との対比においてユーザに不便性を感じさせる要因となる。
【0003】
充電スタンドでの待機時間を低減するため、特許文献1には、充電スタンドまでの到着予測時刻を考慮して充電スタンドの稼働予測情報を作成する技術が記載されている。また、特許文献2には、特定の充電設備(充電スタンド)の電力需要の予測値を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-225167号公報
【文献】特開2017-112830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザは、早く充電が完了する充電スタンドでの充電を希望する場合がある。しかし、充電スタンドの性能はそれぞれ異なるうえ、その利用状況も刻一刻と変化するという問題があった。
【0006】
これに対し本発明は、予測された充電完了時刻をユーザに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、複数のユーザ端末のうち対象ユーザ端末に対応する対象電気自動車が、複数の充電スタンドの中から選択された対象充電スタンドに到達するまでの所要時間を取得する第1取得手段と、前記対象充電スタンドにおける待ち時間を取得する第2取得手段と、前記対象電気自動車の充電に要する充電時間を取得する第3取得手段と、前記所要時間、前記待ち時間、及び前記充電時間を用いて前記対象電気自動車の充電が完了する完了時刻を予測する予測手段と、前記対象ユーザ端末に前記完了時刻を通知する通知手段とを有するサーバが提供される。
【0008】
また、本開示の一態様によれば、複数のユーザ端末のうち対象ユーザ端末に対応する対象電気自動車が、複数の充電スタンドの中から選択された対象充電スタンドに到達するまでの所要時間を取得する第1取得手段と、前記対象充電スタンドにおける待ち時間を取得する第2取得手段と、前記対象電気自動車の充電に要する充電時間を取得する第3取得手段と、前記所要時間、前記待ち時間、及び前記充電時間を用いて前記対象電気自動車の充電が完了する完了時刻を予測する予測手段と、前記対象ユーザ端末に前記完了時刻を通知する通知手段とを有する充電スタンド案内システムが提供される。
【0009】
さらに、本開示の一態様によれば、複数のユーザ端末のうち対象ユーザ端末に対応する対象電気自動車が、複数の充電スタンドの中から選択された対象充電スタンドに到達するまでの所要時間を取得するステップと、前記対象充電スタンドにおける待ち時間を取得するステップと、前記対象電気自動車の充電に要する充電時間を取得するステップと、前記所要時間、前記待ち時間、及び前記充電時間を用いて前記対象電気自動車の充電が完了する完了時刻を予測するステップと、前記対象ユーザ端末に前記完了時刻を通知するステップとを有する充電スタンド案内方法が提供される。
【0010】
さらに、本開示の一態様によれば、コンピュータに、複数のユーザ端末のうち対象ユーザ端末に対応する対象電気自動車が、複数の充電スタンドの中から選択された対象充電スタンドに到達するまでの所要時間を取得するステップと、前記対象充電スタンドにおける待ち時間を取得するステップと、前記対象電気自動車の充電に要する充電時間を取得するステップと、前記所要時間、前記待ち時間、及び前記充電時間を用いて前記対象電気自動車の充電が完了する完了時刻を予測するステップと、前記対象ユーザ端末に前記完了時刻を通知するステップとを実行させるためのプログラムが提供される。
【0011】
さらに、本開示の一態様によれば、コンピュータに、複数のユーザ端末のうち対象ユーザ端末に対応する対象電気自動車が、複数の充電スタンドの中から選択された対象充電スタンドに到達するまでの所要時間を取得する第1取得手段、前記対象充電スタンドにおける待ち時間を取得する第2取得手段、前記対象電気自動車の充電に要する充電時間を取得する第3取得手段、前記所要時間、前記待ち時間、及び前記充電時間を用いて前記対象電気自動車の充電が完了する完了時刻を予測する予測手段、及び前記対象ユーザ端末に前記完了時刻を通知する通知手段を有するサーバに対し、充電スタンドの情報提供要求を送信するステップと、前記情報提供要求の応答として、前記対象充電スタンドにおける前記完了時刻を含む通知を受信するステップと、前記完了時刻を含む情報を表示するステップとを実行させるためのプログラムが提供される。
【0012】
さらに、本開示の一態様によれば、複数のユーザ端末のうち対象ユーザ端末に対応する対象燃料電池自動車が、複数の水素ステーションの中から選択された対象水素ステーションに到達するまでの所要時間を取得する第1取得手段と、前記対象水素ステーションにおける待ち時間を取得する第2取得手段と、前記対象燃料電池自動車の水素の補充に要する補充時間を取得する第3取得手段と、前記所要時間、前記待ち時間、及び前記補充時間を用いて前記対象燃料電池自動車の補充が完了する完了時刻を予測する予測手段と、前記対象ユーザ端末に前記完了時刻を通知する通知手段とを有するサーバが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、予測された充電完了時刻をユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る充電スタンド案内システムの概要を示す図。
図2】充電スタンド案内システムの機能構成を例示する図。
図3】充電スタンドの機能構成を例示する図。
図4】サーバのハードウェア構成を例示する図。
図5】ユーザ端末のハードウェア構成を例示する図。
図6】充電スタンド案内システムの動作を例示するシーケンスチャート。
図7】スタンドデータベースを例示する図。
図8】稼働実績データベースを例示する図。
図9】充電スタンドの検索結果を示す画面を例示する図。
図10図9の画面における指示待ち時の処理を示すフローチャート。
図11】充電スタンドの詳細情報を表示する処理を示す図。
図12】詳細情報の表示画面を例示する図。
図13】充電スタンドのより詳細な情報を表示する画面を例示する図。
図14】仮予約の処理を例示するシーケンスチャート。
図15】仮予約データベースを例示する図。
図16】仮予約した充電スタンドを示す画面を例示する図。
図17】状況変化を通知する画面を例示する図。
図18】充電スタンドにおける充電の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.構成
図1は、一実施形態に係る充電スタンド案内システム1の概要を示す図である。充電スタンド案内システム1は、サーバ10、ユーザ端末20、電気自動車30、及び充電スタンド40を有する。充電スタンド案内システム1は、電気自動車30のユーザに対し、充電スタンド40に関する情報を提供するシステムである。ここで、ユーザとは、電気自動車30の運転者又は同乗者をいう。電気自動車とは、車体に電気プラグを接続して充電される二次電池をエネルギー源として電動機を回して走る自動車をいう。充電スタンドとは、電気自動車を充電するための充電装置をいう。ネットワークNは、複数の装置間で通信を行うためのネットワークであり、例えばインターネットである。
【0016】
充電スタンド案内システム1は、ユーザ端末20、電気自動車30、及び充電スタンド40をそれぞれ複数、有する。例えば、複数のユーザ端末20の各々を区別するときは、ユーザ端末20[1]、ユーザ端末20[2]、…、というように括弧付きの符号を用いる。電気自動車30及び充電スタンド40についても同様である。
【0017】
ユーザ端末20は、ユーザインターフェースを提供するための端末装置であり、ユーザから指示又は情報の入力を受け付け、サーバ10等の装置から提供された情報を出力する。一例において、ユーザ端末20は、ユーザが所持するスマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末である。あるいは、ユーザ端末20は、カーナビゲーション装置等の車載装置であってもよい。ユーザ端末20は、電気自動車30の運転者又は同乗者により使用されるという意味において、電気自動車30と対応している。電気自動車30[k]と対応するユーザ端末をユーザ端末20[k]と表す。
【0018】
図2は、充電スタンド案内システム1の機能構成を例示する図である。図2では、サーバ10及びユーザ端末20の機能を図示している。充電スタンド案内システム1は、記憶手段11、受信手段12、取得手段13、予測手段14、判定手段15、通知手段16、管理手段17、予測手段81、予測手段82、予測手段83、受け付け手段21、送信手段22、受信手段23、及び案内手段24を有する。この例において、記憶手段11、受信手段12、取得手段13、予測手段14、判定手段15、通知手段16、管理手段17、予測手段81、予測手段82、及び予測手段83はサーバ10に実装される。受け付け手段21、送信手段22、受信手段23、及び案内手段24はユーザ端末20に実装される。
【0019】
まずサーバ10の機能を説明する。記憶手段11は、各種のデータを記憶する。記憶手段11が記憶するデータには、スタンドデータベースが含まれる。スタンドデータベースは、充電スタンド40に関する情報が記録されたデータベースである。充電スタンド40に関する情報には、例えば、所在地(住所又は座標)、名称(「S石油A店」等)、施設種別(ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、高速サービスアリア、ショッピングモール等)、出力性能(20kW等)、料金情報(300円/10分等)、及びプラグ形状(CHAdeMO、200Vコンセント、200V充電ケーブル付き、TeslaSC等)が含まれる。一領域に複数台の充電スタンド40が設置されている場合(例えば1カ所のガソリンスタンドに3台の充電スタンド40が設置されている場合)、充電スタンド案内システム1において、これら3台の充電スタンド40は、それぞれ別個の充電スタンドとして扱われる。
【0020】
受信手段12は、ユーザ端末20から情報を受信する。受信手段12が受信する情報には、サーバ10に対する要求又は指示、若しくは各種のデータが含まれる。取得手段13は、サーバ10内の他の構成要素又は外部装置から各種の情報を取得する。取得手段13は、取得手段131、取得手段132、及び取得手段133を有する。
【0021】
取得手段131(第1取得手段の一例)は、対象となる電気自動車30(以下「対象電気自動車」という)が、対象となる充電スタンド40(以下「対象充電スタンド」という)に到達するまでの所要時間を取得する。対象電気自動車は、複数のユーザ端末20のうち対象となるユーザ端末20(以下「対象ユーザ端末」という)に対応する電気自動車である。具体的には、対象電気自動車は、対象ユーザ端末が携帯端末である場合には対象ユーザ端末を携帯するユーザが乗っている電気自動車30であり、対象ユーザ端末が車載装置である場合には対象ユーザ端末が搭載された電気自動車30である。対象充電スタンドは、複数の充電スタンド40の中から選択された充電スタンド40である。対象充電スタンドの選択はシステムにより自動的に行われてもよいし、ユーザにより行われてもよいが、本実施形態においては、充電スタンド案内システム1が自動的に対象充電スタンドを選択する。この例において、取得手段131は、予測手段81から所要時間を取得する。予測手段81は、対象電気自動車の位置及び対象充電スタンドの位置から所要時間を予測する。一例において、予測手段81は、地図データを記憶しており、与えられた2地点間の経路に沿った所要時間を予測する。所要時間の予測に際し、予測手段81は、道路交通情報(通行止めや渋滞の情報)を参照してもよい。現在時刻に所要時間を加算すると、予測される到着時刻の予測値(以下単に「到着時刻」という)が得られる。
【0022】
取得手段132(第2取得手段の一例)は、対象充電スタンドにおける待ち時間を取得する。待ち時間とは、与えられた基準時(例えば現在時刻)に対象電気自動車が対象充電スタンドに到着したと仮定した場合に、到着してから充電を開始できるようになるまでの時間をいう。対象電気自動車より先に、対象充電スタンドで充電をしている他の電気自動車30があった場合、対象電気自動車は、その電気自動車30の充電が完了するまでは充電を開始することができない。この例において、取得手段132は、予測手段82から待ち時間を取得する。予測手段82は、例えば、対象充電スタンドに対する予約の状況、又は対象充電スタンドにおいて現に待機している電気自動車30の状況を参照して待ち時間を予測する。到着時刻に待ち時間を加算すると、充電開始時刻の予測値(以下単に「充電開始時刻」という)が得られる。
【0023】
ここで、充電の「予約」について説明する。予約とは、充電スタンド案内システム1に対し、対象充電スタンドにおいて充電する予定を登録することをいう。本実施形態において、「予約」は「本予約」と「仮予約」とに細分化される。本予約とは、対象充電スタンドを使用する排他的な権利を確保する(予約者のために充電スタンド40のタイムスロットを確保する)ことをいう。例えば、あるユーザが対象充電スタンドを9時00分から10時00分まで本予約すると、他のユーザは9時00分から10時00分までの間、対象充電スタンドを使用することができない。一方、仮予約とは、充電スタンド案内システム1に対し、特定のタイムスロットを確保すること無しに、対象充電スタンドにおいてこれから充電する意思を登録することをいう。仮予約は、「充電スタンド40において充電を行う旨の登録」の一例である。すなわち、仮予約は、その充電スタンド40で充電する意思の宣言に過ぎない。単に「予約」というときは本予約及び仮予約を包括する概念である。
【0024】
取得手段133(第3取得手段の一例)は、対象電気自動車の充電に要する充電時間を取得する。充電時間とは、対象充電スタンドにおいて対象電気自動車の充電を開始してから所定量(例えば満量)充電するのに要する時間をいう。この例において、取得手段133は、予測手段83から待ち時間を取得する。予測手段83は、例えば、充電スタンド40の出力性能、対象電気自動車の電池残量、充電スタンド40における気温等の状況を参照して充電時間を予測する。
【0025】
予測手段14は、取得手段13により取得された、所要時間、待ち時間、及び充電時間を用いて対象電気自動車の充電が完了する時刻を予測する。以下、特に断らない限り、「充電完了時刻」とは、予測手段14により予測された充電完了時刻(すなわち予測値)をいう。一例において、現在時刻に、所要時間、待ち時間、及び充電時間を加算すると充電完了時刻が得られる。判定手段15は、予測手段14における予測精度を判定する。一般に完了時刻の正確な予測は難しく、計算により得られる充電完了時刻はある不確かさを含んでいる。予測精度は、この不確かさを示す。通知手段16は、予測手段14により得られた充電完了時刻及びその予測精度を対象ユーザ端末に通知する。
【0026】
次にユーザ端末20の機能を説明する。受け付け手段21は、ユーザから指示の入力を受け付ける。受け付け手段21が受け付ける指示には、例えば、充電スタンド40を案内するよう要求する指示が含まれる。送信手段22は、受け付け手段21が受け付けた指示に応じた情報、例えば、充電スタンド40の案内要求をサーバ10に送信する。受信手段23は、サーバ10等の外部装置から各種のデータを受信する。受信手段23が受信するデータには、送信手段22が送信した案内要求に対する応答としての、案内データが含まれる。案内データには、例えば、充電スタンド40を案内するための地図データが含まれる。
【0027】
図3は、充電スタンド40の機能構成を例示する図である。充電スタンド40は、充電手段41、記憶手段42、通信手段43、及び受け付け手段44を有する。充電手段41は、電気自動車30に充電を行う。充電手段41は、例えば、入力された交流電力を直流電力に変換する交直変換部、充電の開始・終了又は異常検出を行う制御部、及び電気自動車30と接続されるコネクタを有する。記憶手段42は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。通信手段43は、サーバ10と通信を行う。通信手段43は、サーバ10に対し、例えば、充電中か空きであるかという充電手段41の使用状況を示す情報を送信する。受け付け手段44は、充電スタンド40のユーザに対しユーザインターフェースを提供する。ユーザは、受け付け手段44を介して、充電の開始又は終了、若しくは料金の授受に関する指示を入力する。図示は省略したが、充電スタンド40は、他の構成要素を制御する制御手段、及び充電スタンド40周辺の状態を検知する検知手段を有してもよい。検知手段は、例えば、充電スタンド40において充電待ちをする電気自動車30を撮影するカメラを含む。また、例えば通信手段43は、サーバ10から充電手段41の予約に関する情報を受信してもよい。この場合、受け付け手段44は、本予約していないユーザからの充電開始の指示は受け付けない等、予約に対応する処理を行う。
【0028】
図4は、サーバ10のハードウェア構成を例示する図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、ストレージ103、及び通信IF(Interface)104を有するコンピュータ装置である。CPU101は、プログラムを実行して各種の演算を行い、サーバ10の他のハードウェア要素を制御する制御装置である。メモリ102は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置である。ストレージ103は、各種のプログラム及びデータを記憶する不揮発性の補助記憶装置である。通信IF104は、所定の通信規格(例えばイーサネット(登録商標))に従って他の装置と通信する通信装置である。
【0029】
この例において、ストレージ103は、コンピュータ装置を充電スタンド案内システム1におけるサーバ10として機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という)を記憶する。CPU101がサーバプログラムを実行することにより、コンピュータ装置に図2の機能が実装される。CPU101がサーバプログラムを実行している状態において、メモリ102及びストレージ103の少なくとも一方が記憶手段11の一例である。通信IF104が受信手段12の一例である。CPU101が取得手段13、予測手段14、判定手段15、通知手段16、管理手段17、予測手段81、予測手段82、及び予測手段83の一例である。
【0030】
図5は、ユーザ端末20のハードウェア構成を例示する図である。ユーザ端末20は、CPU201、メモリ202、ストレージ203、通信IF204、及びタッチスクリーン205を有するコンピュータ装置、例えばスマートフォンである。CPU201は、プログラムを実行して各種の演算を行い、ユーザ端末20の他のハードウェア要素を制御する制御装置である。メモリ202は、CPU201がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置である。ストレージ203は、各種のプログラム及びデータを記憶する不揮発性の補助記憶装置である。通信IF204は、所定の通信規格(例えばLTE(Long Term Evolution)等の移動体通信規格)に従って他の装置と通信する通信装置である。タッチスクリーン205は、ユーザに対し情報を表示し、またユーザから情報の入力を受け付ける入出力装置である。
【0031】
この例において、ストレージ203は、コンピュータ装置を充電スタンド案内システム1におけるユーザ端末20として機能させるためのプログラム(以下「クライアントプログラム」という)を記憶する。CPU201がクライアントプログラムを実行することにより、コンピュータ装置に図2の機能が実装される。CPU201がクライアントプログラムを実行している状態において、タッチスクリーン205が受け付け手段21及び案内手段24の一例である。通信IF204が送信手段22及び受信手段23の一例である。
【0032】
2.動作
2-1.検索及び案内
図6は、充電スタンド案内システム1の動作を例示するシーケンスチャートである。まず、ステップS501において、充電スタンド40は、自身に関する状態を検知する。充電スタンド40に関する状態とは、例えば、その時点においてその充電スタンド40で充電中の電気自動車30の有無、充電中の電気自動車30がある場合には残り充電時間、充電スタンド40において充電待ちをしている電気自動車30の数、及び充電スタンド40における気温のうち少なくとも1種を含む。充電待ちをしている電気自動車30の数は、例えば、充電スタンド40又はその近傍に設置されたカメラにより撮影された画像を解析することにより得られる。一例において、充電スタンド40は撮影した画像を他の装置(例えばサーバ10)に送信し、この他の装置が画像を解析する。ステップS501の処理は所定のイベントを契機として行われる。この所定のイベントは、例えば、前回、状態の検知を行ってから所定の時間が経過した、所定の時刻に達した、又はサーバ10から指示があった、等のイベントである。ステップS502において、充電スタンド40は、検知結果をサーバ10に送信する。ステップS503において、サーバ10は、充電スタンド40から受信した検知結果を、スタンドデータベースに記憶する。各充電スタンド40は、それぞれ独立してステップS501及びS502の処理を繰り返し実行しており、スタンドデータベースには最新の情報が記録される。
【0033】
図7は、スタンドデータベースを例示する図である。この例において、スタンドデータベースは、施設種別、スタンド名、場所、性能、料金、残り充電時間、待ち台数、及び気温の項目を含む。これらの項目は、その値が比較的長期間変更されない項目(「固定項目」という)と、比較的短い周期で更新される項目(「変動項目」という)とを含む。施設種別、スタンド名、場所、性能、及び料金は固定項目である。残り充電時間、待ち台数、及び気温は変動項目である。変動項目は、ステップS501で検知された状態を記録したものである。「施設種別」、「スタンド名」、及び「場所」は、その充電スタンド40の施設種別、名前(識別子)、及び場所を示す。「性能」は、その充電スタンド40の出力性能[kW]を示す。「料金」は、その充電スタンド40における充電料金(例えば[円/kW]又は[円/分])を示す。「残り充電時間」は、その充電スタンド40においてその時点で充電している電気自動車30の残り充電時間[時間]を示す。その充電スタンド40においてその時点で充電している電気自動車30が無ければ残り充電時間は0分である。「待ち台数」はその充電スタンド40において現場で充電待ちしている電気自動車30の台数である。「気温」はその充電スタンド40周辺の気温を示す。
【0034】
再び図6を参照する。ステップS101の前の時点において、ユーザは、ユーザ端末20においてクライアントプログラムを起動している。クライアントプログラムには、あらかじめ、対応する電気自動車30に関する情報(以下「車両情報」という)が登録されている。車両情報には、例えば、車種名、車番(ナンバープレートの番号)、電池容量、充電プラグのプラグ形状が含まれる。以下において、クライアントプログラム等のソフトウェア要素を処理の主体として記載することがあるが、これは、例えば、クライアントプログラム等のソフトウェアを実行しているCPU201等のハードウェア要素が他のハードウェア要素と協働して処理を実行することを意味する。また、以下の説明においては、処理を行うクライアントプログラムを実行しているユーザ端末20に対応する電気自動車30が、そのクライアントプログラムにとっての「対象電気自動車」である。
【0035】
ステップS101において、クライアントプログラムは、ユーザから指示の入力を受け付ける。この指示は、例えば、充電スタンド40の検索指示である。ステップS102において、クライアントプログラムは入力された指示に応じて、充電スタンド40の検索要求をサーバ10に送信する。検索要求は、対象充電スタンドに関する情報の提供を要求する「情報提供要求」の一例である。この検索要求は、例えば、ユーザ端末20の識別情報、対象電気自動車に関する車両情報(例えば車種及び電池残量又は電池容量)、対象電気自動車の位置に関する情報(以下「位置情報」という)、その他検索キーを含む。位置情報は、少なくとも対象電気自動車の現在位置を示す情報を含み、さらに対象電気自動車の目的地を示す情報を含んでもよい。検索キーは、充電スタンド40を絞り込むための情報であり、例えば、施設種別(例えば「コンビニエンスストアのみ」)、充電料金(例えば「200円/10分以下」)、及び位置情報との関係(例えば「現在位置から10分以内」、「目的地まで15分以内」等)に関する条件のうち少なくとも1つを含む。
【0036】
ステップS103において、サーバ10のサーバプログラムは、ユーザ端末20から受信した検索要求に適合する充電スタンド40を、スタンドデータベース内において検索する。検索により特定(選択)された充電スタンド40が対象充電スタンドである。すなわち対象充電スタンドは複数あってもよい。ステップS104において、サーバプログラムは、検索要求に適合する充電スタンド40の情報(充電スタンド情報)をスタンドデータベースから取得する。この際、サーバプログラムは、情報を取得する充電スタンドの数を所定のしきい値以下に絞り込んでもよい。
【0037】
ステップS105において、サーバプログラムは、対象電気自動車が対象充電スタンドに到達するまでの所要時間を取得(計算)する。所要時間の計算に際しては、例えば、対象電気自動車の現在位置から対象充電スタンドまでの道のり及び道路交通情報が考慮される。
【0038】
ステップS106において、サーバプログラムは、対象充電スタンドの稼働実績を取得する。サーバ10の記憶手段11は、充電スタンド40の稼働実績を記録したデータベース(以下「稼働実績データベース」という)を記憶しており、サーバプログラムはこの稼働実績データベースを参照して稼働実績を取得する。
【0039】
図8は、稼働実績データベースを例示する図である。稼働実績データベースは、スタンド名、稼働時間、及び稼働種別の項目を含む。「稼働時間」は1台の電気自動車30に充電を行った時間(開始時刻及び終了時刻)を示す。「稼働種別」は本予約、仮予約、又はビジターの別をいう。「ビジター」とは予約をせずに来訪したユーザであることをいう。例えば、最上行のデータは、予約をしたユーザが、3月30日の9時00分から10時00分まで充電したことを示す。
【0040】
再び図6を参照する。ステップS107において、サーバプログラムは、各対象充電スタンドにおける待ち時間を計算する。待ち時間の計算に際し、サーバプログラムは、対象充電スタンドの稼働実績、対象充電スタンドまでの所要時間、対象充電スタンドにおける待ち台数、対象充電スタンドにおける予約の有無、及び対象充電スタンドの充電料金のうち少なくとも1種を参照してもよい。一例において、対象充電スタンドに対して電気自動車30[1]及び電気自動車30[2]の2台の電気自動車30が仮予約を登録しており、
電気自動車30[1]:到着時刻 9:30 充電時間15分
電気自動車30[2]:到着時刻 9:40 充電時間20分
対象電気自動車: 到着時刻 9:50
であり、対象電気自動車よりも先に2台の電気自動車30が対象充電スタンドに到着することが予測される場合、サーバプログラムは、これら2台の電気自動車30が充電を行うものと仮定し、待ち時間を15分と計算する。別の例において、対象充電スタンドまでの所要時間を考慮すると、対象充電スタンドへの予測到着時刻が10時であった場合において、直近の所定期間(例えば一週間)の午前10時時点における平均の待ち時間が30分であったときには、サーバプログラムは、待ち時間を30分と計算する。なおこれらの計算はあくまで一例であって、サーバプログラムはより多くのパラメータを考慮してもよいし、これらのパラメータを複合的に考慮してもよい。
【0041】
ステップS108において、サーバプログラムは、各対象充電スタンドにおける充電時間を計算する。充電時間の計算に際し、サーバプログラムは、対象充電スタンドの出力性能、対象電気自動車における電池残量、及び気温のうち少なくとも1種を参照してもよい。電池残量及び出力性能から、満充電までの時間を計算することができる。なお、ここで気温を考慮するのは、気温が充電時間に影響するためである。
【0042】
ステップS109において、サーバプログラムは、各対象充電スタンドに対する充電完了時刻を予測する。ここでは、サーバプログラムは、現在時刻に、対象充電スタンドまでの所要時間、対象充電スタンドにおける待ち時間、及び充電時間を加算する。例えば、現在時刻が8時45分、対象充電スタンドまでの所要時間が15分、待ち時間が0分、充電時間が20分の場合、サーバプログラムは、充電完了時刻を9時20分と計算する。サーバプログラムは、全ての対象充電スタンドに対して充電完了時刻を計算する。
【0043】
ステップS110において、サーバプログラムは、充電完了時刻の予測の精度を判定する。この例で、予測精度は、所定のレベル分け(例えば高、中、低の3レベル)のどのレベルであるかで判定される。例えば、予測精度は、対象充電スタンドにおけるビジターユーザの人数に影響される。予約ユーザと比べるとビジターユーザは不確定要素が多いためである。一例において、直近の所定期間(例えば一週間)におけるビジターの数が所定の範囲内に収まっている場合、サーバプログラムは、予測精度を「中」と判定する。ビジターの数がこの所定の範囲を超える(上限よりも多い)場合、サーバプログラムは、予測精度を「低」と判断する。ビジターの数がこの所定の範囲を下回る(下限よりも少ない)場合、サーバプログラムは、予測精度を「高」と判断する。別の例において、直近の所定期間(例えば一週間)における単位期間(例えば1日)当たりビジター数の分散が所定の範囲内に収まっている場合、サーバプログラムは、予測精度を「中」と判定する。ビジター数の分散がこの所定の範囲を超える(上限よりも大きい)場合、サーバプログラムは、予測精度を「低」と判断する。ビジター数の分散がこの所定の範囲を下回る(下限よりも少ない)場合、サーバプログラムは、予測精度を「高」と判断する。あるいは、サーバプログラムは、対象充電スタンドの立地条件、対象充電スタンドの充電料金、近隣の他の充電スタンドの数、天気、季節、時刻、及び曜日のうち少なくとも1つの項目を参照して予測精度を判定してもよい。
【0044】
予測精度の判定において、機械学習又はAI(Artificial Intelligence)の技術が用いられてもよい。例えば、サーバプログラムは、仮予約に関し、予測された充電完了時刻と、実績(実測値)である充電完了時刻との一致度(合致状況)を記録する。例えば、サーバプログラムは、一致度を、予測精度に影響しそうな要素を用いてクラスタリングする。予測精度に影響しそうな要素としては、例えば、検索数、車種、施設種別、エリア、エリア内の充電器の数、料金設定の水準、充電日時、及び気温等がある。サーバプログラムは、これらの要素の中から予測精度に相関関係のある要素を探索する。こうして特定された要素を機械学習等に入力することにより、サーバプログラムはより精度の高い予測結果を得ることができる。予測精度の判定において、サーバプログラムは、予測結果を得るために用いた要素の値から想定される一致度に応じて、予測精度のレベル分け又は数値化を行う。
【0045】
なお、予測精度はレベル分けされたものに限定されず、所定の指標に基づいて数値化されたものであってもよい。例えば、充電完了時刻の予測精度は、所要時間、待ち時間、及び充電時間それぞれの予測精度の影響を受けるため、サーバプログラムは、所定のアルゴリズムに従って所要時間、待ち時間、及び充電時間それぞれについて、数値化された予測精度を計算し、これら3つの予測精度を所定の数式に代入する等の手法により、充電完了時刻の予測精度を計算してもよい。
【0046】
ステップS111において、サーバプログラムは、検索要求(ステップS102)の応答として、対象充電スタンドに関する情報をユーザ端末20に通知する。この情報は、例えば、対象充電スタンドの施設種別、スタンド名、場所、性能、充電料金、及び充電完了時刻を含む。ステップS112において、ユーザ端末20のクライアントプログラムは、充電スタンド40の検索結果を示す画面を表示する。
【0047】
図9は、充電スタンド40の検索結果を示す画面を例示する図である。この例においては、検索結果を示す画面は、地図上に、対象充電スタンド(この例では3カ所)の位置及び関連する情報を表示したものである。対象充電スタンドの位置はドット91(●)で示され、対象充電スタンドに関連する情報は、地図に重ねて表示されるサブウインドウ92により示される。なお、図示される3つのサブウインドウ92を区別するときは、サブウインドウ92[1]、サブウインドウ92[2]のように括弧付きの符号を用いる。他の要素についても同様である。ここで、サブウインドウ92[i]は充電スタンド40[i]に関連する情報を表示するサブウインドウである。
【0048】
サブウインドウ92には、スタンド名、充電完了時刻、充電料金、「詳細」リンク、「ここへ行く」リンク、及びアイコン93が表示される。「詳細」リンクは、その対象充電スタンドの詳細情報を表示する画面へ移行するためのUI(User Interface)オブジェクトである。「ここへ行く」リンクは、その対象充電スタンドでの充電を仮予約するためのUIオブジェクトである。
【0049】
アイコン93は、充電完了時刻の予測精度を示すUIオブジェクトである。この例において、予測精度は、高、中、及び低の3レベルで表され、それぞれ異なる画像が用いられる。アイコン93[1]は高レベルを、アイコン93[3]は中レベルを、アイコン93[2]は低レベルを、それぞれ示す。例えばこの例ではサブウインドウ92[1]により示される、スタンド名「S石油A店」については、充電完了時刻が10:52であり、その予測精度は高レベルである。一方、サブウインドウ92[2]により示される、「CコンビニX店」の充電完了時刻は10:51であり、その予測精度は低レベルである。予測精度はアイコンにより視認性が高く、ユーザは容易にその予測精度を認識することができる。
【0050】
図9の画面において、ベースとなる地図部分は、自機の位置の変化に応じて(すなわち対象電気自動車の走行に応じて)更新される。この処理は、公知のカーナビゲーション装置におけるUIと同様である。図9の画面を表示すると、クライアントプログラムは、ユーザによる指示の入力待ち状態になる。この状態でクライアントプログラムが受け付ける指示には、対象充電スタンドの詳細情報を表示する画面への移行(「詳細」リンクの選択)及び対象充電スタンドでの充電の仮予約(「ここへ行く」リンクの選択)が含まれる。
【0051】
図10は、図9の画面における指示待ち時の処理を示すフローチャートである。ステップS113において、クライアントプログラムは入力待ち状態である。「詳細」リンクが選択された場合(S113:「詳細」)、クライアントプログラムは、処理を図11のフローに移行する。「ここへ行く」リンクが選択された場合(S113:「ここへ行く」)、クライアントプログラムは、処理を図14のフローに移行する。
【0052】
図11は、充電スタンド40の詳細情報を表示する処理を例示するシーケンスチャートである。ステップS201において、クライアントプログラムは、詳細情報を送信する要求(以下「詳細要求」という)をサーバ10に送信する。詳細要求は、例えば、ユーザ端末20の識別情報、詳細情報が要求される充電スタンド40の識別情報、及び対象電気自動車の現在位置を含む。
【0053】
ユーザ端末20から詳細要求を受信すると、サーバ10のサーバプログラムは、スタンドデータベース等から情報を取得し、取得した情報を用いて詳細情報を表示する画面を生成する(ステップS202)。サーバプログラムは、生成された画面のデータをユーザ端末20に送信する(ステップS203)。ユーザ端末20のクライアントプログラムは、受信したデータに従って画面を表示する(ステップS204)。
【0054】
図12は、詳細情報の表示画面を例示する図である。ここでは、詳細情報の表示が要求された充電スタンド40に加え、充電スタンド案内システム1が推薦する2つの充電スタンド40の詳細情報が表示される。この表示画面は、表示領域901、ボタン902、ボタン903、リンク904、ボタン905、ウインドウ906、及びボタン907を有する。表示領域901は、充電スタンド40に関する情報を表示する領域である。ここで表示される情報には、スタンド名、出力性能、施設種別、到着時刻、充電開始時刻、充電完了時刻、及び充電料金が含まれる。なお、ここで表示される到着時刻、充電開始時刻、充電完了時刻、及び充電料金は、サーバ10により得られる予測値である。ボタン902は、充電スタンド40のより詳細な情報を表示するためのUIオブジェクトである。
【0055】
図13は、充電スタンド40のより詳細な情報を表示する画面を例示する図である。ボタン902が選択(タップ又はクリック)されると、図13のウインドウが図12の画面に重ねて表示される。図13のウインドウには、営業時間(利用可能時間)、充電器情報(プラグ形状/出力性能)、料金体系(ビジター/会員別の充電料金)、住所、電話番号、及び備考が含まれる。
【0056】
再び図12を参照する。ボタン903は、その充電スタンド40の仮予約を指示するためのUIオブジェクトである。ボタン903が選択されると、クライアントプログラムは、その充電スタンド40の仮予約の要求(以下「仮予約要求」という)をサーバ10に送信する。仮予約の処理については後述する。リンク904は、その充電スタンド40の口コミ情報を表示するためのUIオブジェクトである。リンク904が選択されると、クライアントプログラムは、サーバ10にその充電スタンド40の口コミ情報の要求(以下「口コミ要求」という)をサーバ10に送信する。なお口コミ情報とは、その充電スタンド40を利用した他のユーザによる評価文(コメント)をいう。ボタン905は、その充電スタンド40の過去の混雑状況を表示するためのUIオブジェクトである。ボタン905が選択されると、クライアントプログラムは、サーバ10にその充電スタンド40の過去の混雑状況を送信する要求(以下「過去情報要求」という)を送信する。ウインドウ906は、充電スタンド40の現在又は直近の様子を示す画像を表示するためのUIオブジェクトである。ボタン907は、その充電スタンド40の周辺施設を表示するためのUIオブジェクトである。ボタン907が選択されると、クライアントプログラムは、サーバ10にその充電スタンド40の周辺施設の情報を送信する要求(以下「周辺情報要求」という)する。
【0057】
リンク904、ボタン905、及びボタン907が選択されたときのサーバ10の詳細な動作については説明を省略するが、サーバ10のサーバプログラムは、要求された情報をデータベース又は他のサーバ装置から取得し、取得した情報を表示するための画面データを生成する。サーバ10は、生成した画面データをユーザ端末20に送信する。
【0058】
2-2.仮予約
図14は、仮予約の処理を例示するシーケンスチャートである。このシーケンスは、図9又は図12において「ここへ行く」リンクが選択されたことを契機として開始される。ステップS301において、クライアントプログラムは、仮予約要求をサーバ10に送信する。仮予約要求は、例えば、ユーザ端末20の識別情報、仮予約する充電スタンド40の識別情報、及び対象電気自動車の現在位置を含む。サーバ10の記憶手段11は仮予約の状況を記録するためのデータベース(以下「仮予約データベース」)を記憶する。ユーザ端末20から仮予約要求を受信すると、サーバ10のサーバプログラムは、仮予約の情報を仮予約データベースに登録する(ステップS302)。
【0059】
図15は、仮予約データベースを例示する図である。仮予約データベースは、スタンド名、ユーザID(IDentification)、予約番号、予測到着時刻、及び所要時間の項目を含む。「ユーザID」は、充電スタンド案内システム1におけるユーザの識別情報である。「予約番号」は、各予約登録を他と区別するための識別情報である。例えば、図15の最上行のデータは、スタンド名「S石油A店」の充電スタンド40に対し、「ID0001」を有するユーザが仮予約を行っており、予測到達時刻が9時00分(所要時間30分)であることを示している。なお、本実施形態における仮予約は充電スタンド40を使用する意思の表明に過ぎないので、あくまで、実際にその充電スタンド40に先に到達したユーザの方が先に充電を行うことができる。図15の例では、ユーザID「ID0001」のユーザの方が先にS石油A店での充電を予約しているが、仮にこのユーザが寄り道等をして、ユーザID[ID0002]のユーザの方が先にS石油A店に着いた場合、先に着いたユーザが先に充電を開始することができる。また、充電スタンド40[i]を仮予約したユーザが、充電スタンド40[i]に行かずに充電スタンド40[j]をさらに仮予約した場合、そのユーザの充電スタンド40[i]に対する予約は取り消されてもよい。
【0060】
再び図14を参照する。ステップS303において、サーバプログラムは、充電完了時刻を再予測する。充電完了時刻の予測には待ち時間が用いられ、待ち時間の予測には予約状況が参照されるので、予約状況が変更されるとそのユーザ又は他のユーザの充電完了時刻に影響が出るはずである。この例において、サーバプログラムは、仮予約を要求したユーザのみについて充電完了時刻を再予測する。
【0061】
ステップS304において、サーバプログラムは、仮予約した充電スタンド40を示す画面を生成する。ステップS305において、サーバプログラムは、生成した画面のデータを、仮予約を要求したユーザ端末20に送信する。ステップS306において、ユーザ端末20のクライアントプログラムは、受信したデータを用いて、仮予約した充電スタンド40を示す画面を表示する。
【0062】
図16は、仮予約した充電スタンド40を示す画面を例示する図である。この例においては、仮予約された充電スタンド40に対応するサブウインドウ92[1]のみが表示され、図9では表示されていた他のサブウインドウは表示されない。サブウインドウ92[1]には、その充電スタンド40が仮予約済であることを示すUIオブジェクト(この例においては「仮予約中」の文字列)が含まれる。
【0063】
再び図6を参照する。サーバプログラムは、所定のタイミングで、その時点でアクティブなユーザについて、ステップS104~S111の処理を繰り返し実行する。所定のタイミングとは、例えば、前回の予測(ステップS109)をしてから所定の時間(例えば10分)が経過したタイミングである。すなわち、各ユーザについて、そのユーザがアクティブである限り、所定の時間毎にステップS104~S111の処理が繰り返し実行される。ここで、アクティブなユーザとは、アクティブ条件を満たすユーザをいう。アクティブ条件は、例えば、以下の(1)~(3)のうち少なくとも1つをいう。
(1)いずれかの充電スタンド40を仮予約中のユーザ。
(2)充電スタンド案内システム1に対する要求(検索要求、詳細要求当等)をサーバ10に送信してから所定の期間が経過していないユーザ。
(3)そのユーザがアクティブであることの通知をユーザ端末20から受信してから所定の期間が経過していないユーザ。
なお、ユーザ端末20は、ユーザの指示に応じて、そのユーザが非アクティブになったことをサーバ10に通知してもよい。この通知を受信すると、サーバ10は、そのユーザが非アクティブになったと判断する。
【0064】
なお、ステップS303又はS109の再予測において、前回予測と大きく異なる結果が得られた場合、すなわち、前回予測時と状況が大きく変化した場合、サーバプログラムは、その旨をユーザ端末20に通知してもよい。
【0065】
図17は、状況変化を通知する画面を例示する図である。図17は、スタンド名「S石油A店」の充電スタンド40[1]が仮予約されている場合において、例えば他の複数のユーザがこの充電スタンド40[1]に仮予約を入れたことにより、充電スタンド40[1]における充電完了時刻が大幅に遅くなった(10:52が12:00になった)例を示している。この例では、サブウインドウ92[1]に「状況変化!」という文字列が追加され、さらに、変更された状況を示す文字列である「12:00」が強調して表示される。表示の強調は、例えば、状況変化以前又は他の文字列と比較して文字の色を変えること、書体を変えること、サイズを変えること、及び時間変化(例えば点滅)を与えることのうち少なくとも1つによって行われる。
【0066】
図17の例では、さらに、代替候補の充電スタンド40[2]の情報が併せて表示される。充電スタンド40[2]に対応するサブウインドウ92[2]には、これが代替候補であることを示す「他の候補」という文字列が含まれる。図17の画面を表示した後の処理は図9を表示した後と同様である。例えば、ユーザがサブウインドウ92[2]の「ここへ行く」を選択すると、充電スタンド40[2]が仮予約される。なおこのとき、充電スタンド40[1]の予約は解除される。
【0067】
なお、本実施形態において充電スタンド40の本予約については詳細な説明をしないが、充電スタンド案内システム1は、充電スタンド40の本予約を受け付けてもよい。本予約が登録された場合、少なくとも本予約が入っている時間帯は他の電気自動車30は充電を行うことができないので、サーバプログラムは、この点を考慮して待ち時間を予測する。さらに、例えば、対象充電スタンドに9:30から本予約が入っている場合、他の電気自動車30が9:15から15分以上の充電を行うことはできないので、サーバプログラムはこの点を考慮して待ち時間を予測してもよい。
【0068】
2-3.充電
図18は、充電スタンド40における充電時のサーバ10における処理を示すフローチャートである。このフローの開始前の時点において、充電スタンド40は、来店したユーザのユーザIDを読み取る。ユーザIDは充電スタンド案内システム1又はその運営事業者により与えられる。ユーザIDは所定の記録媒体に記録される。記録媒体は、例えばカード又はスマートフォンである。記録媒体は、ユーザIDを磁気記録するもの(例えば磁気ストライプを有するプラスチックカード)、ユーザIDをコード化した図形を表示するもの(例えば二次元バーコードが印刷されたプラスチックカード、又は二次元バーコードを表示するスマートフォンのアプリケーション)、メモリーチップにデータとして記録したもの(例えばNFC(Near Field Communication)タグを有するカード又はスマートフォン)等、どのようなものであってもよい。充電スタンド40は、これらのうち少なくとも1つに対応する読み取り手段を有する。充電が開始されると、充電スタンド40は、読み取ったユーザIDをサーバ10に送信する。このとき、充電スタンド40は、自身の状態(ステップS501で検知する状態)を更新してサーバ10に通知してもよい。
【0069】
ステップS401において、サーバ10のサーバプログラムは、充電スタンド40からユーザIDを受信する。ステップS402において、サーバプログラムは、受信したユーザIDが予約者のものであるか判断する。すなわち、サーバプログラムは、ユーザIDと仮予約データベースを照合する。受信したユーザIDが予約者のものであると判断された場合(S402:YES)、サーバプログラムは、処理をステップS403に移行する。読み取ったユーザIDが予約者のものでないと判断された場合(S402:NO)、サーバプログラムは、処理をステップS404に移行する。
【0070】
ステップS403において、サーバプログラムは、仮予約データベース(図においてデータベースを「DB」と表記。以下同様)から対象予約を削除する。すなわち、サーバプログラムは、仮予約どおりに充電スタンド40において充電が開始されたことを契機として、その仮予約を解除する。なお対象予約とは、ステップS401において受信したユーザIDに対応する仮予約のうち未処理のものをいう。
【0071】
ステップS404において、サーバプログラムは、他の予約者の充電完了時刻を再予測する。予約状況及び充電スタンド40の状態は充電完了時刻の予測に影響を与える要因であるので、これらの情報を更新した上で他の予約者の充電完了時刻を再予測することにより、最新の状態を反映した予測を提供することができる。サーバプログラムは、再予測された充電完了時刻を他のユーザに通知する(ステップS405)。
【0072】
ステップS406において、サーバプログラムは、充電が完了したか判断する。充電スタンド40は、充電開始時及び充電完了時に、サーバ10に対しその旨を通知する。サーバプログラムは、この通知に基づいて充電が完了したか判断する。充電が完了したと判断された場合(S406:YES)、サーバプログラムは、処理をステップS407に移行する。充電が完了していないと判断された場合(S406:NO)、サーバプログラムは、充電が完了するまで待機する。
【0073】
ステップS407において、サーバプログラムは、稼働実績データベースを更新する。サーバプログラムは、充電スタンド40から受信した通知に基づいて、スタンド名、稼働時間、及び稼働種別を稼働実績データベースに記録する。なお、稼働時間は充電開始時刻及び充電完了時刻を含むが、ここで記録される充電開始時刻及び充電完了時刻は、いずれも実測値である。
【0074】
本実施形態によれば、充電スタンド40までの所要時間、充電スタンド40における待ち時間、及び充電時間を考慮して予測された充電完了時刻をユーザに対し案内することができる。
【0075】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0076】
対象充電スタンドに関する情報を通知する契機となるイベントは、実施形態において例示されたものに限定されない。例えば、ユーザは、事前に複数の充電スタンド40の中から候補を選択して「お気に入り」としてユーザ端末20又はサーバ10に登録しておく。ユーザが「お気に入り」の充電スタンド40の情報取得を指示すると、ユーザ端末20は、サーバ10に対し対象充電スタンドの情報を取得する要求(以下「取得要求」という)を送信する。サーバ10は、ユーザ端末20から取得要求を受信したことを契機として対象充電スタンドに関する情報を通知する。この例における取得要求は、サーバ10に対する「情報提供要求」の別の例である。なおこの例において対象充電スタンドは充電スタンド案内システム1により自動的に選択されたものではなく、ユーザが選択したものである。
【0077】
充電完了時刻の予測精度の判定に用いられる情報は実施形態において例示されたものに限定されない。例えば、充電スタンド案内システム1がユーザに対し充電スタンド40の検索を行うための検索手段(図示略)を有している場合において、サーバプログラムは、この検索手段における検索履歴を参照して予測精度を判定してもよい。例えば、検索された回数(又は検索でヒットした回数)が多い充電スタンド40は、予約無しのユーザ(ビジター)が充電に訪れる可能性が相対的に高い。したがって、予測精度の判定に際し、検索回数が多い充電スタンド40に対しては予測精度を下げるような計算式又はパラメータが用いられてもよい。
【0078】
仮予約データベースから仮予約の登録を解除する契機となるイベントは、実施形態において例示されたものに限定されない。例えば、サーバプログラムは、ユーザ端末20の案内手段24において、充電スタンド40が目的地から解除されたことを契機として仮予約の登録を解除してもよい。この場合、ユーザ端末20は、充電スタンド40が目的地から解除されたことをサーバ10に通知する。あるいは、ユーザ端末20がスマートフォン又はタブレット端末である場合において、クライアントプログラムの実行が停止されたこと、又はクライアントプログラムの実行がフォアグラウンドからバックグラウンドに移行したことを契機として仮予約の登録が解除されてもよい。これは、例えば、クライアントプログラムがフォアグラウンドで実行されている間は所定の時間間隔でサーバ10に対し(フォアグラウンドであることの)通知を送信することにより実現できる。
【0079】
充電完了時刻を再予想する契機となるイベントは、実施形態において例示されたものに限定されない。例えば、サーバプログラムは、ある充電スタンド40に対し2台以上のユーザ端末20が仮予約をしている場合において、これら2台以上のユーザ端末20に対応する電気自動車30の順位(その充電スタンド40までの所要時間の順位、又は距離の順位)が入れ替わったことを契機として、充電完了時刻を再予想してもよい。仮予約している電気自動車30のうち最初にその充電スタンド40に到着した電気自動車30が先に充電を開始するとの仮定に基づいて待ち時間を予測する場合、複数の電気自動車間の到着時刻が入れ替わると待ち時間が大きく変動する場合があるためである。
【0080】
充電完了時刻の再予想が行われるときに、サーバプログラムは、再予測の対象となる電気自動車30、又はその結果を通知するユーザ端末20を絞り込んでもよい。例えば、ある充電スタンド40に5人のユーザ(5台の電気自動車30)が仮予約をしている場合において、何らかのイベントを契機として充電完了時刻の再予想が行われたときは、サーバプログラムは、これら5台の電気自動車30からこの充電スタンド40までの所要時間(又は距離)に応じて、再予測を行う電気自動車30を絞り込んでもよい。より具体的には、これら5台の電気自動車30のうちこの充電スタンド40までの所要時間が近いものから順に所定数(例えば最も近い1台)の電気自動車30のみについて、再予測を行ってもよい。あるいは、再予測はこれら5台の電気自動車30の全てについて行い、その結果の通知先を、これら5台の電気自動車30からこの充電スタンド40までの所要時間(又は距離)に応じて絞り込んでもよい。具体的には、所要時間の短いものから順に(優先的に)再予測された結果を通知してもよい。
【0081】
実施形態において示したUI画面はあくまで例示であり、これらにおいて用いられるUIオブジェクト及びその組み合わせは実施形態において例示したものに限定されない。例えば図12の画面は、充電スタンド案内システム1が推薦する充電スタンド40に関する情報を含んでいなくてもよい。
【0082】
本開示の技術は、例えば、燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle又はFCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)に水素を補給する施設である水素ステーションを利用する場合にも適用可能である。水素ステーションでは、蓄圧の関係から、水素の補充を開始するまでの待ち時間が掛かる場合がある。しかしながら、本開示の技術によれば、完了時刻の予想に待ち時間も用いるため、燃料電池自動車のユーザは、水素の補充が完了する予測時間を容易に把握することができる。
【0083】
充電スタンド案内システム1における機能とハードウェアとの関係は実施形態において例示したものに限定されない。実施形態においてサーバ10に実装される機能の少なくとも一部を、ユーザ端末20、充電スタンド40、又は他の装置に実装してもよい。また、サーバ10、ユーザ端末20、及び充電スタンド40のハードウェア構成は実施形態において例示されたものに限定されず要求される機能が実装されるのであれば、これらの装置はそれぞれどのようなハードウェア構成を有していてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…充電スタンド案内システム、10…サーバ、11…記憶手段、12…受信手段、13…取得手段、14…予測手段、15…判定手段、16…通知手段、17…管理手段、20…ユーザ端末、21…受け付け手段、22…送信手段、23…受信手段、24…案内手段、30…電気自動車、40…充電スタンド、41…充電手段、42…記憶手段、43…通信手段、44…受け付け手段、81…予測手段、82…予測手段、83…予測手段、91…ドット、92…サブウインドウ、93…アイコン、101…CPU、102…メモリ、103…ストレージ、104…通信IF、131…取得手段、132…取得手段、133…取得手段、201…CPU、202…メモリ、203…ストレージ、204…通信IF、205…タッチスクリーン、901…表示領域、902…ボタン、903…ボタン、904…リンク、905…ボタン、906…ウインドウ、907…ボタン
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