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特許7126973タングステン含有金属およびTiN含有材料の両方に好適なエッチング溶液
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】タングステン含有金属およびTiN含有材料の両方に好適なエッチング溶液
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20220822BHJP
   C23F 1/26 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
H01L21/306 F
C23F1/26
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019049324
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2019165225
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2019-05-23
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】62/644,131
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/655,856
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/297,957
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】コー ツー クイ
(72)【発明者】
【氏名】リ イー-チア
(72)【発明者】
【氏名】リウ ウェン ダー
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】河本 充雄
【審判官】棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/306-21/3063
H01L21/308
H01L21/465-21/467
C23F 1/00- 4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステン含有金属およびTiN含有材料の両方に好適なエッチング溶液であって、
水、
リン酸および硝酸を含む2種もしくは3種以上の酸化剤、前記2種もしくは3種以上の酸化剤の合計量は、前記エッチング溶液の0.5~70質量%である、および
前記エッチング溶液の0.01~20質量%の、フッ化アンモニウム、第四級アンモニウムフルオリド、HF、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロケイ酸、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩(TBA-BF)、HPF、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、およびそれらの混合物から選択された1種もしくは2種以上のフッ素含有エッチング化合物、ならびに、
以下の成分、
前記エッチング溶液の0.00001~70質量%の、アルコール、グリコールエーテル、ジオール、グリセロール、スルホキシド、アミド、酸、エステル、ケトン、エーテル、スルホラン、およびそれらの混合物から選択された1種もしくは2種以上の有機溶媒、
前記エッチング溶液の0.00001~10質量%の、1種もしくは2種以上のキレート化剤、
前記エッチング溶液の0.000001~5質量%の、芳香族ヒドロキシル化合物、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するフェノール誘導体、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物およびそれらの無水物、トリアゾール化合物、D-フルクトース、L-アスコルビン酸、バニリン、サリチル酸、ジエチルヒドロキシルアミン、アミン、アルカノ―ルアミン、ヘテロ環式アミン、ポリ(エチレンイミン)、モルホリン、ピペラジン、およびそれらの混合物から選択された1種もしくは2種以上の腐食防止剤、および、
前記エッチング溶液の5質量%以下の、1種もしくは2種以上の界面活性剤、から選択された1種もしくは2種以上の成分、
を含み、前記エッチング溶液は、(i)金属含有化合物、および(ii)有機酸のアンモニウム塩を含まない、エッチング溶液。
【請求項2】
記酸化剤が、前記リン酸および硝酸、ならびに過酸化水素(H ;KHSO、KHSOおよびKSOを含むモノ過硫酸塩化合物;過ヨウ素酸、ヨウ素酸、アンモニウム多原子塩、ナトリウム多原子塩、カリウム多原子塩、過硫酸カリウム(K)、次亜塩素酸カリウム(KClO)、テトラメチルアンモニウム多原子塩、テトラブチルアンモニウム多原子塩、ペルオキソモノ硫酸、尿素過酸化水素((CO(NH)H、過酢酸(CH(CO)OOH)、1,4-ベンゾキノン、トルキノン、ジメチル-1,4-ベンゾキノン、クロラニル、アロキサン、N-メチルモルホリン N-オキシド、トリメチルアミン N-オキシド、およびそれらの混合物から選択される1種もしくは2種以上の更なる酸化剤を含む、請求項1記載のエッチング溶液。
【請求項3】
記酸化剤が、前記リン酸および硝酸に、更に、過酸化水素(Hを含む、請求項1記載のエッチング溶液。
【請求項4】
前記1種もしくは2種以上のフッ素含有エッチング化合物が、第四級アンモニウムフルオリドおよびHF、およびそれらの混合物から選択される、請求項1記載のエッチング溶液。
【請求項5】
前記1種もしくは2種以上の有機溶媒を含む、請求項1記載のエッチング溶液。
【請求項6】
前記1種もしくは2種以上の有機溶媒が、アルコール、グリコールエーテル、ジオール、グリセロール、スルホキシド、アミド、酸、エステル、ケトン、エーテル、およびそれらの混合物から選択される、請求項5記載のエッチング溶液。
【請求項7】
前記1種もしくは2種以上の有機溶媒が、DMSO、ピリジン、リン酸トリエチル、DMAC、NMP、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1-ブチル-2-ピロリジノン、メタンスルホン酸、プロピオン酸、乳酸、酢酸、2-(1-メトキシ)プロピルアセテート、プロピレンカーボネート、シクロペンタノン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル、スルホラン、およびそれらの混合物から選択される、請求項5記載のエッチング溶液。
【請求項8】
前記1種もしくは2種以上の腐食防止剤を含む、請求項1記載のエッチング溶液。
【請求項9】
前記1種もしくは2種以上の腐食防止剤が、芳香族ヒドロキシル化合物、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するフェノール誘導体、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物およびそれらの無水物、トリアゾール化合物、D-フルクトース、L-アスコルビン酸、バニリン、サリチル酸、ジエチルヒドロキシルアミン、アミン、アルカノールアミン、複素環式アミン、ポリエチレンイミン、モルホリン、ピペラジン、およびそれらの混合物から選択される、請求項8記載のエッチング溶液。
【請求項10】
前記1種もしくは2種以上の界面活性剤を含む、請求項1記載のエッチング溶液。
【請求項11】
前記1種もしくは2種以上の界面活性剤が、1種もしくは2種以上のフルオロ界面活性剤を含む、請求項10記載のエッチング溶液。
【請求項12】
前記1種もしくは2種以上のキレート化剤を含む、請求項1記載のエッチング溶液。
【請求項13】
前記1種もしくは2種以上のキレート化剤が、(エチレンジニトリロ)四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、(1,2-シクロヘキシレンジニトリロ-)四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’-エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸(DHPTA)、メチルイミノ二酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸(nitrolotriacetic acid)(NTA)、クエン酸、タンニン酸、酒石酸、グルコン酸、サッカリン酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、サリチル酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、8-ヒドロキシキノリン、およびシステイン、およびそれらの混合物から選択される、請求項12記載のエッチング溶液。
【請求項14】
前記溶液が、TiN含有材料およびタングステン含有材料を、1~400Å/分のエッチング速度で、室温でエッチングすることができる、請求項1記載のエッチング溶液。
【請求項15】
TiN含有材料およびタングステン含有材料の少なくとも一方を含むマイクロエレクトロニクス装置から、TiN含有材料またはタングステン含有金属またはそれらの両方を、該マイクロエレクトロニクス装置の製造の間にエッチングするための方法であって、以下の、
該マイクロエレクトロニクス装置を、水性の、請求項1記載のエッチング溶液と、該装置から、該TiN含有材料および該タングステン含有金属を、1~400Å/分の速度で、室温において、少なくとも部分的に除去するのに十分な時間に亘って接触させる工程、を含んでなる方法。
【請求項16】
前記水性のエッチング溶液が、前記1種もしくは2種以上の腐食防止剤を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記水性のエッチング溶液が、前記1種もしくは2種以上の界面活性剤を含む、請求項15記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年3月16日出願の米国特許仮出願第62/644,131号および2018年4月11日出願の米国特許仮出願第62/655,856号に対して、合衆国法典第35巻第119条e項に基づく優先権を主張するものであり、その全体を引用することによって本明細書の内容とする。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置としては、揮発性記憶装置、例えば動的ランダムアクセスメモリ(「DRAM」)もしくは静的ランダムアクセスメモリ(「SRAM」)装置、非揮発性記憶装置、例えば抵抗変化ランダムアクセスメモリ(「ReRAM」)、電気的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(「EEPROM」)、フラッシュメモリ(これはまた、EEPROMの部分集合とも考えられる)、強誘電体ランダムアクセスメモリ(「FRAM」)、および磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(「MRAM」)、および情報を記憶することができる他の半導体素子が挙げられる。それぞれの種類の記憶装置は、異なる構成を有することができる。例えば、フラッシュメモリ装置は、NANDまたはNOR型で構成されていることができる。
【0003】
半導体記憶装置の製造は、誘電体の層の中に所望のパターンの導電性経路を形成するために、材料の複数の層の堆積およびエッチングを含んでいる。異方性のエッチング(すなわち、選択された方向への支配的なエッチング)は、半導体基材上に窪んだフィーチャを形成するための貴重な道具である。異方性エッチングの典型的な例においては、材料は、水平のエッチングなしに、垂直な方向にエッチングされる。例えば、材料は、凹部を作られたフィーチャの底面から除去されることができ、一方で、凹部を作られたフィーチャの幅は保持される。
【0004】
タングステンおよびタングステン含有材料が、導電層として、より最近では動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)および3D NAND製造におけるハードマスクとしての両方で、IC製造において、多くの用途を見出す材料として出現している。タングステン堆積のために用いることができる種々の方法、例えば化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、および物理的気相堆積(PVD)が存在する一方で、タングステンエッチングの方法は、なお限定されている。タングステン含有材料のエッチングは、しばしば他の露出した材料、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、およびそれらの組合せに対して選択的に行われる必要がある。
【0005】
慣用の垂直NANDストリングは、高アスペクト比のピラー(トレンチ)エッチングを停止させるために、酸化アルミニウム(AL酸化物)のエッチング停止層を用いている。酸化アルミニウムエッチング停止層は、十分なエッチング選択性を有していないので、エッチングの停止を制御することを可能にするためには、比較的に厚い酸化アルミニウムの層が必要とされる。比較的に厚い酸化アルミニウムの層は、選択ゲート(SG)とNANDストリングの第1のワード線(WL)との間に不必要により長い経路距離を引き起こし、それによってNANDストリング経路の全部の長さを十分に利用しきれない。
【0006】
3D NAND記憶装置の製造の間で、ワード線(WL)絶縁のためのタングステン(W)リセスは、主要なプロセス工程の1つである。典型的には、高k/金属ゲートが、タングステン制御ゲートの接続のために用いられる。リセスプロセスにおいて、TiNおよびWは、等しい厚さで同時にエッチングされなければならない。AlOxは、損傷されてはならない保護層である。層の数が増加すると、乾式エッチング法によってWおよびTiNの底面層を完全にエッチングすることは、上層からの乾式エッチング副生品がトレンチ中に留まり、底面層のエッチングを制限するので、困難である。従って、湿式エッチング法が、Wリセスのための代替策として提案されている。
【0007】
慣用の湿式エッチング法は、技術的な難題を有している。典型的な湿式エッチング化学薬品は、AlOxを容易にエッチングし、そしてAlOx層のチャンネルの側壁に凹部をもたらし、それが、望ましくない浮遊ゲートを形成し、そしてNANDストリングのオン電流低下をもたらす。更に、慣用の湿式のエッチング液は、低いTiNまたはWエッチング速度を示し、それが極度に長いプロセス時間(1時間超)をもたらす。長いプロセス時間は、湿式のエッチング液は、バッチ式の用具で適用され、そして枚葉ウエハ用具(SWT)のその工程での使用を実行できなくさせることを意味する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに記載されているのは、タングステン含有および窒化チタン含有材料のためのエッチング溶液である。より具体的には、ここに記載されているのは、タングステン含有および窒化チタン含有材料の、他の金属および/またはマイクロエレクトロニクス装置の製造の間の材料に対する選択的なエッチング特性を備えたエッチング溶液である。
【0009】
ここに記載されているのは、タングステン(W)含有金属および窒化チタン(TiN)含有材料の両方に好適なエッチング溶液であり、それは、水、1種もしくは2種以上の酸化剤、ならびに1種もしくは2種以上のフッ素含有エッチング化合物、1種もしくは2種以上の有機溶媒、1種もしくは2種以上のキレート化剤、1種もしくは2種以上の腐食防止剤、および1種もしくは2種以上の界面活性剤からなる群から選択された1種または2種以上の成分、を含む、から本質的になる、または、からなる。幾つかの態様では、タングステン(W)含有金属および窒化チタン(TiN)含有材料の両方に好適なエッチング溶液は、水、1種もしくは2種以上の酸化剤、ならびに種もしくは2種以上のフッ素含有エッチング化合物、1種もしくは2種以上の有機溶媒、1種もしくは2種以上のキレート化剤、1種もしくは2種以上の腐食防止剤、および1種もしくは2種以上の界面活性剤からなる群から選択された1種または2種以上の成分、を含む、から本質的になる、または、からなる。幾つかの態様では、タングステン(W)含有金属および窒化チタン(TiN)含有材料の両方に好適なエッチング溶液は、水、1種もしくは2種以上の酸化剤、1種もしくは2種以上のフッ素含有エッチング化合物、ならびに随意選択的に以下の、1種もしくは2種以上の腐食防止剤、1種もしくは2種以上の有機溶媒、1種もしくは2種以上のキレート化剤、および1種もしくは2種以上の界面活性剤の1種または2種以上、を含む、から本質的になる、または、からなる。幾つかの場合には、タングステン(W)含有金属および窒化チタン(TiN)含有材料の両方に好適なエッチング溶液は、水、1種もしくは2種以上の酸化剤、1種もしくは2種以上のフッ素含有エッチング化合物、1種もしくは2種以上の腐食防止剤、ならびに随意選択的に以下の、1種もしくは2種以上の有機溶媒、1種もしくは2種以上のキレート化剤、および1種もしくは2種以上の界面活性剤の1種または2種以上、を含む、から本質的になる、または、からなる。幾つかの態様では、タングステン(W)含有金属および窒化チタン(TiN)含有材料の両方に好適なエッチング溶液は、水、1種もしくは2種以上の酸化剤、1種もしくは2種以上のフッ素含有エッチング化合物、1種もしくは2種以上の腐食防止剤、および1種もしくは2種以上の溶媒、ならびに随意選択的に1種もしくは2種以上のキレート化剤および随意選択的に1種もしくは2種以上の界面活性剤、を含む、から本質的になる、または、からなる。幾つかの態様では、タングステン(W)含有金属および窒化チタン(TiN)含有材料の両方に好適なエッチング溶液は、水、1種もしくは2種以上の酸化剤、1種もしくは2種以上の有機溶媒、1種もしくは2種以上の界面活性剤、ならびに随意選択的に、以下の、1種もしくは2種以上のフッ素含有エッチング化合物、1種もしくは2種以上の腐食防止剤、および1種もしくは2種以上のキレート化剤の1種または2種以上、を含む、から本質的になる、または、からなる。これらのエッチング溶液のいずれかは、2種もしくは3種以上の酸化剤を更に含むことができる。これらのエッチング溶液のいずれかは、1種もしくは2種以上の、有機酸のアンモニウム塩を更に含むことができる。幾つかの態様では、これらのエッチング溶液は、2種もしくは3種以上の腐食防止剤を更に含むことができる。この組成物は、7未満の、または5未満の、または3未満のpHを有していることができる。この組成物のpHを制御することは、TiNおよび/またはWおよび/またはAlOxの選択制を向上させる。
【0010】
幾つかの態様では、湿式のエッチング液は、所望のTiNおよびWエッチング速度を提供し、そのことは、1:10~10:1、または1:8~8:1、または1:5~5:1、または1:3~3:1、または1:2~2:1、または1.5:1~1.5:1の範囲内のTiN:W選択性を意味することができる。試験ウエハのそれらの比の範囲内のエッチング速度が、多くのパターン化されたウエハ(マイクロエレクトロニクス装置)に対して良好な結果をもたらすことが確認された。1つの態様では、湿式のエッチング液は、ほとんど等しいTiNおよびWエッチング速度を与え、そのことは、TiN/W選択性が1に近いことを意味している。幾つかの態様では、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム含有材料、例えば酸化アルミニウム(AlOx)は、トランジスタの保護層およびプラグの遮蔽層として用いられ、それで、エッチング液組成物は、更に特定の金属酸化物、例えばAlOx含有材料と適合できる可能性がある。慣用の湿式のエッチング液は、低いTiNおよびWエッチング速度を与え、長い処理時間を必要とする。幾つかの態様では、本発明のエッチング液組成物は、より速い除去速度(より高い除去速度)、そしてそれによってより短い処理時間を与える。より速い処理速度は、枚葉ウエハ用具を用いることを可能にさせ、その代わりにバッチ式の用具の使用を要求する可能性があるより長い処理速度と比較される。しかしながら、他の態様では、バッチ式の用具が用いられ、そしてより遅い除去速度が与えられる。
【0011】
幾つかの態様では、Wおよび/またはTiNエッチング速度は、エッチング液配合または処理条件またはその両方を変更することによって、調整されることができる。例えば、本発明のエッチング液組成物は、約10Å/分~約400Å/分以上、または約15Å/分~約400Å/分以上、または50Å/分~約75Å/分以上、または約150Å/分~約200Å/分以上、または約300Å/分~約400Å/分以上、または約2~約20Å/分の範囲のWおよび/またはTiN除去速度を提供することができる。更には、TiNのWに対する選択性は、1に近いことができ、それは1±80%、または1±50%、1±25%、または1±10%である。そのような高いTiNおよびWエッチング速度で、(重ねて)本発明の湿式のエッチング化学薬品は、枚葉ウエハ用具またはバッチ式用具で処理することを可能にする。
【0012】
本発明の幾つかのエッチング液配合物では、Wエッチング速度は、好ましくはTiNエッチング速度よりも大きい。本発明の他のエッチング液配合物では、TiNエッチング速度は、Wエッチング速度よりも大きい。
【0013】
更には、幾つかの態様では、本発明のエッチング液は、AlOx含有材料に適合でき、すなわち、それらは低いAlOxエッチング速度、例えば50Å/分未満、または40Å/分未満、または30Å/分未満、または20Å/分未満、または15Å/分未満、または10Å/分未満、または7Å/分未満、または5Å/分未満、または3Å/分未満、または1Å/分未満、を与える。幾つかの態様では、W含有金属および/またはTiN含有材料のエッチング速度は、AlOxのエッチング速度よりも、少なくとも10倍、または少なくとも15倍、または少なくとも20倍大きい。
【0014】
更に、湿式エッチングの化学薬品は、枚葉ウエハ(SWT)およびバッチ式の用具に用いられる構成材料のほとんどと適合できる。前述したように、それらはWワード線リセスプロセス工程のためのSWTまたはバッチ式用具に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで引用された全ての参照文献、例えば刊行物、特許出願、および特許は、それぞれの参照文献が個々に、そして特別に参照して本明細書の内容とし、そしてその全体が説明されるのと同じ程度までここに参照することによって本明細書の内容とする。
【0016】
本発明を説明する文脈における用語「a」および「an」および「the」および同様の指示語(特には、添付の特許請求の範囲の文脈において)は、ここで特に断りのない限り、または文脈から明らかに否定されない限り、単数と複数の両方を包含すると解釈されなければならない。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含む(containing)」は、特に断りのない限り、開放型の用語として解釈されなければならない(すなわち、「含む」が、しかしながらそれらに限定するものではない)が、しかしながら、部分的に閉鎖型または閉鎖型の用語「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」をも含んでいる。ここでの値の範囲の記載は、ここで特に断りのない限り、単に、その範囲内に入るそれぞれの別個の値を個々に表す簡略な方法として供することが意図されており、そしてそれぞれの別個の値は、それが個々にここに記載されているかのように本明細書中に組み込まれており、そしてここに報告されたいずれかの値は、いずれかの組み合わせで、それがそのために記載された態様の範囲の開始および終わりとして用いられることができる。ここに記載された全ての方法は、特に断りのない限り、または文脈から明確に否定されない限り、いずれかの好適な順序で行うことができる。いずれかの、そして全ての例の使用、またはここで与えられる例示的な用語(例えば、「例えば(such as)」)は、単に本発明をよりよく浮かび上がらせることが意図されており、そして特に断りのない限り、本発明の範囲に限定を加えるものではない。本明細書中の用語は、特許請求されていないいずれの要素も、本発明の実施に必須であると解釈されてはならない。全てのパーセントは、質量パーセントであり、そして全ての質量パーセントは、組成物の全質量を基準としている(それのいずれかの随意選択的な濃縮および/または希釈の前の)。「1つもしくは2つ以上の」の全ての使用は、それが現れるいずれの場所でも、「1つもしくは1つ超」を意味し、そして「1つもしくは1つ超」で置き換えることができる。更には、「1つもしくは2つ以上の」は、「2つもしくは2つ以上」または「3つもしくは4つ以上」または「4つもしくは5つ以上」などと置き換えることができる。
【0017】
本発明の好ましい態様が、本発明を実施するために、本発明者らに知られているベストモードを含めて、ここに記載される。それらの好ましい態様の変形が、前述の説明を読むことによって、当業者に明らかとなるであろう。本発明者らは、当業者が必要に応じてそのような変形を用いることを想定しており、そして本発明者らは、本発明が、ここに具体的に説明されたのと別のやり方で実施されることを意図している。従って、本発明は、適用可能な法律によって許されるように、添付の特許請求の範囲に記載された主題の全ての変更および等価物を含んでいる。更に、上記の要素の、それらの全ての可能な変形での、いずれかの組み合わせが、特に断りのない限り、または文脈によって明確に否定されていない限り、本発明によって包含される。
【0018】
本発明は、包括的には、TiN含有材料および/またはタングステン含有金属および/または酸化アルミニウム含有材料の、そのような材料をその上に有するマイクロエレクトロニクス装置からの選択的な除去に有用な組成物および方法に関する。1つの態様では、本発明は、包括的には、TiN含有材料および/またはタングステン含有金属の、そのような材料をその上に有するマイクロエレクトロニクス装置からの、酸化アルミニウム含有材料の、実質的にほとんど除去なしでの、ないしは除去なしでの、除去のために有用な組成物に関する。他の態様では、本発明は、包括的には、TiN含有材料およびタングステン含有金属の、そのような材料をその上に有するマイクロエレクトロニクス装置からの、除去、そして酸化アルミニウム含有材料のほとんど除去のない、もしくは除去のないに有用な組成物に関する。他の態様では、TiN含有材料の除去速度は、タングステン含有金属の除去速度の、±500以内、または±450%以内、または±400%以内、または±300以内、または±200%以内、または±100%以内、または±50%以内、または±20%以内、または±10%以内、または±5%以内、または±3%以内、または±1%以内である。好ましくは、そして言い換えれば、TiN含有材料の除去速度の、タングステン含有金属の除去速度で割り算した比は、約1である。幾つかの態様では、TiN含有材料およびW含有材料の除去は、AlOx含有材料の除去速度の10倍超、または20倍超、または40倍超、または60倍超、または80倍超、または100倍超、または120倍超、または140倍超、または160倍超、または180倍超、または200倍超、または220倍超、または240倍超、または260倍超、または280倍超、または300倍超である。窒化チタン(TiN)、タングステン(W)、および酸化アルミニウム(AlOx)のいずれかの言及は、TiN含有材料およびW含有材料およびAlOx含有材料をそれぞれ含むことに注意しなければならない。
【0019】
参照を容易にするために、「マイクロエレクトロニクス装置」は、半導体基材、フラットパネルディスプレー、相転移記憶装置、NAND記憶装置、太陽電池板、および他の製品、例えばソーラー基材、光電装置、および超小形電子、集積回路、もしくはコンピュータチップ用途での使用のために製造されたマイクロエレクトロ機械システム(MEMS)、に対応する。ソーラー基材としては、限定するものではないが、シリコン、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、CdTe、銅インジウムセレニド、銅インジウムスルフィド、およびガリウム上のガリウムヒ素が挙げられる。ソーラー基材は、ドープされていても、またはドープされていなくてもよい。用語「マイクロエレクトロニクス装置」は、決して限定することを意図してはおらず、そして結局のところマイクロエレクトロニクス装置またはマイクロエレクトロ組立体になるいずれかの基材を含むことが理解されなければならない。
【0020】
ここに規定されている用語「バリア材料」は、金属線、例えば銅相互連結を、その金属、例えば銅、の誘電体材料中への拡散を最小化するために、封止するのに当技術分野で用いられるいずれかの材料に対応する。好ましいバリア層材料としては、タンタル、チタン、ルテニウム、ハフニウムおよび他の高融点金属ならびにそれらの窒化物およびケイ化物が挙げられる。
【0021】
用語「タングステン含有金属」は、タングステン金属(W)、または主要成分(少なくとも70質量%)としてタングステンを含む合金を意味している。タングステン合金の具体的な例としては、モリブデン-タングステン(MoW)およびタングステンケイ化物(WSi)が挙げられる。用語「TiN含有材料」は、その大部分がTiNである層を意味している。用語「AlOx含有材料」は、その部分がAlOxである層を意味している。
【0022】
「実質的に含まない」は、ここでは0.000001質量%未満、または1百万分率(ppm)未満と規定される。また、「実質的に含まない」は、0.0000000質量%または0ppmを含んでいる。用語「~を含まない」は、0.0000000質量%未満または0ppm未満を意味している。
【0023】
ここで用いられる「約」は、表示された値の±5%に相当することが意図されている。
【0024】
組成物の特定の成分が0の下限を含む質量パーセント範囲を参照して議論されるそのような組成物の全てにおいて、そのような成分は、その組成物の種々の特定の態様において存在または不在であることができること、およびそのような成分が存在する場合においては、それらはそのような成分が用いられている組成物の全質量を基準として、0.000001質量%の低い濃度で存在することができることが理解されるであろう。
【0025】
この態様の幅広い実施において、本発明によるタングステン含有金属およびTiN含有の両方に好適なエッチング溶液は、有効なエッチング量での、水、1種もしくは2種以上の酸化剤、ならびに1種もしくは2種以上のフッ素含有エッチング化合物、1種もしくは2種以上の有機溶媒、1種もしくは2種以上のキレート化剤、1種もしくは2種以上の腐食防止剤、1種もしくは2種以上の界面活性剤からなる群から選択された1種または2種以上の成分、を含む、から本質的になる、または、からなる。
【0026】
本発明のエッチング溶液組成物は、水系であり、そして従って水を含んでいる。本発明では、水は種々の方法で、例えばこの組成物の1種もしくは2種以上の固体成分を溶解するように、それらの成分のキャリアとして、金属残渣の除去の助けとなるものとして、その組成物の粘度改質剤として、そして希釈剤として、機能する。好ましくは、洗浄剤組成物中で用いられる水は脱イオン(DI)水(DIW)である。
【0027】
大抵の用途では、本発明の組成物は、水の全量(全ての供給源からの、すなわちその組成物に直接加えられたいずれかのDIWからの、そしてあるのであれば、その組成物に加えられた成分の水溶液から)を含み、例えば、約5質量%~約95質量%、または1質量%~約90質量%、または約10質量%~約80質量%、または約1質量%~約45質量%、または約5質量%~約40質量%、または約2質量%~約35質量%、または約1質量%~約30質量%、または約40質量%~約95質量%、または約30質量%~約80質量%、または約50質量%~約90質量%、または約25質量%~約70質量%、または約20質量%~約60質量%、または約40質量%~約70質量%、または約40質量%~約99質量%の水を含むことが信じられる。本発明の他の好ましい態様では、約50質量%~約80質量%、または約50質量%~約90質量%、または約5質量%~約35質量%、または約10質量%~約30質量%、または約20質量%~約30質量%、または約70質量%~約99質量%の水を含むことができる。本発明の更に他の好ましい態様では、他の成分の所望の質量パーセントを得るような量の水を含むことができる。水は、以下のいずれかの端点、1、2、5、10、20、25、30、35、40、45、50、60、65、70、80、90、95、99、によって規定されるいずれかの範囲内の質量%で存在することができる。
酸化剤
【0028】
酸化剤は、本発明のエッチング組成物中に、TiNをTiNOxに酸化するために、および/またはWをWOxに酸化するために、含まれる。本組成物は、1種または2種以上の酸化剤を含むことができる。ここで想定されている酸化剤としては、限定するものではないが、過酸化水素(H),FeCl、FeF、Sr(NO、CoF、MnF、OXONE(商標)モノ過硫酸塩化合物(2KHSO、KHSO、KSO)(OXONEは、E.I. du Pont de Nemours and Companyの登録商標である)、過ヨウ素酸、ヨウ素酸、酸化バナジウム(V)、酸化バナジウム(IV、V)、バナジン酸アンモニウム、アンモニウム多原子塩(例えば、アンモニウムペルオキソモノ硫酸塩、亜塩素酸アンモニウム(NHClO)、塩素酸アンモニウム(NHClO)、ヨウ素酸アンモニウム(NHIO)、硝酸アンモニウム(NHNO)、過ホウ酸アンモニウム(NHBO)、過塩素酸アンモニウム(NHClO)、過ヨウ素酸アンモニウム(NHIO)、過硫酸アンモニウム((NH)、次亜塩素酸アンモニウム(NHClO))、タングステン酸アンモニウム((NH10(W))、ナトリウム多原子塩(例えば、過硫酸ナトリウム(Na)、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、過ホウ酸ナトリウム)、カリウム多原子塩(例えば、ヨウ素酸カリウム(KIO)、過マンガン酸カリウム(KMnO)、過硫酸カリウム、硝酸(HNO)、過硫酸カリウム(K)、次亜塩素酸カリウム(KClO)、テトラメチルアンモニウム多原子塩(例えば、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)ClO)、塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)ClO)、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)IO)、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)BO)、過塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)ClO)、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)IO)、過硫酸テトラメチルアンモニウム((N(CH)S))、テトラブチルアンモニウム多原子塩(例えば、テトラブチルアンモニウムペルオキソモノスルフェート)、ペルオキソモノ硫酸、硝酸第二鉄(Fe(NO)、尿素過酸化水素((CO(NH)H)、リン酸(HPO)、過酢酸(CH(CO)OOH)、1,4-ベンゾキノン、トルキノン、ジメチル-1,4-ベンゾキノン、クロラニル、アロキサン、N-メチルモルホリン N-オキシド、トリメチルアミン N-オキシド、およびそれらの組合せが挙げられる。それらの酸化剤が塩である場合には、それは水和されているか、または無水であることができる。酸化剤は、本組成物のマイクロエレクトロニクス装置(ウエハ)への導入の前に製造者において本組成物に導入されるか、あるいは、マイクロエレクトロニクス装置(ウエハ)に、すなわちインサイチュで、導入されることができる。幾つかの態様では、本発明の組成物のための1種もしくは2種以上の酸化剤は、過酸化水素、硝酸またはリン酸またはそれらの2種もしくは3種以上の混合物を含むことができる。
【0029】
本発明のエッチング組成物中の1種もしくは2種以上の酸化剤の全量は、その組成物の質量を基準として、約0.5質量%~約60質量%、または約0.5質量%~約50質量%、または約1.0質量%~約35質量%、または約3.0質量%~約30質量%であることが信じられる。本発明の組成物は、約5質量%~約15質量%のHを含むことができ、それは、単独で、または第2の酸化剤との組み合わせで、そのエッチング組成物中に存在することができる。第2の酸化剤は、リン酸であることができ、そしてそれは、本組成物の約0.1質量%~20質量%を構成することができる。幾つかの態様では、硝酸が好ましい。他の態様では、1種もしくは2種以上の酸化剤は、リン酸および硝酸を含んでいる。幾つかの態様では、リン酸は、本組成物中に、硝酸の量よりも多い量で存在する。幾つかの態様では、リン酸は、本組成物中に、硝酸の量よりも少ない量で存在する。幾つかの態様では、リン酸の量は、硝酸の量の±15%の範囲内である。他の態様では、硝酸の量は、リン酸の量の10倍超、または20倍超、または25倍超、または30倍超である。幾つかの態様では、1種もしくは2種の酸化剤は、本組成物の約2質量%~約45質量%、または約4質量%~約35質量%、または約4質量%~約25質量%、または約30質量%~約65質量%、あるいは以下のリスト:0.5、1、2、3、4、5、6、7、10、15、17、20、23、26、30、34、37、40、45、50、55、60、65および70、から選択される開始点および終点によって規定される範囲内のいずれかの質量%を構成する。
【0030】
それらの質量%およびここに記載された全ての質量%は、特に断りのない限り、それらの成分の本組成物への正味の添加に基づいており、溶媒、例えば水は、本発明の組成物に加えられた水(溶媒)中の成分の質量%に数えられてはいないことを意味するが、しかしながら、それらの成分とともに加えられた水の量は、それらの組成物中の記載された水の全量に含まれることに留意しなければならない。
【0031】
幾つかの態様では、ここに記載されたエッチング溶液組成物は、以下の化合物、過酸化水素および他の過酸化物もしくは過酸化水素以外の過酸化物、有機酸化剤、無機酸化剤、例えば、硝酸、過塩素酸、および硫酸、酸化剤を含む金属、例えばFe3+およびCe4+、フッ化物、HF以外のフッ素含有化合物、リン含有化合物、および研磨材料の少なくとも1種、2種以上をいかなる組み合わせでも、実質的に含まない、または含まないように配合される。
溶媒(随意選択的)
本発明のエッチング溶液組成物は、随意選択的に1種もしくは2種以上の水混和性の有機溶媒を含んでいる。用いることができる水混和性有機溶媒の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル(例えば、Dowanol DBの商品名で商業的に入手可能)、グリコールエーテル(Dowanol DPMとして商業的に入手可能)、ヘキシルオキシプロピルアミン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、トリエチルホスフェート、スルホラン、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホキシド、またはそれらの混合物がある。好ましい溶媒は、アルコール、グリコールエーテル、ジオール、スルホキシド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、トリエチルホスフェート、スルホランまたはそれらの混合物であることができる。
【0032】
他の態様では、本発明のエッチング溶液組成物は、随意選択的に1種もしくは2種以上の水混和性有機溶媒、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)および/またはトリエチルホスフェートを含むことができる。1種もしくは2種以上の溶媒は、アミド溶媒、例えばジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド(スルホラン)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、および1-ブチル 2-ピロリジノン、例えばEastman Chemical Co.のTamiSolve(商標)NxG二極性の非プロトン性溶媒を含むことができる。1種もしくは2種以上の溶媒は、酸溶媒、例えばメタンスルホン酸、プロピオン酸、乳酸および酢酸を含むことができる。
【0033】
1種もしくは2種以上の溶媒は、エステル溶媒、例えば2-(1-メトキシ)プロピルアセテート、およびプロピレンカーボネートを含むことができる。1種もしくは2種以上の溶媒は、ケトン溶媒、例えばシクロペンタノンおよび/またはエーテル溶媒、例えば1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン、またはポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテルを含むことができる。更に、本発明の組成物は、上記で列挙された1種もしくは2種以上の溶媒の混合物および、上記で列挙された1種もしくは2種以上の個々の溶媒をいずれかの組み合わせで含むことができる。
【0034】
好ましい溶媒としては、スルホラン、DMSO、およびメタンスルホン酸が挙げられる。
【0035】
大抵の用途では、1種もしくは2種以上の水混和性の有機溶媒の量は、存在するのであれば、その組成物の質量を基準として、約0.00001質量%~約70質量%、または約0.01~約50質量%、または約1~約50質量%、または約2~約40質量%、または約4質量%~約30質量%、または約4質量%~約25質量%、または約4質量%~約20質量%、または約1質量%~約10質量%を構成することが信じられる。他の態様では、1種もしくは2種以上の水混和性の有機溶媒の量は、存在するのであれば、以下の端点、0.000001%、0.01、1、2、4、9、10、15、20、25、30、34、38、40、44、50および70のいずれかによって規定される質量%の範囲内の量を含むことができる。
【0036】
更に他の態様では、水および有機溶媒が存在する場合には、水および有機溶媒の全量は、その組成物の質量を基準として約10質量%~約85質量%、または約55質量%~約99質量%、または約35質量%~約60質量%、または約50質量%~約95質量%、または約60質量%~約90質量%であるか、または以下の端点、1、2、5、10、20、25、30、35、40、45、50、60、65、70、80、90、95、99のいずれかによって規定されるいずれかの範囲の質量%であることができる。幾つかの態様では、溶媒の量は、水の量よりも多く、他の態様では、水の量は溶媒の量よりも多い。幾つかの好ましい態様では、溶媒は、水の量の±50%以内、または±25%以内、または±22%以内、または±20%以内である。
【0037】
幾つかの態様では、本発明の組成物は、いずれかの(いずれかの組み合わせで)または全ての上記で列挙された水混和性の有機溶媒をいずれかの組み合わせで、あるいはその組成物に加えられる全ての水混和性有機溶媒を含まない、または実質的に含まない。
フッ素含有エッチング化合物(随意選択的)
【0038】
本発明のエッチング溶液組成物は、1種もしくは2種以上のフッ素含有エッチング化合物を含むことができ、それらとしては、HF、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロケイ酸、B-FもしくはSi-F結合を含む他の化合物、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩(TBA-BF)、HZrF、HTiF、HPF、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、または第四級アンモニウムフルオリドを挙げることができる。第四級アンモニウムフルオリドとしては、フッ化アンモニウム(NHF)、重フッ化アンモニウム(NHHF)、およびフッ化テトラアルキルアンモニウム、またはそれらの混合物が挙げられる。フッ素含有エッチング化合物を、本発明のエッチング液組成物の幾つかの態様において、TiNのエッチング速度を増加させるために加えることができる。
【0039】
ここで想定される第四級アンモニウムフルオリドとしては、式NRFを有する化合物が挙げられ、ここで、R、R、RおよびRは、同じであるか、または互いに異なっていることができ、そして水素、直鎖もしくは分岐C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシル)、ならびに置換された、もしくは非置換のC~C10アリール、例えばベンジルからなる群から選択される。
【0040】
用いることができ、そして商業的に入手可能なテトラアルキルアンモニウムフルオリドとしては、フッ化テトラエチルアンモニウム(TEAF)、フッ化テトラメチルアンモニウム(TMAF)、フッ化テトラプロピルアンモニウム(TPAF)、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)、フッ化トリブチルメチルアンモニウム(TBMAF)、フッ化ベンジルトリメチルアンモニウム(BTMAF)、およびそれらの組合せが挙げられる。商業的に入手できないテトラアルキルアンモニウムフルオリドは、TMAF、TEAF、TPAF、TBAF、TBMAF、およびBTMAFを調製するのに用いられる公開された合成方法と類似の方法で調製することができ、それらは当業者に知られている。
【0041】
本発明のエッチング組成物中の1種もしくは2種以上のフッ素含有エッチング化合物の量は、存在するのであれば、その組成物の質量を基準として、約0.01質量%~約20質量%、または約0.05質量%~約20質量%、または約0.08質量%~約16質量%、または約0.01質量%~約10質量%、または約0.01質量%~約10質量%、または約0.05質量%~約6質量%、または約0.1質量%~約20質量%、または約0.1質量%~約15質量%、または約0.5質量%~約10質量%、または約1質量%~約6質量%であることができることが信じられる。幾つかの態様では、1種もしくは2種以上の第四級アンモニウムフルオリドが存在するのであれば、その量は、その組成物の質量を基準として、約0.01質量%~約20質量%、または約0.01質量%~約15質量%、または約0.02質量%~約10質量%、または約0.02質量%~約8質量%、または約0.04質量%~約5質量%であることができる。1種もしくは2種以上のフッ素含有エッチング化合物の量は、存在するのであれば、本発明のエッチング組成物中で、以下の端点、0.01、0.02、0.04、0.05、0.08、0.1、0.5、1、5、6、10、12、15、16、18および20、のいずれかの組み合わせによって規定される範囲のいずれかの質量%であることができる。
【0042】
本発明の組成物の幾つかの態様では、本発明は、上記で列挙されたフッ素含有エッチング化合物もしくは第四級アンモニウムフルオリドのいずれか(いずれかの組み合わせで)または全てを含まないか、あるいは実質的に含まない。
【0043】
本発明の組成物は、この組成物に加えられる第四級アンモニウムヒドロキシド、例えばテトラアルキルヒドロキシド、水酸化コリンまたは水酸化アンモニウムを含まないか、あるいは実質的に含まない。
有機酸のアンモニウム塩(随意選択的)
【0044】
本発明のエッチング溶液組成物は、随意選択的に、有機酸のアンモニウム塩を更に含むことができる。アンモニウムは、NH の形態のいずれかのアミンの塩を意味している。例示的なアンモニウム塩としては、クエン酸トリアンモニウム(TAC)、酢酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、クエン酸ジアンモニウム、コハク酸ジアンモニウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。更に他のアンモニウム塩としては、安息香酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、マレイン酸アンモニウム、マロン酸アンモニウム、フマル酸アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、アスコルビン酸アンモニウム、マンデル酸アンモニウム、およびフタル酸アンモニウムを挙げることができる。幾つかの態様では、アンモニウム塩は、酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、クエン酸トリアンモニウム、またはそれらの組み合わせを含んでいる。
【0045】
アンモニウム塩は、存在するのであれば、TiNのエッチング速度および/またはWのエッチング速度を増加し、ならびに/あるいはいくつかの態様ではTiN/W選択制を向上させるように機能することができる。
【0046】
幾つかの態様では、本発明の組成物は、その組成物に加えられる上記で列挙された有機酸のアンモニウム塩のいずれか(いずれかの組み合わせで)または全てを、含まないか、もしくは実質的に含まない。
【0047】
本発明のエッチング組成物中の有機酸のアンモニウム塩の量は、存在するのであれば、その組成物の質量を基準として、約0質量%~70質量%、または約0質量%~20質量%、または約0.01~約70質量%、または0.1質量%~約20質量%であることが信じられる。好ましくは、有機酸のアンモニウム塩は、存在するのであれば、その組成物の、約0.5質量%~約15質量%、または約1質量%~約15質量%、または約2質量%~約10質量%を構成する。他の態様では、有機酸の1種もしくは2種以上のアンモニウム塩の量は、存在するのであれば、以下の端点、0.01、0.1、0.5、1、2、10、15、20、30、40、50、60および70、のいずれかの組み合わせによって規定される範囲の質量%を構成する。
金属キレート化剤(随意選択的)
【0048】
本洗浄組成物に加えることができる他の随意選択的な成分としては、金属を溶液中に保持する本組成物の能力を向上させ、そして金属残渣の溶解を促進するように典型的に機能する1種もしくは2種以上のキレート化剤がある。この目的に有用なキレート化剤の典型的な例としては、以下の有機酸ならびにそれらの異性体および塩:(エチレンジニトリロ)四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、(1,2-シクロヘキシレンジニトリロ-)四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、(N,N,N’,N’-エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン-N,N,N’,N’-四酢酸(DHPTA)、メチルイミノ二酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸(nitrolotriacetic acid)(NTA)、クエン酸、タンニン酸、酒石酸、グルコン酸、サッカリン酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、サリチル酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、8- ヒドロキシキノリン、およびシステインがある。好ましいキレート化剤としては、アミノカルボン酸、例えばEDTA、CyDTAおよび、アミノホスホン酸、例えばEDTMPがあり、そして他の態様では、好ましいキレート剤はタンニン酸である。
【0049】
大抵の用途では、存在するのであれば、1種もしくは2種以上のキレート化剤は、本組成物中に、本組成物の、0.00001~約10質量%の量で、好ましくは約0.1質量%~約10質量%、または約0.1~7質量%の量で、または約0.1質量%~約7質量%の量で存在することが信じられる。1種もしくは2種以上のキレート化剤の量は、存在する場合には、以下の端点、0.01、0.1、0.5、1、2、4、5、7、10のいずれかの組み合わせによって規定される範囲の質量%を構成することができる。
【0050】
幾つかの態様では、本発明の組成物は、本組成物に加えられる上記で列挙された金属キレート化剤のいずれか(いずれかの組み合わせで)または全てを含まないか、または実質的に含まない。
腐食防止剤(随意選択的)
【0051】
本発明の組成物は、随意選択的に、1種もしくは2種以上の腐食防止剤を含んでいる。腐食防止剤は、金属または非金属であることができるところの、洗浄される基材表面と反応するように作用して、その表面を不動態化し、そして洗浄の間の過剰のエッチングを防止する。幾つかの態様では、腐食防止剤は、タングステンのエッチング速度を調整するのに加えることができる。幾つかの態様では、腐食防止剤は、タングステンのエッチング速度を調整するのに加えることができる。
【0052】
同様の用途のための当技術分野で知られているいずれかの腐食防止剤を用いることができる。腐食防止剤の例としては、芳香族ヒドロキシル化合物、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するフェノール誘導体、アセチレンアルコール、カルボキシル基含有有機化合物およびそれらの無水物、ならびにトリアゾール化合物が挙げられる。幾つかの態様では、それらの化合物の少なくとも2種の混合物が、本エッチング溶液組成物に用いられる。
【0053】
少なくとも2つのヒドロキシル基を有するフェノール誘導体の例としては、没食子酸、カテコール、t-ブチルカテコール、p-ベンゼンジオール、m-ベンゼンジオール、o-ベンゼンジオール、1,2,3-ベンゼントリオール、1,2,4-ベンゼントリオール、1,3,5-ベンゼントリオが挙げられる。幾つかの態様では、没食子酸が好ましいフェノール誘導体である。
【0054】
例示的な芳香族ヒドロキシル化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、サリチルアルコール、p-ヒドロキシベンジルアルコール、o-ヒドロキシベンジルアルコール、p-ヒドロキシフェネチルアルコール、p-アミノフェノール、m-アミノフェノール、ジアミノフェノール、p-ヒドロキシ安息香酸、o-ヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸および3,5-ジヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
【0055】
例示的なアセチレンアルコールとしては、2-ブチン-1,4-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールおよび2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオールが挙げられる。
【0056】
例示的なカルボキシル基含有有機化合物およびそれらの無水物としては、ギ酸、酪酸、イソ酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、グリコール酸、マレイン酸、無水酢酸 およびサリチル酸が挙げられる。
【0057】
トリアゾール化合物の例としては、ベンゾトリアゾール、o-トリルトリアゾール、m-トリルトリアゾール、p-トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾールおよびジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0058】
例示的な態様では、腐食防止剤としては、1種もしくは2種以上のベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ-ベンゾトリアゾール、D-フルクトース、L-アスコルビン酸、バニリン、サリチル酸、ジエチルヒドロキシルアミン、およびポリ(エチレンイミン)が挙げられる。
【0059】
他の態様では、腐食防止剤は、トリアゾールであり、そしてベンゾトリアゾール、o-トリルトリアゾール、m-トリルトリアゾール、およびp-トリルトリアゾールの少なくとも1つである。
更に他の態様では、本発明の組成物の1種もしくは2種以上の腐食防止剤は、アミンを含んでおり、そしてN,N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、ポリ(エチレンイミン)、エチレンジアミン、(,1-オクチルアミン、4-イソプロピルアニリン、ジエチレントリアミン、およびそれらの混合物が挙げられる。本発明の組成物に腐食防止剤として有用な他のアミンとしては、5もしくは6員のヘテロ環式アミン、例えばピロリジン、ピリジン、ピリドキシン、モルホリンおよびピペラジンおよびそれらの混合物が挙げられる。腐食防止剤は、モルホリンおよびピペラジン、例えば3-モルホリノプロピルアミン(APN)、1-(2-アミノエチル)ピペラジン(AEP)、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン(HEM)、(ヒドロキシプロピル)モルホリン、アミノエチルモルホリン、アミノプロピルモルホリン、およびそれらの混合物であることができる。
【0060】
本発明のエッチング組成物に1種もしくは2種以上の腐食防止剤として用いることができる更に他の有機アミンとしては、一般式NRを有する種が挙げられ、ここでR、RおよびRは、同じか、もしくは互いに異なっていてもよく、そして水素、直鎖もしくは分岐C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル)、直鎖もしくは分岐C~Cアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、およびヘキサノール)、ならびに式R-O-Rを有する直鎖もしくは分岐エーテル(ここでRおよびRは、同じかもしくは互いに異なっていてもよく、そして上記で規定されたようにC~Cアルキルからなる群から選択される)、からなる群から選択される。最も好ましくは、R、RおよびRの少なくとも1つは、直鎖または分岐C~Cアルコールである。例としては、限定するものではないが、アルカノ―ルアミン、例えば第1級、第2級および第3級のアルカノ―ルアミンが挙げられ、幾つかは、1~5個の炭素を有することができる。本発明の組成物に用いることができるアルカノ―ルアミンの例としては、アミノエチルエタノールアミン、N-メチルアミノエタノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(AEE)、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N-メチルジエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン(NMEA)、モノエタノールアミン(MEA)、トリエタノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-1-ブタノール、イソブタノールアミン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、N-エチルエタノールアミン、N、N-ジメチルエタノールアミン、N、N-ジエチルエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノールおよびそれらの混合物が挙げられる。腐食防止剤として有用な他のアミンとしては、トリエチレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、およびそれらの組み合わせ、ジグリコールアミン,およびアミンとアルカノールアミンとの組合せが挙げられる。アミンがエーテル成分を含む場合には、そのアミン、例えば、1-メトキシ-2-アミノエタンは、アルカノ―ルアミンと考えることができる。有機アミンは、モノエタノールアミンを含むことができる。
【0061】
腐食防止剤は、N,N,N,N,N-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、ポリ(エチレンイミン)、ジエチレントリアミン、モルホリノプロピルアミン(APM)および1-(2-アミノエチル)ピペラジン(AEP)から選択することができる。
【0062】
本発明の組成物に有用な腐食防止剤の他の例としては、ポリエチレンイミン(PEI)、例えばBASFから商品名LUPASOL(商標)で販売されているもの、がある。好ましいポリエチレンイミンは、分岐されており、そして約800の平均MWを有している、例えばBASFのLUPASOL(商標)800である。
【0063】
大抵の用途では、存在するのであれば1種もしくは2種以上の腐食防止剤は、本組成物の約0.000001質量%~約5質量%、または約0.00001質量%もしくは0.001質量%~約15質量%を構成し、好ましくは本組成物の約0.001質量%~約10質量%、または約0.5質量%~約5質量%、または約0.1質量%~約2質量%、または約0.5質量%~約1質量%、または約0.001質量%~約1質量%を構成し、あるいは以下の端点、0.000001、0.00001、0.00005、0.001、0.1、0.5、1、2、5、7、10および15によって規定される範囲内に入るいずれかの質量%であることが信じられる。
【0064】
幾つかの態様では、本発明の組成物は、本組成物に加えられる上記で列挙した腐食防止剤のいずれかもしくは全て、例えば、芳香族ヒドロキシル化合物のいずれかもしくは全て、ならびに/あるいはアセチレンアルコールのいずれかもしくは全て、ならびに/あるいはカルボキシル基含有有機化合物および/またはそれらの無水物のいずれかもしくは全て、ならびに/あるいはトリアゾール化合物および/またはアルカノ―ルアミンのいずれかもしくは全て、ならびに/あるいはアミンのいずれかもしくは全て、ならびに/あるいはヘテロ環式アミンのいずれかもしくは全て、を含まないまたは実質的に含まない。
他の随意選択的な成分
【0065】
また、本発明の洗浄組成物は、以下の添加剤、1種もしくは2種以上の界面活性剤、1種もしくは2種以上の化学的改質剤、1種もしくは2種以上の染料、1種もしくは2種以上の殺生物剤、および他の添加剤の1種または2種以上を含むことができる。これらの添加剤は、それらが本組成物のpH範囲に悪影響を与えない程度に加えることができる。本発明の組成物に加えることができる界面活性剤の例としては、p-トルエンスルホン酸ヘキサデシルトリメチルアンモニウムおよびフルオロ界面活性剤、例えばフルオロアルキルアンモニウムクロリド型の界面活性剤、例えばChemguardのS-106Aがある。
【0066】
幾つかの態様では、本発明の組成物は、本組成物に加えられる上記で列挙された界面活性剤のいずれかもしくは全てを含まないか、または実質的に含まない。
【0067】
それらの添加剤、例えば1種もしくは2種以上の界面活性剤、化学的改質剤、染料、殺生物剤などは、存在するのであれば、洗浄組成物中に、慣用の量、例えば、本組成物の合計で約5質量%までの量で含まれることができる。幾つかの態様では、1種もしくは2種以上の界面活性剤は、本組成物中に、本組成物の約0.00001~約5質量%、または約0.001~約5質量%、または本組成物の約0.005~約3質量%で存在することができる。
【0068】
他の態様では、本組成物は、界面活性剤、化学的改質剤、染料および/または殺生物剤のいずれかもしくは全てを実質的に含まないか、または含まない。
【0069】
幾つかの態様では、本発明の組成物は、以下の化合物の少なくとも1種、またはいずれかの組み合わせで2種以上、または全てを含まないか、もしくは実質的に含まない、あるいは本組成物中に既に存在している場合には、以下の化合物のいずれかの追加分を含まない:フッ素含有エッチング化合物、金属含有化合物、ヒドロキシルアミン、またはヒドロキシルアミンと誘導体との混合物、例えばN,N-ジエチルヒドロキシルアミン(DEHA)、イソプロピルヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミンの塩、例えば塩化ヒドロキシルアンモニウム、硫酸ヒドロキシルアンモニウム。他の態様では、本組成物は、ナトリウムおよび/またはカルシウムを実質的に含まない(または含まない)ことができる。幾つかの態様では、ここに開示された本組成物は、以下の化合物、アルキルチオールおよび有機シランの少なくとも1種を実質的に含まないように配合される。他の態様では、本組成物は、ハライド含有化合物を実質的に含まないか、または含まないことができ、例えば、それは、以下の、臭素、塩素および/またはヨウ素含有化合物の1種もしくは2種以上を実質的に含まないか、または含まないことができる。他の態様では、本組成物は、有機および/または無機酸、ならびに/あるいはアンモニウム化合物、ならびに/あるいは有機酸のアンモニウム塩ならびに/あるいはヒドロキシル基含有溶媒、ならびに/あるいはヒドロキシル基含有化合物、ならびに/あるいは第四級アンモニウム化合物、ならびに/あるいは酢酸を実質的に含まないか、または含まないことができる。
pH
【0070】
本発明のエッチング組成物のpHは、意図する最終的な用途に最適化された組成物を生成するために変更することができる。1つの態様では、pHは、酸性、例えば約7未満、または約6.5未満、または約6未満、または約0.01~約7、または約0.1~約6.5、または約1~約5、または約2.5~約5.5、または約1.5~約5、または約2~約6.5、または約0.01~約3である。
【0071】
本組成物の質量%の比は、ここに記載された全ての可能性のある濃縮されたまたは希釈された態様、および使用の時点での質量%の比、を包含する。この目的のために、1つの態様では、濃縮されたエッチング組成物が提供され、それは、エッチング溶液としての使用のために希釈されることができる。濃縮された組成物、または「濃縮物」は、有利には、使用者、例えばプロセスエンジニアが、その濃縮物を使用の時点で所望の濃度まで希釈することを可能にさせる。濃縮された洗浄組成物の希釈は、約1:1~約2500:1、好ましくは5:1~約200:1の範囲であることができ、ここでこの洗浄組成物は、脱イオン水または加えられた有機溶媒で、装置で、またはその前に希釈される。希釈の後に、添加された水および/または溶媒を除いて、ここに開示された成分の質量パーセントの比率は変化しないままであるべきであることが、当業者によって理解されなければならない。更に、1種もしくは2種以上の酸化剤を、使用の時点の前に、または使用の時点で加えることができることが理解される。
【0072】
本発明のエッチング溶液は、典型的には、それらの成分を一緒に容器中で、室温にて、全ての固体が水系の媒体に溶解するまで混合することによって調製される。
方法
【0073】
他の態様では、少なくとも1種のTiN含有材料およびタングステン含有金属および随意選択的に酸化アルミニウムを含む層をも含むマクロエレクトロニクス装置あるいはマイクロエレクトロニクス装置の一部から、そのマイクロエレクトロニクス装置の製造の間に、TiNおよびタングステン金属の両方をエッチングするための方法が提供され、この方法は、以下の工程、マイクロエレクトロニクス装置をエッチング溶液と、その装置からTiN含有材料およびタングステン含有金属を、約1~約500Å/分以上の速度で、室温もしくは室温より高い温度で、少なくとも部分的に除去するのに十分な時間に亘って接触させる工程、を含んでおり、ここで、水性のエッチング溶液は、水、1種もしくは2種以上の酸化剤、1種もしくは2種以上の以下の成分または種類の成分:1種もしくは2種以上のフッ素含有塩チング化合物、1種もしくは2種以上の有機溶媒、1種もしくは2種以上のキレート化剤、1種もしくは2種以上の腐食防止剤、および1種もしくは2種以上の腐食界面活性剤、を含む、から本質的になる、または、からなっている。このエッチング溶液のpHは7以下、または前記で規定した他の範囲である。幾つかの態様では、すすぎ工程および乾燥工程を含む、少なくとも1つの付加的な工程があってもよい。
【0074】
この接触工程は、いずれかの好適な手段、例えば浸漬、噴霧によって、またはバッチもしくは単一のウエハプロセスによって行うことができる。
【0075】
すすぎ工程は、いずれかの好適な手段、例えば基材を、脱イオン水で浸漬することによって、または噴霧技術によって、すすぐことによって行われる。好ましい態様では、すすぎ工程は、脱イオン水と、水混和性の有機溶媒、例えばイソプロピルアルコールとの混合物を用いて行われる。
【0076】
乾燥工程は、いずれかの好適な手段、例えばイソプロピルアルコール(IPA)蒸気乾燥または、求心力によって行われる。
【0077】
上記の組成物を有する本発明のエッチング溶液は、W含有金属または、WおよびTiNの、この両方が装置に存在する場合には両方の、均一なエッチングを提供する。本発明のエッチング溶液は、酸化アルミニウムの低いエッチング速度を与え、そしてTiNおよびタングステン含有金属の選択的なエッチング特性(TiNおよびタングステン含有金属のエッチング速度の、AlOxおよび/またはタングステン含有金属以外の金属および/または支持材料(ガラス、シリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素)のエッチング速度に対する比)は、少なくとも10、または少なくとも15、または少なくとも20であることができる。TiNおよびタングステン含有金属は、好ましくは、ここで前述したもののいずれか、または約1:2~2:1、または約1:1.5~1.5:1、または約1:1.2~1.2:1、または約1:1.1~1.1:1、または約1:1.05~1.05:1であるエッチング速度を有している。TiNおよびタングステン系金属は、好ましくは約10~500Å/分以上であるエッチング速度を有している。
【0078】
また、本発明のエッチング溶液は、エッチング特性に影響しない範囲で、上記のもの以外の成分、例えば湿潤剤、着色剤、抑泡剤を含むことができる。
【0079】
基材、例えばマイクロエレクトロニクス装置にTiN、タングステン含有金属およびAlOx層のそれぞれの膜を形成する方法は、特には限定されず、そしていずれかの方法、例えばCVD、スパッタリングまたは気相堆積を用いることができ、一方で膜形成条件もまた限定されない。
【0080】
本明細書で用いられる用語「エッチング(etch)」または「エッチング(etching)」は、エッチング現象を利用するプロセスを表し、そしてそれは、当然に、TiNおよびタングステン含有金属のパターン形成、ならびにTiNおよびタングステン含有金属残渣の洗浄目的を含む。従って、マイクロエレクトロニクス装置は、その生産プロセスが、NAND記憶装置の一部であるトレンチ中で、エッチング溶液によって、TiNおよびタングステン含有金属の全部を溶解してしまう工程を有するエレクトロニクス装置を更に含むことができる。
【0081】
本発明によるエッチング溶液でのTiNおよびタングステン含有金属の処理は通常は、浸漬法によって成し遂げられるが、しかしながら他の方法、例えばスプレイ法またはスピンエッチング法もこの処理のために用いることができる。浸漬による処理のための条件は、全ての場合について特定することはできない、何故ならば、それらは、エッチング溶液の成分およびTiN、タングステン含有金属および/またはAlOxの膜厚に応じて異なるからであるが、しかしながら、一般的には、処理温度は、約20~80℃、そしてより好ましくは30~60℃である。また、そのような処理は、超音波を適用しながら行うことができる。
【0082】
マイクロエレクトロニクス装置からのTiNおよびタングステン含有金属(または過剰の金属)の「少なくとも部分的な除去」は、その材料の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の除去に相当する。最も好ましくは、本発明の組成物を用いた少なくとも99%の除去。
【0083】
所望の除去作用の達成に続いて、本発明のエッチング溶液は、それがそれ以前に適用されたその装置から、例えば、すすぎ、洗浄、または他の除去工程によって、本発明の組成物の最終的な用途において望まれ、そして有効であることができるように、容易に除去される。例えば、その装置は、脱イオン水を含むすすぎ溶液ですすぎ、および/または乾燥(例えば、スピン乾燥、N、蒸気乾燥など)されることができる。従って、本発明の他の態様は、マイクロエレクトロニクス装置の表面からTiNおよびタングステン含有金属を除去する2工程の方法に関する。第1の工程は、TiNおよびタングステン含有金属を含む装置を、本発明のエッチング溶液と、約1分間~約60分間の時間に亘って、約25℃~約80℃、好ましくは70℃未満、または約30℃~約60℃、または約25℃~60℃未満の範囲の温度、そして最も好ましくは約室温(約25℃)で接触させる工程を含んでいる。その後に、その装置は、脱イオン水のすすぎ液で、約20℃~約25℃の範囲の温度で、15秒間~約5分間に亘って接触される。
【0084】
本発明の1つの態様では、プロセス温度は、TiN含有材料のエッチング速度および/またはW含有金属のエッチング速度を増大させるように高めることができる。しかしながら、浴温が高くなればなるほど、その中の化学薬品の浴寿命はより短くなる。多くの場合において、浴温度が70℃以上の場合には、その浴中の化学薬品は、1つのウエハまたは1バッチのウエハのみに有効となる。より高い温度は、その中のより揮発性の成分の蒸発を引き起こす。従って、本発明のエッチング組成物の向上した浴寿命のためには、より低い温度で本方法を実施することが有益である。
【実施例
【0085】
特徴および利点が、以下に議論される例示的な例によってより完全に示される。
洗浄組成物の調製の包括的な手順
【0086】
これらの例の主題である全ての組成物は、250mLのビーカー中で、100gの材料を1インチのテフロン被覆攪拌棒によって混合することによって調製される。水混和性の有機溶媒を含まない組成物では、ビーカーに加えられる最初の材料は、脱イオン(DI)水であった。Hまたは他の酸化剤は、そのビーカーに加えられる最後の材料であった。残りの成分は、それゆえいずれの順番でも加えられることができる。
基材の組成
【0087】
これらの例で用いられるそれぞれの基材は、シリコンウエハ上のTEOS有機ケイ酸塩ガラス(OSG)の誘電体材料の上のタングステン膜を含んでいた。試験されたTiN膜は、シリコンウエハ上に直接に適用された。Si基材上に適用されたAlOx膜が試験された。
処理条件
【0088】
エッチング試験は、250mLのビーカー中で、100gの洗浄組成物を用いて、500rpmに設定された1インチの長さのテフロン攪拌棒で行われた。この洗浄組成物は、以下に示された所望の温度に、必要に応じて熱盤上で加熱された。大きさが約1インチ×1インチのウエハ断片が、この組成物中に、以下の一連の条件の下で浸漬された。
所望の温度において、5分間(TiN、WおよびAlOx)が共通して用いられた条件である。
【0089】
それらの断片は、次いで3分間、DI水のオーバーフロー浴中ですすぎ、そして次いでフィルタを通した窒素を用いて乾燥させた。タングステンエッチング速度は、エッチングの前後の厚さの変化から評価され、そして4点プローブの抵抗測定によって測定された。また、TiNエッチング速度も、4点プローブの抵抗測定によって測定された。AlOxエッチング速度は、エリプソメーターまたは4点プローブの抵抗測定によって測定することができた。
エッチング速度測定の手順
【0090】
ウエハの試験片で、TiN、タングステンおよびAlOx金属層の厚さが、Creative Design Engineering, Inc.のResMap(商標)model 273 抵抗装置を用いて、その層の抵抗を測定することによって、測定された。また、AlOxは、エリプソメーターによって測定することができた。次いで、それらの試験片は、本組成物中に、所望の温度で、5分間に亘って浸漬された。次いで、それらの試験片は、脱イオン水ですすがれ、乾燥され、そしてその金属層の厚さが測定された。厚さの変化のグラフが、浸漬時間の関数として作成され、そしてオングストローム/分でのエッチング速度が、その曲線の傾きから決定された。
【0091】
以下の表および要約は、本発明の特徴を際立たせている。
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
【表5】
【0096】
表6~11
表6~11中に列挙された成分は、表1~5とは対照的に、それらが加えられた水溶液の量で記載されたものではなく、それらの組成物中に存在する正味の量で記載されている。上記で規定された水溶液に加えて、以下の例では、LUPASOLが、0.01%の濃度の溶液でそれらの組成物に加えられた。表6~11で報告された水の量は、従って全ての原料からのその組成物中の合計の水である。
【0097】
【表6】
【0098】
【表7】
【0099】
【表8】
【0100】
【表9】
【0101】
【表10】
【0102】
【表11】
【0103】
前述の説明は、主に例示を目的とすることが意図されている。本発明が、その例示の態様について示され、そして説明されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その形態および詳細における前述の、そして種々のその他の変更、省略、および追加を行うことができることが当業者には理解されなければならない。