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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】粉体供給装置及びめっきシステム
(51)【国際特許分類】
   C25D 21/14 20060101AFI20220822BHJP
   C25D 17/00 20060101ALI20220822BHJP
   B65G 65/30 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
C25D21/14 E
C25D17/00 L
C25D21/14 F
B65G65/30 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021067601
(22)【出願日】2021-04-13
(62)【分割の表示】P 2017253017の分割
【原出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2021120485
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】張 紹華
(72)【発明者】
【氏名】藤方 淳平
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-141503(JP,A)
【文献】特開2014-118215(JP,A)
【文献】特開2012-116611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 21/14
C25D 17/00
B65G 65/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっきに使用される金属を含む粉体をめっき液に供給する粉体供給装置であって、
めっき液を収容するように構成されるめっき液タンクと、
前記粉体を収容するホッパを有し、
前記ホッパは、前記粉体を前記ホッパ内に投入するための投入口と、前記ホッパ内の気体を排出する排気口と、を有し、
前記粉体供給装置は、さらに、
前記投入口と前記投入口に前記粉体を投入するための投入ノズルとの隙間から前記粉体が飛散することを防止するように構成される第1飛散防止部品と、
前記排気口から前記粉体が飛散することを防止するように構成される第2飛散防止部品と、を有し、
前記第1飛散防止部品は、ろ布フィルタを含み、前記投入口又は前記投入ノズルに取り付けられる、粉体供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載された粉体供給装置において、
前記第2飛散防止部品は、ろ布フィルタを含み、前記排気口に取り付けられる、粉体供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された粉体供給装置において、
前記投入ノズルは、粉体を収容する粉体容器のノズルである、粉体供給装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された粉体供給装置において、
粉体を収容する粉体容器のノズルから投入される前記粉体を受けて、前記ホッパの投入口に前記粉体を投入する中間ノズルを有し、
前記投入ノズルは、前記中間ノズルである、粉体供給装置。
【請求項5】
請求項に記載された粉体供給装置において、
前記第1飛散防止部品は、前記中間ノズルに取り付けられ、
前記粉体を前記ホッパに投入するときに、前記第1飛散防止部品が前記ホッパの前記投入口と接触するように構成される、粉体供給装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載された粉体供給装置と、
基板をめっきするためのめっき槽と、
前記粉体供給装置の前記めっき液タンクから前記めっき槽に延びるめっき液供給管と、を備えた、めっきシステム。
【請求項7】
めっきに使用される金属を含む粉体をめっき液に供給する粉体供給装置であって、
めっき液を収容するように構成されるめっき液タンクと、
前記粉体を収容するホッパを有し、
前記ホッパは、前記粉体を前記ホッパ内に投入するための投入口と、前記ホッパ内の気体を排出する排気口と、を有し、
前記粉体供給装置は、さらに、
前記投入口と前記投入口に前記粉体を投入するための投入ノズルとの隙間から前記粉体が飛散することを防止するように構成される第1飛散防止部品と、
前記排気口から前記粉体が飛散することを防止するように構成される第2飛散防止部品と、
粉体を収容する粉体容器のノズルから投入される前記粉体を受けて、前記ホッパの前記投入口に前記粉体を投入する中間ノズルと、を有し、
前記投入ノズルは、前記中間ノズルである、を有する、粉体供給装置。
【請求項8】
めっきに使用される金属を含む粉体をめっき液に供給する粉体供給装置であって、
めっき液を収容するように構成されるめっき液タンクと、
前記粉体を収容するホッパを有し、
前記ホッパは、前記粉体を前記ホッパ内に投入するための投入口と、前記ホッパ内の気体を排出する排気口と、を有し、
前記粉体供給装置は、さらに、
前記投入口と前記投入口に前記粉体を投入するための投入ノズルとの隙間から前記粉体が飛散することを防止するように構成される第1飛散防止部品と、
前記排気口から前記粉体が飛散することを防止するように構成される第2飛散防止部品と、を有し、
前記第1飛散防止部品は、前記投入ノズルが挿入される筒状部材と、前記筒状部材から径方向に延在するフランジ部と、を有する、粉体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体供給装置及びめっきシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ等の基板の表面に設けられた微細な配線用溝、ホール、又はレジスト開口部に配線を形成したり、基板の表面にパッケージの電極等と電気的に接続するバンプ(突起状電極)を形成したりすることが行われている。この配線及びバンプを形成する方法として、例えば、電解めっき法、蒸着法、印刷法、ボールバンプ法等が知られているが、半導体チップのI/O数の増加、細ピッチ化に伴い、微細化が可能で性能が比較的安定している電解めっき法が多く用いられるようになってきている。
【0003】
電解めっきを行う装置においては、一般的に、めっき液を収容するめっき槽内にアノードと基板とが対向配置され、アノードと基板とに電圧が印加される。これにより、基板表面にめっき膜が形成される。
【0004】
従来、電解めっき装置で使用されるアノードとして、めっき液に溶解する溶解アノード又はめっき液に溶解しない不溶解アノードが用いられている。不溶解アノードを用いてめっき処理を行う場合、めっきの進行につれてめっき液中の金属イオンが消費される。このため、定期的にめっき液に金属イオンを補充して、めっき液中の金属イオンの濃度を調整する必要がある。そこで、めっき槽とは別のめっき液タンクに収容されためっき液に金属の粉体を溶解し、そのめっき液をめっき槽に供給する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-141503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、金属の粉体をめっき液タンクに投入するときに、粉体が装置の外部に飛散し、クリーンルームを汚染する恐れがあった。クリーンルームの汚染を防止するため、従来の装置はクリーンルームとは別の空間、例えば、クリーンルームの階下室等に設置されていた。しかしながら、クリーンルームとは別の空間を準備できない場合などにおいて、装置をクリーンルームに設置したいという要望もある。また、粉体の飛散が装置の内部に留まったとしても、飛散した粉体はめっき液タンクに投入できず無駄になるという問題もある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、粉体の飛散をできる限り防止する粉体供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態によれば、めっきに使用される金属を含む粉体をめっき液に供給する粉体供給装置が提供される。この粉体供給装置は、めっき液を収容するように構成されるめっき液タンクと、前記めっき液タンク内に前記粉体を投入するための投入配管と、気体を供給するための気体供給ラインと、前記気体供給ラインからの気体を受けて、前記めっき液タンクに向かう螺旋気流を前記投入配管の内部に生成するように構成される螺旋気流生成部品と、を有する。
【0009】
本発明の他の一形態によれば、めっきに使用される金属を含む粉体をめっき液に供給する粉体供給装置が提供される。この粉体供給装置は、めっき液を収容するように構成されるめっき液タンクと、前記めっき液タンク内に前記粉体を投入するための投入配管と、前記投入配管の出口を覆うように筒状の前記めっき液のカーテンを生成するカーテン生成部品と、を有する。
【0010】
本発明の他の一形態によれば、めっきに使用される金属を含む粉体をめっき液に供給する粉体供給装置が提供される。この粉体供給装置は、めっき液を収容するように構成されるめっき液タンクと、前記粉体を収容するホッパを有する。前記ホッパは、前記粉体を前記ホッパ内に投入するための投入口と、前記ホッパ内の気体を排出する排気口と、を有する。前記粉体供給装置は、さらに、前記投入口と前記投入口に前記粉体を投入するための投入ノズルとの隙間から前記粉体が飛散することを防止するように構成される第1飛散防止部品と、前記排気口から前記粉体が飛散することを防止するように構成される第2飛散防止部品と、を有する。
【0011】
本発明によれば、めっきシステムが提供される。このめっきシステムは、上記いずれかの粉体供給装置と、基板をめっきするためのめっき槽と、前記粉体供給装置の前記めっき液タンクから前記めっき槽に延びるめっき液供給管と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係るめっきシステムの全体を示す模式図である。
図2】酸化銅粉体を内部に保持することができる粉体容器を示す側面図である。
図3】粉体供給装置の一部を示す側面図である。
図4図3に示した包囲カバーの内部の拡大斜視図である。
図5A】螺旋気流生成部品の斜視図である。
図5B】螺旋気流生成部品の側断面図である。
図6】本実施形態における投入配管の出口開口端部を示す側面図である。
図7A】カーテン生成部品の一例を示す斜視図である。
図7B図7Aに示すカーテン生成部品の側断面図である。
図7C】カーテン生成部品の排出口の形状を示す概略図である。
図8A】カーテン生成部品の他の例を示す斜視図である。
図8B図8Aに示すカーテン生成部品の側断面図である。
図9】ホッパの蓋近傍の拡大側面図である。
図10】第2飛散防止部品の斜視図である。
図11】第1飛散防止部品の斜視図である。
図12】第1飛散防止部品をホッパの投入口に接触させる前のホッパの斜視図である。
図13】第1飛散防止部品をホッパの投入口に接触させた後のホッパの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。図1は、本実施形態に係るめっきシステムの全体を示す模式図である。めっきシステムは、クリーンルーム内に設置されためっき装置1と、階下室に設置された粉体供給装置20とを備えている。本実施形態の粉体供給装置20は、めっき装置1と同様にクリーンルーム内に設置してもよい。
【0014】
本実施形態では、めっき装置1は、ウェハなどの基板に銅等の金属を電解めっきするための電解めっきユニットであり、粉体供給装置20は、めっき装置1で使用されるめっき
液に、少なくとも金属を含む粉体を供給するための装置である。本実施形態では、少なくとも金属を含む粉体として、酸化銅粉体を使用する例を説明する。また、本実施形態における酸化銅粉体の平均粒径は、例えば、10マイクロメートルから200マイクロメートルである。本明細書において、「粉体」には、飛散する可能性のある任意の形状の物体、例えば、固形状の粒子、成形された粒状物、ペレット状に成形された固形物、小粒径の球体とされた銅固形物ボール、固体状の銅をリボン若しくはテープ状に成形した帯状物、又はこれらのいずれかの組み合わせからなる混合物を含む。
【0015】
本実施形態のめっき装置1は、4つのめっき槽2を有している。めっき装置1は、任意の数のめっき槽2を備えることができる。各めっき槽2は、内槽5と外槽6を備えている。内槽5内には、アノードホルダ9に保持された不溶解アノード8が配置されている。めっき槽2の中において、不溶解アノード8の周囲には、中性膜(不図示)が配置されている。内槽5はめっき液で満たされており、内槽5から溢れためっき液は外槽6に流れ込む。なお、内槽5には、めっき液を攪拌する図示しないパドルが設けられ得る。基板Wは、基板ホルダ11に保持され、基板ホルダ11とともに内槽5内のめっき液中に浸漬される。また、基板Wとしては、半導体基板、プリント配線板等を用いることができる。
【0016】
不溶解アノード8はアノードホルダ9を介してめっき電源15の正極に電気的に接続され、基板ホルダ11に保持された基板Wは、基板ホルダ11を介してめっき電源15の負極に電気的に接続される。めっき液に浸漬された不溶解アノード8と基板Wとの間に、めっき電源15によって電圧を印加すると、めっき槽2内に収容されためっき液中で電気化学的な反応が起こり、基板Wの表面上に銅が析出する。このようにして、基板Wの表面が銅でめっきされる。
【0017】
めっき装置1は、基板Wのめっき処理を制御するめっき制御部17を備えている。このめっき制御部17は、基板Wを流れた電流の累積値から、めっき槽2内のめっき液に含まれる銅イオンの濃度を算出する機能を有している。具体的には、基板Wがめっきされるにつれて、めっき液中の銅が消費される。銅の消費量は基板Wを流れた電流の累積値に比例する。めっき制御部17は、めっき液に投入された銅の量と、電流の累積値(銅の消費量)とから、それぞれのめっき槽2におけるめっき液中の銅イオン濃度を算定することができる。
【0018】
粉体供給装置20は、密閉チャンバ24と、ホッパ33と、フィーダ30と、モータ31と、めっき液タンク35と、動作制御部32と、を有する。密閉チャンバ24には、酸化銅粉体を収容した粉体容器21が搬入される。ホッパ33は、粉体容器21から供給された酸化銅粉体を収容する。フィーダ30は、ホッパ33の下部に位置する粉体を搬送するように構成される。モータ31は、フィーダ30の駆動源である。めっき液タンク35は、めっき液を収容し、フィーダ30が搬送した酸化銅粉体を受けるように構成される。動作制御部32は、モータ31の動作を制御する。
【0019】
めっき装置1と粉体供給装置20は、めっき液供給管36及びめっき液戻り管37によって接続されている。より具体的には、めっき液供給管36は、めっき液タンク35からめっき槽2の内槽5の底部まで延びている。めっき液供給管36は4つの分岐管36aに分岐しており、4つの分岐管36aは4つのめっき槽2の内槽5の底部にそれぞれ接続されている。4つの分岐管36aには、それぞれ、流量計38および流量調節弁39が設けられる。流量計38および流量調節弁39はめっき制御部17に接続されている。めっき制御部17は、流量計38により測定されためっき液の流量に基づいて、流量調節弁39の開度を制御するように構成されている。したがって、4つの分岐管36aを介してそれぞれのめっき槽2に供給されるめっき液の流量は、各めっき槽2の上流側に設けられた各流量調節弁39によって制御され、これらの流量がほぼ同じとなるようにされる。めっき
液戻り管37は、めっき槽2の外槽6の底部からめっき液タンク35まで延びている。めっき液戻り管37は、4つのめっき槽2の外槽6の底部にそれぞれ接続された4つの排出管37aを有している。
【0020】
めっき液供給管36には、めっき液を移送するためのポンプ25と、ポンプ25の下流側に配置されたフィルタ26が設けられている。めっき装置1で使用されためっき液は、めっき液戻り管37を通じて粉体供給装置20のめっき液タンク35に送られる。粉体供給装置20で酸化銅粉体が添加されためっき液は、めっき液供給管36を通じてめっき装置1に送られる。ポンプ25は、めっき液をめっき装置1と粉体供給装置20との間で常時循環させることができる。或いは、予め定められた量のめっき液を間欠的にめっき装置1から粉体供給装置20に送って、酸化銅粉体が添加されためっき液を粉体供給装置20からめっき装置1に間欠的に戻すようにしてもよい。
【0021】
さらに、純水(DIW:De-ionized Water)をめっき液中に補充するために、純水供給ライン22がめっき液タンク35に接続されている。この純水供給ライン22には、めっき装置1を停止したとき等に純水供給を停止するための開閉バルブ23、純水の流量を測定するための流量計28、純水の流量を調節するための流量調節弁27が配置されている。開閉バルブ23は、通常時は開とされる。流量計28および流量調節弁27は、めっき制御部17に接続されている。めっき液中の銅イオン濃度が設定値を超えた場合には、めっき液を希釈するため、めっき制御部17は、流量調節弁27の開度を制御して純水をめっき液タンク35に供給するように構成されている。
【0022】
めっき制御部17は、粉体供給装置20の動作制御部32と通信可能に接続されている。めっき液中の銅イオン濃度が設定値よりも低下すると、めっき制御部17は、補給要求値を示す信号を粉体供給装置20の動作制御部32に送るように構成されている。この信号を受け、粉体供給装置20は、酸化銅粉体の添加量が補給要求値に達するまで酸化銅粉体をめっき液に添加する。本実施形態では、めっき制御部17および動作制御部32は、別々の装置として構成されているが、一実施形態では、めっき制御部17および動作制御部32は1つの制御部として構成されてもよい。この場合、制御部は、プログラムに従って動作するコンピュータでもよい。このプログラムは、記憶媒体に格納されてもよい。
【0023】
めっき装置1は、めっき液中の銅イオン濃度を測定する濃度測定器18aを備えてもよい。濃度測定器18aは、めっき液戻り管37の4つの排出管37aにそれぞれ取り付けられている。濃度測定器18aによって得られた銅イオン濃度の測定値は、めっき制御部17に送られる。めっき制御部17は、電流の累積値から算定しためっき液中の銅イオン濃度を上記設定値と比較してもよいし、または濃度測定器18aによって測定された銅イオン濃度を上記設定値と比較してもよい。めっき制御部17は、電流の累積値から算定しためっき液中の銅イオン濃度(すなわち銅イオン濃度の算定値)と、濃度測定器18aによって測定された銅イオン濃度(すなわち銅イオン濃度の測定値)との比較に基づいて、銅イオン濃度の算定値を較正してもよい。
【0024】
また、めっき液供給管36に分岐管36bを設け、この分岐管36bに濃度測定器18bを設けてめっき液中の銅イオン濃度をモニタリングしてもよい。また、この分岐管36bに分析装置(例えば、CVS装置や比色計など)を設けて銅イオンだけでなく各種化学成分の溶存濃度を定量分析し、監視するようにしてもよい。これにより、それぞれのめっき槽2にめっき液が供給される前にめっき液供給管36に存在するめっき液中の化学成分、例えば不純物の濃度を分析できる。その結果、不純物がめっき性能に対して影響することを防止し、より精度の高いめっき処理を行うことができる。なお、濃度測定器18a,18bのうちのいずれか一方のみを設けてもよい。
【0025】
図2は、酸化銅粉体を内部に保持することができる粉体容器21を示す側面図である。図2に示すように、粉体容器21は、内部に酸化銅粉体を収容することができる容器本体45と、容器本体45に接続された粉体導管46(投入ノズルの一例に相当する)と、粉体導管46に取り付けられたバルブ48とを備えている。容器本体45は、ポリエチレンなどの合成樹脂から構成されている。容器本体45には取っ手49が形成されており、作業員が取っ手49を掴んで粉体容器21を持ち運ぶことができるようになっている。
【0026】
粉体導管46は、容器本体45に接合されている。この粉体導管46は、鉛直方向に対して約30度の角度で傾斜している。粉体導管46に取り付けられたバルブ48を開くと、酸化銅粉体は粉体導管46を通過することができ、バルブ48を閉じると、酸化銅粉体は粉体導管46を通過することができない。図2は、バルブ48が閉じた状態を示している。粉体導管46は、その先端にノズル46aを有する。ノズル46aには、キャップ47が取り付けられている。
【0027】
次に、図1に示した粉体供給装置20について詳細に説明する。図3は、粉体供給装置20の一部を示す側面図である。粉体供給装置20の密閉チャンバ24は図中省略されている。図示のように、ホッパ33は粉体のリザーバであり、その内部には粉体容器21から供給された酸化銅粉体が収容される。ホッパ33は、全体的に円錐台形状を有しており、酸化銅粉体が下方に流れやすくなっている。ホッパ33の上端開口は、蓋41で覆われている。蓋41は、上述した粉体容器21から酸化銅粉体が投入される投入口19と、排気口42とを有する。この排気口42は、ホッパ33の内部空間に連通し、図示しない負圧源に接続している。したがって、ホッパ33は排気口42によりホッパ33内の気体が排出される。
【0028】
フィーダ30は、ホッパ33の下部に設けられた開口に連通している。フィーダ30は、ホッパ33の下部の開口から後述する投入配管29(図4参照)に向かって、粉体を供給するように構成される。本実施形態では、フィーダ30は、スクリュー30aを備えたスクリューフィーダーであるが、これに限らず、任意の搬送装置を採用することができる。モータ31はフィーダ30に連結されており、フィーダ30を駆動するように構成される。ホッパ33およびフィーダ30は、ブラケット34に固定されており、さらにブラケット34は重量測定器40に支持されている。即ち、重量測定器40は、ホッパ33、フィーダ30、モータ31、およびホッパ33とフィーダ30の内部に存在する酸化銅粉体の総重量を測定するように構成されている。
【0029】
フィーダ30の出口30bは包囲カバー43によって囲まれる。モータ31がフィーダ30を駆動すると、ホッパ33内の酸化銅粉体は、フィーダ30によって包囲カバー43の内部に搬送されてめっき液タンク35内に落下する。フィーダ30の出口30bは、包囲カバー43内に位置している。また、粉体供給装置20は、不活性ガス供給ライン44(気体供給ラインの一例に相当する)を備える。不活性ガス供給ライン44は、包囲カバー43を通過し、後述する螺旋気流生成部品50(図4参照)に接続される。
【0030】
重量測定器40は、モータ31の動作を制御する動作制御部32に接続されている。重量測定器40から出力された重量の測定値は、動作制御部32に送信され得る。動作制御部32は、めっき装置1(図1参照)から送られる補給要求値を示す信号を受信し、酸化銅粉体の添加量が補給要求値に達するまで、モータ31を動作させる。モータ31はフィーダ30を駆動し、フィーダ30は、補給要求値に対応する量の酸化銅粉体をめっき液タンク35に添加する。
【0031】
図3に示した粉体供給装置20においては、上述したように、フィーダ30の重量は重量測定器40により測定される。このため、フィーダ30の出口30b近傍は、包囲カバ
ー43と接触しないように構成される。即ち、フィーダ30の出口30b近傍と、包囲カバー43との間には隙間が形成されている。フィーダ30の出口30bからめっき液タンク35に酸化銅粉体が落下するときに、この隙間から酸化銅粉体が飛散する可能性がある。本実施形態に係る粉体供給装置20は、この飛散を抑制する構成を有する。
【0032】
図4は、図3に示した包囲カバー43の内部の拡大斜視図である。図4に示すように、包囲カバー43は、フィーダ30が挿入される開口43aをその側方に有している。フィーダ30と包囲カバー43とは非接触であるので、この開口43aとフィーダ30との隙間から酸化銅粉体が飛散する可能性がある。粉体供給装置20は、包囲カバー43の内部から図1及び図3に示しためっき液タンク35に向かって鉛直方向に延びる投入配管29を有する。投入配管29は、好ましくは、帯電を防止する超高分子量ポリエチレン材料から構成される。投入配管29は、粉体が投入される入口開口端部29aと、粉体が出る出口開口端部29b(後述する図6参照)とを有する。入口開口端部29aは、図4に示すように上方に開口するように配置されている。これにより、フィーダ30が搬送した酸化銅粉体は、フィーダ30の出口30bから落下して、投入配管29を通じてめっき液タンク35内に投入される。
【0033】
本実施形態では、酸化銅粉体が飛散することを抑制するために、投入配管29の内部に螺旋気流を生成するように構成される螺旋気流生成部品50を有する。螺旋気流生成部品50は、不活性ガス供給ライン44からの不活性ガスを受けて、めっき液タンク35に向かうように螺旋気流を生成する。
【0034】
図5Aは、螺旋気流生成部品50の斜視図である。図5Bは、螺旋気流生成部品50の側断面図である。図5Aに示すように、螺旋気流生成部品50は、投入配管29の入口開口端部29aに取り付けられる。図5A及び図5Bに示すように、螺旋気流生成部品50は、略円筒状の筒状部材51と、筒状部材51に取り付けられる又はこれと一体に形成される環状部材52と、を有する。なお、図5Aにおいては、環状部材52と投入配管29が断面で図示されている。
【0035】
図5Aに示すように、螺旋気流生成部品50が投入配管29に取り付けられた状態において、筒状部材51の外面51aは、投入配管29の内面と接触するように構成される。筒状部材51は、めっき液タンク35側に位置する第1端部53(図中下側端部)と、これと逆側の第2端部54(図中上側端部)とを有する。本実施形態において、筒状部材51は、投入配管29の内部に部分的に挿入されて、第2端部54が投入配管29から突出するように配置される。
【0036】
筒状部材51は、その外面51aに、第1端部53から第2端部54に向かって延びる一以上の溝55を有する。言い換えれば、溝55は、少なくとも第1端部53に達しており、第2端部54に達していてもいなくてもよい。本実施形態では、複数の溝55が外面51aに形成される。図示のように、溝55は、筒状部材51の軸方向に対して傾斜するように構成される。溝55の各々は、互いに同一の角度で傾斜するように構成される。なお、溝55の角度、幅、及び深さは、投入配管29の内径又は長さ等に応じて適宜設定することが望ましい。筒状部材51を投入配管29の内部に部分的に挿入すると、筒状部材51の溝55と投入配管29の内面により、筒状部材51の軸方向に対して傾斜した複数の流路が画定される。
【0037】
さらに、筒状部材51は、周方向に延びる周方向段部56を有する。本実施形態では、周方向段部56は、筒状部材51の第2端部54に形成される。これにより、筒状部材51と環状部材52とによって、溝55と連通する周方向のガス流路58(図5B参照)が画定される。環状部材52は、その上面(図中上側の面)に、不活性ガス供給ライン44
が接続されるガス注入口57を有する。ガス注入口57は、筒状部材51の周方向のガス流路58と連通する。
【0038】
次に、螺旋気流生成部品50の機能について説明する。不活性ガス供給ライン44から不活性ガスがガス注入口57に供給されると、不活性ガスは、周方向のガス流路58を通過して複数の溝55の各々に達する。これにより、溝55を通過する不活性ガスの圧力を均一化することができる。不活性ガスは、溝55を通過して、筒状部材51の第1端部53から投入配管29内に排出される。このとき、溝55が筒状部材51の軸方向に対して傾斜しているので、不活性ガスにより投入配管29内に螺旋状の気流(螺旋気流)が生じる。投入配管29内に発生した螺旋気流は、包囲カバー43内の空気を投入配管29内に引き込みながら、投入配管29の出口開口端部29b(後述する図6参照)から排出される。これにより、包囲カバー43内の雰囲気に存在する酸化銅粉体を投入配管29内に引き込むことができ、酸化銅粉体が飛散することを抑制できる。また、投入配管29内に生じた螺旋気流は、投入配管29内部を通過する酸化銅粉体が投入配管29の内壁面と接触することを防止することができる。これにより、酸化銅粉体が投入配管29の内壁面に付着することを防止することができる。
【0039】
以上で説明したように、本実施形態では、螺旋気流生成部品50により、投入配管29の内部に螺旋気流を生成することができるので、包囲カバー43内の粉体の飛散を抑制することができる。また、本実施形態によれば、投入配管29内に粉体が付着することを抑制することができる。
【0040】
本実施形態では、筒状部材51がその外面51aに溝55を有し、この溝55に気体を供給することにより螺旋気流を生じさせている。よって、本実施形態の螺旋気流生成部品50によれば、非常に簡易的な構成で螺旋気流を発生させることができる。また、本実施形態では、不活性ガス供給ライン44がガス注入口57に接続されて、不活性ガスが螺旋気流生成部品50を介して投入配管29内に直接供給される。不活性ガスが包囲カバー43内の空間に供給される場合、包囲カバー43内の雰囲気に存在する粉体が飛散する可能性がある。したがって、本実施形態では、包囲カバー43内の空間に不活性ガスを供給する場合に比べて、包囲カバー43内の粉体の飛散を抑制することができる。
【0041】
例えば、螺旋気流生成部品50を投入配管29の長さ方向中間部に設けた場合、螺旋気流生成部品50よりも入口開口端部29a側の投入配管29の内部には螺旋気流は生じないことになる。この場合、螺旋気流生成部品50よりも入口開口端部29a側の投入配管29の内壁に粉体が付着する可能性がある。本実施形態では、螺旋気流生成部品50が投入配管29の入口開口端部29aに設けられる。これにより、投入配管29の内部全体に螺旋気流を生じさせることができ、投入配管29の内部全体に粉体が付着することを抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態では、不活性ガスを投入配管29内に供給している。めっき液タンク35に貯留されているめっき液が高温(例えば約45℃)に維持される場合、めっき液から蒸気が発生する。この蒸気は、投入配管29内を上昇して包囲カバー43の内部に到達し、フィーダ30内に侵入する可能性がある。蒸気がフィーダ30内の酸化銅粉体に吸着すると、酸化銅粉体が凝集してフィーダ30を閉塞させるおそれがある。そこで、不活性ガスを投入配管29内に供給することで、めっき液の蒸気がフィーダ30内に侵入することを防止することができる。
【0043】
次に、投入配管29のめっき液タンク35側の端部近傍における酸化銅粉体の飛散を抑制する構成について説明する。図6は、本実施形態における投入配管29の出口開口端部29bを示す側面図である。図6に示すように、投入配管29は、出口開口端部29bを
有する。不活性ガス供給ライン44からの不活性ガスは、投入配管29の出口開口端部29bから出るとき、投入配管29の内部と外部の圧力差により拡散する。このため、投入配管29に投入された酸化銅粉体は、不活性ガスの拡散によって飛散し、めっき液タンク35の壁面に付着する可能性がある。そこで、本実施形態では、図6に示すように、投入配管29の出口を覆うように筒状のめっき液のカーテンを生成するカーテン生成部品60を有する。カーテン生成部品60には、めっき液供給ライン61が接続され、めっき液が供給される。めっき液供給ライン61は、例えば、図1に示しためっき液戻り管37と接続されていてもよいし、めっき液タンク35内のめっき液をポンプ等で汲み上げてカーテン生成部品60に供給するように構成されてもよい。
【0044】
次に、カーテン生成部品60の詳細な構成について説明する。図7Aは、カーテン生成部品60の一例を示す斜視図である。図7Bは、図7Aに示すカーテン生成部品60の側断面図である。図7Cは、カーテン生成部品60の排出口の形状を示す概略図である。図7A及び図7Bに示すように、カーテン生成部品60は、全体として環状の部材であり、投入配管29の外周面に取り付けられるように構成される。図7Bによく示されるように、カーテン生成部品60は、第1筒状部分62と、第1筒状部分62の外側に位置する第2筒状部分63とを有する。第2筒状部分63は、カーテン生成部品60にめっき液を供給するための入口64を有する。また、第1筒状部分62と第2筒状部分63との間には、めっき液をカーテン状に排出する排出口65が形成される。なお、入口64は、第1筒状部分62に形成されてもよい。
【0045】
入口64と排出口65との間には、めっき液が流れる流路が形成される。本実施形態において、この流路は、第1周方向流路66と、軸方向流路67と、第2周方向流路68と、排出流路69と、から構成される。第1周方向流路66は、第1筒状部分62と第2筒状部分63との間に周方向に渡って形成され、入口64と連通する。軸方向流路67は、第1周方向流路66と連通する。本実施形態では、カーテン生成部品60の周方向に沿って複数の軸方向流路67が略等間隔で配置される。第2周方向流路68は、第1筒状部分62と第2筒状部分63との間に周方向に渡って形成され、軸方向流路67の各々と連通する。第2周方向流路68は、めっき液を周方向に沿って流すだけでなく、径方向外側にも流すように構成される。排出流路69は、第2周方向流路68の径方向外側と連通し、第2周方向流路68と排出口65とを流体連通する。なお、ここでの軸方向とは、第1筒状部分62及び第2筒状部分63の中心軸方向をいう。
【0046】
本実施形態の排出口65は、図7Cに示すように、第1筒状部分62と第2筒状部分63との間に全周方向に延在する。言い換えれば、排出口65は、全体として略環状の断面を有する。なお、図7Cは、カーテン生成部品60の軸方向と直交する断面における形状を示している。排出口65は、第1径方向幅を有する第1部分65aと、第1径方向幅よりも大きな第2径方向幅を有する第2部分65bと、を有する。具体的には、第1部分65aの形状は、略扇形状であり、第2部分65bの形状は略円形状である。なお、ここで扇形状とは、円の2本の半径とその間にある2つの円弧によって囲まれた形状をいう。本実施形態では、排出口65は、複数の第1部分65aと複数の第2部分65bとから構成されて、全体として略環状の断面を形成している。言い換えれば、排出口65は、略扇形状の第2部分65bが、略円形の第1部分65aの間を接続するように配置されて構成される。図7Cに示すように、複数の第2部分65bは、周方向に略等間隔に配置されることが好ましい。
【0047】
図7Aから図7Cに示すカーテン生成部品60の機能について説明する。図6に示しためっき液供給ライン61からめっき液がカーテン生成部品60の入口64に供給されると、めっき液は、第1周方向流路66を通じてカーテン生成部品60の全周にいきわたる。全周にいきわたっためっき液は、続いて、複数の軸方向流路67を通じて軸方向に移動す
る。これにより、めっき液の流れの方向が変化する。続いて、軸方向流路67を通っためっき液は、第2周方向流路68を通じて再びカーテン生成部品60の全周にいきわたる。このとき、めっき液の圧力がカーテン生成部品60の全周に亘って略均一に分散される。第2周方向流路68に達しためっき液は、第2周方向流路68を通じて周方向及び径方向外側に流れて、排出流路69に達する。排出流路69に達しためっき液は、排出口65を通じて略筒状のめっき液のカーテンを生成する。
【0048】
以上で説明したカーテン生成部品60によれば、投入配管29の出口を覆うように筒状のめっき液のカーテンを生成することができる。これにより、酸化銅粉体が投入配管29から出るときに、不活性ガスの拡散によって飛散し、めっき液タンク35の壁面に付着することを防止することができる。本実施形態では、投入配管29に不活性ガスを供給しているが、投入配管29に不活性ガスを供給しない場合であっても、投入配管29から出た酸化銅粉体がめっき液タンク35の壁面に付着する可能性はある。具体的には例えば、酸化銅粉体がめっき液面に衝突するときにめっき液とともに周囲に飛散して、酸化銅粉体が液タンク35の壁面に付着する可能性がある。したがって、本実施形態に係るカーテン生成部品60によれば、投入配管29に不活性ガスを供給しない場合であっても、酸化銅粉体がめっき液面に衝突する際の酸化銅粉体の飛散を抑制することができる。
【0049】
また、カーテン生成部品60は、第1部分65aと第2部分65bを含む排出口65を有する。排出口65が一定の幅を有する単純な環状である場合、連続しためっき液のカーテンを生成することが困難である。また、複数の軸方向流路を周方向に沿って離間配置して排出口65が構成された場合、シャワー状のめっき液が排出され、めっき液のカーテンを生成することが困難である。本実施形態の排出口65は、第1部分65aと第2部分65bとを含むので、連続しためっき液のカーテンを安定して生成することができる。また、排出口65が複数の第2部分65bを周方向に略等間隔で有することにより、連続しためっき液のカーテンを一層安定して生成することができる。
【0050】
本実施形態のカーテン生成部品60は、第1周方向流路66と軸方向流路67を有するので、入口64から供給されためっき液を直ちにカーテン生成部品60の全周方向にいきわたらせつつ、その流れ方向を変化させることができる。また、カーテン生成部品60は、第2周方向流路68を有するので、めっき液の圧力を全周に均等に分散することができる。
【0051】
次に、カーテン生成部品60の変形例について説明する。図8Aは、カーテン生成部品60の他の例を示す斜視図である。図8Bは、図8Aに示すカーテン生成部品60の側断面図である。図8A及び図8Bに示すように、この例のカーテン生成部品60は、図7Aから図7Cに示したカーテン生成部品60と同様に、全体として環状の部材であり、投入配管29の外周面に取り付けられるように構成される。図8Bによく示されるように、カーテン生成部品60は、第1筒状部分62と、第1筒状部分62の外側に位置する第2筒状部分63とを有する。第2筒状部分63は、カーテン生成部品60にめっき液を供給するための入口64を有する。また、第1筒状部分62と第2筒状部分63との間には、めっき液をカーテン状に排出する排出口65が形成される。入口64は、第1筒状部分62に形成されてもよい。第1筒状部分62は、第2筒状部分63よりも軸方向に長い。具体的には、カーテン生成部品60が投入配管29に取り付けられた状態において、第1筒状部分62は、排出口65よりもめっき液タンク35側(図8A図8B中下方向)に延びる。
【0052】
入口64と排出口65との間には、めっき液が流れる流路が形成される。図示の例において、この流路は、第1周方向流路66と、軸方向流路67と、排出流路69とから構成される。第1周方向流路66は、第1筒状部分62と第2筒状部分63との間に周方向に
渡って形成され、入口64と連通する。軸方向流路67は、第1周方向流路66と連通する。図示の例では、カーテン生成部品60の周方向に沿って複数の軸方向流路67が略等間隔で配置され、各々の軸方向流路67が第1周方向流路66の径方向外側と連通する。排出流路69は、軸方向流路67と排出口65とを流体連通する流路である。
【0053】
本実施形態の排出口65は、第1筒状部分62と第2筒状部分63との間に全周方向に延在する。排出口65は、全体として略環状の断面を有し、排出口65の径方向の幅(環の厚さ)は、略一定である。第2筒状部分63は、排出口65に向かって第1筒状部分62との距離が近くなるように傾斜したテーパ面63aをその内周面に有する。一方で、第2筒状部分63のテーパ面63aと対向する第1筒状部分62の面は一定の外径を有する。したがって、排出流路69は、第2筒状部分63のテーパ面63aにより、排出口65に向かって徐々に狭くなるように構成される。
【0054】
図8A及び図8Bに示すカーテン生成部品60の機能について説明する。図6に示しためっき液供給ライン61からめっき液がカーテン生成部品60の入口64に供給されると、めっき液は、第1周方向流路66を通じてカーテン生成部品60の全周にいきわたる。全周にいきわたっためっき液は、続いて、複数の軸方向流路67を通じて軸方向に移動する。これにより、めっき液の流れの方向が変化する。続いて、軸方向流路67を通っためっき液は、排出流路69に達する。排出流路69に達しためっき液は、排出口65に向かって徐々に狭くなる排出流路69により流速が上昇しながら排出口65から排出される。排出口65から排出されるめっき液は、徐々に狭くなる排出流路69により昇圧され、これにより、略筒状のめっき液のカーテンが生成される。
【0055】
以上で説明したカーテン生成部品60によれば、投入配管29の出口を覆うように筒状のめっき液のカーテンを生成することができる。これにより、酸化銅粉体が投入配管29から出るときに、不活性ガスの拡散によって飛散し、めっき液タンク35の壁面に付着することを防止することができる。本実施形態では、投入配管29に不活性ガスを供給しているが、投入配管29に不活性ガスを供給しない場合であっても、投入配管29から出た酸化銅粉体がめっき液タンク35の壁面に付着する可能性はある。具体的には例えば、酸化銅粉体がめっき液面に衝突するときにめっき液とともに周囲に飛散して、酸化銅粉体が液タンク35の壁面に付着する可能性がある。したがって、本実施形態に係るカーテン生成部品60によれば、投入配管29に不活性ガスを供給しない場合であっても、酸化銅粉体がめっき液面に衝突する際の酸化銅粉体の飛散を抑制することができる。
【0056】
また、カーテン生成部品60はテーパ面63aを第2筒状部分63に有し、排出流路69が排出口65に向かって徐々に狭くなる。これにより、排出流路69を通過するめっき液に第1筒状部分62の外周面に向かう方向の圧力が生じ、めっき液の流速及び圧力を上昇させることができる。また、第1筒状部分62が排出口65よりも下方(めっき液タンク35側)に延びるので、排出口65から排出されためっき液は第1筒状部分62の外周面に沿って流れる。これにより、周方向に連続しためっき液のカーテンを安定して生成することができる。
【0057】
次に、ホッパ33の蓋41近傍における酸化銅粉体の飛散を抑制する構成について説明する。図9は、ホッパ33の蓋41近傍の拡大側面図である。粉体容器21から酸化銅粉体をホッパ33の投入口19に投入するとき、粉体容器21の粉体導管46と投入口19との隙間から酸化銅粉体がホッパ33の外に飛散する可能性がある。また、ホッパ33内に酸化銅粉体が投入されると、ホッパ33内部の気体が排気口42から排出されると共に、ホッパ33内の酸化銅粉体が排気口42からホッパ33外部に飛散する可能性がある。そこで、本実施形態では、図9に示すように、粉体供給装置20は、ホッパ33の投入口19と粉体導管46との隙間から酸化銅粉体を防止するための第1飛散防止部品74と、
ホッパ33の排気口42から酸化銅粉体が飛散することを防止するための第2飛散防止部品70とを有する。
【0058】
図9に示すように、本実施形態の粉体供給装置20は、粉体導管46のノズル46aから投入される酸化銅粉体を受けて、ホッパ33の投入口19に酸化銅粉体を投入する中間ノズル80を有する。本実施形態では、第1飛散防止部品74は中間ノズル80に設けられる。他の実施形態では、中間ノズル80を設けずに、粉体容器21の粉体導管46からホッパ33の投入口19に直接酸化銅粉体を投入するようにしてもよい。この場合、第1飛散防止部品74は、粉体導管46に設けられる。
【0059】
図10は、第2飛散防止部品70の斜視図である。図10に示すように第2飛散防止部品は、排気口42を閉止するフィルタ72と、フィルタ72を排気口42に固定する固定部材71を有する。本実施形態において、フィルタ72として、ろ布フィルタ等の酸化銅粉体を捕捉することができる任意のフィルタを採用することができる。また、本実施形態では、固定部材71として、フィルタ72を排気口42に押さえつける略筒状の部材が採用される。
【0060】
図11は、第1飛散防止部品74の斜視図である。図11に示すように、第1飛散防止部品74は、筒状部材77と、筒状部材77から径方向に延在するフランジ部75とを有する。筒状部材77は、粉体導管46又は中間ノズル80と嵌合するように構成される。第1飛散防止部品74は、固定ねじ76により粉体導管46又は中間ノズル80に固定され得る。フランジ部75は、複数の開口を有する。本実施形態では、4つの開口がフランジ部75に設けられる。これらの複数の開口はフィルタ72により閉止される。なお、筒状部材77の内部には開口78が形成され、開口78に粉体導管46又は中間ノズル80が挿入される。
【0061】
次に、粉体容器21から酸化銅粉体をホッパ33に投入するプロセスについて説明する。図12は、第1飛散防止部品74をホッパ33の投入口19に接触させる前のホッパ33の斜視図である。図13は、第1飛散防止部品74をホッパ33の投入口19に接触させた後のホッパ33の斜視図である。図12に示すように、粉体供給装置20は、水平方向に延在する固定板85と、固定板85に螺合された複数のボルト84を有する。この固定板85は、図3に示した重量測定器40には荷重が加わらないように配置される。
【0062】
図12に示すように、中間ノズル80は、フランジ部81とフランジ部81から延在するノズル部82(投入ノズルの一例に相当する)とを有する。第1飛散防止部品74は、中間ノズル80のノズル部82に取り付けられる。フランジ部81は、ボルト84が通過可能な複数の孔83を有する。図12に示す状態では、複数のボルト84は、フランジ部81を下方から支持しており、第1飛散防止部品74のフィルタ72(図11参照)はホッパ33の投入口19とは接触していない。したがって、酸化銅粉体をホッパ33に投入しないときは、中間ノズル80に取り付けられた第1飛散防止部品74がホッパ33に接触しないので、図3に示した重量測定器40に中間ノズル80及び第1飛散防止部品74の重量が加わらない。
【0063】
図13に示すように、酸化銅粉体をホッパ33に投入するときは、まず、中間ノズル80を周方向に所定角度回転させ、ボルト84をフランジ部81の孔83を通過させる。中間ノズル80はホッパ33に向かって移動し、第1飛散防止部品74がホッパ33の投入口19と接触する。これにより、第1飛散防止部品74のフィルタ72は、中間ノズル80とホッパ33の投入口19との隙間から酸化銅粉体が飛散することを防止する。
【0064】
なお、中間ノズル80が設けられず、第1飛散防止部品74が、粉体容器21の粉体導
管46に設けられる場合は、第1飛散防止部品74のフィルタ72が投入口19に接触するまで粉体導管46を投入口19内に挿入して、バルブ48(図2参照)を開く。これにより、第1飛散防止部品74のフィルタ72は、粉体容器21の粉体導管46とホッパ33の投入口19との隙間から酸化銅粉体が飛散することを防止する。
【0065】
また、他の実施形態では、第1飛散防止部品74は、予めホッパ33の投入口19に取り付けられてもよい。この場合、中間ノズル80のノズル部82又は粉体容器21の粉体導管46のノズル46aを、投入口19に取り付けられた第1飛散防止部品74の筒状部材77内に挿入して酸化銅粉体をホッパ33内に投入することができる。なお、この場合、予め第1飛散防止部品74の重量を含めて、ホッパ33等の重量を管理する。
【0066】
上記の実施形態では、めっき装置と別に設置された粉体供給装置に関して説明したが、本発明は、めっき装置が有するめっき槽に直接酸化銅粉体を供給する場合であっても適用可能である。また、めっき液に供給する金属を含む粉体は、酸化銅に限らず、ニッケルなど種々の金属を含むことができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
【0068】
以下に本明細書が開示する形態のいくつかを記載しておく。
第1形態によれば、めっきに使用される金属を含む粉体をめっき液に供給する粉体供給装置が提供される。この粉体供給装置は、めっき液を収容するように構成されるめっき液タンクと、前記めっき液タンク内に前記粉体を投入するための投入配管と、気体を供給するための気体供給ラインと、前記気体供給ラインからの気体を受けて、前記めっき液タンクに向かう螺旋気流を前記投入配管の内部に生成するように構成される螺旋気流生成部品と、を有する。
【0069】
第2形態によれば、第1形態の粉体供給装置において、前記螺旋気流生成部品は、前記投入配管の内面と接触するように構成される外面を備えた筒状部材を有し、前記筒状部材は、前記めっき液タンク側の第1端部と、前記第1端部と逆側の第2端部とを備え、前記第1端部から前記第2端部に向かって延びる溝を前記外面に有し、前記気体供給ラインからの気体は、前記筒状部材の前記溝を通過するように構成される。
【0070】
第3形態によれば、第2形態の粉体供給装置において、前記溝は、前記筒状部材の軸方向に対して傾斜するように形成される。
【0071】
第4形態によれば、第2又は第3形態の粉体供給装置において、前記螺旋気流生成部品は、さらに、周方向に延びて前記溝と連通する空気流路と、前記気体供給ラインと接続され且つ前記空気流路と連通する空気注入口と、を有する。
【0072】
第5形態によれば、第1から第4形態のいずれかの粉体供給装置において、前記投入配管は、前記粉体が投入される入口開口端部と、前記粉体が出る出口開口端部と、を有し、前記螺旋気流生成部品は、前記投入配管の前記入口開口端部に設けられる。
【0073】
第6形態によれば、第1から第5形態のいずれかの粉体供給装置において、前記粉体を収容するように構成されるホッパと、前記ホッパの下部に設けられた開口から前記投入配
管に向かって、前記粉体を供給するように構成されるフィーダと、を有する。
【0074】
第7形態によれば、めっきに使用される金属を含む粉体をめっき液に供給する粉体供給装置が提供される。この粉体供給装置は、めっき液を収容するように構成されるめっき液タンクと、前記めっき液タンク内に前記粉体を投入するための投入配管と、前記投入配管の出口を覆うように筒状の前記めっき液のカーテンを生成するカーテン生成部品と、を有する。
【0075】
第8形態によれば、第7形態の粉体供給装置において、前記カーテン生成部品は、第1筒状部分と、前記第1筒状部分の外側に位置する第2筒状部分と、を有し、前記第1筒状部分と前記第2筒状部分との間に、前記めっき液を排出する排出口が形成され、前記排出口は、前記第1筒状部分と前記第2筒状部分との間に全周方向に延在し、前記カーテン生成部品の軸方向と直交する断面において、第1径方向幅を有する第1部分と、前記第1径方向幅よりも大きな第2径方向幅を有する第2部分とを有する。
【0076】
第9形態によれば、第8形態の粉体供給装置において、前記排出口は、複数の前記第2部分を有し、複数の前記第2部分は、周方向に略等間隔に配置される。
【0077】
第10形態によれば、第7形態の粉体供給装置において、前記カーテン生成部材は、第1筒状部分と、前記第1筒状部分の外側に位置する第2筒状部分と、前記第1筒状部分と前記第2筒状部分との間に形成される排出口とを有し、前記第1筒状部分と前記第2筒状部分との間に、前記排出口と連通して前記めっき液を排出する排出流路が形成され、前記第2筒状部分は、前記排出口に向かって前記第1筒状部分との距離が近くなるように傾斜したテーパ面をその内周面に有し、前記排出流路は、前記第2筒状部分の前記テーパ面により、前記排出口に向かって徐々に狭くなるように構成される。
【0078】
第11形態によれば、第10形態の粉体供給装置において、前記第1筒状部分は、前記排出口よりも前記めっき液タンク側に延びる。
【0079】
第12形態によれば、第8から第11形態のいずれかの粉体供給装置において、前記カーテン生成部材は、前記めっき液の入口と、前記入口と連通し、前記第1筒状部分と前記第2筒状部分との間を周方向に延びる第1周方向流路と、を有する。
【0080】
第13形態によれば、第12形態の粉体供給装置において、前記カーテン生成部材は、前記第1周方向流路と連通する、複数の軸方向流路を有する。
【0081】
第14形態によれば、第12形態の粉体供給装置において、前記カーテン生成部材は、前記軸方向流路の各々と連通し、前記第1筒状部分と第2筒状部分との間を周方向に延びる第2周方向流路を有し、前記第2周方向流路は、前記排出口と連通する。
【0082】
第15形態によれば、第13形態の粉体供給装置において、前記複数の軸方向流路は、前記排出流路と連通する。
【0083】
第16形態によれば、第7から第15形態のいずれかの粉体供給装置において、前記投入配管内に気体を供給するための気体供給ラインを有する。
【0084】
第17形態によれば、めっきに使用される金属を含む粉体をめっき液に供給する粉体供給装置が提供される。この粉体供給装置は、めっき液を収容するように構成されるめっき液タンクと、前記粉体を収容するホッパを有し、前記ホッパは、前記粉体を前記ホッパ内に投入するための投入口と、前記ホッパ内の気体を排出する排気口と、を有し、前記粉体
供給装置は、さらに、前記投入口と前記投入口に前記粉体を投入するための投入ノズルとの隙間から前記粉体が飛散することを防止するように構成される第1飛散防止部品と、前記排気口から前記粉体が飛散することを防止するように構成される第2飛散防止部品と、を有する。
【0085】
第18形態によれば、第17形態の粉体供給装置において、前記第1飛散防止部品は、ろ布フィルタを含み、前記投入口又は前記投入ノズルに取り付けられる。
【0086】
第19形態によれば、第17又は第18形態の粉体供給装置において、前記第2飛散防止部品は、ろ布フィルタを含み、前記排気口に取り付けられる。
【0087】
第20形態によれば、第17から第19形態のいずれかの粉体供給装置において、前記投入ノズルは、粉体を収容する粉体容器のノズルである。
【0088】
第21形態によれば、第17から第19形態のいずれかの粉体供給装置において、粉体を収容する粉体容器のノズルから投入される前記粉体を受けて、前記ホッパの投入口に前記粉体を投入する中間ノズルを有し、前記投入ノズルは、前記中間ノズルである。
【0089】
第22形態によれば、第21形態の粉体供給装置において、前記第1飛散防止部品は、前記中間ノズルに取り付けられ、前記粉体を前記ホッパに投入するときに、前記第1飛散防止部品が前記ホッパの前記投入口と接触するように構成される。
【0090】
第23形態によれば、めっきシステムが提供される。このめっきシステムは、第1から第22形態のいずれかの粉体供給装置と、基板をめっきするためのめっき槽と、前記粉体供給装置の前記めっき液タンクから前記めっき槽に延びるめっき液供給管と、を備える。
【符号の説明】
【0091】
2…めっき槽
20…粉体供給装置
29…投入配管
29a…入口開口端部
29b…出口開口端部
30…フィーダ
33…ホッパ
35…めっき液タンク
42…排気口
44…不活性ガス供給ライン
46…粉体導管
46a…ノズル
50…螺旋気流生成部品
51…筒状部材
53…第1端部
54…第2端部
55…溝
56…周方向段部
60…カーテン生成部品
62…第1筒状部分
63…第2筒状部分
64…入口
65…排出口
66…第1周方向流路
67…軸方向流路
68…第2周方向流路
69…排出流路
70…第2飛散防止部品
72…フィルタ
74…第1飛散防止部品
80…中間ノズル
82…ノズル部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13