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特許7127184めっき装置、基板ホルダ、抵抗測定モジュール、および基板ホルダを検査する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-19
(45)【発行日】2022-08-29
(54)【発明の名称】めっき装置、基板ホルダ、抵抗測定モジュール、および基板ホルダを検査する方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 21/12 20060101AFI20220822BHJP
   C25D 17/06 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
C25D21/12 C
C25D17/06 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021068922
(22)【出願日】2021-04-15
(62)【分割の表示】P 2017010459の分割
【原出願日】2017-01-24
(65)【公開番号】P2021105220
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】辻 一仁
(72)【発明者】
【氏名】長井 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】下山 正
(72)【発明者】
【氏名】藤方 淳平
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-218011(JP,A)
【文献】特開2000-319799(JP,A)
【文献】特開2015-200017(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0110512(US,A1)
【文献】米国特許第06755946(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板ホルダであって、
基板を保持するための保持面が設けられた、基板を支持するための基板支持部と、
保持された基板に電流を供給するための、基板に接触可能な電気接点と、
前記基板支持部の前記保持面上に配置されている電導プレートと、を有し、
基板ホルダが基板を保持していない状態において、前記電気接点と、前記電導プレートとが、接触可能に構成される、
基板ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載の基板ホルダであって、
保持された基板に電流を供給するための、基板に接触可能な複数の電気接点と、
前記基板支持部の前記保持面上に配置されている複数の電導プレートと、を有し、
基板ホルダが基板を保持していない状態において、前記複数の電気接点の各々と、前記複数の電導プレートの各々とが、接触可能に構成される、
基板ホルダ。
【請求項3】
基板ホルダを検査する方法であって、
前記基板ホルダは、
基板を保持するための保持面が設けられた、基板を支持するための基板支持部と、
保持された基板に電流を供給するための、基板に接触可能な電気接点と、
前記基板支持部の前記保持面上に配置されている電導プレートと、を有し、
基板ホルダが基板を保持していない状態において、前記電気接点と、前記電導プレートとが、接触可能に構成され、
前記方法は、前記電気接点と前記電導プレートとを接触させるステップと、
検査プローブを前記電導プレートに接触させるステップと、
前記電導プレートを介して前記電気接点と前記プローブとの間を流れる電流の抵抗値を測定するステップと、を有する、
方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
測定した抵抗値に基づいて、基板ホルダが使用可能か否かを判断するステップを有する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、めっき装置、基板ホルダ、抵抗測定モジュール、および基板ホルダを検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ等の基板を基板ホルダで保持し、基板をめっき槽内のめっき液中に浸漬させるめっき装置が知られている。図18に示すように、基板ホルダは、基板Wの周縁部に接触する複数の内部接点100と、これら内部接点100にそれぞれ接続された複数の外部接点101とを備えている。複数の内部接点100と複数の外部接点101とを接続する配線104は基板ホルダの内部に配置されている。外部接点101は、基板ホルダをめっき槽内の所定位置に配置した時に、電源105に接続された給電端子103に接触される。電流は外部接点101および内部接点100を通じて基板Wに流れ、めっき液の存在下で基板Wの表面に金属膜が形成される。
【0003】
ある内部接点100と基板Wとの間の電気抵抗(以下、単に内部接点100の電気抵抗という)が極端に高い、あるいは極端に低い場合、複数の内部接点100に流れる電流が不均一になり、基板面内の膜厚の均一性に問題が生じることがある。そこで、めっき対象物である基板を基板ホルダに保持した状態で、基板ホルダの内部接点から基板へ流れる電流に対する抵抗値を測定して、基板および基板ホルダの検査を行う技術がある(たとえば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-200017号公報
【文献】特開2005-146399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、基板ホルダにめっき対象物である基板が保持された状態において、基板ホルダの1つの電気接点から基板を通って基板ホルダの他の電気接点へ流れる電流に対する電気抵抗を測定する。電気抵抗が許容範囲内にあるときを正常な状態であるとし、電気抵抗が許容範囲にないときは基板または基板ホルダに異常があると判断される。電気抵抗が異常となるには主に2つの原因がある。1つは、基板側の要因である。たとえば、基板の表面に電導層(シード層)が均一に形成されていない場合や、基板にレジストを塗布する際に生じる不要物が基板上に残っている場合、基板の表面が酸化している場合などに電気抵抗の異常が生じ得る。もう一つは、基板ホルダ側の要因である。基板ホルダの内部接点が変形している場合や、レジストなどの異物が基板ホルダの内部接点に付着している場合や、めっき液が基板ホルダの内部接点に付着している場合、などに電気抵抗の異常が生じ得る。しかし、特許文献1に開示の方法では、電気抵抗に異常が発生した場合でも、その原因が基板にあるのか、基板ホルダにあるのかを判断することはできない。たとえば、基板ホルダに異常があり、基板そのものには異常がないならば、基板ホルダを交換することで、正常なめっき処理を行うことができる。また、基板に異常があり、基板ホルダに異常がない場合、基板を交換すれば他の基板は正常にめっき処理を行うことができる。しかし、そのような判断をするには、電気抵抗の異常の原因が基板側にあるのか、基板ホルダ側にあるのかを解明する必要がある。そこで、本願は、基板ホルダに生じた原因による電気抵抗の異常を検出できるようにすることを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[形態1]形態1によれば、基板ホルダの電気抵抗を測定するための抵抗測定モジュールが提供され、前記基板ホルダは、保持された基板に電流を供給するための、基板に接触可能な電気接点を有し、前記基板ホルダは、前記基板ホルダの電気抵抗を測定するための検査用基板を保持することができ、検査用基板を保持した状態において、前記電気接点が前記検査用基板に接触するように構成され、前記抵抗測定モジュールは、前記基板ホルダに保持された検査用基板に接触可能な検査プローブと、検査用基板を介して前記電気接点と前記プローブとの間に流れる電流の抵抗値を測定するための抵抗測定器と、を有する。形態1による抵抗測定モジュールによれば、基板ホルダの電気抵抗を測定することができ、基板ホルダの電気接点または電気経路の異常を検出することができる。
【0007】
[形態2]形態2によれば、形態1による抵抗測定モジュールにおいて、電気的に絶縁された複数の領域を備える、検査用基板を有する。
【0008】
[形態3]形態3によれば、形態2による抵抗測定モジュールにおいて、前記抵抗測定器は、前記検査用基板の前記複数の領域に前記検査プローブが接触可能に構成される。
【0009】
[形態4]形態4によれば、形態3による抵抗測定モジュールにおいて、前記抵抗測定器の前記検査プローブは、前記検査用基板の面内方向に移動可能に構成される。
【0010】
[形態5]形態5によれば、形態3による抵抗測定モジュールにおいて、前記抵抗測定器は、支持部材を有し、前記検査プローブは前記支持部材に取り付けられており、前記支持部材は、前記検査用基板の面に垂直な軸を中心として回転可能に構成される。
【0011】
[形態6]形態6によれば、形態3から形態5のいずれか1つの形態による抵抗測定モジュールにおいて、前記抵抗測定器は、複数の検査プローブを有し、前記複数の検査プローブの各々は、前記検査用基板の前記複数の領域の各々に接触可能に構成される。
【0012】
[形態7]形態7によれば、基板ホルダが提供され、かかる基板ホルダは、基板を支持するための基板支持部と、保持された基板に電流を供給するための、基板に接触可能な電気接点と、前記基板支持部の上に配置されている電導プレートと、を有し、基板ホルダが基板を保持していない状態において、前記電気接点と、前記電導プレートとが、接触可能に構成される。形態7によれば、基板ホルダの電気抵抗を測定することができ、基板ホルダの電気接点または電気経路の異常を検出することができる。また、検査用基板を使用せずに基板ホルダの電気接点または電気経路の異常を検出することができる。
【0013】
[形態8]形態8によれば、形態7による基板ホルダにおいて、保持された基板に電流を供給するための、基板に接触可能な複数の電気接点と、前記基板支持部の上に配置されている複数の電導プレートと、を有し、基板ホルダが基板を保持していない状態において、前記複数の電気接点の各々と、前記複数の電導プレートの各々とが、接触可能に構成される。
【0014】
[形態9]形態9によれば、基板ホルダを検査する方法が提供され、かかる方法は、前記基板ホルダに、検査用基板を保持させるステップと、前記基板ホルダに保持された基板に電流を供給するための、基板の接触可能な電気接点を前記検査用基板に接触させるステップと、前記検査用基板に検査プローブを接触させるステップと、検査用基板を介して前記電気接点と前記プローブとの間を流れる電流の抵抗値を測定するステップと、を有する。形態9の方法によれば、基板ホルダの電気抵抗を測定することができ、基板ホルダの電気接点または電気経路の異常を検出することができる。
【0015】
[形態10]形態10によれば、形態9による方法において、測定した抵抗値に基づいて、基板ホルダが使用可能か否かを判断するステップを有する。
【0016】
[形態11]形態11によれば、基板ホルダを検査する方法が提供され、かかる方法において、前記基板ホルダは、基板を支持するための基板支持部と、保持された基板に電流を供給するための、基板に接触可能な電気接点と、前記基板支持部の上に配置されている電導プレートと、を有し、基板ホルダが基板を保持していない状態において、前記電気接点と、前記電導プレートとが、接触可能に構成され、前記方法は、前記電気接点と前記電導プレートとを接触させるステップと、検査プローブを前記電導プレートに接触させるステップと、前記電導プレートを介して前記電気接点と前記プローブとの間を流れる電流の抵抗値を測定するステップと、を有する。形態11によれば、基板ホルダの電気抵抗を測定することができ、基板ホルダの電気接点または電気経路の異常を検出することができる。また、検査用基板を使用せずに基板ホルダの電気接点または電気経路の異常を検出することができる。
【0017】
[形態12]形態12によれば、形態11による方法において、測定した抵抗値に基づいて、基板ホルダが使用可能か否かを判断するステップを有する。
【0018】
[形態13]形態13によれば、めっき処理方法が提供され、かかる方法において、保持されるめっき対象となる基板に接触可能な複数の電気接点を有する基板ホルダ、前記複数の電気接点の数と同数の互いに電気的に絶縁された通電領域を備える導電部材、およびプローブを有する抵抗測定モジュール、を準備するステップと、前記基板ホルダがめっき対象の基板を保持していない状態において、前記複数の電気接点のそれぞれを前記複数の通電領域のそれぞれに接触させるステップと、前記複数の通電領域のそれぞれに前記プローブを接触させて、前記電気接点と前記プローブとの間に流れる電流の抵抗値を測定するステップと、測定した抵抗値に基づいて、基板ホルダが使用可能か否かを判断するステップと、使用可能と判定された基板ホルダにめっき対象となる基板を保持させるステップと、めっき対象の基板を保持した基板ホルダをめっき液に浸漬させて電解めっきを行うステップと、を有する。形態13の方法によれば、基板ホルダの電気抵抗を測定することができ、基板ホルダの電気接点または電気経路の異常を検出することができる。導電部材は、検査用基板としてもよく、または、基板ホルダに設けられた電導プレートとしてもよい。
【0019】
[形態14]形態14によれば、めっき処理装置の動作を制御するための制御装置により実行されたときに、前記制御装置が前記めっき処理装置を制御して、形態13に記載のめっき処理方法を実行させるプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。記録媒体は、任意の記録媒体とすることができ、たとえば、CD、DVD、ハードディスク、フラッシュメモリ、などの不揮発性の記録媒体とすることができる。
【0020】
[形態15]形態15によれば、コンピュータを含む制御装置に形態13に記載の方法を実行させるプログラムが提供される。
【0021】
[形態16]形態16によれば、めっき処理装置のメンテナンス方法が提供され、かかるメンテナンス方法は、めっき装置を基板ホルダの検査用のメンテナンスモードに切り替えるステップと、以下の(1)~(4)の手順:(1)基板ホルダを、抵抗測定モジュールに配置して基板ホルダの電気抵抗を測定する、(2)測定された電気抵抗を制御装置に伝達し、制御装置において、測定した基板ホルダの電気抵抗が所定の範囲内であるか否かを判断する検査を行う、(3)検査済の基板ホルダをストッカに配置する、(4)めっき装置内にある未検査の基板ホルダについて、検査が終了するまで、上記(1)~(3)の
処理を継続する、を行うステップと、検査で電気抵抗が所定の範囲内にないと判断された基板ホルダをメンテナンスするステップと、を有する。形態16のメンテナンス方法によれば、めっき処理装置に使用される基板ホルダの全ての検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態によるめっき装置の全体配置図である。
図2図1に示されるめっき装置で使用される、一実施形態による基板ホルダの斜視図である。
図3図2に示される基板ホルダの電気接点を示す断面図である。
図4】一実施形態による、抵抗測定モジュールを概略的に示す正面図である。
図5図4に示される抵抗測定モジュールの側面図である。
図6】一実施形態による、検査用基板を示す図である。
図7】一実施形態による検査プローブの移動機構を示す概略図である。
図8】一実施形態による検査プローブを示す概略図である。
図9】一実施形態による、検査用基板を保持する基板ホルダの電気抵抗を測定するときの状態を示す断面図である。
図10】一実施形態による基板ホルダを概略的に示す平面図である。
図11図10に示される基板ホルダの電気接点を示す断面図である。
図12図10に示される基板ホルダにおいて、第2保持部材66が閉じられ、電気抵抗を測定するときの状態を示す断面図である。
図13図10に示される基板ホルダにおいて、めっき対象物である基板を保持した状態を示す断面図である。
図14】一実施形態による、基板ホルダの検査方法のフローを示す図である。
図15】一実施形態による、基板ホルダの検査方法のフローを示す図である。
図16】一実施形態による、基板ホルダの検査方法のフローを示す図である。
図17】一実施形態による、基板ホルダの検査方法のフローを示す図である。
図18】基板ホルダの電気路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係るめっき装置、基板ホルダ、抵抗測定モジュール、および基板ホルダを検査する方法の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0024】
図1は、一実施形態によるめっき装置の全体配置図である。図1に示すように、このめっき装置は、基板ホルダ60に基板をロードし、又は基板ホルダ60から基板をアンロードするロード/アンロード部170Aと、基板を処理する処理部170Bとに大きく分けられる。
【0025】
ロード/アンロード部170Aには、3台のフープ(Front-Opening Unified Pod:FOUP)102と、基板のオリフラ(オリエンテーションフラット)やノッチなどの位置を所定の方向に合わせるアライナ40と、めっき処理後の基板を高速回転させて乾燥させるスピンリンスドライヤ20とが設けられる。フープ102は、半導体ウェハ等の複数の基板を多段に収納する。スピンリンスドライヤ20の近くには、基板ホルダ60を載置して基板の着脱を行うフィキシングユニット120が設けられている。これらのユニット102,40,20,120の中央には、これらのユニット間で基板を搬送する搬送用ロボットからなる基板搬送装置122が配置されている。
【0026】
フィキシングユニット120は、2個の基板ホルダ60を載置可能に構成される。フィ
キシングユニット120においては、一方の基板ホルダ60と基板搬送装置122との間で基板の受渡しが行われた後、他方の基板ホルダ60と基板搬送装置122との間で基板の受渡しが行われる。
【0027】
めっき装置の処理部170Bは、後述する抵抗測定モジュール200と、ストッカ124と、プリウェット槽126と、プリソーク槽128と、第1洗浄槽130aと、ブロー槽132と、第2洗浄槽130bと、めっき槽10と、を有する。抵抗測定モジュール200は、詳しくは後述するが、基板ホルダ60の電気抵抗を測定するモジュールである。ストッカ124では、基板ホルダ60の保管及び一時仮置きが行われる。プリウェット槽126では、基板が純水に浸漬される。プリソーク槽128では、基板の表面に形成したシード層等の導電層の表面にある酸化膜がエッチング除去される。第1洗浄槽130aでは、プリソーク後の基板が基板ホルダ60と共に洗浄液(純水等)で洗浄される。ブロー槽132では、洗浄後の基板の液切りが行われる。第2洗浄槽130bでは、めっき後の基板が基板ホルダ60と共に洗浄液で洗浄される。抵抗測定モジュール200、ストッカ124、プリウェット槽126、プリソーク槽128、第1洗浄槽130a、ブロー槽132、第2洗浄槽130b、及びめっき槽10は、この順に配置されている。
【0028】
めっき槽10は、例えば、オーバーフロー槽を備えた複数のめっきセル134を有する。各めっきセル134は、内部に一つの基板を収納し、内部に保持しためっき液中に基板を浸漬させる。めっきセル134において基板とアノードとの間に電圧を印加することにより、基板表面に銅めっき等のめっきが行われる。なお、例えば、TSV(Through Silicon Via)めっきの場合には、めっき前の基板の凹部に、バリア層および/または接着層(例えば、Ta、Ti、TiW、TiN、TaN、Ru、Co、Ni、Wなど)、並びに、シード層(Cu、Ru、Ni、Coなど)が形成されていてもよい。
【0029】
めっき装置は、これらの各機器の側方に位置して、これらの各機器の間で基板ホルダ60を基板とともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用した基板ホルダ搬送装置140を有する。この基板ホルダ搬送装置140は、第1トランスポータ142と、第2トランスポータ144を有している。第1トランスポータ142は、抵抗測定モジュール200、フィキシングユニット120、ストッカ124、プリウェット槽126、プリソーク槽128、第1洗浄槽130a、及びブロー槽132との間で基板を搬送するように構成される。第2トランスポータ144は、第1洗浄槽130a、第2洗浄槽130b、ブロー槽132、及びめっき槽10との間で基板を搬送するように構成される。他の実施形態では、めっき装置は、第1トランスポータ142及び第2トランスポータ144のいずれか一方のみを備えるようにし、いずれかのトランスポータが、抵抗測定モジュール200、フィキシングユニット120、ストッカ124、プリウェット槽126、プリソーク槽128、第1洗浄槽130a、第2洗浄槽130b、ブロー槽132、及びめっき槽10の間で基板を搬送するようにしてもよい。
【0030】
めっき装置は、めっき装置の全体の動作を制御するための制御装置500を備える。また、制御装置500は、後述の抵抗測定モジュール200の動作を制御するように構成される。制御装置500は、たとえば、入出力装置、表示装置、記憶装置などを備える汎用コンピュータまたは専用コンピュータなどから構成することができ、めっき装置の動作を制御するためのプログラムがインストールされているものとすることができる。また、制御装置500は、めっき装置をめっき処理モードと、メンテナンスモードとで動作させることができる。めっき処理モードは、基板のめっき処理を行うモードであり、メンテナンスモードはめっき装置のメンテナンス、たとえば基板ホルダのメンテナンスを行うためのモードとすることができる。
【0031】
図2図1に示しためっき装置で使用される基板ホルダ60の斜視図である。基板ホル
ダ60は、図2に示すように、例えば塩化ビニル製で矩形平板状の第1保持部材65と、この第1保持部材65にヒンジ63を介して開閉自在に取付けられた第2保持部材66とを有している。基板ホルダ60の第1保持部材65の略中央部には、基板を保持するための保持面68が設けられている。また、第1保持部材65の保持面68の外側には、保持面68の円周に沿って、内方に突出する突出部を有する逆L字状のクランパ67が等間隔に設けられている。
【0032】
基板ホルダ60の第1保持部材65の端部には、基板ホルダ60を搬送したり吊下げ支持したりする際の支持部となる一対の略T字状のハンド69が連結されている。図1に示したストッカ124内において、ストッカ124の周壁上面にハンド69を引っ掛けることで、基板ホルダ60が垂直に吊下げ支持される。また、この吊下げ支持された基板ホルダ60のハンド69を第1トランスポータ142又は第2トランスポータ144で把持して基板ホルダ60が搬送される。なお、抵抗測定モジュール200、プリウェット槽126、プリソーク槽128、洗浄槽130a,130b、ブロー槽132及びめっき槽10内においても、基板ホルダ60は、ハンド69を介してそれらの周壁に吊下げ支持される。
【0033】
また、ハンド69には、外部の電力供給部に接続するための外部接点71(図4参照)が設けられている。この外部接点71は、複数の配線を介して保持面68の外周に設けられた複数の電気接点73(図3参照)と電気的に接続されている。
【0034】
第2保持部材66は、ヒンジ63に固定された基部61と、基部61に固定されたリング状のシールホルダ62とを備えている。第2保持部材66のシールホルダ62には、シールホルダ62を第1保持部材65に押し付けて固定するための押えリング64が回転自在に装着されている。押えリング64は、その外周部において外方に突出する複数の突条部64aを有している。突条部64aの上面とクランパ67の内方突出部の下面は、回転方向に沿って互いに逆方向に傾斜するテーパ面を有する。
【0035】
基板を保持するときは、まず、第2保持部材66を開いた状態で、第1保持部材65の保持面68に基板を載置し、第2保持部材66を閉じる。続いて、押えリング64を時計回りに回転させて、押えリング64の突条部64aをクランパ67の内方突出部の内部(下側)に滑り込ませる。これにより、押えリング64とクランパ67にそれぞれ設けられたテーパ面を介して、第1保持部材65と第2保持部材66とが互いに締付けられてロックされ、基板が保持される。基板の保持を解除するときは、第1保持部材65と第2保持部材66とがロックされた状態において、押えリング64を反時計回りに回転させる。これにより、押えリング64の突条部64aが逆L字状のクランパ67から外されて、基板の保持が解除される。
【0036】
図3は、図2に示した基板ホルダ60の電気接点を示す断面図である。図3に示すように、第1保持部材65の保持面68には基板Wが載置されている。保持面68と第1保持部材65との間には、図2に示したハンド69に設けられた外部接点71から延びる複数の配線に接続された複数の(図示では1つの)電気接点73が配置されている。電気接点73は、第1保持部材65の保持面68上に基板Wを載置した際、この電気接点73の端部が基板Wの表面に接触するように基板Wの円周外側に複数配置されている。なお、基板Wの表面には導電層(シード層)が形成されており、基板Wが基板ホルダ60に保持されたときに電気接点73が基板Wの表面の導電膜に接触することで、基板Wに電流を流すことができる。
【0037】
シールホルダ62の、第1保持部材65と対向する面(図中下面)には、基板ホルダ60で基板Wを保持したときに基板Wの表面外周部に圧接されるシール部材70が取付けら
れている。また、基板ホルダ60で基板Wを保持したときにシールホルダ62の端部は、図3に示されるように第1保持部材65に圧接される。
【0038】
シール部材70およびシールホルダ62で挟まれた内部に、電気接点73が基板Wの円周に沿って複数配置されている。図2に示した第1保持部材65と第2保持部材66とがロックされると、図3に示すように、シールホルダ62が第1保持部材65に押圧され、シール部材70が基板Wの表面に押圧される。これにより、基板Wのエッジ部および電気接点73は、基板Wの被めっき面から隔離され、基板Wを保持した基板ホルダ60をめっき液に浸漬させてめっき処理するときに、電気接点73および基板のエッジ部はめっき液に触れることはない。
【0039】
面内均一性の良いめっきを実現するには、基板ホルダ60の複数の電気接点73に均一に電流が流れることが必要である。しかし、ある電気接点73の電気抵抗が大きいと、その電気接点73に流れる電流は減少し、その周囲の電気接点73を流れる電流値が上昇して、結果的にめっきが不均一になる。電気接点73の電気抵抗は、電気接点73に異物や酸化物が付着していたり、めっき液のもれにより電気接点73にめっき液が付着していたり、電気接点73の変形や取り付け不良により電気接点73が十分な接触面積で基板Wのシード層に接触していなかったり、電気接点73のコーティング材の剥がれによって、多くの場合、正常な状態よりも電気抵抗が大きくなる。
【0040】
そこで、本開示によるめっき装置は、基板ホルダ60の電気接点73の電気抵抗を測定するための、抵抗測定モジュール200を有する。図4は、一実施形態による、抵抗測定モジュール200を概略的に示す正面図である。図5は、図4に示される抵抗測定モジュール200の側面図である。図4に示されるように、抵抗測定モジュール200は、基板ホルダ60の抵抗測定用の測定槽202を備える。測定槽202の底部には、基板ホルダ60を固定するためのホルダ固定部204が設けられている。ホルダ固定部204は、基板ホルダ60が挿入される凹部とすることができる。なお、図4は、基板ホルダ60を測定槽202に配置する途中の段階を図示しており、図5は、基板ホルダ60が測定槽202に配置され、基板ホルダ60がホルダ固定部204に固定された状態を図示している。基板ホルダ60が測定槽202に設置されると、基板ホルダ60のハンド69に設けられた外部接点71が、抵抗測定器206の一端に接続される。
【0041】
抵抗測定モジュール200において、基板ホルダ60の抵抗値を測定するためには、基板ホルダ60に、抵抗測定用の検査用基板WTを保持させる。図6は検査用基板WTを示す図である。検査用基板WTは、めっき対象となる基板Wと同一の寸法である。また、検査用基板WTの表面には導電層(シード層)が形成されているか、または、検査用基板WTが電導性を有するように構成される。ただし、図6に示されるように検査用基板WTは、円周方向に電気的に複数の領域に分離されている。検査用基板WTの領域の数は、基板ホルダ60の電気接点73の数と同一とすることができる。図6の例では、検査用基板WTは12の領域に分割されている。検査用基板WTの各領域はそれぞれ電気的に絶縁されているので、基板ホルダ60のそれぞれの電気接点73から検査用基板WTの各領域に独立に電流を流すことができる。
【0042】
図4図5に示されるように、抵抗測定モジュール200は、抵抗測定器206を備える。抵抗測定器206は、一般的なデジタルマルチメータとすることができる。また、抵抗測定モジュール200は、基板ホルダ60に保持された検査用基板WTに接触可能な検査プローブ208を備える。検査プローブ208は、抵抗測定器206に接続される。図5に示されるように、検査用基板WTを保持した基板ホルダ60を測定槽202に配置した状態で、検査プローブ208を検査用基板WTの各領域に接触させることで、基板ホルダ60の電気抵抗を測定することができる。検査プローブ208を、検査用基板WTの各
領域に接触させることで、基板ホルダ60のそれぞれの電気接点73および各電気接点73から各外部接点71までの配線の電気抵抗を測定することができる。検査用基板WTの各領域の抵抗値を予め測定しておくことで、結果として、基板ホルダ60の電気抵抗を測定することができる。上述したように、基板ホルダ60の電気接点73に異物の付着や変形などの異常があると、電気接点73の電気抵抗が大きくなる。そのため、基板ホルダ60の電気抵抗を測定することで、基板ホルダ60の異常の有無を検査することができる。
【0043】
一実施形態において、抵抗測定モジュール200の検査プローブ208は、検査用基板WTの面内方向、特に検査用基板WTの周方向に移動可能に構成される。また、検査プローブ208は、検査用基板WTの面に垂直な方向に移動可能に構成される。図7は、一実施形態による検査プローブ208の移動機構を示す概略図である。図7に示されるように、検査プローブ208は、リング状の支持部材210に取り付けられている。図7の実施形態において、検査プローブ208は1つである。検査プローブ208は、先端が検査用基板WTに向くように支持部材210に取り付けられる。支持部材210は、スポーク212を介して中央のシャフト214に取り付けられている。シャフト214は、モータ216に接続されており、モータ216により回転可能である。したがって、検査プローブ208は、検査用基板WTの周方向に移動可能である。また、モータ216およびシャフト214は、空圧式あるいは油圧式の移動機構218に接続されており、支持部材210および検査プローブ208を検査用基板WTの面に垂直な方向に移動可能である。
【0044】
図8は、一実施形態による検査プローブ208を示す概略図である。図8に示されるように、検査プローブ208は、リング状の支持部材210に取り付けられている。図8の実施形態において、検査プローブ208は等間隔で12個設けられており、検査用基板WTの分割領域の数および基板ホルダ60の電気接点73の数に対応している。図8に示される実施形態において、12個の各検査プローブ208は、切替スイッチ220を介して抵抗測定器206に接続される。図8には図示していないが、図8の実施形態においても図7の実施形態と同様に、支持部材210を検査用基板WTの面に垂直な方向に移動させる移動機構218を備える。図8の実施形態による抵抗測定モジュール200においては、12個の各検査プローブ208を同時に検査用基板WTの各領域に同時に接触させることができる。切替スイッチ220により、配線の接続を切り替えながら基板ホルダ60の各電気接点73の電気抵抗を測定することができる。なお、図8の実施形態においても、図7の実施形態と同様に、検査プローブ208を保持する支持部材210を回転させる機構を備えるようにしてもよい。
【0045】
図9は、検査用基板WTを保持する基板ホルダ60の電気抵抗を測定するときの状態を示す断面図である。図9に示されるように、外部接点71から電気接点73および電導プレート75に電流を流して、検査プローブ208を介して抵抗測定器206により電気抵抗を測定することができる。
【0046】
一実施形態として、基板ホルダ60は、上述の実施形態とは異なり、検査用基板WTを使用せずに基板ホルダ60の電気接点73の電気抵抗を測定することができるように構成することができる。図10は、一実施形態による基板ホルダ60を概略的に示す平面図である。図10においては、主に基板ホルダ60の第1保持部材65を示しており、第2保持部材66は省略して示している。図11は、図10に示される基板ホルダ60の電気接点を示す断面図である。図11は、シールホルダ62を備える第2保持部材66が開いた状態を示している。図12は、図10に示される基板ホルダ60において、第2保持部材66が閉じられ、電気抵抗を測定するときの状態を示す断面図である。図13は、図10に示される基板ホルダ60において、めっき対象物である基板Wを保持した状態を示す断面図である。
【0047】
図10図13に示される基板ホルダ60は、基本的には図2図3に示される基板ホルダ60と同様の構造である。しかし、図10図13に示される基板ホルダ60は、図2図3に示される基板ホルダ60とは異なり、保持面68の上に電導プレート75が設けられている。電導プレート75は、図12に示されるように、基板Wが無い状態でシールホルダ62を備える第2保持部材66を閉じた状態において、電気接点73が電導プレート75に接触する位置に配置される。また、図10に示されるように、電導プレート75は12個設けられており、12個の電気接点73にそれぞれ電気的に独立して接触可能である。なお、本実施形態の基板ホルダは12個の電気接点を備えているが、基板全面に対して実質的に均一に給電することができるように複数個配置されていればよく、12個に限定されるものではない。電気接点の数と導電プレートの数とは、互いに同じとなるようにされている。基板ホルダ60の電気抵抗を測定するときは、図12に示されるように、基板Wが無い状態で第2保持部材66を閉じた状態において、電導プレート75に検査プローブ208を接触させる。この状態において、外部接点71から電流を電気接点73および電導プレート75に流して、検査プローブ208を介して抵抗測定器206により電気抵抗を測定することができる。検査プローブ208およびその支持構造および移動機構は、図4図5図7図8に示される実施形態と同様のものとすることができる。図10図13による基板ホルダ60によれば、検査用基板WTを使用せずに基板ホルダ60の電気抵抗を測定することができる。なお、導電プレートは複数でなくてもよく、全体的に又は部分的に、1つの電導プレート上で電気的に互いに絶縁され、かつ、電気接点の数と同数となる複数の領域を備えるようにした導電プレートとしてもよい。
【0048】
図14は、一実施形態による、基板ホルダの検査方法のフローを示す図である。図14は、基板Wのめっき処理を行う前に基板ホルダ60の検査を行う場合の検査方法を示している。図14に示される検査方法は、上述の実施形態によるめっき装置、基板ホルダ、検査用基板、抵抗測定モジュールを使用して行うことができる。
【0049】
まず、めっき対象物である基板Wのめっきを始める前に、検査用基板WTをアライナ40に配置する。検査用基板WTのアライナ40への配置は基板搬送装置122により行うことができる。アライナ40で検査用基板WTを所定の向きに合わせる(S100)。次に、フィキシングユニット120において、検査用基板WTを基板ホルダ60に保持させる(S102)。次に、検査用基板WTを保持した基板ホルダ60を抵抗測定モジュール200に配置する(S104)。より具体的には、第1トランスポータ142により、基板ホルダ60がホルダ固定部204に固定されるように測定槽202に配置する。次に、抵抗測定モジュール200において基板ホルダ60の電気抵抗を測定する(S106)。より具体的には、検査プローブ208を検査用基板WTに接触させて、基板ホルダ60の外部接点71から基板ホルダ60の内部の配線、電気接点73を通って検査用基板WTまでの電気経路の電気抵抗を測定する。電気抵抗は、基板ホルダ60の各電気接点73について測定される。換言すれば、検査用基板WTの各分割領域にそれぞれ検査プローブ208を接触させて基板ホルダ60の電気抵抗を測定する。抵抗測定モジュール200は、図7に示されるように、1つの検査プローブ208を備えるものを使用してもよく、または、図8に示されるように、複数の検査プローブ208を備えるものを使用してもよい。測定された電気抵抗は、制御装置500に伝達される。次に、制御装置500において、測定した基板ホルダ60の電気抵抗が所定の範囲内であるか否かを判断する(S108)。一実施形態において、所定の範囲は、正常な基板ホルダ60の電気抵抗を予め測定しておき、実測した正常な電気抵抗値に基づいて決定しておくことができる。たとえば、正常な基板ホルダ60の各電気接点73の抵抗の平均値から20%以内の範囲を所定の範囲とすることができる。判断の一例として、各電気接点73の全て抵抗値が所定の範囲内である場合に、正常な基板ホルダ60であると判断することができる。また、さらに、各電気接点73の抵抗値のばらつきが10%以内であるときに正常な基板ホルダ60であると判断してもよい。例えば、ばらつきは、最大値と最小値との差や、平均値からの最大乖離から
判断することができる。また、より高電流密度でめっきを行う場合ほど、各電気接点73の抵抗値のばらつきはより小さくした方が好ましい。さらに、各電気接点73の抵抗値を測定するときに、同一の電気接点73の抵抗値を複数回測定して、平均値をその各電気接点73における抵抗値としてもよい。S108において、基板ホルダ60の電気抵抗が所定の範囲にない場合、基板ホルダ60から検査用基板WTを取り外す(S110)。また、このとき、制御装置500は、アラームや警告表示などにより、基板ホルダ60に異常があることを使用者に知らせるようにしてもよい。電気抵抗が所定の範囲にない基板ホルダ60は、異常がある基板ホルダなので、めっき処理には使用できないので、基板ホルダ60をストッカ124に戻す(S112)。不合格の基板ホルダ60は、後にめっき処理に使用しないように、制御装置500に記憶させておくようにしてもよい。不合格の基板ホルダ60に対して、オフラインで洗浄処理などのメンテナンスを行うようにしてもよい。S112の後、新たな基板ホルダ60に検査用基板WTを保持させて(S102)、同様の検査を行う。S108において、基板ホルダ60の電気抵抗が所定の範囲にある場合、検査用基板WTを基板ホルダ60から取り外し(S114)、めっき対象である基板Wを同基板ホルダ60に保持させる(S116)。その後、基板ホルダ60に基板Wを保持したまま、後続のめっき処理を行う(S118)。
【0050】
このように、基板Wのめっき処理を行う前に、使用する基板ホルダ60の検査を行うことができる。そのため、基板ホルダ60の不良によるめっき処理の不具合を防止することができる。また、不合格となった基板ホルダ60については、オフラインでメンテナンスを行うことができるので、めっき処理自体は継続して行うことができる。
【0051】
図15は、一実施形態による、基板ホルダの検査方法のフローを示す図である。図15は、基板Wのめっき処理を行わずに、めっき装置をメンテナンスモードに切り替えて、同基板ホルダ60の検査のみを行う場合のフローを示している。図15に示される検査方法は、上述の実施形態によるめっき装置、基板ホルダ、検査用基板、抵抗測定モジュールを使用して行うことができる。
【0052】
まず、制御装置500において、めっき装置を基板ホルダ60の検査用のメンテナンスモードに切り替える。検査用基板WTをアライナ40に配置して、検査用基板WTを所定の向きに合わせる(S200)。次に、フィキシングユニット120において、検査用基板WTを基板ホルダ60に保持させる(S202)。次に、検査用基板WTを保持した基板ホルダ60を抵抗測定モジュール200に配置する(S204)。より具体的には、第1トランスポータ142により、基板ホルダ60がホルダ固定部204に固定されるように測定槽202に配置する。次に、抵抗測定モジュール200において基板ホルダ60の電気抵抗を測定する(S206)。より具体的には、検査プローブ208を検査用基板WTに接触させて、基板ホルダ60の外部接点71から基板ホルダ60の内部の配線、電気接点73を通って検査用基板WTまでの電気経路の電気抵抗を測定する。電気抵抗は、基板ホルダ60の各電気接点73について測定される。換言すれば、検査用基板WTの各分割領域にそれぞれ検査プローブ208を接触させて基板ホルダ60の電気抵抗を測定する。抵抗測定モジュール200は、図7に示されるように、1つの検査プローブ208を備えるものを使用してもよく、または、図8に示されるように、複数の検査プローブ208を備えるものを使用してもよい。測定された電気抵抗は、制御装置500に伝達される。次に、制御装置500において、測定した基板ホルダ60の電気抵抗が所定の範囲内であるか否かを判断する(S208)。一実施形態において、所定の範囲は、正常な基板ホルダ60の電気抵抗を予め測定しておき、実測した正常な電気抵抗に基づいて決定しておくことができる。たとえば、正常な基板ホルダ60の各電気接点73の抵抗の平均値から20%以内の範囲を所定の範囲とすることができる。判断の一例として、各電気接点73の全て抵抗値が所定の範囲内である場合に、正常な基板ホルダ60であると判断することができる。また、さらに、各電気接点73の抵抗値のばらつきが10%以内であるときに正
常な基板ホルダ60であると判断してもよい。例えば、ばらつきは、最大値と最小値との差や、平均値からの最大乖離から判断することができる。また、より高電流密度でめっきを行う場合ほど、各電気接点73の抵抗値のばらつきはより小さくした方が好ましい。さらに、各電気接点73の抵抗値を測定するときに、同一の電気接点73の抵抗値を複数回測定して、平均値をその各電気接点73における抵抗値としてもよい。制御装置500において、S208の検査結果を記憶する。S208において、基板ホルダ60の電気抵抗が所定の範囲にない場合、制御装置500は、アラームや警告表示などにより、基板ホルダ60に異常があることを使用者に知らせるようにしてもよい。S208の判断が終わると、検査用基板WTを基板ホルダ60から取り外し(S210)、検査済の基板ホルダ60をストッカ124に配置する(S212)。その後、検査用基板WTを次の基板ホルダ60に保持させて、同様の検査を繰り返す。全ての基板ホルダ60の検査が終了したら、めっき装置のメンテナンスモードを終了させる。
【0053】
かかる検査方法においては、めっき装置内の全ての基板ホルダ60の検査を行うことができる。検査で異常のある基板ホルダ60については、洗浄処理などのメンテナンスを個別に行うことができる。たとえば、検査で異常のなかった基板ホルダ60のみをめっき装置に残して、めっき処理を行い、一方で、異常の見つかった基板ホルダ60については、オフラインでメンテナンスを行うことができる。
【0054】
図16は、一実施形態による、基板ホルダの検査方法のフローを示す図である。図16は、基板Wのめっき処理を行う前に基板ホルダ60の検査を行う場合の検査方法を示している。また、図16は、検査用基板WTを使用せずに、たとえば、図10図13に示される基板ホルダ60の検査を行うフローを示している。
【0055】
まず、めっき対象物である基板Wのめっきを始める前に、基板ホルダ60を抵抗測定モジュール200に配置する(S300)。より具体的には、第1トランスポータ142により、基板ホルダ60がホルダ固定部204に固定されるように測定槽202に配置する。次に、抵抗測定モジュール200において基板ホルダ60の電気抵抗を測定する(S302)。より具体的には、検査プローブ208を基板ホルダ60の電導プレート75に接触させて、基板ホルダ60の外部接点71から基板ホルダ60の内部の配線、電気接点73を通って電導プレート75までの電気経路の電気抵抗を測定する。電気抵抗は、基板ホルダ60の各電気接点73について測定される。抵抗測定モジュール200は、図7に示されるように、1つの検査プローブ208を備えるものを使用してもよく、または、図8に示されるように、複数の検査プローブ208を備えるものを使用してもよい。測定された電気抵抗は、制御装置500に伝達される。次に、制御装置500において、測定した基板ホルダ60の電気抵抗が所定の範囲内であるか否かを判断する(S304)。一実施形態において、所定の範囲は、正常な基板ホルダ60の電気抵抗を予め測定しておき、実測した正常な電気抵抗に基づいて決定しておくことができる。たとえば、正常な基板ホルダ60の各電気接点73の抵抗の平均値から20%以内の範囲を所定の範囲とすることができる。判断の一例として、各電気接点73の全て抵抗値が所定の範囲内である場合に、正常な基板ホルダ60であると判断することができる。また、さらに、各電気接点73の抵抗値のばらつきが10%以内であるときに正常な基板ホルダ60であると判断してもよい。例えば、ばらつきは、最大値と最小値との差や、平均値からの最大乖離から判断することができる。また、より高電流密度でめっきを行う場合ほど、各電気接点73の抵抗値のばらつきはより小さくした方が好ましい。さらに、各電気接点73の抵抗値を測定するときに、同一の電気接点73の抵抗値を複数回測定して、平均値をその各電気接点73における抵抗値としてもよい。S304において、基板ホルダ60の電気抵抗が所定の範囲にない場合、異常がある基板ホルダと判断し、めっき処理には使用できないので、基板ホルダ60をストッカ124に戻す(S306)。また、このとき、制御装置500は、アラームや警告表示などにより、基板ホルダ60に異常があることを使用者に知らせるよう
にしてもよい。不合格の基板ホルダ60は、後にめっき処理に使用しないように、制御装置500に記憶させておくようにしてもよい。不合格の基板ホルダ60に対して、オフラインで洗浄処理などのメンテナンスを行うようにしてもよい。S306の後、新たな基板ホルダ60を抵抗測定モジュール200に配置して、同様の検査を行う。S304において、基板ホルダ60の電気抵抗が所定の範囲にある場合、めっき対象である基板Wを同基板ホルダ60に保持させる(S308)。その後、基板ホルダ60に基板Wを保持したまま、後続のめっき処理を行う(S310)。
【0056】
このように、基板Wのめっき処理を行う前に、使用する基板ホルダ60の検査を行うことができる。そのため、基板ホルダ60の不良によるめっき処理の不具合を防止することができる。また、不合格となった基板ホルダ60については、オフラインでメンテナンスを行うことができるので、めっき処理自体は継続して行うことができる。また、検査用基板WTを使用しないので、検査用基板WTを保持/解放するための時間を必要としない。
【0057】
図17は、一実施形態による、基板ホルダの検査方法のフローを示す図である。図17は、基板Wのめっき処理を行わずに、めっき装置をメンテナンスモードに切り替えて、同基板ホルダ60の検査のみを行う場合のフローを示している。また、図17は、検査用基板WTを使用せずに、たとえば、図10図13に示される基板ホルダ60の検査を行うフローを示している。
【0058】
まず、制御装置500において、めっき装置を基板ホルダ60の検査用のメンテナンスモードに切り替える。まず、基板ホルダ60を抵抗測定モジュール200に配置する(S400)。より具体的には、第1トランスポータ142により、基板ホルダ60がホルダ固定部204に固定されるように測定槽202に配置する。次に、抵抗測定モジュール200において基板ホルダ60の電気抵抗を測定する(S402)。より具体的には、検査プローブ208を基板ホルダ60の電導プレート75に接触させて、基板ホルダ60の外部接点71から基板ホルダ60の内部の配線、電気接点73を通って電導プレート75までの電気経路の電気抵抗を測定する。電気抵抗は、基板ホルダ60の各電気接点73について測定される。抵抗測定モジュール200は、図7に示されるように、1つの検査プローブ208を備えるものを使用してもよく、または、図8に示されるように、複数の検査プローブ208を備えるものを使用してもよい。測定された電気抵抗は、制御装置500に伝達される。次に、制御装置500において、測定した基板ホルダ60の電気抵抗が所定の範囲内であるか否かを判断する(S404)。一実施形態において、所定の範囲は、正常な基板ホルダ60の電気抵抗を予め測定しておき、実測した正常な電気抵抗に基づいて決定しておくことができる。たとえば、正常な基板ホルダ60の各電気接点73の抵抗の平均値から20%以内の範囲を所定の範囲とすることができる。判断の一例として、各電気接点73の全て抵抗値が所定の範囲内である場合に、正常な基板ホルダ60であると判断することができる。また、さらに、各電気接点73の抵抗値のばらつきが10%以内であるときに正常な基板ホルダ60であると判断してもよい。例えば、ばらつきは、最大値と最小値との差や、平均値からの最大乖離から判断することができる。また、より高電流密度でめっきを行う場合ほど、各電気接点73の抵抗値のばらつきはより小さくした方が好ましい。さらに、各電気接点73の抵抗値を測定するときに、同一の電気接点73の抵抗値を複数回測定して、平均値をその各電気接点73における抵抗値としてもよい。制御装置500において、S404の検査結果を記憶する。S404において、基板ホルダ60の電気抵抗が所定の範囲にない場合、制御装置500は、アラームや警告表示などにより、基板ホルダ60に異常があることを使用者に知らせるようにしてもよい。S404の検査が終わると、検査済の基板ホルダ60をストッカ124に配置する(S406)。その後、次の基板ホルダ60に対して、同様の検査を繰り返す。全ての基板ホルダ60の検査が終了したら、めっき装置のメンテナンスモードを終了させる。
【0059】
かかる検査方法においては、めっき装置内の全ての基板ホルダ60の検査を行うことができる。検査で異常のある基板ホルダ60については、洗浄処理などのメンテナンスを個別に行うことができる。たとえば、検査で異常のなかった基板ホルダ60のみをめっき装置に残して、めっき処理を行い、一方で、異常の見つかった基板ホルダ60については、オフラインでメンテナンスを行うことができる。また、検査用基板WTを使用しないので、検査用基板WTを保持/解放するための時間を必要としない。
【0060】
以上、いくつかの例に基づいて本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0061】
40…アライナ
60…基板ホルダ
71…外部接点
73…電気接点
75…電導プレート
200…抵抗測定モジュール
202…測定槽
204…ホルダ固定部
206…抵抗測定器
208…検査プローブ
210…支持部材
220…切替スイッチ
500…制御装置
W…基板
WT…検査用基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18