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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20220823BHJP
   B61D 19/02 20060101ALI20220823BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20220823BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220823BHJP
   E05F 15/42 20150101ALI20220823BHJP
   G01L 1/00 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G01L5/00 Z
B61D19/02 T
B60J5/00 D
B60R16/02 650J
E05F15/42
G01L1/00 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018112087
(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2019215228
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-01-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(72)【発明者】
【氏名】秋元 克弥
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀一
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 賢司
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00489610(EP,A1)
【文献】特開2014-216300(JP,A)
【文献】特開平10-009983(JP,A)
【文献】特開平11-170860(JP,A)
【文献】米国特許第05192837(US,A)
【文献】特開2013-006469(JP,A)
【文献】特開2000-009554(JP,A)
【文献】特開2011-016419(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1288420(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/28,1/00,1/20
B60J 5/00-5/14,
B60R 16/00-17/02,
B61D 17/00-49/00,
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検知部材と、前記複数の検知部材を覆い、車両の扉の側面に取り付けられる変形可能なカバー部材とを備え、物体の挟み込みを検知する挟み込み検知センサと、
前記挟み込み検知センサに接続され、検出モードが指定されたとき、前記挟み込み検知センサにより検知された結果に従った検出信号を出力し、診断モードが指定されたとき、前記挟み込み検知センサの故障に従った診断信号を出力する検出部と、
を備える、検出装置において、
前記複数の検知部材は、前記挟み込み検知センサの延在方向に延在し、一方向性素子により、それぞれの第1端部が接続された一対の電極線を備え、前記カバー部材の中心線に対して前記車両の内側に位置する第1の感圧検知部材と、前記中心線上に配置される第2の感圧検知部材と、前記中心線に対して前記車両の外側に位置する第3の感圧検知部材とからなり、
前記検出部は、前記一対の電極線の第2端部に接続され、前記診断モードが指定されたとき、前記一対の電極線における断線の有無に従った診断信号を出力し、
前記検出部は、
前記一対の電極線のうちの一方の電極線に接続された検出回路と、
前記一対の電極線のうちの一方の電極線の第2端部に接続され、前記一方の電極線の第2端部に、第1電圧または第2電圧を供給する第1バイアス回路と、
前記一対の電極線のうちの他方の電極線の第2端部に接続され、前記他方の電極線の第2端部に、第2電圧または第1電圧を供給する第2バイアス回路と、
前記検出モードおよび前記診断モードを指定するモード信号に従って、前記第1バイアス回路および第2バイアス回路を制御するモード切換回路と、
を備え、
前記検出モードのときには、前記一方向性素子が逆方向にバイアスされるように、前記第1バイアス回路および第2バイアス回路が、前記一対の電極線に電圧を供給し、前記診断モードのときには、前記一方向性素子が順方向にバイアスされるように、前記第1バイアス回路および第2バイアス回路が、前記一対の電極線に電圧を供給し、
前記第1バイアス回路は、前記第1電圧と前記第2電圧との間に直列的に接続された第1スイッチと第2スイッチと、前記第1スイッチと前記第2スイッチとを接続する接続ノードと前記一方の電極線の第2端部との間に接続された第1抵抗素子とを備え、
前記第2バイアス回路は、前記第2電圧と前記第1電圧との間に直列的に接続された第3スイッチと第4スイッチと、前記第3スイッチと前記第4スイッチとを接続する接続ノードと前記他方の電極線の第2端部との間に接続された第2抵抗素子とを備え、
前記第1抵抗素子は、プルアップ抵抗であり、
前記第2抵抗素子は、プルダウン抵抗であり、
前記検出回路は、前記第1の感圧検知部材、前記第2の感圧検知部材及び前記第3の感圧検知部材の出力電圧の組み合わせに応じて、前記物体の挟み込みの状態、前記物体の前記扉の面に対して斜め方向への引き抜きが発生している状態、前記物体の前記扉の面に対して垂直方向の引き抜きが発生している状態を判定する、
検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出装置において、
前記モード切換回路は、モード信号に従って、前記第1スイッチと前記第2スイッチとを相補的にオン状態に制御し、前記第3スイッチと前記第4スイッチとを相補的にオン状態に制御する、
検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検出装置において、
前記検出回路は、前記一方の電極線に接続された入力端子と前記第1電圧が供給される入力端子とを備えた比較回路を備え、
前記第1電圧は、電圧可変回路から供給される可変電圧である、
検出装置。
【請求項4】
請求項1に記載の検出装置において、
前記挟み込み検知センサは、前記挟み込み検知センサの延在方向に延在する複数の検知部材を備え、
前記複数の検知部材のそれぞれは、一方向性素子により、それぞれの第1端部が接続された一対の電極線を備え、
前記検出部は、前記一対の電極線の第2端部に接続され、前記診断モードが指定されたとき、前記複数の検知部材における一対の電極線の断線の有無に従った診断信号を出力し、前記検出モードが指定されたとき、前記複数の検知部材における一対の電極線の電圧の組み合わせに応じた状態を出力する、検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検出装置において、
前記複数の検知部材のそれぞれは、互いに離間した4つの電極線を備え、
前記一対の電極線のそれぞれは、前記4つの電極線のうちの2つの電極線を接続することにより構成されている、検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関し、例えば車両に設置された挟み込み検知センサと検出部とを備えた検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に設置される挟み込み検知センサに関する技術が、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1には、互いに離間して配置された複数の電極線を有する管状部材を備えた挟み込み検知センサが記載されている。物体(以下、乗客、荷物等を含む)が挟み込まれると、外力により管状部材が潰れるように変形し、電極線が接触することにより、検出部が挟み込みを示す検出信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-216300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
挟み込み検知センサは、例えば、自動車のスライドドア、鉄道車両の扉に沿って延在するように、設置されるため、電極線は比較的長くなる。そのため、電極線が断線することが考えられる。電極線に断線が発生すると、検出部に対して断線部よりも遠端の電極線部分が接触しても、検出部は挟み込みを示す検出信号を出力しない。安全性を担保するためには、挟み込み検知センサを診断し、断線等の挟み込み検知センサの故障を把握することが重要である。
【0005】
特許文献1には、挟み込み検知センサの故障は、認識も記載もされていない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、挟み込み検知センサを用いて、挟み込みを検知することができるとともに、挟み込み検知センサの診断も可能な技術を提供することを目的としている。また、挟み込み検知センサの診断を、低消費電力で実施することが可能な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0008】
すなわち、一実施の形態に係わる検出装置は、検知部材を備えた挟み込み検知センサと、挟み込み検知センサに接続され、検出モードが指定されたとき、挟み込み検知センサにより検知された結果に従った検出信号を出力し、診断モードが指定されたとき、挟み込み検知センサの故障に従った診断信号を出力する検出部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0010】
すなわち、物体の挟み込みの検知と、挟み込み検知センサの診断とを実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係わる検出装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係わる挟み込み検知センサの断面図である。
図3】(A)および(B)は、実施の形態1に係わる挟み込み検知センサの斜視図である。
図4】実施の形態1に係わる挟み込み検知センサの状態を説明する断面図である。
図5】実施の形態1に係わる挟み込み検知センサの状態を説明する断面図である。
図6】実施の形態1に係わる挟み込み検知センサの状態を説明する断面図である。
図7】実施の形態1に係わる検出装置の動作を説明するための図である。
図8】実施の形態1に係わる検出モードおよび診断モードでの判定を説明するための図である。
図9】実施の形態2に係わる検出部の構成を示すブロック図である。
図10】(A)および(B)は、実施の形態1に係わる検出装置が設置された鉄道車両の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまでも一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0013】
また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0014】
(実施の形態1)
図10は、実施の形態1に係わる検出装置が設置された鉄道車両の構成を示す模式図である。図10(A)は、鉄道車両100を、車両の外側から見た側面図を示している。図10(A)において、101は、車両の出入口を示している。車両には、複数の出入口があるが、同図には2つの出入口が描かれている。車両のそれぞれの出入口101には、可動式の扉101-Aおよび101-Bが設置されている。
【0015】
同図において、103は、扉101-Bの側面に取り付けられた挟み込み検知センサを示し、104は、扉101-Aの側面に取り付けられた挟み込み検知センサを示している。扉101-Aおよび101-Bは、図10(A)において矢印101Dで示す方向に移動することにより、開閉する。扉101-Aと101-Bとが閉じたときには、扉101-A、101-Bの側面に取り付けられた挟み込み検知センサ103と104とが、当接する。なお、同図において、102は、扉101-A、101-Bに設けられた窓を示している。
【0016】
挟み込み検知センサ103は、物体が、挟み込み検知センサ103と104との間に挟み込まれているとき、および挟み込まれた物体が引き抜かれているとき、変形し、検出信号を検出部105へ出力する。特に制限されないが、実施の形態1において、挟み込み検知センサ104は、ダミーの挟み込み検知センサによって構成されている。挟み込み検知センサ104も、物体が挟み込み検知センサ103と104との間に挟み込まれているとき、および挟み込まれた物体が引き抜かれているときに、変形するが、検出信号は出力しない。挟み込み検知センサ104を、ダミーの挟み込み検知センサにより構成することにより、後述の感圧検知部材を使用しない分、挟み込みの検知に費やされる費用を抑制することが可能である。
【0017】
検出部105は、出入口101に設置された扉103、104ごとに設けられている。検出部105には、鉄道車両100に敷設された配線106を介して、検出モードおよび診断モードのうちのいずれかを示すモード信号が供給される。モード信号によって検出モードが指定されている場合、検出部105は、対応する挟み込み検知センサ103の状態に基づいて、挟み込み、引き抜き等を判定し、判定結果を検出信号として配線106に出力する。これに対して、モード信号によって、診断モードが指定されている場合、検出部105は、対応する挟み込み検知センサ103の故障を診断し、診断結果を診断信号として配線106に出力する。
【0018】
配線106は、特に制限されないが、鉄道車両100の車掌室または/および運転室に設けられた操作および報知部(以下、操作/報知部と呼ぶ)107に接続されている。車掌または/および運転手は、操作/報知部107を用いて、扉ごとに設けられた検出部105、あるいは全ての検知部105に対して、診断モードまたは検知モードを指定するモード信号を供給する。モード信号によって、検出モードを指定した場合、操作/報知部107は、配線106を介して供給された検出信号に応じた報知を行う。一方、モード信号によって、診断モードを指定した場合、操作/報知部107は、配線106を介して供給された診断信号に応じた報知を行う。
【0019】
図10(B)は、図10(A)において、A-Aの断面を示す断面図である。図10(B)には、扉101-Aと101-Bが閉じた状態のときの扉の断面が、描かれている。図10に示した矢印X、YおよびZは、座標軸を示している。図10(B)に示すように、扉101-A、101-Bを基準として、Z座標が増加する方向が、車両の外側(車両外側)であり、反対側が、車両の内側(車両内側)である。
【0020】
扉101-Bは、車両外側に対向した外側面110と、車両内側に対向した内側面112と、挟み込み検知センサ103が設置された側面111とを備えている。扉101-Aも、扉101-Bと同様に、外側面110、内側面112および挟み込み検知センサ104が設置された側面111を備えている。
【0021】
実施の形態においては、引き抜きが、2種類に分けて、判定される。図10(B)を用いて、判定される2種類の引き抜きを説明する。引き抜きは、扉101-Aと101-Bとの間に挟み込まれた物体を、扉101-A、101-Bの面(外側面110および内側面112)に対して垂直の方向へ引き抜く「垂直方向の引き抜き」と、扉101-A、101-Bの面に対して斜めの方向に引き抜く「斜め方向の引き抜き」に分けて、判定される。図10(B)で説明すると、垂直方向の引き抜きは、扉101-Aと101-Bとの間に挟み込まれた物体を、外側面110と垂直な方向101Pに引き抜くものである。これに対して、斜め方向への引き抜きは、挟み込まれた物体を、外側面110との間で角度αの方向101Rに引き抜くものである。この角度αは、90度を除く、0度から180度の範囲で、例えば0度~60度程度である。
【0022】
垂直方向の引き抜きは、例えば鉄道車両100が停車しているときに、扉101-Aと101-Bとの間に挟み込まれた物体を引き抜く操作が行われたときに発生する。これに対して、斜め方向の引き抜きは、走行中の鉄道車両100から、挟み込まれた物体を引き抜く操作が行われたときに発生する。例えば、人が、走行中の鉄道車両100に引きずられながらから、挟み込まれた物体を引き抜くような操作が行われた場合に、斜め方向の引き抜きが発生する。そのため、斜め方向の引き抜きは、引きずりと見なすことができる。
【0023】
車両外側への引き抜きを例にして説明したが、車両内側への引き抜きも、同様に、垂直方向の引き抜きと斜め方向の引き抜きに分けることができる。
【0024】
<検出装置の基本的構成>
図1は、実施の形態1に係わる検出装置の構成を示すブロック図である。検出装置1は、挟み込み検知センサ103と検出部105を備えている。
【0025】
後で、図2を用いて詳しく説明するが、挟み込み検知センサ103は、3個の感圧検知部材(以下、検知部材とも称する)を備えている。感圧検知部材のそれぞれは、一対の電極線と一方向性素子とを備えており、挟み込みを検知するセンサとして機能する。図1には、3個の感圧検知部材により構成される3個のセンサが、符号SN1~SN3として示されている。センサSN1~SN3は、互いに同じ構成であるため、ここではセンサSN1を例にして、その構成を説明する。
【0026】
センサSN1は、一対の電極線SNL1、SNL2と、電極線SNL1およびSNL2のぞれぞれの第1端部N11、N21間に接続された一方向性素子を備えている。実施の形態1においては、一方向性素子は、ダイオードDTによって構成されている。ダイオードDTのアノードは、電極線SNL1の第1端部N11に接続され、ダイオードDTのカソードは、電極線SNL2の第1端部N21に接続されている。検出モードのとき、ダイオードDTは、電流が流れないように逆方向にバイアスされる。これにより、検出モードのときに、ダイオードDTは、終端抵抗として機能する。これに対して、診断モードのとき、ダイオードDTは、電流が流れるように順方向にバイアスされる。なお、電極線SNL1およびSNL2に付されている符号ED1~ED4、ED12およびED34については、後で図3を用いて説明する。
【0027】
検出部105は、特に制限されないが3個のバイアス回路BC1~BC3と、電圧検出判定回路(以下、電圧検出回路または検出回路とも称する)2と、モード切換回路3を備えている。バイアス回路BC1~BC3は、対応する感圧検知部材に接続されている。また、電圧検出回路2は、3個の感圧検知部材により構成された3個のセンサSN1~SN3に接続されている。3個のバイアス回路BC1~BC3も、互いに同じ構成であるため、センサSN1に対応するバイアス回路BC1を例にして、バイアス回路の構成を説明する。なお、3個のセンサSN1~SN3を個別に述べる場合には、センサSN1を第1センサSN1と称し、センサSN2を第2センサSN2と称し、センサSN3を第3センサSN3と称する。
【0028】
バイアス回路BC1は、一対の電極線SNL1、SNL2に接続された第1バイアス回路BCK1および第2バイアス回路BCK2を備えている。第1バイアス回路BCK1は、第1電圧Vdと第2電圧Vsとの間に直列的に接続された第1スイッチSW10および第2スイッチSW11と、第1スイッチSW10と第2スイッチSW11とを接続する接続ノードと電極線SNL1の第2端部N12との間に接続されたプルアップ抵抗(抵抗素子)R1を備えている。また、第2バイアス回路BCK2は、第1電圧Vdと第2電圧Vsとの間に直列的に接続された第3スイッチSW20および第4スイッチSW21と、第3スイッチSW20と第4スイッチSW21とを接続する接続ノードと電極線SNL2の第2端部N22との間に接続されたプルダウン抵抗(抵抗素子)R2を備えている。
【0029】
第1電圧Vdは、例えば電源電圧であり、第2電圧Vsは、接地電圧である。また、第1端部N11および第2端部N12のそれぞれは、電極線SNL1の端部であり、第1端部N21および第2端部N22のそれぞれは、電極線SNL2の端部である。
【0030】
第1スイッチSW10~第4スイッチSW21は、内部モード信号MODI、MODTによって、オン状態またはオフ状態に制御される。すなわち、第1スイッチSW10と第4スイッチSW21は、内部モード信号MODIによってスイッチング制御され、第2スイッチSW11と第3スイッチSW20は、内部モード信号MODTによってスイッチング制御される。内部モード信号MODTは、内部モード信号MODIに対して位相反転された信号である。これにより、内部モード信号MODIおよび内部モード信号MODTに従って、第1バイアス回路BCK1においては、第1スイッチSW10と第2スイッチSW11が、相補的にオン状態またはオフ状態となる。同様に、内部モード信号MODI、MODTに従って、第2バイアス回路BCK2においても、第3スイッチSW20と第4スイッチSW21が、相補的にオン状態またはオフ状態となる。
【0031】
この場合、内部モード信号MODIに従って、第1電圧Vdとプルアップ抵抗R1との間に接続された第1スイッチSW10と、第2電圧Vsとプルダウン抵抗R2との間に接続された第4スイッチSW21とが、同期してオン状態またはオフ状態となる。同様に、内部モード信号MODTに従って、第2電圧Vsとプルアップ抵抗R1との間に接続された第2スイッチSW11と、第1電圧Vdとプルダウン抵抗R2との間に接続された第3スイッチSW20とが、同期してオン状態またはオフ状態となる。
【0032】
モード切換回路3は、配線106(図10)を介して、操作/報知部107(図10)から、モード信号MODが供給される。このモード信号MODの電圧により、検出装置1のモードが、検出モードまたは診断モードに指定される。モード切換回路3は、モード信号MODに基づいて、内部モード信号MODIおよびMODTを生成する。特に制限されないが、モード切換回路3は、供給されたモード信号MODを内部モード信号MODIとして生成し、モード信号MODを位相反転して、内部モード信号MODTを生成する。
【0033】
図1に示した第1スイッチSW10~第4スイッチSW21は、供給されている内部モード信号がハイレベル(第1電圧Vdに相当)のときにオン状態となり、内部モード信号がロウレベル(第2電圧Vsに相当)のときにオフ状態となる。検出モードは、モード信号MODをハイレベルにすることにより、指定される。また、診断モードは、モード信号MODをロウレベルにすることにより、指定される。
【0034】
電圧検出回路2は、センサSN1~SN3における電極線SNL1の電圧を検出し、検出した電圧に基づいた判定結果および診断結果を、配線106を介して、操作/報知部107へ出力する。より具体的に述べると、電圧検出回路2には、モード信号MODが供給されているとともに、センサSN1~SN3における電極線SNL1の第2端部N12が接続されている。電圧検出回路2は、モード信号MODによって検出モードが指定されている場合、センサSN1~SN3のそれぞれにおける第2端部N12の電圧の組み合わせに対応した状態を、判定結果とし、検出信号DSENとして出力する。これに対して、モード信号MODによって診断モードが指定されている場合、電圧検出回路2は、センサSN1~SN3のそれぞれにおける第2端部N12の電圧が、所定の電圧(しきい値電圧)を超えているか否かを判定し、判定結果を診断信号FAILとして出力する。この場合、診断信号FAILは、センサSN1~SN3ごとに出力される。
【0035】
<挟み込み検知センサ>
次に、挟み込み検知センサ103の構造を説明する。図2は、実施の形態1に係わる挟み込み検知センサの断面図である。図3は、実施の形態1に係わる挟み込み検知センサの斜視図である。ここで、図3(A)は、挟み込み検知センサ103の斜視図であり、図3(B)は、挟み込み検知センサ103に備えられる感圧検知部材の斜視図である。図2は、図3(A)において、B-B断面から見た断面図である。
【0036】
挟み込み検知センサ103は、扉101-Bの延在方向Yに沿って延在し、扉101-Bの側面111に取り付けられた変形可能なカバー部材5を備えている。図3に示すように、カバー部材5は、カバー部材5と同じ方向に延在する3つの感圧検知部材6-1~6-3を覆っている。また、カバー部材5は、カバー部材5と同じ方向に延在する中空部8を覆っている。挟み込み検知センサ103のカバー部材5は、例えばゴムによって形成されており、カバー部材5の一部分(ベース部)は、図2に示すように、扉101-Bの側面111において埋め込まれている。
【0037】
図2に示すように断面視で見ると、カバー部材5は、扉101-Bに埋め込まれた厚いベース部5-1と、扉101-Aに取り付けられたダミーの挟み込み検知センサ104に対向し、変形する弾性の変形部5-2とを備えている。ベース部5-1と変形部5-2との間が、中空部8となっている。また、変形部5-2は、断面視で見たとき、ベース部5-1のベース面5-3と対向し、感圧検知部材6-1~6-3を覆っている上面変形部5-2Uと、上面変形部5-2Uとベース部5-1とを連結するように、上面変形部5-2Uおよびベース部5-1と一体的に形成された側面変形部5-2Sとを備えている。
【0038】
第2の感圧検知部材である感圧検知部材6-2は、カバー部材5の中心線CLI上に、その中心点CNT2が配置されるように、上面変形部5-2U内に埋設されている。また、第3の感圧検知部材である感圧検知部材6-3は、中心線CLIに対して一側(図2中では紙面右側)に位置した上面変形部5-2U内に埋設されている。さらに、第1の感圧検知部材である感圧検知部材6-1は、中心線CLIに対して他側(図2中では紙面左側)に位置した上面変形部5-2U内に埋設されている。中心線CLIと第3の感圧検知部材6-3の中心点CNT3とを結ぶ仮想直線IML3と、中心線CLIとの間の角度と、中心線CLIと第1の感圧検知部材5-1の中心点CNT1とを結ぶ仮想直線IML1と、中心線CLIとの間の角度とは、同じ角度α1である。特に制限されないが、角度α1は、45度である。これにより、挟み込み検知センサ103は、中心線CLIを基準として、左右対称の上面変形部5-2Uおよび側面変形部5-2Sを備えていることになる。
【0039】
第1~第3の感圧検知部材6-1~6-3は、挟み込みおよび引き抜きの際に、後述する受け部9に押し付けられて、潰れるように変形する。感圧検知部材6-1~6-3が、受け部9に押し付けられた際に、感圧検知部材6-1~6-3と受け部9との間に、上面変形部5-2Uの一部分がカバー部分として介在する。同図には、カバー部分が、符号5-4~5-6で示されている。
【0040】
図2では、中心線CLIに対して一側が、車両内側であり、中心線CLIに対して他側が、車両外側である。物体を挟み込んだ場合あるは引き抜きが行われた場合、変形部5-2が変形し、第1~第3の感圧検知部材6-1~6-3のうちの少なくとも1つが潰される。感圧検知部材6-1~6-3が確実に潰されるようにするために、ベース部5-1には、変形部5-2が変形したとき、感圧検知部材6-1~6-3を受ける受け部9が設けられている。受け部9の外形形状は、図2に示すように、ベース部5-1から上面変形部5-2Uに向かって面積が狭くなる台形形状をしている。すなわち、受け部9は、ベース部5-1と中空部8とが接するベース面5-3と平行した上面9-1と、上面9-1とベース面5-3とを連結する第1斜面9-2と、上面9-1とベース面5-3とを連結する第2斜面9-3とを備えている。受け部9は、上面変形部5-2Uに対向している上面9-1が、ベース面5-3に対向する底面よりも狭い台形形状であるため、第1斜面9-2および第2斜面9-3とベース面5-3との間の内角α2は、0度を超え、90度未満となっている。
【0041】
カバー部材5の中心線CLIは、受け部9の上面9-1の中心を通過しており、受け部9は、中心線CLIを基準として、図2に示すように左右対称の構造となっている。なお、受け部9も、カバー部材5と同様に、ゴムによって形成されている。
【0042】
挟み込みあるいは引き抜きにより、変形部5-2が変形すると、受け部9の上面9-1が、対向する第2の感圧検知部材6-2の受け面として作用し、受け部9の第1斜面9-2が、対向する第1の感圧検知部材6-1の受け面として作用し、受け部9の第2斜面9-3が、対向する第3の感圧検知部材6-3の受け面として作用する。すなわち、変形部5-2の変形により、第2の感圧検知部材6-2が移動する場合、第2の感圧検知部材6-2は、カバー部分5-5を介して、受け部9の上面9-1に押し付けられることになる。また、変形部5-2の変形により、第1の感圧検知部材6-1が移動する場合、第1の感圧検知部材6-1は、カバー部分5-4を介して、受け部9の第1斜面9-2に押し付けられることになる。さらに、変形部5-2の変形により、第3の感圧検知部材6-3が移動する場合、第3の感圧検知部材6-3は、カバー部分5-6を介して、受け部9の第2斜面9-3に押し付けられることになる。
【0043】
実施の形態1においては、受け部9の外形形状は台形形状とされている。これにより、変形部5-2が変形したとき、圧力によって受け部9が変形され、圧力が受け部9の変形によって吸収されるのを低減することが可能である。その結果、第1~第3の感圧検知部材6-1~6-3に加わる外力を大きくすることが可能である。
【0044】
第1~第3の感圧検知部材6-1~6-3は、同じ構造であるため、第2の感圧検知部材6-2を例として、感圧検知部材を説明する。感圧検知部材6-2は、図3(B)に示すように、離間された電極線ED1~ED4を有する管状の検知部材である。感圧検知部材6-2は、離間された電極線ED1~ED4を囲む部材が弾力性を有しており、外力が加わることにより、電極線ED1~ED4間の離間距離が変わるように中空部7-2が変形する。感圧検知部材を構成する複数の電極線は、感圧検知部材の長手方向に沿って螺旋状に形成されている。これにより、感圧検知部材の径方向における全方位からの外力に対して検知可能となっている。
【0045】
実施の形態1においては、図2および図3に示した第1の感圧検知部材6-1が、前記したように、図1に示した第1センサSN1を構成し、第2の感圧検知部材6-2が、第2センサSN2を構成し、第3の感圧検知部材6-3が、第3センサSN3を構成する。また、センサSN1~SN3を構成する電極線SNL1およびSNL2は、感圧検知部材6-1~6-3に設けられた電極線ED1~ED4によって構成されている。
【0046】
感圧検知部材6-2に設けられた電極線ED1~ED4によって、第2センサSN2内の電極線SNL1、SNL2が構成される例を、図1および図3を参照して説明する。図1に示した電極線SNL1は、図3(B)に示した2個の電極線ED1およびED2により構成され、図1の電極線SNL2は、図3(B)の2個の電極線ED3およびED4により構成されている。すなわち、電極線ED1およびED2のそれぞれの一方の端部が、図1において符号ED12で示された接続部において電気的に接続されている。これにより、電極線ED1の他方の端部が、図1に示した電極線SNL1の第2端部N12となり、電極線ED2の他方の端部が、図1に示した電極線SNL1の第1端部N11となる。同様に、電極線ED3およびED4のそれぞれの一方の端部が、図1において符号ED34で示された接続部において電気的に接続されている。これにより、電極線ED3の他方の端部が、図1に示した電極線SNL2の第2端部N22となり、電極線ED4の他方の端部が、図1に示した電極線SNL2の第1端部N21となる。
【0047】
これにより、同じ方向に延在して配置されている4個の電極線ED1~ED4により、図1に示したように一対の電極線SNL1、SNL2が構成される。なお、図1では、終端用のダイオードDTが、電極線SNL1およびSNL2を挟んで、検出部105の反対側に配置されているように描かれているが、接続部ED12において、互いに近接した端部(電極線ED1およびED2の端部)が接続され、接続部ED34において、互いに近接した端部(電極線ED3およびED4の端部)が接続されている。そのため、ダイオードDTは、検出部105に近接して配置されている。
【0048】
検出モードが指定されている場合、外力が加わることにより、第1の感圧検出部材6-1において電極線ED1~ED4間の離間距離が小さくなり、例えば電極線ED1とED4が接触すると、第1センサSN1における電極線SNL1の第2端部N12と電極線SNL2の第2端部N22との間の抵抗値が小さくなる。第2センサSN2および第3センサSN3についても、同様に、対応する第2および第3の感圧検知部材6-2、6-3において、電極線間が接触すると、第2センサSN2および第3センサSN3における電極線SNL1の第2端部N12と電極線SNL2の第2端部N22との間の抵抗値が小さくなる。
【0049】
勿論、外力が無いときには、電極線ED1~ED4との間は離間しており、終端用のダイオードDTは逆バイアスされているため、センサSN1~SN3における電極線SNL1の第2端部N12と電極線SNL2の第2端部N22との間の抵抗値は大きくなっている。
【0050】
なお、感圧検知部材6-1~6-3は、上記した特許文献1で説明されている管状部材と同じであるため、感圧検知部材の構成については、これ以上の説明は省略する。
【0051】
ダミーの挟み込み検知センサ104は、図2に示すように、扉101-Aの側面111(図10(B))において、扉101-Aに埋め込まれたベース部10-1と、変形可能な変形部10-2を備えたカバー部材10によって構成されている。このカバー部材10も、カバー部材5と同様に、ゴムによって形成されている。変形部10-2は、ベース部10-1と連結しており、変形部10-2とベース部10-1との間が中空部12となっている。また、ベース部10-1には、変形部10-2に向かって突出した突起部11が形成されている。
【0052】
例えば、物体が挟み込み検知センサ103と104の間に挟まれたとき、変形部10-2が変形し、挟み込まれた物体への衝撃が緩和される。ダミーの挟み込み検知センサ104は、検出信号を出力しないため、扉101-Aに設置された緩和部材と見なすこともできる。
【0053】
<挟み込み、垂直方向への引き抜き、斜め方向への引き抜き>
図4図6は、実施の形態1に係わる挟み込み検知センサの状態を説明する断面図である。図4は、物体が挟み込まれたときの挟み込み検知センサ103の状態を示し、図5は、垂直方向へ引き抜きが行われたときの挟み込み検知センサ103の状態を示している。また、図6は、斜め方向の引き抜きが行われたときの挟み込み検知センサ103の状態を示している。
【0054】
<<挟み込み>>
先ず、物体が挟み込まれている場合を説明する。図4において、20は、挟み込み検知センサ103、104の間に挟み込まれた物体を示している。
【0055】
物体20を挟み込むことにより、変形部5-2が変形する。この場合、上面変形部5-2Uは、受け部9の上面9-1の方向に移動するように変形し、側面変形部5-2Sは、紙面において左右に膨らむように変形する。
【0056】
上面変形部5-2Uが、上面9-1の方向に移動することにより、カバー部分5-5(図2)を介して第2の感圧検知部材6-2が、対向する上面9-1に押し付けられ、第2の感圧検知部材6-2は、潰れるように変形する。これにより、第2の感圧検知部材6-2において、電極線ED1~ED4間が接触する。その結果、第2センサSN2における電極線SNL1の第2端部N12と電極線SNL2の第2端部N22との間の抵抗値は小さくなる。これに対して、第1および第3の感圧検知部材6-1、6-3は、電極線ED1~ED4を接触させるほど、まだ潰れていない。そのため、第1センサSN1および第3センサSN3においては、電極線SNL1の第2端部N12と電極線SNL2の第2端部N22との間の抵抗値は大きくなっている。
【0057】
<<垂直方向への引き抜き>>
図5には、一部が車両内側にある物体21を引き抜くときの状態が示されている。同図では、物体21のうち、車両内側にある物体部が符号21-1で示され、物体部21-1と連結し、車両外側に延在している物体部が符号21-2で示されている。図5には、扉101-Bの外側面110に対して垂直方向の外力FHPで、物体部21-2を引き抜く操作が行われているときの状態が示されている。
【0058】
物体部21-1が、変形部5-2の上面変形部5-2Uにおいて、紙面右側の部分と接触し、上面変形部5-2Uを紙面左側(車両外側)へ移動させるように、変形部5-2を変形させる。上面変形部5-2Uが車両外側へ移動するように変形するため、側面変形部5-2Sも、車両外側へ傾くように変形する。これにより、車両内側に配置されている第3の感圧検知部材6-3が、図5に示すように、受け部9の第2斜面9-3に当接し、第3の感圧検知部材6-3が、対向する第2斜面9-3に押し付けられ、潰されるように変形する。
【0059】
第3の感圧検知部材6-3が潰されため、電極線ED1~ED4間が接触し、第3センサSN3においては、電極線SNL1の第2端部N12と電極線SNL2の第2端部N22との間の抵抗値が小さくなる。このとき、第1~第2の感圧検知部材は、それぞれに設けられている電極線ED1~ED4間を接触させるほど、まだ潰れていない。そのため、第1センサSN1および第2センサSN2においては、電極線SNL1の第2端部N12と電極線SNL2の第2端部N22との間の抵抗値は大きくなっている。
【0060】
<<斜め方向への引き抜き>>
図6には、一部が車両内側にある物体21を引き抜くときの状態が示されている。物体21は、図5と同じである。図5と異なるのは、図6では、扉101-Bの外側面110に対して斜め方向の外力FRPで、物体部21-2を引き抜く操作が行われているときの状態が示されていることである。
【0061】
この場合、物体部21-2が、変形部5-2の上面変形部5-2Uにおいて、紙面左側の部分と接触し、上面変形部5-2Uを紙面右側(車両内側)へ移動させるように、変形部5-2を変形させる。上面変形部5-2Uが車両内側へ移動するように変形するため、側面変形部5-2Sも、車両内側へ傾くように変形する。これにより、車両外側に配置されている第1の感圧検知部材6-1が、図6に示すように、受け部9の第1斜面9-2に当接し、第1の感圧検知部材6-1が、対向する第1斜面9-2に押し付けられ、潰されるように変形する。
【0062】
第1の感圧検知部材6-1が潰されため、第1センサSN1においては、電極線SNL1の第2端部N12と電極線SNL2の第2端部N22との間の抵抗値が小さくなる。このとき、第2~第3の感圧検知部材は、それぞれに設けられている電極線ED1~ED4間を接触させるほど、まだ潰れていない。そのため、第2センサSN2および第3センサSN3においては、電極線SNL1の第2端部N12と電極線SNL2の第2端部N22との間の抵抗値は大きくなっている。
【0063】
<検出モードと診断モード>
図7は、実施の形態1に係わる検出装置の動作を説明するための図である。図7には、モード信号MOD、第1スイッチSW10~第4スイッチSW21、ダイオードDTおよびモードの関係が示されている。
【0064】
モード信号MODをハイレベルにすることより、図1に示した内部モード信号MODIはハイレベルになり、内部モード信号MODTはロウレベルになる。これにより、図1に示した第1スイッチSW10および第4スイッチSW21がオン状態となり、第2スイッチSW11および第3スイッチSW20はオフ状態となる。その結果、電極線SNL1には、プルアップ抵抗R1および第1スイッチSW10を介して、第1電圧Vdが供給される。これに対して、電極線SNL2には、プルダウン抵抗R2および第4スイッチSW21を介して、第2電圧Vsが供給される。第2電圧Vsは接地電圧GNDであり、第1電圧Vdは、第2電圧Vsよりも高い電圧である。そのため、電極線SNL1およびSNL2(電極線ED1~ED4)に断線が発生していなければ、ダイオードDTのカソードには、ダイオードDTのアノードに比べて、高い電圧が供給されることになり、ダイオードDTは電流(順方向電流)が流れない逆バイアスの状態となる。
【0065】
その結果、電極線SNL1とSNL2との間は、高抵抗状態のダイオードDTによって接続されることになり、電極線SNL1の第2端部N12と電極線SNL2の第2端部N22との間の抵抗値は大きくなる。従って、電極線SNL1の第2端部の電圧は、第1電圧Vdとほぼ同じ電圧となる。この状態が、検出モードである。
【0066】
モード信号MODをロウレベルにすることより、図1に示した内部モード信号MODIはロウレベルになり、内部モード信号MODTはハイレベルになる。これにより、図1に示した第2スイッチSW11および第3スイッチSW20がオン状態となり、第1スイッチSW10および第4スイッチSW21はオフ状態となる。その結果、電極線SNL1には、プルアップ抵抗R1および第2スイッチSW11を介して、第2電圧Vsが供給される。これに対して、電極線SNL2には、プルダウン抵抗R2および第3スイッチSW20を介して、第1電圧Vdが供給される。そのため、電極線SNL1およびSNL2(電極線ED1~ED4)に断線が発生していなければ、ダイオードDTのアノードには、ダイオードDTのカソードに比べて、高い電圧が供給されることになり、ダイオードDTは順方向の電流が流れる順バイアスの状態となる。
【0067】
その結果、電極線SNL1の第2端部N12の電圧は、ほぼ第2電圧Vsと同じ電圧になる。この状態が、診断モードである。
【0068】
<検出モードおよび診断モードでの判定>
次に、検出モードおよび診断モードでの判定を説明する。図8は、実施の形態1に係わる検出モードおよび診断モードでの判定を説明するための図である。図8において、SN_N12は、図1に示した第1センサSN1における電極線SNL1の第2端部N12の電圧を示し、SN2_N12は、第2センサSN2における電極線SNL1の第2端部N12の電圧を示し、SN3_N13は、第3センサSN3における電極線SNL1の第2端部N12の電圧を示している。電圧SN1_N12~SN3_N12は、第1センサSN1~第3センサSN3の出力であるため、電圧SN1_N12~SN3_N12は、以下、出力電圧と称する。
【0069】
以下の理解を容易にするために、図1に示した第1電圧Vdは5(V)、第2電圧Vsは0(V)、プルアップ抵抗R1は10(KΩ)、プルダウン抵抗R2は1(KΩ)であるとする。また、終端抵抗用のダイオードDTは、順バイアスのときの電圧降下が0.3(V)であるものとする。
【0070】
<<検出モードでの判定>>
検出モードが指定されている場合、電極線SNL1とSNL2との間で断線が発生していなければ、上記したように、終端抵抗用のダイオードDTは逆バイアスの状態となっている。
【0071】
物体の挟み込みおよび引き抜きが発生していなければ、図4に示したように、感圧検知部材6-1~6-3は、外圧により潰されていない。そのため、第1センサSN1~第3センサSN3のいずれにおいても、電極線SNL1とSNL2とは接触していない。この場合、電極線SNL1の第2端部N12には、プルアップ抵抗R1および第1スイッチSW10を介して、第1電圧Vdである5(V)が供給されており、終端抵抗用のダイオードDTが逆バイアスであるため、第1センサSN1~第3センサSN3のそれぞれの出力電圧SN1_N12~SN3_N12は、5(V)の第1電圧Vdとほぼ同じ電圧H1となる。
【0072】
電圧検出回路2は、出力電圧SN1_N12~SN3_N12の全てが電圧H1のとき、挟み込みおよび引き抜きが発生していない正常な状態と判定し、「正常」を検出信号DSENとして出力する。
【0073】
図4に示したように、挟み込みが発生していると、第2の感圧検知部材6-2が潰れ、電極線SNL1とSNL2とが接触する。この場合、第2センサSN2において、図1に示したプルアップ抵抗R1とプルダウン抵抗R2とが、第1電圧Vdと第2電圧Vsとの間で直列的に接続されることになる。このとき、第2センサSN2の出力電圧SN2_N12は、Vd×R2/(R1+R2)=5×1/(10+1)=約0.45(V)となる。図8では、この0.45(V)が、符号L1で示されている。
【0074】
図8において、第1センサSN1の出力電圧SN1_N12および第3センサSN3の出力電圧SN3_N12が電圧H1で、第2センサSN2の出力電圧SN2_Nが電圧L1の場合の組み合わせは、第1の感圧検知部材6-1および第3の感圧検知部材6-3が潰されておらず、第2の感圧検知部材6-2が潰された状態に対応する。すなわち、この出力電圧の組み合わせは、図4で説明した挟み込みの状態を示している。そのため、電圧検出回路2は、この出力電圧の組み合わせのとき、挟み込みの状態であると判定し、「挟み込み」を示す検出信号DSENを出力する。
【0075】
また、第1センサSN1の出力電圧SN1_N12が電圧L1で、第2センサSN2および第3センサSN3の出力電圧SN2_N12およびSN3_N12が電圧H1の組み合わせは、図6で説明したように、第1の感圧検知部材6-1が潰され、第2および第3の感圧検知部材6-2、6-3が潰されていない場合を示している。そのため、電圧検知回路2は、この出力電圧の組み合わせのとき、斜め方向の引き抜きが発生している状態であると判定し、「斜め方向の引き抜き」を示す検出信号DSENを出力する。
【0076】
さらに、第3センサSN3の出力電圧SN3_N12が電圧L1で、第1センサSN1および第2センサSN2の出力電圧SN1_N12およびSN2_N12が電圧H1の組み合わせは、図5で説明したように、第3の感圧検知部材6-3が潰され、第1および第2の感圧検知部材6-1、6-2が潰されていない場合を示している。そのため、電圧検知回路10は、この出力電圧の組み合わせのとき、垂直方向の引き抜きが発生している状態であると判定し、「垂直方向の引き抜き」を示すDSENを出力する。
【0077】
<<診断モードでの判定>>
診断モードにおいては、図7に示したように、第2スイッチSW11および第3スイッチSW20がオン状態にされる。これにより、終端抵抗用のダイオードDTは順方向にバイアスされる。例えば、第2センサSN2において、電極線SNL1とSNL2との間で短絡が発生しておらず、かつ電極線SNL1およびSNL2に断線が発生していない場合、第2センサSN2の出力電圧SN2_N12は、(Vd-0.3(V))×R1/(R1+R2)=(5-0.3)×10/(10+1)=約4.27(V)となる。この電圧4.27(V)が、図8では、電圧H2として示されている。なお、上記式において、0.3(V)は、上記したようにダイオードDTの電圧降下により生じる電圧である。
【0078】
一方、例えば第2センサSN2において、電極線SNL1またはSNL2に断線が発生していると、電極線SNL1の第2端部N12と電極線SNL2の第2端部N22との間を電流が流れなくなる。その結果、第2センサSN2の出力電圧SN2_N12の電圧は、0(V)の第2電圧Vsとほぼ同じ電圧L2となる。
【0079】
電圧検出回路2は、第1センサSN1~第3センサSN3の出力電圧SN1_N12~SN3_N12が、電圧H2か電圧L2かを判定し、判定結果を診断信号FAILとして出力する。すなわち、電圧検出回路2は、出力電圧が電圧L2のセンサを、故障(断線の有無)を示す診断信号FAILで、操作/報知部107に通知する。なお、診断モードにおいて、3個のセンサのうちの1つでも、電圧L2を出力している場合、電圧検出回路2は、診断信号FAILによって、挟み込み検知センサ103は故障していると、操作/報知部107に通知するようにしてもよい。
【0080】
電極線SNL1とSNL2とが短絡した場合、終端抵抗用のダイオードDTによって生じる電圧降下の電圧分が、上記した式から無くなり、例えば、第2センサSN2の出力電圧SN2_N12は、約4.54(V)となる。電圧検出回路2は、この電圧を判定して、短絡に係わる故障を示す診断信号FAILを出力し、操作/報知部107に故障(短絡)を通知するようにしてもよい。
【0081】
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2に係わる検出部の構成を示すブロック図である。実施の形態2においては、診断モードが指定されたとき、電極線SNL1、SNL2に供給される電圧が、時間に伴って変化する。これにより、断線が発生していなければ、電圧検出回路2には、時間に伴って変化する出力電圧が、センサSN1~SN3から供給されることになる。これに対して、断線が発生しているときには、電圧検出回路2に供給される出力電圧は時間的に変化しない第2電圧V2(L2)となる。そのため、電圧検出回路2は、センサSN1~SN3の出力電圧が、時間的に変化しているか否かを判定することにより、断線の故障が発生しているか否かを判定することが可能となる。
【0082】
次に、より具体的に説明する。実施の形態2に係わる電圧検出回路2には、実施の形態1に係わる電圧検出回路に対して、比較回路CMPおよび電圧可変回路4が追加されている。電圧可変回路4には、制御部CNTから例えばハイレベルの電圧制御信号Vcntが供給されると、給電されている第1電圧Vdを基にして、時間的に電圧値が変化する第3電圧(可変電圧)を電圧Vdvとして出力する。これに対して、電圧制御信号Vcntがロウレベルのとき、電圧可変回路4は、給電されている第1電圧Vdを電圧Vdvとして出力する。
【0083】
第2バイアス回路BCK2には、第1電圧Vdの代わりに、電圧可変回路4から出力されている電圧Vdvが供給されている。なお、第1バイアス回路BCK1には、実施の形態1と同様に、第1電圧Vdが供給されている。
【0084】
比較回路CMPは、電極線SNL1の第2端部N12に接続された入力端子IN1と、電圧可変回路4からの電圧Vdvが供給されている入力端子IN2と、出力端子OUTを備えている。比較回路CMPは、入力端子IN1における電圧と入力端子IN2における電圧との差に応じた出力電圧を出力端子OUTから出力する。
【0085】
制御部CNTには、比較回路CMPからの出力電圧と、モード信号MODが供給されている。制御部CNTは、モード信号MODが診断モードを指定していると、電圧制御信号Vcntをハイレベルにし、モード信号MODが検出モードを指定していると、電圧制御信号Vcntをロウレベルにする。これにより、診断モードにおいては、比較回路CMPと第2バイアス回路BCK2に、時間的に電圧値が変化する電圧Vdvが、電圧可変回路4から供給される。一方、検出モードにおいては、比較回路CMPと第2バイアス回路BCK2に、時間的に電圧値が変化しない電圧Vdvが、電圧可変回路4から供給される。
【0086】
診断モードにおいて、断線が発生していなければ、電極線SNL1の第2端部N12における電圧は、電圧VdvからダイオードDTの電圧降下分を差し引いた電圧を、プルアップ抵抗R1およびプルダウン抵抗R2により構成された分圧回路で分圧した電圧値となる。電圧Vdvの電圧値は時間的に変化するので、第2端部N12における分圧電圧も、電圧Vdvの変化に同期して、変化することになる。
【0087】
診断モードにおいて、断線が発生していなければ、比較回路CMPの入力端子IN1およびIN2における電圧は、互いに同期して変化する。そのため、比較回路CMPから出力される出力電圧の電圧値は、時間的には変化しない。実施の形態1と同様に、プルアップ抵抗R1が10(KΩ)、プルダウン抵抗R2が1(KΩ)、ダイオードDTの電圧降下が0.3(V)であれば、電圧Vdvが変化しても、入力端子IN1とIN2との間の電圧差は、所定の電圧差(約0.73(V))となる。
【0088】
これに対して、電極線SNL1またはSNL2に断線が発生していると、比較回路CMPの入力端子IN1には、第2電圧Vsが供給されるため、入力端子IN1とIN2との間の電圧差が大きくなるとともに、電圧差は、時間に伴って変化する。
【0089】
制御部CNTは、比較回路CMPの出力電圧が、上記した所定の電圧差に従った値か、あるいは時間に伴って変化しているかを判定する。比較回路CMPの出力電圧が所定の電圧差に従った値の場合、制御部CNTは、第1センサSN1においては断線が発生していないと判定する。これに対して、比較回路CMPの出力電圧が時間に伴って変化する場合、制御部CNTは、第1センサにおいて断線が発生していると判定する。
【0090】
図9では、省略しているが、第1センサSN1と同様な比較回路CMPが、第2センサSN2および第3センサSN3にも設けられている。制御部CNTは、第2センサSN2および第3センサSN3に対応する比較回路からの出力電圧に基づいて、第2センサSN2および第3センサSN3において断線が発生しているか否かを判定する。制御部CNTは、判定した結果を、診断信号FAILとして出力する。
【0091】
なお、検出モードが指定された場合には、制御部CNTは、第1センサSN1~第3センサSN3のそれぞれに対応する比較回路からの出力電圧の組み合わせに対応した状態を、検出信号DSENとして出力する。
【0092】
<低消費電力>
実施の形態1および2においては、センサを構成する一対の電極線SNL1、SNL2間が、検出モードのときに終端抵抗として機能する一方向性素子で接続されている。これにより、ノイズに対する耐性を向上させるとともに、低消費電力化を図ることが可能である。
【0093】
比較例として、電極線SNL1と第1電圧Vdとの間にプルアップ抵抗R1を接続し、電極線SNL2と接地電圧との間にプルダウン抵抗R2を接続し、電極線SNL1、SNL2間を終端抵抗R3で接続した構成を考える。この場合、プルアップ抵抗R1、プルダウン抵抗R2および終端抵抗R3の抵抗値は、互いに同じ抵抗値Rであるとする。これにより、検出モードにおいて、挟み込みの検知と、電極線SNL1、SNL2の断線も検知することが可能である。
【0094】
すなわち、外力によって、電極線SNL1とSNL2とが接触している場合、電極線SNL1の電圧は、抵抗R1とR2により構成された分圧回路によって定まる(Vd/2R)。これに対して、電極線SNL1とSNL2とが接触していない場合、電極線SNL1の電圧は、抵抗R1、R2およびR3により構成された分圧回路によって定まる(Vd/3R)。従って、電極線SNL1の電圧を基にして、挟み込みを検知することが可能である。また、電極線SNL1またはSNL2が断線している場合には、電極線SNL1の電圧は、第1電圧Vdとなる。従って、断線が発生している場合の電極線SNL1の電圧を、挟み込みの有無によって定まる電圧とは異なる電圧にすることが可能であり、断線を検知することが可能である。
【0095】
しかしながら、ノイズの影響により、電極線SNL1またはSNL2の電圧が変動するのを抑制するためには、上記した抵抗値Rを小さくすることが必要とされる。抵抗値Rを小さくすると、プルアップ抵抗R1、終端抵抗R3およびプルダウン抵抗R2を常時流れる電流が大きくなり、消費電力が増大することになる。
【0096】
実施の形態1および2では、検出モードのとき、一方向性素子を流れる電流が少なくなるように逆バイアスされる。これにより、検出モードのときに低消費電力化を図ることが可能である。一方、診断モードにおいては、一方向性素子を流れる電流が増大するが、診断モードは、必要なときにのみ指定すればよく、消費電力の増加を抑制することが可能である。さらに、診断モードにおいては、一方向性素子の電圧降下により、プルアップ抵抗R1およびプルダウン抵抗R2により構成される直列回路に供給される電圧を低くすることが可能であるため、消費電流を抑制することも可能である。
【0097】
実施の形態によれば、前記したように、短絡に係わる故障も判定することが可能である。しかしながら、短絡の判定は、ダイオードDTによって生じる電圧降下に相当する小さな電圧に基づいて行うことになる。電極線における短絡および断線の両方をより正確に検査するには、実施の形態1および2で説明した検出モードと診断モードを組み合わせことが望ましい。この場合、検査は、扉に物体が挟み込まれていないことを確認して、実行することが望ましい。検査において、診断モードを指定することにより、実施の形態で説明したように、電極線に断線が生じているか否かを判定することができる。また、検査において、検出モードを指定することにより、電極線の短絡を判定することができる。すなわち、扉に物体が挟み込まれていないのにもかかわらず、センサSN1~SN3の出力電圧SN1_N12~SN3_N12(図8)のいずれかが、電圧L1になった場合、電圧L1を出力しているセンサにおける電極線において短絡が生じていると判定することができる。
【0098】
実施の形態1および2では、1つの挟み込み検知センサ103が、3個の感圧検知部材を備えている場合、すなわち3個のセンサを備えている場合を説明した。しかしながら、挟み込み検知センサ103が備える感圧検知部材(センサ)の数は、3個未満あるいは4個以上であってもよい。
【0099】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、実施の形態では、鉄道車両を適用対象として説明したが、適用対象は、自動車、ホームドア、エレベータあるいはバックドア等でもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 検出装置
2 電圧検出回路
3 モード切換回路
4 電圧可変回路
5 カバー部材
6-1~6-3 感圧検知部材
7-1~7-3 中空部
9 受け部
BC1~BC3 バイアス回路
CMP 比較回路
CNT 制御部
DSEN 検出信号
DT ダイオード
ED1~ED4、SNL1、SNL2 電極線
FAIL 診断信号
MOD モード信号
R1 プルアップ抵抗
R2 プルダウン抵抗
SN1~SN3 センサ
SW10~SW21 第1スイッチ~第4スイッチ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10