(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】回折導光板および回折導光板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20220823BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20220823BHJP
G02B 6/34 20060101ALI20220823BHJP
G02B 1/118 20150101ALI20220823BHJP
G02B 27/01 20060101ALN20220823BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B6/00 301
G02B6/34
G02B1/118
G02B27/01
(21)【出願番号】P 2020511183
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(86)【国際出願番号】 KR2018012545
(87)【国際公開番号】W WO2019083247
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2020-02-21
(31)【優先権主張番号】10-2017-0138685
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ファン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ブ・ゴン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ホ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ウン・キュ・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ソ・ヨン・チョ
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/120341(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0235142(US,A1)
【文献】特開2003-344630(JP,A)
【文献】特開平03-246510(JP,A)
【文献】特開2015-049376(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0120000(KR,A)
【文献】特表2017-531840(JP,A)
【文献】特開昭63-262614(JP,A)
【文献】特開2000-047014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 6/00
G02B 6/34
G02B 1/118
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回折基材と、前記第1回折基材上に備えられる第2回折基材とを含み、
前記第1回折基材は、一面上に第1回折格子層、および他面上に第2回折格子層を含み、
前記第2回折基材は、一面上に第3回折格子層、および他面上に応力補償層を含み、
前記第1回折格子層は、550nm以上700nm以下の波長の光を分離し、
前記第2回折格子層は、400nm以上550nm以下の波長の光を分離し、
前記第3回折格子層は、450nm以上650nm以下の波長の光を分離し、
前記応力補償層は、前記第3回折格子層の応力と同じ方向の応力を有
し、
前記第1回折格子層から前記第3回折格子層はそれぞれ、光が入射する第1領域と、入射した光が拡散して移動する第2領域と、移動した光が抽出される第3領域とを含み、
第1回折パターンが前記第1回折格子層、前記第2回折格子層および前記第3回折格子層の前記第1領域に含まれ、第2回折パターンが前記第1回折格子層、前記第2回折格子層および前記第3回折格子層の前記第2領域に含まれ、並びに第3回折パターンが前記第1回折格子層、前記第2回折格子層および前記第3回折格子層の前記第3領域に含まれており、
前記第1回折格子層に含まれる前記第1回折パターン、前記第2回折パターンおよび前記第3回折パターンは異なる形態を有している、回折導光板。
【請求項2】
前記応力補償層は、反射防止パターンを含む、請求項1に記載の回折導光板。
【請求項3】
前記第1回折基材および第2回折基材の厚さはそれぞれ、0.1mm以上2mm以下である、請求項1または2に記載の回折導光板。
【請求項4】
前記第1回折基材の回折格子層は、前記第2回折基材と離隔して備えられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項5】
前記第1領域は、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層それぞれの
、前記第1回折基材または前記第2回折基材の表面に垂直な方向において互いに対応する位置に含まれ、
前記第3領域は、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層それぞれの
、前記第1回折基材または前記第2回折基材の表面に垂直な方向において互いに対応する位置に含まれる、請求項1から4のいずれか一項に記載の回折導光板。
【請求項6】
前記第1回折格子層から前記第3回折格子層の第3領域は、一側から他側まで光屈折率が漸進的に増加する、請求項5に記載の回折導光板。
【請求項7】
前記第3領域は、一側から他側まで漸進的に高さが増加する傾斜パターン構造体を含む回折パターンを含む、請求項5に記載の回折導光板。
【請求項8】
前記第3領域は、一側から他側まで漸進的にデューティが増加するパターン構造体を含む回折パターンを含む、請求項5に記載の回折導光板。
【請求項9】
一面上に第1回折格子層、および他面上に第2回折格子層を含む第1回折基材を用意するステップと、
一面上に第3回折格子層、および他面上に応力補償層を含む第2回折基材を用意するステップと、
前記第1回折基材と前記第2回折基材とを結合させるステップとを含む、請求項1に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項10】
前記第1回折基材を用意するステップは、第1基材の一面上に前記第1回折格子層を形成し、前記第1基材の他面上に前記第2回折格子層を形成して、前記第1回折基材を製造する、請求項9に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項11】
前記第2回折基材を用意するステップは、第2基材の一面上に前記第3回折格子層を形成し、前記第2基材の他面上に前記応力補償層を形成して、前記第2回折基材を製造する、請求項9または10に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項12】
前記第2回折基材を用意するステップは、前記応力補償層上に反射防止パターンを形成する、請求項9から11のいずれか一項に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項13】
前記第1回折格子層から前記第3回折格子層および前記応力補償層はそれぞれ、光硬化性樹脂組成物およびインプリントモールドを用いるインプリント工程を用いて形成される、請求項12に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項14】
前記第1回折格子層から前記第3回折格子層および前記応力補償層はそれぞれ、リソグラフィ工程またはレーザエッチング工程を用いて形成される、請求項12に記載の回折導光板の製造方法。
【請求項15】
前記第1回折基材と前記第2回折基材とを結合させるステップは、スペーサを用いて、前記第1回折基材の回折格子層が前記第2回折基材と離隔するように結合させる、請求項9から14のいずれか一項に記載の回折導光板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2017年10月24日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2017-0138685号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は、回折導光板および回折導光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、拡張現実(AR:Augmented Reality)、複合現実(MR:Mixed Reality)、または仮想現実(VR:Virtual Reality)を実現するディスプレイユニットへの関心が高まるにつれ、これを実現するディスプレイユニットに関する研究が活発に行われる傾向にある。拡張現実、複合現実、または仮想現実を実現するディスプレイユニットは、光の波動的性質に基づく回折現象を利用する回折導光板を備えている。このような回折導光板は基本的に、光を回折させることができる格子状のナノパターンを含むパターン層が一面に形成された3つの基材を備えている。ただし、3つの基材を備えている回折導光板は、その厚さが厚く、拡張現実、複合現実、または仮想現実を実現するディスプレイユニットの軽量化を実現するにはやや重い問題がある。
【0004】
また、基材の一面上にパターン層が形成される場合、パターン層の応力によって基材が変形する問題が発生することがある。パターン層の応力によって変形した基材を含む回折導光板を用いるディスプレイユニットのディスプレイ性能が著しく低下する問題などが発生することがある。
【0005】
これによって、回折導光板の厚さおよび重量を効果的に減少させることができる技術および回折導光板を構成する基材がパターン層の応力によって変形するのを防止することができる技術が必要なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書は、回折導光板および回折導光板の製造方法を提供しようとする。
【0007】
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、言及されていない他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様は、第1回折基材と、前記第1回折基材上に備えられる第2回折基材とを含み、前記第1回折基材は、一面上に第1回折格子層、および他面上に第2回折格子層を含み、前記第2回折基材は、一面上に第3回折格子層、および他面上に応力補償層を含み、前記第1回折格子層は、550nm以上700nm以下の波長の光を分離し、前記第2回折格子層は、400nm以上550nm以下の波長の光を分離し、前記第3回折格子層は、450nm以上650nm以下の波長の光を分離し、前記応力補償層は、前記第3回折格子層の応力と同じ方向の応力を有するものである回折導光板を提供する。
【0009】
また、本発明の一実施態様は、回折導光板の製造方法を提供する。具体的には、本発明の一実施態様は、一面上に第1回折格子層、および他面上に第2回折格子層を含む第1回折基材を用意するステップと、一面上に第3回折格子層、および他面上に応力補償層を含む第2回折基材を用意するステップと、前記第1回折基材と前記第2回折基材とを結合させるステップとを含む、前記回折導光板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施態様によれば、前記回折導光板は、一面上に第1回折格子層、他面上に第2回折格子層を含む第1回折基材を含むことにより、前記回折導光板の厚さおよび重量を効果的に減少させることができる。
【0011】
本発明の一実施態様によれば、一面上に第3回折格子層を含む第2回折基材の他面上に応力補償層を形成することにより、第3回折格子層の応力によって発生しうる第2回折基材の変形を効果的に抑制することができる。
【0012】
本発明の一実施態様によれば、回折導光板の厚さおよび重量が減少した回折導光板を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】基材の一面上にパターン層が形成されることにより、基材が変形することを概略的に示す図である。
【
図1B】基材の一面上にパターン層が形成されることにより、基材が変形することを概略的に示す図である。
【
図2】一面上にパターン層が形成された基材3つを含む回折導光板を概略的に示す図である。
【
図3A】本発明の一実施態様に係る回折導光板を概略的に示す図である。
【
図3B】本発明の一実施態様に係る回折導光板を概略的に示す図である。
【
図3C】本発明の一実施態様に係る回折導光板を概略的に示す図である。
【
図3D】本発明の一実施態様に係る回折導光板を概略的に示す図である。
【
図4A】本発明の一実施態様に係る第1回折格子層と第2回折格子層とが備えられた第1回折基材のイン-カップリングアングル(in-coupling angle)とアウト-カップリングアングル(out-coupling angle)を示すものである。
【
図4B】第1回折格子層と第3回折格子層とが備えられた回折基材のイン-カップリングアングル(in-coupling angle)とアウト-カップリングアングル(out-coupling angle)を示すものである。
【
図5】本発明の一実施態様に係る第1回折格子層の平面を概略的に示す図である。
【
図6】本発明の一実施態様に係る第1回折格子層を含む第1回折基材の断面を概略的に示す図である。
【
図7】本発明の一実施態様に係る回折パターンを含む第1回折格子層を概略的に示す図である。
【
図8】本発明の一実施態様に係る第1回折格子層に含まれる回折パターンの断面を概略的に示す図である。
【
図9】本発明の一実施態様に係る回折格子層に含まれるパターン構造体のデューティ、高さ、および光屈折率に応じた回折格子層の光回折効率のシミュレーション結果を示すものである。
【
図10A】本発明の一実施態様に係る第1回折格子層から第3回折格子層を含む回折導光板の断面を概略的に示す図である。
【
図10B】本発明の一実施態様に係る第1回折格子層から第3回折格子層を含む回折導光板の断面を概略的に示す図である。
【
図11】本発明の一実施態様に係る第1回折パターンから第3回折パターンを含む第1回折格子層を概略的に示す図である。
【
図12】本発明の一実施態様に係る2つの基材を用いて第1回折基材を用意することを概略的に示す図である。
【
図13A】本発明の実施例1による第1回折格子層のSEM(scanning electron microscope)写真である。
【
図13B】本発明の実施例1による第2回折格子層のSEM(scanning electron microscope)写真である。
【
図14】本発明の実施例1による第3回折格子層のSEM(scanning electron microscope)写真である。
【
図15】本発明の実施例1による反射防止パターンを含む応力補償層のSEM(scanning electron microscope)写真である。
【
図16】本発明の実施例1で用意された第2回折基材、参考例1~5で用意された基材の光透過率を測定した結果を示すグラフである。
【
図17】本発明の実施例2で用意された第2回折基材、参考例6および参考例7で用意された基材の光透過率を測定した結果を示すグラフである。
【
図18A】参考例8で基材を製造する過程による基材の3Dイメージを示す図である。
【
図18B】参考例9で基材を製造する過程による基材の3Dイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0015】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0016】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとする時、これは、「直接的に連結」されている場合のみならず、「その中間に他の素子を挟んで」連結されている場合も含む。
【0017】
本明細書において、ある部材の厚さは、当該部材の断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察することで得られた任意の10点の測定値の平均値であり得る。当該部材の厚さが非常に薄い場合には、高倍率で観察された写真を拡大して測定することができ、拡大時、層間界面ラインを幅方向に二等分した中心部分を境界線として測定することができる。
【0018】
本発明者らは、第1回折基材の一面上に第1回折格子層を形成し、第1回折基材の他面上に第2回折格子層を形成して、製造される回折導光板の全体厚さおよび重量を効果的に減少させることができることを明らかにした。また、550nm以上700nm以下の波長値を有する第1光を分離可能な第1回折格子層を一面上に含み、400nm以上550nm以下の波長値を有する第2光を分離可能な第2回折格子層を他面上に含む第1回折基材は、第1光と第2光との間に発生しうるクロストーク(cross talk)を効果的に防止できることを明らかにした。さらに、第2回折基材の一面上に第3回折格子層を形成し、第2回折基材の他面上に応力補償層を形成して、第3回折格子層の応力によって第2回折基材が変形するのを防止できることを明らかにして、下記のような回折導光板およびその製造方法を開発した。
【0019】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0020】
本発明の一実施態様は、第1回折基材と、前記第1回折基材上に備えられる第2回折基材とを含み、前記第1回折基材は、一面上に第1回折格子層、および他面上に第2回折格子層を含み、前記第2回折基材は、一面上に第3回折格子層、および他面上に応力補償層を含み、前記第1回折格子層は、550nm以上700nm以下の波長の光を分離し、前記第2回折格子層は、400nm以上550nm以下の波長の光を分離し、前記第3回折格子層は、450nm以上650nm以下の波長の光を分離し、前記応力補償層は、前記第3回折格子層の応力と同じ方向の応力を有するものである回折導光板を提供する。
【0021】
本発明の一実施態様によれば、前記回折導光板は、一面上に第1回折格子層、他面上に第2回折格子層を含む第1回折基材を含むことにより、前記回折導光板の厚さおよび重量を効果的に減少させることができる。
【0022】
また、本発明の一実施態様によれば、一面上に第3回折格子層を含む第2回折基材の他面上に応力補償層を形成することにより、第3回折格子層の応力によって発生しうる第2回折基材の変形を効果的に抑制することができる。
【0023】
拡張現実(AR:Augmented Reality)、複合現実(MR:Mixed Reality)、または仮想現実(VR:Virtual Reality)を実現するディスプレイユニットは、光の波動的性質に基づく回折現象を利用する回折導光板を備えている。従来の回折導光板は基本的に、光を回折させる3つの基材を備えており、3つの基材それぞれは、一面上に格子パターンを含むパターン層が形成されている。ただし、一面上にパターン層が形成された基材を3つ含む従来の回折導光板は、その厚さが厚く、重い問題がある。また、一面上にのみパターン層が形成された基材は、パターン層の応力によって基材が変形する問題が発生することがある。
【0024】
図1Aおよび
図1Bは、基材層の一面上にパターン層が形成されることにより、基材層が変形することを概略的に示す図である。具体的には、
図1Aは、基材層10の一面上に形成されたパターン層20に圧縮応力が発生することにより、パターン層20が備えられた基材層10が変形することを示す図である。
図1Bは、基材層10の一面上に形成されたパターン層20に引張応力が発生することにより、パターン層20が備えられた基材層10が変形することを示す図である。
図1Aおよび
図1Bにてパターン層20に含まれる格子パターンは省略した。
【0025】
パターン層と基材層の材質、基材層上にパターン層を形成する工程条件などの多様な要素によって、基材層の一面上に形成されたパターン層に圧縮応力または引張応力が発生することがある。一例として、パターン層を形成するための組成物を基材層上に塗布した後、組成物を乾燥させる工程および/または組成物を硬化させる工程中に発生する熱応力(thermal stress)、または基材層上に塗布された組成物の収縮挙動などによる圧縮応力または引張応力がパターン層に形成される。
図1Aおよび
図1Bのように、パターン層20に発生する圧縮応力または引張応力によって、基材層10が変形しうる。
【0026】
図2は、一面上にパターン層が形成された基材層3つを含む回折導光板を概略的に示す図である。具体的には、
図2は、第1パターン層21が形成された第1基材層11と、第2パターン層22が形成された第2基材層12と、第3パターン層23が形成された第3基材層13とを含む回折導光板を概略的に示す図である。
図2を参照すれば、一面上にのみパターン層が形成された基材層の場合、パターン層の応力によって基材層がややたわむ形態に変形する問題が発生することがある。回折導光板に含まれるパターン層が形成された基材層が
図2のようにたわむ場合には、回折導光板に光が入射時に一部の散乱によって光透過率が低下する問題が発生することがあり、前記回折導光板を含むディスプレイユニットが実現する映像の品質が低下する問題が発生することがある。
【0027】
これに対し、本発明の一実施態様によれば、前記回折導光板は、一面上に第1回折格子層を含み、他面上に第2回折格子層を含む第1回折基材を含むことにより、前記回折導光板の厚さおよび重量を効果的に減少させることができる。すなわち、前記回折導光板は、第1回折基材および第2回折基材である2つの基材を備えていて、前記回折導光板を含むディスプレイユニットを効果的に軽量化させることができる。さらに、前記回折導光板を含むディスプレイユニットの体積を効果的に減少させることができる。
【0028】
また、本発明の一実施態様によれば、前記第2回折基材の一面に備えられた前記第3回折格子層の応力を補償または相殺可能な前記応力補償層が前記第2回折基材の他面に備えられることにより、前記第3回折格子層の応力によって前記第2回折基材が変形するのを効果的に防止することができる。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、前記応力補償層は、前記第3回折格子層の応力と同じ方向の応力を有することができる。前記第3回折格子層に圧縮応力が発生する場合には、前記応力補償層は圧縮応力を有することができ、前記第3回折格子層に引張応力が発生する場合には、前記応力補償層は引張応力を有することができる。具体的には、
図1Aを参照すれば、前記第2回折基材の一面上に備えられる前記第3回折格子層に圧縮応力が発生する場合、これによって、前記第2回折基材に引張応力が印加される。この時、前記第2回折基材の他面上に備えられる前記応力補償層が前記第3回折格子層の応力と同じ方向である圧縮応力を有する場合、前記第2回折基材の引張応力を相殺して、前記第2回折基材が変形するのを防止することができる。また、
図1Bを参照すれば、前記第2回折基材の一面上に備えられる前記第3回折格子層に引張応力が発生する場合、これによって、前記第2回折基材に圧縮応力が印加される。この時、前記第2回折基材の他面上に備えられる前記応力補償層が前記第3回折格子層の応力と同じ方向である引張応力を有する場合、前記第2回折基材の圧縮応力を相殺して、前記第2回折基材が変形するのを防止することができる。
【0030】
同じく、前記第1回折基材の他面に含まれる前記第2回折格子層は、前記第1回折基材の一面に含まれる前記第1回折格子層の応力と同じ方向の応力を有することができる。これによって、前記第1回折格子層の応力によって、前記第1回折基材が変形するのを防止することができる。
【0031】
したがって、本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材の一面および他面はそれぞれ、第1回折格子層と第2回折格子層とを備え、前記第2回折基材の一面および他面はそれぞれ、第3回折格子層と応力補償層とを備えて、前記第1回折基材および第2回折基材が変形するのを効果的に防止することができる。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、前記応力補償層は、前記第3回折格子層の応力の80%~120%の応力を有することができる。具体的には、前記応力補償層は、前記第3回折格子層の応力の85%~115%、90%~105%、80%~95%、100%~110%、または100%~105%の応力を有することができる。また、前記応力補償層は、前記第3回折格子層の応力と同じ大きさの応力を有することができる。前記応力補償層と前記第3回折格子層の応力の比が前述した範囲を有するように調節することにより、前記第2回折基材がたわむ形態などに変形するのを防止することができる。
【0033】
前記応力補償層の応力が前記第3回折格子層の応力の80%未満の場合、前記第3回折格子層の応力によって発生する前記第2回折基材の変形を効果的に防止しにくい問題がある。また、前記応力補償層の応力が前記第3回折格子層の応力の120%を超える場合には、むしろ前記応力補償層の応力によって、前記第2回折基材が変形する問題が発生することがある。
【0034】
本発明の一実施態様によれば、前記応力補償層の厚さ、前記応力補償層の組成などを調節して、前記第3回折格子層の応力を補償可能に前記応力補償層の応力を制御することができる。一例として、前記第3回折格子層の組成および厚さと類似するか、同一の応力補償層を前記第2回折基材の他面上に備えることができる。
【0035】
本発明の一実施態様によれば、前記第2回折格子層の応力は、前記第1回折格子層の応力の90%~110%の応力を有することができる。前記第2回折格子層の応力と前記第1回折格子層の応力との比を前述した範囲に調節することにより、前記第1回折基材が変形するのを効果的に防止することができる。
【0036】
本発明の一実施態様によれば、一面上に第1回折格子層が備えられ、他面上に第2回折格子層が備えられた第1回折基材、一面上に第3回折格子層が備えられ、他面上に応力補償層が備えられた第1回折基材の変形が抑制される程度は、当業界でフィルムのたわみの変化を測定する装置および方法を用いて測定することができる。一例として、形状変化測定装置(FSM-6000LE)を用いることができる。また、光三角法の原理に基づく3D-CMM(3D-coordinate measuring mechine)を用いて、前記第1回折格子層および第2回折格子層を含む前記第1回折基材と、前記第3回折格子層および応力補償層を含む前記第2回折基材の形態を3Dイメージで撮影することができる。撮影された3Dイメージを分析して、前記第1回折基材と第2回折基材の変形が抑制される程度を確認することができる。
【0037】
本発明の一実施態様によれば、前記応力補償層は、反射防止パターンを含むことができる。前記応力補償層に反射防止パターンが含まれることにより、前記第2回折基材に入射可能な外部光の反射を効果的に抑制することができる。具体的には、反射防止パターンを含む前記応力補償層が他面上に備えられた第2回折基材を含むディスプレイユニットを使用者が使用する場合、前記応力補償層の反射防止パターンが回折導光板に提供される映像情報以外に外部から流入する光が反射するのを防止することができる。また、一面上に前記第3回折格子層を含み、他面上に前記応力補償層を含む前記第2回折基材の光透過率は優れることができる。
【0038】
本発明の一実施態様によれば、前記反射防止パターンは、当業界で用いられる反射防止パターンを用いることができる。一例として、本発明では、反射防止パターンとしてモスアイ(moth-eye)パターンを前記応力補償層の表面上に形成することができる。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、一面上に前記第3回折格子層が備えられ、他面上に応力補償層が備えられた第2回折基材などの光透過率は、当業界でフィルムなどの光透過率を測定する装置および方法を用いて測定することができる。一例として、光透過率測定装置(HM-150)を用いることができる。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材は、一面上に第1回折格子層を含み、他面上に第2回折格子層を含むことができ、前記第2回折基材は、一面上に第3回折格子層を含み、他面上に応力補償層を含むことができる。すなわち、前記第1回折基材の一面上には第1回折格子層が備えられ、他面上には第2回折格子層が備えられ、前記第2回折基材の一面上には第3回折格子層が備えられ、他面上には応力補償層が備えられる。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層および第2回折格子層を含む前記第1回折基材、および前記第3回折格子層および前記応力補償層を含む前記第2回折基材は、第1回折基材および第2回折基材に入射する光を内部反射または内部全反射により前記光を一地点にガイドすることができる。具体的には、前記第1回折基材に入射する光は、前記第1回折基材の内部で反射または全反射して、前記第1回折基材に光が入射した地点と異なる地点に出射することができる。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材および第2回折基材それぞれの光屈折率は、1.5以上2.0未満であってもよい。具体的には、前記第1回折基材および第2回折基材それぞれは、約500nmの波長の光に対して1.5以上2.0未満の光屈折率を有することができる。また、前記第1回折基材と第2回折基材の光屈折率は同一であるか、または異なっていてもよい。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材および第2回折基材は、前記範囲の光屈折率を保持する基材であれば、当業界で通常用いられる基材を含むことができる。具体的には、前記第1回折基材および第2回折基材として、高屈折成分を含むガラスまたは樹脂フィルムなどを用いることができる。前記高屈折成分は、TiO2、Al2O3、Ga2O3、TeO2、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、およびZnSのうちの少なくとも1つを含むことができる。ただし、第1回折基材および第2回折基材の種類を制限するものではない。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材の一面は、前記第2回折基材の一面または他面に対向するか、前記第1回折基材の他面は、前記第2回折基材の一面または他面に対向することができる。具体的には、前記第1回折基材の一面上に含まれる第1回折格子層が、前記第2回折基材の一面上に含まれる第3回折格子層と隣接するように、前記第1回折基材上に前記第2回折基材を備えることができる。また、前記第1回折格子層が、前記応力補償層と隣接するように、前記第1回折基材上に前記第2回折基材を備えることができる。また、前記第2回折格子層が、前記第3回折格子層と隣接するように、前記第1回折基材上に前記第2回折基材を備えることができ、前記第2回折格子層が、前記応力補償層と隣接するように、前記第1回折基材上に前記第2回折基材を備えることができる。
【0045】
図3A~
図3Dは、本発明の一実施態様に係る回折導光板を概略的に示す図である。具体的には、
図3Aは、一面上に第1回折格子層310が備えられ、他面上に第2回折格子層320が備えられた第1回折基材100と、一面上に第3回折格子層330が備えられ、他面上に応力補償層900が備えられた第2回折基材200とがスペーサ400によって連結されたもので、第1回折基材100の他面と第2回折基材200の他面とが対向して備えられた回折導光板を示す図である。
図3Bは、第1回折格子層310が備えられた第1回折基材100の一面と応力補償層900が備えられた第2回折基材200の他面とが対向した状態で、スペーサ400によって連結された回折導光板を示す図である。
図3Cは、第2回折格子層320が備えられた第1回折基材100の他面と第3回折格子層330が備えられた第2回折基材200の一面とが対向した状態で、スペーサ400によって連結された回折導光板を示す図である。
図3Dは、第1回折格子層310が備えられた第1回折基材100の一面と第3回折格子層330が備えられた第2回折基材200の一面とが対向した状態で、スペーサ400によって連結された回折導光板を示す図である。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材の回折格子層は、前記第2回折基材と離隔して備えられる。具体的には、前記第1回折格子層または前記第2回折格子層が、前記第3回折格子層または前記応力補償層と離隔するように、前記第1回折基材と前記第2回折基材とは離隔して備えられる。
図3Aのように、前記第1回折基材100の第2回折格子層320が、前記第2回折基材200の応力補償層900と離隔するように備えられる。また、
図3Bのように、前記第1回折基材100の第1回折格子層310が、前記第2回折基材200の応力補償層900と離隔するように備えられる。また、
図3Cのように、前記第1回折基材100の第2回折格子層320が、前記第2回折基材200の第3回折格子層330と離隔するように備えられる。さらに、
図3Dのように、前記第1回折基材100の第1回折格子層310が、前記第2回折基材200の第3回折格子層330と離隔するように備えられる。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材および第2回折基材は、スペーサを介して、離隔した状態で結合することができる。
図3A~
図3Dを参照すれば、前記第1回折基材100の一端部と前記第2回折基材200の一端部、前記第1回折基材100の他端部と前記第2回折基材200の他端部とは、スペーサ400によって連結される。前記スペーサは、前記第1回折基材と第2回折基材とを連結可能な公知の構成を使用することができ、前記スペーサとして弾性を保持したものを使用してもよい。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材および第2回折基材の厚さはそれぞれ、0.1mm以上2mm以下であってもよい。
図3Aには第1回折基材100の厚さh1が表示されている。前記第1回折基材の厚さは、0.5mm以上1.8mm以下、0.8mm以上1.6mm以下、1mm以上1.4mm以下、0.7mm以上1mm以下、1.1mm以上1.8mm以下、または1.3mm以上1.5mm以下であってもよい。前述した厚さを有する第1回折基材の一面に第1回折格子層が備えられ、他面上に第2回折格子層が備えられることにより、前記第1回折格子層と第2回折格子層との間の間隔は、前述した範囲に調節可能である。前記第1回折格子層と第2回折格子層との間隔を前述した範囲に調節することにより、前記第1回折基材は、入射する光から第1光と第2光とをより効果的に区分して分離することができる。
【0049】
また、前記第2回折基材の厚さは、0.1mm以上2mm以下であってもよいし、前記第2回折基材の厚さは、前記第1回折基材の厚さと同一であるか、異なっていてもよい。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層は、550nm以上700nm以下の波長の光を分離し、前記第2回折格子層は、400nm以上550nm以下の波長の光を分離し、前記第3回折格子層は、450nm以上650nm以下の波長の光を分離することができる。具体的には、前記第1回折格子層は、前記第1回折格子層に入射する光から550nm以上700nm以下の波長値を有する第1光を分離することができる。また、前記第2回折格子層は、前記第2回折格子層に入射する光から400nm以上550nm以下の波長値を有する第2光を分離することができる。さらに、前記第3回折格子層は、前記第3回折格子層に入射する光から450nm以上650nm以下の波長値を有する第3光を分離することができる。
【0051】
前記第1回折格子層、第2回折格子層、および第3回折格子層で分離される光の波長値は、当業界で光の波長値を測定する装置を用いて測定することができる。一例として、光波長測定器(86120C、Agilent Technologies社)を用いて測定することができる。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、
図3Aのように、第1回折基材100と第2回折基材200とを含む回折導光板に対して、第1回折基材100の一面上に含まれた第1回折格子層310に多様な波長値を有する光が含まれた入射光が照射される場合、第1回折格子層310は、入射光から550nm以上700nm以下の波長値を有する第1光を分離することができる。この後、第1回折格子層310を通過した入射光が第2回折格子層320に照射される場合、第2回折格子層320は、入射光から400nm以上550nm以下の波長値を有する第2光を分離することができる。この後、第1回折格子層310および第2回折格子層320を通過した入射光が第3回折格子層330に照射される場合、第3回折格子層320は、入射光から450nm以上650nm以下の波長値を有する第3光を分離することができる。
【0053】
また、
図3Bのように、第1回折基材100と第2回折基材200とを含む回折導光板に対して、第2回折格子層320に入射光が照射される場合、第2回折格子層320は、入射光から第2光を分離することができる。この後、第2回折格子層320を通過した入射光が第1回折格子層310に照射される場合、第1回折格子層310は、入射光から第1光を分離することができる。この後、第2回折格子層320および第1回折格子層310を通過した入射光が第3回折格子層330に照射される場合、第3回折格子層330は、入射光から第3光を分離することができる。
【0054】
また、
図3Cと
図3Dの回折導光板の場合、前述した
図3Aと
図3Bの回折導光板と同様の方式により、第1入射光から第1光、第2光、および第3光が分離される。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、一面上に第1回折格子層を含み、他面上に第2回折格子層を含む前記第1回折基材は、第1回折基材に入射する光から第1光と第2光とをより効果的に区分して分離することができる。具体的には、前記第1回折基材は、一面上に第1回折格子層を含み、他面上に第2回折格子層を含むが、前記第1回折格子層では、550nm以上700nm以下の波長値を有する第1光を分離し、第2回折格子層では、400nm以上550nm以下の波長値を有する第2光を分離させることにより、前記第1光と第2光との間にクロストーク(cross talk)現象が発生するのを防止することができる。
【0056】
すなわち、単一の第1回折基材に備えられた第1回折格子層で分離される第1光と、第2回折格子層で分離される第2光との間にクロストーク現象が発生するのを防止することにより、回折導光板の厚さおよび重量を減少させると同時に、前記第1回折基材の光分離効率を向上させることができる。また、前記第1回折基材の光回折効率を向上させることができ、二重像現象および色分散現象が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0057】
図4Aは、本発明の一実施態様に係る第1回折格子層と第2回折格子層とが備えられた第1回折基材のイン-カップリングアングル(in-coupling angle)とアウト-カップリングアングル(out-coupling angle)を示すものであり、
図4Bは、第1回折格子層と第3回折格子層とが備えられた回折基材のイン-カップリングアングル(in-coupling angle)とアウト-カップリングアングル(out-coupling angle)を示すものである。具体的には、
図4Aは、本発明の一実施態様に係る第1回折格子層と第2回折格子層とが備えられた第1回折基材のイン-カップリングアングルとアウト-カップリングアングルを示す図と、前記第1回折基材に入射する光が基材内で反射する形態を示す図である。また、
図4Bは、本発明の一実施態様とは異なり、第1回折格子層と第3回折格子層とが備えられた回折基材のイン-カップリングアングルとアウト-カップリングアングルを示す図と、前記回折基材に入射する光が基材内で反射する形態を示す図である。
【0058】
図4Aを参照すれば、本発明の一実施態様に係る550nm以上700nm以下の波長の光を分離する前記第1回折格子層と、400nm以上550nm以下の波長の光を分離する前記第2回折格子層とを含む第1回折基材の場合、第1回折基材にクロストーク現象が発生せず、視野範囲で二重像が発生せず、第1回折基材内に設定されているように光の回折が発生することを確認することができる。これに対し、
図4Bを参照すれば、550nm以上700nm以下の波長の光を分離する前記第1回折格子層と、450nm以上650nm以下の波長の光を分離する前記第3回折格子層とを含む回折基材の場合、回折基材にクロストーク現象が発生し、クロストーク現象によって視野範囲で二重像および色分散現象が発生し、回折基材内で設定されているものとは異なる光の回折が発生することを確認することができる。
【0059】
この時、前記
図4Aおよび
図4Bにおける回折基材のイン-カップリングアングルとアウト-カップリングアングルは、当業界で回折基材のイン-カップリングアングルとアウト-カップリングアングルをシミュレーションする装置および/または方法を用いて測定することができる。
【0060】
本発明では、下記数式1を用いて、回折基材のイン-カップリングアングルとアウト-カップリングアングルをシミュレーションすることができる。
[数式1]
sin(θin)-sin(θout)=λ(1/b-1/a)
【0061】
前記数式1中、θ
inは、イン-カップリングアングルを意味し、θ
outは、アウト-カップリングアングルを意味する。また、数式1中、λは、波長、aは、入射光を回折基材の内部に回折させる回折格子の周期、bは、回折基材の内部の光を出射光の角度に回折させる回折格子の周期である。イン-カップリングとアウト-カップリングが同一の面で起こる場合、すなわち、a=bの場合には、入射光と出射光の角度が、
図4Aと
図4Bにおける視野範囲に位置する、白い円で表現されているように同一である。これに対し、イン-カップリングとアウト-カップリングが互いに異なる面で起こる場合、すなわち、a≠bの場合には、イン-カップリングアングルとアウト-カップリングアングルとが異なり、これは波長に応じても異なるので、色分散が起こる。
図4Aは、aが468nmおよびbが405nm、またはaが405nmおよびbが468nmの場合の、イン-カップリングアングルに応じたアウト-カップリングアングルを計算した結果であり、各波長に対応する色相で表現した。
図4Bは、aが468nmおよびbが340nm、またはaが304nm、bが468nmの場合の、イン-カップリングアングルに応じたアウト-カップリングアングルを計算した結果であり、各波長に対応する色相で表現した。
【0062】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれの光屈折率は、1.5以上2未満であってもよい。前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれは、約500nmの波長の光に対して1.5以上2.0未満の光屈折率を有することができる。
【0063】
具体的には、前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれの光屈折率は、1.55以上1.9以下、1.6以上1.8以下、1.7以上1.8以下、1.5以上1.8以下、または1.55以上1.75以下であってもよい。
【0064】
前記範囲の光屈折率を有する第1回折格子層、第2回折格子層、および第3回折格子層それぞれは、入射する光に対する回折性能に優れることができる。前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれの光屈折率が2以上の場合には、2次回折が起こる問題が発生することがあり、光屈折率が1.5未満の場合には、前記回折導光板の光回折効率が減少する問題が発生することがある。
【0065】
また、前記第1回折格子層、第2回折格子層、および第3回折格子層それぞれの光屈折率は、互いに同一であるか、または異なっていてもよい。
【0066】
本発明の一実施態様によれば、前記回折格子層の光屈折率、前記回折基材の光屈折率などは、当業界で一般的に光屈折率を測定する方法を用いて測定することができる。一例として、プリズムカップラ(SPA-4000)またはエリプソメータ(ellipsometry)を用いて光屈折率を測定することができる。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層、第2回折格子層、および第3回折格子層それぞれは、TiO2、Al2O3、Ga2O3、TeO2、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、ZnS、HfO、MoO、およびCuOのうちの少なくとも1つの高屈折成分を含むことができる。ただし、前記第1回折格子層、第2回折格子層、および第3回折格子層に含まれる高屈折成分を制限するものではない。前記回折格子層に含まれる高屈折成分の含有量、種類などを調節して、前記回折格子層の光屈折率を制御することができる。
【0068】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層、第2回折格子層、および第3回折格子層それぞれは、高屈折成分を含有する熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を含むことができる。具体的には、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などを含むことができるが、その種類を制限するものではない。
【0069】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層と第2回折格子層の光屈折率は、前記第1回折基材の光屈折率と同一であるか、異なっていてもよい。また、前記第3回折格子層と前記第2回折基材の光屈折率は同一であるか、異なっていてもよい。
【0070】
本発明の一実施態様によれば、前記応力補償層は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を含むことができる。具体的には、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などを含むことができるが、その種類を制限するものではない。また、前記応力補償層は、高屈折粒子を含有する熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を含むことができる。前記高屈折粒子は、TiO2、Al2O3、Ga2O3、TeO2、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、ZnS、HfO、MoO、およびCuOのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層はそれぞれ、光が入射する第1領域と、入射した光が拡散して移動する第2領域と、移動した光が抽出される第3領域とを含み、前記第1領域は、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層それぞれの互いに対応する位置に含まれ、前記第3領域は、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層それぞれの互いに対応する位置に含まれる。
【0072】
図5は、本発明の一実施態様に係る第1回折格子層の平面を概略的に示す図である。具体的には、
図5は、光が入射する第1領域511と、入射した光が拡散して移動する第2領域512と、移動した光が抽出される第3領域513とを含む第1回折格子層310の平面を示す図である。
図5のように、前記第1回折格子層310の一側Aから他側B方向に第1領域511から第3領域513が順次に備えられる。この時、
図5にて前記第1回折格子層のパターン構造体は図示省略した。
【0073】
図5を参照すれば、前記第1領域511は、多様な波長値を有する光を含む入射光が入射する領域であり得る。また、前記第2領域512は、前記第1回折格子層310に入射した光が回折する領域であり、前記第1領域511に入射した光が前記第3領域513に拡散(expansion)する領域であり得る。前記第3領域513は、光が抽出される領域であり、前記回折導光板をディスプレイユニットに用いる場合、光が抽出されて使用者にディスプレイ情報を提供する領域であり得る。さらに、
図5に示された第1回折格子層と類似して、前記第2回折格子層および第3回折格子層も、第1領域から第3領域を含むことができる。
【0074】
図6は、本発明の一実施態様に係る第1回折格子層を含む第1回折基材の断面を概略的に示す図である。具体的には、
図6は、第1領域511に光が入射した後、第3領域513に光が抽出されて使用者にディスプレイ情報が提供されることを示す図である。
図6にて第1回折基材の他面に含まれる第2回折格子層、および第2回折基材は図示省略した。
図6にて第1回折基材の他面に含まれる第2回折格子層は省略した。また、
図6のように、前記第2回折格子層および第3回折格子層も、第1領域に入射した光が第3領域を通して抽出される。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれは、回折パターンを含むことができる。前記回折パターンは、2以上のパターン構造体を含むことができる。
【0076】
図7は、本発明の一実施態様に係る回折パターンを含む第1回折格子層を概略的に示す図である。具体的には、
図7は、第1回折格子層310の一側Aから他側B方向に沿って備えられる2以上のパターン構造体を含む回折パターンを示す図である。
図7にて第1回折基材の他面に含まれる第2回折格子層は省略した。
図7に示されるのと同様に、前記第2回折格子層および第3回折格子層は、回折格子層の一側から他側方向に沿って備えられる2以上のパターン構造体を含む回折パターンを含むことができる。
【0077】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から第3回折格子層に含まれる回折パターンの形態によって、前記第1回折格子層、第2回折格子層、および第3回折格子層に入射する光から分離される光の波長値が異なっていてもよい。
【0078】
図8は、本発明の一実施態様に係る第1回折格子層に含まれる回折パターンの断面を概略的に示す図である。具体的には、
図8は、2以上のパターン構造体を含む回折パターンを示す図である。
図8にて第1回折基材の他面に含まれる第2回折格子層は省略した。
図8を参照すれば、第1回折基材100の一面からパターン構造体がθ1の傾斜角をなして備えられ、前記パターン構造体は、h2の高さを有し、2以上のパターン構造体がd1の周期(pitch)を有して備えられる。本発明において、「周期」は、パターン構造体が繰り返される間隔を意味し、
図8のように、1つのパターン構造体の一地点とこれと隣接する他の1つのパターン構造体の一地点との間の長さを意味することができる。1つのパターン構造体の一地点と他の1つのパターン構造体の一地点とは、パターン構造体間で互いに対応する位置を意味することができる。
【0079】
図8を参照すれば、本発明の一実施態様に係る前記第1回折格子層310の回折パターンに含まれるパターン構造体は、第1回折基材100の一面から50゜以上90゜未満の傾斜角θ1をなして備えられる。また、前記2以上のパターン構造体は、100nm以上600nm以下の周期d1を有して備えられ、前記パターン構造体の高さh2は、0nm超過600nm以下であってもよい。具体的には、前記第1回折格子層に含まれるパターン構造体が第1回折基材に対してなす傾斜角は、55゜以上80゜以下、60゜以上75゜以下、65゜以上85゜以下、50゜以上65゜以下、または70゜以上80゜以下であってもよい。さらに、前記2以上のパターン構造体は、150nm以上500nm以下、200nm以上400nm以下、250nm以上350nm以下、150nm以上250nm以下、350nm以上450nm以下、または500nm以上600nm以下の周期を有して備えられる。また、前記パターン構造体の高さは、10nm以上500nm以下、50nm以上400nm以下、100nm以上350nm以下、150nm以上250nm以下、450nm以上550nm以下、または300nm以上400nm以下であってもよい。
【0080】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層と類似して、前記第2回折格子層および第3回折格子層は、2以上のパターン構造体を含むことができ、前記パターン構造体は、回折基材の一面から50゜以上90゜未満の傾斜角をなして備えられる。また、前記2以上のパターン構造体は、100nm以上600nm以下の周期を有して備えられ、前記パターン構造体の高さは、0nm超過600nm以下であってもよい。具体的には、前記第2回折格子層および第3回折格子層それぞれに含まれるパターン構造体は、回折基材の一面に対して50゜以上80゜以下、55゜以上70゜以下、65゜以上75゜以下、または70゜以上80゜以下の傾斜角を有することができる。さらに、前記2以上のパターン構造体は、125nm以上450nm以下、250nm以上350nm以下、200nm以上400nm以下、150nm以上300nm以下、350nm以上400nm以下、または500nm以上655nm以下の周期を有して備えられる。また、前記パターン構造体の高さは、30nm以上500nm以下、100nm以上400nm以下、150nm以上300nm以下、200nm以上250nm以下、450nm以上550nm以下、または300nm以上400nm以下であってもよい。
【0081】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層、第2回折格子層、および第3回折格子層に含まれる回折パターンの形態は異なっていてもよい。一例として、前記第1回折格子層の回折パターンに含まれるパターン構造体と、前記第2回折格子層の回折パターンに含まれるパターン構造体とは、周期は同一であるものの、パターン構造体の傾斜角および高さが異なっていてもよい。また、前記第2回折格子層の回折パターンに含まれるパターン構造体と、前記第3回折格子層の回折パターンに含まれるパターン構造体とは、高さは同一であるものの、格子の傾斜角が異なっていてもよい。
【0082】
したがって、本発明の一実施態様によれば、回折格子層の回折パターンに含まれるパターン構造体が回折基材に対してなす傾斜角、パターン構造体間の周期(pitch)、パターン構造体の高さを調節して、回折格子層に入射する光から分離される光の波長値を容易に制御することができる。
【0083】
図9は、本発明の一実施態様に係る回折格子層に含まれるパターン構造体のデューティ、高さ、および光屈折率に応じた回折格子層の光回折効率のシミュレーション結果を示すものである。具体的には、
図9(a)は、回折格子層の光屈折率(n)を1.8、高さ(depth)を300nmに設定し、パターン構造体のデューティに応じた回折格子層の光回折効率のシミュレーション結果を示すものである。また、
図9(b)は、回折格子層の光屈折率(n)を1.8、デューティ(duty)を0.6に設定し、パターン構造体の高さに応じた回折格子層の光回折効率のシミュレーション結果を示すものである。さらに、
図9(c)は、回折格子層のデューティ(duty)を0.6、高さ(depth)を300nmに設定し、パターン構造体の光屈折率(refractive index)に応じた回折格子層の光回折効率のシミュレーション結果を示すものである。
【0084】
図9(a)~
図9(c)を参照すれば、本発明の一実施態様に係る回折格子層に含まれるパターン構造体のデューティ、高さ、および回折格子層の光屈折率を調節することにより、回折格子層の光回折効率を容易に制御可能であることを確認することができる。
【0085】
この時、前記
図9(a)~
図9(c)におけるシミュレーションは、当業界で回折基材の光回折効率を計算する装置および/または方法を利用して計算することができ、本発明では、Rigorous Coupled Wave Analysisアルゴリズムを利用するVirtualLab SoftWareを用いて計算することができる。
【0086】
図10Aおよび
図10Bは、本発明の一実施態様に係る第1回折格子層から第3回折格子層を含む回折導光板の断面を概略的に示す図である。具体的には、
図10Aは、第1回折格子層310、第2回折格子層320、第3回折格子層330それぞれの第1領域511、521、531に含まれる第1回折パターン311、321、331、第2領域512、522、532に含まれる第2回折パターン312、322、333、第3領域513、523、533に含まれる第3回折パターン313、323、333を示す図である。また、
図10Bは、第1回折格子層310および第2回折格子層320それぞれの第1領域511、521に含まれる第1回折パターン311、321、第2領域512、522に含まれる第2回折パターン312、322、第3領域513、523に含まれる第3回折パターン313、323を示し、第3回折格子層330の第1領域531に含まれる第1回折パターン331、第3領域533に含まれる第3回折パターン333、2つの第2領域532、532’それぞれに第2回折格子パターン332、332’が含まれていることを示す図である。
【0087】
本発明の一実施態様によれば、前記第1領域は、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層それぞれの互いに対応する位置に含まれ、前記第3領域は、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層それぞれの互いに対応する位置に含まれる。すなわち、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層それぞれに含まれる前記第1領域は、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層それぞれの互いに対応する位置に備えられるように整列される。また、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層それぞれに含まれる前記第3領域は、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層それぞれの互いに対応する位置に備えられるように整列される。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層の第1領域が備えられる位置、前記第2回折格子層の第1領域が備えられる位置、および前記第3回折格子層の第1領域が備えられる位置は、互いに対応することができる。具体的には、前記第1領域を含む第1回折格子層から第3回折格子層の位置は、互いに同一であってもよく、前記第3領域を含む第1回折格子層から第3回折格子層の位置は、互いに同一であってもよい。
【0089】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層の第1領域が備えられる位置と、前記第2回折格子層の第1領域が備えられる位置とが対応することができ、前記第2回折格子層の第1領域が備えられる位置と、前記第3回折格子層の第1領域が備えられる位置とが対応することができ、前記第1回折格子層の第1領域が備えられる位置と、前記第3回折格子層の第1領域が備えられる位置とが対応することができる。
【0090】
また、前記第1回折格子層の第3領域が備えられる位置、前記第2回折格子層の第3領域が備えられる位置、および前記第3回折格子層の第3領域が備えられる位置は、互いに対応することができる。すなわち、前記第1回折格子層の第3領域が備えられる位置と、前記第2回折格子層の第3領域が備えられる位置とが対応することができ、前記第2回折格子層の第3領域が備えられる位置と、前記第3回折格子層の第3領域が備えられる位置とが対応することができ、前記第1回折格子層の第3領域が備えられる位置と、前記第3回折格子層の第3領域が備えられる位置とが対応することができる。前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれに備えられる第3領域の位置が互いに対応することにより、前記第1回折格子層から分離された第1光、前記第2回折格子層から分離された第2光、および前記第3回折格子層から分離された第3光が効果的に合わされる。
【0091】
また、前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれに互いに対応するように整列される第1領域間の面積および第3領域間の面積は、実質的に同一であってもよい。本発明において、「面積が実質的に同一」であるというのは、面積が正確に同一の場合のみならず、製造上に発生しうる微小な誤差を含む面積が同一であることを意味することもできる。
【0092】
図10Aおよび
図10Bを参照すれば、第1回折格子層310、第2回折格子層320、および第3回折格子層330にそれぞれ含まれる第1領域511、521、531が含まれる位置が互いに対応することができる。また、第1回折格子層310、第2回折格子層320、および第3回折格子層330にそれぞれ含まれる第3領域513、523、533が含まれる位置は、互いに対応することができる。すなわち、前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれに含まれる第1領域と第3領域は、前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれに対応する位置に備えられる。さらに、前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれに含まれる第1領域それぞれは、その面積が実質的に同一であってもよく、前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれに含まれる第3領域それぞれは、その面積が実質的に同一であってもよい。前記第1回折格子層、第2回折格子層、および第3回折格子層それぞれに含まれる第1領域と第3領域を互いに対応する位置に形成することにより、前記回折導光板が適用されたディスプレイユニットによって実現される映像の鮮明度などの品質を向上させることができる。
【0093】
一方、本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層、第2回折格子層、および第3回折格子層それぞれに含まれる第2領域は、互いに対応する位置に備えられるか、または異なる位置に備えられる。
図10Aを参照すれば、前記第1回折格子層310、第2回折格子層320、および第3回折格子層330それぞれに含まれる第2領域512、522、532は、互いに対応する位置に備えられる。また、
図10Bを参照すれば、第1回折格子層310に備えられる第2領域512と第3回折格子層330に備えられる第3領域533は、形成される位置および面積が異なっていてもよい。
【0094】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から第3回折格子層は、第1領域および第3領域を含み、第2領域を選択的に含むことができる。一例として、第1回折格子層と第3回折格子層は、第1領域から第3領域を含み、第2回折格子層は、第1領域と第3領域のみを含んでもよい。
【0095】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層、第2回折格子層、および第3回折格子層それぞれに含まれる第1領域、第2領域、および第3領域は、複数個形成される。一例として、前記第3回折格子層は、1つの第1領域、2つの第2領域、1つの第3領域を含むことができる。
図10Bを参照すれば、第3回折格子層330は、2つの第2領域532、532’を含むことができ、2つの第2領域532、532’それぞれは、第2回折パターン332、332’を含むことができる。
【0096】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれに含まれる前記第1回折パターン、第2回折パターン、および第3回折パターンは、その形態が互いに異なっていてもよい。一例として、前記第1回折格子層の第1回折パターンに含まれるパターン構造体と、前記第1回折格子層の第2回折パターンに含まれるパターン構造体とは、パターン構造体の傾斜方向、傾斜角、高さ、幅などが異なっていてもよい。また、前記第1回折格子層の前記第1回折パターンに含まれるパターン構造体と、前記第2回折格子層の前記第1回折パターンに含まれるパターン構造体とは、パターン構造体の傾斜方向、傾斜角、高さ、幅などが異なっていてもよい。
【0097】
図11は、本発明の一実施態様に係る第1回折パターンから第3回折パターンを含む第1回折格子層を概略的に示す図である。具体的には、
図11は、第1回折パターン311に含まれるパターン構造体、第2回折パターン312に含まれるパターン構造体、および第3回折パターン313に含まれるパターン構造体の傾斜方向、傾斜角、周期、高さが互いに異なる第1回折格子層310を示す図である。
図11にて第1回折基材の他面に含まれる第2回折格子層は省略した。
【0098】
図11を参照すれば、前記第1回折格子層310の第1回折パターン311、第2回折パターン312、第3回折パターン313に含まれるパターン構造体が回折基材となす傾斜方向、傾斜角、パターン構造体の周期、パターン構造体の高さをそれぞれ調節して、第1回折格子層に入射する光から第1光を分離する効率、および第1回折基材に対する光の回折効率を向上させることができる。また、前記第1回折格子層と同じく、第2回折格子層および第3回折格子層の第1回折パターン、第2回折パターン、および第3回折パターンに含まれるパターン構造体の傾斜方向、傾斜角、パターン構造体の周期、パターン構造体の高さをそれぞれ調節することができる。
【0099】
したがって、本発明の一実施態様によれば、回折格子層の回折パターンに含まれるパターン構造体の傾斜角、周期、高さなどを調節して、鮮明な画像を実現するディスプレイを製造可能な回折導光板を提供することができる。
【0100】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層の第3領域は、一側から他側まで光屈折率が漸進的に増加することができる。
【0101】
従来の回折導光板の場合、光を抽出して使用者にディスプレイ情報を提供する全領域における光回折効率が同一であった。回折導光板に含まれる光が回折する領域の全体部位で光回折効率が同一の場合、回折導光板の内部で光が反射または全反射する過程で、回折導光板によって回折する光量が減少する。具体的には、回折導光板の一側面に光が入射して回折導光板の他側面に光がガイドされる場合、回折導光板の一側面から他側面へいくほど、回折領域で回折する光量が減少する。回折導光板の部分ごとに回折する光量が互いに異なる場合、回折する光量が多い部分では光度の高い光が出射するが、回折する光量が少ない部分では光度の低い光が出射する。したがって、従来の回折導光板の場合、光を抽出する領域全体における光回折効率が同一で、光を抽出する領域の部分ごとに抽出される光の光度が一定でない問題が発生することがある。
【0102】
これに対し、本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層の第3領域は、一側から他側まで光屈折率が漸進的に増加することができる。前記第3領域は、光が抽出される領域であり、第3領域は、一側から他側まで光屈折率が漸進的に増加することにより、第3領域の部分ごとに抽出される光の光度が一定であり得る。したがって、本発明の一実施態様によれば、使用者に同一の光度を有するディスプレイ情報を提供可能な回折導光板を実現することができる。
【0103】
また、前記第3領域と同じく、前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれに含まれる第1領域および/または第2領域の光屈折率は、一側から他側まで漸進的に増加することができる。
【0104】
本発明の一実施態様によれば、前記第3領域は、一側から他側まで漸進的に高さが増加する傾斜パターン構造体を含む回折パターンを含むことができる。具体的には、第3領域は、一側から他側まで漸進的に高さが増加する傾斜パターン構造体を含む回折パターンを含むことにより、第3領域の一側から他側まで光屈折率を漸進的に増加させることができる。
図11を参照すれば、第3領域513の一側Aから他側B方向に沿って高さが漸進的に増加する傾斜パターン構造体を含む回折パターンが第3領域に含まれることにより、前記第3領域の一側から他側方向に光屈折率が漸進的に増加することができる。第3領域の一側から他側に光屈折率が漸進的に増加することにより、第3領域の一側から他側まで光回折効率が漸進的に増加することができる。
【0105】
したがって、本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から第3回折格子層の第3領域に含まれる傾斜パターン構造体の高さを第3領域の一側から他側方向に沿って漸進的に増加させることにより、前記第3領域の一側から他側方向に光が回折する過程で光量が減少するのを防止して、第3領域の部分ごとに出射する光の光度を一定にすることができる。
【0106】
また、前記第3領域と同じく、前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれに含まれる第1領域および/または第2領域は、一側から他側まで漸進的に高さが増加する傾斜パターン構造体を含む回折パターンを含むことができる。
【0107】
本発明の一実施態様によれば、前記第3領域は、一側から他側まで漸進的にデューティが増加するパターン構造体を含むことができる。本発明において、「デューティ(duty)」は、パターン構造体の幅の値をパターン構造体の周期で割った値(パターン構造体の幅/パターン構造体の周期)を意味することができる。
図8を参照すれば、パターン構造体のデューティは、パターン構造体の幅d2をパターン構造体の周期d1で割った値d2/d1になり得る。
【0108】
本発明の一実施態様によれば、第3領域は、一側から他側まで漸進的にデューティが増加するパターン構造体を含むことにより、第3領域の一側から他側まで光屈折率を漸進的に増加させることができる。第3領域の一側から他側方向に沿ってパターン構造体のデューティが漸進的に増加することにより、前記第3領域の一側から他側方向に光屈折率が漸進的に増加することができる。第3領域の一側から他側に光屈折率が漸進的に増加することにより、第3領域の一側から他側まで光回折効率が漸進的に増加することができる。一例として、パターン構造体の周期を同一に設定し、パターン構造体の幅を漸進的に増加させることにより、第3領域の一側から他側方向に沿ってパターン構造体のデューティを漸進的に増加させることができる。
【0109】
本発明の一実施態様によれば、第3領域に含まれるパターン構造体のデューティは、0.1以上1.0以下であってもよい。前記第3領域に含まれるパターン構造体のデューティを前述した範囲に調節することにより、光回折効率に優れた第3領域を実現することができる。
【0110】
本発明の一実施態様によれば、2以上のパターン構造体の周期は同一に設定し、第3領域の一側から他側方向にパターン構造体の幅を漸進的に増加させることにより、パターン構造体のデューティを第3領域の一側から他側まで漸進的に増加させることができる。
【0111】
また、前記第3領域と同じく、前記第1回折格子層から第3回折格子層それぞれに含まれる第1領域および/または第2領域は、一側から他側まで漸進的にデューティが増加するパターン構造体を含むことができる。
【0112】
また、本発明の他の実施態様は、回折導光板の製造方法を提供する。
【0113】
本発明の一実施態様は、一面上に第1回折格子層、および他面上に第2回折格子層を含む第1回折基材を用意するステップと、一面上に第3回折格子層、および他面上に応力補償層を含む第2回折基材を用意するステップと、前記第1回折基材と前記第2回折基材とを結合させるステップとを含む、前記回折導光板の製造方法を提供する。
【0114】
本発明の一実施態様によれば、回折導光板の厚さおよび重量が減少した回折導光板を容易に製造することができる。
【0115】
また、本発明の一実施態様によれば、たわみが防止された第1回折基材および第2回折基材を含む回折導光板を容易に製造することができる。
【0116】
本発明の一実施態様に係る回折導光板の製造方法で製造される第1回折基材、第2回折基材、第1回折格子層、第2回折格子層、第3回折格子層、応力補償層は、本発明の一実施態様に係る回折導光板に含まれる第1回折基材、第2回折基材、第1回折格子層、第2回折格子層、第3回折格子層、応力補償層と実質的に同一であってもよい。
【0117】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材を用意するステップは、第1基材の一面上に前記第1回折格子層を形成し、前記第1基材の他面上に前記第2回折格子層を形成して、前記第1回折基材を製造することができる。具体的には、前記第1基材の一面上に前記第1回折格子層を形成した後、前記第1基材の他面上に前記第2回折格子層を形成することができる。また、前記第1基材の一面および他面上に第1回折格子層および第2回折格子層を同時に形成することもできる。
【0118】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材を用意するステップは、前記第1回折格子層が一面上に備えられた第1基材および前記第2回折格子層が一面上に備えられた追加の基材を互いに接合して、第1回折基材を製造することができる。具体的には、第1基材の一面上に第1回折格子層を形成し、前記追加の基材の一面上に第2回折格子層を形成した後、前記第1基材の他面と前記追加の基材の他面とを接合して、前記第1回折基材を製造することができる。
【0119】
本発明の一実施態様によれば、前記第1基材の他面と前記追加の基材の他面とは、粘着層を介在して接合される。前記粘着層は、1.5以上2.0未満の光屈折率を保持することができる。前述した範囲の光屈折率を保持する粘着層を用いて前記第1基材と前記追加の基材とを接合することにより、優れた光回折効率を有する第1回折基材を製造することができる。
【0120】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着層は、粘着フィルムまたは粘着剤を含むことができる。具体的には、前述した光屈折率を保持する粘着フィルムを用いることができ、前述した光屈折率を保持する粘着層を形成可能な粘着剤を用いることができる。
【0121】
本発明の一実施態様によれば、前記第2回折基材を用意するステップは、第2基材の一面上に前記第3回折格子層を形成し、前記第2基材の他面上に前記応力補償層を形成して、前記第2回折基材を製造することができる。具体的には、前記第2基材の一面上に前記第3回折格子層を形成した後、前記第2基材の他面上に前記応力補償層を形成することができる。また、前記第2基材の一面および他面上に第3回折格子層および応力補償層を同時に形成してもよい。
【0122】
本発明の一実施態様によれば、前記第2回折基材を用意するステップは、前記第3回折格子層が一面上に備えられた第2基材、および前記応力補償層が一面上に備えられた追加の基材を互いに接合して、第2回折基材を製造することができる。具体的には、第2基材の一面上に第3回折格子層を形成し、前記追加の基材の一面上に応力補償層を形成した後、前記第2基材の他面と前記追加の基材の他面とを接合して、前記第2回折基材を製造することができる。
【0123】
本発明の一実施態様によれば、前記第2基材の他面と前記追加の基材の他面とは、粘着層を介在して接合される。前記第2基材の他面と前記追加の基材の他面とを接合する粘着層は、前記第1基材の他面と前記追加の基材の他面とを接合する粘着層と同一であってもよい。
【0124】
本発明の一実施態様によれば、前記第2回折基材を用意するステップは、前記応力補償層上に反射防止パターンを形成することができる。前記応力補償層上に反射防止パターンを形成することにより、前記第2回折基材に入射可能な外部光の反射を効果的に抑制することができる。また、前記反射防止パターンは、当業界で用いられる反射防止パターンを用いることができる。一例として、本発明では、反射防止パターンとしてモスアイ(moth-eye)パターンを前記応力補償層の表面上に形成することができる。
【0125】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層および前記応力補償層はそれぞれ、光硬化性樹脂組成物およびインプリントモールドを用いるインプリント工程を用いて形成される。
【0126】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材を用意するステップは、第1基材上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、前記光硬化性樹脂組成物の表面に回折パターンが陰刻された表面を有するモールドを用いてインプリントすることができる。この後、前記光硬化性樹脂組成物に光照射して、前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させることができる。これによって、一面上に第1回折格子層が形成された第1基材を製造することができる。前記モールドにおける陰刻の回折格子パターンは、前記第1回折格子層のパターンと対応することができる。
【0127】
本発明の一実施態様によれば、一面上に前記第1回折格子層が形成された前記第1基材の他面上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、前記光硬化性樹脂組成物の表面に回折パターンが陰刻された表面を有するモールドを用いてインプリントすることができる。この後、前記光硬化性樹脂組成物に光照射して、前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させることができる。前記モールドにおける陰刻の回折格子パターンは、前記第2回折格子層のパターンに対応することができる。これによって、一面上に第1回折格子層が形成され、他面上に第2回折格子層が形成された第1回折基材を製造することができる。
【0128】
本発明の一実施態様によれば、前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させる工程は、前記光硬化性樹脂組成物の表面にモールドをインプリントする工程と同時に行われ、またはモールドを除去した後に行われてもよい。
【0129】
本発明の一実施態様によれば、前記第1基材の一面上に第1回折格子層を形成した後、第1回折格子層に離型フィルムなどを付着させて、前記第1基材の他面上に第2回折格子層を形成する過程中に前記第1回折格子層を保護(protect)することができる。
【0130】
また、本発明の一実施態様によれば、前記第1基材の一面および他面上に光硬化性樹脂組成物を同時に塗布、乾燥し、前記第1基材の一面および他面上に塗布された光硬化性樹脂組成物の表面を、モールドを用いて同時にインプリントしてもよい。
【0131】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材を用意するステップは、第1基材上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、前記光硬化性樹脂組成物の表面に回折パターンが陰刻された表面を有するモールドを用いてインプリントすることができる。この後、前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させて、一面上に第1回折格子層が形成された第1基材を製造することができる。追加の基材上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、前記光硬化性樹脂組成物の表面に回折パターンが陰刻された表面を有するモールドを用いてインプリントすることができる。この後、前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させて、一面上に第2回折格子層が形成された追加の基材を製造することができる。この後、前記第1基材の他面と前記追加の基材の他面とを粘着層を介在して接合して、第1回折基材を製造することができる。
【0132】
本発明の一実施態様によれば、前記第2回折基材を用意するステップは、第2基材上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、前記光硬化性樹脂組成物の表面に回折パターンが陰刻された表面を有するモールドを用いてインプリントすることができる。この後、前記光硬化性樹脂組成物に光照射して、前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させることができる。これによって、一面上に第3回折格子層が形成された第2基材を製造することができる。前記モールドにおける陰刻の回折格子パターンは、前記第3回折格子層のパターンに対応することができる。
【0133】
本発明の一実施態様によれば、一面上に前記第3回折格子層が形成された前記第2基材の他面上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、前記光硬化性樹脂組成物の表面に反射防止パターンが陰刻された表面を有するモールドを用いてインプリントすることができる。この後、前記光硬化性樹脂組成物に光照射して、前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させることができる。前記モールドにおける陰刻の反射防止パターンは、前記第2回折格子層の反射防止パターンに対応することができる。これによって、一面上に第3回折格子層が形成され、他面上に反射防止パターンが含まれた応力補償層が形成された第2回折基材を製造することができる。
【0134】
本発明の一実施態様によれば、前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させる工程は、前記光硬化性樹脂組成物の表面にモールドをインプリントする工程と同時に行われ、またはモールドを除去した後に行われてもよい。
【0135】
本発明の一実施態様によれば、前記第2基材の一面上に第3回折格子層を形成した後、第3回折格子層に離型フィルムなどを付着させて、前記第2基材の他面上に応力補償層を形成する過程中に前記第3回折格子層を保護(protect)することができる。
【0136】
また、本発明の一実施態様によれば、前記第2基材の一面および他面上に光硬化性樹脂組成物を同時に塗布、乾燥し、前記第2基材の一面および他面上に塗布された光硬化性樹脂組成物の表面を、モールドを用いて同時にインプリントしてもよい。
【0137】
本発明の一実施態様によれば、前記第2回折基材を用意するステップは、第2基材上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、前記光硬化性樹脂組成物の表面に回折パターンが陰刻された表面を有するモールドを用いてインプリントすることができる。この後、前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させて、一面上に第3回折格子層が形成された第2基材を製造することができる。追加の基材上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、前記光硬化性樹脂組成物の表面に反射防止パターンが陰刻された表面を有するモールドを用いてインプリントすることができる。この後、前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させて、一面上に応力補償層が形成された追加の基材を製造することができる。この後、前記第2基材の他面と前記追加の基材の他面とを粘着層を介在して接合して、第2回折基材を製造することができる。
【0138】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から第3回折格子層を形成するために使用される前記光硬化性樹脂組成物は、TiO2、Al2O3、Ga2O3、TeO2、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、ZnS、HfO、MoO、およびCuOのうちの少なくとも1つの高屈折成分を含有する光硬化性樹脂を含むことができる。具体的には、前記光硬化性樹脂は、光照射によって硬化され、前記光硬化性樹脂は、ウレタンアクリレート系光硬化性樹脂、エポキシアクリレート系光硬化性樹脂などのアクリル系光硬化性樹脂、ポリアミド系光硬化性樹脂、ポリイミド系光硬化性樹脂、シリコン系光硬化性樹脂、エポキシ系光硬化性樹脂、ポリエステル系光硬化性樹脂などを含むことができるが、その種類を制限するものではない。
【0139】
本発明の一実施態様によれば、高屈折成分を含有する光硬化性樹脂を含む光硬化性樹脂組成物を基材上に塗布した後、前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させて、基材上に回折格子層を形成することができる。具体的には、高屈折粒子としてZrO2を含有するアクリル系光硬化性樹脂を含む光硬化性樹脂組成物をスピンコーティング(spin-coating)方法で塗布し、約80℃の温度で光硬化性樹脂組成物を約3分乾燥させた後、約40℃の温度で100mW/cm2以上の強度を有する紫外線を60秒以上照射して前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させることができる。
【0140】
また、前記応力補償層を形成するために使用される前記光硬化性樹脂は、光照射によって硬化され、前記光硬化性樹脂は、ウレタンアクリレート系光硬化性樹脂、エポキシアクリレート系光硬化性樹脂などのアクリル系光硬化性樹脂、ポリアミド系光硬化性樹脂、ポリイミド系光硬化性樹脂、シリコン系光硬化性樹脂、エポキシ系光硬化性樹脂、ポリエステル系光硬化性樹脂などを含むことができるが、その種類を制限するものではない。また、前記応力補償層を形成するために使用される前記光硬化性樹脂は、TiO2、Al2O3、Ga2O3、TeO2、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、ZnS、HfO、MoO、およびCuOのうちの少なくとも1つの高屈折成分を含有することができる。
【0141】
本発明の一実施態様によれば、前記第1基材、第2基材、および追加の基材それぞれの光屈折率は、1.5以上2.0未満であってもよい。前述した範囲の光屈折率を保持する基材であれば、当業界で通常用いられる基材を含むことができる。具体的には、基材として、高屈折成分を含むガラスまたは高屈折成分を含む樹脂フィルムなどを使用することができる。前記高屈折成分は、TiO2、Al2O3、Ga2O3、TeO2、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、およびZnSのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0142】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から第3回折格子層に含まれる回折パターンを考慮して、前記モールドを作製することができる。また、前記応力補償層に含まれる反射防止パターンを考慮して、前記モールドを作製することができる。前記モールドとして当業界で用いられるモールドを制限なく使用可能であり、具体的には、ニッケル、ニッケル合金などの金属や合金、非晶質金属を含むハード(hard)モールド、またはポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)などを含むソフト(soft)モールドを用いることができる。また、前記モールドは、透明であってもよい。
【0143】
本発明の一実施態様によれば、モールドを用いて前記光硬化性樹脂組成物の表面にインプリント時、前記光硬化性樹脂組成物の表面と前記パターンが備えられたモールドの表面との間の接触性を向上させるために、支持部が備えられたモールドを用いることができる。具体的には、一面上にパターンが陰刻されたモールドの他面上に支持部を備えることにより、前記光硬化性樹脂組成物の表面と前記パターンが備えられたモールドの表面との間の接触性を向上させて、インプリント効率を増加させることができる。前記支持部は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)材質またはウレタン材質の支持層、支持層の一面上に備えられ、PDMS(polydimethylsiloxane)を含む弾性層を含むことができるが、支持層と弾性層の種類を制限するものではない。また、前記支持部に含まれる支持層および弾性層は、透明であってもよいし、前記支持部の弾性層が前記モールドの他面上に位置するように備えられる。
【0144】
図12は、本発明の一実施態様に係る2つの基材を用いて第1回折基材を用意することを概略的に示す図である。具体的には、
図12は、第1基材610の一面および追加の基材620の一面上に光硬化性樹脂組成物700を塗布し乾燥させた後、第1基材610の他面と追加の基材620の他面とを対向させた後、第1回折格子層に備えられるパターンが一面上に陰刻されたモールド810と、第2回折格子層に備えられるパターンが一面上に陰刻されたモールド820とを用いてインプリントすることを概略的に示す図である。
図12を参照すれば、パターンが形成されていないモールド810、820の他面上にPETとPDMSとを含む支持部、ウレタンとPDMSとを含む支持部をそれぞれ備えて、光硬化性樹脂組成物の表面と前記パターンが備えられたモールドの一面との間の接触性を向上させることができる。同じく、前述した方法と同様の方法を利用して第2回折基材を用意することができる。
【0145】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層から前記第3回折格子層および前記応力補償層はそれぞれ、リソグラフィ工程またはレーザエッチング工程を用いて形成される。具体的には、前記第1基材の一面上に光硬化性樹脂組成物を塗布し光硬化させた後、第1基材の一面上に形成された硬化物の表面にリソグラフィ工程またはレーザエッチング工程を用いて回折パターンを形成することにより、第1基材の一面上に第1回折格子層を形成することができる。前記方法と同様に、第2回折格子層、第3回折格子層、および応力補償層を形成することができる。
【0146】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折基材と前記第2回折基材とを結合させるステップは、スペーサを用いて、前記第1回折基材の回折格子層が前記第2回折基材と離隔するように結合させることができる。具体的には、前記第1回折基材の一端部と前記第2回折基材の一端部、前記第1回折基材の他端部と前記第2回折基材の他端部とをスペーサを介して連結することができる。前記スペーサは、前記第1回折基材と第2回折基材とを連結可能な公知の構成を使用することができ、前記スペーサとして弾性を保持したものを用いてもよい。
【0147】
本発明の一実施態様によれば、前記第1回折格子層または前記第2回折格子層が前記第3回折格子層または前記応力補償層と離隔した状態で、前記第1回折基材と前記第2回折基材とを結合させることができる。すなわち、前記第1回折基材に含まれた前記第1回折格子層または前記第2回折格子層が、前記第2回折基材に含まれた第3回折格子層または前記応力補償層と接しないようにし、前記第1回折基材と前記第2回折基材とをスペーサを介して結合させることができる。
【0148】
本発明の他の実施態様は、前記回折導光板を含むディスプレイユニットを提供する。前記ディスプレイユニットは、提供される映像を拡張現実(AR:Augmented Reality)、複合現実(MR:Mixed Reality)、または仮想現実(VR:Virtual Reality)で実現することができる。
【0149】
[実施例]
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0150】
実施例1
溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、高屈折粒子としてZrO2、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、光重合開始剤としてIrgacure184を含む組成物から製造された光硬化性樹脂を含む光硬化性樹脂組成物を用意した。第1基材、第2基材として、厚さ0.8mm、400nm以上700nm以下の波長の光に対して約1.5の光屈折率を保持するガラスを用意した。
【0151】
第1基材の一面上に用意された光硬化性樹脂組成物を塗布し、約80℃の温度で約3分間乾燥させた。この後、予め設定された第1回折格子層のパターンが陰刻されたモールドを用いて第1基材上の光硬化性樹脂組成物の表面にインプリントした。インプリントする過程で、約40℃の温度で約100mW/cm2の強度を有する紫外線を約60秒間照射して前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させることにより、一面上に第1回折格子層が備えられた第1基材を製造した。この後、第1基材の他面上に用意された光硬化性樹脂組成物を塗布し、約80℃の温度で約3分間乾燥させた。この後、予め設定された第2回折格子層のパターンが陰刻されたモールドを用いて、第1基材上の光硬化性樹脂組成物の表面にインプリントした。インプリントする過程で、約40℃の温度で約100mW/cm2の強度を有する紫外線を約60秒間照射して前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させることにより、一面上に第1回折格子層が備えられ、他面上に第2回折格子層が備えられた第1基材を製造した。
【0152】
第2基材の一面上に用意された光硬化性樹脂組成物を塗布し、約80℃の温度で約3分間乾燥させた。この後、予め設定された第3回折格子層のパターンが陰刻されたモールドを用いて、第2基材上の光硬化性樹脂組成物の表面にインプリントした。インプリントする過程で、約40℃の温度で約100mW/cm2の強度を有する紫外線を約60秒間照射して前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させることにより、一面上に第3回折格子層が備えられた第2基材を製造した。この後、第2基材の他面上に用意された光硬化性樹脂組成物を塗布し、約80℃の温度で約3分間乾燥させた。この後、予め設定された反射防止パターンが陰刻されたモールドを用いて、第2基材上の光硬化性樹脂組成物の表面にインプリントした。インプリントする過程で、約40℃の温度で約100mW/cm2の強度を有する紫外線を約60秒間照射して前記光硬化性樹脂組成物を光硬化させることにより、一面上に第3回折格子層が備えられ、他面上に反射防止パターンを含む応力補償層が備えられた第2基材を製造した。
【0153】
この後、第1回折基材の他面と第2回折基材の他面とを対向するように位置させた後、第1回折基材の一端部と第2回折基材の一端部、第1回折基材の他端部と第2回折基材の他端部とをスペーサで連結した。これによって、第1回折基材および第2回折基材を含む回折導光板を製造した。
【0154】
実施例2
第1基材、第2基材として、厚さ0.8mm、400nm以上700nm以下の波長の光に対して約1.73の光屈折率を保持するチオウレタン(thiourethane)系フィルムを用意したことを除けば、前記実施例1と同様の方法で回折導光板を製造した。
【0155】
第1回折格子層および第2回折格子層の断面分析
実施例1で製造された第1回折格子層および第2回折格子層の断面を電子顕微鏡(S-1400、Hitachi、Ltd)を用いて分析した。
【0156】
図13Aは、本発明の実施例1による第1回折格子層のSEM(scanning electron microscope)写真であり、
図13Bは、本発明の実施例1による第2回折格子層のSEM(scanning electron microscope)写真である。具体的には、
図13A(A)は、5,000倍の比率で第1回折格子層を撮影した写真であり、
図13A(B)は、15,000倍の比率で第1回折格子層を撮影した写真であり、
図13A(C)は、100,000倍の比率で第1回折格子層を撮影した写真である。また、
図13B(A)は、5,000倍の比率で第2回折格子層を撮影した写真であり、
図13B(B)は、15,000倍の比率で第2回折格子層を撮影した写真であり、
図13B(C)は、100,000倍の比率で第2回折格子層を撮影した写真である。
【0157】
図13Aおよび
図13Bを参照すれば、本発明の一実施態様に係る方法により、第1回折格子層と第2回折格子層とが備えられた第1回折基材を含む回折導光板を容易に製造可能であることを確認することができる。
【0158】
第2回折基材の形態分析
実施例1で製造された第3回折格子層および応力補償層の形態を電子顕微鏡(S-1400、Hitachi、Ltd)を用いて分析した。
【0159】
図14は、本発明の実施例1による第3回折格子層のSEM(scanning electron microscope)写真である。具体的には、
図14(A)は、5,000倍の比率で第3回折格子層の断面を撮影した写真であり、
図14(B)は、15,000倍の比率で第3回折格子層の平面を撮影した写真であり、
図14(C)は、100,000倍の比率で第3回折格子層の平面を撮影した写真である。
【0160】
図14を参照すれば、本発明の一実施態様に係る方法により、第3回折格子層を含む第2回折基材を容易に製造可能であることを確認することができる。
【0161】
図15は、本発明の実施例1による反射防止パターンを含む応力補償層のSEM(scanning electron microscope)写真である。
図15を参照すれば、反射防止パターンのモスアイパターンを応力補償層上に形成した。具体的には、
図15(A)は、10,000倍の比率でモスアイパターンを含む応力補償層の表面を撮影した写真であり、
図15(B)は、50,000倍の比率でモスアイパターンを含む応力補償層の表面を撮影した写真であり、
図15(C)は、10,000倍の比率でモスアイパターンを含む応力補償層の断面を撮影した写真であり、
図15(D)は、50,000倍の比率でモスアイパターンを含む応力補償層の断面を撮影した写真である。
【0162】
図15を参照すれば、本発明の一実施態様に係る方法により、反射防止パターンであるモスアイパターンを含む応力補償層が備えられた第2回折基材を容易に製造可能であることを確認することができる。
【0163】
第2回折基材の光透過率分析
参考例1
厚さ0.8mm、400nm以上700nm以下の波長の光に対して約1.5の光屈折率を保持するガラス基材を用意した。
【0164】
参考例2
前記参考例1と同一の基材を用意し、実施例1で用意した光硬化性樹脂組成物と同一のものを用意した。この後、基材の一面上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、約80℃の温度で約3分間乾燥させた。この後、約40℃の温度で約100mW/cm2の強度を有する紫外線を約60秒間照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させて、一面上に樹脂層が形成された基材を製造した。
【0165】
参考例3
前記参考例1と同一の基材を用意し、実施例1で用意した光硬化性樹脂組成物と同一のものを用意した。この後、基材の一面上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、約80℃の温度で約3分間乾燥させた。この後、予め設定された反射防止パターンが陰刻されたモールドを用いて、基材の一面上に塗布された光硬化性樹脂組成物の表面にインプリントした。インプリントする過程で、約40℃の温度で約100mW/cm2の強度を有する紫外線を約60秒間照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させて、反射防止パターンを含む樹脂層が形成された基材を製造した。
【0166】
参考例4
前記参考例1と同一の基材を用意し、実施例1で用意した光硬化性樹脂組成物と同一のものを用意した。この後、基材の一面上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、約80℃の温度で約3分間乾燥させた。この後、予め設定された第3回折格子層のパターンが陰刻されたモールドを用いて、基材上に塗布された光硬化性樹脂組成物の表面にインプリントした。インプリントする過程で、約40℃の温度で約100mW/cm2の強度を有する紫外線を約60秒間照射して光硬化性樹脂組成物を光硬化させて、一面上に第3回折格子層が形成された基材を製造した。
【0167】
参考例5
前記参考例1と同一の基材を用意し、実施例1で用意した光硬化性樹脂組成物と同一のものを用意した。この後、基材の一面上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、約80℃の温度で約3分間乾燥させた。この後、予め設定された第3回折格子層のパターンが陰刻されたモールドを用いて、基材上に塗布された光硬化性樹脂組成物の表面にインプリントした。インプリントする過程で、約40℃の温度で約100mW/cm2の強度を有する紫外線を約60秒間照射して光硬化性樹脂組成物を光硬化させた。この後、基材の他面上に光硬化性樹脂組成物を塗布し、約80℃の温度で約3分間乾燥させた。この後、約40℃の温度で約100mW/cm2の強度を有する紫外線を約60秒間照射して光硬化性樹脂組成物を光硬化させて、一面上に第3回折格子層、他面上に樹脂層が形成された基材を製造した。
【0168】
参考例6
厚さ0.8mm、400nm以上700nm以下の波長の光に対して約1.73の光屈折率を保持するチオウレタン(thiourethane)系フィルムを用意した。
【0169】
参考例7
前記参考例6と同一の基材を用意し、実施例1で用意した光硬化性樹脂組成物と同一のものを用意した。この後、予め設定された第3回折格子層のパターンが陰刻されたモールドを用いて、基材上に塗布された光硬化性樹脂組成物の表面にインプリントした。インプリントする過程で、約40℃の温度で約100mW/cm2の強度を有する紫外線を約60秒間照射して光硬化性樹脂組成物を光硬化させて、一面上に第3回折格子層が形成された基材を製造した。
【0170】
図16は、本発明の実施例1で用意された第2回折基材、参考例1~参考例5で用意された基材の光透過率を測定した結果を示すグラフである。具体的には、380nm以上1200nm以下の波長を有する光源(JIS K7136)を、前記実施例1で用意された第2回折基材、参考例1~参考例5で用意された基材に照射し、光透過率測定装置であるHM-150を用いて光透過率を測定した結果を
図16に示した。
【0171】
図16を参照すれば、本発明の実施例1で用意した第3回折格子層および応力補償層を含む第2回折基材は、約700nm以上1200nm以下の波長を有する光に対して、参考例1~参考例5で用意された基材より光透過率に優れていることを確認することができる。
【0172】
図17は、本発明の実施例2で用意された第2回折基材、参考例6および参考例7で用意された基材の光透過率を測定した結果を示すグラフである。具体的には、380nm以上1200nm以下の波長を有する光源(JIS K7136)を、前記実施例2で用意された第2回折基材、参考例6および参考例7で用意された基材に照射し、光透過率測定装置であるHM-150を用いて光透過率を測定した結果を
図17に示した。
【0173】
図17を参照すれば、本発明の実施例2で用意した第3回折格子層および応力補償層を含む第2回折基材は、約700nm以上1200nm以下の波長を有する光に対して、参考例6および参考例7で用意された基材より光透過率に優れていることを確認することができる。
【0174】
第2回折基材のたわみ分析
参考例8
厚さ0.8mm、400nm以上700nm以下の波長の光に対して、約1.73の光屈折率を保持するチオウレタン(thiourethane)系フィルムを用意した。
【0175】
この後、チオウレタン系フィルムを80℃の温度で約3分間放置した(乾燥ステップ)。この後、約40℃の温度で約100mW/cm2の強度を有する紫外線を約60秒間照射した(UV照射ステップ)。
【0176】
参考例9
前記参考例8と同一の基材を用意し、実施例1で用意した光硬化性樹脂組成物と同一のものを用意した。この後、基材の一面上に光硬化性樹脂組成物を塗布した(塗布ステップ)。この後、光硬化性樹脂が塗布された基材を約80℃の温度で約3分間乾燥させた(乾燥ステップ)。この後、予め設定された反射防止パターンが陰刻されたモールドを用いて、基材の一面上に塗布された光硬化性樹脂組成物の表面にインプリントした。インプリントする過程で、約40℃の温度で約100mW/cm2の強度を有する紫外線を約60秒間照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させて(UV照射ステップ)、反射防止パターンを含む応力補償層が一面上に形成された基材を製造した。
【0177】
参考例8および参考例9で基材を製造する過程中に、基材が変形することを3D-CMM(3D-coordinate measuring mechine)を用いて3Dイメージで撮影した。
【0178】
図18Aは、参考例8で基材を製造する過程による基材の3Dイメージを示す図であり、
図18Bは、参考例9で基材を製造する過程による基材の3Dイメージを示す図である。具体的には、
図18Aには、参考例8で用意された基材の形態、乾燥ステップを行った基材の形態、UV照射ステップを行った基材の形態を3Dイメージで撮影したものを示した。また、
図18Bには、参考例9で用意された基材の形態、塗布ステップを行った基材の形態、乾燥ステップを行った基材の形態、UV照射ステップを行った基材の形態を3Dイメージで撮影したものを示した。
【0179】
図18Aを参照すれば、参考例8において、本発明の一実施態様に係る回折基材を製造する工程と同一の条件を有する乾燥ステップ、UV照射ステップを行う場合、基材が変形することを確認することができる。これに対し、
図18Bを参照すれば、参考例9の場合、基材の一面上に応力防止層を形成することにより、乾燥ステップ、UV照射ステップを行う場合にも、基材が変形することが抑制されることを確認することができる。
【0180】
したがって、一面上に第3回折格子層が形成された第2回折基材の他面上に応力補償層を形成することにより、第2回折基材を製造する過程中に第2回折基材が変形するのを抑制可能であることを予測することができる。また、一面上に第1回折格子層が形成された第1回折基材の他面上に第2回折格子層を形成することにより、第1回折基材を製造する過程中に第1回折基材が変形するのを抑制することも予測することができる。
【符号の説明】
【0181】
10:基材層
11:第1基材層
12:第2基材層
13:第3基材層
20:パターン層
21:第1パターン層
22:第2パターン層
23:第3パターン層
100:第1回折基材
200:第2回折基材
310:第1回折格子層
320:第2回折格子層
330:第3回折格子層
311、321、331:第1回折パターン
312、322、332、332’:第2回折パターン
313、323、333:第3回折パターン
400:スペーサ
511、521、531:第1領域
512、522、532、532’:第2領域
513、523、533:第3領域
610:第1基材
620:追加の基材
700:光硬化性樹脂組成物
810、820:モールド
900:応力補償層