IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ケム・リミテッドの特許一覧

特許7127940分離膜エレメントの欠陥検出方法および分離膜エレメントの欠陥検出装置
<>
  • 特許-分離膜エレメントの欠陥検出方法および分離膜エレメントの欠陥検出装置 図1
  • 特許-分離膜エレメントの欠陥検出方法および分離膜エレメントの欠陥検出装置 図2
  • 特許-分離膜エレメントの欠陥検出方法および分離膜エレメントの欠陥検出装置 図3
  • 特許-分離膜エレメントの欠陥検出方法および分離膜エレメントの欠陥検出装置 図4
  • 特許-分離膜エレメントの欠陥検出方法および分離膜エレメントの欠陥検出装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】分離膜エレメントの欠陥検出方法および分離膜エレメントの欠陥検出装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 65/10 20060101AFI20220823BHJP
   B01D 63/10 20060101ALI20220823BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20220823BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20220823BHJP
   B01D 71/56 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B01D65/10
B01D63/10
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/56
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021507684
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 KR2019013745
(87)【国際公開番号】W WO2020080880
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-02-19
(31)【優先権主張番号】10-2018-0124585
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ジャ ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ヒュンジューン
(72)【発明者】
【氏名】シン、チョン キュ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ビョンスー
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-508142(JP,A)
【文献】特開2007-007539(JP,A)
【文献】特開2018-114473(JP,A)
【文献】特開2006-231289(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0170572(US,A1)
【文献】国際公開第2018/186109(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22,61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離膜エレメントの欠陥検出方法であって、
耐圧容器の内部に前記分離膜エレメントを配置するステップと、
前記耐圧容器の気体供給部に気体を供給し、前記分離膜エレメントを通過した気体を用いて前記分離膜エレメントの透気度を測定するステップとを含み、
前記分離膜エレメントに含まれる分離膜は、多孔性層と、前記多孔性層上に備えられた活性層とを含み、前記活性層は、ポリアミド活性層であり、
前記分離膜エレメントは、渦巻型(spiral wound)モジュールであり、
前記分離膜エレメントは、中心管およびケースを含み、
前記耐圧容器の気体供給部に気体を供給することは、前記中心管および前記ケースの間に供給することであり、
前記耐圧容器の気体供給部に気体を供給することは、0.2MPa以上0.6MPa以下の圧縮された気体を供給することである、
分離膜エレメントの欠陥検出方法。
【請求項2】
前記耐圧容器は、前記分離膜エレメントを通過した気体を前記耐圧容器の外部へ排出する気体排出部を含み、
前記分離膜エレメントの透気度を測定するステップにおいて、前記気体排出部へ排出された気体を用いて前記分離膜エレメントの透気度を測定する、請求項1に記載の分離膜エレメントの欠陥検出方法。
【請求項3】
前記分離膜エレメントを通過した気体を用いて測定された前記分離膜エレメントの透気度が0.095L/min(95ccm)以上の場合、前記分離膜エレメントの欠陥を検出するステップを含むものである、請求項1又は2に記載の分離膜エレメントの欠陥検出方法。
【請求項4】
塩化ナトリウム(NaCl)250g/L、0.41MPa、25℃および15%回収率の条件で前記分離膜エレメントの塩除去率を評価するステップをさらに含む、請求項に記載の分離膜エレメントの欠陥検出方法。
【請求項5】
前記分離膜エレメントの塩除去率を評価するステップは、前記分離膜エレメントの塩除去率が97%以下の場合、前記分離膜エレメントの欠陥が検出されるものである、請求項に記載の分離膜エレメントの欠陥検出方法。
【請求項6】
塩化ナトリウム(NaCl)250g/L、0.41MPa、25℃および15%回収率の条件で前記分離膜エレメントの透過流量を評価するステップをさらに含む、請求項からの何れか一項に記載の分離膜エレメントの欠陥検出方法。
【請求項7】
前記分離膜エレメントの透過流量を評価するステップは、前記分離膜エレメントの透過流量が340L/day(90GPD)以上の場合、前記分離膜エレメントの欠陥が検出されるものである、請求項に記載の分離膜エレメントの欠陥検出方法。
【請求項8】
分離膜エレメントの欠陥検出装置であって、
気体供給部および気体排出部を含む耐圧容器と、
前記気体排出部へ排出された気体を用いて前記分離膜エレメントの透気度を測定する測定部とを備え、
前記分離膜エレメントに含まれる分離膜は、多孔性層と、前記多孔性層上に備えられた活性層とを含み、前記活性層は、ポリアミド活性層であり、
前記分離膜エレメントは、渦巻型(spiral wound)モジュールであり、
前記分離膜エレメントは、中心管およびケースを含み、
前記気体供給部は、前記中心管と前記ケースとの間に気体が供給されるように備えられるものであり、
前記耐圧容器の気体供給部に気体を供給することは、0.2MPa以上0.6MPa以下の圧縮された気体を供給することである、
分離膜エレメントの欠陥検出装置。
【請求項9】
前記気体排出部は、前記分離膜エレメントの一端部から前記分離膜エレメントを通過した気体が排出される場合、前記気体を前記耐圧容器の外部へ排出するように備えられたものである、請求項に記載の分離膜エレメントの欠陥検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年10月18日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0124585号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
本明細書は、分離膜エレメントの欠陥検出方法および分離膜エレメントの欠陥検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分離膜の製造および工程技術は、高純度、高機能性物質の製造と地球環境保護などの社会的ニーズに応じて、簡単な実験実績規模から産業分野の大規模工程に至るまで広範囲に応用されている。
【0003】
そのうち、全世界的に地球温暖化による水不足現象が深刻化している中、代替水資源確保技術である水浄化技術が注目されている。したがって、海水淡水化、水の再利用などの代替水資源を活用した次世代水道事業の核心技術である逆浸透膜(Reverse osmosis membrane)を用いた水処理工程が水産業市場を主導することが予想されている。このような逆浸透膜による逆浸透膜透過水は、純粋な水または限りなく純粋な水に近い水になり、医療用の無菌水や人工透析用精製水、あるいは電子産業の半導体の製造用水など多様な分野で用いられている。
また、分離膜は、水素、酸素をはじめとするガス分離分野などに広範囲に拡大適用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、分離膜エレメントの欠陥検出方法および分離膜エレメントの欠陥検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書の一実施態様は、分離膜エレメントの欠陥検出方法であって、耐圧容器の内部に前記分離膜エレメントを配置するステップと、前記耐圧容器の気体供給部に気体を供給し、前記分離膜エレメントを通過した気体を用いて前記分離膜エレメントの透気度を測定するステップとを含み、前記分離膜エレメントに含まれる分離膜は、多孔性層と、前記多孔性層上に備えられた活性層とを含み、前記活性層は、ポリアミド活性層であり、前記分離膜エレメントは、渦巻型(spiral wound)モジュールである分離膜エレメントの欠陥検出方法を提供する。
【0006】
本明細書のもう一つの実施態様は、前記気体排出部へ排出された気体において前記分離膜エレメントの透気度を測定する測定部を含み、前記分離膜エレメントに含まれる分離膜は、多孔性層と、前記多孔性層上に備えられた活性層とを含み、前記活性層は、ポリアミド活性層であり、前記分離膜エレメントは、渦巻型(spiral wound)モジュールである分離膜エレメントの欠陥検出装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本明細書に係る気体透気度を用いて分離膜エレメントの欠陥を検出する方法および分離膜エレメントの欠陥を検出する装置は、塩水を用いて分離膜エレメントの欠陥を検出することに比べて、原材料、エネルギーなどが経済的であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本明細書の一実施態様に係る分離膜エレメントの欠陥検出装置を示す図である。
図2】本明細書の一実施態様に係る分離膜エレメントを示す図である。
図3】本明細書の一実施態様に係る分離膜を示す図である。
図4】本明細書の一実施態様に係る分離膜を示す図である。
図5】本明細書の一実施態様に係る分離膜エレメントの構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0010】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
以下、本明細書についてより詳しく説明する。
【0011】
本明細書の一実施態様は、分離膜エレメントの欠陥検出方法であって、耐圧容器の内部に前記分離膜エレメントを配置するステップと、前記耐圧容器の気体供給部に気体を供給し、前記分離膜エレメントを通過した気体を用いて前記分離膜エレメントの透気度を測定するステップとを含み、前記分離膜エレメントに含まれる分離膜は、多孔性層と、前記多孔性層上に備えられた活性層とを含み、前記活性層は、ポリアミド活性層であり、前記分離膜エレメントは、渦巻型(spiral wound)モジュールである分離膜エレメントの欠陥検出方法を提供する。
【0012】
分離膜エレメントにおいて、透過流量および塩除去率は、分離膜エレメント製品の重要な性能指標である。分離膜エレメントを塩水を用いて直接評価して透過流量および塩除去率の性能指標を確認することができるが、分離膜エレメントの製造過程で不良が発生した場合は、低い塩除去率、高い透過流量を示す。このように分離膜エレメントを塩水で直接評価して欠陥の有無を判断するには、時間、塩水をはじめとする原材料、エネルギーなど多くの要素が費やされる。また、塩水での評価後、分離膜エレメントの再乾燥が不可能なため、濡れによる重量増加などで取り扱いに不利である。
【0013】
これに対し、本明細書に係る分離膜エレメントの欠陥検出方法および分離膜エレメントの欠陥検出装置は、気体の透気度を活用して分離膜エレメントの欠陥を検出するもので、塩水を用いて欠陥を検出することよりも経済的であり、欠陥検出評価後、分離膜エレメントの濡れによる重量増加がないため、取り扱いに容易であるという利点がある。
【0014】
本明細書において、分離膜エレメントの「欠陥」は、分離膜エレメントの組立および加工を行う過程で接着剤が一部塗布されず密封されなかったり、物理的損傷による引き裂きによるものである。また、分離膜エレメントのローリング(rolling)過程で原副材料間の摩擦による分離膜の物理的損傷を意味することができるが、これに限定されるものではない。
【0015】
本明細書の一実施態様において、前記耐圧容器の内部に前記分離膜エレメントを配置するステップは、前記耐圧容器の内部に前記分離膜エレメントを入れた後、前記耐圧容器の内部に前記分離膜エレメントを固定することを意味する。
【0016】
前記分離膜エレメントを耐圧容器の内部に固定させることにより、前記分離膜エレメントの透気度を正確に測定することができる。
【0017】
前記耐圧容器は、供給された気体が密閉可能であり、腐食性があるものでなければ、その材質は特に制限なく使用可能である。例えば、ステンレススチール(SUS)であってもよい。
【0018】
前記耐圧容器は、円筒状であってもよい。前記圧力容器が円筒状の場合、前記圧力容器の大きさは、欠陥を検出しようとする分離膜エレメントの大きさに応じて異なる。例えば、前記圧力容器の一断面の直径は5~21cm(2~8inch)であってもよく、長さは30~102cm(12~40inch)であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0019】
本明細書の一実施態様において、前記耐圧容器の気体供給部に気体を供給し、前記分離膜エレメントを通過した気体を用いて前記分離膜エレメントの透気度を測定するステップの、前記耐圧容器の供給部に気体を供給することは、分離膜エレメントに原水を投入することと同様に気体を投入することを意味する。具体的には、前記分離膜エレメントは、中心管およびケースを含み、前記中心管と前記ケースとの間に気体が供給されるようにする。
【0020】
前記中心管と前記ケースとの間に供給される気体は、分離膜の一側面と接触可能である。前記分離膜の一側面とは、前記分離膜が多孔性層と、多孔性層上に備えられた活性層とを含んでいる場合、前記多孔性層と前記活性層とが接する面ではない、前記活性層の反対面を意味することができる。
【0021】
前記供給される気体が前記分離膜の一側面と接触した後、分離膜を透過する場合、前記供給される気体は、前記分離膜の一側面と平行でない方向に透過することができる。
【0022】
前記供給される気体が分離膜を透過する場合、前記活性層を透過した後、活性層と接する多孔性層を透過する。多孔性層を透過した気体は、トリコットを通して中心管に集まるようになる。
【0023】
前記耐圧容器の供給部に気体を供給した後、前記分離膜エレメントの透気度を測定することは、前記供給部に気体を供給してから30秒~60秒の時間が経た後、前記分離膜エレメントの透気度を測定することができる。
【0024】
前記分離膜エレメントを通過した気体を用いて前記分離膜エレメントの透気度を測定するステップは、フローメータ(Flow meter)を用いて前記透気度を測定するステップを含む。
【0025】
本明細書の一実施態様は、前記分離膜エレメントの透気度を測定するステップにおいて、前記耐圧容器は、前記分離膜エレメントを通過した気体を前記耐圧容器の外部へ排出する気体排出部を含み、前記気体排出部へ排出された気体を用いて前記分離膜エレメントの透気度を測定する分離膜エレメントの欠陥検出方法を提供する。
【0026】
前記気体排出部へ排出された気体を用いて前記分離膜エレメントの透気度を測定するにあたり、前記気体排出部へ排出された気体は、前記分離膜エレメントに含まれる分離膜を透過した気体が中心管に集まって前記気体排出部に投入される気体だけを意味する。すなわち、前記気体排出部へ排出された気体は、前記分離膜エレメントに含まれる分離膜を透過しない気体を意味しない。
【0027】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントの欠陥検出方法によって欠陥が検出される分離膜エレメントは、中心管およびケースを含み、前記耐圧容器の気体供給部に気体を供給することは、前記中心管および前記ケースの間に供給することである。
前記ケースは、後述する説明が適用可能である。
【0028】
本明細書の一実施態様において、前記耐圧容器の供給部に気体を供給することは、0.1MPa(20psi)以上0.7MPa(100psi)以下の圧縮された気体を供給することである。好ましくは、前記圧縮された気体の圧力は、0.2MPa以上0.6MPa以下(30psi以上80psi以下)であってもよく、0.2MPa以上0.48MPa以下(30psi以上70psi以下)であってもよく、さらに好ましくは、0.25MPa以上0.45MPa以下(40psi以上60psi以下)であってもよい。一例によれば、前記圧縮された気体は、0.35MPa(50psi)であってもよい。
【0029】
前記耐圧容器に供給される圧縮された気体が前記範囲を満たす場合、加圧による分離膜エレメントの損傷なく、欠陥の有無による透気度の差が適切で、分離膜エレメントの欠陥を効果的に選別することができる。
【0030】
本明細書の一実施態様は、前記分離膜エレメントを通過した気体を用いて測定された前記分離膜エレメントの透気度が0.095L/min(95ccm)以上の場合、前記分離膜エレメントの欠陥を検出するステップを含む分離膜エレメントの欠陥検出方法を提供する。
【0031】
本明細書において、「気体」とは、窒素、酸素、二酸化炭素などを含む大気の乾燥した空気を意味することができる。
【0032】
前記「ccm」とは、気体の透過流量を表示する単位であって、cc per minuteを意味し、1ccmは、1mL/minであり、0.001L/minである。
【0033】
前記分離膜エレメントの透気度は、0.095L/min(95ccm)以上であれば、分離膜エレメントの欠陥が検出されることから、その上限は限定しない。
【0034】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントの測定された透気度が0.095L/min(95ccm)未満の場合、前記分離膜エレメントの製造過程で欠陥が検出されず、塩除去率および透過流量評価において、優れた性能を示すことができる。
【0035】
本明細書において、前記透気度は、常温である20~25℃、好ましくは25℃で測定することができる。
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントは、1%~3%の含水率を有することができる。
前記含水率は、下記の計算式で計算することができる。
[計算式]
【0036】
【数1】
【0037】
上記の計算式において、加熱は、100℃の温度で1分30秒間前記分離膜を加熱することを意味する。
【0038】
本明細書の一実施態様において、前記含水率を測定するための分離膜のサンプルは、30cm~50cmの面積および/または0.3g~0.7gの重量であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0039】
本明細書の一実施態様は、塩化ナトリウム(NaCl)250g/L(250ppm)、0.41MPa(60psi)、25℃および15%回収率の条件で前記分離膜エレメントの塩除去率を評価するステップをさらに含む分離膜エレメントの欠陥検出方法を提供する。
【0040】
前記分離膜エレメントの塩除去率を評価するステップは、前記分離膜エレメントの塩除去率が97%以下の場合、前記分離膜エレメントの欠陥が検出されるのである。
【0041】
前記分離膜エレメントの塩除去率が97%超過の場合、塩除去率性能に優れた分離膜エレメントであることを確認することができる。
【0042】
本明細書の一実施態様は、塩化ナトリウム(NaCl)250g/L(250ppm)、0.41MPa(60psi)、25℃および15%回収率の条件で前記分離膜エレメントの流量を評価するステップをさらに含む分離膜エレメントの欠陥検出方法を提供する。
【0043】
前記分離膜エレメントの流量を評価するステップは、前記分離膜エレメントの流量が340L/day(90GPD)以上の場合、前記分離膜エレメントの欠陥が検出されるのである。
【0044】
前記分離膜エレメントの流量が340L/day(90GPD)未満の場合、分離膜エレメントの透過流量が適切に維持されて性能に優れた分離膜エレメントであることを確認することができる。
【0045】
前記「GPD」とは、流量を表示する単位であって、gallon/dayを意味し、1GPDは、約3.8L/dayである。
【0046】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントの欠陥を検出することは、前記分離膜エレメントの塩除去率を評価するステップにより欠陥を検出すること、および前記分離膜エレメントの透過流量を評価するステップにより欠陥を検出すること、のいずれか1つのステップを行った場合、本明細書において目的とする塩除去率および/または透過流量を満たしていなければ、前記分離膜エレメントの欠陥が検出されると判断することができる。
【0047】
本明細書のもう一つの実施態様は、前記気体排出部へ排出された気体において前記分離膜エレメントの透気度を測定する測定部を含み、前記分離膜エレメントに含まれる分離膜は、多孔性層と、前記多孔性層上に備えられた活性層とを含み、前記活性層は、ポリアミド活性層であり、前記分離膜エレメントは、渦巻型(spiral wound)モジュールである分離膜エレメントの欠陥検出装置を提供する。
前記気体供給部に供給される圧縮された気体に関する説明は、前述した説明が適用可能である。
【0048】
本明細書の一実施態様において、前記気体排出部は、前記分離膜エレメントの一端部から前記分離膜エレメントを通過した気体が排出される場合、前記気体を前記耐圧容器の外部へ排出するように備えられたものである。
【0049】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントの欠陥検出装置によって欠陥が検出される分離膜エレメントは、中心管およびケースを含み、前記気体供給部は、前記中心管と前記ケースとの間に気体が供給されるように備えられるものである。
【0050】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントの欠陥検出装置は、気体供給源と、前記気体供給源と前記耐圧容器との間の気体供給区間に連結された供給ラインと、前記供給ライン上に装着され、気体供給源から供給される気体を供給または遮断する開閉バルブとをさらに含むことができる。
【0051】
また、前記分離膜エレメントの欠陥検出装置は、前記供給ライン上に装着され、供給される気体の圧力を調節する圧力調節器と、供給される気体の圧力を観察する圧力ゲージとをさらに含むことができる。
【0052】
必要に応じて、前記分離膜エレメントの欠陥検出装置は、前記耐圧容器に装着される圧力ゲージをさらに含んでもよい。前記耐圧容器に装着される圧力ゲージは、供給部を通して供給される気体の圧力との差を比較するためのものであってもよい。
【0053】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントの欠陥検出装置は、前記耐圧容器とフローメータとの間に連結された排出ラインをさらに含むことができる。
【0054】
本明細書の一実施態様において、前記測定部は、気体排出部へ排出された気体の透気度を測定するフローメータ(Flow meter)を含む。すなわち、前記測定部は、フローメータを意味することができる。
前記フローメータは、透過速度を直接検知して透過速度に相応する電位差を発生させることができる。
【0055】
前記フローメータは、バブルフローメータ(bubble flow meter)を用いることができる。前記分離膜エレメントの透気度は、前記バブルフローメータを用いて、常温(25℃)、1atm(101,325Pa)の条件で、3分~5分内の時間で前記分離膜エレメントに0.35MPa(50psi)の圧力をかけて計5回の透気度を測定して、その平均値を計算して測定することができる。
【0056】
前記分離膜エレメントの欠陥検出装置は、必要に応じて、前記耐圧容器の内部に前記分離膜エレメントを固定する固定部をさらに含んでもよい。
【0057】
前記固定部の形状や大きさは、前記圧力容器の内部に前記分離膜エレメントを動かないように固定できるものであれば制限なく採用可能である。
【0058】
前記固定部は、前記分離膜エレメントに含まれる中心管から排出される気体が前記気体排出部に連結され、漏れずかつ排出されないようにする密閉部をさらに含むことができる。
【0059】
前記密閉部を含むことにより、前記分離膜エレメントの欠陥検出装置の割れや微細な隙間を防ぐことができる。
前記密閉部は、Oリングを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0060】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントは、気体透過が発生するように気体が供給される場合、体積増加による圧力の低下が発生しないように製造される。
【0061】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントに含まれる分離膜は、水処理分離膜であってもよい。前記水処理分離膜は、精密濾過膜、限外濾過膜、ナノ濾過膜、または逆浸透膜などとして使用可能であり、好ましくは、逆浸透膜として用いられる。
【0062】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜は、多孔性層と、前記多孔性層上に備えられた活性層とを含む。
前記多孔性層は、第1多孔性支持体および第2多孔性支持体を含むことができる。
【0063】
前記第1多孔性支持体は、不織布を用いることができる。前記不織布の材料としては、ポリエチレンテレフタレートが使用できるが、これに限定されるものではない。
【0064】
前記不織布の厚さは、50μm~150μmであってもよいが、これに限定されるものではない。好ましくは、前記厚さは、80μm~120μmであってもよい。前記不織布の厚さが前記範囲を満たす場合、前記多孔性層を含む分離膜の耐久性が維持できる。
【0065】
前記第2多孔性支持体は、前記第1多孔性支持体上に高分子材料のコーティング層が形成されたことを意味することができる。前記高分子材料としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンオキシド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリメチルクロライド、およびポリビニリデンフルオライドなどが使用できるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。具体的には、前記高分子材料としてポリスルホンを使用することができる。
【0066】
前記第2多孔性支持体の厚さは、20μm~100μmであってもよいが、これに限定されるものではない。好ましくは、前記厚さは、40μm~80μmであってもよい。前記コーティング層の厚さが前記範囲を満たす場合、前記第2多孔性支持体を含む多孔性層を含む分離膜の耐久性が適切に維持できる。
【0067】
一例によれば、前記第2多孔性支持体は、前記ポリスルホンが含まれた高分子溶液で製造できる。前記ポリスルホンが含まれた高分子溶液は、前記ポリスルホンが含まれた高分子溶液の総重量を基準として、80~90重量%の溶媒ジメチルホルムアミドに10~20重量%のポリスルホン固形を入れて、80℃~85℃で12時間溶かした後に得た均質(homogeneous)な液状であってもよいが、前記重量範囲が前記範囲に限定されるものではない。
【0068】
前記ポリスルホンが含まれた高分子溶液の総重量を基準として前記範囲のポリスルホン固形が含まれる場合、前記第2多孔性支持体を含む分離膜の耐久性が適切に維持できる。
【0069】
前記第2多孔性支持体は、キャスティングの方法で形成される。前記キャスティングは、溶液鋳造(casting)方法を意味するもので、具体的には、前記高分子材料を溶媒に溶解させた後、接着性のない平滑な表面に展開させた後、溶媒を置換させる方法を意味することができる。具体的には、前記溶媒で置換させる方法は、非溶媒誘導相分離法(nonsolvent induced phase separation)を利用することができる。前記非溶媒誘導相分離法とは、高分子を溶媒に溶解させて均一な溶液を作り、これを一定形態に成形させた後、非溶媒に浸漬させる。以後、非溶媒と溶媒の拡散による相互交換が行われ、高分子溶液の組成が変化し、高分子の沈殿が起こりながら溶媒と非溶媒の占めていた部分を気孔に形成させる方法である。
前記活性層は、ポリアミド活性層であってもよい。
【0070】
前記ポリアミド活性層は、アミン化合物とアシルハライド化合物との接触時、アミン化合物とアシルハライド化合物とが反応しながら、界面重合によってポリアミドを生成し、前記多孔性層に吸着されて形成される。前記接触は、浸漬、スプレー、またはコーティングなどの方法により行われる。界面重合条件は、当技術分野で知られているものが制限なく使用可能である。
【0071】
前記ポリアミド活性層を形成させるために、前記多孔性層上にアミン化合物を含む水溶液層を形成することができる。前記多孔性層上にアミン化合物を含む水溶液層を形成する方法は特に限定せず、前記多孔性層上に水溶液層を形成できる方法であれば制限なく使用可能である。具体的には、前記多孔性層上にアミン化合物を含む水溶液層を形成する方法は、噴霧、塗布、浸漬、滴下、コーティングなどが挙げられる。
【0072】
この場合、前記アミン化合物を含む水溶液層は、必要に応じて、過剰のアミン化合物を含む水溶液を除去するステップを追加的に経てもよい。前記多孔性層上に形成されたアミン化合物を含む水溶液層は、前記多孔性層上に存在するアミン化合物を含む水溶液が多すぎる場合には不均一に分布しうるが、アミン化合物を含む水溶液が不均一に分布する場合には、後の界面重合によって不均一なポリアミド活性層が形成されることがある。したがって、前記多孔性層上にアミン化合物を含む水溶液層を形成した後に過剰の水溶液を除去することが好ましい。前記過剰の水溶液の除去は特に限定されないが、例えば、スポンジ、エアナイフ、窒素ガスブローイング、自然乾燥、または圧縮ロールなどを用いて行うことができる。
【0073】
前記アミン化合物を含む水溶液における前記アミン化合物は、分離膜の製造に使用されるアミン化合物であればその種類を限定しないが、具体例を挙げると、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、1,3,6-ベンゼントリアミン、4-クロロ-1,3-フェニレンジアミン、6-クロロ-1,3-フェニレンジアミン、3-クロロ-1,4-フェニレンジアミン、またはこれらの混合物であることが好ましい。
【0074】
前記アミン化合物を含む水溶液の溶媒は、水であってもよく、追加的に、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、または1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、ヘキサメチルホスホルアミド(hexamethylphosphoramide、HMPA)を含むことができる。
【0075】
前記アミン化合物の含有量は、前記水溶液の全重量対比、1重量%以上10重量%以下であってもよい。前記含有量を満たす場合、本発明において目的とする塩除去率と透過流量を確保することができる。
【0076】
ポリアミド活性層は、アミン化合物を含む水溶液を前記多孔性層上にコーティングした後、アシルハライド化合物を含む有機溶液を接触させて界面重合することにより製造できる。
【0077】
前記アシルハライド化合物としては、ポリアミドの重合に使用できるものであれば限定しないが、具体例として、2~3個のカルボン酸ハライドを有する芳香族化合物として、トリメソイルクロライド、イソフタロイルクロライド、およびテレフタロイルクロライドからなる化合物の群より選択される1種または2種以上の混合物が好ましく使用できる。
【0078】
前記アシルハライド化合物の含有量は、前記有機溶液の全重量対比、0.01重量%以上0.5重量%以下であってもよい。前記含有量を満たす場合、本発明において目的とする塩除去率と透過流量を確保することができる。
【0079】
前記アシルハライド化合物を含む有機溶液に含まれる有機溶媒としては、脂肪族炭化水素溶媒、例えば、フレオン類と炭素数が5~12のヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、アルカンのような水と混合されない疎水性液体、例えば、炭素数が5~12のアルカンとその混合物であるIsoPar(Exxon)、ISOL-C(SK Chem)、ISOL-G(Exxon)などが使用できるが、これに限定されるものではない。
【0080】
前記有機溶媒の含有量は、前記アシルハライド化合物を含む有機溶液の全重量対比、95~99.99重量%であってもよいが、これに限定されるものではない。前記含有量を満たす場合、本発明において目的とする塩除去率と流量を確保することができる。
【0081】
前記ポリアミド活性層の厚さは、10nm~1000nmであってもよいが、これに限定されるものではない。前記厚さは、好ましくは300nm~500nmであってもよい。前記ポリアミド活性層の厚さが前記範囲を満たす場合、前記含有量を満たす場合、本発明において目的とする塩除去率と流量を確保することができる。
【0082】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントは、前記分離膜の間にトリコット(Tricot)をさらに含むことができる。前記トリコットは、織物または編物からなる構造を有し、生産水が流出可能な空間を設けるように多孔性表面構造を有する。
【0083】
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントは、渦巻型(spiral wound)モジュールであってもよい。
【0084】
前記分離膜エレメントが渦巻型(spiral wound)モジュールの場合、平膜モジュールの場合に比べて、前記分離膜エレメントの製造時にローリング過程で発生しうる欠陥を検出することができる。
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントは、ケースを含むことができる。
【0085】
前記ケースは、前記分離膜エレメントが収納される空間を意味し、構成および製造方法は特に限定されず、この分野で公知の一般的な手段を制限なく採用可能である。
【0086】
本明細書の前記分離膜エレメントは、前述した分離膜を含む限り、それ以外の他の構成および製造方法などは特に限定されず、この分野で公知の一般的な手段を制限なく採用可能である。
本明細書の一実施態様において、前記分離膜エレメントは、中心管を含むことができる。
【0087】
前記中心管は、チューブ(tube)で表現されてもよいし、前記中心管は、透過した気体が流入して排出される通路の役割を果たす。
【0088】
前記中心管の形状は特に限定されるものではないが、前記分離膜エレメントの中心に位置することが好ましい。また、前記中心管は、流入した気体が排出できるように一側面が開放可能である。
【0089】
本明細書の一実施態様において、前記中心管は、複数の空隙を含むことができ、本明細書の一実施態様に係る前記分離膜エレメントによって気体透過が進行すれば、透過した気体が前記中心管の複数の空隙を通して前記中心管の内部に流入した後、流入した気体は、前記中心管の開放されている一側面を通して排出されるようになる。
【0090】
前記中心管の素材は特に限定されるものではなく、この分野で公知の一般的な素材を使用することができる。
以下、添付した図面を参照して、本発明についてより詳しく説明する。
【0091】
図1は、本明細書に係る分離膜エレメントの欠陥検出装置の模式図を示した。前記分離膜エレメントの欠陥検出装置は、耐圧容器5を含み、気体供給部1および気体排出部2を含み、前記気体排出部2へ排出された気体において前記分離膜エレメントの透気度を測定する測定部3を含む。前記分離膜エレメントの欠陥検出装置は、気体供給源(Feed)と、前記気体供給源(Feed)と前記耐圧容器5との間の気体供給区間に連結された供給ライン11と、前記供給ライン11上に装着され、気体供給源(Feed)から供給される気体を供給または遮断する開閉バルブ12とをさらに含むことができる。
【0092】
また、前記分離膜エレメントの欠陥検出装置は、前記供給ライン11上に装着され、供給される気体の圧力を調節する圧力調節器13と、供給される気体の圧力を観察する圧力ゲージ4とをさらに含むことができる。前記分離膜エレメントの欠陥検出装置は、前記耐圧容器5とフローメータ3との間に連結された排出ライン22を含むことができる。
【0093】
前記測定部3は、気体排出部2へ排出された気体の透気度を測定するフローメータ(Flow meter)を含む。また、前記分離膜エレメントの欠陥検出装置は、必要に応じて、前記圧力容器の内部に前記分離膜エレメントを固定する固定部を含むことができる。前記固定部は、前記分離膜エレメントに含まれる中心管から排出される気体が前記排出部に連結され、漏れずかつ排出されないようにする密閉部6をさらに含むことができる。前記密閉部6を含むことにより、前記分離膜エレメントの欠陥検出装置の割れや微細な隙間を防ぐことができる。
【0094】
前記分離膜エレメントの欠陥検出装置に気体供給源(Feed)から気体を供給した後、開閉バルブ12を開けると、供給ライン11に沿って気体が供給される。この場合の圧力は圧力調節器13を用いて所望の圧力に合わせることができ、調節された圧力は圧力ゲージ4により確認することができる。供給された気体は耐圧容器5の内部に投入され、分離膜エレメントの内部に注入される。分離膜エレメントを通過した気体は、中心管に集まって排出部2へ排出される。以後、排出された空気は、排出ライン22に沿って測定部3であるフローメータに注入され、フローメータにより分離膜エレメントの透気度を測定することができる。本明細書の一実施態様に係る分離膜エレメントの欠陥検出装置は図1の構造に限定されず、追加の構成がさらに含まれてもよい。
【0095】
図2は、本明細書に係る分離膜エレメントを示す図である。水処理分離膜、具体的には、逆浸透分離膜を用いて、直径1.8インチ、長さ12インチである渦巻型分離膜エレメントを製造して、製造された分離膜エレメントの欠陥を検出することができる。前記分離膜エレメントは、中心に中心管40を含む。前記中心管40には、前述した分離膜エレメントの欠陥検出装置の供給部から供給された気体が分離膜エレメントを透過して収集され、収集された気体は、前記中心管40の一側面を通して前記分離膜エレメントの欠陥検出装置の排出部へ排出される。
【0096】
図3は、本明細書の一実施態様に係る分離膜の断面に気体を供給した場合、分離膜内部への気体の流れを示す図である。本明細書の気体分離膜エレメントの欠陥検出装置に気体を供給した場合、供給された気体は、順次に、分離膜の活性層300、第2多孔性支持体200、および第1多孔性支持体100を透過し、分離膜の内部に含まれたトリコット(Tricot)に沿って収集される。
【0097】
図4は、本明細書の一実施態様に係る分離膜に、気体ではない原水を投入することを示す図である。具体的には、図4は、第1多孔性支持体100、第2多孔性支持体200、および活性層300が順次に備えられた分離膜を示す図であって、活性層300に塩水400が流入して、生産水500が第1多孔性支持体100を通して排出され、濃縮水600は活性層300を通過できずに外部へ排出される。
【0098】
図5は、本明細書の一実施態様に係る分離膜エレメントに原水を投入することを示す図である。具体的には、分離膜エレメントは、中心管40と、供給スペーサ(Feed spacer)20と、分離膜10と、トリコット濾過水路30などとを含んで構成される。分離膜エレメントに原水を流すと、分離膜エレメント内の供給スペーサ20を通して、原水が流入する。1つ以上の分離膜10は、中心管40から外側方向に延び、中心管40の周りに巻取られる。供給スペーサ20は、外部から原水が流入する通路を形成し、1つの分離膜10と他の1つの分離膜10との間の間隔を維持させる役割を果たす。このために、供給スペーサ20は、1つ以上の分離膜10と上側および下側で接触し、中心管40の周りに巻取られる。トリコット濾過水路30は、一般的に織物形態の構造を有し、分離膜10を通して精製された水が流出可能な空間を設ける流路の役割を果たす。中心管40は、分離膜エレメントの中心に位置し、濾過した水が流入して排出される通路の役割を果たす。この場合、中心管40の外側には濾過した水が流入するように所定サイズの空隙が形成されることが好ましく、1つ以上形成されることが好ましい。
【実施例
【0099】
以下、本明細書を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本明細書に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本明細書の範囲が以下に詳述する実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0100】
製造例.
分離膜エレメントの欠陥検出装置の製造
多孔性支持体として、100μmの厚さの不織布(ポリエチレンテレフタレート)上にコーティング層(ポリスルホン層)を60μmの厚さにコーティングした。ポリスルホン層のコーティング溶液は、85重量%の溶媒ジメチルホルムアミドに15重量%のポリスルホン固形を入れて、80~85℃で12時間撹拌した均質な液状であった。前記コーティングの方法はダイコーティング方法を利用した。
【0101】
以後、多孔性支持体上に、m-フェニレンジアミン(m-PD)とトリメソイルクロライド(TMC)との界面重合反応でポリアミド活性層を形成させた。
【0102】
具体的には、m-フェニレンジアミンを5重量%含む水溶液を用いて、前記多孔性支持体上に水溶液層を形成させた。その後、トリメソイルクロライド(TMC)0.2重量%、有機溶媒であるIsopar-Gを98重量%含む有機溶液を前記水溶液層上に塗布して、界面重合反応を行って、500nmの厚さのポリアミド活性層を製造した。
【0103】
これによって、多孔性支持体と、多孔性支持体上に備えられたポリアミド活性層とを含む分離膜を製造した。
【0104】
前記製造された横1.2m、縦30cmの分離膜1leafを含み、直径1.8インチ、長さ12インチのサイズ(中心管を含む)の渦巻型(spiral wound)分離膜エレメントを製造した。
【0105】
ステンレススチール材質を用いて、前記製造した分離膜エレメントが入ることが可能な直径4インチ(101.6mm)、長さ15インチ(381mm)の耐圧容器を製造し、フローメータとしてバブルフローメータ(bubble flow meter)(Sensidyne社のGilibrator2)、圧力ゲージ(Sensys社のdigital pressure gauge)を用いて分離膜エレメントの欠陥検出装置を製造した。
【0106】
実験例.
分離膜エレメントの透気度の測定
【0107】
実験例1.
前記分離膜エレメントの欠陥検出装置に、製造した分離膜エレメントを入れて固定させた。
【0108】
50psi(0.35MPa)の圧縮空気を供給部に供給した後、測定部であるフローメータで製造された分離膜エレメントの透気度を測定した。その結果を下記表1に記載した。
【0109】
具体的には、バブルフローメータを用いて、常温(25℃)、1atm(101,325Pa)の条件で、3~5分内に計5回の透気度を測定して、その平均値を計算したものを下記表1に記載した。
【0110】
実験例2.
前記実験例1において、圧縮空気の圧力を30psi(0.2MPa)に変更したことを除けば、前記実験例1と同様の方法で透気度を測定して、下記表2に実施例1-1および1-2として記載した。
【0111】
分離膜エレメントの性能評価
分離膜エレメントの透気度の測定後、塩化ナトリウム(NaCl)250g/L(250ppm)、0.41MPa(60psi)および15%回収率の条件で塩除去率および透過流量の性能を評価した。その結果を下記表1および2に記載した。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
前記表1および2において、透気度の単位ccmはcc/minute、流量の単位GPDはgallon/dayをそれぞれ意味する。また、欠陥検出の有無の「良品」とは、分離膜エレメントの欠陥が検出されなかったことを意味し、「不良」とは、分離膜エレメントの欠陥が検出されたことを意味する。
【0115】
前記表1および2の結果によれば、分離膜エレメントの透気度が95ccm(0.095L/min)以上の場合、分離膜エレメントに欠陥が検出されることを確認することができた。また、分離膜エレメントの性能評価時、塩除去率が97%以下、流量が90GPD(340L/day)以上の場合、分離膜エレメントに欠陥が検出されて性能が低下することを確認することができた。
【0116】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも発明の範疇に属する。
【符号の説明】
【0117】
1:気体供給部
11:供給ライン
12:開閉バルブ
13:圧力調節器
2:気体排出部
3:測定部(フローメータ)
4:圧力ゲージ
5:耐圧容器
6:密閉部
10:分離膜
20:供給通路
30:透過通路
40:中心管
100:第1多孔性支持体
101:多孔性層
200:第2多孔性支持体
300:活性層
400:原水
500:生産水
600:濃縮水
図1
図2
図3
図4
図5