(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04B 53/00 20060101AFI20220823BHJP
E03B 5/00 20060101ALI20220823BHJP
F04B 23/02 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
F04B53/00 J
E03B5/00 B
F04B23/02 A
(21)【出願番号】P 2017129449
(22)【出願日】2017-06-30
【審査請求日】2020-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】原田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】小西 康貴
(72)【発明者】
【氏名】金田 一宏
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-133080(JP,A)
【文献】特開2004-225672(JP,A)
【文献】特開2015-124948(JP,A)
【文献】特開2017-096208(JP,A)
【文献】特開2017-089393(JP,A)
【文献】特開2014-087565(JP,A)
【文献】特開2012-225349(JP,A)
【文献】特開2009-074541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/00
E03B 5/00
F04B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプを制御する制御装置を備える給水装置において、
前記制御装置を収容する筐体と、
前記制御装置に設けられ、
NFCによる第1近距離通信を行って前記給水装置の状態を示す情報を送信する制御部と、
前記筐体
の内面に取り付けられ、前記制御部から非接触で電力が供給された場合に、前記制御部との間で前記第1近距離通信を行って得られる前記情報を記憶し、前記筐体の外部の機器から非接触で電力が供給された場合に、前記外部の機器との間で
NFCによる第2近距離通信を行って、記憶した前記情報を前記外部の機器に送信する通信器と、
を備える給水装置。
【請求項2】
前記外部の機器は、前記通信器との間で前記第2近距離通信を行って得られた前記情報を表示する表示部を備える端末装置である、請求項1記載の給水装置。
【請求項3】
前記通信器は、前記第1近距離通信を行って得られた情報を表示する表示部を備える表示器である、請求項1又は請求項2記載の給水装置。
【請求項4】
ポンプを制御する制御装置を備える給水装置において、
前記制御装置のケース内に収容され、
NFCによる第1近距離通信を行って前記給水装置の状態を示す情報を送信する制御部と、
前記制御装置のケース
の内面に取り付けられ、前記制御部から非接触で電力が供給された場合に、前記制御部との間で前記第1近距離通信を行って得られる前記情報を記憶し、前記制御装置の外部の機器から非接触で電力が供給された場合に、前記制御装置の外部の機器との間で
NFCによる第2近距離通信を行って、記憶した前記情報を前記制御装置の外部の機器に送信する第1通信器と、
を備える給水装置。
【請求項5】
前記制御装置の外部の機器は、前記第1通信器との間で前記第2近距離通信を行って得られた前記情報を表示する表示部を備える端末装置である、請求項4記載の給水装置。
【請求項6】
ポンプを制御する制御装置を備える給水装置において、
前記制御装置のケース内に収容され、
NFCによる第1近距離通信を行って前記給水装置の状態を示す情報を送信する制御部と、
前記制御装置のケースに取り付けられ、前記制御部との間で前記第1近距離通信を行って前記情報を得るとともに、第2通信を行って前記情報を送信する第1通信器と、
前記制御装置を収容する筐体と、
前記筐体
の内面に取り付けられ、前記第1通信器から非接触で電力が供給された場合に、前記第1通信器との間で
NFCによる第2近距離通信を行って得られる前記情報を記憶し、前記筐体の外部の機器から非接触で電力が供給された場合に、前記外部の機器との間で
NFCによる第3近距離通信を行って、記憶した前記情報を前記外部の機器に送信する第2通信器と、
を備える給水装置。
【請求項7】
前記第2通信器は、前記第2近距離通信を行って得られた情報を表示する表示部を備える表示器である、請求項6記載の給水装置。
【請求項8】
前記第1通信器は、前記第1近距離通信を行って得られた情報を表示する表示部を備える内部表示器である、請求項6又は請求項7記載の給水装置。
【請求項9】
ポンプを制御する制御装置を備える給水装置において、
前記制御装置を収容する筐体と、
前記制御装置に設けられ、前記給水装置の状態を示す情報を出力する制御部と、
前記制御部に接続され、前記制御部から出力される前記情報を表示するととともに、
NFCによる第1近距離通信を行って前記情報を送信する内部表示器と、
前記筐体
の内面に取り付けられ、前記内部表示器から非接触で電力が供給された場合に、前記内部表示器との間で前記第1近距離通信を行って得られる前記情報を記憶し、前記筐体の外部の機器から非接触で電力が供給された場合に、前記外部の機器との間で
NFCによる第2近距離通信を行って、記憶した前記情報を前記外部の機器に送信する通信器と、
を備える給水装置。
【請求項10】
前記通信器は、前記第1近距離通信を行って得られた情報を表示する表示部を備える表示器である、請求項9記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給水装置は、誤操作の防止や安全上の観点から、キャビネットと呼ばれる金属製又は樹脂製の筐体に収容されているものが殆どである。例えば、マンション等の集合住宅に設置される給水装置は、ポンプ、ポンプを駆動する電動機、及び電動機を制御する制御装置等の主要な構成要素の殆どがキャビネットに収容されているものが多い。また、給水装置の中には、主要な構成要素の一部(制御装置等)のみがキャビネットに収容されており、残りの構成要素(ポンプ及び電動機)がキャビネットの外部に配置されているものもある。
【0003】
このような給水装置では、キャビネットの一部又は全部が取り外し可能(或いは、キャビネットの一部が開閉可能)に構成されており、キャビネットの一部又は全部を取り外す(或いは、キャビネットの一部を開放する)ことで、キャビネットに収容された構成要素に対する操作を行うことが可能である。また、このような給水装置では、キャビネットに透明な窓部が設けられており、窓部を介してキャビネットに収容された表示器を参照することで、キャビネットの取り外し等を行うことなく、給水装置の運転状態や警報の内容を確認することが可能である。例えば、従来の給水装置には、取り外し可能(或いは、開閉可能)に構成されたキャビネット蓋に窓部が設けられているものがある。
【0004】
以下の特許文献1には、ポンプ、電動機、制御装置等の主要な構成要素の殆どがキャビネットに収容されている給水装置の一例が開示されている。また、以下の特許文献2には、主要な構成要素の一部(制御装置等)のみがキャビネットに収容されており、残りの構成要素(ポンプ及び電動機)がキャビネットの外部に配置されている給水装置の一例が開示されている。また、以下の特許文献3には、開閉扉に設けられた覗き窓からハウジング内のインバータ回路の表示部を視認できるよう凸レンズ部を具備し、開閉扉を開くことなく点検が可能な給水装置の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2013/100016号
【文献】特開2005-155344号公報
【文献】特許第3566390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来の給水装置では、キャビネット設けられている窓部が経年劣化によって曇ってしまい、窓部を介してキャビネットに収容されている表示器を参照するのが困難になるという問題がある。また、キャビネット内の配管は結露することがあり、結露によって窓部が曇ってしまった場合にも、窓部を介して表示器を参照するのが困難になるという問題がある。しかも、キャビネットは誤操作の防止や安全上の観点から施錠されており、キャビネットの取り外し等を自由に行うことができないため、窓部の清掃や交換を行うことができるのはメンテナンス時のみに限られてしまう。
【0007】
また、給水装置は、屋外に設置される場合には、防雨、防塵等のために、全体が屋外カバーで覆われた状態で設置されることがある。例えば、上述した特許文献2に開示された給水装置のように、ポンプ及び電動機がキャビネットの外部に配置される給水装置が屋外に設置される場合には、上記の屋外カバーが用いられることがある。このような屋外カバーが用いられる場合には、屋外カバーに設けられた窓部を介して給水装置の表示器を参照する必要があることから、窓部が曇ってしまった場合には、窓部を介して給水装置の表示器を参照するのが困難になるという問題がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、キャビネット又は屋外カバー等の筐体を取り外すことなく運転状態や警報等を容易に確認することが可能な給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1態様による給水装置は、ポンプ(11a,11b)を制御する制御装置(CP)を備える給水装置(1、2、3A)において、前記制御装置を収容する筐体(10、CV)と、前記制御装置に設けられ、第1近距離通信を行って前記給水装置の状態を示す情報を送信する制御部(20、40)と、前記筐体に取り付けられ、前記制御部との間で前記第1近距離通信(C1)を行って前記情報を得る通信器(30、50)と、を備える。
また、本発明の第1態様による給水装置は、前記通信器が、前記制御部から非接触で供給される電力によって動作する。
また、本発明の第1態様による給水装置は、前記通信器が、前記第1近距離通信を行って得られた前記情報を、第2近距離通信(C2)を行って前記筐体の外部の機器(60)に送信する。
また、本発明の第1態様による給水装置は、前記通信器が、前記外部の機器から非接触で供給される電力によって動作する。
また、本発明の第1態様による給水装置は、前記外部の機器が、前記通信器との間で前記第2近距離通信を行って得られた前記情報を表示する表示部(64)を備える端末装置(60)である。
また、本発明の第1態様による給水装置は、前記通信器が、前記第1近距離通信を行って得られた情報を表示する表示部を備える表示器である。
本発明の第2態様による給水装置は、ポンプ(11a,11b)を制御する制御装置(CP)を備える給水装置(3、4)において、前記制御装置のケース(CS)内に収容され、第1近距離通信を行って前記給水装置の状態を示す情報を送信する制御部(20、40)と、前記制御装置のケースに取り付けられ、前記制御部との間で前記第1近距離通信を行って前記情報を得る第1通信器(50、90)と、を備える。
また、本発明の第2態様による給水装置は、前記第1通信器が、前記第1近距離通信を行って得られた前記情報を、第2近距離通信(C2)を行って前記制御装置の外部の機器(30、50、60)に送信する。
また、本発明の第2態様による給水装置は、前記外部の機器が、前記第1通信器との間で前記第2近距離通信を行って得られた前記情報を表示する表示部を備える端末装置(60)である。
或いは、本発明の第2態様による給水装置は、前記制御装置を収容する筐体(10)を備えており、前記外部の機器が、前記筐体に取り付けられ、前記第1通信器との間で前記第2近距離通信を行って前記情報を得る第2通信器(30、50)である。
また、本発明の第2態様による給水装置は、前記第2通信器が、前記第2近距離通信を行って得られた情報を表示する表示部を備える表示器である。
また、本発明の第2態様による給水装置は、前記第2通信器が、前記第2近距離通信を行って得られた前記情報を、第3近距離通信(C3)を行って前記筐体の外部の機器に送信する。
また、本発明の第2態様による給水装置は、前記第1通信器が、前記第1近距離通信を行って得られた情報を表示する表示部を備える内部表示器(90)である。
本発明の第3態様による給水装置は、ポンプ(11a,11b)を制御する制御装置(CP)を備える給水装置(4)において、前記制御装置を収容する筐体(10)と、前記制御装置に設けられ、前記給水装置の状態を示す情報を出力する制御部(20a)と、前記制御部に接続され、前記制御部から出力される前記情報を表示するととともに、第1近距離通信(C1)を行って前記情報を送信する内部表示器(90a)と、前記筐体に取り付けられ、前記内部表示器との間で前記第1近距離通信を行って前記情報を得る通信器(50)と、を備える。
また、本発明の第3態様による給水装置は、前記通信器が、前記第1近距離通信を行って得られた前記情報を、第2近距離通信(C2)を行って前記筐体の外部の機器(60)に送信する。
また、本発明の第3態様による給水装置は、前記通信器が、前記第1近距離通信を行って得られた情報を表示する表示部を備える表示器である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、制御装置を収容する筐体に通信器を取り付け、制御装置に設けられた制御部と通信器との間で行われる第1近距離通信により、制御部から通信器へ給水装置の状態を示す情報を送信するようにしているため、キャビネット又は屋外カバーを取り外すことなく運転状態や警報等を容易に確認することが可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態による給水装置の外観を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による給水装置のキャビネット蓋が取り外された状態の正面図である。
【
図3】
図1(a)中のA-A線に沿う模式的な断面矢視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による給水装置に設けられる制御部及び表示器の要部構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第2実施形態による給水装置の模式的な断面矢視図である。
【
図6】本発明の第2実施形態による給水装置に設けられる制御部及び表示器並びに外部表示器の要部構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の第3実施形態による給水装置の外観を示す図である。
【
図8】本発明の第3実施形態による給水装置の変形例を示す図である。
【
図9】本発明の第4実施形態による給水装置のキャビネット蓋が取り外された状態の正面図である。
【
図10】本発明の第4実施形態による給水装置の模式的な断面矢視図である。
【
図11】本発明の第4実施形態による給水装置の第1変形例を示す断面矢視図である。
【
図12】本発明の第4実施形態による給水装置の第2変形例を示す断面矢視図である。
【
図13】キャビネットに対する表示器の取り付け位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による給水装置について詳細に説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による給水装置の外観を示す図である。尚、
図1(a)は給水装置の正面図であり、
図1(b)はキャビネット蓋が取り外された状態の給水装置の右側面図である。
図1に示す通り、本実施形態の給水装置1は、略直方体状の箱形に形成されたキャビネット10(筐体)に収容されており、例えば建物内に設けられた機械室等に設置される。尚、給水装置1の設置は、建物内に限定される訳ではなく、屋外に設置されることもある。また、キャビネット10は、ステンレス等の金属製であっても良く、樹脂製であっても良い。
【0014】
給水装置1は、オフィスビルや集合住宅等の建物への給水に使用される給水装置である。給水装置1の吸込口14は、その上流に不図示の水道本管又は受水槽といった水供給源が接続されている。給水装置1の吐出し口19は、その下流に、不図示の配水管が接続されて建物の内部に配置された給水器具(例えば蛇口)に接続されている。給水装置1は、水供給源の水を加圧し建物の各給水器具に供給するためのポンプ装置である。
【0015】
キャビネット10は、キャビネット蓋10aとキャビネット本体10bとからなる。キャビネット蓋10aは、キャビネット10の正面側に配置され、キャビネット本体10bから取り外し可能に構成されている。言い換えれば、キャビネット蓋10aがキャビネット本体10bから取り外れたときに、キャビネット本体10b内の各機器の少なくとも正面側は露出するようになっている。このキャビネット10は、第三者による操作を防止するために施錠が可能である。具体的に、キャビネット蓋10aの中央下部には鍵穴KHが設けられており、例えば、鍵穴KHに鍵を差し込んで反時計方向に廻せばキャビネット10は解錠され、鍵穴KHに鍵を差し込んで時計方向に廻すことでキャビネット10は施錠される。
【0016】
キャビネット10が解錠された状態で、キャビネット蓋10aの下部を手前に引くことで、
図1(b)に示す通り、キャビネット蓋10aは、キャビネット本体10bから取り外される。また、取り外されたキャビネット蓋10aの上部をキャビネット本体10bの上部正面側に設けられた突起10cに引っ掛けて、キャビネット蓋10aの下部をキャビネット本体10b側に押し込むことで、キャビネット蓋10aは、キャビネット本体10bに装着される。キャビネット蓋10aがキャビネット本体10bに装着された状態のときに、鍵穴KHに鍵を差し込んで時計方向に廻すことでキャビネット10は施錠される。
【0017】
また、キャビネット蓋10aの内面(キャビネット蓋10aがキャビネット本体10bに装着された状態でキャビネット10の内部を向く面)には、給水装置1の状態(運転状態を含む)を示す情報を表示する表示器30(通信器)が取り付けられている。
図1に示す例では、キャビネット蓋10aを正面側から見た場合に、キャビネット蓋10aの右上隅に表示器30が取り付けられている。尚、表示器30の取り付け位置は、キャビネット蓋10aの右上隅に制限される訳ではなく、キャビネット蓋10aの任意の位置であって良い。また、表示器30の取り付け位置は、キャビネット蓋10aに制限される訳ではなく、キャビネット本体10bの任意の位置であって良い。詳細は後述するが、表示器30は、配線を気にすることなくキャビネット蓋10aの取り外しを可能にするために、キャビネット10内に収容される制御部との間で無線通信が可能になっている。
【0018】
ここで、表示器30はキャビネット10に装着されるので、キャビネット10の外部から表示器30を直接参照することができる。キャビネット10の内部に結露等が発生しても表示器30を参照できる。また、キャビネット10内に収容される制御部との間で無線通信を行うので、キャビネット10に取り付けられた表示器30と、キャビネット10に収容された制御装置との間に配線(例えば、電源線や信号線)を設ける必要がなく、配線を気にすることなくキャビネット蓋10aの取り外し作業を行うことができる。
【0019】
図2は、本発明の第1実施形態による給水装置のキャビネット蓋が取り外された状態の正面図である。
図2に示す通り、給水装置1は、2台のポンプ11a,11b、2つのモータ12a,12b、2つのインバータ13a,13b、吸込口14、逆流防止弁15、吸込ヘッダ16、吐出ヘッダ17、圧力タンク18、吐出し口19、及び制御盤CP(制御装置)を備える、これらは、
図1に示したキャビネット10内に収容されている。
【0020】
ポンプ11a,11bは、キャビネット10内の下部空間に設置された架台ST上に設置され、回転軸(図示省略)が鉛直方向に沿うように、横方向に並べて(並列に)設置されている。これらポンプ11a,11bは、モータ12a,12bによってそれぞれ駆動され、水を加圧して送水する。ポンプ11a,11b、例えば、多段の渦巻型ポンプである。2台のポンプ11a,11bを並列に設けるのは、ポンプ11a,11bの何れか一方が故障した場合であっても給水を継続可能にするため、或いは給水量に応じてポンプ11a,11bを効率的に運転することで省エネルギーを実現するため等の理由による。
【0021】
モータ12a,12bは、ポンプ11a,11bの上部側にそれぞれ設けられており、インバータ13a,13bによって駆動されることで、対応するポンプ11a,11bをそれぞれ駆動する。モータ12a,12bは、例えばDCブラシレスモータである。インバータ13a,13bは、ポンプ11a,11bの可変速手段であって、モータ12a,12bに対応してそれぞれ設けられており、制御盤CPの制御の下で、対応するモータ12a,12bをそれぞれ可変速駆動する。インバータ13a,13bは、底面にヒートシンクが設けられたインバータケースに収容されており、モータ12a,12bの上部側に配置される。尚、インバータ13a,13bは、DCリアクトルを含む場合がある。
【0022】
ポンプ11a,11bの吸込口は、吸込ヘッダ16に接続されており、ポンプ11a,11bの吐出し口は、吐出ヘッダ17に接続されている。吸込ヘッダ16は、逆流防止弁15及び吸込口14を介して、図示しない水道本管等の管路に接続されている。吐出ヘッダ17は、ポンプ11a,11bよりも上方に設けられており、吐出ヘッダ17に集められた水は、給水装置1の吐出し口19を介して、図示しない末端の需要者までの配管管路に接続される。また、吐出ヘッダ17の側方には、圧力タンク18が設置されている。圧力タンク18は、吐出し口19に連通しており、加圧水を蓄圧(貯留)することでポンプ11a,11bの頻繁な起動停止を防止するとともに、ポンプ11a,11bが停止している間の吐出側圧力を保持するための圧力保持器である。
【0023】
圧力タンク18の側方には、制御盤CPが設置されている。制御盤CPは、キャビネット10の側壁(
図2に示す例では、右側壁)の内面に沿って取り付けられている。制御盤CPは、ポンプ11a,11bや圧力タンク18等の給水装置1内の通水部を取り外してメンテナンスするとき等に、制御盤CP内の各機器が被水しないようにケースCSを備え、ケースCS内に制御部20及び電源部(不図示)を収容する。電源部には、入力電源端子、漏電遮断器、DCリアクトル、ノイズフィルタ、AC/DCコンバータ等を備える。このケースCSは、ステンレス等の金属製であっても良く、樹脂製であっても良い。
【0024】
ケースCSは、蓋体CS1とケース本体CS2とで形成されている。制御部40は、ケース本体CS2内に配置され、蓋体CS1は、少なくともケースCSの前面を形成する面の一部を含むとよい。制御盤CPのケースCS内の各機器をメンテナンスするために、蓋体CS1と、ケース本体CS2とは取り外し可能(或いは、開閉可能)である。
【0025】
図3は、
図1(a)中のA-A線に沿う模式的な断面矢視図である。
図3に示す通り、キャビネット蓋10aの内面には、
図1を用いて説明した表示器30が取り付けられており、制御盤CPには制御部20が設けられている。尚、制御部20は、キャビネット蓋10aがキャビネット本体10bに装着された状態で、表示器30に近接する位置(例えば、表示器30から数センチメートル程度離間する位置)に配置されている。
【0026】
制御部20は、キャビネット蓋10aに取り付けられた表示器30との間で無線通信を行って、給水装置1の状態を示す情報を表示器30に送信する。表示器30は、制御部20との間で無線通信を行って制御部20から得た情報を表示する。本実施形態では、制御部20と表示器30との間の無線通信が第1近距離通信C1である。第1近距離通信C1は、例えばWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線通信、或いはNFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信である。尚、以下では、NFCにて第1近距離通信C1を行う場合を例に挙げて説明する。
【0027】
図4は、本発明の第1実施形態による給水装置に設けられる制御部及び表示器の要部構成を示すブロック図である。
図4に示す通り、制御部20は、I/O部21、演算部22、記憶部23、設定部24、DC電源25、データライタ26、及び制御部側アンテナ部27を備える。I/O部21は、インバータ13a,13b及び吐出ヘッダ17内の圧力を検出する不図示の圧力センサ等の各種センサと接続されており、各種センサの検出結果を演算部22に出力するとともに演算部22からの指令信号(例えば、ポンプ11a,11bの回転速度)をインバータ13a,13bへ出力する。また、I/O部21は、給水装置1の状態を接点信号や通信を用いて、外部へ出力する不図示の外部出力端子を備えてもよいし、給水装置1の各種状態を表示するGUI(Graphical User Interface)を備えてもよい。
【0028】
演算部22は、例えばCPU(中央処理装置)によって実現され、I/O部21を介して入力される各種センサ等の検出結果に基づいて、モータ12a,12bに出力する指令信号を演算し、その指令信号をI/O部21に出力する。例えば、吐出ヘッダ17内の圧力を検出する圧力センサ(図示省略)の信号(現在圧PV)を受けて、設定圧PAに対して既知の吐出圧力一定制御又は推定末端圧一定制御の演算を行い、目標圧SVを算出して、現在圧PVが目標圧SVとなるように、ポンプ11a,11bの回転速度を制御する。また、演算部22は、給水装置1の状態を示す情報(吐出し圧力、回転数、積算運転時間、積算運転回数等)を求めて記憶部23に記憶させる。記憶部23は、演算部22で用いられる各種情報、及び演算部22で求められた各種情報を記憶する各種メモリを備える。
【0029】
設定部24は、給水装置1の運転制御に関する各種設定値の設定を行う部位である。この設定部24には、例えば各種操作ボタンが設けられている。設定部24は、これらのボタンの操作状況に応じて、給水装置1の運転制御に関する各種設定値の設定を行う。尚、設定部24で設定された各種設定値は、記憶部23に記憶される。
【0030】
DC電源25は、制御部側アンテナ部27等に対する電力の供給を行う電源であり、給水装置1の主電源より不図示のAC/DCコンバータを介して供給される。データライタ26は、記憶部23に記憶された各種情報を読み出して、制御部側アンテナ部27を介して表示器30に送信する。制御部側アンテナ部27は、DC電源25から供給される電力を用いて、表示器30を動作させるための電力を非接触で表示器30に給電する。また、制御部側アンテナ部27は、データライタ26から出力される各種情報を無線信号にして外部に送信する。
【0031】
図4に示す通り、表示器30は、表示器側アンテナ部31、集積回路32、及び表示部33を備える。これら表示器側アンテナ部31、集積回路32、及び表示部33は、制御部20から非接触で給電される電力によって動作する。表示器側アンテナ部31は、制御部20に設けられた制御部側アンテナ部27から非接触で給電される電力を受電するとともに、制御部側アンテナ部27との間で第1近距離通信C1を行って制御部20から送信されてくる各種情報を受信する。尚、表示器30は、更にバッテリを備え、制御部20から非接触で給電される電力を蓄電してもよい。その場合、表示器30は、バッテリに蓄電した電力により動作してもよい。また、表示器30が何かしら電源の供給源を備えており、その電源にて動作できる場合は、制御部20は、表示器30を動作させるための電力を表示器30に給電しなくてもよい。
【0032】
集積回路32は、制御部20から送信されてきて、表示器側アンテナ部31で受信された各種情報を記憶するとともに、これら各種情報に基づいて表示部33の表示制御を行う。表示部33は、7セグメントLED、LED等の表示ランプ、或いは液晶表示素子の表示素子を備えており、集積回路32の制御の下で、給水装置1の状態を示す情報を表示するGUIである。
【0033】
また、表示器30には、不図示の操作部を備えてもよい。表示器30の操作部は、給水装置1の運転制御に関する各種設定値の変更や、ポンプ11a,11bの自動運転の運転停止の切り替え、ポンプ11a,11bの自動運転と試験運転の切り替え等を行う。具体的に、表示器30の操作部には、例えば各種操作ボタンが設けられており、これらのボタンの操作状況に応じて、給水装置1の運転制御に関する各種情報の変更を行うことができる。より具体的には、ボタンによる操作に関する各種情報を集積回路32にて記憶し、更に、制御部側アンテナ部27との間で第1近距離通信C1を行って制御部20へ送信する。尚、制御部20へ送信された各種情報は、記憶部23に記憶されるとよい。
【0034】
このような表示器30は、
図1(a)に示す通り、キャビネット10の外部から視認可能な状態で、キャビネット蓋10aの内面に取り付けられている。尚、表示器30は、表示部33がキャビネット蓋10aの外部に露出するようにキャビネット蓋10aの内面に取り付けられていても良い。或いは、表示器30は、表示部33がキャビネット蓋10aに設けられた透明窓に密接する状態でキャビネット蓋10aの内面に取り付けられていても良い。これにより、表示器30の表示部33を、外部から直接、或いは透明窓を介して視認可能である。尚、給水装置1は屋外に設置されることがあるため、表示器30の取り付け部分から雨水等が侵入しない構成とされるとよい。一例として、表示器30とキャビネット蓋10aとの間にシール部材を挟み防水するとよい。
【0035】
次に、上記構成における給水装置1の動作について説明する。尚、ここでは、キャビネット蓋10aがキャビネット本体10bに取り付けられる際の動作について説明する。キャビネット蓋10aの上部を、キャビネット本体10bの上部正面側に設けられた突起10c(
図1(b)参照)に引っ掛けて、キャビネット蓋10aの下部をキャビネット本体10b側に押し込むことで、キャビネット蓋10aは、キャビネット本体10bに装着される。すると、キャビネット蓋10aの内面に取り付けられた表示器30が、制御盤CPに設けられた制御部20の近傍に配置される。尚、この状態で鍵穴KHに鍵を差し込んで時計方向に廻すことでキャビネット10は施錠される。
【0036】
制御部20は、通電中は常に表示器30の電力供給用の電波を発する。表示器30が、制御部20の近傍に位置する表示器30の表示器側アンテナ部31で、その電波を受信すると、表示器側アンテナ部31において起電力が生ずる。この起電力は、表示器30の集積回路32及び表示部33に供給され、これにより表示器30の表示器側アンテナ部31、集積回路32、及び表示部33が通電状態になる。
【0037】
制御部20では、記憶部23に記憶された各種情報がデータライタ26によって読み出される。例えば、給水装置1の運転状態を示す情報、故障を示す情報、及び吐出し圧力を示す情報等が読み出される。データライタ26によって読み出された情報は、制御部側アンテナ部27にて出力され、第1近距離通信C1によって表示器30に送信される。
【0038】
制御部20から表示器30に送信された情報は、表示器30の表示器側アンテナ部31で受信された後に集積回路32に出力されて記憶される。そして、表示器30では、集積回路32によって、制御部20から表示器30に送信された情報に基づく表示部33の表示制御が行われる。例えば、給水装置1の運転状態を示す情報が「運転中」である旨を示す場合には、運転中を示すランプ(運転ランプ)を点灯させる表示制御が行われる。また、給水装置1の故障を示す情報に応じて、故障を示すランプ(故障ランプ)を点灯又は点滅させる表示制御が行われる。更に、給水装置1の設定圧PA、現在圧PVを示す情報に応じて、設定圧PA、現在圧PV等の各種情報を7セグメントLED等の表示器に表示させる表示制御が行われる。
【0039】
以上説明した表示器30が通電状態となった以降の一連の制御部20と表示器30との通信に関わる動作は、予め規定された周期で繰り返し行われる。これにより、表示器30の表示部33には、上記の周期に応じて給水装置1の状態を示す情報が連続的、或いは間欠的に更新される。具体的に、上記の周期が短い場合(例えば、1秒以下の場合)には、給水装置1の状態を示す情報が連続的に更新され、上記の周期が長い場合(例えば、数十秒程度以上の場合)には、給水装置1の状態を示す情報が間欠的に更新される。表示部33には、更新のタイミングにて最新の情報が表示されるとよい。上記の周期は、集積回路32や演算部22が実行する処理量にて規定されることもある。
【0040】
以上の通り、本実施形態では、キャビネット蓋10aの内面に表示器30を取り付け、キャビネット蓋10aがキャビネット本体10bに装着されたときに、表示器30の表示器側アンテナ部31が、制御盤CPに設けられた制御部20の制御部側アンテナ部27の近傍に配置されるようにしている。そして、給水装置1の状態を示す情報を、制御部20から第1近距離通信C1(NFC)によって表示器30に送信して表示器30の表示部33に表示するようにしている。
【0041】
このため、制御盤CPに設けられた制御部20と表示器30との間に通信線を配線する必要が無い。また、制御部20から表示器30へ非接触で電力が供給されるため、表示器30には電力線を配線する必要も無い。このように、制御部20と表示器30との間には配線がないことから、キャビネット本体10bからキャビネット蓋10aを取り外したり、キャビネット本体10bにキャビネット蓋10aを装着したりするときに、配線を気にする必要が無い。
【0042】
ここで、表示器30は、表示部33がキャビネット蓋10aの外部に露出するように、キャビネット蓋10aの内面に取り付け可能である。このように取り付けられている場合には、キャビネット10の外部から表示器30の表示部33を直接視認することができ、従来のように透明窓を介して表示器30の内容を視認する必要がないことから、運転状態や警報等を容易に確認することが可能である。また、表示器30は、表示部33がキャビネット蓋10aに設けられた透明窓に密接するように、キャビネット蓋10aの内面に取り付け可能である。このように取り付けられている場合には、表示部33が透明窓から離れている場合に比べて視認性を向上させることができ、また、キャビネット蓋10aに設けられた透明窓の内側が結露によって曇ることを防止することができるため、表示部33に表示される運転状態や警報等を容易に確認することが可能である。
【0043】
給水装置1は、ポンプ11a,11bを制御する制御装置である制御盤CPを収容する筐体であるキャビネット10と、制御盤CP(制御装置)に設けられ第1近距離通信C1を行って給水装置1の状態を示す情報を送信する制御部20と、キャビネット10(筐体)に取り付けられ、制御部20との間で第1近距離通信C1を行って情報を得る通信器である表示器30と、を備える。これにより、キャビネット本体10bからキャビネット蓋10aを取り外したり、キャビネット本体10bにキャビネット蓋10aを装着したりするときに、配線を気にする必要が無くなり、キャビネット本体10bとキャビネット蓋10aの着脱が容易となる。また、表示器30に表示される運転状態や警報等を容易に確認することができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
図5は、本発明の第2実施形態による給水装置の模式的な断面矢視図である。本実施形態の給水装置2の外観及び内部構成は、
図1,
図2に示す第1実施形態の給水装置1の外観及び内部構成とほぼ同様である。尚、
図5は、
図3に相当する図である。
図5に示す通り、本実施形態の給水装置2は、制御盤CPに設けられた制御部40と、キャビネット蓋10aに取り付けられた表示器50(通信器)とを備えており、制御部40と表示器50との間で無線通信を行って、給水装置2の状態を示す情報をキャビネット蓋10aに取り付けられた表示器50に表示するものである。
【0045】
また、本実施形態の給水装置2は、キャビネット10の外部の機器である端末装置60(外部の機器)と無線通信を行って、給水装置2の状態を示す情報を端末装置60の表示部64に表示可能とするものである。尚、本実施形態では、制御部40と表示器50との間の無線通信が第1近距離通信C1であり、表示器50と端末装置60との間の無線通信が第2近距離通信C2である。本実施形態の第1近距離通信C1及び第2近距離通信C2は、NFCにて通信を行う場合を例に挙げて説明する。
【0046】
表示器50は、
図3に示す表示器30と同様に、キャビネット10の外部から視認可能な状態で、キャビネット蓋10aの内面に取り付けられている。例えば、表示器50は、表示部54(
図6参照)がキャビネット蓋10aの外部に露出するようにキャビネット蓋10aの内面に取り付けられていても良く、表示部54がキャビネット蓋10aに設けられた透明窓に密接する状態でキャビネット蓋10aの内面に取り付けられていても良い。これにより、表示器30の表示部33を、外部から直接、或いは透明窓を介して視認可能である。
【0047】
図6は、本発明の第2実施形態による給水装置に設けられる制御部及び表示器並びに外部表示器の要部構成を示すブロック図である。
図6に示す通り、制御部40は、I/O部41、演算部42、記憶部43、メンテナンスポート44、DC電源45、リーダライタ46、及び制御部側アンテナ部47を備える。I/O部41、演算部42、記憶部43、DC電源45、及び制御部側アンテナ部47はそれぞれ、
図4に示すI/O部21、演算部22、記憶部23、DC電源25、及び制御部側アンテナ部27と同様のものである。
【0048】
メンテナンスポート44は、給水装置2のメンテナンス時に、作業者によって使用されるポートである。このポートは、通常は、カバー等によって覆われて外部から隠された状態にされている。このポートは、通信(無線・有線)にてメンテナンスで用いられる保守機器(パソコン、スマートフォン、タブレット等の汎用の情報機器や専用の情報機器等)が接続可能であり、例えば記憶部43に記憶された各種情報を保守機器に読み出すために用いられる。リーダライタ46は、
図4に示すデータライタ26と同様に、記憶部43に記憶された各種情報を読み出して、制御部側アンテナ部47を介して表示器50に送信し、或いは、制御部側アンテナ部47で受信された各種情報を読み出して記憶部43に記憶させる。
【0049】
図6に示す通り、表示器50は、表示器側アンテナ部51、制御部用集積回路52、リーダライタ53、表示部54、外部表示器用集積回路55、及び表示器側アンテナ部56を備える。表示器側アンテナ部51、制御部用集積回路52、リーダライタ53、及び表示部54は、制御部40から非接触で給電される電力によって動作し、外部表示器用集積回路55及び表示器側アンテナ部56は、端末装置60から非接触で給電される電力によって動作する。尚、外部表示器用集積回路55は、制御部用集積回路52にて代用してもよい。その場合、制御部用集積回路52と表示器側アンテナ部56とが接続される。また、表示器50が独自の電源で動作できれば、制御部40又は端末装置60は、表示器50に給電しなくてもよい。
【0050】
表示器側アンテナ部51、制御部用集積回路52、及び表示部54はそれぞれ、
図4に示す表示器側アンテナ部31、集積回路32、及び表示部33と同様のものである。リーダライタ53は、表示器側アンテナ部51と外部表示器用集積回路55との間で各種情報の授受を行う。外部表示器用集積回路55は、端末装置60から送信されてきて、表示器側アンテナ部56で受信された各種情報を記憶する。表示器側アンテナ部56は、端末装置60に設けられた外部表示器側アンテナ部61から非接触で給電される電力を受電するとともに、外部表示器側アンテナ部61との間で第2近距離通信C2を行って端末装置60から送信されてくる各種情報を受信する。
【0051】
図6に示す通り、端末装置60は、外部表示器側アンテナ部61、バッテリ62、リーダライタ63、及び表示部64を備えており、表示器50と第2近距離通信C2を行って、給水装置2の状態を示す情報を表示部64に表示する。この端末装置60は、例えばスマートフォン、タブレット、パソコン等の汎用情報機器又は遠方監視器等の専用端末によって実現される。外部表示器側アンテナ部61は、バッテリ62から供給される電力を用いて、表示器50の表示器側アンテナ部56及び外部表示器用集積回路55を動作させるための電力を非接触で表示器50に給電する。また、外部表示器側アンテナ部61は、表示器側アンテナ部56から出力される各種情報を受信する。
【0052】
バッテリ62は、外部表示器側アンテナ部61等に対する電力の供給を行う電源である。リーダライタ63は、外部表示器側アンテナ部61で受信された各種情報を読み出して表示部64に出力する。或いは、リーダライタ63は、不図示の入力部から入力された設定値や給水装置2の運転や停止指令等を外部表示器側アンテナ部61に送ることによって、第2近距離通信C2から第1近距離通信C1を経て記憶部43に記憶させることもできる。表示部64は、例えば液晶表示器等の表示器を備えており、表示器50から得られた給水装置2の状態を示す情報を表示する。尚、端末装置60がスマートフォンやタブレット等によって実現される場合には、表示部64がタッチパネルを備えていることから、表示部64が上記の入力部になる。
【0053】
次に、上記構成における給水装置2の状態を示す情報を表示する動作について説明する。給水装置2の状態を示す情報を表示する動作は、制御部40から表示器50へ給水装置2の状態を示す情報を送信する動作と、端末装置60が給水装置2の状態を示す情報を表示器50から取得して、表示部64に表示する動作とに大別される。前者の動作は、第1実施形態で説明した動作とほぼ同様であるため説明を省略し、以下では、後者の動作(給水装置2の状態を示す情報を端末装置60が取得して表示部64に表示する動作)について説明する。尚、説明を簡単にするために、表示器50に設けられた制御部用集積回路52及び外部表示器用集積回路55には同じ情報が記憶されているとする。
【0054】
給水装置2のキャビネット蓋10aに取り付けられた表示器50に対し、端末装置60が近接配置された状態にされたとする。この状態のときに、端末装置60から電力供給用の電波が発せられると、その電波は、表示器50の表示器側アンテナ部56で受信される。すると、表示器側アンテナ部56において起電力が生ずる。この起電力は、表示器50の外部表示器用集積回路55に供給され、これにより外部表示器用集積回路55が通電状態になる。
【0055】
すると、外部表示器用集積回路55は記憶しているデータ(例えば、給水装置2の運転状態を示す情報、故障を示す情報、及び吐出し圧力を示す情報等)を、表示器側アンテナ部56に出力する。表示器側アンテナ部56に出力されたデータは、第2近距離通信C2によって端末装置60に送信される。
【0056】
表示器50から端末装置60に送信された給水装置2の状態を示す情報は、端末装置60の外部表示器側アンテナ部61で受信された後にリーダライタ63を介して表示部64に出力される。そして、表示部64では、表示器50から端末装置60に送信された給水装置2の状態を示す情報に基づいた表示が行われる。前述の通り、端末装置60の表示部64には、例えば液晶表示器等の表示器が設けられていることから、多様な表示が可能である。例えば、給水装置2の運転状態を示す情報、故障を示す情報、及び吐出し圧力を示す情報等を、例えばアイコン等を用いてアニメーションにて表示しても良い。
【0057】
以上の通り、本実施形態では、第1近距離通信C1及び第2近距離通信C2が可能な表示器50をキャビネット蓋10aの内面に取り付け、給水装置2の状態を示す情報を、制御部40から表示器50に第1近距離通信C1によって送信し、更には表示器50から端末装置60に第2近距離通信C2によって送信して端末装置60の表示部64に表示するようにしている。言い換えれば、給水装置2において、通信器である表示器50は、第1近距離通信C1を行って得られた給水装置1の情報を、第2近距離通信C2を行って筐体であるキャビネット10の外部の機器である端末装置60に送信する。これにより、給水装置2が作業性の悪い環境に設置されていてキャビネット蓋10aを取り外すことが困難な状況下でも、給水装置2の外部から運転状態や警報等の多様な情報を容易に確認することができる。
【0058】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、制御部40と表示器50との間には配線がないことから、キャビネット本体10bからキャビネット蓋10aを取り外したり、キャビネット本体10bにキャビネット蓋10aを装着したりするときに、配線を気にする必要が無い。また、表示器50は、第1実施形態の表示器30と同様に、キャビネット蓋10aに取り付けられ、キャビネット10の外部から表示器50の表示部54を直接視認することができ、或いは結露による曇りを防止することができるため、運転状態や警報等を容易に確認することが可能である。
【0059】
給水装置2は、ポンプ11a,11bを制御する制御装置である制御盤CPを収容する筐体であるキャビネット10と、制御盤CP(制御装置)に設けられ第1近距離通信C1を行って給水装置1の状態を示す情報を送信する制御部20と、キャビネット10(筐体)に取り付けられ、制御部20との間で第1近距離通信C1を行って情報を得るとともに、第1近距離通信C1を行って得られた情報を、第2近距離通信を行って筐体の外部の機器である端末装置60に送信する通信器である表示器50と、を備える。これにより、キャビネット本体10bからキャビネット蓋10aを取り外したり、キャビネット本体10bにキャビネット蓋10aを装着したりするときに、配線を気にする必要が無くなり、キャビネット本体10bとキャビネット蓋10aの着脱が容易となる。また、表示器50に表示される運転状態や警報等を容易に確認することができる。
【0060】
〔第3実施形態〕
図7は、本発明の第3実施形態による給水装置の外観を示す図である。尚、
図7(a)は給水装置の平面図であり、
図7(b)は給水装置の正面図であり、
図7(c)は給水装置の左側面図である。
図7においては、
図1,
図2,
図5に示した構成に相当する構成については同一の符号を付してある。
【0061】
図7に示す通り、本実施形態の給水装置3は、略矩形の平板状の部材であるベース70上に、2台のポンプ11a,11b、2つのモータ12a,12b、圧力タンク18、制御盤CP等が設けられた構成である。前述した第1,第2実施形態の給水装置1,2は主要な構成要素(ポンプ11a,11b、2つのモータ12a,12b、圧力タンク18、制御盤CP等)がキャビネット10内に収容されたものであった。これに対し、本実施形態の給水装置3は、主要な構成要素の一部(制御部40、不図示のインバータ、不図示の電源部)が制御盤CPのケースCS内に収容され、主要な構成要素の残り(ポンプ11a,11b、2つのモータ12a,12b、圧力タンク18等)が、ケースCSの外部に配置されている。尚、本実施形態のポンプ11a,11bは、横軸形ポンプである。
【0062】
ポンプ11a,11bの吸込口には吸込部71a,71bが設けられており、ポンプ11a,11bの吐出し口には吐出部72a,72bが設けられている。吐出配管73は略T字状の配管であり、フロースイッチ74a,74b及びチェッキ弁(逆止弁)75a,75bを介してその両端がポンプ11a,11bの吐出部72a,72bにそれぞれ接続されている。また、吐出配管73の中央には1つの吐出し合流管76が設けられている。
【0063】
これによって、ポンプ11a,11bの吐出側は並列に接続され、ポンプ11a,11bの吐出流体は合流する。また、チェッキ弁75a,75bによって、ポンプ11a,11bが停止したときに吐出配管73内の水はポンプ11a,11b側に逆流しない。また、吐出配管73の中央の下部には、吐出配管73を圧力タンク18に連結する連結配管77が取り付けられている。更に、吐出配管73には配管内圧力を検出する圧力検知器78が取り付けられている。そして、圧力タンク18とチェッキ弁75a,75bとの効果によって、ポンプ11a,11bが停止した後の吐出配管73内の圧力は、水が使用されない限り、一定圧力に保持される。
【0064】
制御盤CPは、ケースCSを備える。本実施形態におけるケースCSは、縦、横、及び奥行きの寸法は異なるものの、
図3に示すケースCSと同様に、略直方体状の箱形である。このケースCSは、ステンレス等の金属製であっても良く、樹脂製であっても良い。制御盤CPは、例えば圧力検知器78の検出結果に基づいて、末端の需要者における給水水圧が所定の圧力となるように、ポンプ11a,11bを可変速運転するための制御等を行う制御部40を備える。
【0065】
尚、ケースCSは、表示器50(第1通信器)が取り付けられている蓋体CS1とケース本体CS2とで形成されている。制御部40は、ケース本体CS2内に設けられ、表示器50は、ケースCSの外部から視認可能な状態で、蓋体CS1の内面に取り付けられている。尚、表示器50が取り付けられた蓋体CS1と、制御部40が収容されたケース本体CS2とは着脱可能であり、更にキャビネット10と同様に悪戯防止の鍵を備えてもよい。
【0066】
本実施形態の給水装置3では、第2実施形態と同様に、ケースCS内に収容された制御部40と表示器50との間で無線通信が行われ、表示器50と端末装置60との間で無線通信が行われる。制御部40と表示器50との間の無線通信が第1近距離通信C1であり、表示器50と端末装置60との間の無線通信が第2近距離通信C2である。本実施形態の第1近距離通信C1及び第2近距離通信C2も、NFCにて通信を行うとよい。
【0067】
これにより、給水装置3の状態を示す情報が、制御部40から表示器50へ第1近距離通信C1によって送信されて表示器50に表示される。端末装置60を表示器50に近接させることで、表示器50と端末装置60との間で第2近距離通信C2が行われ、表示器50に送信された給水装置3の状態を示す情報が、表示器50から端末装置60へ送信されて端末装置60に表示される。
【0068】
以上の通り、本実施形態では、第2実施形態と同様に、第1近距離通信C1及び第2近距離通信C2が可能な表示器50を蓋体CS1に取り付け、給水装置3の状態を示す情報を、制御部40から表示器50に第1近距離通信C1によって送信し、更には表示器50から端末装置60に第2近距離通信C2によって送信して端末装置60に表示するようにしている。これにより、給水装置3が作業性の悪い環境に設置されていて蓋体CS1を取り外すことが困難な状況下でも給水装置3の外部から運転状態や警報等の多様な情報を容易に確認することができる。
【0069】
また、本実施形態では、第2実施形態と同様に、制御部40と表示器50との間には配線がないことから、蓋体CS1を取り外したり、蓋体CS1を装着したりするときに、配線を気にする必要が無いため、蓋体CS1とケース本体CS2との着脱の作業性が向上する。また、表示器50は、第2実施形態と同様に、蓋体CS1に取り付けられ、給水装置3の外部から表示器50を直接視認することができ、或いは結露による曇りを防止することができるため、運転状態や警報等を容易に確認することが可能である。
【0070】
給水装置3は、ポンプ11a,11bを制御する制御装置である制御盤CPのケースCS内に収容され、第1近距離通信C1を行って給水装置3の状態を示す情報を送信する制御部40と、制御盤CP(制御装置)のケースCSに取り付けられ、制御部40との間で第1近距離通信C1を行って情報を得る第1通信器である表示器50と、備える。これにより、蓋体CS1を取り外したり、蓋体CS1を装着したりするときに、配線を気にする必要が無くなり、蓋体CS1とケース本体CS2との着脱の作業性が向上する。また、表示器50に表示される運転状態や警報等を容易に確認することができる。
【0071】
図8は、本発明の第3実施形態による給水装置の変形例を示す図である。尚、
図8(a)は給水装置の平面断面図であり、
図8(b)は給水装置の左側面断面図である。
図8においては、
図7に示した構成に相当する構成については同一の符号を付してある。但し、
図8では、本変形例の説明に必要な符号のみを付している。
図8に示す通り、本変形例において、給水装置3Aは、
図7に示した給水装置3に相当するものを給水装置本体3aと称して、給水装置本体3a全体が屋外カバーCV(筐体)に覆われた状態で屋外に設置されている。
【0072】
屋外カバーCVは、給水装置本体3aの正面側、右側面側、背面側、左側面側及び天井面の少なくとも一部が着脱可能な組み立て式であって、本変形例では、カバー本体部CV1とカバー蓋部CV2とからなる。カバー本体部CV1は、四角環状の筒状部材であり、給水装置本体3aの正面側、右側面側、背面側、及び左側面側を覆うように設置される。本変形例における屋外カバーCVは、縦、横、及び奥行きの寸法は異なるものの、
図1に示すキャビネット10と同様に、略直方体状の箱形であり、給水装置本体3aの各機器を直射日光や雨風等の外的環境から保護する筐体である。
【0073】
カバー本体部CV1の背面には、屋外カバーCVの外部から視認可能な状態で、表示器50(通信器)が取り付けられている。尚、本変形例では、制御盤CP内の表示器50(
図7参照)は省略されている。カバー蓋部CV2は、平面視でカバー本体部CV1よりも若干大きな略矩形の平板状の部材であり、カバー本体部CV1の上部の開口を覆うように、カバー本体部CV1の上部に載置され、ボルト等の固定具にて固定される。カバー本体部CV1とカバー蓋部CV2がボルト等の固定具にて固定されることで、第三者による不正な操作が防止される。
【0074】
本変形例では、屋外カバーCV内の制御盤CPに収容された制御部40と屋外カバーCVに取り付けられた表示器50との間で無線通信が行われ、表示器50と端末装置60との間で無線通信が行われる。尚、本変形例では、制御部40と表示器50との間の無線通信が第1近距離通信C1であり、表示器50と端末装置60との間の無線通信が第2近距離通信C2である。本変形例の第1近距離通信C1及び第2近距離通信C2も、NFCにて通信を行うとよい。
【0075】
これにより、給水装置3Aの状態を示す情報が、制御部40から表示器50へ第1近距離通信C1によって送信されて表示器50に表示される。また、表示器50に送信された給水装置3Aの状態を示す情報が、表示器50から、端末装置60へ第2近距離通信C2によって送信されて端末装置60に表示される。
【0076】
屋外カバーCVには、
図5に示すキャビネット10と同様に、表示器50が設けられており、給水装置本体3aの各機器(例えば、ポンプ11a,11b、モータ12a,12b、圧力タンク18等)をメンテナンスするときには、表示器50が屋外カバーCVと一緒に取り外される。具体的には、カバー蓋部CV2をカバー本体部CV1から取り外した後に、給水装置本体3aを覆うカバー本体部CV1の全体又は側面の一部を撤去する等して、給水装置本体3aを露出させる。
【0077】
以上の通り、本変形例では、第1近距離通信C1及び第2近距離通信C2が可能な表示器50を屋外カバーCVに取り付けている。そして、給水装置3Aの状態を示す情報を、制御部40から表示器50に第1近距離通信C1によって送信し、更には表示器50から端末装置60に第2近距離通信C2によって送信して端末装置60に表示するようにしている。これにより、給水装置本体3aが屋外カバーCVに覆われていても、屋外カバーCVの外部から運転状態や警報等の多様な情報を容易に確認することができる。
【0078】
また、本変形例においても、制御部40と表示器50との間には配線がないことから、屋外カバーCVを給水装置本体3aから取り外したり、屋外カバーCVを装着したりするときに、配線を気にする必要が無い。
【0079】
給水装置3Aは、ポンプ11a,11bを制御する制御装置である制御盤CPを収容する筐体である屋外カバーCVと、制御盤CP(制御装置)に設けられ、第1近距離通信を行って給水装置3Aの状態を示す情報を送信する制御部40と、屋外カバーCV(筐体)に取り付けられ、制御部40との間で前記第1近距離通信を行って情報を得る通信器である表示器50とを備える。これにより、給水装置本体3aが屋外カバーCVに覆われていても、屋外カバーCVの外部から運転状態や警報等の多様な情報を容易に確認することができる。屋外カバーCVの着脱時に配線を気にする必要が無く作業性が向上する。
【0080】
尚、本変形例では、屋外カバーCVに通信器である表示器50を取り付けたが、第3実施形態と同様に、制御盤CPに通信器(表示器50)を設けてもよい。このような構成にした場合には、屋外カバーCVと制御盤CPに設けられた通信器(表示器50)とを近接して配置することで、屋外カバーCVを介して、表示器50と端末装置60との間で第2近距離通信C2が行うことができる。
【0081】
〔第4実施形態〕
図9は、本発明の第4実施形態による給水装置のキャビネット蓋が取り外された状態の正面図である。尚、
図9は、
図2に相当する図である。本実施形態の給水装置4は、第1実施形態の給水装置1とほぼ同様の構成であるが、
図9に示す通り、
図2に示す給水装置1とは、制御盤CPに内部表示器90が設けられている点が相違する。この内部表示器90は、キャビネット本体10bからキャビネット蓋10aが取り外された状態においても、給水装置4の状態を示す情報を表示したり、給水装置4の各種操作を可能にしたりするために設けられる。
【0082】
つまり、キャビネット本体10bからキャビネット蓋10aが取り外された状態では、制御部20とキャビネット蓋10aに取り付けられた表示器30との間の距離が長くなり、表示器30と制御部20との間の近距離通信ができなくなる。これにより、キャビネット蓋10aが取り外された状態では、キャビネット蓋10aに取り付けられた表示器30に、給水装置4の状態を示す情報を表示することができなくなる。本実施形態では、制御盤CPに内部表示器90を設け、内部表示器90に給水装置4の状態を示す情報を表示することで、キャビネット蓋10aが取り外された状態であっても、給水装置4の状態を示す情報を確認することができるようにしている。
【0083】
図10は、本発明の第4実施形態による給水装置の模式的な断面矢視図である。尚、
図10は、
図3に相当する図である。
図10に示す通り、内部表示器90は、ケースCSの外部から視認可能な状態で、蓋体CS1の内面に取り付けられており、ケースCS内に収容された制御部20との間で無線通信を行って給水装置4の状態を示す情報を得て表示する。また、内部表示器90は、キャビネット蓋10aに取り付けられた表示器30との間で無線通信を行って、制御部20から得た情報を表示器30に送信する。このような内部表示器90は、取り付け位置が異なるものの、第2実施形態における表示器50と同様のものであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0084】
本実施形態では、制御部20と内部表示器90との間の無線通信が第1近距離通信C1であり、内部表示器90と表示器30との間の無線通信が第2近距離通信C2である。本実施形態の第1近距離通信C1及び第2近距離通信C2も、NFCにて通信を行うとよい。
【0085】
これにより、給水装置4の状態を示す情報が、制御部20から内部表示器90へ第1近距離通信C1によって送信されて内部表示器90に表示される。また、内部表示器90に送信された給水装置4の状態を示す情報が、内部表示器90から表示器30へ第2近距離通信C2によって送信されて表示器30に表示される。
【0086】
以上の通り、本実施形態では、第1近距離通信C1及び第2近距離通信C2が可能な内部表示器90を制御盤CPに取り付け、給水装置4の状態を示す情報を、制御部20から内部表示器90に第1近距離通信C1によって送信し、更には内部表示器90から表示器30に第2近距離通信C2によって送信して表示器30に表示するようにしている。これにより、キャビネット蓋10aがキャビネット本体10bに取り付けられた状態であっても、キャビネット蓋10aがキャビネット本体10bから取り外された状態であっても、運転状態や警報等の多様な情報を容易に確認することができる。
【0087】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、内部表示器90と表示器30との間には配線がないことから、キャビネット本体10bからキャビネット蓋10aを取り外したり、キャビネット本体10bにキャビネット蓋10aを装着したりするときに、配線を気にする必要が無い。また、制御盤CPのケースCS内に収容された各機器をメンテナンスするために、制御盤CPの蓋体CS1と、ケース本体CS2とは取り外し可能(或いは、開閉可能)である。制御部20と内部表示器90との間にも配線がないことから、例えば内部表示器90が制御盤CPのケースCSの一部をなす扉部(蓋体CS1)に取り付けられており、扉部を開閉する必要がある場合にも、配線を気にする必要が無い。
【0088】
本実施形態による給水装置4は、ポンプ11a,11bを制御する制御装置である制御盤CPのケースCS内に収容され、第1近距離通信C1を行って給水装置4の状態を示す情報を送信する制御部20と、制御盤CP(制御装置)のケースCSに取り付けられ、制御部20との間で第1近距離通信C1を行って情報を得る第1通信器である内部表示器90と、を備える。内部表示器90(第1通信器)は、第1近距離通信C1を行って得られた情報を、第2近距離通信C2を行って制御盤CP(制御装置)の外部の機器に送信する。外部の機器は、筐体であるキャビネット10に取り付けられ、内部表示器90(第1通信器)との間で第2近距離通信C2を行って情報を得る第2通信器である表示器30である。
【0089】
これにより、キャビネット本体10bからキャビネット蓋10aを取り外したり、キャビネット本体10bにキャビネット蓋10aを装着したりするときに、配線を気にする必要が無くなり、キャビネット本体10bとキャビネット蓋10aの着脱が容易となる。また、例えば内部表示器90が制御盤CPのケースCSの一部をなす扉部(蓋体CS1)に取り付けられており、扉部を開閉する必要がある場合にも、配線を気にする必要が無い。また、表示器30に表示される運転状態や警報等を容易に確認することができる。
【0090】
図11は、本発明の第4実施形態による給水装置の第1変形例を示す断面矢視図である。尚、
図11は、
図10に相当する図である。
図11に示す通り、本変形例では、表示器30に代えて表示器50がキャビネット蓋10aに取り付けられている。そして、制御部20と内部表示器90との間で無線通信が行われ、内部表示器90と表示器50との間で無線通信が行われ、表示器50と端末装置60との間で無線通信が行われる。
【0091】
本変形例態では、制御部20と内部表示器90との間の無線通信が第1近距離通信C1であり、内部表示器90と表示器50との間の無線通信が第2近距離通信C2であり、表示器50と端末装置60との間の無線通信が第3近距離通信C3である。本変形例の第1近距離通信C1、第2近距離通信C2、及び第3近距離通信C3は、NFCにて通信を行う場合を例に挙げて説明する。
【0092】
これにより、給水装置4の状態を示す情報が、制御部20から内部表示器90へ第1近距離通信C1によって送信されて内部表示器90に表示される。また、内部表示器90に送信された給水装置4の状態を示す情報が、内部表示器90から表示器30へ第2近距離通信C2によって送信されて表示器50に表示される。更に、表示器50に送信された給水装置4の状態を示す情報が、表示器50から端末装置60へ第3近距離通信C3によって送信されて端末装置60に表示される。
【0093】
図12は、本発明の第4実施形態による給水装置の第2変形例を示す断面矢視図である。尚、
図12は、
図11に相当する図である。
図12に示す通り、本変形例では、制御部20及び内部表示器90に代えて制御部20a及び内部表示器90aを設けた構成である。制御部20aは、内部表示器90aとの間の無線通信が不可である点を除き、制御部20と同様のものである。内部表示器90aは、制御部20aとの間の無線通信が不可である点を除き、内部表示器90と同様のものである。本変形例では、制御部20aと内部表示器90aとはケーブルCBによって接続されている。
【0094】
そして、制御部20aと内部表示器90aとの間でケーブルCBを介した有線通信が行われ、内部表示器90aと表示器50との間で無線通信が行われ、表示器50と端末装置60との間で無線通信が行われる。本変形例態では、内部表示器90aと表示器50との間の無線通信が第1近距離通信C1であり、表示器50と端末装置60との間の無線通信が第2近距離通信C2である。本変形例の第1近距離通信C1及び第2近距離通信C2も、NFCにて通信を行うとよい。
【0095】
これにより、給水装置4の状態を示す情報が、制御部20aから内部表示器90aへケーブルCBを介した有線通信によって送信されて内部表示器90aに表示される。また、内部表示器90aに送信された給水装置4の状態を示す情報が、内部表示器90aから表示器50へ第1近距離通信C1によって送信されて表示器50に表示される。更に、表示器50に送信された給水装置4の状態を示す情報が、表示器50から端末装置60へ第2近距離通信C2によって送信されて端末装置60に表示される。尚、本変形例では、内部表示器90aは、制御部20aに一体的に構成されてもよい。このような構成の場合には、制御部20aに表示操作を行うためのGUIを有し、制御部20aと表示器50との間の無線通信を第1近距離通信C1にて行う。
【0096】
以上、本発明の実施形態による給水装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、キャビネット10に対する表示器(表示器30,50)の取り付け位置は、任意の位置であって良い。
図13は、キャビネットに対する表示器の取り付け位置の例を示す図である。表示器30は、
図13(a)に例示する通り、キャビネット10の前面の任意の位置に取り付けられていても良い。更には、
図13(b)に例示する通り、キャビネット10の天井面の任意の位置に取り付けられていても良く、
図13(c)に例示する通り、キャビネット10の側面の任意の位置に取り付けられていても良い。
【0097】
更に、上述した実施形態では、キャビネット蓋10aは、キャビネットの前面に設けられたが、キャビネット10の天井面及び側面の少なくとも1つを、キャビネット本体10bより取り外し可能(或いは、開閉可能)とし、その面に表示器(表示器30,50)を設けてもよい。また、キャビネット10には、複数の表示器30を設けてもよいし、キャビネット蓋10aとキャビネット本体10bはヒンジ等を用いて開閉可能としてもよい。
【0098】
尚、上述した第1~第4実施形態においては、表示器30,50に代えて、表示器30,50から表示部33,54が省略されたもの(通信器)を用いることもできる。また、上述した第4実施形態においては、内部表示器90に代えて、内部表示器90から表示部が省略されたもの(通信器)を用いることもできる。上述した第2実施形態を例に挙げると、表示器50に代えて、表示部54が省略された通信器をキャビネット蓋10aに取り付けることができる。このような通信機は、制御部40との間の第1近距離通信C1及び端末装置60との間の第2近距離通信C2がNFCによって可能であり、制御部40と端末装置60との間の通信を中継する中継器ということもできる。
【0099】
このような通信器を用いる場合には、キャビネット10又は屋外カバーCVの外部から表示器50を視認するために必要な窓部(透明窓)を省略することが可能である。但し、NFCは通信距離が数センチメートルと短いため、端末装置60が通信器に近接配置されなければ、端末装置60と通信器との間の第2近距離通信が行われず、給水装置2の状態を示す情報が端末装置60に表示されない。また、端末装置60と通信器との間に電波を妨害するような障害(例えば金属製の板)があると通信できない。このため、キャビネット蓋10a又は屋外カバーCVには、通信器との間のNFCが可能な部位(視認可能部)である旨を示すマークを付すのが望ましい。
【0100】
また、上記実施形態で説明した給水装置1~4は、2台のポンプを備えるものであったが、ポンプの数は1台のみであっても良く、3台以上であっても良い。モータ及びインバータは、ポンプの台数に応じた数だけ設ければ良い。
【符号の説明】
【0101】
1~4 給水装置
3A 給水装置
3a 給水装置本体
10 キャビネット
10a キャビネット蓋
10b キャビネット本体
10c 突起
11a,11b ポンプ
12a,12b モータ
13a,13b インバータ
14 吸込口
15 逆流防止弁
16 吸込ヘッダ
17 吐出ヘッダ
18 圧力タンク
19 吐出し口
20,20b 制御部
21 I/O部
22 演算部
23 記憶部
24 設定部
25 DC電源
26 データライタ
27 制御部側アンテナ部
30 表示器
31 表示器側アンテナ部
32 集積回路
33 表示部
40 制御部
41 I/O部
42 演算部
43 記憶部
44 メンテナンスポート
45 DC電源
46 リーダライタ
47 制御部側アンテナ部
50 表示器
51 表示器側アンテナ部
52 制御部用集積回路
53 リーダライタ
54 表示部
55 外部表示器用集積回路
56 表示器側アンテナ部
60 端末装置
61 外部表示器側アンテナ部
62 バッテリ
63 リーダライタ
64 表示部
70 ベース
71a,71b 吸込部
72a,72b 吐出部
73 吐出配管
74a,74b フロースイッチ
75a,75b チェッキ弁
76 吐出し合流管
77 連結配管
78 圧力検知器
90,90a 内部表示器
C1 第1近距離通信
C2 第2近距離通信
C3 第3近距離通信
CB ケーブル
CP 制御盤
CS ケース
CS1 蓋体
CS2 ケース本体
CV 屋外カバー
CV1 カバー本体部
CV2 カバー蓋部
KH 鍵穴
ST 架台