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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】加工方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 1/00 20060101AFI20220823BHJP
   B24B 55/02 20060101ALI20220823BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20220823BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20220823BHJP
   B24D 3/14 20060101ALI20220823BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B24B1/00 Z
B24B55/02 B
B24B55/02 D
B24B7/04 A
B24B27/06 M
B24D3/14
H01L21/304 631
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017170156
(22)【出願日】2017-09-05
(65)【公開番号】P2019042886
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 研二
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/034921(WO,A1)
【文献】特開2009-018368(JP,A)
【文献】特開2013-219215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 1/00
B24B 55/02
B24B 7/04
B24B 27/06
B24D 3/14
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の加工方法であって、
被加工物を保持する保持面を有した保持テーブルで被加工物を保持する保持ステップと、
該保持ステップを実施した後、砥粒をビトリファイドで結合するとともに光触媒を含まない加工砥石を含む加工手段で被加工物を加工する加工ステップと、を備え、
該加工手段は、該加工砥石を備える切削ブレードを有し、該加工ステップでは、該切削ブレードで被加工物を切削し、
該加工ステップでは、被加工物に加工水を供給するとともに、該加工水が供給される直前の該切削ブレードの該加工砥石の有機物を含む加工面に対して所定波長の紫外光を光照射手段から照射することで該加工面に親水基を形成し、該加工面全体に該加工水が広がりやすくして被加工物と該加工面との接触部位に摩擦熱が発生するのを抑制する加工方法。
【請求項2】
被加工物の加工方法であって、
被加工物を保持する保持面を有した保持テーブルで被加工物を保持する保持ステップと、
該保持ステップを実施した後、砥粒をビトリファイドで結合するとともに光触媒を含まない加工砥石を含む加工手段で被加工物を加工する加工ステップと、を備え、
該加工手段は、該加工砥石を備える研削ホイールを有し、該加工ステップでは、該研削ホイールで被加工物を研削し、
該加工ステップでは、被加工物に加工水を供給するとともに、該研削ホイールの回転軌跡において該研削ホイールが該保持テーブルで保持された被加工物に進入する直前の位置に光照射手段が配設され、該加工砥石の有機物を含む加工面に対して所定波長の紫外光を該光照射手段から照射することで該加工面に親水基を形成し、該加工面全体に該加工水が広がりやすくして被加工物と該加工面との接触部位に摩擦熱が発生するのを抑制する加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥粒をビトリファイドで結合した加工砥石で被加工物を加工する加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエーハ等の板状の被加工物は、研削されて所定の厚みに薄化された後に、切削により分割されて個々のデバイスチップとなり、各種電子機器等に利用されている。そして、ウエーハが、窒化ガリウム(GaN)、シリコンカーバイド(SiC)またはガリウムヒ素(GaAs)等の難削材で形成されている場合には、砥粒をビトリファイドで結合した研削砥石を用いた研削方法(例えば、特許文献1参照)及び砥粒をビトリファイドで結合した切削砥石を用いた切削方法(例えば、特許文献2参照)が広く利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-124690号公報
【文献】特開2013-219215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の方法のいずれにおいても、砥石の磨耗量が必要以上に激しく生産コストが嵩むという問題がある。また、難削材で形成される被加工物の加工時には砥石の加工能力が低下し、生産性が低下するという問題がある。また、砥石による加工位置に金属が含まれている被加工物を加工する場合も、金属の延性によって加工が困難となるという問題がある。
【0005】
よって、難削材等で形成される被加工物を加工する場合においては、加工砥石の過度な摩耗を抑えるとともに円滑に安定した加工ができるようにするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、被加工物の加工方法であって、被加工物を保持する保持面を有した保持テーブルで被加工物を保持する保持ステップと、該保持ステップを実施した後、砥粒をビトリファイドで結合するとともに光触媒を含まない加工砥石を含む加工手段で被加工物を加工する加工ステップと、を備え、該加工手段は、該加工砥石を備える切削ブレードを有し、該加工ステップでは、該切削ブレードで被加工物を切削し、該加工ステップでは、被加工物に加工水を供給するとともに、該加工水が供給される直前の該切削ブレードの該加工砥石の有機物を含む加工面に対して所定波長の光を光照射手段から該加工砥石の加工面に照射することで該加工面に親水基を形成し、該加工面全体に該加工水が広がりやすくして被加工物と該加工面との接触部位に摩擦熱が発生するのを抑制する加工方法である。
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、被加工物の加工方法であって、被加工物を保持する保持面を有した保持テーブルで被加工物を保持する保持ステップと、該保持ステップを実施した後、砥粒をビトリファイドで結合するとともに光触媒を含まない加工砥石を含む加工手段で被加工物を加工する加工ステップと、を備え、該加工手段は、該加工砥石を備える研削ホイールを有し、該加工ステップでは、該研削ホイールで被加工物を研削し、該加工ステップでは、被加工物に加工水を供給するとともに、該研削ホイールの回転軌跡において該研削ホイールが該保持テーブルで保持された被加工物に進入する直前の位置に光照射手段が配設され、該加工砥石の有機物を含む加工面に対して所定波長の紫外光を該光照射手段から照射することで該加工面に親水基を形成し、該加工面全体に該加工水が広がりやすくして被加工物と該加工面との接触部位に摩擦熱が発生するのを抑制する加工方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る被加工物の加工方法は、被加工物を保持する保持面を有した保持テーブルで被加工物を保持する保持ステップと、保持ステップを実施した後、砥粒をビトリファイドで結合するとともに光触媒を含まない加工砥石を含む加工手段で被加工物を加工する加工ステップと、を備え、加工ステップでは、被加工物に加工水を供給するとともに、所定波長の光を光照射手段から加工砥石の加工面に照射することで該加工面に親水基を形成することにより、例えば加工砥石を親水化させ加工水による冷却効果を向上させて加工砥石の過度の磨耗を抑えるとともに、加工屑の排出性を向上させることが可能となる。更に、加工砥石の親水化等によって、加工砥石の加工領域に効果的に加工水が供給されるため、加工熱による加工品質の悪化を防止でき、被加工物が難削材で形成されたウエーハであっても円滑に安定した加工を施すことが可能となる。特に、加工砥石が光触媒を含まないので、加工砥石の砥粒の自生発刃が光触媒で阻害されたり、研削中に加工砥石から光触媒が脱落して加工砥石の加工面と被加工物との接触部位に巻き込まれて被加工物の被研削面にスクラッチや割れを発生させたりすることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】研削装置の一例を示す斜視図である。
図2】研削手段、保持テーブル、及び光照射手段の位置関係の一例を示す斜視図である。
図3】保持テーブルに保持された被加工物を研削砥石で研削している状態を示す端面図である。
図4図4(A)は、研削加工中における研削ホイールの回転軌跡と加工砥石による被加工物の加工領域と光照射手段との位置関係を上方から見た場合の説明図である。図4(B)は、加工面に光が照射された直後の加工砥石が被加工物に切り込んでいる状態を側方から見た場合の説明図である。
図5】研削加工中に発光部上のカバーに洗浄水を供給している状態を部分的に示す端面図である。
図6】実験1を実施して得た研削時における加工砥石の加工面に対する波長365nmの紫外光照射の効果を示すプロット図である。
図7】切削装置の一例を示す斜視図である。
図8】被加工物を保持した保持テーブル及び切削手段を示す断面図である。
図9】保持テーブルに保持された被加工物を切削手段で切削している状態を示す断面図である。
【0011】
(実施形態1)
図1に示す研削装置1は、保持テーブル30上に保持された被加工物Wを研削ホイール74を備える加工手段7によって研削する装置である。研削装置1のベース10上の前方側(-Y方向側)は、保持テーブル30に対して被加工物Wの着脱が行われる領域である着脱領域Aとなっており、ベース10上の後方は、加工手段7により被加工物Wの研削が行われる領域である加工領域Bとなっている。ベース10上の前方側には、オペレータが研削装置1に対して加工条件等を入力するための入力手段12が配設されている。
【0012】
保持テーブル30は、例えば、その外形が円形状であり、被加工物Wを吸着する吸着部300と、吸着部300を支持する枠体301とを備える。吸着部300は図示しない吸引源に連通し、吸着部300の露出面である保持面300a上で被加工物Wを吸引保持する。保持テーブル30の保持面300aは、保持テーブル30の回転中心を頂点とする極めて緩やか傾斜を備える円錐面に形成されている。保持テーブル30は、カバー31によって周囲から囲まれており、Z軸方向の軸心周りに回転可能であると共に、カバー31及びカバー31に連結された蛇腹カバー31aの下方に配設された図示しないY軸方向送り手段によって、着脱領域Aと加工領域Bとの間をY軸方向に往復移動可能となっている。
【0013】
加工領域Bには、コラム11が立設されており、コラム11の側面には加工手段7をZ軸方向に研削送りする研削送り手段5が配設されている。研削送り手段5は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ50と、ボールネジ50と平行に配設された一対のガイドレール51と、ボールネジ50の上端に連結しボールネジ50を回動させるモータ52と、内部のナットがボールネジ50に螺合し側部がガイドレール51に摺接する昇降板53と、昇降板53に連結され加工手段7を保持するホルダ54とから構成され、モータ52がボールネジ50を回動させると、これに伴い昇降板53がガイドレール51にガイドされてZ軸方向に往復移動し、ホルダ54に保持された加工手段7がZ軸方向に研削送りされる。
【0014】
加工手段7は、軸方向がZ軸方向である回転軸70と、回転軸70を回転可能に支持するハウジング71と、回転軸70を回転駆動するモータ72と、回転軸70の先端に連結されたマウント73と、マウント73の下面に着脱可能に装着された研削ホイール74とを備える。
【0015】
研削ホイール74は、環状のホイール基台74bと、ホイール基台74bの底面(自由端部)に環状に配設された複数の略直方体形状の加工砥石74aとから構成される。加工砥石74aは、ガラス質、セラミック質のボンド剤であるビトリファイドでダイヤモンド砥粒を結合したものである。ビトリファイドとしては、例えば、二酸化珪素(SiO2)を主成分とし、融点を制御するために微量の添加剤を加えてもよい。なお、加工砥石74aの形状は、一体の環状を形成しているものでもよい。
【0016】
図1に示す回転軸70の内部には、加工水供給手段8に連通し加工水の通り道となる流路70aが、回転軸70の軸方向(Z軸方向)に貫通して設けられており、流路70aを通過した加工水は、マウント73を通り、ホイール基台74bから加工砥石74aに向かって噴出できるようになっている。
【0017】
図1に示す加工水供給手段8は、例えば、水(例えば、純水)を蓄えた加工水源80と、加工水源80に接続され流路70aに連通する配管81と、配管81上の任意の位置に配設され加工水の流量を調整する調整バルブ82とを備える。
【0018】
研削装置1は、図1、2に示すように、例えば保持テーブル30に隣接して配設され、保持テーブル30で保持された被加工物Wを研削する加工砥石74aの加工面(下面)に所定波長の光を照射する光照射手段9を備えている。図2に示すように、光照射手段9は、例えば、略円弧状の外形を備えた台部90と、台部90の上面に複数(図示の例においては4つ)並ぶように配設された発光部91と、発光部91に向かって洗浄水(例えば、純水)を供給する洗浄水供給部92と、発光部91に汚れが付着してしまうことを防ぐカバー93とを備えている。
【0019】
台部90の上面に形成された窪みに埋設されている発光部91は、例えば低圧水銀ランプやUVLEDであり、所定波長の光を発光することができ、図示しないスイッチによってオン/オフを切り替えることができる。発光部91は例えば2波長の光を発光でき、80nm以上200nm以下の波長の光と240nm以上280nm以下の波長の光とを発光できると好ましい。また、発光部91は、波長365nmの光を発光できるとさらに好ましい。本実施形態における発光部91は、2波長LED又は低圧水銀ランプであり、波長184.9nmの紫外光と波長253.7nmの紫外光とを同時に発光することができる。
【0020】
板状のカバー93は、例えば、発光部91が生み出す光を透過させるガラス等の透明部材から構成されており、台部90の上面に発光部91を覆うように固定されている。例えば、台部90は、図示しないZ軸方向移動手段により上下動可能となっており、研削加工を実施する際にカバー93の上面の高さ位置を加工砥石74aの研削送り位置を考慮した所望の高さ位置に設定することができる。
【0021】
洗浄水供給部92は、例えば、水(例えば、純水)を蓄えた図示しない洗浄水源と、洗浄水源に連通する洗浄水ノズル920とを備えている。洗浄水ノズル920は、例えば、台部90の側面に台部90に沿うように固定されており、洗浄水をカバー93上面に向かって噴射可能な噴射口920aが複数長手方向に整列して設けられている。噴射口920aは、噴射した洗浄水をカバー93の上面上で清流化できるように形状、サイズ、及び発光部91に対する角度等が設定されている。噴射口920aは、図2のように細幅のスリット状に形成されており、洗浄水ノズル920の側面等に複数整列して設けられていると好ましいが、これに限定されるものではない。例えば噴射口920aは、丸穴状に形成され、洗浄水ノズル920の側面等に複数整列して設けられていてもよい。または、洗浄水ノズル920の側面等に一本の連続的に延びる細幅のスリット状に噴射口920aは形成されていてもよい。
【0022】
以下に、図1に示す研削装置1を用いて本発明に係る加工方法を実施する場合の、加工方法の各ステップ及び研削装置1の動作について説明していく。
図1に示す外形が円形板状の被加工物Wは、例えば、難削材のSiCで形成される半導体ウエーハであり、図1において下側を向いている被加工物Wの表面Waには、分割予定ラインによって区画された格子状の領域に多数のデバイスが形成されており、表面Waを保護する保護テープTが貼着されている。被加工物Wの裏面Wbは研削ホイール74で研削される被研削面となる。なお、被加工物Wの形状及び種類は特に限定されるものではなく、研削ホイール74との関係で適宜変更可能であり、GaASまたはGaN等で形成されるウエーハや、金属で形成されたウエーハまたは金属電極が部分的にウエーハの裏面に露出したウエーハも含まれる。
【0023】
(1)保持ステップ
まず、着脱領域A内において、被加工物Wが、裏面Wbが上側になるように保持テーブル30の保持面300a上に載置される。そして、図示しない吸引源により生み出される吸引力が保持面300aに伝達されることにより、保持テーブル30が保持面300a上で被加工物Wを吸引保持する。被加工物Wは、緩やかな円錐面である保持面300aにならって吸引保持された状態になる。
【0024】
(2)加工ステップ
保持テーブル30が、図示しないY軸方向送り手段によって加工手段7の下まで+Y方向へ移動して、研削ホイール74と保持テーブル30に保持された被加工物Wとの位置合わせがなされる。位置合わせは、例えば、研削ホイール74の回転中心が被加工物Wの回転中心に対して所定の距離だけ+Y方向にずれ、加工砥石74aの回転軌跡が被加工物Wの回転中心を通るように行われる。また、緩やかな円錐面である保持面300aが、加工砥石74aの下面である加工面に対して平行になるように保持テーブル30の傾きが調整されることで、被加工物Wの裏面Wbが加工砥石74aの加工面に対して平行になる。
【0025】
研削ホイール74と被加工物Wとの位置合わせが行われた後、モータ72により回転軸70が回転駆動されるのに伴って、図3に示すように、研削ホイール74が、+Z方向側からみて反時計周り方向に回転する。また、加工手段7が研削送り手段5により-Z方向へと送られ、加工手段7に備える研削ホイール74が-Z方向へと降下していき、加工砥石74aが被加工物Wの裏面Wbに当接することで研削加工が行われる。さらに、研削中は、保持テーブル30が+Z方向側からみて反時計周り方向に回転するのに伴って被加工物Wも回転するので、加工砥石74aが被加工物Wの裏面Wbの全面の研削加工を行う。
【0026】
研削加工中においては、加工水供給手段8が加工水を回転軸70中の流路70aに対して供給する。図3に示すように、流路70aに供給された加工水は、マウント73の内部にマウント73の周方向に一定の間隔をおいて形成された流路73bを通り、さらにホイール基台74bの噴射口74dから加工砥石74aに向かって噴射される。
【0027】
被加工物Wは保持テーブル30の緩やかな円錐面である保持面300a上に保持面300aにならって吸引保持されているため、図4(A)に二点鎖線で示す研削ホイール74の回転軌跡中の領域E(以下、加工領域Eとする。)において、加工砥石74aは被加工物Wに当接し研削を行う。
【0028】
保持テーブル30に隣接して配設される光照射手段9は、例えば、研削ホイール74と保持テーブル30との位置合わせがなされた状態において、図4(A)に示すように保持テーブル30及び研削ホイール74の回転軌跡上において研削ホイール74が保持テーブル30で保持された被加工物Wに進入する直前、即ち、加工領域Eに加工砥石74aが進入する直前に配置される。
【0029】
研削加工の開始に伴って、図4(B)に示すように、発光部91がオン状態となり、発光部91が例えば波長184.9nmの紫外光と波長253.7nmの紫外光とを+Z方向に向かって照射する。照射された光は、カバー93を透過して加工領域Eに進入する直前の加工砥石74aの下面に照射される。
【0030】
加工領域Eに進入する直前の加工砥石74aの下面に対して波長184.9nmの紫外光が照射されることで、加工砥石74aの下面と発光部91との間に存在する空気中の酸素分子が紫外光を吸収し、基底状態の酸素原子を生成する。生成された酸素原子は周囲の酸素分子と結合してオゾンを生成する。また、波長184.9nmの紫外光は、加工砥石74aの加工面に付着した研削屑による有機汚濁等の分子間結合及び原子間結合を切断して励起状態にすることで、有機汚濁を分解していく。さらに、発生したオゾンが波長253.7nmの紫外光を吸収することで、励起状態の活性酸素が生成される。活性酸素やオゾンは高い酸化力を有するため、加工砥石74aの加工面に生じた炭素や水素等と結合して、ヒドロキシル基、アルデヒド基、及びカルボキシル基等の極性の大きな親水基を加工砥石74aの加工面に形成していく。その結果、加工砥石74aが親水化して、加工砥石74aの加工面において加工水が水滴になりにくくなり、加工砥石74aの加工面全体に加工水が水膜状に広がりやすくなる。
【0031】
親水化した加工砥石74aは、多くの加工水を伴って加工領域E内へと進入し被加工物Wの裏面Wbを研削する。加工水が被加工物Wの裏面Wbと加工砥石74aの加工面との接触部位により多く入り込むことで、接触部位に発生する摩擦熱の発生が抑制される。
【0032】
図5に示すように、研削加工中においては、洗浄水供給部92が洗浄水をカバー93の上面に向かって供給する。すなわち、図示しない洗浄水源から洗浄水ノズル920へ洗浄水が供給され、この洗浄水が噴射口920aからノズル外部に向かって噴出し、放物線を描くようにしてカバー93上に到達する。そして、洗浄水が、流れが適度に整流化されつつカバー93上に付着している研削屑等の汚れを除去することで、研削中において発光部91が生み出す光が加工砥石74aの加工面に適切に照射される状態が維持される。
【0033】
本発明に係る被加工物の加工方法は、被加工物Wを保持する保持面300aを有した保持テーブル30で被加工物Wを保持する保持ステップと、保持ステップを実施した後、砥粒をビトリファイドで結合した加工砥石74aを含む加工手段7で被加工物Wを研削加工する加工ステップと、を備え、加工ステップでは、被加工物Wに加工水を供給するとともに、所定波長の光を光照射手段9から加工砥石74aの加工面に照射することで、被加工物Wの裏面Wbと加工砥石74aの加工面との接触部位により多くの加工水を入り込ませて、接触部位に発生する摩擦熱の発生を抑制して加工砥石74aの磨耗(適切な自生発刃を促す磨耗を超える異常磨耗)を抑えることができる。また、被加工物Wの裏面Wbと加工砥石74aの加工面との接触部位に生じる研削屑を、加工水により効率よく排除していくことができる。更に、加工砥石74aの親水化等によって、加工砥石74aが被加工物Wを研削する加工領域Eに効果的に加工水が供給されるため、加工熱の上昇によるウエーハ焼けの発生等の加工品質の悪化を防止でき、被加工物Wが難削材で形成されたウエーハであっても円滑に安定した研削を施すことが可能となる。
【0034】
本発明の発明者は、本発明に係る加工方法の加工ステップにおける加工砥石の加工面に対する波長365nmの光照射の効果を検証するため、下記の実験1を行った。実験1においては、円形板状の被加工物Wとして厚さ10mmのソーダガラス板を採用した。また、研削ホイール74の加工砥石74aは、粒径♯1000のダイヤモンド砥粒をビトリファイドボンドで結合したものを採用した。
【0035】
実験1においては、保持ステップを実施した後、加工ステップを以下に示す加工条件で実施した。
研削ホイール74の回転数(rpm) :2000rpm
保持テーブル30の回転数(rpm) :300rpm
研削ホイール74の研削送り速度(下降速度) :0.5μm/秒
実験1では、加工ステップにおいて、図2に示す光照射手段9の発光部91としてLEDライトを用いて、波長365nmの紫外光を研削ホイール74の加工砥石74aの下面に照射しつつ被加工物Wを50μm研削し、次いで、発光部91からの加工砥石74aの下面に対する紫外光の照射を停止しつつ被加工物Wを50μm研削し、このような紫外光の照射を伴う研削と紫外光の照射を伴わない研削とを繰り返し連続的に実施した。加工水の加工砥石74aの供給等は、先述した加工ステップと同様に行った。
【0036】
図6に示すプロット図P1は、実験1で得られた測定値をプロットしたものであり、プロット図P1において、横軸は被加工物Wを50μm研削毎の研削ホイール74の加工砥石74aの消耗量(μm)を示し、縦軸は研削ホイール74が被加工物Wを50μm研削中に受けた最大加工荷重(N)を示している。測定した紫外光を照射しつつ研削を行った際の加工砥石74aの消耗量値と研削ホイール74が受けた最大加工荷重値とは、プロット図P1において丸点で示しており、破線で示すグラフG1によってその推移を把握しやすく示している。また、測定した紫外光を照射せずに研削を行った際の加工砥石74aの消耗量値と研削ホイール74が受けた最大加工荷重値とは、プロット図P1において三角点で示しており、一点鎖線で示すグラフG2によってその推移を把握しやすく示している。
【0037】
プロット図P1から読み取ることができるように、波長365nmの紫外光を研削ホイール74の加工砥石74aの下面に照射しつつ被加工物Wの研削加工を行った場合には、紫外光を照射していない場合に比べて、加工砥石74aの消耗量及び研削ホイール74が研削時に受ける荷重を低く抑えることができた。研削ホイール74が受ける加工荷重をこのように低く抑えることができると、図1に示す研削送り手段5のモータ52が受ける負荷を減らせたり、加工負荷によってボールネジ50にバックラッシュが発生してしまうことを防ぐことができたりする。なお、研削ホイール74が受ける加工荷重を同荷重に合わせて比較した場合、波長365nmの紫外光を研削ホイール74の加工砥石74aの下面に照射しつつ研削した場合は紫外光を照射していない場合に比べて、加工砥石74aの消耗量を約20%低く抑えることができた。
【0038】
(実施形態2)
図7に示す切削装置2は、保持テーブル20の保持面200aに保持された被加工物Wに対して、加工手段21が備える切削ブレード210を回転させ切り込ませて切削加工を施す装置である。
【0039】
切削装置2の基台2A上には、切削送り方向(X軸方向)に保持テーブル20を往復移動させる切削送り手段22が配設されている。切削送り手段22は、X軸方向の軸心を有するボールネジ220と、ボールネジ220と平行に配設された一対のガイドレール221と、ボールネジ220を回動させるモータ222と、内部のナットがボールネジ220に螺合し底部がガイドレール221に摺接する可動板223とから構成される。そして、モータ222がボールネジ220を回動させると、これに伴い可動板223がガイドレール221にガイドされてX軸方向に移動し、可動板223上に配設された保持テーブル20もX軸方向に移動する。
【0040】
可動板223上に配設された保持テーブル20は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材からなり被加工物Wを吸着する吸着部200と、吸着部200を支持する枠体201とを備える。吸着部200は図示しない吸引源に連通し、吸着部200の露出面である保持面200a上で被加工物Wを吸引保持する。保持テーブル20は、保持テーブル20の底面側に配設された回転手段202により回転可能となっている。保持テーブル20の周囲には、固定クランプ204が図示の例では4つ均等な間隔で配設されている。
【0041】
基台2A上の中央から後方側(+Y方向側)にかけては、Y軸方向に加工手段21を往復移動させる割り出し送り手段23が配設されている。割り出し送り手段23は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ230と、ボールネジ230と平行に配設された一対のガイドレール231と、ボールネジ230を回動させるモータ232と、内部のナットがボールネジ230に螺合し底部がガイドレール231に摺接する可動部233とから構成される。そして、モータ232がボールネジ230を回動させると、これに伴い可動部233がガイドレール231にガイドされてY軸方向に移動し、可動部233の移動に伴い加工手段21がY軸方向に移動する。
【0042】
可動部233上にはコラム234が一体的に立設されており、コラム234の-X方向側の側面には、Z軸方向に加工手段21を上下動させる切り込み送り手段24が配設されている。切り込み送り手段24は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ240と、ボールネジ240と平行に配設された一対のガイドレール241と、ボールネジ240を回動させるモータ242と、内部のナットがボールネジ240に螺合し側部がガイドレール241に摺接する支持部材243とから構成される。そして、モータ242がボールネジ240を回動させると、これに伴い支持部材243がガイドレール241にガイドされてZ軸方向に移動し、支持部材243が支持する加工手段21がZ軸方向に切り込み送りされる。
【0043】
加工手段21は、軸方向が保持テーブル20の移動方向(X軸方向)に対し水平方向に直交する方向(Y軸方向)であるスピンドル211と、スピンドル211を回転可能に支持するハウジング212と、ハウジング212内部に収容されスピンドル211を回転駆動する図示しないモータと、スピンドル211の-Y方向側の先端部に装着された切削ブレード210とを備えており、モータがスピンドル211を回転駆動することに伴って、切削ブレード210も高速回転する。
【0044】
ハウジング212の側面には、被加工物Wを撮像して切削ブレード210を切り込ませる位置を検出するためのアライメント手段25が配設されている。アライメント手段25は、被加工物Wの被切削面を撮像するアライメント用カメラ250を備えており、アライメント用カメラ250により取得した画像に基づき、パターンマッチング等の画像処理によって被加工物Wの切削すべき分割予定ラインSを検出することができる。
【0045】
図8に示す切削ブレード210は、例えば、中央に装着孔を備える外形が環状のワッシャー型のブレードであり、その全体が加工砥石となる。例えば、切削ブレード210は、ガラス質、セラミック質のボンド剤であるビトリファイドでダイヤモンド砥粒を結合したものであり、ビトリファイドとしては、例えば、二酸化珪素(SiO2)を主成分とし、長石等を微量混入したものを用いている。切削ブレード210は、着脱フランジ218と図示しないマウントフランジとによりY軸方向両側から挟まれており、固定ナット217による締め付けによってスピンドル211に装着されている。なお切削ブレード210は、アルミニウム等からなる基台に径方向外側に向かって加工砥石を突出するように備えるハブタイプの切削ブレードであってもよい。
【0046】
図7、8に示すように、加工手段21は、例えば、切削ブレード210をカバーするブレードカバー219を備えている。ブレードカバー219は、その略中央部に切削ブレード210を収容する開口を備えており、ハウジング212に装着されることで、開口に切削ブレード210を位置付け、切削ブレード210を上方から覆うことができる。
【0047】
ブレードカバー219の-X方向側端には、支持ブロック213が調整ネジ213aによりZ軸方向に移動可能に締結されている。支持ブロック213には、一対の加工水ノズル214が固定されている。一対の加工水ノズル214には、支持ブロック213を通じて供給ホース213bから加工水が供給される。一対の加工水ノズル214は、切削ブレード210の下部を切削ブレード210の側面両側から挟むようにして+X方向側に互いに平行に延びている。一対の加工水ノズル214の先端側の切削ブレード210に相対する位置には、スリットが複数X軸方向に整列して設けられており、複数のスリットによって側方から加工水が噴射されて、切削ブレード210と被加工物Wとの接触部位の冷却が行われる。また、支持ブロック213の下端には、噴射された加工水を-X方向側に導く一対の飛沫カバー213cが配設されている。
【0048】
ブレードカバー219の+X方向側端には、加工水ブロック215が、調整ネジ215aによりY軸方向にスライド移動可能に締結されている。図8に示すように、加工水ブロック215には、切削ブレード210の外周方向から切削ブレード210に対し加工水を噴射する加工水ノズル216が配設されている。加工水ノズル216の上端には供給ホース215bが連通しており、加工水ノズル216の下端である加工水噴射口216aは切削ブレード210の先端面(加工面)に向かって開口している。加工水ノズル216により外周方向から切削ブレード210に加工水が噴射されることで、回転する切削ブレード210に加工水が巻き込まれて、切削ブレード210と被加工物Wとの接触部位に生じる切削屑と共に-X方向側に押し出されることで、接触部位の洗浄及び冷却が行われる。
【0049】
切削装置2は、切削ブレード210の加工面(ブレードの先端面)に所定波長の光を照射する光照射手段4を備えている。光照射手段4は、例えば、例えば低圧水銀ランプやUVLEDからなる発光部40と、発光部40のオン/オフを切り替える電源41とを備えている。
【0050】
発光部40は、例えば、切削ブレード210の加工面に径方向外側から向かい合うように加工水ブロック215に配設されており、加工水ノズル216の加工水噴射口216aよりも高い位置に位置している。発光部40は2波長の光を発光でき、80nm以上200nm以下の波長の光と240nm以上280nm以下の波長の光とを発光できると好ましい。また、発光部40は、波長365nmの光を発光できるとさらに好ましい。本実施形態における発光部40は2波長LED又は低圧水銀ランプであり、波長184.9nmの紫外光と波長253.7nmの紫外光とを同時に発光することができる。
【0051】
以下に、図7に示す切削装置2を用いて本発明に係る加工方法を実施する場合の、加工方法の各ステップ及び切削装置2の動作について説明していく。
図1に示す外形が円形板状の被加工物Wは、例えば、難削材のSiCで形成される半導体ウエーハであり、図7においては上側を向いている被加工物Wの表面Waには、分割予定ラインSによって区画された格子状の領域に多数のデバイスDが形成されている。被加工物Wの裏面Wbには、被加工物Wよりも大径のダイシングテープT1が貼着されている。ダイシングテープT1の粘着面の外周領域には円形の開口を備える環状フレームFが貼着されており、被加工物Wは、ダイシングテープT1を介して環状フレームFによって支持され、環状フレームFを介したハンドリングが可能な状態になっている。なお、被加工物Wの形状及び種類は特に限定されるものではなく、切削ブレード210との関係で適宜変更可能であり、GaASまたはGaN等で形成されるウエーハや、金属で形成されたウエーハまたは金属電極が部分的にウエーハの裏面に露出したウエーハも含まれる。
【0052】
(1)保持ステップ
被加工物Wが、ダイシングテープT1側を下にして保持テーブル20の保持面200a上に載置される。そして、図示しない吸引源により生み出される吸引力が保持面200aに伝達されることにより、被加工物Wが保持テーブル20によって吸引保持された状態になる。また、各固定クランプ204によって環状フレームFが固定される。
【0053】
(2)加工ステップ
切削送り手段22によって、保持テーブル20に保持された被加工物Wが-X方向に送られ、切削ブレード210を切り込ませるべき分割予定ラインSのY軸方向の座標位置が、アライメント手段25により検出される。また、加工手段21が割り出し送り手段23によってY軸方向に駆動され、切削すべき分割予定ラインSと切削ブレード210とのY軸方向における位置合わせが行われる。
【0054】
切り込み送り手段24が加工手段21を-Z方向に降下させていき、図9に示すように、例えば、切削ブレード210が被加工物Wの裏面Wbを切り抜けダイシングテープT1に到る所定の高さ位置に加工手段21が位置付けられる。また、図示しないモータがスピンドル211を回転駆動することに伴って、切削ブレード210が例えば-Y方向側から見て時計回り方向に高速回転する。
【0055】
被加工物Wを保持する保持テーブル20が所定の切削送り速度でさらに-X方向に送り出されることで、高速回転する切削ブレード210が被加工物Wに切り込み、分割予定ラインSに沿って被加工物Wを切断していく。また、切削加工中においては、加工水ノズル214によって切削ブレード210の側方から、切削ブレード210と被加工物Wとの接触部位に対して加工水の噴射が行われ、接触部位の冷却及び洗浄が行われる。
【0056】
切削加工の開始に伴って電源41によって発光部40がON状態になり、発光部40が例えば波長184.9nmの紫外光と波長253.7nmの紫外光とを切削ブレード210の外周方向から回転する切削ブレード210の加工面に照射する。
【0057】
さらに、加工水ノズル216により切削ブレード210の外周方向から切削ブレード210の加工面に加工水が噴射されることで、光が照射された回転する切削ブレード210の加工面に加工水が巻き込まれて、切削ブレード210と被加工物Wとの接触部位に生じる加工屑等と共に-X方向側に押し出されることで、接触部位の冷却及び洗浄が行われる。
【0058】
加工水ノズル216から加工水が噴射される直前の切削ブレード210の加工面に対して波長184.9nmの紫外光が照射されることで、切削ブレード210の先端面と発光部40との間に存在する空気中の酸素分子が紫外光を吸収し、基底状態の酸素原子を生成する。生成された酸素原子は周囲の酸素分子と結合してオゾンを生成する。また、波長184.9nmの紫外光は、切削ブレード210の加工面に付着した切削屑による有機汚濁等の分子間結合及び原子間結合を切断して励起状態にすることで、有機汚濁を分解していく。さらに、発生したオゾンが波長253.7nmの紫外光を吸収することで、励起状態の活性酸素が生成される。生成された活性酸素やオゾンは高い酸化力を有するため、切削ブレード210の加工面に生じた炭素や水素等と結合して、ヒドロキシル基、アルデヒド基、及びカルボキシル基等の極性の大きな親水基を切削ブレード210の加工面に形成していく。その結果、切削ブレード210が親水化して、切削ブレード210の加工面において加工水が水滴になりにくくなり、切削ブレード210の加工面に加工水が水膜状に広がりやすくなる。
【0059】
親水化した切削ブレード210は、加工水ノズル216から噴射された加工水を多く伴って被加工物Wの裏面Wbに切り込む。加工水が被加工物Wの裏面Wbと切削ブレード210の加工面との接触部位により多く入り込むことで、接触部位に発生する摩擦熱の発生が抑制される。
【0060】
切削ブレード210が分割予定ラインSを切削し終えるX軸方向の所定の位置まで被加工物Wが-X方向に進行すると、-X方向への被加工物Wの切削送りを一度停止させ、切削ブレード210を被加工物Wから離間させ、保持テーブル20を+X方向へ送り出して元の位置に戻す。そして、隣り合う分割予定ラインSの間隔ずつ切削ブレード210をY軸方向に割り出し送りしながら順次同様の切削を行うことにより、同方向の全ての分割予定ラインSを切削する。さらに、保持テーブル20を90度回転させてから同様の切削を行うと、全ての分割予定ラインSが縦横に全てフルカットされる。
【0061】
本発明に係る被加工物の加工方法は、被加工物Wを保持する保持面200aを有した保持テーブル20で被加工物Wを保持する保持ステップと、保持ステップを実施した後、砥粒をビトリファイドで結合した加工砥石、即ち切削ブレード210を含む加工手段21で被加工物Wを加工する加工ステップと、を備え、加工ステップでは、被加工物Wに加工水を供給するとともに、所定波長の光を光照射手段4から切削ブレード210の加工面に照射することで、切削ブレード210の親水化等により被加工物Wの裏面Wbと切削ブレード210の加工面との接触部位により多くの加工水を入り込ませて、接触部位に発生する摩擦熱の発生を抑制して切削ブレード210の必要以上の磨耗を抑えることができ、また、加工熱の上昇によるウエーハ焼けの発生等の加工品質の悪化を防止でき、被加工物Wが難削材で形成されたウエーハであっても円滑に切削することが可能となる。さらに、被加工物Wの裏面Wbと切削ブレード210の加工面との接触部位に生じる切削屑を、加工水により効率よく排除していくことができる。
【符号の説明】
【0062】
1:研削装置 10:ベース 11:コラム 12:入力手段
30:保持テーブル 300:吸着部 300a:保持面 301:枠体
31:カバー 31a:蛇腹カバー
5:研削送り手段 50:ボールネジ 51:ガイドレール 52:モータ 53:昇降板 54:ホルダ
7:加工手段 70:回転軸 70a:流路 71:ハウジング 72:モータ 73:マウント 74:研削ホイール 74a:加工砥石 74b:ホイール基台
8:加工水供給手段 80:加工水源 81:配管 82:調整バルブ
9:光照射手段 90:台部 91:発光部 92:洗浄水供給部 920:洗浄水ノズル 920a:噴射口 93:カバー
W:被加工物 Wa:被加工物の表面 Wb:被加工物の裏面 T:保護テープ
A:着脱領域 B:研削領域
P1:プロット図
2:切削装置 2A:基台
20:保持テーブル 200:吸着部 200a:保持面 201:枠体 202:回転手段 204:固定クランプ
21:加工手段 210:切削ブレード 211:スピンドル 212:ハウジング 218:着脱フランジ 217:固定ナット
219:ブレードカバー 213:支持ブロック 213a:調整ネジ 213b:供給ホース 213c:飛沫カバー 214:加工水ノズル 215:加工水ブロック 215a:調整ネジ 216:加工水ノズル 216a:加工水噴射口
25:アライメント手段 250:アライメント用カメラ
22:切削送り手段 220:ボールネジ 221:ガイドレール 222:モータ 223:可動板
23:割り出し送り手段 230:ボールネジ 231:ガイドレール 232:モータ
233:可動部 234:コラム
24:切り込み送り手段 240:ボールネジ 241:ガイドレール 242:モータ 243:支持部材
4:光照射手段 40:発光部 41:電源
W:被加工物 Wa:被加工物の表面 Wb:被加工物の裏面 S:分割予定ライン D:デバイス T1:ダイシングテープ F:環状フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9